(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152551
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】農業水利施設の符号化方法、符号化装置、プログラム及び記録媒体
(51)【国際特許分類】
A01G 25/00 20060101AFI20241018BHJP
C02F 1/00 20230101ALI20241018BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20241018BHJP
E02B 13/00 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
A01G25/00 601A
C02F1/00 D
G06Q50/02
E02B13/00 301
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023132022
(22)【出願日】2023-08-14
(31)【優先権主張番号】P 2023066680
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.PYTHON
(71)【出願人】
【識別番号】501203344
【氏名又は名称】国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】田中 良和
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC01
5L050CC01
(57)【要約】
【課題】全国の農業水利施設の構成を共通の形式でデジタルデータ化する方法を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのプロセッサに、農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得処理(S11)と、取得部が取得したデータから付帯施設と水路との接続関係を解析する解析処理(S12)と、解析部が解析した接続関係に基づいて、農業水利施設の経路構成を符号化する符号化処理(S13)と、を実行させる情報処理方法であって、符号化処理(S13)は、付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップと、水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップと、施設符号と水路符号とを、農業水利施設の接続順に配列するステップと、を含む、情報処理方法。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのプロセッサに、
農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得処理と、
前記データから前記付帯施設と前記水路との接続関係を解析する解析処理と、
前記接続関係に基づいて、前記農業水利施設の経路構成を符号化する符号化処理と、を実行させる情報処理方法であって、
前記符号化処理は、
前記付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップと、
前記水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップと、
前記施設符号と前記水路符号とを、前記農業水利施設の接続順に配列するステップと、を含む、
情報処理方法。
【請求項2】
前記符号化処理において、分岐した農業水利施設の全体に含まれる前記付帯施設及び前記水路に対して、前記施設符号及び前記水路符号を接続順に配列した支線水路符号を割り当てる、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記支線水路符号を、前記分岐した農業水利施設が存在することを示す1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列の後に配列する、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記符号化処理において、前記農業水利施設の一部を代符号と識別数字で表す、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記符号化処理において、前記農業水利施設の個別情報の存在を示す文字列を割り当てるステップをさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記個別情報は、前記個別情報の存在を示す前記文字列が付された前記施設符号又は前記水路符号と、当該付帯施設又は当該水路の属性項目と、当該属性項目のデータと、含む、請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記個別情報は、前記個別情報の存在を示す前記文字列の間に配列された、前記水路の属性項目と当該属性項目のデータである、請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記固有の文字列は、テキストエディタによって処理可能なテキスト形式で表現される、請求項5に記載の情報処理方法。
【請求項9】
農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得部と、
前記取得部が取得した前記データから前記付帯施設と前記水路との接続関係を解析する解析部と、
前記解析部が解析した前記接続関係に基づいて、前記農業水利施設の経路構成を符号化する符号化部と、
を備える符号化装置。
【請求項10】
前記符号化部は、
前記付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップと、
前記水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップと、
前記施設符号と前記水路符号とを、前記農業水利施設の接続順に配列するステップと、を含むステップを実行する、請求項9に記載の符号化装置。
【請求項11】
請求項9に記載の符号化装置としてコンピュータを機能させるための符号化プログラムであって、上記取得部、上記解析部、および上記符号化部としてコンピュータを機能させるための符号化プログラム。
【請求項12】
請求項11に記載の符号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は農業水利施設の符号化方法、符号化装置、プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
令和2年末に閣議決定された「デジタル社会の実現に向けた改革の基本方針」に基づいて、さまざまな取り組みが行われている。例えば農林水産省では、農業水利施設のデジタルデータプラットフォーム構築の計画が進行している。しかし、既に運用され維持管理されている農業水利施設では、水理縦断図や平面図など維持管理に必要とされる基本的な情報さえもデジタル化されていない地区がある。
【0003】
さらに、農業水利施設の位置や接続関係のデジタル情報を作成するためのCADや地理情報のアプリケーションを使いこなすのは容易ではない。また、農業水利施設の位置や接続関係を表示する際に、農業水利施設を構成するそれぞれの施設やつながりを記述する共通の規則が決められていないため、デジタル図面を作成したとしても、他者が作成したデジタル図面と整合性を取ることが困難になる虞がある。
【0004】
例えば、特許文献1には、河川区間の自動検索を可能とするための河川区間検索方法が開示されている。具体的には、全国の流域内の河川区間ラインデータに対し、地理情報をベースにして河川名、流域、上流、下流、合流方向が規則的に区別できる、法則性を持った河川区間ID(例えば番号)が割り振られている。そして、河川区間IDの規則性を利用して、河川区間の自動検索(任意の河川区間へ流入する上流域全ての河川区間、及び、任意の河川区間から海までの河川の流下経路の抽出)を行う。例えば、処理部は、検索する基準となる基準河川区間IDを設定し、記憶部に記憶された各河川区間IDと基準河川区間IDとに基づき、各河川区間IDが基準河川区間IDよりも「上流」又は「下流」又は「上流でも下流でもない」のいずれかに分類する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
農業水利施設においては、複雑に分岐した水路において多くの施設が配置されているが、その水路情報はそれぞれの水路を管轄する事業者が独自の規則又は方法で作成して保管している。そのため、共通の仕様に基づいてデジタルデータ化することが難しく、したがってデータベース化も難しいという問題がある。この問題に対処しようとしても、全国の水路に共通して適用できるデータ表記法がなく、特許文献1に記載された技術を用いることはできない。
【0007】
本発明の一態様は、全国の農業水利施設の構成を共通の形式でデジタルデータ化する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る情報処理方法は、少なくとも1つのプロセッサに、農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得処理と、前記取得部が取得した前記データから前記付帯施設と前記水路との接続関係を解析する解析処理と、前記解析部が解析した前記接続関係に基づいて、前記農業水利施設の経路構成を符号化する符号化処理と、を実行させる情報処理方法であって、前記符号化処理は、前記付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップと、前記水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップと、前記施設符号と前記水路符号とを、前記農業水利施設の接続順に配列するステップと、を含む。
【0009】
また、本発明の一態様に係る符号化装置は、農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記データから前記付帯施設と前記水路との接続関係を解析する解析部と、前記解析部が解析した前記接続関係に基づいて、前記農業水利施設の経路構成を符号化する符号化部と、を備える。
【0010】
本発明の各態様に係る符号化装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記符号化装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記符号化装置をコンピュータにて実現させる符号化装置の符号化プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0011】
本発明の一態様によれば、全国の農業水利施設の構成を共通の形式でデジタルデータ化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態1に係る付帯施設の種類とそれに割り当てられた符号を示す一覧表である。
【
図2】農業水利施設の付帯施設と水路との接続関係を示す模式図の一例である。
【
図3】
図2に示した構成の水利施設を符号で表す例と、水利施設の付帯設備と水路に関する情報の記載例を示す表である。
【
図4】支線水路を含む農業水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
【
図5】複雑な支線水路を含む水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
【
図6】複合バイパスを含む水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
【
図7】複合バイパスを含む水利施設の経路構成の他の一例を示す模式図である。
【
図8】複雑な分岐とバイパスを含む水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
【
図9】本発明の実施形態2に係る符号化装置の構成を示すブロック図である。
【
図10】少なくとも1つのプロセッサが実行する情報処理方法S1の流れを示すフローチャートである。
【
図11】情報処理方法S1のステップS13で実行される符号化処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態について、詳細に説明する。以下に、農業水利施設の構成(経路構成)を所定のルールに従って符号化する方法について説明する。最初に、本実施形態で用いる、農業水利施設に関する用語について説明する。
【0014】
(農業水利施設)
農業水利施設とは、農業用水(以下、単に「水」という。)を取得する水源から最終的な送水先までの間に敷設された送水施設全体を指す。本実施形態においては、農業水利施設を、付帯施設と水路施設とに分類する。本実施形態において、水路施設は基本的に直線状である管路施設と開水路施設を含む。直線状ではなく曲がる箇所がある(つまり、曲部がある)管、分岐管(T字管、十字管など)、及び行き止まり管は、管路施設ではなく、付帯施設に分類する。管路施設は、円形、矩形等の配管で水密的に密閉された水路である。その材質は金属、コンクリート、強化プラスチック等、任意である。ただし、本実施形態で説明する考え方は、管路施設だけではなく、開水路施設にも適用可能である。開水路とは、上部が開放された水路である。付帯施設とは、水路と水路との間、又は農業水利施設の開始点又は終点に設けられた施設である。付帯施設の具体例は、別途一覧表を用いて後述する。以下では、「農業水利施設」を単に「水利施設」とも称する。また、「水路施設」を単に「水路」とも称する。
【0015】
(本線水路と支線水路)
農業用水を水源から分水施設まで送水する水路施設は送水路と呼び、分水施設から圃場まで配水する水路施設を配水路と呼ぶ。送水路は幹線水路であり、配水路は支線水路である。送水路には、上流端と下流端がある。配水路は、送水路と分岐や合流によって連結している。幹線水路又は支線水路の上流端から下流端を向いて、右側を右岸側、左方向を左岸側と呼ぶ。水利施設は途中で分岐しているものが多い。分岐した先の水利施設は、支線水路と称する。以下の実施形態の説明においては、水利施設の開始点から1つの終点までつながった一本の経路を本線水路とも称し、本線水路から分岐した経路を支線水路と称する。なお、特記しない場合は、支線水路からさらに分岐した水路も支線水路と称する。本線水路が分岐している場合に、分岐した水路のうち、どれを本線水路とし、どれを支線水路とするかは任意である。以下では「本線水路」を単に「本線」とも称し、「支線水路」を単に「支線」とも称する。ただし、支線水路内では、分岐において本線と支線の区別はしない。
【0016】
(付帯施設の符号化)
次に、付帯施設の符号化について説明する。
図1は、付帯施設の種類とそれに割り当てられた符号を示す一覧表である。符号は、1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる、種類ごとに固有の文字列である。具体的な符号は任意に設定することができる。付帯施設に与えられた符号を施設符号と称する。施設符号は、付帯施設に対して、付帯施設の種別ごとに割り当てられた、1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である。本実施形態においては、1字だけの符号(文字)も含めて便宜上「符号列」又は「文字列」と称する。また、以下では符号列(文字列)は全角で記載しているが、半角であってもよい。
【0017】
図1に示すように、付帯施設には、直線管路以外の管路(異形管)が含まれる。これを通水施設と称する。通水施設は、図示するように、例えばT字管、十字管、曲管、急縮急拡管、行き止まり管が含まれる。通水施設は、通水施設以外の付帯施設と水路(直管路)とを接続する場合に用いられる付帯施設である。
図1に示した付帯施設名と符号のペアは、現実世界のすべてのものを網羅しているわけではなく、必要に応じて、新たに追加しても良い。
【0018】
通水施設以外の付帯施設は、調整施設、調圧施設、ポンプ施設、分水施設、量水施設、通気施設、保護施設、管理施設、その他関連施設などがある。調製施設は、送水量又は受水量を調整する施設である。調圧施設は、送水圧力を調整する施設である。ポンプ施設は、ポンプとその関連施設である。分水施設は、送水先を振り分ける施設である。量水施設は、送水量とそれに関連する情報を取得する施設である。通気施設は、水路内の空気圧を調整する施設である。保護施設は、水利施設の安全性を高めるための施設である。管理施設は、送配水を管理する施設である。
【0019】
(水路の符号化)
付帯施設と同様に、水路(直管路)に対しても1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる、種類ごとに固有の文字列である符号が割り当てられる(図示せず)。水路に割り当てられた符号を水路符号と称する。水路符号は、水路に対して、水路の種別ごとに割り当てられた、1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である。水路符号には、一例として、「-」、「=」、「#」が含まれる。「-」は、柔構造継手を有する直管路を示す符号である。柔構造継手は、接続先の付帯施設に差し込んで固定する継手構造である。「=」は、剛構造継手を有する直管路を示す符号である。剛構造継手は、接続先の付帯施設に溶接等で固定する継手構造である。「#」は、鎖構造継手を有する直管路を示す符号である。鎖構造継手は、返し構造を有する継手構造である。水路符号は、その定義から基本的に施設符号と施設符号との間に置かれるが、後述するように、場合によっては省略することができる。以下では、付帯施設と水路とを併せて単に「施設」と称する場合がある。
【0020】
なお、上述の施設符号と水路符号はあくまでも一例であり、異なる符号を割り当ててもよい。また、上述の付帯施設と水路の分類は、実際の地図上での表記が、直管路は直線で表され、それ以外の付帯施設は点(丸印)で表されることに対応させた分類である。しかし、分類方法は上述の分類に限られず、異なる考え方で分類してもよい。
【0021】
(接続関係の模式図)
次に、付帯施設と水路との接続関係を、模式図で表す方法について説明する。模式図は、施設符号と水路符号を用いて接続関係を符号化するための基礎データにもなりうる。一例として、模式図は、付帯施設を、それを示す符号を含む丸印で表し、隣接する2つの丸印(付帯施設)を繋ぐ水路を直線で表すことができる。以下、この模式図について説明する。模式図で表す場合、T字管、曲管又は十字管は丸印を省略して、T字管はT字状の線で表し、十字管は十字状の線で表す場合がある。
【0022】
ある付帯施設が上流側と下流側の付帯施設とそれぞれ水路で接続する場合、この付帯施設は2本の線でそれぞれ上流側の付帯施設と下流側の付帯施設と接続される。この場合、この付帯施設は2本の線を持つと表現する。付帯施設の持つ線の本数を次数と呼ぶ。例えば、2本の線を持つ付帯施設は、次数2であると称する。次数2の付帯施設は、例えば、曲管、急縮急拡管、スタンド型調圧施設、バルブ調節型調圧施設、減圧弁、ポンプ、圧力タンク、流速計、流量計、安全弁、排泥施設、伸縮・可とう継手(特殊継手)、離脱防止継手、制水弁、逆止弁等である。
【0023】
水が分岐する付帯施設、あるいは水が合流する付帯施設を「分岐合流施設」とも称する。分岐合流施設は、線の数が3本以上ある(つまり、次数が3以上の)施設に対応する。分岐合流施設には、例えば、T字管、クローズド型分水工、十字管、調整池、ファームポンド、スタンド型調圧施設、フロート型調圧施設、吸水槽、吐出水槽、スタンド型分水工、排泥施設等が含まれる。
【0024】
例えば、2方向の分岐合流には、T字管、クローズド型分水工および排泥施設等があり、3方向の分岐合流には十字管がある。その他の分岐合流は、分岐又は合流する水路の本数が定まっていない。
【0025】
分岐合流施設をそれが持つ線の数で分類すると、以下のとおりである。
3本の線を持つ(次数3の)分岐合流施設:T字管、クローズド型分水工、排泥施設等。
4本の線を持つ(次数4の)分岐合流施設:十字管。
線の数が不定の(次数が未定の)分岐合流施設:調整池、ファームポンド、フロート型調圧施設、サージタンク、ワンウェイサージタンク、吸水槽、吐出水槽、スタンド型分水工等。
【0026】
図2は、農業水利施設の付帯施設と水路との接続関係を示す上記の模式図の一例である。
図2に示す例では、ポンプPからファームポンドFまでの本線水路と、本線水路からT字管Tで分岐して曲管Lを介して給水栓Hまで続く支線水路が表現されている。図示するように、T字管Tと曲管Lは明示的に記載されておらず、T字管TはT字状の線で、曲管LはL字状の線で、それぞれ表されている。また、ポンプPからT字管Tまでは直管の水路で繋がれているが、水路は直線で表されている。T字管TからファームポンドFまでの間、T字管Tから曲管Lまでの間、曲管Lから曲管Lまでの間も、直管の水路で繋がれているが、水路は直線で表されている。
【0027】
付帯施設には、上流側のみと接続する付帯施設と、下流側の水路施設のみと接続する付帯施設とがある。下流側の水路施設のみと接続する付帯施設は、農業水利施設の開始点である。上流側のみと接続する付帯施設は、農業水利施設の終点である。開始点と終点は水路の末端であり、それらを「境界点」と称する。境界点を表す付帯施設が持つ線の数は、1本である。境界点を表す、1本の線を持つ(次数1の)付帯施設には、給水栓、給水栓(空気弁兼用)、行き止まり管、通気スタンド、空気弁、水撃圧緩衝装置、ダム、頭首工等がある。
【0028】
(農業水利施設の接続関係の符号化ルール)
次に、施設符号と水路符号とを用いて水利施設の構成を符号化して表記する場合のルールを説明する。水利施設の構成は、付帯施設と水路とがどのように接続されているかを示す接続関係(接続情報)の積み重ねで表すことができる。所定のルールにより水利施設の全体の接続関係を符号化した表記式を、以下では水利施設の線形表記式SIFILES(Simplified Irrigation Facilities Input Line Entry System)と称する。
【0029】
基本的なルールは、施設符号と水路符号とを、農業水利施設の接続順に配列するということである。本線水路の施設符号と水路符号を配列した本線水路符号だけでなく、支線水路に対しても、分岐した支線水路の全体に含まれる付帯施設及び水路に対して、施設符号と水路符号を接続順に配列した支線水路符号を割り当てる。通常は、水の流れに沿って、本線水路の施設符号と水路符号とを上流から下流への順で配列する。ただし、水路符号は省略してもよい。つまり、施設符号が連続して表記されていても、基本的には2つの施設符号の間の水路符号が省略されていることを意味する。なお、複数の支線水路が存在する場合、本線水路が存在しない場合もある。
【0030】
以下に、本線水路符号と支線水路符号の配列方法の詳細について説明する。以下では、施設符号と水路符号とを配列した文字列を「(線形)表記式」、又は単に「式」とも称する。
【0031】
分岐合流施設から分岐した支線の支線水路符号は、分岐した農業水利施設が存在することを示す1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列の後に配列する。例えば、括弧「(」を分岐した農業水利施設が存在することを示す固有の文字列とする。つまり、括弧「(」の後に支線水路符号を記述し、支線水路符号の最後に閉じ括弧「)」で閉じる。そして、閉じ括弧「)」の後に本線の下流側の符号列を記述する。付帯施設の並ぶ順序を有向グラフの向きとして考えると、分岐合流から出ていく有向グラフの数が出次数、分岐合流へ向いている有向グラフの数が入次数となる。また、分岐合流から出ていく有向グラフのうち、1つは本線水路である。よって、出次数-1の数だけ分岐する支線水路があることになり、支線水路を表す「()」の数も出次数-1となる。
【0032】
分岐又は合流する場合において、支線の付帯施設と本線の付帯施設を記述する順番は、分岐した水路(支線)側の付帯施設を先に記述し、次に本線の付帯施設を記述する。例えば、(次数3の)T字管において分岐した水路に給水栓H、本線にファームポンドFが接続している場合は、「()」の数は、出次数-1なので、1つとなり、T(H)Fと記述し、支線側が(H)、本線側がFである。
【0033】
図3は、
図2に示した構成の水利施設を符号で表す例と、水利施設の付帯設備と水路に関する情報の記載例を示す表である。
図2に示した構成の水利施設を上記のルールで符号で表す例を、
図3の最上段に示す。
図2の本線水路はポンプPからT字管Tを経由してファームポンドFまでであるので、符号「PTF」で表される。一方、T字管Tから支線水路「LH」が分岐しているので、全体として符号「PT(LH)F」と表記される。なお、
図3には付帯施設と水路の情報を記載する例も示しているが、情報を記載する例については後述する。
【0034】
十字管の場合はT字管の2方向分岐と異なり3方向分岐となるが、T字管と同様に、後に続く符号の順番は、分岐管側の付帯施設、本管側の付帯施設とする。ただし、支線の順番は、支線が本線から分岐する方向は、上流から見て右側から左側への順とする。例えば、分岐した2本の支線に給水栓、本線にファームポンドが接続している場合は、C(H)(H)Fと記述し、一つ目の(H)は、上流側から下流側を見た際に本線の右側へ分岐した支線水路、二つ目の(H)は左側へ分岐した支線水路とする。その他の分岐本数が未定の分岐合流施設においても、支線の記述順に従って分岐の方向は右側から左側にあるとする。
ただし、左岸側にある支線水路の場合は、逆に、分岐する方向が左側の水路から右側の水路の順に「()」内に記述する。
【0035】
本線水路から分岐した支線水路が再び本線水路に合流する場合は、バイパスを表現する。バイパスを記述する場合、分岐合流施設からの支線における最末端の附帯施設を表す符号の後に添字番号を入れて、単なる分岐と区別する。
【0036】
符号「[]」の中に付帯施設が接続可能な線の数(以下、線数と呼ぶ)を指定できる。よって、複数の線数を持つ付帯施設も、境界点に位置する場合は施設を表すアルファベットの直後に「[]」を記し、その括弧の中に線数を1として記述することによって、境界点になることができる。ただし、「[]」が記述できる個所は、境界点になることが可能な水路全体の端に限定されるわけではなく、水路全体のすべての個所に記述することが可能であり、線数を変更することができる。例えば、線数が2本のポンプを上流側の境界点にする場合、P[1]と記述して、線数を1本に変更することができる。
【0037】
支線水路が管網やバイパスを表現する時、支線水路の末端の施設が境界点を表す場合、つまり、符号「()」内の最後のアルファベットが境界点を示す場合は、その境界点は本線とは接続しない。その支線内の分岐合流を表す施設が本線と接続する。
【0038】
付帯施設に「[]」にて線数が指定されている場合、分岐の添字番号を書く際には、「[]」の直後に記述する。
【0039】
バイパスを表現する場合、()内の最後の附帯施設を表す添字番号と同じ添字番号の分岐合流を表す施設の間に迂回水路(バイパス)があることを表す。つまり、末端に同じ添字番号を持つ付帯施設の()内の迂回水路は、その直前の分岐合流施設で分岐を表し、同じ添字番号を持つ附帯施設で合流を表す。より具体的に述べると、1つ目は迂回水路の先頭に接続する付帯施設であり、2つ目以降は迂回水路の末端と接続する付帯施設である。
【0040】
例えば、複数の曲管Lと制水弁Vによって構成された迂回水路の線形表記式は(LLLVLL1)であり、本線とT字管で分岐と合流をしていた場合、本線と支線のバイパス構造の線形表記式はT(LLLVLL1)T1である。
【0041】
上記の場合において、同じ添字番号を持つ分岐合流を表す付帯施設の2つ目以降は迂回水路の末端と接続する付帯施設である。
【0042】
管網やバイパスを表現する時、分岐合流施設の後に2つ以上の同じ添字番号が複数存在する場合、迂回水路が複数存在していることを表す。
【0043】
付帯施設に別の付帯施設を追加して接続する時は、アンダーバー「_」で接続する。例えば、曲管LにスラストブロックBtを設置する際には、アンダーバー「_」を付帯施設とスラストブロックの間に入れて「L_Bt」のように記述する。スラストブロックとは、管路を固定するブロックであり、1本も線を持たない(あるいは0本の線を持つ)施設である。1本も線を持たない施設は、スラストブロックの他に、水位計、圧力計、余水吐などがある。
【0044】
(水理縦断図の情報の取り込み)
また、水路の個別情報は、個別情報の存在を示す文字列の間に配列された、水路の属性項目と当該属性項目のデータであってもよい。例えば、個別情報の存在を示す文字列として符号「[]」を用いてもよい。例えば、「-」で記述される柔構造の継手構造を有する水路の場合、水路の情報は、柔構造の継手構造を有する水路を示す符号「-」と個別情報の存在を示す符号「[]」とを用いて、「-[上流側の計画高,土被り,静水圧,動水圧]管種,外径[下流側の計画高,土被り,静水圧,動水圧]-」と記述することができる。ここで、計画高,土被り,静水圧,動水圧,外径はそれぞれの数値を記述する。その単位は下記の通りである。また、管種は下記の符号で記述される。
・計画高 単位:m 小数点以下:2桁
・土被り 単位:m 小数点以下:2桁
・静水圧 単位:m 小数点以下:2桁
・動水圧 単位:m 小数点以下:2桁
・管種 sp(鋼管),vp(塩ビ管),pe(ポリエチレン管),dcip(ダクタイル管),frpm(強化プラスチック管),rc(コンクリート管),pc(プレコンプレスト管),acp(石綿管)
・外径 単位:mm(ミリメーター) 小数点以下:0桁。
【0045】
水路の個別情報に関する上記の記述方法により、水理縦断図に記載された情報を容易に取り込むことができる。これにより、既存の情報を含んだ統合データベースを容易に構築することができる。
【0046】
継手が剛構造の水路は、記号を省略してもよい。継手が剛構造以外(柔構造と鎖構造)の水路は省略しないものとする。例えば、以下のように省略することができる。
(1)制水弁と制水弁の間にある水路が柔構造または鎖構造である時
「V-V」(柔構造継手の場合)または「V#V」(鎖構造継手の場合)
(2)制水弁と制水弁の間にある水路が剛構造継手である時
「V=V」または「VV」(どちらも剛構造継手の場合)。
【0047】
以上の前提で、具体的には、例えば以下のように水路の情報を記述することができる。
(1) 管種vp、外径600mmの上端が、計画高80.00m、土被り1.00m、静水圧100.00m、動水圧90.00m、下端が計画高78.00m、土被り1.00m、静水圧100.00m、動水圧98.00mの場合は、
V=[80,1,100,90]vp,600[78,1,100,98]=V
と記述することができる。
(2) 制水弁と制水弁の間にある塩化ビニール管がTS継手であることだけを表現したい時は、カンマのみ残して次のように記述することができる。
V=[,,,]vp,[,,,]=V
【0048】
あるひとまとまりの農業水利施設の一部の文字列を、代符号と識別数字で記述してもよい。例えば、代符号を「x」とし、さらに必要に応じて添字番号(識別数字)をつけることによって、あるひとまとまりの農業水利施設(例えば支線水路の全体)の表記式を置き換えることができる。「x」は小文字であり、大文字ではない。代符号「x」による置き換え式は、「x」という文字が出現した次の行に記述する。例えば、T字管で分岐した下流側の2つの支線水路を「x1」と「x2」で置き換えた場合、以下のような表記式で記述することができる。
T(x1)x2
x1 :: ……(「……」には支線水路1の構成を示す符号を記述)
x2 :: ……(「……」には支線水路2の構成を示す符号を記述)
ただし、「::」は置き換えるということを表している。このような代符号を用いることにより文字列が少なくなるため、ユーザが文字列を見た際に構成が分かりやすくなるというメリットがある。
【0049】
式が長くて改行したい時は、行の最後に「+」を記述してから改行する。式の最後はピリオド「.」を記述して、ひとまとまりの水利施設の表記式の終了を表す。
【0050】
(コメント又は情報の記述)
表記式中に、農業水利施設の個別情報(符号ではないコメント又は情報)を記述してもよい。個別情報は、個別情報の存在を示す文字列を割り当ててその後に記述してもよい。例えば、個別情報を一行で書く際は、個別情報の存在を示す文字列「//」の後に書く。個別情報が複数行にわたる場合は、「/*」の次の行に個別情報を記載し、個別情報の次の行に「*/」を付して、個別情報の終わりを示してもよい。個別情報には、@マークの後に属性を記すことで、例えば事業名称、工事名称、図面名称、図面番号、測量時期、設計者名などの情報を記述することができる。複数行のコメントは、例えば次のように記述することができる。
/*
@事業名称 令和〇年度 〇〇かんがい排水事業
@工事名称 〇〇幹線かんがい工事
@図面名称 〇〇幹線水路
@図面番号 〇〇-〇〇
@測量時期 令和〇年〇月〇日
@設計者名 〇〇建設
*/
【0051】
(付帯施設と水路の個別情報)
個別情報は、個別情報の存在を示す文字列が付された施設符号又は水路符号と、当該付帯施設又は当該水路の属性項目と、当該属性項目のデータと、含んでもよい。式の中における付帯施設を指定する場合は、例えば、符号「@」を付帯施設の前に置く。例えば、
図2に示す水路を表す表記式「PT(LH)F」において、ポンプPの属性情報を記述する場合は、RDF(Resource Description Framework)形式に従えば、
図3に示すように「@PT(LH)F」と記述した後に、空白文字で区切って、そのポンプPの属性情報として「水圧 85m」や「振幅 20m」という情報を記述することができる。ここで、「水圧」と「振幅」は、ポンプ「@PT(LH)F」を主語とした場合の、述語であり、「85m」と「20m」は目的語である。RDFでは主語、述語、目的語を空白で区切って記述する。同様に、曲管Lから漏水する事故があった情報を記述する場合は、
図3に示すように「PT(@LH)F」と記述した次の行に、その曲管Lの属性情報として「緯度? 36.067982」、「経度? 140.1645315」、「事故? 事故1」、「写真? http://example.com/jiko1.jpg」と空白文字で区切って記述することにより、事故があったことの情報、事故が発生した位置情報、事故の写真データを記述することができる。
【0052】
また、式の中における水路を指定する場合は、2つの符号「@@」を水路がある箇所に置く。例えば、
図2に示す水路を表す表記式「PT(LH)F」において、
図3に示すように「PT(@@LH)F」と記述すると、T字管Tから曲管Lまでの間の水路を指定したことになる。そして、改行して「延長1m 外形0.2m」と記載すると、T字管Tから曲管Lまでの間の水路の長さが1mであり、外径が0.2mであることを示す。また、表記式を「PT(L@@H)F」と記述すると、曲管Lから給水栓Hまでの間の水路を指定したことになる。そして、改行して「延長0.5m 外形0.2m」と記載すると、曲管Lから給水栓Hまでの間の水路の長さが0.5mであり、外径が0.2mであることを示す。上記の記述方法は、対象の情報を記述する方法であるRDF(Resource Description Framework)形式に従った記述方法の1つである。
【0053】
以上のような方法で付帯施設又は水路に個別情報を紐付けることにより、ユーザは単なる経路構成のみだけでなく、関連情報についても取得することができる。
【0054】
また、付帯施設に名前を付してもよい。その場合、付帯施設の記号の後に括弧「< >」を追加して、その括弧内に記述する。例えば、「T(H)F」と記述される水利施設の末端のファームポンドの名前として「10号ファームポンド」を付したい場合は、「T(H)F<10号ファームポンド>」と記述することができる。
【0055】
以上のような水利施設の線形表記式(SIFILES)は、正規表現を使うことによって、プログラミング言語やアプリケーションによって検索や字句解析が可能である。また、固有の文字列は、テキストエディタによって処理可能なテキスト形式で表現される。したがって、水利施設の符号化及び復号化をコンピュータによって実行することができる。
【0056】
SIFILESは、 情報の量によって、L、M、Fの3レベルに分類することができる。これらを、SIFILES-L、SIFILES-M、SIFILES-Fと記述する。ただし、コメントはどれのレベルにも書くことができる。
【0057】
LはLightの略であり、付帯施設の記号と分岐の記号「()」のみを記したものである。Lは、例えば、バージョンであるT字管の下流側両方にバルブが接続している場合、「T(V)V」とのみ記述するバージョンである。
【0058】
MはMediumの略であり、Lバージョンに柔構造継手の水路と鎖構造継手の水路の記号である「-」と「#」を追加したバージョンである。Mは、例えば、柔構造継手の水路でバルブが接続している場合、「V-V」と記述するバージョンである。
【0059】
FはFullの略であり、水路の記号に水路の情報を追加したバージョンである。Fは、例えば、「V=[80,1,100,90]vp,600[78,1,100,98]=V」と記述するバージョンである。
【0060】
SIFILES-L、SIFILES-M、SIFILES-Fの3レベルを設ける理由は、水利施設の情報を組み立てる際の導入のしやすいさや多様な使い方に対応するためである。例えば、絵をかく時に、初めは輪郭を描き、徐々に細部を細かく描くように、SIFILES-L、SIFILES-M、SIFILES-Fと徐々に情報を追加することによって、水利施設の全体像を詳細に記述できる。また、SIFILES-Lは付帯施設と水路の接続関係の情報だけが必要な際やマスターデータを表現する際に利用し、IFILES-Mは水路の継手構造が必要な際に利用し、SIFILES-Fは水利縦断図と同程度の情報が必要な際に利用できる。
【0061】
以下に、農業水利施設の経路構成の模式図と、それを符号化した場合の表記式の例について説明する。
図4は、支線水路を含む農業水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。開始点の境界点はポンプPであり、終点の境界点はファームポンドFであり、基本的に図の左側が上流側、右側が下流側である。また、図の上側が上流側、下側が下流側である。なお、ポンプPとファームポンドFには、それに接続する線(水路)がそれぞれ1つであることを示す「[1]」が付されている。また、水路を示す線は、その水路が剛構造の継手を持つ場合は太実線で、柔構造の継手を持つ場合は点線で、鎖構造の継手を持つ場合は細実線で、それぞれ示されている。
【0062】
図4に示す経路構成は、本線水路としてポンプP[1]、T字管T、T字管T、T字管T、ファームポンドFの付帯施設を有する。ポンプP[1]の下流に最初に配置されたT字管Tからは支線水路BC41が分岐している。また、2番目、3番目のT字管Tからもそれぞれ支線水路が分岐し、それぞれ行き止まり管Eが接続されている。
【0063】
支線水路BC41に含まれる付帯施設は、上流から曲管L、T字管T、給水栓Hが含まれており、給水栓Hは終点の境界点となっている。また、支線水路BC41のT字管Tからは、さらに支線水路BC42が分岐している。支線水路BC42に含まれる付帯施設は、十字管C、曲管L、曲管L1、T字管T1、曲管L2、T字管T2、給水栓Hが含まれており、給水栓Hは終点の境界点となっている。
【0064】
図4に示す農業水利施設の表記式は、支線水路BC41と支線水路BC42を代符号「(x1)」で表し、支線水路BC42を代符号「(x2)」を用いて表すと、次のように記述することができる。
P[1]=T(x1)=T(#E)=T(#E)=F[1].
x1 :: #L-L-T (x2)#H
x2 :: #C(#L#L1#)(#T1#L2#)-T2-H
【0065】
また、上記の表記式を代符号を用いずに記述すると、全体の線形表記式は、
P[1]=T(#L-L-T (#C(#L#L1#)(#T1#L2#)-T2-H)#H)=T(#E)=T(#E)=F[1].
と記述することができる。
【0066】
図5は、複雑な支線水路を含む水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
図5に示す例では、開始点が頭首工Hwであり、終点がファームポンドF[1]である。頭首工HwからファームポンドF[1]までを本線として、本線の右岸と左岸にそれぞれ支線水路BC51と支線水路BC52がある。具体的には、頭首工HwとファームポンドF[1]の間に2つのT字管Tがあり、それぞれから支線水路BC51と支線水路BC52が分岐している。支線水路の構成については詳述しない。
【0067】
図5に示す農業水利施設の表記式は、支線水路BC51を代符号(x1)で表し、支線水路BC52を代符号(x2)で表わすと、次のように記述することができる。
Hw=T(x1)=T(x2)#F[1].
x1 :: (#T(#L-T(-L#H)#L#H)#L#C(#L#T1(#E)#)(#C1#H) -L#T1(-)#H
x2 :: #T(#L#L-L#T3#H)#L3#
【0068】
また、上記の表記式を代符号を用いずに記述すると、全体の線形表記式は、
Hw=T(#T(#L-T(-L#H)#L#H)#L#C(#L#T1(#E)#)(#C1#H) -L#T1(-)#H)=T(#T(#L#L-L#T3#H)#L3#)#F[1].
と記述することができる。
【0069】
図6は、複合バイパスを含む農業水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
図6に示す例では、本線の開始点が頭首工Hwであり、終点がファームポンドF[1]である。頭首工HwとファームポンドF[1]の間には、T字管Tが2つ、T字管T1が2つ、T字管T2が1つ、そしてT字管T3が1つある。本線の右岸にはバイパスBC61が設けられ、本線の左岸にはバイパスBC62が設けられている。
【0070】
図6に示す農業水利施設の表記式は、バイパスBC61を代符号(x1)で表し、バイパスBC62を代符号(x2)で表わすと、次のように記述することができる。
Hw=T(x1)=T1#T(x2)=T1#T2=T3#F[1].
x1 :: #L#T1(-T1(=L#V-L3=)#)#
x2 :: #L-V=L2#
【0071】
また、上記の表記式を代符号を用いずに記述すると、全体の線形表記式は、
Hw=T(#L#T1(-T1(=L#V-L3=)#)#)=T1#T(#L-V=L2#)=T1#T2=T3#F[1].
と記述することができる。
【0072】
図7は、複合バイパスを含む水利施設の経路構成の他の一例を示す模式図である。
図7に示す例では、本線の開始点がポンプP[1]であり、終点がファームポンドF[1]である。ポンプP[1]とファームポンドF[1]の間には、T字管TとT字管T1とT字管T4がある。T字管TからT字管T1の間にはバイパスBC71が設けられている。さらに、バイパスBC71のT字管Tからは、支線水路BC72が設けられている。そして、支線水路BC72のT字管T3から曲管L4を経由して本線水路のT字管T4に合流している。
【0073】
図7に示す農業水利施設の表記式は、バイパスBC71を代符号(x1)で表し、支線水路BC72を代符号(x2)で表わすと、次のように記述することができる。
P[1]=T(x1)=T1=T4=F[1].
x1 :: #L-L-T(x2)#V1#
x2 :: #C(#L#L2#)(#T2#L3#)#T3-L4#
【0074】
また、上記の表記式を代符号を用いずに記述すると、全体の線形表記式は、
P[1]=T(#L-L-T(#C(#L#L2#)(#T2#L3#)#T3-L4#)#V1#)=T1=T4=F[1].
と記述することができる。
【0075】
図8は、複雑な分岐とバイパスを含む水利施設の経路構成の一例を示す模式図である。
図8に示す例では、頭首工HwからファームポンドF[1]までを本線水路として、本線水路からバイパスが複雑に分岐している。そこで、バイパスを次のようにグループ分けをする。本線のT字管T、T字管T1、T字管T2、T字管T3とそれぞれ繋がるT字管T、十字管C1、十字管C2、T字管T3を支線水路BC81とし、支線水路BC81から繋がるT字管T、十字管C1、十字管C2、T字管T3を支線水路BC82とし、支線水路BC82から繋がるT字管T、十字管C1、十字管C2、T字管T3を支線水路BC83とし、支線水路BC83から繋がる曲管L、T字管T1、T字管T2、曲管L3を支線水路BC84とする。
【0076】
図8に示す農業水利施設の表記式は、バイパスBC81を代符号(x1)で表し、バイパスBC82を代符号(x2)で表し、バイパスBC83を代符号(x3)で表し、バイパスBC84を代符号(x4)で表わすと、次のように記述することができる。
Hw=T(x1)=T1#T2#T3#F[1].
x1 :: #T(x2)#C1(-C2(#T3#)#)#
x2 :: #T(x3)#C1(#C2(#T3#)=)=
x3 :: #T(x4)#C1(=C2(#T3#)#)#
x4 :: #L#T1(#T2(#L3#)#)#
【0077】
また、上記の表記式を代符号を用いずに記述すると、全体の線形表記式は、
Hw=T(#T(#T(#T(#L#T1(#T2(#L3#)#)#)#C1(=C2(#T3#)#)#) +
#C1(#C2(#T3#)=)=)#C1(-C2(#T3#)#)#)=T1#T2#T3#F[1].
と記述することができる。
【0078】
以上説明した農業水利施設の符号化方法によれば、全国の農業水利施設の構成を共通の形式でデジタルデータ化する方法を提供することができる。そのため、容易に全国の水利施設情報の共有化とデータベース化(マスターデータ化)を図ることができる。
【0079】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0080】
(符号化装置1)
図9は、本実施形態に係る符号化装置1の構成を示すブロック図である。符号化装置1は、水利施設の付帯施設と水路の構成を、実施形態1にて説明した符号化方法を用いて符号化するための装置である。図示するように、符号化装置1は、取得部11、解析部12、符号化部13、少なくとも1つのプロセッサ14、及びメモリ15を含む。
【0081】
取得部11は、農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得処理を実行する。取得部11が付帯施設を示す情報と水路を示す情報とを取得する方法は限定されない。取得部11は、例えば、テキストエディタで入力された文字列を取得してもよいし、Google EarthやGISソフトにて農業水利施設の路線を入力した際の位置情報から接続関係を構築し直したデータを取得してもよいし、グラフ理論の隣接行列と接続行列に付帯施設の種類を属性として追加した情報からも取得しても良い。また、付帯施設と水路を示す記号、符号、数字等が記載された地図をスキャナでスキャンした地図データやコンピュータグラフィックスのデータを取得してもよい。
【0082】
あるいは、取得部11は、実施形態1で説明した、農業水利施設の付帯施設と水路との接続関係を示すグラフデータ(模式図)をスキャンして取得してもよい。取得部11が取得するグラフデータは、例えば、付帯施設がノード(丸印)で表され、水路がノードを繋ぐエッジ(線分)で表された画像データでもよく、テキストデータであってもよい。取得部11が取得する地図データ又はグラフデータは、ユーザが作成したものでもよく、あるいは既存のデータであってもよい。
【0083】
解析部12は、取得部11が取得したデータから付帯施設と水路との接続関係を解析する解析処理を実行する。接続関係とは、言い換えれば、隣接する付帯施設と水路との関係、又は隣接する付帯施設と付帯施設との関係である。解析部12は、正規表現やプログラミング言語の文字列を処理する関数を用いて解析してよい。解析部12は、スキャンデータを画像解析して、付帯施設と水路を示す記号、符号、数字等を読み取り、付帯施設と水路との接続関係を解析してもよい。また、解析部12は、グラフ理論に基づいて付帯施設と水路との接続関係を解析してもよい。SIFILESによって記述した水路の接続関係は、グラフ理論において単純グラフであり、なおかつ平面グラフとして表現することができる。接続関係には、境界点(開始点、終点)、接続順序、分岐、バイパス等が含まれる。なお、ひとまとまりの農業水利施設を符号化する場合、開始点は1つであるが、終点は複数であってもよい。
【0084】
符号化部13は、解析部12が解析した接続関係に基づいて、農業水利施設の経路構成を符号化する符号化処理を実行する。符号化部13は、隣接する付帯施設と水路、又は隣接する付帯施設と付帯施設の関係を積み重ねて、水利施設の全体の経路構成を符号化する。符号化する際の方法は、実施形態1で説明した方法(ルール)を用いることができる。符号化処理装置において、オブジェクト指向言語では、接続する水路施設を内包した付帯施設をクラスとして設計し、そのインスタンスを配列に保存すれば、メモリ上に符号化処理した実体を構築できる。また、グラフ理論に基づいて付帯施設同士や付帯施設と水路施設の接続関係を行列へ変換してメモリ上に実態を構築し、水理解析や統計解析の数値解析に利用できる。符号化した文字列「@」をつけて施設を特定することでRDFデータベースへ属性情報を入力することにより、符号化した農業水利施設のデータベースを構築できる。符号化部13が生成した水利施設の経路構成を示す符号列(文字列)は、出力部(図示せず)がディスプレイなどの表示装置、プリンタなどの印刷装置、又は記憶装置等に出力する。符号列は、復号プログラムを用いてグラフ構造の模式図などに復号することができる。
【0085】
プロセッサ14は、少なくとも1つのMPU(Micro Processing Unit)、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサを用いて構成することができる。メモリ15は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等の複数種類のメモリを備えていてもよい。また、メモリ15は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の内蔵又は外付けのメモリを含んでいてもよい。一例として、プロセッサ14は、メモリ15のROMに記録された各種の制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、取得部11、解析部12、符号化部13としての機能を実現する。また、プロセッサ14は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)又はPLD(Programmable Logic Device)等で構成される専用プロセッサを含んでいてもよい。
【0086】
また、符号化装置1によって符号化されたデータを前述の模式図のようなグラフ構造に復号化するプログラムは、Java(登録商標)、JavaScript(登録商標)、Pythonなどの公知のプログラミング言語を用いて構築することができる。
【0087】
(情報処理方法)
次に、符号化装置1が実行する情報処理方法について説明する。
図10は、符号化装置1に含まれる少なくとも1つのプロセッサ14が実行する情報処理方法S1の流れを示すフローチャートである。図示するように、情報処理方法S1は、ステップS11からステップS13を含む。
【0088】
ステップS11は、取得部11が、農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得するステップである。ステップS12は、解析部12が、取得部11が取得したデータから付帯施設と水路との接続関係を解析するステップである。ステップS13は、符号化部13が、解析部12が解析した接続関係に基づいて、農業水利施設の経路構成を符号化するステップである。それぞれのステップの詳細は、上述の符号化装置1の各部の機能で説明したとおりである。
【0089】
次に、ステップS13の具体的な流れについて説明する。
図11は、ステップS13で実行される符号化処理の具体的な流れを示すフローチャートである。
図11に示すように、ステップS13はステップS131からステップS133を含む。
【0090】
ステップS131は、符号化部13が、付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップである。ステップS132は、符号化部13が、水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップである。ステップS133は、符号化部13が、施設符号と水路符号とを、農業水利施設の接続順に配列するステップである。ステップS13が実行する符号化処理の具体的な内容は、実施形態1において、農業水利施設の接続関係の符号化ルールとして説明したとおりである。
【0091】
以上説明した農業水利施設の符号化装置1及び符号化装置1が実行する情報処理方法(符号化処理方法)によれば、全国の農業水利施設の構成を共通の形式でデジタルデータ化する方法を提供することができる。そのため、容易に全国の水利施設情報の共有化とデータベース化(マスターデータ化)を図ることができる。
【0092】
〔ソフトウェアによる実現例〕
符号化装置1(以下、「装置」と呼ぶ)の機能は、当該装置としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、当該装置の各部としてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0093】
この場合、上記装置は、上記プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの制御装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。この制御装置と記憶装置により上記プログラムを実行することにより、上記各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0094】
上記プログラムは、一時的ではなく、コンピュータ読み取り可能な、1または複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、上記装置が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、上記プログラムは、有線または無線の任意の伝送媒体を介して上記装置に供給されてもよい。
【0095】
また、上記各部の機能の一部または全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、上記各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本発明の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより上記各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0096】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0097】
〔まとめ〕
(態様1)
少なくとも1つのプロセッサに、農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得処理と、前記データから前記付帯施設と前記水路との接続関係を解析する解析処理と、前記接続関係に基づいて、前記農業水利施設の経路構成を符号化する符号化処理と、を実行させる情報処理方法であって、前記符号化処理は、前記付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップと、前記水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップと、前記施設符号と前記水路符号とを、前記農業水利施設の接続順に配列するステップと、を含む、情報処理方法。
【0098】
(態様2)
前記符号化処理において、分岐した農業水利施設の全体に含まれる前記付帯施設及び前記水路に対して、前記施設符号及び前記水路符号を接続順に配列した支線水路符号を割り当てる、態様1に記載の情報処理方法。
【0099】
(態様3)
前記支線水路符号を、前記分岐した農業水利施設が存在することを示す1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列の後に配列する、態様2に記載の情報処理方法。
【0100】
(態様4)
前記符号化処理において、前記農業水利施設の一部を代符号と識別数字で表す、態様1から3のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【0101】
(態様5)
前記符号化処理において、前記農業水利施設の個別情報の存在を示す文字列を割り当てるステップをさらに含む、態様1から4のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【0102】
(態様6)
前記個別情報は、前記個別情報の存在を示す前記文字列が付された前記施設符号又は前記水路符号と、当該付帯施設又は当該水路の属性項目と、当該属性項目のデータと、含む、態様5に記載の情報処理方法。
【0103】
(態様7)
前記個別情報は、前記個別情報の存在を示す前記文字列の間に配列された、前記水路の属性項目と当該属性項目のデータである、態様5又は6に記載の情報処理方法。
【0104】
(態様8)
前記固有の文字列は、テキストエディタによって処理可能なテキスト形式で表現される、態様1から7のいずれか一つに記載の情報処理方法。
【0105】
(態様9)
農業水利施設の付帯施設を示す情報と、2つの前記付帯施設の間に設けられた水路を示す情報と、を含むデータを取得する取得部と、前記取得部が取得した前記データから前記付帯施設と前記水路との接続関係を解析する解析部と、前記解析部が解析した前記接続関係に基づいて、前記農業水利施設の経路構成を符号化する符号化部と、を備える符号化装置。
【0106】
(態様10)
前記符号化部は、前記付帯施設に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である施設符号を割り当てるステップと、前記水路に対して、種別ごとに1又は2以上の英字、数字、又は記号からなる固有の文字列である水路符号を割り当てるステップと、前記施設符号と前記水路符号とを、前記農業水利施設の接続順に配列するステップと、を含むステップを実行する、態様9に記載の符号化装置。
【0107】
(態様11)
態様9に記載の符号化装置としてコンピュータを機能させるための符号化プログラムであって、上記取得部、上記解析部、および上記符号化部としてコンピュータを機能させるための符号化プログラム。
【0108】
(態様12)
態様11に記載の符号化プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な非一時的記録媒体。
【符号の説明】
【0109】
1…符号化装置
11…取得部
12…解析部
13…符号化部
14…プロセッサ
15…メモリ