(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152644
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】塩素含有量が調整された研磨パッドおよびこれを用いる半導体素子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B24B 37/24 20120101AFI20241018BHJP
B24B 37/22 20120101ALI20241018BHJP
B24B 53/017 20120101ALI20241018BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B24B37/24 C
B24B37/24 A
B24B37/22
B24B37/24 Z
B24B53/017 Z
H01L21/304 622W
H01L21/304 622F
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024055095
(22)【出願日】2024-03-28
(31)【優先権主張番号】10-2023-0049366
(32)【優先日】2023-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】505232852
【氏名又は名称】エスケー エンパルス カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SK enpulse Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】1043,Gyeonggi-daero,Pyeongtaek-si,Gyeonggi-do 17784, Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】ユン、ジョンウク
(72)【発明者】
【氏名】シン、ユジン
(72)【発明者】
【氏名】ムン、スヨン
(72)【発明者】
【氏名】ミン、ウンギ
(72)【発明者】
【氏名】ホン、テイル
(72)【発明者】
【氏名】ソ、ジャンウォン
(72)【発明者】
【氏名】ジ、ミンギョン
【テーマコード(参考)】
3C047
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C047AA15
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5F057AA03
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5F057EC30
5F057FA37
(57)【要約】 (修正有)
【課題】塩素含有量を特定の範囲内に調整することにより、研磨パッドの諸物性と性能を優れた状態で保ちながらもデブリの大きさを縮小して、CMP工程の際に欠陥およびスクラッチの発生を最小化することができる研磨パッドを提供する。
【解決手段】研磨層と支持層とを含む研磨パッドであって、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含み、前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が10000ppm以下である、研磨パッド。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨層と支持層とを含む研磨パッドであって、
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含み、
前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が10000ppm以下である、研磨パッド。
【請求項2】
前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が10ppm~1000ppmである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項3】
前記発泡剤は固相発泡剤を含み、
前記固相発泡剤は、アクリロニトリル系共重合体、メチルメタクリレート系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項4】
前記硬化剤は、
ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン(DMTDA)、1,3-プロパンジオールビス(4-アミノベンゾエート)(PDPAB)、N,N'-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、2,6-ビス(メチルチオ)-4-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、4-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル4-アミノベンゾエート、4-(4-アミノベンゾイル)オキシブチル4-アミノベンゾエート、4-[4-(4-アミノベンゾイル)オキシ-3-メチルブトキシ]ブチル4-アミノベンゾエート、およびメチレンビス-メチルアントラニレート(MBNA)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項5】
前記研磨層は、
50ショアD~65ショアDの硬度と、
15N/mm2~25N/mm2の引張強度と、
90%~130%の伸び率とを有する、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項6】
前記研磨層をコンディショニングして得られたデブリ(debris)を0.01重量%の濃度で含有するpH5.5水溶液のゼータ電位値が-10mV~30mVである、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項7】
前記研磨パッドを、プラテン速度93rpm、コンディショナー荷重9lb、コンディショナー速度64rpm、掃引19回/分の条件で、脱イオン水300cc/分を供給しながらコンディショニングする際に得られる研磨パッドデブリのD50粒径が30μm以下である、請求項1に記載の研磨パッド。
【請求項8】
前記研磨パッドを用いて、セリアスラリーにおいてシリコンウェーハのシリコンオキサイド層を研磨する際に、下記数学式1による研磨率が2200Å/分~2600Å/分である、請求項1に記載の研磨パッド:
[数1]
研磨率(Å/分)=シリコンウェーハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(分)。
【請求項9】
ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含む研磨パッド組成物を調製する段階と、
前記研磨パッド組成物をモールド内に注入し硬化して、研磨層を製造する段階と、
前記研磨層を支持層と貼り合わせる段階と、を含み、
前記発泡剤は固相発泡剤を含み、前記固相発泡剤は、アクリロニトリル系共重合体、メチルメタクリレート系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上を含み、
前記硬化剤は、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン(DMTDA)、1,3-プロパンジオールビス(4-アミノベンゾエート)(PDPAB)、N,N'-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、2,6-ビス(メチルチオ)-4-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、4-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル4-アミノベンゾエート、4-(4-アミノベンゾイル)オキシブチル4-アミノベンゾエート、4-[4-(4-アミノベンゾイル)オキシ-3-メチルブトキシ]ブチル4-アミノベンゾエート、およびメチレンビス-メチルアントラニレート(MBNA)からなる群より選択される1種以上を含む、請求項1に記載の研磨パッドの製造方法。
【請求項10】
請求項1に記載の研磨パッドを用いて、半導体基板の表面を研磨する段階を含む、半導体素子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実現例は、塩素含有量が調整され、化学機械的平坦化(CMP)工程の際に欠陥およびスクラッチ発生を低減させ得る研磨パッドおよびこれを用いる半導体素子の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程のうち、化学機械的平坦化(CMP)工程は、ウェーハのような半導体基板をヘッドに付着してプラテン(platen)上に形成された研磨パッドの表面に接触するようにした状態で、スラリーを供給して半導体基板表面を化学的に反応させながらプラテンとヘッドとを相対運動させて、機械的に半導体基板表面の凹凸部分を平坦化する工程である。
【0003】
研磨パッドは、このようなCMP工程において重要な役割を担う必須の部品として、通常、ポリウレタン樹脂からなり、表面にスラリーの大きな流動を担う溝(groove)と微細な流動をサポートする気孔(pore)とを備える。
【0004】
前記研磨パッドの製造のために、ジイソシアネートとポリオールとを反応させてプレポリマーを得た後、前記プレポリマーに硬化剤と発泡剤とを混合し硬化させて、ポリウレタン発泡体シートを得る。その後、前記ポリウレタン発泡体シートを所望の厚さに合わせて上下面をスライスして上部パッドを得て、上部パッドの表面にチップ(tip)等を用いて特定形状に溝を掘ってグルーブを形成した後、ポリウレタン系下部パッドと接着して研磨パッドを完成する。
【0005】
CMP工程は、半導体素子の製造過程において複数で適用され得る。半導体素子の場合、複数の層を含み、各層ごとに複雑で微細な回路パターンを含む。また、近年、半導体素子は個々のチップサイズは縮小し、各層のパターンはより複雑で微細になる方向に進化している。これにより、半導体素子を製造する過程において、回路配線の平坦化目的だけでなく、回路配線の分離および配線表面改善の応用などにCMP工程の目的が拡大しており、その結果、より精巧で信頼性を有するCMP性能が求められている。
【0006】
このような研磨パッドのCMP工程の中で、研磨面と半導体基板との摩擦、またはコンディショニングのためのダイヤモンドディスクによる研磨面の切削時にデブリ(debris)が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】韓国特許公開第2016-0027075号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
研磨パッドのCMP工程中に、研磨面と半導体基板との摩擦過程、またはコンディショニングのためのダイヤモンドディスクによる研磨面の切削時にデブリが発生し、このようなデブリはCMP工程の際、研磨面に欠陥およびスクラッチを誘発することとなる。
【0009】
そこで、本発明者らが研究した結果、研磨パッド内の塩素(Cl)含有量が研磨パッドのコンディショニング時に発生するデブリの大きさと表面特性に影響を及ぼすことを見出し、塩素含有量を特定の範囲内に調整することにより、研磨パッドの諸物性と性能を優れた状態で保ちながらもデブリの大きさを縮小して、CMP工程の際に欠陥およびスクラッチの発生を最小化することができた。
【0010】
したがって、実現例の課題は、塩素含有量が一定の範囲に調整された研磨パッドおよびそれを用いた半導体素子の製造方法に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
一実現例によると、研磨層および支持層を含む研磨パッドであって、前記研磨層はウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含み、前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が10000ppm以下である、研磨パッドが提供される。
【0012】
他の実現例によると、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含む研磨パッド組成物を調製する段階と、前記研磨パッド組成物をモールド内に注入し硬化して研磨層を製造する段階と、前記研磨層を支持層と貼り合わせる段階と、を含み、前記発泡剤は固相発泡剤を含み、前記固相発泡剤はアクリロニトリル系共重合体、メチルメタクリレート系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上を含み、前記硬化剤は、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン(DMTDA)、1,3-プロパンジオールビス(4-アミノベンゾエート)(PDPAB)、N,N'-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、2,6-ビス(メチルチオ)-4-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、4-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル4-アミノベンゾエート、4-(4-アミノベンゾイル)オキシブチル4-アミノベンゾエート、4-[4-(4-アミノベンゾイル)オキシ-3-メチルブトキシ]ブチル4-アミノベンゾエート、およびメチレンビス-メチルアントラニレート(MBNA)からなる群より選択される1種以上を含む、研磨パッドの製造方法が提供される。
【0013】
また他の実現例によると、前記研磨パッドを用いて半導体基板の表面を研磨する段階を含む、半導体素子の製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0014】
前記実現例による研磨パッドは、塩素含有量が特定の範囲内に調整されることにより、研磨パッドの諸物性と性能を優れた状態で保ちながらもデブリの大きさを縮小して、CMP工程の際に欠陥およびスクラッチの発生を最小化し得る。
【0015】
さらに、前記実現例による研磨パッドは、従来、原料として一般的に使用されるビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン(MOCA)、塩化ビニリデン(VDC)などのような塩素系成分を使用しないか、または最小化して、人体および環境に有害性の問題がない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、一実現例による研磨パッドを用いる半導体素子製造工程である。
【
図2】
図2は、半導体素子製造工程中のデブリによる欠陥発生を示す図である。
【
図3】
図3は、一実現例による研磨パッドの塩素含有量を測定するための装置である。
【
図4】
図4は、一実現例による研磨パッドに用いられる固相発泡剤を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、様々な実現例および実施例を、図面を参照して具体的に説明する。
【0018】
実現例を説明することにおいて、関連する公知の構成または機能に関する具体的な説明が、実現例の要旨を不明瞭にすると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、図面における各構成要素の大きさは、説明のために誇張または省略されることがあり、実際に適用される大きさとは異なり得る。
【0019】
本明細書において、1つの構成要素が他の構成要素の上/下に形成されるか、もしくは互いに連結または結合されるという記載は、これらの構成要素間に直接、または、また他の構成要素を介して間接的に形成、連結または結合されることを全て含む。また、各構成要素の上/下に関する基準は、対象を観察する方向に応じて変わり得るものと理解するべきである。
【0020】
本明細書において、各構成要素を指す用語は、他の構成要素と区別するために使用されるものであり、実現例を限定しようとする意図で使用するものではない。また、本明細書において単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味でない限り、複数の表現を含む。
【0021】
本明細書において、第1、第2などの用語は、様々な構成要素を説明するために使用されるものであり、前記構成要素は前記用語によって限定されるべきではない。前記用語は、一つの構成要素を他の構成要素と区別する目的で使用される。
【0022】
本明細書において「含む」という記載は、特定の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分を具体化するためのものであり、特に反する記載がない限り、その外に他の特性、領域、段階、工程、要素および/または成分の存在や付加を除外するものではない。
【0023】
本明細書に記載の化合物の分子量や高分子の分子量、例えば、数平均分子量または重量平均分子量は、周知の如く、炭素12を基準とした相対質量として単位を記載しないが、必要に応じて同じ数値のモル質量(g/mol)であるものと理解しても構わない。
【0024】
本明細書に記載の構成要素の大きさ、物性等を限定する数値範囲において、上限値のみ限定された数値範囲と、下限値のみ限定された数値範囲が別々に例示されている場合、これら上限値と下限値とが組み合わされた数値範囲も例示的範囲に含まれるものと理解するべきである。
【0025】
[研磨パッド]
一実現例による研磨パッドは、研磨層および支持層を含む。また、前記研磨層および前記支持層の間には接着層が挿入され得る。
【0026】
一実現例による研磨パッドにおいて、前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が10000ppm以下である。
【0027】
具体的に、前記塩素含有量は、燃焼イオンクロマトグラフィー(combustion-ion chromatography、C-IC)によってポリマー内の特定物質を測定する国際標準規格であるIEC62321-3-2により、サンプル中の塩素含有量を測定して得ることができる。この際、塩素含有量が測定されるサンプルは、前記研磨パッドの研磨層から直径3cm×高さ0.3cmのサイズで採取された円形のサンプルであり得る。
【0028】
IEC62321-3-2規格は、ハロゲン使用に対する規制に対応して開発されたハロゲン成分スクリーニング試験方法である。前記試験方法は、従来のハロゲン分析方法(例えば、オキシゲンボンブ-IC、オキシゲンフラスコ-IC)に比べて精密/正確性および再現性に優れ、自動化されているため試験結果の信頼性に優れる。
【0029】
図3は、一実現例による研磨パッドの塩素含有量を測定するための方法を示す図である。
図3を参照すると、有機塩素(C-Cl)成分を含むサンプル110を燃焼チューブ730に投入し、電気炉750によって燃焼後、結果物を吸着チューブ770に送って、塩素イオン(Cl
-)の量をイオンクロマトグラフィーにより測定することとなる。
【0030】
前記実現例による研磨パッドにおいて、研磨層中の塩素含有量は10000ppm以下であり、例えば5000ppm以下、1000ppm以下、500ppm以下、200ppm以下、100ppm以下、80ppm以下、または50ppm以下であり得る。塩素含有量が前記範囲内に調整されることにより、研磨パッドの諸物性と性能を優れた状態で保ちながらも、デブリの大きさを縮小してCMP工程の際に欠陥およびスクラッチの発生を最小化し得る。
【0031】
さらに、前記実現例による研磨層中の塩素含有量範囲の下限は、例えば、0ppm以上、0ppm超、1ppm以上、5ppm以上、10ppm以上、20ppm以上、50ppm以上、または100ppm以上であり得る。前記好ましい範囲内で、デブリが適切なサイズに固まることとなり、表面積と吸着力が調節され、ウェーハおよびパッドにおいて吸脱着が容易となり、電気的な引力/チャック力が調節され研磨性能がより適切になり得る。
【0032】
具体的な一例として、前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が、10ppm~1000ppmであり得る。具体的な他の例として、前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が、10ppm~100ppm、20ppm~80ppm、または20ppm~50ppmであり得る。具体的なまた他の例として、前記研磨層をIEC62321-3-2規格に基づいて分析した塩素(Cl)含有量が、50ppm~10000ppm、または100ppm~10000ppmであり得る。
【0033】
このように、前記実現例による研磨パッドは、塩素含有量が特定の範囲内に調整されることにより、デブリの大きさを縮小してCMP工程の際に欠陥およびスクラッチの発生を最小化し得る。
【0034】
図2は、半導体素子製造工程中に、デブリによって欠陥が発生することを示すものである。
図2を参照すると、研磨層から発生するデブリ150によって半導体素子の表面に欠陥650やスクラッチが発生するが、前記実現例によると、研磨層から発生するデブリの大きさが特定の範囲内に調整され、欠陥やスクラッチの発生を最小化し得る。
【0035】
例えば、前記実現例による研磨パッドは、デブリの粒径が30μm以下、25μm以下、20μm以下、19μm以下、18μm以下、または17μm以下であり、また、5μm以上、10μm以上、または15μm以上であり得る。
【0036】
具体的に、前記デブリは、前記研磨パッドをプラテン速度93rpm、コンディショナー荷重9lb、コンディショナー速度64rpm、掃引(sweep)19回/分の条件で、脱イオン水300cc/分を供給しながらコンディショニングする際に得られたものであり、前記デブリの粒径は平均粒径、すなわちD50粒径であり得る。
【0037】
具体的な一例として、前記研磨パッドを、プラテン速度93rpm、コンディショナー荷重9lb、コンディショナー速度64rpm、掃引19回/分の条件で、脱イオン水300cc/分を供給しながらコンディショニングする際に得られる研磨パッドデブリのD50粒径が30μm以下であり得る。
【0038】
具体的な他の例として、前記研磨パッドをプラテン速度93rpm、コンディショナー荷重9lb、コンディショナー速度64rpm、掃引19回/分の条件で、脱イオン水300cc/分を供給しながらコンディショニングする際に得られる研磨パッドデブリのD50粒径が、10μm~30μm、10μm~25μm、または10μm~18μmであり得る。
【0039】
さらに、前記実現例による研磨パッドは、デブリのゼータ電位(zeta potential)値が特定の数値範囲内で測定され得る。
【0040】
例えば、前記研磨層をコンディショニングして得られたデブリを0.01重量%の濃度で含有するpH5.5水溶液のゼータ電位値が、-20mV以上、-10mV以上、-5mV以上、0mV以上、5mV以上、7mV以上、または10mV以上であり、また、40mV以下、30mV以下、20mV以下、15mV以下、10mV以下、または8mV以下であり得る。
具体的に、前記デブリの水溶液のゼータ電位値は、正(+)の値であり得る。
【0041】
具体的な一例として、前記研磨層をコンディショニングして得られたデブリを0.01重量%の濃度で含有するpH5.5水溶液のゼータ電位値が-10mV~30mVであり得る。具体的な他の例として、前記研磨層をコンディショニングして得られたデブリを0.01重量%の濃度で含有するpH5.5水溶液のゼータ電位値が7mV~15mVであり得る。具体的なまた他の例として、前記研磨層をコンディショニングして得られたデブリを0.01重量%の濃度で含有するpH5.5水溶液のゼータ電位値が-10mV~8mVであり得る。
【0042】
前記好ましい範囲内で、デブリのゼータ電位が、CMP研磨用組成物(スラリー)中の研磨粒子(例えば、セリア粒子)のゼータ電位と類似して、欠陥発生がより低減し得る。具体的に、ゼータ電位は、懸濁液内の粒子が有する陽/陰イオンによって発生する粒子間の反発力と引力の大きさを定量的に示したものであって、デブリと研磨粒子のゼータ電位が類似すると、粒子間の反発力が大きくなり凝集が防止されるので、組成物内の粒子サイズを小さくして、欠陥およびスクラッチの発生を低減し得る。
【0043】
また、前記実現例による研磨パッドは、塩素含有量が特定の範囲内に調節されても、研磨パッドの性能と諸物性に優れた状態で維持され得る。
【0044】
例えば、前記研磨パッドを用いてセリアスラリーにおいてシリコンウェーハのシリコンオキサイド層を研磨する際、研磨率(removal rate)が2000Å/分以上、2200Å/分以上、2300Å/分以上、または2400Å/分以上であり、また3000Å/分以下、2800Å/分以下、2600Å/分以下、または2500Å/分以下であり得る。
【0045】
具体的な一例として、前記研磨パッドを用いてセリアスラリーにおいてシリコンウェーハのシリコンオキサイド層を研磨する際、下記数学式1による研磨率が2200Å/分~2600Å/分であり得る。
[数1]
研磨率(Å/分)=シリコンウェーハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(分)
【0046】
具体的に、前記研磨率は、シリコンオキサイドが蒸着された直径300mmのシリコンウェーハに対する研磨率であり得る。また、前記研磨率は、研磨荷重4.0psi、研磨パッド回転速度150rpmの条件で、か焼セリアスラリーを250mL/分で投入しながらプラテンを150rpmで60秒間回転させながら測定したものであり得る。前記研磨率測定時の温度条件は特に限定されないが、例えば常温条件であり得る。
【0047】
また、前記研磨層のパッド切削率(pad cut rate)は、30μm/hr~60μm/hr、30μm/hr~50μm/hr、40μm/hr~60μm/hr、または40μm/hr~50μm/hrであり得る。
【0048】
前記研磨パッドの厚さは、0.8mm~5.0mm、1.0mm~4.0mm、1.0mm~3.0mm、1.5mm~2.5mm、1.7mm~2.3mm、または2.0mm~2.1mmであり得る。前記範囲内であると、気孔の上下部位別粒径偏差を最小化しながらも、研磨パッドとしての基本的物性を十分に発揮し得る。
【0049】
[研磨層]
前記研磨層は、CMP工程の際、半導体基板に当接する研磨面を提供し、研磨パッドにおいて上部パッド(top pad)を構成する。
【0050】
前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含む。
具体的に、前記研磨層は、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤の反応生成物、すなわち、前記成分が混合された組成物の硬化物であるポリウレタン系樹脂を含み、より具体的に、多孔質ポリウレタン系樹脂を含む。また、前記研磨層は、前記発泡剤から形成された複数の気孔(pore)を含み得る。
【0051】
前記研磨層の厚さは、例えば、0.8mm以上、1mm以上、1.2mm以上、または1.5mm以上であり、また、5mm以下、3mm以下、2.5mm以下、または2mm以下であり得る。具体的な一例として、前記研磨層の厚さは、0.8mm~5mm、または1.5mm~3mmであり得る。
【0052】
前記研磨層の比重は、例えば、0.6g/cm3以上、0.7g/cm3以上または0.75g/cm3以上であり、また、0.9g/cm3以下、0.85g/cm3以下、または0.8g/cm3以下であり得る。具体的な一例として、前記研磨層の比重は、0.6g/cm3~0.9g/cm3または0.7g/cm3~0.9g/cm3であり得る。
【0053】
前記研磨層の硬度は、例えば、30ショアD以上、40ショアD以上、または50ショアD以上であり、また、80ショアD以下、70ショアD以下、65ショアD以下、または60ショアD以下であり得る。具体的な一例として、前記研磨層の硬度は、30ショアD~80ショアD、または50ショアD~65ショアDであり得る。
【0054】
前記研磨層の引張強度は、例えば、5N/mm2以上、10N/mm2以上または15N/mm2以上であり、また、30N/mm2以下、25N/mm2以下、または20N/mm2以下であり得る。具体的な一例として、前記研磨層の引張強度は、5N/mm2~30N/mm2または15N/mm2~25N/mm2であり得る。
【0055】
前記研磨層の伸び率は、例えば、50%以上、70%以上、90%以上、106%以上、または120%以上であり、また、300%以下、250%以下、200%以下、または150%以下であり得る。具体的な一例として、前記研磨層の伸び率は、50%~300%または90%~130%であり得る。前記伸び率は破断伸び率であり得る。
【0056】
具体的な一例として、前記研磨層は、50ショアD~65ショアDの硬度、15N/mm2~25N/mm2の引張強度、および90%~130%の伸び率を有し得る。
【0057】
前記気孔は、前記研磨層内に分散して存在する。
前記気孔の平均直径は、例えば、10μm~60μm、10μm~50μm、20μm~50μm、20μm~40μm、10μm~30μm、20μm~25μm、または30μm~50μmであり得る。
【0058】
また、前記気孔の総面積は、前記研磨層の総面積を基準に、30%~60%、35%~50%、または35%~43%であり得る。また、前記気孔の総体積は、前記研磨層の総体積を基準に、30%~70%または40%~60%であり得る。
【0059】
前記研磨層は、表面に機械的研磨のための溝(groove)を有し得る。前記溝は、機械的研磨のための適切な深さ、幅および間隔を有することができ、特に限定されない。
【0060】
[ウレタン系プレポリマー]
一実現例による研磨パッドは、ウレタン系プレポリマーを含む。
プレポリマー(prepolymer)とは、硬化物の製造において、成形しやすいように重合度を中間段階で中止させた比較的低い分子量を有する高分子のことを意味する。プレポリマーは、それ自体で、または他の重合性化合物と反応させた後、最終硬化物に成形され得る。
【0061】
一実現例において、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート化合物とポリオールとを反応させて調製され得る。
【0062】
前記ウレタン系プレポリマーの調製に用いられるイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート、脂肪族ジイソシアネート、脂環式ジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを使用し得る。
【0063】
前記イソシアネート化合物は、例えば、トルエン2,4-ジイソシアネート(2,4-TDI)、トルエン2,6-ジイソシアネート(2,6-TDI)、ナフタレン-1,5-ジイソシアネート、パラ-フェニレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、4,4'-ジフェニルメタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0064】
前記ポリオールは、分子あたりヒドロキシ基(-OH)を少なくとも2個以上含む化合物であって、例えば、ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0065】
前記ポリオールは、例えば、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、エチレングリコール、1,2-プロピレングリコール、1,3-プロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,5-ペンタンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0066】
前記ポリオールは、100~3000の重量平均分子量(Mw)を有し得る。前記ポリオールは、例えば100~3000、例えば100~2000、例えば100~1800の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0067】
一実現例において、前記ポリオールは、重量平均分子量(Mw)100~300の低分子量ポリオールおよび重量平均分子量(Mw)が300~1800の高分子量ポリオールを含み得る。
【0068】
前記ウレタン系プレポリマーは、500~3000の重量平均分子量を有し得る。前記ウレタン系プレポリマーは、例えば1000~2000、例えば1000~1500の重量平均分子量(Mw)を有し得る。
【0069】
一実現例において、前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物を含み、前記芳香族ジイソシアネート化合物は例えば、2,4-トルエンジイソシアネート(2,4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含み得る。前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を含み得る。
【0070】
他の実現例において、前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのイソシアネート化合物は、芳香族ジイソシアネート化合物および脂環式ジイソシアネート化合物を含むことができ、例えば、前記芳香族ジイソシアネート化合物は、2,4-トルエンジイソシアネート(2、4-TDI)および2,6-トルエンジイソシアネート(2,6-TDI)を含み、前記脂環式ジイソシアネート化合物は、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)を含み得る。前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのポリオール化合物は、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を含み得る。
【0071】
前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基含有量(NCO%)が5重量%以上、8重量%以上、または10重量%以上であり、また13重量%以下、12重量%以下、または11重量%以下であり得る。具体的な一例として、前記ウレタン系プレポリマーは、イソシアネート末端基含有量(NCO%)が10重量%~11重量%であり得る。
【0072】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基含有量(NCO%)は、前記ウレタン系プレポリマーを調製するためのイソシアネート化合物およびポリオール化合物の種類および含有量、前記ウレタン系プレポリマーを調製する工程の温度、圧力、時間等の工程条件および前記ウレタン系プレポリマーの調製に用いられる添加剤の種類および含有量などを総合的に調整して設計され得る。
【0073】
前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基含有量(NCO%)が前記範囲を満足すると、後続して前記ウレタン系プレポリマーと硬化剤とを反応する際の反応速度、反応時間および最終硬化構造等が、最終研磨パッドの用途および使用目的による研磨性能に有利な方向に調整され得る。
【0074】
一実現例において、前記ウレタン系プレポリマーのイソシアネート末端基含有量(NCO%)が、8重量%~10重量%、例えば8重量%~9.4重量%であり得る。前記NCO%が前記範囲未満であると、研磨率および平坦度の面から目的とする研磨性能が実現できなくなることがあり、切削率の過度の増加等により、研磨パッドの寿命が減少する問題があり得る。一方、前記NCO%が前記範囲を超えると、半導体基板のスクラッチおよびチャタマークなどの表面欠陥が増加し得る。
【0075】
[発泡剤]
前記発泡剤は、前記研磨層内の気孔構造を形成するための成分として、固相発泡剤、気相発泡剤、液相発泡剤、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0076】
一実現例によると、前記発泡剤は、塩素成分を含まない非塩素系発泡剤であり、特に、塩化ビニリデン(VDC)のように研磨パッド製造に一般的に使用される塩素系発泡剤成分を含まないか、またはその使用を最小化し得る。例えば、前記発泡剤の全重量を基準とした非塩素系発泡剤の含有量は、50重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、99重量%以上、または99.5重量%以上であり、また100重量%以下または99.5重量%以下であり、具体的な例示として、80重量%~100重量%、90重量%~100重量%、または80重量%~99.5重量%であり得る。また、前記発泡剤の全重量を基準とした塩素系発泡剤の含有量は、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下、0.3重量%以下であり、また、0重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上であり、具体的な例示として、0重量%~20重量%、0重量%~1重量%、0重量%~0.5重量%、または0.5重量%~20重量%であり得る。
【0077】
前記発泡剤は、中空構造の粒子を含む固相発泡剤、揮発性液体を用いた液相発泡剤および不活性ガスの中から選択される1種以上であり得る。
【0078】
一例として、前記固相発泡剤は、熱によって膨張してサイズが調整された中空構造の粒子を含み得る。このような固相発泡剤は、既に膨張した形態で原料に投入され均一な大きさの粒径を有することにより、気孔の粒径サイズを均一に調整可能な利点を有する。
【0079】
また、前記固相発泡剤は、膨張性粒子を含み得る。前記膨張性粒子は、熱または圧力等により膨張が可能な特性を有する粒子であって、前記研磨層を製造する過程で加えられる熱または圧力等により、最終研磨層内における大きさが決定され得る。前記膨張性粒子は、予め膨張していない粒子状態で原料に投入され、前記研磨層の製造過程で加えられる熱または圧力によって膨張され、最終大きさが決定され得る。
【0080】
前記固相発泡剤の平均粒径は、例えば5μm~100μmであり、具体的に5μm~50μmまたは20μm~50μmであり得る。前記固相発泡剤の平均粒径とは、前記固相発泡剤が後述するような膨張した状態で原料に投入される粒子の場合、膨張した粒子自体の平均粒径のことを意味し、前記固相発泡剤が後述するような未膨張状態で原料に投入される粒子の場合、製造過程で熱または圧力によって膨張した後の粒子の平均粒径のことを意味し得る。
【0081】
図4は、一実現例による研磨パッドに使用される膨張性粒子タイプの固相発泡剤を示す図である。
図4を参照すると、前記膨張性粒子タイプの固相発泡剤130は、樹脂材質の外皮131と、前記外皮131で封入された内部に存在する膨張誘発成分132とを含み得る。このような膨張性粒子は、製造過程にて熱によって内部の膨張誘発成分が気化することにより、中空構造に形成され得る。
【0082】
例えば、前記外皮は、熱可塑性樹脂を含み得る。前記熱可塑性樹脂は、アクリロニトリル系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0083】
前記外皮の厚さは、例えば、0.1μm以上、0.5μm以上、1μm以上、2μm以上、または3μm以上であり、また、15μm以下、12μm以下、または10μm以下であり、具体的な一例として2μm~15μmであり得る。
【0084】
前記膨張誘発成分は、炭化水素化合物、テトラアルキルシラン化合物およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。具体的に、前記炭化水素化合物は、エタン(ethane)、エチレン(ethylene)、プロパン(propane)、プロペン(propene)、n-ブタン(n-butane)、イソブタン(isobutene)、n-ブテン(n-butene)、イソブテン(isobutene)、n-ペンタン(n-pentane)、イソペンタン(isopentane)、ネオペンタン(neopentane)、n-ヘキサン(n-hexane)、ヘプタン(heptane)、石油エーテル(petroleum ether)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。前記テトラアルキルシラン化合物は、テトラメチルシラン、トリメチルエチルシラン、トリメチルイソプロピルシラン、トリメチル-n-プロピルシラン、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0085】
前記固相発泡剤は、無機成分処理された粒子を含み得る。一実現例において、前記固相発泡剤は、表面がシリカ(SiO2)粒子で処理されたものであり得る。前記固相発泡剤の無機成分処理は、複数の粒子間凝集を防止し得る。前記無機成分処理された固相発泡剤は、無機成分処理されていない固相発泡剤と、発泡剤表面の化学的、電気的および/または物理的特性が異なり得る。
【0086】
前記固相発泡剤の市販品としては、Nouryon社の920DE20d70、051DET40d25、051DET40d42等と、マツモト社のF-65DE、F-80DE、FN-80SDE等が挙げられる。
【0087】
具体的な一例として、前記実現例による研磨パッドに用いられる発泡剤は固相発泡剤を含み、前記固相発泡剤は、アクリロニトリル系共重合体、メチルメタクリレート系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0088】
前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.1重量部以上、0.5重量部以上または1重量部以上であり、また、5重量部以下、3重量部以下または2重量部以下であり得る。具体的な一例として、前記固相発泡剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.1重量部~5重量部または0.5重量部~2重量部であり得る。
【0089】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性に応じて、前記固相発泡剤の種類および含有量を設計し得る。
【0090】
一方、液相発泡剤は、プレポリマーおよび硬化剤が混合して反応する過程に投入され気孔を形成することができ、プレポリマーと硬化剤との反応に関与しない。また、前記液相発泡剤は、プレポリマーと硬化剤とが混合して反応する過程で発生する熱によって、物理的に気化して気孔を形成する。
【0091】
前記揮発性液相発泡剤は、イソシアネート基、アミド基およびアルコール基と反応せず、25℃にて液相であり得る。具体的に、前記揮発性液相発泡剤は、シクロペンタン(cyclopentane)、n-ペンタン(n-pentane)、シクロヘキサン(cyclohexane)、n-ブチルアセテート(n-butyl acetate)、ビス(ノナフルオロブチル)(トリフルオロメチル)アミン(bis(nonafluorobutyl)(trifluoromethyl)amine)、およびパーフルオロトリブチルアミン(perfluorotributylamine)、パーフルオロ-N-メチルモルホリン(perfluoro-N-methylmorpholine)、フルオロトリペンチルアミン(perfluorotripentylamine)、パーフルオロヘキサン(perfluorohexane)などのパーフルオロ化合物からなる群より選択され得る。前記パーフルオロ化合物の市販品としては、3M社のFC-40、FC-43、FC-70、FC-72、FC-770、FC-3283、FC-3284などが挙げられる。
【0092】
その外にも、前記発泡剤は、気相発泡剤を含み得る。例えば、前記発泡剤は固相発泡剤および気相発泡剤を含み得る。
【0093】
前記気相発泡剤は不活性ガスを含み得る。前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とが反応する過程で投入され、気孔形成要素として使用され得る。
【0094】
前記不活性ガスは、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤との反応に関与しないガスであれば、種類は特に限定されない。例えば、前記不活性ガスは、窒素ガス(N2)、二酸化炭素ガス(CO2)、アルゴンガス(Ar)、ヘリウムガス(He)、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0095】
前記研磨層の目的とする気孔構造および物性に応じて、前記気相発泡剤の種類および含有量を設計し得る。
【0096】
前記不活性ガスは、組成物の総体積の10%~30%に相当する体積で投入され得る。具体的に、前記不活性ガスは、組成物の総体積の15%~30%に相当する体積で投入され得る。具体的に、前記気相発泡剤は、前記ウレタン系プレポリマー、前記固相発泡剤および前記硬化剤が混合する過程の中で所定の注入ラインを介して注入され得る。前記気相発泡剤の注入速度は、約0.8L/分~約2.0L/分、例えば約0.8L/分~約1.8L/分、例えば約0.8L/分~約1.7L/分、例えば約1.0L/分~約2.0L/分、例えば約1.0L/分~約1.8L/分、例えば約1.0L/分~約1.7L/分であり得る。
【0097】
[硬化剤]
前記硬化剤は、前記ウレタン系プレポリマーと化学的に反応して前記研磨層内の最終硬化構造を形成するための化合物であって、例えば、アミン化合物またはアルコール化合物を含み得る。具体的に、前記硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、脂肪族アルコール、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0098】
一実現例によると、前記硬化剤は、塩素成分を含まない非塩素系硬化剤を含み得る。例えば、前記硬化剤の全重量を基準とした非塩素系硬化剤の含有量は、50重量%以上、80重量%以上、90重量%以上、95重量%以上、97重量%以上、99重量%以上、または99.5重量%以上であり、また100重量%以下または99.5重量%以下であり、具体的な例として、80重量%~100重量%、90重量%~100重量%、または80重量%~99.5重量%であり得る。また、前記硬化剤の全重量を基準とした塩素系硬化剤の含有量は、20重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、1重量%以下、または0.5重量%以下、0.3重量%以下であり、また、0重量%以上、0.1重量%以上、0.5重量%以上であり、具体的な例として、0重量%~20重量%、0重量%~1重量%、0重量%~0.5重量%、または0.5重量%~20重量%であり得る。
【0099】
前記硬化剤は、固相硬化剤および液相硬化剤のうち選択される少なくとも1種であり得る。
【0100】
前記固相硬化剤は、活性水素基を含有し得る。前記固相硬化剤は、活性水素基としてアミン基(-NH2)を含み得る。
【0101】
また、前記固相硬化剤は、2個以上のベンゼン環を有するエステル化合物であり得る。具体的に、前記固相硬化剤は、分子内の前記エステル基を2個またはそれ以上含み得る。
【0102】
前記固相硬化剤は、重量平均分子量が150~400、例えば150~350、例えば200~350、例えば250~350、例えば300~350であり得る。前記固相硬化剤は、溶融点(m.p)が100℃~150℃であり、例えば100℃~140℃、例えば110℃~130℃であり得る。
【0103】
一実現例において、前記固相硬化剤は、1,3-プロパンジオールビス(4-アミノベンゾエート)(PDPAB)、4-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル4-アミノベンゾエート、4-(4-アミノベンゾイル)オキシブチル4-アミノベンゾエート、4-[4-(4-アミノベンゾイル)オキシ-3-メチルブトキシ]ブチル4-アミノベンゾエート、およびメチレンビス-メチルアントラニレート(MBNA)からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0104】
前記液相硬化剤は、活性水素基を含有し得る。前記液相硬化剤は、活性水素基として、アミン基(-NH2)、水酸化基(-OH)、カルボン酸基(-COOH)、エポキシ基、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1種以上を含み、具体的に、アミン基(-NH2)基を含み得る。
【0105】
また、前記液相硬化剤は、分子内に硫黄を含んでよく、具体的に分子内硫黄元素を2個またはそれ以上含み得る。
【0106】
前記液相硬化剤は、重量平均分子量が50~300であり、例えば100~250であり、例えば150~250であり、例えば200~250であり得る。
【0107】
また、前記液相硬化剤は、常温にて液相であり得る。または、前記液相硬化剤は、沸点(b.p)が160℃~240℃、具体的に170℃~240℃、より具体的に170℃~220℃であり得る。
【0108】
前記液相硬化剤の例としては、3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン(DMTDA)、2,6-ビス(メチルチオ)-4-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、およびN,N'-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタンからなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0109】
また、前記硬化剤は、前記液相硬化剤および固相硬化剤の外に、その他の硬化剤をさらに含み得る。前記その他の硬化剤は、例えば、アミン化合物およびアルコール化合物のうちの1種以上であり得る。具体的に、前記その他の硬化剤は、芳香族アミン、脂肪族アミン、芳香族アルコール、および脂肪族アルコールからなる群より選択される1種以上の化合物を含み得る。
【0110】
例えば、前記その他の硬化剤は、ジアミノジフェニルメタン(diaminodiphenyl methane)、ジアミノジフェニルスルホン(diaminodiphenyl sulphone)、m-キシリレンジアミン(m-xylylene diamine)、イソホロンジアミン(isophoronediamine)、エチレンジアミン(ethylenediamine)、ジエチレントリアミン(diethylenetriamine)、トリエチレンテトラアミン(triethylenetetramine)、ポリプロピレンジアミン(polypropylenediamine)、ポリプロピレントリアミン(polypropylenetriamine)、エチレングリコール(ethyleneglycol)、ジエチレングリコール(diethyleneglycol)、ジプロピレングリコール(dipropyleneglycol)、ブタンジオール(butanediol)、ヘキサンジオール(hexanediol)、グリセリン(glycerine)、およびトリメチロールプロパン(trimethylolpropane)からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0111】
具体的な一例として、前記硬化剤は、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン(DMTDA)、1,3-プロパンジオールビス(4-アミノベンゾエート)(PDPAB)、N、N'-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、2,6-ビス(メチルチオ)-4-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、4-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル4-アミノベンゾエート、4-(4-アミノベンゾイル)オキシブチル4-アミノベンゾエート、4-[4-(4-アミノベンゾイル)オキシ-3-メチルブトキシ]ブチル4-アミノベンゾエート、およびメチレンビス-メチルアントラニレート(MBNA)からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0112】
前記硬化剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、5重量部以上、10重量部以上、15重量部以上、または20重量部以上であり、また、50重量部以下、45重量部以下、40重量部以下、35重量部以下、30重量部以下、または25重量部以下であり得る。具体的に、前記硬化剤の含有量は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、10重量部~40重量部であり、より具体的に、15重量部~35重量部または15重量部~25重量部であり得る。
【0113】
[添加剤]
前記研磨層を製造するための組成物は、界面活性剤、反応速度調整剤などのその他の添加剤をさらに含み得る。前記「界面活性剤」、「反応速度調整剤」等の名称は、該当物質の主な役割を基準に任意で称する名称であり、各々の該当物質が必ずしも当該名称で役割に限定された機能のみを行うものではない。
【0114】
前記界面活性剤は、気孔の凝集または重なりなどの現象を防止する役割を果たす物質であれば特に制限されない。例えば、前記界面活性剤は、シリコーン系界面活性剤を含み得る。
【0115】
前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.2重量部~2重量部の含有量で使用され得る。具体的に、前記界面活性剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.2重量部~1.9重量部、例えば0.2重量部~1.8重量部、例えば0.2重量部~1.7重量部、例えば0.2重量部~1.6重量部、例えば0.2重量部~1.5重量部、例えば0.5重量部~1.5重量部の含有量で含まれ得る。前記範囲内の含有量で界面活性剤を含むと、気相発泡剤由来の気孔がモールド内で安定して形成および維持され得る。
【0116】
前記反応速度調整剤は、反応促進または反応遅延の役割を果たすものであり、目的に応じて反応促進剤、反応遅延剤またはその両方とも使用し得る。前記反応速度調整剤は、反応促進剤を含み得る。例えば、前記反応促進剤は、第三級アミン系化合物および有機金属系化合物からなる群より選択される1種以上の反応促進剤であり得る。
【0117】
具体的に、前記反応速度調節剤は、トリエチレンジアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルブタンジアミン、2-メチル-トリエチレンジアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロパノールアミン、1,4-ジアザビシクロ(2,2,2)オクタン、ビス(2-メチルアミノエチル)エーテル、トリメチルアミノエチルエタノールアミン、N,N,N,N,N''-ペンタメチルジエチレントリアミン、ジメチルアミノエチルアミン、ジメチルアミノプロピルアミン、ベンジルジメチルアミン、N-エチルモルホリン、N,N-ジメチルアミノエチルモルホリン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、2-メチル-2-アザノルボルネン、ジブチルスズジラウレート、スタナスオクトエート、ジブチルスズジアセテート、ジオクチルスズジアセテート、ジブチルスズマレート、ジブチルスズジ-2-エチルヘキサノエート、およびジブチルスズジメルカプチドからなる群より選択される1種以上を含み得る。具体的に、前記反応速度調整剤は、ベンジルジメチルアミン、N,N-ジメチルシクロヘキシルアミン、およびトリエチルアミンからなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0118】
前記反応速度調整剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.05重量部~2重量部の量で使用され得る。具体的に、前記反応速度調整剤は、前記ウレタン系プレポリマー100重量部を基準に、0.05重量部~1.8重量部、例えば0.05重量部~1.7重量部、例えば0.05重量部~1.6重量部、例えば、0.1重量部~1.5重量部、例えば、0.1重量部~0.3重量部、例えば、0.2重量部~1.8重量部、例えば、0.2重量部~1.7重量部、例えば、0.2重量部~1.6重量部、例えば0.2重量部~1.5重量部、例えば0.5重量部~1重量部の量で使用され得る。前記反応速度調整剤が前記の含有量範囲で使用されると、プレポリマー組成物の硬化反応速度を適切に調整して、所望の大きさの気孔および硬度を有する研磨層を形成し得る。
【0119】
[支持層]
前記支持層は,下部パッド(sub pad)を構成し、前記研磨層を支持しながら前記研磨層に加えられる外部衝撃を吸収し分散させる役割をすることにより、前記研磨パッドを適用した研磨工程中の研磨対象に対する損傷および欠陥の発生を最小化する。
【0120】
前記支持層は、不織布またはスエードを含み得るが、これに限定されるものではない。
一実現例において、前記支持層は樹脂含浸不織布であり得る。前記不織布は、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含む繊維不織布であり得る。
【0121】
前記不織布に含浸された樹脂は、ポリウレタン樹脂、ポリブタジエン樹脂、スチレン-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル-ブタジエン共重合樹脂、スチレン-エチレン-ブタジエン-スチレン共重合樹脂、シリコーンゴム樹脂、ポリエステル系エラストマー樹脂、ポリアミド系エラストマー樹脂、およびこれらの組み合わせからなる群より選択される1つを含み得る。
【0122】
前記支持層の厚さは、例えば、0.3mm以上または0.5mm以上であり、また、3mm以下、2mm以下または1mm以下であり得る。具体的な一例として、前記支持層の厚さは、0.3mm~3mmまたは0.5mm~1mmであり得る。
【0123】
前記支持層の硬度は、例えば、50アスカーC以上、60アスカーC以上、または70アスカーC以上であり、また、100アスカーC以下、90アスカーC以下、または80アスカーC以下であり得る。具体的な一例として、前記支持層の硬度は、50アスカーC~100アスカーCまたは60アスカーC~90アスカーCであり得る。
【0124】
また、前記研磨層(上部パッド)と前記支持層(下部パッド)との間には、接着層が挿入され得る。
【0125】
前記接着層は、ホットメルト接着剤を含み得る。前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン-酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、およびポリオレフィン系樹脂からなる群より選択される1種以上であり得る。具体的に、前記ホットメルト接着剤は、ポリウレタン系樹脂およびポリエステル系樹脂からなる群より選択される1種以上であり得る。
【0126】
また、前記支持層の下部には両面テープが貼り付けられ、CMP装置に適用する際に両面テープの離型紙を除去してプラテンに付着して使用し得る。
【0127】
[研磨パッドの製造方法]
一実現例による研磨パッドの製造方法は、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を含む研磨パッド組成物を調製する段階と、前記研磨パッド組成物をモールド内に注入し硬化して研磨層を製造する段階と、前記研磨層を支持層と貼り合わせる段階と、を含む。
【0128】
前記ウレタン系プレポリマー、硬化剤、および発泡剤の具体的な種類および含有量は、前記で例示したとおりである。
【0129】
具体的な一例として、前記発泡剤は固相発泡剤を含み、前記固相発泡剤は、アクリロニトリル系共重合体、メチルメタクリレート系共重合体、メタクリロニトリル系共重合体、およびアクリル系共重合体からなる群より選択される1種以上を含み、前記硬化剤は、ジエチルトルエンジアミン(DETDA)、3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン(DMTDA)、1,3-プロパンジオールビス(4-アミノベンゾエート)(PDPAB)、N,N'-ビス(sec-ブチルアミノ)ジフェニルメタン、2,6-ビス(メチルチオ)-4-メチル-1,3-ベンゼンジアミン、4-(4-アミノベンゾイル)オキシフェニル4-アミノベンゾエート、4-(4-アミノベンゾイル)オキシブチル4-アミノベンゾエート、4-[4-(4-アミノベンゾイル)オキシ-3-メチルブトキシ]ブチル4-アミノベンゾエート、およびメチレンビス-メチルアントラニレート(MBNA)からなる群より選択される1種以上を含み得る。
【0130】
前記研磨パッド組成物は、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および硬化剤を順次または同時混合して調製され得る。
【0131】
一例として、前記研磨パッド組成物を調製する段階は、ウレタン系プレポリマーを硬化剤と混合した後に発泡剤とさらに混合するか、または前記ウレタン系プレポリマーを前記発泡剤と混合した後に前記硬化剤とさらに混合して行われ得る。
【0132】
他の例として、ウレタン系プレポリマー、硬化剤および発泡剤は、実質的にほぼ同時に混合過程に投入され、発泡剤、界面活性剤、および不活性ガスをさらに添加する場合、それらもまた実質的にほぼ同時に混合過程に投入され得る。
【0133】
また他の例として、ウレタン系プレポリマー、発泡剤および界面活性剤を予め混合し、その後硬化剤を投入するか、または硬化剤および不活性ガスを一緒に投入し得る。
【0134】
前記混合において、ウレタン系プレポリマーと硬化剤とを混合して反応を開始し、発泡剤および不活性ガスを原料内に均一に分散させ得る。この際、反応速度調整剤は、反応初期からウレタン系プレポリマーと硬化剤との反応に介入して、反応の速度を調整し得る。具体的に、前記混合は、1000rpm~10000rpmまたは4000rpm~7000rpmの速度で行われ得る。前記速度範囲であるとき、不活性ガスおよび発泡剤が原料内に均一に分散されるためにより有利であり得る。
【0135】
また、前記研磨パッド組成物を調製する段階は、50℃~150℃の条件で行われ、必要に応じて真空脱泡条件下で行われ得る。
【0136】
前記発泡剤が固相発泡剤を含む場合、前記研磨パッド組成物を調製する段階は、前記ウレタン系プレポリマーと前記固相発泡剤とを混合して第1予備組成物を調製する段階と、前記第1予備組成物と硬化剤とを混合して第2予備組成物を調製する段階とを含み得る。
【0137】
前記第1予備組成物の粘度は、約80℃にて約1000cps~約2000cpsであり、例えば約1000cps~約1800cps、例えば約1000cps~約1600cps、例えば約1000cps~約1500cpsであり得る。
【0138】
前記発泡剤が気相発泡剤を含む場合、前記研磨パッド組成物を調製する段階は、前記ウレタン系プレポリマーと前記硬化剤とを含む第3予備組成物を調製する段階と、前記第3予備組成物に前記気相発泡剤を注入して第4予備組成物を調製する段階とを含み得る。一実現例において、前記第3予備組成物は、固相発泡剤をさらに含み得る。
【0139】
一実現例において、前記研磨層を製造する工程は、第1温度に予熱されたモールドを準備する段階と、前記予熱されたモールドに前記研磨パッド組成物を注入して硬化させる段階と、硬化した前記研磨パッド組成物を前記予熱温度よりも高い第2温度条件下で後硬化する段階とを含み得る。
【0140】
一実現例において、前記第1温度と前記第2温度との温度差は、約10℃~約40℃であり、例えば約10℃~約35℃、例えば約15℃~約35℃であり得る。一実現例において、前記第1温度は、約60℃~約100℃であり、例えば約65℃~約95℃、例えば約70℃~約90℃であり得る。一実現例において、前記第2温度は、約100℃~約130℃であり、例えば約100℃~約125℃、例えば約100℃~約120℃であり得る。
【0141】
前記研磨パッド組成物を前記第1温度下で硬化させる段階は、約5分~約60分、例えば約5分~約40分、例えば約5分~約30分、例えば約5分~約25分間行われ得る。
【0142】
前記第1温度下で硬化した研磨パッド組成物を前記第2温度下で後硬化する段階は、約5時間~約30時間、例えば約5時間~約25時間、例えば約10時間~約30時間、例えば約10時間~約25時間、例えば約12時間~約24時間、例えば約15時間~約24時間行われ得る。
【0143】
その後、前記研磨パッド組成物をモールド内に注入してから硬化する段階は、60℃~120℃の温度条件および50kg/m2~200kg/m2の圧力条件下で行われ得る。
【0144】
また、前記製造方法は、得られた研磨パッドの表面を切削する工程、表面に溝を加工する工程、下層部との接着工程、検査工程、包装工程などをさらに含み得る。これらの工程は、通常の研磨パッド製造方法により行い得る。
【0145】
一例として、前記研磨パッドの製造方法は、前記研磨層の少なくとも一面を加工する段階を含み得る。前記研磨層の少なくとも一面を加工する段階は、前記研磨層の少なくとも一面上に溝を形成する段階と、前記研磨層の少なくとも一面を旋削(lathe turning)する段階と、前記研磨層の少なくとも一面を粗面化する段階とのうち少なくとも一つの段階を含み得る。
【0146】
前記溝は、前記研磨層の中心から所定の間隔で離隔形成される同心円状溝と、前記研磨層の中心から前記研磨層のエッジまで連続連結される放射状溝と、のうちの少なくとも1つを含み得る。前記旋削は、切削工具を用いて前記研磨層を所定の厚さだけ削り取る方法により行われ得る。前記粗面化は、前記研磨層の表面をサンディングローラー(sanding roller)で加工する方法により行われ得る。
【0147】
[半導体素子の製造方法]
一実現例による半導体素子の製造方法は、前記実現例による研磨パッドを用いて、半導体基板の表面を研磨する段階を含む。
【0148】
具体的に、前記半導体素子の製造方法は、前記実現例による研磨パッドを設けるする段階と、前記研磨層の研磨面と半導体基板の表面とを、当接するよう互いに相対回転させて、前記半導体基板の表面を研磨する段階とを含み得る。
【0149】
図1は、一実現例による研磨パッドを用いた半導体素子製造工程を示す図である。
図1を参照すると、前記一実現例による研磨パッド100をプラテン200上に装着した後、研磨対象である半導体基板600を前記研磨パッド100上に配置する。この際、前記半導体基板600の被研磨面は、前記研磨パッド100の研磨面に直接接触する。研磨のために、前記研磨パッド上にノズルを介して研磨スラリー400が噴射され得る。前記ノズルを介して供給される研磨スラリー400の流量は、約10cm
3/分~約1000cm
3/分の範囲内で目的に応じて選択され、例えば、約50cm
3/分~約500cm
3/分であり得るが、これに限定されるものではない。
【0150】
その後、前記半導体基板600と前記研磨パッド100とは、互いに相対回転して前記半導体基板600の表面が研磨され得る。この際、前記半導体基板600の回転方向と前記研磨パッド100の回転方向とは同じ方向でもよく、反対方向でもよい。前記半導体基板600と前記研磨パッド100との回転速度は、それぞれ約10rpm~約500rpmの範囲で目的に応じて選択され、例えば、約30rpm~約200rpmであり得るが、これに限定されるものではない。
【0151】
前記半導体基板600は、研磨ヘッド510に装着された状態で前記研磨パッド100の研磨面に所定の荷重で加圧して当接させた後、その表面が研磨され得る。前記研磨ヘッド510によって前記半導体基板600の表面に前記研磨パッド100の研磨面に加わる荷重は、約1gf/cm2~約1000gf/cm2の範囲で目的に応じて選択され、例えば、約10gf/cm2~約800gf/cm2であり得るが、これらに限定されるものではない。
【0152】
一実現例において、研磨対象である前記半導体基板600は、オキサイド膜、タングステン膜、またはこれらの複合膜を含み得る。具体的に、前記半導体基板600は、オキサイド膜を含むか、タングステン膜を含むか、またはオキサイド膜およびタングステン膜の複合膜を含み得る。前記オキサイド膜とタングステン膜との複合膜は、前記オキサイド膜の一面上に前記タングステン膜が積層された多層膜でもよく、一層内にオキサイド領域とタングステン領域とが混合された単層膜でも良い。前記研磨対象がこのような膜質特性を有すると当時に、前記研磨パッドが前記実現例による特性を有することにより、前記半導体素子の製造方法によって製造された半導体素子は、欠陥が最小化し得る。
【0153】
一実現例において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨対象を研磨する段階において、前記オキサイド膜研磨用スラリーおよび前記タングステン膜研磨用スラリーのいずれか1つを供給する段階、または、前記オキサイド膜研磨用スラリーと前記タングステン膜研磨用スラリーとを順次研磨面に供給する段階をさらに含み得る。
【0154】
例えば、前記研磨対象の半導体基板がオキサイド膜を含む場合、前記半導体素子の製造方法は、前記オキサイド膜研磨用スラリーを供給する段階を含み得る。前記半導体基板がタングステン膜を含む場合、前記半導体素子の製造方法は、前記タングステン膜研磨用スラリーを供給する段階を含み得る。前記半導体基板がオキサイド膜とタングステン膜との複合膜を含む場合、前記半導体素子の製造方法は、前記オキサイド膜研磨用スラリーと前記タングステン膜研磨用スラリーとを順次研磨面に供給する段階を含み得る。この際、工程に応じて前記オキサイド膜研磨用スラリーを先に供給した後、前記タングステン膜研磨用スラリーを後で供給してもよく、前記タングステン膜研磨用スラリーを先に供給した後、前記オキサイド膜研磨用スラリーを後に供給してもよい。
【0155】
一実現例において、前記半導体素子の製造方法は、前記研磨パッド100の研磨面を研磨に適した状態に維持するために、前記半導体基板600の研磨と同時にコンディショナー300により前記研磨パッド100の研磨面を加工する段階をさらに含み得る。
【0156】
前記一実現例による研磨パッドは、その研磨層の塩素含有量が特定範囲内に調整されることにより、研磨パッドの諸物性と性能とを優れた状態で保ちながらも、デブリの大きさを縮小して、CMP工程時の欠陥およびスクラッチ発生を最小化し得るので、前記研磨パッドを用いて優れた品質の半導体素子を効率的に製造し得る。
【0157】
(実施例)
以下、実施例が記術されるが、実現可能な範囲がこれらに限定されるものではない。
【0158】
(実施例および比較例:研磨パッドの製造)
段階(1)プレポリマーの調製
トルエンジイソシアネート(TDI)、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート(H12MDI)、ポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)およびジエチレングリコール(DEG)を4口フラスコに投入し、80℃にて3時間反応させ、ウレタン系プレポリマーを調製した。プレポリマーのNCO%を測定して下記表1に示す。
【0159】
段階(2)研磨パッドの製造
プレポリマー、硬化剤、不活性ガス、発泡剤などの原料をそれぞれ供給するためのタンクおよび投入ラインが備えられているキャスティング装置を用意した。前記で調製されたウレタン系プレポリマー、発泡剤、硬化剤、不活性ガス(N2)、およびシリコーン系界面活性剤(Evonik社)を各々のタンクに充填した。各投入ラインを介して、原料をミキシングヘッドに一定の速度で投入しながら撹拌した。前記発泡剤および硬化剤は、下記表1に記載のものを使用しており、プレポリマーと硬化剤は1:1の当量比および10kg/分の合計量で投入した。
【0160】
モールド(1000mm×1000mm×3mm)を用意して80℃にて予熱し、前記で撹拌した原料をモールドに吐出し反応させて、固相ケーキ状の成形体を得た。その後、前記成形体の上端および下端を切削して、上部パッド用研磨層を得た。
【0161】
その後、研磨層に対して表面ミリングおよび溝形成工程を経て、ホットメルト接着剤により下部パッド用支持層と貼り合わせて研磨パッドを製造した。
【0162】
前記支持層の下部には、CMP装置の定盤に付着できるように両面テープ(442JS、3M社)を貼り付けた。
【0163】
実施例および比較例で使用した硬化剤および発泡剤は以下の通りである。
- DMTDA:3,5-ジメチルチオ-2,6-ジアミノトルエン、Covestro社
- MOCA:4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)、イシハラ社
- F-65DE:アクリロニトリル/メチルメタクリレート/メタクリロニトリル共重合体、拡張セルタイプ、マツモト社
- F-80DE:アクリロニトリル/メチルメタクリレート/メタクリロニトリル共重合体、拡張セルタイプ、マツモト社
- 051DET40d25:アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体、拡張セルタイプ、Nouryon社
- 051DET40d42:アクリロニトリル/メタクリロニトリル共重合体、拡張セルタイプ、Nouryon社
- 461DET40d25:アクリロニトリル/ジクロロエタン、拡張セルタイプ、Nouryon社
【0164】
前記実施例および比較例の構成を下記表1にまとめた。
【0165】
【0166】
(試験例1)
前記で製造された研磨層、支持層、およびこれらが積層された研磨パッドについて以下のように試験を行った。
【0167】
(1)硬度
サンプルを5cm×5cm(厚さ:2mm)に裁断し、常温、30℃、50℃、70℃にてそれぞれ12時間保管後、硬度計を用いてショアD硬度およびアスカーC硬度を測定した。
【0168】
(2)比重
サンプルを2cm×5cm(厚さ:2mm)に裁断し、温度25℃にて12時間保管後、比重計を用いて比重を測定した。
【0169】
(3)引張強度
サンプルを4cm×1cm(厚さ:2mm)に裁断し、万能試験計(UTM)を用いて50mm/分の速度において、研磨パッドの破断直前の最高強度値を測定した。
【0170】
(4)伸び率
サンプルを4cm×1cm(厚さ:2mm)に裁断し、万能試験計(UTM)を用いて50mm/分の速度において研磨パッドの破断直前の最大変形量を測定した後、最初の長さに対する最大変形量の比を百分率(%)で示した。
その結果を下記表にまとめた。
【0171】
【0172】
前記表から分かるように、実施例1~7の研磨パッドは、硬度、比重、引張強度、伸び率の面から、比較例1および2の研磨パッドと比較して同等以上のレベルであった。
【0173】
(試験例2)
前記製造された各研磨パッドについて、以下のように試験を行った。
【0174】
(1)研磨率(Removal rate)
CMP研磨装置に、CVD工程によってシリコンオキサイドが蒸着された直径300mmのシリコンウェーハを設置した後、シリコンウェーハのシリコンオキサイド膜を下にして前記多孔質ポリウレタン研磨パッドを貼り付けた定盤上にセットした。
【0175】
その後、研磨荷重4.0psi、研磨パッド回転速度150rpmの条件で、研磨パッド上にか焼セリアスラリーを250mL/分の速度で投入しながら定盤を150rpmで60秒間回転させて、シリコンオキサイド膜を研磨した。
【0176】
研磨後、シリコンウェーハをキャリアから取り外し、スピンドライヤーに装着して脱イオン水(DIW)で洗浄した後、窒素により15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウェーハを、分光干渉式ウェーハ厚み計(モデル名:SI-F80R、キーエンス社)を用いて研磨前後の膜厚変化を測定した。
【0177】
その後、下記数学式1を用いて研磨率を計算した。
[数1]
研磨率(Å/分)=シリコンウェーハの研磨厚さ(Å)/研磨時間(分)
【0178】
(2)欠陥(Defects)
CMP研磨装置を用いて、前記研磨率試験と同様に研磨を行った。研磨後、シリコンウェーハを洗浄器に移動させ、1%HF、脱イオン水(DIW)、1%H2NO3、脱イオン水(DIW)でそれぞれ10秒ずつ洗浄した。その後、スピンドライヤーに移動させ脱イオン水(DIW)で洗浄した後、窒素により15秒間乾燥した。乾燥したシリコンウェーハを欠陥測定装置(モデル名:XP+、KLA-TENCOR社)を用いて、研磨前後の欠陥変化を測定した。具体的に、ウェーハ上のスクラッチ、チャタマーク(chatter mark)、ピット(pit)、残留物(residue)の総数を測定した。
【0179】
(3)塩素含有量
研磨パッドの研磨層から直径3cm×高さ0.3cmサイズで円形のサンプルを用意した。燃焼イオンクロマトグラフィー(C-IC)によってポリマー中の特定物質を測定する国際標準規格であるIEC62321-3-2により、サンプル中の塩素含有量を測定した(
図3参照)。
【0180】
(4)デブリサイズ
CMP研磨装置のプラテン上に多孔質ポリウレタン研磨パッドを貼り付けてセットした。その後、キャリアの作動を除いて、コンディショナーと脱イオン水(DIW)のみを用いて、研磨層のデブリを採取した。プラテン速度93rpm、コンディショナー荷重9lb、回転速度64rpm、掃引速度19回/分の条件に設定し、脱イオン水を300cc/分で注入して、研磨層のコンディションニングを行った。コンディショニング中に脱イオン水とともに出てくる研磨層のデブリを収集した。粒径分析器(Mastersize 3000、Malvern社)と中容量自動湿式分散機(Hydro MV、Malvern社)を用いて、収集したデブリのD50粒径を得た。分析器の設定は、分析物質屈折率としてポリウレタン1.55、分散剤屈折率として脱イオン水1.33、撹拌速度2500rpmとした。
【0181】
(5)ゼータ電位
CMP研磨装置のプラテン上に多孔質ポリウレタン研磨パッドを貼り付けてセットした。その後、キャリアの作動を除いて、コンディショナーと脱イオン水(DIW)のみを用いて、研磨層のデブリを採取した。
【0182】
プラテン速度93rpm、コンディショナー荷重9lb、回転速度64rpm、掃引速度19回/分の条件に設定し、脱イオン水を300cc/分で注入し、ディスクはCI45として、研磨層のコンディショニングを行った。コンディショニング中に発生する研磨層のデブリを、脱イオン水と混合した溶液状態で収集し、24時間保管した後、溶液の上部表面から10mm以内に位置した上澄み液を取ってサンプルとした。得られたサンプルは概ねpH6.5レベルであり、硝酸と水酸化カリウムを用いてpHを5.5に調整した。この際、使用された硝酸水溶液濃度は35%、水酸化カリウム水溶液濃度は10%であった。また、液相サンプル中のデブリ濃度は、約0.01重量%と確認された。前記濃度は、液相サンプルをアルミニウム皿に5gほど入れた後、加熱式水分計(MX-50、AND社)を用いて測定した。
【0183】
ゼータサイザー(zetasizer、Nano-ZS90、Malvern社)を用いて、サンプルのゼータ電位を測定した。具体的に、ゼータサイザーのキュベットに1mLのサンプルを投入後、3回繰り返し測定してゼータ電位を得た。この時、機器設定値は、ポリウレタン値を基準にRI1.550、Absorption0.010に設定した。
以上の試験結果を下記表にまとめた。
【0184】
【0185】
前記表から分かるように、実施例1~7の研磨パッドは、塩素(Cl)含有量が好ましい範囲内で測定されており、研磨率のような性能が比較例1および2と比較して同等以上のレベルであった。特に、実施例1~7の研磨パッドのデブリサイズが比較例1および2と比較して小さく測定されており、欠陥/スクラッチ数が著しく少ないものと測定された。さらに、実施例1~7の研磨パッドのゼータ電位も好ましい範囲内で測定された。
【符号の説明】
【0186】
100:研磨パッド
110:研磨層(サンプル)
130:固相発泡剤
131:外皮
132:膨張誘発成分
150:デブリ
200:プラテン
300:コンディショナー
400:研磨スラリー
510:研磨ヘッド
520:キャリア
600:半導体基板(ウェーハ)
650:欠陥
700:研磨パッドの塩素含有量を測定するための装置
710:注入ガス(Ar/O2)
730:燃焼チューブ
750:電気炉
770:吸着チューブ
790 :イオンクロマトグラフィーに移送するバルブ