(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152623
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法
(51)【国際特許分類】
G03F 7/004 20060101AFI20241018BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
G03F7/004 531
G03F7/004 501
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024033606
(22)【出願日】2024-03-06
(31)【優先権主張番号】10-2023-0049582
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】590002817
【氏名又は名称】三星エスディアイ株式会社
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG SDI Co., LTD.
【住所又は居所原語表記】150-20 Gongse-ro,Giheung-gu,Yongin-si, Gyeonggi-do, 446-902 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000671
【氏名又は名称】IBC一番町弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】林 秀 斌
(72)【発明者】
【氏名】金 鈴 根
(72)【発明者】
【氏名】姜 恩 美
(72)【発明者】
【氏名】林 雪 熙
【テーマコード(参考)】
2H197
2H225
【Fターム(参考)】
2H197CA03
2H197CA05
2H197CA06
2H197CA08
2H197CA09
2H197CA10
2H197CE01
2H197CE10
2H225AN11P
2H225AN39P
2H225AN51P
2H225AN56P
2H225AN80P
2H225CA12
2H225CB06
2H225CB08
2H225CB09
2H225CB14
2H225CB18
2H225CC01
2H225CC11
2H225CD05
(57)【要約】
【課題】現像性および水分に対する安定性が向上した半導体フォトレジスト用組成物、ならびにこれを用いたパターン形成方法を提供する。
【解決手段】本発明による半導体フォトレジスト用組成物は、化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記化学式1で表される有機スズ化合物;および
溶媒
を含む、半導体フォトレジスト用組成物:
【化1】
前記化学式1中、
R
1~R
6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R
7は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【請求項2】
前記化学式1中のR7は、置換された炭素数1~20のアルキル基である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項3】
前記化学式1中のR1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項4】
前記化学式1中のR1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項5】
前記化学式1中のR1~R6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項6】
前記化学式1中のR1およびR2のうちの少なくとも1つ、前記化学式1中のR3およびR4のうちの少なくとも1つ、ならびに前記化学式1中のR5およびR6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項7】
前記有機スズ化合物は、下記グループ1に列記された化合物からなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物:
【化2】
【化3】
【請求項8】
前記半導体フォトレジスト用組成物の総質量100質量%を基準にして、前記有機スズ化合物の含有量は1質量%~30質量%である、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項9】
前記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含む、請求項1に記載の半導体フォトレジスト用組成物。
【請求項10】
基板の上にエッチング対象膜を準備する段階;
前記エッチング対象膜の上に請求項1~9のいずれか1項に記載の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階;
前記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階;および
前記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて前記エッチング対象膜をエッチングする段階を含む、パターン形成方法。
【請求項11】
前記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5nm~150nmの光を使用する、請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項12】
前記基板と前記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する段階をさらに含む、請求項10に記載のパターン形成方法。
【請求項13】
前記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの幅を有する、請求項10に記載のパターン形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体フォトレジスト用組成物およびこれを用いたパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
次世代の半導体デバイスを製造するための要素技術の一つとして、極端紫外線(EUV)リソグラフィが注目されている。EUVリソグラフィは、露光光源として波長13.5nmのEUV光を用いるパターン形成技術である。EUVリソグラフィによれば、半導体デバイス製造プロセスの露光工程で、極めて微細なパターン(例えば、20nm以下)を形成することができることが実証されている。
【0003】
極端紫外線(extreme ultraviolet、EUV)リソグラフィの実現は、16nm以下の空間解像度で行うことができる互換可能なフォトレジストの現像を必要とする。現在、伝統的な化学増幅型フォトレジストは、次世代デバイスのための解像度、光速度、およびフィーチャー粗さ(feature roughness)、ラインエッジ粗さ(line edge roughnessまたはLER)に対する仕様を充足させるために、研究が続けられている。
【0004】
これら高分子型フォトレジストで起こる酸触媒反応に起因した固有画像ぶれ(intrinsic image blur)は、小さなフィーチャー(feature)大きさで解像度を制限し、これは電子ビームリソグラフィにおいて長い間知られてきた事実である。化学増幅型(CA)フォトレジストは高い感度のために設計されたが、それらの典型的な元素構成が13.5nmの波長でフォトレジストの吸光度を低下させ、その結果、感度を減少させるため、部分的にはEUV露光下でさらに困ることがある。
【0005】
CAフォトレジストはまた、小さなフィーチャー大きさで粗さ(roughness)イシューによって困ることがあり、部分的に酸触媒工程の本質に起因して、光速度が減少するにつれてラインエッジ粗さ(LER)が増加することが実験で確認された。CAフォトレジストの欠点および問題に起因して、半導体産業では新たな類型の高性能フォトレジストに対する要求がある。
【0006】
上記で説明した化学増幅型有機系感光性組成物の短所を克服するために無機系感光性組成物が研究されてきた。無機系感光性組成物の場合、主に非化学増幅型機構による化学的変性で、現像剤組成物による除去に耐性を有するネガティブトーンパターニングに使用される。無機系感光性組成物の場合、炭化水素に比べて高いEUV吸収率を有する無機系元素を含有していて、非化学増幅型機構でも高い感度を確保することができ、ストキャスティク効果にもあまり敏感でなくて、ラインエッジ粗さおよび欠陥個数も少ないことが知られている。
【0007】
タングステン、ならびにニオブ、チタン、および/またはタンタル(tantalum)と混合されたタングステンのペルオキソポリ酸に基づく無機フォトレジストは、パターニングのための放射線感受性材料用として報告されてきた(特許文献1および非特許文献1)。
【0008】
これら材料は、遠紫外線(deep UV)、x線、および電子ビームソースであって二重層構成に大きなフィーチャーをパターニングすることにおいて効果的であった。さらに最近は、プロジェクションEUV露光によって、15nmハーフピッチ(HP)をイメージングするためにペルオキソ錯化剤と共に、陽イオンハフニウムメタルオキシドスルフェート(HfSOx)材料を使用する場合、印象的な性能を示した(特許文献2および非特許文献2)。このシステムは、非CAフォトレジスト(non-CA photoresist)の最上の性能を示し、実行可能なEUVフォトレジストのための要件に近い光速度を有する。しかし、ペルオキソ錯化剤を有するハフニウムメタルオキシドスルフェート材料は、いくつかの現実的な欠点を有する。第一に、この材料は高い腐食性の硫酸/過酸化水素の混合物でコーティングされ、保存安定性が良くない。第二に、複合混合物として性能改善のための構造変更が容易でない。第三に、25質量%程度の極めて高濃度のTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)溶液などで現像されなければならない。
【0009】
最近、スズを含む分子が、極端紫外線の吸収に優れているということが知られるにつれ、活発な研究が行われている。そのうちの1つである有機スズ高分子の場合、光吸収またはこれによって生成された二次電子によってアルキル配位子が解離しながら、周辺鎖とのオキソ結合による架橋を通じて有機系現像液で除去されないネガティブトーンパターニングが可能である。このような有機スズ高分子は、解像度、ラインエッジ粗さを維持しながらも飛躍的に感度が向上することを示したが、商用化のためにはパターニング特性の追加的な向上が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】米国特許第5061599号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2011/0045406号明細書
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】H. Okamoto, T. Iwayanagi, K. Mochiji, H. Umezaki, T. Kudo, Applied Physics Letters, 49(5), 298-300, 1986
【非特許文献2】J. K. Stowers, A. Telecky, M. Kocsis, B. L. Clark, D. A. Keszler, A. Grenville, C. N. Anderson, P. P. Naulleau, Proc. SPIE, 7969, 796915, 2011
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、現像性および水分に対する安定性が向上した半導体フォトレジスト用組成物を提供することを目的とする。
【0013】
また、本発明は、上記半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む。
【0015】
【0016】
上記化学式1中、
R1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R7は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0017】
上記化学式1中のR7は、置換された炭素数1~20のアルキル基であってもよい。
【0018】
上記化学式1中のR1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0019】
上記化学式1中のR1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。
【0020】
上記化学式1中のR1~R6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0021】
上記化学式1中のR1およびR2のうちの少なくとも1つ、上記化学式1中のR3およびR4のうちの少なくとも1つ、ならびに上記化学式1中のR5およびR6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0022】
上記有機スズ化合物は、下記グループ1に列記された化合物からなる群より選択される少なくとも1種であってもよい。
【0023】
【0024】
【0025】
上記半導体フォトレジスト用組成物の総質量100質量%を基準にして、上記有機スズ化合物の含有量は、1質量%~30質量%であってもよい。
【0026】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、またはこれらの組み合わせの添加剤をさらに含むことができる。
【0027】
本発明の他の実施形態によるパターン形成方法は、基板の上にエッチング対象膜を準備する段階、上記エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含む。
【0028】
上記フォトレジストパターンを形成する段階は、波長5nm~150nmの光を使用することができる。
【0029】
上記パターン形成方法は、上記基板と上記フォトレジスト膜との間にレジスト下層膜を形成する段階をさらに含むことができる。
【0030】
上記フォトレジストパターンは、5nm~100nmの幅を有することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、現像性および水分に対する安定性が向上した半導体フォトレジスト用組成物が提供されうる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図4】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【
図5】本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、添付された図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。但し、本発明の説明において、既に公知された機能あるいは構成に関する説明は、本発明の要旨を明瞭にするために省略することにする。
【0034】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分を省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一な参照符号を付けるようにする。また、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは、説明の便宜のために任意に示したので、本発明は必ずしも図示されたところに限定されない。
【0035】
図面において、様々な層および領域を明確に表現するために、厚さを拡大して示した。そして図面において説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。層、膜、領域、板などの部分が他の部分「の上に」または「上に」あるというとき、これは、他の部分「の直上に」ある場合だけでなく、その中間にまた他の部分がある場合も含む。
【0036】
本明細書において、「置換」とは、水素原子が、重水素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、シアノ基、ニトロ基、-NRR’(ここで、RおよびR’は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、-SiRR’R”(ここで、R、R’、およびR”は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~30の飽和もしくは不飽和の脂肪族炭化水素基、置換もしくは非置換の炭素数3~30の飽和もしくは不飽和の脂環式炭化水素基、または置換もしくは非置換の炭素数6~30の芳香族炭化水素基である)、炭素数1~30のアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のアルキルシリル基、炭素数3~30のシクロアルキル基、炭素数6~30のアリール基、炭素数1~20のアルコキシ基、またはこれらの組み合わせで置換されたことを意味する。「非置換」とは、水素原子が他の置換基で置換されずに水素原子として残っていることを意味する。
【0037】
本明細書において、「アルキル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基を意味する。アルキル基は、いかなる二重結合や三重結合を含んでいない「飽和アルキル基」であってもよい。
【0038】
上記アルキル基は、炭素数1~10のアルキル基であってもよい。例えば、上記アルキル基は、炭素数1~8のアルキル基、炭素数1~7のアルキル基、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~5のアルキル基、または炭素数1~4のアルキル基であってもよい。例えば、炭素数1~5のアルキル基は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、またはtert-ブチル基、2,2-ジメチルプロピル基であってもよい。
【0039】
本明細書において、「シクロアルキル基」とは、別途の定義がない限り、1価の脂環式飽和炭化水素基を意味する。
【0040】
シクロアルキル基は、炭素数3~10のシクロアルキル基、例えば、炭素数3~8のシクロアルキル基、炭素数3~7のシクロアルキル基、炭素数3~6のシクロアルキル基、炭素数3~5のシクロアルキル基、炭素数3~4のシクロアルキル基であってもよい。例えば、シクロアルキル基は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基であってもよく、これらに制限されない。
【0041】
本明細書において、「アリール基」は、環状の置換基の全ての元素がp-軌道を有しており、これらp-軌道が共役を形成している置換基を意味し、単環または縮合多環(即ち、炭素原子の隣接した対を共有する環)官能基を含む。
【0042】
本明細書において、「アルケニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の二重結合を含む脂肪族不飽和アルケニル基を意味する。
【0043】
本明細書において、「アルキニル基」とは、別途の定義がない限り、直鎖状または分枝鎖状の脂肪族炭化水素基であって、1つ以上の三重結合を含む脂肪族不飽和アルキニル基を意味する。
【0044】
本明細書に記載された化学式中、t-Buはtert-ブチル基を意味する。
【0045】
以下、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を説明する。
【0046】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、下記化学式1で表される有機スズ化合物および溶媒を含む。
【0047】
【0048】
上記化学式1中、
R1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであり、
R7は、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数3~20のシクロアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせである。
【0049】
上記有機スズ化合物は、Snに直接結合するO以外にも-OHから誘導される追加の配位結合部位を有するので、分子内結合だけでなく分子間配位結合が誘導されて、無定形のマトリックス形成に有利である。
【0050】
特に、配位数が4である形態と比較して、追加配位結合によってSnの配位数が充足され構造的にSn原子が覆われる形態になるので、水分に対する安定性が向上できる。これにより、コーティング工程で放置時間によるディフェクトが効果的に減少して、コーティング安定性にも影響を与えることができる。
【0051】
また、単分子の形態と比較して分子間または分子内結合の強化によって、基材との密着力が向上し薄膜安定性も向上できる。
【0052】
また、核形成による凝集現象が防止されることによって、スピンコーティングの際、添加剤を使用しなくても非晶質形態にコーティングでき、これにより感度およびコーティング性が改善できる。
【0053】
一例として、上記化学式1中のR7は、置換された直鎖状の炭素数1~20のアルキル基であってもよい。
【0054】
例えば、上記化学式1中のR7は、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。上記化学式1中のR7は、ベンジル基(フェニル基で置換されたメチル基)であってもよい。
【0055】
具体的な一例として、上記化学式1中のR7は、置換または非置換の炭素数3~20の分枝鎖状アルキル基であってもよい。分枝鎖状アルキル基とは、金属と結合している炭素原子が2級炭素、3級炭素または4級炭素である形態を意味し、例えば、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。
【0056】
一例として、上記化学式1中のR1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0057】
具体的な一例として、上記化学式1中のR1~R6は、それぞれ独立して、水素原子、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-へプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デシル基、iso-プロピル基、iso-ブチル基、iso-ペンチル基、iso-ヘキシル基、iso-へプチル基、iso-オクチル基、iso-ノニル基、iso-デシル基、sec-ブチル基、sec-ペンチル基、sec-ヘキシル基、sec-へプチル基、sec-オクチル基、tert-ブチル基、tert-ペンチル基、tert-ヘキシル基、tert-へプチル基、tert-オクチル基、tert-ノニル基、またはtert-デシル基であってもよい。
【0058】
例えば、上記化学式1中のR1~R6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0059】
例えば、上記化学式1中のR1およびR2のうちの少なくとも1つ、上記化学式1中のR3およびR4のうちの少なくとも1つ、ならびに上記化学式1中のR5およびR6のうちの少なくとも1つは、置換もしくは非置換の炭素数1~20のアルキル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルケニル基、置換もしくは非置換の炭素数2~20のアルキニル基、置換もしくは非置換の炭素数6~30のアリール基、またはこれらの組み合わせであってもよい。
【0060】
上記有機スズ化合物のさらに具体的な例としては、下記グループ1に列記された化合物が挙げられる。
【0061】
【0062】
【0063】
上記有機スズ化合物は、波長13.5nmの極端紫外線を強く吸収して高エネルギーを有する光に対する感度が優れる。
【0064】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト組成物において、半導体フォトレジスト用組成物の総質量100質量%を基準にして、上記有機スズ化合物は、1質量%~30質量%、例えば、1質量%~25質量%、例えば、1質量%~20質量%、例えば、1質量%~15質量%、例えば、1質量%~10質量%、例えば、1質量%~5質量%の含有量で含まれてもよく、これらに制限されない。有機スズ化合物が上記範囲の含有量で含まれる場合、半導体フォトレジスト用組成物の保管安定性およびエッチング耐性が向上し、解像度特性が改善される。
【0065】
本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物は、上述の有機スズ化合物を含むことによって、優れた感度およびパターン形成性を有する半導体フォトレジスト用組成物となり得る。
【0066】
なお、上記の有機スズ化合物は、従来公知の合成方法を適宜参照して合成することができる。より具体的には、実施例に記載の合成方法を参照しながら、当業者であれば容易に合成することができる。
【0067】
本発明の一実施形態による半導体レジスト組成物に含まれる溶媒は、有機溶媒であってもよい。有機溶媒の例としては、例えば、芳香族化合物類(例えば、キシレン、トルエン等)、アルコール類(例えば、4-メチル-2-ペンタノール、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、メタノール、イソプロピルアルコール、1-プロパノール等)、エーテル類(例えば、アニソール、テトラヒドロフラン等)、エステル類(酢酸n-ブチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル等)、ケトン類(例えば、メチルエチルケトン、2-ヘプタノン等)、これらの混合物などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。
【0068】
本発明の一実施形態において、上記半導体レジスト組成物は、上記有機スズ化合物、および溶媒以外に、追加的に樹脂をさらに含むことができる。
【0069】
上記樹脂としては、下記グループ2に列記された芳香族モイエティを少なくとも1つ含むフェノール系樹脂であってもよい。
【0070】
【0071】
上記樹脂は、重量平均分子量が500~20,000であってもよい。なお、樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定することができる。
【0072】
上記樹脂は、上記半導体レジスト用組成物の総質量に対して、0.1質量%~50質量%の含有量で含まれてもよい。
【0073】
上記樹脂が上記の含有量の範囲で含まれる場合、優れた耐エッチング性および耐熱性を有することができる。
【0074】
本発明の一実施形態による半導体レジスト用組成物は、上述の有機スズ化合物、溶媒、および樹脂からなることが好ましい。ただし、上述の実施形態による半導体レジスト用組成物は、場合によって添加剤をさらに含むことができる。上記添加剤の例としては、界面活性剤、架橋剤、レベリング剤、有機酸、抑制剤(quencher)またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0075】
界面活性剤は、例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルピリジニウム塩、ポリエチレングリコール、第四級アンモニウム塩、またはこれらの組み合わせを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0076】
架橋剤は、例えば、メラミン系架橋剤、置換尿素系架橋剤、アクリル系架橋剤、エポキシ系架橋剤、またはポリマー系架橋剤などが挙げられるが、これらに限定されるものではない。架橋剤としては、少なくとも2つの架橋形成置換基を有する化合物が好ましく、例えば、メトキシメチル化グリコールウリル、ブトキシメチル化グリコールウリル、メトキシメチル化メラミン、ブトキシメチル化メラミン、メトキシメチル化ベンゾグアナミン、ブトキシメチル化ベンゾグアナミン、4-ヒドロキシブチルアクリレート、アクリル酸、ウレタンアクリレート、アクリルメタクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、グリシドール、ジグリシジル1,2-シクロヘキサンジカルボキシレート、トリメチルプロパントリグリシジルエーテル、1,3-ビス(グリシドキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、メトキシメチル化尿素、ブトキシメチル化尿素、またはメトキシメチル化チオ尿素などの化合物を好ましく使用することができる。
【0077】
レベリング剤は、印刷時のコーティング平坦性を向上させるためのものであって、商業的な方法で入手可能な公知のレベリング剤を使用することができる。
【0078】
有機酸は、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-ドデシルベンゼンスルホン酸、1,4-ナフタレンジスルホン酸、メタンスルホン酸、フルオロ化スルホニウム塩、マロン酸、クエン酸、プロピオン酸、メタクリル酸、シュウ酸、乳酸、グリコール酸、コハク酸、またはこれらの組み合わせであってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0079】
抑制剤(quencher)の具体的な例としては、例えば、ジフェニル(p-トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0080】
これら添加剤の使用量は、所望の物性によって容易に調節することができ、省略することもできる。
【0081】
また、上記半導体レジスト用組成物は、基板との密着力などの向上のため(例えば、半導体レジスト用組成物と基板との密着力向上のために)の密着力向上剤としてシランカップリング剤を添加剤としてさらに使用することができる。シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、ビニルトリス(β-メトキシエトキシ)シラン;または3-メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロイルオキシプロピルメチルジエトキシシラン;トリメトキシ[3-(フェニルアミノ)プロピル]シランなどの炭素-炭素不飽和結合含有シラン化合物などを使用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0082】
上記半導体フォトレジスト用組成物は、高いアスペクト比を有するパターンを形成してもパターン崩壊がほとんど発生しない。したがって、例えば、5nm~100nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~80nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~70nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~50nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~40nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~30nmの幅を有する微細パターン、例えば、5nm~20nmの幅を有する微細パターンを形成するために、波長5nm~150nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5nm~100nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5nm~80nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5nm~50nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5nm~30nmの光を使用するフォトレジスト工程、例えば、波長5nm~20nmの光を使用するフォトレジスト工程に使用することができる。したがって、本発明の一実施形態による半導体フォトレジスト用組成物を使用すれば、波長13.5nmのEUV光源を使用する極端紫外線リソグラフィを実現することができる。
【0083】
本発明の他の一実施形態によれば、上述の半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法を提供することができる。一例として、製造されたパターンはフォトレジストパターンであってもよい。
【0084】
本発明の一実施形態によるパターン形成方法は、基板の上にエッチング対象膜を準備する段階、上記エッチング対象膜の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物を塗布してフォトレジスト膜を形成する段階、上記フォトレジスト膜をパターニングしてフォトレジストパターンを形成する段階、および上記フォトレジストパターンをエッチングマスクとして用いて上記エッチング対象膜をエッチングする段階、を含む。
【0085】
以下、上述の半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する方法について
図1~5を参照して説明する。
図1~5は、本発明による半導体フォトレジスト用組成物を用いたパターン形成方法を説明するための断面概略図である。
【0086】
図1を参照すれば、まずエッチング対象膜を準備する。エッチング対象膜の例としては、半導体基板100上に形成される薄膜102であってもよい。以下では、エッチング対象膜が薄膜102である場合に限って説明する。薄膜102上に残留する汚染物などを除去するために、薄膜102の表面を洗浄する。薄膜102は、例えば、シリコン窒化膜、ポリシリコン膜またはシリコン酸化膜であってもよい。
【0087】
次に、洗浄された薄膜102の表面上にレジスト下層膜104を提供するためのレジスト下層膜形成用組成物を、スピンコーティング方式を適用してコーティングする。ただし、本発明は必ずしもこれに限定されるものではなく、公知の多様なコーティング方法、例えば、スプレーコーティング、ディップコーティング、ナイフエッジコーティング、プリンティング法、例えば、インクジェット印刷およびスクリーン印刷などを用いることもできる。
【0088】
上記レジスト下層膜のコーティング工程は省略することができ、以下ではレジスト下層膜をコーティングする場合について説明する。
【0089】
その後、乾燥およびベーキング工程を行って、薄膜102上にレジスト下層膜104を形成する。ベーキング処理は100~500℃で行うことができ、例えば100℃~300℃で行うことができる。
【0090】
レジスト下層膜104は、基板100とフォトレジスト膜106との間に提供され、基板100とフォトレジスト膜106との界面または層間ハードマスク(hardmask)から反射される照射線が、意図されないフォトレジスト領域に散乱する場合、フォトレジスト線幅(linewidth)の不均一およびパターン形成性を妨害するのを防止することができる。
【0091】
図2を参照すれば、レジスト下層膜104の上に上述の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングして、フォトレジスト膜106を形成する。フォトレジスト膜106は、基板100上に形成された薄膜102の上に、上述の半導体フォトレジスト用組成物をコーティングした後、熱処理工程を通じて硬化した形態であってもよい。
【0092】
より具体的には、半導体フォトレジスト用組成物を使用してパターンを形成する段階は、上述の半導体レジスト用組成物を、薄膜102が形成された基板100上にスピンコーティング、スリットコーティング、インクジェット印刷などで塗布する工程および塗布された半導体フォトレジスト用組成物を乾燥してフォトレジスト膜106を形成する工程を含むことができる。
【0093】
半導体フォトレジスト用組成物についてはすでに詳しく説明したので、重複する説明は省略する。
【0094】
次に、フォトレジスト膜106が形成されている基板100を加熱する第1ベーキング工程を行う。第1ベーキング工程は、80℃~120℃の温度で行うことができる。
【0095】
図3を参照すれば、フォトレジスト膜106を、パターン化されたマスク110を用いて選択的に露光する。
【0096】
一例として、露光工程で使用できる光の例としては、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの短波長を有する光だけでなく、EUV(極端紫外線、Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光などが挙げられる。
【0097】
より具体的に、一実施形態による露光用の光は、5nm~150nmの波長範囲を有する短波長光であってもよく、EUV(極端紫外線、Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギー波長を有する光であってもよい。
【0098】
フォトレジスト膜106中の露光された領域106bは、有機金属化合物間の縮合などの架橋反応によって重合体を形成することにより、フォトレジスト膜106の未露光の領域106aと互いに異なる溶解度を有するようになる。
【0099】
次に、基板100に対して第2ベーキング工程を行う。第2ベーキング工程は、90℃~200℃の温度で行うことができる。第2ベーキング工程を行うことによって、フォトレジスト膜106の露光された領域106bは、現像液に溶解し難い状態となる。
【0100】
図4には、現像液を用いて、未露光の領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解させて除去することによって形成されたフォトレジストパターン108が示されている。具体的に、2-ヘプタノンなどの有機溶媒を使用して未露光の領域に該当するフォトレジスト膜106aを溶解させた後に除去することによって、ネガティブトーンイメージに該当するフォトレジストパターン108が完成される。
【0101】
上述のように、本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される現像液は、有機溶媒であってもよい。本発明の一実施形態によるパターン形成方法で使用される有機溶媒の一例として、メチルエチルケトン、アセトン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンなどのケトン類、4-メチル-2-プロパノール、1-ブタノール、イソプロパノール、1-プロパノール、メタノールなどのアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、酢酸エチル、乳酸エチル、n-ブチルアセテート、γ-ブチロラクトンなどのエステル類、ベンゼン、キシレン、トルエンなどの芳香族化合物、またはこれらの組み合わせが挙げられる。
【0102】
ただし、本発明の一実施形態によるフォトレジストパターンは、必ずしもネガティブトーンイメージに形成されることに制限されるわけではなく、ポジティブトーンイメージを有するように形成されてもよい。この場合、ポジティブトーンイメージ形成のために使用できる現像剤としては、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テトラプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、またはこれらの組み合わせのような第四級アンモニウムヒドロキシド組成物などが挙げられる。
【0103】
上述のように、i線(波長365nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)などの波長を有する光だけでなく、EUV(極端紫外線、Extreme UltraViolet;波長13.5nm)、E-Beam(電子ビーム)などの高エネルギーを有する光などによって露光されて形成されたフォトレジストパターン108は、5nm~100nmの幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108は、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの幅で形成することができる。
【0104】
一方、フォトレジストパターン108は、50nm以下、例えば40nm以下、例えば30nm以下、例えば20nm以下、例えば10nm以下のハーフピッチ(half-pitch)、および例えば10nm以下、5nm以下、3nm以下、2nm以下の線幅粗さを有するピッチを有することができる。
【0105】
その次に、フォトレジストパターン108をエッチングマスクにして、レジスト下層膜104をエッチングする。上記のようなエッチング工程で、有機膜パターン112が形成される。形成された有機膜パターン112も、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。
【0106】
図5を参照すれば、フォトレジストパターン108をエッチングマスクとして適用して、露出された薄膜102をエッチングする。その結果、薄膜102は、薄膜パターン114として形成される。
【0107】
薄膜102のエッチングは、例えばエッチングガスを使用した乾式エッチングで行うことができ、エッチングガスは、例えばCHF3、CF4、Cl2、BCl3およびこれらの混合ガスを使用することができる。
【0108】
先に行われた露光工程で、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成されたフォトレジストパターン108を用いて形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108に対応する幅を有することができる。一例として、フォトレジストパターン108と同様に、5nm~100nmの幅を有することができる。例えば、EUV光源を使用して行われた露光工程によって形成された薄膜パターン114は、フォトレジストパターン108と同様に、5nm~90nm、5nm~80nm、5nm~70nm、5nm~60nm、5nm~50nm、5nm~40nm、5nm~30nm、5nm~20nmの幅を有することができ、より具体的に、20nm以下の幅で形成することができる。
【実施例0109】
以下、上述の半導体フォトレジスト用組成物の製造に関する実施例を通じて、本発明をさらに詳しく説明する。しかし、下記実施例によって本発明の技術的特徴が限定されるものではない。
【0110】
(有機スズ化合物の合成)
(合成例1)
1000mL丸底フラスコに、2-ヒドロキシイソ酪酸(23.7g、228mmol)を入れ、300mLのトルエンを添加した。モノtert-ブチルスズトリプロピオネート(30g、76mmol)を100mL トルエンに溶かした溶液を丸底フラスコ内に徐々に滴下した後、常温(25℃)で2時間攪拌した。その後、常温(25℃)で真空乾燥した後、白い固体を得た。得られた白い固体を、ジクロロメタンとn-ヘキサンとを用いて複数回洗浄した後、再び真空乾燥して下記化学式1aで表される化合物を得た。
【0111】
【0112】
(合成例2)
2-ヒドロキシイソ酪酸(23.7g、228mmol)の代わりに乳酸(20.5g、228mmol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式2aで表される化合物を得た。
【0113】
【0114】
(合成例3)
2-ヒドロキシイソ酪酸(23.7g、228mmol)の代わりにグリコール酸(17.3g、228mmol)を使用し、モノtert-ブチルスズトリプロピオネート(30g、76mmol)の代わりにイソプロピルブチルスズトリプロピオネート(29.0g、76mmol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式5aで表される化合物を得た。
【0115】
【0116】
(合成例4)
2-ヒドロキシイソ酪酸(23.7g、228mmol)の代わりにグリコール酸(17.3g、228mmol)を使用し、モノtert-ブチルスズトリプロピオネート(30g、76mmol)の代わりにモノベンジルスズトリプロピオネート(32.6g、76mmol)を使用したことを除いては、合成例1と同様の方法で合成して、下記化学式6aで表される化合物を得た。
【0117】
【0118】
(比較合成例1)
100mL丸底フラスコ中で、iPrSnPh3(25.44mmol、10g)、および酢酸(76.31mmol、4.6g)を35mlのアセトニトリルに溶かし、24時間加熱還流した。その後、真空乾燥して溶媒を完全に除去して、下記化学式bで表される化合物を80%の収率で得た。
【0119】
【0120】
(比較合成例2)
100mLの丸底フラスコに無水ヘキサンを入れ、LiNMe2(102.03mmol、5.2g)を溶かし、フラスコを-78℃に冷却した。イソプロピルスズトリクロリド(34.01mmol、9.1g)を徐々に滴下した後、常温(25℃)で24時間反応させた。反応終了後、ろ過して濃縮し、さらに真空乾燥を行って、下記化学式cで表される化合物を65%の収率で得た。
【0121】
【0122】
(実施例1~実施例4、比較例1および比較例2:半導体フォトレジスト用組成物の製造)
合成例1~合成例4、比較合成例1および比較合成例2で得られた化合物を、それぞれ1-メチル-2-プロピルアセテート(1-Methoxy-2-Propyl Acetate)中に3質量%の濃度となるように溶かし、0.1μmPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)シリンジフィルター(syringe filter)でろ過して、半導体フォトレジスト用組成物を製造した。
【0123】
<評価1:水分に対する安定性評価>
水分によって変化が起こった程度を分析するために、水が1質量%含まれている1-メチル-2-プロピルアセテート溶媒に、合成例1~合成例4、比較合成例1および比較合成例2で得られたスズ化合物を10質量%の濃度となるように溶解した。その後、当該溶液の119Sn NMR測定を行い、その結果を下記評価基準によって評価して、下記表1に示した:
※評価基準
◎:NMRのピークに変化は見られない
○:全体積分値中の1~29%が変化
△:全体積分値中の30~89%が変化
×:全体積分値中の90%以上が変化。
【0124】
<評価2:感度評価>
直径が500μmである50個の円形パッド直線アレイを、EUV光(Lawrence Berkeley National Laboratory Micro Exposure Tool、MET)を使用して、実施例1~4、ならびに比較例1および2のフォトレジスト用組成物がコーティングされたウェーハに投射した。パッド露光時間を調節して、EUV増加線量が各パッドに適用されるようにした。
【0125】
その後、レジストと基材とを、ホットプレート上で、160℃で120秒間、露光後焼成(post-exposure bake、PEB)を行った。焼成された膜を、現像液(2-ヘプタノン)にそれぞれ30秒間浸漬させた後、同一の現像剤で追加的に10秒間洗浄して、ネガティブトーンイメージを形成、すなわち、非露光のコーティング部分を除去した。最終的に150℃で2分間、ホットプレート焼成を行って、工程を終結させた。
【0126】
偏光計測法(Ellipsometer)を使用して、露光されたパッドの残留レジスト厚さを測定した。各露光量に対して残留レジスト厚さを測定して、露光量に対する関数でグラフ化して、レジストの種類別にDg(現像が完了するエネルギーレベル)を下記評価基準に従って評価して表1に示した:
※評価基準(Dg値)
A:16mJ/cm2未満
B:16mJ/cm2以上。
【0127】
【0128】
上記表1の結果から明らかなように、実施例による半導体用フォトレジスト組成物は、比較例と比べて、水分に対する安定性に優れ、感度にも優れることを確認することができる。
【0129】
以上、本発明の特定の実施例が説明され図示されたが、本発明は記載された実施例に限定されるものではなく、本発明の思想および範囲を逸脱せず多様に修正および変形できるのは、この技術の分野における通常の知識を有する者に自明なことである。したがって、そのような修正例または変形例は、本発明の技術的な思想や観点から個別的に理解されてはならず、変形された実施例は、本発明の特許請求の範囲に属すると言うべきである。