(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152016
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、および情報生成方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20240101AFI20241018BHJP
【FI】
G06Q50/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065902
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154852
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 太一
(72)【発明者】
【氏名】深見 公一郎
(72)【発明者】
【氏名】高橋 仁康
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】農業用の機械の利用者を支援すること。
【解決手段】農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する取得部と、取得した振動情報と、前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、前記制御情報を特定し、前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する、情報処理部と、を備える情報処理装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する取得部と、
取得した振動情報と、前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、前記制御情報を特定し、
前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する、情報処理部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理部は、
取得した振動情報と、前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記作業の評価を推定し、
推定した作業の評価と、前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記制御情報を特定し、
前記提供処理を実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記取得部は、農作業に関する環境を示す情報を更に取得し、
前記情報処理部は、
前記農作業に関する環境と前記振動情報と、前記農作業に関する環境と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記環境における前記作業の評価を推定し、
推定した前記環境における作業の評価と、前記環境と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記環境における前記制御情報を特定し、
前記提供処理を実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記取得部は、農作業の種別を示す情報を更に取得し、
前記情報処理部は、
前記農作業の種別と前記振動情報と、前記農作業の種別と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記農作業の種別に対する前記作業の評価を推定し、
推定した前記農作業の種別に対する作業の評価と、前記農作業の種別と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記農作業の種別に対する前記制御情報を特定し、
前記提供処理を実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記取得部は、農作業に関する環境を示す情報および農作業の種別を示す情報を更に取得し、
前記振動情報、農作業に関する環境を示す情報、および農作業の種別を示す情報と、
前記農作業に関する環境と前記農作業の種別と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記環境および前記農作業の種別に対する前記作業の評価を推定し、
推定した前記環境および前記農作業の種別に対する作業の評価と、
前記環境と前記農作業の種別と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記環境における前記農作業の種別に対する前記制御情報を特定し、
前記提供処理を実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記作業の評価は、前記作業自体の評価と、前記機械にとっての負荷の評価とを含み、
前記改善とは、前記作業自体の評価を向上させることと、前記機械にとっての負荷を低減することとのうち一方または双方を含む、
請求項2から5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記情報処理部は、
前記第1情報を利用して前記作業の評価が所望する評価よりも低いと判定した場合、
前記第2情報を利用して前記作業の評価が所望する評価に近づくように前記制御情報を特定する、
請求項2から5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記振動情報は、所定の周波数または周波数帯のパワースペクトルを示す情報、或いは周波数ごとにパワースペクトルが対応付けられた情報におけるピーク値を示す情報である、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記制御情報は、前記機械の移動速度を変更させる情報、前記機械の作業速度を変更させる情報、または前記機械の稼働状態を変更させる情報である、
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記対応情報は、前記振動情報を入力すると、前記振動情報に応じた前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報を出力するように学習された学習済モデルであり、
前記情報処理部は、前記学習済モデルに前記振動情報を入力し、前記学習済モデルが出力した情報に基づいて前記制御情報を特定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記第1情報は、農作業に関する環境と農作業の種別と前記機械の稼働状況を示す情報のうち一以上の情報を含む特定情報および前記振動情報を入力すると、前記特定情報および前記振動情報に応じた前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報を出力するように学習された学習済モデルであり、
前記情報処理部は、前記学習済モデルに前記特定情報および前記振動情報を入力し、前記学習済モデルが出力した情報に基づいて前記制御情報を特定する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記第1情報は、農作業に関する環境と農作業の種別と前記機械の稼働状況を示す情報のうち一以上の情報を含む特定情報および前記振動情報、或いは前記振動情報を入力すると、入力した情報に応じた前記機械の作業の評価を示す情報を出力するように学習された第1学習済モデルであり、
前記情報処理部は、前記第1学習済モデルに前記特定情報および前記振動情報、或いは前記振動情報を入力し、前記第1学習済モデルが出力した情報に基づいて前記作業を評価する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項13】
請求項1から5のうちいずれか1項に記載の情報処理装置と、
前記振動情報は、前記機械の振動の特徴を示す情報であり、
前記振動を検出する振動センサと、前記振動センサが検出する振動から前記振動の特徴を抽出する情報解析部とを備え、前記機械に取り付け可能な振動検出装置を備える、
情報処理システム。
【請求項14】
コンピュータが、
農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する処理と、
前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、取得した振動情報から前記制御情報を特定する処理と、
前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する処理と、
を実行する情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに、
農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する処理と、
前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、取得した振動情報から前記制御情報を特定する処理と、
前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項16】
農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報と、
前記振動情報が得られたときの前記機械の作業の結果に対する評価を示す情報と、
前記振動情報が得られたときに前記機械の稼働状況を変化させたときの制御情報と前記機械の作業の結果に対する評価を示す情報と、を取得し、
所望の評価が得られない前記振動情報が得られたときに前記所望の評価に近づいた前記機械に与えた制御情報を特定し、
特定した制御情報と、前記所望の評価が得られない前記振動情報とを対応付けた対応情報を生成することで、
前記所望の評価が得られない振動情報から前記評価を改善させる制御情報を特定するための前記対応情報を生成する、
情報生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、および情報生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作業を行う作業装置に設けられ且つ前記作業装置の振動を検出する振動検出装置と、前記作業装置の位置を検出可能な位置検出装置と、前記振動検出装置で検出された振動を示す振動値と前記位置検出装置で検出された位置とに基づいて、振動が大きい場所を示す農業に関する農業マップを生成するマップ生成部とを備える農業支援システムが開示されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の技術では、農業用の機械が効果的に作業を行えるように機械または機械の利用者を支援することができないことがあった。
【0005】
本発明は、このような事情を考慮してなされたものであり、機械または機械の利用者を支援することができる情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、および情報生成方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様である情報処理装置は、農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する取得部と、取得した振動情報と、前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、前記制御情報を特定し、前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する、情報処理部と、を備える情報処理装置である。
【0007】
本発明の第2の態様の情報処理装置は、前記情報処理部は、取得した振動情報と、前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記作業の評価を推定し、推定した作業の評価と、前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記制御情報を特定し、前記提供処理を実行する。
【0008】
本発明の第3の態様である情報処理装置は、前記取得部は、農作業に関する環境を示す情報を更に取得し、前記情報処理部は、前記農作業に関する環境と前記振動情報と、前記農作業に関する環境と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記環境における前記作業の評価を推定し、推定した前記環境における作業の評価と、前記環境と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記環境における前記制御情報を特定し、前記提供処理を実行する。
【0009】
本発明の第4の態様である情報処理装置は、前記取得部は、農作業の種別を示す情報を更に取得し、前記情報処理部は、前記農作業の種別と前記振動情報と、前記農作業の種別と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記農作業の種別に対する前記作業の評価を推定し、推定した前記農作業の種別に対する作業の評価と、前記農作業の種別と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記農作業の種別に対する前記制御情報を特定し、前記提供処理を実行する。
【0010】
本発明の第5の態様である情報処理装置は、前記取得部は、農作業に関する環境を示す情報および農作業の種別を示す情報を更に取得し、前記振動情報、農作業に関する環境を示す情報、および農作業の種別を示す情報と、記農作業に関する環境と前記農作業の種別と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報に基づいて、前記環境および前記農作業の種別に対する前記作業の評価を推定し、推定した前記環境および前記農作業の種別に対する作業の評価と、前記環境と前記農作業の種別と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報に基づいて、前記環境における前記農作業の種別に対する前記制御情報を特定し、前記提供処理を実行する。
【0011】
本発明の第6の態様である情報処理装置は、前記作業の評価は、前記作業自体の評価と、前記機械にとっての負荷の評価とを含み、前記改善とは、前記作業自体の評価を向上させることと、前記機械にとっての負荷を低減することとのうち一方または双方を含む。
【0012】
本発明の第7の態様である情報処理装置は、前記情報処理部は、前記第1情報を利用して前記作業の評価が所望する評価よりも低いと判定した場合、前記第2情報を利用して前記作業の評価が所望する評価に近づくように前記制御情報を特定する。
【0013】
本発明の第8の態様である情報処理装置は、前記振動情報は、所定の周波数または周波数帯のパワースペクトルを示す情報、或いは周波数ごとにパワースペクトルが対応付けられた情報におけるピーク値を示す情報である。
【0014】
本発明の第9の態様である情報処理装置は、前記制御情報は、前記機械の移動速度を変更させる情報、前記機械の作業速度を変更させる情報、または前記機械の稼働状態を変更させる情報である。
【0015】
本発明の第10の態様である情報処理装置は、前記対応情報は、前記振動情報を入力すると、前記振動情報に応じた前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報を出力するように学習された学習済モデルであり、前記情報処理部は、前記学習済モデルに前記振動情報を入力し、前記学習済モデルが出力した情報に基づいて前記制御情報を特定する。
【0016】
本発明の第11の態様である情報処理装置は、前記第1情報は、農作業に関する環境と農作業の種別と前記機械の稼働状況を示す情報のうち一以上の情報を含む特定情報および前記振動情報を入力すると、前記特定情報および前記振動情報に応じた前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報を出力するように学習された学習済モデルであり、前記情報処理部は、前記学習済モデルに前記特定情報および前記振動情報を入力し、前記学習済モデルが出力した情報に基づいて前記制御情報を特定する。
【0017】
本発明の第12の態様である情報処理装置は、前記第1情報は、農作業に関する環境と農作業の種別と前記機械の稼働状況を示す情報のうち一以上の情報を含む特定情報および前記振動情報、或いは前記振動情報を入力すると、入力した情報に応じた前記機械の作業の評価を示す情報を出力するように学習された第1学習済モデルであり、前記情報処理部は、前記第1学習済モデルに前記特定情報および前記振動情報、或いは前記振動情報を入力し、前記第1学習済モデルが出力した情報に基づいて前記作業を評価する。
【0018】
本発明の第13の態様である情報処理システムは、前記振動情報は、前記機械の振動の特徴を示す情報であり、前記振動を検出する振動センサと、前記振動センサが検出する振動から前記振動の特徴を抽出する情報解析部とを備え、前記機械に取り付け可能な振動検出装置を備える。
【0019】
本発明の他の態様である情報処理方法は、コンピュータが、農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する処理と、前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、取得した振動情報から前記制御情報を特定する処理と、前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する処理とを実行する。
【0020】
本発明の他の態様であるプログラムは、コンピュータに、農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報を取得する処理と、前記振動情報と前記機械の作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた対応情報に基づいて、取得した振動情報から前記制御情報を特定する処理と、前記制御情報を前記機械に提供または前記機械を利用している利用者の端末装置に提供する提供処理を実行する処理とを実行させる。
【0021】
本発明の他の態様である情報生成方法は、農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報と、前記振動情報が得られたときの前記機械の作業の結果に対する評価を示す情報と、前記振動情報が得られたときに前記機械の稼働状況を変化させたときの制御情報と前記機械の作業の結果に対する評価を示す情報と、を取得し、所望の評価が得られない前記振動情報が得られたときに前記所望の評価に近づいた前記機械に与えた制御情報を特定し、特定した制御情報と、前記所望の評価が得られない前記振動情報とを対応付けた対応情報を生成することで、前記所望の評価が得られない振動情報から前記評価を改善させる制御情報を特定するための前記対応情報を生成する。
【発明の効果】
【0022】
本発明の第1の態様から第12の態様の情報処理装置、第13の態様の情報処理システム、他の態様の情報処理方法、または他の態様のプログラムによれば、振動情報を用いて機械の作業を改善させる前記機械の制御情報を提供することで、農業用の機械または利用者を支援することができる。
【0023】
本発明の他の態様の情報生成方法によれば、振動情報から機械の作業を改善させる前記機械の制御情報を特定することができる対応情報を生成することができる。これを利用することで、機械または利用者は、容易に作業を改善させるように機械を制御することができる。これにより、機械または機械の利用者を支援することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】農業支援システム1の機能構成の一例を示す図である。
【
図2】振動検出装置50の機能構成、情報処理装置100の機能構成および振動情報の一例を示す図である。
【
図3】評価情報154の内容の一例を示す図である。
【
図4】制御情報156の内容の一例を示す図である。
【
図5】情報処理装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図6】表示部に表示される制御情報の一例を示すインターフェース画面である。
【
図7】情報生成装置200の機能構成の一例を示す図である。
【
図8】評価情報254の生成について説明するための図である。
【
図9】制御情報256の生成について説明するための図である。
【
図10】評価情報154Aの内容の一例を示す図である。
【
図11】制御情報156Aの内容の一例を示す図である。
【
図12】情報処理装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図13】環境および作業を入力するインターフェース画面の一例を示す図である。
【
図14】評価情報254Aの生成に利用される実績情報252Aついて説明するための図である。
【
図15】評価情報254Aの生成について説明するための図である。
【
図16】制御情報256Aの生成について説明するための図である。
【
図17】第1学習済モデルについて説明するための図である。
【
図18】第2学習済モデルについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照し、本発明の情報処理装置、情報処理システム、情報処理方法、プログラム、および情報生成方法の実施形態について説明する。
【0026】
<第1実施形態>
[全体構成]
図1は、農業支援システム1の機能構成の一例を示す図である。農業支援システム1は、例えば、農業機械10と、振動検出装置50と、情報処理装置100と、情報生成装置200と、利用者端末装置300とを備える。情報処理装置100または情報生成装置200は、一体に構成されてもよいし、農業機械10または利用者端末装置300に含まれてもよい。利用者端末装置300は、農業機械10に搭載されていてもよい。
【0027】
情報処理装置100は、農業機械10、振動検出装置50、情報生成装置200、または利用者端末装置300と通信する。通信は、図示するように無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。通信は、ネットワークを介した通信であってもよい。ネットワークは、例えば、インターネット、WAN(Wide Area Network)、LAN(Local Area Network)、電話回線、公衆回線、専用回線、プロバイダ装置、無線基地局等を含む。農業機械10は、利用者端末装置300と通信してもよい。
【0028】
[処理の概要]
以下、農業支援システム1の処理の概要について説明する。処理の詳細や各情報の詳細についても後述する。
(1)農業機械10に搭載された振動検出装置50は、農業機械10の振動を示す振動情報を情報処理装置100に提供する。
(2-1)情報処理装置100は、情報生成装置200により提供された情報と、上述した振動情報とに基づいて、支援情報を生成し、生成した支援情報を利用者端末装置300に提供する。
(2-2)情報処理装置100は、支援情報を農業機械10に提供する。農業機械10は、支援情報に基づいて、作業の評価が向上するように自動で動力源や駆動部などを制御して作業の評価を向上させる。
【0029】
支援情報は、振動情報から推定される農業機械10の作業の評価を示す情報や、作業の評価を向上させるための農業機械10の制御に関する制御情報(速度や、パワーテイクオフの状態など)である。利用者は、利用者端末装置300の表示部に表示された支援情報に基づいて、作業の評価が向上するように農業機械10を制御することができる。また、農業機械10は、支援情報に応じた制御を行うことで作業の評価が向上するように稼働することができる。上記の(2-1)または(2-2)の一方は省略されてもよい。このように、農業支援システムは、農業機械10または農業機械10の利用者を支援することができる。
【0030】
以下、
図2を参照して、振動検出装置50の機能構成、情報処理装置100の機能構成、および振動情報について説明する。
【0031】
[農業機械]
農業機械10は、例えば、土壌を耕すトラクタや、田植えを行う田植え機や、収穫を行うコンバインなどの種々の機械である。農業機械10は、「農業用の機械」の一例である。「農業用の機械」は、機械に取り付けられたアタッチメントであってもよい。アタッチメントとは、例えば、鎮圧ローラや播種・収穫用のアタッチメントなどの任意のアタッチメントである。
【0032】
農業機械10は、一以上の振動検出装置50を搭載している。振動検出装置50は、例えば、農業機械10の本体や、アタッチメントなど任意の位置に取り付けられている。振動検出装置50は、例えば、通信インターフェースである通信部52と、検出部54と、解析部56とを備える。解析部56は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などのハードウェアプロセッサである。解析部56は、記憶部に記憶されたプログラム(ソフトウェア)を実行して各種処理を実行する。
【0033】
検出部54は、例えば、農業機械10またはアタッチメントの振動を検出する振動センサである。振動センサは、例えば、圧電素子の圧電効果を利用した圧電型のセンサであってもよいし、他の公知の原理を利用したセンサであってもよい。
【0034】
解析部56は、検出部54により検出された振動を示す振動情報を取得する。解析部56は、振動情報を解析して解析後の振動情報を生成する。解析後の振動情報は、振動の特徴を示す情報である。解析後の振動情報は、例えば、時系列の振動の情報を周波数(Hz)ごと(または周波数帯ごと)の振動の強度(S)に変換した情報(図中、IF)や、変換後の振動情報におけるピーク値、振動の分布を予め設定された基準に基づいて分類した結果(分類パターン)などである。解析部56は、例えば、検出部54の検出結果に対して高速フーリエ変換を行って解析後の振動情報を生成する。
【0035】
振動の特徴を示す情報は、上記に代えて(または加えて)、他の振動の特徴を示す情報が利用されてもよい。例えば、複数のピーク値が利用されてもよいし、一以上の任意の周波数領域の振動情報が利用されてもよい。また、一以上の任意の振動の特徴を示す情報を統合して得られた指標を利用されてもよい。統合して得られた情報とは、例えば、統計処理した結果や、複数の振動の特徴を示す情報を、それぞれに対応する基準と比較して比較結果の組み合わせに応じた結果などである。
【0036】
また、振動検出装置50は、検出部54により検出された振動を示す情報を情報処理装置100に提供し、情報処理装置100が、提供された情報に基づいて振動を解析してもよい。
【0037】
[情報処理装置]
情報処理装置100は、例えば、通信部110と、取得部120と、情報処理部130と、記憶部150とを備える。取得部120および情報処理部130は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能部の一部または全部は、LSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、GPU(Graphics Processing Unit)などのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め情報処理装置100の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで情報処理装置100にインストールされてもよい。
【0038】
記憶部150は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等により実現されてよい。記憶部150には、振動情報152と、評価情報154と、制御情報156とが記憶されている。評価情報154および制御情報156は、後述するように情報生成装置200が生成した情報である。
【0039】
評価情報154は、「振動情報と機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報」の一例である。制御情報156は、「前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報」の一例である。これらの情報の詳細については後述する。
【0040】
通信部110は、他の装置と通信するための通信インターフェースである。
【0041】
取得部120は、農作業を行っている農業機械10またはアタッチメントの振動を示す振動情報を取得する。取得部120は、振動情報を振動検出装置50から取得してもよいし、農業機械10を介して振動検出装置50から取得してもよい。
【0042】
情報処理部130は、振動情報を利用して農業機械10の制御に関する制御情報を特定する。情報処理部130は、振動情報と評価情報154とを利用して農業機械10の作業の評価を推定したり、振動情報と制御情報156とを利用して作業の評価を改善させる制御情報を特定したりする。情報処理部130は、上記の情報を農業機械10と利用者端末装置300との一方または双方に提供する。
【0043】
[評価の推定]
情報処理部130は、評価情報154を参照して、振動情報(例えばピーク値)から農業機械10の作業の評価を推定する。
図3は、評価情報154の内容の一例を示す図である。評価情報154は、例えば、解析後の振動情報と、作業の評価とが対応付けられた情報である。解析後の振動情報は、例えば、振動の周波数ごとの強度分布であるスペクトルである。振動情報は、例えば、振動の特徴を示す情報が含まれる。振動の特徴を示す情報は、例えば、所定の周波数(または周波数領域)のピーク値(ピーク値の範囲)である。
図3に示すように、評価情報154には、ピーク値の範囲ごとに、評価が対応付けられている。情報処理部130は、例えば、ピーク値が範囲Aに含まれる場合、評価Aであると推定する。なお、評価情報154において、ピーク値に代えて他の振動の特徴を示す情報が対応付けられていていてもよい。
【0044】
上記のように、情報処理部130は、振動情報から作業の評価を推定することができる。
【0045】
[制御内容の特定]
情報処理部130は、制御情報156を参照して、推定された評価から農業機械10の制御情報を特定する。制御情報とは、制御内容や制御値などであり農業機械10の作業の評価を向上させるように農業機械10を稼働させるための情報である。制御情報は、農業機械の移動速度を変更させる情報や、アタッチメントの作業速度を変更させる情報、アタッチメントの稼働状態を変更させる情報などである。制御情報は、例えば、制御に関するパラメータであって、スピードやパワーテイクオフの状態などを制御するための制御値や、制御値の組み合わせである。制御内容は、作業の種別や農業機械の種別、アタッチメントの種別に応じた制御内容である。
【0046】
図4は、制御情報156の内容の一例を示す図である。制御情報156は、例えば、推定された評価と、制御内容とが対応付けられた情報である。
図4に示すように、評価Aである場合、制御内容は現状維持であり、評価Bである場合、制御内容は農業機械10を第1制御させることが制御情報156において規定されている。第1制御は、例えば、評価Aに近づくように農業機械10を稼働させる制御内容である。なお、評価情報154において、評価に代えてピーク値などの振動の特徴を示す情報が対応付けられていていてもよい。
【0047】
上記のように、情報処理部130は、評価が向上するように、農業機械10の制御内容を特定して、特定した制御内容を農業機械10または利用者端末装置300に提供する。
【0048】
上記の評価情報154と制御情報156とが統合された対応情報が利用されてもよい。例えば、振動情報(ピーク値などの振動の特徴を示す情報)と、作業の評価を改善させる制御内容とが対応付けられた対応情報が利用されてもよい。この場合、情報処理部130は、対応情報に基づいて、振動情報から作業の評価を改善させる制御内容を特定する。
【0049】
[フローチャート]
図5は、情報処理装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。振動検出装置50は、所定の間隔で、リアルタイムで所定の期間における振動情報を取得し、取得した振動情報を情報処理装置100に送信する(S100)。情報処理装置100は、振動検出装置50が送信した振動情報を取得する(S200)。次に、情報処理装置100は、評価情報154を参照して、振動情報から評価を取得する(S202)。次に、情報処理部130は、制御情報156を参照して、評価から制御情報を取得する(S204)。次に、情報処理部130は、制御情報を利用者端末装置300または農業機械10に提供する(S206)。これらの処理が繰り返し実行される。
【0050】
上記のように、制御情報が農業機械10に提供されると、農業機械10は、制御情報に応じて自機を自動で制御する。これにより、農業機械10は、作業の評価が向上するように自動で稼働する。
【0051】
上記のように、制御情報が利用者端末装置300に提供されると、制御情報が利用者端末装置300の表示部に表示される。
図6は、表示部に表示される制御情報の一例を示すインターフェース画面である。インターフェース画面には、例えば、評価を示す情報や、評価を向上させるための農業機械10の制御に関する情報が含まれる。利用者は、これらの情報を参照して、リアルタイムの農業機械10の作業の評価や、どのように農業機械10を稼働させれば評価が向上するかを容易に認識することができる。
【0052】
[情報生成装置]
情報生成装置200は、農作業を行っている農業用の機械の振動を示す振動情報と、振動情報が得られたときの機械の作業の結果に対する評価を示す情報と、前記振動情報が得られたときに前記機械の稼働状況を変化させたときの制御情報と前記機械の作業の結果に対する評価を示す情報と、を取得する。情報生成装置200は、所望の評価が得られない前記振動情報が得られたときに前記所望の評価に近づいた前記機械に与えた制御情報を特定し、特定した制御情報と、前記所望の評価が得られない前記振動情報とを対応付けた対応情報(例えば、評価情報254および制御情報256、或いは評価情報254と制御情報256とを統合した情報)を生成することで、前記所望の評価が得られない振動情報から前記評価を改善させる制御情報を特定するための前記対応情報を生成する。
【0053】
図7は、情報生成装置200の機能構成の一例を示す図である。情報生成装置200は、例えば、通信インターフェースである通信部210と、生成部220と、情報提供部230と、記憶部250とを備える。生成部220および情報提供部230は、例えば、CPUなどのハードウェアプロセッサがプログラム(ソフトウェア)を実行することにより実現される。これらの機能部の一部または全部は、LSIやASIC、FPGA、GPUなどのハードウェア(回路部;circuitryを含む)によって実現されてもよいし、ソフトウェアとハードウェアの協働によって実現されてもよい。プログラムは、予め情報生成装置200の記憶装置(非一過性の記憶媒体を備える記憶装置)に格納されていてもよいし、DVDやCD-ROMなどの着脱可能な記憶媒体に格納されており、記憶媒体(非一過性の記憶媒体)がドライブ装置に装着されることで情報処理装置100にインストールされてもよい。
【0054】
記憶部250は、上記の各種記憶装置、或いはEEPROM、ROM、RAM等により実現されてよい。記憶部250には、実績情報252と、評価情報254と、制御情報256とが記憶されている(詳細は後述)。
【0055】
生成部220は、実績情報252を利用して、評価情報254および制御情報256を生成する。実績情報252は、農業機械10を実際に稼働させた際に得られた情報であって、そのときの振動情報と農業機械10の作業を評価するための指標とが対応付けられた情報である。指標は、例えば、利用者が測定や評価した指標である。
【0056】
情報提供部230は、生成部220が生成した評価情報254および制御情報256を情報処理装置100に提供する。
【0057】
[評価情報の生成について]
図8は、評価情報254の生成について説明するための図である。
図8に示すように、実績情報252にはピーク値と粗大間隙率(指標)との対応関係が含まれ、指標とピーク値との関係を、
図8に示すように縦軸を指標とし、横軸をピーク値としたグラフにプロットすると、ピーク値が大きくなるほど、指標が小さくなる傾向が表れる。
【0058】
生成部220は、上記の傾向から、ピーク値と指標との組み合わせに対して評価をラベリングする。例えば、生成部220は、設定された閾値に基づいて評価をラベリングしてもよいし、所定のアルゴリズムを利用して評価をラベリングしてもよい。上記の閾値は、例えば、評価者が粗大間隙率を基準にして設定した閾値であって情報生成装置200に提供した閾値である。
【0059】
上記のように、生成部220は、振動情報(例えばピーク値)に基づいて評価情報254を生成することができる。
【0060】
上記では、一例として実績情報252は、農業機械10が鎮圧ローラを用いて乾田直播圃場漏水防止作業に係るものとして説明したが、他の作業を行う場合は、他の作業に応じた振動情報や、振動情報に対応する指標が利用されればよい。例えば、他の作業に対応する評価とは、作業によって評価が変化する指標であればよく、発芽率や収穫ロスなど作業に応じた種々の指標であってもよい。
【0061】
[制御情報の生成について]
図9は、制御情報256の生成について説明するための図である。
図8との相違点を中心に説明する。
図9に示すように、評価Dであるプロット点X1の状態で農業機械10が稼働している場合、プロットX1を評価A(プロットX2)または評価Aに近づけるように(「所望の評価」に近づけるように)農業機械10を稼働させる条件を検討する。例えば、実績情報252には評価Dの場合に、シミュレーションや実際に農業機械10の稼働状態を変化させたときに変化するピーク値および指標の情報が含まれている。例えば、実績情報252には、評価Dである場合に、農業機械10の速度を○○[km/h]減速させると、評価Aにピーク値および指標との組み合わせが変化する情報が含まれている。
【0062】
生成部220は、上記の傾向から、評価がよりよい評価(所望の評価)になるような制御情報を生成する。生成部220は、例えば実績情報252に対して数理最適化処理を行って評価を改善させる制御情報(例えば制御値)を導出する。例えば、生成部220は、
図9に示すように、実績情報252を参照して、評価Dを評価Aにするための制御情報256を生成する。
【0063】
上記のように、生成部220は、評価を向上させる制御情報を生成することができる。これらの評価情報254および制御情報256は、情報処理装置100に提供され、評価情報154および制御情報156として記憶部150に記憶される。
【0064】
なお、情報生成装置200は、評価情報154と制御情報156とが統合された情報であって、振動情報(ピーク値などの振動の特徴を示す情報)と、作業の評価を改善させる制御内容とが対応付けられた対応情報を生成し、この対応情報を情報処理装置100に提供してもよい。
【0065】
以上説明した第1実施形態によれば、情報処理装置100は、振動情報を利用して作業の評価を改善させる制御情報を特定することで、農業機械または農業機械の利用者を支援することができる。
【0066】
<第2実施形態>
以下、第2実施形態について説明する。第2実施形態では、振動情報に加え、種々の情報(例えば環境を示す情報および作業の種別を示す情報)が考慮されて支援が行われる。以下、第2実施形態との相違点を中心に説明する。
【0067】
[評価の推定]
情報処理部130は、評価情報154A(「第1情報」の一例)を参照して、振動情報(例えばピーク値)から、環境および作業に応じた農業機械10の総合評価を推定する。
・環境とは、例えば、土壌水分や、作物水分、これらの情報から特定される環境である。
・作業とは、例えば、モアや、耕起、播種、収穫など種々の作業である。
【0068】
総合評価は、作業評価(作業自体の評価)および負荷評価が統合された評価である。
・作業評価は、第1実施形態で説明した農業用の機械の稼働が適切であるか否かを示す評価である。
・負荷評価は、農業用の機械に対する負荷である。例えば、負荷が小さいほど負荷評価が高く、負荷が大きいほど負荷評価は低い。負荷は、作業速度や、機体応力、駆動軸トルク、燃料消費率などの負荷指標に基づく負荷である。例えば、負荷指標と、負荷指標ごとに設定された閾値とに基づいて、負荷評価がされる。例えば、負荷指標のそれぞれに対する評価が統合されて負荷評価が導出される。例えば、作業速度が速いほど、機体応力が大きいほど、駆動軸トルクが大きいほど、または燃料消費率が低いほど(燃費がわるいほど)、負荷評価は低い傾向となる。例えば、負荷指標が閾値未満の場合、作業評価が高くても、農業機械10への負荷の影響が大きいため総合評価は低くなる(例えば評価Dとなる)。
【0069】
図10は、評価情報154Aの内容の一例を示す図である。評価情報154Aは、例えば、解析後の振動情報におけるピーク値(ピーク値の範囲)と、総合評価とが対応付けられた情報である。この情報は、環境と作業の種別との組み合わせごとに用意されている。例えば、土壌水分がパターンAであり、且つ作業が播種である条件に対応する情報などのように、網羅的な環境と作業との組み合わせごとにピーク値と評価との対応関係が規定されている。なお、環境と作業とに加え、農業機械10の種別またはアタッチメントの種別(例えば型番や商品名など)が加味されてもよい。この場合、環境と、作業と、使用する(使用している)農業機械10の種別との組み合わせごとに、ピーク値と評価との対応関係が規定される。
【0070】
情報処理部130は、上記の評価情報154Aを参照して、農業機械10の作業および農業機械10が作業する環境で得られたピーク値に対応する総合評価を取得することができる。情報処理部130は、例えば、所定の環境および作業で得られたピーク値が範囲Aに含まれる場合、総合評価Aであると推定する。
【0071】
[制御内容の特定]
情報処理部130は、制御情報156A(「第2情報」の一例)を参照して、総合評価から、環境および作業に応じた農業機械10の制御内容を特定する。制御内容は、総合評価に対応する環境および作業において農業機械10の作業の評価を向上させるように農業機械10を稼働させるための制御内容(スピードやパワーテイクオフの状態など)である。
【0072】
図11は、制御情報156Aの内容の一例を示す図である。制御情報156Aは、例えば、推定された総合評価と、制御内容とが対応付けられた情報である。
図11に示すように、環境1および作業1において総合評価Aである場合、農業機械10の制御は現状維持であり、環境1および作業1において評価Bである場合、農業機械10を第1制御させることが制御情報156Aにおいて規定されている。第1制御は、例えば、環境1および作業1において総合評価Aに近づくように農業機械10を稼働させる制御内容である。
【0073】
情報処理部130は、上記の制御情報156Aを参照して、農業機械10の作業および農業機械10が作業する環境で得られた総合評価を向上させる制御情報を取得することができる。情報処理部130は、例えば、所定の環境および作業で得られた総合評価Bである場合、総合評価Aに向上させる制御情報を特定する。
【0074】
上記の例では、環境と作業の種別との組み合わせごとに振動情報に対応する評価または評価に対応する制御内容が規定された評価情報154Aおよび制御情報156Aが利用されるものとして説明したが、これに代えて、環境と作業の種別とのうち一方が省略された評価情報154Aおよび制御情報156Aが利用されてもよい。例えば、「前記農作業に関する環境と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報(評価情報)」および「推定した前記環境における作業の評価と、前記環境と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報(作業情報)」が利用されてもよい。また、例えば「前記農作業の種別と前記振動情報と前記機械の作業の評価とが対応付けられた第1情報(評価情報)」および「前記農作業の種別と前記作業の評価と前記作業の評価を改善させる前記機械の制御情報とが対応付けられた第2情報(制御情報)」が利用されてもよい。上記のように、環境または作業の種別の一方を考慮しなくても、評価を推定したり、制御情報を特定したりすることができる。
【0075】
[フローチャート]
図12は、情報処理装置100により実行される処理の流れの一例を示すフローチャートである。情報処理装置100は、農業機械10が稼働している(稼働する予定)の環境および作業を取得する(S200#)。環境および作業は、例えば、利用者端末装置300から取得した情報である。利用者端末装置300は、利用者の操作に基づいて、環境および作業を取得する。例えば、利用者端末装置300には、情報処理装置100と連携するアプロケーションプログラムがインストールされている。利用者は、このアプロケーションプログラムを操作することで、環境および作業を入力することができる。
【0076】
図13は、環境および作業を入力するインターフェース画面の一例を示す図である。
図13に示すように、利用者は、土壌水分や作業水分、作業のなどを選択することができる。入力された情報は、情報処理装置100に提供される。情報処理装置100は、提供された情報に基づいて、環境および作業を特定する。例えば、情報処理装置100は、予め定められた基準と、土壌水分と、作物水分とに基づいて、環境を特定する。
【0077】
図12の説明に戻る。振動検出装置50は、所定の間隔で、リアルタイムで所定の期間における振動情報を取得し、取得した振動情報を情報処理装置100に送信する(S100)。情報処理装置100は、振動検出装置50が送信した振動情報を取得する(S200)。次に、情報処理装置100は、評価情報154Aを参照して、振動情報から総合評価を取得する(S202)。次に、情報処理部130は、制御情報156Aを参照して、総合評価から制御情報を取得する(S204)。次に、情報処理部130は、制御情報を利用者端末装置300または農業機械10に提供する(S206)。
【0078】
次に、情報処理部130は、環境または作業の変更が発生したか否かを判定する(S208)。環境または作業の変更が発生していない場合、S200の処理に戻る。環境または作業の変更が発生した場合、S200#に進んで変更された環境の情報、または変更された作業の情報を取得して、S200の処理に進む。
【0079】
上記のように、制御情報が農業機械10に提供されると、農業機械10は、環境または作業に対応する制御情報に応じて自機を自動で制御する。これにより、農業機械10は、総合評価が向上するように自動で稼働する。
【0080】
[評価情報の生成について]
図14は、評価情報254Aの生成に利用される実績情報252Aついて説明するための図である。
図14に示すように、第2実施形態の実績情報252Aは、振動情報に対応する振動パターンと、環境を示す情報と、作業を示す情報と、総合評価(作業評価、負荷評価)とが対応付けられた情報を含む。
【0081】
生成部220は、上記の実績情報252Aを用いて評価情報254Aを生成する。
図15は、評価情報254Aの生成について説明するための図である。
図15に示すように、実績情報252Aの環境と作業との組み合わせごとに、ピーク値と粗大間隙率(指標)との対応関係をグラフにプロットする。環境と作業との組み合わせごとに、プロットの傾向が異なる。
図15に示すように、環境1と作業1との組み合わせと、環境2と作業1との組み合わせとでは、プロットの傾向が異なる。生成部220は、環境と作業との組み合わせごとの、ピーク値と指標との組み合わせに対して評価をラベリングする。例えば、
図15に示すように、粗大間隙率と閾値とに基づいて、ピーク値から評価が特定可能なようにラベリングがされる。
【0082】
上記のように、生成部220は、環境と作業との組み合わせごとに、振動情報(例えばピーク値)に基づいて評価を特定可能な評価情報を生成することができる。
【0083】
[制御情報の生成について]
図16は、制御情報256Aの生成について説明するための図である。
図15との相違点を中心に説明する。
図16に示すように、環境と作業との組み合わせごとに、評価を向上させるように農業機械10を稼働させる条件を検討する。例えば、実績情報252Aには種々の環境と作業との組み合わせにおける所定の評価の場合に、シミュレーションや実際に農業機械10の稼働状態を変化させたときに変化するピーク値および指標の情報が含まれている。
【0084】
例えば、実績情報252Aには、環境1と作業1との組み合わせにおいて、評価Dである場合に、農業機械10の速度を○○[km/h]減速させると、評価Aにピーク値および指標との組み合わせが変化する情報が含まれている。例えば、実績情報252Aには、環境2と作業1との組み合わせにおいて、評価Dである場合に、農業機械10の速度を△△[km/h]減速させると、評価Aにピーク値および指標との組み合わせが変化する情報が含まれている。
【0085】
生成部220は、上記の傾向から、評価がよりよい評価になるような制御情報を生成する。例えば、生成部220は、
図16に示すように、実績情報252Aを参照して、種々の環境と作業との組み合わせにおいて評価Dを評価Aにするための制御情報を生成する。
【0086】
上記のように、生成部220は、環境と作業との組み合わせに応じた評価を向上させる制御情報を生成することができる。
【0087】
以上説明した第2実施形態によれば、環境および作業の種別を考慮した評価を行い、更に制御情報を特定することができるため、農業機械または農業機械の利用者に対して手厚い支援を行うことができる。
【0088】
<第3実施形態>
以下、第3実施形態について説明する。第3実施形態では、機械学習により生成された学習済モデルを利用する。以下、第3実施形態について説明する。学習済モデルとは、ニューラルネットワークや、ディープラーニングなど機械学習により生成されたモデルである。
【0089】
[総合評価を導出する第1学習済モデル]
情報処理部130は、第1学習済モデルを用いて総合評価を導出してもよい。
図17は、第1学習済モデルについて説明するための図である。第1学習済モデルは、振動情報、環境を示す情報および作業の種別を示す情報が入力されると、総合評価を出力するモデルである。情報処理部130は、例えば、農業機械10が稼働している環境、農業機械10が行っている作業の種別、および振動情報を第1学習済モデルに入力し、第1学習済モデルが出力した総合評価を示す情報を取得する。これにより、情報処理部130は、総合評価を取得することができる。振動情報は、振動の特徴を示す情報であればよく、例えば、時系列の振動の情報を周波数ごと(または周波数帯)の振動の強度に変換した情報や、変換後の情報におけるピーク値、振動の分布を予め設定された基準に基づいて分類した結果(分類パターン)などである。
【0090】
第1学習済モデルは、生成部220が生成したモデルである。生成部220は、第1学習データを学習モデルに機械学習させて第1学習済モデルを生成する。第1学習データは、振動情報と、環境を示す情報と、作業の種別を示す情報と、総合評価とが対応付けられた情報である。生成部220は、振動情報と、環境を示す情報と、作業の種別を示す情報とを入力すると、これらに対応する総合評価を出力するように、学習モデルに学習させて第1学習済モデルを生成する。
【0091】
なお、生成部220は、少なくとも振動情報を入力すると、振動情報に対応する総合評価を出力するように、学習モデルに学習させて第1学習済モデルを生成してもよい。
【0092】
また、学習または運用において、上記の情報に加え、農業機械10の稼働状況(速度やパワーテイクオフの状態を示す情報などの制御状態や制御値)が利用されてもよい。この場合、生成部220は、上記の情報および稼働状況を入力すると、これらに対応する総合評価を出力するように、学習モデルに学習させて第1学習済モデルを生成する。
【0093】
[制御情報を導出する第2学習済モデル]
情報処理部130は、第2学習済モデルを用いて制御情報を導出してもよい。
図18は、第2学習済モデルについて説明するための図である。第2学習済モデルは、総合評価、環境を示す情報および作業の種別を示す情報が入力されると、制御情報を出力するモデルである。情報処理部130は、例えば、農業機械10が稼働している環境、農業機械10が行っている作業の種別、および総合評価を第2学習済モデルに入力し、第2学習済モデルが出力した制御情報を示す情報を取得する。これにより、情報処理部130は、制御情報を取得することができる。
【0094】
第2学習済モデルは、生成部220が生成したモデルである。生成部220は、第2学習データを学習モデルに機械学習させて第2学習済モデルを生成する。第2学習データは、環境を示す情報と、作業の種別を示す情報と、総合評価と、制御情報とが対応付けられた情報である。生成部220は、総合評価と、環境を示す情報と、作業の種別を示す情報とを入力すると、これらに対応する制御情報を出力するように、学習モデルに学習させて第2学習済モデルを生成する。
【0095】
なお、学習または運用において、総合評価に代えて(または加えて)振動情報が利用されてもよい。
【0096】
また、学習または運用において、上記の情報に加え、農業機械10の稼働状況(速度やパワーテイクオフの状態を示す情報などの制御状態や制御値)が利用されてもよい。この場合、生成部220は、上記の情報および稼働状況を入力すると、これらに対応する制御情報を出力するように、学習モデルに学習させて第2学習済モデルを生成する。
【0097】
上記の例では、環境を示す情報および作業を示す情報を入力する第1学習済モデルおよび第2学習済モデルを利用するものとしたが、これに代えて(または加えて)、第1学習済モデルまたは第2学習済モデルは、環境と作業との組み合わせごとに用意されていてもよい。この場合、情報処理部130は、環境と作業との組み合わせに対応する第1学習済モデルまたは第2学習済モデルを利用する。
【0098】
また、第1学習済モデルおよび第2学習済モデル学習に代えて、第3学習済モデルが利用されてもよい。第3学習済モデルは、所定の情報が入力されると、作業の評価を改善させる制御情報を出力するモデルである。所定の情報は、振動情報を含んでいればよい。所定の情報は、振動情報に加え、環境を示す情報と、作業を示す情報と、稼働状況を示す情報とのうち一部または全部を含んでいてもよい(特定情報を含んでいてもよい)。生成部220は、所定の情報を入力すると、所定の情報に対応付けられた制御情報を出力するように、学習モデルに学習させて第3学習済モデルを生成する。
【0099】
また、上記の第1学習済モデルと第2学習済モデルとの一方のモデルが、第1実施形態または第2実施形態に適用されて実施されてもよい。
【0100】
以上説明した第3実施形態によれば、情報処理装置100は、学習済モデルを利用することで、第1実施形態または第2実施形態が奏する効果と同様の効果を奏することができる。
【0101】
<その他1>
上記の例では、情報処理装置100の情報処理部130が評価および制御情報を取得するものとして説明したが、情報処理部130の機能は、情報処理装置100とは異なる装置に搭載されてもよい。例えば、農業機械10または利用者端末装置300に搭載されてもよい。例えば、利用者端末装置300のコンピュータが、農業支援システムのアプリケーションプログラムを実行することで情報処理部130と同等の機能を実現してもよい。この場合、評価情報154および制御情報156は、利用者端末装置300の記憶部に記憶されていてもよいし、他の装置に記憶され、アプロケーションプログラムは、他の装置と連携して評価情報154および制御情報156から得られた評価および制御情報を取得してもよい。
【0102】
<その他2>
上記の例において、情報処理装置100は、農業機械10に設けられた複数の振動検出装置50のそれぞれから振動情報を取得してもよい。この場合、情報処理装置100は、複数の振動の特徴を一つの振動に統合して、上述したように各処理を実行してもよいし、振動情報のそれぞれに対して各処理を実行してもよい。振動情報のそれぞれに対して各処理が実行される場合、情報処理装置100は、各処理の結果を利用して評価および制御情報を導出する。例えば、各処理から得られた評価および制御情報を統計処理して評価および制御情報が導出されてもよい。
【0103】
<まとめ>
上述した各情報形態の農業支援システム1は、農業機械10を使用した農作業中に農業機械10の負荷が閾値を超えずに農作業の精度が向上させるための制御情報を農業機械10または利用者端末装置300に提供することにより、農業機械10の負荷を抑制しつつ、効率的に作業を実施することを支援することができる。
【0104】
ここで、農業現場の高齢化と労働力不足が顕著となっており、農業機械10を有効に活用することが期待されている。しかし、種々の環境や状況において農業機械10を適切に稼働させることは経験が必要であり困難なことがある。例えば、人間が農業機械10に与えるエンジン回転数や作業速度などの設定値が不適切な場合、エンストや作業精度の低下が発生し、効率的な作業が行えないことがある。
【0105】
そこで、本実施形態では、農業支援システム1が、振動情報を利用して適切に農業機械10が稼働するように支援することにより適正な機械作業を実現させることができる。例えば、農業機械10は、適切な制御を自動で実施して効率的に作業を行うため、「無理かつ粗雑な作業」を回避し、安全・安心かつ高精度な農業体系の実現に貢献できる。
【0106】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0107】
1‥農業支援システム、10‥農業機械、50‥振動検出装置、100‥情報処理装置、120‥取得部、130‥情報処理部、150‥記憶部、152‥振動情報、154‥評価情報、156‥制御情報、200‥情報生成装置、300‥利用者端末装置