(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151610
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】配線基板及び配線基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20241018BHJP
H05K 3/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H05K3/46 N
H05K3/00 N
H05K3/46 X
H05K3/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065088
(22)【出願日】2023-04-12
(71)【出願人】
【識別番号】000190688
【氏名又は名称】新光電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹内 明宏
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA35
5E316AA38
5E316AA43
5E316CC05
5E316CC08
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC13
5E316CC31
5E316CC32
5E316CC37
5E316CC38
5E316DD23
5E316DD24
5E316EE01
5E316FF13
5E316FF14
5E316GG15
5E316GG17
5E316GG28
5E316HH26
5E316JJ02
(57)【要約】
【課題】配線層のファインピッチ化が可能である配線基板を提供する。
【解決手段】配線基板10は、絶縁層21と、線状に延びる第1パターン31Aを含む接続部31を有するとともに、絶縁層21の上面に形成された配線層30と、配線層30を被覆するように絶縁層21の上面に形成された絶縁層40とを有する。配線基板10は、絶縁層40を厚さ方向に貫通するとともに、第1パターン31Aの上面と第1パターン31Aの幅方向の両側面とを露出するビアホールVH1と、ビアホールVH1を充填するとともに、配線層30と電気的に接続されたビア配線50とを有する。配線基板10は、ビア配線50を介して配線層30と電気的に接続されるとともに、絶縁層40の上面に形成された配線層60を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
線状に延びる第1パターンを含む接続部を有するとともに、前記第1絶縁層の上面に形成された第1配線層と、
前記第1配線層を被覆するように前記第1絶縁層の上面に形成された第2絶縁層と、
前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通するとともに、前記第1パターンの上面と前記第1パターンの幅方向の両側面とを露出するビアホールと、
前記ビアホールを充填するとともに、前記第1配線層と電気的に接続されたビア配線と、
前記ビア配線を介して前記第1配線層と電気的に接続されるとともに、前記第2絶縁層の上面に形成された第2配線層と、を有する配線基板。
【請求項2】
前記ビアホールは、前記第1配線層の厚さ方向において、前記第1パターンの側面全面を露出するように形成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項3】
前記ビアホールは、前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通する貫通孔と、前記第1絶縁層の上面に形成された凹部とが互いに連通されて形成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項4】
前記凹部は、前記第1パターンの下面を露出するように形成されている請求項3に記載の配線基板。
【請求項5】
前記接続部は、線状に延びるとともに、前記第1パターンと交差するように形成された第2パターンを有し、
前記ビアホールは、前記第2パターンの上面と前記第2パターンの幅方向の両側面とを露出するように形成されている請求項1に記載の配線基板。
【請求項6】
前記ビアホールの平面形状は、前記第1パターンと前記第2パターンとの交差部分を中心とした円形状に形成されている請求項5に記載の配線基板。
【請求項7】
前記接続部は、前記第1パターンと前記第2パターンとの交差部分に形成された円形状の第3パターンを有し、
前記第3パターンの平面形状は、前記ビアホールの底部の平面形状よりも小さく形成されており、
前記ビアホールは、前記第3パターンの上面と前記第3パターンの側面とを露出するように形成されている請求項5に記載の配線基板。
【請求項8】
前記接続部は、前記第3パターンの平面中心に設けられた貫通パターンを有し、
前記貫通パターンは、前記接続部を厚さ方向に貫通するとともに、前記第1絶縁層の上面を露出するように形成されており、
前記ビアホールは、前記貫通パターンの内壁面を露出するように形成されている請求項7に記載の配線基板。
【請求項9】
第1絶縁層の上面に、線状に延びる第1パターンを含む接続部を有する第1配線層を形成する工程と、
前記第1絶縁層の上面に、前記第1配線層を被覆する第2絶縁層を形成する工程と、
前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通するとともに、前記第1パターンの上面と前記第1パターンの幅方向の両側面とを露出するビアホールを形成する工程と、
前記ビアホールを充填するビア配線を形成するとともに、前記ビア配線を介して前記第1配線層と電気的に接続される第2配線層を前記第2絶縁層の上面に形成する工程と、を有する配線基板の製造方法。
【請求項10】
前記ビアホールは、レーザ加工法により形成され、
前記ビアホールは、前記第1配線層の厚さ方向において、前記第1パターンの側面全面を露出するように形成される請求項9に記載の配線基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板及び配線基板の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体素子等の電子部品を実装するための配線基板は、様々な形状・構造のものが提案されている。この種の配線基板としては、ビルドアップ法により複数の配線層と複数の絶縁層とを交互に積層した配線基板が知られている(例えば、特許文献1参照)。複数の配線層は、絶縁層を厚さ方向に貫通するビアホール内に形成されたビア配線を介して互いに電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した配線基板では、配線層のファインピッチ化が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一観点によれば、第1絶縁層と、線状に延びる第1パターンを含む接続部を有するとともに、前記第1絶縁層の上面に形成された第1配線層と、前記第1配線層を被覆するように前記第1絶縁層の上面に形成された第2絶縁層と、前記第2絶縁層を厚さ方向に貫通するとともに、前記第1パターンの上面と前記第1パターンの幅方向の両側面とを露出するビアホールと、前記ビアホールを充填するとともに、前記第1配線層と電気的に接続されたビア配線と、前記ビア配線を介して前記第1配線層と電気的に接続されるとともに、前記第2絶縁層の上面に形成された第2配線層と、を有する。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一観点によれば、配線層のファインピッチ化が可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、一実施形態の配線基板を示す概略断面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の配線基板の一部を示す概略平面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の配線基板の一部を示す概略断面図(
図2における3-3線断面図)である。
【
図4】
図4は、一実施形態の配線基板の一部を示す概略断面図(
図2における4-4線断面図)である。
【
図5】
図5は、一実施形態の配線基板の一部を示す概略断面図(
図2における5-5線断面図)である。
【
図6】
図6(a)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図(
図6(c)における6a-6a線断面図)である。
図6(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図(
図6(c)における6b-6b線断面図)である。
図6(c)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略平面図である。
【
図7】
図7(a)及び
図7(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図8】
図8(a)及び
図8(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図9】
図9(a)及び
図9(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図11】
図11(a)及び
図11(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図12】
図12(a)及び
図12(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図13】
図13(a)及び
図13(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図14】
図14(a)及び
図14(b)は、一実施形態の配線基板の製造方法を示す概略断面図である。
【
図15】
図15は、変更例の配線基板を示す概略断面図である。
【
図16】
図16は、変更例の配線基板を示す概略平面図である。
【
図17】
図17は、変更例の配線基板を示す概略平面図である。
【
図18】
図18は、変更例の配線基板を示す概略平面図である。
【
図19】
図19は、変更例の配線基板を示す概略平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態について添付図面を参照して説明する。
なお、添付図面は、便宜上、特徴を分かりやすくするために特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが各図面で同じであるとは限らない。また、断面図では、各部材の断面構造を分かりやすくするために、一部の部材のハッチングを梨地模様に代えて示し、一部の部材のハッチングを省略している。なお、本明細書において、「平面視」とは、対象物を
図1等の鉛直方向(図中上下方向)から見ることを言い、「平面形状」とは、対象物を
図1等の鉛直方向から見た形状のことを言う。本明細書における「上下方向」及び「左右方向」は、各図面において各部材を示す符号が正しく読める向きを正位置とした場合の方向である。
【0009】
(配線基板10の全体構成)
図1に示すように、配線基板10は、基板本体11を有している。基板本体11の下面には、配線層12と、絶縁層13と、配線層14と、ソルダーレジスト層15とが順に積層されている。基板本体11の上面には、配線層20と、絶縁層21と、配線層30と、絶縁層40と、配線層60と、ソルダーレジスト層70とが順に積層されている。
【0010】
基板本体11としては、絶縁樹脂層と配線層とが交互に積層された配線構造体を用いることができる。配線構造体は、例えば、コア基板を有してもよいし、コア基板を有していなくてもよい。絶縁樹脂層の材料としては、例えば、熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。熱硬化性の絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。また、絶縁樹脂層の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることもできる。絶縁樹脂層は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0011】
基板本体11内の配線層や配線層12,14,20,30,60の材料としては、例えば、銅(Cu)や銅合金を用いることができる。絶縁層13,21,40の材料としては、例えば、熱硬化性の絶縁性樹脂を用いることができる。熱硬化性の絶縁性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂やシアネート樹脂などの絶縁性樹脂を用いることができる。絶縁層13,21,40は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。ソルダーレジスト層15,70の材料としては、例えば、フェノール系樹脂やポリイミド系樹脂などの感光性樹脂を主成分とする絶縁性樹脂を用いることができる。ソルダーレジスト層15,70は、例えば、シリカやアルミナ等のフィラーを含有していてもよい。
【0012】
配線層12は、基板本体11の下面に形成されている。基板本体11の下面には、配線層12を被覆する絶縁層13が積層されている。絶縁層13の下面には、配線層14が積層されている。配線層14は、例えば、絶縁層13を厚さ方向に貫通するビア配線と一体に形成されており、そのビア配線を介して配線層12と電気的に接続されている。
【0013】
絶縁層13の下面には、配線層14を被覆するソルダーレジスト層15が積層されている。ソルダーレジスト層15は、配線基板10の最外層(ここでは、最下層)の絶縁層である。
【0014】
ソルダーレジスト層15には、配線層14の下面の一部を外部接続用パッドP1として露出させるための複数の開口部15Xが形成されている。外部接続用パッドP1には、配線基板10をマザーボード等の実装基板に実装する際に使用される外部接続端子(図示略)が接続される。
【0015】
開口部15Xの底部に露出する配線層14の下面には、必要に応じて、表面処理層が形成されている。表面処理層の例としては、金(Au)層、ニッケル(Ni)層/Au層(Ni層とAu層をこの順番で積層した金属層)、Ni層/パラジウム(Pd)層/Au層(Ni層とPd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。表面処理層の他の例としては、Ni層/Pd層(Ni層とPd層をこの順番で積層した金属層)、Pd層/Au層(Pd層とAu層をこの順番で積層した金属層)などを挙げることができる。ここで、Au層はAu又はAu合金からなる金属層、Ni層はNi又はNi合金からなる金属層、Pd層はPd又はPd合金からなる金属層である。これらAu層、Ni層、Pd層としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属層(無電解めっき層)や、電解めっき法により形成された金属層(電解めっき層)を用いることができる。また、表面処理層としては、開口部15Xに露出する配線層14の下面に、OSP(Organic Solderability Preservative)処理などの酸化防止処理を施して形成されるOSP膜を用いることができる。OSP膜としては、アゾール化合物やイミダゾール化合物等の有機被膜を用いることができる。なお、配線層14の下面に表面処理層が形成されている場合には、その表面処理層が外部接続用パッドP1として機能する。
【0016】
本例では、配線層14の下面に外部接続端子を設けるようにしたが、開口部15Xの底部に露出する配線層14自体、又は配線層14の下面に表面処理層が形成されている場合にはその表面処理層自体を、外部接続端子としてもよい。
【0017】
配線層20は、基板本体11の上面に形成されている。配線層20は、基板本体11内の配線層や貫通電極を介して、配線層12と電気的に接続されている。配線層20の厚さは、例えば、5μm~20μm程度とすることができる。基板本体11の上面には、配線層20を被覆する絶縁層21が積層されている。なお、配線層20の上面から絶縁層21の上面までの厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0018】
絶縁層21の上面には、配線層30が積層されている。配線層30は、例えば、絶縁層21を厚さ方向に貫通するビア配線と一体に形成されており、そのビア配線を介して配線層20と電気的に接続されている。配線層30の厚さは、例えば、5μm~20μm程度とすることができる。
【0019】
図2に示すように、配線層30は、接続部31と、接続部31から平面方向(ここでは、図中左右方向)に延びる延出部32とを有している。ここで、平面方向は、配線層30の厚さ方向と断面視で直交する方向である。
【0020】
接続部31は、例えば、平面形状が+字状に形成されている。接続部31は、例えば、線状に延びる第1パターン31Aと、線状に延びるとともに第1パターン31Aと交差するように形成された第2パターン31Bとを有している。第1パターン31Aは、第2パターン31Bと連続して一体に形成されている。第1パターン31Aは、延出部32と連続して一体に形成されている。第1パターン31Aは、例えば、図中左右方向に沿って線状に延びている。第1パターン31Aは、第1パターン31Aが延びる方向である長さ方向(ここでは、図中左右方向)と、その長さ方向と平面視で直交する幅方向(ここでは、図中上下方向)とを有している。第2パターン31Bは、例えば、第1パターン31Aの長さ方向と交差する方向、ここでは第1パターン31Aの長さ方向と直交する図中上下方向に沿って線状に延びている。第2パターン31Bは、例えば、第1パターン31Aの長さ方向の中間部と交差するように形成されている。第2パターン31Bは、第2パターン31Bが延びる方向である長さ方向(ここでは、図中上下方向)と、その長さ方向と平面視で直交する幅方向(ここでは、図中左右方向)とを有している。延出部32は、例えば、第1パターン31Aの端部から図中右方向に向かって延びている。延出部32は、図中左右方向に沿って線状に延びている。なお、
図2は、
図1に示した絶縁層21及び配線層30の一部を上方から見た平面図である。
【0021】
(絶縁層40の構成)
図1に示すように、絶縁層40は、配線層30を被覆するように絶縁層21の上面に積層されている。なお、配線層30の上面から絶縁層40の上面までの厚さは、例えば、10μm~30μm程度とすることができる。
【0022】
絶縁層40には、当該絶縁層40を厚さ方向に貫通して配線層30の上面及び側面を露出するビアホールVH1が形成されている。ビアホールVH1の平面形状は、任意の形状及び任意の大きさに設定することができる。本例のビアホールVH1の平面形状は、円形状に形成されている。ビアホールVH1の深さは、例えば、10μm~35μm程度とすることができる。
【0023】
本例のビアホールVH1は、
図1において上側(絶縁層40の上面側)から下側に向かうに連れて開口幅(開口径)が小さくなるテーパ状に形成されている。ビアホールVH1の内壁面は、例えば、全体として、絶縁層40の上面から配線層30に向かうに連れてビアホールVH1の平面中心に近づくように傾斜して形成されている。なお、ビアホールVH1の内壁面は、平面である必要はなく、ビアホールVH1の内壁面の一部又は全部が凸状の曲面や凹状の曲面であってもよい。
【0024】
(配線層60の構造)
絶縁層40の上面には、配線層60が積層されている。配線層60は、配線基板10の最外層(ここでは、最上層)の配線層である。なお、配線層60の厚さは、例えば、5μm~20μm程度とすることができる。
【0025】
配線層60は、例えば、絶縁層40のビアホールVH1内に形成されたビア配線50を介して配線層30と電気的に接続されている。配線層60は、例えば、ビア配線50と連続して一体に形成されている。ビア配線50は、例えば、ビアホールVH1を充填するように形成されている。ビア配線50の厚さは、例えば、10μm~35μm程度とすることができる。
【0026】
(ソルダーレジスト層70の構造)
ソルダーレジスト層70は、配線層60を被覆するように、絶縁層40の上面に積層されている。ソルダーレジスト層70は、配線基板10の最外層(ここでは、最上層)の絶縁層である。
【0027】
ソルダーレジスト層70には、配線層60の上面の一部を接続用パッドP2として露出させるための複数の開口部70Xが形成されている。接続用パッドP2は、例えば、半導体素子等の電子部品と接続するためのパッドである。
【0028】
開口部70Xの底部に露出する配線層60の上面には、必要に応じて、表面処理層が形成されている。表面処理層の例としては、Au層、Ni層/Au層、Ni層/Pd層/Au層、Ni層/Pd層、Pd層/Au層などの金属層やOSP膜を挙げることができる。
【0029】
次に、
図2から
図5にしたがって、絶縁層21、配線層30、絶縁層40、ビアホールVH1、ビア配線50及び配線層60の構造について詳述する。なお、
図2から
図5では、ソルダーレジスト層70の図示を省略している。また、
図2では、ビアホールVH1の底部における平面形状を二点鎖線で図示している。
【0030】
(配線層30の構造)
図3から
図5に示すように、配線層30は、金属膜35と、金属膜35上に形成された金属層36とを有している。金属膜35の材料としては、例えば、銅又は銅合金を用いることができる。金属膜35の厚さは、例えば、1μm~5μm程度とすることができる。金属層36は、金属膜35の上面を被覆するように形成されている。金属層36は、例えば、金属膜35の上面全面を被覆するように形成されている。金属層36の材料としては、例えば、銅又は銅合金を用いることができる。金属層36の厚さは、例えば、5μm~20μm程度とすることができる。なお、
図3は
図2の3-3線に沿った断面図であり、
図4は
図2の4-4線に沿った断面図であり、
図5は
図2の5-5線に沿った断面図である。
【0031】
(ビアホールVH1の構造)
図2から
図5に示すように、ビアホールVH1は、配線層30の接続部31と平面視で重なるように形成されている。
図2に示すように、ビアホールVH1は、例えば、第1パターン31Aの一部と平面視で重なるように、且つ第2パターン31Bの一部と平面視で重なるように形成されている。ビアホールVH1は、接続部31の周囲に位置する絶縁層21と平面視で重なるように形成されている。本例のビアホールVH1の平面形状は、第1パターン31Aと第2パターン31Bとの交差部分を中心とした円形状に形成されている。ビアホールVH1の平面形状は、例えば、第1パターン31Aの平面形状よりも部分的に大きく形成されるとともに、第2パターン31Bの平面形状よりも部分的に大きく形成されている。ビアホールVH1の底部の直径は、例えば、第1パターン31Aの幅方向(ここでは、図中上下方向)に沿う幅寸法よりも大きく形成されるとともに、第2パターン31Bの幅方向(ここでは、図中左右方向)に沿う幅寸法よりも大きく形成されている。ビアホールVH1の底部の直径は、例えば、第1パターン31Aの長さ方向(ここでは、図中左右方向)に沿う長さ寸法よりも小さく形成されるとともに、第2パターン31Bの長さ方向(ここでは、図中上下方向)に沿う長さ寸法よりも小さく形成されている。
【0032】
図4及び
図5に示すように、ビアホールVH1は、絶縁層40の上面から、その絶縁層40の下層の絶縁層である絶縁層21の厚さ方向の中途位置まで延びるように形成されている。すなわち、ビアホールVH1は、絶縁層40を厚さ方向に貫通するとともに、その絶縁層40の直下に形成された絶縁層21の一部を薄化するように形成されている。
【0033】
ビアホールVH1は、絶縁層40を厚さ方向に貫通する貫通孔41と、接続部31の周囲に位置する絶縁層21の上面に形成された凹部22とが互いに連通されて形成されている。
【0034】
図4に示すように、貫通孔41は、第1パターン31Aの上面の一部を露出するように形成されている。貫通孔41は、第1パターン31Aの幅方向(ここでは、図中左右方向)の両側面を露出するように形成されている。貫通孔41は、第1パターン31Aの幅方向における2つの側面を露出するように形成されている。換言すると、貫通孔41は、第1パターン31Aの2つの側面をそれぞれ露出する2つの第1部分42を有している。2つの第1部分42は、第1パターン31Aの幅方向の両側から第1パターン31Aを挟み込むように形成されている。各第1部分42は、配線層30の厚さ方向において、第1パターン31Aの側面全面を露出するように形成されている。各第1部分42は、配線層30の厚さ方向において、第1パターン31Aを構成する金属膜35の側面全面を露出するとともに、第1パターン31Aを構成する金属層36の側面全面を露出するように形成されている。各第1部分42は、例えば、第1パターン31Aの周囲に位置する絶縁層21の上面に形成された凹部22と連通するように形成されている。
【0035】
図5に示すように、貫通孔41は、第2パターン31Bの上面の一部を露出するように形成されている。貫通孔41は、第2パターン31Bの幅方向(ここでは、図中左右方向)の両側面を露出するように形成されている。貫通孔41は、第2パターン31Bの幅方向における2つの側面を露出するように形成されている。換言すると、貫通孔41は、第2パターン31Bの2つの側面をそれぞれ露出する2つの第2部分43を有している。2つの第2部分43は、第2パターン31Bの幅方向の両側から第2パターン31Bを挟み込むように形成されている。各第2部分43は、配線層30の厚さ方向において、第2パターン31Bの側面全面を露出するように形成されている。各第2部分43は、配線層30の厚さ方向において、第2パターン31Bを構成する金属膜35の側面全面を露出するとともに、第2パターン31Bを構成する金属層36の側面全面を露出するように形成されている。各第2部分43は、例えば、第2パターン31Bの周囲に位置する絶縁層21の上面に形成された凹部22と連通するように形成されている。
【0036】
図4及び
図5に示すように、凹部22は、絶縁層21の上面から下方に向かって凹むように形成されている。凹部22の底面は、絶縁層21の厚さ方向の中途位置に設けられている。換言すると、凹部22(ビアホールVH1)は、絶縁層21の厚さ方向の中途位置まで延びるように形成されている。凹部22の内壁面は、例えば、貫通孔41の内壁面と連続するように形成されている。ビアホールVH1では、例えば、貫通孔41の内壁面と凹部22の内壁面とが連続した平面に形成されている。例えば、貫通孔41の内壁面と凹部22の内壁面とは、断面視において、貫通孔41の上端から凹部22の下端まで段差の無い直線形状に形成されている。凹部22の底面は、例えば、円弧状又は楕円弧状に湾曲する曲面に形成されている。
【0037】
図4に示すように、本例の第1部分42と直接連通する部分の凹部22は、第1パターン31Aの下面を露出しないように形成されている。なお、凹部22は、第1パターン31Aの下面の一部を露出するように形成されていてもよい。
図5に示すように、本例の第2部分43と直接連通する部分の凹部22は、第2パターン31Bの下面を露出しないように形成されている。なお、凹部22は、第2パターン31Bの下面の一部を露出するように形成されていてもよい。
【0038】
(ビア配線50の構造)
図4及び
図5に示すように、ビア配線50は、ビアホールVH1を充填するように形成されている。このため、ビア配線50は、ビアホールVH1と同様の形状を有している。ビア配線50は、貫通孔41を充填するとともに、凹部22を充填するように形成されている。
【0039】
ビア配線50は、貫通孔41から露出する接続部31の上面全面を被覆するように形成されている。ビア配線50は、貫通孔41から露出する接続部31の側面全面を被覆するように形成されている。
図4に示すように、第1部分42を充填する部分のビア配線50は、第1パターン31Aの幅方向の両側から第1パターン31Aを挟み込むように形成されている。
図5に示すように、第2部分43を充填する部分のビア配線50は、第2パターン31Bの幅方向の両側から第2パターン31Bを挟み込むように形成されている。
【0040】
図4及び
図5に示すように、ビア配線50は、例えば、ビアホールVH1の内面全面を被覆する金属膜51と、金属膜51よりも内側のビアホールVH1を充填する金属層52とを有している。
【0041】
金属膜51は、例えば、貫通孔41の内壁面全面と、凹部22の内壁面全面と、凹部22の底面全面と、貫通孔41から露出する接続部31の側面全面と、貫通孔41から露出する接続部31の上面全面とを被覆するように形成されている。金属膜51は、貫通孔41から露出する金属膜35の側面全面を密着状態で被覆するとともに、貫通孔41から露出する金属層36の側面全面を密着状態で被覆している。金属膜51は、貫通孔41から露出する金属層36の上面全面を密着状態で被覆している。金属膜51は、例えば、シード層である。金属膜51の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属膜51としては、例えば、無電解めっき法により形成された金属膜、つまり無電解めっき膜を用いることができる。また、金属膜51としては、例えば、スパッタ法により形成された金属膜、つまりスパッタ膜を用いることができる。金属膜51の厚さは、例えば、0.3μm~2μm程度とすることができる。
【0042】
金属層52は、例えば、金属膜51よりも内側のビアホールVH1を充填するように形成されている。金属層52の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層52としては、例えば、電解めっき法により形成された金属層、つまり電解めっき層を用いることができる。
【0043】
以上説明したビアホールVH1内に形成された金属膜51と金属層52とによって、ビア配線50が構成されている。
(配線層60の構造)
配線層60は、絶縁層40上及びビア配線50上に形成されている。配線層60は、例えば、金属膜61と、金属膜61の表面を覆う金属膜51と、金属膜51上に形成された金属層62とを有している。
【0044】
金属膜61は、ビアホールVH1の周囲に位置する絶縁層40の上面を被覆するように形成されている。金属膜61は、例えば、絶縁層40の上面のみに形成されている。換言すると、金属膜61は、ビアホールVH1の内面に形成されていない。金属膜61の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。
【0045】
金属膜61は、金属膜61を厚さ方向に貫通するとともに、ビアホールVH1と連通する貫通孔61Xを有している。貫通孔61Xの内壁面は、例えば、貫通孔41の内壁面と連続するように形成されている。例えば、貫通孔61Xの内壁面と貫通孔41の内壁面とは、断面視において、貫通孔61Xの上端から貫通孔41の下端まで段差の無い直線形状に形成されている。
【0046】
金属膜51は、金属膜61の上面と、貫通孔61Xの内壁面を構成する金属膜61の内側面とを被覆するように形成されている。金属膜51は、例えば、金属膜61の上面全面と、金属膜61の内側面全面と、ビアホールVH1の内面とを連続して被覆するように形成されている。金属膜51は、例えば、金属膜61の外側面を露出するように形成されている。
【0047】
金属層62は、絶縁層40の上面に形成された金属膜51上及びビア配線50(金属層52)上に形成されている。金属層62は、金属層52と連続して一体に形成されている。金属層62の材料としては、例えば、銅や銅合金を用いることができる。金属層62としては、例えば、電解めっき層を用いることができる。
【0048】
以上説明した金属膜61とその金属膜61上に形成された金属膜51と金属層62とによって、配線層60が構成されている。
なお、配線基板10は、天地逆の状態で用いることができ、又は任意の角度で配置することができる。
【0049】
(配線基板10の製造方法)
次に、
図6~
図14に従って、配線基板10の製造方法について説明する。ここでは、配線層30、絶縁層40、ビアホールVH1、ビア配線50及び配線層60の製造方法について詳述する。なお、説明の便宜上、最終的に配線基板10の各構成要素となる部分には、最終的な構成要素の符号を付して説明する。
【0050】
まず、
図6(a)、
図6(b)及び
図6(c)に示す工程では、絶縁層21の上面に配線層30を形成する。
図6(c)に示すように、配線層30は、第1パターン31A及び第2パターン31Bを含む接続部31と、延出部32とを有する。配線層30は、例えば、サブトラクティブ法やセミアディティブ法などの各種の配線形成方法を用いて形成することができる。ここで、
図6(a)は、
図6(c)に示した構造体を6a-6a線に沿って切断した断面図である。
図6(b)は、
図6(c)に示した構造体を6b-6b線に沿って切断した断面図である。なお、
図6以降の
図7~
図14ではそれぞれ、(a)が6a-6a線と同様の位置で切断した断面を図示しており、(b)が6b-6b線と同様の位置で切断した断面を図示している。
【0051】
次に、
図7(a)及び
図7(b)に示す工程では、絶縁層21の上面に、配線層30を全体的に覆うように絶縁層40を形成するとともに、絶縁層40の上面全面を覆うように金属膜61を形成する。例えば、絶縁樹脂フィルムの一方の面に銅箔が貼付された銅箔付き絶縁樹脂フィルムを絶縁層21上に積層することにより、絶縁層21上に絶縁層40及び金属膜61を形成する。銅箔付き絶縁樹脂フィルムを用いる場合には、例えば、絶縁層21の上面に銅箔付き絶縁樹脂フィルムをラミネートする。そして、銅箔付き絶縁樹脂フィルムを押圧しながら絶縁樹脂フィルムの硬化温度以上の温度(例えば、130℃~200℃程度)で熱処理して硬化させることにより、絶縁層40及び金属膜61を形成することができる。なお、絶縁樹脂フィルムとしては、例えば、エポキシ樹脂を主成分とする熱硬化性樹脂のフィルムを用いることができる。
【0052】
続いて、
図8(a)及び
図8(b)に示す工程では、絶縁層40に、配線層30の接続部31の上面の一部を露出する貫通孔41を形成する。また、本工程では、金属膜61に、貫通孔41と連通する貫通孔61Xを形成する。貫通孔41,61Xは、例えば、金属膜61及び絶縁層40にレーザ光を照射することにより形成できる。すなわち、貫通孔41,61Xは、レーザ加工法により形成することができる。レーザ光の照射に用いられるレーザ光源としては、例えば、CO
2レーザやUV-YAGレーザを用いることができる。
【0053】
ここで、絶縁層40に照射するレーザ光の強度(エネルギー)は、例えば、1ショット、つまり1回の照射にて、所望の開口径の貫通孔41を形成するのに十分な値に設定される。例えば、無機フィラーを含む絶縁層40に貫通孔41を形成する場合には、無機フィラーを含まない絶縁層40に貫通孔41を形成するために必要なエネルギーのレーザ光を複数回(例えば、3回以上)照射する。このような複数回分のレーザ光のエネルギーの合計値を、1回分のエネルギーとしたレーザ光を用いる。
【0054】
このようなレーザ光を金属膜61及び絶縁層40に照射することにより、金属膜61を厚さ方向に貫通する貫通孔61Xを形成するとともに、絶縁層40を厚さ方向に貫通して接続部31の上面を露出する貫通孔41を形成する。本工程では、例えば、接続部31の表面のうち接続部31の上面のみを露出するように貫通孔41が形成される。換言すると、本工程で形成される貫通孔41は、接続部31の側面を露出していない。本工程により、接続部31の上面が貫通孔41から露出されるため、接続部31の平面形状、ここでは
図6(c)に示した+形状が絶縁層40から露出される。
【0055】
続いて、
図9(a)及び
図9(b)に示す工程では、接続部31の側面を露出するように貫通孔41を形成する。
図9(b)に示すように、本工程では、絶縁層21の上面に、貫通孔41と連通する凹部22を形成する。本工程により、貫通孔41と凹部22とが互いに連通して構成されたビアホールVH1が形成される。ビアホールVH1は、レーザ加工法により形成することができる。レーザ光の照射に用いられるレーザ光源としては、例えば、前工程と同様に、CO
2レーザやUV-YAGレーザを用いることができる。本工程のレーザ加工法は、例えば、前工程で絶縁層40から露出された接続部31の平面形状を画像認識し、接続部31の平面形状の中心座標を目標座標としてレーザ光の照射を行う。これにより、配線層30の接続部31に対するビアホールVH1の位置精度を向上させることができる。なお、本例では、接続部31の平面形状の中心が、第1パターン31Aと第2パターン31Bとの交差部分に位置している。
【0056】
次いで、ビアホールVH1をレーザ加工法によって形成した場合には、デスミア処理を行うことにより、ビアホールVH1から露出する接続部31の露出面に付着した樹脂スミアを除去する。
【0057】
次に、
図10(a)及び
図10(b)に示す工程では、金属膜61の上面と、貫通孔61Xの内壁面と、ビアホールVH1の内面とを連続して被覆する金属膜51を形成する。金属膜51は、金属膜61の上面全面と、貫通孔61Xの内壁面全面と、貫通孔41の内壁面全面と、凹部22の内面全面と、貫通孔41から露出する接続部31の側面全面及び上面全面とを連続して被覆するように形成される。金属膜51は、例えば、無電解めっき法により形成することができる。例えば、金属膜51は、硫酸銅、水酸化ナトリウム、カルボン酸塩、硫酸ニッケル及びホルムアルデヒドを混合しためっき液を用いた無電解銅めっき法により形成することができる。なお、金属膜51は、例えば、スパッタ法や蒸着法により形成することもできる。
【0058】
続いて、
図11(a)及び
図11(b)に示す工程では、金属膜61の上面に形成された金属膜51上に、開口パターン81を有するレジスト層80を形成する。開口パターン81は、配線層60(
図5参照)の形成領域に対応する部分の金属膜51を露出するように形成される。レジスト層80の材料としては、感光性のドライフィルムレジスト又は液状のフォトレジスト(例えば、ノボラック系樹脂やアクリル系樹脂等のドライフィルムレジストや液状レジスト)等を用いることができる。例えば、感光性のドライフィルムレジストを用いる場合には、金属膜51の上面にドライフィルムを熱圧着によりラミネートし、そのドライフィルムをフォトリソグラフィ法によりパターニングして開口パターン81を有するレジスト層80を形成する。なお、液状のフォトレジストを用いる場合にも、同様の工程を経て、レジスト層80を形成することができる。
【0059】
次いで、
図12(a)及び
図12(b)に示す工程では、レジスト層80をめっきマスクとして、金属膜51上に、その金属膜51をめっき給電層に利用する電解めっき法を施す。すなわち、レジスト層80の開口パターン81から露出された金属膜51の上面に電解めっき法(例えば、電解銅めっき法)を施す。本工程により、金属膜51よりも内側のビアホールVH1を充填する金属層52が形成されるとともに、開口パターン81内に金属層62が形成される。このとき、
図12(b)に示すように、金属層52は、第1部分42(
図4参照)及び第2部分43を含む貫通孔41を充填するとともに、凹部22を充填するように形成される。また、金属層62は、金属層52と連続して一体に形成される。
【0060】
次に、
図13(a)及び
図13(b)に示す工程では、
図12(a)及び
図12(b)に示したレジスト層80をアルカリ性の剥離液、例えば有機アミン系剥離液、苛性ソーダ、アセトンやエタノール等により除去する。
【0061】
続いて、
図14(a)及び
図14(b)に示す工程では、金属層62をエッチングマスクとして、不要な金属膜51,61をエッチングにより除去する。
以上の製造工程により、ビアホールVH1内に形成された金属膜51と金属層52とからなるビア配線50が形成される。また、金属膜61とその金属膜61上に形成された金属膜51と金属層62とからなる配線層60が形成される。
【0062】
次に、本実施形態の作用効果を説明する。
(1)配線基板10は、絶縁層21と、線状に延びる第1パターン31Aを含む接続部31を有するとともに、絶縁層21の上面に形成された配線層30と、配線層30を被覆するように絶縁層21の上面に形成された絶縁層40とを有する。配線基板10は、絶縁層40を厚さ方向に貫通するとともに、第1パターン31Aの上面と第1パターン31Aの幅方向の両側面とを露出するビアホールVH1と、ビアホールVH1を充填するとともに、配線層30と電気的に接続されたビア配線50とを有する。配線基板10は、ビア配線50を介して配線層30と電気的に接続されるとともに、絶縁層40の上面に形成された配線層60を有する。
【0063】
この構成によれば、線状の第1パターン31Aを含む接続部31とビア配線50の底部とが接続される。ここで、ビア配線50が充填されるビアホールVH1は、線状の第1パターン31Aの上面と、第1パターン31Aの幅方向の両側面とを露出するように形成される。換言すると、第1パターン31Aの幅方向において、第1パターン31Aの平面形状は、ビアホールVH1の底部の平面形状よりも小さく形成されている。このため、接続部31全体の平面形状の大きさを、
図20に示した従来の受けランド101よりも小さく形成できる。
【0064】
具体的には、
図20に示すように、従来の配線基板100では、配線層30の接続部として受けランド101が設けられている。受けランド101の平面形状は、ビアホールVH1の底部の平面形状よりも一回り大きく形成されている。このため、受けランド101の平面形状は、全ての部分において、ビアホールVH1の底部の平面形状よりも大きく形成されている。
【0065】
これに対し、本実施形態の配線層30の接続部31では、ビアホールVH1の底部の平面形状よりも小さい部分を有する線状の第1パターン31Aが設けられている。このため、接続部31全体の平面形状の大きさを、
図20に示した従来の受けランド101よりも小さくすることができる。これにより、接続部31の平面形状を小さくできる分だけ、配線層30をファインピッチ化することができる。
【0066】
(2)ところで、接続部31の平面形状が小さくなると、ビア配線50と接続部31との接触面積が小さくなるため、ビア配線50と接続部31との接続信頼性が低下する。
これに対し、本実施形態の配線基板10では、線状の第1パターン31Aの幅方向の両側面を露出するようにビアホールVH1を形成し、そのビアホールVH1を充填するようにビア配線50を形成した。このため、ビア配線50が、第1パターン31Aの上面と第1パターン31Aの側面とに接続される。これにより、ビア配線50が第1パターン31Aの側面と接続される分だけ、ビア配線50と接続部31との接触面積を増大させることができる。この結果、接続部31の平面形状が小さくなった場合であっても、ビア配線50と接続部31との接続信頼性が低下することを好適に抑制できる。
【0067】
(3)ビアホールVH1は、配線層30の厚さ方向において、第1パターン31Aの側面全面を露出するように形成されている。このため、ビア配線50を、配線層30の厚さ方向において、第1パターン31Aの側面全面に接続させることができる。これにより、ビア配線50と接続部31との接触面積を好適に増大できるため、ビア配線50と接続部31との接続信頼性が低下することを好適に抑制できる。
【0068】
(4)ビアホールVH1は、絶縁層40を厚さ方向に貫通する貫通孔41と、絶縁層21の上面に形成された凹部22とが互いに連通されて形成されている。この構成によれば、ビアホールVH1が、絶縁層21の厚さ方向の中途位置まで延びるように形成される。このため、配線層30の厚さ方向において、第1パターン31Aの側面全面を露出するようにビアホールVH1を好適に形成することができる。
【0069】
(5)接続部31は、線状に延びるとともに、第1パターン31Aと交差するように形成された第2パターン31Bを有する。ビアホールVH1は、第2パターン31Bの上面と第2パターン31Bの幅方向の両側面とを露出するように形成されている。この構成によれば、接続部31が、第1パターン31Aと第2パターン31Bとによって構成される+字状の平面形状を有するように形成される。このような+字状の平面形状は、その中心位置を把握しやすい。このため、ビアホールVH1を形成する際に、+字状の平面形状の中心位置を容易に利用することができる。そして、+字状の平面形状の中心位置を利用してビアホールVH1を形成することにより、接続部31に対するビアホールVH1の位置精度を向上させることができる。すなわち、接続部31に対するビアホールVH1の位置ずれを好適に抑制できる。
【0070】
(6)ビアホールVH1の平面形状は、第1パターン31Aと第2パターン31Bとの交差部分を中心とした円形状に形成されている。ここで、接続部31の平面形状を画像認識した場合には、第1パターン31Aと第2パターン31Bとの交差部分の位置を容易に把握することができる。このような交差部分の位置を利用してビアホールVH1を形成することにより、接続部31に対するビアホールVH1の位置精度を向上させることができる。
【0071】
(他の実施形態)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0072】
・上記実施形態のビアホールVH1の構造は適宜変更することができる。
・例えば
図15に示すように、
図4に示した凹部22を、接続部31の下面を露出するように形成された凹部23に変更してもよい。凹部23は、ビアホールVH1と平面視で重なる部分の接続部31の下面全面を露出するように形成されている。凹部23は、ビアホールVH1と平面視で重なる部分の第1パターン31Aの下面全面と、ビアホールVH1と平面視で重なる部分の第2パターン31Bの下面全面とを露出するように形成されている。ビアホールVH1と平面視で重なる部分の接続部31の直下には、その接続部31の下面を被覆する絶縁層21が設けられていない。凹部23は、例えば、第1パターン31Aの幅方向の一方側(図中左側)に設けられた凹部23Aと、第1パターン31Aの幅方向の他方側(図中右側)に設けられた凹部23Bとが互いに連通するように形成されている。凹部23A,23Bの各々の断面形状は、例えば、半円状又は半楕円状に形成されている。凹部23A,23Bの内面は、例えば、断面視において、円弧状又は楕円弧状に湾曲した曲面に形成されている。凹部23の内面は、断面視において、凹部23Aの半楕円弧と凹部23Bの半楕円弧とが平面方向に沿って連続する形状に形成されている。図示は省略するが、凹部23は、例えば、第2パターン31Bの幅方向の一方側に設けられた凹部23Aと、第2パターン31Bの幅方向の他方側に設けられた凹部23Bとが互いに連通するように形成されている。このような凹部23は、例えば、
図9に示した工程の後に更に、絶縁層21,40に対するレーザ光の照射を続けることによって形成することができる。
【0073】
本変更例のビアホールVH1は、絶縁層40の貫通孔41と凹部23とが互いに連通して形成されている。本変更例のビア配線50は、貫通孔41を充填するとともに、凹部23を充填するように形成されている。本変更例の金属膜51は、貫通孔41の内壁面全面と、凹部23の内面全面とを連続して被覆するように形成されている。本変更例の金属膜51は、例えば、貫通孔41から露出する接続部31の上面全面と、貫通孔41から露出する接続部31の側面全面と、凹部23から露出する接続部31の下面全面とを連続して被覆するように形成されている。本変更例の金属層52は、例えば、金属膜51よりも内側の貫通孔41を充填するとともに、金属膜51よりも内側の凹部23を充填するように形成されている。
【0074】
本変更例の構成によれば、凹部23を充填する部分のビア配線50が、配線層30の接続部31の下面を被覆するように形成される。これにより、ビア配線50と接続部31との接触面積を好適に増大できる。このため、ビア配線50と接続部31との接続信頼性が低下することを好適に抑制できる。また、ビア配線50を、配線層30の下方に食い込ませるように形成することができる。このため、ビア配線50が配線層30及び絶縁層40から脱離することを好適に抑制できる。
【0075】
・凹部22,23の底面は、曲面に限定されない。例えば、凹部22,23の底面を平面に形成してもよい。
・上記実施形態のビアホールVH1における凹部22を省略してもよい。この場合には、絶縁層40の貫通孔41のみによりビアホールVH1が構成される。
【0076】
・上記実施形態の貫通孔41の内壁面を、断面視において、絶縁層40の上面に対して垂直に延びるように形成してもよい。
・上記実施形態のビアホールVH1を、配線層30の厚さ方向において、接続部31の側面の一部のみを露出するように形成してもよい。
【0077】
・上記実施形態の配線層30の構造は適宜変更することができる。例えば、接続部31の平面形状は適宜変更することができる。
・例えば
図16に示すように、接続部31の平面形状を、線状の第1パターン31Aと、線状の第2パターン31Bと、円形状の第3パターン31Cとを有する構造に変更してもよい。第3パターン31Cは、第1パターン31Aと第2パターン31Bとの交差部分に形成されている。第3パターン31Cの平面形状は、例えば、第1パターン31Aと第2パターン31Bとの交差部分を中心とした円形状に形成されている。第3パターン31Cの平面形状は、ビアホールVH1の底部の平面形状よりも小さく形成されている。本変更例のビアホールVH1は、第3パターン31Cの上面と第3パターン31Cの側面とを露出するように形成されている。本変更例のビアホールVH1は、第3パターン31Cの上面全面を露出するように形成されている。本変更例のビアホールVH1は、第3パターン31Cの側面を第3パターン31Cの周方向全周にわたって露出するように形成されている。
【0078】
・
図16に示した変更例において、第3パターン31Cの平面形状は適宜変更することができる。例えば、第3パターン31Cの平面形状を、多角形状や半円状に形成してもよい。
【0079】
・例えば
図17に示すように、接続部31の平面形状を、線状の第1パターン31Aと、線状の第2パターン31Bと、円形状の第3パターン31Cと、第3パターン31Cの平面中心に設けられた貫通パターン31Dとを有する構造に変更してもよい。貫通パターン31Dは、接続部31を厚さ方向に貫通するとともに、絶縁層21の上面を露出するように形成されている。貫通パターン31Dの平面形状は、例えば、円形状に形成されている。本変更例の接続部31は、第3パターン31Cと貫通パターン31Dとにより構成されるリング状の平面形状を有している。本変更例のビアホールVH1は、貫通パターン31Dの内壁面を露出するように形成されている。本変更例のビアホールVH1は、貫通パターン31Dの内壁面を貫通パターン31Dの周方向全周にわたって露出するように形成されている。
【0080】
・例えば
図18に示すように、接続部31の平面形状をT字状に形成してもよい。本変更例の接続部31は、図中左右方向に沿って線状に延びる第1パターン31Aと、第1パターン31Aから図中下方向に向かって線状に延びる第4パターン31Eとを有している。第4パターン31Eは、第1パターン31Aよりも図中上方向には延びていない。第4パターン31Eは、第1パターン31Aの長さ方向(ここでは、図中左右方向)の中間部に接続されるように形成されている。本変更例のビアホールVH1は、第1パターン31Aの長さ方向のうち第4パターン31Eと接続される中間部を中心とした円形状に形成されている。
【0081】
・例えば、接続部31の平面形状をL字状に形成してもよい。
・例えば
図19に示すように、接続部31を、第1パターン31Aのみで構成するようにしてもよい。本変更例のビアホールVH1は、第1パターン31Aの長さ方向の端面(ここでは、図中左端の端面)を露出するように形成されている。
【0082】
・上記実施形態及び
図16~
図18に示した各変更例において、接続部31から第2パターン31B又は第4パターン31Eを省略してもよい。
・上記実施形態では、接続部31を、配線層30の長さ方向の端部に設けるようにしたが、これに限定されない。
【0083】
例えば
図18に示すように、接続部31を、配線層30の長さ方向(ここでは、図中左右方向)の中間部に設けるようにしてもよい。この場合の配線層30は、例えば、接続部31と、第1パターン31Aの一端部から延出された延出部32と、第1パターン31Aの他端部から延出された延出部33とを有している。本変更例の配線層30は、第4パターン31Eの一端部から延出された延出部34を更に有している。延出部33は、接続部31から図中左方向に向かって線状に延びている。延出部34は、接続部31から図中下方向に向かって線状に延びている。
【0084】
・上記実施形態の配線層60の構造は適宜変更することができる。例えば、金属膜61を省略してもよい。
・上記実施形態の配線基板10の製造方法では、ビアホールVH1を、レーザ加工法により形成するようにしたが、これに限定されない。例えば、レーザ加工法以外の方法により、ビアホールVH1を形成するようにしてもよい。
【0085】
・上記実施形態では、金属膜51を単層構造のシード層に具体化したが、金属膜51を複数層構造(例えば、2層構造)のシード層に具体化してもよい。2層構造のシード層としては、例えば、チタン(Ti)層とCu層とを順に積層した構造を有するシード層を挙げることができる。
【0086】
・上記実施形態の配線基板10の構造は適宜変更することができる。配線基板10は、例えば、絶縁層21と配線層30と絶縁層40とビアホールVH1とビア配線50と配線層60とを有する構造であれば、その他の構造は特に限定されない。配線基板10は、例えば、コア基板を有する構造であってもよいし、コア基板を有さないコアレス基板であってもよい。
【0087】
・上記実施形態の配線基板10を、CSP(Chip Size Package)やSON(Small Out line Non-Lead Package)等のパッケージに用いられる配線基板に具体化してもよい。
【符号の説明】
【0088】
VH1 ビアホール
10 配線基板
21 絶縁層(第1絶縁層)
22,23 凹部
23A,23B 凹部
30 配線層(第1配線層)
31 接続部
31A 第1パターン
31B 第2パターン
31C 第3パターン
31D 貫通パターン
31E 第4パターン
40 絶縁層(第2絶縁層)
41 貫通孔
50 ビア配線
51 金属膜
52 金属層
60 配線層(第2配線層)
61 金属膜
62 金属層