(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152236
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】分離装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/67 20060101AFI20241018BHJP
H01L 21/301 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/68 E
H01L21/78 Y
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066301
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】100075384
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 昂
(74)【代理人】
【識別番号】100172281
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100206553
【弁理士】
【氏名又は名称】笠原 崇廣
(74)【代理人】
【識別番号】100189773
【弁理士】
【氏名又は名称】岡本 英哲
(74)【代理人】
【識別番号】100184055
【弁理士】
【氏名又は名称】岡野 貴之
(74)【代理人】
【識別番号】100185959
【弁理士】
【氏名又は名称】今藤 敏和
(72)【発明者】
【氏名】大室 喜洋
(72)【発明者】
【氏名】平賀 洋行
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 孝寿
(72)【発明者】
【氏名】堀 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】角田 幸久
(72)【発明者】
【氏名】木内 逸人
【テーマコード(参考)】
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
5F063AA33
5F063AA35
5F063CC33
5F063DF11
5F063DG29
5F063DG36
5F063EE36
5F063FF25
5F063FF38
5F131AA04
5F131BA52
5F131BA53
5F131CA32
5F131CA42
5F131EC43
(57)【要約】
【課題】ワークピースからキャリア板を分離することのできる分離装置を提供する。
【解決手段】複合基板のワークピースからキャリア板を分離する際に用いられる分離装置であって、第1カセットに収容されている複合基板を把持することのできる把持部材を有し、第1カセットから複合基板を搬送する第1搬送機構と、複合基板のワークピース側を保持することのできる第1保持部材、及び第1保持部材により保持された状態の複合基板の外縁部をワークピース側から押すことのできるプッシュ部材を有し、プッシュ部材により複合基板の外縁部をワークピース側から押してキャリア板をワークピースから分離し落下させる搬送分離機構と、キャリア板から分離されたワークピースを保持することのできる第2保持部材を有し、搬送分離機構で搬送されキャリア板から分離されたワークピースを第2保持部材により保持して第2カセットに搬送する第2搬送機構と、を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャリア板の第1面に仮接着層を介してワークピースが固定された複合基板の該ワークピースから該キャリア板を分離する際に用いられる分離装置であって、
該複合基板を収容するための第1カセットが載せられる第1カセットテーブルと、
該キャリア板から分離された該ワークピースを収容するための第2カセットが載せられる第2カセットテーブルと、
該第1カセットに収容されている該複合基板を把持することのできる把持部材を有し、該第1カセットから該複合基板を搬送する第1搬送機構と、
該複合基板の該ワークピース側を保持することのできる第1保持部材、及び該第1保持部材により保持された状態の該複合基板の外縁部を該ワークピース側から押すことのできるプッシュ部材を有し、該第1搬送機構により該第1カセットから搬送された後の該複合基板の該ワークピース側を該第1保持部材により保持して該複合基板を搬送する途中で、該プッシュ部材により該複合基板の該外縁部を該ワークピース側から押して該キャリア板を該ワークピースから分離し落下させる搬送分離機構と、
該キャリア板から分離された該ワークピースを保持することのできる第2保持部材を有し、該搬送分離機構で搬送され該キャリア板から分離された該ワークピースを該第2保持部材により保持して該第2カセットに搬送する第2搬送機構と、
処理装置、及び記憶装置を有し、該第1搬送機構、該搬送分離機構、及び該第2搬送機構をプログラムに基づき制御するコントローラと、を含む分離装置。
【請求項2】
該搬送分離機構による該複合基板の搬送の経路の途中に配置された液槽を更に含み、
該搬送分離機構は、該液槽の中に該複合基板の一部又は全部が配置されている状態で、該キャリア板を該ワークピースから分離し落下させる請求項1に記載の分離装置。
【請求項3】
該ワークピースから分離された該キャリア板を収容する容器と、
該液槽の中に落下した該キャリア板を保持することのできる第3保持部材を有し、該ワークピースから分離された該キャリア板を該第3保持部材により保持して該容器へと搬送するキャリア板搬送機構と、を更に含む請求項2に記載の分離装置。
【請求項4】
該第1搬送機構から該搬送分離機構へと該複合基板が受け渡される間に該複合基板を支持する第1支持部材と、
該搬送分離機構から該第2搬送機構へと該ワークピースが受け渡される間に該ワークピースを支持する第2支持部材と、を更に含む請求項1に記載の分離装置。
【請求項5】
該搬送分離機構は、該ワークピースから該キャリア板が分離されたか否かを検知する際に用いられるセンサを更に有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリア板に仮接着層を介してワークピースが固定された構造を持つ複合基板のワークピースからキャリア板を分離する際に用いられる分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やパーソナルコンピュータに代表される電子機器では、電子回路等のデバイスを備えるデバイスチップが必須の構成要素になっている。デバイスチップは、例えば、シリコン等の半導体でなるウェーハの表面を分割予定ライン(ストリート)で複数の領域に区画し、各領域にデバイスを形成した後、この分割予定ラインに沿ってウェーハを分割することにより得られる。
【0003】
上述のような方法で得られたデバイスチップは、例えば、CSP(Chip Size Package)用のマザー基板に固定され、ワイヤボンディング等の方法でこのマザー基板の端子等に電気的に接続された後に、モールド樹脂で封止される。このように、デバイスチップをモールド樹脂で封止してパッケージデバイスを形成することにより、光、熱、水、衝撃等の外的な要因からデバイスチップが保護される。
【0004】
近年では、ウェーハの段階でデバイスチップの領域外にパッケージ端子を形成するFOWLP(Fan-Out Wafer Level Package)と呼ばれるパッケージ技術の採用が進められている(例えば、特許文献1参照)。また、ウェーハよりもサイズの大きいキャリア板(例えば、液晶パネルの製造に用いられるようなガラス基板)を用い、より多くのパッケージデバイスを一括して製造するFOPLP(Fan-Out Panel Level Packaging)と呼ばれるパッケージ技術も提案されている。
【0005】
FOPLPでは、例えば、キャリア板の表面に仮接着層を介して設けられた再配線層(RDL:Redistribution Layer)にデバイスチップが接合される。このデバイスチップを再配線層とともにモールド樹脂で封止し、パッケージ基板を形成することにより、キャリア板に仮接着層を介してパッケージ基板が固定された構造の複合基板が得られる。その後に、例えば、パッケージ基板からキャリア板を分離した上で、デバイスチップに合わせてパッケージ基板を分割すると、パッケージデバイスが完成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述のようなパッケージ基板からキャリア板を分離する際には、パッケージ基板とキャリア板とに対して互いに離れる向きの力が加えられる。しかしながら、この力の大きさ等を作業者に制御させると、パッケージ基板に過大な力が作用してパッケージ基板が破損する可能性がある。また、このように作業者に依存する方法では、多数の複合基板を連続して処理する際に作業者の負担が大きくなってしまう。
【0008】
よって、本発明の目的は、パッケージ基板等のワークピースからキャリア板を自動で分離することのできる分離装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一側面によれば、キャリア板の第1面に仮接着層を介してワークピースが固定された複合基板の該ワークピースから該キャリア板を分離する際に用いられる分離装置であって、該複合基板を収容するための第1カセットが載せられる第1カセットテーブルと、該キャリア板から分離された該ワークピースを収容するための第2カセットが載せられる第2カセットテーブルと、該第1カセットに収容されている該複合基板を把持することのできる把持部材を有し、該第1カセットから該複合基板を搬送する第1搬送機構と、該複合基板の該ワークピース側を保持することのできる第1保持部材、及び該第1保持部材により保持された状態の該複合基板の外縁部を該ワークピース側から押すことのできるプッシュ部材を有し、該第1搬送機構により該第1カセットから搬送された後の該複合基板の該ワークピース側を該第1保持部材により保持して該複合基板を搬送する途中で、該プッシュ部材により該複合基板の該外縁部を該ワークピース側から押して該キャリア板を該ワークピースから分離し落下させる搬送分離機構と、該キャリア板から分離された該ワークピースを保持することのできる第2保持部材を有し、該搬送分離機構で搬送され該キャリア板から分離された該ワークピースを該第2保持部材により保持して該第2カセットに搬送する第2搬送機構と、処理装置、及び記憶装置を有し、該第1搬送機構、該搬送分離機構、及び該第2搬送機構をプログラムに基づき制御するコントローラと、を含む分離装置が提供される。
【0010】
好ましくは、該分離装置は、該搬送分離機構による該複合基板の搬送の経路の途中に配置された液槽を更に含み、該搬送分離機構は、該液槽の中に該複合基板の一部又は全部が配置されている状態で、該キャリア板を該ワークピースから分離し落下させる。
【0011】
また、好ましくは、該分離装置は、該ワークピースから分離された該キャリア板を収容する容器と、該液槽の中に落下した該キャリア板を保持することのできる第3保持部材を有し、該ワークピースから分離された該キャリア板を該第3保持部材により保持して該容器へと搬送するキャリア板搬送機構と、を更に含む。
【0012】
また、好ましくは、該分離装置は、該第1搬送機構から該搬送分離機構へと該複合基板が受け渡される間に該複合基板を支持する第1支持部材と、該搬送分離機構から該第2搬送機構へと該ワークピースが受け渡される間に該ワークピースを支持する第2支持部材と、を更に含む。
【0013】
また、好ましくは、該搬送分離機構は、該ワークピースから該キャリア板が分離されたか否かを検知する際に用いられるセンサを更に有する請求項1から請求項4のいずれかに記載の分離装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一側面にかかる分離装置は、複合基板を第1カセットから搬送するための構造と、複合基板のキャリア板をワークピースから分離するための構造と、キャリア板から分離されたワークピースを第2カセットに搬送するための構造と、これらを制御するコントローラと、を併せ備えている。よって、本発明の一側面にかかる分離装置によれば、複合基板を構成するワークピースからキャリア板を自動で分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、分離装置を模式的に示す斜視図である。
【
図2】
図2は、複合基板の例を模式的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は、複合基板の例を模式的に示す断面図である。
【
図4】
図4は、ロードアーム等を模式的に示す斜視図である。
【
図5】
図5は、加工ユニットにより加工された後の複合基板の例を模式的に示す断面図である。
【
図6】
図6は、加工ユニットにより加工された後の複合基板の別の例を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、デボンドアーム等を模式的に示す斜視図である。
【
図8】
図8は、X軸に沿う方向から見たデボンドアームの一部を模式的に示す側面図である。
【
図9】
図9は、Y軸に沿う方向から見たデボンドアームの一部を模式的に示す側面図である。
【
図10】
図10は、デボンドアームが備えるプッシュ部材を模式的に示す斜視図である。
【
図11】
図11は、複合基板の一部が液槽の中に配置された状態を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12は、複合基板のキャリア板が複合基板のワークピースから分離された状態を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13は、アンロードアーム等を模式的に示す斜視図である。
【
図14】
図14は、キャリア板搬送機構等を模式的に示す斜視図である。
【
図15】
図15は、第1変形例にかかるプッシュ部材を模式的に示す側面図である。
【
図16】
図16は、第2変形例にかかるプッシュ部材を模式的に示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の分離装置2を模式的に示す斜視図である。なお、
図1では、一部の構成要素が機能ブロックで表現されている。また、以下の説明で用いられるX軸(前後軸)、Y軸(左右軸)、及びZ軸(上下軸)は、互いに垂直である。
【0017】
図1に示されるように、分離装置2は、種々の構成要素を支持する基台4を備える。基台4のY軸に沿って一方側(
図1の左奥側)の部分には、基台4の上面4aに上端が開口した凹部4bが設けられている。この凹部4bには、例えば、ボールねじ式の昇降機構(不図示)によって昇降する第1カセットテーブル6が配置されている。
【0018】
第1カセットテーブル6の上面には、例えば、複数の複合基板1(
図2等参照)を収容できる第1カセット8が載せられる。第1カセット8の内部には、それぞれが1枚の複合基板1を支持することのできる複数の棚が、上下に重なるように設けられている。なお、
図1では、説明の便宜上、第1カセット8の輪郭のみが二点鎖線で示されている。
【0019】
この第1カセット8から複合基板1を取り出して搬送する際には、上述した昇降機構により、対象の複合基板1を支持している棚の高さに合わせて、第1カセットテーブル6の高さが調整される。なお、本実施形態では、複数の複合基板1を収容できる第1カセット8が用いられているが、第1カセットテーブル6の上面には、1枚の複合基板1のみを収容できる第1カセットが載せられてもよい。
【0020】
図2は、複合基板1の例を模式的に示す斜視図であり、
図3は、複合基板1の例を模式的に示す断面図である。
図2及び
図3に示されるように、複合基板1は、例えば、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス等の二酸化珪素(SiO
2)を主成分とするガラスで構成された円盤状のキャリア板3を含む。すなわち、このキャリア板3は、円形状の第1面(表面)3aと、円形状の第2面(裏面)3bと、を有している。キャリア板3の厚みは、例えば、2mm以下、代表的には、1.1mmである。
【0021】
なお、本実施形態では、二酸化珪素を主成分とするガラスでなる円盤状のキャリア板3が複合基板1に用いられているが、複合基板1内のキャリア板3の材質、形状、構造、大きさ等は、これに限定されない。半導体やセラミックス等の任意の材料でなる任意の形状の板が、複合基板1のキャリア板3として用いられ得る。
【0022】
キャリア板3の第1面3a側には、この第1面3aと概ね同じ形状及び大きさの仮接着層5を介して、ワークピース7が設けられている。つまり、本実施形態では、仮接着層5が円形状に構成されている。仮接着層5は、例えば、金属膜や絶縁体膜等を重ねることによって第1面3aの概ね全体に形成され、キャリア板3とワークピース7とを接着する機能を持つ。
【0023】
仮接着層5の厚みは、例えば、20μm以下、代表的には、5μmである。ワークピース7からキャリア板3を分離し、除去する際には、例えば、この仮接着層5が、キャリア板3側に密着した第1部分と、ワークピース7側に密着した第2部分と、に分離される。なお、この仮接着層5は、接着剤として機能する樹脂膜等によって構成されてもよい。
【0024】
ワークピース7は、パッケージ基板とも呼ばれ、仮接着層5に接する配線層(再配線層:RDL)(不図示)と、配線層に接合された複数のデバイスチップ9と、各デバイスチップ9を封止するモールド樹脂層11と、を含む。このワークピース7は、キャリア板3の第1面3aと概ね同じ大きさ及び形状の第1面(表面)7aと、第1面3aと概ね同じ大きさ及び形状の第2面(裏面)7bと、を有している。つまり、本実施形態では、ワークピース7も円盤状に構成されている。このワークピース7の厚みは、例えば、1.5mm以下、代表的には、0.6mmである。
【0025】
なお、ワークピース7の第1面7a側は、事前に研削等の方法で加工されていることがある。また、
図2に示されるように、ワークピース7の内部で隣接するデバイスチップ9の間の領域等には、分割予定ライン7cが設定される。任意の分割予定ライン7cでワークピース7を切断することにより、ワークピース7は、それぞれ、1又は複数のデバイスチップ9を含む複数のワークピース片に分割される。
【0026】
そして、全ての分割予定ライン7cでワークピース7(又はワークピース片)を切断すれば、各デバイスチップ9に対応する複数のパッケージデバイスが得られる。ただし、ワークピース7の材質、形状、構造、大きさ等は、この態様に限定されない。例えば、ワークピース7は、主に配線層で構成され、デバイスチップ9やモールド樹脂層11を含まないことがある。本実施形態では、このように構成された複数の複合基板1が、それぞれ、ワークピース7が上を向くように第1カセット8に収容される。
【0027】
図1に示されるように、基台4のY軸に沿って凹部4bの他方側(
図1の右手前側)の部分には、上面4aに上端が開口した凹部4cが設けられている。また、基台4の上面4aには、この凹部4cをY軸に沿って跨ぐ門型の第1支持構造10が設けられている。第1支持構造10は、例えば、X軸に沿って一方側(
図1の左手前側)を向いた前面と、X軸に沿って他方側(
図1の右奥側)を向いた後面と、を有しており、この第1支持構造10の前面側には、ロードアーム(第1搬送機構)12が配置されている。
【0028】
図4は、ロードアーム12等を模式的に示す斜視図である。
図4に示されるように、ロードアーム12は、第1支持構造10により支持されたYZ軸移動機構14を有している。YZ軸移動機構14は、例えば、第1支持構造10の前面に固定されY軸に沿って長いY軸ガイドレール16を含む。Y軸ガイドレール16には、Y軸移動部材18がY軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0029】
Y軸移動部材18の第1支持構造10側の部分には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール16に対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、Y軸移動部材18は、Y軸に沿って移動する。
【0030】
Y軸移動部材18の第1支持構造10とは反対の方向を向く面には、Z軸に沿って長いZ軸ガイドレール(不図示)が固定されている。Z軸ガイドレールには、Z軸移動部材20がZ軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0031】
Z軸移動部材20の第1支持構造10側の部分には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレールに対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、Z軸移動部材20は、Z軸に沿って移動する。
【0032】
Z軸移動部材20の下部には、複合基板1を上方から保持することのできる保持パッド22が設けられている。この保持パッド22には、配管(不図示)やバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されており、吸引源が作動している状態でバルブが開かれると、保持パッド22の下面側には、この吸引源で発生した負圧が作用する。複合基板1は、吸引源から作用する負圧に由来して保持パッド22の下面側に発生する吸引力により、保持パッド22に保持される。
【0033】
また、Y軸に沿って保持パッド22の一方側の領域には、複合基板1を把持することのできる把持機構24が配置されている。把持機構24は、例えば、エアアクチュエータ(エアシリンダ)等の直動機構(不図示)を介してZ軸移動部材20の下部に連結される一対の把持板(把持部材)24a、24bを含む。この一対の把持板24a、24bは、直動機構が発生する動力により、互いに接近又は離隔するようにZ軸に沿って相対的に移動する。
【0034】
第1カセット8から複合基板1を取り出して搬送する際には、例えば、YZ軸移動機構14が把持機構24をY軸に沿って一方側に移動させ、一対の把持板24a、24bを、それぞれ、対象の複合基板1の上方及び下方に配置する。この状態で、直動機構が一対の把持板24a、24bを互いに接近させると、対象の複合基板1は、一対の把持板24a、24bによって挟み込まれるように把持される。すなわち、複合基板1は、第1カセット8からロードアーム12へと受け渡される。その後、YZ軸移動機構14が把持機構24をY軸に沿って他方側に移動させ、複合基板1が第1カセット8から引き出される。
【0035】
図1及び
図4に示されるように、凹部4cの上方、かつ、第1支持構造10の前面側の領域には、第1カセット8から取り出された複合基板1の位置を合わせる位置合わせ機構26が配置されている。位置合わせ機構26は、例えば、それぞれがY軸に沿って長い一対のガイドレール(第1支持部材)26a、26bを有している。
【0036】
一対のガイドレール26a、26bは、それぞれ、複合基板1を下方から支持する支持面と、支持面に対して概ね垂直な側面と、を備え、エアアクチュエータ等の直動機構(不図示)を介して互いに連結されている。一対のガイドレール26a、26bは、この直動機構が発生する動力により、概ね平行な状態を維持しながら互いに接近又は離隔するようにX軸に沿って相対的に移動する。
【0037】
ロードアーム12によって第1カセット8から引き出された複合基板1は、位置合わせ機構26を構成する一対のガイドレール26a、26bの支持面に載せられる。なお、複合基板1は、ワークピース7の第1面7aが上を向くように、キャリア板3側を一対のガイドレール26a、26bにより支持される。
【0038】
次に、把持機構24の直動機構が一対の把持板24a、24bを互いに離隔させて、一対の把持板24a、24bによる複合基板1の把持を解除する。つまり、複合基板1は、ロードアーム12から一対のガイドレール26a、26bへと受け渡される。その後、位置合わせ機構26の直動機構が一対のガイドレール26a、26bを互いに接近させる。これにより、複合基板1は、一対のガイドレール26a、26bの側面で挟み込まれ、X軸に沿って基準の位置に合わせられる。
【0039】
図1に示されるように、凹部4c内には、ボールねじ式のチャックテーブル移動機構(加工送り機構)28が配置されている。チャックテーブル移動機構28は、例えば、X軸に沿って長いX軸ガイドレール(不図示)と、X軸ガイドレールに対してスライドできる態様で取り付けられたX軸移動テーブルと、X軸移動テーブルに連結されたねじ軸と、を含む。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源が接続されており、この回転駆動源がねじ軸を回転させると、X軸移動テーブルは、X軸に沿って移動する。
【0040】
X軸移動テーブルの上方は、テーブルカバー30によって覆われている。また、テーブルカバー30のX軸に沿う方向の両端部には、X軸移動テーブル及びテーブルカバー30の移動に応じて伸縮する蛇腹状の防塵防滴カバー32が取り付けられている。X軸移動テーブルの上部には、複合基板1を保持することのできるチャックテーブル(第1支持部材)34が、テーブルカバー30から露出する態様で配置されている。
【0041】
このチャックテーブル34は、例えば、ステンレス鋼に代表される金属で形成された円盤状の枠体36を含む。枠体36の上面側には、上端が円形状に開口した凹部が設けられている。凹部には、この凹部の形状に合致する円盤状の保持板38が嵌め込まれている。保持板38は、代表的には、セラミックス等の材料で多孔質の板状に構成され、その上面で複合基板1を保持する。なお、保持板38の上面は、保持板38が枠体36の凹部に嵌め込まれた状態で、X軸及びY軸に対して概ね平行になるように構成されている。
【0042】
チャックテーブル34には、配管(不図示)やバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されており、吸引源が作動している状態でバルブが開かれると、この吸引源で発生した負圧が保持板38の上面側に作用する。また、チャックテーブル34は、モータ等の回転駆動源(不図示)に接続されており、Z軸に対して概ね平行な回転軸の周りに回転する。更に、チャックテーブル34は、上述したチャックテーブル移動機構28により、X軸移動テーブルとともにX軸に沿って移動する。
【0043】
位置合わせ機構26で基準の位置に合わせられた複合基板1は、例えば、ロードアーム12の保持パッド22により、上方から、すなわち、ワークピース7側を保持される。つまり、複合基板1は、一対のガイドレール26a、26bからロードアーム12へと受け渡される。次に、位置合わせ機構26の直動機構が一対のガイドレール26a、26bを互いに離隔させる。
【0044】
その後、ロードアーム12は、一対のガイドレール26a、26bの隙間の空間を通じて、この一対のガイドレール26a、26bの直下に配置されたチャックテーブル34に複合基板1を載せる。そして、チャックテーブル34は、保持板38の上面側に発生する吸引力で複合基板1を保持する。
【0045】
これにより、複合基板1は、ワークピース7の第1面7aが上を向くように、チャックテーブル34により支持される。すなわち、複合基板1は、ロードアーム12からチャックテーブル34へと受け渡され、この複合基板1のキャリア板3側がチャックテーブル34により保持される。
【0046】
第1支持構造10の後面側の領域には、加工ユニット(切削ユニット)40a、40bが配置されている。これら加工ユニット40a、40bは、それぞれ、ボールねじ式の移動機構(不図示)によってY軸及びZ軸のそれぞれに沿って移動する筒状のスピンドルハウジング(不図示)を備えている。スピンドルハウジング内には、Y軸に対して概ね平行な軸心を持つスピンドル(不図示)が収容されている。
【0047】
スピンドルの先端部は、スピンドルハウジングの外部に露出している。このスピンドルの先端部には、ダイヤモンド等の砥粒が樹脂等の結合材に固定されてなる環状の切削ブレード(不図示)が装着されている。一方で、スピンドルの基端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。
【0048】
複合基板1がチャックテーブル34により保持された後には、例えば、チャックテーブル移動機構28がチャックテーブル34を加工ユニット40a、40bの直下に移動させる。その後、複合基板1は、チャックテーブル34により保持された状態で、加工ユニット40a、40bの一方又は双方により切削加工される。すなわち、複合基板1は、回転している切削ブレードによって切り込まれる。
【0049】
図5は、加工ユニット40a、40bの一方又は双方により加工された後の複合基板1の例を模式的に示す断面図である。
図5に示されるように、本実施形態では、ワークピース7及び仮接着層5が部分的に除去されることにより、複合基板1の外縁部(周縁部)に沿って段差1aが形成されている。これにより、例えば、複合基板1のワークピース7側が上方から保持された状態で、キャリア板3の外縁部に上方から力を加えて、ワークピース7からキャリア板3を剥離することができる。
【0050】
なお、この複合基板1は、製品となるワークピース7の中央側の部分をキャリア板3から剥離できるように加工されればよい。つまり、複合基板1には、必ずしも
図5に示されるような段差1aが形成されなくてよい。
図6は、加工ユニット40a、40bの一方又は双方により加工された後の複合基板1の別の例を模式的に示す断面図である。
【0051】
図6に示される複合基板1では、その外縁部に沿ってワークピース7及び仮接着層5が部分的に除去されることにより、環状の溝1bが形成されている。このように、複合基板1の外縁部に沿って環状の溝1bが形成された場合には、ワークピース7の中央側の部分が上方から保持された状態で、キャリア板3の外縁部に上方から力を加えて、ワークピース7の中央側の部分からキャリア板3を剥離することができる。
【0052】
図1に示されるように、第1支持構造10の前面側には、X軸に沿って長い第2支持構造42が設けられている。第2支持構造42は、例えば、Y軸に沿って一方側を向いた第1側面と、Y軸に沿って他方側を向いた第2側面と、を有しており、この第2支持構造42の第2側面側には、デボンドアーム(搬送分離機構)44が配置されている。
【0053】
図7は、デボンドアーム44等を模式的に示す斜視図である。
図7に示されるように、デボンドアーム44は、第2支持構造42により支持されたXZ軸移動機構46を有している。XZ軸移動機構46は、例えば、第2支持構造42の第2側面に固定されX軸に沿って長いX軸ガイドレール48を含む。X軸ガイドレール48には、X軸移動部材50がX軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0054】
X軸移動部材50の第2支持構造42側の部分には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール48に対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、X軸移動部材50は、X軸に沿って移動する。
【0055】
X軸移動部材50の第2支持構造42とは反対の方向を向く面には、Z軸に沿って長いZ軸ガイドレール(不図示)が固定されている。Z軸ガイドレールには、Z軸移動部材52がZ軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0056】
Z軸移動部材52の第2支持構造42側の部分には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレールに対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、Z軸移動部材52は、Z軸に沿って移動する。
【0057】
Z軸移動部材52には、保持機構54及び分離機構56が設けられている。
図8は、X軸に沿う方向から見た保持機構54及び分離機構56(つまり、デボンドアーム44の一部)を模式的に示す側面図であり、
図9は、Y軸に沿う方向から見た保持機構54及び分離機構56を模式的に示す側面図である。
【0058】
図8及び
図9に示されるように、保持機構54は、Z軸移動部材52の下部に固定される固定板58を備える。固定板58の下面には、圧縮コイルばね等の緩衝部材60を介して、複合基板1を上方から保持することのできる円盤状の保持パッド(第1保持部材)62が連結されている。
【0059】
保持パッド62には、配管(不図示)やバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されており、この吸引源が作動している状態でバルブが開かれると、保持パッド62の下面側には、吸引源で発生した負圧が作用する。複合基板1は、吸引源から作用する負圧に由来して保持パッド62の下面側に発生する吸引力により、保持パッド62に保持される。
【0060】
なお、保持パッド62の直径は、複合基板1の直径よりも小さい。したがって、複合基板1が保持パッド62によって適切に保持されると、複合基板1の外縁部は、保持パッド62の外縁部よりも外側に配置される。これにより、保持パッド62により複合基板1が保持された状態で、保持パッド62側(つまり、上方)から複合基板1の外縁部に力を加えることができる。
【0061】
固定板58の上部には、分離機構56を構成する筐体64が設けられている。この筐体64の内部には、Z軸移動機構(昇降機構)66の一部が配置されている。Z軸移動機構66は、例えば、固定板58よりも上方の位置に固定されZ軸に沿って長いZ軸ガイドレール68を含む。Z軸ガイドレール68には、Z軸移動部材70がZ軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0062】
Z軸移動部材70には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレール68に対して概ね平行なねじ軸72が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸72の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸72を回転させることにより、Z軸移動部材70は、Z軸に沿って移動する。
【0063】
Z軸移動部材70の下端部には、L字状に構成された第1連結具74及び第2連結具76を介して、複合基板1の外縁部に接触させるプッシュ部材78が連結されている。
図10は、プッシュ部材78を模式的に示す斜視図である。
図8、
図9、及び
図10に示されるように、プッシュ部材78は、例えば、樹脂や金属等の材料により、複合基板1の外縁部の形状に対応した形状に構成されている。
【0064】
具体的には、プッシュ部材78は、概ね平坦な上面78aと、上面78aとは反対側に位置する下面78bと、を有している。また、プッシュ部材78は、Y軸に沿って他方側に位置する外側面78cと、Y軸に沿って一方側に位置する内側面78dと、を有している。
【0065】
図10に示されるように、プッシュ部材78の内側面78dは、円柱の側面の一部に相当する形状を有しており、複合基板1の外縁部に沿うように湾曲している。この内側面78dに接続される下面78bの内側面78d側の縁も、内側面78dと同様に、複合基板1の外縁部に沿うように湾曲している。
【0066】
図8及び
図9に示されるように、外側面78cの一部には、第2連結具76が固定されている。また、下面78bは、例えば、X軸に沿って両端のそれぞれに位置する部分の高さに比べて、X軸に沿って中央に位置する部分の高さが僅かに低くなるように、緩やかに湾曲している。つまり、プッシュ部材78は、両端部に比べて中央部が僅かに下方に突出している。
【0067】
このプッシュ部材78は、内側面78dが保持パッド62の外縁よりも僅かに外側に配置されるように、第1連結具74及び第2連結具76を介して、Z軸移動機構66により支持される。そのため、複合基板1が保持パッド62により保持された状態で、Z軸移動機構66によりプッシュ部材78を下降させると、プッシュ部材78の下面78bが複合基板1の外縁部に接触し、プッシュ部材78から複合基板1に下向きの力が加えられる。
【0068】
例えば、複合基板1が
図5又は
図6に示されるような状態へと加工された後には、チャックテーブル移動機構28は、一対のガイドレール26a、26bの直下にチャックテーブル34を移動させる。次に、デボンドアーム44のXZ軸移動機構46が保持機構54及び分離機構56を移動させて、チャックテーブル34に保持されている複合基板1の上面に保持パッド62の下面を接触させる。
【0069】
そして、チャックテーブル34が、複合基板1の保持を解除し、保持パッド62が、その下面側に発生する吸引力で複合基板1を保持する。つまり、複合基板1のワークピース7側が保持パッド62により保持され、複合基板1は、チャックテーブル34からデボンドアーム44へと受け渡される。その後、デボンドアーム44は、複合基板1を搬送する。
【0070】
図1に示されるように、基台4のX軸に沿って凹部4cの一方側の部分には、上面4aに上端が開口した凹部4dが設けられている。この凹部4dには、水等の液体が溜められる液槽(水槽)80が配置されている。液槽80は、例えば、複合基板1を収容できる大きさに構成され、デボンドアーム44により搬送される複合基板1の搬送の経路の途中に配置される。本実施形態では、この液槽80の中に複合基板1の一部又は全部が配置された状態で、ワークピース7からキャリア板3が分離される。
【0071】
図11は、複合基板1の一部が液槽80の中に配置された状態を模式的に示す断面図である。
図11に示されるように、デボンドアーム44は、XZ軸移動機構46により複合基板1を搬送する途中で、複合基板1の一部又は全部を液槽80の中に配置する。より具体的には、例えば、デボンドアーム44は、複合基板1の少なくとも一部を、液槽80に溜められている液体21中に配置する。
【0072】
図11に示されるように、保持パッド62の外縁部には、所定の位置にキャリア板3が存在するか否かを検知できるセンサ82が配置されている。このセンサ82は、代表的には、保持パッド62により複合基板1が保持された状態で複合基板1の外縁部に接触するピン(接触子)を備え、このピンの変位に基づき、所定の位置にキャリア板3が存在するか否かを検知する。
【0073】
図11に示されるように、保持パッド62により複合基板1が保持された後、キャリア板3がワークピース7から分離される前には、センサ82のピンが第1位置に位置づけられる。これにより、センサ82は、キャリア板3が所定の位置に存在すること、つまり、ワークピース7からキャリア板3が分離されていないことを検知する。なお、このセンサ82は、上述のようなピンを備える接触式のセンサでもよいし、光学センサに代表される非接触式のセンサでもよい。
【0074】
複合基板1の一部又は全部が液槽80の中に配置された後には、デボンドアーム44がワークピース7からキャリア板3を分離する。具体的には、
図11に示されるように、Z軸移動機構66がプッシュ部材78を下降させ、複合基板1の外縁部(例えば、段差1a)をプッシュ部材78の下面78bで下向きに押す。
【0075】
このように、複合基板1の外縁部がプッシュ部材78によってワークピース7側から押されると、キャリア板3は、ワークピース7から徐々に剥離され、最終的には、ワークピース7から完全に分離される。
図12は、キャリア板3がワークピース7から分離された状態を模式的に示す断面図である。
図12に示されるように、ワークピース7から分離されたキャリア板3は、液槽80に溜められている液体21中を落下する。そのため、キャリア板3の落下に起因して大きな衝撃が発生することはない。
【0076】
キャリア板3がワークピース7から分離されると、センサ82を構成するピンは、
図11に示される第1位置から、
図12に示される第2位置へと変位する。これにより、センサ82は、キャリア板3が所定の位置に存在しないこと、すなわち、ワークピース7からキャリア板3が分離されたことを検知する。
【0077】
本実施形態では、上述のように、両端部に比べて中央部が僅かに下方に突出したプッシュ部材78が使用されている。そのため、Z軸移動機構66がプッシュ部材78を下降させると、まず、プッシュ部材78の下面78bの中央に位置する部分(X軸に沿って中央に位置する部分)が複合基板1の外縁部に接触し、この接触にかかる部分の傍からキャリア板3の剥離が始まる。
【0078】
キャリア板3の剥離が進行する過程で、キャリア板3は、プッシュ部材78から作用する下向きの力によって、剥離の開始点を頂点とする下に凸の形状となるように僅か変形する。一方で、上述のように、プッシュ部材78の下面78bも、下に凸の形状となるように緩やかに湾曲しているので、変形したキャリア板3に対してプッシュ部材78の下面78bを広い範囲で接触させて、キャリア板3に局所的な力が作用することを防止できる。これにより、キャリア板3は、破損することなくワークピース7から分離される。
【0079】
また、キャリア板3の剥離が進行する過程で、キャリア板3は、その外縁部の剥離の開始点に近い部分が保持パッド62の直下へと向かうように僅かに変形する。一方で、上述のように、プッシュ部材78は、複合基板1の外縁部の形状に対応した形状を有しているので、外縁部の剥離の開始点に近い部分が保持パッド62の直下へと向かうようにキャリア板3が僅かに変形したとしても、キャリア板3に対するプッシュ部材78の接触は、維持される。つまり、プッシュ部材78がキャリア板3を踏み外し難くなる。
【0080】
図1に示されるように、液槽80の傍には、ワークピース搬送機構84が配置されている。ワークピース搬送機構84は、少なくとも一部が凹部4d内に配置されたX軸移動機構86を有している。X軸移動機構86は、例えば、凹部4dに対して固定されX軸に沿って長いX軸ガイドレール88を含む。X軸ガイドレール88には、液槽80に対して干渉しない構造のX軸移動部材90がX軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0081】
X軸移動部材90の下部には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、X軸ガイドレール88に対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、X軸移動部材90は、X軸に沿って移動する。X軸移動部材90の上部には、キャリア板3から分離された状態のワークピース7を支持することのできる支持テーブル(第2支持部材)92が設けられている。
【0082】
ワークピース7からキャリア板3が分離されると、デボンドアーム44は、ワークピース7を保持している保持パッド62を、XZ軸移動機構46により液槽80の直上に移動させる。そして、ワークピース搬送機構84は、X軸移動機構86により、支持テーブル92を液槽80の直上、且つ保持パッド62の直下に移動させる。
【0083】
その後、デボンドアーム44は、保持パッド62をXZ軸移動機構46により下降させて支持テーブル92にワークピース7を載せた上で、保持パッド62によるワークピース7の保持を解除する。これにより、ワークピース7は、デボンドアーム44から支持テーブル92へと受け渡される。
【0084】
なお、支持テーブル92には、この支持テーブル92に載せられるワークピース7に付着した液体又は異物を吸引して除去することができる1又は複数の吸引孔が設けられてもよい。更に、X軸に沿って支持テーブル92の他方側に位置する部分には、デボンドアーム44により支持テーブル92へと搬送されるワークピース7の下面側に接触してこのワークピース7の下面側に付着した液体又は異物を除去することができるブラシ等の除去用部材が配置されてもよい。
【0085】
図1に示されるように、凹部4dの上方には、Y軸に沿って長い第3支持構造94が設けられている。第3支持構造94は、例えば、X軸に沿って一方側を向いた前面と、X軸に沿って他方側を向いた後面と、を有しており、この第3支持構造94の前面側にはアンロードアーム(第2搬送機構)96が配置されている。
【0086】
図13は、アンロードアーム96等を模式的に示す斜視図である。
図13に示されるように、アンロードアーム96は、第3支持構造94により支持されたYZ軸移動機構98を有している。YZ軸移動機構98は、例えば、第3支持構造94の前面に固定されY軸に沿って長いY軸ガイドレール100を含む。Y軸ガイドレール100には、Y軸移動部材102がY軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0087】
Y軸移動部材102の第3支持構造94側の部分には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Y軸ガイドレール100に対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、Y軸移動部材102は、Y軸に沿って移動する。
【0088】
Y軸移動部材102の第3支持構造94とは反対の方向を向く面には、Z軸に沿って長いZ軸ガイドレール(不図示)が固定されている。Z軸ガイドレールには、Z軸移動部材104がZ軸に沿ってスライドできる態様で取り付けられている。
【0089】
Z軸移動部材104の第3支持構造94側の部分には、ボールねじを構成するナット部(不図示)が設けられており、このナット部には、Z軸ガイドレールに対して概ね平行なねじ軸(不図示)が、回転できる態様で連結されている。ねじ軸の端部には、モータ等の回転駆動源(不図示)が接続されている。この回転駆動源によってねじ軸を回転させることにより、Z軸移動部材104は、Z軸に沿って移動する。
【0090】
Z軸移動部材104のX軸に沿って一方側の部分には、キャリア板3から分離されたワークピース7を保持することのできる保持ハンド(第2保持部材)106が設けられている。この保持ハンド106には、配管(不図示)やバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されており、吸引源が作動している状態でバルブが開かれると、保持ハンド106の保持面側(例えば、
図13の下面側)には、この吸引源で発生した負圧が作用する。
【0091】
ワークピース7は、吸引源から作用する負圧に由来して保持ハンド106の保持面側に発生する吸引力により、保持ハンド106に保持される。なお、保持ハンド106は、モータ等の回転駆動源(不図示)を介してZ軸移動部材104に連結されている。この回転駆動源の動力によって、保持ハンド106の上下が反転される。
【0092】
ワークピース7が支持テーブル92へと受け渡された後には、ワークピース搬送機構84は、X軸移動機構86により、支持テーブル92をアンロードアーム96の直下に移動させる。また、アンロードアーム96は、YZ軸移動機構98により、保持ハンド106を支持テーブル92の直上に移動させる。
【0093】
その後、アンロードアーム96は、保持ハンド106をYZ軸移動機構98により下降させて、支持テーブル92上のワークピース7に保持ハンド106を接触させた上で、この保持ハンド106によりワークピース7を保持する。これにより、ワークピース7は、支持テーブル92からアンロードアーム96へと受け渡される。
【0094】
図1に示されるように、基台4のX軸に沿って凹部4dの一方側の部分には、上面4aに上端が開口した凹部4eが設けられている。この凹部4eには、例えば、ボールねじ式の昇降機構(不図示)によって昇降する第2カセットテーブル108が配置されている。
【0095】
第2カセットテーブル108の上面には、例えば、それぞれがキャリア板3から分離された複数のワークピース7を収容できる第2カセット110が載せられる。第2カセット110の内部には、それぞれが1枚のワークピース7を支持することのできる複数の棚が、上下に重なるように設けられている。なお、
図1では、説明の便宜上、第2カセット110の輪郭のみが二点鎖線で示されている。また、第2カセットテーブル108の上面には、1枚のワークピース7のみを収容できる第2カセットが載せられてもよい。
【0096】
ワークピース7がアンロードアーム96へと受け渡された後には、例えば、アンロードアーム96は、回転駆動源により保持ハンド106の上下を反転させた上で、YZ軸移動機構98により保持ハンド106をY軸に沿って一方側に移動させて、第2カセット110の任意の棚の上にワークピース7を載せる。そして、アンロードアーム96は、保持ハンド106によるワークピース7の保持を解除する。
【0097】
これにより、キャリア板3から分離されたワークピース7が、第2カセット110に搬送され、収容される。すなわち、ワークピース7は、アンロードアーム96から第2カセット110へと受け渡される。
【0098】
図1に示されるように、X軸に沿って液槽80の他方側の領域には、キャリア板搬送機構112が配置されている。
図14は、キャリア板搬送機構112等を模式的に示す斜視図である。
図14に示されるように、キャリア板搬送機構112は、少なくとも一部が凹部4d内に配置されたY軸移動機構114を有している。
【0099】
Y軸移動機構114は、例えば、エアアクチュエータ(エアシリンダ)等の直動機構(不図示)であり、Y軸に沿って長いシリンダ116と、シリンダ116に沿ってスライドするY軸移動部材118と、を含む。Y軸移動部材118は、シリンダ116に供給されるエアの圧力によりY軸に沿って移動する。このY軸移動部材118には、ワークピース7から分離された状態のキャリア板3を上方から保持することのできる保持機構120が設けられている。
【0100】
保持機構120は、例えば、Y軸移動部材118に固定される筐体122を含む。この筐体122には、ワークピース7から分離された状態のキャリア板3を保持することのできる保持パッド(第3保持部材)124が、エア駆動のロータリアクチュエータ(ロータリシリンダ)を含む直動機構(不図示)を介して接続されている。保持パッド124は、直動機構が発生する動力により、Z軸に沿って移動する。
【0101】
保持パッド124には、配管(不図示)やバルブ(不図示)等を介して、エジェクタ等の吸引源(不図示)が接続されており、吸引源が作動している状態でバルブが開かれると、保持パッド124の下面側には、この吸引源で発生した負圧が作用する。キャリア板3は、吸引源から作用する負圧に由来して保持パッド124の下面側に発生する吸引力により、保持パッド124に保持される。
【0102】
また、
図1及び
図14に示されるように、液槽80のY軸に沿って一方側の領域には、ワークピース7から分離されたキャリア板3を収容できるキャリア板回収ボックス(容器)126が配置されている。なお、このキャリア板回収ボックス126には、キャリア板3から流れ落ちる液体21等を外部に排出できるドレイン(排液路)が設けられていることが望ましい。
【0103】
ワークピース7から分離され液槽80の中に落下したキャリア板3は、キャリア板搬送機構112により搬送される。具体的には、キャリア板搬送機構112は、Y軸移動機構114により保持機構120を液槽80の直上に移動させた上で、直動機構により保持パッド124を下降させ、液槽80中のキャリア板3に保持パッド124を接触させる。そして、キャリア板搬送機構112は、保持パッド124でキャリア板3を保持する。その後、キャリア板搬送機構112は、直動機構により保持パッド124を上昇させる。
【0104】
保持パッド124でキャリア板3が保持された後には、キャリア板搬送機構112は、Y軸移動機構114により保持機構120をキャリア板回収ボックス126の直上に移動させた上で、直動機構により保持パッド124を下降させる。そして、キャリア板搬送機構112は、保持パッド124によるキャリア板3の保持を解除する。これにより、不要なキャリア板3がキャリア板回収ボックス126に収容される。
【0105】
図1に示されるように、上述した分離装置2の複数の構成要素には、各構成要素の動作を制御するコントローラ128が接続されている。コントローラ128は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の処理装置130と、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の主記憶装置を有する記憶装置132と、を含むコンピュータにより構成される。
【0106】
任意のプログラム(ソフトウェア)に従いこのコンピュータが動作することにより、コントローラ128の機能が実現される。なお、コントローラ128の機能を実現するプログラムは、例えば、記憶装置132に含まれることがあるハードディスクドライブやフラッシュメモリ等の補助記憶装置に記憶されてもよいし、コンピュータ等による読み取りが可能な光ディスク等の非一時的な記録媒体に記憶されてもよいし、コントローラ128の外部から通信回線等を介して提供されてもよい。
【0107】
なお、このコントローラ128は、ワークピース7からキャリア板3が分離されたことをセンサ82により検知した場合に、キャリア板3の剥離にかかるデボンドアーム44の動作を終了して、デボンドアーム44から支持テーブル92へとワークピース7を受け渡す動作を開始することが望ましい。これにより、キャリア板3の分離にかかる効率が高められる。
【0108】
また、このコントローラ128は、キャリア板3の剥離の進行状況に合わせて、プッシュ部材78を下降させる速度や、プッシュ部材78からキャリア板3に作用する圧力等を調整する機能を備えることが望ましい。
【0109】
例えば、コントローラ128は、プッシュ部材78を下降させるZ軸移動機構66の回転駆動源に供給される電流をモニタし、この電流の値が上限値を超えた場合には、プッシュ部材78の下降を止める機能を有する。キャリア板3の剥離が適切に進行せず、Z軸移動機構66の回転駆動源に供給される電流の値が上限値を超えるほどに大きくなると、プッシュ部材78からキャリア板3に作用する圧力も極端に大きくなり、複合基板1が破損する可能性が高くなるためである。
【0110】
また、例えば、コントローラ128は、プッシュ部材78を下降させるZ軸移動機構66の回転駆動源に供給される電流をモニタし、この電流の値に合わせてプッシュ部材78の下降の速度を調整する機能を有する。具体的には、コントローラ128は、キャリア板3の剥離が進行して電流の値が基準値より小さくなった場合に、プッシュ部材78の下降の速度を上げて剥離が完了するまでの時間を短縮する。また、コントローラ128は、キャリア板3の剥離の開始時のように電流の値が基準値より大きい場合に、プッシュ部材78の下降の速度を下げて複合基板1の破損を防ぐ。
【0111】
以上のように、本実施形態にかかる分離装置2は、複合基板1を第1カセット8から搬送するための構造と、複合基板1のキャリア板3をワークピース7から分離するための構造と、キャリア板3から分離されたワークピース7を第2カセット110に搬送するための構造と、これらを制御するコントローラ128と、を併せ備えている。よって、本実施形態にかかる分離装置2によれば、複合基板1を構成するワークピース7からキャリア板3を自動で分離することができる。
【0112】
なお、本発明は、上述した実施形態の記載に制限されず種々変更して実施可能である。例えば、上述した実施形態の分離装置2は、複合基板1の外縁部の形状に対応した形状のプッシュ部材78を備えているが、本発明の分離装置は、他の形状のプッシュ部材を備えてもよい。
図15は、第1変形例にかかるプッシュ部材202を模式的に示す側面図である。
【0113】
図15に示されるように、第1変形例にかかるプッシュ部材202は、X軸及びZ軸に対して沿うように配置される板部材204を有する。板部材204の下部には、板部材204よりも小さな2枚の板部材206、208が、X軸及びZ軸に対して沿うようにボルト等で固定されている。これら2枚の板部材206、208は、例えば、樹脂や金属等の材料で構成され、X軸に沿って互いに離れた位置に配置される。
【0114】
板部材206の下端の縁206aと板部材208の下端の縁208aとは、X軸に対して傾斜している。具体的には、板部材206の下端の縁206aは、板部材208から遠い部分の高さに比べて板部材208に近い部分の高さが僅かに低くなるように傾斜している。また、板部材208の下端の縁208aは、板部材206から遠い部分の高さに比べて板部材206に近い部分の高さが僅かに低くなるように傾斜している。
【0115】
この第1変形例にかかるプッシュ部材202が使用される場合にも、キャリア板3の剥離が進行する過程で変形するキャリア板3に対して、板部材206の下端の縁206aと板部材208の下端の縁208aとを広い範囲で接触させて、キャリア板3に局所的な力が作用することを防止できる。これにより、キャリア板3は、破損することなくワークピース7から分離される。
【0116】
なお、第1変形例にかかるプッシュ部材202が使用される場合には、上述した実施形態で使用されるL字状に構成された第1連結具74及び第2連結具76は、必ずしも使用されなくてよい。すなわち、プッシュ部材202の板部材204は、Z軸移動部材70に対して直に固定されてもよい。
【0117】
また、上述した実施形態の分離装置2は、円盤状に構成された複合基板1をキャリア板3とワークピース7とに分離することができるように構成されているが、本発明の分離装置は、他の形状の複合基板をキャリア板とワークピースとに分離することができるように構成されてもよい。なお、その場合には、複合基板の保持、支持、分離等にかかる構造の形状が、対象の複合基板の形状に合わせて変更され得る。
【0118】
図16は、第2変形例にかかるプッシュ部材212を模式的に示す斜視図である。プッシュ部材212は、例えば、矩形状の表面(上面)と裏面(下面)とを有する複合基板の外縁部の形状に対応した形状に構成されている。具体的には、プッシュ部材212は、X軸に沿って複合基板に対応した長さを有するブラケット214を有する。
【0119】
X軸に沿ってブラケット214の両端部には、それぞれ、L字状に構成された部材216、218のいずれかが固定されている。部材216は、L字の両端に向かって僅かに高くなるように傾斜した下面216aと、複合基板1の外縁部の角に沿うように屈曲した内側面216bと、を有する。同様に、部材218は、L字の両端に向かって僅かに高くなるように傾斜した下面218aと、複合基板1の外縁部の角に沿うように屈曲した内側面218bと、を有する。
【0120】
この第2変形例にかかるプッシュ部材212が使用される場合にも、キャリア板の剥離が進行する過程で変形するキャリア板に対して、部材216の下面216aと部材218の下面218aとを広い範囲で接触させて、キャリア板に局所的な力が作用することを防止できる。これにより、キャリア板は、破損することなくワークピースから分離される。
【0121】
また、この第2変形例にかかるプッシュ部材212は、複合基板の外縁部の形状に対応した形状を有しているので、外縁部の剥離の開始点に近い部分が保持パッドの直下へと向かうようにキャリア板が僅かに変形したとしても、キャリア板に対するプッシュ部材212の接触は、維持される。つまり、プッシュ部材212がキャリア板を踏み外してしまうことがない。
【0122】
なお、第2変形例にかかるプッシュ部材212が使用される場合には、上述した実施形態で使用されるL字状に構成された第2連結具76は、必ずしも使用されなくてよい。すなわち、プッシュ部材212のブラケット214は、第1連結具74のみを介してZ軸移動部材70に連結されてもよい。
【0123】
また、上述した実施形態の分離装置2では、Z軸移動機構66によりプッシュ部材78をZ軸に沿って移動させているが、プッシュ部材78は、Z軸に対して傾斜した方向に沿って移動してもよい。例えば、キャリア板3の剥離に伴い保持パッド62の直下へと向かうように移動するキャリア板3の外縁部に追従するようにプッシュ部材78を移動させれば、プッシュ部材78のキャリア板3からの踏み外しを効果的に抑制できる。
【0124】
また、上述した実施形態の分離装置2には、剥離の際の起点となるように仮接着層5の一部を加工する仮接着層加工ユニットが設けられてもよい。仮接着層加工ユニットは、例えば、仮接着層5に対して差し込むことができる針状又は刃状の加工具を備え、複合基板1がロードアーム12からデボンドアーム44へと受け渡される前、又はデボンドアーム44へと受け渡された後に、仮接着層5の一部を加工できるように構成される。
【0125】
また、上述した実施形態の分離装置2は、切削ブレードを使用して複合基板1を切削加工する加工ユニット(切削ユニット)40a、40bを備えるが、本発明の分離装置は、切削ユニットの代わりに、レーザービームを使用して複合基板1を加工するレーザー加工ユニットを備えてもよい。
【0126】
更に、本発明の分離装置は、必ずしも加工ユニットを備えなくてよい。ただし、その場合には、上述した実施形態のように加工された後の複合基板1(
図5や
図6に示される複合基板1)が第1カセット8に収容される。また、この場合には、複合基板1は、チャックテーブル34を介さずに、一対のガイドレール26a、26bのみを介してロードアーム12からデボンドアーム44へと受け渡される。
【0127】
その他、上述した実施形態及び各変形例にかかる構造、方法等は、本発明の目的の範囲を逸脱しない限りにおいて変更して実施され得る。
【符号の説明】
【0128】
2 :分離装置
4 :基台
4a :上面
4b :凹部
4c :凹部
4d :凹部
4e :凹部
6 :第1カセットテーブル
8 :第1カセット
10 :第1支持構造
12 :ロードアーム(第1搬送機構)
14 :YZ軸移動機構
16 :Y軸ガイドレール
18 :Y軸移動部材
20 :Z軸移動部材
22 :保持パッド
24 :把持機構
24a :把持板(把持部材)
24b :把持板(把持部材)
26 :位置合わせ機構
26a :ガイドレール(第1支持部材)
26b :ガイドレール(第1支持部材)
28 :チャックテーブル移動機構(加工送り機構)
30 :テーブルカバー
32 :防塵防滴カバー
34 :チャックテーブル(第1支持部材)
36 :枠体
38 :保持板
40a :加工ユニット(切削ユニット)
40b :加工ユニット(切削ユニット)
42 :第2支持構造
44 :デボンドアーム(搬送分離機構)
46 :XZ軸移動機構
48 :X軸ガイドレール
50 :X軸移動部材
52 :Z軸移動部材
54 :保持機構
56 :分離機構
58 :固定板
60 :緩衝部材
62 :保持パッド(第1保持部材)
64 :筐体
66 :Z軸移動機構(昇降機構)
68 :Z軸ガイドレール
70 :Z軸移動部材
72 :ねじ軸
74 :第1連結具
76 :第2連結具
78 :プッシュ部材
78a :上面
78b :下面
78c :外側面
78d :内側面
80 :液槽(水槽)
82 :センサ
84 :ワークピース搬送機構
86 :X軸移動機構
88 :X軸ガイドレール
90 :X軸移動部材
92 :支持テーブル(第2支持部材)
94 :第3支持構造
96 :アンロードアーム(第2搬送機構)
98 :YZ軸移動機構
100 :Y軸ガイドレール
102 :Y軸移動部材
104 :Z軸移動部材
106 :保持ハンド(第2保持部材)
108 :第2カセットテーブル
110 :第2カセット
112 :キャリア板搬送機構
114 :Y軸移動機構
116 :Y軸ガイドレール
118 :Y軸移動部材
120 :保持機構
122 :筐体
124 :保持パッド(第3保持部材)
126 :キャリア板回収ボックス(容器)
128 :コントローラ
130 :処理装置
132 :記憶装置
202 :プッシュ部材
204 :板部材
206 :板部材
206a :縁
208 :板部材
208a :縁
212 :プッシュ部材
214 :ブラケット
216 :部材
216a :下面
216b :内側面
218 :部材
218a :下面
218b :内側面
1 :複合基板
1a :段差
1b :溝
3 :キャリア板
3a :第1面(表面)
3b :第2面(裏面)
5 :仮接着層
7 :ワークピース
7a :第1面(表面)
7b :第2面(裏面)
7c :分割予定ライン
9 :デバイスチップ
11 :モールド樹脂層
21 :液体