(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150271
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】被加工物の処理方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/301 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H01L21/78 Q
H01L21/78 B
H01L21/78 M
H01L21/78 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023063610
(22)【出願日】2023-04-10
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深谷 幸太
【テーマコード(参考)】
5F063
【Fターム(参考)】
5F063AA18
5F063CB07
5F063CB28
5F063DD27
5F063DD82
5F063EE29
5F063EE30
5F063EE42
5F063EE81
(57)【要約】
【課題】被加工物の両面にシートを固定した場合でもシートを容易に剥離できる被加工物の処理方法を提供する事。
【解決手段】被加工物の処理方法は、第1シートを被加工物と中央の開口に被加工物を収容するフレームとの一方の面に熱圧着で固定する第1固定ステップ111と、第2シートを被加工物の他方の面に熱圧着で固定する第2固定ステップ112と、を有するシート固定ステップ101と、シート固定ステップ101の後に、被加工物を加工、検査、保管、輸送の少なくともいずれかを含む処理を実施する処理ステップ102と、処理ステップ102の後に、第1シートと第2シートとを被加工物とフレームとから剥離する剥離ステップ103と、を備え、シート固定ステップ101において、被加工物の外周とフレームの内周との間の領域において、第1シートと第2シートとを互いに隙間をあけて固定することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物の一方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第1シートを固定し、かつ、該被加工物の他方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第2シートを固定するシート固定ステップを備える被加工物の処理方法であって、
該シート固定ステップは、
該第1シートを、該被加工物と、中央の開口に該被加工物を収容するフレームと、の一方の面に熱圧着で固定する第1固定ステップと、
該第2シートを、該被加工物の他方の面に熱圧着で固定する第2固定ステップと、
を有し、
該シート固定ステップの後に、該被加工物を加工、検査、保管、輸送の少なくともいずれかを含む処理を実施する処理ステップと、
該処理ステップの後に、該第1シートと、該第2シートと、を該被加工物と該フレームとから剥離する剥離ステップと、
を備え、
該シート固定ステップにおいて、該被加工物の外周と該フレームの内周との間の領域において、該第1シートと該第2シートとを互いに隙間をあけて固定することを特徴とする被加工物の処理方法。
【請求項2】
該シート固定ステップにおいて、該第1シートの外縁と、該第2シートの外縁と、を該フレームに固定することで、該被加工物の外周と該フレームの内周との間の領域において、該第1シートと該第2シートとを互いに隙間をあけて固定する事を特徴とする請求項1に記載の被加工物の処理方法。
【請求項3】
該シート固定ステップにおいて、該被加工物の外周と該フレームの内周との間の領域において、該第1シートと該第2シートとの間に剥離部材を配置することを特徴とする請求項1に記載の被加工物の処理方法。
【請求項4】
該シート固定ステップにおいて、該第2シートは該被加工物の外縁と同形であることを特徴とする請求項1に記載の被加工物の処理方法。
【請求項5】
被加工物の一方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第1シートを固定し、かつ、該被加工物の他方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第2シートを固定するシート固定ステップを備える被加工物の処理方法であって、
該シート固定ステップは、
該第1シートを、該被加工物と、中央の開口に該被加工物を収容するフレームと、の一方の面に熱圧着で固定する第1固定ステップと、
該第2シートを、該被加工物の他方の面に熱圧着で固定する第2固定ステップと、
を有し、
該シート固定ステップの後に、該被加工物を加工、検査、保管、輸送の少なくともいずれかを含む処理を実施する処理ステップと、
該処理ステップの後に、該第1シートと、該第2シートと、を該被加工物と該フレームとから剥離する剥離ステップと、
を備え、
該剥離ステップは、該被加工物の外周に沿って該第1シートまたは該第2シートの少なくともいずれかを切断した後、被加工物と該フレームとから該第1シートと該第2シートとを除去する事を特徴とする被加工物の処理方法。
【請求項6】
該第1シートと該第2シートとは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのいずれかで構成される請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の被加工物の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工物の処理する被加工物の処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
異物の付着を防止するため、被加工物の両面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなるシートで一方の面を保護した状態で、切削加工やレーザ光線の照射、ブレーキング加工やシートの拡張などの加工や、被加工物の検査、被加工物の保管、被加工物の搬送を含む輸送等を実施する技術が知られている(例えば、特許文献1、2及び3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-077684号公報
【特許文献2】特開2020-077812号公報
【特許文献3】特開2013-058671号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、両方の面に熱可塑性樹脂からなるシートを固定して処理を行うと、シート同士が熱圧着により一体化してしまい、被加工物からの剥離が困難になるという問題があった。
【0005】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、被加工物の両面にシートを固定した場合でもシートを容易に剥離できる被加工物の処理方法を提供する事である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被加工物の処理方法は、被加工物の一方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第1シートを固定し、かつ、該被加工物の他方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第2シートを固定するシート固定ステップを備える被加工物の処理方法であって、該シート固定ステップは、該第1シートを、該被加工物と、中央の開口に該被加工物を収容するフレームと、の一方の面に熱圧着で固定する第1固定ステップと、該第2シートを、該被加工物の他方の面に熱圧着で固定する第2固定ステップと、を有し、該シート固定ステップの後に、該被加工物を加工、検査、保管、輸送の少なくともいずれかを含む処理を実施する処理ステップと、該処理ステップの後に、該第1シートと、該第2シートと、を該被加工物と該フレームとから剥離する剥離ステップと、を備え、該シート固定ステップにおいて、該被加工物の外周と該フレームの内周との間の領域において、該第1シートと該第2シートとを互いに隙間をあけて固定することを特徴とする。
【0007】
該シート固定ステップにおいて、該第1シートの外縁と、該第2シートの外縁と、を該フレームに固定することで、該被加工物の外周と該フレームの内周との間の領域において、該第1シートと該第2シートとを互いに隙間をあけて固定してもよい。
【0008】
該シート固定ステップにおいて、該被加工物の外周と該フレームの内周との間の領域において、該第1シートと該第2シートとの間に剥離部材を配置してもよい。
【0009】
該シート固定ステップにおいて、該第2シートは該被加工物の外縁と同形であってもよい。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の被加工物の処理方法は、被加工物の一方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第1シートを固定し、かつ、該被加工物の他方の面に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第2シートを固定するシート固定ステップを備える被加工物の処理方法であって、該シート固定ステップは、該第1シートを、該被加工物と、中央の開口に該被加工物を収容するフレームと、の一方の面に熱圧着で固定する第1固定ステップと、該第2シートを、該被加工物の他方の面に熱圧着で固定する第2固定ステップと、を有し、該シート固定ステップの後に、該被加工物を加工、検査、保管、輸送の少なくともいずれかを含む処理を実施する処理ステップと、該処理ステップの後に、該第1シートと、該第2シートと、を該被加工物と該フレームとから剥離する剥離ステップと、を備え、該剥離ステップは、該被加工物の外周に沿って該第1シートまたは該第2シートの少なくともいずれかを切断した後、被加工物と該フレームとから該第1シートと該第2シートとを除去する事を特徴とする。
【0011】
該第1シートと該第2シートとは、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのいずれかで構成されてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、被加工物の外周とフレームの開口を形成する内周との間の円環状の領域において、一方の面に固定された第1シートと、他方の面に固定された第2シートとが互いに接触しない隙間を設けるので、第1シートや第2シートの熱圧着の際に第1シートと第2シートとが互いに熱圧着されて一体化する事を防止できるため、被加工物の両面に第1シート及び第2シートを固定した場合でも第1シート及び第2シートを容易に剥離できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る被加工物の処理方法の処理手順を示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、
図1のシート固定ステップを説明する断面図である。
【
図3】
図3は、
図1の処理ステップの第1例を説明する断面図である。
【
図4】
図4は、
図1の処理ステップの第2例を説明する断面図である。
【
図5】
図5は、
図1の処理ステップの第3例を説明する断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態2に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップを説明する断面図である。
【
図9】
図9は、実施形態2に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【
図10】
図10は、実施形態2に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【
図11】
図11は、実施形態3に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップを説明する断面図である。
【
図12】
図12は、実施形態4に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップを説明する断面図である。
【
図13】
図13は、実施形態4に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【
図14】
図14は、実施形態4に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【
図15】
図15は、実施形態5に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップを説明する断面図である。
【
図16】
図16は、実施形態5に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【
図17】
図17は、実施形態5に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【
図18】
図18は、実施形態5に係る被加工物の処理方法の剥離ステップを説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0015】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る被加工物の処理方法を図面に基づいて説明する。
図1は、実施形態1に係る被加工物の処理方法の処理手順を示すフローチャートである。実施形態1に係る被加工物の処理方法は、
図1に示すように、シート固定ステップ101と、処理ステップ102と、剥離ステップ103と、を備える。
【0016】
実施形態1に係る被加工物の処理方法の処理対象である被加工物1は、実施形態1では、シリコン、サファイア、シリコンカーバイド(SiC)、ガリウムヒ素、ガラスなどを母材とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハなどである。被加工物1は平坦な表面において、交差(実施形態1では、直交)する複数の分割予定ラインで区画された領域にそれぞれチップ状のデバイスが形成されている。被加工物1は、分割予定ラインに沿って分割されることにより、デバイスのチップが製造される。また、被加工物1は、本発明では、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状のパッケージ基板、セラミックス板、又はガラス板等でもよい。
【0017】
図2は、
図1のシート固定ステップ101を説明する断面図である。シート固定ステップ101は、
図2に示すように、被加工物1の一方の面2に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第1シート11を固定し、かつ、被加工物1の他方の面3に糊層を有さない熱可塑性樹脂からなる第2シート12を固定するステップである。実施形態1では、一方の面2が被加工物1の裏面であり、他方の面3が被加工物1のデバイスが形成された表面であるが、本発明ではこれに限定されず、一方の面2が被加工物1のデバイスが形成された表面であり、他方の面3が被加工物1の裏面であってもよい。
【0018】
ここで、第1シート11及び第2シート12は、いずれも、糊層を有さない熱可塑性樹脂からなるシートである。本明細書では、糊層は、ここで、糊層は、粘着剤等の粘着性を有する合成樹脂から構成された層である。
【0019】
第1シート11及び第2シート12を構成する熱可塑性樹脂は、温度が10℃以上30℃以下での貯蔵弾性率は1×106Pa以上1×109Pa以下であり、温度が80℃以上100℃以下での貯蔵弾性率は1×106Pa以上1×107Pa以下である。
【0020】
貯蔵弾性率は、損失弾性率(動的損失弾性率)や損失正接とともに動的弾性率測定(Dynamic Mechanical Analysis、DMA)によって測定される。具体的には、貯蔵弾性率は、日本工業規格のJIS K 7244-4(非共振強制振動法)、JIS K 7244-5(曲げモード)及びJIS K 7244-6(せん断モード)のいずれかに従う方法で測定される。なお、日本工業規格によれば、貯蔵弾性率は、0.01GPa(1×107Pa)より小さい場合にはJIS K 7244-6(せん断モード)に従う方法で測定することが好ましく、0.01GPa以上5GPa以下(1×107Pa以上5×109Pa以下)である場合にはJIS K 7244-4(非共振強制振動法)に従う方法で測定することが好ましく、5GPa(5×109Pa)より大きい場合にはJIS K 7244-5(曲げモード)に従う方法で測定することが好ましいとされている。
【0021】
貯蔵弾性率は、一般に測定時の温度及び測定時に加える変形の周波数(速度)によって変化する。第1シート11及び第2シート12を構成する熱可塑性樹脂は、より詳細には、温度が10℃以上30℃以下、及び、変形の周波数が0.01Hz以上10Hz以下の条件下において測定した貯蔵弾性率が1×106Pa以上1×109Pa以下であり、温度が80℃以上100℃以下、及び、変形の周波数が0.01Hz以上10Hz以下の条件下において測定した貯蔵弾性率は1×106Pa以上1×107Pa以下である。
【0022】
第1シート11及び第2シート12を構成する熱可塑性樹脂は、上記のような貯蔵弾性率を有し、温度が上昇することにより貯蔵弾性率が低下する性質を有するため、糊層を有さず、かつ、加熱することにより被加工物1の面に熱圧着して固定することが可能となる。なお、樹脂の貯蔵弾性率が1×106Pa未満である場合、当該樹脂がべたつき、粘着性が強過ぎるため、糊層を形成してしまう。樹脂の貯蔵弾性率が1×109Paより高い場合、当該樹脂が硬すぎて、被加工物1の面に固定されない恐れがある。
【0023】
第1シート11及び第2シート12を構成する熱可塑性樹脂は、実施形態1では、具体的には、いずれも、ポリオレフィンであり、ポリオレフィンは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンである。すなわち、第1シート11及び第2シート12は、いずれも、主な素材がポリオレフィンでシート状に形成されたもの、すなわちポリオレフィン系シートが好ましく、例えば、ポリエチレンシート、ポリプロピレンシート、ポリスチレンシートが好ましい。
【0024】
シート固定ステップ101は、
図1に示すように、第1固定ステップ111と、第2固定ステップ112と、を有する。第1固定ステップ111は、第1シート11を、被加工物1と、中央の開口9(
図2参照)に被加工物1を収容するフレーム6(
図2参照)と、の一方の面2,7(
図2参照)に熱圧着で固定するステップである。第2固定ステップ112は、第2シート12を、被加工物1の他方の面3に熱圧着で固定するステップである。第2固定ステップ112では、実施形態1では、第2シート12を、被加工物1とフレーム6との他方の面3,8(
図2参照)に熱圧着で固定する。なお、実施形態1では、シート固定ステップ101において、第1固定ステップ111の実施後に第2固定ステップ112を実施するが、本発明ではこれに限定されず、第2固定ステップ112の実施後に第1固定ステップ111を実施してもよい。
【0025】
ここで、実施形態1に係る被加工物の処理方法で使用するフレーム6は、一方の面7と他方の面8とが互いに平行な板状に形成されており、中央に被加工物1の外径より大きい内径を有する円形状の開口9が形成されることにより、環状に形成されている。このため、フレーム6は、開口9に被加工物1を収容することができる。フレーム6は、実施形態1では、
図2に示すように、被加工物1よりわずかに厚く形成されているが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1と同じ厚みに形成されてもよいし、被加工物1より薄く形成されてもよい。フレーム6は、実施形態1では、金属製であり、例えばSUS製である。
【0026】
第1シート11及び第2シート12は、実施形態1では、いずれも、フレーム6の開口9を十分に覆い、かつ、フレーム6の外周からはみ出さない形状及び大きさのシート状に形成される。第1シート11及び第2シート12は、例えば、被加工物1の外径より大きく、フレーム6の開口9の内径より大きく、かつ、フレーム6の外径より小さな円形のシート状に形成される。
【0027】
第1固定ステップ111では、まず、被加工物1がフレーム6の開口9の中心にくるように被加工物1及びフレーム6を載置し、被加工物1及びフレーム6のそれぞれの一方の面2,7に第1シート11の面を接触して配置する。実施形態1では、不図示の保持テーブル上に、被加工物1及びフレーム6を、それぞれの一方の面2,7を上方に露出させて載置し、被加工物1及びフレーム6のそれぞれの一方の面2,7上に第1シート11を載置するが、本発明ではこれに限定されず、不図示の保持テーブル上に第1シート11を載置し、第1シート11上に、被加工物1及びフレーム6を、それぞれの一方の面2,7を第1シート11に向けて載置してもよい。
【0028】
第1固定ステップ111では、次に、第1シート11を所定の温度(実施形態1では例えば50~150℃)で加熱して軟化させながら、被加工物1及びフレーム6と第1シート11とを厚み方向に沿って互いに接近させる方向に所定の押圧力(実施形態1では例えば0.3MPa以上)で所定の時間(実施形態1では例えば30秒以上)押圧することにより、第1シート11を被加工物1及びフレーム6のそれぞれの一方の面2,7に熱圧着して固定する。この第1固定ステップ111では、不図示の保持テーブルの内部もしくは平面視で第1シート11を十分に覆う形状及び大きさを有する矩形状の押圧部材の内部に備えられた熱源により第1シート11を加熱しながら、この押圧部材で押圧して、熱圧着してもよい。また、この第1固定ステップ111では、不図示の保持テーブルの内部もしくは不図示の押圧ローラの内部に備えられた熱源により第1シート11を加熱しながら、不図示の押圧ローラを、第1シート11を介してフレーム6の一方の面7上の一端から被加工物1の一方の面2上を通ってフレーム6の一方の面7上の他端まで回転移動させることにより押圧して、熱圧着してもよい。また、第1固定ステップ111では、赤外線によって、第1シート11、被加工物1、フレーム6及び保持テーブルの少なくともいずれかを加熱してもよい。
【0029】
もしくは、この第1固定ステップ111では、不図示のローラを、第1シート11を介してフレーム6の一方の面7上の一端から被加工物1の一方の面2上を通ってフレーム6の一方の面7上の他端まで回転移動させることにより、第1シート11を被加工物1及びフレーム6の一方の面2,7上に密着させた後に、第1シート11側から工業用ドライヤーで所定の温度(実施形態1では例えば150℃以上)の熱風を吹き付けることにより第1シート11を加熱して軟化させることで、第1シート11を被加工物1及びフレーム6に向けて押圧することなく、すなわち押圧力が0MPa下で、軟化した第1シート11を被加工物1及びフレーム6の一方の面2,7に熱圧着して固定してもよい。
【0030】
実施形態1では、第1固定ステップ111において、被加工物1の外周4とフレーム6の開口9を形成する内周との間の円環状の領域(以下、円環領域、と称する)において、第1シート11が厚み方向に弛むことを抑制しながら実施する。これにより、後述する第2固定ステップ112の実施後に、より確実に、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに接触しない隙間をあけて固定することができる。
【0031】
第2固定ステップ112では、まず、被加工物1及びフレーム6の第1シート11が熱圧着された側の一方の面2,7とは反対側の他方の面3,8に第2シート12の面を接触して配置する。実施形態1では、第1シート11側を上方にして配置してもよいし、第2シート12側を上方にして配置してもよい。
【0032】
第2固定ステップ112では、次に、第2シート12を所定の温度(実施形態1では例えば50~150℃)で加熱して軟化させながら、被加工物1及びフレーム6と第2シート12とを厚み方向に沿って互いに接近させる方向に所定の押圧力(実施形態1では例えば0.3MPa以上)で所定の時間(実施形態1では例えば30秒以上)押圧することにより、第2シート12を被加工物1及びフレーム6のそれぞれの他方の面3,8に熱圧着して固定する。なお、第2固定ステップ112における加熱及び押圧は、第1固定ステップ111における加熱及び押圧と同様の方法で実施する。例えば、第2固定ステップ112では、不図示の保持テーブルの内部もしくは押圧部材の内部に備えられた熱源や、不図示の押圧ローラの内部に備えられた熱源、または赤外線によって、第2シート12、被加工物1、フレーム6及び保持テーブルの少なくともいずれかを加熱してもよい。第2固定ステップ112では、第1固定ステップ111で被加工物1及びフレーム6の一方の面2,7に熱圧着して固定した第1シート11が剥離することを抑制しながら実施する。
【0033】
また、実施形態1では、第2固定ステップ112において、第1固定ステップ111と同様に、円環領域において第2シート12が厚み方向に弛むことを抑制しながら実施する。これにより、より確実に、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに接触しない隙間をあけて固定することができる。
【0034】
このように、シート固定ステップ101を実施すると、
図2に示すように、被加工物1及びフレーム6のそれぞれの一方の面2,7に第1シート11が固定され、被加工物1及びフレーム6のそれぞれの他方の面3,8に第2シート12が固定される。実施形態1では、シート固定ステップ101の第1固定ステップ111において、第1シート11の外縁をフレーム6に固定し、シート固定ステップ101の第2固定ステップ112において、第2シート12の外縁をフレーム6に固定することで、より確実に、円環領域において第1シート11と第2シート12とを互いに接触しない隙間をあけて固定することができる。
【0035】
処理ステップ102は、シート固定ステップ101の後に、第1シート11及び第2シート12を両面のそれぞれに固定した被加工物1を、加工、検査、保管、輸送の少なくともいずれかを含む処理を実施するステップである。
図3は、
図1の処理ステップ102の第1例であるレーザ加工を説明する断面図である。
図4は、
図1の処理ステップ102の第2例であるエキスパンド加工を説明する断面図である。
図5は、
図1の処理ステップ102の第3例であるローラブレイキング加工を説明する断面図である。
【0036】
処理ステップ102の第1例では、
図3に示すように、レーザ照射器20により、第1シート11及び第2シート12を両面のそれぞれに固定した被加工物1の内部に、被加工物1に対して透過性を有するレーザ光線21の集光点22を合わせて、レーザ光線21を照射しながら、不図示の駆動源により被加工物1とレーザ光線21の集光点22とを相対的に分割予定ラインに沿って移動させることにより、被加工物1をレーザ光線21でレーザ加工して、被加工物1の内部に分割予定ラインに沿って改質層を形成する。ここで、改質層は、密度、屈折率、機械的強度やその他の物理的特性が周囲のそれとは異なる状態になった領域のことを意味し、溶融処理領域、クラック領域、絶縁破壊領域、屈折率変化領域、及びこれらの領域が混在した領域等を例示できる。このような改質層は、改質層から被加工物1の上下方向に延びるクラックとともに、被加工物1を分割する分割起点となる。
【0037】
処理ステップ102の第1例では、実施形態1では、第2シート12が固定された他方の面3側から第2シート12を介して被加工物1にレーザ光線21を照射するが、本発明ではこれに限定されず、第1シート11が固定された一方の面2側から第1シート11を介して被加工物1にレーザ光線21を照射してもよい。
【0038】
また、処理ステップ102の第1例では、実施形態1では、被加工物1に対して透過性を有するレーザ光線21を照射して被加工物1の内部に改質層を形成するが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1に対して吸収性を有するレーザ光線21を照射して被加工物1をアブレーション(昇華もしくは蒸発)させるいわゆるアブレーション加工を実施して、被加工物1に改質層と同様に分割起点となるレーザ加工溝を形成してもよいし、被加工物1を完全に分割してもよい。
【0039】
処理ステップ102の第2例は、実施形態1では、例えば、処理ステップ102の第1例の実施後の被加工物1等、分割予定ラインに沿って分割起点が形成された被加工物1に対して実施される。処理ステップ102の第2例では、
図4に示すように、エキスパンド装置30のフレーム固定部31によりフレーム6を外周側から固定し、被加工物1のいずれかの面を保持テーブル32上に載置し、不図示の昇降ユニットにより保持テーブル32及び突き上げ部材33(拡張ローラ34)を、フレーム6を固定するフレーム固定部31に対して相対的に上昇させることにより、拡張ローラ34により第1シート11及び第2シート12の円環領域を被加工物1の厚み方向に押圧する。なお、処理ステップ102の第2例では、第1シート11側から拡張ローラ34により押圧してもよいし、第2シート12側から拡張ローラ34により押圧してもよい。これにより、処理ステップ102の第2例では、第1シート11及び第2シート12が面方向に拡張することに伴って発生する引っ張り力により、被加工物1を、分割起点を起点に分割する。
【0040】
処理ステップ102の第3例は、実施形態1では、例えば、処理ステップ102の第1例の実施後の被加工物1等、分割予定ラインに沿って分割起点が形成された被加工物1に対して実施される。処理ステップ102の第3例では、
図5に示すように、被加工物1のいずれかの面をローラブレイキング装置40の保持テーブル41のテーブル基台42の上面に設けられた弾性部材43の保持面44上に載置し、押圧ローラ45を、保持面44上に保持された被加工物1及びフレーム6に対し、上方から、第1シート11側を保持面44上に載置した場合には被加工物1の他方の面3側から第2シート12を介して、第2シート12側を保持面44上に載置した場合には被加工物1の一方の面2側から第1シート11を介して、下方に向けて押圧しながら、被加工物1の一端から他端に向かって回転移動する。これにより、処理ステップ102の第3例では、押圧ローラ45による押圧力を被加工物1に付与し、押圧ローラ45による押圧によって弾性部材43において発生する弾性力を被加工物1に付与することにより、被加工物1に両面から外力を付与して、分割起点を起点に分割する。
【0041】
処理ステップ102では、他にも、第2シート12が固定された他方の面3側から第2シート12ごと、切削ブレードによって被加工物1を切削加工して、被加工物1に切削溝を形成したり、被加工物1を完全に分割したりしてもよい。また、処理ステップ102では、処理ステップ102の第1例の実施後の被加工物1等、分割予定ラインに沿って分割起点が形成された被加工物1に対して、第1シート11又は第2シート12を介して被加工物1の分割予定ライン上に位置付けた不図示のブレーキングブレードを被加工物1に押圧して、被加工物1を、分割起点を起点に分割してもよい。また、処理ステップ102では、第1シート11及び第2シート12を両面のそれぞれに固定した被加工物1の内部に、例えば第1シート11及び第2シート12を透過する検査用の光を照射して、被加工物1を検査してもよい。また、処理ステップ102では、不図示のカセットに収容して保管してもよい。また、処理ステップ102では、不図示の搬送ユニットにより、被加工物1に固定された第1シート11または第2シート12を吸着することにより被加工物1を間接的に吸着保持して、搬送してもよいし、被加工物1に装着されたフレーム6を把持することにより被加工物1を間接的に把持して、搬送してもよい。処理ステップ102では、被加工物1を第1シート11及び第2シート12を両面のそれぞれに固定した状態で、他の装置や他の工場等に搬送してもよい。処理ステップ102では、本発明ではこれらに限定されず、第1シート11及び第2シート12が被加工物1の両面のそれぞれに固定されている場合に実施可能なあらゆる被加工物1の加工、検査、保管、輸送の処理を実施してもよい。
【0042】
剥離ステップ103は、処理ステップ102の後に、第1シート11と、第2シート12と、を被加工物1とフレーム6とから剥離するステップである。
図6及び
図7は、
図1の剥離ステップ103を説明する断面図である。実施形態1では、剥離ステップ103では、まず、
図6に示すように、第2シート12を被加工物1とフレーム6とから剥離する。具体的には、剥離ステップ103では、保持テーブル51により下方から第1シート11を介して被加工物1及びフレーム6を吸引保持し、上方から第2シート12を剥離する。剥離ステップ103では、次に、
図7に示すように、第1シート11を被加工物1とフレーム6とから剥離する。具体的には、剥離ステップ103では、保持テーブル51により下方から被加工物1及びフレーム6を吸引保持し、上方から第1シート11を剥離する。なお、剥離ステップ103では、第1シート11と第2シート12とのどちらを先に被加工物1から剥離してもよい。また、剥離ステップ103では、第1シート11と第2シート12とのいずれか一方を剥離した後に、処理ステップ102と同様の加工や検査を実施してから、第1シート11と第2シート12とのいずれか他方を剥離してもよい。
【0043】
以上のような構成を有する実施形態1に係る被加工物の処理方法は、被加工物1の外周4とフレーム6の開口9を形成する内周との間の円環状の領域(円環領域)において、一方の面2,7に固定された第1シート11と、他方の面3,8に固定された第2シート12とが互いに接触しない隙間を設けるので、第1シート11や第2シート12の熱圧着の際に第1シート11と第2シート12とが互いに熱圧着されて一体化する事を防止できるため、被加工物1の両面に第1シート11及び第2シート12を固定した場合でも第1シート11及び第2シート12を容易に剥離できるという作用効果を奏する。
【0044】
また、実施形態1に係る被加工物の処理方法は、シート固定ステップ101において、第1シート11の外縁と、第2シート12の外縁と、をフレーム6に固定することで、円環領域において第1シート11と第2シート12とを互いに隙間をあけて固定する。このため、実施形態1に係る被加工物の処理方法は、より確実に、円環領域において第1シート11と第2シート12とを互いに接触しない隙間をあけて固定することができる。
【0045】
また、実施形態1に係る被加工物の処理方法は、第1シート11と第2シート12とが、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンのいずれかで構成されるため、糊層を有さず、かつ、好適に、加熱することにより被加工物1の面に熱圧着して固定することができる。
【0046】
〔実施形態2〕
本発明の実施形態2に係る被加工物の処理方法を説明する。
図8は、実施形態2に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101を説明する断面図である。
図9及び
図10は、いずれも、実施形態2に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103を説明する断面図である。なお、
図8、
図9及び
図10は、実施形態1と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
実施形態2に係る被加工物の処理方法は、実施形態1に係る被加工物の処理方法において、シート固定ステップ101を変更し、これに伴い剥離ステップ103を変更したものである。実施形態2に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101は、実施形態1に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101において、円環領域において第1シート11と第2シート12との間に剥離部材13(
図8参照)を配置するように変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0048】
実施形態2に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101において、第1固定ステップ111は、実施形態1と同様である。実施形態2の第2固定ステップ112は、実施形態1の第2固定ステップ112において、第1シート11が熱圧着された被加工物1及びフレーム6の他方の面3,8に第2シート12の面を接触して配置する前に、円環領域に円環状の剥離部材13を配置してから、剥離部材13を第1シート11と第2シート12とで挟み込むように、第2シート12を配置するように変更したものである。
【0049】
ここで、実施形態2に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101で使用する剥離部材13は、板状に形成されており、内径が被加工物1の外径より少し大きく、外径がフレーム6の開口9の内径より少し小さい円環状に形成されている。このため、剥離部材13は、内周側に被加工物1を配し、外周側にフレーム6を配して、円環領域に配置することができる。剥離部材13は、実施形態2では、
図8に示すように、被加工物1及びフレーム6と概ね同等の厚みに形成されているが、本発明ではこれに限定されず、被加工物1及びフレーム6より薄く形成されてもよい。剥離部材13は、実施形態2では、第1シート11及び第2シート12と熱圧着されて一体化されなければどのような素材で形成されてもよく、第1シート11及び第2シート12と異なる素材で形成されており、例えばポリエチレンテレフタレート(Poly Ethylene Terephthalate、PET)製のシートや、任意の素材のシートにフッ素樹脂コーティングがされたもの等が挙げられる。また、剥離部材13は、シートを有さず、第1シート11または第2シート12の少なくともいずれかの円環領域に被覆されたフッ素樹脂コーティング剤で構成されてもよい。
【0050】
このように、実施形態2のシート固定ステップ101を実施すると、
図8に示すように、被加工物1及びフレーム6のそれぞれの一方の面2,7に第1シート11が固定され、被加工物1及びフレーム6のそれぞれの他方の面3,8に第2シート12が固定され、円環領域において第1シート11と第2シート12との間に円環状の剥離部材13が配置される。実施形態2では、シート固定ステップ101において、円環領域において第1シート11と第2シート12との間に円環状の剥離部材13を配置することで、より確実に、円環領域において剥離部材13により、より確実に、第1シート11と第2シート12とを互いに接触しない隙間をあけて固定することができる。
【0051】
実施形態2に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103は、実施形態1に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103において、円環領域において第1シート11と第2シート12との剥離前に、第1シート11と第2シート12との間に剥離部材13が配置されていることを除き、実施形態1と同様である。具体的には、実施形態2では、剥離ステップ103では、まず、
図9に示すように、保持テーブル51により下方から第1シート11を介して被加工物1、フレーム6及び剥離部材13を吸引保持し、上方から第2シート12を剥離し、次に、
図10に示すように、保持テーブル51により下方から被加工物1、フレーム6及び剥離部材13を吸引保持し、上方から第1シート11を剥離する。なお、実施形態2の剥離ステップ103では、第1シート11と第2シート12とのどちらを先に被加工物1から剥離してもよい。
【0052】
以上のような構成を有する実施形態2に係る被加工物の処理方法は、シート固定ステップ101において、円環領域において第1シート11と第2シート12との間に剥離部材13(
図8参照)を配置するように変更したものである。このため、実施形態2に係る被加工物の処理方法は、剥離部材13により、より確実に、第1シート11と第2シート12とを互いに接触しない隙間をあけて固定することができ、これにより、被加工物1の両面に第1シート11及び第2シート12を固定した場合でも第1シート11及び第2シート12を容易に剥離できるという作用効果を奏する。
【0053】
〔実施形態3〕
本発明の実施形態3に係る被加工物の処理方法を説明する。
図11は、実施形態3に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101を説明する断面図である。なお、
図11は、実施形態1及び実施形態2と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
実施形態3に係る被加工物の処理方法は、実施形態2に係る被加工物の処理方法において、シート固定ステップ101を変更し、これに伴い剥離ステップ103を変更したものであり、その他の構成は実施形態2と同様である。
【0055】
実施形態3に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101は、実施形態2に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101において、第2固定ステップ112で、第1シート11が熱圧着された被加工物1及びフレーム6の他方の面3,8及び剥離部材13の面に、第2シート12の面を接触して配置した後に熱圧着することに代えて、第1シート11が熱圧着された被加工物1の他方の面3及び剥離部材13の面に、第2シート12の面を接触して配置した後に熱圧着するように変更したものである。この変更に際し、第2シート12の形状及び大きさが、被加工物1の外周4を十分に覆うもののフレーム6の開口9に到達しない形状及び大きさ、例えば被加工物1の外径より大きく、かつ、フレーム6の開口9の内径より小さな円形に変更される。
【0056】
また、この変更に際し、実施形態3に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103は、実施形態2に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103において、剥離する第2シート12の形状及び大きさが変更される。実施形態3に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103では、第2シート12が第1シート11よりも小さいため、第2シート12を第1シート11よりも先に被加工物1から剥離することが好ましい。
【0057】
以上のような構成を有する実施形態3に係る被加工物の処理方法は、実施形態2に係る被加工物の処理方法において、被加工物1の他方の面3に熱圧着する第2シート12の形状及び大きさを小さく変更したものであるので、実施形態2に係る被加工物の処理方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0058】
〔実施形態4〕
本発明の実施形態4に係る被加工物の処理方法を説明する。
図12は、実施形態4に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101を説明する断面図である。
図13及び
図14は、いずれも、実施形態4に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103を説明する断面図である。なお、
図12、
図13及び
図14は、実施形態1から実施形態3と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0059】
実施形態4に係る被加工物の処理方法は、実施形態1に係る被加工物の処理方法において、シート固定ステップ101を変更し、これに伴い剥離ステップ103を変更したものであり、その他の構成は実施形態1と同様である。
【0060】
実施形態4に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101は、実施形態1に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101において、第2固定ステップ112で、第1シート11が熱圧着された被加工物1及びフレーム6の他方の面3,8及び剥離部材13の面に、第2シート12の面を接触して配置した後に熱圧着することに代えて、第1シート11が熱圧着された被加工物1の他方の面3に、第2シート12の面を接触して配置した後に熱圧着するように変更したものである。この変更に際し、第2シート12の形状及び大きさが、平面視で被加工物1の外周4(外縁)と所定の誤差の範囲内で同形に変更される。実施形態4では、このように第2シート12が被加工物1の外周4(外縁)からはみ出ないので、より確実に、円環領域において第1シート11と第2シート12とを互いに接触しない隙間をあけて固定することができる。
【0061】
また、この変更に際し、実施形態4に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103は、実施形態1に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103において、剥離する第2シート12の形状及び大きさが変更される。実施形態4に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103では、第2シート12が第1シート11よりも小さいため、
図13に示すように、第2シート12を第1シート11よりも先に被加工物1から剥離した後に、
図14に示すように、第1シート11を被加工物1から剥離することが好ましい。
【0062】
以上のような構成を有する実施形態4に係る被加工物の処理方法は、実施形態1に係る被加工物の処理方法において、被加工物1の他方の面3に熱圧着する第2シート12の形状及び大きさを被加工物1の外周4(外縁)と同形に変更したものであるので、実施形態1に係る被加工物の処理方法と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0063】
〔実施形態5〕
本発明の実施形態5に係る被加工物の処理方法を説明する。
図15は、実施形態5に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101を説明する断面図である。
図16、
図17及び
図18は、いずれも、実施形態5に係る被加工物の処理方法の剥離ステップ103を説明する断面図である。なお、
図15、
図16、
図17及び
図18は、実施形態1から実施形態4と同一部分に同一符号を付して説明を省略する。
【0064】
実施形態5に係る被加工物の処理方法は、実施形態1に係る被加工物の処理方法において、シート固定ステップ101及び剥離ステップ103を変更したものである。
【0065】
実施形態5に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101は、実施形態1に係る被加工物の処理方法のシート固定ステップ101において、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに接触しない隙間をあけて固定しなくてもいいように変更したものである。実施形態5のシート固定ステップ101で、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに熱圧着されない場合、剥離ステップ103は、実施形態1と同様になる。一方、実施形態5のシート固定ステップ101で、
図15に示すように、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに熱圧着された場合、剥離ステップ103は、実施形態1から変更される。
【0066】
実施形態5において、シート固定ステップ101で、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに熱圧着された場合、剥離ステップ103では、被加工物1の外周4に沿って第1シート11または第2シート12の少なくともいずれかを切断した後、被加工物1とフレーム6とから第1シート11と第2シート12とを除去する。
【0067】
実施形態5において、シート固定ステップ101で、円環領域において第1シート11と第2シート12とが互いに熱圧着された場合、剥離ステップ103では、具体的には、まず、
図16に示すように、レーザ照射器60により、被加工物1の外周4に沿って第2シート12を切断する。剥離ステップ103では、第2シート12の上面に、第2シート12に対して吸収性を有するレーザ光線61の集光点62を合わせて、レーザ光線61を照射しながら、不図示の駆動源により第2シート12とレーザ光線61の集光点62とを相対的に被加工物1の外周4に沿って移動させることにより、第2シート12をレーザ光線61で被加工物1の外周4に沿ってアブレーション加工して、第2シート12における被加工物1の外周4より内側の内周部12-1と、第2シート12における被加工物1の外周4より外側の外周部12-2とを切断する。なお、第2シート12の切断位置は、被加工物1の外周4に限らず被加工物1の外周4より外側や内側でも良い。剥離ステップ103では、これにより、互いに熱圧着された第1シート11と第2シート12とにおいて、内周部12-1が、互いに熱圧着された状態の第1シート11と外周部12-2とから切り離される。なお、実施形態5では、レーザ光線61により第2シート12を内周部12-1との外周部12-2とに切断するが、本発明ではこれに限定されず、カッターや切削ブレード等のその他の手段により第2シート12を内周部12-1との外周部12-2とに切断してもよい。また、第2シート12だけでなく第1シート11まで切断しても良い。
【0068】
実施形態5において、剥離ステップ103では、次に、
図17に示すように、保持テーブル51により下方から第1シート11を介して被加工物1及びフレーム6を吸引保持し、上方から内周部12-1を被加工物1から剥離する。剥離ステップ103では、そして、
図18に示すように、保持テーブル51により下方から被加工物1及びフレーム6を吸引保持し、上方から第1シート11と外周部12-2とを、被加工物1とフレーム6とから剥離する。
【0069】
なお、実施形態5では、シート固定ステップ101で第1シート11のみがフレーム6に熱圧着され、剥離ステップ103で、第2シート12を内周部12-1と外周部12-2とに切断して、第2シート12の内周部12-1を剥離した後に、第1シート11と第2シート12の外周部12-2とを剥離するが、本発明ではこれに限定されず、シート固定ステップ101で第2シート12のみがフレーム6に熱圧着され、剥離ステップ103で、第1シート11を内周部と外周部とに切断して、第1シート11の内周部を剥離した後に、第2シート12と第1シート11の外周部とを剥離してもよい。
【0070】
以上のような構成を有する実施形態5に係る被加工物の処理方法は、被加工物1の外周4とフレーム6の開口9を形成する内周との間の円環状の領域(円環領域)において、一方の面2,7に固定された第1シート11と、他方の面3,8に固定された第2シート12とが互いに熱圧着されて一体化しても、剥離ステップ103で、被加工物1の外周4に沿って第1シート11または第2シート12の少なくともいずれかを切断した後、被加工物1とフレーム6とから第1シート11と第2シート12とを除去するため、被加工物1の両面に第1シート11及び第2シート12を固定した場合でも第1シート11及び第2シート12を容易に剥離できるという作用効果を奏する。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 被加工物
2,7 一方の面
3,8 他方の面
4 外周
6 フレーム
9 開口
11 第1シート
12 第2シート
13 剥離部材
101 シート固定ステップ
102 処理ステップ
103 剥離ステップ
111 第1固定ステップ
112 第2固定ステップ