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  • 特開-魚類の観察装置および観察方法 図1
  • 特開-魚類の観察装置および観察方法 図2
  • 特開-魚類の観察装置および観察方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024151761
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】魚類の観察装置および観察方法
(51)【国際特許分類】
   A61D 19/02 20060101AFI20241018BHJP
   A01K 61/17 20170101ALI20241018BHJP
【FI】
A61D19/02 A
A01K61/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065412
(22)【出願日】2023-04-13
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人科学技術振興機構、 未来社会創造事業「次世代魚類育種に向けた発生工学的要素技術の開発」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】504196300
【氏名又は名称】国立大学法人東京海洋大学
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100152272
【弁理士】
【氏名又は名称】川越 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100181722
【弁理士】
【氏名又は名称】春田 洋孝
(72)【発明者】
【氏名】矢澤 良輔
(72)【発明者】
【氏名】吉崎 悟朗
(72)【発明者】
【氏名】森田 哲朗
(72)【発明者】
【氏名】川村 亘
(72)【発明者】
【氏名】今岡 史弥
【テーマコード(参考)】
2B104
【Fターム(参考)】
2B104AA01
2B104BA04
2B104CA01
2B104CG20
(57)【要約】
【課題】良質の卵を容易に取得できる魚類の観察装置および観察方法を提供する。
【解決手段】魚類の観察装置10は、外筒体1と、保持部2と、観察部3とを備える。外筒体1は、水が流通できる内部空間に魚類100を収容可能である。保持部2は、内部空間で魚類100を保持する。観察部3は、魚類100の卵巣を魚類100の体外から観察する。観察装置10は、魚類100の卵巣を圧迫して放卵を促す押圧機構4を備えていてもよい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水が流通できる内部空間に魚類を収容可能な外筒体と、
前記内部空間で前記魚類を保持する保持部と、
前記魚類の卵巣を前記魚類の体外から観察する観察部と、を備える、
魚類の観察装置。
【請求項2】
前記魚類の卵巣を圧迫して放卵を促す押圧機構を備える、
請求項1記載の魚類の観察装置。
【請求項3】
前記魚類から放出された卵を回収する回収部を備える、
請求項1記載の魚類の観察装置。
【請求項4】
前記外筒体に、窓部が形成され、
前記窓部は、液密を維持しつつ注射針が貫通できる非透水膜で塞がれている、
請求項1記載の魚類の観察装置。
【請求項5】
水が流通できる内部空間を有する外筒体と、前記内部空間で魚類を保持する保持部と、を用い、
前記魚類を前記内部空間に収容して前記保持部に保持させ、
前記魚類の卵巣を前記魚類の体外から観察する、
魚類の観察方法。
【請求項6】
前記外筒体に供給する水に麻酔効果のある物質を含ませる、
請求項5記載の魚類の観察方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚類の観察装置および観察方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類養殖を持続的に進めていくためには、天然の仔稚魚を捕獲して種苗とするのではなく、人為管理下で養成した親魚の性成熟を誘起し、人工種苗を生産し利用していくことが重要である(例えば、特許文献1を参照)。一般的な魚類では、卵巣内で卵母細胞の成熟および排卵が起こり、受精能を獲得した排卵卵が産卵行動により体外に放卵され、受精に至る。
【0003】
排卵後、速やかに放卵および受精の過程に至らない場合、卵は卵巣内で過熟となり、受精能が低下する。マサバをはじめとした多くの海産魚では、人為飼育環境下では自発的な成熟が滞ることが少なくない。このため、排卵や産卵を人為的に促進するために、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ(GnRHa)、ヒト絨毛性生殖腺刺激ホルモン(hCG)等のホルモンを投与することがある。
【0004】
このような人為催熟の結果、メス親魚は排卵に至るが、排卵後の卵が卵巣内で受精能を維持する時間は非常に短い。多くの海産魚では、排卵後の卵は数十分でその卵質が急速に低下し、2時間以上経過すると受精しなくなる。しかし、水温等の環境条件や個体差などの要因により、ホルモン投与後の排卵時間は大きく変動するため、その予測は容易ではない。
【0005】
従来は、親魚にホルモン投与後、大まかな産卵時刻を予測し、親魚の行動パターンや腹部の膨満度などの個体の観察情報も併せて、排卵の見込まれる個体を選んで麻酔し、腹部を圧迫することで排卵の有無を確かめていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表2016-521570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、前述の技術では、ターゲットとなる個体が排卵するまで、排卵の有無を確かめる工程を繰り返す必要がある。度重なる麻酔やハンドリングにより卵質が悪化するのみならず、個体が斃死するリスクも高い。そのため、良質の卵を容易に取得できる技術が求められていた。
【0008】
本発明の一態様は、良質の卵を容易に取得できる魚類の観察装置および観察方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を含む。
[1]水が流通できる内部空間に魚類を収容可能な外筒体と、前記内部空間で前記魚類を保持する保持部と、前記魚類の卵巣を前記魚類の体外から観察する観察部と、を備える、魚類の観察装置。
【0010】
[2]前記魚類の卵巣を圧迫して放卵を促す押圧機構を備える、[1]記載の魚類の観察装置。
【0011】
[3]前記魚類から放出された卵を回収する回収部を備える、[1]または[2]に記載の魚類の観察装置。
【0012】
[4]前記外筒体に、窓部が形成され、前記窓部は、液密を維持しつつ注射針が貫通できる非透水膜で塞がれている、[1]~[3]のうちいずれか1つに記載の魚類の観察装置。
【0013】
[5]水が流通できる内部空間を有する外筒体と、前記内部空間で魚類を保持する保持部と、を用い、前記魚類を前記内部空間に収容して前記保持部に保持させ、前記魚類の卵巣を前記魚類の体外から観察する、魚類の観察方法。
【0014】
[6]前記外筒体に供給する水に麻酔効果のある物質を含ませる、[5]記載の魚類の観察方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明の一態様によれば、良質の卵を容易に取得できる魚類の観察装置および観察方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る魚類の観察装置の構成図である。
図2】外筒体の変形例の模式的な構成図である。
図3】外筒体の一部の模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
[魚類の観察装置]
図1は、実施形態に係る魚類の観察装置10の斜視図である。図1に即して観察装置10の構成を説明する。図1における左方は前方である。前方と反対の方向は後方である。
【0018】
図1に示すように、魚類の観察装置10は、外筒体1と、保持部2と、観察部3と、押圧機構4と、回収部5と、を備える。
【0019】
外筒体1は、筒状に形成されている。外筒体1は、主筒部11と、肩部12と、細径部13と、を備える。外筒体1の中心軸は前後方向に沿う。
主筒部11は、例えば、円筒状に形成されている。主筒部11は、円柱状の内部空間11Aを有する。主筒部11は、内部空間11Aに魚類100を収容可能である。主筒部11の内径および長さは、観察対象となる魚類100を収容できるように定められる。
【0020】
肩部12は、主筒部11の第1端11a(前端)に連設されている。肩部12は、前方に向かって徐々に縮径する。肩部12は、例えば、主筒部11と同軸の円錐台形状に形成されている。
細径部13は、肩部12の前端に連設されている。細径部13は、例えば、主筒部11と同軸の円筒状に形成されている。細径部13の内径は主筒部11の内径より小さい。
【0021】
外筒体1は、透明であることが好ましい。例えば、外筒体1は、可視光(波長380nm~780nm)が全波長範囲で厚さ方向に50%以上透過可能であることが好ましい。外筒体1が透明であると、外筒体1の内部の状態を目視で確認しやすくなる。
外筒体1は、例えば、樹脂、ガラスなどで構成されている。外筒体1を構成する樹脂としては、アクリル系樹脂、フッ素系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリスチレン系樹脂などが挙げられる。
【0022】
外筒体1の内部空間には、外筒体1の一方の端から他方の端に向けて水を流通させることができる。例えば、細径部13の第1端13a(前端)から主筒部11の第2端11b(後端)に向けて、外筒体1の内部空間に水を流通させることができる。
【0023】
細径部13の第1端13aの開口は、第1栓体14によって閉止される。第1栓体14には、管路16が挿通する貫通孔14aが形成されている。管路16は、水を外筒体1の内部空間に導く。主筒部11の第2端11bの開口は、第2栓体15によって閉止される。第2栓体15には、外筒体1の内部空間の水を排出する排出孔(図示略)が形成されている。
【0024】
保持部2は、主筒部11の内部空間11Aに設けられて魚類100を保持する。保持部2は、筒状または環状に形成されている。保持部2は、例えば、主筒部11と同軸の筒状または環状であってよい。保持部2の内部空間は、魚類100の形状に応じて形成されている。保持部2の内周面の少なくとも一部は魚類100に接する。保持部2の内周面は、全周にわたって魚類100に接することが望ましい。
【0025】
保持部2の外周面の少なくとも一部は主筒部11の内周面に接する。保持部2は、例えば、主筒部11の内周面に反力をとって魚類100に接する。そのため、保持部2は、魚類100を主筒部11に対して位置決めすることができる。
【0026】
保持部2は、例えば、多孔質材によって形成されている。多孔質材は、内部に多数の空孔(空隙)を有する材である。保持部2を構成する多孔質材は、空孔を通して水が前後方向に流通可能であることが望ましい。多孔質材としては、例えば、樹脂発泡体、繊維集合体などが挙げられる。
【0027】
樹脂発泡体を構成する樹脂としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンなどが挙げられる。樹脂発泡体は、連続気泡型であることが好ましい。繊維集合体を構成する繊維は、化学繊維でもよいし、天然繊維でもよい。化学繊維は、例えば、ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレンなどの樹脂で形成される。
【0028】
保持部2は、弾性変形可能であることが望ましい。保持部2は、例えば、厚さ方向(径方向)に弾性変形可能であることが望ましい。保持部2が弾性変形可能であると、保持部2が変形できない場合に比べ、魚類100に局所的に大きな力が加えられるのを抑えることができるため、魚類100は傷つきにくくなる。保持部2が弾性変形可能であると、魚類100が受ける動作制限を小さくできるため、魚類100にかかる負担を軽減できる。保持部2が弾性変形可能であると、保持部2の弾性力によって魚類100を押さえつけることができるため、十分な力で魚類100を保持できる。このように、保持部2が弾性変形可能であると、魚類100にかかる負担を抑えつつ、十分な保持力で魚類100を保持することができる。
【0029】
保持部2は、魚類100の一部の長さ範囲を保持できるように形成されていてもよい。本実施形態では、保持部2は、魚類100より短く形成されているため、魚類100の一部の長さ範囲を保持する。魚類100の頭部102の一部(魚類の前端を含む部分)は、保持部2の前端から前方に突出する。魚類100の尾部103を含む部分(魚類の後端を含む部分)は、保持部2の後端から後方に突出する。保持部2が魚類100の一部の長さ範囲を保持できるように形成されていると、ある程度、魚類100の動作を許容できる。魚類100に加えられる制限が小さいため、保持部2が魚類100の全長を保持する場合に比べ、魚類100にかかる負担を軽減できる。
【0030】
保持部2は、魚類100から放出された卵を後方に流すための空間が確保されていることが望ましい。
【0031】
観察部3は、魚類100の卵巣を魚類100の体外から観察できる。そのため、観察部3は、魚類100を傷つけることなく卵巣を観察できる。観察部3としては、超音波撮像装置(超音波診断装置)、X線撮像装置(X線診断装置)などが考えられるが、超音波撮像装置が好ましい。
【0032】
超音波撮像装置は、超音波検出器31(プローブ)と、処理部32と、表示部33とを備える。
超音波検出器31は、超音波振動子を内蔵する。超音波検出器31は、超音波振動子によって魚類100(被検体)に対して超音波を送信し、そのエコー信号を受信する。超音波検出器31は、魚類100の腹部であって、卵巣を含む部分に相当する位置に設置される。
【0033】
処理部32は、超音波検出器31が受信したエコー信号に基づいて超音波画像を作成するための処理を行う。表示部33は、超音波検出器31が取得した超音波画像を表示する。表示部33は、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置である。
【0034】
観察部3では、超音波検出器31が魚類100の卵巣を含む部分に相当する位置にあるため、表示部33によって、魚類100の卵巣101を含む部分の画像を表示できる。
【0035】
押圧機構4は、押圧体41と、駆動部42と、を備える。押圧体41は、例えば、魚類100の腹部を包囲する環状に形成されている。押圧体41は、例えば、袋状に形成されている。押圧体41は、空気の送入によって膨張し、空気の排出によって収縮する。押圧体41は膨張すると内径寸法が小さくなるため、魚類100の腹部を圧迫して放卵を促すことができる。
【0036】
駆動部42は、送気管43を通して押圧体41に空気を送入し、押圧体41を膨張させる。駆動部42は、例えば、エアポンプである。駆動部42は、モータなどで駆動するポンプであってもよいし、手動式のポンプであってもよい。
【0037】
回収部5は、分離部51と、回収容器52とを備える。分離部51は、魚類100から放出された卵を回収する。分離部51は、例えば、外筒体1の内部空間を流れる水から卵を分離する網である。回収した卵は、回収容器52に収容することができる。
【0038】
[魚類の観察方法]
図1に示す観察装置10を用いた場合を例として、実施形態に係る魚類の観察方法を説明する。
観察対象となる魚類100を、保持部2に保持させた状態で外筒体1に収容する。魚類100には、予め、生殖腺刺激ホルモン放出ホルモンアナログ(GnRHa)、ヒト絨毛性生殖腺刺激ホルモン(hCG)等のホルモンを注射などによって投与しておくことができる。
【0039】
外筒体1の内部空間に水を導入する。外筒体1の内部空間の水は、魚類100の特性に応じて選択される。例えば、魚類100が海水魚である場合には、外筒体1に導入する水として海水が用いられる。外筒体1に水を導入することによって、魚類100を水中に置くことができ、魚類100の生理的状態を良好に維持することができる。必要に応じて、水を管路16から外筒体1の内部空間に導入し、流通させてもよい。その場合、外筒体1の内部空間の水は、第2栓体15の排出孔(図示略)から系外に排出される。
【0040】
観察装置10に保持されることで魚類100がストレスを受け、これを原因として卵の成熟および排卵が円滑に進まない場合は、外筒体1に供給する水に麻酔効果のある物質を含ませることによって、魚類100の生理的状態を改善できる可能性がある。麻酔効果のある物質としては、二酸化炭素などを例示できる。
【0041】
観察部3を用いて、魚類100の卵巣101を含む部分の超音波画像を表示部33に連続的に表示する。観察部3は、魚類100の卵巣101を連続的に観察できるため、卵の成熟および排卵の時期を正確に把握できる。例えば、卵の大きさなどに基づいてその成熟度を判断することができる。観察部3による観察は連続的でなくてもよい。その場合でも、高頻度で魚類100を観察することができる。
【0042】
卵の成熟および排卵が確認できたら、押圧機構4を用いて魚類100の腹部を圧迫して放卵を促すことができる。詳しくは、駆動部42を用いて押圧体41に空気を送入し、押圧体41を膨張させる。押圧体41によって魚類100の腹部を圧迫することによって、魚類100に卵の放出を促すことができる。
【0043】
回収部5の分離部51は、魚類100から放出された卵を回収する。回収した卵は、回収容器52に収容することができる。
【0044】
[実施形態の魚類の観察装置および観察方法によって得られる効果]
本実施形態に係る観察装置10は、外筒体1と、保持部2と、観察部3とを備える。観察部3は、魚類100の卵巣を体外から観察できるため、連続的な卵巣の観察、または高頻度の卵巣の観察が可能である。そのため、環境条件、個体差などが卵の状態に影響を与える場合でも、卵の成熟および排卵の時期を正確に把握できる。よって、卵質を低下させず、良質な卵を取得することができる。
【0045】
観察装置10は、魚類100を外筒体1内に保持したまま、観察部3によって魚類100の卵巣を体外から観察するため、魚類を水槽から取り出して確かめる方法に比べ、卵巣の状態の確認は容易となる。
【0046】
観察装置10は、観察部3によって魚類100の卵巣を体外から観察するため、魚類100にかかる負担を抑えることができる。そのため、魚類100の生理的状態を良好に維持することができる。よって、卵質を良好にすることができる。
【0047】
観察装置10では、保持部2が魚類100を保持することによって魚類100の位置を定めることができるため、観察対象となる卵巣の位置は変動しにくい。そのため、魚類100の卵巣の観察を容易にすることができる。
観察装置10は、外筒体1を備えるため、魚類100を外筒体1に収容した状態で取り扱うことができる。よって、観察装置10は、取り扱いの容易さの点で優れている。
【0048】
観察装置10は、押圧機構4を備えるため、押圧機構4によって魚類100の放卵を促すことができる。よって、卵の取得が容易となる。
観察装置10は、回収部5を備えるため、放出された卵を容易に回収することができる。
【0049】
[外筒体](変形例)
図2は、外筒体1の変形例である外筒体1Aの模式的な構成図である。図3は、外筒体1Aの一部の模式的な断面図である。
図2および図3に示すように、外筒体1Aには、窓部17が形成されている。外筒体1Aは、窓部17が形成されている点で、図1に示す外筒体1と異なる。窓部17は、非透水膜18によって液密に塞がれている。そのため、窓部17からの漏水は抑えられる。
【0050】
図3に示すように、非透水膜18は、液密を維持しつつ注射針19が厚さ方向に貫通できる。そのため、外筒体1A内の水を漏洩させることなく、注射針19によって魚類100に薬液を投与することができる。非透水膜18は、例えば、弾性材料で構成される。非透水膜18を構成する弾性材料としては、シリコンゴム、ウレタンゴムなどのゴムが挙げられる。
薬液としては、例えば、ホルモン剤などを例示できる。
【0051】
外筒体1Aを用いた観察装置によれば、魚類100に、ホルモン剤などの薬剤を容易に投与することができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。
外筒体に収容できる魚類の数は、1または複数であってよいが、外筒体は、魚類を1つ(1尾)のみ収容できるのが好ましい。これにより、魚類の状態を把握しやすくなる。魚類を1つ(1尾)のみ収容できる外筒体を用いる場合、魚類を個別に管理できるという利点もある。
【符号の説明】
【0053】
1,1A…外筒体、2…保持部、3…観察部、4…押圧機構、5…回収部、17…窓部、18…非透水膜、100…魚類
図1
図2
図3