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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152505
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】加工装置及び汚れ監視方法
(51)【国際特許分類】
   B24B 49/12 20060101AFI20241018BHJP
   B23Q 11/00 20060101ALI20241018BHJP
   B23Q 17/24 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B24B49/12
B23Q11/00 N
B23Q17/24 Z
H01L21/78 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066735
(22)【出願日】2023-04-14
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】阿部 航太朗
(72)【発明者】
【氏名】梶原 佑介
【テーマコード(参考)】
3C011
3C029
3C034
5F063
【Fターム(参考)】
3C011BB11
3C029EE01
3C029EE20
3C034BB93
3C034CA22
3C034CA26
3C034CB13
3C034DD10
3C034DD20
5F063AA15
5F063AA28
5F063BA03
5F063BA43
5F063BA47
5F063DD06
5F063DE11
5F063DE33
5F063FF60
(57)【要約】
【課題】効率的に加工装置内の清掃を行うことができること。
【解決手段】加工装置1は、被加工物200を切削加工する装置であって、被加工物200を保持する保持テーブル10と、保持テーブル10に保持された被加工物200に切削加工を施す切削ユニット20と、カメラ80と、制御ユニット100と、報知部110と、を備え、制御ユニット100は、カメラ80で撮影した加工装置1の加工室70の基準画像を登録する基準画像登録部101と、基準画像登録部101に登録された基準画像と、カメラ80で新たに撮影して得た比較画像とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れの発生を判定する判定部102と、を備え、判定部102は、汚れ発生と判定した場合、報知部110に汚れの発生を報知させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被加工物を加工する加工装置であって、
該被加工物を保持する保持テーブルと、
該保持テーブルに保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、
カメラと、
制御ユニットと、
報知部と、を備え、
該制御ユニットは、
該カメラで撮影した該加工装置の内部の基準画像を登録する基準画像登録部と、
該基準画像登録部に登録された該基準画像と、該カメラで新たに撮影して得た比較画像とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れの発生を判定する判定部と、を備え、
該判定部は汚れ発生と判定した場合、該報知部に汚れの発生を報知させることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、カメラと、制御ユニットと、報知部と、を備えた加工装置を用いた汚れ監視方法であって、
該カメラで該加工装置の内部を撮影して基準画像を生成する基準画像生成ステップと、
該基準画像を登録する基準画像登録ステップと、
該カメラで該加工装置の内部を撮影して比較画像を生成する比較画像生成ステップと、
登録された該基準画像と該比較画像とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れの発生を判定する判定ステップと、
汚れ発生と判定された場合に、報知部より汚れの発生を報知する報知ステップと、
を備えることを特徴とする汚れ監視方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工装置及び汚れ監視方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体ウエーハ、樹脂パッケージ、セラミックス基板等の被加工物を加工する際には、各種加工装置が用いられる。加工装置は、被加工物を保持する保持テーブルと、保持テーブルによって保持された被加工物を加工する加工ユニットを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、被加工物を複数のチップに分割する際には、被加工物を切削する環状の切削ブレードが装着される加工ユニットを備えた切削装置(ダイサー)が加工装置として用いられる。また、被加工物を薄化する際には、被加工物を研削する研削砥石を含む研削ホイールが装着される加工ユニットを備えた研削装置(グラインダー)が加工装置として用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-5633号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述した特許文献1等に示された加工装置は、加工点に純水等の加工液を供給しながら高速回転する切削ブレードや研削ホイールで被加工物を加工する為、加工時に発生した加工屑が噴霧となって加工室内に飛散し、付着することで加工室内を汚染する。また、加工室内に飛散した水を拭き取らずにいると錆が発生する原因となる。
【0006】
更に装置内の汚れを放置することで被加工物に汚れが付着し、デバイス特性に影響を及ぼしたり、加工装置の早期劣化を引き起こす。
【0007】
このため、作業者は定期的に加工装置内の清掃が求められることとなる。しかし汚れを懸念して頻繁に清掃することは効率的ではない。よって、加工装置は、効率的に清掃するためには、加工装置内の汚れ具合を判定し、適切なタイミングでの清掃を促す手段が求められていた。
【0008】
本発明の目的は、効率的に加工装置内の清掃を行うことができる加工装置及び汚れ監視方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の加工装置は、被加工物を加工する加工装置であって、該被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、カメラと、制御ユニットと、報知部と、を備え、該制御ユニットは、該カメラで撮影した該加工装置の内部の基準画像を登録する基準画像登録部と、該基準画像登録部に登録された該基準画像と、該カメラで新たに撮影して得た比較画像とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れの発生を判定する判定部と、を備え、該判定部は汚れ発生と判定した場合、該報知部に汚れの発生を報知させることを特徴とする。
【0010】
本発明の汚れ監視方法は、被加工物を保持する保持テーブルと、該保持テーブルに保持された該被加工物に加工を施す加工ユニットと、カメラと、制御ユニットと、報知部と、を備えた加工装置を用いた汚れ監視方法であって、該カメラで該加工装置の内部を撮影して基準画像を生成する基準画像生成ステップと、該基準画像を登録する基準画像登録ステップと、該カメラで該加工装置の内部を撮影して比較画像を生成する比較画像生成ステップと、登録された該基準画像と該比較画像とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れの発生を判定する判定ステップと、汚れ発生と判定された場合に、報知部より汚れの発生を報知する報知ステップと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、効率的に加工装置1内の清掃を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例の一例を模式的に示す斜視図である。
図2図2は、図1に示された加工装置の基準画像登録部に登録された基準画像の一例を模式的に示す図である。
図3図3は、図1に示された加工装置のカメラが撮像して得た比較画像の一例を模式的に示す図である。
図4図4は、実施形態1に係る汚れ監視方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0014】
〔実施形態1〕
本発明の実施形態1に係る加工装置を図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る加工装置の構成例の一例を模式的に示す斜視図である。実施形態1に係る加工装置1は、被加工物200を切削加工(加工に相当)する加工装置である。
【0015】
(被加工物)
実施形態1に係る加工装置1の加工対象の被加工物200は、シリコン、サファイア、ガリウムなどを基板201とする円板状の半導体ウエーハや光デバイスウエーハ等のウエーハである。被加工物200は、図1に示すように、表面202に互いに交差する分割予定ライン203が複数設定され、分割予定ライン203によって区画された領域にデバイス204が形成されている。デバイス204は、例えば、IC(Integrated Circuit)、又はLSI(Large Scale Integration)等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)、又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、又はメモリ(半導体記憶装置)である。
【0016】
実施形態1において、被加工物200は、図1に示すように、被加工物200の外径よりも大径な円板状でかつ外縁部に環状フレーム207が貼着された粘着テープ206が表面202の裏側の裏面205に貼着されて、環状フレーム207の開口内に支持される。被加工物200は、分割予定ライン203に切削加工が施されて個々のデバイス204に分割される。
【0017】
なお、本発明では、被加工物200は、また、本発明では、被加工物200は、中央部が薄化され、外周部に厚肉部が形成された所謂TAIKO(登録商標)ウエーハでも良い。また、本発明では、被加工物200は、ウエーハに限らず、樹脂により封止されたデバイスを複数有した矩形状の樹脂被加工物、セラミックス基板、又はガラス基板等の各種の板状の被加工物でも良い。
【0018】
(加工装置)
加工装置1は、被加工物200を保持テーブル10で保持し分割予定ライン203に沿って切削ブレード21で切削加工して、被加工物200を個々のデバイス204に分割する切削装置である。加工装置1は、図1に示すように、被加工物200を吸引保持する保持テーブル10と、切削ブレード21によって保持テーブル10に保持された被加工物200を分割予定ライン203に沿って切削加工する切削ユニット20と、保持テーブル10に保持された被加工物200を撮像する撮像ユニット30と、制御ユニット100とを備える。実施形態1に係る加工装置1は、図1に示すように、切削ユニット20を2つ備えた、即ち、2スピンドルのダイサ、いわゆるフェイシングデュアルタイプの切削装置である。
【0019】
また、加工装置1は、保持テーブル10と切削ユニット20とを相対移動させる移動ユニット40を備える。移動ユニット40は、保持テーブル10を水平方向と平行なX軸方向に加工送りする加工送りユニット41と、切削ユニット20を水平方向と平行でかつX軸方向に直交するY軸方向に割り出し送りする割り出し送りユニット42と、切削ユニット20をX軸方向とY軸方向との双方と直交する鉛直方向に平行なZ軸方向に切り込み送りする切り込み送りユニット43と、保持テーブル10をZ軸方向と平行な軸心回りに回転する回転移動ユニット44とを少なくとも備える。
【0020】
加工送りユニット41は、保持テーブル10及び回転移動ユニット44を加工送り方向であるX軸方向に移動させることで、切削ユニット20に対して保持テーブル10を相対的にX軸方向に沿って移動させるものである。加工送りユニット41は、装置本体2に設置されている。
【0021】
割り出し送りユニット42は、切削ユニット20を割り出し送り方向であるY軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にY軸方向に沿って移動させるものである。割り出し送りユニット42は、装置本体2から立設した門型のフレーム3に設置されている。切り込み送りユニット43は、切削ユニット20を切り込み送り方向であるZ軸方向に移動させることで、切削ユニット20と保持テーブル10とを相対的にZ軸方向に沿って移動させるものである。切り込み送りユニット43は、割り出し送りユニット42によりY軸方向に移動される移動フレーム4に設置されている。回転移動ユニット44は、加工送りユニット41に支持され、保持テーブル10を支持して、保持テーブル10とともにX軸方向に移動自在に配設されている。
【0022】
加工送りユニット41、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43は、軸心回りに回転自在に設けられた周知のボールねじ、ボールねじを軸心回りに回転させる周知のモータ及び保持テーブル10又は切削ユニット20をX軸方向、Y軸方向又はZ軸方向に移動自在に支持する周知のガイドレールを備える。回転移動ユニット44は、保持テーブル10を軸心回りに回転するモータ等を備えている。
【0023】
保持テーブル10は、被加工物200が保持面11上に載置されて、被加工物200を保持するものである。保持テーブル10は、保持面11がポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、図示しない真空吸引経路を介して図示しない真空吸引源と接続され、真空吸引源により吸引されることで保持面11に載置された被加工物200を吸引保持する。保持テーブル10の周囲には、被加工物200の周囲の環状フレーム207を挟持するクランプ部12が複数配置されている。
【0024】
また、保持テーブル10は、加工送りユニット41により回転移動ユニット44とともに、切削ユニット20の下方の加工領域と、被加工物200が搬入、搬出される搬入出領域とに亘って、X軸方向に移動自在である。保持テーブル10は、回転移動ユニット44により鉛直方向であるZ軸方向と平行な軸心回りに回転される。
【0025】
切削ユニット20は、保持テーブル10で保持された被加工物200を分割予定ライン203に沿って切削加工を施す加工ユニットである。切削ユニット20は、それぞれ、保持テーブル10に保持された被加工物200に対して、割り出し送りユニット42によりY軸方向に移動自在に設けられ、かつ、切り込み送りユニット43によりZ軸方向に移動自在に設けられている。切削ユニット20は、それぞれ、加工送りユニット41、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43により、保持テーブル10の保持面11の任意の位置に切削ブレード21を位置付け可能となっている。
【0026】
切削ユニット20は、切削ブレード21と、割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43によりY軸方向及びZ軸方向に移動自在に設けられたスピンドルハウジング22と、スピンドルハウジング22に軸心回りに回転自在に設けられたスピンドル23と、スピンドル23を軸心回りに回転する図示しないスピンドルモータと、切削ブレード21に切削水を供給する切削水供給ノズル24とを有する。
【0027】
切削ブレード21は、略リング形状を有する極薄の切削砥石である。実施形態1において、切削ブレード21は、保持テーブル10で保持された被加工物200を切削加工するものである。切削ブレード21は、保持テーブル10に保持された被加工物200を切削加工する円環状の切り刃と、切り刃を外縁に支持しかつスピンドル23に着脱自在に装着される円環状の環状基台とを備えた、所謂ハブブレードである。切り刃は、ダイヤモンドやCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材(結合材)とからなり所定厚みに形成されている。なお、本発明では、切削ブレード21は、切り刃のみからなる所謂ワッシャーブレードでも良い。
【0028】
スピンドルハウジング22は、切り込み送りユニット43によりZ軸方向に移動自在に支持され、切り込み送りユニット43を介して割り出し送りユニット42によりY軸方向に移動自在に支持されている。スピンドルハウジング22は、スピンドル23の先端部を除く部分及び図示しないスピンドルモータ等を収容し、スピンドル23を軸心回りに回転可能に支持する。
【0029】
スピンドル23は、切削ブレード21が先端部に着脱自在に固定されるものである。スピンドル23は、図示しないスピンドルモータにより軸心回りに回転されるとともに、先端部がスピンドルハウジング22の先端面より突出している。スピンドル23の先端部は、先端に向かうにしたがって徐々に細く形成されており、切削ブレード21が装着される。切削ユニット20のスピンドル23及び切削ブレード21の軸心は、Y軸方向と平行である。即ち、切削ユニット20の切削ブレード21は、スピンドルモータにより軸心回りに回転される。
【0030】
切削水供給ノズル24は、切削加工中に切削ブレード21に切削水(実施形態1では、純水)を供給するものである。
【0031】
撮像ユニット30は、切削ユニット20のスピンドルハウジング22に取り付けられて、保持テーブル10の上方に配置され、切削ユニット20とともに割り出し送りユニット42及び切り込み送りユニット43によりY軸方向及びZ軸方向に移動される。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された切削加工前の被加工物200の切削加工すべき領域を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。撮像ユニット30は、保持テーブル10に保持された被加工物200を撮像して、画像を取得し、取得した画像を制御ユニットに出力する。
【0032】
また、加工装置1は、保持テーブル10のX軸方向の位置を検出するため図示しないX軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のY軸方向の位置を検出するための図示しないY軸方向位置検出ユニットと、切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出するためのZ軸方向位置検出ユニットと、保持テーブル10の軸心回りに角度を検出する角度検出ユニットとを備える。X軸方向位置検出ユニット及びY軸方向位置検出ユニットは、X軸方向、又はY軸方向と平行なリニアスケールと、読み取りヘッドとにより構成することができる。Z軸方向位置検出ユニットは、モータのパルスで切削ユニット20のZ軸方向の位置を検出する。角度検出ユニットは、周知のロータリエンコーダ等により構成される。
【0033】
X軸方向位置検出ユニット、Y軸方向位置検出ユニット及びZ軸方向位置検出ユニットは、保持テーブル10のX軸方向、切削ユニット20のY軸方向又はZ軸方向の位置を制御ユニット100に出力する。角度検出ユニットは、保持テーブル10の軸心回りの基準位置からの角度を制御ユニット100に出力する。なお、実施形態1では、加工装置1の各構成要素のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の位置は、予め定められた図示しない基準位置を基準とした位置で定められる。
【0034】
また、加工装置1は、切削加工前後の被加工物200を収容するカセット51が載置されかつカセット51をZ軸方向に移動させるカセットエレベータ50と、切削加工後の被加工物200を洗浄水(実施形態1では、純水)で洗浄する洗浄ユニット60と、図示しない搬送ユニットとを備える。カセット51は、被加工物200をZ軸方向に間隔をあけて複数収容可能な収容容器である。搬送ユニットは、カセット51内と、保持テーブル10の保持面11上と、洗浄ユニット60との間で被加工物200を搬送する。
【0035】
また、加工装置1は、装置本体2の外縁から立設した複数の立設壁71と、立設壁71の上端に連なった天井壁72により、装置本体2の上方が外部から遮断された加工室70(加工装置1の内部に相当)に形成されている。また、加工室70は、前述した加工領域と、前述した搬入出領域と、洗浄ユニット60の上方の洗浄領域とを含んでいる。
【0036】
前述した加工装置1は、切削ユニット20が切削水供給ノズル24から切削水を供給しながら切削ブレード21で被加工物200を切削加工し、洗浄ユニット60で被加工物200を洗浄すると、切削加工時に生じる加工屑を含んだ切削水や洗浄水が加工室70内で例えば噴霧となって飛散し、例えば、保持テーブル10の周囲に付着することがある。付着した切削水や洗浄水が乾燥すると、加工屑が残り、加工室70内に汚れが発生してしまう。また、付着した切削水や洗浄水は、加工室70内の錆びの発生の原因ともなる。
【0037】
また、加工装置1は、カメラ80を備えている。カメラ80は、加工室70内を撮像して、撮像して得た画像を制御ユニット100に出力するものである。実施形態1では、カメラ80は、広角レンズを備えて、加工室70内の加工領域の保持テーブル10及び保持テーブル10の周囲、洗浄領域の一部を撮像する。
【0038】
カメラ80は、加工室70内を撮像する撮像素子を備えている。撮像素子は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)撮像素子又はCMOS(Complementary MOS)撮像素子である。実施形態1において、カメラ80が撮像して得た画像は、各画素が受光したR(赤色)G(緑色)B(青色)の光の強度が複数段階(例えば、256段階)で示された撮像画像、即ち、各色の濃淡を有するカラー画像となっている。
【0039】
制御ユニット100は、加工装置1の上述した各構成要素をそれぞれ制御して、被加工物200に対する加工動作を加工装置1に実施させるものである。制御ユニット100は、CPU(central processing unit)のようなマイクロプロセッサを有する演算処理装置と、ROM(read only memory)又はRAM(random access memory)のようなメモリを有する記憶装置と、入出力インタフェース装置とを有し、コンピュータプログラムを実行可能なコンピュータである。
【0040】
制御ユニット100の演算処理装置は、ROMに記憶されているコンピュータプログラムをRAM上で実行して、加工装置1を制御するための制御信号を生成する。制御ユニット100の演算処理装置は、生成した制御信号を入出力インタフェース装置を介して加工装置1の各構成要素に出力する。また、制御ユニット100は、加工動作の状態や画像などを表示する液晶表示装置などにより構成される図示しない表示ユニットと、オペレータが加工内容情報などを登録する際に用いる入力ユニットと、オペレータに報知する報知部110とに接続されている。即ち、加工装置1は、表示ユニットと、入力ユニットと、報知部110とを備えている。入力ユニットは、表示ユニットに設けられたタッチパネルと、キーボード等とのうち少なくとも一つにより構成される。報知部110は、音及び光を発してオペレータに報知するものである。実施形態1では、報知部110は、光と発してオペレータに報知する表示灯111を備えている。
【0041】
また、制御ユニット100は、図1に示された基準画像登録部101と、判定部102とを備えている。図2は、図1に示された加工装置の基準画像登録部に登録された基準画像の一例を模式的に示す図である。図3は、図1に示された加工装置のカメラが撮像して得た比較画像の一例を模式的に示す図である。
【0042】
基準画像登録部101は、カメラ80で撮影した加工装置1の内部である加工室70の基準画像120(図2に示す)を登録するものである。なお、基準画像120は、加工室70内に切削水や洗浄水等の液体、加工屑等の汚れが付着していない時に、加工室70内をカメラ80で撮像して生成される画像である。即ち、基準画像120は、カメラ80の各画素が受光したR(赤色)G(緑色)B(青色)の光の強度が複数段階(例えば、256段階)で示された撮像画像、即ち、各色の濃淡を有するカラー画像となっている。
【0043】
基準画像120は、加工室70内に切削水や洗浄水等の液体、加工屑等の汚れが付着していない時に、加工室70内をカメラ80が撮像して得られ、基準画像登録部101に登録される。なお、加工室70内に切削水や洗浄水等の液体、加工屑等の汚れが付着していない時とは、新品の加工装置1が設置される時、加工装置1の加工室70が清掃された直後等である。
【0044】
判定部102は、基準画像登録部101に登録された基準画像120と、所定のタイミングでカメラ80で新たに撮影して得た比較画像130(図3に示す)とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れ140(図3に示す)の発生を判定するものである。なお、所定のタイミングとは、毎日の加工開始の直前、又は一定時間毎のタイミング等である。比較画像130は、所定のタイミングで加工室70内をカメラ80が撮像して得られる。このために、比較画像130は、カメラ80の各画素が受光したR(赤色)G(緑色)B(青色)の光の強度が複数段階(例えば、256段階)で示された撮像画像、即ち、各色の濃淡を有するカラー画像となっている。また、比較画像130は、図3に示すように、汚れ140が写ることがある。
【0045】
判定部102は、基準画像120と比較画像130とにパターンマッチングし、パターンマッチングで得られた相関値が予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。実施形態1では、判定部102は、基準画像120と比較画像130との同一の画素間の光の強度の差を合算し、合算した光の強度の差(相関値に相当)が、予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。判定部102は、合算した光の強度の差(相関値に相当)が、予め設定された閾値未満であると判定すると、汚れ140が発生していないと判定する。判定部102は、汚れ140が発生していないと判定すると、報知部110を動作させることがない。
【0046】
判定部102は、合算した光の強度の差(相関値に相当)が、予め設定された閾値以上であると判定すると、汚れ140が発生した(汚れ発生に相当)と判定する。判定部102は、汚れ140が発生したと判定した場合、報知部110を動作させて、オペレータに汚れ140の発生を報知させる。
【0047】
なお、基準画像登録部101の機能は、前述した記憶装置により実現される。判定部102の機能は、記憶装置に記憶されているコンピュータプログラムを演算処理装置が実行することで実現される。
【0048】
(汚れ監視方法)
次に、実施形態1に係る汚れ監視方法を説明する。図4は、実施形態1に係る汚れ監視方法の流れを示すフローチャートである。実施形態1に係る汚れ監視方法は、前述した加工装置1を用いて、加工装置1の加工室70内に汚れ140が発生したか否かを監視する方法である。実施形態1では、汚れ監視方法は、前述した加工装置1が、被加工物200を切削加工する加工動作でもある。実施形態1にかかる汚れ監視方法は、図4に示すように、基準画像生成ステップ301と、比較画像生成ステップ305と、判定ステップ306と、報知ステップ307とを備える。
【0049】
実施形態1において、汚れ監視方法では、加工装置1が加工室70内に切削水や洗浄水等の液体、加工屑等の汚れ140が付着していない時に基準画像生成ステップ301を実施する。基準画像生成ステップ301は、加工室70内に切削水や洗浄水等の液体、加工屑等の汚れ140が付着していない時に、カメラ80で加工装置1の加工室70を撮影して基準画像120を生成するステップである。
【0050】
実施形態1において、基準画像生成ステップ301では、加工室70内に切削水や洗浄水等の液体、加工屑等の汚れ140が付着していない時に、加工装置1は、制御ユニット100が加工室70内をカメラ80で撮像して、基準画像120を得て、得た基準画像120を基準画像登録部101に登録する。加工装置1は、基準画像生成ステップ301後、オペレータが入力ユニットを操作して入力された加工条件を制御ユニット100に登録し、オペレータにより被加工物200を複数枚収容したカセット51がカセットエレベータ50に設置される。加工装置1は、オペレータから加工動作の開始指示を制御ユニット100が受け付けると被加工物200の切削加工を開始する(ステップ302)。
【0051】
実施形態1において、加工装置1は、切削加工では、各切削ユニット20のスピンドル23即ち切削ブレード21を軸心回りに回転させるとともに、切削水供給ノズル25から切削ブレード21に切削水を供給させる。実施形態1において、加工装置1は、切削加工では、制御ユニット100が搬送ユニットにカセット51内から被加工物200を1枚取り出させ、取り出した被加工物200を粘着テープ206を介して搬入出位置の保持テーブル10の保持面11に載置させる。
【0052】
実施形態1において、切削加工では、加工装置1が、制御ユニット100が真空吸引源を駆動させて保持テーブル10に被加工物200を吸引保持させ、クランプ部12に環状フレーム207をクランプさせる。実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、制御ユニット100が移動ユニット40を制御して保持テーブル10を加工領域の撮像ユニット30の下方まで移動させて、撮像ユニット30に保持テーブル10に保持された被加工物200を撮像させる。実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、制御ユニット100がアライメントを遂行する。
【0053】
実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、制御ユニット100が移動ユニット40を制御して、切削ユニット20の切削ブレード21と被加工物200とを分割予定ライン203に沿って相対的に移動させながら、粘着テープ206に到達するまで切削ブレード21を分割予定ライン203に切り込ませる。実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、保持テーブル10に保持した被加工物200の全ての分割予定ライン203に切削ブレード21を切り込ませて被加工物200を切削加工して、被加工物200を個々のデバイス204に分割する。
【0054】
実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、保持テーブル10に保持した被加工物200の全ての分割予定ライン203を切削加工して、被加工物200を個々のデバイス204に分割すると、制御ユニット100が移動ユニット40を制御して保持テーブル10を搬入出領域に移動させ、搬入出領域で保持テーブル10の被加工物200の吸引保持を停止する。実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御して、被加工物200を保持テーブル10から洗浄ユニット60に搬送させ、洗浄ユニット60を制御して被加工物200を洗浄させる。
【0055】
実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、制御ユニット100が搬送ユニットを制御して、被加工物200を洗浄ユニット60からカセット51内に搬入させる。実施形態1において、切削加工では、加工装置1は、カセット51内の被加工物200を順に切削加工する。
【0056】
また、実施形態1において、切削加工中では、加工装置1は、制御ユニット100が前述した所定のタイミングであるか否かを判定する(ステップ303)。実施形態1において、切削加工中では、加工装置1は、制御ユニット100が前述した所定のタイミングではないと判定する(ステップ303:No)と、切削加工が終了か否かを判定する(ステップ304)。
【0057】
実施形態1において、切削加工中では、加工装置1は、制御ユニット100がカセット51内の全ての被加工物200を切削したと判定すると、切削加工が終了したと判定(ステップ304:Yes)して、切削加工を終了する。また、実施形態1において、切削加工中では、加工装置1は、制御ユニット100がカセット51内の全ての被加工物200を切削していないと判定すると、切削加工が終了していないと判定(ステップ304:No)して、ステップ303に戻る。こうして、実施形態1において、加工装置1は、カセット51内の被加工物200の切削加工を行うまで、切削加工を継続する。
【0058】
実施形態1において、切削加工中では、加工装置1は、制御ユニット100が前述した所定のタイミングであると判定する(ステップ303:Yes)と、比較画像生成ステップ305に進む。比較画像生成ステップ305は、カメラ80で加工装置1の加工室70を撮影して比較画像130を生成するステップである。実施形態1において、比較画像生成ステップ305では、加工装置1は、制御ユニット100が加工室70内をカメラ80で撮像して、基準画像120を得て、判定ステップ306に進む。
【0059】
判定ステップ306は、登録された基準画像120と比較画像130とを比較し、予め設定された閾値以上の違いの有無から汚れ140の発生を判定するステップである。実施形態1において、判定ステップ306では、加工装置1は、制御ユニット100の判定部102が、基準画像120と比較画像130との同一の画素間の光の強度の差を合算し、合算した光の強度の差(相関値に相当)が、予め設定された閾値以上であるか否かを判定する。
【0060】
実施形態1において、判定ステップ306では、加工装置1は、制御ユニット100の判定部102が、合算した光の強度の差(相関値に相当)が、予め設定された閾値未満であると判定すると、汚れ140が発生していないと判定(No)して、ステップ303に戻る。実施形態1において、判定ステップ306では、加工装置1は、制御ユニット100の判定部102が、合算した光の強度の差(相関値に相当)が、予め設定された閾値以上であると判定すると、汚れ140が発生した(汚れ発生に相当)と判定(Yes)して、報知ステップ307に進む。
【0061】
報知ステップ307は、判定ステップ306において、汚れ140が発生したと判定された場合に、報知部110より汚れ140の発生を報知するステップである。実施形態1において、報知ステップ307では、加工装置1は、制御ユニット100の判定部102が、報知部110を動作させて、オペレータに汚れ140の発生を報知させ、ステップ303に戻る。なお、本発明では、報知ステップ307において、加工装置1は、制御ユニット100の判定部102が、報知部110を動作させて、オペレータに汚れ140の発生を報知させた際に、加工装置1の切削加工を一時停止して、オペレータに加工室70内の清掃を促しても良い。
【0062】
以上説明したように、実施形態1に係る加工装置1及び汚れ監視方法は、所定のタイミングで実施される比較画像生成ステップ305でカメラ80で加工室70を撮像して比較画像130を生成し、判定ステップ306において基準画像120と比較画像130とを比較して汚れ140の発生を判定し、報知ステップ307において汚れ140が発生したと判定された場合に報知部110により報知する。このために、実施形態1に係る加工装置1及び汚れ監視方法は、加工室70の清掃が必要なタイミングで報知部110で報知でき、清掃が必要な適切なタイミングでオペレータに清掃を促すことができる。
【0063】
その結果、実施形態1に係る加工装置1及び汚れ監視方法は、効率的に加工装置1内の清掃を行うことができるという効果を奏する。
【0064】
なお、本発明は、上記実施形態及び変形例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、カメラ80が切削水及び洗浄水等の液体からの反射光の透過を抑制するフィルタを備え、このフィルタを透過した光を撮像素子で受光して、基準画像120及び比較画像130を得ても良い。この場合、前述した液体の反射光により基準画像120と比較画像130との間に光の強度の差が出やすい場合に、液体の反射光の影響を抑制することができるという効果を奏する。
【0065】
また、本発明では、加工装置1が、加工室70内を洗浄する洗浄装置を備えても良い。この場合、例えば、洗浄装置として、チャックテーブル用ウォータカーテンを用いることができる。チャックテーブル用ウォータカーテンは、内外径が保持テーブル10の外径と同等のリング状に形成され、保持テーブル10の外縁に装着されて、保持テーブル10が吸引保持した被加工物200に水(例えば、純水)を供給することで、被加工物200へのコンタミの付着を抑制するものである。このチャックテーブル用ウォータカーテンを洗浄装置として用いる場合、判定ステップ306において汚れが発生したと判定すると、報知ステップ307を実施することに加え、洗浄装置であるチャックテーブル用ウォータカーテンから直接保持テーブル10に水を供給して、少なくとも保持テーブル10から汚れ140である加工屑等を除去して、加工室70内の少なくとも一部を洗浄する洗浄ステップを実施しても良い。
【0066】
また、本発明では、加工装置1は、切削装置に限定されずに、例えば、被加工物200を研削する研削装置、被加工物200を研磨する研磨装置等の種々の加工装置でも良い。
【符号の説明】
【0067】
1 加工装置
10 保持テーブル
20 切削ユニット(加工ユニット)
70 加工室(加工装置の内部)
80 カメラ
100 制御ユニット
101 基準画像登録部
102 判定部
110 報知部
120 基準画像
130 比較画像
140 汚れ
200 被加工物
301 基準画像生成ステップ
305 比較画像生成ステップ
306 判定ステップ
307 報知ステップ
図1
図2
図3
図4