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特開2024-14989着色感光性組成物、硬化物、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び、画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024014989
(43)【公開日】2024-02-01
(54)【発明の名称】着色感光性組成物、硬化物、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び、画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/004 20060101AFI20240125BHJP
   G03F 7/031 20060101ALI20240125BHJP
   G02B 5/20 20060101ALI20240125BHJP
【FI】
G03F7/004 501
G03F7/004 505
G03F7/031
G02B5/20 101
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023196873
(22)【出願日】2023-11-20
(62)【分割の表示】P 2022509439の分割
【原出願日】2021-02-25
(31)【優先権主張番号】P 2020055020
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水野 明夫
(72)【発明者】
【氏名】尾田 和也
(72)【発明者】
【氏名】中村 翔一
(57)【要約】
【課題】現像残渣抑制性に優れる着色感光性組成物を提供すること。
【解決手段】顔料、環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物、樹脂、及び、光重合開始剤を含み、上記顔料の含有量が、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上である着色感光性組成物、上記着色感光性組成物の硬化物、又は、上記硬化物を備えるカラーフィルタ、固体撮像素子若しくは画像表示装置。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料、
環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物、
樹脂、及び、
光重合開始剤を含み、
前記顔料の含有量が、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上であり、
前記顔料が、
C.I.Pigment Green 36、
C.I.Pigment Green 58、
C.I.Pigment Green 7、
C.I.Pigment Green 59、
C.I.Pigment Green 62、
C.I.Pigment Green 63、
C.I.Pigment Yellow 129、
C.I.Pigment Yellow 139、
C.I.Pigment Yellow 150、
C.I.Pigment Yellow 185、
C.I.Pigment Yellow 215、
C.I.Pigment Red 254、
C.I.Pigment Red 264、
C.I.Pigment Red 272、
C.I.Pigment Red 122、
C.I.Pigment Orange 71、
C.I.Pigment Blue 15:6、
及びC.I.Pigment Violet 23からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記アミン化合物が、下記式1で表され、前記環状アミノ基として、ヒンダードアミン構造を有する化合物、及び下記AM-1で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1つであり、
前記アミン化合物の含有量が、着色感光性組成物の全固形分に対して、2質量%~10質量%であり、
前記樹脂が、カルボキシ基を有する樹脂である
着色感光性組成物。

【化1】


式1中、Xは、n価の有機基を表し、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、二価の連結基を表し、Rはそれぞれ独立に、環状アミノ基を有する基を表し、nは、2~20の整数を表す。

【化2】

【請求項2】
前記アミン化合物の分子量が、6,000以下である請求項1に記載の着色感光性組成物。
【請求項3】
前記アミン化合物が、環状アミノ基を分子内に3個~8個有する化合物である請求項1又は請求項2に記載の着色感光性組成物。
【請求項4】
前記アミン化合物が、環状アミノ基を分子内に4個~8個有する化合物である請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
【請求項5】
前記光重合開始剤が、オキシム系光重合開始剤を含む請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
【請求項6】
前記樹脂の含有量Mと前記アミン化合物の含有量Mとの質量比が、M:M=40:60~95:5である請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
【請求項7】
重合性化合物を更に含む請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の着色感光性組成物。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の着色硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
【請求項9】
請求項8に記載の硬化物を備えるカラーフィルタ。
【請求項10】
請求項9に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
【請求項11】
請求項9に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、着色感光性組成物、硬化物、カラーフィルタ、固体撮像素子、及び、画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは、固体撮像素子又は画像表示装置に不可欠な構成部品である。固体撮像素子及び画像表示装置は、可視光の反射によってノイズが発生する場合がある。そこで、固体撮像素子や画像表示装置に遮光膜を設けて、ノイズの発生の抑制を図ることも行われている。
このようなカラーフィルタや遮光膜の製造方法として、着色剤と、重合性化合物と、光重合開始剤と、アルカリ可溶性樹脂とを含む着色感光性組成物を用いて着色感光性組成物層を形成し、この着色感光性組成物層を露光及び現像してパターンを形成する方法が知られている。
従来の着色感光性組成物としては、特許文献1に記載のものが知られている。
【0003】
特許文献1:特開2015-30781号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示に係る実施形態が解決しようとする課題は、現像残渣抑制性に優れる着色感光性組成物を提供することである。
また、本開示に係る実施形態が解決しようとする他の課題は、上記着色感光性組成物の硬化物、上記硬化物を備えるカラーフィルタ、又は、上記カラーフィルタを備える固体撮像素子若しくは画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための手段には、以下の態様が含まれる。
<1> 顔料、環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物、樹脂、及び、光重合開始剤を含み、上記顔料の含有量が、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上である着色感光性組成物。
<2> 上記アミン化合物の分子量が、6,000以下である<1>に記載の着色感光性組成物。
<3> 上記アミン化合物が、下記式1で表される化合物である<1>又は<2>に記載の着色感光性組成物。
【0006】
【化1】
【0007】
式1中、Xは、n価の有機基を表し、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、二価の連結基を表し、Rはそれぞれ独立に、環状アミノ基を有する基を表し、nは、2~20の整数を表す。
【0008】
<4> 上記アミン化合物が、上記環状アミノ基として、ヒンダードアミン構造を有する<1>~<3>いずれか1つに記載の着色感光性組成物。
<5> 上記アミン化合物が、環状アミノ基を分子内に3個~8個有する化合物である<1>~<4>のいずれか1つに記載の着色感光性組成物。
<6> 上記アミン化合物が、環状アミノ基を分子内に4個~8個有する化合物である<1>~<5>のいずれか1つに記載の着色感光性組成物。
<7> 上記光重合開始剤が、オキシム系光重合開始剤を含む<1>~<6>のいずれか1つに記載の着色感光性組成物。
<8> 上記樹脂の含有量Mと上記アミン化合物の含有量Mとの質量比が、M:M=40:60~95:5である<1>~<7>のいずれか1つに記載の着色感光性組成物。
<9> 重合性化合物を更に含む<1>~<8>のいずれか1つに記載の着色感光性組成物。
<10> <1>~<9>のいずれか1つに記載の着色硬化性組成物を硬化してなる硬化物。
<11> <10>に記載の硬化物を備えるカラーフィルタ。
<12> <11>に記載のカラーフィルタを有する固体撮像素子。
<13> <11>に記載のカラーフィルタを有する画像表示装置。
【発明の効果】
【0009】
本開示に係る実施形態によれば、現像残渣抑制性に優れる着色感光性組成物が提供される。
また、本開示に係る他の実施形態によれば、上記着色感光性組成物の硬化物、上記硬化物を備えるカラーフィルタ、又は、上記カラーフィルタを備える固体撮像素子若しくは画像表示装置が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、本開示の内容について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本開示の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本開示はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本開示において、数値範囲を示す「~」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
更に、本開示において組成物中の各成分の量は、組成物中に各成分に該当する物質が複数存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する該当する複数の物質の合計量を意味する。
また、本開示における基(原子団)の表記において、置換及び無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本開示において、特別な記載がない限り、「Me」はメチル基を、「Et」はエチル基を、「Pr」はプロピル基を、「Bu」はブチル基を、「Ph」はフェニル基を、それぞれ表す。
本開示において、「(メタ)アクリル」は、アクリル及びメタクリルの両方を包含する概念で用いられる語であり、「(メタ)アクリロイル」は、アクリロイル及びメタクリロイルの両方を包含する概念として用いられる語である。
また、本開示において、「工程」の用語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であっても、その工程の所期の目的が達成されれば本用語に含まれる。
本開示において「全固形分」とは、組成物の全組成から溶剤を除いた成分の総質量をいう。また、「固形分」とは、上述のように、溶剤を除いた成分であり、例えば、25℃において固体であっても、液体であってもよい。

また、本開示において、「質量%」と「重量%」とは同義であり、「質量部」と「重量部」とは同義である。
更に、本開示において、2以上の好ましい態様の組み合わせは、より好ましい態様である。
また、本開示における重量平均分子量(Mw)及び数平均分子量(Mn)は、特に断りのない限り、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)分析装置により、溶媒THF(テトラヒドロフラン)、示差屈折計により検出し、標準物質としてポリスチレンを用いて換算した分子量である。
本明細書において、顔料とは、溶剤に対して溶解しにくい化合物を意味する。
本明細書において、染料とは、溶剤に対して溶解しやすい化合物を意味する。
以下、本開示を詳細に説明する。
【0011】
(着色感光性組成物)
本開示に係る着色感光性組成物は、顔料、環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物、樹脂、及び、光重合開始剤を含み、上記顔料の含有量が、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上である。
【0012】
近年、イメージセンサの高画素化に伴いパターンの微細化及び薄膜化が進んでいる。これに伴い、相対的にカラーフィルタ中の顔料濃度が増され、硬化性成分や現像性成分の量が減少させられる。
本発明者らは、詳細な検討を行った結果、顔料の含有量が、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上である従来の着色感光性組成物では、現像液に不溶な顔料含率が多いため現像液が浸透しにくいうえに、現像性成分量が少なくないため現像不良や現像残渣が多く発生する場合があることが判明した。
本発明者らが鋭意検討した結果、上記構成を採用することにより、現像残渣抑制性に優れることを見出した。
顔料の含有量が、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上であり、かつ、環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物を含むことにより、上記のような高顔料濃度の着色感光性組成物であっても、上記アミン化合物が、アミンが環状構造のため顔料表面に吸着しやすく、更に、上記アミン化合物の2個以上あるアミノ基の顔料に配位していないアミノ基に上記樹脂が、適度に相互作用し、顔料粒子-アミン化合物-樹脂の構造を形成することにより、着色感光性組成物中に含まれる顔料粒子間の吸着及び凝集を抑制することにより、現像性を付与し現像残渣抑制性に優れると推定している。
【0013】
<環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物>
本開示に係る着色感光性組成物は、環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物を含む。
上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物の分子量は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、得られる硬化物の密着性(以下、単に「密着性」ともいう。)の観点から、6,000以下であることが好ましく、100~4,000であることがより好ましく、200~3,000であることが更に好ましく、500~2,500であることが特に好ましい。
【0014】
上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物における環状アミノ基は、第一級~第三級の環状アミノ基、又は、それらの塩であってもよいが、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、第三級環状アミノ基、又は、その塩であることが好ましい。
上記環状アミノ基が形成していてもよい塩の対アニオンとしては、特に制限はなく、また、一価アニオンであっても、多価アニオンであってもよいが、例えば、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、カルボキシレートアニオン、スルホネートアニオン、硫酸イオン、アリールボレートアニオン、アルキルボレートアニオン、過塩素酸イオン、PF 、等が挙げられる。
また、上記環状アミノ基が塩を形成する場合、上記環状アミノ基は、プロトン化されたカチオンであることが好ましい。
【0015】
上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物における環状アミノ基は、ピペリジノ基等のような脂肪族環状アミノ基であっても、ピリジル基等のような芳香族環状アミノ基であってもよい。
中でも、上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物における環状アミノ基は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、5員環又は6員環構造を有する環状アミノ基であることが好ましく、6員環構造を有する環状アミノ基であることがより好ましく、6員環構造を有する脂肪族環状アミノ基であることが更に好ましい。
また、上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物は、上記環状アミノ基として、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、ヒンダードアミン構造を有することが好ましく、6員環のヒンダードアミン構造を有することが特に好ましい。
ヒンダードアミン構造としては、環状アミノ基の窒素原子に隣接する環構造における2つの炭素原子にアルキル基等の置換基を有することが好ましい。ヒンダードアミン構造を有する環状アミノ基としては、例えば、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル基、2,2,6,6-テトラメチルピペリジル基、1,2,6,6-トリメチルピペリジル基、2,6-ジメチルピペリジル基、1-メチル-2,6-ジ(t-ブチル)ピペリジル基、2,6-ジ(t-ブチル)ピペリジル基、1,2,2,5,5-ペンタメチルピロリジル基、2,2,5,5-テトラメチルピロリジル基等が好ましく挙げられる。
中でも、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル基、又は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジル基が好ましく、1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジル基がより好ましい。
【0016】
上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物における環状アミノ基の数は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、2個~20個であることが好ましく、2個~8個であることがより好ましく、3個~8個であることが更に好ましく、4個~8個であることが特に好ましい。
【0017】
上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、下記式1で表される化合物であることが好ましい。
【0018】
【化2】
【0019】
式1中、Xは、n価の有機基を表し、Lはそれぞれ独立に、単結合、又は、二価の連結基を表し、Rはそれぞれ独立に、環状アミノ基を有する基を表し、nは、2~20の整数を表す。
【0020】
式1におけるXは、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、n価の脂肪族基、又は、n価の芳香環又は複素芳香環を有する基であることが好ましく、n価の脂肪族基であることがより好ましく、エーテル結合及びエステル結合を有していてもよいn価の脂肪族炭化水素基であることが特に好ましい。
また、式1におけるXの分子量(式量)は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、4,000以下であることが好ましく、100~3,000であることがより好ましく、200~2,500であることが更に好ましく、200~2,000であることが特に好ましい。
更に、式1におけるXは、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、炭素数(「炭素原子数」ともいう。)4~400であることが好ましく、炭素数5~200であることがより好ましく、炭素数8~150であることが特に好ましい。
式1におけるLはそれぞれ独立に、単結合、エーテル結合、又は、エステル結合であることが好ましく、エーテル結合、又は、エステル結合であることがより好ましい。
式1におけるRはそれぞれ独立に、環状アミノ基、又は、環状アミノ基にアルキレン基が結合した基であることが好ましく、環状アミノ基であることがより好ましい。
また、式1のRにおける環状アミノ基の好ましい態様は、上述した環状アミノ基の好ましい態様と同様である。
式1におけるnは、2~8の整数であることが好ましく、3~8の整数であることがより好ましく、4~8の整数であることが特に好ましい。
【0021】
Xの具体例としては、例えば、炭素数4~12のアルキレン基、下記に示す基等が好適に挙げられる。波線部分は、Lとの結合位置を表し、二重波線部分はそれぞれ、LAHの両側に示す構造のいずれかとの結合位置を表す。また、nAHは、1~3の整数であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。
【0022】
【化3】
【0023】
上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物の具体例を示すが、本開示はこれに限定されるものではない。また、下記化合物における波線部分は、対応する他の構造との結合位置を表す。
【0024】
【化4】
【0025】
【化5】
【0026】
【化6】
【0027】
【化7】
【0028】
【化8】
【0029】
【化9】
【0030】
また、上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物としては、市販品として、アデカスタブLA-52(Tetrakis(1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidyl) butane-1,2,3,4-tetracarboxylate)、アデカスタブLA-57(Tetrakis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl) butane-1,2,3,4-tetracarboxylate)、LA-63P(1,2,3,4-Butanetetracarboxylic acid, tetramethyl ester, reaction products with 1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidinol and β,β,β',β'-tetramethyl-2,4,8,10-tetraoxaspiro[5.5]undecane-3,9-diethanol)、アデカスタブLA-68(1,2,3,4-Butanetetracarboxylic acid, tetramethyl ester, reaction products with 2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidinol and β,β,β',β'-tetramethyl-2,4,8,10-tetraoxaspiro[5.5]undecane-3,9-diethanol)、アデカスタブLA-72(Bis(1,2,2,6,6-pentamethyl-4-piperidyl) sebacate(主成分))、アデカスタブLA-77Y(Bis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl) sebacate)、アデカスタブLA-77G(Bis(2,2,6,6-tetramethyl-4-piperidyl) sebacate)(以上、(株)ADEKA製)等が挙げられる。
【0031】
本開示に係る着色感光性組成物は、上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物を1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
本開示に係る着色感光性組成物における上記環状アミノ基を分子内に2個以上有するアミン化合物の含有量は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、着色感光性組成物の全固形分に対して、0.05質量%~20質量%であることが好ましく、1質量%~16質量%であることがより好ましく、2質量%~10質量%であることが特に好ましい。
【0032】
本開示に係る着色感光性組成物において、後述する樹脂の含有量Mと上記アミン化合物の含有量Mとの質量比は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、M:M=40:60~95:5であることが好ましく、M:M=50:50~95:5であることがより好ましく、M:M=75:25~95:5であることが更に好ましく、M:M=75:25~90:10であることが特に好ましい。
【0033】
<顔料>
本開示に係る着色感光性組成物は、顔料を含む。
顔料は、無機顔料、有機顔料のいずれでもよいが有機顔料であることが好ましい。また、顔料には、無機顔料又は有機-無機顔料の一部を有機発色団で置換した材料を用いることもできる。無機顔料や有機-無機顔料を有機発色団で置換することで、色相設計をしやすくできる。
本開示に係る着色感光性組成物は、カラーフィルタにおける着色画素形成用の着色感光性組成物として好ましく用いることができる。着色画素としては、例えば、赤色画素、緑色画素、青色画素、マゼンタ色画素、シアン色画素、イエロー色画素などが挙げられる。中でも、緑色画素が好ましく挙げられる。
【0034】
顔料の平均一次粒子径は、1nm~200nmが好ましい。下限は5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましい。上限は、180nm以下が好ましく、150nm以下がより好ましく、100nm以下が更に好ましい。顔料の平均一次粒子径が上記範囲であれば、着色感光性組成物中における顔料の分散安定性が良好である。なお、本開示において、顔料の一次粒子径は、顔料の一次粒子を透過型電子顕微鏡により観察し、得られた画像写真から求めることができる。具体的には、顔料の一次粒子の投影面積を求め、それに対応する円相当径を顔料の一次粒子径として算出する。また、本開示における平均一次粒子径は、400個の顔料の一次粒子についての一次粒子径の算術平均値とする。また、顔料の一次粒子とは、凝集のない独立した粒子をいう。
【0035】
顔料の25℃のプロピレングリコールメチルエーテルアセテート100gへの溶解量は、0.01g未満であることが好ましく、0.005g未満であることがより好ましく、0.001g未満であることが更に好ましい。
【0036】
有機顔料としては、フタロシアニン顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料、アントラキノン顔料、ペリレン顔料、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料、ピロロピロール顔料、イソインドリン顔料、キノフタロン顔料、トリアリールメタン顔料、キサンテン顔料、メチン顔料、キノリン顔料などが挙げられる。
有機顔料の具体例としては以下に示すものが挙げられる。
【0037】
カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow 1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228,231,232(メチン系),233(キノリン系),234(アミノケトン系),235(アミノケトン系),236(アミノケトン系)等(以上、黄色顔料)、
C.I.Pigment Orange 2,5,13,16,17:1,31,34,36,38,43,46,48,49,51,52,55,59,60,61,62,64,71,73等(以上、オレンジ色顔料)、
C.I.Pigment Red 1,2,3,4,5,6,7,9,10,14,17,22,23,31,38,41,48:1,48:2,48:3,48:4,49,49:1,49:2,52:1,52:2,53:1,57:1,60:1,63:1,66,67,81:1,81:2,81:3,83,88,90,105,112,119,122,123,144,146,149,150,155,166,168,169,170,171,172,175,176,177,178,179,184,185,187,188,190,200,202,206,207,208,209,210,216,220,224,226,242,246,254,255,264,270,272,279,294(キサンテン系、Organo Ultramarine、Bluish Red),295(モノアゾ系),296(ジアゾ系),297(アミノケトン系)等(以上、赤色顔料)、
C.I.Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63,64(フタロシアニン系),65(フタロシアニン系),66(フタロシアニン系)等(以上、緑色顔料)、
C.I.Pigment Violet 1,19,23,27,32,37,42,60(トリアリールメタン系),61(キサンテン系)等(以上、紫色顔料)、
C.I.Pigment Blue 1,2,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,16,22,29,60,64,66,79,80,87(モノアゾ系),88(メチン系)等(以上、青色顔料)。
【0038】
また、本開示に係る着色感光性組成物は、本開示における効果をより発揮する観点から、顔料として、緑色顔料を含むことが好ましく、緑色顔料及び黄色顔料を含むことがより好ましい。
更に、上記顔料は、感度、及び、分光特性の観点から、フタロシアニン顔料を含むことが好ましく、緑色のフタロシアニン顔料を含むことがより好ましい。
【0039】
緑色顔料としては、公知のものを用いることができる。例えば、カラーインデックス(C.I.)Pigment Green 7,10,36,37,58,59,62,63等のフタロシアニン化合物が挙げられる。
また、緑色顔料としては、1分子中のハロゲン原子数が平均10個~14個であり、臭素原子数が平均8個~12個であり、塩素原子数が平均2個~5個であるハロゲン化亜鉛フタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/118720号に記載の化合物、中国特許出願公開第106909027号明細書に記載の化合物、リン酸エステルを配位子として有するフタロシアニン化合物などを用いることもできる。
また、緑色顔料としては、特開2019-8014号公報、又は、特開2018-180023号公報に記載の緑色顔料を使用してもよい。
中でも、緑色顔料は、緑色の画素に適した分光特性を有する膜を形成しやすいという理由から、C.I.Pigment Green 58及びC.I.Pigment Green 36よりなる群から選ばれた少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、C.I.Pigment Green 58を含むことがより好ましい。
【0040】
緑色顔料は、1種単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
着色感光性組成物の全固形分中における緑色顔料の含有量は、10質量%~80質量%であることが好ましい。下限は、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが特に好ましい。上限は、70質量%以下であることがより好ましく、60質量%以下であることが特に好ましい。
【0041】
黄色顔料としては、アゾ化合物、キノフタロン化合物、イソインドリノン化合物、イソインドリン化合物、アントラキノン化合物等が挙げられる。中でも、緑色の画素に適した分光特性を有する膜を形成しやすいという理由から、イソインドリン化合物が好ましい。
【0042】
黄色顔料としては、カラーインデックス(C.I.)Pigment Yellow(以下、単に「PY」ともいう。)1,2,3,4,5,6,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,24,31,32,34,35,35:1,36,36:1,37,37:1,40,42,43,53,55,60,61,62,63,65,73,74,77,81,83,86,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,115,116,117,118,119,120,123,125,126,127,128,129,137,138,139,147,148,150,151,152,153,154,155,156,161,162,164,166,167,168,169,170,171,172,173,174,175,176,177,179,180,181,182,185,187,188,193,194,199,213,214,215,228(国際公開第2013/098836号に記載された直結型キノフタロン二量体),231,232(メチン/ポリメチン系)等が挙げられる。
【0043】
また、黄色顔料として、特開2017-201003号公報に記載されている顔料、特開2017-197719号公報に記載されている顔料を用いることができる。また、黄色顔料として、下記式(Y)で表されるアゾ化合物及びその互変異性構造のアゾ化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種のアニオンと、2種以上の金属イオンと、メラミン化合物とを含む金属アゾ顔料を用いることもできる。
【0044】
【化10】
【0045】
式(Y)中、RY1及びRY2はそれぞれ独立に、-OH又は-NRY5Y6を表し、RY3及びRY4はそれぞれ独立に、=O又は=NRY7を表し、RY5~RY7はそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
Y5~RY7が表すアルキル基の炭素数は、1~10が好ましく、1~6がより好ましく、1~4が更に好ましい。上記アルキル基は、直鎖、分岐及び環状のいずれであってもよく、直鎖又は分岐が好ましく、直鎖がより好ましい。上記アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、シアノ基及びアミノ基が好ましく挙げられる。
【0046】
上記の金属アゾ顔料については、特開2017-171912号公報の段落0011~0062、0137~0276、特開2017-171913号公報の段落0010~0062、0138~0295、特開2017-171914号公報の段落0011~0062、0139~0190、特開2017-171915号公報の段落0010~0065、0142~0222の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0047】
また、黄色顔料としては、下記式(Q)で表されるキノフタロン二量体も好適に使用できる。更に、特許第6443711号公報に記載のキノフタロン二量体も好適に使用できる。
【0048】
【化11】
【0049】
式(Q)中、X~X16はそれぞれ独立に、水素原子又はハロゲン原子を表し、Zは炭素数1~3のアルキレン基を表す。
【0050】
黄色顔料として、特開2018-203798号公報、特開2018-62578号公報、特許第6432077号公報、特許第6432076号公報、特開2018-155881号公報、特開2018-111757号公報、特開2018-40835号公報、特開2017-197640号公報、特開2016-145282号公報、特開2014-85565号公報、特開2014-21139号公報、特開2013-209614号公報、特開2013-209435号公報、特開2013-181015号公報、特開2013-61622号公報、特開2013-54339号公報、特開2013-32486号公報、特開2012-226110号公報、特開2008-74987号公報、特開2008-81565号公報、特開2008-74986号公報、特開2008-74985号公報、特開2008-50420号公報、特開2008-31281号公報、又は、特公昭48-32765号公報に記載のキノフタロン顔料も好適に使用できる。
【0051】
また、黄色顔料として、特開2013-54339号公報の段落0011~0034に記載のキノフタロン化合物、特開2014-26228号公報の段落0013~0058に記載のキノフタロン化合物、特開2019-8014号公報に記載の黄色顔料、特許第6607427号に記載のキノフタロン化合物、韓国公開特許第10-2014-0034963号公報に記載の化合物、特開2017-095706号公報に記載の化合物、台湾特許出願公開第201920495号公報に記載の化合物、特許第6607427号公報に記載の化合物などを用いることもできる。
また、黄色顔料として、特開2018-62644号公報に記載の化合物を用いることもできる。なお、この化合物は、顔料誘導体として用いることもできる。
更に、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.Pigment Yellow 129を、耐候性改良の目的で添加してもよい。
【0052】
赤色顔料として、特開2017-201384号公報に記載の構造中に少なくとも1つ臭素原子が置換したジケトピロロピロール化合物、特許第6248838号の段落0016~0022に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/102399号に記載のジケトピロロピロール化合物、国際公開第2012/117965号に記載のジケトピロロピロール化合物、特開2012-229344号公報に記載のナフトールアゾ化合物、特許第6516119号公報に記載の赤色顔料、特許第6525101号公報に記載の赤色顔料などを用いることもできる。また、赤色顔料として、芳香族環に対して、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子が結合した基が導入された芳香族環基がジケトピロロピロール骨格に結合した構造を有する化合物を用いることもできる。
【0053】
また、青色顔料として、リン原子を有するアルミニウムフタロシアニン化合物を用いることもできる。具体例としては、特開2012-247591号公報の段落0022~0030、特開2011-157478号公報の段落0047に記載の化合物が挙げられる。
【0054】
白色顔料としては、酸化チタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム、硫酸バリウム、シリカ、タルク、マイカ、水酸化アルミニウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、中空樹脂粒子、硫化亜鉛などが挙げられる。白色顔料は、チタン原子を有する粒子が好ましく、酸化チタンがより好ましい。また、白色顔料は、波長589nmの光に対する屈折率が2.10以上の粒子であることが好ましい。前述の屈折率は、2.10~3.00であることが好ましく、2.50~2.75であることがより好ましい。
【0055】
また、白色顔料は「酸化チタン 物性と応用技術 清野学著 13~45ページ 1991年6月25日発行、技報堂出版発行」に記載の酸化チタンを用いることもできる。
【0056】
白色顔料は、単一の無機物からなるものだけでなく、他の素材と複合させた粒子を用いてもよい。例えば、内部に空孔や他の素材を有する粒子、コア粒子に無機粒子を多数付着させた粒子、ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコア及びシェル複合粒子を用いることが好ましい。上記ポリマー粒子からなるコア粒子と無機ナノ微粒子からなるシェル層とからなるコア及びシェル複合粒子としては、例えば、特開2015-047520号公報の段落0012~0042の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0057】
白色顔料は、中空無機粒子を用いることもできる。中空無機粒子とは、内部に空洞を有する構造の無機粒子であり、外殻に包囲された空洞を有する無機粒子のことを言う。中空無機粒子としては、特開2011-075786号公報、国際公開第2013/061621号、特開2015-164881号公報などに記載された中空無機粒子が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0058】
黒色顔料としては特に限定されず、公知のものを用いることができる。例えば、カーボンブラック、チタンブラック、グラファイト等が挙げられ、カーボンブラック、チタンブラックが好ましく、チタンブラックがより好ましい。チタンブラックとは、チタン原子を含有する黒色粒子であり、低次酸化チタンや酸窒化チタンが好ましい。チタンブラックは、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。例えば、酸化珪素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、又は、酸化ジルコニウムでチタンブラックの表面を被覆することが可能である。また、特開2007-302836号公報に表されるような撥水性物質での処理も可能である。黒色顔料として、カラーインデックス(C.I.)Pigment Black 1,7等が挙げられる。チタンブラックは、個々の粒子の一次粒子径及び平均一次粒子径のいずれもが小さいことが好ましい。具体的には、平均一次粒子径が10~45nmであることが好ましい。チタンブラックは、分散物として用いることもできる。例えば、チタンブラック粒子とシリカ粒子とを含み、分散物中のSi原子とTi原子との含有比が0.20~0.50の範囲に調整した分散物などが挙げられる。上記分散物については、特開2012-169556号公報の段落0020~0105の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。チタンブラックの市販品の例としては、チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M-C、13R-N、13M-T(商品名:三菱マテリアル(株)製)、ティラック(Tilack)D(商品名:赤穂化成(株)製)などが挙げられる。
【0059】
また、本開示に用いられる顔料としては、特定のCuKα線によるX線回折パターンを有する顔料が好ましく挙げられる。具体的には、例えば、特許第6561862号公報に記載のフタロシアニン顔料、特許第6413872号公報に記載のジケトピロロピロール顔料、特許第6281345号公報に記載のアゾ顔料(C.I.Pigment Red269)などが挙げられる。
【0060】
本開示に係る着色感光性組成物は、顔料を1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
顔料の含有量は、着色感光性組成物中の全固形分に対し、40質量%以上であり、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、45質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましく、60質量%以上であることが特に好ましい。また、上限は80質量%以下であることが好ましい。
【0061】
<樹脂>
本開示に係る着色感光性組成物は、樹脂を含む。樹脂は、例えば、顔料などの粒子を着色感光性組成物中で分散させる用途及びバインダーの用途で配合される。なお、主に顔料などの粒子を分散させるために用いられる樹脂を分散剤ともいう。ただし、樹脂のこのような用途は一例であって、このような用途以外の目的で使用することもできる。
【0062】
樹脂の重量平均分子量(Mw)は、3,000~2,000,000が好ましい。上限は、1,000,000以下がより好ましく、500,000以下が特に好ましい。下限は、4,000以上がより好ましく、5,000以上が特に好ましい。
【0063】
樹脂としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂などが挙げられる。これらの樹脂から1種を単独で使用してもよく、2種以上を混合して使用してもよい。また、特開2017-206689号公報の段落0041~0060に記載の樹脂、特開2018-010856号公報の段落0022~007に記載の樹脂、特開2017-057265号公報に記載の樹脂、特開2017-032685号公報に記載の樹脂、特開2017-075248号公報に記載の樹脂、特開2017-066240号公報に記載の樹脂を用いることもできる。
【0064】
本開示に係る着色感光性組成物は、樹脂として、酸基を有する樹脂を含むことが好ましい。この態様によれば、着色感光性組成物の現像性を向上させることができ、矩形性に優れた画素を形成しやすく、また、上記アミン化合物と相互作用することにより、分散剤として、好適に機能し、顔料の分散性により優れる。酸基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられ、カルボキシ基が好ましい。酸基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
【0065】
酸基を有する樹脂は、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を含むことが好ましく、酸基を側鎖に有する繰り返し単位を樹脂の全繰り返し単位中5モル%~70モル%含むことがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の上限は、50モル%以下であることが好ましく、30モル%以下であることがより好ましい。酸基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量の下限は、10モル%以上であることが好ましく、20モル%以上であることがより好ましい。
【0066】
酸基を有する樹脂は、下記式(ED1)で表される化合物及び下記式(ED2)で表される化合物(以下、これらの化合物を「エーテルダイマー」と称することもある。)よりなる群から選ばれた少なくとも1種のモノマーを含むモノマー成分に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【0067】
【化12】
【0068】
式(ED1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1~25の炭化水素基を表す。
【0069】
【化13】
【0070】
式(ED2)中、Rは、水素原子又は炭素数1~30の有機基を表す。式(ED2)の詳細については、特開2010-168539号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0071】
エーテルダイマーの具体例としては、例えば、特開2013-029760号公報の段落0317の記載を参酌することができ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0072】
本開示で用いられる樹脂は、下記式(X)で示される化合物に由来する繰り返し単位を含むことも好ましい。
【0073】
【化14】
【0074】
式(X)中、R1は、水素原子又はメチル基を表し、R2は炭素数2~10のアルキレン基を表し、R3は、水素原子又はベンゼン環を含んでもよい炭素数1~20のアルキル基を表す。nは1~15の整数を表す。
【0075】
酸基を有する樹脂については、特開2012-208494号公報の段落0558~0571(対応する米国特許出願公開第2012/0235099号明細書の段落0685~0700)の記載、特開2012-198408号公報の段落0076~0099の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、酸基を有する樹脂は市販品を用いることもできる。
【0076】
酸基を有する樹脂の酸価は、30mgKOH/g~500mgKOH/gが好ましい。下限は、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上が特に好ましい。上限は、400mgKOH/g以下がより好ましく、300mgKOH/g以下が更に好ましく、200mgKOH/g以下が特に好ましい。酸基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000~100,000が好ましい。また、酸基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,000~20,000が好ましい。
【0077】
また、樹脂への酸性官能基の導入方法としては、特に制限はないが、例えば、特許第6349629号公報に記載の方法が挙げられる。
更に、樹脂への酸性官能基の導入方法としては、分散剤(特にエチレン性不飽和基を有する分散剤など)又はアルカリ可溶性樹脂において、エポキシ基の開環反応で生じたヒドロキシ基に酸無水物を反応させて酸基を導入する方法も挙げられる。
【0078】
本開示において、樹脂として塩基性基を有する樹脂を用いることが好ましい。この態様によれば、着色感光性組成物の現像性を向上させることができ、矩形性に優れた画素を形成しやすい。塩基性基としては、アミノ基、窒素原子を有するヘテロアリール基などが挙げられ、アミノ基が好ましく、第三級アミノ基がより好ましい。塩基性基を有する樹脂は、例えば、アルカリ可溶性樹脂として用いることができる。
【0079】
塩基性基としてアミノ基を有する樹脂のアミン価は、30mgKOH/g~200mgKOH/gが好ましい。下限は、40mgKOH/g以上がより好ましく、50mgKOH/g以上が特に好ましい。上限は、250mgKOH/g以下がより好ましく、200mgKOH/g以下が更に好ましく、150mgKOH/g以下が特に好ましい。アミノ基を有する樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5,000~100,000が好ましい。また、アミノ基を有する樹脂の数平均分子量(Mn)は、1,000~20,000が好ましい。
【0080】
本開示に係る着色感光性組成物は、分散剤としての樹脂を含むこともできる。分散剤としては、酸性分散剤(酸性樹脂)、塩基性分散剤(塩基性樹脂)が挙げられる。ここで、酸性分散剤(酸性樹脂)とは、酸基の量が塩基性基の量よりも多い樹脂を表す。酸性分散剤(酸性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、酸基の量が70モル%以上を占める樹脂が好ましく、実質的に酸基のみからなる樹脂がより好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)が有する酸基は、カルボキシ基が好ましい。酸性分散剤(酸性樹脂)の酸価は、40mgKOH/g~105mgKOH/gが好ましく、50mgKOH/g~105mgKOH/gがより好ましく、60mgKOH/g~105mgKOH/gが更に好ましい。また、塩基性分散剤(塩基性樹脂)とは、塩基性基の量が酸基の量よりも多い樹脂を表す。塩基性分散剤(塩基性樹脂)は、酸基の量と塩基性基の量の合計量を100モル%としたときに、塩基性基の量が50モル%を超える樹脂が好ましい。塩基性分散剤が有する塩基性基は、アミノ基であることが好ましい。
【0081】
分散剤として用いる樹脂は、酸基を有する繰り返し単位を含むことが好ましい。分散剤として用いる樹脂が酸基を有する繰り返し単位を含むことにより、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成する際、現像残渣の発生をより抑制できる。
【0082】
分散剤として用いる樹脂は、グラフト樹脂であることも好ましい。グラフト樹脂の詳細は、特開2012-255128号公報の段落0025~0094の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0083】
分散剤として用いる樹脂は、主鎖及び側鎖の少なくとも一方に窒素原子を含むポリイミン系分散剤であることも好ましい。ポリイミン系分散剤としては、pKa14以下の官能基を有する部分構造を有する主鎖と、原子数40~10,000の側鎖とを有し、かつ主鎖及び側鎖の少なくとも一方に塩基性窒素原子を有する樹脂が好ましい。塩基性窒素原子とは、塩基性を呈する窒素原子であれば特に制限はない。ポリイミン系分散剤については、特開2012-255128号公報の段落0102~0166の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0084】
分散剤として用いる樹脂は、コア部に複数個のポリマー鎖が結合した構造の樹脂であることも好ましい。このような樹脂としては、例えばデンドリマー(星型ポリマーを含む)が挙げられる。また、デンドリマーの具体例としては、特開2013-043962号公報の段落0196~0209に記載された高分子化合物C-1~C-31などが挙げられる。
【0085】
また、上述した酸基を有する樹脂(アルカリ可溶性樹脂)を分散剤として用いることもできる。
【0086】
また、分散剤として用いる樹脂は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する繰り返し単位を含む樹脂であることも好ましい。エチレン性不飽和基を側鎖に有する繰り返し単位の含有量は、樹脂の全繰り返し単位中10モル%以上であることが好ましく、10モル%~80モル%であることがより好ましく、20モル%~70モル%であることが更に好ましい。
【0087】
また、分散剤としては、芳香族カルボキシ基を有する樹脂(以下、「樹脂B」)が好ましく挙げられる。
樹脂Bにおいて、芳香族カルボキシ基は繰り返し単位の主鎖に含まれていてもよく、繰り返し単位の側鎖に含まれていてもよい。現像性及び色抜けに優れるという理由から、芳香族カルボキシ基は繰り返し単位の主鎖に含まれていることが好ましい。詳細は不明だが、主鎖近くに芳香族カルボキシ基が存在することで、これらの特性がより向上するものと推測される。なお、本明細書において、芳香族カルボキシル基とは、芳香族環にカルボキシル基が1個以上結合した構造の基のことである。芳香族カルボキシ基において、芳香族環に結合したカルボキシ基の数は、1個~4個であることが好ましく、1個~2個であることがより好ましい。
【0088】
本開示で用いられる樹脂Bは、式(b-1)で表される繰り返し単位及び式(b-10)で表される繰り返し単位から選ばれる少なくとも一種の繰り返し単位を含む樹脂であることが好ましい。
【0089】
【化15】
【0090】
式(b-1)中、Ar1は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L1は、-COO-又は-CONH-を表し、L2は、2価の連結基を表す。
式(b-10)中、Ar10は芳香族カルボキシル基を含む基を表し、L11は、-COO-又は-CONH-を表し、L12は3価の連結基を表し、P10はポリマー鎖を表す。
【0091】
まず、式(b-1)について説明する。式(b-1)においてAr1が表す芳香族カルボキシ基を含む基としては、芳香族トリカルボン酸無水物から由来する構造、芳香族テトラカルボン酸無水物から由来する構造などが挙げられる。芳香族トリカルボン酸無水物及び芳香族テトラカルボン酸無水物としては、下記構造の化合物が挙げられる。
【0092】
【化16】
【0093】
上記式中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、下記式(Q-1)で表される基又は下記式(Q-2)で表される基を表す。
【0094】
【化17】
【0095】
芳香族トリカルボン酸無水物の具体例としては、ベンゼントリカルボン酸無水物(1,2,3-ベンゼントリカルボン酸無水物、トリメリット酸無水物[1,2,4-ベンゼントリカルボン酸無水物]等)、ナフタレントリカルボン酸無水物(1,2,4-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,4,5-ナフタレントリカルボン酸無水物、2,3,6-ナフタレントリカルボン酸無水物、1,2,8-ナフタレントリカルボン酸無水物等)、3,4,4’-ベンゾフェノントリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルエーテルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、2,3,2’-ビフェニルトリカルボン酸無水物、3,4,4’-ビフェニルメタントリカルボン酸無水物、又は3,4,4’-ビフェニルスルホントリカルボン酸無水物が挙げられる。芳香族テトラカルボン酸無水物の具体例としては、ピロメリット酸二無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’-テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4-フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’-ビス(3,4-ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’-パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸二無水物、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m-フェニレン-ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)-4,4’-ジフェニルメタン二無水物、9,9-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)フルオレン二無水物、9,9-ビス[4-(3,4-ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン二無水物、3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-1-ナフタレンコハク酸二無水物、又は3,4-ジカルボキシ-1,2,3,4-テトラヒドロ-6-メチル-1-ナフタレンコハク酸二無水物等が挙げられる。
【0096】
Ar1が表す芳香族カルボキシル基を含む基の具体例としては、式(Ar-1)で表される基、式(Ar-2)で表される基、式(Ar-3)で表される基などが挙げられる。
【0097】
【化18】
【0098】
式(Ar-1)中、n1は1~4の整数を表し、1~2の整数であることが好ましく、2であることがより好ましい。
式(Ar-2)中、n2は1~8の整数を表し、1~4の整数であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、2であることが更に好ましい。
式(Ar-3)中、n3及びn4はそれぞれ独立して0~4の整数を表し、0~2の整数であることが好ましく、1~2であることがより好ましく、1であることが更に好ましい。ただし、n3及びn4の少なくとも一方は1以上の整数である。
式(Ac-3)中、Qは、単結合、-O-、-CO-、-COOCHCHOCO-、-SO-、-C(CF-、上記式(Q-1)で表される基又は上記式(Q-2)で表される基を表す。
【0099】
式(b-1)においてLは、-COO-又は-CONH-を表し、-COO-を表すことが好ましい。
【0100】
式(b-1)においてLが表す2価の連結基としては、アルキレン基、アリーレン基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-及びこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、及び、環状のいずれでもよい。アリーレン基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。アルキレン基及びアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。Lが表す二価の連結基は、-O-L2a-O-で表される基であることが好ましい。L2aは、アルキレン基;アリーレン基;アルキレン基とアリーレン基とを組み合わせた基;アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる少なくとも1種と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-及び-S-よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられる。アルキレン基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。アルキレン基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。アルキレン基及びアリーレン基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。
【0101】
次に、式(b-10)について説明する。式(b-10)においてAr10が表す芳香族カルボキシ基を含む基としては、式(b-1)のArと同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0102】
式(b-10)においてL11は、-COO-又は-CONH-を表し、-COO-を
表すことが好ましい。
【0103】
式(b-10)においてL12が表す3価の連結基としては、炭化水素基、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-、-S-及びこれらの2種以上を組み合わせた基が挙げられる。炭化水素基は、脂肪族炭化水素基、芳香族炭化水素基が挙げられる。脂肪族炭化水素基の炭素数は、1~30が好ましく、1~20がより好ましく、1~15が更に好ましい。脂肪族炭化水素基は、直鎖、分岐、環状のいずれでもよい。芳香族炭化水素基の炭素数は、6~30が好ましく、6~20がより好ましく、6~10が更に好ましい。炭化水素基は置換基を有していてもよい。置換基としては、ヒドロキシ基などが挙げられる。L12が表す三価の連結基は、下記式(L12-1)で表される基であることが好ましく、式(L12-2)で表される基であることがより好ましい。
【0104】
【化19】
【0105】
12a及びL12bはそれぞれ独立に、三価の連結基を表し、XはSを表し、*1は式(b-10)のL11との結合位置を表し、*2は式(b-10)のP10との結合位置を表す。
【0106】
12a及びL12bが表す三価の連結基としては、炭化水素基;炭化水素基と、-O-、-CO-、-COO-、-OCO-、-NH-及び-S-よりなる群から選ばれる少なくとも1種とを組み合わせた基などが挙げられる。
【0107】
式(b-10)においてP10はポリマー鎖を表す。P10が表すポリマー鎖は、ポリ(メタ)アクリル繰り返し単位、ポリエーテル繰り返し単位、ポリエステル繰り返し単位及びポリオール繰り返し単位から選ばれる少なくとも1種の繰り返し単位を有することが好ましい。ポリマー鎖P10の重量平均分子量は500~20,000が好ましい。下限は500以上がより好ましく、1,000以上が特に好ましい。上限は10,000以下がより好ましく、5,000以下が更に好ましく、3,000以下が特に好ましい。P10の重量平均分子量が上記範囲であれば組成物中における顔料の分散性が良好である。樹脂Bが式(b-10)で表される繰り返し単位を有する樹脂である場合は、樹脂Bは分散剤として好ましく用いられる。
【0108】
式(b-10)において、P10が表すポリマー鎖は、下記式(P-1)~式(P-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることが好ましく、式(P-5)で表される繰り返し単位を含むポリマー鎖であることがより好ましい。
【0109】
【化20】
【0110】
上記式において、RP1及びRP2は、それぞれアルキレン基を表す。RP1及びRP2で表されるアルキレン基としては、炭素数1~20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が好ましく、炭素数2~16の直鎖状又は分岐状のアルキレン基がより好ましく、炭素数3~12の直鎖状又は分岐状のアルキレン基が更に好ましい。
上記式において、RP3は、水素原子又はメチル基を表す。
上記式において、LP1は、単結合又はアリーレン基を表し、LP2は、単結合又は二価の連結基を表す。LP1は、単結合であることが好ましい。LP2が表す2価の連結基としては、アルキレン基(好ましくは炭素数1~12のアルキレン基)、アリーレン基(好ましくは炭素数6~20のアリーレン基)、-NH-、-SO-、-SO-、-CO-、-O-、-COO-、-OCO-、-S-、-NHCO-、-CONH-、及びこれらの2以上を組み合わせてなる基が挙げられる。
P4は、水素原子又は置換基を表す。置換基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、ヘテロアリールオキシ基、アルキルチオエーテル基、アリールチオエーテル基、ヘテロアリールチオエーテル基、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基、ブロックイソシアネート基等が挙げられる。なお、本開示におけるブロックイソシアネート基とは、熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であり、例えば、ブロック剤とイソシアネート基とを反応させイソシアネート基を保護した基が好ましく例示できる。ブロック剤としては、オキシム化合物、ラクタム化合物、フェノール化合物、アルコール化合物、アミン化合物、活性メチレン化合物、ピラゾール化合物、メルカプタン化合物、イミダゾール系化合物、イミド系化合物等を挙げることができる。ブロック剤については、特開2017-067930号公報の段落0115~0117に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。また、ブロックイソシアネート基は、90℃~260℃の熱によりイソシアネート基を生成することが可能な基であることが好ましい。
【0111】
10が表すポリマー鎖は、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基、ブロックイソシアネート基及びt-ブチル基よりなる群から選ばれる少なくとも1種の基(以下、「官能基A」ともいう。)を有することが好ましい。官能基Aは(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基及びブロックイソシアネート基よりなる群から選ばれる少なくとも1種であることがより好ましい。ポリマー鎖が官能基Aを含む場合は、耐溶剤性に優れた膜を形成しやすい。特に、(メタ)アクリロイル基、オキセタニル基及びブロックイソシアネート基から選ばれる少なくとも1種の基を含む場合は上記の効果が顕著である。また、官能基Aがt-ブチル基を有する場合には、組成物中にエポキシ基又はオキセタニル基をもつ化合物を含むことが好ましい。官能基Aがブロックイソシアネート基を有する場合には、組成物中にヒドロキシ基をもつ化合物を含むことが好ましい。
【0112】
また、P10が表すポリマー鎖は、側鎖に上記官能基Aを含む繰り返し単位を有するポリマー鎖であることがより好ましい。また、P10を構成する全繰り返し単位中における、上記官能基Aを側鎖に含む繰り返し単位の割合は、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることが更に好ましい。上限は、100質量%とすることができ、90質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましい。
【0113】
また、P10が表すポリマー鎖は、酸基を含む繰り返し単位を有することも好ましい。酸基としては、カルボキシ基、リン酸基、スルホ基、フェノール性ヒドロキシ基などが挙げられる。この態様によれば、組成物中における顔料の分散性をより向上できる。更には、現像性をより向上させることもできる。酸基を含む繰り返し単位の割合は、1質量%~30質量%であることが好ましく、2質量%~20質量%であることがより好ましく、3質量%~10質量%であることが更に好ましい。
【0114】
樹脂Bは、芳香族テトラカルボン酸無水物及び芳香族トリカルボン酸無水物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の酸無水物と、ヒドロキシ基含有化合物とを反応させることで製造することができる。芳香族テトラカルボン酸無水物及び芳香族トリカルボン酸無水物としては、上述したものが挙げられる。ヒドロキシ基含有化合物としては、分子内にヒドロキシ基を有してさえいれば、特に制限されないが、分子内に2つ以上のヒドロキシ基を有するポリオールであることが好ましい。また、ヒドロキシ基含有化合物として、分子内に2つのヒドロキシ基と1つのチオール基を有する化合物を用いることも好ましい。分子内に2つのヒドロキシ基と1つのチオール基を有する化合物としては、例えば、1-メルカプト-1,1-メタンジオール、1-メルカプト-1,1-エタンジオール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール(チオグリセリン)、2-メルカプト-1,2-プロパンジオール、2-メルカプト-2-メチル-1,3-プロパンジオール、2-メルカプト-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1-メルカプト-2,2-プロパンジオール、2-メルカプトエチル-2-メチル-1,3-プロパンジオール、又は2-メルカプトエチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール等が挙げられる。その他のヒドロキシ基含有化合物については、特開2018-101039号公報の段落0084~0095に記載された化合物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0115】
上記酸無水物中の酸無水物基と、ヒドロキシ基含有化合物中のヒドロキシ基とのモル比(酸無水物基/ヒドロキシ基)は、0.5~1.5であることが好ましい。
【0116】
また、上述した式(b-10)で表される繰り返し単位を含む樹脂は、以下の合成方法(1)~(2)に示す方法などで合成することができる。
【0117】
〔合成方法(1)〕
エチレン性不飽和基を有する重合性モノマーをヒドロキシ基含有チオール化合物(好ましくは分子内に2つのヒドロキシ基と1つのチオール基を有する化合物)の存在下にて、ラジカル重合して片末端領域に2つのヒドロキシ基を有するビニル重合体を合成し、この合成したビニル重合体と、芳香族テトラカルボン酸無水物及び芳香族トリカルボン酸無水物よりなる群から選ばれる一種以上の芳香族酸無水物とを反応させて製造する方法。
【0118】
〔合成方法(2)〕
ヒドロキシ基含有化合物(好ましくは分子内に2つのヒドロキシ基と1つのチオール基を有する化合物)と、芳香族テトラカルボン酸無水物及び芳香族トリカルボン酸無水物よりなる群から選ばれる一種以上の芳香族酸無水物と、を反応させたのち、得られた反応物の存在下で、エチレン性不飽和基を有する重合性モノマーをラジカル重合して製造する方法。合成方法(2)においては、ヒドロキシ基を有する重合性モノマーをラジカル重合した後、更にイソシアネート基を有する化合物(例えば、イソシアネート基と上述した官能基Aとを有する化合物)とを反応させてもよい。これによって、ポリマー鎖P10に官能基Aを導入することができる。
【0119】
また、樹脂Bは、特開2018-101039号公報の段落0120~0138に記載された方法に従い合成することもできる。
【0120】
樹脂Bの重量平均分子量は、2,000~35,000であることが好ましい。上限は25,000以下であることがより好ましく、20,000以下であることが更に好ましく、15,000以下であることが特に好ましい。下限は、4,000以上であることがより好ましく、6,000以上であることが更に好ましく、7,000以上であることが特に好ましい。樹脂Bの重量平均分子量が上記範囲であれば、本開示における効果がより顕著に得られる。また、着色感光性組成物の保存安定性も向上させることができる。
【0121】
分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製のDISPERBYKシリーズ(例えば、DISPERBYK-111、161など)、日本ルーブリゾール(株)製のソルスパースシリーズ(例えば、ソルスパース76500など)などが挙げられる。また、特開2014-130338号公報の段落0041~0130に記載された顔料分散剤を用いることもでき、この内容は本明細書に組み込まれる。なお、上記分散剤として説明した樹脂は、分散剤以外の用途で使用することもできる。例えば、バインダーとして用いることもできる。
【0122】
本開示に係る着色感光性組成物において、樹脂は1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。2種以上併用する場合はそれらの合計量が下記範囲であることが好ましい。
樹脂の含有量は、現像残渣抑制性、分散液安定性、及び、密着性の観点から、着色感光性組成物の全固形分中に対し、5質量%~40質量%であることが好ましく、10質量%~30質量%であることがより好ましく、10質量%~25質量%であることが特に好ましい。
【0123】
<顔料誘導体>
本開示に係る着色感光性組成物は、顔料誘導体を含有することができる。
顔料誘導体としては、発色団の一部分を、酸基又は塩基性基で置換した構造を有する化合物が挙げられる。顔料誘導体を構成する発色団としては、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、フタロシアニン骨格、アンスラキノン骨格、キナクリドン骨格、ジオキサジン骨格、ペリノン骨格、ペリレン骨格、チオインジゴ骨格、イソインドリン骨格、イソインドリノン骨格、キノフタロン骨格、スレン骨格、金属錯体系骨格等が挙げられ、キノリン骨格、ベンゾイミダゾロン骨格、ジケトピロロピロール骨格、アゾ骨格、キノフタロン骨格、イソインドリン骨格及びフタロシアニン骨格が好ましく、アゾ骨格及びベンゾイミダゾロン骨格がより好ましい。酸基としては、スルホ基、カルボキシ基、リン酸基及びこれらの塩が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団としては、アルカリ金属イオン(Li+、Na+、K+など)、アルカリ土類金属イオン(Ca2+、Mg2+など)、アンモニウムイオン、イミダゾリウムイオン、ピリジニウムイオン、ホスホニウムイオンなどが挙げられる。塩基性基としては、アミノ基、ピリジニル基及びその塩、アンモニウム基の塩、並びにフタルイミドメチル基が挙げられる。塩を構成する原子又は原子団としては、水酸化物イオン、ハロゲンイオン、カルボン酸イオン、スルホン酸イオン、フェノキシドイオンなどが挙げられる。
【0124】
顔料誘導体としては、可視透明性に優れた顔料誘導体(以下、透明顔料誘導体ともいう)を用いることもできる。透明顔料誘導体の400nm~700nmの波長領域におけるモル吸光係数の最大値(εmax)は3,000L・mol-1・cm-1以下であることが好ましく、1,000L・mol-1・cm-1以下であることがより好ましく、100L・mol-1・cm-1以下であることが更に好ましい。εmaxの下限は、例えば1L・mol-1・cm-1以上であり、10L・mol-1・cm-1以上でもよい。
【0125】
顔料誘導体の具体例としては、特開昭56-118462号公報、特開昭63-264674号公報、特開平01-217077号公報、特開平03-009961号公報、特開平03-026767号公報、特開平03-153780号公報、特開平03-045662号公報、特開平04-285669号公報、特開平06-145546号公報、特開平06-212088号公報、特開平06-240158号公報、特開平10-030063号公報、特開平10-195326号公報、国際公開第2011/024896号の段落0086~0098、国際公開第2012/102399号の段落0063~0094、国際公開第2017/038252号の段落0082、特開2015-151530号公報の段落0171、特開2011-252065号公報の段落0162~0183、特開2003-081972号公報、特許第5299151号公報、特開2015-172732号公報、特開2014-199308号公報、特開2014-085562号公報、特開2014-035351号公報、特開2008-081565号公報、特開2019-109512号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0126】
本開示に係る着色感光性組成物は、顔料誘導体を1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいてもよい。
顔料誘導体の含有量は、顔料100質量部に対して、1質量部~30質量部が好ましく、3質量部~20質量部がより好ましい。顔料誘導体は、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0127】
<光重合開始剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、光重合開始剤を含む。特に、本開示に係る着色感光性組成物が重合性化合物を含む場合は、本開示に係る着色感光性組成物は更に光重合開始剤を含むことが好ましい。光重合開始剤としては、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視光領域の光線に対して感光性を有する化合物が好ましい。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤であることが好ましい。
【0128】
光重合開始剤としては、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有する化合物、オキサジアゾール骨格を有する化合物など)、アシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物などが挙げられる。光重合開始剤は、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、ホスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリールイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物、シクロペンタジエン-ベンゼン-鉄錯体、ハロメチルオキサジアゾール化合物及び3-アリール置換クマリン化合物よりなる群から選ばれる化合物であることが好ましく、オキシム化合物、α-ヒドロキシケトン化合物、α-アミノケトン化合物、及び、アシルホスフィン化合物よりなる群から選ばれる化合物であることがより好ましく、オキシム化合物、すなわち、オキシム系光重合開始剤であることが更に好ましい。また、光重合開始剤としては、特開2014-130173号公報の段落0065~0111、特許第6301489号公報に記載された化合物、MATERIAL STAGE 37~60p,vol.19,No.3,2019に記載されたパーオキサイド系光重合開始剤、国際公開第2018/221177号に記載の光重合開始剤、国際公開第2018/110179号に記載の光重合開始剤、特開2019-043864号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-044030号公報に記載の光重合開始剤、特開2019-167313号公報に記載の有機過酸化物が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0129】
α-ヒドロキシケトン化合物の市販品としては、Omnirad 184、Omnirad 1173、Omnirad 2959、Omnirad 127(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 184、Irgacure 1173、Irgacure 2959、Irgacure 127(以上、BASF社製)などが挙げられる。α-アミノケトン化合物の市販品としては、Omnirad 907、Omnirad 369、Omnirad 369E、Omnirad 379EG(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 907、Irgacure 369、Irgacure 369E、Irgacure 379EG(以上、BASF社製)などが挙げられる。アシルホスフィン化合物の市販品としては、Omnirad 819、Omnirad TPO(以上、IGM Resins B.V.社製)、Irgacure 819、Irgacure TPO(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0130】
オキシム化合物としては、特開2001-233842号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.1653-1660)に記載の化合物、J.C.S.Perkin II(1979年、pp.156-162)に記載の化合物、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年、pp.202-232)に記載の化合物、特開2000-066385号公報に記載の化合物、特開2000-080068号公報に記載の化合物、特表2004-534797号公報に記載の化合物、特開2006-342166号公報に記載の化合物、特開2017-019766号公報に記載の化合物、特許第6065596号公報に記載の化合物、国際公開第2015/152153号に記載の化合物、国際公開第2017/051680号に記載の化合物、特開2017-198865号公報に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落0025~0038に記載の化合物、国際公開第2013/167515号に記載の化合物などが挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、3-ベンゾイルオキシイミノブタン-2-オン、3-アセトキシイミノブタン-2-オン、3-プロピオニルオキシイミノブタン-2-オン、2-アセトキシイミノペンタン-3-オン、2-アセトキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、2-ベンゾイルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オン、3-(4-トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン-2-オン、及び2-エトキシカルボニルオキシイミノ-1-フェニルプロパン-1-オンなどが挙げられる。市販品としては、Irgacure OXE01、Irgacure OXE02、Irgacure OXE03、Irgacure OXE04(以上、BASF社製)、TR-PBG-304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカオプトマーN-1919((株)ADEKA製、特開2012-014052号公報に記載の光重合開始剤2)が挙げられる。また、オキシム化合物としては、着色性が無い化合物や、透明性が高く変色し難い化合物を用いることも好ましい。市販品としては、アデカアークルズNCI-730、NCI-831、NCI-930(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0131】
光重合開始剤としては、フルオレン環を有するオキシム化合物を用いることもできる。フルオレン環を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2014-137466号公報に記載の化合物が挙げられる。
【0132】
光重合開始剤としては、カルバゾール環の少なくとも1つのベンゼン環がナフタレン環となった骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。そのようなオキシム化合物の具体例としては、国際公開第2013/083505号に記載の化合物が挙げられる。
【0133】
光重合開始剤としては、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることもできる。フッ素原子を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2010-262028号公報に記載の化合物、特表2014-500852号公報に記載の化合物24、36~40、特開2013-164471号公報に記載の化合物(C-3)などが挙げられる。
【0134】
光重合開始剤としては、ニトロ基を有するオキシム化合物を用いることができる。ニトロ基を有するオキシム化合物は、二量体とすることも好ましい。ニトロ基を有するオキシム化合物の具体例としては、特開2013-114249号公報の段落0031~0047、特開2014-137466号公報の段落0008~0012、0070~0079に記載されている化合物、特許第4223071号公報の段落0007~0025に記載されている化合物、アデカアークルズNCI-831((株)ADEKA製)が挙げられる。
【0135】
光重合開始剤としては、ベンゾフラン骨格を有するオキシム化合物を用いることもできる。具体例としては、国際公開第2015/036910号に記載されているOE-01~OE-75が挙げられる。
【0136】
光重合開始剤としては、カルバゾール骨格にヒドロキシ基を有する置換基が結合したオキシム化合物を用いることもできる。このような光重合開始剤としては国際公開第2019/088055号に記載された化合物などが挙げられる。
【0137】
本開示において好ましく使用されるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本開示はこれらに限定されるものではない。
【0138】
【化21】
【0139】
【化22】
【0140】
オキシム化合物は、波長350nm~500nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物が好ましく、波長360nm~480nmの範囲に極大吸収波長を有する化合物がより好ましい。また、オキシム化合物の波長365nm又は波長405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、高いことが好ましく、1,000~300,000であることがより好ましく、2,000~300,000であることが更に好ましく、5,000~200,000であることが特に好ましい。化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いて測定することができる。例えば、分光光度計(Varian社製Cary-5 spectrophotometer)にて、酢酸エチルを用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0141】
光重合開始剤としては、2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤を用いてもよい。そのような光ラジカル重合開始剤を用いることにより、光ラジカル重合開始剤の1分子から2つ以上のラジカルが発生するため、良好な感度が得られる。また、非対称構造の化合物を用いた場合においては、結晶性が低下して溶剤などへの溶解性が向上して、経時で析出しにくくなり、着色感光性組成物の経時安定性を向上させることができる。2官能あるいは3官能以上の光ラジカル重合開始剤の具体例としては、特表2010-527339号公報、特表2011-524436号公報、国際公開第2015/004565号、特表2016-532675号公報の段落0407~0412、国際公開第2017/033680号の段落0039~0055に記載されているオキシム化合物の2量体、特表2013-522445号公報に記載されている化合物(E)及び化合物(G)、国際公開第2016/034963号に記載されているCmpd1~7、特表2017-523465号公報の段落0007に記載されているオキシムエステル類光開始剤、特開2017-167399号公報の段落0020~0033に記載されている光開始剤、特開2017-151342号公報の段落0017~0026に記載されている光重合開始剤(A)、特許第6469669号公報に記載されているオキシムエステル光開始剤などが挙げられる。
【0142】
本開示に係る着色感光性組成物が光重合開始剤を含有する場合、着色感光性組成物の全固形分中の光重合開始剤の含有量は、0.1質量%~30質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特に好ましい。上限は、20質量%以下がより好ましく、15質量%以下が特に好ましい。本開示に係る着色感光性組成物において、光重合開始剤は1種のみを用いもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0143】
<重合性化合物>
本開示に係る着色感光性組成物は、重合性化合物を含むことが好ましい。重合性化合物としては、ラジカル、酸又は熱により架橋可能な公知の化合物を用いることができる。本開示において、重合性化合物は、例えば、エチレン性不飽和基を有する化合物であることが好ましい。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基などが挙げられる。本開示で用いられる重合性化合物は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。
【0144】
重合性化合物としては、モノマー、プレポリマー、オリゴマーなどの化学的形態のいずれであってもよいが、モノマーが好ましい。重合性化合物の分子量は、100~3,000が好ましい。上限は、2,000以下がより好ましく、1,500以下が更に好ましい。下限は、150以上がより好ましく、250以上が更に好ましい。
【0145】
重合性化合物は、エチレン性不飽和基を3個以上含む化合物であることが好ましく、エチレン性不飽和基を3個~15個含む化合物であることがより好ましく、エチレン性不飽和基を3個~6個含む化合物であることが更に好ましい。また、重合性化合物は、3官能~15官能の(メタ)アクリレート化合物であることが好ましく、3官能~6官能の(メタ)アクリレート化合物であることがより好ましい。重合性化合物の具体例としては、特開2009-288705号公報の段落0095~0108、特開2013-029760号公報の段落0227、特開2008-292970号公報の段落0254~0257、特開2013-253224号公報の段落0034~0038、特開2012-208494号公報の段落0477、特開2017-048367号公報、特許第6057891号公報、特許第6031807号公報に記載されている化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0146】
重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬(株)製)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬(株)製、NKエステルA-DPH-12E;新中村化学工業(株)製)、及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール及び/又はプロピレングリコール残基を介して結合している構造の化合物(例えば、サートマー社から市販されている、SR454、SR499)が好ましい。また、重合性化合物としては、ジグリセリンEO(エチレンオキシド)変性(メタ)アクリレート(市販品としてはM-460;東亞合成(株)製)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(新中村化学工業(株)製、NKエステルA-TMMT)、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製、KAYARAD HDDA)、RP-1040(日本化薬(株)製)、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)、NKオリゴUA-7200(新中村化学工業(株)製)、8UH-1006、8UH-1012(大成ファインケミカル(株)製)、ライトアクリレートPOB-A0(共栄社化学(株)製)などを用いることもできる。
【0147】
重合性化合物としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸エチレンオキシ変性トリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートなどの3官能の(メタ)アクリレート化合物を用いることも好ましい。3官能の(メタ)アクリレート化合物の市販品としては、アロニックスM-309、M-310、M-321、M-350、M-360、M-313、M-315、M-306、M-305、M-303、M-452、M-450(東亞合成(株)製)、NKエステル A9300、A-GLY-9E、A-GLY-20E、A-TMM-3、A-TMM-3L、A-TMM-3LM-N、A-TMPT、TMPT(新中村化学工業(株)製)、KAYARAD GPO-303、TMPTA、THE-330、TPA-330、PET-30(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0148】
重合性化合物としては、酸基を有する重合性化合物を用いることもできる。酸基を有する重合性化合物を用いることで、現像時に未露光部の着色感光性組成物が除去されやすく、現像残渣の発生を抑制できる。酸基としては、カルボキシ基、スルホ基、リン酸基等が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。酸基を有する重合性化合物の市販品としては、アロニックスM-510、M-520、アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)等が挙げられる。酸基を有する重合性化合物の好ましい酸価としては、0.1mgKOH/g~40mgKOH/gであり、より好ましくは5mgKOH/g~30mgKOH/gである。重合性化合物の酸価が0.1mgKOH/g以上であれば、現像液に対する溶解性が良好であり、40mgKOH/g以下であれば、製造や取扱い上、有利である。
【0149】
重合性化合物としては、カプロラクトン構造を有する重合性化合物を用いることもできる。カプロラクトン構造を有する重合性化合物は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA-20、DPCA-30、DPCA-60、DPCA-120等が挙げられる。
【0150】
重合性化合物としては、アルキレンオキシ基を有する重合性化合物を用いることもできる。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物は、エチレンオキシ基及び/又はプロピレンオキシ基を有する重合性化合物が好ましく、エチレンオキシ基を有する重合性化合物がより好ましく、エチレンオキシ基を4~20個有する3~6官能(メタ)アクリレート化合物が更に好ましい。アルキレンオキシ基を有する重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ基を4個有する4官能(メタ)アクリレートであるSR-494、イソブチレンオキシ基を3個有する3官能(メタ)アクリレートであるKAYARAD TPA-330などが挙げられる。
【0151】
重合性化合物としては、フルオレン骨格を有する重合性化合物を用いることもできる。フルオレン骨格を有する重合性化合物の市販品としては、オグソールEA-0200、EA-0300(大阪ガスケミカル(株)製、フルオレン骨格を有する(メタ)アクリレートモノマー)などが挙げられる。
【0152】
重合性化合物としては、トルエンなどの環境規制物質を実質的に含まない化合物を用いることも好ましい。このような化合物の市販品としては、KAYARAD DPHA LT、KAYARAD DPEA-12 LT(日本化薬(株)製)などが挙げられる。
【0153】
重合性化合物としては、特公昭48-041708号公報、特開昭51-037193号公報、特公平02-032293号公報、特公平02-016765号公報に記載されたウレタンアクリレート類、特公昭58-049860号公報、特公昭56-017654号公報、特公昭62-039417号公報、特公昭62-039418号公報に記載されたエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物、特開昭63-277653号公報、特開昭63-260909号公報、特開平01-105238号公報に記載された分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する重合性化合物を用いることも好ましい。また、重合性化合物としては、UA-7200(新中村化学工業(株)製)、DPHA-40H(日本化薬(株)製)、UA-306H、UA-306T、UA-306I、AH-600、T-600、AI-600、LINC-202UA(共栄社化学(株)製)などの市販品を用いることもできる。
【0154】
本開示に係る着色感光性組成物が重合性化合物を含有する場合、着色感光性組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量は、0.1質量%~50質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が更に好ましい。上限は、45質量%以下がより好ましく、40質量%以下が更に好ましい。
【0155】
また、着色感光性組成物の全固形分中における重合性化合物と樹脂との合計の含有量は、硬化性、現像性及び被膜形成性の観点から10質量%~65質量%が好ましい。下限は、15質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が特に好ましい。上限は、60質量%以下がより好ましく、50質量%以下が更に好ましく、40質量%以下が特に好ましい。また、重合性化合物の100質量部に対して、樹脂を30質量部~300質量部含有することが好ましい。下限は50質量部以上がより好ましく、80質量部以上が特に好ましい。上限は250質量部以下がより好ましく、200質量部以下が特に好ましい。
【0156】
本開示に係る着色感光性組成物において、重合性化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0157】
<環状エーテル基を有する化合物>
本開示に係る着色感光性組成物は、環状エーテル基を有する化合物を含有することができる。環状エーテル基としては、エポキシ基、オキセタニル基などが挙げられる。環状エーテル基を有する化合物は、エポキシ基を有する化合物であることが好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、1分子内にエポキシ基を1つ以上有する化合物が挙げられ、エポキシ基を2つ以上有する化合物が好ましい。エポキシ基は、1分子内に1~100個有することが好ましい。エポキシ基の上限は、例えば、10個以下とすることもでき、5個以下とすることもできる。エポキシ基の下限は、2個以上が好ましい。エポキシ基を有する化合物としては、特開2013-011869号公報の段落0034~0036、特開2014-043556号公報の段落0147~0156、特開2014-089408号公報の段落0085~0092に記載された化合物、特開2017-179172号公報に記載された化合物を用いることもできる。これらの内容は、本明細書に組み込まれる。
【0158】
エポキシ基を有する化合物は、低分子化合物(例えば、分子量2,000未満、更には、分子量1,000未満)でもよいし、高分子化合物(macromolecule)(例えば、分子量1,000以上、ポリマーの場合は、重量平均分子量が1,000以上)のいずれでもよい。エポキシ基を有する化合物の重量平均分子量は、200~100,000が好ましく、500~50,000がより好ましい。重量平均分子量の上限は、10,000以下が更に好ましく、5,000以下が特に好ましく、3,000以下が最も好ましい。
【0159】
エポキシ基を有する化合物としては、エポキシ樹脂を好ましく用いることができる。エポキシ樹脂としては、例えばフェノール化合物のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、各種ノボラック樹脂のグリシジルエーテル化物であるエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、脂肪族系エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、グリシジルエステル系エポキシ樹脂、グリシジルアミン系エポキシ樹脂、ハロゲン化フェノール類をグリシジル化したエポキシ樹脂、エポキシ基をもつケイ素化合物とそれ以外のケイ素化合物との縮合物、エポキシ基を持つ重合性不飽和化合物とそれ以外の他の重合性不飽和化合物との共重合体等が挙げられる。エポキシ樹脂のエポキシ当量は、310g/eq~3,300g/eqであることが好ましく、310g/eq~1,700g/eqであることがより好ましく、310g/eq~1,000g/eqであることが更に好ましい。
【0160】
環状エーテル基を有する化合物の市販品としては、例えば、EHPE3150((株)ダイセル製)、EPICLON N-695(DIC(株)製)、マープルーフG-0150M、G-0105SA、G-0130SP、G-0250SP、G-1005S、G-1005SA、G-1010S、G-2050M、G-01100、G-01758(以上、日油(株)製、エポキシ基含有ポリマー)等が挙げられる。
【0161】
本開示に係る着色感光性組成物が環状エーテル基を有する化合物を含有する場合、着色感光性組成物の全固形分中における環状エーテル基を有する化合物の含有量は、0.1質量%~20質量%であることが好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特に好ましい。上限は、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が特に好ましい。本開示に係る着色感光性組成物において、環状エーテル基を有する化合物は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0162】
<シランカップリング剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、シランカップリング剤を含有することができる。この態様によれば、得られる膜の支持体との密着性をより向上させることができる。本開示において、シランカップリング剤は、加水分解性基とそれ以外の官能基とを有するシラン化合物を意味する。また、加水分解性基とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び縮合反応の少なくともいずれかによってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基などが挙げられ、アルコキシ基が好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましい。また、加水分解性基以外の官能基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アリル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、エポキシ基、オキセタニル基、アミノ基、ウレイド基、スルフィド基、イソシアネート基、フェニル基などが挙げられ、アミノ基、(メタ)アクリロイル基及びエポキシ基が好ましい。シランカップリング剤の具体例としては、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-602)、N-β-アミノエチル-γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-603)、N-β-ミノエチル-γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-602)、γ-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-903)、γ-アミノプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBE-903)、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-502)、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業(株)製、商品名 KBM-503)等がある。また、シランカップリング剤の具体例については、特開2009-288703号公報の段落0018~0036に記載の化合物、特開2009-242604号公報の段落0056~0066に記載の化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0163】
本開示に係る着色感光性組成物がシランカップリング剤を含有する場合、着色感光性組成物の全固形分中におけるシランカップリング剤の含有量は、0.1質量%~5質量%が好ましい。上限は、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が特に好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上が特に好ましい。本開示に係る着色感光性組成物において、シランカップリング剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0164】
<有機溶剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、有機溶剤を含有することが好ましい。有機溶剤としては、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、アルコール系溶剤、アミド系溶剤、エーテル系溶剤、炭化水素系溶剤などが挙げられる。これらの詳細については、国際公開第2015/166779号の段落0223を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。また、環状アルキル基が置換したエステル系溶剤、環状アルキル基が置換したケトン系溶剤も好ましく用いることもできる。有機溶剤の具体例としては、ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジクロロメタン、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、酢酸シクロヘキシル、シクロペンタノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、3-メトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミド、3-ブトキシ-N,N-ジメチルプロパンアミドなどが挙げられる。ただし有機溶剤としての芳香族炭化水素類(ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等)は、環境面等の理由により低減したほうがよい場合がある(例えば、有機溶剤全量に対して、50質量ppm(parts per million)以下とすることもでき、10質量ppm以下とすることもでき、1質量ppm以下とすることもできる)。
【0165】
本開示においては、金属含有量の少ない有機溶剤を用いることが好ましく、有機溶剤の金属含有量は、例えば10質量ppb(parts per billion)以下であることが好ましい。必要に応じて質量ppt(parts per trillion)レベルの有機溶剤を用いてもよく、そのような有機溶剤は例えば東洋合成社が提供している(化学工業日報、2015年11月13日)。
【0166】
有機溶剤から金属等の不純物を除去する方法としては、例えば、蒸留(分子蒸留や薄膜蒸留等)やフィルタを用いたろ過を挙げることができる。ろ過に用いるフィルタのフィルタ孔径としては、10μm以下が好ましく、5μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。フィルタの材質は、ポリテトラフロロエチレン、ポリエチレン又はナイロンが好ましい。
【0167】
有機溶剤は、異性体(原子数が同じであるが構造が異なる化合物)が含まれていてもよい。また、異性体は、1種のみが含まれていてもよいし、複数種含まれていてもよい。
【0168】
本開示において、有機溶剤中の過酸化物の含有率が0.8mmol/L以下であることが好ましく、過酸化物を実質的に含まないことがより好ましい。
【0169】
着色感光性組成物中における有機溶剤の含有量は、10質量%~95質量%であることが好ましく、20質量%~90質量%であることがより好ましく、30質量%~90質量%であることが更に好ましい。
【0170】
また、本開示に係る着色感光性組成物は、環境規制の観点から環境規制物質を実質的に含有しないことが好ましい。なお、本開示において、環境規制物質を実質的に含有しないとは、着色感光性組成物中における環境規制物質の含有量が50質量ppm以下であることを意味し、30質量ppm以下であることが好ましく、10質量ppm以下であることがより好ましく、1質量ppm以下であることが特に好ましい。環境規制物質は、例えばベンゼン;トルエン、キシレン等のアルキルベンゼン類;クロロベンゼン等のハロゲン化ベンゼン類等が挙げられる。これらは、REACH(Registration Evaluation Authorization and Restriction of CHemicals)規則、PRTR(Pollutant Release and Transfer Register)法、VOC(Volatile Organic Compounds)規制等のもとに環境規制物質として登録されており、使用量や取り扱い方法が厳しく規制されている。これらの化合物は、本開示に係る着色感光性組成物に用いられる各成分などを製造する際に溶媒として用いられることがあり、残留溶媒として着色感光性組成物中に混入することがある。人への安全性、環境への配慮の観点よりこれらの物質は可能な限り低減することが好ましい。環境規制物質を低減する方法としては、系中を加熱や減圧して環境規制物質の沸点以上にして系中から環境規制物質を留去して低減する方法が挙げられる。また、少量の環境規制物質を留去する場合においては、効率を上げる為に該当溶媒と同等の沸点を有する溶媒と共沸させることも有用である。また、ラジカル重合性を有する化合物を含有する場合、減圧留去中にラジカル重合反応が進行して分子間で架橋してしまうことを抑制するために重合禁止剤等を添加して減圧留去してもよい。これらの留去方法は、原料の段階、原料を反応させた生成物(例えば重合した後の樹脂溶液や多官能モノマー溶液)の段階、又はこれらの化合物を混ぜて作製した着色感光性組成物の段階などのいずれの段階でも可能である。
【0171】
環境規制の観点から、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用が規制されることがある。本開示に係る感光性組成物において、上記した化合物の含有率を小さくする場合、パーフルオロアルキルスルホン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルスルホン酸)及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸(特にパーフルオロアルキル基の炭素数が6~8のパーフルオロアルキルカルボン酸)及びその塩の含有率は、感光性組成物の全固形分に対して、0.01ppb~1,000ppbの範囲であることが好ましく、0.05ppb~500ppbの範囲であることがより好ましく、0.1ppb~300ppbの範囲であることが更に好ましい。本開示に係る感光性組成物は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まなくてもよい。例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩の代替となりうる化合物、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の代替となりうる化合物を用いることで、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を実質的に含まない感光性組成物を選択してもよい。規制化合物の代替となりうる化合物としては、例えば、パーフルオロアルキル基の炭素数の違いによって規制対象から除外された化合物が挙げられる。ただし、上記した内容は、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩の使用を妨げるものではない。本開示に係る感光性組成物は、許容される最大の範囲内で、パーフルオロアルキルスルホン酸及びその塩、並びにパーフルオロアルキルカルボン酸及びその塩を含んでもよい。
【0172】
<重合禁止剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、重合禁止剤を含有することができる。重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p-メトキシフェノール、ジ-tert-ブチル-p-クレゾール、ピロガロール、tert-ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-t-ブチルフェノール)、N-ニトロソフェニルヒドロキシアミン塩(アンモニウム塩、第一セリウム塩等)が挙げられる。中でも、p-メトキシフェノールが好ましい。着色感光性組成物の全固形分中における重合禁止剤の含有量は、0.0001質量%~5質量%が好ましい。
【0173】
<界面活性剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、界面活性剤を含有することができる。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用することができる。界面活性剤については、国際公開第2015/166779号の段落0238~0245に記載された界面活性剤が挙げられ、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0174】
本開示において、界面活性剤はフッ素系界面活性剤であることが好ましい。着色感光性組成物にフッ素系界面活性剤を含有させることで液特性(特に、流動性)がより向上し、省液性をより改善することができる。また、厚みムラの小さい膜を形成することもできる。
【0175】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%~40質量%が好ましく、5質量%~30質量%がより好ましく、7質量%~25質量%が特に好ましい。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色感光性組成物中における溶解性も良好である。
【0176】
フッ素系界面活性剤としては、特開2014-041318号公報の段落0060~0064(対応する国際公開第2014/017669号の段落0060~0064)等に記載の界面活性剤、特開2011-132503号公報の段落0117~0132に記載の界面活性剤が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。フッ素系界面活性剤の市販品としては、例えば、メガファックF171、F172、F173、F176、F177、F141、F142、F143、F144、R30、F437、F475、F479、F482、F554、F780、EXP、MFS-330(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、FC431、FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS-382、SC-101、SC-103、SC-104、SC-105、SC-1068、SC-381、SC-383、S-393、KH-40(以上、AGC(株)製)、PolyFox PF636、PF656、PF6320、PF6520、PF7002(以上、OMNOVA社製)等が挙げられる。
【0177】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を含有する官能基を持つ分子構造を有し、熱を加えるとフッ素原子を含有する官能基の部分が切断されてフッ素原子が揮発するアクリル系化合物も好適に使用できる。このようなフッ素系界面活性剤としては、DIC(株)製のメガファックDSシリーズ(化学工業日報(2016年2月22日)、日経産業新聞(2016年2月23日))、例えばメガファックDS-21が挙げられる。
【0178】
また、フッ素系界面活性剤は、フッ素化アルキル基又はフッ素化アルキレンエーテル基を有するフッ素原子含有ビニルエーテル化合物と、親水性のビニルエーテル化合物との重合体を用いることも好ましい。このようなフッ素系界面活性剤は、特開2016-216602号公報の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0179】
フッ素系界面活性剤は、ブロックポリマーを用いることもできる。例えば特開2011-089090号公報に記載された化合物が挙げられる。フッ素系界面活性剤は、フッ素原子を有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、アルキレンオキシ基(好ましくはエチレンオキシ基、プロピレンオキシ基)を2以上(好ましくは5以上)有する(メタ)アクリレート化合物に由来する繰り返し単位と、を含む含フッ素高分子化合物も好ましく用いることができる。また、特開2010-032698号公報の段落0016~0037に記載されたフッ素含有界面活性剤や、下記化合物も本開示で用いられるフッ素系界面活性剤として例示される。
【0180】
【化23】
【0181】
上記の化合物の重量平均分子量は、好ましくは3,000~50,000であり、例えば14,000である。上記の化合物中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0182】
また、フッ素系界面活性剤は、エチレン性不飽和基を側鎖に有する含フッ素重合体を用いることもできる。具体例としては、特開2010-164965号公報の段落0050~0090及び段落0289~0295に記載された化合物、例えばDIC(株)製のメガファックRS-101、RS-102、RS-718K、RS-72-K等が挙げられる。また、フッ素系界面活性剤は、特開2015-117327号公報の段落0015~0158に記載の化合物を用いることもできる。
【0183】
ノニオン系界面活性剤としては、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセロールエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル、プルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2(BASF社製)、テトロニック304、701、704、901、904、150R1(BASF社製)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株)製)、NCW-101、NCW-1001、NCW-1002(富士フイルム和光純薬工業製)、パイオニンD-6112、D-6112-W、D-6315(竹本油脂(株)製)、オルフィンE1010、サーフィノール104、400、440(日信化学工業(株)製)などが挙げられる。
【0184】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、トーレシリコーンDC3PA、トーレシリコーンSH7PA、トーレシリコーンDC11PA、トーレシリコーンSH21PA、トーレシリコーンSH28PA、トーレシリコーンSH29PA、トーレシリコーンSH30PA、トーレシリコーンSH8400(以上、東レ・ダウコーニング(株)製)、TSF-4440、TSF-4300、TSF-4445、TSF-4460、TSF-4452(以上、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製)、KP-341、KF-6001、KF-6002(以上、信越シリコーン株式会社製)、BYK307、BYK323、BYK330(以上、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0185】
着色感光性組成物の全固形分中における界面活性剤の含有量は、0.001質量%~5.0質量%が好ましく、0.005質量%~3.0質量%がより好ましい。本開示に係る着色感光性組成物において、界面活性剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0186】
<紫外線吸収剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、紫外線吸収剤を含有することができる。紫外線吸収剤は、共役ジエン化合物、アミノジエン化合物、サリシレート化合物、ベンゾフェノン化合物、ベンゾトリアゾール化合物、アクリロニトリル化合物、ヒドロキシフェニルトリアジン化合物、インドール化合物、トリアジン化合物などを用いることができる。これらの詳細については、特開2012-208374号公報の段落0052~0072、特開2013-068814号公報の段落0317~0334、特開2016-162946号公報の段落0061~0080に記載された化合物が挙げられ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。紫外線吸収剤の市販品としては、UV-503(大東化学(株)製)などが挙げられる。また、ベンゾトリアゾール化合物としては、ミヨシ油脂(株)製のMYUAシリーズ(化学工業日報、2016年2月1日)が挙げられる。また、紫外線吸収剤は、特許第6268967号公報の段落0049~0059に記載された化合物を用いることもできる。
【0187】
着色感光性組成物の全固形分中における紫外線吸収剤の含有量は、0.01質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~5質量%がより好ましい。本開示に係る着色感光性組成物において、紫外線吸収剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0188】
<酸化防止剤>
本開示に係る着色感光性組成物は、酸化防止剤を含有することができる。酸化防止剤としては、フェノール化合物、亜リン酸エステル化合物、チオエーテル化合物などが挙げられる。フェノール化合物としては、フェノール系酸化防止剤として知られる任意のフェノール化合物を使用することができる。好ましいフェノール化合物としては、ヒンダードフェノール化合物が挙げられる。フェノール性ヒドロキシ基に隣接する部位(オルト位)に置換基を有する化合物が好ましい。前述の置換基としては炭素数1~22の置換又は無置換のアルキル基が好ましい。また、酸化防止剤は、同一分子内にフェノール基と亜リン酸エステル基を有する化合物も好ましい。また、酸化防止剤は、リン系酸化防止剤も好適に使用することができる。リン系酸化防止剤としてはトリス[2-[[2,4,8,10-テトラキス(1,1-ジメチルエチル)ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-6-イル]オキシ]エチル]アミン、トリス[2-[(4,6,9,11-テトラ-tert-ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン-2-イル)オキシ]エチル]アミン、亜リン酸エチルビス(2,4-ジ-tert-ブチル-6-メチルフェニル)などが挙げられる。酸化防止剤の市販品としては、例えば、アデカスタブ AO-20、アデカスタブ AO-30、アデカスタブ AO-40、アデカスタブ AO-50、アデカスタブ AO-50F、アデカスタブ AO-60、アデカスタブ AO-60G、アデカスタブ AO-80、アデカスタブ AO-330(以上、(株)ADEKA製)などが挙げられる。また、酸化防止剤は、特許第6268967号公報の段落0023~0048に記載された化合物、韓国公開特許第10-2019-0059371号公報に記載の化合物等を使用することもできる。
【0189】
着色感光性組成物の全固形分中における酸化防止剤の含有量は、0.01質量%~20質量%であることが好ましく、0.3質量%~15質量%であることがより好ましい。本開示に係る着色感光性組成物において、酸化防止剤は1種のみを用いてもよく、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いる場合は、それらの合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0190】
<その他成分>
本開示に係る着色感光性組成物は、必要に応じて、増感剤、硬化促進剤、フィラー、熱硬化促進剤、可塑剤及びその他の助剤類(例えば、導電性粒子、充填剤、消泡剤、難燃剤、レベリング剤、剥離促進剤、香料、表面張力調整剤、連鎖移動剤など)を含有してもよい。これらの成分を適宜含有させることにより、膜物性などの性質を調整することができる。これらの成分は、例えば、特開2012-003225号公報の段落0183以降(対応する米国特許出願公開第2013/0034812号明細書の段落0237)の記載、特開2008-250074号公報の段落0101~0104、0107~0109等の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。また、本開示に係る着色組成物は、必要に応じて、潜在酸化防止剤を含有してもよい。潜在酸化防止剤としては、酸化防止剤として機能する部位が保護基で保護された化合物であって、100℃~250℃で加熱するか、又は酸/塩基触媒存在下で80℃~200℃で加熱することにより保護基が脱離して酸化防止剤として機能する化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤としては、国際公開第2014/021023号、国際公開第2017/030005号、特開2017-008219号公報に記載された化合物が挙げられる。潜在酸化防止剤の市販品としては、アデカアークルズGPA-5001((株)ADEKA製)等が挙げられる。また、特開2018-155881号公報に記載されているように、C.I.Pigment Yellow129を耐候性改良の目的で添加しても良い。
【0191】
本開示に係る着色感光性組成物は、得られる膜の屈折率を調整するために金属酸化物を含有させてもよい。金属酸化物としては、TiO、ZrO、Al、SiO等が挙げられる。金属酸化物の一次粒子径は1nm~100nmが好ましく、3nm~70nmがより好ましく、5nm~50nmが特に好ましい。金属酸化物はコア-シェル構造を有していてもよい。また、この場合、コア部は中空状であってもよい。
【0192】
また、本開示に係る着色感光性組成物は、耐光性改良剤を含んでもよい。耐光性改良剤としては、特開2017-198787号公報の段落0036~0037に記載の化合物、特開2017-146350号公報の段落0029~0034に記載の化合物、特開2017-129774号公報の段落0036~0037、0049~0052に記載の化合物、特開2017-129674号公報の段落0031~0034、0058~0059に記載の化合物、特開2017-122803号公報の段落0036~0037、0051~0054に記載の化合物、国際公開第2017/164127号の段落0025~0039に記載の化合物、特開2017-186546号公報の段落0034~0047に記載の化合物、特開2015-025116号公報の段落0019~0041に記載の化合物、特開2012-145604号公報の段落0101~0125に記載の化合物、特開2012-103475号公報の段落0018~0021に記載の化合物、特開2011-257591号公報の段落0015~0018に記載の化合物、特開2011-191483号公報の段落0017~0021に記載の化合物、特開2011-145668号公報の段落0108~0116に記載の化合物、特開2011-253174号公報の段落0103~0153に記載の化合物などが挙げられる。
【0193】
本開示に係る着色感光性組成物は、顔料などと結合又は配位していない遊離の金属の含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。この態様によれば、顔料分散性の安定化(凝集抑止)、分散性向上に伴う分光特性の向上、硬化性成分の安定化、金属原子・金属イオンの溶出に伴う導電性変動の抑止、表示特性の向上などの効果が期待できる。また、特開2012-153796号公報、特開2000-345085号公報、特開2005-200560号公報、特開平08-043620号公報、特開2004-145078号公報、特開2014-119487号公報、特開2010-083997号公報、特開2017-090930号公報、特開2018-025612号公報、特開2018-025797号公報、特開2017-155228号公報、特開2018-036521号公報などに記載された効果が得られる。上記の遊離の金属の種類としては、Na、K、Ca、Sc、Ti、Mn、Cu、Zn、Fe、Cr、Co、Mg、Al、Sn、Zr、Ga、Ge、Ag、Au、Pt、Cs、Ni、Cd、Pb、Bi等が挙げられる。また、本開示に係る着色感光性組成物は、顔料などと結合又は配位していない遊離のハロゲンの含有量が100ppm以下であることが好ましく、50ppm以下であることがより好ましく、10ppm以下であることが更に好ましく、実質的に含有しないことが特に好ましい。ハロゲンとしては、F、Cl、Br、I及びそれらの陰イオンが挙げられる。着色感光性組成物中の遊離の金属やハロゲンの低減方法としては、イオン交換水による洗浄、ろ過、限外ろ過、イオン交換樹脂による精製等の方法が挙げられる。
【0194】
また、本開示に係る着色感光性組成物は、染料を含んでいてもよい。染料としては、公知の染料を用いることができる。
染料としては、例えば、ピラゾールアゾ化合物、アニリノアゾ化合物、トリアリールメタン化合物、アントラキノン化合物、アントラピリドン化合物、ベンジリデン化合物、オキソノール化合物、ピラゾロトリアゾールアゾ化合物、ピリドンアゾ化合物、シアニン化合物、フェノチアジン化合物、ピロロピラゾールアゾメチン化合物、キサンテン化合物、フタロシアニン化合物、ベンゾピラン化合物、インジゴ化合物、ピロメテン化合物が挙げられる。
また、染料としては、例えば、特開2019-73695号公報に記載のメチン染料、特開2019-073696号公報に記載のメチン染料、特開2019-73697号公報に記載のメチン染料、特開2019-73698号公報に記載のメチン染料等が挙げられる。
本開示に係る着色感光性組成物は、色素多量体を用いることもできる。色素多量体は、溶剤に溶解して用いられる染料であることが好ましい。また、色素多量体は、粒子を形成していてもよい。色素多量体が粒子である場合は通常溶剤に分散した状態で用いられる。粒子状態の色素多量体は、例えば乳化重合によって得ることができ、特開2015-214682号公報に記載されている化合物及び製造方法が具体例として挙げられる。色素多量体は、一分子中に色素構造を2以上有するものであり、色素構造を3以上有することが好ましい。上限は、特に限定はないが、100以下とすることもできる。一分子中に有する複数の色素構造は、同一の色素構造であってもよく、異なる色素構造であってもよい。色素多量体の重量平均分子量(Mw)は、2,000~50,000が好ましい。下限は、3,000以上がより好ましく、6,000以上が更に好ましい。上限は、30,000以下がより好ましく、20,000以下が更に好ましい。色素多量体は、特開2011-213925号公報、特開2013-041097号公報、特開2015-028144号公報、特開2015-030742号公報、国際公開第2016/031442号等に記載されている化合物を用いることもできる。
染料の含有量は、顔料の含有量よりも少ないことが好ましい。
【0195】
本開示に係る着色感光性組成物は、テレフタル酸エステルを実質的に含まないことも好ましい。
【0196】
本開示に係る着色感光性組成物の含水率は、3質量%以下であることが好ましく、0.01質量%~1.5質量%であることがより好ましく、0.1質量%~1.0質量%であることが特に好ましい。含水率は、カールフィッシャー法にて測定することができる。
【0197】
本開示に係る着色感光性組成物は、膜面状(平坦性など)の調整、膜厚の調整などを目的として粘度を調整して用いることができる。粘度の値は必要に応じて適宜選択することができるが、例えば、23℃において0.3mPa・s~50mPa・sが好ましく、0.5mPa・s~20mPa・sがより好ましい。粘度の測定方法としては、例えば、東機産業(株)製粘度計 RE85L(ローター:1°34’×R24、測定範囲0.6~1,200mPa・s)を使用し、23℃に温度調整を施した状態で測定することができる。
【0198】
本開示に係る着色感光性組成物を液晶表示装置用途のカラーフィルタとして用いる場合、カラーフィルタを備えた液晶表示素子の電圧保持率は、70%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。高い電圧保持率を得るための公知の手段を適宜組み込むことができ、典型的な手段としては純度の高い素材の使用(例えばイオン性不純物の低減)や、組成物中の酸基量の制御が挙げられる。電圧保持率は、例えば特開2011-008004号公報の段落0243、特開2012-224847号公報の段落0123~0129に記載の方法等で測定することができる。
【0199】
<収容容器>
本開示に係る着色感光性組成物の収容容器としては、特に限定はなく、公知の収容容器を用いることができる。また、収容容器として、原材料又は着色感光性組成物中への不純物混入を抑制することを目的に、容器内壁を6種6層の樹脂で構成する多層ボトルや6種の樹脂を7層構造にしたボトルを使用することも好ましい。このような容器としては例えば特開2015-123351号公報に記載の容器が挙げられる。また、着色感光性組成物の内壁は、容器内壁からの金属溶出を防ぎ、組成物の保存安定性を高めたり、成分変質を抑制するなど目的で、ガラス製やステンレス製などにすることも好ましい。本開示に係る着色感光性組成物の保存条件としては特に限定はなく、従来公知の方法を用いることができる。また、特開2016-180058号公報に記載された方法を用いることもできる。
【0200】
<着色感光性組成物の調製方法>
本開示に係る着色感光性組成物は、前述の成分を混合して調製できる。着色感光性組成物の調製に際しては、全成分を同時に溶剤に溶解及び/又は分散して着色感光性組成物を調製してもよいし、必要に応じて、各成分を適宜2つ以上の溶液又は分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して着色感光性組成物を調製してもよい。
【0201】
また、着色感光性組成物の調製に際して、顔料を分散させるプロセスを含むことも好ましい。顔料を分散させるプロセスにおいて、顔料の分散に用いる機械力としては、圧縮、圧搾、衝撃、剪断、キャビテーションなどが挙げられる。これらプロセスの具体例としては、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、マイクロフルイダイザー、高速インペラー、サンドグラインダー、フロージェットミキサー、高圧湿式微粒化、超音波分散などが挙げられる。またサンドミル(ビーズミル)における顔料の粉砕においては、径の小さいビーズを使用する、ビーズの充填率を大きくする事等により粉砕効率を高めた条件で処理することが好ましい。また、粉砕処理後にろ過、遠心分離などで粗粒子を除去することが好ましい。また、顔料を分散させるプロセス及び分散機は、「分散技術大全、株式会社情報機構発行、2005年7月15日」や「サスペンション(固/液分散系)を中心とした分散技術と工業的応用の実際 総合資料集、経営開発センター出版部発行、1978年10月10日」、特開2015-157893号公報の段落0022に記載のプロセス及び分散機を好適に使用できる。また顔料を分散させるプロセスにおいては、ソルトミリング工程にて粒子の微細化処理を行ってもよい。ソルトミリング工程に用いられる素材、機器、処理条件等は、例えば特開2015-194521号公報、特開2012-046629号公報の記載を参酌できる。
【0202】
着色感光性組成物の調製にあたり、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、着色感光性組成物をフィルタでろ過することが好ましい。フィルタとしては、従来からろ過用途等に用いられているフィルタであれば特に限定されることなく用いることができる。例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)等のフッ素樹脂、ナイロン(例えばナイロン-6、ナイロン-6,6)等のポリアミド樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量のポリオレフィン樹脂を含む)等の素材を用いたフィルタが挙げられる。これら素材の中でもポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)及びナイロンが好ましい。
【0203】
フィルタの孔径は、0.01μm~7.0μmが好ましく、0.01μm~3.0μmがより好ましく、0.05μm~0.5μmが更に好ましい。フィルタの孔径が上記範囲であれば、微細な異物をより確実に除去できる。フィルタの孔径値については、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。フィルタは、日本ポール株式会社(DFA4201NIEYなど)、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)及び株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタを用いることができる。
【0204】
また、フィルタとしてファイバ状のろ材を用いることも好ましい。ファイバ状のろ材としては、例えばポリプロピレンファイバ、ナイロンファイバ、グラスファイバ等が挙げられる。市販品としては、ロキテクノ社製のSBPタイプシリーズ(SBP008など)、TPRタイプシリーズ(TPR002、TPR005など)、SHPXタイプシリーズ(SHPX003など)が挙げられる。
【0205】
フィルタを使用する際、異なるフィルタ(例えば、第1のフィルタと第2のフィルタなど)を組み合わせてもよい。その際、各フィルタでのろ過は、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせてもよい。また、第1のフィルタでのろ過は、分散液のみに対して行い、他の成分を混合した後で、第2のフィルタでろ過を行ってもよい。
【0206】
(硬化物)
本開示に係る硬化物は、本開示に係る着色感光性組成物を硬化してなる硬化物である。 本開示に係る硬化物は、カラーフィルタなどに好適に用いることができる。具体的には、カラーフィルタの着色層(画素)として好ましく用いることができ、より具体的には、カラーフィルタの赤色着色層(赤色画素)として好ましく用いることができる。
本開示に係る硬化物は、膜状の硬化物であることが好ましく、その膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。例えば、膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0207】
(カラーフィルタ)
次に、本開示に係るカラーフィルタについて説明する。本開示に係るカラーフィルタは、上述した本開示に係る硬化物を備える。より好ましくは、カラーフィルタの画素として、本開示に係る硬化膜を有する。本開示に係るカラーフィルタは、CCD(電荷結合素子)やCMOS(相補型金属酸化膜半導体)などの固体撮像素子や画像表示装置などに用いることができる。
【0208】
本開示に係るカラーフィルタにおいて本開示に係る膜の膜厚は、目的に応じて適宜調整できる。膜厚は、20μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましい。膜厚の下限は、0.1μm以上が好ましく、0.2μm以上がより好ましく、0.3μm以上が更に好ましい。
【0209】
本開示に係るカラーフィルタは、画素の幅が0.5μm~20.0μmであることが好ましい。下限は、1.0μm以上であることがより好ましく、2.0μm以上であることが特に好ましい。上限は、15.0μm以下であることがより好ましく、10.0μm以下であることが特に好ましい。また、画素のヤング率は、0.5GPa~20GPaであることが好ましく、2.5GPa~15GPaがより好ましい。
【0210】
本開示に係るカラーフィルタに含まれる各画素は高い平坦性を有することが好ましい。具体的には、画素の表面粗さRaは、100nm以下であることが好ましく、40nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることが更に好ましい。下限は規定されないが、例えば0.1nm以上であることが好ましい。画素の表面粗さは、例えばVeeco社製のAFM(原子間力顕微鏡) Dimension3100を用いて測定することができる。また、画素上の水の接触角は適宜好ましい値に設定することができるが、典型的には、50°~110°の範囲である。接触角は、例えば接触角計CV-DT・A型(協和界面科学(株)製)を用いて測定できる。また、画素の体積抵抗値は高いことが好ましい。具体的には、画素の体積抵抗値は109Ω・cm以上であることが好ましく、1011Ω・cm以上であることがより好ましい。上限は規定されないが、例えば1014Ω・cm以下であることが好ましい。画素の体積抵抗値は、例えば超高抵抗計5410(アドバンテスト社製)を用いて測定することができる。
【0211】
また、本開示に係るカラーフィルタは、本開示に係る膜の表面に保護層が設けられていてもよい。保護層を設けることで、酸素遮断化、低反射化、親疎水化、特定波長の光(紫外線、近赤外線等)の遮蔽等の種々の機能を付与することができる。保護層の厚さとしては、0.01μm~10μmが好ましく、0.1μm~5μmがより好ましい。保護層の形成方法としては、有機溶剤に溶解した樹脂組成物を塗布して形成する方法、化学気相蒸着法、成型した樹脂を接着材で貼りつける方法等が挙げられる。保護層を構成する成分としては、(メタ)アクリル樹脂、エン・チオール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレン樹脂、ポリアリーレンエーテルホスフィンオキシド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリオレフィン樹脂、環状オレフィン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン樹脂、ポリオール樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、アラミド樹脂、ポリアミド樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、変性シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、セルロース樹脂、Si、C、W、Al、Mo、SiO、Siなどが挙げられ、これらの成分を二種以上含有しても良い。例えば、酸素遮断化を目的とした保護層の場合、保護層はポリオール樹脂と、SiOと、Siを含むことが好ましい。また、低反射化を目的とした保護層の場合、保護層は(メタ)アクリル樹脂とフッ素樹脂を含むことが好ましい。
【0212】
樹脂組成物を塗布して保護層を形成する場合、樹脂組成物の塗布方法としては、スピンコート法、キャスト法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の公知の方法を用いることができる。樹脂組成物に含まれる有機溶剤は、公知の有機溶剤(例えば、プロピレングリコール1-モノメチルエーテル2-アセテート、シクロペンタノン、乳酸エチル等)を用いることが出来る。保護層を化学気相蒸着法にて形成する場合、化学気相蒸着法としては、公知の化学気相蒸着法(熱化学気相蒸着法、プラズマ化学気相蒸着法、光化学気相蒸着法)を用いることができる。
【0213】
保護層は、必要に応じて、有機粒子、無機粒子、特定波長の光(例えば、紫外線、近赤外線等)の吸収剤、屈折率調整剤、酸化防止剤、密着剤、界面活性剤等の添加剤を含有しても良い。有機粒子及び無機粒子の例としては、例えば、高分子粒子(例えば、シリコーン樹脂粒子、ポリスチレン粒子、メラミン樹脂粒子)、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アルミニウム、窒化チタン、酸窒化チタン、フッ化マグネシウム、中空シリカ、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等が挙げられる。特定波長の光の吸収剤は公知の吸収剤を用いることができる。これらの添加剤の含有量は適宜調整できるが、保護層の全質量に対して、0.1質量%~70質量%が好ましく、1質量%~60質量%がより好ましい。
【0214】
また、保護層としては、特開2017-151176号公報の段落0073~0092に記載の保護層を用いることもできる。
【0215】
カラーフィルタは、下地層を有していてもよい。下地層は、例えば、上述した本開示に係る着色感光性組成物から顔料等の着色剤を除いた組成物などを用いて形成することもできる。下地層の表面接触角は、ジヨードメタンで測定した際に20°~70°であることが好ましい。また、水で測定した際に30°~80°であることが好ましい。下地層の表面接触角が上記範囲であれば、樹脂組成物の塗れ性が良好である。下地層の表面接触角の調整は、たとえば、界面活性剤の添加などの方法で行うことができる。
【0216】
<カラーフィルタの製造方法>
次に、本開示に係る着色感光性組成物を用いたカラーフィルタの製造方法について説明する。カラーフィルタの製造方法は、上述した本開示に係る着色感光性組成物を用いて支持体上に着色感光性組成物層を形成する工程と、フォトリソグラフィ法又はドライエッチング法により着色感光性組成物層に対してパターンを形成する工程と、を経て製造できる。本開示に係る着色感光性組成物は、現像残渣の発生も抑制することができるので、フォトリソグラフィ法により着色感光性組成物層に対してパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合において特に効果的である。
【0217】
-フォトリソグラフィ法-
まず、フォトリソグラフィ法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。この製造方法は、本開示に係る着色感光性組成物を用いて支持体上に着色感光性組成物層を形成する工程と、着色感光性組成物層をパターン状に露光する工程と、着色感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する工程と、を含むことが好ましい。必要に応じて、着色感光性組成物層をベークする工程(プリベーク工程)、及び、現像されたパターン(画素)をベークする工程(ポストベーク工程)を設けてもよい。
【0218】
着色感光性組成物層を形成する工程では、本開示に係る着色感光性組成物を用いて、支持体上に着色感光性組成物層を形成する。支持体としては、特に限定は無く、用途に応じて適宜選択できる。例えば、ガラス基板、シリコン基板などが挙げられ、シリコン基板であることが好ましい。また、シリコン基板には、電荷結合素子(CCD)、相補型金属酸化膜半導体(CMOS)、透明導電膜などが形成されていてもよい。また、シリコン基板には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。また、シリコン基板には、上部の層との密着性改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下地層が設けられていてもよい。下地層は、本明細書に記載の着色感光性組成物から着色剤を除いた組成物や、本明細書記載の樹脂、重合性化合物、界面活性剤などを含む組成物などを用いて形成してもよい。
【0219】
着色感光性組成物の塗布方法としては、公知の方法を用いることができる。例えば、滴下法(ドロップキャスト);スリットコート法;スプレー法;ロールコート法;回転塗布法(スピンコーティング);流延塗布法;スリットアンドスピン法;プリウェット法(例えば、特開2009-145395号公報に記載されている方法);インクジェット(例えばオンデマンド方式、ピエゾ方式、サーマル方式)、ノズルジェット等の吐出系印刷、フレキソ印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷、反転オフセット印刷、メタルマスク印刷法などの各種印刷法;金型等を用いた転写法;ナノインプリント法などが挙げられる。インクジェットでの適用方法としては、特に限定されず、例えば「広がる・使えるインクジェット-特許に見る無限の可能性-、2005年2月発行、住ベテクノリサーチ」に示された方法(特に115ページ~133ページ)や、特開2003-262716号公報、特開2003-185831号公報、特開2003-261827号公報、特開2012-126830号公報、特開2006-169325号公報などに記載の方法が挙げられる。また、着色感光性組成物の塗布方法については、国際公開第2017/030174号、国際公開第2017/018419号の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0220】
支持体上に形成した着色感光性組成物層は、乾燥(プリベーク)してもよい。低温プロセスにより膜を製造する場合は、プリベークを行わなくてもよい。プリベークを行う場合、プリベーク温度は、150℃以下が好ましく、120℃以下がより好ましく、110℃以下が更に好ましい。下限は、例えば、50℃以上とすることができ、80℃以上とすることもできる。プリベーク時間は、10秒~300秒が好ましく、40秒~250秒がより好ましく、80秒~220秒が更に好ましい。プリベークは、ホットプレート、オーブン等で行うことができる。
【0221】
<<露光工程>>
次に、着色感光性組成物層をパターン状に露光する(露光工程)。例えば、着色感光性組成物層に対し、ステッパー露光機やスキャナ露光機などを用いて、所定のマスクパターンを有するマスクを介して露光することで、パターン状に露光することができる。これにより、露光部分を硬化することができる。
【0222】
露光に際して用いることができる放射線(光)としては、g線、i線等が挙げられる。また、波長300nm以下の光(好ましくは波長180nm~300nmの光)を用いることもできる。波長300nm以下の光としては、KrF線(波長248nm)、ArF線(波長193nm)などが挙げられ、KrF線(波長248nm)が好ましい。また、300nm以上の長波な光源も利用できる。
【0223】
また、露光に際して、光を連続的に照射して露光してもよく、パルス的に照射して露光(パルス露光)してもよい。なお、パルス露光とは、短時間(例えば、ミリ秒レベル以下)のサイクルで光の照射と休止を繰り返して露光する方式の露光方法のことである。
【0224】
照射量(露光量)は、例えば、0.03J/cm~2.5J/cmが好ましく、0.05J/cm~1.0J/cmがより好ましい。露光時における酸素濃度については適宜選択することができ、大気下で行う他に、例えば酸素濃度が19体積%以下の低酸素雰囲気下(例えば、15体積%、5体積%、又は、実質的に無酸素)で露光してもよく、酸素濃度が21体積%を超える高酸素雰囲気下(例えば、22体積%、30体積%、又は、50体積%)で露光してもよい。また、露光照度は適宜設定することが可能であり、好ましくは1,000W/m~100,000W/m(例えば、5,000W/m、15,000W/m、又は、35,000W/m)の範囲から選択することができる。酸素濃度と露光照度は適宜条件を組み合わせてよく、例えば、酸素濃度10体積%で照度10,000W/m、酸素濃度35体積%で照度20,000W/mなどとすることができる。
【0225】
次に、着色感光性組成物層の未露光部を現像除去してパターン(画素)を形成する。着色組成物層の未露光部の現像除去は、現像液を用いて行うことができる。これにより、露光工程における未露光部の着色感光性組成物層が現像液に溶出し、光硬化した部分だけが残る。現像液としては、下地の素子や回路などにダメージを起さない有機アルカリ現像液が好ましい。現像液の温度は、例えば、20℃~30℃が好ましい。現像時間は、20秒~180秒が好ましい。また、残渣除去性を向上するため、現像液を60秒ごとに振り切り、更に新たに現像液を供給する工程を数回繰り返してもよい。
【0226】
現像液は、有機溶剤、アルカリ現像液などが挙げられ、アルカリ現像液が好ましく用いられる。アルカリ現像液としては、アルカリ剤を純水で希釈したアルカリ性水溶液(アルカリ現像液)が好ましい。アルカリ剤としては、例えば、アンモニア、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、ジグリコールアミン、ジエタノールアミン、ヒドロキシアミン、エチレンジアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、エチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ベンジルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、ジメチルビス(2-ヒドロキシエチル)アンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物や、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、メタケイ酸ナトリウムなどの無機アルカリ性化合物が挙げられる。アルカリ剤は、分子量が大きい化合物の方が環境面及び安全面で好ましい。アルカリ性水溶液のアルカリ剤の濃度は、0.001質量%~10質量%が好ましく、0.01質量%~1質量%がより好ましい。また、現像液は、更に界面活性剤を含有していてもよい。界面活性剤としては、上述した界面活性剤が挙げられ、ノニオン系界面活性剤が好ましい。現像液は、移送や保管の便宜などの観点より、一旦濃縮液として製造し、使用時に必要な濃度に希釈してもよい。希釈倍率は特に限定されないが、例えば1.5~100倍の範囲に設定することができる。また、現像後純水で洗浄(リンス)することも好ましい。また、リンスは、現像後の着色感光性組成物層が形成された支持体を回転させつつ、現像後の着色感光性組成物層へリンス液を供給して行うことが好ましい。また、リンス液を吐出させるノズルを支持体の中心部から支持体の周縁部に移動させて行うことも好ましい。この際、ノズルの支持体中心部から周縁部へ移動させるにあたり、ノズルの移動速度を徐々に低下させながら移動させてもよい。このようにしてリンスを行うことで、リンスの面内ばらつきを抑制できる。また、ノズルを支持体中心部から周縁部へ移動させつつ、支持体の回転速度を徐々に低下させても同様の効果が得られる。
【0227】
現像後、乾燥を施した後に追加露光処理や加熱処理(ポストベーク)を行うことが好ましい。追加露光処理やポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の硬化処理である。ポストベークにおける加熱温度は、例えば100℃~240℃が好ましく、200~240℃がより好ましい。ポストベークは、現像後の膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式あるいはバッチ式で行うことができる。追加露光処理を行う場合、露光に用いられる光は、波長400nm以下の光であることが好ましい。また、追加露光処理は、韓国公開特許第10-2017-0122130号公報に記載された方法で行ってもよい。
【0228】
-ドライエッチング法-
次に、ドライエッチング法によりパターンを形成してカラーフィルタを製造する場合について説明する。ドライエッチング法でのパターン形成は、本開示に係る着色感光性組成物を用いて支持体上に着色感光性組成物層を形成し、この着色感光性組成物層の全体を硬化させて硬化物層を形成する工程と、この硬化物層上にフォトレジスト層を形成する工程と、フォトレジスト層をパターン状に露光したのち、現像してレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンをマスクとして硬化物層に対してエッチングガスを用いてドライエッチングする工程と、を含むことが好ましい。フォトレジスト層の形成においては、更にプリベーク処理を施すことが好ましい。特に、フォトレジスト層の形成プロセスとしては、露光後の加熱処理、現像後の加熱処理(ポストベーク処理)を実施する形態が望ましい。ドライエッチング法でのパターン形成については、特開2013-064993号公報の段落0010~0067の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0229】
(固体撮像素子)
本開示に係る固体撮像素子は、本開示に係る硬化物を有し、上述した本開示に係るカラーフィルタを有することが好ましい。本開示に係る固体撮像素子の構成としては、本開示に係る膜を備え、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0230】
基板上に、固体撮像素子(CCD(電荷結合素子)イメージセンサ、CMOS(相補型金属酸化膜半導体)イメージセンサ等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、フォトダイオード及び転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口した遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、デバイス保護膜上に、カラーフィルタを有する構成である。更に、デバイス保護膜上であってカラーフィルタの下(基板に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。また、カラーフィルタは、隔壁により例えば格子状に仕切られた空間に、各着色画素が埋め込まれた構造を有していてもよい。この場合の隔壁は各着色画素よりも低屈折率であることが好ましい。このような構造を有する撮像装置の例としては、特開2012-227478号公報、特開2014-179577号公報、国際公開第2018/043654号、米国特許出願公開第2018/0040656号明細書に記載の装置が挙げられる。本開示に係る固体撮像素子を備えた撮像装置は、デジタルカメラや、撮像機能を有する電子機
器(携帯電話等)の他、車載カメラや監視カメラ用としても用いることができる。
また、本開示に係る固体撮像素子は、特開2019-211559号公報に記載されているように、固体撮像素子の構造内に紫外線吸収層(UVカットフィルタ)を設けることにより、カラーフィルタの耐光性を改良してもよい。
【0231】
(画像表示装置)
本開示に係る画像表示装置は、本開示に係る硬化物を有し、上述した本開示に係るカラーフィルタを有することが好ましい。画像表示装置としては、液晶表示装置や有機エレクトロルミネッセンス表示装置などが挙げられる。画像表示装置の定義や各画像表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木昭夫著、(株)工業調査会、1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田龍男編集、(株)工業調査会、1994年発行)」に記載されている。本開示が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【実施例0232】
以下、実施例により本開示を詳細に説明するが、本開示はこれらに限定されるものではない。
本実施例において、「%」、「部」とは、特に断りのない限り、それぞれ「質量%」、「質量部」を意味する。なお、高分子化合物において、特別に規定したもの以外は、分子量は重量平均分子量(Mw)であり、構成単位の比率はモル百分率である。
重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によるポリスチレン換算値として測定した値である。
【0233】
<分散液G1の調製>
緑色顔料(G顔料)としてC.I.Pigment Green 58を8.75質量部と、黄色顔料(Y顔料)としてC.I.Pigment Yellow 185を3.85質量部と、アミン化合物としてAM-1を1.26質量部と、樹脂としてD-1(固形分30%)を12.6質量部(固形分3.78質量部相当)と、溶剤としてプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の67.3質量部とを混合したのち、直径0.3mmのジルコニアビーズ230質量部を加えて、ペイントシェーカーを用いて5時間分散処理を行い、ビーズをろ過で分離して分散液G1(緑色分散液)を製造した。
【0234】
<分散液G2~G56、並びに、比較分散液G1及びG2の調製>
アミン化合物の種類及び配合量、樹脂の種類及び配合量、並びに、溶剤の種類をそれぞれ下記表1に記載の通りに変更した以外は、分散液G1の調製と同様にして各分散液を製造した。
【0235】
【表1】
【0236】
以下に、表1に記載の略称の詳細を示す。
<アミン化合物>
AM-1~AM-20:上述したAM-1~AM-20
なお、AM-9~AM-14はそれぞれ、(株)ADEKA製アデカスタブLA-52、LA-57、LA-63P、LA-68、LA-72、LA-77Yを使用した。
AM-21:下記製造方法により製造した化合物
AM-22:下記製造方法により製造した化合物
CAM-1:下記化合物
CAM-2:下記化合物
【0237】
【化24】
【0238】
<AM-21(ヒンダードアミン構造を有するブロック共重合体)の作製>
ガス導入管、コンデンサー、撹拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、メチルメタクリレート30部、n-ブチルメタクリレート30部、ヒドロキシエチルメタクリレート20部、テトラメチルエチレンジアミン13.2部を仕込み、窒素を流しながら50℃で1時間撹拌し、系内を窒素置換した。次に、ブロモイソ酪酸エチル9.3部、塩化第一銅5.6部、メトキシプロピルアセテート133部を仕込み、窒素気流下で、110℃まで昇温して第一ブロック(Bブロック)の重合を開始した。4時間重合後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して重合転化率が98%以上であることを確認した。
次に、この反応装置に、メトキシプロピルアセテート61部、第二ブロック(Aブロック)モノマーとして1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート20部(日立化成工業(株)製、ファンクリルFA-711MM)を投入し、110℃かつ窒素雰囲気下を保持したまま撹拌し、反応を継続した。1,2,2,6,6-ペンタメチルピペリジルメタクリレート投入から2時間後、重合溶液をサンプリングして固形分測定を行い、不揮発分から換算して第二ブロック(Aブロック)の重合転化率が98%以上であることを確認し、反応溶液を室温(25℃、以下同様)まで冷却して重合を停止した。
GPC測定の結果、ポリマーのMw9,200、Mw/Mn=1.5であり、反応転化率は98.5%であった。このようにして、固形分当たりのアミン価が57mgKOH/gのヒンダードアミン構造を有するブロック共重合体(CAM-1)を得た。
室温まで冷却した後、樹脂溶液約2gをサンプリングして180℃、20分加熱乾燥して不揮発分を測定し、先に合成したブロック共重合体溶液に不揮発分が40重量%になるようにプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを添加してブロック共重合体(AM-21)溶液を調製した。
【0239】
<AM-22(樹脂型分散剤)の作製>
温度計、撹拌機、蒸留管、冷却器を具備した4つ口セパラブルフラスコに、メチルエチルケトン(MEK)70部、n-ブチルアクリレート76.0部、スパルテイン2.8部、ブロモイソ酪酸エチル1.9部を仕込み窒素気流下で40℃に昇温した。塩化第一銅1.1部を投入し、75℃まで昇温して重合を開始した。3時間重合後、重合溶液をサンプリングし、重合の固形分から重合収率が95%以上であることを確認し、N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート24.0部、及びMEK30.0部を添加し、更に、重合を行った。2時間後重合溶液の固形分から重合収率が97%以上であるのを確認し、室温に冷却して重合を停止した。得られた樹脂溶液100部をMEK100部で希釈し、カチオン交換樹脂「ダイアイオン PK228LH(三菱化学(株)製)」60部を添加し室温で1時間撹拌し、更に、中和剤として「キョーワード500SN(協和化学工業(株)製)」を部添加し30分撹拌を行った。濾過によりカチオン交換樹脂と吸着剤を取り除くことで重合触媒の残渣を取り除いた。更に、樹脂溶液を濃縮しエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートに置換して不揮発分が40質量%のAM-22(樹脂型分散剤、Mn=10,200、Mw=12,200、アミン価86mgKOH/g)の溶液を得た。
【0240】
<樹脂>
D-1:下記樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-2:下記樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-3:下記樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-4:下記作製方法により作製した樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-5:下記作製方法により作製した樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-6:下記作製方法により作製した樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-7:下記樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
D-8:下記樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
【0241】
【化25】
【0242】
<樹脂D-4の作製>
(1)マクロモノマーBの合成
三口フラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)の380質量部を導入し、窒素をフラスコ内に流しながら75℃まで昇温した。別に、メタクリル酸メチルの200質量部、アクリル酸ブチルの200質量部、6-メルカプト-1-ヘキサノールの29.8質量部、V-601(2,2’-アゾビス(イソ酪酸)ジメチル、富士フイルム和光純薬(株)製)の2.25質量部、PGMEAの254質量部を混合した滴下溶液を調製した。この滴下溶液を上記三口フラスコ内に2時間かけて滴下した。滴下完了後、更に混合物を1時間同温度で加熱攪拌した。更にV-601の2.25質量部を添加した後、2時間同温度で加熱した。更にV-601の2.25質量部を添加し、90℃に昇温して3時間加熱し、重合反応を終了した。
次いで、得られた重合反応物に対して、2-イソシアナトエチルメタクリレート(昭和電工(株)製、カレンズMOI)の35.4質量部を添加し、0℃に冷却後、ジルコニウム(IV)アセチルアセトナートの0.860質量部、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)の0.127質量部を添加して、同温度で2時間撹拌後、30℃で3時間撹拌した。
得られたMOI化反応物に対して、PGMEAの53.0質量部加え、マクロモノマーBのPGMEA40質量%溶液を得た。
【0243】
(2)樹脂D-4の合成
三口フラスコに、上記で合成したマクロモノマーBのPGMEA40質量%溶液の300質量部、メタクリル酸の26.4質量部、メタクリル酸ベンジルの93.6質量部、PGMEAの379質量部を導入し、窒素をフラスコ内に流しながら、混合物を75℃まで昇温した。更に、ドデシルメルカプタンの4.17質量部とV-601の0.790質量部を添加し、同温度で2時間加熱した。更にV-601の0.790質量部を添加した後2時間同温度で加熱した。更にV-601の0.790質量部を添加し、90℃で3時間加熱し、重合反応を終了して樹脂を合成し、PGMEAを添加して固形分濃度を30質量%に調整して樹脂D-4(PGMEA30質量%溶液)を得た。得られた樹脂D-4の重量平均分子量は18,000、酸価は73mgKOH/gであった。
【0244】
<樹脂D-5の作製>
ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)〔DPMP;堺化学工業(株)製〕40.0部、及び、イタコン酸26.6部を、1-メトキシ-2-プロパノール28.90部に溶解させ、窒素気流下、80℃に加熱した。これに、V-601の0.235部を加えて3時間加熱した。更に、V-601を0.235部加え、窒素気流下、70℃で3時間反応させた。室温まで冷却した樹脂D-5前駆体溶液を得た。
樹脂D-5前駆体溶液を100部、及び、メタクリル酸メチル88.0部とアクリル酸ブチル88.0部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)80.0部の混合溶液を、窒素気流下、80℃に加熱した。これにV-601を0.139部を加えて3時間加熱後、再度V-601を0.139部を加えて、窒素気流下、80℃で3時間反応させた.PGMEAを加えて固形分濃度を30%に調整し樹脂D-5を得た。得られた樹脂D-5の重量平均分子量は13,000、酸価は50mgKOH/gであった。
【0245】
<樹脂D-6の作製>
ガス導入管、温度計、コンデンサー、撹拌機を備えた反応容器に、メチルメタクリレート75質量部、n-ブチルアクリレート75質量部、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)68.1質量部を仕込み、窒素ガスで反応容器内を置換した。反応容器内を70℃に加熱して、3-メルカプト-1、2-プロパンジオール9質量部を添加し、更にAIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.18質量部を加え、12時間反応させた。固形分測定により95%が反応したことを確認した。続いて、ピロメリット酸無水物14.6質量部、PGMEA105.5質量部、反応触媒として1、8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン(DBU)0.3質量部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価測定により、98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し、反応を終了した。PGMEAを加えて固形分濃度を30%に調整し、酸価41mgKOH/g、重量平均分子量8,800の樹脂D-6を得た。
【0246】
<溶剤>
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PGME:プロピレングリコールモノメチルエーテル
【0247】
<分散液G57~G72の作製>
G顔料及びY顔料の種類並びに配合量をそれぞれ下記表2に記載の通り変更した以外は、分散液G9と同様にして各分散液を作製した。
【0248】
【表2】
【0249】
以下に、表2に記載の略称の詳細を示す。
<緑色顔料(G顔料)>
PG36:C.I.Pigment Green 36
PG58:C.I.Pigment Green 58
PG7:C.I.Pigment Green 7
PG59:C.I.Pigment Green 59
PG62:C.I.Pigment Green 62
PG63:C.I.Pigment Green 63
【0250】
<黄色顔料(Y顔料)>
PY129:C.I.Pigment Yellow 129
PY139:C.I.Pigment Yellow 139
PY150:C.I.Pigment Yellow 150
PY185:C.I.Pigment Yellow 185
PY215:C.I.Pigment Yellow 215
【0251】
<分散液R1~R14、Y1、並びに、比較分散液R1及びR2の調製>
表3の記載の各成分を表3に記載の量で配合した混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間更に混合及び分散した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、各分散液R1~R12(赤色(Red)分散液)、分散液Y1(黄色分散液)、及び、比較分散液R1~R3(赤色(Red)分散液)をそれぞれ得た。
【0252】
【表3】
【0253】
なお、表3の各成分欄における数値の単位は、質量部である。
以下に、上述した以外の表3に記載の略称の詳細を示す。
PR254:C.I.Pigment Red 254
PR264:C.I.Pigment Red 264
PR272:C.I.Pigment Red 272
PR122:C.I.Pigment Red 122
PO71:C.I.Pigment Orange 71
【0254】
<分散液B1~B5、並びに、比較分散液B1及びB2の調製>
表4の記載の各成分を表4に記載の量で配合した混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間更に混合及び分散した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、各分散液B1~B3(青色(Blue)分散液)、及び、比較分散液B1~B3(青色(Blue)分散液)をそれぞれ得た。
【0255】
【表4】
【0256】
なお、表4の各成分欄における数値の単位は、質量部である。
以下に、上述した以外の表4に記載の略称の詳細を示す。
PB15:6:C.I.Pigment Blue 15:6
PV23:C.I.Pigment Violet 23
【0257】
(実施例G1~G56、並びに、比較例G1及びG2)
<着色感光性組成物の調製>
以下の原料を混合して、着色感光性組成物を調製した。
下記表5に記載の分散液:39.4質量部
樹脂C1:0.58質量部
重合性化合物E1:0.54質量部
光重合開始剤F3:0.33質量部
界面活性剤H1:4.17質量部
p-メトキシフェノール:0.0006質量部
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA):7.66質量部
なお、実施例G1~G53、及び、比較例G1~G3の着色感光性組成物における顔料の含有量はそれぞれ、感光性組成物の全固形分に対し、62.6質量%であった。
【0258】
樹脂C1:下記に示す樹脂、Mw10,000、主鎖に付記した数値はモル比であり、エチレンオキシ単位における括弧の右下の数値は、平均繰り返し数を表す。
【0259】
【化26】
【0260】
重合性化合物E1:KAYARAD DPHA(日本化薬(株)製)
光重合開始剤F3:下記構造の化合物。
【0261】
【化27】
【0262】
界面活性剤H1:下記混合物(Mw=14,000)の1質量%PGMEA溶液。下記の式中、繰り返し単位の割合を示す%はモル%である。
【0263】
【化28】
【0264】
得られた着色感光性組成物を用い、以下の評価を行った。評価結果を表5に示す。
【0265】
<分散安定性>
上記で得られた分散液の初期粘度(V0)を、東機産業(株)製「RE-85L」にて測定した。次いで、この分散液を45℃、3日間の条件にて静置した後、静置後の粘度(V1)を測定した。下記式から静置後の分散液の粘度上昇率(%)を算出し、下記評価基準に従って分散安定性を評価した。粘度上昇率(%)の数値が小さいほど、分散安定性が良好であるといえる。分散液の粘度は25℃に温度調整を施した状態で測定した。
粘度上昇率(%)=[(静置後の粘度(V1)-初期粘度(V0))/初期粘度(V0)]×100
A:0≦粘度上昇率≦3%
B:3%<粘度上昇率≦5%
C:5%<粘度上昇率≦10%
D:10%<粘度上昇率≦15%
E:15%<粘度上昇率
【0266】
<密着性>
シリコンウエハ上にCT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのシリコンウエハ上に各着色感光性組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して、膜厚0.5μmの組成物層を得た。この組成物層に対して、i線ステッパーFPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を使用し、一辺1.1μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介して、365nmの波長の光を500mJ/cmの露光量で照射して露光した。露光後の組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにて水を用いてリンスを行い、更に純水にて水洗いを行った。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、シリコンウエハを自然乾燥させたのち、ホットプレートを用いて220℃で300秒間ポストベークを行い、パターンを形成した。得られたパターンについて、光学顕微鏡を用いて観察し、全パターン中密着しているパターンをカウントして密着性を評価した。
A:すべてのパターンが密着している。
B:密着しているパターンが、全パターンの95%以上100%未満である。
C:密着しているパターンが、全パターンの90%以上95%未満である。
D:密着しているパターンが、全パターンの85%以上90%未満である。
E:密着しているパターンが、全パターンの85%未満である。
【0267】
<現像性(現像残渣抑制性)>
シリコンウエハ上にCT-4000(富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズ(株)製)を膜厚が0.1μmとなるようにスピンコート法で塗布し、ホットプレートを用いて220℃で1時間加熱して下地層を形成した。この下地層付きのシリコンウエハ上に各着色感光性組成物をスピンコート法で塗布し、その後、ホットプレートを用いて100℃で2分間加熱して、膜厚1μmの組成物層を得た。この組成物層に対して、i線ステッパーFPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を使用し、一辺1.1μmの正方ピクセルがそれぞれ基板上の4mm×3mmの領域に配列されたマスクパターンを介して、365nmの波長の光を200mJ/cmの露光量で照射して露光した。露光後の組成物層に対し、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイドの0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにて水を用いてリンスを行い、更に純水にて水洗いを行った。その後、水滴を高圧のエアーで飛ばし、シリコンウエハを自然乾燥させたのち、ホットプレートを用いて200℃で300秒間ポストベークを行い、パターンを形成した。パターン間の残差の有無を観察して現像性を評価した。
パターンの形成領域外(未露光部)を走査型電子顕微鏡(SEM)(倍率10,000倍)で観察し、未露光部5μm×5μmの面積(1エリア)あたりの直径0.1μm以上の残渣を数え、下記評価基準に従って残渣を評価した。
A:1エリアあたりの残渣が全くない。
B:1エリアあたりの残渣の数が10個未満である。
C:1エリアあたりの残渣の数が10個以上20個未満である。
D:1エリアあたりの残渣の数が20個以上30個未満である。
E:1エリアあたりの残渣の数が30個以上である。
F:現像が全くできなかった。
【0268】
【表5】
【0269】
(実施例G57~実施例G72)
分散液を表6に記載のものに変更した以外は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記評価を行った。評価結果を表6に示す。
なお、実施例G57~G72の着色感光性組成物における顔料の含有量はそれぞれ、感光性組成物の全固形分に対し、63質量%であった。
【0270】
【表6】
【0271】
(実施例G73~実施例G90)
分散液、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤の種類及び量を表7に記載のものに変更した以外は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記評価を行った。
なお、実施例G73~G90の着色感光性組成物における顔料の含有量はそれぞれ、感光性組成物の全固形分に対し、62.6質量%であった。
性能評価結果は、実施例G9と同等の結果だった。
【0272】
【表7】
【0273】
以下に、上述した以外の表7に記載の略称の詳細を示す。
樹脂D7:上記D-7(固形分30%)
樹脂D9:下記樹脂のPGMEA溶液(固形分30%)
【0274】
【化29】
【0275】
E2:下記構造の化合物
【0276】
【化30】
【0277】
E3:下記構造の化合物
【0278】
【化31】
【0279】
E4:下記構造の化合物
【0280】
【化32】
【0281】
E5:アロニックスTO-2349(東亞合成(株)製)
F1:IRGACURE-OXE01(BASF社製)、下記構造の化合物。
F2:IRGACURE-OXE02(BASF社製)、下記構造の化合物。
F4:IRGACURE 369(BASF社製)、下記構造の化合物。
F5:下記構造の化合物。
【0282】
【化33】
【0283】
(実施例G91~実施例G120)
分散液、樹脂、重合性化合物、光重合開始剤及び溶剤の種類及び量を表8に記載のものに変更した以外は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記密着性評価及び現像性評価を行った。評価結果を表8に示す。
【0284】
【表8】
【0285】
なお、表8における「顔料の含有量」は、着色感光性組成物の全固形分に対する顔料の含有量を表す。
【0286】
(実施例R1~実施例R14、実施例Y1、並びに、比較例R1及び比較例R2)
分散液を表9に記載のものに変更した以外は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記評価を行った。評価結果を表9に示す。
なお、実施例R1~実施例R14、実施例Y1、並びに、比較例R1及び比較例R2の着色感光性組成物における顔料の含有量はそれぞれ、感光性組成物の全固形分に対し、63質量%であった。
【0287】
【表9】
【0288】
(実施例B1~実施例B5、並びに、比較例B1及び比較例B2)
分散液を表10に記載のものに変更した以外は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記評価を行った。評価結果を表10に示す。
なお、実施例B1~実施例B5、並びに、比較例B1及び比較例B2の着色感光性組成物における顔料の含有量はそれぞれ、感光性組成物の全固形分に対し、63質量%であった。
【0289】
【表10】
【0290】
表5~表10に示すように、実施例の着色感光性組成物は、比較例の着色感光性組成物に比べ、現像残渣抑制性に優れるものであった。
また、上記表5~表10に示すように、実施例の着色感光性組成物は、顔料分散液の分散安定性、及び、得られる硬化物の密着性にも優れるものであった。
【0291】
(実施例G201~G279、及び、実施例R101~R110)
-Green組成物201-
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Green組成物を調製した。
Green顔料分散液201:64.2質量部
Yellow顔料分散液2:17.6質量部
樹脂D-7:1.2質量部
重合性化合物E1:0.5質量部
重合性化合物E6:0.5質量部
光重合開始剤F2:0.5質量部
界面活性剤H1:0.01質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール):0.01質量部
PGMEA:15.5質量部
シクロヘキサノン:1.0質量部
【0292】
重合性化合物E6:下記構造
【0293】
【化34】
【0294】
Green顔料分散液201を下記Green顔料分散液202~279に変更してGreen組成物202~279を作製した。
【0295】
・Green顔料分散液201の作製
C.I.Pigment Green 58を10.0質量部、樹脂D-1を固形分で2.5質量部、アミン化合物としてAM-9を0.15質量部、AM-23を0.15質量部、PGMEAを87.19質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Green顔料分散液201を得た。
【0296】
・Green顔料分散液202~279の作製
Green顔料分散液201におけるアミン化合物AM-23を表11中のアミン化合物に変更し、樹脂D-1を表11中の樹脂に変更し、PGMEAを表11中の溶媒に変更した以外は、Green顔料分散液201の作製と同様にして、Green顔料分散液202~279をそれぞれ作製した。
【0297】
【表11】
【0298】
実施例G201~G279は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記評価を行った。
評価結果はいずれも、実施例G51と同等の結果だった。
【0299】
・Yellow顔料分散液2
C.I.Pigment Yellow 185を11.8質量部、アミン化合物CAM-14を1.3質量部、樹脂D-2を固形分で4.6質量部、PGMEAを78.2質量部、PGMEを4.1質量部からなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Yellow顔料分散液2を得た。
【0300】
-Red組成物101の作製-
下記成分を混合し、撹拌した後、孔径0.45μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)製)でろ過して、Red組成物を調製した。
Red顔料分散液101:36.8質量部
Yellow顔料分散液3:26.8質量部
樹脂D-10:1.2質量部
重合性化合物E1:0.5質量部
光重合開始剤F2:0.3質量部
熱硬化性樹脂(EHPE3150、ダイセル化学工業(株)製):0.06質量部
界面活性剤H1:1.3質量部
重合禁止剤(p-メトキシフェノール):0.0005質量部
PGMEA:32.1質量部
シクロヘキサノン:1.0質量部
【0301】
-Red組成物102~110の作製-
Red顔料分散液101を下記Red顔料分散液102~110に変更した以外は、Red組成物101の作製と同様にして、Red組成物102~110をそれぞれ作製した。
【0302】
・Red顔料分散液101の作製
C.I.Pigment Red 254の5.6質量部と、C.I.Pigment Red 272の5.6質量部と、アミン化合物としてAM-9の0.8質量部とCAM-13の0.4質量部と、樹脂D-6の4.4質量部と、PGMEAの83.2質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合および分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、赤色顔料分散液を得た。
【0303】
・Red顔料分散液102~110の作製
Red顔料分散液201のアミン化合物CAM-13を表12中のアミン化合物に変更し、樹脂D-6を表12中の樹脂に変更した以外は、Red顔料分散液101の作製と同様にして、Red顔料分散液102~110をそれぞれ作製した。
【0304】
【表12】
【0305】
・Yellow顔料分散液3の作製
C.I.Pigment Yellow 139の10.3質量部と、アミン化合物CAM-14:1.8質量部と、樹脂D-1の2.0質量部と、樹脂D-14の2.0質量部とPGMEAの83.9質量部とからなる混合液を、ビーズミル(ジルコニアビーズ0.3mm径)により3時間混合及び分散して、顔料分散液を調製した。その後更に、減圧機構付き高圧分散機NANO-3000-10(日本ビーイーイー(株)製)を用いて、2,000kg/cmの圧力下で流量500g/minとして分散処理を行った。この分散処理を10回繰り返し、Yellow顔料分散液を得た。
【0306】
実施例R101~R110は、実施例G1と同様にして、着色感光性組成物を作製し、また、上記評価を行った。
評価結果はいずれも、実施例R1と同等の結果だった。
【0307】
以下の表13~表16に、実施例G201~G279、及び、実施例R101~R110において使用した、上述した以外の化合物の詳細を示す。
【0308】
【表13】
【0309】
【表14】
【0310】
【表15】
【0311】
【表16】
【0312】
(実施例301:固体撮像素子の作製)
シリコンウェハ上に、Green組成物201を製膜後の膜厚が0.4μmになるようにスピンコート法で塗布した。次いで、ホットプレートを用いて、100℃で2分間加熱した。次いで、i線ステッパー露光装置FPA-3000i5+(キヤノン(株)製)を用い、1,000mJ/cmで1.0μm四方のドットパターンのマスクを介して露光した。次いで、水酸化テトラメチルアンモニウム(TMAH)0.3質量%水溶液を用い、23℃で60秒間パドル現像を行った。その後、スピンシャワーにてリンスを行い、更に純水にて水洗した。次いで、ホットプレートを用いて、200℃で5分間加熱することで、シリコンウェハ上に、Green組成物をパターニングした。同様にRed組成物101、Blue組成物1を順次パターニングし、赤、緑及び青の着色パターン(Bayerパターン)を形成した。
なお、Bayerパターンとは、米国特許第3,971,065号明細書に開示されているような、一個の赤色(Red)素子と、二個の緑色(Green)素子と、一個の青色(Blue)素子とを有する色フィルタ素子の2×2アレイを繰り返したパターンである。
得られたカラーフィルタを公知の方法に従い固体撮像素子に組み込んだ。実施例で作成したいずれの着色感光性組成物を使用した場合でも、固体撮像素子は硬化膜における密着性に優れ、また、好適な画像認識能を有する固体撮像素子が得られたことが確認された。
【0313】
2020年3月25日に出願された日本国特許出願第2020-055020号の開示は、その全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び、技術規格は、個々の文献、特許出願、及び、技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。