(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152441
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】処理システム
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20241018BHJP
B25J 9/06 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
H01L21/68 A
B25J9/06 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066633
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100122507
【弁理士】
【氏名又は名称】柏岡 潤二
(72)【発明者】
【氏名】東海林 賢斗
【テーマコード(参考)】
3C707
5F131
【Fターム(参考)】
3C707AS05
3C707BS15
3C707ES17
3C707FS01
3C707FT11
3C707NS12
5F131AA02
5F131BB03
5F131BB23
5F131CA12
5F131CA18
5F131DB02
5F131DB22
5F131DB43
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5F131DB54
5F131DB58
5F131DB72
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5F131DB82
5F131HA09
5F131HA12
5F131HA13
5F131JA08
5F131JA16
5F131JA22
5F131JA24
5F131KA12
5F131KB32
5F131KB55
(57)【要約】
【課題】搬送装置に対する基板の固着状態の良否を容易に判定する技術を提供する。
【解決手段】開示される処理システムは、基板載置部と、少なくとも一つの測定器と、判定部とを備える。基板載置部は、その上に搬送装置により搬送された基板が載置されるように構成されている。少なくとも一つの測定器は、基板が搬送装置から基板載置部上へ搬送されるときに基板載置部が基板から受ける荷重を測定する。判定部は、少なくとも一つの測定器により測定された荷重に基づいて、搬送装置に対する基板の固着状態の良否を判定する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に基板が載置されるように構成された基板載置部と、
前記基板が搬送装置から前記基板載置部上へ搬送されるときに前記基板載置部が前記基板から受ける荷重を測定する少なくとも一つの測定器と、
前記少なくとも一つの測定器により測定された前記荷重に基づいて、前記搬送装置に対する前記基板の固着状態の良否を判定する判定部と、
を備える、処理システム。
【請求項2】
前記基板を前記基板載置部に搬送するように構成された前記搬送装置を更に備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記少なくとも一つの測定器として、それぞれの接触部を含む三つ以上の測定器を備え、
前記三つ以上の測定器は、それぞれの接触部に対する荷重を測定するように構成されており、
前記三つ以上の測定器それぞれの前記接触部は、一直線上に配置されていない、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項4】
前記搬送装置は、フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有し、
前記固着状態は、前記少なくとも一つの支持部材に対する前記基板の固着状態である、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項5】
前記少なくとも一つの支持部材は、その吸気孔からの吸気により、前記基板を吸着するように構成されている、請求項4に記載の処理システム。
【請求項6】
前記判定部は、前記荷重に基づいて特定される前記搬送装置に対する前記基板の固着力を閾値と比較することによって前記固着状態の良否を判定する、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項7】
前記固着力は、前記少なくとも一つの測定器において測定された前記荷重の最大値と前記基板の重量との差に基づいて算出される、請求項6に記載の処理システム。
【請求項8】
前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングするように構成されたクリーニングステーションと、
前記搬送装置を制御する制御部と、
を更に備え、
前記搬送装置は、フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有し、
前記制御部は、前記判定部により前記固着力が閾値より大きいと判定される場合に、前記クリーニングステーションに前記エンドエフェクタを移動させて、前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングする、請求項6に記載の処理システム。
【請求項9】
前記判定部により前記固着力が前記閾値より大きいと判定される場合に警告を発する制御部を更に備える、請求項6に記載の処理システム。
【請求項10】
前記搬送装置を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記判定部により前記固着力が前記閾値以下であると判定される場合に、前記基板載置部から前記基板を受け取って、前記搬送装置に前記基板の搬送を続行させる、請求項6に記載の処理システム。
【請求項11】
ロードポートと、
前記ロードポートから取り出した前記基板を大気圧環境下で搬送するように構成されたローダモジュールであり、前記搬送装置を含む該ローダモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、前記基板の位置を調整するように構成されたアライナと、
前記ローダモジュールに接続されており、予備減圧室を提供するロードロックモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、その中に前記基板を格納するように構成されたストレージと、
を更に備え、
前記基板載置部及び前記少なくとも一つの測定器は、前記アライナ内に設けられている、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項12】
前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングするように構成されたクリーニングステーションと、
フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有する前記搬送装置を制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記判定部により前記固着状態が良好ではないと判定される場合に、前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングした後に、前記基板載置部から前記基板を受け取って、前記搬送装置に前記基板の搬送を続行させる、請求項11に記載の処理システム。
【請求項13】
ロードポートと、
前記ロードポートから取り出した前記基板を大気圧環境下で搬送するように構成されたローダモジュールであり、前記搬送装置を含む該ローダモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、前記基板の位置を調整するように構成されたアライナと、
前記ローダモジュールに接続されており、予備減圧室を提供するロードロックモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、その中に前記基板を格納するように構成されたストレージと、
を更に備え、
前記基板載置部及び前記少なくとも一つの測定器は、前記ストレージ内に設けられている、請求項1又は2に記載の処理システム。
【請求項14】
ロードポートと、
前記ロードポートから取り出した前記基板を大気圧環境下で搬送するように構成されたローダモジュールであり、前記搬送装置を含む該ローダモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、前記基板の位置を調整するように構成されたアライナと、
前記ローダモジュールに接続されており、予備減圧室を提供するロードロックモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、その中に前記基板を格納するように構成されたストレージと、
を更に備え、
前記基板載置部及び前記少なくとも一つの測定器は、前記ロードロックモジュール内に設けられている、請求項1又は2に記載の処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、処理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
基板搬送装置が、基板を基板載置部上に載置する処理において用いられている。下記の特許文献1に開示された基板搬送装置は、アームと、吸着パッドとを有する。吸着パッドは、アーム上に設けられ、基板を保持する。基板搬送装置は、アームにより基板が基板載置部上に載置されるとき、吸着パッドによる負圧の発生を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、搬送装置に対する基板の固着状態の良否を容易に判定する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一つの例示的実施形態において、処理システムが提供される。処理システムは、基板載置部と、少なくとも一つの測定器と、判定部とを備える。基板載置部は、その上に搬送装置により搬送された基板が載置されるように構成されている。少なくとも一つの測定器は、基板が搬送装置から基板載置部上へ搬送されるときに基板載置部が基板から受ける荷重を測定する。判定部は、少なくとも一つの測定器により測定された荷重に基づいて、搬送装置に対する基板の固着状態の良否を判定する。
【発明の効果】
【0006】
一つの例示的実施形態によれば、搬送装置に対する基板の固着状態の良否を容易に判定できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一つの例示的実施形態に係る処理システムを示す側面図である。
【
図2】一つの例示的実施形態に係る処理システムを示す図である。
【
図3】一つの例示的実施形態に係る処理システムの搬送装置を示す上面図である。
【
図4】
図3のIV-IV線に沿った搬送装置及び基板の断面図である。
【
図5】一つの例示的実施形態に係る処理システムを示す側面図である。
【
図6】一つの例示的実施形態に係る搬送方法の流れ図である。
【
図7】他の例示的実施形態に係る処理システムを示す側面図である。
【
図8】他の例示的実施形態に係る処理システムを示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して種々の例示的実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一又は相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0009】
〔処理システム〕
図1を参照し、一つの例示的実施形態の処理システムの一例について説明する。
図1は、一つの例示的実施形態に係る処理システムを示す側面図である。処理システムPSは、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力が異常か否かを判定するように構成されたシステムである。基板Wは、例えば、ウェハである。処理システムPSは、基板載置部10と、少なくとも一つの測定器20と、制御装置CUと、を備える。処理システムPSは、搬送ロボットTR3を更に備える。搬送ロボットTR3は、搬送装置の一例である。
【0010】
図2は、一つの例示的実施形態に係る処理システムを示す図である。
図2に示すように、処理システムPSは、基板Wにプラズマ処理等の各種処理を施すことが可能なシステムである。
図2に示すように、処理システムPSは、ロードポートLP1~LP4、ローダモジュールLM、アライナAN、ロードロックモジュールLL1,LL2、ストレージSRを更に備えていてもよい。処理システムPSは、クリーニングステーションCLを更に備えていてもよい。処理システムPSは、搬送モジュールTM1,TM2、プロセスモジュールPM1~PM12等を更に備えていてもよい。一つの例示的実施形態における処理システムPSでは、基板載置部10及び少なくとも一つの測定器20は、アライナAN内に設けられている。
【0011】
図2に示す処理システムPSにおいて、ローダモジュールLMは、ロードポートLP1~LP4の何れか一つから取り出した基板を大気圧環境下で搬送するように構成されている。ローダモジュールLMは、チャンバを含んでいる。ローダモジュールLMのチャンバ内の圧力は、大気圧に設定される。ローダモジュールLMは、FFU(Fan Filter Unit)を有していてもよい。ローダモジュールLMは、例えばEFEM(Equipment Front End Module)である。ローダモジュールLMは、ロードポートLP1~LP4の各々とロードロックモジュールLL1,LL2の各々との間に配置されている。ロードポートLP1~LP4は、ローダモジュールLMの長手方向に沿った一対の縁部のうち一方に沿って配列されている。ロードロックモジュールLL1,LL2は、ローダモジュールLMの長手方向に沿った一対の縁部のうち他方に沿って配列されている。ロードポートLP1~LP4の各々は、その上に載置されるカセットCSTを支持するように構成されている。カセットCSTは、その中に複数の基板を収容する容器である。カセットCSTは、例えばFOUP(Front-Opening Unified Pod)である。
【0012】
ローダモジュールLMは、搬送ロボットTR3を更に含む。搬送ロボットTR3は、ローダモジュールLMのチャンバの中に設けられている。搬送ロボットTR3は、例えば、エンドエフェクタEE31を有する。搬送ロボットTR3は、多関節アームAR31を有していてもよい。搬送ロボットTR3は、後述する制御装置CUが出力する動作指示に基づいて基板を搬送する。搬送ロボットTR3は、基板を、ロードポートLP1~LP4のうち少なくとも一つの上に載置されるカセットCST、ロードロックモジュールLL1,LL2、アライナAN、及びストレージSRのうち何れか二つの間で基板を搬送する。
【0013】
アライナANは、ローダモジュールLMに接続されており、基板の位置を調整するように構成されている。アライナANは、ローダモジュールLMの短手方向に沿った一対の縁部のうち一方に沿って配置されている。アライナANは、ローダモジュールLMの長手方向に沿った縁部に沿って配置されていてもよい。また、アライナANは、ローダモジュールLMのチャンバの中に配置されていてもよい。
【0014】
ストレージSRは、ローダモジュールLMに接続されており、その中に基板を格納するように構成されている。ストレージSRは、ローダモジュールLMの長手方向に沿った縁部に沿って配置されている。ストレージSRは、ローダモジュールLMの短手方向に沿った縁部に沿って配置されていてもよい。また、ストレージSRは、ローダモジュールLMの内部に設けられていてもよい。
【0015】
ロードロックモジュールLL1,LL2の各々は、ローダモジュールLMに接続されており、予備減圧室を提供する。ロードロックモジュールLL1,LL2の各々は、搬送モジュールTM1とローダモジュールLMとの間に配置されている。ロードロックモジュールLL1,LL2の各々とローダモジュールLMは、ゲートバルブG3を介して接続されている。ロードロックモジュールLL1,LL2の各々と搬送モジュールTM1は、ゲートバルブG2を介して接続されている。
【0016】
ロードロックモジュールLL1,LL2の各々は、その内部空間に配置されたステージを有する。当該内部空間の圧力は、減圧可能である。当該内部空間の圧力は、基板Wが当該内部空間とローダモジュールLMとの間で搬送される際には、大気圧に設定される。当該内部空間の圧力は、基板Wが当該内部空間と搬送モジュールTM1との間で搬送される際には、例えば真空状態に減圧される。
【0017】
搬送モジュールTM1,TM2の各々は、チャンバを含んでいる。搬送モジュールTM1,TM2の各々は、そのチャンバ内の減圧された空間を介して基板を搬送するように構成されている。搬送モジュールTM1のチャンバは、ゲートバルブG2を介してロードロックモジュールLL1,LL2の各々と接続されている。搬送モジュールTM1のチャンバには、プロセスモジュールPM1~PM6がゲートバルブG1を介して接続されている。搬送モジュールTM1のチャンバは、搬送モジュールTM2のチャンバに接続されている。搬送モジュールTM2のチャンバには、プロセスモジュールPM7~PM12がゲートバルブG1を介して接続されている。
【0018】
搬送モジュールTM1は、そのチャンバ内に設けられた搬送ロボットTR1を含んでいる。搬送ロボットTR1は、例えば、エンドエフェクタEE11,EE12及び多関節アームAR11,AR12を有する。エンドエフェクタEE11は、フォークFK11を有する。エンドエフェクタEE12は、フォークFK12を有する。フォークFK11は、多関節アームAR11の先端に取り付けられており、その上に載置される基板を支持するように構成されている。フォークFK12は、多関節アームAR12の先端に取り付けられており、その上に載置される基板を支持するように構成されている。搬送ロボットTR1は、後述する制御装置CUの制御部92が出力する動作指示に基づいて基板を搬送する。搬送ロボットTR1は、フォークFK11,FK12によって基板を保持する。搬送ロボットTR1はロードロックモジュールLL1,LL2、プロセスモジュールPM1~PM6、搬送モジュールTM1のチャンバ及び搬送モジュールTM1のチャンバと搬送モジュールTM2のチャンバとの間のパスのうち何れか二つの間で基板を搬送する。
【0019】
搬送モジュールTM2は、そのチャンバ内に設けられた搬送ロボットTR2を含んでいる。搬送ロボットTR2は、例えば、エンドエフェクタEE21,EE22及び多関節アームAR21,AR22を有する。エンドエフェクタEE21は、フォークFK21を有する。エンドエフェクタEE22は、フォークFK22を有する。フォークFK21は、多関節アームAR21の先端に取り付けられており、その上に載置される基板を支持するように構成されている。フォークFK22は、多関節アームAR22の先端に取り付けられており、その上に載置される基板を支持するように構成されている。搬送ロボットTR2は、後述する制御装置CUの制御部92が出力する動作指示に基づいて基板を搬送する。搬送ロボットTR2は、フォークFK21,FK22によって基板を保持する。搬送ロボットTR2は、プロセスモジュールPM7~PM12及び上記のパスのうち何れか二つの間で基板を搬送する。
【0020】
プロセスモジュールPM1~PM12の各々は、基板に対して専用の処理を行うように構成された基板処理装置である。プロセスモジュールPM1~PM12のうち少なくとも一つは、プラズマ処理装置であってもよい。搬送モジュールTM1,TM2とプロセスモジュールPM1~PM12とは、開閉自在なゲートバルブG1で仕切られている。
【0021】
クリーニングステーションCLは、搬送ロボットTR3の後述する少なくとも一つの支持部材をクリーニングするように構成されている。
図2に示す例では、クリーニングステーションCLは、ローダモジュールLMの短手方向に沿った一対の縁部のうちアライナANが設けられていない他方に沿って配置されている。クリーニングステーションCLは、ローダモジュールLMのチャンバに接続されている。クリーニングステーションCLの詳細な説明については後述する。
【0022】
制御装置CUは、例えばコンピュータである。制御装置CUは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、補助記憶装置等を備える。CPUは、ROM又は補助記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作し、処理システムPSの各部を制御する。例えば、制御装置CUは、動作指示を搬送ロボットTR1,TR2,TR3等に出力する。動作指示は、基板の搬送場所に対する、基板を搬送するフォークFK11,FK12,FK21,FK22,FK31の移動の指示を含む。
【0023】
なお、処理システムPSは、必ずしも
図2に示されるものに限定されない。例えば、処理システムにおけるプロセスモジュールの数及び/又はフォークの数は、
図2に示されるものとは異なっていてもよい。また、処理システムは、各々がプロセスモジュールとロードロックモジュールを含む複数のモジュール群をローダモジュールに連結させたシステム(所謂ローダー型システム)であってもよい。また、処理システムは、搬送モジュールの周囲に二つ以上のプロセスモジュールを、該搬送モジュールを取り囲むように並べて連結したシステム(所謂クラスタ型システム)であってもよい。
【0024】
以下、一つの例示的実施形態に係る処理システムの各構成の詳細について説明する。まず、アライナANにおける各構成の詳細について、再び
図1を参照しつつ説明する。アライナANには、光学センサSN、基板載置部10及び少なくとも一つの測定器20が設けられている。
【0025】
アライナANにおいて、基板載置部10は、載置面11を有する。基板載置部10は、載置面11上に載置される基板Wを支持する。なお、載置面11は、幾つかのパッドにより構成されていてもよい。アライナANの基板載置部10は、回転可能である。
【0026】
アライナANの光学センサSNは、基板載置部10上での基板Wの角度位置及び基板載置部10上での基板Wの中心位置を検出する。光学センサSNは、基板載置部10と共に載置面11上の基板Wを回転させながら、例えばノッチのようなマーカーを検出することで、基板Wの角度位置を検出する。制御装置CUは、基準角度位置と基板Wの角度位置とのずれ量を算出する。基板Wのノッチの角度位置とは、基板Wの位置の一例である。基準角度位置とは、基準位置の一例である。制御装置CUは、算出したずれ量だけ基板載置部10を回転させる。これにより、制御装置CUは、基板Wの角度位置を基準角度位置に一致させることができる。
【0027】
また、光学センサSNは、基板載置部10と共に載置面11上の基板Wを回転させながら、基板Wのエッジを検出する。制御装置CUは、エッジの検出結果に基づいて、基板Wの中心位置を決定する。搬送ロボットTR3は、基板載置部10からエンドエフェクタEE31に基板Wを受け取る際に、決定された基板Wの中心位置とエンドエフェクタEE31上の基準位置を一致させるように、エンドエフェクタEE31の位置を制御する。これにより、エンドエフェクタEE31上での基板Wの位置が補正される。
【0028】
処理システムPSは、少なくとも一つの測定器20として、三つ以上の測定器20を備えていてもよい。
図1に示すように、処理システムPSは、少なくとも一つの測定器20として、三つの測定器20a,20b,20cを備えていてもよい。三つの測定器20a,20b,20cのそれぞれは、例えば、フォースゲージである。測定器20a,20b,20cはそれぞれ、基板Wと接触可能に配置された接触部21a,21b,21cを含む。測定器20a,20b,20cはそれぞれ、接触部21a,21b,21cに加わる荷重を測定するように構成されている。接触部21a,21b,21cはそれぞれ、三つの測定器20a,20b,20cの上端に設けられていてもよい。三つの接触部21a,21b,21cは、基板載置部10の載置面11に沿って設けられていてもよく、かつ、互いに一直線上に設けられていなくてもよい。三つの接触部21a,21b,21cの上端面は、載置面11を含む平面内に位置するように設けられていてもよい。三つの接触部21a,21b,21cは、例えば、載置面11を含む平面内において、基準位置を中心とする円周上で等間隔に配列されていてもよい。ここでの基準位置は、例えば、基板Wの中心が配置される位置である。
【0029】
以下、
図3及び
図4を参照して、基板載置部10に基板Wを搬送する搬送ロボットTR3について説明する。
図3は、一つの例示的実施形態に係る処理システムの搬送装置を示す上面図である。
図4は、
図3のIV-IV線に沿った搬送装置及び基板の断面図である。
【0030】
搬送ロボットTR3のエンドエフェクタEE31は、フォークFK31及び少なくとも一つの支持部材Pを含む。少なくとも一つの支持部材Pは、その上に基板Wが載置されるように配置されている。フォークFK31は、基端部311と一対の腕部312,312を有する。一対の腕部312,312は、互いから離間しており、基端部311からそれらの先端まで延在している。すなわち、フォークFK31は、略U字形状または馬蹄形状を有する。腕部312と腕部312との間の間隙の幅は、エンドエフェクタEE31の上下動の際に一対の腕部312,312が基板載置部10に接触しないよう、基板載置部10の幅よりも大きい。
【0031】
図3及び
図4に示すように、エンドエフェクタEE31は、少なくとも一つの支持部材Pとして、三つの支持部材Pを含んでいてもよい。三つの支持部材Pは、フォークFK31上に設けられる。三つの支持部材Pは、例えば、吸着パッドである。三つの支持部材Pはそれぞれ、吸気孔V1を含む。各吸気孔V1は、各支持部材Pを上下方向に貫通している。三つの支持部材Pは、それぞれの吸気孔V1からの吸気により、基板Wを吸着するように構成されている。三つの支持部材Pそれぞれの吸気孔V1は、フォークFK31の中まで延びている。フォークFK31は、その内部に形成された吸引路V2を含む。三つの支持部材Pそれぞれの吸気孔V1は、吸引路V2に繋がっている。
【0032】
処理システムPSは、排気管V3、排気装置V4及び吸着センサV5を更に備えていてもよい。複数の吸気孔V1は、吸引路V2及び排気管V3を介して排気装置V4に接続されている。排気装置V4は、バルブ、レギュレータ、真空ポンプ等を含む。排気装置V4は、吸気孔V1、吸引路V2及び排気管V3の各々における圧力を調整しながら吸気孔V1、吸引路V2及び排気管V3内を吸引する。吸気孔V1は、吸引路V2及び排気管V3を介して吸着センサV5にも接続されている。吸着センサV5は、排気管V3内の圧力(以下「吸着力」ともいう。)を検出し、検出した当該圧力を制御装置CUに通知する。
【0033】
以下、制御装置CUが搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態の良否を判定するまでの処理の流れを説明する。
図1及び
図5に示すように、制御装置CUは、判定部93を備える。制御装置CUは、制御部92を備えていてもよい。
【0034】
制御部92は、基板WをアライナANの基板載置部10に搬送するように搬送ロボットTR3を制御する。以下、基板Wが搬送ロボットTR3から基板載置部10に受け渡される手順の流れを説明する。制御部92は、エンドエフェクタEE31の三つの支持部材P上に基板Wを載置した状態で、アライナANの基板載置部10の上方の領域まで基板Wを搬送するように、搬送ロボットTR3を制御する。次いで、
図1に示すように、制御部92は、基板載置部10の上方の領域に到達したエンドエフェクタEE31を基板載置部10の載置面11に対して下方の領域に向かって下降させるように搬送ロボットTR3を制御する。
図5は、一つの例示的実施形態に係る処理システムを示す側面図である。
図5に示すように、エンドエフェクタEE31を下降させることにより、基板Wが載置面11に載置され、エンドエフェクタEE31は、基板Wから下方に引き離される。これにより、基板Wが搬送ロボットTR3から基板載置部10に受け渡される。
【0035】
なお、制御部92は、基板Wが基板載置部10からエンドエフェクタEE31に受け渡される場合には、基板載置部10の載置面11に対して下方の領域から上方へエンドエフェクタEE31を上昇させるように、搬送ロボットTR3を制御する。これにより、エンドエフェクタEE31は、基板Wを三つの支持部材P上で支持して、基板載置部10の載置面11から持ち上げる。搬送ロボットTR3は、基板Wを基板載置部10の載置面11から持ち上げた後に、基板Wを搬送する。
【0036】
基板Wが搬送ロボットTR3から基板載置部10に受け渡される際には、三つの測定器20a、20b、20cそれぞれの接触部21a、21b、21cが基板Wと接触する。三つの測定器20a,20b,20cは、基板Wが搬送ロボットTR3から基板載置部10上に載置されるときに基板載置部10が基板Wから受ける荷重を測定する。三つの測定器20a,20b,20cのそれぞれは、測定した荷重を制御装置CUの判定部93に通知する。
【0037】
判定部93は、三つの測定器20a,20b,20cの各々から通知された荷重に基づいて、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態の良否を判定する。判定部93は、固着状態の良否の判定の一例として、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力が異常か否かを判定してもよい。以下、判定部93は、荷重に基づいて特定される搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力を閾値と比較することによって固着状態の良否を判定する例を説明する。まず、判定部93は、固着力を算出する。固着力は、搬送ロボットTR3の三つの支持部材Pに対する基板Wの固着力である。固着力は、三つの測定器20a,20b,20cにおいて測定された荷重の合計値の最大値と基板Wの重量の合計値との差に基づいて算出される。一例では、固着力は、三つの測定器20a,20b,20cにおいて測定された荷重の合計値の最大値と基板Wの重量の合計値との差である。
【0038】
具体的に、判定部93は、複数の測定時点の各々において、三つの測定器20a,20b,20cによって測定された荷重の合計値を求める。これにより、判定部93は、複数の測定時点それぞれの荷重の合計値、即ち、複数の合計値を得る。そして、制御部は、複数の合計値のうち最大値を、三つの測定器20a,20b,20cにおいて測定された荷重の合計値の最大値として特定する。なお、複数の測定時点は、例えば、エンドエフェクタEE31が載置面11の上方の領域に位置する時点からエンドエフェクタEE31が載置面に対して下方の領域への下降を完了する時点までの期間に含まれ得る。
【0039】
基板Wの重量の合計値は、例えば、基板WがエンドエフェクタEE31から基板載置部10に受け渡された後に、三つの測定器20a,20b,20cにおいて測定された基板載置部10上の基板Wの重量の合計値を指す。基板Wの重量の合計値は、基板WがエンドエフェクタEE31から基板載置部10に受け渡された後の複数の時点それぞれにおいて三つの測定器20a,20b,20cにおいて測定された基板載置部10上の基板Wの重量の合計値のうちの最小値であってもよい。
【0040】
判定部93は、算出した固着力が異常か否かを判定する。判定部93は、固着力を閾値と比較することで異常を検出する。閾値は、予め設定されている。判定部93は、固着力が閾値より大きい場合に搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態が良好ではないと判定し、異常と判定する。ここで、基板Wを支持する三つの支持部材Pが正常である場合、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態が良好と判定され、当該固着力は、閾値以下となる。すなわち、基板Wから受ける荷重と基板Wの重量との差異は、閾値内に収まる。
【0041】
しかしながら、基板Wを支持する少なくとも一つの支持部材Pが何らかの要因で汚損されている場合に、搬送ロボットTR3による基板Wの搬送中に、基板Wが当該少なくとも一つの支持部材Pに固着する可能性がある。この場合には、基板Wは、高い固着力に起因して、当該少なくとも一つの支持部材Pから脱離しにくくなる。基板載置部10の載置面11上に基板Wが載置されるとき、搬送ロボットTR3のエンドエフェクタEE31は、基板Wと当該少なくとも一つの支持部材Pとを脱離させるために、当該固着力を上回る力で下方に移動する必要がある。このとき、三つの測定器20a,20b,20cにより測定される荷重は、当該固着力の分だけ、基板Wの重量に閾値を足した値よりも大きくなる。よって、固着力が閾値より大きい場合には、搬送ロボットTR3のエンドエフェクタEE31における少なくとも一つの支持部材Pが異常であると判定される。
【0042】
一実施形態において、制御部92は、判定部93により算出した固着力が閾値より大きいと判定される場合に警告を発してもよい。例えば、制御部92は、不図示のブザーによる音声報知、及び表示部における画面表示等によって、異常を報知する。
【0043】
一実施形態において、制御装置CUは、算出した固着力が閾値より大きい場合に、クリーニングステーションCLにエンドエフェクタEE31を移動させて、三つの支持部材Pをクリーニングしてもよい。クリーニングステーションCLは、例えば、少なくとも一つの支持部材Pに対して、エアブロー、研磨、又はエアブロー及び研磨の双方を実行する。
【0044】
制御部92は、判定部93により算出した固着力が閾値以下であると判定される場合に、基板載置部10から基板Wを受け取って、基板Wの搬送を続行するよう、搬送ロボットTR3を制御してもよい。制御部92は、判定部93により算出した固着力が閾値より大きいと判定される場合においても、基板Wの搬送を継続してもよい。この場合、制御部は、クリーニングステーションCLにエンドエフェクタEE31を移動させて、少なくとも一つの支持部材Pをクリーニングした後に、基板載置部10から基板Wを受け取って、基板Wの搬送を続行するよう、搬送ロボットTR3を制御する。
【0045】
次に、
図6を参照して一つの例示的実施形態に係る処理システムにおいて行われる搬送方法について説明する。
図6は、一つの例示的実施形態に係る処理システムによる搬送方法の流れ図である。以下、処理システムPSが用いられる場合を例にとって、
図6に示す搬送方法MT(以下、「方法MT」という)について説明する。また、方法MTにおける制御装置CUによる処理システムPSの各構成及び各部の制御について説明する。なお、方法MTは、処理システムPS以外の処理システムを用いて行われてもよい。
【0046】
方法MTでは、基板Wが搬送ロボットTR3から基板載置部10上に載置されるときに基板載置部10が基板Wから受ける荷重を測定し、測定された荷重に基づいて、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力が異常か否かが判定される。
【0047】
方法MTは、工程STaを含む。工程STaでは、基板Wは、エンドエフェクタEE31の三つの支持部材Pに吸着される。基板Wが搬送ロボットTR3による搬送されるとき、制御部92は、吸気孔V1、吸引路V2及び排気管V3内が吸引されるように、排気装置V4を制御する。これにより、基板Wが三つの支持部材Pに吸着される。
【0048】
方法MTでは、次いで、工程STbが行われる。工程STbでは、搬送ロボットTR3により基板Wが基板載置部10に搬送される。工程STaでは、例えば、制御部92は、基板WをアライナANに搬送するように、搬送ロボットTR3を制御する。基板Wが搬送ロボットTR3により搬送されているとき、基板Wは、エンドエフェクタEE31の三つの支持部材P上に載置されている。
【0049】
方法MTでは、次いで、工程STcが行われる。工程STcでは、エンドエフェクタEE31における基板Wの吸着が停止される。基板Wを載置するエンドエフェクタEE31が基板載置部10の上方に移動してきたとき、制御部92は、吸気孔V1、吸引路V2及び排気管V3内の吸引を停止するように、排気装置V4を制御する。これにより、基板Wと三つの支持部材Pとの吸着が停止する。
【0050】
方法MTでは、次いで、工程STdが行われる。工程STdでは、基板Wが基板載置部10上に載置される。具体的には、制御部92は、エンドエフェクタEE31が載置面11に対して下方の領域へ移動するように、搬送ロボットTR3を制御する。これにより、基板Wは、エンドエフェクタEE31から基板載置部10に受け渡されて、基板載置部10上へ搬送される。
【0051】
また、方法MTでは、工程STeが行われる。工程STeでは、基板Wが搬送ロボットTR3から基板載置部10上に載置されるときに基板載置部10が基板Wから受ける荷重が測定される。三つの測定器20a,20b,20cの各々は、複数の測定時点の各々において基板Wから受ける荷重を測定する。三つの測定器20a,20b,20cの各々は、複数の測定時点の各々において測定された荷重を判定部93に通知する。
【0052】
また、方法MTでは、工程STfが行われる。工程STfでは、基板Wの重量が測定される。例えば、基板WがエンドエフェクタEE31から基板載置部10上に載置され、エンドエフェクタEE31が載置面11に対して下方の領域に移動した後に、三つの測定器20a,20b,20cの各々により、基板載置部10上の基板Wの重量が測定される。三つの測定器20a,20b,20cの各々は、測定した基板Wの重量を判定部93に通知する。
【0053】
方法MTでは、次いで、工程STgが行われる。工程STgでは、固着力が算出される。判定部93は、三つの測定器20a,20b,20cにより測定された荷重に基づいて固着力を算出する。固着力は、上述したように、複数の測定時点それぞれにおいて三つの測定器20a,20b,20cにより測定された荷重の合計値のうちの最大値と、三つの測定器20a,20b,20cの各々により測定された重量の合計値との差である。
【0054】
方法MTでは、次いで、工程SThが行われる。工程SThでは、アライナANにおける基板Wの位置が検出される。アライナANの光学センサSNは、基板Wの位置として、基板Wのノッチの角度位置を検出する。光学センサSNは、検出した基板Wのノッチの角度位置を判定部93に通知する。
【0055】
方法MTでは、次いで、工程STiが行われる。工程STiでは、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態の良否が判定される。すなわち、工程STiでは、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力が異常か否かが判定される。判定部93は、固着力を閾値と比較することで異常を検出する。固着力が閾値以下である場合には、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態が良好と判定される。すなわち、固着力が閾値以下である場合には、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力が異常ではないと判定され、処理は、工程STpに移る。一方、固着力が閾値より大きい場合には、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態が良好ではないと判定される。すなわち、固着力が閾値以下である場合には、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力が異常であると判定され、処理は、工程STjに移る。
【0056】
工程STjでは、異常が報知される。制御部92は、不図示のブザーによる音声報知、及び表示部における画面表示等によって、警告を発する。
【0057】
方法MTでは、工程STjの後に、工程STkが行われる。工程STkでは、クリーニングステーションCLにエンドエフェクタEEが移動する。エンドエフェクタEE31の少なくとも一つの支持部材Pは、エアブロー、研磨、又はエアブロー及び研磨の双方が実行されることによりクリーニングされる。例えば、エンドエフェクタEE31の三つの支持部材Pがエアブロー、研磨、又はエアブロー及び研磨の双方が実行されることによりクリーニングされてもよい。そして、処理は、工程STpに移る。
【0058】
工程STpでは、制御部92は、光学センサSNによる基板載置部10上での基板Wの角度位置の検出結果に基づいて、当該角度位置を基準角度位置に一致させる。また、工程STpでは、制御部92は、光学センサSNによるエッジの検出結果に基づいて、基板載置部10上での基板Wの中心位置を決定する。これにより、搬送ロボットTR3は、基板載置部10からエンドエフェクタEE31に基板Wを受け取る際に、決定された基板Wの中心位置とエンドエフェクタEE31上の基準位置を一致させるように、エンドエフェクタEE31の位置を制御できる。
【0059】
方法MTでは、次いで、工程STqが行われる。工程STqでは、アライナANにおいて、エンドエフェクタEE31により基板載置部10から基板Wが受け取られ、基板Wの搬送が続行される。エンドエフェクタEE31により基板載置部10から基板Wが受け取られた場合、方法MTは、終了する。
【0060】
実施形態の処理システムPSによれば、基板WをエンドエフェクタEE31から基板載置部10に受け渡す動作中に三つの測定器20a,20b,20cにより測定される荷重に基づいて、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態の良否を判定することができる。具体的には、処理システムPSによれば、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着状態の指標となる固着力を検出することができる。したがって、当該処理システムPSによれば、搬送ロボットTR3に対する基板Wの固着力の異常を検出することができる。なお、搬送ロボットTR3は、搬送装置の一例である。
【0061】
また、工程STgにおいて、固着力は、三つの測定器20a、20b,20cにおいて測定された荷重の最大値と基板Wの重量との差に基づいて算出される。三つの測定器20a、20b,20cは、基板Wが基板載置部10の載置面11に接触してから、基板Wが搬送ロボットTR3のエンドエフェクタEEにおけるすべての支持部材Pと脱離するまで、複数の測定時点における荷重を測定できる。判定部93は、各測定時点の三つの測定器20a、20b,20cにおいて測定された荷重の合計値のうち、最大値を算出する。固着力を算出するときには最大の固着力を測定すると規定することで、固着力の異常の判定ごとに判定の正確性を向上させることができる。
【0062】
また、工程STjにおいて、制御部92は、判定部93により固着力が閾値より大きいと判定される場合に警告を発する。これにより、処理システムPSは、オペレータ等に対して適切にエンドエフェクタEE31の状態が良好ではない旨を認識させることができる。
【0063】
また、工程STkにおいて、制御部92は、判定部93により固着力が閾値より大きいと判定される場合にクリーニングステーションCLにエンドエフェクタEE31を移動させて、少なくとも一つの支持部材Pをクリーニングする。これにより、処理システムPSは、固着力の異常が検出された支持部材Pをクリーニングすることができ、固着力の異常の継続を抑制できる。
【0064】
また、工程STpにおいて、判定部93により固着力が閾値以下であると判定される場合に、制御部92は、基板載置部10から基板Wを受け取って、基板Wの搬送を続行するように、搬送ロボットTR3を制御できる。固着力が異常ではない場合には、制御部92は、搬送ロボットTR3に基板Wの搬送を継続させることができる。また、判定部93により固着力が閾値より大きいと判定される場合に、制御部92は、クリーニングステーションCLにより少なくとも一つの支持部材Pをクリーニングするように、搬送ロボットTR3を制御する。少なくとも一つの支持部材Pがクリーニングされた後に、工程STpにおいて、制御部92は、基板載置部10から基板Wを受け取って、基板Wの搬送を続行するように、搬送ロボットTR3を制御できる。固着力が異常であっても、支持部材Pがクリーニングされ、固着力の異常が解消されることで、制御部92は、搬送ロボットTR3に基板Wの搬送を継続させることができる。
【0065】
なお、一例として、判定部93は、固着力が異常であると判定された場合、判定部93は、三つの支持部材Pのうち何れの支持部材Pにおいて固着力が異常であったかを検出してもよい。判定部93は、荷重の合計値が最大値となる測定時点における三つの測定器20a,20b,20cの各々によって測定された荷重を取得する。判定部93は、当該測定された三つの荷重のうち、一番大きい荷重が測定されている測定器に最も近い支持部材Pにおける固着力が異常であると検出する。
【0066】
このように、処理システムPSは、少なくとも一つの測定器20として、基板Wが載置される基板載置部10の載置面11に沿って設けられ、かつ、互いに一直線上に設けられていない三つの測定器20a,20b,20cを備える。これにより、固着力の異常を面的に検出することができ、異常のある部位(支持部材P)を適切に検出することができる。このとき、制御部92は、例えば、三つの支持部材Pのうち固着力が異常である支持部材Pを特定可能なように警告を発してもよい。また、制御部92は、クリーニングステーションCLにエンドエフェクタEEを移動させて、少なくとも固着力が異常である支持部材Pをクリーニングしてもよい。
【0067】
基板Wと支持部材Pとの固着力に対する閾値は、測定器ごとに設定されてもよい。三つの測定器20a,20b,20cは、載置面11の基準位置を中心とする円周上に等間隔に設けられていなくてもよい。工程STiでは、当該測定器ごとの固着力を、測定器ごとに設定された閾値と比較して、固着力が異常か否かを判定してよい。このとき、工程STgでは、測定器ごとに測定された基板Wの荷重及び基板Wの重量に基づいて測定器ごとの固着力が算出されていてもよい。例えば、工程STiでは、少なくとも一つの固着力が対応する閾値より大きい場合には、固着力が異常であると判定してよい。
【0068】
なお、処理システムPSにおける測定器20の数は三つに限定されない。処理システムPSは、一つの測定器20を備えてもよく、二つ又は四つ以上の測定器20を備えてもよい。エンドエフェクタEE31の支持部材Pの数は限定されない。エンドエフェクタEE31は、一つの支持部材Pを有してもよく、二つ又は四つ以上の支持部材Pを有してもよい。また、少なくとも一つの支持部材Pに対して吸気孔V1が形成されていなくてもよい。処理システムPSは、クリーニングステーションCLを備えなくてもよい。この場合、工程STp及び工程STqは実行されない。
【0069】
以下、
図7を参照して、別の処理システムについて説明する。
図7は、他の例示的実施形態に係る処理システムを説明するための図である。
図7は、搬送ロボットTR3により基板WがストレージSRの基板載置部10A上に載置された後の状態を示している。
図7では、ストレージSRの開口に対するエンドエフェクタEE31の向きは、多関節アームAR31によって変更されている。
図7に示す例示的実施形態に係る処理システムPSAは、基板載置部及び少なくとも一つの測定器が、ストレージSR内に設けられている点で処理システムPSと相違する。
【0070】
ストレージSRは、一対の基板載置部10A,10Aと、一対の壁部12A,12Aを有する。一対の壁部12A,12Aは、互いに略平行且つ鉛直方向に延びる壁であり、互いから離間している。一対の基板載置部10A,10Aは、一対の壁部12A,12Aの間の空間に一対の壁部12A,12Aから延び出している。一対の基板載置部10A,10Aは、互いから離間している。一対の基板載置部10A,10Aは、その上に載置される基板Wを支持する。一対の基板載置部10A,10Aは、その上に基板Wが載置される載置面11A,11Aを有する。エンドエフェクタEE31のフォークFK31は、例えば、一対の基板載置部10A,10Aの間の領域を通って上下に移動できるよう、一対の基板載置部10A,10Aの間の領域の幅よりも小さい幅を有する。
【0071】
搬送ロボットTR3は、一対の基板載置部10A,10Aの一対の載置面11A,11Aの上方の領域からエンドエフェクタEE31を下降させて、基板WをエンドエフェクタEE31から一対の基板載置部10A,10Aに受け渡す。これにより、基板Wは、エンドエフェクタEE31から引き離されて、一対の載置面11A,11A上に載置される。また、搬送ロボットTR3は、一対の基板載置部10A,10Aに対して下方の領域からエンドエフェクタEE31を上昇させる。これにより、エンドエフェクタEE31は、基板Wを三つの支持部材Pによって支持して、基板Wを一対の基板載置部10A,10Aの一対の載置面11A,11Aから持ち上げる。
【0072】
処理システムPSAは、少なくとも一つの測定器として、三つの測定器20Aを備える。各測定器20Aは、基板Wと接触可能に配置された接触部21Aを含む。各接触部21Aは、例えば、各測定器20Aの上端に設けられている。各接触部21Aは、基板載置部10の載置面11を含む平面に沿って設けられている。各接触部21Aの上端面は、載置面11を含む平面上に位置するように設けられる。処理システムPSAによる搬送方法は、上述の実施形態における処理システムPSの方法MTと同様である。なお、処理システムPSAによる搬送方法は、工程STpを含まなくてもよい。
【0073】
以下、
図8を参照して、別の処理システムについて説明する。
図8は、他の例示的実施形態に係る処理システムを説明するための図である。
図8は、搬送ロボットTR3により基板WがロードロックモジュールLLMに載置された後の状態を示している。
図8に示す例示的実施形態に係る処理システムPSBは、基板載置部及び少なくとも一つの測定器がロードロックモジュールLLM内に設けられている点で処理システムPSと相違する。
【0074】
ロードロックモジュールLLMは、基板載置部として、三つの基板載置部10Bを有する。三つの基板載置部10Bは、その上に載置される基板Wを支持する。三つの基板載置部10Bは、それぞれその上に基板Wが載置される載置面11Bを有する。三つの基板載置部10Bは、
図8に示すように、互いに平行に延びる昇降可能なピンであってもよく、それらの上端面が載置面11Bであってもよい。
【0075】
搬送ロボットTR3は、三つの基板載置部10Bそれぞれの載置面11Bの上方の領域からエンドエフェクタEE31を下降させる。これにより、基板Wは、エンドエフェクタEE31から三つの基板載置部10Bに受け渡されて、三つの載置面11B上に載置される。また、搬送ロボットTR3は、三つの基板載置部10Bそれぞれの載置面11Bに対して下方の領域からエンドエフェクタEE31を上昇させる。これにより、エンドエフェクタEE31は、基板Wを三つの支持部材Pによって支持して、基板Wを基板載置部10Bそれぞれの載置面11Bから持ち上げる。
【0076】
処理システムPSBは、少なくとも一つの測定器として、三つの測定器20Bを備える。各測定器20Bは、基板Wと接触可能に配置された接触部21Bを含む。各接触部21Bは、例えば、測定器20Bの上端に設けられている。各接触部21Bは、基板載置部10Bの載置面11Bに沿って設けられている。各接触部21Bの上端面は、例えば、載置面11Bを含む平面内に位置するように設けられる。処理システムPSBによる搬送方法は、上述の実施形態における処理システムPSの方法MTと同様である。なお、処理システムPSBによる搬送方法は、工程STpを含まなくてもよい。
【0077】
以上、種々の例示的実施形態について説明してきたが、上述した例示的実施形態に限定されることなく、様々な追加、省略、置換、及び変更がなされてもよい。また、異なる実施形態における要素を組み合わせて他の実施形態を形成することが可能である。
【0078】
ここで、本開示に含まれる種々の例示的実施形態を、以下の[E1]~[E14]に記載する。
【0079】
[E1]
その上に基板が載置されるように構成された基板載置部と、
前記基板が搬送装置から前記基板載置部上へ搬送されるときに前記基板載置部が前記基板から受ける荷重を測定する少なくとも一つの測定器と、
前記少なくとも一つの測定器により測定された前記荷重に基づいて、前記搬送装置に対する前記基板の固着状態の良否を判定する制御部と、
を備える、処理システム。
【0080】
[E2]
前記基板を前記基板載置部に搬送するように構成された前記搬送装置を更に備える、請求項[E1]に記載の処理システム。
【0081】
[E3]
前記少なくとも一つの測定器として、それぞれの接触部を含む三つ以上の測定器を備え、
前記三つ以上の測定器は、それぞれの接触部に対する荷重を測定するように構成されており、
前記三つ以上の測定器それぞれの前記接触部は、一直線上に配置されていない、請求項[E1]又は[E2]に記載の処理システム。
【0082】
[E4]
前記搬送装置は、フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有し、
前記固着状態は、前記少なくとも一つの支持部材に対する前記基板の固着状態である、[E1]~[E3]の何れか一項に記載の処理システム。
【0083】
[E5]
前記少なくとも一つの支持部材は、その吸気孔からの吸気により、前記基板を吸着するように構成されている、[E4]に記載の処理システム。
【0084】
[E6]
前記判定部は、前記荷重に基づいて特定される前記搬送装置に対する前記基板の固着力を閾値と比較することによって前記固着状態の良否を判定する、[E1]~[E5]の何れか一項に記載の処理システム。
【0085】
[E7]
前記固着力は、前記少なくとも一つの測定器において測定された前記荷重の最大値と前記基板の重量との差に基づいて算出される、[E6]に記載の処理システム。
【0086】
[E8]
前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングするように構成されたクリーニングステーションと、
前記搬送装置を制御する制御部と、
を更に備え、
前記搬送装置は、フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有し、
前記制御部は、前記判定部により前記固着力が閾値より大きいと判定される場合に、前記クリーニングステーションに前記エンドエフェクタを移動させて、前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングする、[E6]又は[E7]に記載の処理システム。
【0087】
[E9]
前記判定部により前記固着力が前記閾値より大きいと判定される場合に警告を発する制御部を更に備える、[E6]~[E8]の何れか一項に記載の処理システム。
【0088】
[E10]
前記搬送装置を制御する制御部を更に備え、
前記制御部は、前記判定部により前記固着力が前記閾値以下であると判定される場合に、前記基板載置部から前記基板を受け取って、前記搬送装置に前記基板の搬送を続行させる、[E6]又は[E7]に記載の処理システム。
【0089】
[E11]
ロードポートと、
前記ロードポートから取り出した前記基板を大気圧環境下で搬送するように構成されたローダモジュールであり、前記搬送装置を含む該ローダモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、前記基板の位置を調整するように構成されたアライナと、
前記ローダモジュールに接続されており、予備減圧室を提供するロードロックモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、その中に前記基板を格納するように構成されたストレージと、
を更に備え、
前記基板載置部及び前記少なくとも一つの測定器は、前記アライナ内に設けられている、[E1]~[E10]の何れか一項に記載の処理システム。
【0090】
[E12]
前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングするように構成されたクリーニングステーションと、
フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有する前記搬送装置を制御する制御部と、
を更に備え、
前記制御部は、前記判定部により前記固着状態が良好ではないと判定される場合に、前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングした後に、前記基板載置部から前記基板を受け取って、前記搬送装置に前記基板の搬送を続行させる、[E11]に記載の処理システム。
【0091】
[E13]
ロードポートと、
前記ロードポートから取り出した前記基板を大気圧環境下で搬送するように構成されたローダモジュールであり、前記搬送装置を含む該ローダモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、前記基板の位置を調整するように構成されたアライナと、
前記ローダモジュールに接続されており、予備減圧室を提供するロードロックモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、その中に前記基板を格納するように構成されたストレージと、
を更に備え、
前記基板載置部及び前記少なくとも一つの測定器は、前記ストレージ内に設けられている、[E1]~[E10]の何れか一項に記載の処理システム。
【0092】
[E14]
ロードポートと、
前記ロードポートから取り出した前記基板を大気圧環境下で搬送するように構成されたローダモジュールであり、前記搬送装置を含む該ローダモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、前記基板の位置を調整するように構成されたアライナと、
前記ローダモジュールに接続されており、予備減圧室を提供するロードロックモジュールと、
前記ローダモジュールに接続されており、その中に前記基板を格納するように構成されたストレージと、
を更に備え、
前記基板載置部及び前記少なくとも一つの測定器は、前記ロードロックモジュール内に設けられている、[E1]~[E10]の何れか一項に記載の処理システム。
【0093】
[E15]
前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングするように構成されたクリーニングステーションと、
フォーク及びその上に前記基板が載置されるように構成された少なくとも一つの支持部材を含むエンドエフェクタを有する前記搬送装置を制御する制御部と、
を更に備え、
前記判定部は、前記荷重に基づいて特定される前記搬送装置に対する前記基板の固着力を閾値と比較することによって前記固着状態の良否を判定し、
前記制御部は、前記判定部により前記固着力が閾値より大きいと判定される場合に、前記少なくとも一つの支持部材をクリーニングした後に、前記基板載置部から前記基板を受け取って、前記搬送装置に前記基板の搬送を続行させる、[E11]に記載の処理システム。
【0094】
以上の説明から、本開示の種々の実施形態は、説明の目的で本明細書で説明されており、本開示の範囲及び主旨から逸脱することなく種々の変更をなし得ることが、理解されるであろう。したがって、本明細書に開示した種々の実施形態は限定することを意図しておらず、真の範囲と主旨は、添付の特許請求の範囲によって示される。
【符号の説明】
【0095】
10,10A,10B…基板載置部、11,11A,11B…載置面、20,20a,20b,20c,20A,20B…測定器、92…制御部、93…判定部、AN…アライナ、CL…クリーニングステーション、CU…制御装置、EE11,EE12,EE21,EE22,EE31…エンドエフェクタ、FK11,FK12,FK21,FK22,FK31…フォーク、LL1,LL2,LLM…ロードロックモジュール、LM…ローダモジュール、LP1~LP4…ロードポート、MT…搬送方法、P…支持部材、PS,PSA,PSB…処理システム、SN…光学センサ、SR…ストレージ、TR1,TR2,TR3…搬送ロボット、V1…吸気孔、W…基板。