(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152791
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体の製造方法及び接着剤フィルム収容セット
(51)【国際特許分類】
C09J 7/35 20180101AFI20241018BHJP
C09J 201/00 20060101ALI20241018BHJP
C09J 9/02 20060101ALI20241018BHJP
H05K 3/36 20060101ALI20241018BHJP
H01B 1/22 20060101ALI20241018BHJP
H01R 11/01 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
C09J7/35
C09J201/00
C09J9/02
H05K3/36 A
H01B1/22 D
H01R11/01 501C
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024130845
(22)【出願日】2024-08-07
(62)【分割の表示】P 2021505115の分割
【原出願日】2020-03-11
(31)【優先権主張番号】P 2019046548
(32)【優先日】2019-03-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 彰浩
(72)【発明者】
【氏名】大當 友美子
(72)【発明者】
【氏名】工藤 直
(57)【要約】
【課題】フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、及びそれを用いる回路接続構造体の製造方法、並びに接着剤フィルム収容セットを提供すること。
【解決手段】
回路接続用接着剤フィルム11は、剥離可能な支持フィルム12と、該支持フィルム上に設けられた導電粒子Pを含有する第1の接着剤層13と、該第1の接着剤層13上に積層された、第2の接着剤層14と、を備え、第1の接着剤層の厚みが、導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
剥離可能な支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電粒子を含有する第1の接着剤層と、該第1の接着剤層上に積層された、第2の接着剤層と、を備え、
前記第1の接着剤層の厚みが、前記導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍である、回路接続用接着剤フィルム。
【請求項2】
前記第1の接着剤層は第1の硬化性組成物の硬化物からなり、
前記第1の硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物を含有する、請求項1に記載の回路接続用接着剤フィルム。
【請求項3】
前記第2の接着剤層は第2の硬化性組成物からなり、
前記第2の硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物を含有する、請求項1又は2に記載の回路接続用接着剤フィルム。
【請求項4】
第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、請求項1~3のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムの前記第1の接着剤層及び前記第2の接着剤層を介在させ、前記第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、前記第1の電極及び前記第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える、回路接続構造体の製造方法。
【請求項5】
前記第1の回路部材がフレキシブル基板を有し、
前記回路接続用接着剤フィルムを、前記第2の接着剤層が前記第1の回路部材と接するように前記第1の回路部材に貼り付ける工程を備える、請求項4に記載の回路接続構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項1~3のいずれか一項に記載の回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルムを収容する収容部材と、を備え、
前記収容部材は、前記収容部材の内部を外部から視認可能とする視認部を有し、
前記視認部における波長365nmの光の透過率は10%以下である、接着剤フィルム収容セット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路接続用接着剤フィルム、回路接続構造体の製造方法及び接着剤フィルム収容セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路接続を行うために各種の接着材料が使用されている。例えば、液晶ディスプレイとテープキャリアパッケージ(TCP)との接続、フレキシブルプリント配線基板(FPC)とTCPとの接続、又はFPCとプリント配線板との接続のための接着材料として、接着剤中に導電粒子が分散された異方導電性を有する回路接続用接着剤フィルムが使用されている。具体的には、回路接続用接着剤フィルムにより形成される回路接続部によって、回路部材同士が接着されると共に、回路部材上の電極同士が回路接続部中の導電粒子を介して電気的に接続されることで、回路接続構造体が得られる。
【0003】
回路接続用接着剤フィルムは、例えば、熱硬化性樹脂等を含有する接着剤成分と、必要により配合される導電性粒子とを含有し、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム等の基材上に、接着剤層としてフィルム状に形成される。さらに、接着剤フィルムは、フィルム状の原反を用途に適した幅のテープ状に裁断し、このテープを巻芯に巻き付けて巻重体にしたリールの状態で使用される場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、接着剤フィルムを用いてドライバーIC等をLCDモジュールに接続する場合、従来は先にガラスパネルに対して接着剤フィルムを転写していたが、近年、LCDの製造コスト削減を目的として接着剤フィルムの使用量を低減させる動きや、狭額縁なパネルデザインが求められているなどの事情から、COF又はFPC等のフレキシブル基板に先に接着剤フィルムを貼り付ける製造方式が採用されるようになっている。
【0006】
しかしながら、従来の接着剤フィルムを用いた場合、回路電極間に効率的に導電粒子を捕捉させることが難しく、導通信頼性が悪化したり、回路間に捕捉されなかった導電粒子が集まることで短絡のリスクが高くなる問題があった。
【0007】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、及びそれを用いる回路接続構造体の製造方法、並びに接着剤フィルム収容セットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面の回路接続用接着剤フィルムは、剥離可能な支持フィルムと、該支持フィルム上に設けられた導電粒子を含有する第1の接着剤層と、該第1の接着剤層上に積層された、第2の接着剤層と、を備え、第1の接着剤層の厚みが、導電粒子の平均粒径の0.1~1.0倍である。
【0009】
この回路接続用接着剤フィルムによれば、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる。第1の接着剤層において、導電粒子の90%以上が他の導電粒子と離間した状態となっていることが好ましい。
【0010】
第1の接着剤層は第1の硬化性組成物の硬化物からなっていてよく、第1の硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物を含有してよい。
【0011】
第2の接着剤層は第2の硬化性組成物からなっていてよく、第2の硬化性組成物は、ラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物を含有してよい。
【0012】
本発明の一側面の回路接続構造体の製造方法は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に、上述した回路接続用接着剤フィルムの第1の接着剤層及び第2の接着剤層を介在させ、第1の回路部材及び第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続する工程を備える。
【0013】
この方法によれば、回路接続用接着剤フィルムをフレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる。
【0014】
すなわち、本発明に係る回路接続構造体の製造方法は、第1の回路部材がフレキシブル基板を有し、回路接続用接着剤フィルムを、第2の接着剤層が第1の回路部材と接するように第1の回路部材に貼り付ける工程を備えていてもよい。
【0015】
本発明の一側面の接着剤フィルム収容セットは、上述した回路接続用接着剤フィルムと、該接着剤フィルムを収容する収容部材と、を備え、収容部材は、収容部材の内部を外部から視認可能とする視認部を有し、視認部における波長365nmの光の透過率が10%以下である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フレキシブル基板に先に貼り付けて回路接続を行う場合であっても、対向する回路部材間の接続信頼性に優れた回路接続構造体を得ることができる回路接続用接着剤フィルム、及びそれを用いる回路接続構造体の製造方法、並びに接着剤フィルム収容セットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明に係る回路接続用接着剤フィルムの一実施形態を示す模式的断面図である。
【
図2】回路接続構造体の製造方法の工程を示す模式的断面図である。
【
図3】
図2の工程を経て得られる積層体を示す模式的断面図である。
【
図4】
図2の後続の工程を示す模式的断面図である。
【
図5】
図4の工程を経て得られる回路接続構造体を示す模式的断面図である。
【
図6】
図1に示した回路接続用接着剤フィルムの製造工程を示す概略図である。
【
図8】磁場印加工程及び乾燥工程を経た後の回路接続用接着剤フィルムの状態を示す模式的断面図である。
【
図9】
図7に後続する積層工程を示す模式的断面図である。
【
図10】本発明に係る接着剤フィルム収容セットの一実施形態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、場合により図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本明細書中、個別に記載した上限値及び下限値は任意に組み合わせ可能である。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート、及び、それに対応するメタクリレートの少なくとも一方を意味する。「(メタ)アクリロイル」等の他の類似の表現においても同様である。
【0019】
<回路接続用接着剤フィルム>
図1は、一実施形態の回路接続用接着剤フィルムを示す模式断面図である。
図1に示すように、回路接続用接着剤フィルム11(以下、単に「接着剤フィルム11」ともいう。)は、剥離可能な支持フィルム12と、支持フィルム12上に設けられた第1の接着剤層13と、第1の接着剤層13上に積層された第2の接着剤層14と、を備える。第1の接着剤層13は導電粒子Pを含有する。
【0020】
接着剤フィルム11では、導電粒子Pが第1の接着剤層13中に分散されている。そのため、接着剤フィルム11は、異方導電性を有する異方導電性接着剤フィルムである。接着剤フィルム11は、第1の電極を有する第1の回路部材と、第2の電極を有する第2の回路部材との間に第1の接着剤層及び第2の接着剤層を介在させ、第1の回路部材及び前記第2の回路部材を熱圧着して、第1の電極及び第2の電極を互いに電気的に接続するために用いられる。
【0021】
また、回路接続用接着剤フィルム11は、接続する回路部材がフレキシブル基板を有する場合には、回路接続用接着剤フィルムを、第2の接着剤層が第1の回路部材と接するように第1の回路部材に貼り付けることができる。
【0022】
本実施形態では、第1の接着剤層13の厚みが、導電粒子Pの平均粒径の0.1~1.0倍であり、より好ましくは0.1~0.7倍であってもよい。また、第1の接着剤層13において、導電粒子Pの90%以上が他の導電粒子と離間した状態となっているものであってもよい。
【0023】
また本実施形態では、第2の接着剤層14の最低溶融粘度Yに対する、第2の接着剤層14が最低溶融粘度Yを示す温度Tyにおける第1の接着剤層13の溶融粘度Xの比(X/Y)が10以上であってもよい。
【0024】
溶融粘度の比(X/Y)は、回路部材との密着性を向上させる観点から、好ましくは10以上であり、より好ましくは、20以上であり、更に好ましくは、50以上であり、特に好ましくは100以上である。溶融粘度の比(X/Y)は、回路部材への濡れ性の観点から、10000以下であってよく、5000以下であってよく、1000以下であってよい。これらの観点から、溶融粘度の比(X/Y)は、10~10000であってよく、20~5000であってよく、50~5000であってよく、100~1000であってよい。溶融粘度X及び最低溶融粘度Yは、まず、第2の接着剤層の溶融粘度測定により、第2の接着剤層の最低溶融粘度Y(及び第2の接着剤層が最低溶融粘度Yを示す温度Ty)を求めた後、第1の接着剤層の溶融粘度測定により、温度Tyにおける第1の接着剤層の溶融粘度Xを求めることにより確認することができる。なお、溶融粘度の測定は、接着剤フィルムを得た後に行うこともできる。
【0025】
(支持フィルム)
支持フィルム12は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレン等によって形成されている。支持フィルム12には、任意の充填剤を含有させてもよい。また、支持フィルム12の表面には、離型処理やプラズマ処理等が施されていてもよい。支持フィルム12は、回路部材に第1の接着剤層及び第2の接着剤層を転写した後に剥離することができる。
【0026】
(第1の接着剤層)
第1の接着剤層は、例えば、第1の硬化性組成物の硬化物からなる。第1の硬化性組成物は光硬化性組成物であってよく、熱硬化性組成物であってよく、光硬化性組成物及び熱硬化性組成物の混合物であってもよい。第1の硬化性組成物は、例えば、(A)重合性化合物(以下、「(A)成分」ともいう。)、(B)重合開始剤(以下、「(B)成分」ともいう。)、及び(C)導電粒子(以下、「(C)成分」ともいう。)を含有する。第1の硬化性組成物が光硬化性組成物である場合、第1の硬化性組成物は(B)成分として光重合開始剤を含有し、第1の硬化性組成物が熱硬化性組成物である場合、第1の硬化性組成物は(B)成分として熱重合開始剤を含有する。このような第1の接着剤層は、例えば、第1の硬化性組成物からなる層に対して光照射又は加熱を行うことで(A)成分を重合させ、第1の硬化性組成物を硬化させることで得られる。つまり、第1の接着剤層は、導電粒子と、第1の硬化性組成物を光硬化させてなる接着剤成分と、からなっていてよい。第1の接着剤層は、第1の硬化性組成物を完全に硬化させた硬化物であってもよく、第1の硬化性組成物を部分的に硬化させた硬化物であってもよい。すなわち、第1の硬化性組成物が(A)成分及び(B)成分を含有する場合、接着剤成分は、未反応の(A)成分及び(B)成分を含有していてもよく、含有していなくてもよい。なお、第1の接着剤層は硬化性組成物の硬化物以外の樹脂組成物からなっていてもよい。例えば、第1の接着剤層は、PKHC等のフェノキシ樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリルゴムなどの樹脂成分を含む樹脂組成物からなっていてよい。このような樹脂成分を用いることで、第2の接着剤層が最低溶融粘度を示す温度(例えば100℃)における溶融粘度を100000~10000000Pa・s程度に調整することができ、溶融粘度の比(X/Y)を10以上とすることができる。
【0027】
[(A)成分:重合性化合物]
(A)成分は、例えば、光(例えば紫外光)の照射又は加熱によって重合開始剤(光重合開始剤又は熱重合開始剤)が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。(A)成分は、モノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(A)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0028】
(A)成分は、少なくとも一つ以上の重合性基を有する。重合性基は、例えば、重合性不飽和二重結合(エチレン性不飽和結合)を含む基である。重合性基は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、高温高湿環境下において回路部材と回路接続部との間での剥離が生じにくくなる観点、及び、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、ラジカルにより反応するラジカル重合性基であることが好ましい。すなわち、(A)成分は、ラジカル重合性化合物であることが好ましい。ラジカル重合性基としては、例えば、ビニル基、アリル基、スチリル基、アルケニル基、アルケニレン基、(メタ)アクリロイル基、マレイミド基等が挙げられる。(A)成分が有する重合性基の数は、重合後、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、硬化後の樹脂の物性を制御しやすい観点から、2以上であってよく、重合時の硬化収縮を抑える観点から、10以下であってよい。また、架橋密度と硬化収縮のバランスをとるために、重合性基の数が上記範囲内の重合性化合物を使用した上で、上記範囲外の重合性化合物を追加で使用してもよい。
【0029】
(A)成分の具体例としては、(メタ)アクリレート化合物、マレイミド化合物、ビニルエーテル化合物、アリル化合物、スチレン誘導体、アクリルアミド誘導体、ナジイミド誘導体、天然ゴム、イソプレンゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム、ブタジエンゴム、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリル-ブタジエンゴム、カルボキシル化ニトリルゴム等が挙げられる。
【0030】
(メタ)アクリレート化合物としては、エポキシ(メタ)アクリレート、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリブタジエン(メタ)アクリレート、シリコーンアクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-シアノエチル(メタ)アクリレート、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-ヘキシル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n-ラウリル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルフォスフェート、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレート、トリシクロデカニルアクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジアクリレート、2-ヒドロキシ-1,3-ジアクリロキシプロパン、2,2-ビス〔4-(アクリロキシメトキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス[4-(アクリロキシポリエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルフォスフェート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルアシッドフォスフェート等が挙げられる。
【0031】
マレイミド化合物としては、1-メチル-2,4-ビスマレイミドベンゼン、N,N’-m-フェニレンビスマレイミド、N,N’-p-フェニレンビスマレイミド、N,N’-m-トルイレンビスマレイミド、N,N’-4,4-ビフェニレンビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチル-ビフェニレン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジメチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-(3,3’-ジエチルジフェニルメタン)ビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルメタンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルプロパンビスマレイミド、N,N’-4,4-ジフェニルエーテルビスマレイミド、N,N’-3,3-ジフェニルスルホンビスマレイミド、2,2-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、2,2-ビス(3-s-ブチル-4-8(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)プロパン、1,1-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)デカン、4,4’-シクロヘキシリデン-ビス(1-(4マレイミドフェノキシ)-2-シクロヘキシルベンゼン、2,2’-ビス(4-(4-マレイミドフェノキシ)フェニル)ヘキサフルオロプロパン等が挙げられる。
【0032】
ビニルエーテル化合物としては、ジエチレングリコールジビニルエーテル、ジプロピレングリコールジビニルエーテル、シクロヘキサンジメタノールジビニルエーテル、トリメチロールプロパントリビニルエーテル等が挙げられる。
【0033】
アリル化合物としては、1,3-ジアリルフタレート、1,2-ジアリルフタレート、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。
【0034】
(A)成分は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、種々の構造の化合物が選択でき、入手しやすい観点から、(メタ)アクリレート化合物であることが好ましい。(A)成分は、更に優れた上記接着特性が得られる観点から、(ポリ)ウレタン(メタ)アクリレート化合物(ウレタン(メタ)アクリレート化合物又はポリウレタン(メタ)アクリレート化合物)であってよい。また、(A)成分は、更に優れた上記接着特性が得られる観点から、ジシクロペンタジエン骨格等の高Tg骨格を有する(メタ)アクリレート化合物であってよい。
【0035】
(A)成分は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、架橋密度と硬化収縮とのバランスをとり、接続抵抗をより低減させ、接続信頼性を向上させる観点から、アクリル樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂等の熱可塑性樹脂の末端又は側鎖にビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基等の重合性基を導入した化合物(例えば、ポリウレタン(メタ)アクリレート)であってよい。この場合、(A)成分の重量平均分子量は、架橋密度と硬化収縮のバランスに優れる観点から、3000以上であってよく、5000以上であってよく、1万以上であってよい。また、(A)成分の重量平均分子量は、他成分との相溶性に優れる観点から、100万以下であってよく、50万以下であってよく、25万以下であってよい。なお、重量平均分子量は、実施例に記載の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した値をいう。
【0036】
(A)成分は、(メタ)アクリレート化合物として、下記一般式(1)で表されるリン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物を含むことが好ましい。この場合、無機物(金属等)の表面に対する接着強度が向上するため、例えば、電極同士(例えば回路電極同士)の接着に好適である。
【化1】
[式中、nは1~3の整数を示し、Rは、水素原子又はメチル基を示す。]
【0037】
上記リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物は、例えば、無水リン酸と2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートとを反応させることにより得られる。リン酸エステル構造を有するラジカル重合性化合物の具体例としては、モノ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート、ジ(2-(メタ)アクリロイルオキシエチル)アシッドフォスフェート等が挙げられる。
【0038】
(A)成分の含有量は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、所望の硬化物物性が得られやすい観点から、第1の硬化性組成物の全質量基準で、5質量%以上であってよく、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよい。(A)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑える観点から、第1の硬化性組成物の全質量基準で、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよい。
【0039】
[(B)成分:重合開始剤]
(B)成分は、150~750nmの範囲内の波長を含む光、好ましくは254~405nmの範囲内の波長を含む光、更に好ましくは365nmの波長を含む光(例えば紫外光)の照射によってラジカル、カチオン又はアニオンを発生する光重合開始剤(光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤又は光アニオン重合開始剤)であってよく、熱によってラジカル、カチオン又はアニオンを発生する熱重合開始剤(熱ラジカル重合開始剤、熱カチオン重合開始剤又は熱アニオン重合開始剤)であってよい。(B)成分は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点、及び、低温短時間での硬化がより容易となる観点から、ラジカル重合開始剤(光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤)であることが好ましい。(B)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。例えば、第1の硬化性組成物が(B)成分として光重合開始剤及び熱重合開始剤の両方を含有していてもよい。
【0040】
光ラジカル重合開始剤は、光により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、光ラジカル重合開始剤は、外部からの光エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。光ラジカル重合開始剤としては、オキシムエステル構造、ビスイミダゾール構造、アクリジン構造、α-アミノアルキルフェノン構造、アミノベンゾフェノン構造、N-フェニルグリシン構造、アシルフォスフィンオキサイド構造、ベンジルジメチルケタール構造、α-ヒドロキシアルキルフェノン構造等の構造を有する化合物が挙げられる。光ラジカル重合開始剤は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、接続抵抗の低減効果により優れる観点から、オキシムエステル構造、α-アミノアルキルフェノン構造及びアシルフォスフィンオキサイド構造からなる群より選択される少なくとも一種の構造を有することが好ましい。
【0041】
オキシムエステル構造を有する化合物の具体例としては、1-フェニル-1,2-ブタンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-メトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-o-ベンゾイルオキシム、1,3-ジフェニルプロパントリオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニル-3-エトキシプロパントリオン-2-(o-ベンゾイル)オキシム、1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(o-ベンゾイルオキシム)]、エタノン,1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-,1-(o-アセチルオキシム)等が挙げられる。
【0042】
α-アミノアルキルフェノン構造を有する化合物の具体例としては、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-モルフォリノフェニル)-ブタノン-1等が挙げられる。
【0043】
アシルフォスフィンオキサイド構造を有する化合物の具体例としては、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6,-トリメチルベンゾイル)-フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0044】
熱ラジカル重合開始剤は、熱により分解して遊離ラジカルを発生する。つまり、熱ラジカル重合開始剤は、外部からの熱エネルギーの付与によりラジカルを発生する化合物である。熱ラジカル重合開始剤としては、従来から知られている有機過酸化物及びアゾ化合物から任意に選択することができる。熱ラジカル重合開始剤としては、安定性、反応性及び相溶性の観点から、1分間半減期温度が90~175℃であり、且つ、重量平均分子量が180~1000の有機過酸化物が好ましく用いられる。1分間半減期温度がこの範囲にあることで、貯蔵安定性に更に優れ、ラジカル重合性も十分に高く、短時間での硬化が可能となる。
【0045】
有機過酸化物の具体例としては、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエート、ジ(4-t-ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ(2-エチルヘキシル)パーオキシジカーボネート、クミルパーオキシネオデカノエート、ジラウロイルパーオキサイド、1-シクロヘキシル-1-メチルエチルパーオキシネオデカノエート、t-ヘキシルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシネオデカノエート、t-ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3-テトラメチルブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(2-エチルヘキサノイルパーオキシ)ヘキサン、t-ヘキシルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシネオヘプタノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ-t-ブチルパーオキシヘキサヒドロテレフタレート、t-アミルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、3-ヒドロキシ-1,1-ジメチルブチルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシネオデカノエート、t-アミルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート、ジ(3-メチルベンゾイル)パーオキサイド、ジベンゾイルパーオキサイド、ジ(4-メチルベンゾイル)パーオキサイド、t-ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t-ブチルパーオキシマレイン酸、t-ブチルパーオキシ-3,5,5-トリメチルヘキサノエート、t-ブチルパーオキシラウレート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(3-メチルベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート、t-ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5-ジメチル-2,5-ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t-ブチルパーオキシベンゾエート、ジブチルパーオキシトリメチルアジペート、t-アミルパーオキシノルマルオクトエート、t-アミルパーオキシイソノナノエート、t-アミルパーオキシベンゾエート等が挙げられる。
【0046】
アゾ化合物の具体例としては、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビス(1-アセトキシ-1-フェニルエタン)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、4,4’-アゾビス(4-シアノバレリン酸)、1,1’-アゾビス(1-シクロヘキサンカルボニトリル)等が挙げられる。
【0047】
(B)成分の含有量は、速硬化性に優れる観点、及び、接続抵抗の低減効果に優れる観点から、第1の硬化性組成物の全質量基準で、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよい。(B)成分の含有量は、貯蔵安定性が向上する観点、及び、接続抵抗の低減効果に優れる観点から、第1の硬化性組成物の全質量基準で、15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。
【0048】
第1の硬化性組成物は、容易に所望の粘度が得られる観点から、(B)成分として、光重合開始剤及び熱重合開始剤のうち少なくとも一方を含有することが好ましく、回路接続用接着剤フィルムの製造が容易となる観点から、光重合開始剤を含有することがより好ましい。
【0049】
[(C)成分:導電粒子]
(C)成分は、導電性を有する粒子であれば特に制限されず、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属で構成された金属粒子、導電性カーボンで構成された導電性カーボン粒子などであってよい。(C)成分は、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック(ポリスチレン等)などを含む核と、上記金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子であってもよい。これらの中でも、熱溶融性の金属で形成された金属粒子、又はプラスチックを含む核と、金属又は導電性カーボンを含み、核を被覆する被覆層とを備える被覆導電粒子が好ましく用いられる。この場合、第1の硬化性組成物の硬化物を加熱又は加圧により変形させることが容易であるため、電極同士を電気的に接続する際に、電極と(C)成分との接触面積を増加させ、電極間の導電性をより向上させることができる。
【0050】
(C)成分は、上記の金属粒子、導電性カーボン粒子、又は被覆導電粒子と、樹脂等の絶縁材料を含み、該粒子の表面を被覆する絶縁層とを備える絶縁被覆導電粒子であってもよい。(C)成分が絶縁被覆導電粒子であると、(C)成分の含有量が多い場合であっても、粒子の表面が樹脂で被覆されているため、(C)成分同士の接触による短絡の発生を抑制でき、また、隣り合う電極回路間の絶縁性を向上させることもできる。(C)成分は、上述した各種導電粒子の1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いられる。
【0051】
(C)成分の最大粒径は、電極の最小間隔(隣り合う電極間の最短距離)よりも小さいことが必要である。(C)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(C)成分の最大粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた最も大きい値を(C)成分の最大粒径とする。なお、(C)成分が突起を有する場合等、(C)成分が球形ではない場合、(C)成分の粒径は、SEMの画像における導電粒子に外接する円の直径とする。
【0052】
(C)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、1.0μm以上であってよく、2.0μm以上であってよく、2.5μm以上であってよい。(C)成分の平均粒径は、分散性及び導電性に優れる観点から、50μm以下であってよく、30μm以下であってよく、20μm以下であってよい。本明細書では、任意の導電粒子300個(pcs)について、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により粒径の測定を行い、得られた粒径の平均値を平均粒径とする。
【0053】
第1の接着剤層において、(C)成分は均一に分散されていることが好ましい。第1の接着剤層における(C)成分の粒子密度は、安定した接続抵抗が得られる観点から、100pcs/mm2以上であってよく、1000pcs/mm2以上であってよく、2000pcs/mm2以上であってよい。第1の接着剤層における(C)成分の粒子密度は、隣り合う電極間の絶縁性を向上する観点から、100000pcs/mm2以下であってよく、50000pcs/mm2以下であってよく、10000pcs/mm2以下であってよい。
【0054】
(C)成分の含有量は、導電性をより向上させることができる観点から、第1の接着剤層中の全体積基準で、0.1体積%以上であってよく、1体積%以上であってよく、5体積%以上であってよい。(C)成分の含有量は、短絡を抑制しやすい観点から、第1の接着剤層中の全体積基準で、50体積%以下であってよく、30体積%以下であってよく、20体積%以下であってよい。なお、第1の硬化性組成物中の(C)成分の含有量(第1の硬化性組成物の全体積基準)は上記範囲と同じであってよい。
【0055】
[その他の成分]
第1の硬化性組成物は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤及び充填材が挙げられる。これらの成分は、第1の接着剤層に含有されていてもよい。
【0056】
熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステルウレタン樹脂、アクリルゴム等が挙げられる。第1の硬化性組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、第1の接着剤層を容易に形成することができる。また、第1の硬化性組成物が熱可塑性樹脂を含有する場合、第1の硬化性組成物の硬化時に発生する、第1の接着剤層の応力を緩和することができる。また、熱可塑性樹脂が水酸基等の官能基を有する場合、第1の接着剤層の接着性が向上しやすい。熱可塑性樹脂の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物の全質量基準で、5質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。
【0057】
カップリング剤としては、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、アミノ基、イミダゾール基、エポキシ基等の有機官能基を有するシランカップリング剤、テトラアルコキシシラン等のシラン化合物、テトラアルコキシチタネート誘導体、ポリジアルキルチタネート誘導体などが挙げられる。第1の硬化性組成物がカップリング剤を含有する場合、接着性を更に向上することができる。カップリング剤の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物の全質量基準で、0.1質量%以上であってよく、20質量%以下であってよい。
【0058】
充填材としては、例えば、非導電性のフィラー(例えば、非導電粒子)が挙げられる。第1の硬化性組成物が充填材を含有する場合、接続信頼性の向上が更に期待できる。充填材は、無機フィラー及び有機フィラーのいずれであってもよい。無機フィラーとしては、例えば、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、シリカ-アルミナ微粒子、チタニア微粒子、ジルコニア微粒子等の金属酸化物微粒子;窒化物微粒子などの無機微粒子が挙げられる。有機フィラーとしては、例えば、シリコーン微粒子、メタクリレート-ブタジエン-スチレン微粒子、アクリル-シリコーン微粒子、ポリアミド微粒子、ポリイミド微粒子等の有機微粒子が挙げられる。これらの微粒子は、均一な構造を有していてもよく、コア-シェル型構造を有していてもよい。充填材の最大径は、導電粒子の最小粒径未満であることが好ましい。充填材の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物の全体積を基準として、0.1体積%以上であってよく、50体積%以下であってよい。
【0059】
第1の硬化性組成物は、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等のその他の添加剤を含有していてもよい。これらの添加剤の含有量は、第1の硬化性組成物の全質量基準で、例えば0.1~10質量%であってよい。これらの添加剤は、第1の接着剤層に含有されていてもよい。
【0060】
第1の硬化性組成物は、(A)成分及び(B)成分に代えて、又は、(A)成分及び(B)成分に加えて、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。熱硬化性樹脂は、熱により硬化する樹脂であり、少なくとも一つ以上の熱硬化性基を有する。熱硬化性樹脂は、例えば、熱によって硬化剤と反応することにより架橋する化合物である。熱硬化性樹脂として一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
熱硬化性基は、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、例えば、エポキシ基、オキセタン基、イソシアネート基等であってよい。
【0062】
熱硬化性樹脂の具体例としては、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールA、F、AD等と、の反応生成物であるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンと、フェノールノボラック、クレゾールノボラック等との反応生成物であるエポキシノボラック樹脂、ナフタレン環を含んだ骨格を有するナフタレン系エポキシ樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエーテル等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物などのエポキシ樹脂が挙げられる。
【0063】
(A)成分及び(B)成分に代えて熱硬化性樹脂を用いる場合、第1の硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。(A)成分及び(B)成分に加えて熱硬化性樹脂を用いる場合、第1の硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、例えば、第1の硬化性組成物の全質量を基準として、30質量%以上であってよく、70質量%以下であってよい。
【0064】
第1の硬化性組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、第1の硬化性組成物は、上述した熱硬化性樹脂の硬化剤を含有していてもよい。熱硬化性樹脂の硬化剤としては、例えば、熱ラジカル発生剤、熱カチオン発生剤、熱アニオン発生剤等が挙げられる。硬化剤の含有量は、例えば、熱硬化性樹脂100質量部に対して、0.1質量部以上であってよく、20質量部以下であってよい。
【0065】
第1の接着剤層は、未反応の(A)成分、(B)成分等の第1の硬化性組成物由来の成分を含んでいてもよい。本実施形態の接着剤フィルムを従来の収容部材に収容して保管及び運搬を行った場合、第1の接着剤層に未反応の(B)成分が残留することにより、保管中及び運搬中において、第2の接着剤層における第2の硬化性組成物の一部が硬化し、高温高湿環境下において回路部材と回路接続部との間での剥離が生じやすくなる、接着剤フィルムの接続抵抗の低減効果が減少する等の不具合が生じると推察される。そのため、上記不具合の発生を抑制できる観点から、第1の接着剤層における(B)成分の含有量は、第1の接着剤層の全質量を基準として、15質量%以下であってよく、10質量%以下であってよく、5質量%以下であってよい。第1の接着剤層における(B)成分の含有量は、第1の接着剤層の全質量を基準として、0.1質量%以上であってよい。なお、第1の接着剤層が(B)成分として光重合開始剤を含む場合、後述の収容部材に接着剤フィルムを収容することで、上記不具合の発生を抑制し得る。
【0066】
第2の接着剤層が最低溶融粘度Yを示す温度Tyにおける第1の接着剤層の溶融粘度Xは、より剥離が発生しにくくなる観点から、1000Pa・s以上であってよく、10000Pa・s以上であってよく、50000Pa・s以上であってよい。溶融粘度Xは、基板への濡れ性が優れる観点から、10000000Pa・s以下であってよく、1000000Pa・s以下であってよく、500000Pa・s以下であってよい。溶融粘度Xは、第1の硬化性組成物の組成を変更すること、第1の硬化性組成物の硬化条件を変更すること等によって調整できる。
【0067】
第1の接着剤層の厚さは、導電粒子が電極間で捕捉されやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点から、導電粒子の平均粒径の0.1倍以上であってよく、0.2倍以上であってよく、0.3倍以上であってよい。第1の接着剤層2の厚さは、熱圧着時に導電粒子が対向する電極間ではさまれた際に、より導電粒子が潰れやすくなり、接続抵抗を一層低減できる観点から、導電粒子の平均粒径の1.0倍以下であってよく、0.8倍以下であってよく、0.7倍以下であってよい。これらの観点から、第1の接着剤層の厚さは、導電粒子の平均粒径の0.1~0.7倍であってよく、0.2~0.8倍であってよく、0.3~0.7倍であってよい。なお、接着剤層の厚さは、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する接着剤層の厚さをいう。第1の接着剤層の厚さと導電粒子の平均粒径とが上記のような関係を満たす場合、例えば、
図1に示すように、第1の接着剤層13中の導電粒子Pの一部が、第1の接着剤層13から第2の接着剤層14側に突出していてよい。この場合、隣り合う導電粒子Pの離間部分には、第1の接着剤層13と第2の接着剤層14との境界Sが位置している。導電粒子Pは、第1の接着剤層13における第2の接着剤層14側とは反対側の面には露出しておらず、反対側の面は平坦面となっていてよい。
【0068】
第1の接着剤層の厚さは、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第1の接着剤層の厚さは、例えば、0.5μm以上であってよく、20μm以下であってよい。なお、導電粒子の一部が第1の接着剤層の表面から露出(例えば、第2の接着剤層側に突出)している場合、第1の接着剤層における第2の接着剤層側とは反対側の面から、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層と第2の接着剤層との境界Sまでの距離が第1の接着剤層の厚さであり、導電粒子の露出部分は第1の接着剤層の厚さには含まれない。導電粒子の露出部分の長さは、例えば、0.1μm以上であってよく、20μm以下であってよい。接着剤層の厚さは、以下の方法により測定することができる。
接着剤フィルムを2枚のガラス(厚み:1mm程度)で挟み込み、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型後に、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて各接着剤層の厚さを測定する。
【0069】
(第2の接着剤層)
第2の接着剤層は、例えば、第2の硬化性組成物からなる。第2の硬化性組成物は、例えば、(a)重合性化合物(以下、(a)成分ともいう。)及び(b)重合開始剤(以下、(b)成分ともいう。)を含有する。第2の硬化性組成物は、(b)成分として熱重合開始剤を含有する熱硬化性組成物であってよく、(b)成分として光重合開始剤を含有する光硬化性組成物であってもよく、熱硬化性組成物及び光硬化性組成物の混合物であってもよい。第2の接着剤層を構成する第2の硬化性組成物は、回路接続時に流動可能な未硬化の硬化性組成物であり、例えば、未硬化の硬化性組成物である。
【0070】
[(a)成分:重合性化合物]
(a)成分は、例えば、光(例えば紫外光)の照射又は加熱によって重合開始剤(光重合開始剤又は熱重合開始剤)が発生させたラジカル、カチオン又はアニオンにより重合する化合物である。(a)成分としては、(A)成分として例示した化合物を用いることができる。(a)成分は、低温短時間での接続が容易となり、所望の溶融粘度が得られやすい観点、及び、接続抵抗の低減効果が更に向上し、接続信頼性により優れる観点から、ラジカルにより反応するラジカル重合性基を有するラジカル重合性化合物であることが好ましい。(a)成分における好ましいラジカル重合性化合物の例及び好ましいラジカル重合性化合物の組み合わせは、(A)成分と同様である。(a)成分がラジカル重合性化合物であり、且つ、第1の接着剤層における(B)成分が光ラジカル重合開始剤である場合、接着剤フィルムを後述する収容部材に収容することで、接着剤フィルムの保管時又は運搬時における第2の硬化性組成物の硬化が顕著に抑制される傾向がある。
【0071】
(a)成分はモノマー、オリゴマー又はポリマーのいずれであってもよい。(a)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。(a)成分は、(A)成分と同一であっても異なっていてもよい。
【0072】
(a)成分の含有量は、接続抵抗を低減し、接続信頼性を向上させるために必要な架橋密度が得られやすい観点から、第2の硬化性組成物の全質量基準で、10質量%以上であってよく、20質量%以上であってよく、30質量%以上であってよい。(a)成分の含有量は、重合時の硬化収縮を抑え、良好な信頼性が得られる観点から、第2の硬化性組成物の全質量基準で、90質量%以下であってよく、80質量%以下であってよく、70質量%以下であってよい。
【0073】
[(b)成分:重合開始剤]
(b)成分としては、(B)成分として例示した重合開始剤と同様の重合開始剤を用いることができる。(b)成分は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。(b)成分における好ましいラジカル重合開始剤の例は、(B)成分と同様である。(b)成分として、一種の化合物を単独で用いてよく、複数種の化合物を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
(b)成分の含有量は、低温短時間での接続が容易になる観点、及び、接続信頼性により優れる観点から、第2の硬化性組成物の全質量基準で、0.1質量%以上であってよく、0.5質量%以上であってよく、1質量%以上であってよい。(b)成分の含有量は、ポットライフの観点から、第2の硬化性組成物の全質量基準で、30質量%以下であってよく、20質量%以下であってよく、10質量%以下であってよい。
【0075】
[その他の成分]
第2の硬化性組成物は、(a)成分及び(b)成分以外のその他の成分を更に含有していてよい。その他の成分としては、例えば、熱可塑性樹脂、カップリング剤、充填材、軟化剤、促進剤、劣化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤等が挙げられる。その他の成分の詳細は、第1の接着剤層におけるその他の成分の詳細と同じである。
【0076】
第2の硬化性組成物は、(a)成分及び(b)成分に代えて、又は、(a)成分及び(b)成分に加えて、熱硬化性樹脂を含有していてもよい。第2の硬化性組成物が熱硬化性樹脂を含有する場合、第2の硬化性組成物は、熱硬化性樹脂を硬化するために用いられる硬化剤を含有していてもよい。熱硬化性樹脂及び硬化剤としては、第1の硬化性組成物におけるその他の成分として例示した熱硬化性樹脂及び硬化剤と同様の熱硬化性樹脂及び硬化剤を用いることができる。(a)成分及び(b)成分に代えて熱硬化性樹脂を用いる場合、第2の硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、例えば、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。(a)成分及び(b)成分に加えて熱硬化性樹脂を用いる場合、第2の硬化性組成物における熱硬化性樹脂の含有量は、例えば、第2の硬化性組成物の全質量を基準として、20質量%以上であってよく、80質量%以下であってよい。硬化剤の含有量は、第1の硬化性組成物における硬化剤の含有量として記載した範囲と同じであってよい。
【0077】
第2の接着剤層における導電粒子の含有量は、例えば、第2の接着剤層の全質量基準で、1質量%以下であってよく、0質量%であってもよい。第2の接着剤層は、導電粒子を含まないことが好ましい。
【0078】
第2の接着剤層の最低溶融粘度Yは、優れたブロッキング耐性が得られる観点から、50Pa・s以上であってよく、100Pa・s以上であってよく、300Pa・s以上であってよい。最低溶融粘度Yは、優れた電極間の充填性(樹脂充填性)が得られる観点から、100000Pa・s以下であってよく、10000Pa・s以下であってよく、5000Pa・s以下であってよい。最低溶融粘度Yは、第2の硬化性組成物の組成を変更すること等によって調整できる。
【0079】
第2の接着剤層の厚さは、接着する回路部材の電極の高さ等に応じて適宜設定してよい。第2の接着剤層の厚さは、電極間のスペースを十分に充填して電極を封止することができ、より良好な信頼性が得られる観点から、5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。なお、導電粒子の一部が第1の接着剤層の表面から露出(例えば、第2の接着剤層側に突出)している場合、第2の接着剤層における第1の接着剤層側とは反対側の面から、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層と第2の接着剤層との境界Sまでの距離が第2の接着剤層の厚さである。
【0080】
第2の接着剤層の厚さに対する第1の接着剤層2の厚さの比(第1の接着剤層の厚さ/第2の接着剤層の厚さ)は、電極間のスペースを十分に充填して電極を封止することができ、より良好な信頼性が得られる観点から、1以上であってよく、1000以下であってよい。
【0081】
接着剤フィルムの厚さ(接着剤フィルムを構成するすべての層の厚さの合計。)は、例えば5μm以上であってよく、200μm以下であってよい。
【0082】
上述した回路接続用接着剤フィルムは、剥離可能な支持フィルムと、支持フィルム上に設けられた、接着剤成分及び導電粒子を含む接着剤層と、を備え、導電粒子は、支持フィルム側に偏在するとともに接着剤層の厚み方向に対して直交する方向に分散しており、接着剤層は、支持フィルム側から接着剤層の厚み方向に、上述した第1の硬化性組成物の硬化物を含む第1の領域と、上述した第2の硬化性組成物を含む第2の領域とを有するものであってもよい。第1の領域及び第2の領域の接着剤層の厚み方向における範囲はそれぞれ、上述した第1の接着剤層及び第2の接着剤層の厚みと同様に設定することができる。導電粒子についても上述した条件と同様に設定することができる。
【0083】
以上、本実施形態の回路接続用接着剤フィルムについて説明したが、本発明は上記実施形態に限定されない。
【0084】
[回路接続構造体の製造方法]
本実施形態の回路接続構造体の製造方法は、第1の回路電極が設けられた第1の回路部材と、第1の回路電極に対応する第2の回路電極が設けられた第2の回路部材とを、上述した本実施形態の回路接続用接着剤フィルムを介して接続してなる回路接続構造体を製造する方法である。
【0085】
本実施形態の方法は、例えば、上述した本実施形態の回路接続用接着剤フィルムを準備する準備工程と、
回路接続用接着剤フィルムの第2の接着剤層側が、第1の回路部材の回路電極が設けられている面と対向するようにして、回路接続用接着剤フィルムを第1の回路部材上にラミネートするラミネート工程と、
第1の回路電極と第2の回路電極とが対向するように、回路接続用接着剤フィルムがラミネートされた第1の回路部材上に第2の回路部材を配置し、回路接続用接着剤フィルムを加熱しながら、第1の回路部材と第2の回路部材とを第1の回路電極と第2の回路電極が対向する方向に加圧する加熱加圧工程と、
を備える。
【0086】
(準備工程)
この工程では、上述した本実施形態の回路接続用接着剤フィルムを製造することができる。
本実施形態の回路接続用接着剤フィルムの製造方法は、例えば、上述した第1の接着剤層を用意する用意工程(第1の用意工程)と、第1の接着剤層上に上述した第2の接着剤層を積層する積層工程と、を備えていてもよい。回路接続用接着剤フィルムの製造方法は、第2の接着剤層を用意する用意工程(第2の用意工程)を更に備えていてもよい。
【0087】
第1の用意工程では、例えば、支持フィルム上に第1の接着剤層を形成して第1の接着剤フィルムを得ることにより、第1の接着剤層を用意する。具体的には、まず、(A)成分、(B)成分及び(C)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を、有機溶媒中に加え、攪拌混合、混錬等により、溶解又は分散させて、ワニス組成物を調製する。その後、離型処理を施した基材上に、ワニス組成物をナイフコーター、ロールコーター、アプリケーター、コンマコーター、ダイコーター等を用いて塗布した後、加熱により有機溶媒を揮発させて、基材上に第1の硬化性組成物からなる層を形成する。続いて、第1の硬化性組成物からなる層に対して光照射又は加熱を行うことにより、第1の硬化性組成物を硬化させ、基材上に第1の接着剤層を形成する(硬化工程)。これにより、第1の接着剤フィルムが得られる。
【0088】
ワニス組成物の調製に用いる有機溶媒としては、各成分を均一に溶解又は分散し得る特性を有するものが好ましく、例えば、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等が挙げられる。これらの有機溶媒は、単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。ワニス組成物の調製の際の攪拌混合及び混錬は、例えば、攪拌機、らいかい機、3本ロール、ボールミル、ビーズミル又はホモディスパーを用いて行うことができる。
【0089】
支持フィルムとしては、第1の硬化性組成物を光により硬化させる場合には有機溶媒を揮発させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はなく、第1の硬化性組成物を加熱により硬化させる場合には、有機溶媒を揮発させる際の加熱条件及び第1の硬化性組成物を硬化させる際の加熱条件に耐え得る耐熱性を有するものであれば特に制限はない。支持フィルムとしては、例えば、延伸ポリプロピレン(OPP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリオレフィン、ポリアセテート、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミド、ポリイミド、セルロース、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、合成ゴム系、液晶ポリマー等からなる基材(例えばフィルム)を用いることができる。汎用性が高い観点から、ポリエチレンテレフタレートを好適に用いることができる。
【0090】
支持フィルムへ塗布したワニス組成物から有機溶媒を揮発させる際の加熱条件は、有機溶媒が十分に揮発する条件とすることが好ましい。加熱条件は、例えば、40℃以上120℃以下で0.1分間以上10分間以下であってよい。
【0091】
硬化工程における光の照射には、150~750nmの範囲内の波長を含む照射光(例えば紫外光)を用いることが好ましい。光の照射は、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を使用して行うことができる。光の照射量は、溶融粘度の比(X/Y)が10以上となるように調整してよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、100mJ/cm2以上であってよく、200mJ/cm2以上であってよく、300mJ/cm2以上であってよい。光の照射量は、例えば、波長365nmの光の積算光量で、10000mJ/cm2以下であってよく、5000mJ/cm2以下であってよく、3000mJ/cm2以下であってよい。光の照射量(光の積算光量)が大きいほど溶融粘度Xが大きくなる傾向があり、溶融粘度の比(X/Y)が大きくなる傾向がある。
【0092】
硬化工程における加熱条件は、溶融粘度の比(X/Y)が10以上となるように調整してよい。加熱条件は、例えば、30℃以上300℃以下で0.1分間以上5000分間以下であってよく、50℃以上150℃以下で0.1分間以上3000分間以下であってよい。加熱温度が高いほど溶融粘度Xが大きくなる傾向があり、溶融粘度の比(X/Y)が大きくなる傾向がある。また、加熱時間が長いほど溶融粘度Xが大きくなる傾向があり、溶融粘度の比(X/Y)が大きくなる傾向がある。
【0093】
第2の用意工程では、(a)成分及び(b)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を用いること、及び、硬化工程を実施しない(光照射及び加熱を行わない)こと以外は、第1の用意工程と同様に、基材上に第2の接着剤層を形成して第2の接着剤フィルムを得ることにより、第2の接着剤層を用意する。基材は、上述した支持フィルムと同様のものを用いることができる。
【0094】
積層工程では、第1の接着剤フィルムと、第2の接着剤フィルムとを貼り合わせることにより、第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層してよく、第1の接着剤層上に、(a)成分及び(b)成分、並びに必要に応じて添加される他の成分を用いて得られるワニス組成物を塗布し、有機溶媒を揮発させることにより、第1の接着剤層上に第2の接着剤層を積層してもよい。
【0095】
第1の接着剤フィルムと、第2の接着剤フィルムとを貼り合わせる方法としては、例えば、加熱プレス、ロールラミネート、真空ラミネート等の方法が挙げられる。ラミネートは、例えば、0~80℃の加熱条件下で行ってよい。
【0096】
また、本実施形態において、第1の接着剤層において、導電粒子Pの90%以上が他の導電粒子と離間した状態となっている回路接続用接着剤フィルムを用いる場合、そのような分散状態は、後述の磁場印加工程によって形成することができる。この場合、導電粒子Pとしては、磁場印加工程による分散化を実施する観点から、ニッケルを含有する粒子が好適に用いられる。一般的に、鉄・コバルト・ニッケルは強磁性体であり、外部磁場によって磁化することが知られているが、この中でもニッケルを用いることが導電性及び磁場印加による分散性を両立できる点で有意である。また、導電粒子Pの保存安定性を得るため、導電粒子Pの表層は、ニッケルではなく、金、銀のような白金属の貴金属類としてもよい。また、ニッケルの表面をAu等の貴金属類で被覆してもよい。さらに、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を上記金属等の導電物質で被覆したものを用いてもよく、この場合にもニッケル層を設けて多層構造とすることも可能である。
【0097】
また、ニッケルの磁性は、ニッケルめっき中に含有するリン濃度に影響されるため、磁場による導電粒子Pの分散に必要な磁性は適時調整することが好ましい。導電粒子Pの磁性は、例えば試料振動型磁力計(VSM:Vibrating Sample Magnetmeter)によって飽和磁化を測定することが可能である。外部磁場によって導電粒子Pを分散するためには、VSM測定にて飽和磁化が5.0emu/g~50emu/gの範囲であることが好ましい。5.0emu/g以上であると、充分に導電粒子Pの分散を行うことが容易となる。一方、50emu/g以下であると、導電粒子Pの磁化が大きくなりすぎず、導電粒子Pが第1の接着剤層13の厚み方向に結合することが抑制され、導電粒子Pの分散性が高くなる傾向にある。
【0098】
導電粒子Pの平均粒径は、1.0μm以上10.0μm以下であることが好ましい。導電粒子Pの平均粒径が1.0μm以上である場合には、支持フィルムへの塗工精度が高く、導電粒子Pを第1の接着剤層に良好に分散させることが容易となる。導電粒子Pの平均粒径が10.0μm以下の場合には、接続構造体の隣接する回路電極間での良好な絶縁性が得られる傾向にある。導電粒子Pの良好な分散性を得るためには、導電粒子Pの平均粒径は、2.0μm以上であることがより好ましく、2.5μm以上であることが更に好ましい。一方、接続構造体の隣接する回路電極間での絶縁性の確保の観点から、導電粒子Pの平均粒径は、8.5μm以下であることがより好ましく、7μm以下であることが更に好ましく、6.0μm以下であることが更により好ましい。
【0099】
導電粒子Pの配合量は、第1の接着剤層の導電粒子P以外の成分100体積部に対して1体積部~100体積部とすることが好ましい。導電粒子Pが過剰に存在することによる隣接する回路電極の短絡を防止する観点から、導電粒子Pの配合量は、10体積部~50体積部とすることがより好ましい。さらに、導電粒子の平均粒径が1.0μm以上10.0μm以下の範囲において、導電粒子の粒子密度が1000個/mm2以上50000個/mm2以下であることが好ましい。この場合、導電粒子Pの分散性と隣接する回路電極間での絶縁性とをより好適に両立できる。
【0100】
(ラミネート工程)
図2は、本実施形態の接続構造体の製造方法におけるラミネート工程を示す模式的断面図である。この工程では、同図に示すように、回路接続用接着剤フィルム11の第2の接着剤層14側が、第1の回路部材2の第1の回路電極6が設けられている面と対向するようにして、回路接続用接着剤フィルム11を第1の回路部材2上にラミネートする。なお、回路接続用接着剤フィルム11が第2の接着剤層14上に設けられた剥離フィルムを有する場合には、剥離フィルムを剥がしてから又は剥がしながら第2の接着剤層14が第1の回路部材2に密着するようにラミネートすることができる。
【0101】
第1の回路部材2は、本体部5の実装面5a側に回路電極6を有している。第1の回路部材2としては、例えば、COP、FCP、ポリイミドなどのフレキシブル基板を有する部材が挙げられる。回路電極6は、例えば、スズ等の金属でメッキされた銅が挙げられる。なお、実装面5aにおいて、回路電極6が形成されていない部分には、絶縁層が形成されていてもよい。
【0102】
ラミネートの手段としては、公知のラミネーターを用いることができる。ラミネートの条件は、適宜設定することができる。
【0103】
図3は、ラミネート工程を経て得られる積層体を示す模式的断面図である。
【0104】
(加熱加圧工程)
図4は、本実施形態の接続構造体の製造方法における加熱加圧工程を示す模式的断面図である。この工程では、同図に示すように、第1の回路電極6と第2の回路電極8とが対向するように、回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)がラミネートされた第1の回路部材2上に第2の回路部材3を配置し、回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)を加熱しながら、第1の回路部材2と第2の回路部材3とを第1の回路電極6と第2の回路電極8が対向する方向に加圧する。
【0105】
第2の回路部材3は、例えば液晶ディスプレイに用いられるITO、IZO、若しくは金属等で回路が形成されたガラス基板又はプラスチック基板、セラミック配線板などである。第2の回路部材3は、
図4に示すように、本体部7の実装面7a側に第1の回路電極6に対応する第2の回路電極8を有している。
【0106】
回路電極8は、例えば平面視で矩形状をなしており、厚みは例えば100nm~1000nm程度となっている。回路電極8の表面は、例えば金、銀、銅、錫、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金、インジウム錫酸化物(ITO)、及びインジウム亜鉛酸化物(IZO)から選ばれる1種或いは2種以上の材料で構成されている。なお、実装面7aにおいても、回路電極8が形成されていない部分に絶縁層が形成されていてもよい。
【0107】
加熱手段としては、公知の熱圧着装置を用いることができる。回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)の加熱温度は、硬化剤において重合活性種が発生し、重合モノマーの重合が開始される温度以上であることが好ましい。この加熱温度は、例えば80℃~200℃であり、好ましくは100℃~180℃である。また、加熱時間は、例えば0.1秒~30秒、好ましくは1秒~20秒である。加熱温度が80℃以上であると充分な硬化速度が得られやすく、200℃以下であると望まない副反応が進行しにくくなる。また、加熱時間が0.1秒以上であると硬化反応を十分に進行させやすくなり、30秒以下であると硬化物の生産性を維持しやすくなり、更に望まない副反応も進みにくくなる。
【0108】
加圧手段としては、公知の熱圧着装置を用いることができる。加圧の圧力及び時間は、適宜設定することができる。
【0109】
図5は、加熱加圧工程を経て得られる回路接続構造体を示す模式的断面図である。加熱加圧工程では、回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)の接着剤成分が流動し、第1の回路電極6と第2の回路電極8との距離が縮まって導電粒子Pが噛合した状態で、第2の接着剤層及び第1の接着剤層が硬化する。第2の接着剤層及び第1の接着剤層の硬化により、第1の回路電極6と第2の回路電極8とが電気的に接続され、かつ隣接する回路電極6,6同士及び隣接する回路電極8,8同士が電気的に絶縁された状態で回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)の硬化物4が形成され、
図5に示した回路接続構造体1が得られる。得られた回路接続構造体1では、回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)の硬化物4によって第1の回路電極6と第2の回路電極8との間の距離の経時的変化が十分に防止されると共に、電気的特性の長期信頼性も確保できる。
【0110】
回路接続用接着剤フィルム(第2の接着剤層14及び第1の接着剤層13)の硬化物4は、第1の接着剤層13を硬化してなる第1の領域9と、第2の接着剤層14を硬化してなる第2の領域10とを有している。本実施形態では、第1の領域9が第2の回路部材3側に位置し、第2の領域10が第1の回路部材2側に位置している。
【0111】
導電粒子Pは、圧着によって僅かに扁平に変形した状態で第1の回路電極6と第2の回路電極8との間に介在している。これにより、第1の回路電極6と第2の回路電極8との間の電気的な接続が実現されている。また、隣接する第1の回路電極6,6間及び隣接する第2の回路電極8,8間では、導電粒子Pが離間した状態となっており、隣接する第1の回路電極6,6間及び隣接する第2の回路電極8,8間の電気的な絶縁が実現されている。
【0112】
[回路接続用接着剤フィルムの製造方法]
図6は、
図1に示した回路接続用接着剤フィルムの製造工程を示す概略図である。同図に示す例では、長尺の支持フィルム12を繰出ローラ21及び巻取ローラ22によって所定の速度で搬送している。支持フィルム12の搬送経路上には、第1の接着剤層13の形成材料となる接着剤ペーストWを塗布するコータ23が配置されており、コータ23によって導電粒子Pが分散された接着剤ペーストWが支持フィルム12上に塗布される(塗布工程)。コータ23によって支持フィルム12上に塗布される接着剤ペーストWの厚みは、樹脂組成物中に含まれる溶剤の割合によって適時変動するが、導電粒子Pの平均粒径の1.6倍未満となっていることが好適である。
【0113】
接着剤ペーストWの粘度は、用途、塗布方法に応じて変動させることができるが、通常は、10mPa・s~10000mPa・sとすることが好ましい。接着剤ペーストW中の配合物の分離の抑制や相溶性向上の観点から、50mPa・s~5000mPa・sとすることがより好ましい。また、回路接続用接着剤フィルム11の外観向上のためには、100mPa・s~3000mPa・sとすることが好ましい。10000mPa・s以下であると、後続する磁場印加工程での導電粒子Pの分散が抑制されにくくなり、10mPa・s以上では接着剤ペーストWの配合物の分離が生じにくくなる。
【0114】
接着剤ペーストWの塗工方法は、上記に限られず、公知の方法を利用することができる。例えばスピンコート法、ローラーコート法、バーコート法、ディップコート法、マイクログラビアコート法、カーテンコート法、ダイコート法、スプレーコート法、ドクターコート法、ニーダーコート法、フローコーティング法、スクリーン印刷法、キャスト法などが挙げられる。バーコート法、ダイコート法、マイクログラビアコート法などが回路接続用接着剤フィルム11の作製に適しており、フィルム膜厚の精度の観点からは、マイクログラビアコート法が特に好適である。
【0115】
コータ23の後段側には、支持フィルム12を挟むように一対の磁石24,25が上下に対向配置されている。本実施形態では、
図7に示すように、上側に配置された磁石24がN極、下側に配置された磁石25がS極となっており、磁石24から磁石25に向かう略垂直方向に磁場が形成されている。したがって、磁石24,25間に支持フィルム12が搬送されると、接着剤ペーストW中の導電粒子Pが磁化され、斥力によって導電粒子P,P同士が接着剤ペーストWの面内方向に離間した状態が形成される(磁場印加工程)。
【0116】
また、磁場印加工程における導電粒子Pの離間状態を保持するため、支持フィルム12が磁石24,25間を通過している間に熱風等によって接着剤ペーストWの乾燥を行う(乾燥工程)。これにより、接着剤ペーストWの粘度が上昇し、
図8に示すように、導電粒子Pの70%以上、好ましくは90%以上が隣接する他の導電粒子Pと離間した状態となった第1の接着剤層13が支持フィルム12上に形成される。また、乾燥工程によって接着剤ペーストWの厚みが減少していき、上述したように、接着剤ペーストWの厚みを導電粒子Pの平均粒径の1.6倍未満としておくことで、第1の接着剤層13の厚みを導電粒子Pの平均粒径の0.6倍以上1.0倍未満とすることが容易となる。また、有機溶媒(例えば、メチルエチルケトンなど)で希釈した接着剤ペースト(ワニス)を用いることで、接着剤層の厚みを導電粒子Pの平均粒径の0.1倍程度まで薄くすることも可能となる。希釈する有機溶剤の量は特に制限はないが、接着剤成分100質量部に対して50~500質量部を加えるのが好ましい。
【0117】
なお、接着剤ペーストWの乾燥温度は、例えば20℃~80℃であることが好ましい。また、支持フィルム12の搬送速度は、例えば30mm/s~160mm/sであることが好ましい。接着剤ペーストWの厚みは、例えば平均粒径が3μmの導電粒子Pを用いる場合には、5μm~10μmであることが好ましい。支持フィルム12の搬送速度が30mm/s以上である場合、導電粒子Pが充分に離間した状態で接着剤ペーストWが乾燥するので、分散が充分となる傾向にある。支持フィルム12の搬送速度が160mm/s以下である場合、乾燥後に磁場の印加が終了する傾向にあり、導電粒子Pの再凝集を抑制することができる。また、接着剤ペーストWの厚みが5μm以上である場合、コータ23のギャップが不足することを抑制でき、第1の接着剤層13中の導電粒子Pの数が不足することを抑制できる。接着剤ペーストWの厚みが10μm以下である場合、コータ23のギャップが過剰となることを抑制でき、第1の接着剤層13中の導電粒子Pの数が過剰となることを抑制できる。
【0118】
第1の接着剤層13の形成の後、
図9に示すように、別途、剥離フィルム15上に形成した第2の接着剤層14を第1の接着剤層13上にラミネートする(積層工程)。これにより、
図2に示した回路接続用接着剤フィルム11が得られる。なお、第2の接着剤層14のラミネートには、例えばホットロールラミネータを用いることができる。また、ラミネートに限られず、第2の接着剤層14の材料となる接着剤ペーストを第1の接着剤層13上に塗布・乾燥してもよい。
【0119】
以上説明したように、回路接続用接着剤フィルム11では、第1の接着剤層13において、導電粒子Pの70%以上、好ましくは90%以上が隣接する他の導電粒子Pと離間した状態にすることができる。この場合、第1の回路部材2と第2の回路部材3との接続にあたって隣接する導電粒子P,P同士の凝集が抑えられ、隣接する第1の回路電極6,6同士及び隣接する第2の回路電極8,8同士の絶縁性を良好に確保できる。また、この回路接続用接着剤フィルム11では、第1の接着剤層13の厚みを導電粒子Pの平均粒径の0.1倍以上1.0倍以下、0.1倍以上0.7倍以下、又は0.6倍以上1.0倍未満とすることできる。この場合、圧着時における導電粒子Pの流動が抑えられ、第1の回路電極6と第2の回路電極8との間の導電粒子Pの捕捉効率を向上できる。したがって、第1の回路部材2と第2の回路部材3との間の接続信頼性を確保できる。
【0120】
<接着剤フィルム収容セット>
図10は、一実施形態の接着剤フィルム収容セットを示す斜視図である。
図10に示すように、接着剤フィルム収容セット120は、回路接続用接着剤フィルム11と、該接着剤フィルム11が巻き付けられたリール121と、接着剤フィルム11及びリール121を収容する収容部材122と、を備える。
【0121】
図10に示すように、接着剤フィルム11は、例えばテープ状である。テープ状の接着剤フィルム11は、例えば、シート状の原反を用途に応じた幅で長尺に切り出すことによって作製される。接着剤フィルム11は第1の接着剤層側に支持フィルム12を有していてもよい。支持フィルム12としては、上述したPETフィルム等の基材を用いることができる。
【0122】
リール121は、接着剤フィルム11が巻き付けられる巻芯123を有する第1の側板124と、巻芯123を挟んで第1の側板124と対向するように配置された第2の側板125と、を備える。
【0123】
第1の側板124は、例えばプラスチックからなる円板であり、第1の側板124の中央部分には、断面円形の開口部が設けられている。
【0124】
第1の側板124が有する巻芯123は、接着剤フィルム11を巻き付ける部分である。巻芯123は、例えばプラスチックからなり、接着剤フィルム11の幅と同様の厚みの円環状をなしている。巻芯123は、第1の側板124の開口部を囲うように、第1の側板124の内側面に固定されている。また、リール121の中央部には、巻付装置又は繰出装置(不図示)の回転軸が挿入される部分である軸穴126が設けられている。この軸穴126に巻付装置又は繰出装置の回転軸を差し込んだ状態で回転軸を駆動した場合に、空回りすることなくリール121が回転するようになっている。軸穴126には、乾燥剤が収容された乾燥剤収容容器が嵌め込まれていてもよい。
【0125】
第2の側板125は、第1の側板124と同様に、例えばプラスチックからなる円板であり、第2の側板125の中央部分には、第1の側板124の開口部と同径の断面円形の開口部が設けられている。
【0126】
収容部材122は、例えば袋状をなしており、接着剤フィルム11及びリール121を収容している。収容部材122は、収容部材122の内部に接着剤フィルム11及びリール121を収容(挿入)するための、挿入口127を有している。
【0127】
収容部材122は、収容部材122の内部を外部から視認可能とする視認部128を有する。
図10に示す収容部材122は、収容部材122の全体が視認部128となるように構成されている。
【0128】
視認部128は、可視光に対する透過性を有している。例えば、視認部128における光の透過率を波長450~750nmの範囲で測定した場合、波長450~750nmの間に、光の透過率の平均値が30%以上となる、波長幅が50nmである領域が少なくとも1つ存在する。視認部28の光の透過率は、視認部128を所定の大きさに切り取った試料を作製し、試料の光の透過率を紫外可視分光光度計で測定することにより得られる。収容部材122がこのような視認部128を有するため、収容部材122の内部の例えばリール121に貼り付けてある製品名、ロットナンバー、有効期限等の各種情報を収容部材122の外部からでも確認することができる。これにより、違う製品の混入を防止すること、及び、仕分け作業の効率が向上することが期待できる。
【0129】
視認部128における波長365nmの光の透過率は、10%以下である。視認部128における波長365nmの光の透過率が10%以下であるため、(B)成分として光重合開始剤を用いた場合における、収容部材122の外部から内部へ入射する光と、第1の接着剤層中に残留した光重合開始剤と、に起因する第2の硬化性組成物の硬化を抑制することができる。光重合開始剤からの活性種(例えばラジカル)の発生が一層抑制される観点から、視認部128における波長365nmの光の透過率は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.1%以下である。
【0130】
同様の観点から、視認部128における、上述の光重合開始剤((B)成分)からラジカル、カチオン又はアニオンを発生させることが可能な波長領域での光の透過率の最大値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.1%以下である。具体的には、視認部128における波長254~405nmにおける光の透過率の最大値は、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、更に好ましくは1%以下、特に好ましくは0.1%以下である。
【0131】
視認部128(収容部材122)は、例えば厚さ10~5000μmのシートで形成されている。当該シートは、視認部128における波長365nmの光の透過率が10%以下となる材料によって構成されている。このような材料は、一種の成分からなっていてよく、複数種の成分からなっていてもよい。当該材料としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレン、ポリカーボネート、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミド、ガラス等が挙げられる。これらの材料は、紫外線吸収剤を含んでいてもよい。視認部128は、光透過性の異なる複数の層を積層することにより形成される積層構造を有していてもよい。この場合、視認部128を構成する各層は、上述した材料からなっていてよい。
【0132】
挿入口127は、収容に際し、外部からの空気の侵入を防ぐために、例えばシール機等により閉じられることによって、密閉されていてよい。この場合、挿入口127を閉じる前に収容部材122内の空気を吸引除去しておくことが好ましい。収容した初期の段階から収容部材122内の湿気が少なくなり、かつ外部からの空気の進入を防ぐことが期待できる。また、収容部材122の内面とリール121とが密着することにより、運搬時の振動で収容部材122の内面とリール121の表面とがこすれあって異物が発生すること、及び、リール121の側板124,125の外側面への傷つきを防止できる。
【0133】
上記実施形態では、収容部材は、収容部材の全体が視認部となるように構成されていたが、他の一実施形態では、収容部材は、収容部材の一部に視認部を有していてもよい。例えば、収容部材は、収容部材の側面の略中央に矩形状の視認部を有していてよい。この場合、収容部材の視認部以外の部分は、例えば紫外光及び可視光を透過させないように黒色を呈していてよい。
【0134】
また、上記実施形態では、収容部材の形状は袋状であったが、収容部材は、例えば箱状であってもよい。収容部材には、開封のための切り込みがついていることが好ましい。この場合、使用時の開封作業が容易になる。
【実施例0135】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0136】
<ポリエステルウレタン樹脂の調製方法>
撹拌機、温度計、コンデンサー、真空発生装置及び窒素ガス導入管が備え付けられたヒーター付きステンレス製オートクレーブに、イソフタル酸48質量部及びネオペンチルグリコール37質量部を投入し、更に、触媒としてのテトラブトキシチタネート0.02質量部を投入した。次いで、窒素気流下220℃まで昇温し、そのまま8時間撹拌した。その後、大気圧(760mmHg)まで減圧し、室温まで冷却した後、白色沈殿を取り出し、水洗後、真空乾燥することでポリエステルポリオールを得た。
【0137】
上述したジカルボン酸とジオールとの反応によって得られたポリエステルポリオールを十分に乾燥した後、MEKに溶解し、撹拌機、滴下漏斗、還流冷却機及び窒素ガス導入管を取り付けた四つ口フラスコに投入した。また、触媒としてジブチル錫ラウレートをポリエステルポリオール100質量部に対して0.05質量部となる量投入し、MEKに溶解した4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネートをポリエステルポリオール100質量部に対して50質量部となる量を滴下漏斗で投入し80℃で4時間撹拌することで目的とするポリエステルウレタン樹脂を得た。
【0138】
<ポリウレタンアクリレート(UA1)の合成>
攪拌機、温度計、塩化カルシウム乾燥管を有する還流冷却管、及び、窒素ガス導入管を備えた反応容器に、ポリ(1,6-ヘキサンジオールカーボネート)(商品名:デュラノール T5652、旭化成ケミカルズ株式会社製、数平均分子量1000)2500質量部(2.50mol)と、イソホロンジイソシアネート(シグマアルドリッチ社製)666質量部(3.00mol)とを3時間かけて均一に滴下した。次いで、反応容器に充分に窒素ガスを導入した後、反応容器内を70~75℃に加熱して反応させた。次に、反応容器に、ハイドロキノンモノメチルエーテル(シグマアルドリッチ社製)0.53質量部(4.3mmol)と、ジブチルスズジラウレート(シグマアルドリッチ社製)5.53質量部(8.8mmol)とを添加した後、2-ヒドロキシエチルアクリレート(シグマアルドリッチ社製)238質量部(2.05mol)を加え、空気雰囲気下70℃で6時間反応させた。これにより、ポリウレタンアクリレート(UA1)を得た。ポリウレタンアクリレート(UA1)の重量平均分子量は15000であった。なお、重量平均分子量は、下記の条件に従って、ゲル浸透クロマトグラフ(GPC)より標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定した。
(測定条件)
装置:東ソー株式会社製 GPC-8020
検出器:東ソー株式会社製 RI-8020
カラム:日立化成株式会社製 Gelpack GLA160S+GLA150S
試料濃度:120mg/3mL
溶媒:テトラヒドロフラン
注入量:60μL
圧力:2.94×106Pa(30kgf/cm2)
流量:1.00mL/min
【0139】
<導電粒子の作製>
ポリスチレン粒子の表面上に、層の厚さが0.2μmとなるようにニッケルからなる層を形成した。このようにして、平均粒径4μm、最大粒径4.5μm、比重2.5の導電粒子を得た。
【0140】
<導電粒子含有層のワニス(ワニス組成物)の調製>
以下に示す成分を表1に示す配合量(質量部)で混合し、光硬化性組成物1のワニスを調製した。なお、表1に記載の導電粒子の含有量(体積%)及び充填材の含有量(体積%)は、光硬化性組成物の全体積を基準とした含有量である。
(重合性化合物)
A1:ジシクロペンタジエン型ジアクリレート(商品名:DCP-A、東亞合成株式会社製)
A2:上述のとおり合成したポリウレタンアクリレート(UA1)
A3:2-メタクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート(商品名:ライトエステルP-2M、共栄社化学株式会社製)
(光重合開始剤)
B1: B1:1,2-オクタンジオン,1-[4-(フェニルチオ)フェニル-,2-(O-ベンゾイルオキシム)](商品名:Irgacure(登録商標)OXE01、BASF社製)
(熱重合開始剤)
C1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
(導電粒子)
D1:上述のとおり作製した導電粒子
(熱可塑性樹脂)
E1:上記で合成したポリエステルウレタン樹脂
(カップリング剤)
F1:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(商品名:KBM503、信越化学工業株式会社製)
(充填材)
G1:シリカ微粒子(商品名:R104、日本エアロジル株式会社製、平均粒径(一次粒径):12nm)
(溶剤)
H1:メチルエチルケトン
【0141】
【0142】
<熱硬化性組成物のワニス(ワニス組成物)の調製>
重合性化合物a1~a3、熱可塑性樹脂e1、カップリング剤f1、充填材g1及び溶剤h1として、光硬化性組成物における重合性化合物A1~A3、熱可塑性樹脂E1、カップリング剤F1、充填材G1及び溶剤H1と同じものを用い、これらの成分及び以下に示す熱重合開始剤を表2に示す配合量(質量部)で混合し、熱硬化性組成物1のワニスを調製した。なお、表2に記載の充填材の含有量(体積%)は、熱硬化性組成物の全体積を基準とした含有量である。
(熱重合開始剤)
c1:ベンゾイルパーオキサイド(商品名:ナイパーBMT-K40、日油株式会社製)
【0143】
【0144】
(実施例1)
[第1の接着剤フィルムの作製]
光硬化性組成物1のワニスを、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、同時に磁場印加をすることでPETフィルム上に厚さ(乾燥後の厚さ)が4μmの光硬化性組成物1からなる層を形成した。ここでの厚さは接触式厚み計を用いて測定した。なお、接触式厚み計を用いると導電粒子の大きさが反映され、導電粒子が存在する領域の厚みが測定される。そのため、第2の接着剤層を積層し、二層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した後に、後述の方法により、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。
次に、光硬化性組成物1からなる層に対し、メタルハライドランプを用いて積算光量が1500mJ/cm2となるように光照射を行い、重合性化合物を重合させた。これにより、光硬化性組成物1を硬化させ、第1の接着剤層を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に厚さ4μm(導電粒子が存在する領域の厚み)の第1の接着剤層を備える第1の接着剤フィルムを得た。このときの導電粒子密度は約7000pcs/mm2であった。
【0145】
[導電粒子の単分散率の評価]
第1の接着剤フィルムについて、導電粒子の単分散率(導電粒子が隣接する他の導電粒子と離間した状態(単分散状態)で存在している比率)を評価した。単分散率は70%以上であった。
なお、単分散率は、単分散率(%)=(2500μm2中の単分散状態の導電粒子数/2500μm2中の導電粒子数)×100、を用いて求めた。導電粒子の実測には、金属顕微鏡を用いて200倍の倍率で観察した。
【0146】
[第2の接着剤フィルムの作製]
熱硬化性組成物1のワニスを、厚さ50μmのPETフィルム上に塗工装置を用いて塗布した。次いで、70℃、3分間の熱風乾燥を行い、PETフィルム上に厚さが8μmの第2の接着剤層(熱硬化性組成物1からなる層)を形成した。以上の操作により、PETフィルム上に第2の接着剤層を備える第2の接着剤フィルムを得た。
【0147】
[回路接続用接着剤フィルムの作製]
第1の接着剤フィルムと第2の接着剤フィルムとを、基材であるPETフィルムと共に40℃で加熱しながら、ロールラミネータでラミネートした。このときに第2の接着剤フィルム側のPETフィルムを剥がした。これにより、PETフィルムと、第1の接着剤層と、第2の接着剤層とがこの順に積層された積層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した。
作製した回路接続用接着剤フィルムの第1の接着剤層の厚さを前述の方法により測定した。具体的には、以下の方法で測定した。回路接続用接着剤フィルムを2枚のガラス(厚み:1mm程度)で挟み込み、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:JER811、三菱ケミカル株式会社製)100gと、硬化剤(商品名:エポマウント硬化剤、リファインテック株式会社製)10gとからなる樹脂組成物で注型後に、研磨機を用いて断面研磨を行い、走査型電子顕微鏡(SEM、商品名:SE-8020、株式会社日立ハイテクサイエンス製)を用いて、隣り合う導電粒子の離間部分に位置する第1の接着剤層の厚さを測定した。第1の接着剤層の厚さは2μmであった。
【0148】
[回路接続構造体の作製]
作製した回路接続用接着剤フィルムを介して、ピッチ25μmのCOF(FLEXSEED社製)と、ガラス基板上に非結晶酸化インジウム錫(ITO)からなる薄膜電極(高さ:1200Å)を備える、薄膜電極付きガラス基板(ジオマテック社製)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒート型、株式会社太陽機械製作所製)を用いて、170℃、6MPaで4秒間の条件で加熱加圧を行って幅1mmにわたり接続し、回路接続構造体(接続構造体)を作製した。なお、接続の際には、まず回路接続用接着剤フィルムを第2の接着剤層側からCOF基板に貼り付けをし、セパレータを剥離後にガラス基板と対向させて加熱加圧を行った。
【0149】
[回路接続構造体の評価]
得られた回路接続構造体について、接続直後の対向する電極間の接続抵抗値を、マルチメーターで測定した。接続抵抗値は、対向する電極間の抵抗16点の平均値として求めた。
次に、各電極上の10μm×200μm(=2000μm2)の領域の捕捉数を計測し、20ラインの平均値を求めた。結果を表3に示す。
また、実装後の粒子分散性を顕微鏡を用いて観察した。実装前の状態が維持されているものを1、全く維持されていないものを3として、その中間を2として評価した。
1及び2は実用上は問題ないレベルである。
【0150】
(参考例1)
第1の接着剤層と第2の接着剤層をラミネートした後で第1の接着剤層側のPETフィルムを剥がすことで第1の接着剤層と第2の接着剤層とPETフィルムとがこの順に積層された積層構成の回路接続用接着剤フィルムを作製した以外は実施例1と同様に評価を行った。なお、接続の際には、まず回路接続用接着剤フィルムを第1の接着剤層側からCOF基板に貼り付けをし、セパレータを剥離後にガラス基板と対向させて加熱加圧を行った。結果を表3に示す。
【0151】
(実施例2及び3)
第1の接着剤層の厚さを1.5μm及び3.0μmに変更したこと以外は実施例1と同様にして回路接続用接着剤フィルム及び回路接続構造体を作製した。作製した回路接続構造体について、実施例1と同様の評価を行った。結果を表3に示す。なお、第1の接着剤層における導電粒子の単分散率はそれぞれ70%以上であった。
【0152】
【0153】
実施例1で得られた回路接続用接着剤フィルムを用いて先にCOF基板に貼り付けをして実装した場合は、参考例1と比較して導電粒子捕捉数が多くなり、粒子の流動性も抑制されていることが明らかとなった。
1…回路接続構造体、2…第1の回路部材、3…第2の回路部材、6…第1の回路電極、8…第2の回路電極、11…回路接続用接着剤フィルム、12,15…支持フィルム(剥離フィルム)、13…第1の接着剤層、14…第2の接着剤層、P…導電粒子、W…接着剤ペースト。