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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152385
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】シート収容装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 1/26 20060101AFI20241018BHJP
   B65H 1/28 20060101ALI20241018BHJP
   B65H 1/04 20060101ALI20241018BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B65H1/26 310F
B65H1/28 320A
B65H1/26 310Z
B65H1/04 310Z
G03G15/00 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066540
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】山本 和也
【テーマコード(参考)】
2H072
3F343
【Fターム(参考)】
2H072BB01
3F343FA02
3F343FB01
3F343FC27
3F343GA01
3F343GB01
3F343GC01
3F343GD01
3F343HA01
3F343HB03
3F343KB08
3F343LA04
(57)【要約】
【課題】剛性の低いカバー部材を用いても、新たな補強部材を配置することなく、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みを抑制する。
【解決手段】装置本体に対して挿抜可能なシート収容部材32と、シート収容部材の挿抜時にユーザーが操作する取手部材31と、シート収容部材の抜出方向前方に取り付けられるカバー部材33と、を備えたシート収容装置であって、取手部材をシート収容部材に保持する取手保持部材40が、カバー部材とシート収容部材との間に配置され、取手保持部材には、カバー部材のシート収容部材側への撓みを抑制する撓み抑制部43が設けられている。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置本体に対して挿抜可能なシート収容部材と、
前記シート収容部材の挿抜時にユーザーが操作する取手部材と、
前記シート収容部材の抜出方向前方に取り付けられるカバー部材と、を備えたシート収容装置であって、
前記取手部材を前記シート収容部材に保持する取手保持部材が、前記カバー部材と前記シート収容部材との間に配置され、
前記取手保持部材には、前記カバー部材の前記シート収容部材側への撓みを抑制する撓み抑制部が設けられていることを特徴とするシート収容装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート収容装置において、
前記撓み抑制部は、前記シート収容部材側へ撓む前記カバー部材が突き当たる突当面を有する突当面部材によって構成されていることを特徴とするシート収容装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート収容装置において、
前記突当面部材は、前記突当面を構成する板部材と、前記板部材における前記突当面とは反対面に形成される補強リブとを含むことを特徴とするシート収容装置。
【請求項4】
請求項3に記載のシート収容装置において、
前記反対面上における前記補強リブの長さは、当該長さ方向における前記突当面の領域長の半分以上であることを特徴とするシート収容装置。
【請求項5】
請求項3に記載のシート収容装置において、
前記反対面に形成される前記補強リブの数は2つ以上であることを特徴とするシート収容装置。
【請求項6】
請求項5に記載のシート収容装置において、
前記取手部材と前記取手保持部材との間には、前記取手部材を前記抜出方向前方とは反対方向に向けて付勢する圧縮スプリングが配置されており、
前記取手保持部材には、前記圧縮スプリングを外部から視認するための視認窓が設けられており、
前記視認窓は、前記2つ以上の補強リブ間に設けられていることを特徴とするシート収容装置。
【請求項7】
請求項2乃至6のいずれか1項に記載のシート収容装置において、
前記カバー部材には、前記突当面に突き当たる突起部が設けられていることを特徴とするシート収容装置。
【請求項8】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載のシート収容装置を有することを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート収容装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、装置本体に対して挿抜可能なシート収容部材と、シート収容部材の挿抜時にユーザーが操作する取手部材と、シート収容部材の抜出方向前方に取り付けられるカバー部材とを備えたシート収容装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、装置本体のガイドレース上をスライドすることで装置本体に対して挿脱される給紙カセット(シート収容部材)の正面パネル(カバー部材)に取手部材が取り付けられたシート収容装置が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来のシート収容装置では、ユーザーがカバー部材を押してシート収容部材を装置本体へ挿入させようとすると、カバー部材が撓んでしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、装置本体に対して挿抜可能なシート収容部材と、前記シート収容部材の挿抜時にユーザーが操作する取手部材と、前記シート収容部材の抜出方向前方に取り付けられるカバー部材と、を備えたシート収容装置であって、前記取手部材を前記シート収容部材に保持する取手保持部材が、前記カバー部材と前記シート収容部材との間に配置され、前記取手保持部材には、前記カバー部材の前記シート収容部材側への撓みを抑制する撓み抑制部が設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係るプリンタを示す概略構成図。
図2】同プリンタにおいて給紙トレイがプリンタ本体に収納されている状態を示す斜視図。
図3】同プリンタにおいて給紙トレイがプリンタ本体から引き出された状態を示す斜視図。
図4】本実施形態における給紙トレイを示す斜視図。
図5】同給紙トレイのロック機構の周辺を装置下方から見たときの斜視図。
図6】(a)は、ロック位置をとるロック機構を装置側方から見たときの斜視図。(b)は、非ロック位置をとるロック機構を装置側方から見たときの斜視図。
図7】同給紙トレイのロック機構と連動して給紙トレイをプリンタ本体内に収納した状態にロックするプリンタ本体側の構成を示す斜視図。
図8】(a)は、収納位置をとる取手部材を示す下面図。(b)は、引出位置をとる取手部材を示す下面図。
図9】同取手部材及びトレイ部材の断面図。
図10】同取手部材とホルダとが互いに組付けられた構造体を、プリンタ本体の内部側(裏側)から見たときの斜視図。
図11】(a)は、同取手部材が収納位置をとるときの図10に示す構造体を上方から見たときの斜視図。(b)は、同取手部材が引出位置をとるときの図10に示す構造体を上方から見たときの斜視図。
図12】実施形態の給紙トレイにおけるトレイカバーを、プリンタ本体の内部側(裏側)から見たときの斜視図。
図13】ホルダから突当面部材を取り除いた状態における同給紙トレイの取手部材の付近を下方から見たときの斜視図。
図14】同給紙トレイの取手部材の付近を下方から見たときの斜視図。
図15】(a)は、同ホルダを下方から見たときの斜視図。(b)は、同ホルダを上方から見たときの斜視図。
図16】同給紙トレイの取手部材の付近を示す断面図。
図17】同ホルダに設けられる視認窓から見える圧縮スプリングを示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係るシート収容装置を適用した画像形成装置として、電子写真方式で画像を形成する電子写真プリンタ(以下、単にプリンタという)について説明する。
本実施形態では、本発明のシート収容装置を、電子写真方式の画像形成装置のシート収容装置に適用した例であるが、他の方式(例えばインクジェット方式)の画像形成装置、あるいは、画像形成装置以外の装置などにも、適用することが可能である。
【0009】
図1は、実施形態に係るプリンタ100を示す概略構成図である。
図1に示すプリンタ100は、モノクロプリンタであり、その装置本体には画像形成部2が設けられている。画像形成部2は、表面に画像を担持する像担持体としての感光体1と、感光体1の表面を帯電させる帯電手段としての帯電ローラと、感光体1上の潜像を可視画像化する現像手段としての現像装置と、感光体1の表面をクリーニングするクリーニング手段としてのクリーニングブレード等を備える。また、感光体1の周囲には表面を露光する露光手段としてのLEDヘッドアレイが配設されている。
【0010】
作像動作が開始されると、画像形成部2の感光体1が図1の反時計回りに回転駆動され、帯電ローラによって感光体1の表面が所定の極性に一様に帯電される。外部の機器から入力される画像情報に基づいて、LEDヘッドアレイから感光体1の帯電面に光が照射されて、感光体1の表面に静電潜像が形成される。このように感光体1上に形成された静電潜像に、現像装置によってトナーが供給されることにより、静電潜像はトナー画像として顕像化(可視像化)される。
【0011】
また、作像動作が開始されると、転写ローラ7が回転駆動し、転写ローラ7に所定の直流電圧(DC)及び/又は交流電圧(AC)が印加されることによって、転写ローラ7と感光体1との間において転写電界が形成される。
【0012】
装置本体の下部では、給紙ローラ4が回転駆動を開始し、シート収容装置としての給紙部3からシートPが送り出される。送り出されたシートPは、搬送ローラ対5によって搬送され、レジストローラ対6によって搬送を一旦停止される。その後、所定のタイミングでレジストローラ対6の回転駆動が開始され、感光体1上のトナー画像が転写ローラ7との間の転写ニップに達するタイミングに合わせて、シートPが転写ニップへ搬送される。そして、転写電界によって、感光体1上のトナー画像がシートP上に転写される。また、シートPに転写しきれなかった感光体1上の残留トナーは、クリーニングブレードによって除去される。
【0013】
トナー画像が転写されたシートPは、定着装置8へと搬送され、定着装置8においてシートP上のトナー画像が当該シートPに定着される。そして、シートPは、排紙ローラ対9によって装置外に排出され、排紙トレイ上にストックされる。
【0014】
また、本実施形態のプリンタ100には、シートPの両面に画像形成を行うために、搬送方向を変更するための分岐爪10と、シートPを反転搬送路11へ送り出すための反転ローラ対12とが設けられている。なお、反転ローラ対12の一方のローラは排紙ローラ対9との兼用である。反転搬送路11には、両面入口ローラ対13、両面中間ローラ対14、両面出口ローラ対15が設けられている。
【0015】
シートPの両面に画像を形成する場合、シートPが定着装置8から排紙ローラ対9へ搬送されるまでの間に、分岐爪10の位置を切り替えるために分岐爪10を回動させる。これにより、一方の面に画像が形成されたシートPの搬送経路が変更され、そのシートPは排紙ローラ対9ではなく、反転ローラ対12へと送られる。
【0016】
反転ローラ対12へ送られたシートPは、シートPの後端が抜けきらないタイミングで逆方向へと搬送され、反転搬送路11へ送られる。 そして、シートPは、反転搬送路11上の両面入口ローラ対13、両面中間ローラ対14、両面出口ローラ対15によって、反転搬送路11を通り、シートPの表裏が反転した状態で再び転写ニップへと搬送される。そして、シートPの他面(裏面)にも画像が転写された後、定着装置8で定着され、排紙ローラ対9によって、装置外に排出される。
【0017】
次に、本実施形態におけるシート収容装置としての給紙部3の構成について説明する。
図2は、給紙部3を構成する給紙トレイ30がプリンタ本体101に収納されている状態を示す斜視図である。
図3は、給紙トレイ30がプリンタ本体から引き出された状態(抜き出された状態)を示す斜視図である。
【0018】
給紙トレイ30には、取手部材31が設けられている。ユーザーは取手部材31を把持して操作することにで、給紙トレイ30を、図2に示すようにプリンタ本体101内に収納される(挿入される)状態(給紙トレイ30を閉めた状態)と、図3に示すようにプリンタ本体101の前面側へ引き出される(抜き出される)状態(給紙トレイ30を開けた状態)とにすることができる。
【0019】
図4は、本実施形態における給紙トレイ30を示す斜視図である。
給紙トレイ30は、主に、基本構造体であるシート収容部材としてのトレイ部材32を備えている。また、トレイ部材32には、プリンタ前面側に、カバー部材としてのトレイカバー33が設けられている。トレイ部材32には、ユーザーが給紙トレイ30の開閉操作をする際に使用する取手部材31が設けられている。取手部材31は、トレイ部材32に対し、給紙トレイ30の引出方向(抜出方向)A及び収納方向(挿入方向)Bに沿って、スライド可能(挿抜可能)に取り付けられている。
【0020】
給紙トレイ30は、用紙などのシートPを積載可能に構成され、給紙トレイ30に積載されたシートPのシート搬送方向の位置を規制するエンドフェンス34と、シート搬送方向に対して直交するシート幅方向の位置を規制するサイドフェンス35a,35bとを備えている。給紙トレイ30がプリンタ本体101内に収納されてセットされると、積載されたシートPは、給紙トレイ30の内部に設けられた底板36によって上昇して、給紙ローラ4に当接し、給紙可能な状態になる。底板36は、モータなどの駆動源からの駆動力、又は、底板36の下部に設けられるスプリングなどの付勢部材による付勢力によって上昇する。
【0021】
図5は、給紙トレイ30のロック機構の周辺を装置下方から見たときの斜視図である。
図6(a)は、ロック位置をとるロック機構を装置側方から見たときの斜視図であり、図6(b)は、非ロック位置をとるロック機構を装置側方から見たときの斜視図である。
図7は、給紙トレイ30のロック機構と連動して給紙トレイ30をプリンタ本体101内に収納した状態にロックするプリンタ本体側の構成を示す斜視図である。
【0022】
給紙トレイ30は、図7に示すように、プリンタ本体101に設けられるレール102に沿って開閉される。給紙トレイ30は、プリンタ本体101の内部に収納されると、給紙トレイ30に設けられるロック機構によって、プリンタ本体101から給紙トレイ30を引き出すことが禁止されたロック状態になる。
【0023】
本実施形態のロック機構は、トレイ部材32に対して回転可能に設けられたロックレバー37と、ロックレバー37のスプリング取付端部37aとトレイ部材32のスプリング取付端部32aとの間に取り付けられる引張りスプリング38とを備えている。ロックレバー37は、ロックレバー37のロック端部37bが上昇するロック位置と(図6(a))、ロックレバー37のロック端部37bが下降する非ロック位置と(図6(b))との間で、回動可能な構成となっている。給紙トレイ30がプリンタ本体101に収納された状態においてロック端部37bがロック位置をとると、プリンタ本体101のレール102に設けられるストッパ103の溝部103a内にロック端部37bが入り込む。これにより、給紙トレイ30がプリンタ本体101から引き出される方向へ移動しようとしても、給紙トレイ30のロック端部37bがプリンタ本体101のストッパ103に引っ掛かり、給紙トレイ30がプリンタ本体101から引き出されることが禁止されたロック状態になる。
【0024】
ロック機構の引張りスプリング38は、ロックレバー37のロック端部37bがロック位置に向かう向きにロックレバー37が回動するように付勢している。そして、ロックレバー37は、取手部材31のトレイ部材32に対するスライド移動に連動して、ロック位置と非ロック位置との間で回動するように構成されている。
【0025】
図8(a)は、収納位置をとる取手部材31を示す下面図であり、図8(b)は、引出位置をとる取手部材31を示す下面図である。
取手部材31は、トレイ部材32に対し、図8(a)に示す収納位置と図8(b)に示す引出位置との間で移動可能に取り付けられている。取手部材31には、ロックレバー37に当接する当接部31fが設けられている。
【0026】
ユーザーが、図8(a)に示す収納位置にある取手部材31を取手引出方向A(本実施形態では給紙トレイ30の引出方向Aと一致する方向)へ操作すると、取手部材31が図8(b)に示す引出位置まで引き出される。これにより、取手部材31の当接部31fがロックレバー37を引張りスプリング38の付勢力に抗して回動させ、ロックレバー37のロック端部37bが図6(a)に示すロック位置から図6(b)に示す非ロック位置へと移動する。これにより、プリンタ本体101のストッパ103の溝部103aからロック端部37bが抜け出るので、給紙トレイ30のロック端部37bがプリンタ本体101のストッパ103に引っ掛かることがなくなり、給紙トレイ30をプリンタ本体101から引き出すことが可能な非ロック状態になる。
【0027】
図9は、取手部材31及びトレイ部材32の断面図である。
図10は、取手部材31とホルダ40とが互いに組付けられた構造体を、プリンタ本体101の内部側(裏側)から見たときの斜視図である。
本実施形態の給紙トレイ30には、取手部材31をトレイ部材32に取り付けるにあたり、取手部材31がトレイ部材32から抜けないように、取手部材31をトレイ部材32に保持する取手保持部材としてのホルダ40が取り付けられる。ホルダ40は、トレイ部材32との間に取手部材31を挟み込むように配置され、図8(a)及び(b)に示されているネジ41によって、トレイ部材32に固定される。したがって、ホルダ40は、取手部材31の上下方向への移動(変位)を規制している。
【0028】
また、ホルダ40には、図10に示すように、突起部40b,40bが設けられ、突起部40b,40bは、図10に示すように、取手部材31とホルダ40とが互いに組付けられたときに取手部材31の凹部31bに入り込む。これにより、ホルダ40は、取手部材31の左右方向への移動(変位)も規制している。
【0029】
取手部材31の取手側押圧面31aとホルダ40のホルダ側押圧面40aとの間には、圧縮スプリング42が所定の圧縮状態で取り付けられる。本実施形態の圧縮スプリング42は、線材を螺旋状に巻いた巻きバネ構造(スプリングコイル構造)であるが、これに限られない。
【0030】
圧縮スプリング42は、トレイ部材32に固定されたホルダ40のホルダ側押圧面40aに対し、取手部材31の取手側押圧面31aを取手収納方向Bに向けて付勢する。これにより、取手部材31には、常に取手収納方向Bに向かう付勢力が付与され、取手部材31が取手引出方向Aへ操作されない限り、取手部材31が収納位置に維持される。
【0031】
すなわち、本実施形態では、ユーザーが取手部材31を取手引出方向Aへ操作すると、圧縮スプリング42の付勢力に抗して、取手部材31が図8(a)に示した収納位置から図8(b)に示した引出位置へと移動する。これにより、上述したようにロック機構が非ロック状態になり、そのままユーザーが更に取手部材31を取手引出方向Aへ操作することで、給紙トレイ30が引出方向Aへ引き出される。一方、ユーザーが取手部材31から手を離すと、圧縮スプリング42の付勢力により、取手部材31が図8(b)に示した引出位置から図8(a)に示した収納位置へと移動する。
【0032】
図11(a)は、取手部材31が収納位置をとるときの図10に示す構造体を上方から見たときの斜視図であり、図11(b)は、取手部材31が引出位置をとるときの図10に示す構造体を上方から見たときの斜視図である。
ホルダ40には、上下方向に貫通する穴40d,40dが形成されており、この穴40d,40dにネジ41,41を通してトレイ部材32に対してホルダ40がネジ締結される。
【0033】
また、ホルダ40の上面には、ボス40c,40cが形成されている。ボス40c,40cがトレイ部材32の位置決め穴に挿入されることで、ホルダ40とトレイ部材32との間の位置決めが行われる。また、取手部材31の上面には、上下方向に貫通する孔である引き出し規制部31e,31eが設けられており、ホルダ40のボス40c,40cは、この引き出し規制部31e,31eにも挿通される。取手部材31が図11(b)に示すように引出位置に引き出されると、ホルダ40のボス40cが取手部材31の引き出し規制部31eの内壁に当接し、取手部材31が引出位置に規制される。
【0034】
以上のように、本実施形態のホルダ40は、取手部材31の抜け止めや位置規制を行う機能を果たしている。
【0035】
次に、本実施形態における給紙トレイ30の構造について、更に説明する。
図12は、本実施形態の給紙トレイ30におけるトレイカバー33を、プリンタ本体101の内部側(裏側)から見たときの斜視図である。
トレイカバー33には、ボス33aが設けられている。このボス33aを、トレイ部材32に設けられた位置決め穴に差し込むことで、トレイ部材32に対するトレイカバー33の位置決めが行われる。また、トレイカバー33には、引っ掛け形状33bが設けられている。この引っ掛け形状33bを、トレイ部材32に設けられた突起形状に引っ掛けることで、プリンタ本体101の前後方向の位置が規制される。また、トレイカバー33には、ネジ穴33cが設けられている、このネジ穴33cを通してネジをトレイ部材32に締結することで、トレイカバー33がトレイ部材32に固定される。このように、トレイカバー33は、これらのボス33a、引っ掛け形状33b、ネジ穴33cによって、トレイ部材32に組み付けられる。
【0036】
トレイカバー33において、これらのボス33a、引っ掛け形状33b、ネジ穴33cが配置される箇所の周辺は、トレイ部材32と一体的に結合されるため、トレイ部材32の剛性によってトレイカバー33の剛性が確保される。これらの箇所周辺以外の箇所についても、本実施形態では、図12に示すように、装置の大きさ等の制約で可能な範囲に、各種の剛性補強リブ33fを設けることで、トレイカバー33の剛性を確保している。
【0037】
ところが、本実施形態では、図12中破線で囲った領域(以下「非補強領域」という。)33eについては、ホルダ40を組み付けるスペースの確保、及び、ホルダ40の組み付け時の導線スペースの確保のため、剛性補強リブ33fを設けることができない。特に、プリンタの小型化の要求が高まっている近年では、プリンタ前後方向の寸法を小さくすることが求められることから、非補強領域33eに剛性補強リブ33fを設けることができない。
【0038】
図13及び図14は、本実施形態の給紙トレイ30の取手部材31の付近を下方から見たときの斜視図である。ただし、図13については、説明の都合上、ホルダ40から突当面部材43を取り除いた状態が示されている。
本実施形態のように取手部材31を備える給紙トレイ30は、通常、ユーザーにより取手部材31が引っ張られてプリンタ本体から抜き出されるとともに、ユーザーにより取手部材31が押されてプリンタ本体へ挿入される。ところが、給紙トレイ30をプリンタ本体へ挿入させる際、ユーザーが取手部材31ではなくトレイカバー33を押して、給紙トレイ30がプリンタ本体へ挿入されることがある。
【0039】
ここで、トレイカバー33は、プリンタの小型化や軽量化などに応えるために、薄い樹脂板などの剛性の低い構成とされる場合がある。この場合、上述したようにユーザーが取手部材31ではなくトレイカバー33を押して給紙トレイ30をプリンタ本体へ挿入させると、図13の二点鎖線で示すように、その押す力Fによってトレイカバー33がトレイ部材32側へ撓んでしまうことがある。特に、本実施形態では、トレイカバー33における取手部材31近傍の非補強領域33eには剛性補強リブ33fを設けることができず、ユーザーが非補強領域33eを押すことでトレイカバー33の非補強領域33eがトレイ部材32側へ容易に撓んでしまう。
【0040】
そこで、本実施形態においては、図14に示すように、トレイカバー33とトレイ部材32との間に配置されるホルダ40に、トレイカバー33の非補強領域33eがトレイ部材32側へ撓むのを抑制する撓み抑制部として、突当面部材43が設けられている。この突当面部材43は、トレイ部材32側へ撓むトレイカバー33の非補強領域33eが突き当たる突当面43a(図11参照)を有する。
【0041】
本実施形態では、ユーザーの押し込みによりトレイカバー33の非補強領域33eが撓もうとしても、非補強領域33eがホルダ40の突当面部材43の突当面43aに当接し、非補強領域33eの撓みが阻止される。すなわち、本実施形態は、取手部材31をトレイ部材32に保持するためのホルダ40を利用して、ユーザーの押し込みによるトレイカバー33の非補強領域33eの撓みを抑制するものである。これにより、本実施形態によれば、剛性の低いトレイカバー33であっても、トレイカバー33の剛性を補強するための新たな補強部材を配置することなく、ユーザーの押し込みによるトレイカバー33の撓みを抑制することができる。
【0042】
図15(a)は、ホルダ40を下方から見たときの斜視図であり、図15(b)は、ホルダ40を上方から見たときの斜視図である。
本実施形態におけるホルダ40の突当面部材43は、突当面43aを構成する板部材43Aと、板部材43Aにおける突当面43aとは反対面に形成される2つの補強リブ43Bとから構成されている。このような補強リブ43Bを設けることで、ユーザーの押し込みによりトレイカバー33が当接する板部材43Aの剛性を確保することができる。
【0043】
なお、補強リブ43Bの長さL1は、当該長さ方向(図15(a)中上下方向)における突当面43aの領域長L2の半分以上であることが好ましい。これによれば、ユーザーの押し込みによりトレイカバー33が当接する板部材43Aの剛性を十分に確保して、ユーザーの押し込みによるトレイカバー33の非補強領域33eの撓みを抑制することができる。
【0044】
また、補強リブ43Bの数は、ホルダ40の板部材43Aの幅(補強リブ43Bの長さL1の方向に対して直交する方向であって突当面43aに平行な方向の長さ)にもよるが、2つ以上であるのが好ましい。これによれば、ユーザーの押し込みによりトレイカバー33が当接する板部材43Aの剛性を十分に確保して、ユーザーの押し込みによるトレイカバー33の非補強領域33eの撓みを抑制することができる。
【0045】
また、本実施形態のホルダ40には、図15(a)及び(b)に示すように、組み付け完了後の圧縮スプリング42を外部から視認するための貫通孔である視認窓40fが設けられている。このような視認窓40fが無いと、ホルダ40を組み付けた後に圧縮スプリング42を視認することができず、圧縮スプリング42が適切に取り付けられているかどうかを確認することが困難である。本実施形態のように視認窓40fを設けることで、ホルダ40を組み付けた後に、圧縮スプリング42が適切に取り付けられているかどうか、圧縮スプリング42の欠品が無いか、などの確認を行うことが容易となる。
【0046】
特に、本実施形態の視認窓40fは、図17に示すように、圧縮スプリング42の他端とホルダ側押圧面40aとの接触箇所を視認可能に設けられているので、組み付け後にホルダ側押圧面40aに当接する圧縮スプリング42の他端の状態を視認することができる。これによれば、圧縮スプリング42の取り付け状態をチェックするのに特に重要な圧縮スプリング42の他端の状態を視認できるので、圧縮スプリング42が適切に取り付けられているかどうかを的確に判断することが容易になる。
【0047】
また、本実施形態の視認窓40fは、補強リブ43Bと補強リブ43Bとの間に形成されている。これにより、作業者がホルダ40を組み付ける際の作業性が向上する。具体的には、作業者が2つの補強リブ43Bを持った状態でホルダ40をトレイ部材32の所定位置に組み付ける際に、予め取手部材31に仮保持された圧縮スプリング42の位置を確認しながら、ホルダ40を組み付けることができる。
【0048】
また、ホルダ40が射出成型で製造される樹脂部品である場合、金型での成型上、抜き勾配が必要になるため、ホルダ40の突当面部材43の突当面43aがホルダ40の基部に対して垂直でなく、若干斜めに形成されることがある。この場合、突当面部材43の突当面43aの先端(装置下側の端部)は、図16に示すように、ホルダ40の基部よりもトレイカバー33側に近い位置をとる。このとき、ユーザーの押し込みによるトレイカバー33の非補強領域33eの撓み時に、トレイカバー33に最も近い位置の非補強領域33eの部分にトレイカバー33が突き当たるように、本実施形態のトレイカバー33には、突当面部材43の突当面43aに突き当たる突起部としての突当リブ33dが設けられている。これによれば、ユーザーの押し込みによるトレイカバー33の非補強領域33eの撓み量を小さくすることができ、より撓みを抑制することができる。
【0049】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、装置本体(例えばプリンタ本体101)に対して挿抜可能なシート収容部材(例えばトレイ部材32)と、前記シート収容部材の挿抜時にユーザーが操作する取手部材31と、前記シート収容部材の抜出方向前方に取り付けられるカバー部材(例えばトレイカバー33)と、を備えたシート収容装置(例えば給紙トレイ30)であって、前記取手部材を前記シート収容部材に保持する取手保持部材(例えばホルダ40)が、前記カバー部材と前記シート収容部材との間に配置され、前記取手保持部材には、前記カバー部材の前記シート収容部材側への撓みを抑制する撓み抑制部(例えば突当面部材43)が設けられていることを特徴とするものである。
取手部材を備えるシート収容装置では、通常、ユーザーは、取手部材を引っ張ってシート収容部材を装置本体から抜き出すとともに、取手部材を押し込んでシート収容部材を装置本体へ挿入させる。ところが、シート収容部材を装置本体へ挿入させる際、取手部材ではなく、カバー部材をユーザーが押し込んで、シート収容部材を装置本体へ挿入させることがある。そのため、装置の小型化や軽量化などに応えるために剛性の低いカバー部材を用いていると、ユーザーの押し込みによってカバー部材が撓んでしまうことがある。
本態様に係るシート収容装置は、取手部材をシート収容部材に保持する取手保持部材がカバー部材とシート収容部材との間に配置されているシート収容装置である。そして、本態様では、この取手保持部材に、カバー部材のシート収容部材側への撓みを抑制する撓み抑制部が設けられている。これによれば、取手保持部材を利用して、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みを抑制することができる。よって、剛性の低いカバー部材を用いても、カバー部材の剛性を補強するための新たな補強部材を配置することなく、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みを抑制することができる。
【0050】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記撓み抑制部は、前記シート収容部材側へ撓む前記カバー部材が突き当たる突当面43aを有する突当面部材43によって構成されていることを特徴とするものである。
これによれば、前記撓み抑制部を簡易な構成で実現することができる。
【0051】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記突当面部材は、前記突当面を構成する板部材43Aと、前記板部材における前記突当面とは反対面に形成される補強リブ43Bとを含むことを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーの押し込みによりカバー部材が当接する板部材の剛性を高めることができ、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みを安定して抑制することができる。
【0052】
[第4態様]
第4態様は、第3態様において、前記反対面上における前記補強リブの長さL1は、当該長さ方向における前記突当面の領域長L2の半分以上であることを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーの押し込みによりカバー部材が当接する板部材の剛性を十分に確保して、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みをより安定して抑制することができる。
【0053】
[第5態様]
第5態様は、第3又は第4態様において、前記反対面に形成される前記補強リブの数は2つ以上であることを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーの押し込みによりカバー部材が当接する板部材の剛性を十分に確保して、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みをより安定して抑制することができる。
【0054】
[第6態様]
第6態様は、第5態様において、前記取手部材と前記取手保持部材との間には、前記取手部材を前記抜出方向前方とは反対方向に向けて付勢する圧縮スプリング42が配置されており、前記取手保持部材には、前記圧縮スプリングを外部から視認するための視認窓40fが設けられており、前記視認窓は、前記2つ以上の補強リブ間に設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、作業者が取手保持部材を組み付ける際の作業性が向上する。
【0055】
[第7態様]
第7態様は、第2乃至第6態様のいずれかにおいて、前記カバー部材には、前記突当面に突き当たる突起部(例えば突当リブ33d)が設けられていることを特徴とするものである。
これによれば、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓み量を小さくすることができ、より撓みを抑制することができる。
【0056】
[第8態様]
第8態様は、画像形成装置であって、第1乃至第7態様のいずれかのシート収容装置を有することを特徴とするものである。
これによれば、剛性の低いカバー部材を用いても、カバー部材の剛性を補強するための新たな補強部材を配置することなく、ユーザーの押し込みによるカバー部材の撓みを抑制することのできる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 :感光体
2 :画像形成部
3 :給紙部
4 :給紙ローラ
5 :搬送ローラ対
6 :レジストローラ対
7 :転写ローラ
8 :定着装置
30 :給紙トレイ
31 :取手部材
32 :トレイ部材
33 :トレイカバー
33a :ボス
33b :引っ掛け形状
33c :ネジ穴
33d :突当リブ
33e :非補強領域
33f :剛性補強リブ
34 :エンドフェンス
35a,35b:サイドフェンス
36 :底板
37 :ロックレバー
38 :引張りスプリング
40 :ホルダ
40a :ホルダ側押圧面
40b :突起部
40c :ボス
40d :穴
41 :ネジ
42 :圧縮スプリング
43 :突当面部材
43a :突当面
43A :板部材
43B :補強リブ
100 :プリンタ
101 :プリンタ本体
102 :レール
103 :ストッパ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2006-290581号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
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