IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日亜化学工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図1
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図2
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図3
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図4
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図5
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図6
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図7
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図8
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図9
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図10
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図11
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図12
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図13
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図14
  • 特開-発光装置、又は、光学部材 図15
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150736
(43)【公開日】2024-10-23
(54)【発明の名称】発光装置、又は、光学部材
(51)【国際特許分類】
   H01S 5/0239 20210101AFI20241016BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20241016BHJP
   H01S 5/022 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
H01S5/0239
H01S5/042 612
H01S5/022
【審査請求】有
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024126105
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2020068007の分割
【原出願日】2020-04-06
(71)【出願人】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119301
【弁理士】
【氏名又は名称】蟹田 昌之
(72)【発明者】
【氏名】山下 利章
(57)【要約】
【課題】 検出精度に優れた光学部材または発光装置を提供する。
【解決手段】 入射される光と異なる波長の光を出射する波長変換部材と、波長変換部材
に入射する主要な光を囲う配線と、を有する光学部材、または、さらに発光素子を有する
発光装置である。また、この配線は、酸化ルテニウムを用いて形成されている。あるいは
、この配線は、酸化物であるか、光に対する透過率が60%以下であるかの、少なくとも
いずれかを満たし、かつ、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状
態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下であるか、常温から10
0℃の環境下へと移した状態で50時間または100時間保管した場合のシート抵抗の変
化率が3%未満であるかの、少なくともいずれかを満たす。
【選択図】 図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子と、
前記発光素子から出射される光を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部と、前記波長変換部を囲う包囲部と、前記包囲部に設けられ前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、
を有し、
前記導電膜が、所定の温度でアニール処理された酸化ルテニウムを用いて形成されている発光装置。
【請求項2】
発光素子と、
前記発光素子から出射される光を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部と、前記波長変換部を囲う包囲部と、前記包囲部に設けられ前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、
を有し、
前記導電膜は、所定の温度でアニール処理されており、かつ、酸化物であり、かつ、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下である発光装置。
【請求項3】
発光素子と、
前記発光素子から出射される光を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部
と、前記波長変換部の側面を囲う包囲部と、前記包囲部に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、
を有し、
前記導電膜は、所定の温度でアニール処理されており、かつ、前記発光素子から出射された光に対する透過率が60%以下であり、かつ、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下である発光装置。
【請求項4】
前記包囲部は、前記発光素子から出射される光を異なる波長の光に変換して外部に出射することができない請求項1乃至3のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項5】
発光素子と、
前記発光素子からの主要部分の光が入射する波長変換部と、前記発光素子からの主要部分の光が入射する領域の外側で当該領域を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、
を有し、
前記導電膜は、所定の温度でアニール処理されており、かつ、前記発光素子から出射された光に対する透過率が60%以下であり、かつ、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下である発光装置。
【請求項6】
発光素子と、
前記発光素子から出射される光を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部と、前記波長変換部を囲う包囲部と、前記包囲部に設けられ前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、
を有し、
前記導電膜は、160℃の環境下で、かつ、10時間以上の保管時間で保管された場合に、シート抵抗の変化率がほぼ一定である、発光装置。
【請求項7】
前記導電膜は、前記波長変換部に破壊などの異常が発生したか否かを検知する異常検知素子である請求項1乃至6のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記波長変換部は、前記発光素子からの光が入射する入射面を有し、
前記導電膜は、前記入射面側に設けられる請求項1乃至7のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記波長変換部材は、前記波長変換部の外側に配され、前記導電膜と電気的に接続する金属膜をさらに有する請求項1乃至8のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記波長変換部材と接続する透光性部材をさらに有し、
前記導電膜は、前記波長変換部材の、前記透光性部材と対向する側に設けられる請求項1乃至9のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記導電膜は、前記透光性部材とは接触しない請求項10に記載の発光装置。
【請求項12】
前記所定の温度は、150℃以上である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項13】
前記所定の温度は、想定される前記導電膜の使用環境の温度範囲に対し、該温度範囲における最大温度を超える温度である請求項1乃至5のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項14】
入射される光と異なる波長の光を出射する波長変換部と、前記波長変換部の側面を囲う包囲部と、を有する母材と、
前記包囲部の上面または下面に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有し、
前記導電膜は、所定の温度でアニール処理された酸化ルテニウムを用いて形成される光学部材。
【請求項15】
入射される光と異なる波長の光を出射する波長変換部と、前記波長変換部の側面を囲う包囲部と、を有する母材と、
前記包囲部の上面または下面に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有し、
前記導電膜は、所定の温度でアニール処理されており、かつ、酸化物であり、常温から100℃の環境下へと移した状態で50時間または100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が3%未満である光学部材。
【請求項16】
入射される光と異なる波長の光を出射する波長変換部を有する母材と、
前記母材の所定の領域を囲う導電膜と、を有し、
前記導電膜は、所定の温度でアニール処理されており、かつ、可視光に対する透過率が60%以下であり、常温から100℃の環境下へと移した状態で50時間または100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が3%未満である光学部材。
【請求項17】
前記所定の温度は、150℃以上である請求項14乃至16のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項18】
前記所定の温度は、想定される前記導電膜の使用環境の温度範囲に対し、該温度範囲における最大温度を超える温度である請求項14乃至16のいずれか一項に記載の発光装置。
【請求項19】
入射される光と異なる波長の光を出射する波長変換部と、前記波長変換部の側面を囲う包囲部と、を有する母材と、
前記包囲部の上面または下面に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有し、
前記導電膜は、160℃の環境下で、かつ、10時間以上の保管時間で保管された場合に、シート抵抗の変化率がほぼ一定である光学部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、又は、光学部材に関する。
【背景技術】
【0002】
レーザ光は種々の用途に利用される。また、レーザ光を利用するときには、安全性への
配慮が要求されることがある。特許文献1には、励起光であるレーザ光を異なる波長の光
に変換可能な変換部材と、変換部材の破損などの検出を目的とした導電性細線と、を有す
る光学部材が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-117827
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、検出精度に優れた光学部材または発光装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書において開示される発光装置は、発光素子と、前記発光素子から出射される光
を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部と、前記波長変換部を囲う包囲部
と、前記包囲部に設けられ前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、を
有し、前記導電膜が、酸化ルテニウムを用いて形成されている。
【0006】
また、本明細書において開示される発光装置は、発光素子と、前記発光素子から出射さ
れる光を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部と、前記波長変換部を囲う
包囲部と、前記包囲部に設けられ前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長変換部材
と、を有し、前記導電膜は、酸化物であり、かつ、常温から温度85℃湿度85%の高温
高湿環境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下
である。
【0007】
また、本明細書において開示される発光装置は、発光素子と、前記発光素子から出射さ
れる光を異なる波長の光に変換して外部に出射する波長変換部と、前記波長変換部材の側
面を囲う包囲部と、前記包囲部に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有する波長
変換部材と、を有し、前記導電膜は、前記発光素子から出射された光に対する透過率が6
0%以下であり、かつ、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態
で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下である。
【0008】
また、本明細書において開示される発光装置は、発光素子と、前記発光素子からの主要
部分の光が入射する波長変換部と、前記発光素子からの主要部分の光が入射する領域の外
側で当該領域を囲う導電膜と、を有する波長変換部材と、を有し、前記導電膜は、前記発
光素子から出射された光に対する透過率が60%以下であり、かつ、常温から温度85℃
湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化
率が2.5%以下である。
【0009】
また、本明細書において開示される光学部材は、入射される光と異なる波長の光を出射
する波長変換部と、前記波長変換部の側面を囲う包囲部と、を有する母材と、前記包囲部
の上面または下面に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有し、前記導電膜は、酸
化ルテニウムを用いて形成される。
【0010】
また、本明細書において開示される光学部材は、入射される光と異なる波長の光を出射
する波長変換部と、前記波長変換部の側面を囲う包囲部と、を有する母材と、前記包囲部
の上面または下面に配され、前記波長変換部を囲う導電膜と、を有し、前記導電膜は、酸
化物であり、常温から100℃の環境下へと移した状態で50時間または100時間保管
した場合のシート抵抗の変化率が3%未満である。
【0011】
また、本明細書において開示される光学部材は、入射される光と異なる波長の光を出射
する波長変換部を有する母材と、前記母材の所定の領域を囲う導電膜と、を有し、前記導
電膜は、可視光に対する透過率が60%以下であり、常温から100℃の環境下へと移し
た状態で50時間または100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が3%未満である
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、検出精度に優れた光学部材または発光装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施形態に係る発光装置の斜視図である。
図2図2は、図1に対応する上面図である。
図3図3は、図2のIII-III線における発光装置の断面図である。
図4図4は、実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための斜視図である。
図5図5は、図4に対応する上面図である。
図6図6は、実施形態に係る発光装置の内部構造を説明するための斜視図である。
図7図7は、図6に対応する上面図である。
図8図8は、実施形態に係る光学部材の斜視図である。
図9図9は、図8に対応する上面図である。
図10図10は、実施形態に係る透光性部材と波長変換部材との接合面を説明するために波長変換部材の母材を透過した上面図である。
図11図11は、実施形態に係る波長変換部材の下面図である。
図12図12は、実施形態に係る透光性部材の上面図である。
図13図13は、酸化ルテニウムについて、アニール温度とシート抵抗の相関を調べた実験の結果を示したグラフである。
図14図14は、異なる条件の熱処理を施した酸化ルテニウム及び熱処理を施さなかった酸化ルテニウムを高温環境下で保管したときの、各酸化ルテニウムの抵抗変化を調べた実験の結果を示したグラフである。
図15図15 は、高温高湿環境下で保管された酸化ルテニウム及び酸化インジウムスズの抵抗変化を調べた実験の結果を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本明細書または特許請求の範囲において、三角形や四角形などの多角形に関しては、多
角形の隅に角丸め、面取り、角取り、丸取り等の加工が施された形状も含めて、多角形と
呼ぶものとする。また、隅(辺の端)に限らず、辺の中間部分に加工が施された形状も同
様に、多角形と呼ぶものとする。つまり、多角形をベースに残しつつ、部分的な加工が施
された形状は、本明細書及び特許請求の範囲で記載される“多角形”の解釈に含まれるも
のとする。
【0015】
また、多角形に限らず、台形や円形や凹凸など、特定の形状を表す言葉についても同様
である。また、その形状を形成する各辺を扱う場合も同様である。つまり、ある辺におい
て、隅や中間部分に加工が施されていたとしても、“辺”の解釈には加工された部分も含
まれる。なお、部分的な加工のない“多角形”や“辺”を、加工された形状と区別する場
合は“厳密な”を付して、例えば、“厳密な四角形”などと記載するものとする。
【0016】
また、本明細書または特許請求の範囲において、上下、左右、表裏、前後、手前と奥な
どの表現は、相対的な位置、向き、方向などの関係を述べるに過ぎず、使用時における関
係と一致していなくてもよい。例えば、部品と完成品において、部品の上面が、完成品の
側面に位置するように実装される場合でも、その部品にとっての上面は変わらない。
【0017】
また、本明細書または特許請求の範囲において、ある構成要素に関し、これに該当する
ものが複数あり、それぞれを区別して表現する場合に、その構成要素の頭に“第1”、“
第2”と付記して区別することがある。また、本明細書と特許請求の範囲とで区別する対
象や観点が異なる場合、本明細書と特許請求の範囲との間で、同一の付記が、同一の対象
を指さない場合がある。
【0018】
例えば、本明細書において“第1”、“第2”、“第3”と付記されて区別される対象
があり、本明細書の“第1”及び“第3”のみを対象として特許請求の範囲を記載する場
合に、見易さの観点から特許請求の範囲においては“第1”、“第2”と付記して区別す
ることがある。この場合、特許請求の範囲において“第1”、“第2”と付記された対象
が、本明細書において“第1”“第3”と付記された対象を指すことになる。
【0019】
以下に、図面を参照しながら、本明を実施するための形態を説明する。ただし、示され
る形態は、本発明の技術思想が具体化されたものではあるが、本発明を限定するものでは
ない。また、以下の説明において、同一の名称、符号については同一もしくは同質の部材
を示しており、重複した説明は適宜省略することがある。なお、各図面が示す部材の大き
さや位置関係等は、説明を明確にするために誇張していることがある。
【0020】
<実施形態>
図1は、実施形態に係る発光装置1の一例を示す斜視図である。図2は、発光装置1の
上面図である。図3は、図2のIII-III線における発光装置1の断面図である。図4は、
内部構造を説明するために発光装置1から遮光部材90を除いた状態の斜視図である。図
5は、図4と同様の状態における上面図である。図6は、内部構造を説明するために発光
装置1からさらに透光性部材82と波長変換部材81を除いた状態の斜視図である。図7
は、図6と同様の状態における上面図である。図8は、実施形態に係る光学部材80の一
例を示す斜視図である。図9は、図8と同様の状態における上面図である。図10は、透
光性部材82と波長変換部材81との接合面を説明するために波長変換部材81を透過し
た上面図である。なお、図10では、透光性部材82の金属膜821における接合領域と
、波長変換部材81の導電膜813とをハッチングで記している。目の細かいハッチング
が導電膜813である。図11は、実施形態に係る波長変換部材81の下面図である。図
12は、実施形態に係る透光性部材82の上面図である。
【0021】
発光装置1は、構成要素として、基部10、発光素子20、サブマウント30、光反射
部材40、保護素子50、温度測定素子60、配線70、光学部材80、及び、遮光部材
90を有する。また、発光装置1は、構成要素として、少なくとも、発光素子20、及び
、光学部材80を有する。
【0022】
また、発光装置1は、1または複数の発光素子20を有する。また、発光素子20と同
数のサブマウント30、光反射部材40を有する。また、1または複数の保護素子50を
有する。また、1または複数の温度測定素子60を有する。また、1または複数の配線7
0を有する。
【0023】
また、光学部材80は、構成要素として、波長変換部材81、及び、透光性部材82を
有する。また、光学部材80は、構成要素として、少なくとも、波長変換部材81を有す
る。なお、発光装置1は、さらに他の構成要素を有していてもよい。
【0024】
次に、各構成要素について説明する。
(基部10)
基部10は、上面から下面の方向に窪んだ凹形状を有する。また、上面視で外形が矩形
であり、窪みはこの外形の内側に形成される。基部10は、上面11、底面12、下面1
3、1または複数の内側面14、及び、1または複数の外側面15を有している。また、
上面視で、上面11と1または複数の内側面14が交わる線によって枠が形成される。基
部10の窪みはこの枠に囲まれる。
【0025】
また、基部10は、枠の内側において、1または複数の段差部16を有する。また、基
部10には、互いに底面12からの高さが異なる2つの段差部16が形成される。なお、
段差部16は、上面、及び、この上面と交わり下方に進む側面のみから構成される。また
、段差部16の高さは、底面12から段差部16の上面までの高さとする。1または複数
の内側面14には、基部10の上面11と交わる側面と、段差部16の側面と、が含まれ
る。
【0026】
ここでは、2つの段差部16のうち、底面12からの高さの低い方を第1段差部161
、高い方を第2段差部162と呼ぶものとする。第1段差部161は、基部10の枠の全
周に亘って設けられる。また、第2段差部162は、基部10の枠の全周に亘っては設け
られず、枠の一部に亘って設けられる。また、基部10において、複数の第2段差部16
2が形成される。
【0027】
基部10は、セラミックを主材料として形成することができる。例えば、セラミックと
して、窒化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化アルミニウム、炭化ケイ素を用いることがで
きる。なお、セラミックに限らず、絶縁性を有する他の材料を主材料に用いて形成しても
よい。
【0028】
また、基部10の底面12には、1または複数の金属膜が設けられる。基部10の第2
段差部162の上面には、1または複数の金属膜が設けられる。また、基部10の上面1
1には1または複数の金属膜が設けられる。図示される発光装置1の例では、底面12に
4つの金属膜、2つの第2段差部162のそれぞれに1つの金属膜、上面11に6つの金
属膜が設けられている。
【0029】
また、底面12に設けられる1または複数の金属膜には、上面11に設けられた金属膜
と電気的に接続する金属膜が含まれる。また、第2段差部162の上面に設けられる1ま
たは複数の金属膜には、上面11に設けられた金属膜と電気的に接続する金属膜が含まれ
る。
【0030】
(発光素子20)
発光素子20は、半導体レーザ素子である。なお、半導体レーザ素子でなくてもよい。
例えば、LEDや有機ELなど、光を発する素子であれば、発光装置1の発光素子20に
採用できる。図示される発光装置1の例では、発光素子20として、半導体レーザ素子2
0が採用されている。
【0031】
図示される半導体レーザ素子20は、上面視で長方形の外形を有する。また、長方形の
2つの短辺のうちの一辺と交わる側面が、半導体レーザ素子20から放射される光の出射
端面となる。また、半導体レーザ素子20の上面及び下面は、出射端面よりも面積が大き
い。
【0032】
なお、半導体レーザ素子20から放射される光(レーザ光)は拡がりを有し、光の出射
端面と平行な面において楕円形状のファーフィールドパターン(以下「FFP」という。
)を形成する。ここで、FFPとは、出射端面から離れた位置における出射光の形状や光
強度分布を示す。
【0033】
半導体レーザ素子20から出射される光のFFPの形状は、活性層を含む複数の半導体
層の層方向よりも、それに垂直な積層方向の方が長い楕円形状である。この層方向をFF
Pの水平方向、積層方向をFFPの垂直方向というものとする。
【0034】
また、半導体レーザ素子20のFFPの光強度分布に基づいて、ピーク強度値に対する
1/e以上の強度を有する光を、主要部分の光と呼ぶものとする。また、この光強度分
布の半値全幅に相当する角度を拡がり角と呼ぶものとする。FFPの垂直方向における拡
がり角は垂直方向の拡がり角と呼び、FFPの水平方向における拡がり角は水平方向の拡
がり角と呼ぶものとする。
【0035】
発光素子20には、発光素子20から出射される光の発光ピーク波長が、320nm~
530nmの範囲、典型的には、430nm~480nmの範囲にあるものを用いること
ができる。このような半導体レーザ素子20としては、窒化物半導体を含む半導体レーザ
素子が挙げられる。窒化物半導体としては、例えば、GaN、InGaN、及びAlGa
Nを用いることができる。なお、発光素子20から出射される光は、これに限らなくてよ
い。
【0036】
(サブマウント30)
サブマウント30は、直方体の形状で構成され、下面、上面、及び、側面を有する。ま
た、サブマウント30は上下方向の幅が最も小さい。なお、形状は直方体に限らなくてよ
い。サブマウント30は、例えば、窒化ケイ素、窒化アルミニウム、又は炭化ケイ素を用
いて形成される。なお、他の材料を用いてもよい。また、サブマウント30の上面には金
属膜が設けられている。
【0037】
(光反射部材40)
光反射部材40は、光を反射する2つの光反射面41を有する。光反射面には、例えば
、照射された光のピーク波長に対する光反射率が90%以上となる面が設けられる。ここ
での光反射率は100%以下あるいは100%未満とすることができる。
【0038】
2つの光反射面41は平面形状で、下面に対して傾斜しており、互いに下面に対する傾
斜角が異なる。つまり、2つの光反射面41はいずれも、下面に対する配置関係が垂直で
も平行でもない。また、2つの光反射面41は連続して繋がっており、一体的な1つの反
射領域を形成する。
【0039】
ここでは、下面に近い方の光反射面を第1反射面411、遠い方の光反射面を第2反射
面412と呼ぶものとする。光反射部材40では、第2反射面412の傾斜角の方が、第
1反射面411の傾斜角よりも大きい。例えば、第1反射面411と第2反射面412と
の傾斜角の差は、10度以上から60度以下の範囲にある。
【0040】
なお、一体的な1つの反射領域を形成する3つ以上の光反射面41を有していてもよい
。また、1つの光反射面41で1つの反射領域を形成してもよい。また、他の光反射面と
連続して繋がっていない光反射面をさらに有していてもよい。また、光反射面41の形状
は、平面形状でなく曲面形状であってもよい。
【0041】
光反射部材40は、その外形を形成する主材料に、ガラスや金属などを用いることがで
きる。主材料は熱に強い材料がよく、例えば、石英若しくはBK7(硼珪酸ガラス)等の
ガラス、アルミニウム等の金属、又はSiを用いることができる。また、光反射面は、例
えば、Ag、Al等の金属やTa/SiO、TiO/SiO、Nb
SiO等の誘電体多層膜を用いて形成することができる。
【0042】
(保護素子50)
保護素子50は、発光素子などの特定の素子に過剰な電流が流れて破壊されてしまうこ
とを防ぐためのものである。保護素子50としては、例えば、Siで形成されたツェナー
ダイオードを用いることができる。
【0043】
(温度測定素子60)
温度測定素子60は、周辺の温度を測定するための温度センサとして利用される素子で
ある。温度測定素子60としては、例えば、サーミスタを用いることができる。
【0044】
(配線70)
配線70は、2つの構成要素間の電気的な接続に用いられる。配線70としては、例え
ば、金属のワイヤを用いることができる。
【0045】
(波長変換部材81)
波長変換部材81は、下面と、上面と、側面とを有する。また、波長変換部材81は、
波長変換部811を有する。また、波長変換部材81は、包囲部812を有する。また、
波長変換部材81は、導電膜813を有する。また、波長変換部材81は、金属膜814
を有する。
【0046】
また、波長変換部材81は、母材に、導電膜813、金属膜814、または、その他の
膜を設けて形成される。つまり、波長変換部材81は、波長変換部材81の母材を形成ま
たは購入する等して準備する工程と、波長変換部材81の母材に導電膜813を設ける工
程と、波長変換部材81の母材に金属膜814を設ける工程と、を有して形成される。
【0047】
なお、金属膜814を設ける工程を、導電膜813を設ける工程よりも先に行ってよい
。また、波長変換部材81の母材に金属膜814が設けられた状態の、金属膜付き母材を
購入する等して準備してもよい。
【0048】
母材は、直方体の平板形状で構成される。なお、形状は直方体に限らない。波長変換部
811は、波長変換部材81の母材に含まれる。また、包囲部812は、波長変換部材8
1の母材に含まれる。波長変換部材81の母材は、光の照射により分解されにくい無機材
料を主材料に用いて形成することができる。なお、無機材料でなくてもよい。
【0049】
また、波長変換部材81において、波長変換部811と包囲部812とは、一体的に形
成されている。また、包囲部812が、波長変換部811を囲っている。包囲部812の
内側面が波長変換部811の側面と接しており、包囲部812の外側面が波長変換部材8
1の側面に相当する。また、波長変換部材81は、波長変換部811と包囲部812とが
一体的に焼結された一体焼結体で形成されている。
【0050】
このような一体焼結体は、例えば、焼結体等の成形品からなる波長変換部811と、包
囲部812を形成する粉粒の材料と、を一体的に成形して焼結し、波長変換部材81の母
材を形成することができる。また、焼結体等の成形品からなる包囲部812と、波長変換
部811を形成する粉粒の材料と、を一体的に成形して焼結し、波長変換部材81の母材
を形成することができる。焼結には、例えば、放電プラズマ焼結法(SPS法)やホット
プレス焼結法(HP法)等を用いることができる。
【0051】
波長変換部811は直方体の形状である。なお、波長変換部811の形状は、直方体に
限らなくてもよい。また、波長変換部811は、波長変換部811に入射した光を、異な
る波長の光に変換する部材である。また、波長変換部811は、異なる波長に変換した光
を、波長変換部811の外部に出射する。また、波長変換部811は、波長変換部811
に入射した光の一部を、波長変換部811の外部に出射する。
【0052】
波長変換部811は、セラミックスを主材料とし、蛍光体を含有させて形成することが
できる。これに限らず、ガラスを主材料としてもよい。またあるいは、蛍光体単体の多結
晶や、蛍光体の単結晶で形成するなどしてもよい。なお、波長変換部811には、融点が
1300℃~2500℃の材料を主材料に用いるのが好ましく、このようにすることで波
長変換部811にかかる熱を考慮しても変形や変色などの変質が生じ難い。
【0053】
例えば、波長変換部811の主材料にセラミックスを用いる場合、蛍光体と酸化アルミ
ニウム等の透光性材料とを焼結させて形成することができる。蛍光体の含有量は、セラミ
ックスの総体積に対して0.05体積%~50体積%とすることができる。また例えば、
蛍光体の紛体を焼結させた、実質的に蛍光体のみからなるセラミックスを用いてもよい。
【0054】
蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Y
AG)、セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット(LAG)、ユウ
ロピウム及び/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム(CaO-Al
23-SiO2)、ユウロピウムで賦活されたシリケート((Sr,Ba)2SiO4)、
αサイアロン蛍光体、βサイアロン蛍光体等が挙げられる。なかでも、耐熱性が良好であ
り、青色の励起光と組み合わせて白色光の発光が可能となる蛍光体であるYAG蛍光体を
用いることが好ましい。
【0055】
包囲部812は、直方体の平板の中央部分に貫通孔を有する形状である。貫通孔の領域
に波長変換部811が設けられる。また、貫通孔の形状は、波長変換部811の形状に対
応しており、包囲部812は波長変換部811の側面を囲う。
【0056】
包囲部812は、セラミックスを主材料に用いて形成することができる。また、これに
限らず、金属や、セラミックスと金属の複合体などを用いてもよい。また、包囲部812
には、波長変換部811による熱を排熱する高熱伝導率の材料を用いるのが好ましい。高
熱伝導率の材料が主材料に用いられた包囲部812は、波長変換部811における熱を排
熱する放熱機能を有し、この観点から包囲部812に代えて放熱部材と捉えることもでき
る。
【0057】
また、包囲部812には、半導体レーザ素子20が出射した光及び蛍光体が発する蛍光
を高反射率で反射する材料を用いるのが好ましい。また、少なくとも波長変換部811の
側面を囲う領域において光を反射するのが好ましい。高反射率の材料が主材料に用いられ
た包囲部812は、照射された光を反射する高反射性を有し、この観点から包囲部812
は光反射部材と捉えることもできる。なお、高反射率及び高熱伝導率を有する材料として
は、例えば、アルミナ(Al)が挙げられる。
【0058】
包囲部812は、波長変換部811のような波長変換機能を有していない。つまり、包
囲部812は、包囲部812に入射した光を異なる波長の光に変換して外部に出射するこ
とができない。また、包囲部812は、包囲部812に入射した光を変換して外部に出射
することができない。例えば、包囲部812は、蛍光体を含まない。また、包囲部812
は、透過率が5%以下の遮光性を有する。
【0059】
導電膜813は、波長変換部材81の上面側または下面側に設けられる。また、導電膜
813は、波長変換部材81の母材の上面または下面に設けられる。なお、母材との間に
、他の薄膜(例えば、反射防止膜)が介在してもよい。また、導電膜813は、波長変換
部材81の所定の領域を囲うようにして、所定の領域の外側に設けられる。所定の領域と
は、例えば、波長変換部材81において主要部分の光が入射する領域である。必要な光が
入射する領域の外側に導電膜813を設けることで、効率的に光を取出すことができる。
【0060】
また、導電膜813は、包囲部812に設けられる。また、導電膜813は、波長変換
部811の外側に設けられる。また、導電膜813は、波長変換部811に近い位置に設
けられる。例えば、波長変換部811と導電膜813との距離は、最も近い位置で500
μm以下であり、好ましくは、300μm以下である。また、導電膜813は、波長変換
部811を囲うように設けられる。図示される波長変換部材81では、線状の導電膜81
3が波長変換部811を囲っている。
【0061】
導電膜813は細い線状で波長変換部811を囲うのが好ましい。細い線状とは、例え
ば、下面視で、線幅が、波長変換部811の幅よりも小さく、線の長さが、波長変換部8
11の外周よりも長い線状を示す。また例えば、さらに線幅が、波長変換部811の幅の
1/2以下であることとしてもよい。ここでの波長変換部811の幅は、例えば外形が矩
形の場合は短辺の幅であり、例えば外形が楕円形の場合は短径の幅である。また、これ以
外の形状の場合は、これらの例示に基づき、実質的に幅が特定される。
【0062】
導電膜813は、酸化物で形成することができる。導電膜813を形成する酸化物とし
ては、例えば、酸化ルテニウム(RuO)が挙げられる。酸化ルテニウムなどの酸化物
は、金、銀、アルミニウム等の金属材料と比べて脆く、割れやすい性質を有する。
【0063】
また、導電膜813は、透明ではなく、かつ、有色の膜である。また、導電膜813は
、遮光性を有する。ここでの遮光性を有するとは、可視光に対する透過率が60%以下で
あることをいうものとする。また、導電膜813は可視光を吸収する性質を有する。酸化
ルテニウムで形成される導電膜813は、黒色であることから、光を吸収し、かつ、遮光
性を有する。
【0064】
なお、導電膜に用いることのできる酸化物としては、酸化ルテニウムの他にも、酸化イ
ンジウムスズ(ITO)がある。この酸化インジウムスズと比べて、酸化ルテニウムは温
度または湿度に対する抵抗変化に優れている。この点について、図13乃至15を用いて
説明する。
【0065】
図13は、酸化ルテニウムにアニール処理を施したときの温度[℃]と、アニール処理
後の酸化ルテニウムのシート抵抗[Ω/□]の測定した実験結果である。この実験では、
スパッタリング法によって200nmの膜厚の酸化ルテニウム膜を成膜し、さらに大気環
境下で1時間のアニール処理を行った後、常温(25℃程度)に戻した状態で三菱化学社
製の表面抵抗率計Loresta-GPを用いて、シート抵抗の値を測定した。また、アニール処理
を行う際の温度を、100℃から500℃まで、100℃刻みで変更し、それぞれの温度
におけるシート抵抗を測定した。
【0066】
図13の結果から、酸化ルテニウムのシート抵抗は、酸化ルテニウムにかけられる温度
に応じて変化することがわかる。また、熱処理の温度が高くなると、シート抵抗が低下す
ることがわかる。また、100℃~300℃の範囲よりも、300℃~500℃の範囲の
方が、温度に対するシート抵抗の変化量が大きいことがわかる。
【0067】
図14は、図13で測定された各酸化ルテニウムを、常温から160℃の環境下へと移
して保管したときの、保管時間[Hour]に対するシート抵抗[Ω/□]の変化率[%]を
調べた実験結果である。この実験では、保管時間が0時間、10時間、50時間、100
時間、のそれぞれにおけるシート抵抗の値を測定し、0時間のときのシート抵抗からの変
化率を算出した。測定器は、図13で使用したものと同じである。
【0068】
図14の結果から、熱処理の行われていない酸化ルテニウムと、100℃の熱処理が行
われた酸化ルテニウムにおいて、シート抵抗が変化したことがわかる。また、保管時間が
経過するにつれてシート抵抗は低下し、所定の時間を経過してからは、ほとんど変化しな
くなる傾向がみられた。一方で、200℃以上で熱処理が行われた酸化ルテニウムにおい
ては、保管時間に依らず、シート抵抗はほぼ一定の値となっていることがわかる。
【0069】
この結果から、酸化ルテニウムが置かれる温度環境下よりも高い温度で熱処理が施され
た酸化ルテニウムは、その温度環境下に長時間置かれてもシート抵抗がほぼ一定であるこ
とがわかる。また、熱処理が施されなかった、あるいは、その温度環境下より低い温度で
熱処理が施された酸化ルテニウムは、その温度環境下に長時間置かれるとシート抵抗が変
化したことがわかる。
【0070】
従って、酸化ルテニウムの導電膜813が使用される環境を考慮し、その環境下で想定
される温度よりも高い温度で熱処理を施した導電膜813は、その使用環境下において熱
に対する抵抗変化に優れた導電膜となる。
【0071】
熱処理をするか否か、また、何度の温度で熱処理をするかは、導電膜813の使用環境
に応じて適宜決定されればよい。想定される使用環境の温度範囲に対し、その温度範囲に
おける最大温度を超える温度で導電膜813に熱処理を施しておけばよいといえる。
【0072】
熱処理を行う場合、波長変換部材81の母材に導電膜813を設ける工程は、波長変換
部材81の母材に導電膜813を成膜する工程と、成膜された導電膜813に熱処理を施
す工程と、を含むこととなる。導電膜813を成膜する工程では、例えば、スパッタリン
グ法を用いて成膜することができる。導電膜813に熱処理を施す工程では、例えば、ア
ニール処理を用いて熱処理を施すことができる。
【0073】
また、導電膜813を成膜する工程では、例えば、100nm以上400nm以下の膜
厚の導電膜813が成膜される。また、導電膜813に熱処理を施す工程では、例えば、
図示される発光装置1における波長変換部材81の使用環境を考慮して、100℃以上の
温度で熱処理が行われた酸化ルテニウムを採用することが考えられる。また、300℃以
下の温度で熱処理が行われた酸化ルテニウムを採用することが考えられる。
【0074】
例示的な好ましい導電膜813としては、常温から100℃の環境下へと移した状態で
50時間または100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が3%未満である導電膜が
挙げられる。また、他の例示的な好ましい導電膜813としては、100℃の環境下で5
0時間または100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が2%未満である導電膜が挙
げられる。また、他の例示的な好ましい導電膜813として、200℃の環境下で50時
間または100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が3%未満である導電膜が挙げら
れる。また、他の例示的な好ましい導電膜813として、200℃の環境下で50時間ま
たは100時間保管した場合のシート抵抗の変化率が2%未満である導電膜が挙げられる
【0075】
図15は、酸化ルテニウム及び酸化インジウムスズをそれぞれ、常温から高温高湿の環
境下へと移して保管したときの、保管時間[Hour]に対する配線抵抗[Ω]の変化率[%
]を調べた実験結果である。なお、高温高湿環境として、温度85℃、湿度85%の環境
を用意した。また、保管時間が0時間における配線抵抗の値と、100時間における配線
抵抗の値を測定し、0時間のときの配線抵抗からの変化率を算出した。
【0076】
また、この実験では、形状(幅、厚み、長さ)の揃った酸化ルテニウム及び酸化インジ
ウムスズを用いた。具体的には、幅を200μm、膜厚を100μmとし、図11に示す
線状の導電膜813を用いた。また、酸化ルテニウム及び酸化インジウムスズをそれぞれ
10個ずつ用意し、10個の試料の抵抗変化率の平均値を測定結果として図15に記した
【0077】
また、この実験では300℃でアニール処理を行った酸化ルテニウムと、500℃でア
ニール処理を行った酸化インジウムスズを用いた。なお、酸化インジウムスズに対するア
ニール処理は、酸化インジウムスズで形成される導電膜の1つの特性である透光性を得る
ための処理である。
【0078】
図15の結果から、酸化ルテニウムには抵抗変化がほとんどみられなかったが、酸化イ
ンジウムスズには数%の抵抗変化がみられたことがわかる。詳細には、酸化ルテニウムの
10個の検体の抵抗変化率は、0.2%から0.5%の範囲内にあり、酸化インジウムス
ズの10個の検体の抵抗変化率は、2.6%から3.8%の範囲内にあった。
【0079】
なお、100時間が経過した後も測定を継続しているが、酸化インジウムスズは、10
0時間が経過した後も抵抗が単調に上昇しており、400時間以上が経過した現時点でも
上昇を続けている。
【0080】
この結果から、常温から高温高湿へと環境変化が起こると、酸化インジウムスズは酸化
ルテニウムよりも、配線抵抗が変化しやすい材料であるといえる。また、同形状の酸化イ
ンジウムスズの導電膜よりも温度または湿度に対する抵抗変化に優れた導電膜を、酸化ル
テニウムの導電膜によって実現できることがわかる。
【0081】
例示的な好ましい導電膜813としては、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環
境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗の変化率が2.5%以下である
導電膜が挙げられる。また、例示的なより好ましい導電膜813としては、常温から温度
85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態で100時間保管した場合の配線抵抗
の変化率が1.5%以下である導電膜が挙げられる。また、例示的なさらに好ましい導電
膜813として、常温から温度85℃湿度85%の高温高湿環境下へと移した状態で10
0時間保管した場合の配線抵抗の変化率が0.5%以下である導電膜が挙げられる。
【0082】
波長変換部材81において、導電膜813が設けられる面側に、複数の金属膜814が
設けられる。複数の金属膜814は、包囲部812に設けられる、また、複数の金属膜8
14は、波長変換部811の外側に設けられる。また、複数の金属膜814には、それぞ
れ導電膜813と接続する2つの金属膜814が含まれる。また、この2つの金属膜81
4は、互いに接続していない。
【0083】
導電膜813が設けられる面側からみた平面視で、線状の導電膜813の両端のうちの
一端と2つの金属膜814のうちの一方の金属膜814とが重なり、導電膜813の他端
が他方の金属膜814とが重なる。金属膜814は、例えば、Ti/Pt/Auを用いて
形成することができる。
【0084】
(透光性部材82)
透光性部材82は、下面と、上面と、側面とを有する。また、透光性部材82は、光を
透過する透光性を有する。ここで、透光性とは、光に対する透過率が80%以上であるこ
ととする。また、透光性部材82は、直方体の平板形状で構成される母材を有する。なお
、形状は直方体に限らない。
【0085】
透光性部材82の母材は、サファイアを主材料に用いて形成することができる。サファ
イアは、比較的透過率が高く、比較的強度も高い材料である。なお、主材料には、サファ
イアの他に、例えば、石英、炭化ケイ素、又は、ガラス等を用いることもできる。
【0086】
また、透光性部材82は、複数の金属膜821を有する。また、複数の金属膜821は
、透光性部材82の上面側に設けられる。複数の金属膜821には、配線のために設けら
れる2つの金属膜821が含まれる。2つの金属膜821は、透光性部材82の外周領域
に設けられる。2つの金属膜821は、透光性部材82の中央領域には設けられない。
【0087】
また、2つの金属膜821は、一部に、接合領域を有する。金属膜821は、例えば、
Ti/Pt/Auを設けて形成することができる。また、接合領域においては、例えば、
その上にさらにAuSnを設けて形成することができる。
【0088】
(遮光部材90)
遮光部材90は、遮光性を有する樹脂によって形成される。ここで、遮光性とは光を透
過しない性質を示し、光を遮る性質の他、吸収する性質や反射する性質などを利用して、
遮光性を実現してもよい。例えば、樹脂に、光拡散材及び/又は光吸収材等のフィラーを
含有させることで形成できる。
【0089】
遮光部材90を形成する樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリレート
樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、BTレジン等が挙げられる。また、光吸収性のフ
ィラーとしては、カーボンブラック等の暗色系の顔料等が挙げられる。
【0090】
(発光装置1)
次に、これらの構成要素を用いて製造される発光装置1について説明する。
まず、基部10の底面12に2つの光反射部材40が配置される。2つの光反射部材4
0は、それぞれ異なる金属膜の上に配置され、その下面が基部10の底面12に接合され
る。また、2つの光反射部材40は、点SPに対して点対称に配置される(図7参照)。
また、2つの光反射部材40は、上面視で、光反射面41の上端が、基部10の内側面1
4または外側面15と平行あるいは垂直である。
【0091】
次に、基部10の底面12に、保護素子50と温度測定素子60とが配置される。保護
素子50は、2つの光反射部材40のうちの一方が配置されている金属膜に配置され、接
合される。温度測定素子60は、2つの光反射部材40が配置された金属膜とは異なる金
属膜の上に配置され、接合される。
【0092】
次に、基部10の底面12に2つのサブマウント30が配置される。2つのサブマウン
ト30は、それぞれ異なる金属膜の上に配置され、その下面が基部10の底面12に接合
される。また、2つのサブマウント30はそれぞれ、光反射部材40が配置されている金
属膜に配置される。なお、サブマウント30と光反射部材40は、異なる金属膜に配置さ
れていてもよい。
【0093】
次に、発光素子20がサブマウント30に配置される。図示される発光装置1の例では
、半導体レーザ素子20がサブマウント30に配置される。また、2つの半導体レーザ素
子20は、それぞれ異なるサブマウント30の上面に配置され、その下面が接合される。
また、2つの半導体レーザ素子20は、点SPに対して点対称に配置される。つまり、2
つの半導体レーザ素子20が対称となる点と、2つの光反射部材40が対称となる点と、
は同じ位置にある。以降の説明では、この点SPを、対称点と呼ぶものとする。
【0094】
2つの半導体レーザ素子20は、上面視で、出射端面が、基部10の内側面14または
外側面15と平行及び垂直にならない。そのため、光反射面41の上端とも、平行及び垂
直にならない。つまり、半導体レーザ素子20は、上面視で、基部10の内側面14及び
外側面15、または、光反射面41の上端、に対して出射端面が斜めになるように配置さ
れる。
【0095】
なお、半導体レーザ素子20を斜めに配置する代わりに、光反射部材40を斜めに配置
するようにしてもよい。つまり、半導体レーザ素子20を、基部10の内側面14または
外側面15と平行あるいは垂直に配置し、光反射部材40を平行及び垂直にならないよう
に配置してもよい。
【0096】
2つの半導体レーザ素子20のそれぞれで、出射端面から出射された光は、対応する光
反射部材40に照射される。対応する光反射部材40とは、同じ金属膜に配置されている
光反射部材40である。少なくとも主要部分の光が光反射面41に照射されるように、半
導体レーザ素子20は配置される。
【0097】
また、対応する半導体レーザ素子20と光反射部材40との間で、光反射部材40より
も半導体レーザ素子20の方が対称点から遠い位置にある。従って、半導体レーザ素子2
0から出射された光は、対称点に近付く方向に進む。また、2つの発光素子20のうちの
少なくとも一方は温度測定素子60に近い位置に配される。これにより、発光素子20の
温度を良好に測定することができる。
【0098】
発光素子20が配されたサブマウント30は、発光装置1において、発光素子20から
発生した熱を逃がす放熱部材としての役割を果たしている。サブマウント30を放熱部材
として機能させるには、発光素子20よりも熱伝導率の良い材料で形成すればよい。また
、基部の底面よりも熱伝導率の良い材料で形成すると、より高い放熱効果を得ることがで
きる。
【0099】
また、サブマウント30は、発光装置1において、半導体レーザ素子20の光の出射位
置を調整する役割を果たすことができる。例えば、光軸を通る光が底面12と水平になる
ようにし、かつ、光反射面41の所定の位置に照射させたい場合に、サブマウントを調整
部材として用いられる。
【0100】
次に、発光素子20、保護素子50、及び、温度測定素子60を電気的に接続するため
の複数の配線70(第1配線71)が接合される。電気的な接続には、基部10の底面1
2に設けられた金属膜を利用する。これにより、基部10の上面11の金属膜を介して、
これらの素子と外部電源とを電気的に接続することができる。
【0101】
次に、光学部材80が配置される。図示される発光装置1の例では、光学部材80とし
て、波長変換部材81と透光性部材82とが接合された光学部材80が準備されている。
また、波長変換部材81の金属膜814と、透光性部材82の金属膜821とが電気的に
接続するように、波長変換部材81と透光性部材82とを接合する工程によって、図示さ
れる光学部材80は形成される。
【0102】
光学部材80は、基部10の上面に配置される。また、光学部材80の下面が基部10
と接合する。また光学部材80が、基部10の段差部16の上面と接合する。また、光学
部材80が、第1段差部161の上面と接合する。また、光学部材80が有する透光性部
材82が、基部10と接合する。
【0103】
光学部材80が基部10に接合されることで、半導体レーザ素子20が配された閉空間
が形成される。このように、発光装置1では、光学部材80は蓋部材としての役割を果た
すことができる。また、この閉空間は気密封止された状態で形成される。気密封止される
ことで、半導体レーザ素子20の光の出射端面に有機物等が集塵することを抑制できる。
【0104】
発光素子20によって出射された光の主要部分は、光学部材80に入射する。また、光
学部材80の波長変換部材81に入射する。また、波長変換部材81の波長変換部811
に入射する。また、光学部材80の透光性部材82を透過する。また、透光性部材82を
透過した後に波長変換部811に入射する。
【0105】
波長変換部材81は、その下面において、主要部分の光が入射する光入射領域と、その
周辺領域と、を有する。波長変換部材81において、光入射領域を含む面は、発光素子2
0からの光が入射する入射面といえる。
【0106】
また、波長変換部材81において、波長変換部811が光入射領域を形成し、包囲部8
12が周辺領域を形成する。なお、周辺領域が包囲部812により形成される形態に限ら
なくてもよい。例えば、波長変換部811のサイズを大きくし、波長変換部811の下面
に光入射領域と周辺領域が含まれていてもよい。また例えば、波長変換部811の側面を
囲う包囲部812を有さない波長変換部材では、波長変換部811の下面に光入射領域と
周辺領域が含まれる。
【0107】
波長変換部811に入射した光の一部あるいは全部は、波長変換部811によって異な
る波長の光に変換される。発光素子20からの光または波長変換された光が、波長変換部
811の上面から発光装置1の外部に出射される。つまり、波長変換部811の上面が、
発光装置1の光取出面となる。
【0108】
なお、波長変換により生じる熱が特定の箇所に集中すると波長変換部811による光の
変換効率が低下しやすいため、波長変換部811に入射する光の分布は拡散している方が
よい。例えば、2つの半導体レーザ素子20のそれぞれから出射されたレーザ光の光強度
の強い部分が重ならないようにするとよい。例えば、光反射部材40の光反射面41を調
整することで、このような制御が可能である。
【0109】
また、光学部材80において、透光性部材82と波長変換部材81とが接合される。ま
た、透光性部材82の上面に波長変換部材81が接合される。また、波長変換部材81の
包囲部812と、透光性部材82とが接合される。また、波長変換部材81の金属膜81
4と、透光性部材82の金属膜821とが接合される。また、波長変換部材81の金属膜
814に、透光性部材82の金属膜821の接合領域が接合される。
【0110】
導電膜813は、波長変換部811の近傍においてその周りを細い線状の膜で囲ってい
る。そのため、波長変換部811に割れなどの異常が発生すると、その衝撃に対応して導
電膜813にも亀裂が入るなどして電気的な接続状態に変化を与える。抵抗値の大幅な上
昇を検知することで波長変換部811の異常を検知することができる。
【0111】
このことから、導電膜813は、波長変換部811の異常を検知するセンサである異常
検知素子といえる。また、波長変換部811は、異常検知素子によって異常が検知される
対象である検知対象部材といえる。また、同様に、光入射領域は、検知対象領域といえる
【0112】
金属材料と比べて脆く、割れやすい性質を有する酸化物で形成される導電膜813を用
いることで、波長変換部の破損に対する検知精度を向上させることができる。
【0113】
導電膜813は、波長変換部材81において、発光素子20からの光が入射する入射面
側に設けられる。また、導電膜813は、波長変換部材81の、透光性部材82と対向す
る側に設けられる。そのため、透光性部材82は、導電膜813と接触せずに導電膜81
3の近傍に、あるいは、導電膜813と接触して、配される。
【0114】
波長変換部811の温度が上昇すると、導電膜813の温度も上昇するため、波長変換
部811に高出力の光が入射することで、導電膜813の抵抗が上がり、測定される抵抗
値が上昇する。熱による抵抗変化が大きいと、異常検知が誤作動することもあり得る。図
13~図15の実験結果から示されるように、酸化ルテニウムにより形成される導電膜8
13は、このような誤作動を抑制することができる。
【0115】
また、導電膜813は、波長変換部材81の母材と、透光性部材82とに挟まれた狭小
空間に配されるため、導電膜813の温度は、波長変換部811の温度に追従するように
変化することが考えられる。このような導電膜813の使用環境を考慮すると、波長変換
部材81には、熱処理を施した導電膜813が設けられることが好ましい。
【0116】
また、同じサイズ及び形状の導電膜であれば、シート抵抗が低い導電膜ほど、配線抵抗
も低い。異常検知に用いる場合、配線抵抗が低すぎると、抵抗の変化が小さくなり、検知
精度に影響する。この点を考慮して、図示される発光装置1では、例えば、100℃以上
300℃以下の温度でアニール処理した酸化ルテニウムの導電膜813を採用するのが好
ましい。また例えば、150℃以上300℃以下の温度でアニール処理した酸化ルテニウ
ムの導電膜813を採用するのがより好ましい。
【0117】
導電膜813は、光入射領域の直下に設けられない。また、透光性部材82の金属膜8
21は、光入射領域の直下に設けられない。このようにすることで、有色膜の導電膜81
3に遮られずに、波長変換部811に光を入射させることができる。
【0118】
また、透光性部材82の金属膜821の接合領域は、波長変換部材81の金属膜814
が設けられる領域内に位置する。また、透光性部材82の金属膜821は、導電膜813
の直下に設けられない。そのため、遮光性を有する導電膜813を設けることで、波長変
換部811の外側に入射する光を遮光することができる。導電膜813は、発光素子20
から出射された光に対する透過率が60%以下である。
【0119】
なお、透光性部材82の上面の方が、波長変換部材81の下面よりも大きい。また、上
面視で、透光性部材82の上面は、波長変換部材81の下面を囲う。あるいは、波長変換
部材81を囲う。上面視で、透光性部材82の上面の2つの金属膜821はそれぞれ、波
長変換部材81の下面と重なる領域から重ならない領域に亘って設けられる。
【0120】
次に、異常検知素子を電気的に接続するための配線70(第2配線72)が接合される
。電気的な接続には、基部10の第2段差部162に設けられた金属膜と、光学部材80
の金属膜と、が利用される。第2配線72は、その一端が透光性部材82の上面の金属膜
821に、他端が第2段差部162の上面の金属膜に、接合される。これにより、基部1
0の上面11の金属膜を介して、異常検知素子と外部電源とを電気的に接続することがで
きる。
【0121】
次に、遮光部材90が、基部10の上面11による枠の内側に形成される。遮光部材9
0は、基部10と波長変換部材81との隙間を埋めるようにして形成される。遮光部材9
0は、例えば、熱硬化性の樹脂を流し込み、これを熱で硬化させることで形成できる。遮
光部材90を設けることで、光取出面以外からの光の漏れを抑制する。
【0122】
遮光部材90は、基部10の上面11と交わる内側面14、基部10の段差部16の上
面、透光性部材82の側面、透光性部材82の上面、及び、波長変換部材81の側面、に
接する。また、波長変換部材81の上面には達さない。あるいは、包囲部812の上面に
達したとしても、波長変換部811の上面には達さない。これにより、光取出面である波
長変換部811を避けつつ、隙間を埋めるようにして遮光部材90を設けることができる
【0123】
また、遮光部材90の形成において、樹脂は、透光性部材82と波長変換部材81との
隙間にも入り込み得るが、波長変換部811の下面には達さない。また、遮光部材90は
、第2配線72を内包する。つまり、遮光部材90が形成された時点で、発光装置1にお
いて第2配線72は露出しない。これにより、第2配線72を水滴等の付着から保護する
ことができる。なお、必ずしも内包していなくてよい。
【0124】
遮光部材90は、上面視で、基部10の上面11による枠の内側に露出していた金属領
域を隠す。発光装置1において、遮光部材90は絶縁性の材料によって形成されており、
絶縁部材としての役割を果たしている。これにより、異常検知の仕組みを適切に動作させ
ることができる。また、外部電源による発光装置1への給電のための導通領域を、基部1
0の凹形状の窪みの外側に限定することができる。
【0125】
以上、説明してきたが、明細書により開示された技術的特徴を有した本発明は、明細書
の実施形態で説明した構造に限られるわけではない。例えば、実施形態に開示のない構成
要素を有する発光装置においても本発明は適用され得るものであり、開示された構造と違
いがあることは本発明を適用できないことの根拠とはならない。
【0126】
このことはつまり、実施形態により開示された発光装置の全ての構成要素を必要十分に
備えることを必須としないものであっても、本発明が適用され得ることを示す。例えば、
特許請求の範囲に、実施形態により開示された発光装置の一部の構成要素が記載されてい
なかった場合、その構成要素については、本実施形態に開示されたものに限らず、代替、
省略、形状の変形、材料の変更などといった当業者による設計の自由度を認め、その上で
特許請求の範囲に記載された発明が適用されることを請求するものである。
【産業上の利用可能性】
【0127】
実施形態に記載の光学部材または発光装置は、車載ヘッドライト、照明、プロジェクタ
ー、ヘッドマウントディスプレイ、その他ディスプレイのバックライト等の光源に使用さ
れる光学系に利用することができる。
【符号の説明】
【0128】
1 発光装置
10 基部
11 上面
12 底面
13 下面
14 内側面
15 外側面
16 段差部
161 第1段差部
162 第2段差部
20 発光素子
30 サブマウント
40 光反射部材
41 光反射面
411 第1反射面
412 第2反射面
50 保護素子
60 温度測定素子
70 配線
71 第1配線
72 第2配線
80 光学部材
81 波長変換部材
811 波長変換部
812 包囲部
813 導電膜
814 金属膜
82 透光性部材
821 金属膜
90 遮光部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15