IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京エレクトロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-処理装置 図1
  • 特開-処理装置 図2
  • 特開-処理装置 図3
  • 特開-処理装置 図4
  • 特開-処理装置 図5
  • 特開-処理装置 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152265
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241018BHJP
   H05H 1/46 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/302 101M
H05H1/46 A
H05H1/46 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066351
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】小林 民宏
(72)【発明者】
【氏名】北原 聡文
【テーマコード(参考)】
2G084
5F004
【Fターム(参考)】
2G084AA01
2G084BB30
2G084CC05
2G084CC06
2G084CC14
2G084CC33
2G084DD04
2G084DD19
2G084DD42
2G084DD44
2G084DD65
2G084FF15
2G084FF39
5F004AA01
5F004AA16
5F004BA04
5F004BB13
5F004BB29
(57)【要約】
【課題】処理装置のメンテナンス作業を軽減するための技術を提供する。
【解決手段】一つの例示的実施形態において、処理装置が提供される。プレート部はシャワープレートの上方に設けられ、連結部材はシャワープレートに固定されプレート部に向けて突出しシャワープレートをプレート部に連結するように構成され、プレート部の下面にはシャワープレートに対向するように配置されたガイド溝が設けられ、連結部材のうちプレート部に向けて突出した突出部分はガイド溝内に収容され、プレート部に設けられたガイド溝の一端内にシャワープレートに固定された連結部材の突出部分が収容されることによってプレート部に対するシャワープレートの位置が定まり、一端内に突出部分が収容され本体部から蓋部が離隔された状態ではシャワープレートがプレート部から吊り下げられた状態となる。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理容器の下部を構成する本体部と、
前記処理容器の上部を構成し、前記本体部上に載置されるように構成された蓋部と、
を備え、
前記蓋部は、シャワープレート、該シャワープレートの上方に設けられたプレート部、及び該シャワープレートに固定され該プレート部に向けて突出し該シャワープレートを該プレート部に連結するように構成された連結部材を有し、
前記プレート部の下面には、前記シャワープレートに対向するように配置されたガイド溝が設けられ、
前記連結部材のうち前記プレート部に向けて突出した突出部分は、前記ガイド溝内に収容され、
前記プレート部に設けられた前記ガイド溝の一端内に前記シャワープレートに固定された前記連結部材の前記突出部分が収容されることによって、前記プレート部に対する前記シャワープレートの位置が定まり、
前記一端内に前記突出部分が収容され前記本体部から前記蓋部が離隔された状態では、該一端における前記ガイド溝の開口に設けられた支持部に前記連結部材の先端が支持されることによって、前記シャワープレートが前記プレート部から吊り下げられた状態となる、
処理装置。
【請求項2】
前記蓋部は、二重のOリングを有するシール部材を有し、
前記シール部材は、前記処理空間を前記処理容器の外部から気密に遮断するように構成されている、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項3】
前記連結部材は、その先端に設けられた頭頂部及び該頭頂部に接続され該頭頂部よりも小径の軸部を有し、
前記頭頂部及び前記軸部は、前記突出部分を提供する、
請求項1に記載の処理装置。
【請求項4】
前記ガイド溝の前記一端には、前記頭頂部よりも小径であって前記軸部よりも大径の開口を有する縮幅部が設けられており、
前記縮幅部内に前記突出部分が収容され前記本体部から前記蓋部が離隔された状態では、前記頭頂部が前記支持部によって支持される、
請求項3に記載の処理装置。
【請求項5】
前記ガイド溝の他の一端には、前記頭頂部よりも大径の開口を有する拡幅部が設けられている、
請求項4に記載の処理装置。
【請求項6】
前記突出部分が前記縮幅部内に収容されている状態から、前記シャワープレートを前記プレート部の周方向に回転させて該突出部分を前記拡幅部に移動させることができる、
請求項5に記載の処理装置。
【請求項7】
前記プレート部の周方向に対応するように設けられた少なくとも三個の前記連結部材と、
前記少なくとも三個の前記連結部材のそれぞれに対向する位置に設けられ該連結部材と同数個の前記ガイド溝と、
を備える、
請求項1~4の何れか一項に記載の処理装置。
【請求項8】
前記少なくとも三個の前記連結部材及び該連結部材の個数と同数個の前記ガイド溝とは、前記周方向において等配とならないように配置されている、
請求項7に記載の処理装置。
【請求項9】
前記プレート部は、上部電極である、
請求項1~4の何れか一項に記載の処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、シャワーヘッド及び側壁を有するプラズマ処理チャンバを備えたプラズマ処理装置が開示されている。プラズマ処理装置のメンテナンスは、プラズマ処理チャンバからシャワーヘッドを分離しプラズマ処理チャンバの内側を露出して行われ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-111772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、処理装置のメンテナンス作業を軽減するための技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、処理装置が提供される。処理装置は、処理容器と、本体部と、蓋部とを備える。処理容器は、処理空間を提供する。本体部は、処理容器の下部を構成する。蓋部は、処理容器の上部を構成し、本体部上に載置されるように構成されている。蓋部は、シャワープレート、プレート部、及び連結部材を有する。プレート部は、シャワープレートの上方に設けられている。連結部材は、シャワープレートに固定されプレート部に向けて突出しシャワープレートをプレート部に連結するように構成されている。プレート部の下面には、シャワープレートに対向するように配置されたガイド溝が設けられている。連結部材のうちプレート部に向けて突出した突出部分は、ガイド溝内に収容されている。プレート部に設けられたガイド溝の一端内にシャワープレートに固定された連結部材の突出部分が収容されることによって、プレート部に対するシャワープレートの位置が定まる。一端内に突出部分が収容され本体部から蓋部が離隔された状態では、一端におけるガイド溝の開口に設けられた支持部に連結部材の先端が支持されることによって、シャワープレートがプレート部から吊り下げられた状態となる。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、処理装置のメンテナンスでの作業を軽減するための技術が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の構成を例示する図である。
図2】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置の上部電極の下面の構成を例示する図である。
図3】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置において、上部電極及びシャワープレートを連結する連結部材が上部電極の下面に設けられたガイド溝によってガイドされる様子を例示する図である。
図4】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置のメンテナンス作業前において、シャワープレートを含む蓋部が本体部に取り付けられ上部電極がシャワープレートに密接された状態を例示する図である。
図5】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置のメンテナンス作業中において、シャワープレートに固定された連結部材によってシャワープレート、更に支持枠体、放出部を含む構成が一体的に上部電極に吊り下げられている状態を例示する図である。
図6】一つの例示的実施形態に係るプラズマ処理装置において、シャワープレートに固定された連結部材が上部電極のガイド溝の拡幅部にガイドされシャワープレートが上部電極から取り外し可能となっている状態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
図1は、処理装置の一例としてのプラズマ処理装置1の構成を例示する図である。図1に示すプラズマ処理装置1は、処理容器10、基板支持部12、上部電極14、放出部16、及び導波部18を備える。
【0010】
処理容器10は、その内部においてプラズマ処理が行われる処理空間10sを提供している。処理空間10sはプラズマ生成空間を含んでいる。プラズマ処理装置1では、基板Wは、処理空間10sの中で処理される。処理容器10は、アルミニウムのような金属から形成されており、接地されている。
【0011】
処理容器10は、処理容器10の下部を構成する本体部12bを有しており、その上端において開口されている。処理容器10は、処理容器10の上部を構成し、本体部12b上に載置されるように構成された蓋部12aを有する。
【0012】
蓋部12a及び本体部12bは、略円筒形状を有し得る。処理空間10sは、本体部12bの内側に提供されている。蓋部12a、本体部12b、及び処理空間10sの各々の中心軸線は、軸線AXである。
【0013】
処理容器10は、その表面に耐腐食性を有する膜を有していてもよい。耐腐食性を有する膜は、酸化イットリウム膜、酸化フッ化イットリウム膜、フッ化イットリウム膜、酸化イットリウム、又はフッ化イットリウム等を含むセラミック膜であり得る。
【0014】
蓋部12aは、シャワープレート22、プレート部、及び連結部材15を有する。プレート部は、シャワープレート22の上方に設けられている。連結部材15は、シャワープレート22に固定されプレート部に向けて突出し、シャワープレート22をプレート部に連結するように構成されている。プレート部は、例えば上部電極14であり得る。
【0015】
蓋部12aは、更に、支持枠体13及び放出部16を有する。支持枠体13は、放出部16を支持するように構成されている。蓋部12aが本体部12bに接続されている状態では、蓋部12aは、支持枠体13を介して本体部12b上に載置され、支持枠体13及び本体部12bが密接する。放出部16は、シャワープレート22及び支持枠体13の間に配置されており、シャワープレート22及び支持枠体13に固定されている。
【0016】
本体部12bの底部は、排気口10eを提供している。排気口10eには、排気装置が接続される。排気装置は、ドライポンプ及び/又はターボ分子ポンプのような真空ポンプと自動圧力制御弁を含み得る。
【0017】
基板支持部12は、処理空間10sの中に設けられている。基板支持部12は、その上面の上に載置された基板Wを略水平に支持するように構成されている。基板支持部12は、略円盤形状を有している。基板支持部12の中心軸線は、軸線AXである。
【0018】
上部電極14は、基板支持部12の上方に処理空間10sを介して設けられている。上部電極14は、金属(例えばアルミニウム)のような導体から形成されており、略円盤形状を有している。上部電極14の中心軸線は、軸線AXである。
【0019】
上部電極14は、複数のスロット14sを提供しており、複数の梁14bを含んでいる。複数のスロット14sは、放出部16の上方に配置されている。複数のスロット14sは、上部電極14をその厚さ方向(鉛直方向)に沿って貫通しており、周方向に長く延びている。
【0020】
複数のスロット14sは、互いに離間しており、軸線AXの周りで周方向に沿って配列されている。複数のスロット14sは、等間隔に配列されていてもよい。複数の梁14bは、軸線AXの周りで周方向に沿って複数のスロット14sと交互に配列されている。複数の梁14bは、上部電極14の内側部分と外側部分を互いに連結している。
【0021】
放出部16は、そこから処理空間10sに電磁波を放出するために設けられている。プラズマ処理装置1では、放出部16から処理空間10sに放出される電磁波により、処理空間10s内のガスが励起されて、プラズマが生成される。放出部16から処理空間10sに放出される電磁波は、VHF波又はUHF波のような高周波であり得る。
【0022】
放出部16は、石英、窒化アルミニウム、又は酸化アルミニウムのような誘電体から形成されている。放出部16は、処理空間10sの横方向端部に設けられており、軸線AXの周りで周方向に延在している。放出部16は、環形状を有していてもよい。
【0023】
導波部18は、放出部16に電磁波を供給するように構成されている。電磁波は、後述する高周波電源24によって発生される。電磁波は、導波部18を介して放出部16に伝搬し、放出部16から処理空間10s内に導入される。導波部18は、共振器20を含んでいる。
【0024】
共振器20は、導波路20wを提供している。導波路20wは、金属のような導体から形成された壁(以下、「導体壁」という)によって囲まれた空洞を提供していてもよい。導波路20wの導体壁は、アルミ合金、銅、ニッケル、又はステンレス等から形成されていてもよく、銀、金、又はロジウム等の低抵抗材料で被覆されていてもよい。
【0025】
一実施形態において、共振器20の導波路20wは、上部20a及び下部20bを含む層構造を有していてもよい。下部20bは、軸線AXの周りで複数の第2の短絡部202に向けて軸線AXに対して径方向に延びている。
【0026】
上部20aは、下部20bの上方且つ軸線AXの周りで、第1の短絡部201から径方向に対して反対方向に延びている。即ち、上部20aは、第1の短絡部201から軸線AXに近付く方向に延びている。導波路20wは、軸線AXの周りで第1の短絡部201から複数の第2の短絡部202まで蛇行するように径方向とその反対方向とに交互に延びている。
【0027】
一実施形態において、導波路20wは、中間部20cを更に含んでいてもよい。中間部20cは、上部20aと下部20bとの間に設けられている。即ち、中間部20cは、上部20aの下、且つ、下部20bの上に設けられている。
【0028】
中間部20cの一端は、上部20aにおける内側の端部、即ち、第1の短絡部201に対して内側の上部20aの端部に接続している。中間部20cの他端は、下部20bにおける内側の端部、即ち、複数の第2の短絡部202に対して内側の下部20bの端部に接続している。中間部20cは、軸線AXの周りで蛇行するように径方向とその反対方向とに交互に延びていてもよい。
【0029】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、電磁波を導波路20wに導入するためにコネクタ40を更に備えていてもよい。コネクタ40は、同軸線路28の一部である。高周波電源24は、同軸線路28及びコネクタ40を介して、上部20aに結合されている。コネクタ40は、軸線AXから径方向に離れた位置で上部20aに結合されていてもよい。
【0030】
一実施形態において、プラズマ処理装置1は、シャワープレート22を更に含んでいてもよい。シャワープレート22は、アルミニウムのような金属から形成されていてもよい。放出部16は、シャワープレート22を囲むように延在している。
【0031】
放出部16及びシャワープレート22は、処理容器10の上端の開口を閉じるように配置されている。シャワープレート22は、複数のガス孔22hを提供している。複数のガス孔22hは、シャワープレート22の厚さ方向(鉛直方向)に延びており、シャワープレート22を貫通している。
【0032】
シャワープレート22は、上部電極14の下に設けられている。シャワープレート22と上部電極14は、それらの間にガス拡散空間14dを画成している。ガス拡散空間14dの中心軸線は、軸線AXであり得る。ガス拡散空間14dには、シャワープレート22の複数のガス孔22hが接続している。また、上部電極14は、入口14hを提供している。入口14hは、軸線AX上で延在していてもよい。入口14hは、ガス拡散空間14dに接続している。
【0033】
ガス拡散空間14dには、ガス供給部26が接続されている。ガス供給部26から出力されるガスは、入口14h、ガス拡散空間14d、及び複数のガス孔22hを介して処理空間10sに供給される。
【0034】
プラズマ処理装置1は、高周波電源24を更に備えていてもよい。高周波電源24は、共振器20の導波路に電気的に結合されており、その周波数が可変である高周波電力を発生するように構成されている。処理容器10内に導入される電磁波は、高周波電源24によって発生される高周波電力に基づいて発生する。
【0035】
高周波電源24は、同軸線路28を用いて共振器20の導波路に直結されていてもよい。即ち、高周波電源24は、インピーダンス整合用の整合器を介さずに、共振器20の導波路に結合されていてもよい。
【0036】
以下、図1と共に図2を参照する。図2は、プラズマ処理装置1の上部電極14の構成を例示する図である。図2は、図1のII-II線に沿ってとった断面図であり、上部電極14の上面の構成を例示する図である。
【0037】
共振器20は、第1の短絡部201及び複数の第2の短絡部202を含んでいる。第1の短絡部201は、共振器20の導波路20wの一端を構成している。一実施形態において、第1の短絡部201は、軸線AXの周りで周方向に沿って延在していてもよい。
【0038】
複数の第2の短絡部202は、共振器20の導波路20wの他端を構成している。複数の第2の短絡部202は、軸線AXの周りで周方向に沿って軸対称に配列(等配)されている。なお、複数の梁14bは、複数の第2の短絡部202を構成している。
【0039】
共振器20は、複数の間隙20gを提供している。複数の間隙20gは、軸線AXの周りで周方向に沿って複数の第2の短絡部202と交互に配列されている。複数の間隙20gは、放出部16に電磁的に結合されている。なお、複数のスロット14sは、複数の間隙20gを構成している。
【0040】
プラズマ処理装置1は、上部電極14の周方向に設けられた少なくとも三個の連結部材15を備え得る。プラズマ処理装置1は、少なくとも三個の連結部材15のそれぞれに対向する位置に設けられ連結部材15と同数個のガイド溝14eを備え得る。少なくとも三個の連結部材15及び連結部材15の個数と同数個のガイド溝14eとは、上部電極14の周方向において等配とならないように配置されている。
【0041】
プラズマ処理装置1では、複数の第2の短絡部202、即ち複数の梁14bと、第1の短絡部201との間で、電磁波の共振が生じる。共振器20において共振した電磁波は、複数の間隙20g、即ち複数のスロット14sを通って放出部16に供給される。放出部16に供給された電磁波は、放出部16から処理空間10sに放出される。
【0042】
以下、図1及び図2と共に図3及び図4を参照する。図3は、上部電極14及びシャワープレート22を連結する連結部材15が上部電極14の下面14aに設けられたガイド溝14eによってガイドされる様子を例示する図である。図4は、プラズマ処理装置1のメンテナンス作業前において、シャワープレート22を含む蓋部12aが本体部12bに取り付けられ上部電極14がシャワープレート22に密接された状態を例示する図である。
【0043】
プレート部の一例である上部電極14の下面14aには、シャワープレート22に対向するように配置されたガイド溝14eが設けられている。連結部材15のうちシャワープレート22から上部電極14に向けて突出した突出部分151は、ガイド溝14e内に収容される。突出部分151がガイド溝14eの一端(縮幅部14e2)内に収容されることによって、上部電極14に対するシャワープレート22の位置が定まる。
【0044】
より具体的に説明する。連結部材15は、その先端に設けられた頭頂部15a及び頭頂部15aに接続され頭頂部15aよりも小径の軸部15bを有する。頭頂部15a及び軸部15bは、突出部分151を提供する。
【0045】
連結部材15は、シャワープレート22内にあって軸部15bの下端に設けられた下端部15cを有する。下端部15cがシャワープレート22内においてシャワープレート22に固定されることによって連結部材15がシャワープレート22に固定される。
【0046】
ガイド溝14eの一端には、頭頂部15aよりも小径であって軸部15bよりも大径の開口を有する縮幅部14e2が設けられている。ガイド溝14eの他端には、頭頂部15aよりも大径の開口を有する拡幅部14e1が設けられている。縮幅部14e2内に突出部分151が収容され本体部12bから前記蓋部12aが離隔された状態では、頭頂部15aが支持部141によって支持される。
【0047】
突出部分151が縮幅部14e2に収容された連結部材15は、方向AR1及び方向AR2に突出部分151を拡幅部14e1にガイド(移動)され得る。突出部分151が拡幅部14e1に収容された連結部材15は、拡幅部14e1を介してガイド溝14e内から抜き出され得る。
【0048】
縮幅部14e2内に突出部分151が収容されていると共に蓋部12aが本体部12bに載置された状態では、重力によって上部電極14がシャワープレート22に密接し、頭頂部15aと支持部141とが離隔する。
【0049】
蓋部12aは、シール部材14f1及びシール部材14f2を有する。シール部材14f1は、上部電極14及びシャワープレート22が接する箇所に設けられている。シール部材14f2は、シャワープレート22及び放出部16が接する箇所に設けられている。シール部材14f1及びシール部材14f2は、何れも、例えばOリングであり得、処理空間10sと処理容器10の外部とを仕切る一重目のOリングに相当する。
【0050】
蓋部12aは、処理空間10sと処理容器10の外部空間とを仕切る二重目のOリングに相当するシール部材16gを有する。シール部材16gは、上部電極14がシャワープレート22に密接した状態において、例えば、放出部16及び上部電極14が接する箇所に設けられている。シール部材16gは、処理空間10sを処理容器10の外部から気密に遮断するように構成されている。このように、蓋部12aには、シール部材14f1及びシール部材16gにより二重のOリング構造が形成され、また、シール部材14f2及びシール部材16gにより二重のOリング構造が形成されている。
【0051】
図5を更に参照する。図5は、プラズマ処理装置1のメンテナンス作業中において、シャワープレート22に固定された連結部材15によってシャワープレート22、更に支持枠体13、放出部16を含む構成が一体的に上部電極14に吊り下げられている状態を例示する図である。
【0052】
プラズマ処理装置1のメンテナンスでは、蓋部12aの上部電極14を方向AR3(鉛直方向の逆方向)に持ち上げ、蓋部12aを本体部12bから離隔して、本体部12bの内側である処理空間10sを外部に露出させる。この場合、ガイド溝14eの一端(縮幅部14e2)内に突出部分151が収容され本体部12bから蓋部12aが離隔された状態となる。この状態では、上部電極14がシャワープレート22から離隔する。そして、縮幅部14e2におけるガイド溝14eの開口に設けられた支持部141に連結部材15の先端(頭頂部15a)が支持されることによって、連結部材15を介してシャワープレート22が上部電極14から吊り下げられた状態となる。この場合、シャワープレート22、更に支持枠体13、放出部16を含む構成が一体的に上部電極14から吊り下げられた状態となる。
【0053】
図6を更に参照する。図6は、シャワープレート22に固定された連結部材15がガイド溝14eの縮幅部14e2から拡幅部14e1にガイドされシャワープレート22が上部電極14から取り外し可能となっている状態を例示する図である。
【0054】
図6に示す状態は、突出部分151が縮幅部14e2内に収容されている状態から前記シャワープレート22を上部電極14の周方向に回転させて突出部分151を縮幅部14e2から拡幅部14e1に移動させることによって生じ得る。
【0055】
上記説明によれば、ガイド溝14eの縮幅部14e2内に突出部分151が収容され本体部12bから蓋部12aが離隔された状態で行われるプラズマ処理装置1のメンテナンスにおいて、シャワープレート22が上部電極14から吊り下げられた状態となる。この場合、シャワープレート22、更に支持枠体13、放出部16を含む構成が一体的に上部電極14から吊り下げられた状態となる。このため、シャワープレート22を上部電極14から離隔するためにネジを操作する等の工程が不要となるので、プラズマ処理装置1のメンテナンス作業が軽減される。また、連結部材15の突出部分151をガイド溝14eの縮幅部14e2に収容すれば上部電極14に対するシャワープレート22の位置が定まる。このため、上部電極14に対するシャワープレート22の位置合わせのための工程が不要となる。また、通常であれば上部電極14とシャワープレート22との位置決めと固定は、特許文献1の構造のように上部電極14の上方からネジにより固定する必要がある。しかし、上述の例示的実施形態に示したように上部電極14の上方に導波部18のような構造物がある場合には、ネジを回すために上部電極14の上方に存在する構造物を分解し除去する作業が必要である。しかし、上述の例示的実施形態の構造では、上部電極14の上方に存在する構造物を分解し除去する作業を行う必要がないため、処理装置のメンテナンス作業を軽減することができる。また、特許文献1のような構造で二重のOリング構造を実現する場合には、必要となるOリングの設置箇所が増えてしまう。これに対し上述の例示的実施形態の構造ではOリングの設置箇所を極力減らすことができるので、この意味でもメンテナンス作業を軽減することができる。
【0056】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0057】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E9]に記載する。
【0058】
[E1]
処理空間を提供する処理容器と、
前記処理容器の下部を構成する本体部と、
前記処理容器の上部を構成し、前記本体部上に載置されるように構成された蓋部と、
を備え、
前記蓋部は、シャワープレート、該シャワープレートの上方に設けられたプレート部、及び該シャワープレートに固定され該プレート部に向けて突出し該シャワープレートを該プレート部に連結するように構成された連結部材を有し、
前記プレート部の下面には、前記シャワープレートに対向するように配置されたガイド溝が設けられ、
前記連結部材のうち前記プレート部に向けて突出した突出部分は、前記ガイド溝内に収容され、
前記プレート部に設けられた前記ガイド溝の一端内に前記シャワープレートに固定された前記連結部材の前記突出部分が収容されることによって、前記プレート部に対する前記シャワープレートの位置が定まり、
前記一端内に前記突出部分が収容され前記本体部から前記蓋部が離隔された状態では、該一端における前記ガイド溝の開口に設けられた支持部に前記連結部材の先端が支持されることによって、前記シャワープレートが前記プレート部から吊り下げられた状態となる、
処理装置。
【0059】
従って、ガイド溝の一端内に突出部分が収容され本体部から蓋部が離隔された状態で行われる処理装置のメンテナンスでは、シャワープレートがプレート部から吊り下げられた状態となる。このため、シャワープレートをプレート部から離隔するためにネジを操作する等の工程が不要となるので、処理装置のメンテナンス作業が軽減される。また、連結部材の突出部分をガイド溝の縮幅部に収容すればプレート部に対するシャワープレートの位置が定まる。このため、プレート部に対するシャワープレートの位置合わせのための工程が不要となる。
【0060】
[E2]
前記蓋部は、二重のOリングを有するシール部材を有し、
前記シール部材は、前記処理空間を前記処理容器の外部から気密に遮断するように構成されている、
[E1]に記載の処理装置。
【0061】
[E3]
前記連結部材は、その先端に設けられた頭頂部及び該頭頂部に接続され該頭頂部よりも小径の軸部を有し、
前記頭頂部及び前記軸部は、前記突出部分を提供する、
[E1]又は[E2]に記載の処理装置。
【0062】
[E4]
前記ガイド溝の前記一端には、前記頭頂部よりも小径であって前記軸部よりも大径の開口を有する縮幅部が設けられており、
前記縮幅部内に前記突出部分が収容され前記本体部から前記蓋部が離隔された状態では、前記頭頂部が前記支持部によって支持される、
[E3]に記載の処理装置。
【0063】
[E5]
前記ガイド溝の他の一端には、前記頭頂部よりも大径の開口を有する拡幅部が設けられている、
[E4]に記載の処理装置。
【0064】
[E6]
前記突出部分が前記縮幅部内に収容されている状態から、前記シャワープレートを前記プレート部の周方向に回転させて該突出部分を前記拡幅部に移動させることができる、
[E5]に記載の処理装置。
【0065】
[E7]
前記プレート部の周方向に対応するように設けられた少なくとも三個の前記連結部材と、
前記少なくとも三個の前記連結部材のそれぞれに対向する位置に設けられ該連結部材と同数個の前記ガイド溝と、
を備える、
[E1]~[E6]の何れか一に記載の処理装置。
【0066】
[E8]
前記少なくとも三個の前記連結部材及び該連結部材の個数と同数個の前記ガイド溝とは、前記周方向において等配とならないように配置されている、
[E7]に記載の処理装置。
【0067】
[E9]
前記プレート部は、上部電極である、
[E1]~[E8]の何れか一に記載の処理装置。
【0068】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0069】
1…プラズマ処理装置、10…処理容器、12a…蓋部、12b…本体部、14…上部電極、15…連結部材、14e…ガイド溝、14e2…縮幅部、151…突出部分、15a…頭頂部、22…シャワープレート。
図1
図2
図3
図4
図5
図6