(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151274
(43)【公開日】2024-10-24
(54)【発明の名称】表面欠陥検出方法、および表面欠陥検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/88 20060101AFI20241017BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064524
(22)【出願日】2023-04-11
(71)【出願人】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(72)【発明者】
【氏名】紙谷 研志
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA90
2G051AB10
2G051BB01
2G051CA04
2G051CA06
2G051CB01
(57)【要約】
【課題】表面反射率が低いワーク表面に生じたうねり欠陥でも安定して、精度よく検出できる表面欠陥検出方法、および表面欠陥検出装置を提供する。
【解決手段】本発明は、光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データから当該ワーク表面のうねり欠陥を検出する表面欠陥検出方法であって、前記光を前記ワーク検査面の斜め上方から前記ワーク検査面に照射し、前記光が前記ワーク検査面を反射した反射光方向から前記ワーク検査面を撮像する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データからワーク表面のうねり欠陥を検出するワークの表面欠陥検出方法であって、
前記光を前記ワーク検査面の斜め上方から前記ワーク検査面に照射し、
前記光が前記ワーク検査面を反射した反射光方向から前記ワーク検査面を撮像する
表面欠陥検出方法。
【請求項2】
光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データからワーク表面のうねり欠陥を検出するワークの表面欠陥検出装置であって、
前記光を、前記ワーク検査面の斜め上方から前記ワーク検査面に照射する光源と、
前記光が前記ワーク検査面を反射した反射光方向から前記ワーク検査面を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した画像データを基に、前記ワーク検査面のうねり欠陥の有無を判断する判定部と、
を備える表面欠陥検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク表面のうねり欠陥を検出可能な表面欠陥検出方法、および表面欠陥検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被検物の表面に存在する傷やうねりなどの凹凸な形状を有する欠陥を検査する表面検査方法として、変位センサにより表面の凹凸を測定して欠陥を検知する方法や、被検査物を撮像した画像を用いて被検査物の外観を検知する技術が知られている。変位センサにより欠陥を検知する方法としては、特許文献1のように、レーザー変位計を用いて表面にある微小な凹凸欠陥を短時間で検出する方法がある。画像を用いて被検物の外観を検知する技術としては、特許文献2のように明視野像と暗視野像から欠陥の有無を検出する方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-169829号公報
【特許文献2】特開2016-102724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、正常面からの深さが50μm以下の小さなうねりのような欠陥(以下、うねり欠陥と呼ぶ)の場合、特許文献1に示す測定方法では、高い検査分解能が必要となり、特許文献2に示す測定方法では、正常面とうねり欠陥の表面粗さの差が小さいため、画像から欠陥を判別することが難しい。例えば、フェライト焼結磁石のようなワークの表面に形成されたうねり欠陥は、表面の反射率が低いため、従来の表面検査方法では検出することが困難であった。
【0005】
そこで本発明では、表面反射率が低いワーク表面に生じたうねり欠陥でも安定して、精度よく検出できる表面欠陥検出方法、および表面欠陥検出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データから当該ワーク表面のうねり欠陥を検出する表面欠陥検出方法であって、前記光を前記ワーク検査面の斜め上方から前記ワーク検査面に照射し、前記光が前記ワーク検査面を反射した反射光方向から前記ワーク検査面を撮像する表面欠陥検出方法である。
【0007】
また、本発明は、光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データから当該ワーク表面のうねり欠陥を検出する表面欠陥検出装置であって、前記光を、前記ワーク検査面の斜め上方から前記ワーク検査面に照射する光源と、前記光が前記ワーク検査面を反射した反射光方向から前記ワーク検査面を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した画像データを基に、前記ワーク検査面のうねり欠陥の有無を判断する判定部とを備える表面欠陥検出装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、表面反射率が低いワーク表面に生じたうねり欠陥でも安定して、精度よく検出できる表面欠陥検出方法、および表面欠陥検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態における表面検査装置の概念図である。
【
図2】本発明の実施形態における表面検査装置で用いられる光源の一例を示す概念図である。
【
図3】本発明の実施形態における表面欠陥検出方法を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
本実施形態である表面欠陥検出方法は、光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データから当該ワーク表面のうねり欠陥を検出する表面欠陥検出方法であって、光をワーク検査面の斜め上方からワーク検査面に照射し、光がワーク検査面を反射した反射光方向からワーク検査面を撮像する。具体的には、検査面に対して低角で光を照射し、反射光を用いてワーク面を撮像して表面の小さい凹凸を検出する表面欠陥検出方法である。
【0012】
一般的に、検査面を低角の斜め上方から撮像すると、画像が小さくなり、得られる情報量が少なくなる。また、検査面を低角の反射光側から撮像すると、画像に光源の光が写り込み、反射像とのコントラストが付きにくくなる。そのため、検査面に対して低角で光を照射し、反射光を用いてワーク面を撮像する検査方法は、実施しないのが当業者の常識である。
一方、本実施形態は、うねり欠陥というマクロ欠陥の検査であるために、情報量が小さくなっても問題なく検出可能であり、且つ、低反射率のワークであるために、光源の光の写り込みに対してもコントラスト良く撮像して検出することが可能である。
【0013】
本実施形態である表面欠陥検出装置は、光を照射したワーク検査面を撮像して得られた画像データから当該ワーク表面のうねり欠陥を検出する表面欠陥検出装置であって、光を、ワーク検査面の斜め上方からワーク検査面に照射する光源と、光がワーク検査面を反射した反射光方向からワーク検査面を撮像する撮像部と、撮像部が撮像した画像データを基に、ワーク検査面のうねり欠陥の有無を判断する判定部とを備える。
【0014】
(表面欠陥検出装置)
表面欠陥検出装置の構成と各構成の役割について説明する。
図1に表面欠陥検出装置の概念図を示す。表面欠陥検出装置1は、被検物であるワークWを保持して、ワークWを照射する光を発生する光源2と、光源2に対するワークWの位置を決定するワーク位置決め部3と、ワークWからの反射光を反射方向から撮像する撮像部4と、うねり欠陥の有無を判定する判定部5とを具備している。
【0015】
ワークWは例えば、希土類焼結磁石、フェライト焼結磁石、サマリウムコバルト焼結磁石等が挙げられ、これらの焼結磁石は、公知の方法で用意することができる。
例えば、フェライト焼結磁石は、以下のようにして製造する。まず、所望の組成を有するフェライト化合物の粉末(仮焼体粉末)を準備し、かかる粉末をプレス成形し、所望の形状を有する粉末成形体を作製する。その後、粉末成形体を焼結することによって焼結材を得る。次に、焼結材は機械加工を受けて、所望の大きさおよび形状の焼結磁石となる。ここで、焼結磁石は、成形や加工、各工程間のハンドリング等により、うねり欠陥が発生する可能性があるので、最後にそれら外観上の欠陥を検出するために外観検査の工程を実施する。小さなうねりのような欠陥うねり欠陥の深さは50μm以下で、幅は10mm以下である。
【0016】
光源2は、ワーク検査面を照射するために用いられ、ワーク検査面に対して斜め上方からワーク検査面に照射されれば、点光源に限らず面光源や線光源でも良い。または、
図2に示すように、撮像部4側の光源、例えばドーム照明6と、ワークWを挟んでドーム照明6の反対側に設置された反射材7(例えば、ミラーや白紙など)を組み合わせた光学系を用いても良い。
【0017】
ワーク位置決め部3は、ワークを固定して、光源2に対するワークWの位置を決定するために用いられる。例えば、吸着パットやロボットハンドなどが用いることが好ましい。
【0018】
撮像部4は、エリアセンサカメラを用いることが好ましい。ワーク検査面の全面を撮像することができ、1回の撮像でワーク検査面に存在する全てのうねり欠陥を検出することができるためである。
【0019】
判定部5は、光源制御部8、ワーク位置決め制御部9、撮像制御部10、演算制御部11、記憶装置12を有している。光源制御部8は、光源用電源13を介して光源2と接続されており、光源2の点灯及び消灯を制御するものである。ワーク位置決め制御部9は、ワーク位置決め部3と接続されており、ワークWの保持や光源2に対する位置や姿勢を制御するものである。撮像制御部10は、撮像部4が接続されており、撮像部4が撮像した画像データを取得する。
【0020】
光源制御部8とワーク位置決め制御部9と撮像制御部10は、演算制御部11と接続されている。演算制御部11は、撮像制御部10が撮像部4で画像を取得するタイミングと、光源制御部8が光源2の点灯及び消灯するタイミングとを制御する。さらに、演算制御部11は、得られた画像データを処理して、うねり欠陥の有無を判定する。記憶装置12には、うねり欠陥の有無を判定した結果の情報が保存される。
【0021】
以上の装置構成により、表面反射率が低いワーク表面に生じたうねり欠陥でも安定して、精度よく検出することができる。
【0022】
(表面欠陥検出方法)
表面欠陥検出方法を説明する。
図3に表面欠陥検出方法のフロー図を示す。まず、ステップS01で、ワークWをワーク位置決め部3に搭載する。次に、ステップS02で、ワーク位置決め制御部9の指令により、ワーク位置決め部3を駆動させ、ワークWが撮像部4の視野内に入る位置に位置決めする。次に、ステップS03で、ワーク位置決め制御部9の指令により、ワークWを所定の角度に位置決めしてから、光源2の光をワークWのワーク検査面に照射する。
【0023】
その後、ステップS04で、撮像部4によりワークWを撮像し、撮像により得られた画像データを判定部5に転送する。好ましくは、観察面を180度反転させて、再度ステップS03とステップS04を行う。同じ欠陥でも向きを変えると、被写界深度や欠陥部のコントラストが変わるため、このように向きを変えて再度撮像することで、より正確に欠陥を判断できる。
【0024】
ここで、ワークWは、ワーク検査面を撮像部4の撮像方向に対して、0度超30度以下に位置決めすることが好ましく、8度以上15度以下がより好ましい。その後、ステップS05で、撮像部4から判定部5に送られてきた複数の画像データを演算制御部11で処理して、ワークWの各位置におけるうねり欠陥の有無を判定する。そして、ステップS06において、判定結果の情報を記憶装置12に保存する。
【0025】
以上のフローにより、表面反射率が低いワーク表面に生じたうねり欠陥でも安定して、精度よく検出することができる。
【0026】
以上、本発明である表面欠陥検出方法、及び表面欠陥検出装置について、実施形態を用いて説明してきたが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0027】
1:表面欠陥検出装置
2:光源
3:ワーク位置決め部
4:撮像部
5:判定部
6:ドーム照明
7:反射材
8:光源制御部
9:ワーク位置決め制御部
10:撮像制御部
11:演算制御部
12:記憶装置
13:光源用電源
W:ワーク