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特開2024-151507冷却ジャケットおよびスピンドルユニット
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151507
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】冷却ジャケットおよびスピンドルユニット
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/12 20060101AFI20241018BHJP
   B24B 41/047 20060101ALI20241018BHJP
   B24B 55/00 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B23Q11/12 C
B24B41/047
B24B55/00
H01L21/304 631
H01L21/304 622R
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023064888
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤本 政良
【テーマコード(参考)】
3C011
3C034
3C047
5F057
【Fターム(参考)】
3C011FF01
3C034AA08
3C034BB87
3C034CA02
3C034DD10
3C034DD20
3C047FF04
3C047FF12
3C047FF17
5F057AA31
5F057AA51
5F057BA11
5F057BB03
5F057CA14
5F057DA11
5F057FA01
5F057FA13
5F057FA42
5F057GA05
5F057GA27
5F057GB13
5F057GB31
(57)【要約】
【課題】発熱体を、略一定温度の冷却水によって冷却する。
【解決手段】第2配管83は、その内側が第1配管82に接しているとともに、その外側が、発熱体であるスピンドルモータ74に接している。このため、第2配管83を流れる冷却水は、第1配管82を流れる冷たい冷却水と熱交換しながら、スピンドルモータ74を冷却してその熱を吸収する。すなわち、第2配管を流れる冷却水が、第1配管82を流れる冷却水によって冷やされる。このため、第2配管83内の冷却水の温度を略一定に維持することができる。したがって、スピンドルモータ74を、Z軸方向に沿って一定温度の冷却水によって冷却できる。このため、スピンドルモータ74(ケーシング)の部分的な温度差に起因する、スピンドル71の熱膨張による変形が抑制されて、エアベアリングのエアギャップが狭くなることを抑制できる。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体を囲み、冷却水を通水させることにより該発熱体を冷却する冷却ジャケットであって、
一方向に延在する第1配管と、該第1配管を収容し底を有する第2配管とからなる二重管を備え、
該第1配管は、一方の端に該冷却水の入口または出口となる第1口を備え、他方の端に開口を有し、
該第2配管は、該底の反対側の端に該冷却水の入口または出口となる第2口を備え、
該二重管は、該第1配管の該開口と該第2配管の該底とを接続することにより、該第1配管の第1口と該第2配管の第2口とを連通させる連通路を備える、
冷却ジャケット。
【請求項2】
加工具を先端に装着するスピンドルの後端に連結されているモータと、
該発熱体である該モータを冷却するための請求項1記載の冷却ジャケットと、を備えている、
スピンドルユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却ジャケットおよびスピンドルユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ウェーハを研削砥石で研削する研削装置は、環状に研削砥石を配置した研削ホイールをスピンドルの先端に装着し、スピンドルの回転に伴って研削ホイールを回転させ、回転する研削砥石でウェーハを研削している。
【0003】
スピンドルは、後端に直結されたモータによって回転する。これに関し、モータがウェーハの研削に伴う回転負荷を受けた際には、当初設定された回転数を維持するために、モータに供給する電流を多くしている。このように電流を多く流すことで、モータは発熱する。その熱により、モータに直結されたスピンドルが熱膨張し、エアベアリングのエアギャップを狭め、スピンドルを齧らせることがある。
そのため、スピンドルユニットは、モータを冷却するための冷却ジャケットを装備している(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-015859号公報
【特許文献2】特開2019-150901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の冷却ジャケットでは、螺旋状の水路に冷却水を通水させることにより、モータが冷却される(特許文献2)。
しかし、冷却水が螺旋状の水路を流れるため、冷却ジャケットのイン側(上端側)とアウト側(下端側)とで、冷却水の温度に差が生じる。この場合、アウト側の水温が上がるので、スピンドルのアウト側に近い部分が膨張してしまい、エアベアリングのエアギャップが狭くなる。
【0006】
したがって、スピンドルの軸方向に沿う冷却ジャケットの上端側と下端側とに生じる温度差を小さくして、モータを一定温度の冷却水によって冷却し、スピンドルの部分的な熱膨張を抑制して、エアベアリングのエアギャップが狭くなることを抑制することが好ましい。
【0007】
したがって、本発明の目的は、冷却ジャケットの冷却水の温度差を小さくして、発熱体を略一定温度の冷却水によって冷却することことにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の冷却ジャケット(本冷却ジャケット)は、発熱体を囲み、冷却水を通水させることにより該発熱体を冷却する冷却ジャケットであって、一方向に延在する第1配管と、該第1配管を収容し底を有する第2配管とからなる二重管を備え、該第1配管は、一方の端に該冷却水の入口または出口となる第1口を備え、他方の端に開口を有し、該第2配管は、該底の反対側の端に該冷却水の入口または出口となる第2口を備え、該二重管は、該第1配管の該開口と該第2配管の該底とを接続することにより、該第1配管の第1口と該第2配管の第2口とを連通させる連通路を備える。
【0009】
本発明のスピンドルユニット(本スピンドルユニット)は、加工具を先端に装着するスピンドルの後端に連結されているモータと、該発熱体である該モータを冷却するための本冷却ジャケットと、を備えている。
【発明の効果】
【0010】
本冷却ジャケットでは、第2配管が第1配管に接している。このため、第2配管を流れる冷却水は、第1配管を流れる冷却水と熱交換しながら、発熱体を冷却してその熱を吸収する。このため、第2配管内の冷却水の温度変化を抑制して、第2流路内の冷却水の温度差を小さくして、冷却水を略一定温度に維持することができる。したがって、発熱体を、略一定温度の冷却水によって冷却することができる。
【0011】
このため、たとえば発熱体がスピンドルモータである場合、その部分的な温度差に起因する、スピンドルの熱膨張による変形が抑制される。したがって、エアベアリングのエアギャップが狭くなることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】研削装置の構成を示す斜視図である。
図2】研削機構の構成を示す説明図である。
図3】冷却ジャケットの構成を示す説明図である。
図4】他の冷却ジャケットの構成を示す分解斜視図である。
図5図5(a)は、図4に示した冷却ジャケットの第1部分を示す説明図であり、図5(b)は、同じく第2部分を示す説明図である。
図6図4に示した冷却ジャケットの構成を示す説明図である。
図7】さらに他の冷却ジャケットの構成を示す分解斜視図である。
図8図7に示した冷却ジャケットの第1部分を示す説明図である。
図9図9(a)は、図7に示した冷却ジャケットの第1部分を示す説明図であり、図9(b)は、同じく第2配管を示す説明図である。
図10図7に示した冷却ジャケットの構成を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1に示すように、本実施形態にかかる研削装置1は、ウェーハ200を研削砥石68によって研削する装置であり、直方体状の基台10、上方に延びるコラム11、および、研削装置1の各部材を制御する制御部7を備えている。
ウェーハ200は、たとえば、円形の半導体ウェーハであり、表面201および裏面202を含んでいる。
【0014】
基台10の上面側には、開口部13が設けられている。そして、開口部13内には、ウェーハ保持機構30が配置されている。ウェーハ保持機構30は、ウェーハ200を保持するチャックテーブル20、チャックテーブル20を支持する支持部材33、チャックテーブル20を回転させるチャックテーブルモータ34、および、チャックテーブル20の傾きを調整可能な支持柱35を含んでいる。
【0015】
チャックテーブル20は、ポーラス部材21と、ポーラス部材21の上面が露出するようにポーラス部材21を収容する枠体23と、を備えている。ポーラス部材21の上面は、ウェーハ200を吸引保持する保持面22である。保持面22は、吸引源(図示せず)に連通されることにより、ウェーハ200を吸引保持する。また、枠体23の上面である枠体面24は、保持面22と面一となるように形成されている。
【0016】
チャックテーブルモータ34は、チャックテーブル20を、保持面22の中心を軸に回転させる。すなわち、チャックテーブル20は、下方に設けられたチャックテーブルモータ34により、保持面22によってウェーハ200を保持した状態で、保持面22の中心を通る回転軸を中心として回転可能である。
【0017】
チャックテーブル20の周囲には、チャックテーブル20とともにY軸方向に沿って移動されるカバー板39が設けられている。また、カバー板39には、Y軸方向に伸縮する蛇腹カバー12が連結されている。そして、ウェーハ保持機構30の下方には、Y軸方向移動機構40が配設されている。
【0018】
Y軸方向移動機構40は、チャックテーブル20と研削機構60の研削砥石68とを、相対的に、保持面22に平行な方向であるY軸方向に移動させる。本実施形態では、Y軸方向移動機構40は、研削砥石68に対して、チャックテーブル20を含むウェーハ保持機構30をY軸方向に移動させるように構成されている。
【0019】
Y軸方向移動機構40は、Y軸方向に平行な一対のY軸ガイドレール42、このY軸ガイドレール42上をスライドするY軸移動テーブル45、Y軸ガイドレール42と平行なY軸ボールネジ43、Y軸ボールネジ43に接続されているY軸モータ44、および、これらを保持する保持台41を備えている。
【0020】
Y軸移動テーブル45は、Y軸ガイドレール42にスライド可能に設置されている。Y軸移動テーブル45の下面には、ナット部(図示せず)が固定されている。このナット部には、Y軸ボールネジ43が螺合されている。Y軸モータ44は、Y軸ボールネジ43の一端部に連結されている。
【0021】
Y軸方向移動機構40では、Y軸モータ44がY軸ボールネジ43を回転させることにより、Y軸移動テーブル45が、Y軸ガイドレール42に沿って、Y軸方向に移動する。Y軸移動テーブル45には、支持柱35を介して、ウェーハ保持機構30の支持部材33が載置されている。したがって、Y軸移動テーブル45のY軸方向への移動に伴って、チャックテーブル20を含むウェーハ保持機構30が、Y軸方向に移動する。
【0022】
本実施形態では、ウェーハ保持機構30は、保持面22にウェーハ200を載置するための-Y方向側のウェーハ載置領域と、ウェーハ200が研削される+Y方向側の研削領域との間を、Y軸方向移動機構40によって、Y軸方向に沿って移動される。
【0023】
また、図1に示すように、基台10上の後方(+Y方向側)には、コラム11が立設されている。コラム11の前面には、ウェーハ200を研削する研削機構60、および、垂直移動機構50が設けられている。
【0024】
垂直移動機構50は、チャックテーブル20と研削機構60の研削砥石68とを、保持面22に垂直なZ軸方向(研削送り方向)に相対的に移動させる。本実施形態では、垂直移動機構50は、チャックテーブル20に対して、研削砥石68をZ軸方向に移動させるように構成されている。
【0025】
垂直移動機構50は、Z軸方向に平行な一対のZ軸ガイドレール51、このZ軸ガイドレール51上をスライドするZ軸移動テーブル53、Z軸ガイドレール51と平行なZ軸ボールネジ52、Z軸ボールネジ52に接続されているZ軸モータ54、Z軸ボールネジ52の回転量(回転回数および回転角度)を検知するためのZ軸エンコーダ55、および、Z軸移動テーブル53に取り付けられたホルダ56を備えている。ホルダ56は、研削機構60を支持している。
【0026】
Z軸移動テーブル53は、Z軸ガイドレール51にスライド可能に設置されている。Z軸移動テーブル53には、図示しないナット部が固定されている。このナット部には、Z軸ボールネジ52が螺合されている。Z軸モータ54は、Z軸ボールネジ52の一端部に連結されている。
【0027】
垂直移動機構50では、Z軸モータ54がZ軸ボールネジ52を回転させることにより、Z軸移動テーブル53が、Z軸ガイドレール51に沿って、Z軸方向に移動する。これにより、Z軸移動テーブル53に取り付けられたホルダ56、および、ホルダ56に支持された研削機構60も、Z軸移動テーブル53とともにZ軸方向に移動する。
【0028】
Z軸エンコーダ55は、Z軸モータ54がZ軸ボールネジ52を回転させることで回転され、Z軸ボールネジ52の回転量(回転回数および回転角度)を認識することができる。そして、本実施形態では、制御部7が、Z軸エンコーダ55が認識したZ軸ボールネジ52の回転量を認識して、その認識結果に基づいて、Z軸方向に移動される研削機構60の研削砥石68の高さ位置を検知することができる。
【0029】
研削機構60は、いわゆるエアスピンドルユニットとしてのスピンドルユニット70、スピンドルユニット70の先端(下端)に取り付けられたマウント65、および、研削砥石68を有する研削ホイール66を備えている。研削機構60の構成については後述する。
【0030】
カバー板39におけるチャックテーブル20の+Y方向側には、流体ノズル37が設けられている。そして、流体ノズル37が図示しない研削水源に連通されることにより、研削砥石68およびウェーハ200の裏面202に研削水が供給される。
【0031】
また、図1に示すように、基台10における開口部13の側部には、厚み測定部57が配設されている。厚み測定部57は、保持面22に保持されたウェーハ200の厚みを測定することができる。
【0032】
厚み測定部57は、接触式あるいは非接触式のハイトゲージである、ウェーハ高さ測定部58および保持面高さ測定部59を有している。
【0033】
ウェーハ高さ測定部58は、保持面22に保持されているウェーハ200の高さを測定する。保持面高さ測定部59は、保持面22に面一である枠体23の枠体面24の高さを測定する。そして、厚み測定部57は、測定されたウェーハ200の高さと枠体面24の高さとの差分に基づいて、ウェーハ200の厚みを算出する。
【0034】
研削装置1の制御部7は、制御プログラムにしたがって演算処理を行うCPU、および、メモリ等の記憶媒体等を備えている。制御部7は、研削装置1の上述した各部材を制御して、ウェーハ200に対する研削加工を実行する。
【0035】
次に、本実施形態の研削機構60について説明する。
【0036】
図2に示すように、研削機構60のスピンドルユニット70は、直立姿勢のスピンドル71、スピンドル71を覆っており、スピンドル71を支持するケーシング72、スピンドル71の下端部分を覆う筒カバー73、スピンドル71を回転駆動するスピンドルモータ74、および、発熱体であるスピンドルモータ74を冷却する冷却ジャケット80を備えている。
【0037】
スピンドル71は、Z軸方向に延びており、その先端(下端)に、マウント65を介して加工具としての研削ホイール66が装着されている。スピンドル71の中間部分には、大径の第1円板部711が形成されている。また、スピンドル71の下端部分にも、大径の第2円板部712が形成されている。
【0038】
スピンドル71の後端(上端)には、スピンドルモータ74が連結されている。スピンドルモータ74は、スピンドル71の後端部分に設けられたロータ741と、ステータ742とを有している。ステータ742は、冷却ジャケット80を介して、ケーシング72の内周面に設けられている。
【0039】
ケーシング72は、スピンドル71の外側面を囲繞し、エアベアリング75によってスピンドル71を回転自在に支持するように構成されている。
【0040】
ケーシング72は、その下端部分に、環状部721を備えている。環状部721は、スピンドル71の第1円板部711と第2円板部712との間に入り込むように、かつ、小径部713、第1円板部711および第2円板部712と環状部721との間に僅かな隙間のエアベアリング75が形成可能に、ケーシング72に設けられている。なお、小径部713は、スピンドル71における第1円板部711と第2円板部712との間の、比較的に径の小さい円柱部分である。
【0041】
また、ケーシング72は、エア供給源76に接続されたエア供給路77、および、複数のエア噴出口78を備えている。エア供給路77は、ケーシング72の環状部721を含むケーシング72内に延びるように形成されている。エア噴出口78は、環状部721に、スピンドル71の小径部713、第1円板部711および第2円板部712と対向するように設けられており、エア供給路77に接続されている。
【0042】
スピンドル71は、このケーシング72の下端から下方に延出されている。スピンドル71の先端(下端)には、加工具を装着するための上述したマウント65が連結されている。マウント65には、加工具としての研削ホイール66が装着されている。研削ホイール66は、マウント65の外径と略同径の外径を有するように形成されている。研削ホイール66は、金属材料から形成された円環状のホイール基台67を含む。ホイール基台67の下面には、全周にわたって、研削砥石68が固定されている。研削砥石68は、チャックテーブル20に保持されたウェーハ200の裏面202を研削する(図1参照)。
【0043】
筒カバー73は、ケーシング72の下端に設けられている。また、筒カバー73の下端は、マウント65とは離隔されている。そして、筒カバー73は、ケーシング72の下端とマウント65との間で、スピンドル71の外側面を囲って、筒状隙間79を形成している。
【0044】
すなわち、筒カバー73は、ケーシング72の下端から突出しているスピンドル71の下端部分である第2円板部712を囲繞し、この第2円板部712と筒カバー73との間に筒状隙間79が形成されるように、ケーシング72の下端に配置されている。筒状隙間79は、スピンドル71の第2円板部712と筒カバー73との間で、ケーシング72の下端からZ軸方向に延びる筒状の隙間であり、その上端が上述したエアベアリング75に連通されるとともに、下端が外部に開放されている。
【0045】
このような構成を有する研削装置1では、ウェーハ200に対する研削加工の際、制御部7の制御により、スピンドルモータ74によって、矢印301に示すようにスピンドル71を回転させる。これにより、スピンドル71とともに回転する研削ホイール66の研削砥石68によって、ウェーハ200が研削加工される(図1参照)。
【0046】
また、ウェーハ200に対する研削加工の際、制御部7は、図2に示したエア供給源76からエア供給路77に対してエアを供給することにより、スピンドルユニット70のケーシング72の環状部721のエア噴出口78から、スピンドル71の小径部713、第1円板部711および第2円板部712に向けて、矢印302に示すように、高圧のエアを噴出させる。
【0047】
このように、高圧のエアが、スピンドル71における小径部713、第1円板部711および第2円板部712の外面に噴射されることにより、これらとケーシング72の環状部721との間にエアベアリング75が形成され、スピンドル71が、ケーシング72に対して、エアを介して浮動支持される。すなわち、スピンドル71が、ケーシング72と非接触の状態で、ケーシング72によって回転可能に支持される。
【0048】
また、エアベアリング75を形成しているエアの一部は、スピンドルモータ74を空冷しながら、スピンドルユニット70の上方の図示しない排気口から排気される。一方、エアベアリング75を形成しているエアの他の一部は、ケーシング72の下端に配置された筒状隙間79に導入され、筒状隙間79の下端から排気される。
【0049】
また、研削加工の際、研削水供給源15(図1参照)からの研削水が、たとえばスピンドル71に設けられた流路を介して、ウェーハ200と研削砥石68との接点に供給される。また、この研削水に加えて(あるいは代えて)、流体ノズル37(図1参照)からの研削水が、ウェーハ200と研削砥石68との接点に供給される。このため、研削加工では、研削砥石68がウェーハ200を研削することによって、研削屑等の加工屑を含む研削廃液の噴霧が生成される。
【0050】
これに関し、本実施形態では、筒状隙間79の一部が、筒カバー73に設けられたシール部731により狭められている。このため、筒状隙間79に、下方から研削廃液の噴霧が入り込むことが抑制されている。
【0051】
次に、スピンドルユニット70における冷却ジャケット80の構成について説明する。冷却ジャケット80は、発熱体の一例であるスピンドルモータ74を囲み、冷却水を通水させることによりスピンドルモータ74を冷却する。
【0052】
図1および図2に示すように、冷却ジャケット80は、スピンドルモータ74を囲むように配置された複数の二重管81を備えている。
【0053】
図3に示すように、二重管81は、一方向に延在する第1配管82、および、第1配管82の外側に配された第2配管83を備えている。
【0054】
第1配管82は、円筒状の外壁822、および、外壁822に囲まれた流路である第1流路823を有する円筒管である。第1配管82の上端側には、第1流路823に連通された冷却水の入口となる第1口821が備えられている。また、第1配管82は、その下端側に開口824を有している。
【0055】
第2配管83は、第1配管82を収容するように構成されており、底834を有している。具体的には、第2配管83は、底834を有する略有底円筒状の外管832を備えており、この外管832内に、第1配管82が収容されている。そして、外管832と第1配管82の外壁822との間に、第2配管83の流路である第2流路833が、第1配管82を囲むように形成されている。第2配管83の底834の反対側の端である上端側には、冷却水の出口となる第2口831が備えられている。また、第2配管83の第2流路833は、外管832を介してスピンドルモータ74(ステータ742)に接している。
【0056】
また、二重管81は、第1配管82の開口824と第2配管83の底834とを接続する連通路85を有している。連通路85は、開口824と底834とを接続することにより、第1配管82の第1口821と第2配管83の第2口831とを連通させている。
【0057】
これにより、二重管81では、第1配管82の第1口821から供給された冷却水が、第1配管82(第1流路823)を通過して第2配管83(第2流路833)に導入され、第2口831から排出される。
【0058】
本実施形態の冷却ジャケット80は、スピンドルモータ74の周囲に、8本の二重管81(図1参照)を備えている。このため、図2および図3に示すように、冷却ジャケット80は、8本の二重管81における8個の第1口821を接続する第1接続管86と、8個の第2口831を接続する第2接続管87と、を備えている。
【0059】
第1接続管86は、冷却水源61と、8本の二重管81における8個の第1口821とを接続するように設けられており、冷却水源61からの冷却水を各第1口821に供給するために用いられる。
【0060】
第2接続管87は、冷却水源61と、8本の二重管81における8個の第2口831とを接続するように設けられており、第2口831から排出された冷却水を冷却水源61に戻すために用いられる。
なお、冷却水源61は、戻された冷却水を冷却して、第1接続管86を介して二重管81の第1口821に再供給する(冷却水を循環させる)ことが可能なように構成されている。あるいは、第2口831から排出された冷却水を廃棄して、冷却水源61が、常に新たな冷却水を二重管81に供給するように構成されていてもよい。
【0061】
このような構成を有する冷却ジャケット80の二重管81では、冷却水源61からの比較的に冷たい冷却水が、第1接続管86および第1口821を介して、第1配管82に導入される。この冷却水は、第1配管82の第1流路823を通過して、連通路85を介して、第2配管83の第2流路833に導入される。第2流路833に導入された冷却水は、第2口831に向けて+Z方向に上昇しながら、第2配管83の外管832を介してスピンドルモータ74を冷却する。その後、冷却水は、第2口831から排出されて、第2接続管87を介して冷却水源61に戻る。
【0062】
ここで、第2配管83の第2流路833は、その内側が第1配管82に接しているとともに、その外側がスピンドルモータ74に接している。このため、第2配管83の第2流路833を流れる冷却水は、第1配管82の外壁822を介して第1流路823を流れる比較的に冷たい冷却水と熱交換しながら、スピンドルモータ74を冷却してその熱を吸収する。すなわち、第2配管83の第2流路833を流れる冷却水は、第1配管82の第1流路823を流れる冷却水によって冷やされる。このため、第2配管83の第2流路833を第2口831に向かって+Z方向に上昇する冷却水の温度の上昇を抑制することができるので、第2流路833内の冷却水の温度を、略一定温度に維持することができる。
【0063】
したがって、本実施形態では、スピンドルモータ74を、スピンドル71の軸方向であるZ軸方向に沿って略一定温度の冷却水によって冷却することができる。このため、スピンドルモータ74(ケーシング72)の部分的な温度差に起因する、スピンドル71の熱膨張による変形が抑制される。したがって、エアベアリング75のエアギャップが狭くなることを抑制することができる。
【0064】
なお、上述した実施形態では、第1配管82の第1口821が冷却水の入り口であり、第2配管83の第2口831が冷却水の出口である。これに関し、第2配管83の第2口831が冷却水の入り口であり、第1配管82の第1口821が冷却水の出口であってもよい。
【0065】
この場合、冷却水源61からの比較的に冷たい冷却水が、第2接続管87および第2口831を介して、第2配管83に導入される。この冷却水は、第2配管83の第2流路833を下降しながら、第2配管83の外管832を介してスピンドルモータ74を冷却する。その後、冷却水は、連通路85を介して、第1配管82の第1流路823に導入される。第1流路823に導入された冷却水は、第1口821に向けて+Z方向に上昇して、第1口821から排出されて、第1接続管86を介して冷却水源61に戻る。
【0066】
この構成でも、第2配管83の第2流路833を流れる冷却水は、第1配管82の外壁822を介して第1流路823を流れる冷却水と熱交換しながら、スピンドルモータ74を冷却してその熱を吸収する。すなわち、この場合、第2配管83の第2流路833を流れる冷却水が、第1配管82の第1流路823を流れる冷却水の熱をも吸収しながら流れる。このため、第2配管83の第2流路833を下降する冷却水の温度が低くなりすぎることを抑制して、第2流路833内の冷却水の温度を、略一定温度に維持することができる。
【0067】
したがって、この構成でも、スピンドルモータ74を、Z軸方向に沿って略一定温度の冷却水によって冷却することができる。このため、スピンドルモータ74(ケーシング72)の部分的な温度差に起因するスピンドル71の熱膨張による変形を抑制し、エアベアリング75のエアギャップが狭くなることを抑制することが可能である。
【0068】
また、本実施形態にかかる冷水ジャケットは、図4に示すような冷却ジャケット90であってもよい。冷却ジャケット90も、発熱体の一例であるスピンドルモータ74を囲み、冷却水を通水させることによりスピンドルモータ74を冷却するためのものである。
この図に示すように、冷却ジャケット90は、複数(8本)の第1配管92を有する第1部分901、および、複数(8本)の第2配管93を有する第2部分902を有している。
【0069】
第1部分901は、円板状の基台91、基台91の下面にZ軸方向に沿って下方に延びるように設けられた8本の第1配管92、および、基台91の上面に設けられた8つの第1口921を有している。各第1口921は、基台91を貫通して、第1配管92の上端に接続されている。
【0070】
図5(a)の右側は、図4に示した第1部分901における1つの第1口921および第1配管92の近傍の断面を矢印A方向から示しており、図5(a)の中央部分は、第1部分901の中央部分の断面を示しており、図5(a)の左側は、第1部分901における1つの第2口931(後述)の近傍の断面を矢印B方向から示している。
この図5(a)に示すように、第1配管92は、円筒状の外壁922、および、外壁922に囲まれた流路である第1流路923を有する円筒管である。第1配管92の上端側には、上述した第1口921が接続されている。この第1口921は、第1流路923に連通されており、冷却水の入口となる。また、第1配管92は、その下端側に開口924を有している。
【0071】
また、図4に示すように、冷却ジャケット90の第2部分902は、円筒状の筐体903、および、筐体903内にZ軸方向に延びるように設けられた8本の第2配管93を有している。なお、図4および図5には、第2部分902の筐体903の中心および第1部分901の基台91の中心を通ってZ軸方向に延びる中心線310を示している。
【0072】
図5(b)の右側は、図4に示した第2部分902における1つの第2配管93の近傍の断面を矢印A方向から示しており、図5(b)の左側は、第2部分902における1つの溝904の近傍の断面を矢印B方向から示している。
この図5(b)に示すように、第2配管93は、第1配管92を収容するように構成されており、底934を有している。具体的には、第2配管93は、底934を有する略有底円筒状の外管932を備えている。この外管932は筐体903の一部であり、外管932内に第1配管92が収容される。
【0073】
図4に示すように、第2配管93の底934の反対側の端である上端側は、筐体903の上面に設けられた円弧状の溝904に接続されている。本実施形態では、筐体903の上面に4つの溝904が形成されており、各溝904の両端部に、1つずつ、第2配管93の上端が接続されている。このように、本実施形態では、1つの溝904によって、2つの第2配管93の上端側が接続されている。
【0074】
冷却ジャケット90では、これら第1部分901および第2部分902は、図6に示すように組み合わされる。図6に示すように、第1部分901と第2部分902とが組み合わされた冷却ジャケット90では、各第2配管93の外管932内に、各第1配管92が収容される。そして、外管932と第1配管92の外壁922との間に、第2配管93の流路である第2流路933が、第1配管92を囲むように形成される。
【0075】
このようにして、一方向に延在する第1配管92と、第1配管92を収容し底934を有する第2配管93とからなる二重管96が構成される。
なお、第2配管93の第2流路933は、外管932を介して、図2に示したスピンドルモータ74(ステータ742)に接している。
【0076】
また、二重管96には、第1配管92の開口924と第2配管93の底934とを接続する連通路95が形成される。連通路95は、開口924と底934とを接続するこことにより、第1配管92の第1口921と第2配管93の第2口931とを連通させている。
【0077】
また、図4に示すように、基台91の上面における第1口921の間には、基台91を貫通するように設けられた、冷却水の出口となる4つの第2口931が配置されている。そして、第1部分901と第2部分902とが組み合わされた冷却ジャケット90では、第2部分902の溝904に、1つずつ、第2口931が接続される。これにより、1つの第2口931が、溝904を介して、2つの第2配管93の上端に連結される。このように、この構成においても、第2配管93は、底934の反対側の端に、冷却水の出口となる第2口931を有している。
【0078】
これにより、二重管96では、第1配管92の第1口921から供給された冷却水が、第1配管92(第1流路923)を通過して第2配管93(第2流路933)に導入され、第2口931から排出される。
【0079】
また、冷却ジャケット90は、8本の二重管96(図1参照)を備えている。このため、図4に示すように、冷却ジャケット90は、各二重管96の第1配管92の第1口921どうしを接続する第1接続管97と、第2配管93の第2口931どうしを接続する第2接続管98と、を備えている。
【0080】
第1接続管97は、冷却水源61と、8本の第1配管92の第1口921とを接続するように設けられており、冷却水源61からの冷却水を各第1口921に供給するために用いられる。
【0081】
第2接続管98は、冷却水源61と、8本の第2配管93の第2口931とを接続するように設けられており、第2口931から排出された冷却水を冷却水源61に戻すために用いられる。
【0082】
このような構成を有する冷却ジャケット90の二重管96では、冷却水源61からの比較的に冷たい冷却水が、第1接続管97および第1口921を介して、第1配管92に導入される。この冷却水は、第1配管92の第1流路923を通過して、連通路95を介して、第2配管93の第2流路933に導入される。第2流路933に導入された冷却水は、第2口931に向けて+Z方向に上昇しながら、第2配管93の外管932を介してスピンドルモータ74を冷却する。その後、冷却水は、溝904を介して第2口931から排出されて、第2接続管98を介して冷却水源61に戻る。
【0083】
この構成でも、第2配管93は、その内側が第1配管92に接しているとともに、その外側がスピンドルモータ74に接している。このため、第2配管93の第2流路933を流れる冷却水は、第1配管92の外壁922を介して第1流路923を流れる冷たい冷却水と熱交換しながら、スピンドルモータ74を冷却してその熱を吸収する。このため、第2流路933内の冷却水の温度を、略一定温度に維持することができる。
【0084】
したがって、スピンドルモータ74を、Z軸方向に沿って略一定温度の冷却水によって冷却することができる。このため、スピンドルモータ74(ケーシング72)の部分的な温度差に起因する、スピンドル71の熱膨張による変形が抑制されて、エアベアリング75のエアギャップが狭くなることを抑制することができる。
なお、この構成でも、第2配管93の第2口931が冷却水の入り口であり、第1配管92の第1口921が冷却水の出口であってもよい。
【0085】
また、本実施形態にかかる冷水ジャケットは、円筒状の第1配管および第2配管を有していてもよく、たとえば、図7に示すような冷却ジャケット100であってもよい。この冷却ジャケット100も、発熱体の一例であるスピンドルモータ74を囲み、冷却水を通水させることによりスピンドルモータ74を冷却するためのものである。
図7に示すように、冷却ジャケット100は、円筒状の第1配管120を有する第1部分110、および、円筒状の第2配管130を有している。
【0086】
図7、および、第1部分110を斜め下方から示す図8に示すように、第1部分110は、円板状の基台111、基台111の下面にZ軸方向に沿って下方に延びるように設けられた筒状の第1配管120、および、基台111の上面に設けられた4つの第1口121を有している。各第1口121は、基台111を貫通して、第1配管120の上端に接続されている。
【0087】
図9(a)の右側は、図7に示した第1部分110における1つの第1口121の近傍の断面を矢印A方向から示しており、図9(a)の中央部分は、第1部分110の中央部分の断面を示しており、図9(a)の左側は、第1部分110における1つの第2口131(後述)の近傍の断面を矢印B方向から示している。
この図9(a)に示すように、第1配管120は、円筒状の外壁122、および、外壁122の内側に設けられた円筒状の内壁124、外壁122と内壁124と間の円筒状の流路である第1流路123を有している。第1配管120の上端側には、上述した第1口121が接続されている。この第1口121は、第1流路123に連通されており、冷却水の入口となる。また、第1配管120は、その下端側に開口125を有している。なお、図7および図9には、第2配管130の中心および第1部分110の基台111の中心を通ってZ軸方向に延びる中心線311を示している。
【0088】
図9(b)の右側は、図7に示した第2配管130の一部の断面を矢印A方向から示しており、図9(b)の左側は、第2配管130の他の一部の断面を矢印B方向から示している。この図9(b)に示すように、第2配管130は、第1配管120を収容するように構成されており、底135を有している。具体的には、第2配管130は、円筒状の外壁132、外壁132の内側に設けられた円筒状の内壁134、および、外壁132の下端と内壁134の下端とを接続する底135を備えており、この外壁132と内壁134との間に、第1配管120が収容される。
【0089】
冷却ジャケット100では、第1配管120を含む第1部分110と第2配管130とが、図10に示すように組み合わされる。図10に示すように、第1部分110と第2配管130とが組み合わされた冷却ジャケット100では、各第2配管130の外壁132と内壁134との間に、第1配管120が収容される。そして、外壁132および内壁134と第1配管120の外壁122および内壁124との間に、第2配管130の流路である円筒状の第2流路133が、第1配管120を囲むように形成される。
【0090】
このようにして、一方向に延在する円筒状の第1配管120と、第1配管120を収容し底135を有する円筒状の第2配管130とからなる二重管160が構成される。
なお、第2配管130の第2流路133は、内壁134を介して図2に示したスピンドルモータ74(ステータ742)に接している。
【0091】
また、二重管160には、第1配管120の開口125と第2配管130の底135とを接続する連通路150が形成される。連通路150は、開口125と底135とを接続することにより、第1配管120の第1口121と第2配管130の第2口131とを連通させている。
【0092】
また、図7に示すように、基台111の上面における第1口121の間には、基台111を貫通するように設けられた、冷却水の出口となる第2口131が配置されている。そして、図10に示すように、第1部分110と第2部分102とが組み合わされた冷却ジャケット100では、各第2口131が、第2配管130における第2流路133の上端に連結される。このように、この構成においても、第2配管130は、底135の反対側の端に、冷却水の出口となる第2口131を有している。
【0093】
これにより、二重管160では、第1配管120の第1口121から供給された冷却水が、第1配管120(第1流路123)を通過して第2配管130(第2流路133)に導入され、第2口131から排出される。
【0094】
また、図7に示すように、冷却ジャケット100は、4つの第1口121どうしを接続する第1接続管117と、4つの第2口131どうしを接続する第2接続管118と、を備えている。
【0095】
第1接続管117は、冷却水源61と各第1口121とを接続するように設けられており、冷却水源61からの冷却水を各第1口121に供給するために用いられる。
【0096】
第2接続管118は、冷却水源61と各第2口131とを接続するように設けられており、各第2口131から排出された冷却水を冷却水源61に戻すために用いられる。
【0097】
このような構成を有する冷却ジャケット80の二重管160では、冷却水源61からの比較的に冷たい冷却水が、第1接続管117および第1口121を介して、第1配管120に導入される。この冷却水は、第1配管120の第1流路123を通過して、連通路150を介して、第2配管130の第2流路133に導入される。第2流路133に導入された冷却水は、第2口131に向けて+Z方向に上昇しながら、第2配管130の内壁134を介してスピンドルモータ74を冷却する。その後、冷却水は、第2口131から排出されて、第2接続管118を介して冷却水源61に戻る。
【0098】
この構成でも、第2配管130は、その内側が第1配管120に接しているとともに、その外側がスピンドルモータ74に接している。このため、第2配管130の第2流路133を流れる冷却水は、第1配管120の外壁122および内壁124を介して第1流路123を流れる冷たい冷却水と熱交換しながら、スピンドルモータ74を冷却してその熱を吸収する。このため、第2流路133内の冷却水の温度を、略一定温度に維持することができる。
【0099】
したがって、スピンドルモータ74を、Z軸方向に沿って略一定温度の冷却水によって冷却することができる。このため、スピンドルモータ74(ケーシング72)の部分的な温度差に起因する、スピンドル71の熱膨張による変形が抑制されて、エアベアリング75のエアギャップが狭くなることを抑制することができる。
なお、この構成でも、第2配管130の第2口131が冷却水の入り口であり、第1配管120の第1口121が冷却水の出口であってもよい。
【0100】
また、本実施形態に示したスピンドルユニット70は、研磨装置に適用されることも可能である。この場合、スピンドルユニット70は、研削ホイール66に代えて、研磨ホイールを備える。
【0101】
また、本実施形態に示した冷却ジャケットは、スピンドルユニット70のスピンドルモータ74に限らず、他の発熱体を冷却するために用いられてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1:研削装置、7:制御部、10:基台、11:コラム、12:蛇腹カバー、
13:開口部、15:研削水供給源、20:チャックテーブル、21:ポーラス部材、
22:保持面、23:枠体、24:枠体面、30:ウェーハ保持機構、33:支持部材、
34:チャックテーブルモータ、35:支持柱、37:流体ノズル、39:カバー板、
40:Y軸方向移動機構、41:保持台、42:Y軸ガイドレール、
43:Y軸ボールネジ、44:Y軸モータ、45:Y軸移動テーブル、
50:垂直移動機構、51:Z軸ガイドレール、52:Z軸ボールネジ、
53:Z軸移動テーブル、54:Z軸モータ、55:Z軸エンコーダ、56:ホルダ、
57:厚み測定部、58:ウェーハ高さ測定部、59:保持面高さ測定部、
60:研削機構、61:冷却水源、65:マウント、
66:研削ホイール、67:ホイール基台、68:研削砥石、
70:スピンドルユニット、71:スピンドル、72:ケーシング、73:筒カバー、
74:スピンドルモータ、75:エアベアリング、76:エア供給源、
77:エア供給路、78:エア噴出口、79:筒状隙間、
80:冷却ジャケット、81:二重管、82:第1配管、83:第2配管、
85:連通路、86:第1接続管、87:第2接続管、
90:冷却ジャケット、91:基台、92:第1配管、93:第2配管、95:連通路、
96:二重管、97:第1接続管、98:第2接続管、100:冷却ジャケット、
102:第2部分、110:第1部分、111:基台、117:第1接続管、
118:第2接続管、120:第1配管、121:第1口、122:外壁、
123:第1流路、124:内壁、125:開口、130:第2配管、131:第2口、
132:外壁、133:第2流路、134:内壁、135:底、150:連通路、
160:二重管、200:ウェーハ、201:表面、202:裏面、
711:第1円板部、712:第2円板部、713:小径部、721:環状部、
731:シール部、741:ロータ、742:ステータ、821:第1口、
822:外壁、823:第1流路、824:開口、831:第2口、832:外管、
833:第2流路、834:底、901:第1部分、902:第2部分、
903:筐体、904:溝、921:第1口、922:外壁、923:第1流路、
924:開口、931:第2口、932:外管、933:第2流路、934:底
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10