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特開2024-152833熱伝導シート保持体及び放熱装置の製造方法
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  • 特開-熱伝導シート保持体及び放熱装置の製造方法 図1
  • 特開-熱伝導シート保持体及び放熱装置の製造方法 図2
  • 特開-熱伝導シート保持体及び放熱装置の製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152833
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】熱伝導シート保持体及び放熱装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 3/00 20060101AFI20241018BHJP
   H01L 23/36 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 23/373 20060101ALI20241018BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241018BHJP
   B32B 7/027 20190101ALI20241018BHJP
   B32B 27/00 20060101ALI20241018BHJP
   B32B 33/00 20060101ALI20241018BHJP
   B32B 37/02 20060101ALI20241018BHJP
   B32B 27/20 20060101ALI20241018BHJP
【FI】
B32B3/00
H01L23/36 D
H01L23/36 M
H01L21/60 311W
B32B7/027
B32B27/00 L
B32B33/00
B32B37/02
B32B27/20 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024132002
(22)【出願日】2024-08-08
(62)【分割の表示】P 2022557462の分割
【原出願日】2021-10-14
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2020/039140
(32)【優先日】2020-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小舩 美香
(72)【発明者】
【氏名】矢嶋 倫明
(72)【発明者】
【氏名】須賀 啓太
(57)【要約】
【課題】効率的に放熱装置を製造することが可能な熱伝導シート保持体を提供する。
【解決手段】長尺状のキャリアフィルムと、複数の熱伝導シートと、前記複数の熱伝導シートを覆う長尺状のカバーフィルムと、をこの順で備え、隣接する前記熱伝導シートの最短距離は2mm以上であり、前記複数の熱伝導シートは、前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向に間隔を空けて配置され、前記複数の熱伝導シートは、前記カバーフィルム及び前記キャリアフィルムから剥離可能である熱伝導シート保持体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のキャリアフィルムと、複数の熱伝導シートと、前記複数の熱伝導シートを覆う長尺状のカバーフィルムと、をこの順で備え、
隣接する前記熱伝導シートの最短距離は2mm以上であり、
前記複数の熱伝導シートは、前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向に間隔を空けて配置され、前記複数の熱伝導シートは、前記カバーフィルムから剥離可能であり、
前記キャリアフィルムと前記複数の熱伝導シートとの間に離型層をさらに備え、前記離型層を介して前記複数の熱伝導シートは前記キャリアフィルムから剥離可能であり、
前記キャリアフィルムの長手方向に沿って配置された複数の前記離型層を備え、
前記複数の離型層の各々に1個以上の前記熱伝導シートが配置されており、
前記カバーフィルムが鉛直方向下側、前記キャリアフィルムが鉛直方向上側となるように配置した際に、隣り合う前記離型層及び、隣り合う前記離型層にそれぞれ配置されることで隣り合う前記熱伝導シートによって形成される隙間の形状が、熱伝導シート保持体の幅方向から見て凸形状である熱伝導シート保持体。
【請求項2】
前記カバーフィルムと前記熱伝導シートとの間の剥離力よりも前記キャリアフィルムと前記熱伝導シートとの間の剥離力の方が大きい請求項1に記載の熱伝導シート保持体。
【請求項3】
前記熱伝導シートの平均厚さは、50μm~500μmである請求項1又は請求項2に記載の熱伝導シート保持体。
【請求項4】
前記熱伝導シートは、熱伝導フィラと、樹脂とを含有する請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の熱伝導シート保持体。
【請求項5】
長手方向に沿ってロール状に巻き取られている請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の熱伝導シート保持体。
【請求項6】
前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向と直交する幅方向において、前記キャリアフィルムの幅及び前記カバーフィルムの幅は、前記熱伝導シートの幅よりも大きい請求項1~請求項5のいずれか1項に記載の熱伝導シート保持体。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の熱伝導シート保持体を用いて前記熱伝導シートを発熱体と放熱体の間に介在させてなる放熱装置を製造する放熱装置の製造方法であって、
前記熱伝導シート保持体から前記カバーフィルムを剥離する工程と、
前記カバーフィルムが剥離された前記熱伝導シート保持体において、前記熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に圧着させる工程と、
前記発熱体及び前記放熱体の一方が接着した前記熱伝導シートから前記キャリアフィルムを剥離する工程と、
前記熱伝導シートの前記発熱体及び前記放熱体の一方が接着した側とは反対側に前記発熱体及び前記放熱体の他方を圧着させる工程と、
を備える放熱装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱伝導シート保持体及び放熱装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、多層配線板を用いた半導体パッケージにおける配線及び電子部品の搭載密度の高密度化による発熱量が増大し、半導体素子の高集積化による単位面積当たりの発熱量が増大しており、半導体パッケージからの熱放散性を高めることが望まれている。
【0003】
半導体パッケージ等の発熱体とアルミニウム、銅等の放熱体との間に、熱伝導グリース又は熱伝導シートを挟んで密着させることにより熱を放散する放熱装置が一般に簡便に使用されている。通常、熱伝導グリースよりも熱伝導シートの方が、放熱装置を組み立てる際の作業性に優れている。
【0004】
熱伝導シートとして、熱伝導フィラを充填した樹脂シートが知られている。熱伝導フィラを充填した熱伝導性に優れる樹脂シートとして、熱伝導性の高い無機粒子を熱伝導フィラとして選択し、さらに無機粒子をシート面に対し垂直に配向させた樹脂シートが種々提案されている。
例えば、シート面に関してほぼ垂直な方向に熱伝導フィラ(窒化ホウ素)が配向した熱伝導シート(例えば、特許文献1参照)、及びゲル状物質に分散された炭素繊維がシート面に対して垂直に配向した構造の熱伝導シート(例えば、特許文献2参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-26202号公報
【特許文献2】特開2001-250894号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
半導体パッケージ等の発熱体とアルミニウム、銅等の放熱体との間に、特許文献1及び2に記載されている熱伝導シートを挟んで密着させることで放熱装置を製造することが可能であるが、放熱装置の需要が高まっていることから、効率的に放熱装置を製造可能な方法、そのような方法に用いられる熱伝導シート等が求められている。
【0007】
本開示は、上記に鑑みてなされたものであり、効率的に放熱装置を製造することが可能な熱伝導シート保持体、及びこの熱伝導シート保持体を用いた放熱装置の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための具体的手段は、以下の態様を含む。
<1> 長尺状のキャリアフィルムと、複数の熱伝導シートと、前記複数の熱伝導シートを覆う長尺状のカバーフィルムと、をこの順で備え、前記複数の熱伝導シートは、前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向に間隔を空けて配置され、前記複数の熱伝導シートは、前記カバーフィルム及び前記キャリアフィルムから剥離可能である熱伝導シート保持体。
<2> 前記キャリアフィルムと前記複数の熱伝導シートとの間に離型層をさらに備え、前記離型層を介して前記複数の熱伝導シートは前記キャリアフィルムから剥離可能である<1>に記載の熱伝導シート保持体。
<3> 前記キャリアフィルムの長手方向に沿って配置された複数の前記離型層を備え、前記複数の離型層の各々に1個以上の前記熱伝導シートが配置されている<2>に記載の熱伝導シート保持体。
<4> 前記カバーフィルムが鉛直方向下側、前記キャリアフィルムが鉛直方向上側となるように配置した際に、隣り合う前記離型層及び、隣り合う前記離型層にそれぞれ配置されることで隣り合う前記熱伝導シートによって形成される隙間の形状が、熱伝導シート保持体の幅方向から見て凸形状である<3>に記載の熱伝導シート保持体。
<5> 前記カバーフィルムと前記熱伝導シートとの間の剥離力よりも前記キャリアフィルムと前記熱伝導シートとの間の剥離力の方が大きい<1>~<4>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
<6> 前記熱伝導シートの平均厚さは、50μm~500μmである<1>~<5>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
<7> 前記熱伝導シートは、熱伝導フィラと、樹脂とを含有する<1>~<6>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
<8> 長手方向に沿ってロール状に巻き取られている<1>~<7>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
<9> 前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向と直交する幅方向において、前記キャリアフィルムの幅及び前記カバーフィルムの幅は、前記熱伝導シートの幅よりも大きい<1>~<8>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
<10> 隣接する前記熱伝導シートの最短距離は2mm以上である<1>~<9>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
<11> 前記キャリアフィルムの表面に切れ込みが発生していない<1>~<10>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体。
【0009】
<12> <1>~<11>のいずれか1つに記載の熱伝導シート保持体を用いて前記熱伝導シートを発熱体と放熱体の間に介在させてなる放熱装置を製造する放熱装置の製造方法であって、前記熱伝導シート保持体から前記カバーフィルムを剥離する工程と、前記カバーフィルムが剥離された前記熱伝導シート保持体において、前記熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に圧着させる工程と、前記発熱体及び前記放熱体の一方が接着した前記熱伝導シートから前記キャリアフィルムを剥離する工程と、前記熱伝導シートの前記発熱体及び前記放熱体の一方が接着した側とは反対側に前記発熱体及び前記放熱体の他方を圧着させる工程と、を備える放熱装置の製造方法。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、効率的に放熱装置を製造することが可能な熱伝導シート保持体、及びこの熱伝導シート保持体を用いた放熱装置の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本開示の熱伝導シート保持体の一例を示す側面図である。
図2図2は、図1の点線部に対応する領域αをカバーフィルム1側から見たときの図である。
図3図3は、放熱装置の製造方法の一例での製造工程の一部を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本開示において各成分に該当する粒子は複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する粒子が複数種存在する場合、各成分の粒子径は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の粒子の混合物についての値を意味する。
本開示において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
本開示において、層の厚さは、対象となる層の5点の厚さを測定し、その算術平均値として与えられる値とする。
層の厚さは、マイクロメーター等を用いて測定することができる。本開示において、層の厚さを直接測定可能な場合には、マイクロメーターを用いて測定する。一方、1つの層の厚さ又は複数の層の総厚さを測定する場合には、電子顕微鏡を用いて、測定対象の断面を観察することで測定してもよい。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0013】
<熱伝導シート保持体>
本開示の熱伝導シート保持体は、長尺状のキャリアフィルムと、複数の熱伝導シートと、前記複数の熱伝導シートを覆う長尺状のカバーフィルムと、をこの順で備え、前記複数の熱伝導シートは、前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向に間隔を空けて配置され、前記複数の熱伝導シートは、前記カバーフィルム及び前記キャリアフィルムから剥離可能である。
【0014】
本開示の熱伝導シート保持体では、長尺状のキャリアフィルム上に複数の熱伝導シートが配置されており、キャリアフィルムとともに複数の熱伝導シートを搬送可能となっている。これにより、熱伝導シート保持体からカバーフィルムが剥離された複数の熱伝導シートをキャリアフィルムと共に搬送しつつ、発熱体、放熱体等に貼り付けることで熱伝導シートを発熱体、放熱体等に連続実装することができる。以上により、効率的に放熱装置を製造することが可能となる。
【0015】
本開示の熱伝導シート保持体は、長手方向に沿ってロール状に巻き取られている構成であることが好ましい。このとき、熱伝導シート保持体は巻き芯に巻きつけられていてもよい。ロール状に巻き取られた熱伝導シート保持体を引き出し、カバーフィルムを熱伝導シートから剥離することで、ロールトゥロールでの連続プロセスにて熱伝導シートを発熱体、放熱体等に連続実装が可能となり、より効率的に放熱装置を製造することができる。
【0016】
(キャリアフィルム)
本開示の熱伝導シート保持体は、長尺状のキャリアフィルムを備える。キャリアフィルムは、熱伝導シートを搬送するための長尺状のフィルム部材であり、キャリアフィルム上に直接又は後述する離型層等を介して複数の熱伝導シートが長手方向に沿って間隔を空けて配置されている。キャリアフィルムは、熱伝導シートから剥離可能である。
【0017】
キャリアフィルムの材質としては、キャリアフィルム上に直接又は離型層等を介して配置された複数の熱伝導シートを搬送可能であれば特に限定されず、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、ポリエーテルイミド、ポリエーテルナフタレート、メチルペンテン等の樹脂が挙げられる。
【0018】
キャリアフィルムは、前述の樹脂を少なくとも1種含む単層フィルムであってもよく、前述の樹脂を少なくとも1種含む層が2層以上積層された多層フィルムであってもよい。
【0019】
キャリアフィルムを熱伝導シートから容易に剥離する観点から、キャリアフィルムと複数の熱伝導シートとの間に離型層が設けられていてもよく、キャリアフィルムは離型層を介して複数の熱伝導シートから剥離可能であってもよい。離型層は、例えば、シリコーン系、シリカ系等の離型剤が表面処理された離型フィルムであってもよい。離型剤が表面処理される離型フィルムの材質としては、前述のキャリアフィルムの材質と同様である。また、離型フィルム等の離型層は、粘着層を介してキャリアフィルム上に設けられていてもよく、本開示の熱伝導シート保持体において、キャリアフィルム側から見てキャリアフィルム、粘着層、離型層及び熱伝導シートの順に積層されていてもよい。
【0020】
キャリアフィルムの平均厚さは特に制限されず、キャリアフィルムの強度、熱伝導シートの搬送性等を考慮して適宜選択することができる。具体的には、キャリアフィルムの平均厚さは、25μm~200μmであることが好ましく、50μm~150μmであることがより好ましく、50μm~100μmであることがさらに好ましい。
【0021】
キャリアフィルムと複数の熱伝導シートとの間に離型層が設けられている場合、離型層の平均厚さは特に制限されず、熱伝導シートの離型性及び熱伝導シート保持体の小型化の観点から、0.01μm~30μmであることが好ましく、1μm~10μmであることがより好ましい。
離型層が、離型剤が表面処理された離型フィルムである場合、離型フィルムの平均厚さは特に制限されず、粘着特性の確保及び熱伝導シート保持体の小型化の観点から、2μm~200μmであることが好ましく、25μm~200μmであることがより好ましく、50μm~150μmであることがさらに好ましく、50μm~100μmであることが特に好ましい。
【0022】
離型層とキャリアフィルムとの間に粘着層が設けられている場合、粘着層に用いられる粘着剤としては、例えば、一般的に用いられるアクリル系粘着剤、天然ゴム系粘着剤、合成ゴム系粘着剤、シリコーン系粘着剤及びこれらの混合系粘着剤が挙げられる。粘着層は、粘着剤以外の成分を含んでいてもよく、架橋剤、粘着付与剤等を含んでいてもよい。
粘着層の平均厚さは特に制限されず、粘着特性の確保及び熱伝導シート保持体の小型化の観点から、2μm~200μmであることが好ましく、5μm~100μmであることがより好ましく、10μm~50μmであることがさらに好ましい。
【0023】
(カバーフィルム)
本開示の熱伝導シート保持体は、長尺状のカバーフィルムを備える。カバーフィルムは、複数の熱伝導シートを覆って保護するための長尺状の部材である。カバーフィルムは、熱伝導シートから剥離可能である。
【0024】
カバーフィルムとしては、特に限定されず、キャリアフィルムに含まれ得る前述の樹脂製のフィルム、上質紙、コート紙、クラフト紙、グラシン紙、再生紙等の紙製のフィルム、アルミニウム等の金属箔などが挙げられる。中でも、カバーフィルムを熱伝導シートから容易に剥離する観点から、紙製のフィルムが好ましい。
カバーフィルムは、前述のフィルム、金属箔等のいずれか1つからなる単層フィルムであってもよく、前述のフィルム、金属箔等が2層以上積層された多層フィルムであってもよい。
【0025】
また、カバーフィルムの複数の熱伝導シート側の面に離型層が設けられていてもよく、カバーフィルムは離型層を介して複数の熱伝導シートから剥離可能であってもよい。離型層は、例えば、シリコーン系、シリカ系等の離型剤を含む層であればよい。カバーフィルムが紙製のフィルムである場合、離型剤が紙製のフィルムに浸透することを抑制する観点から、離型剤を含む層と紙製のフィルムとの間に目止め剤として機能するポリエチレン等を含む層が配置されていてもよい。
【0026】
カバーフィルムの平均厚さは特に制限されず、カバーフィルムの強度、熱伝導シート保持体の小型化の観点から、25μm~200μmであることが好ましく、50μm~150μmであることがより好ましく、75μm~150μmであることがさらに好ましい。ここで、カバーフィルムの複数の熱伝導シート側の面に離型層、必要に応じてポリエチレン等を含む層などが設けられている場合、カバーフィルムの平均厚さは、離型層等を含む合計の平均厚さを意味する。
【0027】
本開示の熱伝導シート保持体では、カバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムの表面、好ましくは熱伝導シート側の表面に切れ込みが発生していないことが好ましく、ダイシング加工、レーザー加工等による切断に由来の切れ込みが発生していないことがより好ましい。特に、カバーフィルム又はキャリアフィルムの表面に切れ込みが発生していないことが好ましく、キャリアフィルムの表面に切れ込みが発生していないことがより好ましい。これらフィルム上に切れ込みが発生していない場合、熱伝導シート保持体に引っ張り応力等がかかった場合にこれらフィルムが破断したり、変形したりすることが抑制される。その結果、熱伝導シート保持体を用いて連続的に熱伝導シートを被着体に圧着させることができないという問題、熱伝導シート保持体にて複数の熱伝導シート間の相対位置がずれてしまい、熱伝導シートを精度よく被着体に圧着させることができないという問題等が生じることが抑制される。特にキャリアフィルムに切れ込みが生じていないことで、後述するような図3に示す方法での連続プロセスにて熱伝導シートを被着体に圧着させる場合であっても、引っ張り応力等によるキャリアフィルムの破断、キャリアフィルム上の熱伝導シートの位置ずれ等が好適に抑制される。
【0028】
本開示の熱伝導シート保持体では、カバーフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力よりもキャリアフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力の方が大きいことが好ましい。これにより、カバーフィルムを熱伝導シート保持体から剥離する際に、キャリアフィルムと熱伝導シートとの間で剥離が生じたりすること、剥離したカバーフィルムに熱伝導シートが付着してしまうこと等を抑制できる。
【0029】
例えば、キャリアフィルムと複数の熱伝導シートとの間に離型層を設けたり、カバーフィルムの複数の熱伝導シート側の面に離型層を設けたり、これらの離型層に含まれる離型剤の種類を変更したりすることにより、カバーフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力及びキャリアフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力を調節してもよい。
【0030】
キャリアフィルムと複数の熱伝導シートとの間に離型層が設けられている場合、カバーフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力よりも当該離型層と熱伝導シートとの間の剥離力の方が大きいことが好ましい。
【0031】
カバーフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力は、0mN/25mm~30mN/25mmであることが好ましく、0mN/25mm~10mN/25mmであることがより好ましく、0mN/25mm~5mN/25mmであることがさらに好ましい。ここで剥離力0mN/25mmとは、カバーフィルムを熱伝導シートとの界面に対して90°の方向に引っ張るように引張試験機に取り付けるときに、既に剥離していることを示す。
本開示のカバーフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力は、幅25mmの積層フィルムを準備し、引張試験機を用いて、引張速度100mm/min及び温度23℃の条件で、カバーフィルムを熱伝導シートとの界面に対して90°の方向に引っ張ることでカバーフィルムと熱伝導シートとの間を剥離させた際の剥離強度の最大値である。
【0032】
キャリアフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力、好ましくはキャリアフィルムと熱伝導シートとの間に配置される離型層と熱伝導シートとの間の剥離力は、5mN/25mm~50mN/25mmであることが好ましく、10mN/25mm~30mN/25mmであることがより好ましく、12mN/25mm~30mN/25mmであることがさらに好ましい。
本開示のキャリアフィルム又は離型層と熱伝導シートとの間の剥離力は、幅25mmの積層フィルムを準備し、引張試験機を用いて、引張速度100mm/min及び温度23℃の条件で、キャリアフィルム又は離型層を熱伝導シートとの界面に対して90°の方向に引っ張ることでキャリアフィルム又は離型層と熱伝導シートとの間を剥離させた際の剥離強度の最大値である。
【0033】
キャリアフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力(好ましくはキャリアフィルムと熱伝導シートとの間に配置される離型層と熱伝導シートとの間の剥離力)は、カバーフィルムと熱伝導シートとの間の剥離力よりも大きいことが好ましく、これらの差は、5mN/25mm~30mN/25mmであることが好ましく、10mN/25mm~25mN/25mmであることがより好ましく、15mN/25mm~20mN/25mmであることがさらに好ましい。
【0034】
熱伝導シート等のシート状物は、被着体との接着性の観点から、カバーフィルムと対面する側の面に粘着成分を有していてもよい。シート状物保持体では、カバーフィルムがシート状物と接触しない状態でシート状物が保持されているため、粘着成分が原因でカバーフィルムにシート状物が付着することが抑制されている。
【0035】
(熱伝導シート)
本開示の熱伝導シート保持体は、長尺状のキャリアフィルムと、長尺状のカバーフィルムとの間に複数の熱伝導シートを備え、複数の熱伝導シートは、前記キャリアフィルム及び前記カバーフィルムの長手方向に間隔を空けて配置されている。
【0036】
熱伝導シートの平均厚さは特に制限されず、目的に応じて適宜選択することができる。具体的には、熱伝導シートの平均厚さは、50μm~500μmとすることができ、熱伝導性及び密着性の点から、60μm~300μmであることが好ましく、70μm~200μmがより好ましい。
【0037】
熱伝導シートの主面の形状は、特に限定されず熱伝導シートの被着体となる発熱体及び放熱体の形状に応じて適宜変更してもよい。熱伝導シートの主面の形状は、円状、楕円状、多角形状等であってもよい。
【0038】
熱伝導シートの主面の形状が多角形状、好ましくは矩形状等の四角形状である場合、一辺の長さは、3mm~100mmであってもよく、5mm~80mmであってもよい。
【0039】
熱伝導シートの主面の形状が矩形状である場合、主面の対向する2辺がキャリアフィルムの長手方向に沿うように複数の熱伝導シートが配置されていることが好ましい。このとき、キャリアフィルムの長手方向と沿う2辺の長さ(長手方向長さ)と、キャリアフィルムの長手方向と直交する幅方向と沿う2辺の長さ(幅方向長さ)との比率(幅方向長さ/長手方向長さ)は、0.1~5であってもよく、0.2~4であってもよく、0.3~3であってもよい。
【0040】
キャリアフィルム及びカバーフィルムの長手方向に間隔を空けて配置された複数の熱伝導シートについて、隣接する熱伝導シートの最短距離は、2mm以上であってもよく、2mm~100mmであってもよく、5mm~60mmであってもよく、5mm~30mmであってもよい。隣接する熱伝導シートの最短距離が2mm以上であることにより、熱伝導シートを発熱体、放熱体等の被着体に圧着させる際に、圧着対象の熱伝導シートに隣接する別の熱伝導シートが被着体への圧着に干渉することが抑制できる。これにより、別の熱伝導シートの損傷、別の熱伝導シートによる被着体への意図しない付着等を抑制できる傾向にある。また、隣接する熱伝導シートの最短距離が100mm以下であることにより、熱伝導シートを発熱体、放熱体等の被着体に圧着させる際の生産性に優れる傾向にある。
【0041】
本開示の熱伝導シート保持体は、キャリアフィルムの長手方向に沿って配置された複数の離型層をキャリアフィルムと複数の熱伝導シートとの間に備えていてもよく、複数の離型層の各々に1個以上の熱伝導シートが配置されていてもよい。また、複数の離型層の各々に2個以上の熱伝導シートが配置されていてもよく、2個~50個の熱伝導シートが配置されていてもよい。複数の離型層を配置することで、離型層のたわみ、たわみによる熱伝導シートの位置ずれ等を抑制できる傾向にある。
【0042】
さらに、本開示の熱伝導シート保持体をカバーフィルムが鉛直方向下側、キャリアフィルムが鉛直方向上側となるように配置した際に、隣り合う離型層及び、隣り合う前記離型層にそれぞれ配置されることで隣り合う前記熱伝導シートによって形成される隙間の形状が、熱伝導シート保持体の幅方向から見て凸形状であることが好ましい。これにより、複数の離型層の熱伝導シートが配置される面にて、長手方向の両端部に熱伝導シートが配置されていないことになり、熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離しやすい傾向にある。
【0043】
前述の隙間の形状が、熱伝導シート保持体の幅方向から見て凸形状である場合、隣り合う離型層の最短距離である凸形状の鉛直方向上側の辺と、隣り合う熱伝導シートの最短距離である凸形状の鉛直方向下側の辺との比率(凸形状の鉛直方向下側の辺/凸形状の鉛直方向上側の辺)は、1よりも大きく300以下であってもよく、1.2~50であってもよく、1.5~10であってもよい。
【0044】
前述の隙間の形状が、熱伝導シート保持体の幅方向から見て凸形状である場合、凸形状の高さと、隣り合う離型層の最短距離である凸形状の鉛直方向上側の辺との比率(凸形状の鉛直方向上側の辺/凸形状の高さ)は、0.1~1000であってもよく、0.5~100であってもよく、1~50であってもよい。
【0045】
キャリアフィルムの幅方向長さ及びカバーフィルムの幅方向長さは、熱伝導シートの幅方向長さよりも大きいことが好ましい。キャリアフィルムの幅方向長さが熱伝導シートの幅方向長さよりも大きいことで、キャリアフィルムを容易に搬送することができ、キャリアフィルムを熱伝導シートから容易に剥離することができる。また、カバーフィルムの幅方向長さが熱伝導シートの幅方向長さよりも大きいことで、熱伝導シートを好適に保護することができ、カバーフィルムを熱伝導シートから容易に剥離することができる。
【0046】
熱伝導シートの幅方向長さに対するキャリアフィルムの幅方向長さの比率(キャリアフィルムの幅方向長さ/熱伝導シートの幅方向長さ)は、1よりも大きく15以下であることが好ましく、1.05~10であることがより好ましく、1.1~5であることがさらに好ましい。
【0047】
熱伝導シートの幅方向長さに対するカバーフィルムの幅方向長さの比率(カバーフィルムの幅方向長さ/熱伝導シートの幅方向長さ)は、1よりも大きく15以下であることが好ましく、1.05~10であることがより好ましく、1.1~5であることがさらに好ましい。
【0048】
本開示の熱伝導シート保持体は、搬送性の観点から、キャリアフィルムの幅方向の両端部に熱伝導シートが配置されていないことが好ましく、キャリアフィルムの両端部には、長手方向に沿ってキャリアフィルム搬送用のスプロケット穴が一定間隔を空けて複数設けられていることがより好ましい。さらに、スプロケット穴が一定間隔を空けて複数設けられていることで、スプロケット穴の間隔に基づいてキャリアフィルムの長手方向に一定間隔を空けて複数の熱伝導シートを配置することが容易となり、また、熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に圧着させる際の位置決めも容易となる。
【0049】
隣接するスプロケット穴の中心間距離は、2mm~10mmであってもよく、3mm~6mmであってもよい。
また、スプロケット穴の円相当径は、0.5mm~5mmであってもよく、1mm~3mmであってもよい。
【0050】
本開示で用いる熱伝導シートでは、後述の第2圧着工程での高温プレス条件において、熱伝導シートが潰れやすくなり、発熱体及び放熱体の他方により密着しやすくなる観点から、150℃における圧縮応力が0.1MPaのときの圧縮弾性率が1.4MPa以下であることが好ましく、1.3MPa以下であることがより好ましく、1.2MPa以下であることがさらに好ましい。150℃における圧縮応力が0.1MPaのときの圧縮弾性率の下限は特に制限されない。上記圧縮弾性率は0.5MPa以上であってもよく、0.7MPa以上であってもよい。
【0051】
熱伝導シートの圧縮弾性率は、圧縮試験装置(例えば、INSTRON 5948 Micro Tester(INSTRON社))を用いて測定することができる。熱伝導シートに厚さ方向に荷重を加え、変位(mm)と荷重(N)を測定する。変位(mm)/厚さ(mm)で求められる歪み(無次元)を横軸に、荷重(N)/面積(mm)で求められる応力(MPa)を縦軸に示し、所定の応力のときの傾きを圧縮弾性率(MPa)とする。具体的には、例えば実施例に記載の方法で測定することができる。
【0052】
本開示で用いる熱伝導シートでは、25℃におけるタック力は5.0N・mm以上であることが好ましく、6.0N・mm以上であることがより好ましく、7.0N・mm以上であることがさらに好ましい。タック力が5.0N・mm以上であると、熱伝導シートを備える放熱装置に反りが発生して発熱体と放熱体の間隔が増大した際に、熱伝導シートが発熱体及び放熱体から剥がれることを抑制できる。タック力の上限値は特に制限されない。上記タック力は20.0N・mm以下であってもよく、15.0N・mm以下であってもよい。
【0053】
熱伝導シートの25℃におけるタック力は、万能物性試験機(例えば、テクスチャーアナライザー(英弘精機株式会社))を用いて測定することができる。25℃(常温)において、直径7mmのプローブを荷重40Nで熱伝導シートに押し当て10秒間保持した後、プローブを引き上げた際の荷重と変位曲線を積分して得られる面積を、25℃におけるタック力(N・mm)とする。
【0054】
本開示で用いる熱伝導シートは、150℃における圧縮応力が0.1MPaのときの圧縮弾性率及び25℃におけるタック力の両方が前述の条件を満たすことが好ましい。
【0055】
前述のように、150℃における圧縮応力が0.1MPaのときの圧縮弾性率が1.4MPa以下である熱伝導シートは軟質なシートであり、25℃におけるタック力が5.0N・mm以上である熱伝導シートは高粘着なシートである。そのため、このような軟質又は高粘着な熱伝導シート自体をピックアップして発熱体、放熱体等に実装することを試みた場合、軟質又は高粘着な熱伝導シート自体が変形、破断等しやすく、軟質又は高粘着な熱伝導シートを保護シート等の基材から容易に剥離できない、あるいは、剥離後の熱伝導シート自体が変形、破断等しており、発熱体、放熱体等の実装に使用できないという問題がある。
【0056】
一方、本開示の熱伝導シート保持体では、熱伝導シートを発熱体、放熱体等に実装する際に前述のようなピックアップは必要なく、熱伝導シート自体の変形、破断等を抑制しつつ発熱体、放熱体等に熱伝導シートを連続実装することができるため、熱伝導シートの取り扱い性及び放熱装置の製造効率に優れる。
【0057】
上記圧縮弾性率及び上記タック力は、例えば熱伝導シートに用いられる各成分の配合割合を調整することによって得ることができる。
以下、熱伝導シートの好ましい組成等について説明する。
【0058】
≪熱伝導フィラ≫
熱伝導シートは、熱伝導フィラを含有することが好ましい。熱伝導フィラは、熱伝導性を有するフィラであれば特に制限されない。熱伝導フィラとしては、銀、銅、アルミニウム等の高熱伝導性金属の粒子、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、酸化マグネシウム等のセラミックスの粒子、黒鉛粒子などが挙げられる。なお、熱伝導フィラとしては、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0059】
熱伝導フィラとしては、特に、熱抵抗が少なく、かつ熱伝導性に優れる点から、黒鉛粒子が好ましく、後述する鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子がより好ましい。
【0060】
熱伝導フィラの質量平均粒子径(D50)は、レーザー回折・散乱法を適応したレーザー回折式粒度分布装置(例えば、日機装株式会社製「マイクロトラックシリーズMT3300」)を用いて測定され、重量累積粒度分布曲線を小粒子径側から描いた場合に、重量累積が50%となる粒子径に対応する。
【0061】
熱伝導フィラの粒子径分布は特に制限されず、横軸に粒子径を、縦軸に頻度をとった粒子径分布が単一のピークを有する単分散系であっても、粒子径分布が複数のピークを有する多分散系であってもよい。また粒子径分布が狭いものであっても、粒子径分布が広いものであってもよい。
【0062】
熱伝導シート中の熱伝導フィラの含有率は、例えば、熱伝導性と発熱体、放熱体等との密着性とのバランスの点から、15体積%~50体積%であることが好ましく、20体積%~45体積%であることがより好ましく、25体積%~40体積%であることがさらに好ましい。
熱伝導フィラの含有率が15体積%以上であると、熱伝導性がより向上する傾向にある。熱伝導フィラの含有率が50体積%以下であると、粘着性及び発熱体、放熱体等との密着性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。
【0063】
熱伝導フィラの含有率(体積%)は、次式により求めた値である。
熱伝導フィラの含有率(体積%)=(Aw/Ad)/((Aw/Ad)+(Bw/Bd)+(Cw/Cd))×100
Aw:熱伝導フィラの質量組成(質量%)
Bw:樹脂の質量組成(質量%)
Cw:その他の任意成分の質量組成(質量%)
Ad:熱伝導フィラの密度
Bd:樹脂の密度
Cd:その他の任意成分の密度
【0064】
熱伝導フィラとしては、鱗片状粒子、楕球状粒子及び棒状粒子からなる群より選択される少なくとも1種の黒鉛粒子を含有していてもよい。また、黒鉛粒子が鱗片状粒子の場合には面方向、黒鉛粒子が楕球状粒子の場合には長軸方向又は黒鉛粒子が棒状粒子の場合には長軸方向が、厚さ方向に配向していてもよい。
かかる構成であることで、熱伝導シートは、熱抵抗が小さく、熱伝導性に優れる。
【0065】
黒鉛粒子の形状は、鱗片状が好ましい。鱗片状の黒鉛粒子を選択することで、熱伝導性がより向上する傾向にある。これは例えば、鱗片状の黒鉛粒子は、熱伝導シート中で、所定の方向へより容易に配向するためと考えることができる。なお、六員環面とは、六方晶系において六員環が形成されている面であり、(0001)結晶面を意味する。
【0066】
黒鉛粒子の結晶中の六員環面が、鱗片状粒子の面方向、楕円体状粒子の長軸方向又は棒状粒子の長軸方向に配向しているかどうかは、X線回折測定により確認することができる。黒鉛粒子の結晶中の六員環面の配向方向は、具体的には以下の方法で確認する。
【0067】
まず、黒鉛粒子の鱗片状粒子の面方向、楕円体状粒子の長軸方向又は棒状粒子の長軸方向が、シートの面方向に沿って配向した測定用サンプルシートを作製する。測定用サンプルシートの具体的な作製方法としては、例えば、以下の方法が挙げられる。
【0068】
樹脂と、樹脂に対して10体積%以上の量の黒鉛粒子との混合物をシート化する。ここで用いる「樹脂」とは、X線回折の妨げになるピークが現れない材料で、かつシート物を形成可能な材料であれば特に制限されない。具体的には、アクリルゴム、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、SIBS(スチレン-イソブチレン-スチレン共重合体)等、バインダとしての凝集力を有する非晶質樹脂を使用することができる。
【0069】
この混合物のシートが、元の厚さの1/10以下となるようにプレスし、プレスしたシートの複数枚を積層して積層体を形成する。この積層体をさらに1/10以下まで押しつぶす操作を3回以上繰り返して測定用サンプルシートを得る。この操作により、測定用サンプルシート中では、黒鉛粒子が鱗片状粒子の場合には面方向、楕円体状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向が、測定用サンプルシートの面方向に沿って配向した状態になる。
【0070】
上記のように作製した測定用サンプルシートの表面に対してX線回折測定を行う。2θ=77°付近に現れる黒鉛の(110)面に対応するピークの高さH1と、2θ=27°付近に現れる黒鉛の(002)面に対応するピークの高さH2とを測定する。このように作製した測定用サンプルシートでは、H1をH2で割った値が0~0.02となる。
【0071】
このことより、「黒鉛粒子の結晶中の六員環面が、鱗片状粒子の場合には面方向、楕円体状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向に配向している」とは、黒鉛粒子を含有するシートの表面に対し、X線回折測定を行い、2θ=77°付近に現れる黒鉛粒子の(110)面に対応するピークの高さを、2θ=27°付近に現れる黒鉛粒子の(002)面に対応するピークの高さで割った値が0~0.02となる状態をいう。
【0072】
本開示において、X線回折測定は以下の条件で行う。
装置:ブルカー・エイエックスエス株式会社製「D8DISCOVER」
X線源:波長1.5406nmのCuKα、40kV、40mA
ステップ(測定刻み幅):0.01°
ステップタイム:720sec
【0073】
ここで、「黒鉛粒子が鱗片状粒子の場合には面方向、楕円体状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向が熱伝導シートの厚さ方向に配向している」とは、鱗片状粒子の場合には面方向、楕円体状粒子の場合には長軸方向、及び棒状粒子の場合には長軸方向と、熱伝導シートの表面とのなす角度(以下、「配向角度」ともいう)が、60°以上であることをいう。配向角度は、80°以上であることが好ましく、85°以上であることがより好ましく、88°以上であることがさらに好ましい。
【0074】
配向角度は、熱伝導シートの断面をSEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、任意の50個の黒鉛粒子について、鱗片状粒子の場合には面方向と、楕円体状粒子の場合には長軸方向と、及び棒状粒子の場合には長軸方向と、熱伝導シート表面(主面)とのなす角度(配向角度)を測定したときの平均値である。
【0075】
黒鉛粒子の粒子径は特に制限されない。黒鉛粒子の平均粒子径は、熱伝導シートの平均厚さの1/2~平均厚さであることが好ましい。黒鉛粒子の平均粒子径が熱伝導シートの平均厚さの1/2以上であると、熱伝導シート中に効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導率が向上する傾向にある。黒鉛粒子の平均粒子径が熱伝導シートの平均厚さ以下であると、熱伝導シートの表面からの黒鉛粒子の突出が抑えられ、熱伝導シートの表面の密着性に優れる傾向にある。
【0076】
尚、特開2008-280496号公報に記載されているような積層スライス法を用いる場合、原料として用いる黒鉛粒子の粒子径は、質量平均粒子径として、熱伝導シートの平均厚さの1/2倍以上であることが好ましく、平均厚さを超えてもよい。原料として用いる黒鉛粒子の粒子径が熱伝導シートの平均厚さを超えてもよい理由は、例えば、熱伝導シートの平均厚さを超える粒子径の黒鉛粒子を含んでいても、黒鉛粒子ごとスライスして熱伝導シートを形成するため、結果的に黒鉛粒子が熱伝導シートの表面から突出しないからである。またこのように黒鉛粒子ごとスライスすると、熱伝導シートの厚さ方向に貫通する黒鉛粒子が多数生じ、極めて効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する傾向にある。
【0077】
積層スライス法を用いる場合、原料として用いる黒鉛粒子の粒子径は、質量平均粒子径として、熱伝導シートの平均厚さの1倍~5倍であることがより好ましい。黒鉛粒子の質量平均粒子径が、熱伝導シートの平均厚さの1倍以上であると、さらに効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する。熱伝導シートの平均厚さの5倍以下であると、黒鉛粒子の表面部に占める面積が大きくなりすぎるのが抑えられ、密着性の低下が抑制できる。
【0078】
熱伝導フィラ中の黒鉛粒子の含有率は、熱伝導フィラ全体積に対して、例えば、50体積%~100体積%であることが好ましく、80体積%~100体積%であることがより好ましく、95体積%~100体積%であることがさらに好ましく、100体積%であることが特に好ましい。
【0079】
熱伝導シートは黒鉛粒子として、鱗片状粒子、楕円体状粒子及び棒状粒子以外の粒子を含んでいてもよく、球状黒鉛粒子、人造黒鉛粒子、薄片化黒鉛粒子、酸処理黒鉛粒子、膨張黒鉛粒子、炭素繊維フレーク等を含んでいてもよい。
黒鉛粒子としては、鱗片状粒子が好ましく、結晶化度が高くかつ大粒径の鱗片が得やすい観点から、シート化した膨張黒鉛を粉砕して得られる、鱗片状の膨張黒鉛粒子が好ましい。
【0080】
≪樹脂≫
熱伝導シートは、樹脂を含有することが好ましい。熱伝導シートが樹脂を含有することにより、熱伝導シートは柔軟性に優れ、発熱体、放熱体等に対する密着性が良好な熱伝導シートが得られる傾向にある。
【0081】
樹脂としては、特に制限されず、例えば硬化性樹脂であっても、非硬化性樹脂であってもよい。樹脂としては、エポキシ樹脂、シリコーン、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ベンゾシクロブテン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル、ジアリルフタレート樹脂、ポリウレタン、ポリイミドシリコーン、熱硬化型ポリフェニレンエーテル、熱硬化型変性ポリフェニレンエーテル、ポリブテン、ポリイソプレン、ポリサルファイド、アクリロニトリルゴム、シリコーンゴム、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、テルペンフェノール樹脂、水添テルペンフェノール等が挙げられる。樹脂は1種を単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0082】
熱伝導シート中の樹脂の含有量は、樹脂の種類及び所望の柔軟性、粘着力、密着性、シート強度、耐加水分解性等に応じて選択することが好ましい。例えば、樹脂の含有率は熱伝導シートの全体積に対して、25体積%~75体積%であることが好ましく、40体積%~70体積%であることがより好ましく、50体積%~65体積%であることがさらに好ましい。
【0083】
≪その他の成分≫
熱伝導シートは、熱伝導フィラ及び樹脂以外のその他の成分を、目的に応じて含有していてもよい。例えば、熱伝導シートは、難燃性を付与する目的で、難燃剤を含有していてもよい。
【0084】
難燃剤は特に限定されず、通常用いられる難燃剤から適宜選択することができる。例えば、赤りん系難燃剤及びりん酸エステル系難燃剤が挙げられる。中でも、安全性に優れ、可塑性効果により密着性が向上する点から、りん酸エステル系難燃剤が好ましい。
【0085】
赤りん系難燃剤としては、純粋な赤りん粉末の他に、安全性又は安定性を高める目的で種々のコーティングを施したもの、マスターバッチ化したもの等を用いてもよい。具体的には、燐化学工業株式会社製のノーバレッド、ノーバエクセル、ノーバクエル、ノーバペレット(いずれも商品名)等が挙げられる。
【0086】
りん酸エステル系難燃剤としては、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリブチルホスフェート等の脂肪族リン酸エステル;トリフェニルホスフェート、トリクレジルホスフェート、クレジルジフェニルホスフェート、トリキシレニルホスフェート、クレジル-2,6-キシレニルホスフェート、トリス(t-ブチル化フェニル)ホスフェート、トリス(イソプロピル化フェニル)ホスフェート、リン酸トリアリールイソプロピル化物等の芳香族リン酸エステル;レゾルシノールビスジフェニルホスフェート、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)、レゾルシノールビスジキシレニルホスフェート等の芳香族縮合リン酸エステルなどが挙げられる。
これらの中でもビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)が、耐加水分解性に優れ、かつ可塑効果により密着性を向上する効果に優れる点から好ましい。
【0087】
熱伝導シート中の難燃剤の含有率は制限されず、難燃性が発揮される量で用いることができ、40体積%以下とすることが好ましく、難燃剤成分が熱伝導シートの表面に染み出すことによる熱抵抗の悪化を抑制する点から、30体積%以下とすることが好ましい。
【0088】
熱伝導シートは、必要に応じて、酸化防止剤、ラジカルトラップ剤、pH調整剤等の添加剤を含有していてもよく、好ましくは酸化防止剤を含有してもいてもよい。これらの添加剤の含有率は、熱伝導シート中、5体積%以下であることが好ましく、3体積%以下であることがより好ましく、1体積%以下であることがさらに好ましい。
【0089】
〔熱伝導シート保持体の製造方法〕
熱伝導シート保持体の製造方法は、例えば、以下のような方法が挙げられる。その製造方法は、熱伝導フィラ、樹脂及び必要に応じてその他の成分を含む組成物を準備する工程(「準備工程」ともいう)と、前記組成物をシート化してシートを得る工程(「シート作製工程」ともいう)と、前記シートの複数枚を重ねて、前記シートの1枚を折り畳んで、又は前記シートの1枚を捲回させて積層体を作製する工程(「積層体作製工程」ともいう)と、前記積層体の側端面をスライスする工程(スライシング工程)と、スライスされた複数の熱伝導シートをカバーフィルムとキャリアフィルムとの間に挟持し、複数の熱伝導シートをラミネートする工程(ラミネート工程)と、を有する。
【0090】
かかる方法で製造された熱伝導シート保持体に含まれる熱伝導シートは、効率的な熱伝導パスを形成し易く、そのため高熱伝導性と密着性に優れる傾向にある。
【0091】
<準備工程>
熱伝導シートを構成する組成物の調製は、熱伝導フィラ、樹脂及び必要に応じてその他の成分を均一に混合することが可能であれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。また、組成物は市販のものを入手して準備してもよい。組成物の調製の詳細は、特開2008-280496号公報の段落[0033]を参照することができる。
【0092】
<シート作製工程>
シート作製工程は、先の工程で得られた組成物をシート化できれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。例えば、圧延、プレス、押出、及び塗工からなる群から選択される少なくとも1つの成形方法を用いて実施することが好ましい。シート作製工程の詳細は、特開2008-280496号公報の段落[0034]を参照することができる。
【0093】
<積層体作製工程>
積層体作製工程は、先の工程で得られたシートの積層体を形成する。積層体は、例えば、独立した複数枚のシートを順に重ね合わせた形態に限らず、1枚のシートを切断せずに折り畳んだ形態であっても、又はシートの1枚を捲回させた形態であってもよい。積層体作製工程の詳細は、特開2008-280496号公報の段落[0035]~[0037]を参照することができる。
【0094】
<スライシング工程>
スライシング工程は、先の工程で得られた積層体の側端面をスライスできれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。熱伝導シートの厚さ方向に貫通する黒鉛粒子によって極めて効率的な熱伝導パスが形成され、熱伝導性がより向上する観点から、黒鉛粒子の質量平均粒子径の2倍以下の厚さでスライスすることが好ましい。スライシング工程の詳細は、特開2008-280496号公報の段落[0038]を参照することができる。
【0095】
<ラミネート工程>
ラミネート工程は、スライスされた複数の熱伝導シートをカバーフィルムとキャリアフィルム又はカバーフィルムと離型フィルムとの間に挟持し、複数の熱伝導シートをカバーフィルム及びキャリアフィルム又は離型フィルムに貼り付けられれば、いずれの方法であってもよく、特に限定されない。例えば、スライスされた熱伝導シートを所定のサイズにカットしてから、複数の熱伝導シートをカバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムに配置し、次いで、配置された複数の熱伝導シートをカバーフィルムとキャリアフィルム又はカバーフィルムと離型フィルムとの間に挟持し、熱伝導シートをこれらに貼り合わせて熱伝導シート保持体を得てもよい。上記の方法以外に、例えば、スライスされた熱伝導シートをカバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムの上に配置し、所定のサイズになるように熱伝導シートを打ち抜き等でカットし、次いでカットされた複数の熱伝導シートをカバーフィルムとキャリアフィルム又はカバーフィルムと離型フィルムとの間に挟持し、熱伝導シートをこれらに貼り合わせることによって熱伝導シート保持体を得てもよい。
【0096】
例えば、ラミネート工程では、長尺状の熱伝導シートをカバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムに配置し、ダイシング加工、レーザー加工等によって長尺状の熱伝導シートを切断することによって、複数の熱伝導シートをカバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムに配置することも可能である。しかし、ダイシング加工、レーザー加工等によって長尺状の熱伝導シートを切断した場合、長尺状の熱伝導シートが配置されたカバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムも厚さ方向に一部切断されて切れ込みが発生し得る。これらフィルム上に切れ込みが発生すると、得られた熱伝導シート保持体に引っ張り応力等がかかった場合にこれらフィルムが破断したり、変形したりするおそれがある。その結果、熱伝導シート保持体を用いて連続的に熱伝導シートを被着体に圧着させることができないという問題、熱伝導シート保持体にて複数の熱伝導シート間の相対位置がずれてしまい、熱伝導シートを精度よく被着体に圧着させることができないという問題等が生じやすくなる。特にカバーフィルム又はキャリアフィルムに切れ込みが生じた場合にこのような問題が生じやすく、さらにキャリアフィルムに切れ込みが生じた場合には後述するような図3に示す方法での連続プロセスが困難となる。
【0097】
以上の点から、ラミネート工程では、複数の熱伝導シートをカバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムに配置すること、又は、カバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムの上に配置された熱伝導シートを打ち抜き等でカットすることを含むことが好ましい。これにより、カバーフィルム、キャリアフィルム又は離型フィルムへ切れ込みが生じない、あるいは抑制され、熱伝導シート保持体に引っ張り応力等がかかった場合のフィルムの破断、変形等が好適に抑制できる。さらに、ダイシング加工、レーザー加工等によって長尺状の熱伝導シートを切断した場合と異なり、隣接する熱伝導シートの最短距離は2mm以上となるように複数の熱伝導シートを配置することも容易となる。
【0098】
<放熱装置の製造方法>
本開示の放熱装置の製造方法は、本開示の熱伝導シート保持体を用いて前記熱伝導シートを発熱体と放熱体の間に介在させてなる放熱装置を製造する放熱装置の製造方法であって、前記熱伝導シート保持体から前記カバーフィルムを剥離する工程と、前記カバーフィルムが剥離された前記熱伝導シート保持体において、前記熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に圧着させる工程と、前記発熱体及び前記放熱体の一方が接着した前記熱伝導シートから前記キャリアフィルムを剥離する工程と、前記熱伝導シートの前記発熱体及び前記放熱体の一方が接着した側とは反対側に前記発熱体及び前記放熱体の他方を圧着させる工程と、を備える放熱装置の製造方法である。
【0099】
本開示の製造方法で得られる放熱装置は、熱伝導シートを介して発熱体と放熱体とが積層されていることで、発熱体からの熱を放熱体に効率よく伝導することができる。また、発熱体から放熱体を取り外す際に容易に熱伝導シートを除去することができる。
【0100】
本開示の製造方法は、熱伝導シート保持体からカバーフィルムを剥離する工程を含む。例えば、本開示の熱伝導シート保持体がロール状に巻き取られている場合、ロール状の熱伝導シート保持体を回転可能な繰出ロールに取り付けた状態で熱伝導シート保持体を繰り出しながらカバーフィルムを剥離してもよい。
【0101】
本開示の製造方法は、カバーフィルムが剥離された熱伝導シート保持体において、熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に圧着させる工程(以下、「第1圧着工程」とも称する。)を含む。このとき、ロールトゥロールでの連続プロセスにて、カバーフィルムが剥離された熱伝導シート保持体を搬送し、熱伝導シート保持体に配置された熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に圧着させる処理を行ってもよい。
【0102】
発熱体としては、例えば、基板上に半導体チップが配置された半導体パッケージ、ディスプレイ、LED、電灯、自動車用パワーモジュール及び産業用パワーモジュールが挙げられる。放熱体としては、例えば、アルミニウム又は銅のフィン、板等を利用したヒートシンク、ヒートパイプに接続されているアルミニウム又は銅のブロック、内部に冷却液体をポンプで循環させているアルミニウム又は銅のブロック、及びペルチェ素子ならびにこれを備えたアルミニウム又は銅のブロックが挙げられる。
【0103】
第1圧着工程での圧力及び加熱温度は、熱伝導シートを発熱体及び放熱体の一方に接着させることが可能であれば特に限定されない。例えば、前述の圧力は、0.1MPa~4.0MPaであってもよく、0.15MPa~2.0MPaであってもよい。また、前述の加熱温度は、15℃~100℃であってもよく、20℃~35℃であってもよい。熱伝導シートを発熱体に圧着させる場合、発熱体を発熱させて圧着を行ってもよい。
【0104】
本開示の製造方法は、発熱体及び放熱体の一方が接着した熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離する工程を含む。例えば、前述の圧着させる工程にて発熱体及び放熱体の一方に熱伝導シートを圧着させた後に、圧着を解除して熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離すればよい。この工程により、熱伝導シートが接着した発熱体及び放熱体の一方を得ることができる。また、キャリアフィルムと熱伝導シートとの間に離型層が設けられていてもよく、この場合、離型層を介して熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離してもよい。
【0105】
ロールトゥロールでの連続プロセスにて、熱伝導シートが剥離されたキャリアフィルムを搬送方向上流側にて回転可能な巻取ロールに取り付け、巻取ロール及び前述の繰出ロールを回転させることで熱伝導シートが剥離されたキャリアフィルムを回収しつつ、新たな熱伝導シートを搬送させ、新たな発熱体及び放熱体の一方との圧着を行う処理を連続的に行ってもよい。
【0106】
本開示の製造方法は、熱伝導シートの発熱体及び放熱体の一方が接着した側とは反対側に発熱体及び放熱体の他方を圧着させる工程(以下、「第2圧着工程」とも称する。)を含む。この工程にて、熱伝導シートが接着した発熱体及び放熱体の一方に発熱体及び放熱体の他方を圧着させることで、熱伝導シートを発熱体と放熱体の間に介在させてなる放熱装置を得ることができる。第2圧着工程での圧力及び加熱温度の好ましい条件は、熱伝導シートを発熱体及び放熱体の他方に接着させることが可能であれば特に限定されない。例えば、前述の圧力は、0.1MPa~2.0MPaであってもよく、0.15MPa~1.0MPaであってもよい。また、前述の加熱温度は、80℃~180℃であってもよく、100℃~170℃であってもよい。一方の面が露出した熱伝導シートを発熱体に圧着させる場合、発熱体を発熱させて圧着を行ってもよい。
【0107】
本開示の製造方法では、第1圧着工程前の熱伝導シートの初期厚さに対する第2圧着工程後に減少した熱伝導シートの厚さの割合(圧縮率)が、5%~35%となるように、第1圧着工程及び第2圧着工程での圧着条件を調整してもよい。
【0108】
(熱伝導シート保持体の一例)
以下、図1及び図2を用いて熱伝導シート保持体の一例について説明する。図1は、本開示の熱伝導シート保持体の一例を示す側面図である。図2は、図1の点線部に対応する領域αをカバーフィルム1側から見たときの図である。なお、図2では、カバーフィルム1を省略している。図1に示すように、熱伝導シート保持体10は、長尺状のキャリアフィルム3と、複数の熱伝導シート2と、長尺状のカバーフィルム1と、をこの順で備える。さらに、熱伝導シート保持体10は、キャリアフィルム3と複数の熱伝導シート2との間に、カバーフィルム1側から見て離型フィルム4及び粘着層5がこの順で配置されている。キャリアフィルム3の長手方向に沿って複数の離型フィルム4が配置されており、複数の離型フィルムの各々に9個の熱伝導シートが配置されている。また、図1中の丸の点線で囲んだ領域αは、隣り合う離型フィルム4及び、隣り合う離型フィルムにそれぞれ配置されることで隣り合う熱伝導シート2によって形成される隙間に該当し、その形状は正面から見て凸形状となっている。
【0109】
熱伝導シート保持体10は、巻き芯6に長手方向に沿ってロール状に巻き取られた構成を有し、図1では、ロール状に巻き取られた熱伝導シート保持体10の一部が引き出されている。なお、図1では、熱伝導シート保持体10の引き出された部分を巻き芯6よりも強調して図示しており、引き出された部分及び巻き芯6の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。また、図1では、中心軸に対してカバーフィルム1が外側、キャリアフィルム3が内側となるように熱伝導シート保持体10がロール状に巻き取られているが、これに限定されず、中心軸に対してカバーフィルム1が内側、キャリアフィルム3が外側となるように熱伝導シート保持体10がロール状に巻き取られていてもよい。
【0110】
キャリアフィルム3の幅方向長さ及びカバーフィルム1の幅方向長さは、熱伝導シート2の幅方向長さよりも大きくなっている。キャリアフィルム3の幅方向の両端部に熱伝導シート2が配置されておらず、キャリアフィルム3の両端部には、長手方向に沿ってキャリアフィルム搬送用のスプロケット穴7が一定間隔を空けて複数設けられている。一定間隔を空けて設けられたスプロケット穴7は、キャリアフィルム搬送時の熱伝導シート2の位置決めにも用いられる。
【0111】
(放熱装置の製造方法の一例)
以下、図3を用いて放熱装置の製造方法の一例について説明する。図3は、放熱装置の製造方法の一例での製造工程の一部を示す概略図である。図3では、離型フィルム4及び粘着層5を省略している。
【0112】
図3に示すように、ロール状に巻き取られた熱伝導シート保持体10は、矢印X方向に回転可能な繰出ロール11に取り付けられ、繰出ロール11から引き出された熱伝導シート保持体10からカバーフィルム1が剥離される。カバーフィルム1が剥離された熱伝導シート保持体10のキャリアフィルム3は、繰出ロール11から一定の距離が離れた矢印Z方向に回転可能な巻取ロール16に取り付けられる。搬送方向にて繰出ロール11と巻取ロール16との間に発熱体である半導体チップ13に熱伝導シート2を圧着させるプレス機14が設けられている。
【0113】
繰出ロール11と巻取ロール16との間に図示しないスプロケットローラが配置され、スプロケットローラの表面に等間隔で設けられたスプロケットピンにスプロケット穴7が挿通され、矢印X方向に繰出ロール11を回転させ、かつ矢印Z方向に巻取ロール16を回転させることでキャリアフィルム3の上に配置された熱伝導シート2がプレス機14と対面する領域まで搬送される。
【0114】
キャリアフィルム3の上に配置された熱伝導シート2がプレス機14と対面する領域まで搬送された後、プレス機14と基板12上に配置された半導体チップ13との間に熱伝導シート2が配置された状態でプレス機14を用いて矢印Y方向に加圧することで半導体チップ13に熱伝導シート2を圧着させる。なお、図3に示すように1つの半導体チップ13に1つの熱伝導シート2を圧着させる構成に限定されず、1つの半導体チップ13に複数の熱伝導シート2を圧着させてもよく、複数の半導体チップ13のそれぞれに1つ又は複数の熱伝導シート2を圧着させてもよい。
【0115】
熱伝導シート2の圧着後に、繰出ロール11及び巻取ロール16を回転させて領域15にて半導体チップ13の表面に圧着された熱伝導シート2からキャリアフィルム3を剥離する。このとき、図示しない離型層を介して熱伝導シート2からキャリアフィルム3が剥離され、離型層付きのキャリアフィルム3が巻取ロール16にて回収されるとともに、熱伝導シート2が圧着された半導体チップ付き基板が得られる。
【0116】
そして、キャリアフィルム3によって搬送された次の熱伝導シート2を次の半導体チップ付き基板に配置された半導体チップ13の表面に圧着させ、前述の工程を繰り返すことで熱伝導シート2を半導体チップ付き基板に連続実装することができる。以上により、効率的に、熱伝導シートを発熱体に圧着させることができる。
【実施例0117】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「%」は質量基準である。
【0118】
[実施例1]
150℃における圧縮応力が0.10MPaのときの圧縮弾性率が1.16MPaであり、25℃におけるタック力が7.6N・mm、熱伝導率が16W/(m・K)である昭和電工マテリアルズ株式会社製の厚さ150μm、キャリアフィルムの長手方向長さ30mm、幅方向長さ50mmの熱伝導シートを複数準備した。この熱伝導シートでは、熱伝導フィラとして鱗片状の膨張黒鉛粒子(昭和電工マテリアルズ株式会社「HGF-L」、質量平均粒子径:270μm、前述のX線回折測定を用いた方法により、結晶中の六員環面が、鱗片状粒子の面方向に配向していることを確認した)を使用した。
さらに、以下に示す長尺状のキャリアフィルム及び長尺状のカバーフィルムを準備した。また、キャリアフィルムと熱伝導シートとの間に設ける以下の粘着層及び離型フィルムを準備した。
(キャリアフィルム)
長尺状のPETフィルム:東レ株式会社の商品名ルミラーS30、厚さ75μm、幅方向長さ66mm
(カバーフィルム)
長尺状の紙フィルム:シリコーン離型剤/ポリエチレン/クラフト紙の積層体、住化加工紙株式会社の商品名SL-70S(U2)、合計厚さ105μm、幅方向長さ66mm、熱伝導シートに対する剥離力0mN/25mm。ここで剥離力0mN/25mmとは、カバーフィルムを熱伝導シートとの界面に対して90°の方向に引っ張るように引張試験機に取り付けるときに、既に剥離していたことを示す。
(粘着層)
アクリル樹脂製の両面テープ:日榮新化株式会社の商品名Neo Fix30、厚さ30μm、幅方向長さ50mm
(離型フィルム)
離型処理剤が処理されたPETフィルム:ニッパ株式会社の商品名FU、厚さ75μm、幅方向長さ50mm、熱伝導シートに対する剥離力18mN/25mm
【0119】
長尺状のキャリアフィルムの幅方向の両端部に長手方向に沿って直径約2.0mmのスプロケット穴を中心間距離が約5.0mm、スプロケット穴の中心とキャリアフィルムの幅方向の端部との最短距離が約3.0mmとなるように一定間隔で複数設けた。さらに、キャリアフィルムについて、長手方向に沿ってスプロケット穴が設けられた両端部の間に粘着層及び離型フィルムをこの順に配置した。このとき、離型フィルムの離型処理剤が処理された面が粘着層とは反対側になるように離型フィルムを配置した。
【0120】
離型フィルムの幅方向の両端部と熱伝導シートの幅方向の両端部とが一致するように、1枚の離型フィルム上に熱伝導シートを6枚ずつ配置し、熱伝導シートが6枚配置された離型フィルムを長手方向に沿って複数配列させた。このとき、隣接する熱伝導シートの最短距離を20mmに調整した。
【0121】
次に、キャリアフィルムの幅方向の両端部と、カバーフィルムの幅方向の両端部とが平面視で一致するように配置して、複数の熱伝導シートをカバーフィルムとキャリアフィルムとの間に挟持した状態で複数の熱伝導シートをカバーフィルム及びキャリアフィルムに貼り付けた。これにより、長尺状のキャリアフィルムと、粘着層と、離型フィルムと、複数の熱伝導シートと、長尺状のカバーフィルムと、をこの順で備える長尺状の熱伝導シート保持体を製造した。この長尺状の熱伝導シート保持体をキャリアフィルム側が巻き芯側に位置するように長手方向に沿って巻き芯に巻き付けることでロール状の熱伝導シート保持体を得た。なお、図3に示すロールトゥロールでの連続プロセスにロール状の熱伝導シート保持体を用いる際、圧着工程を開始する前に熱伝導シート保持体を引き出して巻取ロールに取り付ける必要がある。圧着工程に使用できない熱伝導シートを発生させないため、ロール状の熱伝導シート保持体から最初に引き出される長さ1m程度の領域には、カバーフィルムとキャリアフィルムとの間に熱伝導シートを設けなかった。
【0122】
図3に示すように、ロール状の熱伝導シート保持体を繰出ロールに取り付け、繰出ロールから引き出した熱伝導シート保持体からカバーフィルムを剥離しつつ、カバーフィルムが剥離され、熱伝導シートが設けられていない部分のキャリアフィルムを巻取ロールに取り付け、繰出ロール及び巻取ロールを回転させてキャリアフィルム上の複数の熱伝導シートを連続搬送させた。熱伝導シートの搬送方向にて繰出ロールと巻取ロールとの間に配置したプレス機を用い、半導体チップ付き基板に配置された半導体チップの表面に熱伝導シートを25℃、0.8MPaの条件で圧着させた。圧着後に、巻取ロールを回転させて半導体チップの表面に圧着された熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離し、熱伝導シートが圧着された半導体チップ付き基板を回収した。そして、キャリアフィルムによって搬送された次の熱伝導シートを次の半導体チップ付き基板に配置された半導体チップの表面に圧着させ、前述の工程を繰り返すことで熱伝導シートを半導体チップ付き基板に連続実装することができた。さらに、本実施例では、カバーフィルムを離型層を介して熱伝導シートから剥離する際に、熱伝導シートがキャリアフィルム側から剥離して熱伝導シートがカバーフィルム側に転写することがなく、また、熱伝導シートがキャリアフィルム側から剥離したことが原因で生じる半導体チップへの貼り付けの位置ずれも抑制されていた。
【0123】
[実施例2]
実施例1において離型フィルムをニッパ株式会社の商品名FUからニッパ株式会社の商品名X1―A3(厚さ75μm、幅方向長さ50mm、熱伝導シートに対する剥離力38mN/25mm)に変更に変更した以外は実施例1と同様にして長尺状の熱伝導シート保持体を製造した。
【0124】
実施例2にて製造した熱伝導シート保持体について、実施例1と同様にして半導体チップ付き基板に熱伝導シートを圧着させた。圧着後に半導体チップの表面に圧着された熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離する際に、実施例1よりも熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離することが難しく、熱伝導シートが破損しやすかった。
【0125】
[実施例3]
実施例1において離型フィルムをニッパ株式会社の商品名FUから藤森工業株式会社の商品名75E-0010(厚さ75μm、幅方向長さ50mm、熱伝導シートに対する剥離力50mN/25mm)に変更した以外は実施例1と同様にして長尺状の熱伝導シート保持体を製造した。
【0126】
実施例3にて製造した熱伝導シート保持体について、実施例1と同様にして半導体チップ付き基板に熱伝導シートを圧着させた。圧着後に半導体チップの表面に圧着された熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離する際に、実施例2よりも熱伝導シートからキャリアフィルムを剥離することが難しく、熱伝導シートが破損しやすかった。
【0127】
[実施例4]
実施例1においてカバーフィルムを住化加工紙株式会社の商品名SL-70S(U2)からニッパ株式会社の商品名FU(厚さ75μm、幅方向長さ66mm、熱伝導シートに対する剥離力18mN/25mm)に変更した以外は実施例1と同様にして長尺状の熱伝導シート保持体を製造した。
【0128】
実施例4にて製造した熱伝導シート保持体について、実施例1と同様にして半導体チップ付き基板に熱伝導シートを圧着させた。カバーフィルムを剥離する際に、実施例1よりも熱伝導シートの一部がカバーフィルム側に貼りつき易く、熱伝導シートが破損しやすかった。
【0129】
[実施例5]
実施例1においてカバーフィルムを住化加工紙株式会社の商品名SL-70S(U2)からリンテック株式会社の商品名SP-8LK(厚さ88μm、幅方向長さ66mm、熱伝導シートに対する剥離力8mN/25mm)に変更した以外は実施例1と同様にして長尺状の熱伝導シート保持体を製造した。
【0130】
実施例5にて製造した熱伝導シート保持体について、実施例1と同様にして半導体チップ付き基板に熱伝導シートを圧着させた。カバーフィルムを剥離する際に、実施例1よりも熱伝導シートの一部がカバーフィルム側に貼りつき易く、熱伝導シートが破損しやすかった。
【0131】
[実施例6]
実施例4において離型フィルムをニッパ株式会社の商品名FUから藤森工業株式会社の商品名75E-0010(厚さ75μm、幅方向長さ50mm、熱伝導シートに対する剥離力50mN/25mm)に変更した以外は実施例4と同様にして長尺状の熱伝導シート保持体を製造した。
【0132】
実施例6にて製造した熱伝導シート保持体について、実施例1と同様にして半導体チップ付き基板に熱伝導シートを圧着させた。カバーフィルムを剥離する際に、実施例1よりも熱伝導シートの一部がカバーフィルム側に貼りつき易く、熱伝導シートが破損しやすかった。
【0133】
2020年10月16日に出願されたPCT/JP2020/039140の開示はその全体が参照により本明細書に取り込まれる。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書中に参照により取り込まれる。
【符号の説明】
【0134】
1 カバーフィルム
2 熱伝導シート
3 キャリアフィルム
4 離型フィルム
5 粘着層
6 巻き芯
7 スプロケット穴
10 熱伝導シート保持体
11 繰出ロール
12 基板
13 発熱体
14 プレス機
15 領域
16 巻取ロール
図1
図2
図3