(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024150996
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H01L 21/027 20060101AFI20241017BHJP
B05C 11/00 20060101ALI20241017BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20241017BHJP
B05C 5/00 20060101ALI20241017BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20241017BHJP
B05D 1/40 20060101ALI20241017BHJP
B05D 1/26 20060101ALI20241017BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05C11/00
B05C11/10
B05C5/00 101
B05D3/00 D
B05D1/40 A
B05D1/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064093
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183438
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 泰史
(72)【発明者】
【氏名】大村 和久
【テーマコード(参考)】
4D075
4F041
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4D075AC06
4D075AC09
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4D075EA45
4F041AA05
4F041AA06
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5F146JA02
5F146JA05
5F146JA08
5F146JA10
5F146JA27
(57)【要約】
【課題】基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルにおける液面位置を高精度に検出することができる。
【解決手段】制御部9は、撮像ノズル画像に係るノズル10の液面状態をクラス分けする第1処理を実行するように構成されている。制御部9は、撮像ノズル画像を画像解析する第2処理と、不一致状態であるか否かを判定する第3処理と、を実行するように構成されている。制御部9は、第2処理における画像解析の結果が第1処理におけるクラス分けの結果に一致するように、撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行う。制御部9は、画像処理後の撮像ノズル画像を画像解析する。制御部9は、不一致状態でないと判定されている場合には、第2処理における画像解析の結果から液面位置を検出する。制御部9は、不一致状態であると判定されている場合には、第4処理における画像解析の結果から液面位置を検出する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルと、
前記ノズルを撮像可能に構成されたカメラと、
前記カメラによって撮像された前記ノズルの画像である撮像ノズル画像に基づき、前記ノズルにおける液面位置を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記撮像ノズル画像と、ノズルの画像からノズルの液面状態をクラス分けするクラス分けモデルと、に基づき、前記撮像ノズル画像に係るノズルの液面状態をクラス分けする第1処理と、
前記撮像ノズル画像を画像解析する第2処理と、
前記第1処理におけるクラス分けの結果、及び、前記第2処理における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する第3処理と、
前記第3処理において前記不一致状態であると判定された場合に、前記第2処理における画像解析の結果が前記第1処理におけるクラス分けの結果に一致するように、前記撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行うと共に、前記画像処理後の前記撮像ノズル画像を画像解析する第4処理と、
前記第3処理において前記不一致状態でないと判定されている場合には、前記第2処理における画像解析の結果から前記液面位置を検出し、前記第3処理において前記不一致状態であると判定されている場合には、前記第4処理における画像解析の結果から前記液面位置を検出する第5処理と、を実行するように構成されている、基板処理装置。
【請求項2】
前記クラス分けモデルを生成するモデル生成部を更に備える、請求項1記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記モデル生成部は、ノズルの複数の画像を入力としてクラス分けの結果が正解データに近づくようにディープラーニングにより学習を行って前記クラス分けモデルを生成する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記モデル生成部は、液面の数に応じて前記液面状態のクラス分けを行う前記クラス分けモデルを生成する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記モデル生成部は、前記塗布液に含まれるシンナーの層の長さに応じて前記液面状態のクラス分けを行う前記クラス分けモデルを生成する、請求項2記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記検出部は、前記第3処理において、前記第1処理におけるクラス分けが示す液面の数と、前記第2処理における画像解析の結果が示す液面の数とが互いに一致していない場合に前記不一致状態であると判定する、請求項1~5のいずれか一項記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記検出部は、前記第4処理における前記画像処理として、画像の平滑化を行う、請求項6記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記検出部は、
前記第3処理において、前記第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも前記第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が多いと判定されている場合に、前記第4処理における前記画像処理として前記平滑化の効果を現状よりも大きくし、
前記第3処理において、前記第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも前記第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が少ないと判定されている場合に、前記第4処理における前記画像処理として前記平滑化の効果を現状よりも小さくする、請求項7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記モデル生成部は、ノズルの複数の画像の特徴を学習することにより複数の類似的なデータを生成し、前記ノズルの複数の画像及び前記複数の類似的なデータを入力として学習を行って前記クラス分けモデルを生成する、請求項3記載の基板処理装置。
【請求項10】
基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルを撮像可能に構成されたカメラによって撮像された前記ノズルの画像である撮像ノズル画像に基づき、前記ノズルにおける液面位置を検出する基板処理方法であって、
前記撮像ノズル画像と、ノズルの画像からノズルの液面状態をクラス分けするクラス分けモデルと、に基づき、前記撮像ノズル画像に係るノズルの液面状態をクラス分けする第1工程と、
前記撮像ノズル画像を画像解析する第2工程と、
前記第1工程におけるクラス分けの結果、及び、前記第2工程における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する第3工程と、
前記第3工程において前記不一致状態であると判定された場合に、前記第2工程における画像解析の結果が前記第1工程におけるクラス分けの結果に一致するように、前記撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行うと共に、前記画像処理後の前記撮像ノズル画像を画像解析する第4工程と、
前記第3工程において前記不一致状態でないと判定されている場合には、前記第2工程における画像解析の結果から前記液面位置を検出し、前記第3工程において前記不一致状態であると判定されている場合には、前記第4工程における画像解析の結果から前記液面位置を検出する第5工程と、を含む、基板処理方法。
【請求項11】
請求項10記載の基板処理方法を装置に実行するためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置、基板処理方法及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、複数フレームの撮像画像を比較することにより、基板に対して塗布液を吐出するノズル内の液面の位置を検出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルにおける液面位置を高精度に検出することができる基板処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係る基板処理装置は、基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルと、ノズルを撮像可能に構成されたカメラと、を備える。さらに、上記基板処理装置は、カメラによって撮像されたノズルの画像である撮像ノズル画像に基づき、ノズルにおける液面位置を検出する検出部を備える。検出部は、撮像ノズル画像と、ノズルの画像からノズルの液面状態をクラス分けするクラス分けモデルと、に基づき、撮像ノズル画像に係るノズルの液面状態をクラス分けする第1処理を実行するように構成されている。検出部は、撮像ノズル画像を画像解析する第2処理と、第1処理におけるクラス分けの結果、及び、第2処理における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する第3処理と、を実行するように構成されている。検出部は、第4処理として、第3処理において不一致状態であると判定された場合に、第2処理における画像解析の結果が第1処理におけるクラス分けの結果に一致するように、撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行う。また、検出部は、第4処理として、画像処理後の撮像ノズル画像を画像解析する。検出部は、第5処理として、第3処理において不一致状態でないと判定されている場合には、第2処理における画像解析の結果から液面位置を検出する。検出部は、第5処理として、第3処理において不一致状態であると判定されている場合には、第4処理における画像解析の結果から液面位置を検出する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルにおける液面位置を高精度に検出することができる基板処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)は本実施形態に係るレジスト塗布装置の平面図であり、
図1(b)は本実施形態に係るレジスト塗布装置の縦断面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示されるレジスト塗布装置の概略構成を示す図である。
【
図3】
図3は、制御部のハードウェア構成を例示する模式図である。
【
図4】
図4は、クラス分けモデルを説明する図である。
【
図5】
図5は、GANによる学習用データの生成(水増し)を説明する図である。
【
図6】
図6は、シンナー層の長さに基づくクラス分けを説明する図である。
【
図8】
図8は、液面検知処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1(a)は本実施形態に係るレジスト塗布装置1の平面図である。
図1(b)は本実施形態に係るレジスト塗布装置1の縦断面図である。レジスト塗布装置1は、基板に対し、感光性被膜の形成、当該感光性被膜の露光、及び当該感光性被膜の現像を施す基板処理システムに含まれる装置(基板処理装置)である。処理対象の基板としては、半導体ウエハ、ガラス基板、マスク基板、又はFPD(Flat Panel Display)等が挙げられる。基板は、半導体ウエハ等の上に、前段の処理において被膜等が形成されたものも含む。レジスト塗布装置1は、基板処理システムに含まれる露光装置(不図示)による露光処理の前に、基板の表面にレジスト膜を形成する処理を行う。より具体的には、レジスト塗布装置1は、レジスト膜形成用の塗布液を基板の表面に供給し、上記ベーク前レジスト膜を形成する。また、レジスト塗布装置1は、基板の表面にベーク前レジスト膜を形成した後に、基板の周縁部に除去液を供給することで、ベーク前レジスト膜の周縁部を除去する。
【0009】
レジスト塗布装置1は、
図1(a)及び
図1(b)に示されるように、例えば横方向(図中のY方向)に一列に配列された3つの液処理部2a,2b,2cと、複数本のノズル10(
図2参照)と、を備えている。レジスト塗布装置1は、ノズル搬送機構10aと、ノズルバス14と、EBR機構6と、を更に備えている。
【0010】
液処理部2a,2b,2cは、互いに共通の構成を備えており、基板保持部としてのスピンチャック41と、スピンチャック41に保持されウエハWを取り囲むように設置されたカップ体5と、を備えている。
【0011】
スピンチャック41は、ウエハWの裏面側中央部を吸引吸着して水平に保持するための基板保持部である。スピンチャック41は、軸部42を介して駆動機構43に連結されており(
図2参照)、ウエハWを保持した状態で回転及び昇降自在に構成されている。スピンチャック41は、例えば、制御部9からの制御信号を受けた回転駆動機構(不図示)によって回転速度が制御される。スピンチャック41の側方には、
図2に示されるように、昇降機構44aに連結された昇降ピン44がウエハWの裏面を支持して昇降可能なように設けられている。昇降ピン44は、搬送アームとの協働作用によって筐体30の外部から搬入されてきたウエハWの受け渡しを行う。筐体30の壁面には、搬送アームに臨む搬入出口30aが形成されている。
【0012】
カップ体5は、スピンコーティング等の際にウエハWを回転させることによって飛散したミストが筐体30内に飛び散るのを抑える。カップ体5は、例えばドーナツ状の外観を有すると共に、
図2に示される内部構造を有している。
【0013】
図2に示されるように、カップ体5の内部には、傾斜したリング状の第1のリング部材51と第2のリング部材52とが設置されており、これらのリング部材51、52との間の隙間は、ウエハWから飛散したミストを含む気体の通流する気体流路51aとなっている。また第2のリング部材52は、スピンチャック41に保持されたウエハWの周縁部下方に位置するように設置されており、その上面が「への字」状に屈曲している。この第2のリング部材52の外端面には、カップ本体50の底部の液受け部54に進入するように下方に伸びる端板53が設けられている。これによりウエハWから飛散したレジスト液の一部はドレインとして第2のリング部材52及び端板53の表面を伝って液受け部54へと案内されるようになっている。
【0014】
カップ本体50の下部側は液受け部54となっており、その底部にはカップ体5内を通流した気流を排気するための例えば2つの排気ポート55と、液受け部54に溜まったレジスト液のドレインを排出するためのドレインポート56と、が設けられている。排気ポート55は図示しない排気ダクトに接続されており、また各液処理部2a,2b,2cの排気ポート55と接続された排気ダクトは、筐体30外にて排気用力設備に接続されている。
【0015】
ここで排気ポート55は、
図2に示されるように液受け部54内の上方に延伸されており、液受け部54から排気ポート55へのドレインの溢流を防ぐための溢流防止壁54aを構成している。また、ドレインポート56も図示しないドレイン管に接続されており、ドレインを外部に排出できるようになっている。
【0016】
さらに
図1(b)に示されるように、カップ体5と対向する筐体30の天井部にはフィルタユニット31が取り付けられている。そして、フィルタユニット31から例えば清浄空気を所定流量で供給することにより、筐体30内に清浄空気のダウンフローが形成されるようになっている。清浄空気の一部は、筐体30内に設けられた図示しない排気部より排気されるが、残りの清浄空気はカップ体5内に取り込まれ、
図2に矢印で示される気流を形成して排気ポート55から排出されるようになっている。
【0017】
次に、複数本のノズル10及びノズル搬送機構10aについて説明する。ノズル10は、液処理部2a,2b,2cのスピンチャック41に保持されたウエハWに対してレジスト液及びシンナー等の塗布液を吐出可能に構成された構成である。レジスト塗布装置1は、例えば濃度や成分の異なる10種類のレジスト液と、ウエハW上でレジスト液を広がり易くするためのシンナーと、を含む塗布液を供給できるように、例えば11本のノズル10を備えている。ノズル搬送機構10aは、ノズル10を保持するノズルアーム11と、このノズルアーム11を支える基台12と、基台12の走行軌道をなすレール13と、レール13上で基台12を移動させる機構(不図示)とから構成されている。
【0018】
ノズルアーム11は、11本のノズル10を保持するノズルヘッド部11a(
図2参照)と、このノズルヘッド部11aを支えるアーム部(不図示)とから構成されている。ノズルヘッド部11aの先端部下面には、上述したノズル10の基部を嵌入可能な形状となっており、ノズル10の基部を差し込むだけでそれぞれのノズル10を保持できるようになっている。この結果、11本のノズル10は先端部を下向きにした状態で一列に並び、且つそれらの配列方向が
図1(a)に示したノズル10の搬送方向と一致するように配置される。一方、ノズルヘッド部11aの基部側には後述する供給ユニット7の供給管71(
図2参照)が接続されており、ノズルヘッド部11a内部を介してノズル10へ塗布液を供給できるようになっている。
【0019】
基台12は、ノズルアーム11を移動させるスライダとしての役割を果たす。基台12は図示しない昇降機構を備えており、ノズルアーム11の基部はこの昇降機構に取り付けられている。これによりノズルアーム11は、
図1(b)に示したZ方向を自在に昇降できるようになっている。またレール13は、各液処理部2a,2b,2cの配列方向と平行して敷設されている。
【0020】
以上の構成により、レール13上で基台12を移動させることによって、一列に並んで保持されたノズル10を、ノズルバス14と液処理部2a,2b,2cの略中央部とを結んだ直線上で搬送することができる。これにより、基台12の停止位置を調整することによって、所望の塗布液を供給するノズル10をウエハWの略中央部上方まで移動させ、その位置からウエハWへ塗布液を供給することができる。
【0021】
次にEBR機構6の説明をする。EBR機構は、ウエハWに塗布されたレジスト膜の周縁部の剥がれ等を防止するためにレジスト膜を除去するリンス液をウエハW周縁部に供給する役割を果たす。各々の液処理部2a,2b,2cに設けられたEBR機構6は夫々略共通の構成を有しており、
図1(a)に示されるように、リンス液を吐出するノズルを保持するEBRアーム61と、このEBRアーム61を移動させる基台62と、を備えている。また、EBR機構6は、基台62の走行軌道をなすレール63と、リンス液の供給を行わないときにノズル10を載置して待機させるEBRノズルバス64とを備えている。
【0022】
次に、ノズル10に塗布液を供給する供給ユニット7の構成について
図2を参照しながら説明する。供給ユニット7は、例えば塗布液を溜めた供給タンク(不図示)と、供給タンク内の塗布液をレジスト塗布装置1へ向けて送液するための加圧部(不図示)と、を含む塗布液供給機構70を塗布液の種類に対応する数だけ備えている。
【0023】
塗布液供給機構70は、エアオペレーティドバルブ72とサックバックバルブ73とを介して供給管71により各ノズル10に接続されており、10種類のレジスト液とシンナーとを切り替えて供給することができるようになっている。エアオペレーティドバルブ72は、塗布液の給断を切り替えるための流量調整部である。サックバックバルブ73は、塗布液を供給していないときにノズル10の先端部から塗布液を引き込むための処理液吸引部である。塗布液供給機構70とエアオペレーティドバルブ72とサックバックバルブ73とは関連して駆動及び開閉動作を行って、吐出量、吐出時間及び吸引量、吸引時間を制御するための制御部9に接続されている。すなわち、制御部9からの制御信号に応じて各エアオペレーティドバルブ72及びサックバックバルブ73が開閉制御されることにより、各種類のレジスト及びシンナーが切り替えてウエハWに供給される。制御部9は、本実施の形態に係るレジスト塗布装置1を備える塗布、現像装置全体の動作を統括制御する機能も兼ね備えている。
【0024】
以上の構成に基づいてレジスト塗布装置1によりウエハWにレジスト液を塗布する動作について簡単に説明する。外部の搬送アームによって3つの搬入出口30aのいずれか一つから筐体30内に搬入されたウエハWは、昇降ピン44により裏面側を支持される。そして、搬送アームを筐体30外へ退避させて昇降ピン44を下降させることにより液処理部2a,2b,2cのスピンチャック41にウエハWが受け渡される。
【0025】
つづいて、ノズル搬送機構10aを作動させ、ノズルバス14上で待機させたノズルアーム11を持ち上げて、
図1のY方向に搬送する。シンナーを供給するノズル10がウエハWの略中央上方の位置に到達したらノズルアーム11の移動を停止し、その位置にてノズルアーム11を降下させる。その後静止しているウエハW上にノズル10からシンナーを供給した後、当該処理にて塗布するレジスト液の供給ノズル10がウエハWの略中央上方に位置するように、ノズルアーム11を移動させる。この移動動作と並行して、スピンチャック41を例えば高速回転させ、その回転中のウエハW上にレジスト液を供給、停止してウエハWの径方向に広げるスピンコーティングを行う。
【0026】
つづいて、スピンチャック41を低速で回転させ、スピンコーティングしたレジスト膜の膜圧を均一にし、その後に再び高速回転させることによりコーティングしたレジスト液の振り切り乾燥を行う。この間、ノズル搬送機構10aは上述の経路とは反対の経路でノズルアーム11を移動させて、塗布液の供給の完了したノズル10をノズルバス14で待機させる。
【0027】
一方、振り切り乾燥の完了したウエハWに対しては対応するEBR機構6を稼働させて、リンス液ノズルをEBRノズルバス64からウエハWの周縁部まで搬送して、ここにリンス液を塗布する。そして、スピンチャック41を回転させることでウエハW周縁部に塗布したレジスト膜を除去した後、レジスト膜の場合と同様にリンス液の振り切り乾燥を行って一連の液処理を完了する。
【0028】
リンス液ノズルをEBRノズルバス64まで退避させた後、レジスト膜の形成されたウエハWは、搬入時とは逆の順序で搬送アームに受け渡されレジスト塗布装置1から搬出される。こうして各液処理部2a,2b,2cには、塗布、現像装置に決められたウエハWの搬送サイクルに従ってウエハWが例えば24秒間隔で順次搬送され、同様の処理が行われる。なおノズル10は一つの液処理部2a,2b,2cにてウエハW上に塗布液(シンナー及びレジスト液)の吐出を終えた後、ノズルバス14に退避され、レジスト液の乾燥を抑えている。
【0029】
上述した本実施形態に係るレジスト塗布装置1においては、ノズルヘッド部11a及びノズル10を例えばノズルバス14の位置にて光学的に撮像する機構が更に設けられている。ノズル10等が撮像されることにより、ノズル10内に設定されるレジスト液の位置、空気層の位置(幅)、乾燥抑制溶剤であるシンナー層の位置(幅)、サックバック幅(量)が特定され、液面位置の検出が可能になる。これにより、例えば、ノズル10の乾燥や汚れに対してのダミーディスペンスを実行する回数を適正化することができる。以下、これらの機能の詳細について説明する。
【0030】
レジスト塗布装置1は、
図2に示されるように、ノズル10を撮像可能に構成されたカメラ17を備えている。カメラ17は、ノズル10先端部の内外の状態を撮像する手段であり、ノズルヘッド部11aに保持されたノズル10の画像をイメージセンサにて側方より撮像する。カメラ17は、例えばCCD又はCMOSカメラ等であってもよい。なお、レジスト塗布装置1は、ノズル10に向けてLED照明を当てるためのプリズムを利用したプリズム照明を有していてもよい。
【0031】
カメラ17による撮像は、例えば、前回のダミーディスペンスの動作実施後において不使用のノズル10の乾燥防止処置を行ってから所定の稼働時間が経過した状態、例えば8時間経過後に実施される。撮像された複数のノズル10の撮像データ(撮像ノズル画像)は制御部9に送られる。
【0032】
制御部9は、レジスト塗布装置1の各構成を制御する。制御部9は、一つ又は複数の制御用コンピュータにより構成される。
図3に示されるように、制御部9は回路190を有する。回路190は、少なくとも一つのプロセッサ191と、メモリ192と、ストレージ193と、入出力ポート194と、入力デバイス195と、表示デバイス196とを含む。
【0033】
ストレージ193は、例えばハードディスク等、コンピュータによって読み取り可能な記憶媒体を有する。ストレージ193は、基板処理装置の情報処理方法を制御部9に実行させるためのプログラムを記憶している。
【0034】
メモリ192は、ストレージ193の記憶媒体からロードしたプログラム及びプロセッサ191による演算結果を一時的に記憶する。プロセッサ191は、メモリ192と協働して上記プログラムを実行することで、上述した各機能モジュールを構成する。入出力ポート194は、プロセッサ191からの指令に応じて各構成との間で電気信号の入出力を行う。
【0035】
入力デバイス195及び表示デバイス196は、制御部9のユーザインタフェースとして機能する。入力デバイス195は、例えばキーボード等であり、ユーザによる入力情報を取得する。表示デバイス196は、例えば液晶モニタ等を含み、ユーザに対する情報表示に用いられる。入力デバイス195及び表示デバイス196は、所謂タッチパネルとして一体化されていてもよい。
【0036】
制御部9は、カメラ17によって撮像されたノズル10の画像である撮像ノズル画像に基づき、ノズル10における液面位置を検出する検出部として機能する。また、制御部9は、ノズル10の液面状態をクラス分けする(詳細は後述)際に利用するクラス分けモデルを生成するモデル生成部として機能する。以下では、制御部9の検出部としての機能及びモデル生成部としての機能について、詳細に説明する。
【0037】
制御部9は、検出部としての機能として、第1処理と、第2処理と、第3処理と、第4処理と、第5処理と、を実行するように構成されている。第1処理は、撮像ノズル画像と、ノズル10の画像からノズル10の液面状態をクラス分けするクラス分けモデル(詳細は後述)とに基づき、撮像ノズル画像に係るノズルの液面状態をクラス分けする処理である。第2処理は、撮像ノズル画像を画像解析する処理である。第3処理は、第1処理におけるクラス分けの結果、及び、第2処理における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する処理である。第4処理は、第2処理における画像解析の結果が第1処理におけるクラス分けの結果に一致するように、撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行うと共に画像処理後の撮像ノズル画像を画像解析する処理である。第5処理は、第2処理における画像解析の結果又は第4処理における画像解析の結果から液面位置を検出する処理である。
【0038】
制御部9は、モデル生成部としての機能として、ノズル10の複数の画像を入力としてクラス分けの結果が正解データに近づくようにディープラーニングにより学習を行って、クラス分けモデルを生成してもよい。
【0039】
図4は、クラス分けモデルを説明する図である。
図4に示されるように、クラス分けモデルの生成においては、最初に複数のノズル10の画像が取得される。複数のノズル10の画像は、並びがランダマイズされると共に、学習用(訓練)データとテスト用データとに分割(例えば8:2の割合で分割)される。そして、学習用データについて、画像からの判定結果が、ユーザが与える正解データに近づくように、ディープラーニング(ニューラルネットワークを利用した学習)による学習が行われる。クラス分けモデルは、例えば、ノズル10の画像からノズル10の液面状態をクラス0~クラス3の4つ(詳細は後述)にクラス分けする。クラス分けモデルは、液面の数に応じて液面状態のクラス分けを行ってもよい(詳細は後述)。クラス分けモデルは、塗布液に含まれるシンナーの層の長さに応じて液面状態のクラス分けを行ってもよい(詳細は後述)。
【0040】
なお、制御部9は、ノズル10の複数の画像の特徴を学習することにより複数の類似的なデータを生成し、ノズル10の複数の画像及び生成した複数の類似的なデータを入力として学習を行って、上記クラス分けモデルを生成してもよい。このような学習用データの増量は、例えばGAN(Generative Adversarial Network)を利用して実施されてもよい。GANを利用することにより、例えば
図5(a)に示されるような実際に取得されたノズル10の複数の画像(Real画像)から、
図5(b)に示される複数の類似的なデータ(Fake画像)を生成し、学習用データを水増しすることができる。
【0041】
クラス分けモデルを用いたクラス分け(すなわち第1処理)について、
図6を参照して説明する。
図6に示される例では、レジスト液の位置、空気層の位置(幅)、乾燥抑制溶剤であるシンナー層の位置(幅)、及びサックバック幅(量)に応じて4つのクラスに分離されている。
図6においては、レジスト液の下端位置がDFT3、空気層の下端位置がDFT2、シンナー層の下端位置がDFT1で示されており、DFT1~ノズル10の先端(下端)部分がサックバック幅である。
図6におけるクラス0は、ノズル10の先端~DFT1、DFT1~DFT2、DFT2~DFT3の各幅が適切な状態を示している。適切な状態とは、例えば、ノズル10の先端~DFT1が3±1mm、DFT1~DFT2が10±1mm、DFT2~DFT3が8±1mmである。クラス1は、シンナー層(DFT1~DFT2)が長すぎる状態を示している。シンナー層が長すぎる状態とは、例えばDFT1~DFT2が13mmよりも長い状態である。クラス2は、シンナー層(DFT1~DFT2)が短すぎる状態を示している。シンナー層が短すぎる状態とは、例えばDFT1~DFT2が7mmよりも短い状態である。クラス3は、シンナー層が無い状態を示している。このように、
図6に示される例では、シンナー層の長さに基づいて、クラス0~クラス3にクラス分けしている。なお、クラス0では液面が3本となり、クラス1では液面が2本となり、クラス2では液面が3本となり、クラス3では液面が1本となるので、液面の数によってもクラス分けが可能である。例えば、液面の数によってクラス分けを行い、判別できないクラス間(いずれも液面の数が3本になるクラス0及びクラス2)のみシンナー層の長さによりクラス分けをしてもよい。クラス分けモデルは、このようなクラス分けが可能になるようにディープラーニングによる学習が行われたものである。
【0042】
第2処理~第5処理について、
図7を参照して説明する。いま、第1処理において、
図7(a)に示される撮像ノズル画像について、液面の数が3本でありクラス0に分類されていたとする。この場合において、例えば、デフォルトのパラメータ設定(後述するパラメータα=3)で同じ撮像ノズル画像の画像解析が行われ(第2処理が実行され)、
図7(b)に示されるように、液面の数が液面A1,A2の2本であると判定されたとする。なお、
図7(b)~
図7(d)において、近接する箇所での複数の液面は、1つの液面であるとする。例えば
図7(b)において液面A2は2本あるが、互いに近接するため1本の液面A2であるとする。
【0043】
この場合、制御部9は、第1処理におけるクラス分けの結果(液面の数が3本)と、第2処理における画像解析の結果(液面の数が2本)とが互いに一致していない不一致状態であると判定する(第3処理)。制御部9は、第2処理における画像解析の結果が第1処理におけるクラス分けの結果(液面の数が3本)に一致するように、撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行い、画像処理後の撮像ノズル画像を画像解析する(第4処理)。制御部9は、第4処理における画像処理として、画像の平滑化(詳細には平滑化におけるガウシアンフィルタのパラメータαの調整)を行う。ここでのパラメータαの値は、大きいほど画像の平滑化の効果が大きくなり(画像が粗くなり)、小さいほど画像の平滑化の効果が小さくなる(画像における細かな特徴まで検出する)。ガウシアンフィルタでは、ガウス分布を利用して、注目画素からの距離に応じて近傍の画素値に重みをかけ、自然な平滑化を実現する。
【0044】
制御部9は、第3処理において、第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が多いと判定されている場合に、第4処理における画像処理として平滑化の効果を現状よりも大きくする。一方で、制御部9は、第3処理において、第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が少ないと判定されている場合に、第4処理における画像処理として平滑化の効果を現状よりも小さくする。
【0045】
いま、上述したように、第3処理において、第1処理におけるクラス分けの結果が示す液面の数(3本)よりも、第2処理における画像解析の結果が示す液面の数(2本)が少ないと判定されている。そのため、制御部9は、画像処理として平滑化の効果が現状よりも小さくなるように、上述したパラメータαの値を例えば、現状の3よりも小さい2にする。このようにパラメータαの値が小さくされた後に画像解析が行われる。この場合、例えば、
図7(c)に示されるように、液面の数が液面A1,A2,A3の3本となり、不一致状態が解消し、第1処理におけるクラス分けの結果(液面の数が3本)と、第4処理における画像解析の結果(液面の数が3本)とが互いに一致する。
【0046】
なお、
図7に示される例では、例えば、
図7(d)に示されるようにαの値が更に小さく(α=1)されて画像解析が行われた場合においても、液面の数が3本となり、第1処理におけるクラス分けの結果と第4処理における画像解析の結果とが一致する。一方で、αの値を小さくし過ぎた場合には、画像における液面以外のノイズ成分までも検知してしまうおそれがあり、液面位置の検出精度が悪化するおそれがある。このように、平滑化の効果を小さくしすぎる(αの値を小さくしすぎる)と画像解析においてノイズを検出し液面位置の検出精度が悪化するおそれがある。また、平滑化の効果を大きくしすぎる(αの値を大きくしすぎる)と画像が粗くなりすぎ液面位置の検出精度が悪化するおそれがある。このため、第3処理における判定結果に基づき、適切なαの値を設定することが重要である。
【0047】
制御部9は、上述した第4処理が完了すると、第4処理における画像解析の結果から液面位置を検出する(第5処理)。このように、不一致状態が解消された撮像ノズル画像の画像解析結果(すなわち、第4処理の画像解析結果)から液面位置が検出されることにより、液面位置が高精度に検出され、例えば、ダミーディスペンスを実行する回数を適正化することができる。なお、制御部9は、第3処理において不一致状態になっていないと判定した場合には、第2処理における画像解析の結果(すなわち、αの調整を行っていない画像解析の結果)から液面位置を検出する。
【0048】
次に、上述した液面検知処理について、
図8を参照して説明する。
図8は、液面検知処理を示すフローチャートである。
【0049】
最初に、ノズル10の複数の画像を学習することにより、ノズル10の液面状態をクラス分けするクラス分けモデルが生成される(ステップS1)。つづいて、新たに撮像された撮像ノズル画像がクラス分けモデルに入力されることにより、撮像ノズル画像に係るノズル10の液面状態がクラス分けされる(ステップS2,第1工程)。
【0050】
つづいて、上述した撮像ノズル画像が画像解析されて、液面が検知されると共に各液面の座標が導出される(ステップS3,第2工程,第5工程)。そして、第1工程におけるクラス分けの結果と、第2工程における画像解析の結果とが互いに一致するか否か、具体的には、画像解析により導出された液面の数が、クラス分けの結果が示す液面の数に一致しているか否かが判定される(ステップS4,第3工程)。
【0051】
第3工程において不一致状態であると判定された場合には、第2工程における画像解析の結果が第1工程におけるクラス分けの結果に一致するように、所定の画像処理(具体的には、パラメータαの調整)が行われる(ステップS5,第4工程)。この場合、再度ステップS3からの処理が実施される。
【0052】
一方で、第3工程において一致状態であると判定された場合には、画像解析により導出されたシンナー長さがクラス分けが示すシンナー長さに一致するか否かが判定される(ステップS6)。一致しない場合には、異常を示すアラームが発出され、装置側において適切な処理が実施される。一方で、一致する場合には、液面位置の検出結果等が信頼に値する情報であるとして、例えば、該情報が、その後のダミーディスペンスの実行に係る情報として用いられ、処理が終了する。
【0053】
次に、本実施形態に係るレジスト塗布装置1の作用効果について説明する。
【0054】
本実施形態に係るレジスト塗布装置1は、ウエハWに対して塗布液を吐出可能に構成されたノズル10と、ノズル10を撮像可能に構成されたカメラ17と、を備える。さらに、上記レジスト塗布装置1は、カメラ17によって撮像されたノズル10の画像である撮像ノズル画像に基づき、ノズル10における液面位置を検出する制御部9を備える。制御部9は、撮像ノズル画像と、ノズル10の画像からノズル10の液面状態をクラス分けするクラス分けモデルと、に基づき、撮像ノズル画像に係るノズル10の液面状態をクラス分けする第1処理を実行するように構成されている。制御部9は、撮像ノズル画像を画像解析する第2処理と、第1処理におけるクラス分けの結果、及び、第2処理における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する第3処理と、を実行するように構成されている。制御部9は、第4処理として、第3処理において不一致状態であると判定された場合に、第2処理における画像解析の結果が第1処理におけるクラス分けの結果に一致するように、撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行う。また、制御部9は、第4処理として、画像処理後の撮像ノズル画像を画像解析する。制御部9は、第5処理として、第3処理において不一致状態でないと判定されている場合には、第2処理における画像解析の結果から液面位置を検出する。制御部9は、第5処理として、第3処理において不一致状態であると判定されている場合には、第4処理における画像解析の結果から液面位置を検出する。
【0055】
本実施形態に係るレジスト塗布装置1では、ノズル10の画像からノズル10の液面状態をクラス分けするクラス分けモデルに撮像ノズル画像が入力されることにより、ノズル10の液面状態がクラス分けされる。また、撮像ノズル画像が画像解析されて、クラス分けの結果と画像解析の結果とが不一致状態であるか否かが判定され、不一致状態である場合には、不一致状態でなくなるように撮像ノズル画像に対して画像処理が行われる。そして、不一致状態でないと判定されている場合には撮像ノズル画像の画像解析の結果から液面位置が検出され、不一致状態であると判定されている場合には上記画像処理が行われた後の撮像ノズル画像の画像解析の結果から液面位置が検出される。ノズル10の画像を画像析することによって、ノズル10における液面位置を検出することができる。ここで、画像解析対象の画像のバリエーションが増えると、同一条件(パラメータ設定)の画像解析のみでは、適切に液面位置が検出されないおそれがある。この点、ノズル10の画像からノズル10の液面状態をクラス分けするクラス分けモデルによるクラス分けの結果と、画像解析の結果とが互いに一致するように画像処理を行うことにより、各画像のバリエーションに対応した適切な画像解析を行うことができる。このような構成によれば、ノズル10における液面位置を高精度に検出することができる。
【0056】
上記レジスト塗布装置1の制御部9は、クラス分けモデルを生成するモデル生成部として機能してもよい。このような構成によれば、クラス分けモデルを適切に準備することができる。
【0057】
制御部9は、ノズル10の複数の画像を入力としてクラス分けの結果が正解データに近づくようにディープラーニングにより学習を行ってクラス分けモデルを生成してもよい。このような構成によれば、クラス分けを高精度に行うクラス分けモデルを適切に準備することができる。
【0058】
制御部9は、液面の数に応じて液面状態のクラス分けを行うクラス分けモデルを生成してもよい。このようなクラス分けモデルによれば、液面状態を高精度にクラス分けすることができる。
【0059】
制御部9は、塗布液に含まれるシンナーの層の長さに応じて液面状態のクラス分けを行うクラス分けモデルを生成してもよい。このようなクラス分けモデルによれば、液面状態を高精度にクラス分けすることができる。
【0060】
制御部9は、第3処理において、第1処理におけるクラス分けが示す液面の数と、第2処理における画像解析の結果が示す液面の数とが互いに一致していない場合に不一致状態であると判定してもよい。このような構成によれば、容易且つ適切に不一致状態であるか否かを判定することができる。
【0061】
制御部9は、第4処理における画像処理として、画像の平滑化を行ってもよい。このような構成によれば、上記画像処理を容易且つ適切に行うことができる。
【0062】
制御部9は、第3処理において、第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が多いと判定されている場合に、第4処理における画像処理として平滑化の効果を現状よりも大きくしてもよい。また、制御部9は、第3処理において、第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が少ないと判定されている場合に、第4処理における画像処理として平滑化の効果を現状よりも小さくしてもよい。平滑化の効果を大きくしすぎると画像が粗くなりすぎてしまうおそれがあり、また、平滑化の効果を小さくしすぎると画像解析においてノイズを検出してしまうおそれがある。この点、画像解析において液面が多く検出されている場合には画像を粗くするように平滑化の効果を大きくし、液面が少なく検出されている場合には画像をより詳細に検出するように平滑化の効果を小さくする。これにより、判定結果に応じて適切に画像処理を行うことができる。
【0063】
制御部9は、ノズル10の複数の画像の特徴を学習することにより複数の類似的なデータを生成し、ノズル10の複数の画像及び複数の類似的なデータを入力として学習を行ってクラス分けモデルを生成してもよい。これにより、学習データを効率的に増やすことができる。
【0064】
最後に、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E11]に記載する。
【0065】
[E1]
基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルと、
前記ノズルを撮像可能に構成されたカメラと、
前記カメラによって撮像された前記ノズルの画像である撮像ノズル画像に基づき、前記ノズルにおける液面位置を検出する検出部と、を備え、
前記検出部は、
前記撮像ノズル画像と、ノズルの画像からノズルの液面状態をクラス分けするクラス分けモデルと、に基づき、前記撮像ノズル画像に係るノズルの液面状態をクラス分けする第1処理と、
前記撮像ノズル画像を画像解析する第2処理と、
前記第1処理におけるクラス分けの結果、及び、前記第2処理における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する第3処理と、
前記第3処理において前記不一致状態であると判定された場合に、前記第2処理における画像解析の結果が前記第1処理におけるクラス分けの結果に一致するように、前記撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行うと共に、前記画像処理後の前記撮像ノズル画像を画像解析する第4処理と、
前記第3処理において前記不一致状態でないと判定されている場合には、前記第2処理における画像解析の結果から前記液面位置を検出し、前記第3処理において前記不一致状態であると判定されている場合には、前記第4処理における画像解析の結果から前記液面位置を検出する第5処理と、を実行するように構成されている、基板処理装置。
【0066】
[E2]
前記クラス分けモデルを生成するモデル生成部を更に備える、[E1]記載の基板処理装置。
【0067】
[E3]
前記モデル生成部は、ノズルの複数の画像を入力としてクラス分けの結果が正解データに近づくようにディープラーニングにより学習を行って前記クラス分けモデルを生成する、[E2]記載の基板処理装置。
【0068】
[E4]
前記モデル生成部は、液面の数に応じて前記液面状態のクラス分けを行う前記クラス分けモデルを生成する、[E2]又は[E3]記載の基板処理装置。
【0069】
[E5]
前記モデル生成部は、前記塗布液に含まれるシンナーの層の長さに応じて前記液面状態のクラス分けを行う前記クラス分けモデルを生成する、[E2]~[E4]のいずれか一項記載の基板処理装置。
【0070】
[E6]
前記検出部は、前記第3処理において、前記第1処理におけるクラス分けが示す液面の数と、前記第2処理における画像解析の結果が示す液面の数とが互いに一致していない場合に前記不一致状態であると判定する、[E1]~[E5]のいずれか一項記載の基板処理装置。
【0071】
[E7]
前記検出部は、前記第4処理における前記画像処理として、画像の平滑化を行う、[E1]~[E6]のいずれか一項記載の基板処理装置。
【0072】
[E8]
前記検出部は、
前記第3処理において、前記第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも前記第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が多いと判定されている場合に、前記第4処理における前記画像処理として前記平滑化の効果を現状よりも大きくし、
前記第3処理において、前記第1処理におけるクラス分けが示す液面の数よりも前記第2処理における画像解析の結果が示す液面の数が少ないと判定されている場合に、前記第4処理における前記画像処理として前記平滑化の効果を現状よりも小さくする、[E7]記載の基板処理装置。
【0073】
[E9]
前記モデル生成部は、ノズルの複数の画像の特徴を学習することにより複数の類似的なデータを生成し、前記ノズルの複数の画像及び前記複数の類似的なデータを入力として学習を行って前記クラス分けモデルを生成する、[E2]~[E5]のいずれか一項の基板処理装置。
【0074】
[E10]
基板に対して塗布液を吐出可能に構成されたノズルを撮像可能に構成されたカメラによって撮像された前記ノズルの画像である撮像ノズル画像に基づき、前記ノズルにおける液面位置を検出する基板処理方法であって、
前記撮像ノズル画像と、ノズルの画像からノズルの液面状態をクラス分けするクラス分けモデルと、に基づき、前記撮像ノズル画像に係るノズルの液面状態をクラス分けする第1工程と、
前記撮像ノズル画像を画像解析する第2工程と、
前記第1工程におけるクラス分けの結果、及び、前記第2工程における画像解析の結果が互いに一致していない不一致状態であるか否かを判定する第3工程と、
前記第3工程において前記不一致状態であると判定された場合に、前記第2工程における画像解析の結果が前記第1工程におけるクラス分けの結果に一致するように、前記撮像ノズル画像に対して所定の画像処理を行うと共に、前記画像処理後の前記撮像ノズル画像を画像解析する第4工程と、
前記第3工程において前記不一致状態でないと判定されている場合には、前記第2工程における画像解析の結果から前記液面位置を検出し、前記第3工程において前記不一致状態であると判定されている場合には、前記第4工程における画像解析の結果から前記液面位置を検出する第5工程と、を含む、基板処理方法。
【0075】
[E11]
[E10]記載の基板処理方法を装置に実行するためのプログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【符号の説明】
【0076】
1…レジスト塗布装置(基板処理装置)、9…制御部(検出部,モデル生成部)、10…ノズル、17…カメラ。