(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152024
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法
(51)【国際特許分類】
G03G 9/09 20060101AFI20241018BHJP
G03G 9/087 20060101ALI20241018BHJP
G03G 9/097 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G03G9/09
G03G9/087 331
G03G9/097 365
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023065921
(22)【出願日】2023-04-13
(71)【出願人】
【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】高橋 賢
(72)【発明者】
【氏名】中村 幸晃
【テーマコード(参考)】
2H500
【Fターム(参考)】
2H500AA01
2H500AA03
2H500AA06
2H500CA06
2H500CA29
2H500CA31
2H500EA42C
(57)【要約】
【課題】細線再現性の低下が抑制される静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供する。
【解決手段】結着樹脂と、ローダミン色素と、ヒンダードアミン化合物とを含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
結着樹脂と、ローダミン色素と、ヒンダードアミン化合物とを含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナー。
【請求項2】
前記結着樹脂が、ポリエステル樹脂を含む、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項3】
前記ローダミン色素に対する、前記ヒンダードアミン化合物の含有量が0.1質量%以上200質量%以下である、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項4】
前記トナー粒子に対する、前記ローダミン色素と前記ヒンダードアミン化合物との合計含有量が0.1質量%以上5質量%以下である、請求項3に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項5】
前記ローダミン色素が、下記一般式(R1)で表される化合物を含む、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】
一般式(R1)中、R
r1~R
r7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を表し、X
-は対アニオンを表す。
【請求項6】
前記ヒンダードアミン化合物が、下記一般式(H1)で表される構造を含む、請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
【化2】
一般式(H1)中、R
H1は、水素原子、酸素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、R
H2~R
H6及びR
H8~R
H11は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。ただし、R
H2及びR
H3と、R
H4及びR
H5と、R
H8及びR
H9と、R
H10及びR
H11との少なくとも2つの組合わせは、アルキル基を示す。*は結合位置を示す。
【請求項7】
前記ヒンダードアミン化合物が、前記一般式(H1)で表される構造を2つ以上含む、請求項6に記載の静電荷像現像用トナー。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
【請求項9】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
【請求項10】
請求項8に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
【請求項11】
像保持体と、
前記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
請求項8に記載の静電荷像現像剤を収容し、前記静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
【請求項12】
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した前記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
請求項8に記載の静電荷像現像剤により、前記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
前記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
前記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、トナーカートリッジ、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成では、像保持体上に形成された静電荷像を、静電荷像現像用トナー(以下、「トナー」とも称する)を含む静電荷像現像剤により現像し、得られたトナー画像を記録媒体に転写した後、定着して定着画像を形成する。
【0003】
近年、電子写真方式の画像形成では、商業印刷、出版、紙器パッケージ等の分野向けの印刷機が開発されており、それに伴い、色の再現性を高めるため、種々の色を呈するトナーも開発されている。その一つとして、着色剤としてローダミン色素を利用したトナーが知られている。ローダミン色素を利用したトナーは、例えば、橙色系から赤色系、又は橙色系から紫色系までの高彩度の蛍光色の再現性に優れるので有用である。
【0004】
例えば、特許文献1には、「水に不溶ないしは難溶性でかつ有機溶剤に可溶である蛍光染料を含有する、平均粒子径が1μm以下であり、20~1000eq. /ton の範囲にてイオン性基を含有するポリエステル樹脂の微粒子が水系媒体中に微分散してなる水性蛍光インクを利用した蛍光トナー。」が開示されている。
特許文献1には、蛍光トナーに適用できる色素として、カルコシド・ロ-ダミン・B・コンク、ロ-ダミン・B・ステアレ-ト・コンク、ロ-ダミン・B・エチルエステル等のローダミン色素が例示されている。
【0005】
また、例えば、特許文献2には、「酸性基を有する樹脂を含む結着樹脂、着色剤、塩基性分散剤、及び絶縁性液体を含有する液体現像剤の製造方法であって、工程I:前記結着樹脂と前記着色剤と前記塩基性分散剤を含む原料を前記結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で撹拌する工程、及び工程II:工程Iの撹拌物に、該撹拌物100質量部に対して前記絶縁性液体50~500質量部を前記結着樹脂のガラス転移温度以上の温度で滴下することにより転相乳化して、トナー粒子の分散液を得る工程を含む、液体現像剤の製造方法」が開示されている。
特許文献2には、トナー用着色剤として、ローダミン-Bベース等のローダミン色素が例示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平07-150098号公報
【特許文献2】特開2018-106145号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、ローダミン色素を利用したトナーにより画像を形成すると、特定の条件下では、細線再現性が低下することがある。
そこで、本開示の課題は、細線再現性の低下が抑制される静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための手段は、下記態様が含まれる。
<1>
結着樹脂と、ローダミン色素と、ヒンダードアミン化合物とを含むトナー粒子を有する静電荷像現像用トナー。
<2>
上記結着樹脂が、ポリエステル樹脂を含む、<1>に記載の静電荷像現像用トナー。
<3>
上記ローダミン色素に対する、上記ヒンダードアミン化合物の含有量が0.1質量%以上200質量%以下である、<1>又は<2>に記載の静電荷像現像用トナー。
<4>
上記トナー粒子に対する、上記ローダミン色素と上記ヒンダードアミン化合物との合計含有量が0.1質量%以上5質量%以下である、<1>~<3>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
<5>
上記ローダミン色素が、下記一般式(R1)で表される化合物を含む、<1>~<4>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【化1】
(一般式(R1)中、R
r1~R
r7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を表し、X
-は対アニオンを表す。)
<6>
上記ヒンダードアミン化合物が、下記一般式(H1)で表される構造を含む、<1>~<5>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナー。
【化2】
(一般式(H1)中、R
H1は、水素原子、酸素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、R
H2~R
H6及びR
H8~R
H11は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。ただし、R
H2及びR
H3と、R
H4及びR
H5と、R
H8及びR
H9と、R
H10及びR
H11との少なくとも2つの組合わせは、アルキル基を示す。*は結合位置を示す。)
<7>
上記ヒンダードアミン化合物が、上記一般式(H1)で表される構造を2つ以上含む、<6>に記載の静電荷像現像用トナー。
<8>
<1>~<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを含む静電荷像現像剤。
<9>
<1>~<7>のいずれか1つに記載の静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジ。
<10>
<8>に記載の静電荷像現像剤を収容し、上記静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、
画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジ。
<11>
像保持体と、
上記像保持体の表面を帯電する帯電手段と、
帯電した上記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、
<8>に記載の静電荷像現像剤を収容し、上記静電荷像現像剤により、上記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、
上記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、
上記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、
を備える画像形成装置。
<12>
像保持体の表面を帯電する帯電工程と、
帯電した上記像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、
<8>に記載の静電荷像現像剤により、上記像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、
上記像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、
上記記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、
を有する画像形成方法。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、細線再現性の低下が抑制される静電荷像現像用トナー、静電荷像現像剤、プロセスカートリッジ、画像形成装置、及び画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本実施形態に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【
図2】本実施形態に係る画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジの一例を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本開示の一例である実施形態について説明する。これらの説明及び実施例は実施形態を例示するものであり、実施形態の範囲を制限するものではない。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲は、「~」の前後に記載される数値をそれぞれ最小値及び最大値として含む範囲を示す。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。
本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において「工程」との語は、独立した工程だけでなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、本用語に含まれる。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
本開示において各成分は該当する物質を複数種含んでいてもよい。本開示において組成物中の各成分の量について言及する場合、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合には、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計量を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含んでいてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において、「(メタ)アクリル」はアクリル及びメタクリルのいずれをも含む表現であり、「(メタ)アクリレート」はアクリレート及びメタクリレートのいずれをも含む表現である。
本開示において、「静電荷像現像用トナー」を「トナー」ともいい、「静電荷像現像剤」を「現像剤」ともいい、「静電荷像現像用キャリア」を「キャリア」ともいう。
【0012】
<静電荷像現像用トナー>
本実施形態に係るトナーは、結着樹脂と、ローダミン色素と、ヒンダードアミン化合物とを含むトナー粒子を有する。
【0013】
本実施形態に係るトナーは、上記構成により、細線再現性の低下が抑制される。
【0014】
従来、上記特許文献1~2のよう、ローダミン色素を利用したトナーにより画像を形成すると、細線再現性が低下することがある。ローダミン色素は、一部でローダミン骨格の会合が形成され、分子間の電子の移動が発生し易い状態となる。この状態で、転写等によりトナーに電圧が印加されると、トナー内部で、ローダミン色素の分子間の電子の移動が生じるため、トナーの帯電性が不均一となる。それにより、トナー画像の転写不良、トナーの飛び散り等が生じるため、細線再現性が低下する。
特に、複数色のトナーを重ねたトナー画像、高濃度のトナー画像等を転写するときには、転写時に高い電圧がトナーに印加されるため、上記現象が生じ、細線再現性が低下し易くなる。
【0015】
それに対して、ローダミン色素と共に、ヒンダードアミン化合物を併用すると、ローダミン色素におけるローダミン骨格の会合の形成が抑制される。ヒンダードアミン化合物は、ローダミン色素に対して、静電的に作用するためと推定される。それにより、転写等によりトナーに電圧が印加されても、トナーの帯電性が低下し難く、トナー画像の転写不良、トナーの飛び散り等が生じ難くなる。
【0016】
以上から、本実施形態に係るトナーは、細線再現性の低下が抑制される。
【0017】
以下、本実施形態に係るトナーの詳細について説明する。
【0018】
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を有する。トナーは、必要に応じて外添剤を有してもよい。
【0019】
(トナー粒子)
トナー粒子は、結着樹脂と、ローダミン色素と、ヒンダードアミン化合物とを含む。トナー粒子は、ローダミン色素以外の着色剤、離型剤、その他添加剤を含んでもよい。
【0020】
-ローダミン色素-
ローダミン色素は、アミノフェノール類と無水フタル酸を縮合して得られるローダミン骨格を有する化合物である。具体的には、ローダミン色素は、下記式(R0)で示されるローダミン骨格を有する化合物である。なお、式(R0)中、X-は対アニオンを示す。
【0021】
【0022】
ローダミン色素としては、例えば、ローダミンB、ローダミン6G、ローダミン6G6GP、ローダミン3GO、ローダミン110、ローダミン123、ローダミン560、6ローダミン40、ローダミン800、スルホローダミンB、オクタデシルローダミン101エステル、ローダミン19過塩素酸塩などが挙げられる。
【0023】
これらの中でも、強い吸収と蛍光を示すという光学特性の観点から、ローダミン色素は、下記一般式(R1)で表される化合物を含むことが好ましい。
【0024】
【0025】
一般式(R1)中、Rr1~Rr7は、各々独立に、水素原子、アルキル基、又は芳香族基を表し、X-は対アニオンを表す。
【0026】
Rr1~Rr7が表すアルキル基としては、好ましくは炭素数1~48、より好ましくは炭素数1~24の、直鎖、分岐鎖、又は環状のアルキル基が挙げられる。具体的には、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2-エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1-ノルボルニル基、1-アダマンチル基等が挙げられる。
芳香族基としては、好ましくは炭素数6~48、より好ましくは炭素数6~24のアリール基が挙げられる。具体的には、芳香族基としては、例えば、フェニル基、及びナフチル基)が挙げられる。
【0027】
Rr1~Rr7が表す上記基が更に置換可能な基である場合、上述した各基のいずれかによって更に置換されていてもよい。なお、2個以上の置換基を有している場合、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0028】
X-が表す対アニオンとしては、例えば、クロロイオン、ブロモイオン、ヨードイオン、過塩素酸イオン、PF6イオン、BF4イオン、及びアセテートイオンが挙げられる。対アニオンとして好ましくは、クロロイオンである。
【0029】
以下に、ローダミン色素の具体例を示す。
なお、具体例中、Etはエチル基を表す。-c-C6H11はシクロヘキシル基を表す。Phはフェニル基を表す。
【0030】
【0031】
なお、ローダミン色素は、1種単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0032】
―ヒンダードアミン化合物―
ヒンダードアミン化合物は、ヒンダードアミン構造を有する化合物である。
ヒンダードアミン化合物の例は、シーエムシー発行の、大勝靖一監修“高分子安定化の総合技術-メカニズムと応用展開-”などに記載がある。
ヒンダードアミン化合物としての市販品としては、サノールLS-770、サノールLS-765、サノールLS-2626(以上、三共社製)、アデカスタブLA-77、LA-57,LA-52、LA-62,LA-63、LA-67,LA-68、LA-72(以上、ADEKA社製)、TINUVIN123、TINUVIN144、TINUVIN622、TINUVIN765、TINUVIN944(以上、BASF社製)などが挙げられる。
【0033】
細線再現性の低下抑制の観点から、ヒンダードアミン化合物は、下記一般式(H1)で表される構造を含むことが好ましく、下記一般式(H1)で表される構造を2つ以上含むことがより好ましく、2つ以上3つ以下含むことがさらに好ましい。
【0034】
【化6】
一般式(H1)中、R
H1は、水素原子、酸素原子、アルキル基、又はアルコキシ基を表し、R
H2~R
H6及びR
H8~R
H11は、各々独立に、水素原子、又はアルキル基を表す。ただし、R
H2及びR
H3と、R
H4及びR
H5と、R
H8及びR
H9と、R
H10及びR
H11との少なくとも2つの組合わせは、アルキル基を示す。*は結合位置を示す。
【0035】
一般式(H1)中、RH1が表すアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1~30のアルキル基が挙げられる。
RH1が表すアルコキシ基としては、置換若しくは無置換の炭素数1~30のアルコキシ基が挙げられる。
【0036】
RH2~RH6及びRH8~RH11が表すアルキル基としては、置換若しくは無置換の炭素数1~30のアルキル基が挙げられる。
【0037】
細線再現性の低下抑制の観点から、ヒンダードアミン化合物としては、下記一般式(H1-A)~(H1-G)で表される化合物が好ましく、下記一般式(H1-A)で表される化合物がより好ましい。
【0038】
【0039】
【0040】
一般式(H1-A)~(H1-G)中、R21は、水素原子、炭素数1~18(好ましくは炭素数1~10、より好ましくは炭素数1~5、さらに好ましくは炭素数1~3、さらに好ましくは炭素数1又は2)のアルキル基、又は-OR8を表し、R8は水素原子又は炭素数1~20(好ましくは炭素数1~12)のアルキル基を表す。
R22は水素原子または炭素数が1~20(好ましくは炭素数1~12、より好ましくは炭素数1~8、さらに好ましくは炭素数1~6)のアルキル基を表す。
L21は、単結合、炭素数1~20(好ましくは炭素数1~10)のアルキレン基、炭素数6~20(好ましくは炭素数6~10)のアリーレン基を表す。
X21およびX22は、各々独立に、酸素原子または-NH-を表す。
nは、1~20(好ましくは1~10)の整数を表す。
【0041】
なお、ヒンダードアミン化合物は、1種単独で使用してもよいし、複数併用してもよい。
【0042】
-ローダミン色素及びヒンダードアミン化合物の含有量-
ローダミン色素に対する、ヒンダードアミン化合物の含有量は、0.08質量%以上210質量%以下が好ましく、0.1質量%以上200質量%以下がより好ましく、50質量%以上150質量%以下がさらに好ましい。
トナーの帯電性の均一性を高め、さらに細線再現性の低下を抑制する観点から、ヒンダードアミン化合物の含有量は0.08質量%以上(特に0.1質量%以上)が好ましい。
一方、ヒンダードアミン化合物自身の分解を抑制し、細線再現性を向上させる観点から、ヒンダードアミン化合物の含有量は、210質量%以下(特に200質量%)が好ましい。
【0043】
トナー粒子に対する、ローダミン色素とヒンダードアミン化合物との合計含有量は、0.08質量%以上6質量%以下が好ましく、0.1質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がさらに好ましい。
ローダミン色素の色味を呈示させつつ、さらに細線再現性の低下を抑制する観点から、ローダミン色素とヒンダードアミン化合物との合計含有量は0.08質量%以上(特に0.1質量%以上)が好ましい。
一方、ローダミン色素及びヒンダードアミン化合物の凝集による、ローダミン色素の色味の低下を抑えつつ、さらに細線再現性の低下を抑制する観点から、ローダミン色素とヒンダードアミン化合物との合計含有量は6質量%以下(特に5質量%以下)が好ましい。
【0044】
なお、ローダミン色素及びヒンダードアミン化合物の含有量は、例えば、LC-MS(液体クロマト質量分析)法を利用した定量により測定できる。
【0045】
-結着樹脂-
結着樹脂としては、例えば、スチレン類(例えばスチレン、パラクロロスチレン、α-メチルスチレン等)、(メタ)アクリル酸エステル類(例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n-プロピル、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n-プロピル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2-エチルヘキシル等)、エチレン性不飽和ニトリル類(例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等)、ビニルエーテル類(例えばビニルメチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等)、ビニルケトン類(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等)、オレフィン類(例えばエチレン、プロピレン、ブタジエン等)等の単量体の単独重合体、又はこれら単量体を2種以上組み合せた共重合体からなるビニル系樹脂が挙げられる。
【0046】
結着樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ロジン等の非ビニル系樹脂、これらとビニル系樹脂との混合物、又は、これらの共存下でビニル系単量体を重合して得られるグラフト重合体等も挙げられる。
これらの結着樹脂は、1種類単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0047】
結着樹脂は、ポリエステル樹脂を含むことが好適である。
ポリエステル樹脂としては、例えば、公知のポリエステル樹脂が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えば、多価カルボン酸と多価アルコールとの縮重合体が挙げられる。ポリエステル樹脂としては、市販品を使用してもよいし、合成したものを使用してもよい。
多価カルボン酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸(例えばシュウ酸、マロン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、コハク酸、アルケニルコハク酸、アジピン酸、セバシン酸等)、脂環式ジカルボン酸(例えばシクロヘキサンジカルボン酸等)、芳香族ジカルボン酸(例えばテレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸等)、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステルが挙げられる。これらの中でも、多価カルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸が好ましい。
多価カルボン酸としては、ジカルボン酸と共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上のカルボン酸を併用してもよい。3価以上のカルボン酸としては、例えば、トリメリット酸、ピロメリット酸、これらの無水物、又はこれらの低級(例えば炭素数1以上5以下)アルキルエステル等が挙げられる。
多価カルボン酸は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0048】
多価アルコールとしては、例えば、脂肪族ジオール(例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール等)、脂環式ジオール(例えばシクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、水添ビスフェノールA等)、芳香族ジオール(例えばビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド付加物等)が挙げられる。これらの中でも、多価アルコールとしては、例えば、芳香族ジオール、及び脂環式ジオールが好ましく、より好ましくは芳香族ジオールである。
多価アルコールとしては、ジオールと共に、架橋構造又は分岐構造をとる3価以上の多価アルコールを併用してもよい。3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン、及びペンタエリスリトールが挙げられる。
多価アルコールは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0049】
ポリエステル樹脂のガラス転移温度(Tg)は、50℃以上80℃以下が好ましく、50℃以上65℃以下がより好ましい。
ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線より求め、より具体的にはJIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」のガラス転移温度の求め方に記載の「補外ガラス転移開始温度」により求められる。
【0050】
ポリエステル樹脂の重量平均分子量(Mw)は、5000以上1000000以下が好ましく、7000以上500000以下がより好ましい。
ポリエステル樹脂の数平均分子量(Mn)は、2000以上100000以下が好ましい。
ポリエステル樹脂の分子量分布Mw/Mnは、1.5以上100以下が好ましく、2以上60以下がより好ましい。
【0051】
重量平均分子量及び数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)により測定する。GPCによる分子量測定は、測定装置として東ソー製GPC・HLC-8120GPCを用い、東ソー製カラム・TSKgel SuperHM-M(15cm)を使用し、THF溶媒で行う。重量平均分子量及び数平均分子量は、この測定結果から単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用して算出する。
【0052】
ポリエステル樹脂は、公知の製造方法により得られる。具体的には、例えば、重合温度を180℃以上230℃以下とし、必要に応じて反応系内を減圧し、縮合の際に発生する水やアルコールを除去しながら反応させる方法により得られる。
原料の単量体が、反応温度下で溶解又は相溶しない場合は、高沸点の溶剤を溶解補助剤として加え溶解させてもよい。この場合、重縮合反応は溶解補助剤を留去しながら行う。相溶性の悪い単量体が存在する場合は、あらかじめ相溶性の悪い単量体とその単量体と重縮合予定の酸又はアルコールとを縮合させておいてから主成分と重縮合させるとよい。
【0053】
結着樹脂の含有量は、トナー粒子に対して、40質量%以上95質量%以下が好ましく、50質量%以上90質量%以下がより好ましく、60質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
【0054】
-ローダミン色素以外の着色剤-
ローダミン色素以外の着色剤としては、着色顔料が挙げられる。
着色顔料は、ローダミン色素以外の着色顔料であればよく、公知の着色顔料を用いることができる。
着色顔料として、具体的には、例えば、C.I.Pigment Red 1、同2、同3、同4、同5、同6、同7、同8、同9、同10、同11、同12、同14、同15、同16、同17、同18、同21、同22、同23、同31、同32、同38、同41、同48、同48:1、同48:2、同48:3、同48:4、同49、同52、同53:1、同54、同57:1、同58、同60:1、同63、同64:1、同68、同81:1、同81:4、同83、同88、同89、同112、同114、同122、同123、同144、同146、同149、同150、同166、同170、同176、同177、同178、同179、同184、同185、同187、同202、同206、同207、同208、同209、同210、同213、同220、同221、同238、同242、同245、同253、同254、同255、同256、同258、同264、同266、同269、同282等、C.I.Pigment Violet 19、同23、同32等、C.I.Pigment Orange13、同16、同38、同43、同62等、C.I.Pigment Yellow3、同12、同17、同74、同101、同139、同150、同155、同180、同185等、種々の顔料等が挙げられる。
着色剤は、1種単独で含んでいても、2種以上を併用して含んでいてもよい。
【0055】
着色剤は、必要に応じて表面処理された着色剤を用いてもよく、分散剤と併用してもよい。また、着色剤は、複数種を併用してもよい。
【0056】
着色剤の含有量としては、蛍光強度の観点から、トナー粒子に対して、0.005質量%以上10質量%以下が好ましい。
【0057】
―離型剤―
離型剤としては、例えば、炭化水素系ワックス;カルナバワックス、ライスワックス、キャンデリラワックス等の天然ワックス;モンタンワックス等の合成又は鉱物・石油系ワックス;脂肪酸エステル、モンタン酸エステル等のエステル系ワックス;などが挙げられる。離型剤は、これに限定されるものではない。
離型剤としては、炭化水素系ワックスであることが好ましく、パラフィンワックス又はポリエチレンワックスであることがより好ましい。
【0058】
離型剤の融解温度は、50℃以上110℃以下が好ましく、60℃以上100℃以下がより好ましい。
融解温度は、示差走査熱量測定(DSC)により得られたDSC曲線から、JIS K7121-1987「プラスチックの転移温度測定方法」の融解温度の求め方に記載の「融解ピーク温度」により求める。
【0059】
離型剤の含有量は、トナー粒子に対して、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上20質量%以下がより好ましく、3質量%以上15質量%以下が更に好ましい。
【0060】
―その他の添加剤―
その他の添加剤としては、例えば、磁性体、帯電制御剤、無機粉体等の公知の添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、内添剤としてトナー粒子に含まれる。
【0061】
―トナー粒子の特性等―
トナー粒子は、単層構造のトナー粒子であってもよいし、芯部(コア粒子)と芯部を被覆する被覆層(シェル層)とで構成された所謂コア・シェル構造のトナー粒子であってもよい。
コア・シェル構造のトナー粒子は、例えば、結着樹脂、ローダミン色素、及びヒンダードアミン化合物と、必要に応じて着色剤及び離型剤等のその他添加剤とを含んで構成された芯部と、結着樹脂を含んで構成された被覆層と、で構成されていることがよい。
【0062】
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、2μm以上10μm以下が好ましく、4μm以上8μm以下がより好ましい。
トナー粒子の体積平均粒径(D50v)は、コールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用い、電解液はISOTON-II(ベックマン・コールター社製)を使用して測定される。
測定に際しては、分散剤として、界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい)の5質量%水溶液2ml中に測定試料を0.5mg以上50mg以下加える。これを電解液100ml以上150ml以下中に添加する。
試料を懸濁した電解液は超音波分散器で1分間分散処理を行い、コールターマルチサイザーIIにより、アパーチャー径100μmのアパーチャーを用いて2μm以上60μm以下の範囲の粒径の粒子の粒度分布を測定する。サンプリングする粒子数は50000個である。
測定される粒度分布を基にして分割された粒度範囲(チャンネル)に対して体積、数をそれぞれ小径側から累積分布を描いて、累積16%となる粒径を体積粒径D16v、数粒径D16p、累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vと定義する。
【0063】
トナー粒子の平均円形度は、0.94以上1.00以下が好ましく、0.95以上0.98以下がより好ましい。
【0064】
トナー粒子の平均円形度は、(円相当周囲長)/(周囲長)[(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子投影像の周囲長)]により求められる。具体的には、次の方法で測定される値である。
まず、測定対象となるトナー粒子を吸引採取し、扁平な流れを形成させ、瞬時にストロボ発光させることにより静止画像として粒子像を取り込み、その粒子像を画像解析するフロー式粒子像解析装置(シスメックス社製のFPIA-3000)によって求める。そして、平均円形度を求める際のサンプリング数は3500個とする。
トナーが外添剤を有する場合、界面活性剤を含む水中に、測定対象となるトナー(現像剤)を分散させた後、超音波処理を行って外添剤を除去したトナー粒子を得る。
【0065】
(外添剤)
外添剤としては、例えば無機粒子が挙げられる。無機粒子として、SiO2、TiO2、Al2O3、CuO、ZnO、SnO2、CeO2、Fe2O3、MgO、BaO、CaO、K2O、Na2O、ZrO2、CaO・SiO2、K2O・(TiO2)n、Al2O3・2SiO2、CaCO3、MgCO3、BaSO4、MgSO4等が挙げられる。
【0066】
外添剤としての無機粒子の表面は、疎水化処理が施されていることがよい。疎水化処理は、例えば疎水化処理剤に無機粒子を浸漬する等して行う。疎水化処理剤は特に制限されないが、例えば、シラン系カップリング剤、シリコーンオイル、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤等が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
疎水化処理剤の量は、通常、例えば、無機粒子100質量部に対して、1質量部以上10質量部以下である。
【0067】
外添剤としては、樹脂粒子(ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、メラミン樹脂等の樹脂粒子)、クリーニング活剤(例えば、ステアリン酸亜鉛に代表される高級脂肪酸の金属塩、フッ素系高分子量体の粒子)等も挙げられる。
【0068】
外添剤の外添量は、トナー粒子に対して、0.01質量%以上5質量%以下が好ましく、0.01質量%以上2.0質量%以下がより好ましい。
【0069】
(トナーの製造方法)
次に、本実施形態に係るトナーの製造方法について説明する。
本実施形態に係るトナーは、トナー粒子を製造後、トナー粒子に対して、外添剤を外添することで得られる。
トナー粒子は、乾式製法(例えば、混練粉砕法等)、湿式製法(例えば、凝集合一法、懸濁重合法、溶解懸濁法等)のいずれにより製造してもよい。これらの製法に特に制限はなく、公知の製法が採用される。これらの中でも、凝集合一法により、トナー粒子を得ることがよい。
凝集合一法としては、例えば、特開2010-97101号公報又は特開2006-154641号公報に記載された方法が挙げられる。
混練粉砕法としては、例えば、特開2000-267338号公報に記載された方法が挙げられる。
溶解懸濁法としては、特開2000-258950号公報に記載された方法が挙げられ。
【0070】
また、具体的には、例えば、トナー粒子を凝集合一法により製造する場合、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を準備する工程(樹脂粒子分散液準備工程)と、樹脂粒子分散液中で(必要に応じて他の粒子分散液を混合した後の分散液中で)、樹脂粒子(必要に応じて他の粒子)を凝集させ、凝集粒子を形成する工程(凝集粒子形成工程)と、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を加熱し、凝集粒子を融合・合一して、トナー粒子を形成する工程(融合・合一工程)と、を経て、トナー粒子を製造する。
【0071】
ここで、例えば、上記樹脂粒子分散液の一部として、ローダミン色素及びヒンダードアミン化合物を含む樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液を用いることで、結着樹脂、ローダミン色素及びヒンダードアミン化合物を含むトナー粒子が得られる。
【0072】
以下、各工程の詳細について説明する。
以下の説明では、ローダミン色素以外の着色剤(以下、単に「着色剤」と称する)、及び離型剤を含むトナー粒子を得る方法について説明するが、着色剤、離型剤は、必要に応じて用いられるものである。無論、着色剤、離型剤以外のその他添加剤を用いてもよい。
【0073】
-樹脂粒子分散液準備工程-
まず、結着樹脂となる樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と共に、例えば、着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液、離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液を準備する。
【0074】
ここで、樹脂粒子分散液は、例えば、樹脂粒子を界面活性剤により分散媒中に分散させることにより調製する。
【0075】
樹脂粒子分散液に用いる分散媒としては、例えば水系媒体が挙げられる。
水系媒体としては、例えば、蒸留水、イオン交換水等の水、アルコール類等が挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0076】
界面活性剤としては、例えば、硫酸エステル塩系、スルホン酸塩系、リン酸エステル系、せっけん系等のアニオン界面活性剤;アミン塩型、4級アンモニウム塩型等のカチオン界面活性剤;ポリエチレングリコール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加物系、多価アルコール系等の非イオン系界面活性剤等が挙げられる。これらの中でも特に、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤が挙げられる。非イオン系界面活性剤は、アニオン界面活性剤又はカチオン界面活性剤と併用してもよい。
界面活性剤は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0077】
樹脂粒子分散液において、樹脂粒子を分散媒に分散する方法としては、例えば回転せん断型ホモジナイザーや、メディアを有するボールミル、サンドミル、ダイノミル等の一般的な分散方法が挙げられる。また、樹脂粒子の種類によっては、例えば転相乳化法を用いて樹脂粒子分散液中に樹脂粒子を分散させてもよい。
なお、転相乳化法とは、分散すべき樹脂を、その樹脂が可溶な疎水性有機溶剤中に溶解せしめ、有機連続相(O相)に塩基を加えて、中和したのち、水媒体(W相)を投入することによって、W/OからO/Wへの、樹脂の変換(いわゆる転相)が行われて不連続相化し、樹脂を、水媒体中に粒子状に分散する方法である。
【0078】
樹脂粒子分散液中に分散する樹脂粒子の体積平均粒径としては、例えば0.01μm以上1μm以下が好ましく、0.08μm以上0.8μm以下がより好ましく、0.1μm以上0.6μm以下がさらに好ましい。
なお、樹脂粒子の体積平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定装置(例えば、堀場製作所製、LA-700)の測定によって得られた粒度分布を用い、分割された粒度範囲(チャンネル)に対し、体積について小粒径側から累積分布を引き、全粒子に対して累積50%となる粒径を体積平均粒径D50vとして測定される。なお、他の分散液中の粒子の体積平均粒径も同様に測定される。
【0079】
樹脂粒子分散液に含まれる樹脂粒子の含有量としては、例えば、5質量%以上50質量%以下が好ましく、10質量%以上40質量%以下がより好ましい。
【0080】
なお、樹脂粒子分散液と同様にして、例えば、着色剤粒子分散液、離型剤粒子分散液も調製される。つまり、樹脂粒子分散液における粒子の体積平均粒径、分散媒、分散方法、及び粒子の含有量に関しては、着色剤粒子分散液中に分散する着色剤粒子、及び離型剤粒子分散液中に分散する離型剤粒子についても同様である。
【0081】
-凝集粒子形成工程-
次に、樹脂粒子分散液と共に、着色剤粒子分散液と、離型剤粒子分散液と、を混合する。
そして、混合分散液中で、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とをヘテロ凝集させ目的とするトナー粒子の径に近い径を持つ、樹脂粒子と着色剤粒子と離型剤粒子とを含む凝集粒子を形成する。
【0082】
具体的には、例えば、混合分散液に凝集剤を添加すると共に、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後、樹脂粒子のガラス転移温度(具体的には、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度-30℃以上ガラス転移温度-10℃以下)の温度に加熱し、混合分散液に分散された粒子を凝集させて、凝集粒子を形成する。
凝集粒子形成工程においては、例えば、混合分散液を回転せん断型ホモジナイザーで攪拌下、室温(例えば25℃)で上記凝集剤を添加し、混合分散液のpHを酸性(例えばpHが2以上5以下)に調整し、必要に応じて分散安定剤を添加した後に、上記加熱を行ってもよい。
【0083】
凝集剤としては、例えば、混合分散液に添加される分散剤として用いる界面活性剤と逆極性の界面活性剤、無機金属塩、2価以上の金属錯体が挙げられる。特に、凝集剤として金属錯体を用いた場合には、界面活性剤の使用量が低減され、帯電特性が向上する。
凝集剤の金属イオンと錯体もしくは類似の結合を形成する添加剤を必要に応じて用いてもよい。この添加剤としては、キレート剤が好適に用いられる。
【0084】
無機金属塩としては、例えば、塩化カルシウム、硝酸カルシウム、塩化バリウム、塩化マグネシウム、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、硫酸アルミニウム等の金属塩、及び、ポリ塩化アルミニウム、ポリ水酸化アルミニウム、多硫化カルシウム等の無機金属塩重合体等が挙げられる。
キレート剤としては、水溶性のキレート剤を用いてもよい。キレート剤としては、例えば、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のオキシカルボン酸、イミノジ酢酸(IDA)、ニトリロトリ酢酸(NTA)、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)等が挙げられる。
キレート剤の添加量としては、例えば、樹脂粒子100質量部に対して0.01質量部以上5.0質量部以下が好ましく、0.1質量部以上3.0質量部未満がより好ましい。
【0085】
-融合・合一工程-
次に、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液に対して、例えば、樹脂粒子のガラス転移温度以上(例えば樹脂粒子のガラス転移温度より10から30℃高い温度以上)に加熱して、凝集粒子を融合・合一し、トナー粒子を形成する。
【0086】
以上の工程を経て、トナー粒子が得られる。
なお、凝集粒子が分散された凝集粒子分散液を得た後、当該凝集粒子分散液と、樹脂粒子が分散された樹脂粒子分散液と、をさらに混合し、凝集粒子の表面にさらに樹脂粒子を付着するように凝集して、第2凝集粒子を形成する工程と、第2凝集粒子が分散された第2凝集粒子分散液に対して加熱をし、第2凝集粒子を融合・合一して、コア/シェル構造のトナー粒子を形成する工程と、を経て、トナー粒子を製造してもよい。
【0087】
ここで、融合・合一工程終了後は、溶液中に形成されたトナー粒子を、公知の洗浄工程、固液分離工程、乾燥工程を経て乾燥した状態のトナー粒子を得る。
洗浄工程は、帯電性の点から充分にイオン交換水による置換洗浄を施すことがよい。また、固液分離工程は、特に制限はないが、生産性の点から吸引濾過、加圧濾過等を施すことがよい。また、乾燥工程も特に方法に制限はないが、生産性の点から凍結乾燥、気流乾燥、流動乾燥、振動型流動乾燥等を施すことがよい。
【0088】
そして、本実施形態に係るトナーは、例えば、得られた乾燥状態のトナー粒子に、外添剤を添加し、混合することにより製造される。混合は、例えばVブレンダー、ヘンシェルミキサー、レーディゲミキサー等によって行うことがよい。更に、必要に応じて、振動篩分機、風力篩分機等を使ってトナーの粗大粒子を取り除いてもよい。
【0089】
<静電荷像現像剤>
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーを少なくとも含むものである。
本実施形態に係る静電荷像現像剤は、本実施形態に係るトナーのみを含む一成分現像剤であってもよいし、当該トナーとキャリアと混合した二成分現像剤であってもよい。
【0090】
キャリアとしては、特に制限はなく、公知のキャリアが挙げられる。キャリアとしては、例えば、磁性粉からなる芯材の表面に被覆樹脂を被覆した被覆キャリア;マトリックス樹脂中に磁性粉が分散・配合された磁性粉分散型キャリア;多孔質の磁性粉に樹脂を含浸させた樹脂含浸型キャリア;等が挙げられる。
なお、磁性粉分散型キャリア、及び樹脂含浸型キャリアは、当該キャリアの構成粒子を芯材とし、これに被覆樹脂により被覆したキャリアであってもよい。
【0091】
磁性粉としては、例えば、鉄、ニッケル、コバルト等の磁性金属、フェライト、マグネタイト等の磁性酸化物等が挙げられる。
【0092】
被覆樹脂、及びマトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリ塩化ビニル、ポリビニルエーテル、ポリビニルケトン、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、スチレン-アクリル酸エステル共重合体、オルガノシロキサン結合を含んで構成されるストレートシリコーン樹脂又はその変性品、フッ素樹脂、ポリエステル、ポリカーボネート、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
なお、被覆樹脂、及びマトリックス樹脂には、導電性粒子等、その他添加剤を含ませてもよい。
導電性粒子としては、金、銀、銅等の金属、カーボンブラック、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、硫酸バリウム、ホウ酸アルミニウム、チタン酸カリウム等の粒子が挙げられる。
【0093】
ここで、芯材の表面に被覆樹脂を被覆するには、被覆樹脂、及び必要に応じて各種添加剤を適当な溶媒に溶解した被覆層形成用溶液により被覆する方法等が挙げられる。溶媒としては、特に限定されるものではなく、使用する被覆樹脂、塗布適性等を勘案して選択すればよい。
具体的な樹脂被覆方法としては、芯材を被覆層形成用溶液中に浸漬する浸漬法、被覆層形成用溶液を芯材表面に噴霧するスプレー法、芯材を流動エアーにより浮遊させた状態で被覆層形成用溶液を噴霧する流動床法、ニーダーコーター中でキャリアの芯材と被覆層形成用溶液とを混合し、溶剤を除去するニーダーコーター法等が挙げられる。
【0094】
二成分現像剤における、トナーとキャリアとの混合比(質量比)は、トナー:キャリア=1:100乃至30:100が好ましく、3:100乃至20:100がより好ましい。
【0095】
<画像形成装置/画像形成方法>
本実施形態に係る画像形成装置及び画像形成方法について説明する。
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体と、像保持体の表面を帯電する帯電手段と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成手段と、静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写手段と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着手段と、を備える。そして、静電荷像現像剤として、本実施形態に係る静電荷像現像剤が適用される。
【0096】
本実施形態に係る画像形成装置では、像保持体の表面を帯電する帯電工程と、帯電した像保持体の表面に静電荷像を形成する静電荷像形成工程と、本実施形態に係る静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像工程と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を記録媒体の表面に転写する転写工程と、記録媒体の表面に転写されたトナー画像を定着する定着工程と、を有する画像形成方法(本実施形態に係る画像形成方法)が実施される。
【0097】
本実施形態に係る画像形成装置は、像保持体の表面に形成されたトナー画像を直接記録媒体に転写する直接転写方式の装置;像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写し、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する中間転写方式の装置;トナー画像の転写後、帯電前の像保持体の表面をクリーニングするクリーニング手段を備えた装置;トナー画像の転写後、帯電前に像保持体の表面に除電光を照射して除電する除電手段を備える装置;等の公知の画像形成装置が適用される。
【0098】
本実施形態に係る画像形成装置が中間転写方式の装置の場合、転写手段は、例えば、表面にトナー画像が転写される中間転写体と、像保持体の表面に形成されたトナー画像を中間転写体の表面に一次転写する一次転写手段と、中間転写体の表面に転写されたトナー画像を記録媒体の表面に二次転写する二次転写手段と、を有する構成が適用される。
【0099】
本実施形態に係る画像形成装置において、例えば、現像手段を含む部分が、画像形成装置に着脱するカートリッジ構造(プロセスカートリッジ)であってもよい。プロセスカートリッジとしては、例えば、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、現像手段を備えるプロセスカートリッジが好適に用いられる。
【0100】
以下、本実施形態に係る画像形成装置の一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
以下の説明においては、本実施形態に係る画像形成装置の一例として、画像形成ユニットを6つ並べた6連タンデム型画像形成装置を説明する。タンデム型画像形成装置はこれに限られず、画像形成ユニットを5つ並べた5連タンデム型画像形成装置、画像形成ユニットを4つ並べた4連タンデム型画像形成装置などであってもよい。
【0101】
図1は、本実施形態に係る画像形成装置を示す概略構成図であり、6連タンデム方式且つ中間転写方式の画像形成装置を示す図である。なお、ピンクのトナーは、本実施形態に係るトナー(つまり、結着樹脂と、ローダミン色素と、ヒンダードアミン化合物とを含むトナー粒子を有するトナー)の一例である。
【0102】
図1に示す画像形成装置は、色分解された画像データに基づく、ピンク(P)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色の画像を出力する電子写真方式の画像形成手段である第1乃至第6の画像形成ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gを備えている。これらの画像形成ユニット(以下、単に「ユニット」と称する場合がある)10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、水平方向に互いに予め定められた距離離間して並設されている。これらユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、画像形成装置に着脱するプロセスカートリッジであってもよい。
各ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gの下方には、各ユニットを通して中間転写ベルト(中間転写体の一例)20が延設されている。中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20の内面に接する、駆動ロール22、支持ロール23、及び対向ロール24に巻きつけて設けられ、第1ユニット10Pから第6ユニット10Gに向う方向に走行するようになっている。中間転写ベルト20の像保持面側には、駆動ロール22と対向して中間転写体クリーニング装置21が備えられている。
【0103】
各ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gの現像装置(現像手段の一例)4P、4Y、4M、4C、4K、4Gのそれぞれには、トナーカートリッジ8P、8Y、8M、8C、8K、4Gに収められたピンク、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、グリーンの各トナーの供給がなされる。
【0104】
第1乃至第6のユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gは、同等の構成及び動作を有しているため、ここではピンクの画像を形成する第1ユニット10Pについて代表して説明する。
【0105】
第6ユニット10Pは、像保持体として作用する感光体1Pを有している。感光体1Pの周囲には、感光体1Pの表面を予め定められた電位に帯電させる帯電ロール(帯電手段の一例)2P、帯電された表面を色分解された画像信号に基づくレーザ光線によって露光して静電荷像を形成する露光装置(静電荷像形成手段の一例)3P、静電荷像にトナーを供給して静電荷像を現像する現像装置(現像手段の一例)4P、現像したトナー画像を中間転写ベルト20上に転写する一次転写ロール(一次転写手段の一例)5P、及び一次転写後に感光体1Pの表面に残存するトナーを除去する感光体クリーニング装置(クリーニング手段の一例)6Pが順に配置されている。
【0106】
一次転写ロール5Pは、中間転写ベルト20の内側に配置され、感光体1Pに対向した位置に設けられている。各ユニットの一次転写ロール5P、5Y、5M、5C、5K、5Gには、一次転写バイアスを印加するバイアス電源(図示せず)がそれぞれ接続されている。各バイアス電源は、図示しない制御部による制御によって、各一次転写ロールに印加する転写バイアスの値を変える。
【0107】
以下、第6ユニット10Pにおいてピンクの画像を形成する動作について説明する。
まず、動作に先立って、帯電ロール2Pによって感光体1Pの表面が-600V乃至-800Vの電位に帯電される。
【0108】
感光体1Pは、導電性(例えば20℃における体積抵抗率1×10-6Ωcm以下)の基体上に感光層を積層して形成されている。この感光層は、通常は高抵抗(一般の樹脂の抵抗)であるが、レーザ光線が照射されると、レーザ光線が照射された部分の比抵抗が変化する性質を持っている。そこで、帯電した感光体1Pの表面に、図示しない制御部から送られてくるピンクの画像データに従って、露光装置3Pからレーザ光線を照射する。それにより、ピンクの画像パターンの静電荷像が感光体1Pの表面に形成される。
静電荷像とは、帯電によって感光体1Pの表面に形成される像であり、露光装置3Pからのレーザ光線によって、感光層の被照射部分の比抵抗が低下し、感光体1Pの表面の帯電した電荷が流れ、一方、レーザ光線が照射されなかった部分の電荷が残留することによって形成される、いわゆるネガ潜像である。
【0109】
感光体1P上に形成された静電荷像は、感光体1Pの走行に従って予め定められた現像位置まで回転する。そして、この現像位置で、感光体1P上の静電荷像が、現像装置4Pによってトナー画像として現像され可視化される。
【0110】
現像装置4P内には、例えば、少なくともピンクトナーとキャリアとを含む静電荷像現像剤が収容されている。ピンクトナーは、現像装置4Pの内部で攪拌されることで摩擦帯電し、感光体1P上に帯電した帯電荷と同極性(負極性)の電荷を有して現像剤ロール(現像剤保持体の一例)上に保持されている。そして、感光体1Pの表面が現像装置4Pを通過していくことにより、感光体1P表面上の除電された潜像部にピンクトナーが静電的に付着し、潜像がピンクトナーによって現像される。ピンクのトナー画像が形成された感光体1Pは、引続き予め定められた速度で走行され、感光体1P上に現像されたトナー画像が予め定められた一次転写位置へ搬送される。
【0111】
感光体1P上のピンクのトナー画像が一次転写位置へ搬送されると、一次転写ロール5Pに一次転写バイアスが印加され、感光体1Pから一次転写ロール5Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、感光体1P上のトナー画像が中間転写ベルト20上に転写される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と逆極性の(+)極性であり、第1ユニット10Pでは制御部(図示せず)によって例えば+10μAに制御されている。
【0112】
トナー画像を中間転写ベルト20に転写した後の感光体1Pは、回転を続け、感光体クリーニング装置6Pが備えるクリーニングブレードと接触する。感光体1P上に残留したトナーは、感光体クリーニング装置6Pで除去されて回収される。
【0113】
中間転写ベルト20は、第1乃至第6の画像形成ユニット10P、10Y、10M、10C、10K、10Gを通して順次搬送され、各色のトナー画像が重ねられて多重転写される。
第1乃至第6のユニットを通して6色のトナー画像が多重転写された中間転写ベルト20は、中間転写ベルト20と、中間転写ベルトの内面に接する対向ロール24と、中間転写ベルト20の像保持面側に配置された二次転写ロール(二次転写手段の一例)26とから構成された二次転写部へと至る。一方、記録紙(記録媒体の一例)Pが供給機構を介して二次転写ロール26と中間転写ベルト20とが接触した隙間に予め定められたタイミングで給紙され、二次転写バイアスが対向ロール24に印加される。このとき印加される転写バイアスは、トナーの極性(-)と同極性の(-)極性であり、中間転写ベルト20から記録紙Pに向う静電気力がトナー画像に作用し、中間転写ベルト20上のトナー画像が記録紙P上に転写される。この際の二次転写バイアスは二次転写部の抵抗を検出する抵抗検出手段(図示せず)により検出された抵抗に応じて決定されるものであり、電圧制御されている。
【0114】
トナー画像を記録紙Pに転写した後の中間転写ベルト20は、走行を続け、中間転写体クリーニング装置21が備えるクリーニングブレードと接触する。中間転写ベルト20上に残留したトナーは、中間転写体クリーニング装置21で除去されて回収される。
トナー画像が転写された記録紙Pは定着装置(定着手段の一例)28における一対の定着ロールの圧接部(ニップ部)へと送り込まれ、トナー画像が記録紙P上へ定着され、定着画像が形成される。
【0115】
トナー画像を転写する記録紙Pとしては、例えば、電子写真方式の複写機、プリンター等に使用される普通紙が挙げられる。記録媒体としては、記録紙P以外にも、OHPシート等も挙げられる。
【0116】
定着後における画像表面の平滑性をさらに向上させるには、記録紙Pの表面も平滑であることが好ましく、例えば、普通紙の表面を樹脂等でコーティングしたコート紙、印刷用のアート紙等が好適に使用される。
カラー画像の定着が完了した記録紙Pは、排出部へ向けて搬出され、一連のカラー画像形成動作が終了される。
【0117】
<プロセスカートリッジ/トナーカートリッジ>
本実施形態に係るプロセスカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像剤を収容し、静電荷像現像剤により、像保持体の表面に形成された静電荷像をトナー画像として現像する現像手段を備え、画像形成装置に着脱されるプロセスカートリッジである。
本実施形態に係るプロセスカートリッジは、上記構成に限らず、現像手段と、その他、必要に応じて、例えば、像保持体、帯電手段、静電荷像形成手段、及び転写手段等のその他手段から選択される少なくとも一つと、を備える構成であってもよい。
【0118】
以下、本実施形態に係るプロセスカートリッジの一例を示すが、これに限定されるわけではない。以下の説明においては、図に示す主要部を説明し、その他はその説明を省略する。
図2は、本実施形態に係るプロセスカートリッジを示す概略構成図である。
図2に示すプロセスカートリッジ200は、例えば、取り付けレール116及び露光のための開口部118が備えられた筐体117により、感光体107(像保持体の一例)と、感光体107の周囲に備えられた帯電ロール108(帯電手段の一例)、現像装置111(現像手段の一例)、及び感光体クリーニング装置113(クリーニング手段の一例)を一体的に組み合わせて保持して構成し、カートリッジ化されている。
図2中、109は露光装置(静電荷像形成手段の一例)、112は転写装置(転写手段の一例)、115は定着装置(定着手段の一例)、300は記録紙(記録媒体の一例)を示している。
【0119】
次に、本実施形態に係るトナーカートリッジについて説明する。
本実施形態に係るトナーカートリッジは、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーを収容し、画像形成装置に着脱されるトナーカートリッジである。トナーカートリッジは、画像形成装置内に設けられた現像手段に供給するための補給用のトナーを収容するものである。
図1に示す画像形成装置は、トナーカートリッジ8Y、8P、8M、8C、8K、8Gが着脱される構成を有する画像形成装置であり、現像装置4Y、4P、4M、4C、4K、4Gは、各々の色に対応したトナーカートリッジと、図示しないトナー供給管で接続されている。また、トナーカートリッジ内に収容されているトナーが少なくなった場合には、このトナーカートリッジが交換される。本実施形態に係るトナーカートリッジの一例が、トナーカートリッジ8Pであり、本実施形態に係る静電荷像現像用トナーが収容されている。トナーカートリッジ8Y、8M、8C、8K、8Gにはそれぞれ、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラック、グリーンの各トナーが収容されている。
【実施例0120】
以下、本発明の実施例について説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、「部」及び「%」はすべて質量基準である。
【0121】
<ポリエステル樹脂(1)の作製>
・テレフタル酸:30モル部
・フマル酸:70モル部
・ビスフェノールAエチレンオキサイド付加物:5モル部
・ビスフェノールAプロピレンオキサイド付加物:95モル部
撹拌装置、窒素導入管、温度センサ及び精留塔を備えたフラスコに、上記の材料を仕込み、1時間かけて温度を220℃まで上げ、上記材料100部に対してチタンテトラエトキシド1部を投入した。生成する水を留去しながら30分間かけて230℃まで温度を上げ、該温度で1時間脱水縮合反応を継続した後、反応物を冷却した。
こうして、重量平均分子量18,000、ガラス転移温度60℃のポリエステル樹脂(1)を得た。
【0122】
<蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製>
・ローダミン色素(ローダミンB):3部
・ヒンダードアミン化合物(AT-1):3部
・ポリエステル樹脂(1):94部
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、上記の材料100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10質量%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を攪拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下した。滴下終了後、室温(20℃乃至25℃)に戻し、撹拌しつつ乾燥窒素により48時間バブリングを行うことにより、酢酸エチル及び2-ブタノールを1,000ppm以下まで低減させた樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20質量%に調整し、蛍光着色剤粒子分散液(1)を得た。
【0123】
<蛍光着色剤粒子分散液(2)~(5)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でヒンダードアミン化合物(AT-1)の代わりにヒンダードアミン化合物(AT-2)~(AT~4)および(HT-1)を用いた以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(2)~(5)を得た。
【0124】
<蛍光着色剤粒子分散液(6)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でヒンダードアミン化合物を入れず、ポリエステル樹脂(1)の部数を96部に変えた以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(6)を得た。
【0125】
<蛍光着色剤粒子分散液(7)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)6部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)0.0048部、ポリエステル樹脂(1)94部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(7)を得た。
【0126】
<蛍光着色剤粒子分散液(8)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)6部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)0.0072部、ポリエステル樹脂(1)94部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(8)を得た。
【0127】
<蛍光着色剤粒子分散液(9)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)2.1部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)3.9部、ポリエステル樹脂(1)94部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(9)を得た。
【0128】
<蛍光着色剤粒子分散液(10)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)1.9部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)4.1部、ポリエステル樹脂(1)94部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(10)を得た。
【0129】
<蛍光着色剤粒子分散液(11)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)0.24部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)0.24部、ポリエステル樹脂(1)99.53部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(11)を得た。
【0130】
<蛍光着色剤粒子分散液(12)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)0.36部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)0.36部、ポリエステル樹脂(1)99.29部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(12)を得た。
【0131】
<蛍光着色剤粒子分散液(13)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)11.8部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)11.8部、ポリエステル樹脂(1)76.33部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(13)を得た。
【0132】
<蛍光着色剤粒子分散液(14)の作製>
蛍光着色剤粒子分散液(1)の作製でローダミン色素(ローダミンB)17.8部、ヒンダードアミン化合物(AT-1)17.8部、ポリエステル樹脂(1)64.50部とした以外は蛍光着色剤粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(14)を得た。
【0133】
【0134】
<着色顔料粒子分散液(1)の調製>
・着色顔料(C.I.Pigment Violet 19):70部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):30部
・イオン交換水:200部
上記の材料を混合し、ホモジナイザー(IKA社製ウルトラタラックスT50)を用いて10分間分散した。分散液中の固形分量が20質量%となるようイオン交換水を加え、体積平均粒径140nmの着色剤粒子が分散された着色剤粒子分散液(1)を得た。
【0135】
<ポリエステル樹脂粒子分散液(1)の調製>
温度調節手段及び窒素置換手段を備えた容器に、酢酸エチル40部及び2-ブタノール25部を投入し、混合溶剤とした後、ポリエステル樹脂(1)100部を徐々に投入し溶解させ、ここに、10質量%アンモニア水溶液(樹脂の酸価に対してモル比で3倍量相当量)を入れて30分間撹拌した。次いで、容器内を乾燥窒素で置換し、温度を40℃に保持して、混合液を攪拌しながらイオン交換水400部を2部/分の速度で滴下した。滴下終了後、室温(20℃乃至25℃)に戻し、撹拌しつつ乾燥窒素により48時間バブリングを行うことにより、酢酸エチル及び2-ブタノールを1,000ppm以下まで低減させた樹脂粒子分散液を得た。樹脂粒子分散液にイオン交換水を加え、固形分量を20質量%に調整し、ポリエステル樹脂粒子分散液(1)を得た。
【0136】
<離型剤粒子分散液(1)の調製>
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP-9):100部
・アニオン性界面活性剤(第一工業製薬(株)製、ネオゲンRK):1部
・イオン交換水:350部
上記の材料を混合して100℃に加熱し、ホモジナイザー(IKA社、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて分散した後、マントンゴーリン高圧ホモジナイザー(ゴーリン社)で分散処理し、体積平均粒径200nmの離型剤粒子が分散された離型剤粒子分散液(1)(固形分量20質量%)を得た。
【0137】
<実施例1>
(トナー粒子(1)の作製)
・ポリエステル樹脂粒子分散液(1):60.8部
・蛍光着色剤粒子分散液(1):20部
・着色顔料粒子分散液(1):0.9部
・離型剤粒子分散液(1):6部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、固形分量:20%):1部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(=mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、ポリ塩化アルミニウム濃度が10質量%の硝酸水溶液30部を添加した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて液温30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し30分間保持した。その後、ポリエステル樹脂粒子分散液(1)30.4部を追加し1時間保持し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、84℃まで加熱し2.5時間保持した。次いで、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、固形分を濾別し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによりトナー粒子(1)を得た。トナー粒子(1)の体積平均粒径は7μmであった。
【0138】
(トナー(1)の作製)
得られたトナー粒子(1)100部に対して疎水性シリカ(日本アエロジル(株)製、RY50)を1.5部と疎水性酸化チタン(日本アエロジル(株)製、T805)を1.0部とを、サンプルミルを用いて10,000rpm(revolutions per minute)で30秒間混合ブレンドした。その後、目開き45μmの振動篩いで篩分して、トナー(1)(静電荷像現像用トナー)を調製した。得られたトナー(1)の体積平均粒径は、7μmであった。
【0139】
(キャリア(1)の作製)
・フェライト粒子(平均粒径35μm):100部
・トルエン:14部
・ポリメチルメタクリレート(MMA、重量平均分子量75,000):5部
・カーボンブラック(VXC-72、キャボット社製、体積抵抗率:100Ωcm以下):0.2部
フェライト粒子を除く上記材料をサンドミルにて分散して分散液を調製し、この分散液をフェライト粒子とともに真空脱気型ニーダに入れ、攪拌しながら減圧し乾燥させることによりキャリア(1)を得た。
【0140】
(静電荷像現像剤の作製)
トナー(1)8部とキャリア92部とをVブレンダーにて混合し、現像剤(1)(静電荷像現像剤)を作製した。
【0141】
<実施例2~4、比較例1および比較例2>
トナー粒子(1)の作製において蛍光着色剤粒子分散液(1)の代わりに蛍光着色剤粒子分散液(2)~(6)を用いた以外はトナー粒子(1)と同様に作製してトナー粒子(2)~(6)を得た。そして、得られたトナー粒子(2)~(6)を用いて、実施例1と同様にして現像剤(2)~(6)を作製した。
【0142】
<実施例5:混練粉砕法>
(トナー粒子の作製)
・ポリエステル樹脂(1):94部
・ローダミン色素(ローダミンB):0.5部
・ヒンダードアミン化合物(AT-1):0.5部
・着色顔料(C.I.Pigment Violet 19):0.8部
・パラフィンワックス(日本精蝋(株)製、HNP-9):5.1部
・共重合石油樹脂(A)(C5系石油留分(イソプレン)/C5系石油留分(ピペリレン)/イソプロペニルトルエン=モノマー質量比(1.5/1.5/97)、軟化点:125℃):5部
上記混合物をエクストルーダーで混練し、表面粉砕方式の粉砕機で粉砕した後、風力式分級機で細粒、粗粒を分級し、体積平均粒径D50=8.0μmのトナー粒子(7)を得た。
【0143】
(トナーの作製)
得られたトナー粒子(7)100部に対して、平均粒径40nmの負帯電性シリカ1.0部、及び平均粒径15nmの負帯電性チタニア0.5部を添加してトナー(7)(外添トナー)とした。
【0144】
(静電荷像現像剤の作製)
次に、トナー(7)6部に対して、粒子径50μmのフェライトにスチレン-メタクリレート共重合体を被覆したキャリア100部を添加、混合して現像剤(7)(静電荷像現像剤)を製造した。
【0145】
<実施例6:スチレンアクリル樹脂/凝集合一法>
(スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1)の作製)
・スチレン: 308部
・n-ブチルアクリレート: 100部
・アクリル酸: 4部
・ドデカンチオール: 6部
・プロパンジオールジアクリレート: 1.5部
上記成分を混合し、溶解した混合物を、アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株)製:ネオゲンSC)4部をイオン交換水550部に溶解した水溶液に投入して、フラスコ中で乳化した後、10分間混合しながら、これに過硫酸アンモニウム6部をイオン交換水100部に溶解した水溶液を投入し、窒素置換を行った後、フラスコ内を撹拌しながら内容物が75℃になるまでオイルバスで加熱し、5時間そのまま乳化重合を継続した。こうして、平均粒径が195nm、重量平均分子量(Mw)が34000である樹脂粒子を分散させてなるスチレンアクリル樹脂粒子分散液(1)(樹脂粒子濃度:20%)を得た。なお、スチレンアクリル樹脂のガラス転移温度は52℃であった。
【0146】
(蛍光着色剤粒子分散液(SA1)の作製)
・スチレン: 308部
・n-ブチルアクリレート: 100部
・アクリル酸: 4部
・ドデカンチオール: 6部
・プロパンジオールジアクリレート: 1.5部
・ローダミン色素(ローダミンB)13.4部
・ヒンダードアミン化合物(AT-1)13.4部
上記成分を混合し、スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1)と同様に作製して蛍光着色剤粒子分散液(SA1)(粒子濃度:20%)を得た。
【0147】
(トナー粒子(8)の作製>)
・スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1):60.8部
・蛍光着色剤粒子分散液(SA1):20部
・着色顔料粒子分散液(1):0.9部
・離型剤粒子分散液(1):6部
・アニオン界面活性剤(第一工業製薬(株):ネオゲンRK、20%):1部
上記の材料を丸型ステンレス製フラスコに入れ、0.1N(=mol/L)の硝酸を添加してpHを3.5に調整した後、ポリ塩化アルミニウム濃度が10質量%の硝酸水溶液30部を添加した。次いで、ホモジナイザー(IKA社製、商品名ウルトラタラックスT50)を用いて液温30℃において分散した後、加熱用オイルバス中で45℃まで加熱し30分間保持した。その後、スチレンアクリル樹脂粒子分散液(1)30.4部を追加し1時間保持し、0.1N水酸化ナトリウム水溶液を添加してpHを8.5に調整した後、84℃まで加熱し2.5時間保持した。次いで、20℃/分の速度で20℃まで冷却し、固形分を濾別し、イオン交換水で充分に洗浄し、乾燥させることによりトナー粒子(8)を得た。トナー粒子(8)の体積平均粒径は8μmであった。
そして、トナー粒子(8)を用いて、実施例1と同様にして、トナー(8)及び現像剤(8)を作製した。
【0148】
<実施例7~14>
トナー粒子(1)の作製において蛍光着色剤粒子分散液(1)の代わりに蛍光着色剤粒子分散液(7)~(14)を用いた以外はトナー粒子(1)と同様に作製してトナー粒子(9)~(16)を得た。得られたトナー粒子(9)~(16)を用いて、実施例1と同様にして現像剤(9)~(16)を作製した。
【0149】
<評価方法>
-細線再現性の評価-
画像形成装置として、富士フイルムビジネスイノベーション(株)製「Color 1000i Press」を準備し、その特殊色現像器に各実施例及び比較例で得られた現像剤を充填した。
画像形成装置を30℃90%RH環境下で12時間放置した後、放置後の画像形成装置により同環境下でA4用紙に、特殊色の1%印字チャートを100,000枚形成した。
初期(10枚印字後)、1,000枚印字後、10,000枚印字後、50,000枚印字後、及び100,000枚印字後に、並びに、100,000枚印字後72時間放置した後に、各々、次の画像を形成した。
2,400dpi(dot per inch)の解像度での1on1off画像(1ドットラインが1ドット間隔で並行に配置された画像)で、下からCトナー、Mトナー、Yトナー、本実施例及び比較例のトナーの合計4層(トナー量:4.5g/cm2)を重ねて配置し、現像方向に対し垂直方向の5cm×5cmチャート画像を、A4用紙の左上、中央、及び右下に形成した。
得られたサンプルに印字された各チャートの線間隔について、×100倍の目盛付きルーペを用いて、トナーの飛び散り等によって狭くなっている箇所、又は、細線が細くなることにより広くなっている箇所の有無を観察した。その観察結果と観察された箇所の線間隔から、下記の基準でグレード評価を行った。結果を表1に示す。
【0150】
-評価基準-
G1:全てのチャートにおいて、飛び散りによる線間隔の減少又は細線細りによる線間隔の増加がない場合。
G2:線間隔の減少または増加が見られるが、細線が確認できるチャートが少なくとも1つある場合。
G3:細線の間隔が判別できないか又は細線に欠落が見られるチャートが、少なくとも1つある場合。
G4:細線の間隔が判別できないか又は細線に欠落が見られるチャートが、2つ以上ある場合。
【0151】
【0152】
上記結果から、本実施例のトナーは、比較例のトナーに比べ、細線再現性の低下が抑制されていることがわかる。