(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024152899
(43)【公開日】2024-10-25
(54)【発明の名称】加工システム、及び、加工方法
(51)【国際特許分類】
B23K 26/03 20060101AFI20241018BHJP
B23K 26/36 20140101ALI20241018BHJP
B23K 26/00 20140101ALI20241018BHJP
B23K 26/34 20140101ALI20241018BHJP
B23K 26/21 20140101ALI20241018BHJP
【FI】
B23K26/03
B23K26/36
B23K26/00 P
B23K26/34
B23K26/21 Z
【審査請求】有
【請求項の数】25
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024139593
(22)【出願日】2024-08-21
(62)【分割の表示】P 2020554024の分割
【原出願日】2019-10-31
(31)【優先権主張番号】PCT/JP2018/040625
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】江上 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】立崎 陽介
(57)【要約】
【課題】物体の加工に関する利便性及び性能の向上に寄与する加工システムを提供する。
【手段】加工システムは、物体を収容する筐体と、筐体内に設けられ、物体を加工する加工装置と、筐体内に設けられ、加工装置によって加工された物体を計測する計測装置と、物体の計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を収容する筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記物体を加工する加工装置と、
前記筐体内に設けられ、前記物体を計測する計測装置と、
前記計測装置による計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置と
を備える加工システム。
【請求項2】
前記計測装置による前記物体の計測は、前記加工装置により加工された前記物体の計測を含み、
前記制御装置は、前記加工装置による加工前の前記物体に関する第1情報、および前記加工装置によって前記加工された後の前記物体の計測結果に関する第2情報を用いて、前記加工条件を設定する
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記第1情報は、前記計測装置による前記加工前の前記物体の計測結果に関する情報を含む
請求項2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記制御装置は、
前記計測装置によって前記加工前の前記物体の加工予定部分を計測して前記第1情報としての第1計測結果を獲得し、
前記加工装置によって前記物体の加工位置を加工し、
前記計測装置によって前物体の前記加工が行われた部分を計測して前記第2情報としての第2計測結果を獲得するように、前記加工装置および前記計測装置を制御する
請求項3に記載の加工システム。
【請求項5】
前記第2情報と、前記加工予定位置に関する第3情報とを用いて、前記加工条件としての加工位置に関する第4情報を得る
請求項4に記載の加工システム。
【請求項6】
前記第1情報と前記第2情報とを用いて、前記加工による前記物体の加工量を求める
請求項2から5のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項7】
前記加工装置は、前記物体を第1加工条件のもとで加工し、
前記制御装置は、前記第1加工条件および前記第2情報を用いて、第2加工条件としての前記物体の加工条件を求める
請求項2から8のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項8】
前記計測装置は、前記物体の形状を計測する
請求項1から7のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項9】
前記計測装置は、前記物体の表面と交差する方向における前記表面の位置を計測する
請求項1から8のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項10】
前記筐体は、前記筐体の外部の空間から隔てられた内部空間を形成し、
前記加工装置及び前記計測装置は、前記内部空間内に位置する
請求項1から9のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項11】
物体を収容する筐体と、
前記筐体内に設けられ、前記物体を加工する加工装置と、
前記筐体内に設けられ、前記加工装置によって加工された前記物体の加工量を計測する計測装置と、
前記計測装置を用いて計測された前記加工量を用いて、加工条件を設定する制御装置と
を備える加工システム。
【請求項12】
前記制御装置は、
前記加工前に、前記計測装置を用いて前記物体の前記加工位置を計測して第1計測結果を獲得し、
前記加工装置によって前記物体に前記加工を行い、
前記加工後に、前記計測装置を用いて前記物体の前記加工が行われた部分を計測して第2計測結果を獲得するように、前記加工装置および前記計測装置を制御する
請求項11に記載の加工システム。
【請求項13】
前記第1計測結果と前記第2計測結果とを用いて、前記加工量を求める
請求項12に記載の加工システム。
【請求項14】
前記物体と前記加工装置と前記計測装置との位置関係を、前記加工装置によって前記物体を加工可能な第1位置関係、または前記計測装置によって前記物体のを計測可能な第2位置関係にする位置変更装置
をさらに備える請求項1から13のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記位置変更装置を用いて前記加工装置と前記物体とを前記第1位置関係にして、前記加工装置を用いて前記設定された加工条件のもとで前記物体を加工するように、前記位置変更装置および前記加工装置を制御する
請求項14に記載の加工システム。
【請求項16】
前記位置変更装置は、前記加工装置および前記計測装置に対して前記物体の位置を変更する
請求項14または15のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項17】
前記位置変更装置は、前記物体に対して前記加工装置および前記計測装置の位置を変更する
請求項14から16のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項18】
前記加工装置は、前記物体と異なる第2物体を加工し、
前記計測装置は、前記加工装置によって加工された前記第2物体を計測し、
前記制御装置は、前記計測装置によって計測された前記第2物体の計測結果に関する情報を用いて、前記物体に対する加工条件を設定する
請求項1から17のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項19】
前記加工装置の一部と前記計測装置の少なくとも一部とは共用されている
請求項1から18のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項20】
前記物体を載置する物体載置装置をさらに含み、
前記加工装置による前記物体の加工と前記計測装置による前記物体の計測との間で、前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである
請求項1から19のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項21】
物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体を加工する加工装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体を計測する計測装置と、
前記計測装置による計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置と
を備える
加工システム。
【請求項22】
前記加工装置による前記物体の加工と前記計測装置による前記物体の計測との間で、前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである
請求項21に記載の加工システム。
【請求項23】
前記計測装置による前記物体の計測は、前記加工装置によって加工された前記物体の計測を含み、
前記制御装置は、前記加工装置による前記加工前の前記物体に関する第1情報、および前記加工装置による前記加工された後の前記物体の計測結果に関する第2情報を用いて前記加工条件を設定する
請求項21または22に記載の加工システム。
【請求項24】
前記加工装置による前記物体の前記加工から前記計測装置による前記物体の計測までの間で、前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである
請求項20から23のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項25】
前記計測装置にょる前記物体の計測は、前記加工装置による前記加工前の前記物体の計測を含み、
前記計測装置による前記加工前の前記物体の前記計測から前記加工装置による前記加工までの間で前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである
請求項20から24のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項26】
前記物体載置装置は、前記物体を載置し、定盤上を移動可能な移動ステージを備える
請求項20から25のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項27】
前記加工装置の少なくとも一部と、前記計測装置の少なくとも一部とは前記定盤上に設けられる
請求項26に記載の加工システム。
【請求項28】
前記物体載置装置は、前記物体を保持する保持部を備える
請求項20から27のいずれかの加工システム。
【請求項29】
前記物体載置装置は、前記物体を保持したまま、前記加工装置よる加工が行われる加工実行位置と、前記計測装置による計測が行われる計測実行位置との間で移動可能である
請求項28に記載の加工システム。
【請求項30】
前記加工装置が前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において前記保持部が前記物体を保持する保持態様は、前記計測装置が前記計測動作を行う計測期間の少なくとも一部において前記保持部が前記物体を保持する保持態様と同じである
請求項28または29に記載の加工システム。
【請求項31】
物体を加工する加工装置と、
前記物体を計測する計測装置と、
前記物体と前記加工装置と前記計測装置との位置関係を、前記加工装置による加工位置に前記物体が位置する第1位置関係、または前記計測装置による計測可能な位置に前記物体が位置する第2位置関係にする位置変更装置と、
前記計測装置による計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置と
を備える加工システム。
【請求項32】
前記計測装置による前記物体の計測は、前記加工装置によって加工された前記物体の計測を含み、
前記制御装置は、前記加工装置による加工前の前記物体に関する第1情報、および前記加工装置によって前記加工された前記物体の計測結果に関する第2情報を用いて前記加工条件を設定する
請求項31に記載の加工システム。
【請求項33】
前記制御装置は、
前記位置変更装置を用いて前記計測装置と前記物体とを前記第2位置関係にして、前記計測装置を用いて前記物体の形状を計測し、
前記位置変更装置を用いて前記加工装置と前記物体とを前記第1位置関係にして、前記加工装置を用いて前記物体を加工し、
前記位置変更装置を用いて前記計測装置と前記物体とを前記第2位置関係にして、前記計測装置を用いて前記物体の加工後の形状を計測する
請求項31または32に記載の加工システム。
【請求項34】
前記加工装置は、前記物体を第1加工条件のもとで加工し、
前記制御装置は、前記第1加工条件および前記計測された前記加工後の形状に関する情報を用いて、第2加工条件としての前記物体の加工条件を求める
請求項33に記載の加工システム。
【請求項35】
前記加工条件は、前記加工装置と前記物体との位置関係を含む
請求項31から34のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項36】
前記加工条件は、前記加工装置の加工条件である
請求項1から35のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項37】
前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射する照射光学系を備える
請求項1から36のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項38】
前記加工条件は、前記エネルギビームの特性である
請求項37に記載の加工システム。
【請求項39】
前記エネルギビームの特性は、前記エネルギビームの単位時間当たりのエネルギ量、前記物体上での前記エネルギビームの照射領域のサイズ、前記エネルギビームの照射時間のうち、少なくとも1つを含む
請求項38に記載の加工システム。
【請求項40】
前記エネルギビームは、パルス光を含み、
前記加工条件は、前記光の単位時間当たりのエネルギ量、前記物体上での前記光の照射領域のサイズ、および前記物体に照射される前記パルス光のパルス数のうち、少なくとも1つである
請求項37から39のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項41】
前記エネルギビームは、発光時間がピコ秒以下であるパルス光を含む
請求項37から40のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項42】
前記加工装置は、前記物体を除去加工し、
前記物体の前記加工量は、前記物体の除去量である
請求項6、および11から20のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項43】
前記加工装置は、前記物体を除去加工する
請求項1から42のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項44】
前記光照射部は、前記物体をアブレーション加工する
請求項43に記載の加工システム。
【請求項45】
前記制御装置は、前記加工装置による前記物体の単位エネルギ当たりの加工量が最大となるように、前記加工条件を決定する
請求項37から44のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項46】
流体を流す流路形成装置をさらに備える
請求項1から45のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項47】
前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射する照射光学系を備え、
前記流路形成装置は、前記照射光学系から前記物体へ向かう前記光の進行方向と交差する方向に沿って前記流体を流す
請求項46に記載の加工システム。
【請求項48】
前記流路形成装置は、前記交差する方向に沿って前記流体を供給する流体供給部材と、前記交差する方向に沿って前記流体を回収する流体回収部材との少なくとも一方を備える
請求項47に記載の加工システム。
【請求項49】
前記流体は気体である
請求項46から48のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項50】
前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射する照射光学系を備え、
前記物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に設けられ、前記照射光学系からの前記エネルギビームを受光する受光装置と、
前記物体載置装置を移動させる移動装置と
をさらに備え、
前記移動装置は、前記受光装置が前記照射光学系からの前記エネルギビームを受光できる位置に前記物体載置装置を移動させると共に、前記計測装置によって前記受光装置の位置を計測できる位置に前記物体載置装置を移動させ、
前記制御装置は、前記受光装置が前記エネルギビームを受光するときの、前記物体載置装置の位置に関する第1情報と、前記計測装置を用いて前記受光装置の位置を計測するときの、前記物体載置装置の位置に関する第2情報とを用いて、前記加工装置による前記加工の際の前記物体載置装置の位置と、前記計測装置による計測の際の前記物体載置装置の位置とのうち少なくとも一方を制御する
請求項1から49のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項51】
物体にエネルギビームを照射する照射光学系を備え、前記物体を加工する加工装置と、
前記物体を計測する計測装置と
を備え、
前記照射光学系から前記物体上に照射される前記エネルギビームの照射位置は、少なくとも第1方向において変更可能であり、
前記加工装置と前記計測装置とは前記第1方向と交差する第2方向に沿って並んで配置される
加工システム。
【請求項52】
物体を収容する筐体内に設けられた加工装置を用いて、前記物体を加工することと、
前記筐体内に設けられた計測装置を用いて、前記加工装置によって加工された前記物体を計測することと、
前記物体の計測結果を用いて、加工条件を設定することと
を含む加工方法。
【請求項53】
物体を収容する筐体内に設けられた加工装置を用いて、前記物体を加工することと、
前記筐体内に設けられた計測装置を用いて、前記加工装置によって加工された前記物体の加工位置における加工量を計測することと、
前記計測装置によって計測された前記加工量を用いて、加工条件を設定することと
を含む加工方法。
【請求項54】
物体を物体載置装置に載置することと、
前記物体載置装置に載置された前記物体を加工することと、
前記加工され、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、
前記物体の計測結果を用いて、加工条件を設定することと
を含む
加工方法。
【請求項55】
前記加工と前記物体の計測との間で前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである
請求項54に記載の加工方法。
【請求項56】
加工装置を用いて物体を加工することと、
前記加工された前記物体を、計測装置を用いて計測することと、
前記物体と前記加工装置と前記計測装置との位置関係を、前記加工装置による加工位置に前記物体が位置する第1位置関係、または前記計測装置による計測位置に前記物体が位置する第2位置関係にすることと、
前記物体の計測結果を用いて、加工条件を設定することと
を含む加工方法。
【請求項57】
前記加工条件を設定することは、前記加工装置による加工前の前記物体に関する第1情報、および前記加工装置によって前記加工された前記物体の計測結果に関する第2情報を用いて、前記加工条件を設定することを含む
請求項52、54から56のいずれか一項に記載の加工方法。
【請求項58】
加工装置を用いて物体にエネルギビームを照射して前記物体を加工することと、
前記加工装置によって加工された前記物体を計測装置を用いて計測することと
を含み、
前記加工することは、前記物体上に照射される前記エネルギビームの照射位置を少なくとも第1方向において変更することを含み、
前記加工装置と前記計測装置とは前記第1方向と交差する第2方向に沿って並んで配置される
加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、物体を加工する加工システム及び加工方法の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、レーザ光を物体に照射して物体を加工する加工装置が記載されている。このような物体の加工に関する技術分野では、物体の加工に関する利便性及び性能の向上が望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2002/0017509号明細書
【発明の概要】
【0004】
第1の態様によれば、物体を収容する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記物体を加工する加工装置と、前記筐体内に設けられ、前記物体を計測する計測装置と、前記計測装置による計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置とを備える加工システムが提供される。
【0005】
第2の態様によれば、物体を収容する筐体と、前記筐体内に設けられ、前記物体を加工する加工装置と、前記筐体内に設けられ、前記加工装置によって加工された前記物体の加工量を計測する計測装置と、前記計測装置を用いて計測された前記加工量を用いて、加工条件を設定する制御装置とを備える加工システムが提供される。
【0006】
第3の態様によれば、物体を載置する物体載置装置と、前記物体載置装置に載置された前記物体を加工する加工装置と、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測する計測装置と、前記計測装置による計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置とを備え、前記加工装置による前記物体の加工と前記計測装置による前記物体の計測との間で、前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである加工システムが提供される。
【0007】
第4の態様によれば、物体を加工する加工装置と、前記物体を計測する計測装置と、前記物体と前記加工装置と前記計測装置との位置関係を、前記加工装置による加工位置に前記物体が位置する第1位置関係、または前記計測装置による計測可能な位置に前記物体が位置する第2位置関係にする位置変更装置と、前記計測装置による計測結果を用いて、加工条件を設定する制御装置とを備える加工システムが提供される。
【0008】
第5の態様によれば、物体にエネルギビームを照射する照射光学系を備え、前記物体を加工する加工装置と、前記加工装置によって加工された前記物体を計測する計測装置とを備え、前記照射光学系から前記物体上に照射される前記エネルギビームの照射位置は、少なくとも第1方向において変更可能であり、前記加工装置と前記計測装置とは前記第1方向と交差する第2方向に沿って並んで配置される加工システムが提供される。
【0009】
第6の態様によれば、物体を収容する筐体内に設けられた加工装置を用いて、前記物体を加工することと、前記筐体内に設けられた計測装置を用いて、前記加工装置によって加工された前記物体を計測することと、前記物体の計測結果を用いて、加工条件を設定することとを含む加工方法が提供される。
【0010】
第7の態様によれば、物体を収容する筐体内に設けられた加工装置を用いて、前記物体を加工することと、前記筐体内に設けられた計測装置を用いて、前記加工装置によって加工された前記物体の加工位置における加工量を計測することと、前記計測装置によって計測された前記加工量を用いて、加工条件を設定することとを含む加工方法が提供される。
【0011】
第8の態様によれば、物体を物体載置装置に載置することと、前記物体載置装置に載置された前記物体を加工することと、前記加工され、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、前記物体の計測結果を用いて、加工条件を設定することとを含み、前記加工と前記物体の計測との間で前記物体は前記物体載置装置に載置されたままである加工方法が提供される。
【0012】
第9の態様によれば、加工装置を用いて物体を加工することと、前記加工された前記物体を、計測装置を用いて計測することと、前記物体と前記加工装置と前記計測装置との位置関係を、前記加工装置による加工位置に前記物体が位置する第1位置関係、または前記計測装置による計測位置に前記物体が位置する第2位置関係にすることと、前記物体の計測結果を用いて、加工条件を設定することとを含む加工方法が提供されている。
【0013】
第10の態様によれば、加工装置を用いて物体にエネルギビームを照射して前記物体を加工することと、前記加工装置によって加工された前記物体を計測装置を用いて計測することとを含み、前記加工することは、前記物体上に照射される前記エネルギビームの照射位置を少なくとも第1方向において変更することを含み、前記加工装置と前記計測装置とは前記第1方向と交差する第2方向に沿って並んで配置される加工方法が提供される。
【0014】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、本実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
【
図2】
図2(a)から
図2(c)のそれぞれは、ワークに対して行われる除去加工の様子を示す断面図である。
【
図3】
図3(a)から
図3(c)のそれぞれは、非熱加工によって加工されるワークの様子を示す断面図である。
【
図4】
図4は、加工装置の構造を示す断面図である。
【
図5】
図5は、加工装置が備える光学系の構造を示す斜視図である。
【
図6】
図6は、加工システムSYSが行う加工動作の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7(a)は、未加工のワークの断面を示す断面図であり、
図7(b)は、未加工のワークWの上面を示す平面図である。
【
図8】
図8は、計測ショット領域とワークとの位置関係の一例を示す平面図である。
【
図9】
図9は、計測ショット領域とワークとの位置関係の他の一例を示す平面図である。
【
図10】
図10(a)及び
図10(b)のそれぞれは、ワークの表面に対して移動する計測ショット領域の移動軌跡の一例を示す平面図である
【
図11】
図11(a)は、加工対象領域とワークの位置関係の一例を示す断面図であり、
図11(b)は、加工対象領域とワークとの位置関係の一例を示す平面図である。
【
図12】
図12は、加工対象部分及び複数の層状構造部分の断面を示す断面図である。
【
図13】
図13(a)から
図13(d)のそれぞれは、ある層状構造部分に対応するスライスデータが、ある層状構造部分を除去する過程において加工対象領域内で実際に除去加工が行われる位置を示している例を模式的に示す平面図である。
【
図14】
図14は、加工対象部分が除去される様子を示す断面図である。
【
図15】
図15は、除去加工が完了したワークを示す断面図である。
【
図16】
図16は、加工条件の初期値を設定するための初期設定動作の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、加工光のフォーカス位置に対して加工量をプロットしたプロット図である。
【
図18】
図18は、加工光のフォーカス位置と加工量との関係を近似曲線で示すグラフである。
【
図19】
図19は、加工光のフォーカス位置とワークの表面との位置関係を示す断面図である。
【
図20】
図20は、第1温度ドリフト低減動作の流れを示すフローチャートである。
【
図21】
図21(a)は、ステージ装置の断面を示す断面図であり、
図21(b)は、ステージ装置の上面を示す平面図である。
【
図22】
図22(a)は、ステージ装置の断面を示す断面図であり、
図22(b)は、ステージ装置の上面を示す平面図である。
【
図23】
図23は、制御装置が算出したZ軸方向におけるワークの位置の時間推移を示すグラフである。
【
図24】
図24は、第2温度ドリフト低減動作の流れを示すフローチャートである。
【
図25】
図25は、Z軸方向におけるワークの位置のXY平面内での分布を模式的に示すグラフである。
【
図26】
図26は、第3温度ドリフト低減動作の流れを示すフローチャートである。
【
図27】
図27(a)は、ステージに対して傾斜している計測装置を示す断面図であり、
図27(b)は、
図27(a)に示す状況下で計測装置の計測結果から算出されるワークの形状を示す断面図であり、
図27(c)は、ステージに対して計測装置が傾斜している状況下で加工装置によって加工されるワークWを示す断面図であり、
図27(d)は、チルト量の影響を低減するように加工されるワークを示す断面図である。
【
図28】
図28は、ワークに対する計測装置のチルト量を測定する第1チルト測定動作の流れを示すフローチャートである。
【
図30】
図30(a)は、基準部材を示す平面図であり、
図30(b)は、基準部材を示す断面図である。
【
図31】
図31は、第1チルト測定動作を行うために改変されたステージを示す平面図である。
【
図32】
図32は、ワークに対する加工装置のチルト量を測定する第1チルト測定動作の流れを示すフローチャートである。
【
図33】
図33は、第1変形例の加工システムの構造を示す模式図である。
【
図34】
図34は、気体供給装置による気体の第1供給態様を示す断面図である。
【
図35】
図35は、気体供給装置による気体の第2供給態様を示す断面図である。
【
図36】
図36は、第2変形例の加工システムの構造を示す模式図である。
【
図37】
図37は、第3変形例の加工システムの構造を示す模式図である。
【
図38】
図38は、第3変形例の加工システムの他の構造を示す模式図である。
【
図39】
図39(a)は、受光装置の構造を示す断面図であり、
図39(b)は、受光装置の構造を示す平面図である。
【
図40】
図40は、受光装置に照射される加工光を示す断面図である。
【
図41】
図41(a)は、フォーカス制御動作を行うために加工装置が加工光を受光装置に照射する様子を示す断面図であり、
図41(b)は、フォーカス制御動作を行うために加工装置が加工光を受光装置に照射する様子を示す平面図であり、
図41(c)は、受光装置が備える検出器の検出結果を示すグラフである。
【
図43】
図43は、ガルバノミラーが偏向した加工光がワークの表面を走査する際のワークの表面上の各位置での加工光ELのスポット径を模式的に示す平面図である。
【
図44】
図44(a)及び
図44(c)のそれぞれは、状態検出動作が行われる期間中の加工装置と受光装置9dとの位置関係を示す断面図であり、
図44(b)及び
図44(d)のそれぞれは、状態検出動作が行われる期間中の加工装置と受光装置との位置関係を示す平面図である。
【
図45】
図45(a)は、温度ドリフトが発生していない状況下でのワークの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光の照射位置を示す平面図であり、
図45(b)は、温度ドリフトが発生している状況下でのワークの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光の照射位置を示す平面図である。
【
図46】
図46(a)は、ステージを示す断面図であり、
図46(b)は、ステージを示す平面図である。
【
図47】
図47は、計測装置による開口の計測結果に基づいてステージの位置を制御するステージ制御動作の流れを示すフローチャートである。
【
図48】
図48は、第4変形例におけるベースライン量を模式的に示す断面図である。
【
図49】
図49(a)から
図49(d)のそれぞれは、ステージ制御動作で用いられるマーカを示す平面図である。
【
図50】
図50は、第5変形例の加工システムの構造を示す断面図である。
【
図51】
図51は、第5変形例の加工ヘッドの構成を示す図である。
【
図52】
図52は、第6変形例の加工システムの構造を示す断面図である。
【
図53】
図53(a)は、第7変形例の受光装置を示す平面図であり、
図53(b)はその断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して加工システム及び加工方法の実施形態について説明する。以下では、ワークWを加工する加工システムSYSを一例として用いて、加工システム及び加工方法の実施形態を説明する。
【0017】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向或いは重力方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0018】
(1)加工システムSYSの構造
初めに、
図1を参照しながら、加工システムSYSの構造について説明する。
図1は、加工システムSYSの構造を示す断面図である。尚、図面の簡略化のために、
図1は、加工システムSYSの一部の構成要素については、その断面を示していない。
【0019】
図1に示すように、加工システムSYSは、加工装置1と、計測装置2と、ステージ装置3と、筐体4と、駆動系5と、駆動系6と、制御装置7とを備える。
【0020】
加工装置1は、制御装置7の制御下で、ワークWを加工可能である。ワークWは、例えば、金属であってもよいし、合金(例えば、ジュラルミン等)であってもよいし、半導体(例えば、シリコン)であってもよいし、樹脂であってもよいし、CFRP(Carbon Fiber Reinforced Plastic)等の複合材料であってもよいし、ガラスであってもよいし、セラミックスであってもよいし、それ以外の任意の材料から構成される物体であってもよい。
【0021】
加工装置1は、ワークWを加工するために、ワークWに対して加工光ELを照射する。加工光ELは、ワークWに照射されることでワークWを加工可能である限りは、どのような種類の光であってもよい。本実施形態では、加工光ELがレーザ光である例を用いて説明を進めるが、加工光ELは、レーザ光とは異なる種類の光であってもよい。更に、加工光ELの波長は、ワークWに照射されることでワークWを加工可能である限りは、どのような波長であってもよい。例えば、加工光ELは、可視光であってもよいし、不可視光(例えば、赤外光及び紫外光の少なくとも一方等)であってもよい。
【0022】
本実施形態では、加工装置1は、ワークWに加工光EL1を照射して、ワークWの一部を除去する除去加工(いわゆる、切削加工又は研削加工)を行うものとする。但し、後述するように、加工装置1は、除去加工とは異なる加工(例えば、付加加工又はマーキング加工)を行ってもよい。除去加工は、平面切削加工、平面研削加工、円筒切削加工、円筒研削加工、穴あけ切削加工、穴あけ研削加工、平面研磨加工、切断加工、及び、任意の文字若しくは任意のパターンを形成する(言い換えれば、刻む)彫刻加工(言い換えれば、刻印加工)の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0023】
ここで、
図2(a)から
図2(c)のそれぞれを参照しながら、加工光ELを用いた除去加工の一例について説明する。
図2(a)から
図2(c)のそれぞれは、ワークWに対して行われる除去加工の様子を示す断面図である。
図2(a)に示すように、加工装置1は、ワークWの表面に設定(言い換えれば、形成)される照射領域EAに対して加工光ELを照射する。照射領域EAに加工光ELが照射されると、ワークWのうち照射領域EA及び照射領域EAと近接する部分に、加工光ELのエネルギが伝達される。加工光ELのエネルギに起因した熱が伝達されると、加工光ELのエネルギに起因した熱によって、ワークWのうち照射領域EA及び照射領域EAと近接する部分を構成する材料が溶融する。溶融した材料は、液滴となって飛散する。或いは、溶融した材料は、加工光ELのエネルギに起因した熱によって蒸発する。その結果、ワークWのうち照射領域EA及び照射領域EAと近接する部分が除去される。つまり、
図2(b)に示すように、ワークWの表面に凹部(言い換えれば、溝部)が形成される。この場合、加工装置1は、いわゆる熱加工の原理を利用して、ワークWを加工しているといえる。更に、加工光ELがワークWの表面を走査すると、ワークWの表面上で照射領域EAが移動する。その結果、
図2(c)に示すように、加工光ELの走査軌跡(つまり、照射領域EAの移動軌跡)に沿って、ワークWの表面が少なくとも部分的に除去される。つまり、加工光ELの走査軌跡(つまり、照射領域EAの移動軌跡)に沿って、ワークWの表面が実質的に削り取られる。このため、加工装置1は、除去加工したい領域に対応する所望の走査軌跡に沿って加工光ELにワークWの表面上を走査させることで、ワークWのうち除去加工したい部分を適切に除去することができる。
【0024】
一方で、加工光ELの特性によっては、加工装置1は、非熱加工(例えば、アブレーション加工)の原理を利用して、ワークWを加工することも可能である。つまり、加工装置1は、ワークWに対して非熱加工(例えば、アブレーション加工)を行ってもよい。例えば、発光時間がピコ秒以下(或いは、場合によっては、ナノ秒又はフェムト秒以下)のパルス光が加工光ELとして用いられると、ワークWのうち照射領域EA及び照射領域EAと近接する部分を構成する材料は、瞬時に蒸発及び飛散する。尚、発光時間がピコ秒以下(或いは、場合によっては、ナノ秒又はフェムト秒以下)のパルス光が加工光ELとして用いられる場合、ワークWのうち照射領域EA及び照射領域EAと近接する部分を構成する材料は、溶融状態を経ずに昇華することもある。このため、非熱加工によって加工されるワークWの様子を示す断面図である
図3(a)から
図3(c)に示すように、加工光ELのエネルギに起因した熱によるワークWへの影響を極力抑制しながら、ワークWの表面に凹部(言い換えれば、溝部)が形成可能となる。
【0025】
このような除去加工を行うために、加工装置1は、加工装置1の構造を示す断面図である
図4に示すように、光源11と、光学系12と、ダイクロイックミラー13と、光学系14と、戻り光防止装置15と、観察装置16とを備えている。
【0026】
光源11は、加工光ELを生成可能である。加工光ELがレーザ光である場合には、光源11は、例えば、レーザダイオードであってもよい。更に、光源11は、パルス発振可能な光源であってもよい。この場合、光源11は、パルス光(例えば、発光時間がピコ秒以下のパルス光)を加工光ELとして生成可能である。光源11は、生成した加工光ELを、光学系12に向けて射出する。尚、光源11は直線偏光状態の加工光ELを射出してもよい。
【0027】
光学系12は、光源11から射出された加工光ELが入射する光学系である。光学系12は、光学系12に入射した加工光ELを、戻り光防止装置15に向けて射出する光学系である。つまり、光学系12は、光源11から射出された加工光ELを、戻り光防止装置15に導く光学系である。
【0028】
光学系12は、光源11から射出された加工光ELの状態を制御すると共に、状態が制御された加工光ELを、戻り光防止装置15に向けて射出してもよい。例えば、光学系12は、加工光ELのビーム径(つまり、加工光ELの進行方向に交差する面内における加工光ELのサイズ)を制御してもよい。光学系12は、加工光ELのビーム径を制御することで、ワークWの表面における加工光ELのビーム径(つまり、スポット径)を制御してもよい。この場合、光学系12は、ビームエキスパンダ121を備えていてもよい。例えば、光学系12は、光学系12から射出される加工光の収斂度或いは発散度を制御してもよい。これにより、加工光ELのフォーカス位置(例えば、いわゆるベストフォーカス位置)が制御される。この場合、光学系12は、フォーカスレンズ122を備えていてもよい。フォーカスレンズ122は、1以上のレンズで構成され、その少なくとも一部のレンズの光軸方向に沿った位置を調整することで、加工光ELの収斂度又は発散度を変更して加工光ELのフォーカス位置を調整するための光学素子である。尚、フォーカスレンズ122は、ビームエキスパンダ121と一体化されていてもよいし、ビームエキスパンダ121と別体であってもよい。例えば、光学系12は、加工光ELの進行方向に交差する面内における加工光ELの強度分布を制御してもよい。この場合、光学系12は、加工光ELの強度分布を制御可能な強度分布制御部材123を備えていてもよい。尚、光学系12によって制御される加工光ELの状態は、加工光ELのフォーカス位置、加工光ELのビーム径、加工光ELの収斂度又は発散度、及び加工光ELの強度分布の他に、加工光ELのパルス長やパルス数、加工光ELの強度、加工光ELの進行方向、加工光ELの偏光状態であってもよい。
【0029】
ダイクロイックミラー13は、光学系12から戻り光防止装置15を介してダイクロイックミラー13に入射する加工光ELを、光学系14に導く。ダイクロイックミラー13は、加工光及び当該加工光と異なる波長の観察光(照明光IL及び反射光ILr)のうち一方を反射し他方を透過する。
図4に示す例では、ダイクロイックミラー13は、加工光ELを光学系14に向けて反射することで加工光ELを光学系14に導いている。但し、ダイクロイックミラー13は、加工光ELを通過させることで加工光ELを光学系14に導いてもよい。
【0030】
光学系14は、ダイクロイックミラー13からの加工光ELを、ワークWに照射する(つまり、導く)ための光学系である。加工光ELをワークWに照射するために、光学系14は、ガルバノミラー141と、fθレンズ142とを備える。ガルバノミラー141は、fθレンズ142からの加工光ELがワークWを走査する(つまり、加工光ELが照射される照射領域EAがワークWの表面を移動する)ように、加工光ELを偏向する。尚、ガルバノミラー141に代えて、或いは加えてポリゴンミラーを用いてもよい。ガルバノミラー141は、光学系14の構造を示す斜視図である
図5に示すように、X走査ミラー141Xと、Y走査ミラー141Yとを備える。X走査ミラー141Xは、加工光ELをY走査ミラー141Yに向けて反射する。X走査ミラー141Xは、θY方向(つまり、Y軸周りの回転方向)を軸として揺動又は回転可能である。X走査ミラー141Xの揺動又は回転により、加工光ELは、ワークWの表面をX軸方向に沿って走査する。X走査ミラー141Xの揺動又は回転により、照射領域EAは、ワークWの表面上をX軸方向に沿って移動する。Y走査ミラー141Yは、加工光ELをfθレンズ142に向けて反射する。Y走査ミラー141Yは、θX方向(つまり、X軸周りの回転方向)を軸として揺動又は回転可能である。Y走査ミラー141Yの揺動又は回転により、加工光ELは、ワークWの表面をY軸方向に沿って走査する。Y走査ミラー141Yの揺動又は回転により、照射領域EAは、ワークWの表面上をY軸方向に沿って移動する。fθレンズ142は、ガルバノミラー141からの加工光ELをワークW上に集光するための光学素子である。尚、X走査ミラー141Xは、θY方向(つまり、Y軸周りの回転方向)から若干傾いた方向を軸として揺動又は回転可能であってもよく、Y走査ミラー141Yは、θX方向(つまり、X軸周りの回転方向)から若干傾いた方向を軸として揺動又は回転可能であってもよい。尚、本例では、fθレンズ142が射出面側(ワークW側)テレセントリックな光学系であるが、fθレンズ142としては、テレセントリックな光学系でなくてもよい。fθレンズ142が射出面側(ワークW側)テレセントリックな光学系である場合には、ワークWの厚み(Z軸方向のサイズ)が変わっても加工光ELのXY面内で照射位置が変わらないという利点がある。
【0031】
再び
図4において、戻り光防止装置15は、ワークWによって反射した加工光ELである戻り光ELrが光学系12及び光源11へと戻ることを防止する。一方で、戻り光防止装置15は、光学系12が射出した加工光ELをダイクロイックミラー13へと導く(つまり、ワークWへと導く)。戻り光ELrが光学系12及び光源11へと戻ることを防止しながら加工光ELをダイクロイックミラー13へと導くために、戻り光防止装置15は、例えば、偏光を利用してもよい。このような偏光を利用する戻り光防止装置15を用いる場合には、光源11は直線偏光状態の加工光ELを射出することが好ましい。尚、光源11が円偏光状態の加工光ELを射出する場合には、光源11と戻り光防止装置15との間に1/4波長板を配置してもよい。戻り光防止装置15は、例えば、1/2波長板151と、偏光ビームスプリッタ152と、1/4波長板153と、1/2波長板154と、ビームディフューザー155とを備えている。1/2波長板151は、光学系12からの加工光ELの偏光方向を変更する。例えば、1/2波長板151は、光学系12からの加工光ELの偏光方向を、偏光ビームスプリッタ152を通過可能な方向に変更する。1/2波長板151を通過した加工光ELは、偏光ビームスプリッタ152を通過する。ここでは、説明の便宜上、偏光ビームスプリッタ152が、偏光ビームスプリッタの偏光分離面に対してp偏光を通過させる一方でs偏光を反射させる例を用いて説明を進める。つまり、偏光ビームスプリッタ152を通過した加工光ELがp偏光である例を用いて説明を進める。偏光ビームスプリッタ152を通過した加工光ELは、1/4波長板153を通過して円偏光になる。1/4波長板153を通過した加工光ELは、1/2波長板154を通過する。ここで、1/2波長板151、1/4波長板153及び1/2波長板154のそれぞれは、加工光ELの進行方向を軸として回転可能に設けられている。
【0032】
さて、1/2波長板154からの加工光ELは、円偏光となってダイクロイックミラー13に入射する。戻り光防止装置15は、加工光ELをダイクロイックミラー13へと導くことができる。一方で、戻り光防止装置15に入射した戻り光ELrは、1/2波長板154を通過した後に1/4波長板153に入射する。このとき、戻り光ELrは、ワークWの表面で反射された加工光ELであるため、戻り光ELrの回転方向は、加工光ELの回転方向に対して反転している。このため、1/4波長板153を通過した戻り光ELrは、s偏光になる。その結果、1/4波長板153を通過した戻り光ELrは、偏光ビームスプリッタ152によって反射される。偏光ビームスプリッタ152が反射した戻り光ELrは、ビームディフューザー155によって吸収される。このため、戻り光防止装置15は、戻り光ELrが光学系12及び光源11へと戻ることを防止することができる。この戻り光防止装置15を用いることによって、ワークWに照射される加工光ELが円偏光状態となるため、直線偏光方向に起因する加工特性の違いを低減させることができる。このような加工特性の違いは、ワークWの材質やワークWへの入射角度によって異なることが多い。従って、円偏光状態の加工光ELを用いて加工を行うことにより、ワークWの材質やワークWへの入射角度の違いによる加工結果の差異を低減することができる。尚、直線偏光状態の加工光でワークWを加工する場合には、1/4波長板154とワークWとの間の光路中に1/4波長板を配置してもよい。
【0033】
観察装置16は、ワークWの表面の状態を光学的に観察可能である。例えば、
図4は、観察装置16がワークWの表面の状態を光学的に撮像可能な例を示している。この場合、観察装置16は、光源161と、ビームスプリッタ162と、ノッチフィルタ163と、撮像素子164とを備えていてもよい。光源161は、照明光ILを生成する。照明光ILは、可視光であるが、不可視光であってもよい。但し、照明光ILの波長は、加工光ELの波長とは異なる。特に、照明光ILの波長は、ダイクロイックミラー13を通過可能な波長に設定される。光源161は、生成した照明光ILを、ビームスプリッタ162に向けて射出する。ビームスプリッタ162は、光源161からの照明光ILの少なくとも一部を、ノッチフィルタ163に向けて反射する。ノッチフィルタ163は、入射する照明光ILのうち一部の波長帯域の光のみを減衰させるフィルタである。尚、入射する照明光ILのうち一部の波長帯域の光のみを透過させるバンドパスフィルタを用いてもよい。このノッチフィルタ163は、ノッチフィルタ163を通過する照明光ILの波長帯域を、ダイクロイックミラー13を透過できる波長帯域に制限する。ビームスプリッタ162が反射した照明光ILは、ノッチフィルタ163を介してダイクロイックミラー13に入射する。ダイクロイックミラー13に入射した照明光ELは、ダイクロイックミラー13を通過する。その結果、照明光ILは、光学系14を介してワークWの表面に照射される。つまり、照明光ILは、加工光ELの光路と少なくとも部分的に重複する光路を介してワークWの表面に照射される。照明光ILは、光源11からの加工光ELをワークWに導く光学系の一部(
図4に示す例では、ダイクロイックミラー13及び光学系14)を介してワークWの表面に照射される。従って、
図4に示す例では、光源11からの加工光ELをワークWに導く光学系の一部が、光源161からの照明光ILをワークWに導く光学系の一部として共用されている。但し、光源11からの加工光ELをワークWに導く光学系と、光源161からの照明光ILをワークWに導く光学系とが、光学的に分離されていてもよい。ワークWの表面に照射された照明光ILの少なくとも一部は、ワークWの表面で反射される。その結果、ワークWによって反射した照明光ILは、反射光ILrとして光学系14に入射する。反射光ILrは、光学系14を介して観察装置16に入射する。観察装置16に入射した反射光ILrは、ノッチフィルタ163を介してビームスプリッタ162に入射する。尚、照明光ILと反射光ILrとを観察光と称してもよい。尚、ノッチフィルタ163は、観察光と波長が異なる加工光ELが観察装置16の内部(特に、撮像素子164)に入射することを防止するための遮光部材として用いられる。ビームスプリッタ162に入射した反射光ILrの少なくとも一部は、ビームスプリッタ162を通過して撮像素子164に入射する。その結果、観察装置16は、ワークWの表面の状態を光学的に撮像することができる。
【0034】
観察装置16の観察結果(具体的には、撮像結果)は、ワークWの状態を特定可能な情報を含んでいる。従って、観察装置16は、ワークWを計測するための計測装置として用いられてもよい。特に、観察装置16の観察結果(具体的には、撮像結果)は、ワークWの形状(例えば、ワークWの表面の形状)を特定可能な情報を含んでいる。従って、観察装置16は、ワークWの形状を計測するための計測装置として用いられてもよい。この場合、加工装置1の一部が、ワークWを計測するための計測装置(
図4に示す例では、観察装置16)の少なくとも一部と共用されていると言える。
【0035】
再び
図1において、計測装置2は、制御装置7の制御下で、計測対象物を計測可能である。計測対象物は、例えばワークWを含む。例えば、計測装置2は、ワークWの状態を計測可能な装置であってもよい。ワークWの状態は、ワークWの位置を含んでいてもよい。ワークWの位置は、ワークWの表面の位置を含んでいてもよい。ワークWの表面の位置は、ワークWの表面を細分化した各面部分のX軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおける位置を含んでいてもよい。ワークWの状態は、ワークWの形状(例えば、3次元形状)を含んでいてもよい。ワークWの形状は、ワークWの表面の形状を含んでいてもよい。ワークWの表面の形状は、上述したワークWの表面の位置に加えて又は代えて、ワークWの表面を細分化した各面部分の向き(例えば、各面部分の法線の向きであり、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに対する各面部分の傾斜量と実質的に等価)を含んでいてもよい。ワークWの状態は、ワークWのサイズ(例えば、X軸方向、Y軸方向及びZ軸方向の少なくとも一つにおけるサイズ)を含んでいてもよい。計測装置2の計測結果に関する計測情報は、計測装置2から制御装置7に出力される。
【0036】
ワークWを計測するために、計測装置2は、計測ショット領域MSAの大きさ(言い換えれば、広さ)及び計測分解能のうち少なくとも一方が異なる複数の計測装置21を備えていてもよい。尚、本実施形態における「計測ショット領域MSA」は、計測装置21と計測対象物(例えば、ワークW)との位置関係を固定した状態で(つまり、変更することなく)計測装置21による計測が行われる領域(言い換えれば、範囲)を示す(後述する
図8及び
図9等参照)。尚、計測ショットMSAを計測装置2の計測可能範囲、計測可能フィールドと称してもよい。
図1は、計測装置2が2つの計測装置21(具体的には、計測装置21-1及び21-2)を備えている例を示している。但し、計測装置2は、単一の計測装置21を備えていてもよい。複数の計測装置21のうちの第1の計測装置21の計測ショット領域MSAは、複数の計測装置21のうちの第1の計測装置21とは異なる第2の計測装置21の計測ショット領域MSAよりも広くてもよい(つまり、大きくてもよい)。その一方で、相対的に広い計測ショット領域MSAを有する第1の計測装置21の計測分解能は、相対的に狭い計測ショット領域MSAを有する第2の計測装置21の計測分解能よりも低くてもよい。つまり、相対的に狭い計測ショット領域MSAを有する第2の計測装置21の計測分解能は、相対的に広い計測ショット領域MSAを有する第1の計測装置21の計測分解能よりも高くてもよい。
図1に示す例で言えば、計測装置21-1の計測ショット領域MSAは、計測装置21-2の計測ショット領域MSAよりも広く、計測装置21-1の計測分解能は、計測装置21-2の計測分解能よりも低くてもよい。このような条件を満たす計測装置21-1及び21-2の一例として、ワークWの表面にスリット光を投影すると共に投影されたスリット光の形状を計測する光切断法を用いてワークWを計測する計測装置21-1及びワークWを介した白色光とワークWを介していない白色光との干渉パターンを計測する白色干渉法を用いてワークWを計測する計測装置21-2があげられる。計測装置21-2は、マイケルソン干渉計、ミラウ干渉計、又はリニク干渉計であってもよい。尚、ここで言う白色光は、単色光に対して波長幅(スペクトル幅)を持つという意味であってもよい。但し、各計測装置21は、光切断法及び白色干渉法とは異なるその他の方法を用いて、ワークWを計測してもよい。その他の方法の一例として、ワークWの表面に光パターンを投影し、投影されたパターンの形状を計測するパターン投影法、ワークWの表面に光を投射し、投射された光が戻ってくるまでの時間からワークWまでの距離を測定し、これをワークW上の複数の位置で行うタイム・オブ・フライト法、モアレトポグラフィ法(具体的には、格子照射法若しくは格子投影法)、ホログラフィック干渉法、オートコリメーション法、ステレオ法、非点収差法、臨界角法、ナイフエッジ法、干渉計測法、及び、共焦点法の少なくとも一つがあげられる。いずれの場合においても、計測装置21は、計測光(例えば、スリット光又は白色光)を射出する光源と、計測光が照射されたワークWからの光(例えば、計測光の反射光)を受光する受光器とを備えていてもよい。受光器は、単一のフォトディテクタを含んでいてもよいし、一次元方向に配列された複数のフォトディテクタを含んでいてもよいし、二次元方向に配列された複数のフォトディテクタを含んでいてもよい。
【0037】
ステージ装置3は、加工装置1及び計測装置2の下方(つまり、-Z側)に配置される(つまり、設けられる)。ステージ装置3は、定盤31と、ステージ32とを備える。定盤31は、筐体4の底面上(或いは、筐体4が載置される床面等の支持面上)に配置される。定盤31上には、ステージ32が配置される。筐体4の底面或いは筐体4が載置される床面等の支持面と定盤31との間には、定盤31の振動のステージ32への伝達を低減するための不図示の防振装置が設置されていてもよい。更に、定盤31上には、加工装置1及び計測装置2を支持する支持フレーム8が配置されていてもよい。つまり、加工装置1及び計測装置2(更には、ステージ32)は、同じ定盤31によって支持されていてもよい。但し、加工装置1の少なくとも一部が、定盤31上に配置されていなくてもよい。また、計測装置2の少なくとも一部が、定盤31上に配置されていなくてもよい。加工装置1の少なくとも一部と、計測装置2の少なくとも一部とが、それぞれ異なる定盤(或いは、その他の支持面)上に配置されていてもよい。尚、計測システムSYSは定盤31を省いて構成されていたもよい。この場合、筐体4の所定構造上にステージ32を設けてもよい。
【0038】
ステージ32は、石英ガラスから構成されていてもよいし、その他の材料(例えば、花崗岩(グラナイト)等の石、金属、セラミックス等)から構成されていてもよい。ステージ32上には、ワークWが載置される。具体的には、ステージ32の表面は、ワークWを載置可能な載置面321を含む。載置面321は、XY平面に平行な面である。ワークWは、載置面321上に載置される。この際、ステージ32は、載置されたワークWを保持しなくてもよい。或いは、ステージ32は、載置されたワークWを保持してもよい。例えば、ステージ32は、ワークWを真空吸着及び/又は静電吸着することで、ワークWを保持してもよい。尚、
図1は、ステージ32の載置面321に、ワークWを真空吸着するための少なくとも一つの開口322が形成されている例を示している。ステージ32は、当該開口322を介してワークWの裏面を吸引することで、ワークWを真空吸着する。
【0039】
ステージ32は、制御装置7の制御下で、ワークWが載置されたまま定盤31上を移動可能である。ステージ32は、定盤31、加工装置1及び計測装置2の少なくとも一つに対して移動可能である。ステージ32は、X軸方向及びY軸方向のそれぞれに沿って移動可能である。この場合、ステージ32は、XY平面に平行なステージ走り面に沿って移動可能である。ステージ32は更に、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動可能であってもよい。ステージ32を移動させるために、ステージ装置3は、ステージ駆動系33を備えている。ステージ駆動系33は、例えば、任意のモータ(例えば、リニアモータ等)を用いて、ステージ32を移動させる。更に、ステージ装置3は、ステージ32の位置を計測するため位置計測器34を備えている。位置計測器34は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0040】
ステージ32が移動すると、ステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)と加工装置1と計測装置2との位置関係が変わる。つまり、ステージ32が移動すると、加工装置1及び計測装置2に対するステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)の位置が変わる。従って、ステージ32を移動させることは、ステージ32(更には、ステージ32に載置されたワークW)と加工装置1と計測装置2との位置関係を変更することと等価である。
【0041】
ステージ32は、加工装置1がワークWを加工する加工期間の少なくとも一部において加工ショット領域PSA内にワークWの少なくとも一部が位置するように、移動してもよい。ステージ32は、加工期間の少なくとも一部においてワークW上に加工ショット領域PSAが位置するように、移動してもよい。尚、本実施形態における「加工ショット領域PSA」は、加工装置1と加工対象物(例えば、ワークW)との位置関係を固定した状態で(つまり、変更することなく)加工装置1による加工が行われる領域(言い換えれば、範囲)を示す。典型的には、加工ショット領域PSAは、
図5に示すように、加工装置1と加工対象物との位置関係を固定した状態でガルバノミラー141によって偏向される加工光ELの走査範囲と一致する又は当該走査範囲よりも狭い領域になるように設定される。言い換えれば、加工ショット領域PSAは、加工装置1と加工対象物との位置関係を固定した状態で加工光ELが照射される照射領域EAが移動可能な範囲と一致する又は当該範囲よりも狭い領域になるように設定される。このため、加工ショット領域PSAは、加工装置1を基準に定まる領域(つまり、加工装置1と所定の位置関係を有する領域)になる。加工ショット領域PSA内にワークWの少なくとも一部が位置する(つまり、ワークW上に加工ショット領域PSAが位置する)場合には、加工装置1は、加工ショット領域PSA内に位置するワークWの少なくとも一部に加工光ELを照射することができる。その結果、ワークWの少なくとも一部は、ステージ32上に載置された状態(或いは、ステージ32に保持された状態)で、加工装置1が照射する加工光ELによって加工される。尚、ワークWの全体が加工ショット領域PSA内に位置することができない程度にワークWが大きい場合には、ワークWのうちの第1部分が加工ショット領域PSAに含まれる状態で第1部分が加工され、その後、ワークWのうちの第1部分とは異なる第2部分が加工ショット領域PSAに含まれるようにステージ32が移動し(更には、必要に応じて、後述する駆動系5によって加工装置1が移動し)、その後、ワークWのうちの第2部分が加工される。以降、ワークWの加工が完了するまで同様の動作が繰り返される。
【0042】
ステージ32は、計測装置2がワークWを計測する計測期間の少なくとも一部において計測ショット領域MSA内にワークWの少なくとも一部が位置するように、移動してもよい。ステージ32は、計測期間の少なくとも一部においてワークW上に計測ショット領域MSAが位置するように、移動してもよい。例えば、計測装置2が、光切断法を用いる計測装置21-1及び白色干渉法を用いる計測装置21-2を備えている場合には、典型的には、計測ショット領域MSAは、計測装置2と計測対象物との位置関係を固定した状態で光切断法に用いられるスリット光及び/又は白色干渉法に用いられる白色光を照射可能な範囲(例えば、スリット光及び/又は白色光の走査範囲)と一致するように又は当該範囲よりも狭い範囲になるように設定されてもよい。計測ショット領域MSAは、計測装置2と計測対象物との位置関係を固定した状態でスリット光及び/又は白色光が照射されたワークWからの光を受光する受光器の受光面(例えば、単一のフォトディテクタ、又は、一次元方向若しくは二次元方向に配列された複数のフォトディテクタの受光面)に対応する範囲になるように設定されてもよい。このため、計測ショット領域MSAは、計測装置2を基準に定まる領域(つまり、計測装置2と所定の位置関係を有する領域)になる。計測ショット領域MSA内にワークWの少なくとも一部が位置する(つまり、ワークW上に計測ショット領域MSAが位置する)場合には、計測装置2は、計測ショット領域MSA内に位置するワークWの少なくとも一部を計測することができる。つまり、ワークWの少なくとも一部は、ステージ32上に載置された状態(或いは、ステージ32に保持された状態)で、計測装置2によって計測される。尚、ワークWの全体が計測ショット領域MSA内に位置することができない程度にワークWが大きい場合には、ワークWのうちの第1部分が計測ショット領域MSAに含まれる状態で第1部分が計測され、その後、ワークWのうちの第1部分とは異なる第2部分が計測ショット領域MSAに含まれるようにステージ32が移動し(更には、必要に応じて、後述する駆動系6によって計測装置2が移動し)、その後、ワークWのうちの第2部分が計測される。以降、ワークWの計測が完了するまで同様の動作が繰り返される。光切断法を用いる計測装置21-1では、計測ショット領域MSAは典型的には所定方向に伸びたスリット形状であるため、当該スリットの長手方向と交差する方向に沿ってワークWをステージ32によって移動させつつワークWの計測が行われてもよい。
【0043】
ステージ32は、ステージ32上にワークWが載置された状態で、加工ショット領域PSAと計測ショット領域MSAとの間で移動してもよい。ステージ32は、ステージ32上にワークWが載置された状態で、ワークWが加工ショット領域PSAと計測ショット領域MSAとの間で移動するように移動してもよい。つまり、ワークWは、加工装置1がワークWを加工する加工期間及び計測装置2がワークWを計測する計測期間に加えて、ワークWが加工ショット領域PSAと計測ショット領域MSAとの間を移動する移動期間中もまた、ステージ32に載置されたままであってもよい。ワークWは、加工装置1によるワークWの加工と計測装置2によるワークWの計測との間で、ステージ32に載置されたままであってもよい。ワークWは、加工装置1によるワークWの加工から計測装置2によるワークWの計測までの間で、ステージ32に載置されたままであってもよい。ワークWは、計測装置2によるワークWの計測から加工装置1によるワークWの加工までの間で、ステージ32に載置されたままであってもよい。言い換えれば、加工装置1によるワークWの加工が完了してから計測装置2によるワークWの計測が開始されるまでの間に又は計測装置2によるワークWの計測が完了してから加工装置1によるワークWの加工が開始されるまでの間に、ステージ32からワークWが取り外されなくてもよい。
【0044】
ステージ32がワークWを保持している場合は、加工期間の少なくとも一部においてステージ32がワークWを保持する保持態様と、計測期間の少なくとも一部においてステージ32がワークWを保持する保持態様とが同じであってもよい。保持態様の一例として、ステージ32がワークWを保持する力があげられる。ステージ32がワークWを真空吸着することでワークWを保持する場合には、ステージ32がワークWを保持する力は、開口322を介した排気速度に依存する。この場合、ステージ32がワークWを保持する力を同じにするために、加工期間中における排気速度と、計測期間中における排気速度とが同じになってもよい。ステージ32がワークWを静電吸着することでワークWを保持する場合には、ステージ32がワークWを保持する力は、電極に印加される電圧に依存する。この場合、ステージ32がワークWを保持する力を同じにするために、加工期間中に静電吸着用の電極に印加される電圧と、計測期間中に静電吸着用の電極に印加される電圧とが同じになってもよい。但し、加工期間の少なくとも一部においてステージ32がワークWを保持する保持態様と、計測期間の少なくとも一部においてステージ32がワークWを保持する保持態様とが異なっていてもよい。また、ワークWに重り(ウエイト)を載せてもよい。特にワークWが軽量、或いは小型である場合に有効である。
【0045】
尚、ステージ32は、複数のステージ32を有していてもよい。
【0046】
尚、本例においては、加工装置1と計測装置2とは、ステージ32の移動方向に沿って配置されている。例えば、ステージ32の移動方向が少なくともY方向であれば、加工装置1と計測装置2とはY方向に沿って並んで配置される。ここで、加工装置1と計測装置2とは、ステージ32の移動方向と交差する方向に沿って配置されていてもよい。
【0047】
また、本例においては、加工装置1と計測装置2とは、加工装置1による加工光ELの走査方向と交差する方向に沿って配置されている。例えば、加工装置1による加工光ELの走査方向がX方向であれば、加工装置1と計測装置2とはX方向と交差するY方向に沿って並んで配置される。ここで、加工装置1と計測装置2とは、加工光ELの走査方向に沿った方向に配置されていてもよい。
【0048】
筐体4は、筐体4の外部の空間に対して隔てられた内部の収容空間SPに、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3を収容する。つまり、本実施形態では、加工装置1、計測装置2及びステージ装置3は、同じ筐体4に配置されている。加工装置1、計測装置2及びステージ装置3は、同じ収容空間SPに配置されている。ステージ装置3のステージ32にワークWが載置されている場合には、筐体4は、その内部の収容空間SPにワークWを収容する。つまり、加工装置1、計測装置2及びワークWは、同じ収容空間SPに配置されている。但し、加工装置1の少なくとも一部が収容空間SPに配置されていなくてもよい。加工装置1の少なくとも一部が、筐体4の外部に配置されていなくてもよい。計測装置2の少なくとも一部が収容空間SPに配置されていなくてもよい。計測装置2の少なくとも一部が、筐体4の外部に配置されていなくてもよい。ステージ装置3の少なくとも一部が収容空間SPに配置されていなくてもよい。ステージ装置3の少なくとも一部が、筐体4の外部に配置されていなくてもよい。
【0049】
このように加工装置1、計測装置2及びステージ装置3(更には、ワークW)が同じ収容空間SPに配置されているため、ステージ32は、ステージ32上にワークWが載置された状態で、加工ショット領域PSAと計測ショット領域MSAとの間で移動することができる。更には、加工期間の少なくとも一部及び計測期間の少なくとも一部の双方において、同じ筐体4がワークWを収容し続けることができる。別の言い方をすると、加工期間の少なくとも一部及び計測期間の少なくとも一部の双方において、ワークWが同じ筐体4の内部に位置し続けることができる。
【0050】
駆動系5は、制御装置7の制御下で、加工装置1を移動させる。駆動系5は、定盤31、ステージ32及びステージ32に載置されたワークWの少なくとも一つに対して加工装置1を移動させる。駆動系5は、計測装置2に対して加工装置1を移動させてもよい。駆動系5は、加工装置1を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動させる。駆動系5は、例えば、モータ等を含む。更に、加工システムSYSは、駆動系5が移動させる加工装置1の位置を計測可能な位置計測器51を備えている。位置計測器51は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0051】
駆動系5が加工装置1を移動させると、ワークW上において、照射領域EA及び加工ショット領域PSAが移動する。従って、駆動系5は、加工装置1を移動させることで、ワークWと照射領域EA及び加工ショット領域PSAとの位置関係を変更可能である。但し、ステージ32が移動可能であるがゆえに、加工装置1が移動可能でなくても、ワークWと照射領域EA及び加工ショット領域PSAとの位置関係を変更可能である。このため、加工装置1が移動可能でなくてもよい。この場合、加工システムSYSは、駆動系5を備えていなくてもよい。
【0052】
また、本実施形態においては、ステージ32がXY方向に移動可能であるため、加工装置1はZ軸方向に移動可能であってもよい。このとき、加工装置1のZ軸方向への移動によって、加工光ELのフォーカス位置の制御、観察装置16のピント位置の制御を行ってもよい。
【0053】
駆動系6は、制御装置7の制御下で、計測装置2を移動させる。駆動系6は、定盤31、ステージ32及びステージ32に載置されたワークWの少なくとも一つに対して計測装置2を移動させる。駆動系6は、加工装置1に対して計測装置2を移動させてもよい。駆動系6は、計測装置2を、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つに沿って移動させる。駆動系6は、例えば、モータ等を含む。更に、加工システムSYSは、駆動系6が移動させる計測装置2の位置を計測可能な位置計測器61を備えている。位置計測器61は、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0054】
駆動系6が計測装置2を移動させると、ワークW上において、計測ショット領域MSAが移動する。従って、駆動系6は、計測装置2を移動させることで、ワークWと計測ショット領域MSAとの位置関係を変更可能である。但し、ステージ32が移動可能であるがゆえに、計測装置2が移動可能でなくても、ワークWと計測ショット領域MSAとの位置関係を変更可能である。このため、計測装置2が移動可能でなくてもよい。この場合、加工システムSYSは、駆動系6を備えていなくてもよい。
【0055】
また、本実施形態においては、ステージ32がXY方向に移動可能であるため、計測装置2はZ軸方向に移動可能であってもよい。このとき、計測装置2のZ軸方向への移動によって、計測装置2のピント位置の制御を行ってもよい。
【0056】
尚、計測装置2が複数の計測装置21を備えている場合には、駆動系6は、複数の計測装置21をまとめて移動させてもよいし、各計測装置21を個別に移動させてもよい。
【0057】
制御装置7は、加工システムSYSの動作を制御する。制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)の少なくとも一方と、メモリとを含んでいてもよい。特に、本実施形態では、制御装置7は、ワークWの加工条件を設定すると共に、設定した加工条件に従ってワークWが加工されるように加工装置1、計測装置2、ステージ装置3、駆動系5及び駆動系6を制御する。尚、制御装置7は、加工システムSYSの内部に配置されていなくてもよく、例えば、加工システムSYS外にサーバ等として配置されていてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYSとは、有線、無線等の通信回線で接続されていてもよい。
【0058】
(2)加工システムSYSの動作
続いて、加工システムSYSが行う動作について説明する。
【0059】
(2-1)加工動作
初めに、
図6を参照しながら、加工システムSYSが行う動作の一つである加工動作(つまり、ワークWを加工する動作)について説明する。
図6は、加工システムSYSが行う加工動作の流れを示すフローチャートである。
【0060】
図6に示すように、加工装置1による加工が予定されているワークWがステージ32に新たに載置される(ステップS101)。つまり、未加工のワークWがステージ32に新たに載置される。例えば、筐体4の外部から筐体4の内部の収容空間SPに未加工のワークWが搬送され、その後、収容空間SPに搬送されたワークWがステージ32に新たに載置される。尚、ワークWはステージ32によって保持されていてもよい。
【0061】
本実施形態では、説明の便宜上、未加工のワークWの断面を示す断面図である
図7(a)及び未加工のワークWの上面を示す平面図である
図7(b)に示すように、+Z側に突き出た突起Wpが表面に形成されているワークWを一例として用いて、加工動作の説明を進める。特に、本実施形態では、突起Wpを除去するようにワークWに対して行われる加工動作を一例として用いて、加工動作について説明する。但し、加工システムSYSは、
図6に示すフローチャートに基づく加工動作を行うことで、
図7(a)及び
図7(b)に示すワークWとは異なる形状を有する任意のワークを加工可能である。
【0062】
ワークWがステージ32に載置された後、計測装置2が備える計測装置21-1が、ワークWを計測する(ステップS111)。具体的には、まず、ステージ32及び/又は計測装置21-1は、ワークWの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21-1の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。その後、計測装置21-1は、ワークWを計測する。計測装置21-1の計測ショット領域MSAが計測装置2-12の計測ショット領域MSAよりも広いため、本実施形態では、説明の便宜上、計測装置21-1による計測を、“広域計測”と称する。
【0063】
広域計測を行う計測装置21-1の計測ショット領域MSAの外縁は、計測ショット領域MSAとワークWとの位置関係の一例を示す平面図である
図8に示すように、ワークWの表面の全体を包含することができる程度の大きさを有していてもよい。XY平面(或いは、ワークWの表面に沿った面、以下同じ)内における計測装置21-1の計測ショット領域MSAの外縁の大きさは、XY平面内におけるワークWの表面の外縁の大きさよりも大きくてもよい又は同じでもよい。この場合、ワークWが計測ショット領域MSA内に位置するようにステージ32が移動した後には、ステージ32及び計測装置21-1が移動しなくても、計測装置21-1は、ワークWの広域計測を完了することができる。
【0064】
或いは、計測装置21-1の計測ショット領域MSAの外縁は、計測ショット領域MSAとワークWとの位置関係の他の一例を示す平面図である
図9に示すように、ワークWの表面の一部を包含することができる一方でワークWの表面の他の一部を包含することができない程度の大きさを有していてもよい。XY平面内における計測装置21-1の計測ショット領域MSAの外縁の大きさは、XY平面内におけるワークWの表面の外縁の大きさよりも小さくてもよい。この場合、ワークWの一部が計測ショット領域MSA内に位置するようにステージ32が移動した後には、上述したように、計測装置21-1がワークWのうち計測ショット領域MSA内に位置する部分の計測を完了する都度、ワークWのうちいまだ計測装置21-1が計測していない他の部分が計測ショット領域MSA内に位置するようにステージ32及び/又は計測装置21-1が移動する動作が繰り返される。つまり、計測装置21-1がワークWのうち計測ショット領域MSA内に位置する部分の計測を完了する都度、ワークWの表面に対して計測ショット領域MSAをX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って移動させる動作が繰り返される。
【0065】
この際、ワークWの表面に対して移動する計測ショット領域MSAの移動軌跡の一例を示す平面図である
図10(a)に示すように、計測ショット領域MSAは、移動前の計測ショット領域MSAと移動後の計測ショット領域MSAとが重複しないように移動してもよい。つまり、計測ショット領域MSAは、ワークWの表面の第1の部分を含む計測ショット領域MSAと、ワークWの表面の第1の部分に隣接する第2の部分を含む計測ショット領域MSAとが重複しないように移動してもよい。計測ショット領域MSAは、移動前の計測ショット領域MSAに含まれていたワークWの表面の第1の部分と、移動後の計測ショット領域MSAに含まれているワークWの表面の第2の部分とが重複しないように移動してもよい。或いは、ワークWの表面に対して移動する計測ショット領域MSAの移動軌跡の一例を示す平面図である
図10(b)に示すように、計測ショット領域MSAは、移動前の計測ショット領域MSAと移動後の計測ショット領域MSAとが部分的に重複するように移動してもよい。つまり、計測ショット領域MSAは、ワークWの表面の第1の部分を含む計測ショット領域MSAと、ワークWの表面の第1の部分に隣接する第2の部分を含む計測ショット領域MSAとが部分的に重複するように移動してもよい。計測ショット領域MSAは、移動前の計測ショット領域MSAに含まれていたワークWの表面の第1の部分と、移動後の計測ショット領域MSAに含まれているワークWの表面の第2の部分とが部分的に重複するように移動してもよい。尚、上述では計測ショット領域MSAに対してワークWを移動させたが、例えば計測装置21-1の移動によりワークWに対して計測ショット領域MSAを移動させてもよい。
【0066】
再び
図6において、ワークWの広域計測が行われた後、制御装置7は、計測装置21-1の計測結果を示す広域計測情報に欠損が存在するか否かを判定する(ステップS112)。ここで言う欠損とは、ワークWの表面のある部分の計測結果に関する情報が広域計測情報に含まれていないことを意味する。ステップS112における判定の結果、広域計測情報に欠損が存在すると判定された場合には(ステップS112:Yes)、制御装置7は、既存のデータ補間法等を用いて、欠損した情報を補間する(ステップS113)。或いは、制御装置7は、計測装置21-1等を制御して、ワークWのうち欠損した情報に対応する部分を再度計測するように計測装置21-1等を制御してもよい。このとき、計測装置21-1による計測条件(例えば、波長や計測装置21-1の向き等)を変えて再度計測してもよい。
【0067】
その後、制御装置7は、広域計測情報に基づいて、ワークWの3次元モデルデータを生成する(ステップS114)。以降、説明の便宜上、広域計測情報に基づく3次元モデルデータを、“広域3Dモデルデータ”と称する。尚、ステップS101において、広域3Dモデルデータが生成済みであるワークWがステージ32に新たに載置された場合には、計測装置21-1は、ステップS111において広域計測を行わなくてもよい。具体的には、広域3Dデータを生成するためのステップS111からステップS114の動作が行われなくてもよい。この場合には、既に生成済みの広域3Dデータを用いてステップS115以降の動作が行われてもよい。
【0068】
その後、制御装置7は、ステージ32が移動する際に用いられる座標系(以降、“ステージ座標系”)内でのワークWの位置を特定する(ステップS115)。具体的には、計測装置21-1は、ステップS111における広域計測を行う際に、ステージ32の表面(或いは、定盤31等のその他の部材)に予め形成された基準マーク(例えば、後述する開口93d(
図39参照)、マーカAM(
図49参照)又はそれ以外の任意のマーク)を計測する。基準マークの計測結果に関する情報は、基準マークの位置に関する情報を含む。このため、制御装置7は、基準マークの計測結果を含む広域計測情報に基づいて、基準マークとワークWとの位置関係を特定することができる。更に、基準マークがステージ32に形成されている(つまり、基準マークとステージ32との位置関係が固定されている)がゆえに、制御装置7は、位置計測器34によって計測されるステージ32の位置(つまり、ステージ座標系内での位置)に関する情報と、基準マークとステージ32との位置関係に関する情報とに基づいて、ステージ座標系内での基準マークの位置を特定することができる。その結果、制御装置7は、ステージ座標系内での基準マークの位置に関する情報と、広域計測によって計測された基準マークとワークWとの位置関係に関する情報とに基づいて、ステージ座標系内でのワークWの位置を特定することができる。尚、ステージ32の基準マークを計測する代わりに、ステージ32の特徴点を計測してもよい。
【0069】
その後、制御装置7は、ワークWのうち加工装置1が実際に加工するべき加工対象領域TAを設定する(ステップS116)。例えば、制御装置7は、ステップS114で生成された広域3Dモデルデータに基づくワークWの3次元モデルを確認した加工システムSYSのユーザの指示(例えば、加工対象領域TAを設定する指示)に基づいて、加工対象領域TAを設定してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、ワークWのうち所定の特定条件を満たす部分を特定すると共に、特定した部分を含む加工対象領域TAを設定してもよい。具体的には、例えば、「周囲の面と比較してZ軸方向に沿って所定量以上突き出ている面を、加工対象領域TAに設定する」という特定条件が設定されている場合には、制御装置7は、ワークWのうち周囲の面と比較してZ軸方向に沿って所定量以上突き出ている面を特定すると共に、特定した面を含む加工対象領域TAを設定してもよい。尚、以下の説明では、加工対象領域TAとワークWとの位置関係の一例を示す断面図である
図11(a)及び加工対象領域TAとワークWとの位置関係の一例を示す平面図である
図11(b)に示すように、突起Wpを含む加工対象領域TAが設定される例を用いて説明を進める。
【0070】
その後、計測装置2が備える計測装置21-2が、ワークWのうち加工対象領域TAに含まれる部分である加工対象部分W_targetを計測する(ステップS121)。尚、
図11(a)及び
図11(b)に示す例では、加工対象部分W_targetは、突起Wpと一致する(或いは、突起Wpの少なくとも一部を含む)。具体的には、まず、ステージ32及び/又は計測装置21-2は、加工対象領域TAの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21-2の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。つまり、ステージ32は、加工対象部分W_targetの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21-2の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。その後、計測装置21-2は、加工対象部分W_targetを計測する。計測装置21-2の計測分解能が計測装置21-1の計測分解能よりも高いため、本実施形態では、説明の便宜上、計測装置21-2による計測を、“ファイン計測”と称する。
【0071】
ファイン計測を行う計測装置21-2の計測ショット領域MSAの外縁は、加工対象領域TAの全体を包含することができる程度の大きさを有していてもよい。XY平面内における計測装置21-2の計測ショット領域MSAの外縁の大きさは、XY平面内における加工対象領域TAの外縁の大きさよりも大きくてもよい又は同じでもよい。この場合、加工対象領域TAが計測ショット領域MSA内に位置するようにステージ32が移動した後には、ステージ32及び計測装置21-2が移動しなくても、計測装置21-2は、加工対象部分W_targetの広域計測を完了することができる。
【0072】
或いは、ファイン計測を行う計測装置21-2の計測ショット領域MSAの外縁は、加工対象領域TAの全体を包含することができない程度の大きさを有していてもよい。XY平面内における計測装置21-2の計測ショット領域MSAの外縁の大きさは、XY平面内における加工対象領域TAの外縁の大きさよりも小さくてもよい。この場合、加工対象部分W_targetが計測ショット領域MSA内に位置するようにステージ32が移動した後には、上述したように、計測装置21-2が加工対象部分W_targetのうち計測ショット領域MSA内に位置する部分の計測を完了する都度、加工対象部分W_targetのうちいまだ計測装置21-2が計測していない他の部分が計測ショット領域MSA内に位置するようにステージ32及び/又は計測装置21-2が移動する動作が繰り返される。つまり、計測装置21-2が加工対象部分W_targetのうち計測ショット領域MSA内に位置する部分の計測を完了する都度、ワークWの表面に対して計測ショット領域MSAを移動させる動作が繰り返される。この際、計測装置21-2の計測ショット領域MSAは、計測装置21-1の計測ショット領域MSAと同様に、移動前の計測ショット領域MSAと移動後の計測ショット領域MSAとが重複しないように移動してもよい。或いは、計測ショット領域MSAは、移動前の計測ショット領域MSAと移動後の計測ショット領域MSAとが部分的に重複するように移動してもよい。
【0073】
ワークWのファイン計測が行われた後、制御装置7は、計測装置21-2の計測結果を示すファイン計測情報に基づいて、加工対象部分W_targetの3次元モデルデータを生成する(ステップS122)。以降、説明の便宜上、ファイン計測情報に基づく3次元モデルデータを、“ファイン3Dモデルデータ”と称する。尚、ステップS101において、ファイン3Dモデルデータが生成済みであるワークWがステージ32に新たに載置された場合には、計測装置21-2は、ステップS121においてファイン計測を行わなくてもよい。具体的には、ファイン3Dデータを生成するためのステップS121からステップS122の動作が行われなくてもよい。この場合には、既に生成済みのファイン3Dデータを用いてステップS123以降の動作が行われてもよい。この場合、ファイン3Dデータは、3D-CADを用いて生成されてもよい。
【0074】
更に、制御装置7は、ステージ座標系内での加工対象部分W_targetの位置を特定する(ステップS123)。尚、ステージ座標系内での加工対象部分W_targetの位置を特定する動作は、ステージ座標系内でのワークWの位置を特定する動作(
図6のステップS116)と同様に行われればよいため、その詳細な説明を省略する。
【0075】
その後、制御装置7は、ファイン3Dモデルデータを所定のスライスピッチでスライス処理して、層状にスライスされた加工対象部分W_targetの3次元モデルデータに相当するスライスデータを作成する(ステップS124)。具体的には、まず、制御装置7は、加工光ELの1回の走査によって除去される除去部分の厚み(つまり、Z軸方向における長さ)を示すパラメータである基準除去厚の量を指定する。基準除去厚の量は、加工光ELの特性に依存する。加工光ELの特性は、例えば、加工光ELの総エネルギ量(例えば、加工光ELからワークWに対して伝達されるエネルギの総量)、加工光ELの単位面積当たりのエネルギ量(例えば、加工光ELからワークWに対して単位面積あたりに伝達されるエネルギ量であり、いわゆるフルエンス)、加工光ELの単位時間当たりのエネルギ量(例えば、加工光ELからワークWに対して単位時間あたりに伝達されるエネルギ量)、加工光ELが照射される照射領域EAのサイズ及び加工光ELの照射時間の少なくとも一つを含んでいてもよい。加工光ELの特性は、加工光ELのフォーカス位置、ビーム径(或いは、スポット径)及び偏光状態の少なくとも一つを含んでいてもよい。加工光ELがパルス光である場合には、加工光ELの特性は、単位時間当たりのパルス数を含んでいてもよい。従って、制御装置7は、加工装置1が照射する加工光ELの特性に基づいて、基準除去厚の量を指定する。その後、制御装置7は、基準除去厚の量に相当するスライスピッチでファイン3Dモデルデータをスライス処理する。その結果、加工対象部分W_targetをZ軸方向においてスライシングすることで得られる複数の層状構造部分SLの3次元モデルデータに相当するスライスデータが生成される。つまり、加工対象部分W_target及び複数の層状構造部分SLの断面を示す断面図である
図12に示すように、制御装置7は、Z軸方向に沿って積層されることで加工対象部分W_targetを構成する複数の層状構造部分SLにそれぞれ対応する複数の3次元モデルデータを含むスライスデータを生成する。尚、複数の層状構造部分SLはデータ上における仮想的なものである。
【0076】
各層状構造部分SLは、Z軸方向におけるワークWと加工装置1との位置関係(特に、ワークWと加工光ELのフォーカス位置との位置関係)を固定した状態で行われる加工光ELの走査によって除去される除去部分に相当すると見なせる。従って、加工装置1は、複数の層状構造部分SLを順に除去すると見なせる。具体的には、まず、加工装置1によって最上層の層状構造部分SL#1に相当する部位が除去される。その後、ワークWに対して加工装置1が基準除去厚の量だけ近づくようにステージ32及び/又は加工装置1が移動される。或いは、ワークWに対して加工光ELのフォーカス位置が基準除去厚の量だけ近づくように、光学系12が制御される。その後、加工装置1によって層状構造部分SL#1の一つ下の層状構造部分SL#2に相当する部位が除去される。以下、全ての層状構造部分SLに相当する部位が除去されるまで、同様の動作が繰り返される。
【0077】
この際、スライスデータは、各層状構造部分SLを除去する過程において加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる領域を示していてもよい。つまり、スライスデータは、各層状構造部分SLを除去する過程において加工対象領域TA内での除去加工が行われる予定領域を示していてもよい。加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる領域には、層状構造部分SLに相当する実際の部位が存在する。従って、スライスデータは、各層状構造部分SLに相当する部位を除去する時点において加工対象領域TA内で実際に除去すべき層状構造部分SLに相当する部位が存在する領域を示していてもよい。加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる領域には、加工光ELが実際に照射される。一方で、加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われない位置(つまり、除去加工が行われる予定がない領域)には、加工光ELが照射されない。このため、スライスデータは、各層状構造物SLを除去する過程において加工対象領域TA内で実際に照射光ELが照射される領域を示していてもよい。つまり、スライスデータは、各層状構造物SLを除去する過程において加工対象領域TA内での照射光ELの照射予定領域を示していてもよい。例えば、
図13(a)は、スライスデータが、層状構造部分SL#1に相当する部位を除去する過程において加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる領域を示している例を模式的に示している。
図13(b)は、スライスデータが、層状構造部分SL#2に相当する部位を除去する過程において加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる領域を示している例を模式的に示している。
図13(c)は、スライスデータが、層状構造部分SL#3に相当する部位を除去する過程において加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる領域を示している例を模式的に示している。
図13(d)は、スライスデータが、層状構造部分SL#n(但し、nは、層状構造部分SLの数)に相当する部位を除去する過程において加工対象領域TA内で実際に除去加工が行われる位置を示している例を模式的に示している。
【0078】
再び
図6において、その後、制御装置7は、ステップS124で生成したスライスデータに基づいて、ワークWを除去加工する際の加工条件を設定する(ステップS125)。具体的には、制御装置7は、ワークWのうち加工対象部分W_targetを適切に除去するために求められる加工装置1、ステージ装置3及び/又は駆動系5の動作内容を定める加工条件を設定する。従って、加工装置1、ステージ装置3及び/又は駆動系5がステップS125で設定された加工条件に基づいて動作すれば、ワークWのうち加工対象部分W_targetを適切に除去される。
【0079】
加工条件は、ワークWを加工する加工装置1に関する第1条件を含んでいてもよい。第1条件は、上述した加工光ELの特性に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELの照射位置に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELの照射タイミング(例えば、加工光ELをオンするタイミング及び/又は加工光ELをオフするタイミング)に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、ワークW上の照射領域EAの大きさ及び/又は形状に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELがパルス光である場合、パルスの周波数に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELがワークW上を走査する場合、走査速度に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELがパルス光であり且つ加工光ELがワークW上を走査する場合、加工光ELの複数の照射位置間の間隔(ショット間隔)に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELがパルス光である場合、パルス数に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELがパルス光である場合、パルス幅(時間的な幅)に関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工光ELが複数の走査線に沿ってワークW上を走査する場合、走査線のピッチに関する条件を含んでいてもよい。第1条件は、加工装置1の移動に関する条件(言い換えれば、加工装置1を移動させる駆動系5に関する条件)を含んでいてもよい。加工装置1の移動に関する条件は、加工装置1の移動方向、移動量、移動速度及び移動タイミングの少なくとも一つに関する条件を含んでいてもよい。
【0080】
加工条件は、ワークWが載置されるステージ装置3に関する第2条件を含んでいてもよい。第2条件は、ステージ32の移動に関する条件(言い換えれば、ステージ32を移動させるステージ駆動系33に関する条件)を含んでいてもよい。ステージ32の移動に関する条件は、ステージ32の移動方向、移動量、移動速度及び移動タイミングの少なくとも一つに関する条件を含んでいてもよい。加工装置1及び/又はステージ32が移動すると、加工装置1とステージ32に載置されたワークWとの位置関係が変わる。このため、加工条件は、加工装置1とワークWとの位置関係に関する条件を含んでいてもよい。加工装置1とワークWとの位置関係が変わると、加工ショット領域PSA及び照射領域EAとワークWとの位置関係が変わる。このため、加工条件は、加工ショット領域PSA及び照射領域EAとワークWとの位置関係に関する条件を含んでいてもよい。尚、加工条件は、後述する初期設定動作を用いて定められていてもよい。
【0081】
その後、加工装置1は、ワークWの除去加工を開始する(ステップS131)。具体的には、ステージ32及び/又は加工装置1は、加工対象領域TAが加工装置1の加工ショット領域PSA内に位置するように移動する。つまり、ステージ32及び/又は加工装置1は、ワークWが計測ショット領域MSAから加工ショット領域PSAに向かって移動するように、移動する。ステージ32及び/又は加工装置1は、ワークWが計測装置2の下方の位置から加工装置1の下方の位置に向かって移動するように、移動する。この際、上述したように、ステージ32にはワークWが載置されたままであってよい。その後、制御装置7は、ステップS125で設定した加工条件に基づいて、複数の層状構造部分SLに対応する部位を順に除去するように、加工装置1、ステージ装置3及び駆動系5を制御する。その結果、複数の層状構造部分SLが順に除去される。例えば、加工対象部分W_targetが除去される様子を示す断面図である
図14に示すように、加工装置1は、加工対象領域TA内において実際に除去加工が行われる位置(つまり、層状構造部分SLが存在する位置)に対して加工光ELを照射する。その結果、加工光ELが照射された層状構造部分SLが除去される。
【0082】
加工ショット領域PSAの外縁は、加工対象領域TAの全体を包含することができる程度の大きさを有していてもよい。XY平面内における加工ショット領域PSAの外縁の大きさは、XY平面内における加工対象領域TAの外縁の大きさよりも大きくてもよい又は同じでもよい。この場合、加工対象領域TAが加工ショット領域PSA内に位置するようにステージ32が移動した後には、ステージ32及び加工装置1が移動しなくても、加工装置1は、ワークWの加工を完了することができる。
【0083】
或いは、加工ショット領域PSAの外縁は、加工対象領域TAの一部を包含することができる一方で加工対象領域TAの他の一部を包含することができない程度の大きさを有していてもよい。XY平面内における加工ショット領域PSAの外縁の大きさは、XY平面内における加工対象領域TAの外縁の大きさよりも小さくてもよい。この場合、加工対象領域TAの一部が加工ショット領域PSA内に位置するようにステージ32が移動した後には、加工装置1がある層状構造部分SLのうち加工ショット領域PSA内に位置する部分の除去加工を完了する都度、同じ層状構造部分SLのうちいまだ加工装置1が除去加工を行っていない他の部分が加工ショット領域PSA内に位置するようにステージ32及び/又は加工装置1が移動する動作が繰り返される。つまり、加工装置1がある層状構造部分SLのうち加工ショット領域PSA内に位置する部分の除去加工を完了する都度、ワークWに対して加工ショット領域PSAをX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に沿って移動させる動作が繰り返される。
【0084】
本実施形態では、特に、加工対象部分W_targetが所望量だけ加工される都度、加工対象部分W_targetの除去加工が適切に行われたか否かが評価されてもよい。例えば、層状構造部分SLが一つ除去される都度、その層状構造部分SLの除去加工が適切に行われたか否かが評価されてもよい。或いは、層状構造部分SLの除去加工が適切に行われたか否かの評価は、層状構造部分SLが一つ除去されるタイミングに限らず、ワークWに対する除去加工が完了するまでの間の期間中の所望のタイミングで行われてもよい。以下では、説明の便宜上、層状構造部分SLの除去加工が適切に行われたか否かの評価が、層状構造部分SLが一つ除去されるタイミングで行われる例について説明する。
【0085】
具体的には、
図6に示すように、層状構造部分SLに相当する部位が除去される都度、計測装置21-2が加工対象部分W_targetを計測する(ステップS132)。このため、まずは、ステージ32及び/又は計測装置21-2は、加工対象領域TA(つまり、加工対象部分W_target)が計測装置21-2の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。つまり、ステージ32は、ワークW(特に、加工対象部分W_target)が加工ショット領域PSAから計測ショット領域MSAに向かって移動するように、移動する。この際、上述したように、ステージ32にはワークWが載置されたままであってよい。その後、計測装置21-2は、加工対象部分W_targetを計測する。特に、計測装置21-2は、加工対象部分W_targetのうち実際に除去加工が行われた部分(つまり、加工光ELが照射された部分)及び加工対象部分W_targetのうち除去加工が行われる予定であった部分(つまり、加工光ELが照射される予定であった部分))の少なくとも一方を計測する。
【0086】
その後、制御装置7は、加工装置1による加工量が、予め定めた又は想定していた適切な量であるか否かを判定する(ステップS133)。本実施形態では、加工量は、ある層状構造部分SLに相当する部位を除去するための除去加工が行われる前の加工対象部分W_targetの形状と、ある層状構造部分SLに相当する部位を除去するための除去加工が行われた後の加工対象部分W_targetの形状との差分を示すパラメータであるものとする。例えば、層状構造部分SL#1に相当する部位を除去加工したときの加工量は、層状構造部分SL#1に相当する部位を除去するための除去加工が行われる前の加工対象部分W_targetの形状と、層状構造部分SL#1に相当する部位を除去するための除去加工が行われた後の加工対象部分W_targetの形状との差分を示すパラメータとなる。例えば、層状構造部分SL#2に相当する部位を除去加工したときの加工量は、層状構造部分SL#2に相当する部位を除去するための除去加工が行われる前の加工対象部分W_targetの形状(つまり、層状構造部分SL#1が除去された加工対象部分W_targetn形状)と、層状構造部分SL#2を除去するための除去加工が行われた後の加工対象部分W_targetの形状との差分を示すパラメータである。例えば、層状構造部分SL#3に相当する部位を除去加工したときの加工量は、層状構造部分SL#3に相当する部位を除去するための除去加工が行われる前の加工対象部分W_targetの形状(つまり、層状構造部分SL#1及び2に相当する部位が除去された加工対象部分W_targetn形状)と、層状構造部分SL#3に相当する部位を除去するための除去加工が行われた後の加工対象部分W_targetの形状との差分を示すパラメータである。除去加工が行われる前の計測装置21-2の計測結果を示すファイン計測情報は、除去加工が行われる前の加工対象部分W_targetの形状を示す。除去加工が行われた後の計測装置21-2の計測結果を示すファイン計測情報は、除去加工が行われた後の加工対象部分W_targetの形状を示す。従って、制御装置7は、除去加工が行われる前の計測装置21-2の計測結果を示すファイン計測情報と、除去加工が行われた後の計測装置21-2の計測結果を示すファイン計測情報とに基づいて、加工量を算出することができる。尚、加工装置1が除去加工を行う場合、加工量は除去量と称することができる。
【0087】
制御装置7は、加工対象部分W_targetのうちの一部である比較対象部分に対する加工量が、当該比較対象部分に対して予め定めた又は想定していた適切な加工量であるか否かを判定してもよい。この場合、制御装置7は、比較対象部分の位置を示す情報(例えば、上述したステージ座標系内での比較対象部分の位置を示す情報)に基づいて、除去加工が行われる前のファイン計測情報及び除去加工が行われた後のファイン計測情報のそれぞれから、比較対象部分の形状に関する情報を取得すると共に、当該取得した情報に基づいて比較対象部分の加工量を算出してもよい。この場合、制御装置7は、実質的には、ある除去加工を行う予定であった部分に対してその除去加工が正しく行われたか否かを判定していると言える。
【0088】
本実施形態では、加工装置1が除去加工を行うため、加工量は、除去加工によって実際に除去された部分に関するパラメータである除去量であってもよい。一例として、加工量(除去量)は、除去加工によって実際に除去された部分の厚みを示す実除去厚の量であってもよい。この場合、制御装置7は、実除去厚の量と上述した基準除去厚の量とを比較することで、加工量が適切な量であるか否かを判定してもよい。例えば、実除去厚の量と基準除去厚の量との差分が所定閾値よりも小さければ、制御装置7は、加工量が適切な量であると判定してもよい。例えば、実除去厚の量と基準除去厚の量との差分が所定閾値よりも大きければ、制御装置7は、加工量が適切な量ではないと判定してもよい。
【0089】
ステップS133における判定の結果、加工量が適切な量でないと判定された場合には(ステップS133:No)、加工量に影響を与える加工条件が適切でなかった可能性が相対的に高いと想定される。そこで、制御装置7は、加工条件を再設定する。具体的には、制御装置7は、少なくとも現在設定されている加工条件と除去加工が行われた後の加工対象部分W_targetの計測結果を示すファイン計測情報(つまり、ステップS132で取得されたファイン計測情報)とに基づいて、加工条件を再設定する(ステップS134)。例えば、制御装置7は、現在設定されている加工条件をステップS132で取得されたファイン計測情報に基づいて補正すると共に、補正した加工条件を、新たな加工条件に設定してもよい。この際、制御装置7は、ステップS132で取得されたファイン計測情報に基づいて、現在設定されている加工条件を補正してもよい。
【0090】
他方で、ステップS133における判定の結果、加工量が適切な量であると判定された場合には(ステップS133:No)、加工量に影響を与える加工条件が適切である可能性が相対的に高いと想定される。このため、この場合には、制御装置7は、加工条件を再設定しなくてもよい。
【0091】
その後、ワークWに対する除去加工が全て完了するまで(つまり、全ての層状構造部分SLが除去されるまで)、ステップS131からステップS134までの動作が繰り返される(ステップS135)。つまり、加工装置1は、計測装置21-2が計測済みの加工対象部分W_targetに対して加工光ELを照射して、計測装置21-2が計測済みの加工対象部分W_targetを除去加工する。その後、計測装置21-2は、加工装置1が加工した加工対象部分W_targetを計測する。その後、制御装置7は、計測装置21-2の計測結果に基づいて、必要に応じて加工条件を再設定する。以上の動作が、ワークWに対する除去加工が全て完了するまで繰り返される。その結果、除去加工が完了したワークWを示す断面図である
図15に示すように、ワークWから加工対象部分W_target(
図15に示す例では、突起Wp)が除去される。
【0092】
尚、計測装置21-2は、層状構造部分SLに相当する部位が除去される都度、加工対象部分W_targetを計測しなくてもよい。一例として、最上層の層状構造部分SL#1に相当する部位を除去加工する前と除去加工した後とに加工対象部分W_targetを計測し、加工条件が適切であるか否かを判定し、必要に応じて加工条件を再設定してもよい。その後は、層状構造部分SLに相当する部位が除去される都度、加工対象部分W_targetを計測しなくてもよい。
【0093】
(2-2)加工条件の初期値を設定する初期設定動作
続いて、
図16を参照しながら、加工装置SYSが行う動作の一つである初期設定動作について説明する。初期設定動作は、上述した加工動作において用いられる加工条件の初期値(言い換えれば、基準値又はデフォルト値)を設定するための動作である。特に、加工光ELの特性に関する加工条件の初期値を設定するための初期設定動作について説明する。
図16は、初期設定動作の流れを示すフローチャートである。尚、加工システムSYSは、典型的には、上述した加工動作を行う前に初期設定動作を行うが、加工動作を行っている途中で又は加工動作を終了した後に初期設定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、ある加工動作を行ってから、次に別の加工動作を行うまでの間に初期設定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、ワークWを加工する一の期間と同じワークWを加工する他の期間との間に初期設定動作を行ってもよい。また、加工対象となるワークWの特性(例えば、ワークWを構成する材料の特性)が変わると、加工条件も変わる可能性がある。このため、加工システムSYSは、一のワークWに対する加工動作において用いられる加工条件の初期値を設定した後に、一のワークWとは特性が異なる他のワークWに対する加工動作を行う場合には、改めて初期設定動作を行うことで他のワークWに対する加工動作において用いられる加工条件の初期値を設定してもよい。但し、加工システムSYSは、初期設定動作を必ずしも行わなくてもよい。
【0094】
図16に示すように、まずは、ワークWがステージ32に新たに載置される(ステップS21)。ステップS21でステージ32に載置されるワークWは、上述した加工動作による加工が予定されているワークWとは異なる。例えば、ステップS21でステージ32に載置されるワークWは、初期設定動作を行うために用いられるテスト用のワークWである。以下、説明の便宜上、初期設定動作を行うために用いられるテスト用のワークWを、“ワークWt”と称して、上述した加工動作による加工が予定されているワークWとは区別する。但し、ステップS21でステージ32に載置されるワークWは、上述した加工動作による加工が予定されているワークWそのものであってもよい。つまり、上述した加工動作による加工が予定されているワークWが、初期設定動作においてステージ32に載置されてもよい。
【0095】
その後、制御装置7は、加工光ELの特性に関する加工条件を、所定の暫定条件に設定する(ステップS22)。尚、暫定条件は、初期設定動作用に予め定められた加工条件であってもよい。或いは、暫定条件は、初期設定動作が行われた時点で加工光ELの特性に関する加工条件として実際に(既に)用いられていた加工条件であってもよい。
【0096】
その後、加工装置1は、制御装置7の制御下で、ワークWtの加工を開始する(ステップS23)。具体的には、初期設定動作では、加工装置1は、ワークWtの表面の複数部分を加工する。以下の説明では、説明の便宜上、ワークWtの表面のうち初期設定動作で加工される部分を、試し加工面と称する。従って、加工装置1は、ワークWtの表面に設定された複数の試し加工面のそれぞれを加工する。このため、まずは、ステージ32及び/又は加工装置1は、複数の試し加工面の少なくとも一部が加工ショット領域PSA内に位置するように移動する。その後、加工装置1は、複数の試し加工面のそれぞれに加工光ELを照射して当該試し加工面を除去加工する。
【0097】
この際、加工光ELのフォーカス位置が試し加工面毎に変わるように、加工光ELのフォーカス位置が制御される。つまり、Z軸方向における加工光ELのフォーカス位置とワークWtの表面との位置関係が試し加工面毎に変わるように、加工光ELのフォーカス位置が制御される。例えば、加工装置1は、第1の試し加工面に対して、フォーカス位置が第1の位置に設定された加工光ELを照射し、第2の試し加工面に対して、フォーカス位置が第2の位置(但し、第2の位置は、Z軸方向に沿って第1の位置とは異なる)に設定された加工光ELを照射し、第3の試し加工面に対して、フォーカス位置が第3の位置(但し、第3の位置は、Z軸方向に沿って第1から第2の位置とは異なる)に設定された加工光ELを照射し、・・・・、第k(但し、kは、試し加工面の総数を示す2以上の整数)の試し加工面に対して、フォーカス位置が第kの位置(但し、第k位置は、Z軸方向に沿って第1から第k-1の位置とは異なる)に設定された加工光ELを照射する。言い換えれば、例えば、加工装置1は、第1の試し加工面に対して、フォーカス位置とワークWtの表面との位置関係が第1の位置関係となる状態で加工光ELを照射し、第2の試し加工面に対して、フォーカス位置とワークWtの表面との位置関係が第2の位置関係(但し、第2の位置関係は、第1の位置関係とは異なる)となる状態で加工光ELを照射し、第3の試し加工面に対して、フォーカス位置とワークWtの表面との位置関係が第3の位置関係(但し、第3の位置関係は、第1から第2の位置関係とは異なる)となる状態で加工光ELを照射し、・・・・、第kの試し加工面に対して、フォーカス位置とワークWtの表面との位置関係が第kの位置関係(但し、第kの位置関係は、第1から第k-1の位置関係とは異なる)となる状態で加工光ELを照射する。
【0098】
フォーカス位置を制御するために、加工装置1は、フォーカスレンズ122を制御してもよい。具体的には、加工装置1は、フォーカスレンズ122を構成する少なくとも一つのレンズの光軸方向に沿った位置を調整することで、フォーカス位置を制御してもよい。加工装置1は、駆動系5の制御下でZ軸方向に沿って移動することで、フォーカス位置を制御してもよい。ステージ32がZ軸方向に沿って移動することで、フォーカス位置が制御されてもよい。
【0099】
フォーカス位置が変わると、ワークWの表面における加工光ELのスポット径、ひいては加工光ELが照射されている照射領域EAの面積が変わる。その結果、ワークWの表面における加工光ELのフルエンスが変わる。尚、フルエンスは、単位面積当たりの加工光ELのエネルギ密度を意味する。この場合、加工装置1は、第1の試し加工面に対して、フォーカス位置が第1の位置に設定されることでフルエンスが第1のフルエンス値に設定された加工光ELを照射し、第2の試し加工面に対して、フォーカス位置が第2の位置に設定されることでフルエンスが第1のフルエンス値とは異なる第2のフルエンス値に設定された加工光ELを照射し、第3の試し加工面に対して、フォーカス位置が第3の位置に設定されることでフルエンスが第1から第2のフルエンス値とは異なる第3のフルエンス値に設定された加工光ELを照射し、・・・・、第kの試し加工面に対して、フォーカス位置が第kの位置に設定されることでフルエンスが第1から第k-1のフルエンス値とは異なる第kのフルエンス値に設定された加工光ELを照射することになる。従って、加工装置1は、加工光ELのフォーカス位置を試し加工面毎に変えることで、加工光ELのフルエンスを試し加工面毎に変えていると言える。つまり、試し加工面毎に加工光ELのフォーカス位置を変える動作は、試し加工面毎に加工光ELのフルエンスを変える動作と実質的に等価である。
【0100】
一方で、加工装置1は、フォーカス位置以外の加工光ELの特性を試し加工面毎に変えなくてもよい(つまり、固定してもよい)。例えば、加工装置1は、第1から第kの試し加工面のそれぞれに対して、フォーカス位置以外の特性が同じ加工光ELを照射してもよい。フォーカス位置以外の特性が変わらなければ、フォーカス位置が変わったとしても、加工光ELの総エネルギ量(つまり、加工光ELからワークWtに伝達されるエネルギの総量)が変わることはない。このため、加工装置1は、フォーカス位置以外の加工光ELの特性を固定したまま加工光ELのフォーカス位置を試し加工面毎に変えることで、加工光ELの総エネルギ量を固定したまま加工光ELのフルエンスを試し加工面毎に変えていると言える。つまり、フォーカス位置以外の加工光ELの特性を固定したまま試し加工面毎に加工光ELのフォーカス位置を変える動作は、加工光ELの総エネルギ量を固定したまま試し加工面毎に加工光ELのフルエンスを変える動作と実質的に等価である。また、加工光ELがパルス光であるとき、加工装置1は、互いに別のパルス光によって形成される複数の照射領域EAのワークW上での間隔(或いはピッチ)である照射間隔(或いは照射ピッチ)を加味してもよい。フォーカス位置が変わると照射領域EAの大きさ(スポット径)が変わるため、互いに別のパルス光によって形成される複数の照射領域EA間のオーバーラップ率が変わる。オーバーラップ率が変わると加工効率が変わる可能性があるため、フォーカス位置を変えるときに、オーバーラップ率が同じとなるように他の条件(一例として、照射領域EAの走査速度やパルス光の周波数)を調整してもよい。
【0101】
複数の試し加工面に対する加工が完了した後には、計測装置21-2が、ワークWtを計測する(ステップS24)。特に、計測装置21-2は、ワークWtのうちステップS23で加工された複数の試し加工面の形状を計測する(ステップS24)。このため、まずは、ステージ32及び/又は計測装置21-2は、加工された複数の試し加工面の少なくとも一部が計測装置21-2の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。つまり、ステージ32は、ワークWのうち複数の試し加工面の少なくとも一部が存在する部分が加工ショット領域PSAから計測ショット領域MSAに向かって移動するように、移動するこの際、上述したように、ステージ32にはワークWtが載置されたままであってよい。その後、計測装置21-2は、複数の試し加工面の形状を計測する。
【0102】
その後、制御装置7は、ステップS24における計測装置21-2の計測結果に基づいて、加工量が最大となったフォーカス位置を特定する(ステップS25)。具体的には、制御装置7は、ステップS24における計測装置21-2の計測結果に基づいて、複数の試し加工面のそれぞれの加工量(例えば、実際に除去された部分の厚みに相当する実除去厚の量)を特定することができる。その結果、制御装置7は、フォーカス位置に対して加工量をプロットしたプロット図である
図17に示すように、各試し加工面に照射された加工光ELのフォーカス位置と加工量との関係を特定することができる。尚、
図17中の丸印は、計測装置21-2の計測結果に基づいて特定される加工量を、フォーカス位置に対応付けてプロットしたプロット点に相当する。従って、制御装置7は、加工量が最大となったフォーカス位置を特定することができる。ここで、フォーカス位置は、加工光ELの集光点のZ軸方向の位置(Z軸と交差する面内における加工光ELの断面積が最も小さくなるZ軸方向の位置)とすることができる。尚、
図17において、横軸をフルエンスに置き換えてもよい。また、加工光ELがパルス光である場合、パルス数(照射回数)が条件毎に異なるときには、照射回数又は総エネルギ量で規格化してもよい。尚、このとき、パルス光1発あたりのパルスエネルギで規格化してもよい。
【0103】
図17では、フォーカス位置は、Z軸方向におけるワークWtの表面からの距離を用いて表されている。ワークWtの表面から+Z側に離れたフォーカス位置は、正の距離を用いて表され、ワークWtの表面から-Z側に離れたフォーカス位置は、負の距離を用いて表されている。
図17に示すように、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面に一致する(つまり、ワークWtの表面における加工光ELのスポット径が最小となる)状態で最大になるとは限らない。例えば、
図17に示すように、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面に一致する状態で極小値をとる。例えば、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から-Z側に第1距離DF1だけ離れた状態で極大値をとる。例えば、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から+Z側に第2距離DF2だけ離れた状態で極大値をとる。この場合、加工量が最大となるフォーカス位置は、ワークWtの表面から+Z側に第1距離DF1だけ離れたフォーカス位置及びワークWtの表面から-Z側に第2距離DF2だけ離れたフォーカス位置の少なくとも一方になる。但し、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から-Z側に第1距離DF1だけ離れた状態で極大値をとらない可能性もある。加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から+Z側に第2距離DF2だけ離れた状態で極大値をとらない可能性もある。更に、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面に一致している場合に最大となる可能性もある。
【0104】
加工量が最大となったフォーカス位置を特定する際に、フォーカス位置と加工量との関係を近似曲線で示すグラフである
図18に示すように、制御装置7は、フォーカス位置と加工量との関係を示す近似曲線を算出し、当該近似曲線に基づいて加工量が最大となるフォーカス位置を特定してもよい。この場合、制御装置7は、試し加工面に加工光ELが照射されたときに実際に用いられたフォーカス位置とは異なるフォーカス位置(例えば、隣接するプロットの間のフォーカス位置)を、加工量が最大となったフォーカス位置として特定することができる。
図18に示す例では、近似曲線によって示される加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から-Z側に第3距離DF3だけ離れた状態で極大値をとる。第3距離DF3は、上述した第1距離DF1と一致する場合もあれば、一致しない場合もある。更に、
図18に示す例では、近似曲線によって示される加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から+Z側に第4距離DF4だけ離れた状態で極大値をとる。第4距離DF4は、上述した第2距離DF2と一致する場合もあれば、一致しない場合もある。この場合、加工量が最大となるフォーカス位置は、ワークWtの表面から+Z側に第3距離DF3だけ離れたフォーカス位置及びワークWtの表面から-Z側に第4距離DF4だけ離れたフォーカス位置の少なくとも一方になる。尚、制御装置7は、フォーカス位置と加工量との関係を示す近似曲線を算出せずに、光量が最大となるフォーカス位置を特定してもよい。この場合、例えば試し加工面に加工光ELが照射されたときに実際に用いられたフォーカス位置のうち加工量が最大となるフォーカス位置を、フォーカス位置として特定してもよい。
【0105】
本願発明者等の実験によれば、フォーカス位置がワークWtの表面から-Z側に離れた状態で加工量が最大となる可能性の方が、フォーカス位置がワークWtの表面から+Z側に離れた状態で加工量が最大となる可能性よりも高くなりやすいことが判明した。このため、加工装置1は、加工光ELのフォーカス位置を試し加工面毎に変える際に、ワークWtの表面よりも-Z側の範囲のみにおいてフォーカス位置を変えてもよい。加工装置1は、加工光ELのフォーカス位置を試し加工面毎に変える際に、ワークWtの表面よりも+Z側の範囲にフォーカス位置が位置することがないように、フォーカス位置を変えなくてもよい。つまり、フォーカス位置とワークWtの表面との位置関係を示す断面図である
図19に示すように、加工装置1は、加工装置1から見てワークWtの表面よりも奥側(つまり、遠い側)の範囲においてフォーカス位置を変えてもよい。加工装置1は、加工装置1から見てワークWtの表面よりも手前側(つまり、近い側)の範囲においてフォーカス位置が位置することがないように、フォーカス位置を変えてもよい。その結果、ワークWtの表面よりも-Z側の範囲及びワークWtの表面よりも+Z側の範囲の双方においてフォーカス位置を変える場合と比較して、試し加工面の加工に要する時間の短縮が可能となる。但し、場合によっては、加工量は、フォーカス位置がワークWtの表面から-Z側に離れた位置に設定されている場合ではなく、フォーカス位置がワークWtの表面から+Z側に離れた位置に設定されている場合に最大となる可能性もある。従って、加工装置1は、加工光ELのフォーカス位置を試し加工面毎に変える際に、ワークWtの表面よりも+Z側の範囲及び/又はワークWtの表面よりも-Z側の範囲においてフォーカス位置を変えてもよい。
【0106】
再び
図16において、その後、制御装置7は、ステップS25で特定したフォーカス位置によって実現されるフルエンスを算出する(ステップS26)。つまり、制御装置7は、フォーカス位置がステップS25で特定されたフォーカス位置に設定された加工光ELのフルエンスを算出する(ステップS26)。具体的には、制御装置7は、光源11の出力等から定まる加工光ELの総エネルギ量(加工光ELがパルス光である場合、1パルス当たりのエネルギ量)と、フォーカス位置から定まる加工光ELのスポット径(つまり、ワークWtの表面でのスポット径(スポット面積))とに基づいて、フルエンスを算出する。より具体的には、制御装置7は、光源11の出力等から定まる加工光ELの総エネルギ量を、フォーカス位置から定まる加工光ELのスポット径(スポット面積)で除算することで、フルエンスを算出する。ステップS26で算出されるフルエンスは、加工量を最大にすることが可能なフルエンスに相当する。つまり、ステップS26で算出されるフルエンスは、加工効率(具体的には、単位エネルギ量あたりの加工量)が最大となるフルエンスに相当する。以下、ステップS26で算出されたフルエンスを、“算出フルエンス”と称する。ステップS26で特定されたフルエンスは、加工光ELのフルエンスの初期値となる。
【0107】
その後、制御装置7は、初期設定動作に続いて行われる加工動作において実際に行いたい加工内容に基づいて、加工光ELの特性に関する加工条件の一つである加工光ELのスポット径を決定する(ステップS27)。例えば、加工光ELのスポット径が小さくなればなるほど、加工動作によってより微細な加工が可能になる。このため、制御装置7は、加工動作で実現したい加工の微細度に基づいて、加工光ELのスポット径を決定してもよい。ステップS27で決定されたスポット径は、加工光ELのスポット径の初期値となる。
【0108】
その後、制御装置7は、ステップS26で特定した算出フルエンスと、ステップS27で決定したスポット径とに基づいて、加工光ELの総エネルギ量加工光ELがパルス光である場合、1パルス当たりのエネルギ量)の初期値を設定する(ステップS28)。具体的には、制御装置7は、ステップS26で特定した算出フルエンスに対してステップS27で決定したスポット径を掛け合わせることで得られる値を、加工光ELの総エネルギ量の初期値に設定する。この場合、制御装置7は、ステップS27で決定したスポット径の加工光ELをワークWに照射した場合に、加工光ELのフルエンスがステップS26で特定した算出フルエンスとなるように、加工光ELの総エネルギ量の初期値を設定していると言える。つまり、制御装置7は、ステップS27で決定したスポット径の加工光ELを用いてワークWを加工する際の加工効率(具体的には、単位エネルギ量あたりの加工量)が最大となるように、加工光ELの総エネルギ量の初期値を設定していると言える。
【0109】
加工光ELの総エネルギ量の初期値が定まると、光源11の出力等の初期値もまた、総エネルギ量に応じて定まる。その後、制御装置7は、設定済みの初期値(具体的には、フルエンスの初期値、スポット径の初期値及び総エネルギ量の初期値)等に基づいて、必要であれば加工光ELのその他の特性に関する加工条件を設定してもよい。
【0110】
尚、この初期設定動作においても、計測装置21によるワークWtの計測と、加工装置1によるワークWtの加工との間において、ワークWtはステージ32に載置されたままであってもよい。
【0111】
(2-3)温度ドリフト低減動作
続いて、加工装置SYSが行う動作の一つである温度ドリフト低減動作について説明する。温度ドリフト低減動作は、計測装置21の温度(言い換えれば、熱)に起因して計測装置21の計測精度が変動する現象である温度ドリフトの影響を低減するための動作である。典型的には、計測装置2の継続使用に伴って計測装置21の温度が上昇すると、計測装置21の計測精度は悪化する。例えば、計測装置21の計測結果に対して、計測装置21の温度に起因した誤差成分である温度ドリフト成分が重畳する。温度ドリフト低減動作は、このような温度ドリフト成分の重畳に起因した計測装置21の計測精度の悪化を低減するための動作である。本実施形態では特に、温度ドリフト低減動作の一例として、Z軸方向におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減する(具体的には、Z軸方向における温度ドリフト成分の影響を低減する)ための温度ドリフト低減動作について説明する。
【0112】
加工システムSYSは、上述した加工動作が行われる前に、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、上述した加工動作が行われた後に、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、上述した加工動作が行われる期間中に、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、ある加工動作を行ってから、次に別の加工動作を行うまでの間に温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、ワークWを加工する一の期間と同じワークWを加工する他の期間との間に温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測する前に、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測した後に、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測する期間中に、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測する都度、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21の使用を開始してから一定時間が経過するごとに、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを一定回数計測する都度、温度ドリフト低減動作を行ってもよい。但し、加工システムSYSは、温度ドリフト低減動作を必ずしも行わなくてもよい。
【0113】
本実施形態では、加工システムSYSは、温度ドリフト低減動作として、第1温度ドリフト低減動作から第3温度ドリフト低減動作の少なくとも一つを行ってもよい。以下、第1温度ドリフト低減動作から第3温度ドリフト低減動作について順に説明する。
【0114】
(2-3-1)第1温度ドリフト低減動作
はじめに、
図20を参照しながら、第1温度ドリフト低減動作について説明する。
図20は、第1温度ドリフト低減動作の流れを示すフローチャートである。
【0115】
図20に示すように、はじめに、計測装置21は、Z基準面BSzを計測する(ステップS311)。具体的には、ステージ32及び/又は計測装置21は、Z基準面BSzの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。その後、計測装置21は、Z基準面BSzを計測する。
【0116】
Z基準面BSzは、例えば、ステージ32の表面の一部であってもよい。例えば、ステージ装置3の断面を示す断面図である
図21(a)及びステージ装置3の上面を示す平面図である
図21(b)に示すように、Z基準面BSzは、ステージ32の表面のうち、ワークWが載置される載置面321の周辺に位置する外周面323の少なくとも一部であってもよい。或いは、ステージ装置3の断面を示す断面図である
図22(a)及びステージ装置3の上面を示す平面図である
図22(b)に示すように、Z基準面BSzは、定盤31の表面の一部であってもよい。或いは、Z基準面BSzは、その他の部材の表面の一部であってもよい。
【0117】
Z基準面BSzの計測に相前後して、計測装置21は、ワークWを計測する(ステップS312)。具体的には、ステージ32及び/又は計測装置21は、ワークWの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。その後、計測装置21は、ワークWを計測する。尚、ステップS312の動作は、上述した加工動作におけるワークWの計測動作(
図6のステップS111又はS121)の少なくとも一部として行われてもよい。従って、第1温度ドリフト低減動作を行う場合には、加工システムSYSは、
図6のステップS111及びS121のそれぞれの動作に相前後して、
図20のステップS311の動作(つまり、Z基準面BSzの計測)を行ってもよい。
【0118】
その後、制御装置7は、Z基準面BSzの計測結果及びワークWの計測結果に基づいて、ワークWの位置(特に、Z軸方向における位置)を算出する(ステップS313)。尚、ステップS313の動作は、上述した加工動作における3次元モデルデータを生成する動作(
図6のステップS114又はS122)及びワークW若しくは加工対象領域TAの位置を特定する動作(
図6のステップS115又はS123)の一部として行われてもよい。
【0119】
具体的には、制御装置7は、Z基準面BSzの計測結果に基づいて、Z軸方向におけるZ基準面BSzの位置(つまり、高さ)を算出する。更に、制御装置7は、ワークWの計測結果に基づいて、Z軸方向におけるワークWの位置(つまり、高さ)を算出する。ここで算出されたZ基準面BSzの位置及びワークWの位置の双方には、温度ドリフト成分が重畳されている。この場合、ワークWの位置とZ基準面BSzの位置との差分には、温度ドリフト成分が重畳されなくなる。つまり、Z基準面BSzに対するワークWの相対位置には、ドリフト成分が重畳されていない。なぜならば、ワークWの位置Zから基準面BSzの位置を差し引く時点で、Z基準面BSzの位置に重畳されていた温度ドリフト成分とワークWの位置に重畳されていた温度ドリフト成分とが相殺されるからである。従って、制御装置7は、Z基準面BSzの位置及びワークWの位置に基づいて、Z軸方向におけるZ基準面BSzに対するワークWの相対位置を算出する。以降の処理では、制御システムSYSは、ワークWの計測結果から算出されるZ軸方向におけるワークWの位置に関する情報に代えて、Z軸方向におけるZ基準面BSzに対するワークWの相対位置に関する情報を、Z軸方向におけるワークWの位置に関する情報として用いる。その結果、加工システムSYSは、温度ドリフト成分の影響を受けることなく加工動作を行うことができる。例えば、制御装置7が算出したZ軸方向におけるワークWの位置の時間推移を示すグラフである
図23に示すように、温度ドリフト低減動作が行われなかった場合に算出されるワークWの位置(点線参照)と比較して、第1温度ドリフト低減動作が行われた場合に算出されるワークWの位置(実線)は、ドリフト成分が重畳されなくなる又は重畳されにくくなる。
【0120】
尚、加工システムSYSは、Z軸方向におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減するための第1温度ドリフト低減動作と同様の動作を行うことで、Z軸方向とは異なる方向(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一つ)におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減するための第1温度ドリフト低減動作を行ってもよい。但し、この場合には、制御装置7は、Z基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)の計測結果に基づいてZ軸方向とは異なる方向におけるZ基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)の位置を算出し、ワークWの計測結果に基づいてZ軸方向とは異なる方向におけるワークWの位置を算出し、Z軸方向とは異なる方向におけるZ基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)に対するワークWの相対位置を算出してもよい。
【0121】
(2-3-2)第2温度ドリフト低減動作
続いて、
図24を参照しながら、第2温度ドリフト低減動作について説明する。
図24は、第2温度ドリフト低減動作の流れを示すフローチャートである。尚、上述した第1温度ドリフト低減動作で行われる動作と同一の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0122】
図24に示すように、はじめに、計測装置21は、Z基準面BSzを計測する(ステップS311)。
【0123】
その後、第2温度ドリフト低減動作では、制御装置7は、Z基準面BSzの計測結果に基づいて、計測装置21の計測結果に重畳されている温度ドリフト成分を推定する(ステップS321)。尚、ステップS321の動作は、上述した加工動作における3次元モデルデータを生成する動作(
図6のステップS114又はS122)及びワークW若しくは加工対象領域TAの位置を特定する動作(
図6のステップS115又はS123)の一部として行われてもよい。
【0124】
具体的には、前提として、第2温度ドリフト低減動作では、Z基準面BSzとして、Z軸方向における位置が制御装置7にとって既知となる部材の表面の少なくとも一部が用いられる。更に、Z基準面BSzとして、Z軸方向における位置の変動がない(或いは、極めて少ない)部材の表面の少なくとも一部が用いられる。この条件を満たす部材の一例として、定盤31があげられる。尚、定盤31は低熱膨張セラミックス部材や低熱膨張ガラス部材で形成されていてもよい。この条件を満たすZ基準面BSzが用いられる場合には、まず、Z基準面BSzの設計上の位置は、制御装置7にとっては既知の情報である。従って、計測装置21の温度に起因して計測装置21の計測精度がばらついていなければ、計測装置21の計測結果から算出されるZ基準面BSzの位置は、設計上の位置と一致するはずである。一方で、計測装置21の計測結果から算出されるZ基準面BSzの位置が設計上の位置と一致していなければ、計測装置21の計測結果から算出されるZ基準面BSzの位置は、温度ドリフトの影響を受けている可能性が相対的に高い。この場合、計測装置21の計測結果から算出されるZ基準面BSzの位置と設計上の位置との差分が、温度ドリフト成分に相当する可能性が相対的に高い。そこで、制御装置7は、まず、Z基準面BSzの計測結果に基づいて、Z軸方向におけるZ基準面BSzの位置を算出する。その後、制御装置7は、算出したZ基準面BSzの位置と、Z基準面BSzの設計上の位置との差分を算出する。算出した差分は、温度ドリフト成分の推定値として用いられる。
【0125】
Z基準面BSzの計測に相前後して、計測装置21は、ワークWを計測する(ステップS312)。一例として、計測装置21がワークWを計測する前後においてZ基準面BSzを計測してもよい。このとき、温度ドリフト成分は、ワークW計測前のZ基準面BSzの計測時とワークW計測後のZ基準面BSzの計測時との間の温度ドリフト成分を推定してもよい。その後、制御装置7は、ステップS321で推定した温度ドリフト成分に基づいて、ワークWの計測結果を補正する(ステップS322)。尚、ステップS322の動作は、上述した加工動作における3次元モデルデータを生成する動作(
図6のステップS114又はS122)及びワークW若しくは加工対象領域TAの位置を特定する動作(
図6のステップS115又はS123)の一部として行われてもよい。
【0126】
具体的には、制御装置7は、ワークWの計測結果に基づいて、Z軸方向におけるワークWの位置を算出する。ここで算出されたワークWの位置には、温度ドリフト成分が重畳されている。そこで、制御装置7は、算出したワークWの位置から、ステップS321で推定した温度ドリフト成分を差し引く。つまり、制御装置7は、算出したワークWの位置から、ステップS321で推定した温度ドリフト成分を除去する。その結果、Z軸方向におけるワークWの位置のXY平面内での分布を模式的に示すグラフである
図25に示すように、制御装置7は、温度ドリフト成分が重畳されていないワークWの位置に関する情報を取得することができる。以降の処理では、制御システムSYSは、ワークWの計測結果から算出されるZ軸方向におけるワークWの位置に関する情報に代えて、温度ドリフト成分が差し引かれたワークWの位置に関する情報を、Z軸方向におけるワークWの位置に関する情報として用いる。その結果、加工システムSYSは、温度ドリフト成分の影響を受けることなく加工動作を行うことができる。
【0127】
尚、加工システムSYSは、Z軸方向におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減するための第2温度ドリフト低減動作と同様の動作を行うことで、Z軸方向とは異なる方向(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一つ)におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減するための第2温度ドリフト低減動作を行ってもよい。但し、この場合には、Z基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)は、Z軸方向とは異なる方向における位置が制御装置7にとって既知であって、且つ、Z軸方向とは異なる方向における位置の変動がない(或いは、極めて少ない)面である。更に、制御装置7は、Z基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)の計測結果に基づいてZ軸方向とは異なる方向におけるZ基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)の位置を算出し、Z基準面BSz(或いは、その他の任意の基準面)の計測結果に基づいて温度ドリフト成分(特に、Z軸方向とは異なる方向における温度ドリフト成分)を推定し、推定した温度ドリフト成分に基づいてワークWの計測結果を補正してもよい。
【0128】
(2-3-3)第3温度ドリフト低減動作
続いて、
図26を参照しながら、第3温度ドリフト低減動作について説明する。
図26は、第3温度ドリフト低減動作の流れを示すフローチャートである。尚、上述した第1又は第2温度ドリフト低減動作で行われる動作と同一の動作については、同一のステップ番号を付してその詳細な説明を省略する。
【0129】
図26に示すように、まず、制御装置7は、計測装置21の温度に関する温度情報を取得する(ステップS331)。例えば、制御装置7は、計測装置21の温度を検出する温度センサから、温度情報を取得してもよい。例えば、制御装置7は、計測装置21の動作状態から計測装置21の温度を推定してもよい。尚、計測装置21の動作状態としては、例えば稼働時間(電源が入っている間の時間)を用いてもよい。また、制御装置は、計測装置21に関連する機器の動作状態から計測装置21の温度を推定してもよい。計測装置21に関連する機器としては、計測装置21自体の温度を制御する機器などが挙げられる。
【0130】
その後、制御装置7は、ステップS331において取得した温度情報に基づいて、温度ドリフト成分を推定する(ステップS332)。具体的には、温度ドリフト成分が計測装置21の温度の上昇に起因して発生することを考慮すれば、温度ドリフト成分は、計測装置21の温度に相関を有している可能性が相対的に高い。このため、制御装置7は、温度情報に基づいて、温度ドリフト成分を推定することができる。例えば、制御装置7は、温度ドリフト成分と計測装置21の温度との相関関係を示す相関情報と温度情報とに基づいて、温度ドリフト成分を推定してもよい。
【0131】
ステップS331からステップS332の動作に相前後して、計測装置21は、ワークWを計測する(ステップS312)。従って、第3温度ドリフト低減動作を行う場合には、加工システムSYSは、
図6のステップS111及びS121のそれぞれの動作に相前後して、
図26のステップS331からステップS332の動作(つまり、温度ドリフト成分を推定する動作)を行ってもよい。
【0132】
その後、第3温度ドリフト低減動作においても、第2温度ドリフト低減動作と同様に、制御装置7は、ステップS332で推定した温度ドリフト成分に基づいて、ワークWの計測結果を補正する(ステップS322)。その結果、加工システムSYSは、温度ドリフト成分の影響を受けることなく加工動作を行うことができる。
【0133】
尚、加工システムSYSは、Z軸方向におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減するための第3温度ドリフト低減動作と同様の動作を行うことで、Z軸方向とは異なる方向(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一つ)におけるワークWの位置の計測精度の悪化を低減するための第3温度ドリフト低減動作を行ってもよい。つまり、制御装置7は、温度情報に基づいてZ軸方向とは異なる方向における温度ドリフト成分を推定し、推定した温度ドリフト成分に基づいてワークWの計測結果を補正してもよい。
【0134】
(2-4)チルト測定動作
続いて、加工装置SYSが行う動作の一つであるチルト測定動作について説明する。チルト測定動作は、ステージ32に対する加工装置1及び計測装置2のそれぞれのチルト量(特に、θX方向及びθY方向のそれぞれのチルト量)を測定するための動作である。但し、加工システムSYSは、チルト測定動作を必ずしも行わなくてもよい。
【0135】
(2-4-1)チルトによる技術的問題
はじめに、
図27(a)から
図27(d)を参照しながら、ステージ32に対して加工装置1及び計測装置2のそれぞれが傾斜している場合に生ずる技術的問題について説明する。
【0136】
図27(a)は、ステージ32に対して傾斜している計測装置2を示す断面図である。尚、計測装置2が複数の計測装置21を備えている場合には、ステージ32に対する計測装置2の傾斜は、ステージ32に対する各計測装置21の傾斜を意味していてもよい。ステージ32に対して計測装置2が傾斜している状態は、計測装置2が傾斜している状態を含んでいてもよい。計測装置2が傾斜している状態は、計測装置2の設計上の配置に対して計測装置2が傾斜している状態を含んでいてもよい。ステージ32に対して計測装置2が傾斜している状態は、ステージ32が傾斜している状態を含んでいてもよい。ステージ32が傾斜している状態は、ステージ32の設計上の配置に対してステージ32が傾斜している状態を含んでいてもよい。例えば、ステージ32の載置面321がXY平面に平行な面となる状態がステージ32の設計上の配置となる場合には、ステージ32が傾斜している状態は、載置面321がXY平面に対して傾斜している状態を含んでいてもよい。
【0137】
図27(b)は、
図27(a)に示す状況下で計測装置2の計測結果から算出されるワークWの形状を示す断面図である。
図27(b)に示すように、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合(逆に言えば、計測装置2に対してステージ32が傾斜している場合)には、計測装置2の計測結果から制御装置7によって算出されるワークWの形状は、ワークWの本来の形状とは異なってしまう。例えば、
図27(a)及び
図27(b)に示す例では、ワークWの本来の形状は、ワークWの表面がステージ32の載置面321に平行になる形状であるにも関わらず、計測装置2の計測結果から算出されるワークWの形状は、ワークWの表面がステージ32の載置面321に対して傾斜している形状になってしまう。なぜならば、計測装置2の傾斜が何ら考慮されないからである。つまり、ワークWの本来の形状は、ワークWの表面がXY平面に平行になる形状であるにも関わらず、計測装置2の計測結果から算出されるワークWの形状は、ワークWの表面がXY平面に対して傾斜している形状になってしまう。
【0138】
このような状況において、ワークWの表面がXY平面に平行になるようにワークWを除去加工するケースを想定する。この場合、加工前のワークWの表面がXY平面に平行であるため、本来であれば、
図27(a)に示すように、一定の厚みを有する加工対象部分W_targetが、除去加工によって除去されるべき部分となる。しかしながら、ステージ32に対して計測装置2が相対的に傾斜している場合には、
図27(b)に示すように、制御装置7は、加工前のワークWの表面がXY平面に対して傾斜していると誤認識してしまう。その結果、
図27(b)に示すように、XY平面に沿った方向において厚みが変わる加工対象部分W_targetが、除去加工によって除去されるべき部分として設定されてしまう。その結果、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している状況下で加工装置1によって加工されるワークWを示す断面図である
図27(c)に示すように、加工装置1は、XY平面に沿った方向において加工量(例えば、実除去厚の量)が一定となるようにワークWを加工すべきであるにも関わらず、XY平面に沿った方向において加工量が変わるようにワークWを加工してしまう。このため、加工後のワークWの表面が本来はXY平面に平行になるべきであるにも関わらず、加工後のワークWの表面がXY平面に対して傾斜してしまう。
【0139】
そこで、本実施形態では、加工システムSYSは、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するチルト測定動作を行う。更に、加工システムSYSは、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合であってもステージ32に対して計測装置2が傾斜していない場合と同様にワークWを加工するように、加工動作を行う。例えば、制御装置7は、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対する計測装置2の傾斜の影響を排除するように計測装置2の計測結果を補正してもよい。一例として、制御装置7は、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合の計測装置2の計測結果が、ステージ32に対して計測装置2が傾斜していない場合の計測装置2の計測結果と一致するように、計測装置2の計測結果を補正してもよい。例えば、制御装置7は、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対して計測装置2が傾斜しなくなるように、駆動系6を用いて計測装置2を移動させてもよい及び/又はステージ駆動系33を用いてステージ32を移動させてもよい。例えば、制御装置7は、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対する計測装置2の傾斜の影響を排除するように加工対象部分W_targetを設定してもよい(例えば、加工対象領域TAを設定してもよい)。一例として、制御装置7は、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合に設定される加工対象部分W_targetが、ステージ32に対して計測装置2が傾斜していない場合に設定される加工対象部分W_targetと一致するように、加工対象部分W_targetを設定してもよい。例えば、制御装置7は、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対する計測装置2の傾斜の影響を排除するように加工装置1を制御してもよい。一例として、制御装置7は、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合に加工装置1が加工する部分が、ステージ32に対して計測装置2が傾斜していない場合に加工装置1が加工する部分と一致するように、加工装置1を制御してもよい。加工装置1の制御は、加工装置1の位置の制御(つまり、加工装置1を移動させる駆動系5の制御)、光学系12の制御及び光学系14(特に、ガルバノミラー141)の制御のうちの少なくとも一つを含んでいてもよい。その結果、ステージ32に対する計測装置2の傾斜の影響を排除するように加工されたワークWを示す断面図である
図27(d)に示すように、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合であっても、加工装置1は、XY平面に沿った方向において加工量(例えば、実除去厚の量)が一定となるようにワークWを加工することができる。
【0140】
更に、説明の簡略化のために詳細な説明は省略するものの、ステージ32に対して加工装置1が傾斜している場合においても、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合と同様に、ステージ32に対する加工装置1の傾斜に起因して、加工装置1は、ワークWを、本来加工するべき加工態様とは異なる加工態様で加工してしまう可能性がある。このため、本実施形態では、加工システムSYSは、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定するチルト測定動作を行う。更に、加工システムSYSは、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対して加工装置1が傾斜している場合であっても、ステージ32に対して加工装置1が傾斜していない場合と同様にワークWを加工する。例えば、制御装置7は、測定したチルト量に基づいて、ステージ32に対する加工装置1の傾斜の影響を排除するように加工装置1を制御してもよい。一例として、制御装置7は、ステージ32に対して加工装置1が傾斜している場合に加工装置1が加工する部分が、ステージ32に対して加工装置1が傾斜していない場合に加工装置1が加工する部分と一致するように、加工装置1を制御してもよい。その結果、ステージ32に対して加工装置1が傾斜している場合であっても、加工装置1は、ワークWを、本来加工するべき加工態様で適切に加工することができる。
【0141】
加工システムSYSは、上述した加工動作が行われる前に、チルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、上述した加工動作が行われた後に、チルト測定低減動作を行ってもよい。加工システムSYSは、上述した加工動作が行われる期間中に、チルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、ある加工動作を行ってから、次に別の加工動作を行うまでの間にチルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、ワークWを加工する一の期間と同じワークWを加工する他の期間との間にチルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測する前に、チルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測した後に、チルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、計測装置21がワークWを計測する期間中に、チルト測定動作を行ってもよい。加工システムSYSは、加工システムSYSの使用を開始してから一定時間が経過する都度、チルト測定動作を行ってもよい。
【0142】
以下、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定する第1チルト測定動作及びステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定する第2チルト測定動作のそれぞれについて順に説明する。
【0143】
(2-4-2)ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定する第1チルト測定動作
初めに、
図28を参照しながら、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定する第1チルト測定動作について説明する。
図28は、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定する第1チルト測定動作の流れを示すフローチャートである。尚、計測装置2が複数の計測装置21を備えている場合には、第1チルト測定動作は、計測装置21毎に行われてもよい。例えば、計測装置2が計測装置21-1及び21-2を備えている場合には、ステージ32に対する計測装置21-1のチルト量を測定する第1チルト測定動作と、ステージ32に対する計測装置21-2のチルト量を測定する第1チルト測定動作とが別個に行われてもよい。或いは、計測装置2が複数の計測装置21を備えている場合には、第1チルト測定動作は、ある特定の計測装置21を対象に行われてもよい。この場合、第1チルト測定動作によって測定されたチルト量は、実際に第1チルト測定動作が行われた計測装置21のチルト量としてのみならず、その他の計測装置21のチルト量としても用いられてもよい。つまり、第1チルト測定動作によって測定されたチルト量が、複数の計測装置2のそれぞれのチルト量として用いられてもよい。
【0144】
図28に示すように、まずは、基準部材BMがステージ32に新たに載置される(ステップS411)。基準部材BMは、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンがその表面に形成された部材である。このような基準部材BMの一例が、
図29及び
図30(a)から
図30(b)に記載されている。例えば、基準部材BMは、基準部材BMの一例である基準部材BM1を示す平面図である
図29に示すように、表面(特に、XY平面に沿った面)に任意の形状のドットパターンDPが規則的に形成された基準部材BM1であってもよい。尚、
図29は、矩形のドットパターンDPがマトリクス状に(つまり、X軸方向及びY軸方向のそれぞれにおいて規則的に、言い換えると、X軸及びY軸方向において所定周期で)形成された基準部材BM1の例を示している。基準部材BM1は、パターンレチクルと称されてもよい。例えば、基準部材BMは、基準部材BMの一例である基準部材BM2を示す平面図である
図30(a)及び基準部材BM2を示す断面図である
図30(b)に示すように、その表面(特に、XY平面に沿った面)に複数のブロックパターンBPが形成された基準部材BM2であってもよい。複数のブロックパターンBPは、基準部材BM2と一体化されていてもよいし、基準部材BM2から取り外し可能であってもよい。複数のブロックパターンBPは、XY平面に沿った任意の方向(
図30(a)に示す例では、X軸方向)におけるサイズが異なる複数のブロックパターンBP1を含んでいてもよい。複数のブロックパターンBPは、XY平面に交差する方向(
図30(b)に示す例では、Z軸方向)におけるサイズが異なる複数のブロックパターンBP2を含んでいてもよい。つまり、複数のブロックパターンBPは、XY平面に交差する方向(
図30(b)に示す例では、Z軸方向)における高さが異なる複数のブロックパターンBP2を含んでいてもよい。尚、
図30(b)に示す例では、ブロックパターンBP2は、基準部材BM2から突出する形状を有しているが、基準部材BM2に彫り込まれる形状であってもよい。
【0145】
また、基準部材BMとして、厚みが管理されたブロックゲージや平面度が均一なガラス部材等を用いることができる。
【0146】
再び
図28において、その後、計測装置21は、基準部材BMを計測する(ステップS412)。具体的には、ステージ32及び/又は計測装置21は、基準部材BMの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。或いは、ステージ32及び/又は計測装置21は、基準部材BMに形成された所定のパターンの全体(或いは、場合によっては一部)が計測装置21の計測ショット領域MSA内に位置するように移動してもよい。その後、計測装置21は、基準部材BMを計測する。特に、計測装置21は、基準部材BMに形成されたパターン(つまり、計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターン)を計測する。
【0147】
その後、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、ステージ32に対する計測装置21のチルト量(特に、θX方向及びθY方向のそれぞれにおける計測装置21のチルト量)を算出する(ステップS413)。例えば、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、基準部材BMに形成されたパターンの位置及び/又は形状を特定する。その後、制御装置7は、基準部材BMに形成されたパターンの設計上の位置及び/又は形状(つまり、計測装置21がステージ32に対して傾斜していない場合に計測装置2の計測結果から特定されるはずのパターンの位置及び/又は形状)と、実際に特定されたパターンの位置及び/又は形状との違いに基づいて、ステージ32に対する計測装置21のチルト量を算出する。算出されたチルト量は、上述したように、ステージ32に対して計測装置2が傾斜している場合であってもステージ32に対して計測装置2が傾斜していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられる。また、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、ステージ32自体のチルト量(特に、θX方向及びθY方向のそれぞれにおけるステージ32のチルト量)を算出してもよい。
【0148】
尚、基準部材BMに形成されるパターンによっては、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、θZ方向における計測装置21のチルト量及びZ軸方向における計測装置21の位置のオフセット量(つまり、Z軸方向における基準位置からの計測装置21の位置のオフセット量)の少なくとも一方を算出することができる。例えば、
図29に示すようにドットパターンDPが規則的に形成された基準部材BM2が用いられる場合には、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、θZ方向における計測装置21のチルト量を算出することができる。例えば、
図30(b)に示すようにXY平面に交差する方向における高さが異なる複数のブロックパターンBP2が形成された基準部材BM2が用いられる場合には、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、Z軸方向における計測装置21の位置のオフセット量を算出することができる。この場合には、θZ方向における計測装置21のチルト量は、ステージ32に対して計測装置21がθZ方向において傾斜している場合であってもステージ32に対して計測装置21がθZ方向において傾斜していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。Z軸方向における計測装置2の位置のオフセット量は、Z軸方向における計測装置21のオフセットが生じている場合であってもZ軸方向における計測装置21のオフセットが生じていない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。
【0149】
更には、基準部材BMに形成されるパターンによっては、制御装置7は、計測装置21の計測ショット領域MSAの形状に関するパラメータを算出することができる。計測ショット領域MSAの形状に関するパラメータは、例えば、計測ショット領域MSAの歪曲度合い、計測ショット領域MSAの倍率(例えば、計測ショット領域MSAの設計上のサイズに対する計測ショット領域MSAの実際のサイズの倍率)、及び、計測ショット領域MSAの湾曲度(例えば、XY平面に沿った面に対する計測ショット領域MSAの湾曲度)の少なくとも一つを含んでいてもよい。ここで、計測ショット領域MSAは3次元的な領域であってもよい。尚、計測ショット領域MSAの歪曲度合いは、計測ショット領域MSAが定義されるXYZ座標系において、誤差がないときのXY位置に対する実際に計測されるXY位置の差や誤差がないときのZ位置に対する実際に計測されるZ位置の差で表してもよい。また、計測ショット領域MSAの湾曲度は、計測ショット領域MSAが定義されるXYZ座標系において、計測装置21から出力されるZ変位が所定のZ変位出力となるXYZ位置を近似した面と基準となるXY平面との乖離度で表すことができる。
【0150】
例えば、
図29に示すようにドットパターンDPが規則的に形成された基準部材BM2が用いられる場合には、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、計測ショット領域MSAの歪曲度合い及び計測ショット領域MSAの倍率の少なくとも一方を算出することができる。例えば、
図30(b)に示すようにXY平面に交差する方向における高さが異なる複数のブロックパターンBP2が形成された基準部材BM2が用いられる場合には、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、計測ショット領域MSAの湾曲度を算出することができる。この場合には、計測ショット領域MSAの歪曲度合いは、計測ショット領域MSAが歪曲している場合であっても計測ショット領域MSAが歪曲していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。計測ショット領域MSAの倍率は、計測ショット領域MSAの倍率が所望倍率でない場合であっても計測ショット領域MSAの倍率が所望率である場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。計測ショット領域MSAの湾曲度合いは、計測ショット領域MSAが湾曲している場合であっても計測ショット領域MSAが湾曲していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。
【0151】
また、上述した説明では、第1チルト測定動作を行うために、ステージ32に基準部材BMが載置されている。しかしながら、第1チルト測定動作を行うために改変されたステージ32’を示す平面図である
図31に示すように、ステージ32’自体に、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンが形成されていてもよい。
図31は、ステージ32’の表面のうち載置面321の周辺に位置する外周面323にドットパターンDPが形成される例を示している。この場合には、第1チルト測定動作において、ステージ32に基準部材BMが載置されなくてもよいし、計測装置2は、ステージ32に載置された基準部材BMに加えて又は代えて、ステージ32’に形成されたパターンを計測してもよい。尚、ドットパターンDPは、ステージ32’の表面のうち載置面321の周辺に位置する外周面323の一部に形成されていてもよい。
【0152】
また、加工装置1がワークWを加工することでワークWに形成したパターンを、チルト量等を測定するために計測装置2によって計測されるパターンとして用いてもよい。この場合、まず、加工装置1は、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンをワークWに形成するようにワークWを加工してもよい。このとき、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンが形成されるワークWは、上述した加工動作による加工が予定されているワークWとは異なっていてもよいし(例えば、テスト用のワークであってもよいし)、上述した加工動作による加工が予定されているワークWであってもよい。その後、計測装置2は、ステージ32に載置された基準部材BMに加えて又は代えて、ワークWに形成されたパターンを計測してもよい。
【0153】
(2-4-3)ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定する第2チルト測定動作
続いて、
図32を参照しながら、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定する第2チルト測定動作について説明する。
図32は、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定する第2チルト測定動作の流れを示すフローチャートである。
【0154】
図32に示すように、まず、加工装置1は、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンをワークWに形成するように、ワークWを加工する(ステップS421)。ステップS421で形成されるパターンは、第1チルト測定動作においてステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンと同様のパターンであってもよい。或いは、ステップS421で形成されるパターンは、ステージ32に対する計測装置2のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンとは異なるパターンであってもよい。
【0155】
その後、計測装置21は、ステップS421で加工されたワークW(特に、ステップS421で加工された加工部分)を計測する(ステップS422)。このため、まずは、ステージ32及び/又は計測装置21は、ステップS421で加工されたワークWの加工部分が計測装置21の計測ショット領域MSA内に位置するように移動する。つまり、ステージ32は、ステップS421で加工されたワークWの加工部分が加工ショット領域PSAから計測ショット領域MSAに向かって移動するように、移動する。この際、上述したように、ステージ32にはワークWが載置されたままであってよい。その後、計測装置21は、ステップS421で加工されたワークWの加工部分を計測する。
【0156】
その後、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、ステージ32に対する加工装置1のチルト量(特に、θX方向及びθY方向のそれぞれにおける加工装置1のチルト量)を算出する(ステップS423)。例えば、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、ワークWに形成されたパターンの実際の位置及び/又は形状を特定する。その後、制御装置7は、ワークWに形成されたパターンの設計上の位置及び/又は形状(つまり、加工装置1がステージ32に対して傾斜していない場合に加工装置1がワークWに形成するはずのパターンの位置及び/又は形状)と、ワークWに形成されたパターンの実際の位置及び/又は形状との違いに基づいて、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を算出する。算出されたチルト量は、上述したように、ステージ32に対して加工装置1が傾斜している場合であってもステージ32に対して加工装置1が傾斜していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられる。
【0157】
尚、ワークWに形成されるパターンによっては、制御装置7は、計測装置21の計測結果に基づいて、θZ方向における加工装置1のチルト量、Z軸方向における加工装置1の位置のオフセット量(つまり、Z軸方向における基準位置からの加工装置1の位置のオフセット量)、及び、加工装置1の加工ショット領域PSAの形状に関するパラメータを算出することができる。加工ショット領域PSAの形状に関するパラメータは、例えば、加工ショット領域PSAの歪曲度合い、加工ショット領域PSAの倍率(例えば、加工ショット領域PSAの設計上のサイズに対する加工ショット領域PSAの実際のサイズの倍率)、及び、加工ショット領域PSAの湾曲度(例えば、XY平面に沿った面に対する加工ショット領域PSAの湾曲度)の少なくとも一つを含んでいてもよい。この場合には、θZ方向における加工装置1のチルト量は、ステージ32に対して加工装置1がθZ方向において傾斜している場合であってもステージ32に対して加工装置1がθZ方向において傾斜していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。Z軸方向における加工装置1の位置のオフセット量は、Z軸方向における加工装置1のオフセットが生じている場合であってもZ軸方向における加工装置1のオフセットが生じていない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。加工ショット領域PSAの歪曲度合いは、加工ショット領域PSAが歪曲している場合であっても加工ショット領域PSAが歪曲していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。加工ショット領域PSAの倍率は、加工ショット領域PSAの倍率が所望率でない場合であっても加工ショット領域PSAの倍率が所望率である場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。加工ショット領域PSAの湾曲度合いは、加工ショット領域PSAが湾曲している場合であっても加工ショット領域PSAが湾曲していない場合と同様にワークWを加工することができるように加工システムSYSが動作するためのパラメータとして用いられてもよい。尚、加工装置1の加工ショット領域PSAの形状に関するパラメータに代えて、或いは加えて、加工装置1の光学系(典型的にはfθレンズ)の倍率、歪曲及び像面湾曲をパラメータとしてもよい。
【0158】
また、第2チルト測定動作においても、第1チルト測定動作と同様に、基準部材BM(特に、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンが形成された基準部材BM)がステージ32に載置されてもよい。或いは、ステージ32に、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンが形成されていてもよい。この場合、加工装置1は、加工装置1が備える観察装置16を用いて、基準部材BM及び/又はステージ32に形成されたパターンの位置及び/又は形状を観察(実質的には、計測)してもよい。更に、制御装置7は、観察装置16の観察結果に基づいて、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を算出してもよい。具体的には、制御装置7は、観察装置16の計測結果に基づいて、基準部材BMに形成されたパターンの位置及び/又は形状を特定してもよい。その後、制御装置7は、基準部材BMに形成されたパターンの設計上の位置及び/又は形状と、実際に特定されたパターンの位置及び/又は形状との違いに基づいて、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を算出してもよい。この場合、加工装置1は、ステージ32に対する加工装置1のチルト量を測定するために用いられる所定のパターンをワークWに形成するようにワークWを加工しなくてもよい。
【0159】
(3)技術的効果
以上説明したように、加工システムSYSは、加工装置1と計測装置2との双方を備えている。特に、加工システムSYSは、加工装置1と計測装置2とを、ステージ装置3が収容される(つまり、ワークWが収容される)筐体4内に備えている。このため、加工装置1がワークWを加工してから加工されたワークWを計測装置2が計測するまでの間に、ステージ32からワークWを取り外さなくてもよい。同様に、計測装置2がワークWを計測してから計測されたワークWを加工装置1が加工するまでの間に、ステージ32からワークWを取り外さなくてもよい。このため、加工装置1がワークWを加工してから加工されたワークWを計測装置2が計測するまでの間に及び/又は計測装置2がワークWを計測してから計測されたワークWを加工装置1が加工するまでの間にステージ32からワークWを取り外す必要がある場合と比較して、ワークWのステージ32からの取り外し及びワークWのステージ32への再載置が不要な分だけワークWの加工に関するスループットが向上する。更には、ワークWのステージ32への再載置に伴って必要になりかねないアライメント動作(例えば、ステージ32に対するワークWの位置合わせ動作)を行わなくてもよいがゆえに、その分もワークWの加工に関するスループットが向上する。
【0160】
また、加工システムSYSは、加工装置1によるワークWの加工と、計測装置2によるワークWの計測との間で、ステージ32にワークWが載置されたままである。このため、ワークWの載置や取り外しに起因する加工誤差や計測誤差の影響を低減することができ、ワークWの加工に関するスループットを向上させることができる。
【0161】
また、加工システムSYSが加工装置1と計測装置2との双方を備えているがゆえに、加工システムSYSは、加工装置1が加工したワークWの状態を計測装置2で計測しながら、ワークWを加工することができる。その結果、加工システムSYSは、ワークWの状態が所望の状態から乖離している(例えば、ワークWの加工量が適切でない及び/又はワークWの加工位置が適切でない)場合には、ワークWの状態が所望の状態に近づくように又は一致するように、加工装置1を即座に制御することができる。例えば、加工システムSYSは、ワークWの加工量が適切でない及び/又はワークWの加工位置が適切でない場合には、ワークWの加工量が適切になるように及び/又はワークWの加工位置が適切になるように、加工装置1を即座に制御することができる。このため、加工装置1が加工したワークWの状態を計測装置2で計測することなくワークWを加工する場合と比較して、加工システムSYSは、ワークWをより高精度に加工することができる。
【0162】
また、加工装置1が加工光ELを用いてワークWを加工するがゆえに、ワークWが切削部材等を用いて加工される場合と比較して、ワークWの切削くずが発生しにくい。このため、加工装置1と計測装置2とを同じ筐体4内に配置したとしても、切削くずによって計測装置2の適切な動作が妨げられることは殆どない。
【0163】
また、加工装置1が加工光ELを用いてワークWを加工するがゆえに、ワークWが切削部材等を用いて加工される場合と比較して、ワークWに相対的に大きな外力が作用することはない。このため、ステージ32は、ワークWを相対的に大きな保持力で保持しなくてもよくなる。その結果、ステージ32には、加工装置1がワークWを加工する場合及び計測装置2がワークWを計測する場合の双方において実質的に同じ状態でワークWが載置可能となる。このため、計測装置2は、加工装置1がワークWを加工している場合と同様の状態でステージ32に載置されているワークWを計測することができる。つまり、計測装置2は、加工装置1がワークWを加工している場合に相対的に強い保持力でワークWがステージ32によって保持されている場合と比較して、相対的に強い力に起因して生じ得るワークWの微小な歪みの影響を受けることなく、ワークWを相対的に高精度に計測することができる。また、ワークWの歪みの影響を低減した状態でワークWを高精度に加工することができる。
【0164】
また、加工システムSYSは、加工条件の初期値を設定するための初期設定動作を行うことができる。このため、加工システムSYSは、相対的に容易に且つ短い時間で、加工条件の初期値を設定することができる。
【0165】
また、加工システムSYSは、温度ドリフト低減動作を行うことができる。このため、加工システムSYSは、計測装置21の温度に起因して計測装置21の計測精度がばらつく現象である温度ドリフトの影響を適切に低減することができる。従って、加工システムSYSは、温度ドリフトの影響が低減されない場合と比較して、ワークWを相対的に高精度に計測することができる。更に、加工システムSYSは、相対的に高精度なワークWの計測結果に基づいてワークWを相対的に高精度に加工することができる。
【0166】
また、加工システムSYSは、チルト測定動作を行うことができる。このため、加工システムSYSは、チルトの影響を排除するようにワークWを加工することができる。つまり、加工システムSYSは、ステージ32に対して加工装置1及び/又は計測装置2が傾斜している場合であってもステージ32に対して加工装置1及び/又は計測装置2が傾斜していない場合と同様にワークWを加工することができる。
【0167】
(4)変形例
続いて、加工システムSYSの変形例について説明する。
【0168】
(4-1)第1変形例の加工システムSYSa
初めに、
図33を参照しながら、第1変形例の加工システムSYSaについて説明する。
図33は、第1変形例の加工システムSYSaの構造を示す断面図である。尚、図面の簡略化のために、
図33は、加工システムSYSaの一部の構成要素については、その断面を示していない。
【0169】
図33に示すように、第1変形例の加工システムSYSaは、上述した加工システムSYSと比較して、気体供給装置8aを備えているという点で異なっている。加工システムSYSaのその他の特徴は、加工システムSYSと同一であってもよい。尚、
図33は、図面の簡略化のために、加工システムSYSaが備える一部の構成要素の記載を省略又は簡略化している。
【0170】
気体供給装置8aは、収容空間SP内に気体を供給する(つまり、流す)。気体供給装置8aが供給する気体の一例として、大気、CDA(クリーン・ドライ・エア)及び不活性ガスの少なくとも一つがあげられる。不活性ガスの一例として、窒素ガスやアルゴンガスがあげられる。
【0171】
気体供給装置8aは、気体を供給することで、ワークWへの加工光ELの照射によってワークWから生ずる物質が計測装置2に付着することを低減してもよい。つまり、気体供給装置8aは、ワークWへの加工光ELの照射によってワークWから生ずる物質が計測装置2に付着することを低減可能な付着低減装置として機能してもよい。ワークWへの加工光ELの照射によってワークWから生ずる物質は、溶融した又は蒸発したワークWの材料を含んでいてもよい。以降、説明の便宜上、ワークWへの加工光ELの照射によってワークWから生ずる物質を、“ヒューム”と称する。
【0172】
気体供給装置8aは特に、気体を供給することで、ヒュームが計測装置2の特定部分に付着することを低減してもよい。計測装置2の特定部分は、ヒュームが付着すると計測装置2の計測精度の悪化につながりかねない部分であってもよい。例えば、計測装置2が計測光(例えば、光切断法におけるスリット光又は白色干渉法における白色光)をワークWに照射してワークWを計測する場合には、計測光が通過する計測装置2の光学系211の光学面211sが、特定部分の一例としてあげられる。特に、光学系211の終端光学素子(つまり、収容空間SPに面する光学素子)の光学面が、特定部分の一例としてあげられる。
【0173】
計測装置2(特に、その特定部分)にヒュームが付着すると、付着したヒュームによって計測光の照射(例えば、ワークWへの照射)が妨げられる可能性がある。その結果、計測装置2がワークWを適切に計測することができなくなる可能性がある。しかるに、第1変形例では、計測装置2(特に、その特定部分)に対してヒュームが付着することが低減される。その結果、計測装置2は、ヒュームの影響が低減された状態でワークWを適切に計測することができる。
【0174】
気体供給装置8aは、気体供給装置8aによる気体の第1供給態様を示す断面図である
図34に示すように、収容空間SP内における加工装置1と計測装置2との間の空間に気体を供給してもよい。気体供給装置8aは、加工装置1からワークWへと向かう加工光ELの進行方向に沿った成分を含む方向(
図34に示す例では、Z軸方向を成分として含む方向)に沿って気体を供給してもよい。この場合、気体供給装置8aが供給した気体は、エアカーテンとして機能する。つまり、気体供給装置8aが供給した気体は、エアカーテンよりも加工装置1側に位置する空間からエアカーテンよりも計測装置2側に位置する空間へとヒュームが侵入する可能性を低減することができるエアカーテンとして機能する。その結果、ヒュームが計測装置2に付着する可能性が適切に低減される。更には、計測光の光路を含む空間にヒュームが侵入する可能性が適切に低減される。
【0175】
気体供給装置8aは、気体供給装置8aによる気体の第2供給態様を示す断面図である
図35に示すように、収容空間SP内における計測装置2とステージ32との間の空間に気体を供給してもよい。気体供給装置8aは、収容空間SP内における計測装置2からの計測光の光路を含む空間に気体を供給してもよい。気体供給装置8aは、加工装置1からワークWへと向かう加工光ELの進行方向に交差する方向(
図35に示す例では、Y軸方向)に沿って気体を供給してもよい。気体供給装置8aは、計測光の光路を含む空間から加工光ELの光路を含む空間に向かって流れる気体を供給してもよい。その結果、ヒュームが計測光の光路を含む空間に侵入しにくくなるがゆえに、ヒュームが計測装置2に付着する可能性が適切に低減される。更には、計測光の光路を含む空間にヒュームが侵入する可能性が適切に低減される。更には、気体供給装置8aから供給される気体が計測装置2の特定部分(例えば、上述した光学系211の光学面211s)に吹き付けられていれば、当該気体によって、計測装置2の特定部分に付着していたヒュームが吹き飛ばされる(つまり、取り除かれる)。従って、ヒュームが計測装置2に仮に付着してしまったとしても、ヒュームが計測装置2に付着し続ける可能性が適切に低減される。そして、加工装置1の特定部分(例えば、fθレンズ142の終端光学素子の光学面)にヒュームが付着する可能性を低減でき、適切な加工を達成できる。このように、気体供給装置8aによる気体の供給により、加工光EL及び/又は計測光の光路を横切る方向に気体の流路が形成されるため、ヒュームは当該流路に沿って進行し、ヒュームが計測装置2や加工装置1に付着する可能性が低減される。
【0176】
(4-2)第2変形例の加工システムSYSb
続いて、
図36を参照しながら、第2変形例の加工システムSYSbについて説明する。
図36は、第2変形例の加工システムSYSbの構造を示す断面図である。尚、図面の簡略化のために、
図36は、加工システムSYSbの一部の構成要素については、その断面を示していない。
【0177】
図36に示すように、第2変形例の加工システムSYSbは、上述した加工システムSYSと比較して、回収装置8bを備えているという点で異なっている。加工システムSYSbのその他の特徴は、加工システムSYSと同一であってもよい。尚、
図36は、図面の簡略化のために、加工システムSYSbが備える一部の構成要素の記載を省略又は簡略化している。
【0178】
回収装置8bは、筐体4の内部の収容空間SPから気体(或いは、液体を含む任意の流体、以下第2変形例において同じ)を回収する。具体的には、回収装置8bは、筐体4の隔壁に形成された開口である回収口81b及び回収口81bに連結された回収管82bを介して、収容空間SPから気体を回収してもよい。回収装置8bは、回収口81b及び回収管82bを介して収容空間SPから気体を吸引することで気体を回収してもよい。回収装置8bは、回収口81b及び回収管82bを介して収容空間SPの少なくとも一部を排気することで気体を回収してもよい。回収装置8bは、加工装置1に関して計測装置2と反対側に回収口81bを備えており、計測装置2の直下から加工装置1の直下を経て回収口81bに至る経路に流体(気体)の流路を形成する。尚、
図36の場合であっても、筐体4の外部の空間と内部の空間(収容空間SP)とは、筐体4によって実質的に隔てられていると見なしてもよい。
【0179】
回収装置8bは、気体と共に、収容空間SP内のヒュームの少なくとも一部を合わせて回収してもよい。回収装置8bは、加工装置1からワークWへと向かう加工光ELの進行方向に交差する方向(
図36に示す例では、Y軸方向)に沿って気体及びヒュームを回収してもよい。回収装置8bが収容空間SPから回収したヒュームは、回収管82bに配置されたフィルタ83bによって吸着されてもよい。フィルタ83bは、着脱可能であってもよいし、交換可能であってもよい。その結果、回収装置8bによってヒュームが回収されない場合と比較して、ヒュームが計測装置2に付着することがより適切に防止される。従って、回収装置8bは、ヒュームが計測装置2に付着することを低減可能な付着防止装置として機能してもよい。尚、フィルタ83bの下流側に流量センサを設けておき、フィルタ83bの詰まり具合をモニタしてもよい。また、当該流量センサの出力からフィルタ83bの交換時期を推定してもよい。
【0180】
回収装置8bによる気体の回収により、加工光EL及び/又は計測光の光路を横切る方向に気体の流路が形成されるため、ヒュームは当該流路に沿って回収装置8bで回収され、ヒュームが計測装置2や加工装置1に付着する可能性が低減される。
【0181】
尚、第2変形例の加工システムSYSbは、第1変形例の加工システムSYSaと同様に、気体供給装置8aを備えていてもよい。この場合、ヒュームが計測装置2や加工装置1に付着することがより低減される。
【0182】
(4-3)第3変形例の加工システムSYSc
続いて、
図37を参照しながら、第3変形例の加工システムSYScについて説明する。
図37は、第3変形例の加工システムSYScの構造を示す断面図である。尚、図面の簡略化のために、
図37は、加工システムSYScの一部の構成要素については、その断面を示していない。
【0183】
図37に示すように、第3変形例の加工システムSYScは、上述した加工システムSYSと比較して、筐体8cを備えているという点で異なっている。加工システムSYScのその他の特徴は、加工システムSYSと同一であってもよい。尚、
図37は、図面の簡略化のために、加工システムSYScが備える一部の構成要素の記載を省略又は簡略化している。
【0184】
筐体8cは、収容空間SP内に配置される。筐体8cは、収容空間SP内において計測装置2の少なくとも一部(例えば、計測装置2の特定部分)を収容する。具体的には、
図37に示すように、筐体8cは、隔壁部材81cを備えている。隔壁部材81cは、計測装置2が収容される内部空間82cを規定する。その結果、筐体8c(特に、隔壁部材81c)によって収容空間SPから収容空間82cへのヒュームの侵入が防止される。このため、収容空間82cに収容されている計測装置2にヒュームが付着することが適切に防止される。
【0185】
但し、計測装置2が計測光を照射することでワークWを計測する場合には、計測光の照射が筐体4によって妨げられることは好ましくない。このため、隔壁部材81cのうち計測装置2からの計測光の光路と重複する部分は、光通過部材83cから構成されていてもよい。光通過部材83cは、計測光が通過可能である一方でヒュームが通過不可能な部材であってもよい。一例として、光通過部材83cは、例えば、計測光に対して透明な(例えば、透過率が所定率以上である)部材であってもよい。或いは、光通過部材83cは、計測光が照射されている期間(例えば、計測装置2がワークWを計測している期間)の少なくとも一部においては計測光が通過可能である一方で、計測光が照射されていない期間(例えば、計測装置2がワークWを計測していない期間であって、典型的には、加工装置1がワークWを加工している期間)の少なくとも一部においては、ヒュームが通過不可能となる部材であってもよい。このような光通過部材83cの一例として、ガラス基板等の光透過性基板があげられる。こその結果、光通過部材83cによって、収容空間SPから収容空間82cへのヒュームの侵入が防止されつつも、計測装置2からの計測光は、光通過部材83cを介してワークWに照射される。このため、収容空間82a-3に収容されている計測装置2にヒュームが付着することが適切に防止されつつも、計測装置2がワークWを適切に計測することができる。
【0186】
ところで、光通過部材83cが収容空間SPに面しているがゆえに、光通過部材83cには、ヒュームが付着する可能性がある。このため、光通過部材83cに付着したヒュームが取り除かれてもよい。例えば、加工システムSYScは、光通過部材83cに付着したヒュームを吹き飛ばす(つまり、取り除く)ように気体を供給してもよい。この場合、加工システムSYScは、上述した気体供給装置8aを用いて、光通過部材83cに付着したヒュームを吹き飛ばしてもよい(つまり、取り除いてもよい)。例えば、加工システムSYScの他の構造を示す断面図である
図38に示すように、加工システムSYScは、光通過部材83cに付着したヒュームをふるい落とす(つまり、取り除く)ように光通過部材83cを振動させる振動装置84cを備えていてもよい。その結果、光通過部材83cにヒュームが付着し続けることが防止される。従って、光通過部材83cに付着し続けたヒュームによって計測装置2からの計測光の照射が妨げられることはない。
【0187】
光通過部材83cに付着したヒュームは、所望のタイミングで取り除かれてもよい。例えば、光通過部材83cに付着するヒュームの量が多くなればなるほど、ヒュームによって散乱される計測光が多くなる。このため、制御装置7は、散乱した計測光を検出する検出装置の検出結果に基づいて光通過部材83cにヒュームが付着しているか否か(或いは、ヒュームが一定量以上付着しているか否か)を判定し、光通過部材83cにヒュームが付着している(或いは、ヒュームが一定量以上付着している)と判定された場合に、光通過部材83cに付着したヒュームが取り除かれてもよい。
【0188】
尚、光通過部剤83cは、筐体8cから取り外し可能であってもよい。また、光通過部材83cは、それとは異なる光通過部材と交換可能であってもよい。
【0189】
尚、第3変形例の加工システムSYScは、第1変形例の加工システムSYSa及び第2変形例の加工システムSYSbの少なくとも一方と同様に、気体供給装置8a及び回収装置8bの少なくとも一方を備えていてもよい。この場合、ヒュームが計測装置2に付着することがより適切に防止される。
【0190】
(4-4)第4変形例の加工システムSYSd
続いて、第4変形例の加工システムSYSdについて説明する。第4変形例の加工システムSYSdは、上述した加工システムSYSと比較して、受光装置9dを備えているという点で異なっている。加工システムSYSdのその他の特徴は、加工システムSYSと同一であってもよい。従って、以下では、
図39(a)及び
図39(b)を参照しながら、受光装置9dについて説明する。
図39(a)は、受光装置9dの構造を示す断面図であり、
図39(b)は、受光装置9dの構造を示す平面図である。
【0191】
図39(a)及び
図39(b)に示すように、受光装置9dは、ステージ32に配置されている。受光装置9dは、ステージ32のうちワークWが載置される載置面321からX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に離れた位置に配置されてもよい。例えば、受光装置9dは、ステージ32のうち外周面322(より具体的には、ステージ32のうち、外周面322が表面となる部材)に配置されてもよい。但し、受光装置9dは、ステージ32のうち載置面321(より具体的には、ステージ32のうち、載置面321が表面となる部材)に配置されてもよい。受光装置9dは、ステージ32の任意の位置に配置されてもよい。受光装置9dの少なくとも一部は、ステージ32から取り外し可能であってもよい。或いは、受光装置9dは、ステージ32と一体化されていてもよい。また、受光装置9dは、載置面321内に配置されていてもよい。
【0192】
受光装置9dは、遮光部材91dと、検出器92dとを備える。
【0193】
遮光部材91dは、加工光ELを遮光可能な部材である。遮光部材91dは、ステージ32に配置されている。遮光部材91dの表面(+Z側の面)は、ステージ32の表面(+Z側の面であり、例えば、外周面322)と同じ高さであるが、異なる高さであってもよい。遮光部材91dの裏面(-Z側の面)は、ステージ32の裏面(-Z側の面)と同じ高さであるが、異なる高さであってもよい。遮光部材91dの少なくとも一部は、ステージ32と一体化されていてもよい。ステージ32の少なくとも一部が、遮光部材91dとして兼用されてもよい。但し、遮光部材91dは、ステージ32から取り外し可能であってもよい。
【0194】
遮光部材91dには、開口93dが形成されている。開口93dは、遮光部材91dの表面から裏面まで貫通する貫通穴である。遮光部材91dの少なくとも一部がステージ32と一体化されている場合には、開口93dは、ステージ32の表面(例えば、外周面322)から裏面まで貫通する貫通穴であってもよい。XY平面に沿った面内での開口93dの形状は、スリット形状であるが、その他の任意の形状であってもよい。XY平面に沿った面内での開口93dのサイズ(例えば、スリット形状の長手方向のサイズ)は、例えば、数マイクロメートルから数十マイクロメートル(例えば、5マイクロメートルから10マイクロメートル)であるが、その他のサイズであってもよい。開口93dは、加工光ELが通過可能な貫通穴である。開口93dは、ステージ32の表面に向けて照射された加工光ELが、ステージ32の裏面まで通過可能な貫通穴である。従って、開口93dが形成された遮光部材91dは、加工光ELを通過させることが可能な光通過部材として機能する。尚、遮光部材91dは、光透過性基板の上面の一部に遮光膜を形成したもので構成されていてもよい。この場合、遮光膜が形成されていない部分が開口93dとなる。
【0195】
検出器92dは、加工光ELを検出可能な(例えば、受光可能な)光検出器である。光検出器の一例として、受光した加工光ELを光電変換可能な光電変換器があげられる。検出器92dは、遮光部材91dの裏面に配置される。遮光部材91dの少なくとも一部がステージ32と一体化されている場合には、検出器92dは、ステージ32の裏面に配置される。検出器92dは、開口93dを介して検出器92dに入射してくる加工光ELを検出する。検出器92dは、開口93dを通過して検出器92dに入射してくる加工光ELを検出する。
【0196】
検出器92dの検出結果は、検出器92dに入射した加工光ELの状態に関する情報を含む。例えば、検出器92dの検出結果は、検出器92dに入射した加工光ELの強度(具体的には、XY平面に交差する面内での強度)に関する情報を含む。より具体的には、検出器92dの検出結果は、XY平面に沿った面内における加工光ELの強度分布に関する情報を含む。検出器92dの検出結果は、制御装置7に出力される。
【0197】
制御装置7は、検出器92dの検出結果に基づいて、加工システムSYSdがワークWを適切に加工することができるように加工システムSYSd(例えば、加工装置1、計測装置2、ステージ装置3、駆動系5及び駆動系6の少なくとも一つ)を制御する。例えば、制御装置7は、検出器92dの検出結果に基づいて、フォーカス位置を制御するフォーカス制御動作を行ってもよい。例えば、制御装置7は、検出器92dの検出結果に基づいて、ガルバノミラー141を用いた加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を制御する光状態制御動作を行ってもよい。例えば、制御装置7は、検出器92dの検出結果に基づいて、ガルバノミラー141の温度(つまり、熱)に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく現象である温度ドリフトの影響を低減するようにガルバノミラー141を制御するガルバノ制御動作を行ってもよい。加工システムSYSdは、上述した加工動作が行われる前に、これらの動作(例えば、フォーカス制御動作、光状態制御動作及びガルバノ制御動作)の少なくとも一部を行ってもよい。加工システムSYSdは、上述した加工動作が行われた後に、これらの動作の少なくとも一部を行ってもよい。加工システムSYSdは、上述した加工動作が行われる期間中に、これらの動作の少なくとも一部を行ってもよい。加工システムSYSdは、ある加工動作を行ってから、次に別の加工動作を行うまでの間に、これらの動作の少なくとも一部を行ってもよい。加工システムSYSdは、ワークWを加工する一の期間と同じワークWを加工する他の期間との間に、これら動作の少なくとも一部を行ってもよい。加工システムSYSdは、加工システムSYSdが動作を開始してから一定時間が経過する都度、これらの動作の少なくとも一部を行ってもよい。加工動作が行われる前に又は加工動作が行われた後にこれらの動作の少なくとも一部が行われる場合には、これらの動作の少なくとも一部が行われる期間において、ステージ32にワークWが載置されていなくてもよい。尚、フォーカス制御動作、光状態制御動作及びガルバノ制御動作のそれぞれの詳細については、後に説明する。
【0198】
加工システムSYSdは、複数の受光装置9dを備えていてもよい。
図39(b)は、加工システムSYSdが2つの受光装置9d(x)及び9d(y)を備える例を示している。複数の受光装置9dの開口93dの形状(具体的には、XY平面に沿った面内での形状)は、長手方向がそれぞれ異なる方向に沿ったスリット形状であってもよい。例えば、
図39(b)は、受光装置9d(x)の開口93d(x)の形状が、長手方向がX軸方向に沿ったスリット形状になり、受光装置9d(y)の開口93d(y)の形状が、長手方向がY軸方向に沿ったスリット形状になる例を示している。
【0199】
尚、複数の受光装置9dの数は2つには限定されず、例えば、受光装置9d(x)及び9d(y)に加えて、長手方向がX軸又はY軸に対して所定角度(一例として±45度)をなすスリット形状を有する1以上の受光装置9dが備えられていてもよい。
【0200】
また、受光装置9dの開口93dの形状は、矩形状には限定されず、一例として、円形状(ピンホール状)やL字形状、十字形状であってもよい。ここで、開口93dの形状がL字形状や十字形状等である場合、複数の受光装置9dの機能を1つの受光装置9dで達成することができる。
【0201】
加工光ELの照射によってワークWが加工されることを考慮すれば、加工光ELの照射によって受光装置9d(更には、受光装置9dが配置されているステージ32)の少なくとも一部もまた加工(実質的には、破壊)されてしまう可能性がある。このため、受光装置9dに照射される加工光ELの強度(例えば、検出器92dの検出面における単位面積あたりのエネルギ量)が、ワークWを加工するためにワークWに照射される加工光ELの強度(例えば、ワークWの表面における単位面積当たりのエネルギ量)よりも小さくなるように、加工光ELの強度(例えば、加工光ELの進行方向に交差する面内で単位面積当たりのエネルギ量)が制御されてもよい。例えば、加工装置1の光源11は、受光装置9dに加工光ELが照射される期間中に射出する加工光ELの強度が、ワークWを加工するためにワークWに加工光ELが照射される期間中に射出する加工光ELの強度よりも小さくなるように、加工光ELを生成してもよい。例えば、受光装置9dに照射される加工光ELを示す断面図である
図40に示すように、加工光ELの光路に、加工光ELを減衰可能な減衰部材18dが配置されていてもよい。この場合、加工装置1は、減衰部材18dを介して受光装置9dに加工光ELを照射する一方で、減衰部材18dを介することなくワークWに加工光ELを照射してもよい。従って、減衰部材18は、受光装置9dに加工光ELが照射される期間中に加工光ELの光路に位置し、且つ、ワークWを加工するためにワークWに加工光ELが照射される期間中に加工光ELの光路に位置しないように、加工光ELの光路に対して挿脱可能であってもよい。尚、減衰部材18dは、加工装置1の内部に配置されていてもよいし、加工装置1の外部(例えば、加工装置1と受光装置9dとの間の空間又は受光装置9dの上方の空間)に配置されていてもよい。このように、減衰部材18dの使用により、光源11の発光条件(一例としてレーザ発振条件)を加工時と同じにしたまま、加工光ELを計測できるため、計測される加工光ELの強度分布が加工時のそれとは異なってしまうという不具合を低減できる。尚、光源11の発光条件を代えて、加工光ELの強度を変更してもよい。この場合、光源11の発光条件と加工光ELの強度分布との関係についての情報を用いて、計測結果を補正してもよい。
【0202】
(4-4-1)フォーカス制御動作
続いて、
図41(a)から
図41(c)を参照しながら、受光装置9dが備える検出器92dの受光結果に基づいて行われる動作の一具体例であるフォーカス制御動作について説明する。
図41(a)は、フォーカス制御動作を行うために加工装置1が加工光ELを受光装置9dに照射する様子を示す断面図であり、
図41(b)は、フォーカス制御動作を行うために加工装置1が加工光ELを受光装置9dに照射する様子を示す平面図であり、
図41(c)は、受光装置9dが備える検出器92dの検出結果を示すグラフである。
【0203】
図41(a)及び
図41(b)に示すように、フォーカス制御動作を行うために、加工装置1は、受光装置9d(特に、検出器92d)に対して加工光ELを照射する。このため、まずは、ステージ32及び/又は加工装置1は、開口93dが加工ショット領域PSA内に位置するように移動する。その後、加工装置1は、開口93dを介して検出器92dに向けて加工光ELを照射する。
【0204】
この際、加工装置1は、ガルバノミラー141を用いて偏向された加工光ELをfθレンズ142を通過させることで、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部(具体的には、開口93dが形成されている部分を含む面)を走査させる。特に、加工装置1は、XY平面に沿った面内において加工光EL(より具体的には、加工光ELの照射領域EA)が開口93dを横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させる。特に、加工装置1は、XY平面に沿った面内において、開口93dを構成するスリットの短手方向に沿って加工光ELが開口93dを横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させてもよい。例えば、
図39(b)に示す受光装置9d(x)に対して加工装置1が加工光ELを照射する場合には、加工装置1は、XY平面に沿った面内において、開口93d(x)を構成するスリットの短手方向であるY軸方向に沿って加工光ELが開口93d(x)を横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させてもよい。例えば、
図39(b)に示す受光装置9d(y)に対して加工装置1が加工光ELを照射する場合には、加工装置1は、XY平面に沿った面内において、開口93d(y)を構成するスリットの短手方向であるX軸方向に沿って加工光ELが開口93d(y)を横切るように、加工光ELにステージ32の表面の少なくとも一部を走査させてもよい。厳密には、空間的に静止している開口93(x)、93(y)に対して加工光ELを走査させる場合の結果と、空間的に静止している加工光ELに対して開口93(x)、93(y)を走査させる場合の結果とは異なるが、走査量(XY面内における加工光ELの移動量)が小さい場合(一例として加工光ELのスポットサイズの10倍以内)には両者を等価に扱うことができる。尚、
図41(a)及び
図41(b)は、XY平面に沿った面内において、開口93dを構成するスリットの短手方向であるY軸方向に沿って加工光ELが開口93dを横切る例を示している。
【0205】
加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中は、ステージ32は移動しなくてもよい。つまり、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中は、加工装置1とステージ32との位置関係(特に、XY平面に沿った方向)は固定されていてもよい。その結果、加工光ELは、ガルバノミラー141の特性に応じて定まる一定の走査速度で、ステージ32の表面の少なくとも一部を走査することになる。つまり、加工光ELの照射領域EAは、ステージ32の表面の少なくとも一部上を、ステージ32の表面に沿った方向(例えば、X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方)に沿って一定の速度で移動することになる。
【0206】
その結果、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中のあるタイミングで加工光ELが開口93dに照射されることになる。つまり、加工光ELがステージ32の表面の少なくとも一部を走査している期間中のあるタイミングで加工光ELが検出器92dによって検出される。
【0207】
制御装置7は、
図41(c)に示すように、加工光ELが開口93dに照射されていない期間中の加工光ELの強度と比較して、加工光ELの少なくとも一部が開口93dに照射されている期間中は加工光ELの強度が大きくなっていることを示す検出信号を、検出器92dの検出結果として取得する。尚、
図41(c)の横軸である時間(検出時期)は、加工光ELとステージ32との走査方向(Y方向)に沿った相対的な位置に読み替えることができる。制御装置7は、検出信号に基づいて、加工光ELのスポット径(つまり、ワークWの表面上でのスポット径)を算出することができる。具体的には、制御装置7は、検出信号から、加工光ELの強度が所定値より大きくなっている時間(つまり、加工光ELの少なくとも一部が開口93dに照射されている時間)を特定することができる。この場合、制御装置7は、特定した時間と加工光ELの走査速度とに基づいて、加工光ELのスポット径を算出することができる。
【0208】
その後、制御装置7は、算出したスポット径が、加工条件として設定されているスポット径(例えば、上述した初期設定動作によって設定されたスポット径)と一致するように、加工光ELのフォーカス位置を制御してもよい。この際、制御装置7は、フォーカス位置を変更した場合には、変更後のフォーカス位置が適切であるか否かを確認するために、受光装置9dによる加工光ELの検出が再度行われるように、加工装置1を制御してもよい。この場合、制御装置7は、検出器92dの再検出結果に基づいて改めて算出されたスポット径が、加工条件として設定されているスポット径と一致しているか否かを判定してもよい。
【0209】
尚、
図39から
図41の例では、X方向に長手方向を有する(Y方向の幅がX方向に対して細い)開口93d(x)をY方向に走査して、加工光ELのスポットのY方向に沿った幅(位置)を検出し、Y方向に長手方向を有する(X方向の幅がY方向に対して細い)開口93d(y)をX方向に走査して、加工光ELのスポットのX方向に沿った幅(位置)を検出している。従って、加工光ELのスポットの楕円度(X方向サイズとY方向サイズとの比(差))を求めることができる。尚、加工光ELのスポットの楕円度が大きい(X方向サイズとY方向サイズとの差が大きい)場合、加工装置1の光学系中に、直交する2方向で屈折力が異なる光学部材(例として、トーリックレンズやシリンドリカルレンズ等)を配置して、楕円度を小さくしてもよい。
【0210】
以上のフォーカス制御動作により、加工光ELのフォーカス位置が適切に制御可能となる。
【0211】
尚、必要に応じて、受光装置9dによる加工光ELの検出は、XY平面に交差する方向(例えば、Z軸方向)における受光装置9d(特に、検出器92d)の位置を変えながら繰り返されてもよい。つまり、XY平面に交差する方向における第1位置に受光装置9d(特に、検出器92d)が位置する状態で、受光装置9dによる加工光ELの検出が行われ、XY平面に交差する方向における第2位置(但し、第2位置は、第1位置とは異なる)に受光装置9d(特に、検出器92d)が位置する状態で、受光装置9dによる加工光ELの検出が行われてもよい。尚、受光装置9dによる加工光ELの検出は、XY平面に交差する方向(例えば、Z軸方向)における加工光ELのフォーカス位置を変えながら繰り返されてもよい。これらの場合、検出器92dの検出結果を示すグラフである
図42(a)に示すように、制御装置7は、受光装置9dの位置の変更に応じた複数の検出信号を取得することができる。この場合、制御装置7は、複数の検出信号と、各検出信号が取得されたときの受光装置9dの位置とに基づいて、加工光ELのフォーカス位置を求めてもよく、ひいては加工光ELのフォーカス位置を制御してもよい。例えば、XY平面に交差する方向における受光装置9d(特に、検出器92d)の位置を変更することは、受光装置9dに対する加工光ELのフォーカス位置を変更することと実質的には等価である。このため、制御装置7は、複数の検出信号と、各検出信号が取得されたときの受光装置9dの位置とに基づいて、受光装置9dをどの程度移動させれば(つまり、フォーカス位置をどの程度移動させれば)、加工光ELのスポット径がどの程度変わるかを特定することができる。その結果、制御装置7は、加工光ELのスポット径を加工条件として設定されているスポット径と一致させるためにフォーカス位置をどの程度を移動させればいいかを特定することができる。
【0212】
また、Z軸方向における受光装置9d(特に、検出器92d)の位置を変えながら加工光ELを検出する、或いはZ軸方向における加工光ELのフォーカス位置を変えながら加工光ELを検出することによって、加工光ELのテレセントリシティ(テレセントリック性、光軸に対する加工光ELの傾き具合)を求めることができる。
図42(b)は、Z軸方向における複数の位置での検出結果を重ねて表したものである。
図42(b)において、Z(0)はZ軸方向における第1位置に受光装置9dが位置する状態での検出結果、Z(+1)はZ軸方向における第2位置に受光装置9dが位置する状態での検出結果(第2位置は第1位置よりも+Z側(加工装置1側)、Z(+2)はZ軸方向における第3位置に受光装置9dが位置する状態での検出結果(第3位置は第2位置よりも+Z側(加工装置1側)、Z(-1)はZ軸方向における第4位置に受光装置9dが位置する状態での検出結果(第4位置は第1位置よりも-Z側(加工装置1と反対側)、Z(-2)はZ軸方向における第5位置に受光装置9dが位置する状態での検出結果(第5位置は第4位置よりも-Z側(加工装置1と反対側)をそれぞれ示す。
図42(c)は各検出結果における強度が最大となる位置PZをプロットしたものであり、これらのプロットした位置PZ(-2)、PZ(-1)、PZ(0)、PZ(+1)、PZ(+2)を結んだ直線がテレセントリック性を表す。ここで、当該直線が垂直に伸びていた場合、Z軸方向の位置が変わっても強度が最大となる点PZのY方向位置が変わらないため、テレセントリックである。尚、位置PZ(-2)、PZ(-1)、PZ(0)、PZ(+1)、PZ(+2)は、それぞれ検出結果Z(-2)、Z(-1)、Z(0)、Z(+1)、Z(+2)に対応している。
【0213】
尚、テレセントリック性が悪い場合には、例えばfθレンズ142を構成する少なくとも一部(全部でもよい)の光軸方向の位置を変えてテレセントリック性の補正を行ってもよい。
【0214】
(4-4-2)光状態制御動作
続いて、光状態制御動作について説明する。まず、
図43を参照しながら、光状態制御動作を行う技術的理由について説明する。
図43は、ガルバノミラー141によって偏向されfθレンズによって変位した加工光ELがワークWの表面を走査する際のワークWの表面上の各位置での加工光ELのスポット径を模式的に示す平面図である。
【0215】
図43に示すように、ガルバノミラー141は、ワークWの表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査するように、加工光ELを偏向する。この際、加工ショット領域PSAのどの位置においても加工光ELの状態は同じとなる状態が、ワークWを高精度に加工するという点では理想的な状態の一例である。例えば、加工ショット領域PSA内において、位置P#1に照射された加工光ELの状態と、位置P#2に照射された加工光ELの状態と、位置P#3に照射された加工光ELの状態と、位置P#4に照射された加工光ELの状態と、位置P#5に照射された加工光ELの状態と、位置P#6に照射された加工光ELの状態と、位置P#7に照射された加工光ELの状態と、位置P#8に照射された加工光ELの状態と、位置P#9に照射された加工光ELの状態とは互いに同じになる状態が、理想的な状態の一例である。
【0216】
しかしながら、実際には、
図43に示すように、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELの状態は、加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELの状態と同じにならない可能性がある。つまり、加工ショット領域PSA内において、加工光ELが照射される位置に応じて、加工光ELの状態がばらつく可能性がある。尚、
図43は、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELのスポット径が、加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELのスポット径と同じにならない例を示している。その理由の一つは、ガルバノミラー141の特性やfθレンズ42の特性(典型的には収差)によるものが考えられる。
【0217】
そこで、加工システムSYSdは、光状態制御動作を行うことで、光状態制御動作を行わない場合と比較して、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELの状態と加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELの状態との差分が小さくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。
【0218】
光状態制御動作の一部として、加工システムSYSdは、まず、加工ショット領域PSA内の複数の位置のそれぞれに照射される加工光ELの状態を受光装置9dで検出するための状態検出動作を行う。状態検出動作を行うために、状態検出動作が行われる期間中の加工装置1と受光装置9dとの位置関係を示す断面図である
図44(a)及び状態検出動作が行われる期間中の加工装置1と受光装置9dとの位置関係を示す平面図である
図44(b)に示すように、ステージ32及び/又は加工装置1は、加工ショット領域PSA内に受光装置9d(特に、開口93d)が位置するように、移動する。つまり、加工システムSYSdは、加工ショット領域PSA内に開口93dが位置するように、XY平面に沿った面内における加工装置1と受光装置9dとの位置関係(より具体的には、加工ショット領域PSAと開口93dとの位置関係)を変更する。その結果、開口93dは、加工ショット領域PSA内の第1の位置DTP#1に位置することになる。その上で、加工装置1は、ステージ32の表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査する。その結果、加工光ELが第1の位置DTP#1に位置する開口92dを横切るタイミングで、検出器92dが加工光ELを検出する。つまり、加工光ELの変位量(言い換えれば、偏向角度)が第1の変位量となるタイミングで、加工光ELが第1の位置に位置する開口93dに照射され、検出器92dが加工光ELを検出する。このため、制御装置7は、加工ショット領域PSA内の第1の位置DTP#1に照射される加工光ELの状態に関する情報を、検出器92dから取得する。つまり、制御装置7は、変位量が第1の変位量となる加工光ELの状態に関する情報を、検出器92dから取得する。更に、検出器92dが加工光ELを検出する際に、制御装置7は、位置計測器34から、検出器92dが加工光ELを検出した時点でのステージ32の位置に関する情報を併せて取得する。受光装置9dがステージ32に配置されているため、ステージ32の位置に関する情報は、受光装置9dの位置(特に、開口93dの位置)に関する情報を含んでいる。
【0219】
その後、状態検出動作が行われる期間中の加工装置1と受光装置9dとの位置関係を示す断面図である
図44(c)及び状態検出動作が行われる期間中の加工装置1と受光装置9dとの位置関係を示す平面図である
図44(d)に示すように、ステージ32及び/又は加工装置1は、加工ショット領域PSA内のうち受光装置9d(特に、開口93d)が未だ加工光ELを検出したことがない位置に位置するように、移動する。つまり、加工システムSYSdは、XY平面に沿った面内における加工装置1と受光装置9dとの位置関係を変更して、XY平面に沿った面内における加工ショット領域PSAと開口93dとの位置関係を変更する。その結果、開口93dは、加工ショット領域PSA内の第2の位置に位置することになる。その上で、加工装置1は、ステージ32の表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査する。その結果、加工光ELが第2の位置に位置している開口92dを横切るタイミングで、検出器92dが加工光ELを検出する。つまり、加工光ELの変位量が第2の変位量となるタイミングで、加工光ELが第2の位置に位置する開口93dに照射され、検出器92dが加工光ELを検出する。このため、制御装置7は、加工ショット領域PSA内の第2の位置に照射される加工光ELの状態に関する情報を、検出器92dから取得する。つまり、制御装置7は、変位量が第2の変位量となる加工光ELの状態に関する情報を、検出器92dから取得する。この際も、制御装置7は更に、位置計測器34から、ステージ32の位置に関する情報を取得する。
【0220】
以降、必要な回数だけ、XY平面に沿った面内における加工ショット領域PSAと開口93dとの位置関係を変更する動作と、加工光ELの状態に関する情報及びステージ32の位置に関する情報を取得する動作とを繰り返す。その結果、制御装置7は、加工ショット領域PSA内の複数の位置のそれぞれに照射された加工光ELの状態に関する情報を取得することができる。
【0221】
状態検出動作が行われた後、制御装置7は、光状態制御動作の他の一部として、状態検出動作で取得された情報に基づいて、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を制御する状態制御動作を行う。具体的には、まず、制御装置7は、状態検出動作で取得されたステージ32の位置に関する情報に基づいて、検出器92dが加工光ELを検出した時点での開口93dの位置(特に、ステージ座標系での位置)を算出する。その結果、制御装置7は、開口93dの位置と開口93dを介して検出された加工光ELの状態との関係に関する情報することができる。更に、ステージ座標系での開口93dの位置は、加工ショット領域PSA内での開口93dの位置に変換可能である。このため、制御装置7は、加工ショット領域PSA内での開口93dの位置と開口93dを介して検出された加工光ELの状態との関係に関する情報を取得することができる。つまり、制御装置7は、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置と照射位置に照射された加工光ELの状態との関係に関する情報を取得することができる。
【0222】
ここで取得された情報が、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置に関わらず加工光ELの状態が同じである(つまり、変わらない)ことを示していれば、加工光ELの状態は、加工ショット領域PSAのどの位置においても加工光ELの状態が同じになるという理想的な状態であると推定される。従って、この場合には、制御装置7は、実際にワークWを加工する際に、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更しなくてもよい。一方で、ここで取得された情報が、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置によって加工光ELの状態が変わることを示していれば、加工光ELの状態は理想的な状態ではないと推定される。従って、この場合には、制御装置7は、実際にワークWを加工する際に、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。具体的には、制御装置7は、加工ショット領域PSAのある位置に照射された加工光ELの状態と加工ショット領域PSA内の別の位置に照射された加工光ELの状態との差分が小さくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。制御装置7は、加工ショット領域PSA内での加工光ELの状態のばらつきが小さくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更する。このとき、制御装置7は、加工ショット領域PSAのどの位置においても加工光ELの状態が同じになるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。制御装置7は、加工ショット領域PSA内での加工光ELの状態のばらつきがなくなるように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。尚、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置によって加工光ELの状態が変わる場合であっても、制御装置7は、実際にワークWを加工する際に、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更しなくてもよい。
【0223】
例えば、制御装置7は、加工ショット領域PSA内の第1位置における加工光ELのスポット径と、加工ショット領域PSA内の第2位置における加工光ELのスポット径との差分が所定の許容値よりも小さくなる(或いは、同じになる)というスポット径条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、制御装置7は、スポット径条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELのフォーカス位置を変更してもよい。例えば、制御装置7は、スポット径条件を満たすように、加工光ELのフォーカス位置を、加工光ELの照射位置に応じて定まる所望値に変更してもよい。例えば、制御装置7は、スポット径条件を満たすように、加工光ELのフォーカス位置を、加工光ELの照射位置毎に異なる又は最適化された所望値に変更してもよい。
【0224】
例えば、制御装置7は、加工ショット領域PSA内の第1位置における加工光ELの強度(例えば、単位面積当たりのエネルギ量)と、加工ショット領域PSA内の第2位置における加工光ELの強度との差分が所定の許容値よりも小さくなる(或いは、同じになる)という強度条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、制御装置7は、強度条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して、光源11が生成する加工光ELの強度を変更してもよい。制御装置7は、強度条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して、光学系12が備える強度分布制御部材123による加工光ELの強度分布の制御態様を変更してもよい。
【0225】
例えば、制御装置7は、加工ショット領域PSA内の第1位置における加工光ELの強度分布と、加工ショット領域PSA内の第2位置における加工光ELの強度分布との差分が所定の許容範囲よりも小さくなる(或いは、同じになる)という強度分布条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、制御装置7は、強度分布条件を満たすように、加工光ELの走査に同期して、光学系12が備える強度分布制御部材123による加工光ELの強度分布の制御態様を変更してもよい。
【0226】
制御装置7は、ワークWを加工する際には、加工ショット領域PSA内の第1の位置に位置する開口93dを介して検出器92dに入射した加工光ELの状態の検出結果に基づいて、加工ショット領域PSA内の第1の位置に照射される加工光ELの状態を制御してもよい。制御装置7は、ワークWを加工する際には、加工ショット領域PSA内の第1の位置に加工光ELが照射されるタイミングで、加工ショット領域PSA内の第1の位置に位置する開口93dを介して検出器92dに入射した加工光ELの状態の検出結果に基づいて加工光ELの状態を制御してもよい。一方で、制御装置7は、ワークWを加工する際には、加工ショット領域PSA内の第2の位置に位置する開口93dを介して検出器92dに入射した加工光ELの状態の検出結果に基づいて、加工ショット領域PSA内の第2の位置に照射される加工光ELの状態を制御してもよい。制御装置7は、ワークWを加工する際には、加工ショット領域PSA内の第2の位置に加工光ELが照射されるタイミングで、加工ショット領域PSA内の第2の位置に位置する開口93dを介して検出器92dに入射した加工光ELの状態の検出結果に基づいて加工光ELの状態を制御してもよい。
【0227】
以上説明した光状態制御動作により、ガルバノミラー141やfθレンズ142の特性に起因した加工光ELの状態のばらつきが抑制される。従って、加工システムSYSdは、状態のばらつきが抑制された加工光ELを用いて、ワークWを適切に加工することができる。
【0228】
尚、加工ショット領域PSA内において加工光ELの状態がばらつく場合には、そのばらつきの影響は、ワークWの加工量のばらつきとなって現れる可能性がある。このため、加工システムSYSdは、検出器92dの検出結果に基づいて、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更することに加えて又は代えて、ワークWの実際の加工量の計測結果に基づいて、加工光ELの走査に同期して加工光ELの状態を変更してもよい。この場合、例えば、加工システムSYSdは、加工装置1を用いて、ワークW(例えば、実際に加工動作が行われる又はテスト用のワーク)を加工すると共に、計測装置2を用いて、ワークWの加工結果を計測する。その後、加工システムSYSdは、計測装置2の計測結果に基づいて、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置と照射位置に照射された加工光ELの状態との関係に関する情報を取得する。以降は、加工システムSYSdは、検出器92dの検出結果に基づいて加工光ELの状態を変更する場合と同様に、加工ショット領域PSA内での加工光ELの照射位置と照射位置に照射された加工光ELの状態との関係に関する情報に基づいて加工光ELの状態を変更する。
【0229】
尚、上述した光状態制御動作は、加工光ELの状態のばらつきが経時的に変化しない場合には限定されず、加工光ELの状態のばらつきが経時的に変化する場合にも適用できる。この場合、除去加工(
図6の例におけるステップS131)の途中で状態検出動作を行い、その結果を用いて、状態制御動作を行ってもよい。
【0230】
(4-4-3)ガルバノ制御動作
続いて、ガルバノ制御動作について説明する。ガルバノ制御動作は、上述したように、ガルバノミラー141の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく(つまり、変動する)現象である温度ドリフトの影響を低減するようにガルバノミラー141を制御する動作である。そこで、まず、
図45(a)及び
図45(b)を参照しながら、ガルバノミラー141の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく現象について簡単に説明する。
【0231】
図45(a)は、温度ドリフトが発生していない状況下でのワークWの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光ELの照射位置を示す平面図である。
図45(b)は、温度ドリフトが発生している状況下でのワークWの表面(つまり、XY平面に沿った面)における加工光ELの照射位置を示す平面図である。
図45(a)に示すように、温度ドリフトが発生していない場合には、加工光ELは、加工ショット領域PSA内において、理想的な走査軌跡に沿ってワークWの表面(つまり、XY平面に沿った面)を走査することができる。具体的には、Y軸方向における加工光ELの走査軌跡が直線状になるように、加工光ELがワークWの表面を走査することができる。一方で、
図45(b)に示すように、温度ドリフトが発生している場合には、加工光ELは、加工ショット領域PSA内において、理想的な走査軌跡とは異なる走査軌跡に沿ってワークWの表面を走査する可能性がある。具体的には、Y軸方向における加工光ELの走査軌跡が曲線状になるように、加工光ELがワークWの表面を走査する可能性がある。
【0232】
つまり、温度ドリフトが発生している場合には、温度ドリフトが発生していない場合と比較して、ガルバノミラー141が偏向した加工光ELの照射位置が、理想的な位置(例えば、設計上の位置)とは異なってしまう可能性がある。温度ドリフトが発生している場合には、温度ドリフトが発生していない場合と比較して、ガルバノミラー141が偏向した加工光ELの走査軌跡が、理想的な走査軌跡(例えば、設計上の走査奇跡)とは異なってしまう可能性がある。このような加工光ELの照射位置が理想的な位置とは異なってしまう状態は、ワークWの適切な加工と言う点から言えば好ましいとは言いがたい。
【0233】
そこで、制御装置7は、検出器92dの検出結果に基づいて、ガルバノミラー141が加工光ELを偏向している期間中のXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置を特定する。その上で、制御装置7は、ガルバノミラー141が加工光ELを偏向している期間中のXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置が理想的な位置に近づく(或いは、一致する)ように、ガルバノミラー141を制御する。
【0234】
ガルバノ制御動作の一部として、加工システムSYSdは、まず、ガルバノミラー141によって偏向されている加工光ELの照射位置を受光装置9dで検出するための照射位置検出動作を行う。照射位置検出動作を行うために、ステージ32及び/又は加工装置1は、加工ショット領域PSA内に受光装置9d(特に、開口93d)が位置するように、移動する。その状態で、加工装置1は、ステージ32の表面のうち加工ショット領域PSAに含まれる面部分を加工光ELで走査する。その結果、加工光ELが開口92dを横切るタイミングで、検出器92dが加工光ELを検出する。このとき、制御装置7は、位置計測器34から、検出器92dが加工光ELを検出した時点でのステージ32の位置に関する情報を取得する。受光装置9dがステージ32に配置されているため、ステージ32の位置に関する情報は、受光装置9dの位置(特に、開口93dの位置)に関する情報を含んでいる。以上の動作が、加工ショット領域PSA内で受光装置9d(特に、開口93d)を移動させながら繰り返される。その結果、制御装置7は、ガルバノミラー141が偏向している加工光ELが照射される複数の照射位置に関する情報を取得することができる。つまり、制御装置7は、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置に関する情報を取得することができる。複数の照射位置を順に結ぶ軌跡が加工光ELの走査軌跡であることを考慮すれば、制御装置7は、ガルバノミラー141が偏向している加工光ELの走査軌跡に関する情報を取得することができる。
【0235】
照射位置検出動作が行われた後、制御装置7は、ガルバノ制御動作の他の一部として、照射位置検出動作で取得された情報に基づいて、ガルバノミラー141を実際に制御する制御動作を行う。具体的には、まず、制御装置7は、照射位置検出動作で取得された加工光ELの照射位置に関する情報に基づいて、ガルバノミラー141が加工光ELを偏向している期間中のXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置と理想的な位置とのずれ量を算出する。その後、制御装置7は、算出したずれ量が小さくなるように(或いは、ゼロになるように)、ガルバノミラー141を制御する。例えば、制御装置7は、ガルバノミラー141が備えるX走査ミラー141X及びY走査ミラー141Yの駆動量(具体的には、遥動量又は回転量)を制御してもよい。その結果、XY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置(つまり、走査位置)が補正されて、理想的な位置に近づく又は一致する。X軸方向及びY軸方向の少なくとも一方における加工光ELの照射位置が補正されて、理想的な位置に近づく又は一致する。加工光ELの走査軌跡が補正されて、理想的な軌跡に近づく又は一致する。
【0236】
以上説明したガルバノ制御動作により、ガルバノミラー141の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく(つまり、変動する)現象である温度ドリフトの影響を低減することができる。従って、加工システムSYSは、ガルバノミラー141が偏向した加工光ELを理想的な位置に照射することで、ワークWを相対的に高精度に加工することができる。尚、ガルバノミラー141以外の光学系(一例として、fθレンズ142)の温度に起因してXY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置がばらつく(つまり、変動する)現象を、本例と同様の手順により低減してもよい。
【0237】
尚、受光装置9dに限らず、加工光ELを検出可能な任意の検出装置が、ガルバノミラー141によって変位している加工光ELの照射位置を特定するために用いられてもよい。例えば、ステージ32を示す断面図である
図46(a)及びステージ32を示す平面図である
図46(b)に示すように、ステージ32の複数の位置に配置された複数のフォトディテクタ(例えば、4分割フォトディテクタ)9eが、ガルバノミラー141によって変位している加工光ELの照射位置を特定するために用いられてもよい。尚、開口93dを有する受光装置9dも、
図46の例と同様にステージ32の複数の位置に配置してもよい。
【0238】
尚、加工光ELの照射位置が理想的な位置とは異なる場合には、その影響は、ワークWの加工量のばらつきとなって現れる可能性がある。このため、加工システムSYSdは、検出器92dの検出結果に加えて又は代えて、ワークWの実際の加工量の計測結果に基づいて、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置に関する情報を取得してもよい。この場合、例えば、加工システムSYSdは、加工装置1を用いて、ワークW(例えば、実際に加工動作が行われるワーク又はテスト用のワーク)を加工すると共に、計測装置2を用いて、ワークWの加工結果を計測する。その後、加工システムSYSdは、計測装置2の計測結果に基づいて、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置に関する情報を取得してもよい。
【0239】
また、加工光ELの照射位置が理想的な位置とは異なるものになってしまう原因がガルバノミラー141の温度(つまり、熱)であるがゆえに、制御装置7は、検出器92dの検出結果に加えて又は代えて、ガルバノミラー141の温度に基づいて、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置を推定してもよい。更に、加工装置1がガルバノミラー141を備えているがゆえに、ガルバノミラー141の温度は、加工装置1の温度と相関を有している可能性がある。このため、制御装置7は、加工装置1の温度に基づいて、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置を推定してもよい。この場合、推定した照射位置に関する情報が、XY平面に沿った面内における複数の領域のそれぞれでの加工光ELの照射位置に関する情報として用いられてもよい。
【0240】
尚、上述したガルバノ制御動作は、加工光ELの照射位置のばらつきが経時的に変化する場合には限定されず、加工光ELの照射位置のばらつきが経時的に変化しない場合にも適用できる。この場合、XY平面に沿った面内での加工光ELの照射位置のばらつきの初期値を照射位置検出動作を用いて求め、その結果を用いてガルバノミラー141を実際に制御する制御動作を行ってもよい。
【0241】
(4-4-4)受光装置9dのその他の用途
上述した説明では、受光装置9dは、主として、受光装置9dが備える検出器92dの検出結果に基づいて加工システムSYSdを制御する用途で用いられている。しかしながら、受光装置9dは、その他の用途で用いられてもよい。一例として、受光装置9dの少なくとも一部(例えば、開口93d)は、計測装置2によって計測可能或いは検出可能なマーカ(つまり、指標)として用いられてもよい。この場合、計測装置2による開口93dの計測結果に基づいて、加工システムSYSdがワークWを適切に加工することができるように加工システムSYSd(例えば、加工装置1、計測装置2、ステージ装置3、駆動系5及び駆動系6の少なくとも一つ)が制御されてもよい。以下、一例として、
図47を参照しながら、計測装置2による開口93dの計測結果に基づいてステージ32の位置を制御するステージ制御動作について説明する。
図47は、計測装置2による開口93dの計測結果に基づいてステージ32の位置を制御するステージ制御動作の流れを示すフローチャートである。
【0242】
図47に示すように、まず、ステージ32及び/又は加工装置1は、加工ショット領域PSA内に受光装置9d(特に、開口93d)が位置するように、移動する(ステップS51)。つまり、ステージ32及び/又は加工装置1は、加工装置1からの加工光ELを受光可能な位置に受光装置9d(特に、開口93d)が位置するように、移動する。
【0243】
その後、加工装置1は、加工ショット領域PSA内の加工基準ポイントに対して加工光ELを照射する(ステップS52)。例えば、加工装置1は、ガルバノミラー141で加工光ELを偏向することなく(つまり、ガルバノミラー141を駆動させることなく)加工光ELを照射することで、加工基準ポイントに加工光ELを照射してもよい。尚、加工光ELを偏向して(つまり、ガルバノミラー141を駆動して)加工光ELを照射することで、加工基準ポイントに加工光ELを照射してもよい。加工基準ポイントは、例えば、加工ショット領域PSAの中心であってもよい。加工基準ポイントは、例えば、加工装置1の光軸と加工ショット領域PSAとの交点であってもよい。その状態で、ステージ32及び/又は加工装置1は、検出器92dが加工光ELを検出することができるようになるまで、XY平面に沿って移動する(ステップS52)。つまり、ステージ32及び/又は加工装置1は、受光装置9dが加工光ELを受光することができるようになるまで、XY平面に沿って移動する(ステップS52)。尚、この移動は、ステップ的(移動、停止の繰り返し)であってもよい。
【0244】
その後、ステップS51及びS52の少なくとも一方でステージ32が移動した場合には、制御装置7は、検出器92dが加工光ELを検出することができた時点でのステージ32の位置(特に、ステージ32が移動したXY平面に沿った面内での位置)に関するステージ位置情報を、位置計測器34から取得する(ステップS53)。尚、検出器92dが加工光ELを検出することができた時点では、ステージ32は、定盤31上に位置する。
更に、制御装置7は、ステップS51及びS52の少なくとも一方で加工装置1が移動した場合には、検出器92dが加工光ELを検出することができた時点での加工装置1の位置(特に、加工装置1が移動したXY平面に沿った面内での位置)に関する加工位置情報を、位置計測器51から取得する(ステップS53)。
【0245】
その後、ステージ32及び/又は計測装置2は、計測ショット領域MSA内に受光装置9d(特に、開口93d)が位置するように、移動する(ステップS54)。その後、計測装置2は、開口93dを計測する(ステップS55)。特に、計測装置2は、開口93dの位置を計測する。その状態で、ステージ32及び/又は計測装置2は、開口93dが計測ショット領域MSA内の計測基準ポイントに位置するようになるまで、XY平面に沿って移動する(ステップS55)。計測基準ポイントは、例えば、計測ショット領域MSAの中心であってもよい。計測基準ポイントは、例えば、計測装置2の光軸と計測ショット領域MSAとの交点であってもよい。計測装置2が、一次元方向又は二次元方向に配列された複数のフォトディテクタを含む受光器(一例として、一次元撮像センサ又は二次元撮像センサ)を備えている場合には、計測基準ポイントは、複数のフォトディテクタのうちの少なくとも一つの特定のフォトディテクタに対応する計測ショット領域MSA内の位置である。
【0246】
その後、ステップS51及びS52の少なくとも一方でステージ32が移動した場合には、制御装置7は、開口93dが計測基準ポイントに位置した時点でのステージ32の位置(特に、ステージ32が移動したXY平面に沿った面内での位置)に関するステージ位置情報を、位置計測器34から取得する(ステップS56)。尚、開口93dが計測基準ポイントに位置した時点では、ステージ32は、定盤31上に位置する。更に、ステップS51及びS52の少なくとも一方で計測装置2が移動した場合には、制御装置7は、開口93dが計測基準ポイントに位置した時点での計測装置2の位置(特に、計測装置2が移動したXY平面に沿った面内での位置)に関する計測位置情報を、位置計測器61から取得する(ステップS56)。
【0247】
ステップS53で取得されたステージ位置情報は、開口93dが加工基準ポイントに位置している状態でのステージ32の位置に関する情報に相当する。開口93dがステージ32に配置されているため、開口93dが加工基準ポイントに位置している状態でのステージ32の位置に関する情報は、加工基準ポイントに位置している開口93dの位置、加工基準ポイントの位置、及び、加工基準ポイントの基準となる加工装置1と開口93dとの相対位置を間接的に示しているとも言える。更に、ステップS56で取得されたステージ位置情報は、開口93dが計測基準ポイントに位置している状態でのステージ32の位置に関する情報に相当する。このため、開口93dが計測基準ポイントに位置している状態でのステージ32の位置に関する情報は、計測基準ポイントに位置している開口93dの位置、計測基準ポイントの位置、及び、計測基準ポイントの基準となる計測装置2と開口93dとの相対位置を示しているとも言える。加えて、ステップS53で取得されたステージ位置情報が示すステージ32の位置とステップS56で取得されたステージ位置情報が示すステージ32の位置との差分は、加工基準ポイントの位置と計測基準ポイントの位置との差分に相当する。このため、制御装置7は、ステップS53及びステップS56で取得されたステージ位置情報に基づいて、加工基準ポイントと計測基準ポイントとの間の距離(具体的には、XY平面に沿った距離)に相当するベースライン量を算出する(ステップS57)。このとき、ステップS53及びステップS56で取得されたステージ位置情報がいずれもステージ座標系での位置に関する情報であるため、制御装置7は、ステージ座標系におけるベースライン量を算出する。尚、
図48は、第4変形例におけるベースライン量を模式的に示す断面図である。
【0248】
更に、ステップS53で取得された加工位置情報は、開口93dが加工基準ポイントに位置している状態での加工装置1の位置に関する情報に相当する。更には、加工ショット領域PSAの位置(更には、加工基準ポイント)が加工装置1を基準に定まる位置であるため、ステップS53で取得された加工位置情報は、加工基準ポイントの基準となる加工装置1と開口93dとの相対位置を間接的に示すと言える。ステップS56で取得された計測位置情報は、開口93dが計測基準ポイントに位置している状態での計測装置2の位置に関する情報に相当する。更には、計測ショット領域MSAの位置(更には、計測基準ポイント)が計測装置2を基準に定まる位置であるため、ステップS56で取得された計測位置情報は、計測基準ポイントの基準となる計測装置2と開口93dとの相対位置を間接的に示すと言える。このため、ステップS53で取得された加工位置情報が示す加工装置1の位置とステップS56で取得された計測位置情報が示す計測装置2の位置との差分は、加工基準ポイントの位置と計測基準ポイントの位置との差分に相当する。このため、制御装置7は、ステップS53及びステップS56でそれぞれ取得された加工位置情報及び計測位置情報に基づいて、加工基準ポイントと計測基準ポイントとの間の距離(具体的には、XY平面に沿った距離)に相当するベースライン量を算出する(ステップS57)。
【0249】
加工基準ポイントが加工装置1を基準に定まる位置であり且つ計測基準ポイントが計測装置2を基準に定まる位置であることを考慮すれば、ステップS57で算出されるベースライン量は、加工装置1と計測装置2との相対位置に関する情報であるとも言える。従って、制御装置7は、ステップS57において、ベースライン量に限らず、加工装置1と計測装置2との相対位置に関する情報を算出してもよい。加工装置1と計測装置2との相対位置に関する情報は、例えば、加工ショット領域PSAと計測ショット領域MSAとの相対位置に関する情報及び加工基準ポイントと計測基準ポイントとの相対位置に関する情報の少なくとも一方を含んでいてもよい。尚、計測装置2が一次元方向又は二次元方向に配列された複数のフォトディテクタを含む受光器(一例として、一次元撮像センサ又は二次元撮像センサ)を備えている場合、制御装置7は、受光器の複数のフォトディテクタのそれぞれとステージ座標系とを対応づけてもよい。
【0250】
ステップS57において、制御装置7は、ベースライン量として、X軸方向における加工基準ポイントと計測基準ポイントとの間の距離を示すベースライン量と、Y軸方向における加工基準ポイントと計測基準ポイントとの間の距離を示すベースライン量とを別々に算出してもよい。また、制御装置7は、上記X軸方向、Y軸方向に関するベースラインとは別に、Z軸方向における加工基準ポイントと計測基準ポイントとの間の距離を示すベースライン量を算出してもよい。
【0251】
ステップS57では、制御装置7は、ステージ位置情報に基づいてベースライン量を算出する動作と、加工位置情報及び計測位置情報に基づいてベースライン量を算出する動作との少なくとも一方を行ってもよい。ステージ位置情報に基づいてベースライン量を算出する動作が行われない場合には、ステップS53及びS56のそれぞれにおいてステージ32の位置に関する情報が取得されなくてもよい。加工位置情報及び計測位置情報に基づいてベースライン量を算出する動作が行われない場合には、ステップS53において加工装置1の位置に関する情報が取得されなくてもよいし、ステップS56において計測装置2の位置に関する情報が取得されなくてもよい。
【0252】
ステップS51からステップS57までの動作は、加工システムSYSdがワークWを実際に加工する前に行われてもよい。ステップS51からステップS57までの動作は、加工システムSYSdがワークWを実際に加工した後に行われてもよい。ステップS51からステップS57までの動作は、加工システムSYSdがある加工動作を行ってから、次に別の加工動作を行うまでの間に行われてもよい。ステップS51からステップS57までの動作は、ワークWを加工する一の期間と同じワークWを加工する他の期間との間に行われてもよい。但し、ステップS51からステップS57までの動作は、加工システムSYSdがワークWを実際に加工している期間中に行われてもよい。ステップS51からステップS57までの動作は、加工システムSYSdの使用を開始してから一定期間が経過する都度行われてもよい。
【0253】
その後、加工システムSYSdが実際にワークWを加工する期間中(つまり、上述した加工動作が行われる期間中)において、加工システムSYSdは、ステップS57で算出されたベースライン量に基づいて加工動作を行う(ステップS58)。例えば、制御装置7は、ステップS57で算出されたベースライン量に基づいて、ステージ32の位置を制御してもよい(ステップS58)。制御装置7は、ステップS57で算出されたベースライン量に基づいてステージ32が移動するように、ステージ駆動系33を制御してもよい(ステップS58)。制御装置7は、ステップS57で算出されたベースライン量に基づいて加工装置1が移動するように、駆動系5を制御してもよい。制御装置7は、ステップS57で算出されたベースライン量に基づいて計測装置2が移動するように、駆動系6を制御してもよい。
【0254】
ステップS58では、例えば、制御装置7は、ワークWのうち計測装置2が実際に計測した計測済み部分に対して加工装置1が加工光ELを照射することで当該計測済み部分が加工されるように、ステージ32を移動させてもよい。例えば、制御装置7は、ワークWのうち加工装置1が加工した加工済み部分(つまり、加工光ELが照射された部分)を計測装置2が計測するように、ステージ32を移動させてもよい。
【0255】
但し、ベースライン量が、ステップS53及びS56で取得されたステージ位置情報に基づいて算出可能であることを考慮すれば、制御装置7は、ベースライン量を算出することなく、ステップS53及びS56で取得されたステージ位置情報に基づいてステージ32の位置を制御してもよい。
【0256】
同様に、ベースライン量が、ステップS53及びS56でそれぞれ取得された加工位置情報及び計測位置情報に基づいて算出されることを考慮すれば、制御装置7は、ベースライン量を算出することなく、ステップS53及びS56でそれぞれ取得された加工位置情報及び計測位置情報に基づいてステージ32の位置を制御してもよい。例えば、制御装置7は、加工位置情報と計測位置情報とに基づいて、ワークWのうち加工装置1が加工した加工済み部分(つまり、加工光ELが照射された部分)を計測装置2が計測するように、ステージ32を移動させてもよい。
【0257】
加工位置情報が示す位置及び計測位置情報が示す位置は、ステージ座標系における位置とは異なる。このため、制御装置7は、加工位置情報が示す位置を、ステージ座標系における位置として管理してもよい。同様に、制御装置7は、計測位置情報が示す位置を、ステージ座標系における位置として管理してもよい。一例として、例えば、制御装置7は、ステップS53で取得された加工位置情報が示す位置(更には、必要に応じて、ステップS53で取得されたステージ位置情報)に基づいて、ステージ座標系における加工基準ポイントの位置を算出してもよい。例えば、制御装置7は、ステップS56で取得された計測位置情報が示す位置(更には、必要に応じて、ステップS56で取得されたステージ位置情報)に基づいて、ステージ座標系と計測ショット領域MSAとの位置関係を算出してもよい。その上で、制御装置7は、ステージ座標系と計測ショット領域MSAとの関係に関する情報と、ステージ座標系における加工基準ポイントの位置に関する情報とに基づいて、ワークWのうち加工装置1が加工した加工済み部分(つまり、加工光ELが照射された部分)を計測装置2が計測するように、ステージ32を移動させてもよい。或いは、制御装置7は、ステージ座標系と計測ショット領域MSAとの関係に関する情報と、ステージ座標系における加工基準ポイントの位置に関する情報とに基づいて、ワークWのうち計測装置2が実際に計測した計測済み部分に対して加工装置1が加工光ELを照射することで当該計測済み部分が加工されるように、ステージ32を移動させてもよい。
【0258】
以上説明したステージ制御動作により、加工システムSYSdは、加工装置1と計測装置2との相対位置(例えば、加工基準ポイントと計測基準ポイントとの相対位置)に基づいて、加工動作を行うことができる。従って、加工システムSYSdは、時間の経過と共に加工装置1と計測装置2との相対位置(例えば、加工基準ポイントと計測基準ポイントとの相対位置)が変動する場合であっても、加工装置1と計測装置2との相対位置の変動の影響を受けることなく、加工動作を行うことができる。その結果、加工システムSYSdは、ステージ移動制御が行われない場合と比較して、ワークWを相対的に高精度に加工することができる。
【0259】
尚、上述した説明では、開口93dが、計測装置2によって計測可能なマーカ(つまり、指標)として用いられている。しかしながら、開口93dとは異なる任意のマーカAMが、計測装置2によって計測されてもよい。この場合、加工ショット領域PSA内にマーカAMが位置するようにステージ32及び/又は加工装置1が移動し(
図47のステップS51)、観察装置16がマーカAMを撮像して(つまり、観察装置16がマーカAMからの照明光ILの戻り光ILrを受光して)、マーカAMの位置を計測すると共にその時点でのステージ32及び加工装置1の位置に関する情報を制御装置7が取得してもよい(
図47のステップS53)。更に、計測ショット領域MSA内にマーカAMが位置するようにステージ32及び/又は計測装置2が移動し(
図47のステップS54)、計測装置2でマーカAMの位置を計測すると共にその時点でのステージ32及び計測装置2の位置に関する情報を制御装置7が取得してもよい(
図47のステップS56)。以降は、開口93dが用いられる場合と同様の動作が行われてもよい。
【0260】
尚、計測装置2が開口93dと任意のマーカAMとを計測してもよい。この場合、計測ショット領域MSA内に開口93dが位置するようにステージ32及び/又は加工装置1を移動させ、計測装置2によって開口93dを計測する動作と、計測ショット領域MSA内にマーカAMが位置するようにステージ32及び/又は加工装置1を移動させ、計測装置2によってマーカAM計測する動作とを別動作で行ってもよい。また、計測装置2の計測ショット領域MSA内に開口93dとマーカAMとが位置可能な場合には、両動作を同時に行ってもよい。
【0261】
開口93dとは異なる任意のマーカの一例が、
図49(a)から
図49(d)に記載されている。
図49(a)は、ステージ32の表面(例えば、外周面322(或いは、載置面321)にマーカAMが形成される例を示している。
図49(a)は、ステージ32の表面にマーカAMが形成される例を示している。
図49(b)は、定盤31の表面にマーカAMが形成される例を示している。
図49(c)は、ステージ32とは別に、マーカAMが形成されたマーカ部材36が定盤31上に配置される例を示している。マーカ部材36は、ステージ32と共に移動可能であってもよい。
図49(d)は、ステージ32に載置されたワークWにマーカAMが形成される例を示している。ワークWに形成されたマーカAMは、ワークWに予め形成されているマーカAMを含んでいてもよいし、加工装置1による加工動作で形成された構造物を含むマーカAMを含んでいてもよい。
【0262】
尚、開口93dとは異なる任意のマーカAMが、計測装置2によって計測される場合、開口93dの位置と任意のマーカAMの位置との関係を、計測装置2又はその他の計測装置によって求めておいてもよい。ここで、任意のマーカAMは、開口93d(受光装置9d)と関連した関連物体の部位と見なしてもよい。
【0263】
また、加工装置1によってワークを加工して、計測装置2で加工されたワークを計測することによって、ベースライン量を求めてもよい。
【0264】
(4-5)第5変形例
上述した説明では、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWの一部を除去する除去加工を行っている。しかしながら、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、除去加工とは異なる加工を行ってもよい。加工装置1は、除去加工に加えて又は代えて、除去加工とは異なる加工を行ってもよい。例えば、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWに付加加工を行ってもよい。
【0265】
加工装置1が付加加工を行う場合には、加工動作において加工装置1による加工量が適切な量であるか否かを判定する動作(
図6のステップS133)は、加工装置1による付加量が適切な量であるか否かを判定する動作を含んでいてもよい。付加量は、ワークWに新たに付加された材料に関する量であり、例えば、複数の層状構造物を順に形成する付加動作が行われる場合には、層状構造物の厚みが付加量として用いられてもよい。
【0266】
図50は、除去加工及び付加加工を行う加工システムSYSeの概略構成を示す図である。
図50に示した加工システムSYSeは、
図1に示した加工システムSYSに加えて、付加加工を行う加工装置1Bを備える。尚、
図50では、説明の便宜上、指示フレーム8が省略されている。加工システムSYSeの加工装置1Bは、制御装置7の制御下で、ワークWを付加加工可能である。
【0267】
加工装置1Bを詳細に示す
図51において、加工装置1Bは、3次元構造物(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物)を形成可能である。加工装置1Bは、3次元構造物を形成するための基礎となるワークW上に、3次元構造物を形成可能である。加工装置1Bは、付加加工の対象となる(つまり、加工処理の対象となる)ワークW上に、3次元構造物を形成可能である。このワークWを基材又は台座と称してもよい。加工装置1Bは、ワークWに付加加工を行うことで、3次元構造物を形成可能である。ワークWがステージ31によって保持されている(或いは、ステージ31に支持又は載置されている)既存構造物である場合には、加工装置1Bは、既存構造物上に、3次元構造物を形成可能である。この場合、加工装置1Bは、既存構造物と一体化された3次元構造物を形成してもよい。既存構造物と一体化された3次元構造物を形成する動作は、既存構造物に新たな構造物を付加する動作と等価とみなせる。尚、加工システムSYSは、既存構造物と分離可能な3次元構造物STを形成してもよい。尚、
図50及び
図51では、ワークWがステージ31によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ31によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
【0268】
加工装置1Bは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物を形成可能である。つまり、加工システムSYSeは、積層造形技術を用いて物体を形成する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称される。
【0269】
3次元構造物を形成するために、加工装置1Bは、
図51に示すように、材料供給装置101と、加工ヘッド102とを備える。加工ヘッド102とステージ32とのそれぞれの少なくとも一部は、加工装置1及び計測装置2を収容する筐体4内に収容されている。
【0270】
材料供給装置101は造形材料Mを供給する。材料供給装置101は、3次元構造物を形成するために単位時間あたりに必要とする分量の造形材料Mが加工ヘッド102に供給されるように、当該必要な分量に応じた供給レートで造形材料Mを供給する。つまり、材料供給装置101は、単位時間当たりの造形材料Mの供給量が、当該必要な分量に応じた所望の供給量となるように、造形材料Mを供給する。
【0271】
造形材料Mは、所定強度以上の加工光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属材料及び樹脂材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属材料及び樹脂材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。本例において、造形材料Mは粉状の材料である。但し、造形材料Mがワイヤ状の材料であってもよい。
【0272】
加工装置1Bは、材料供給装置101から供給される造形材料Mを用いて3次元構造物を形成する。造形材料Mを用いて3次元構造物を形成するために、加工装置1Bは、加工ヘッド102と、駆動系5Bとを備える。更に、加工ヘッド102は、照射光学系1021と、材料ノズル1022(つまり造形材料Mを供給する供給系又は供給装置)とを備えている。
【0273】
照射光学系1021は、射出部1023から加工光FLを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。尚、以下では、照射光学系1021が射出する加工光EL(つまり、加工装置1Bが射出する加工光EL)を、“加工光FL”と称することで、上述した加工装置1が射出する加工光ELと区別する。照射光学系1021は、照射光学系1021から下方(つまり、-Z側)に向けて加工光FLを照射する。照射光学系211の下方には、ステージ32が配置可能である。ステージ32にワークWが載置されている場合には、照射光学系1021は、ワークWに向けて加工光FLを照射する。具体的には、照射光学系1021は、加工光FLが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に設定される照射領域FAに加工光FLを照射可能である。更に、照射光学系1021の状態は、制御装置7の制御下で、照射領域FAに加工光FLを照射する状態と、照射領域FAに加工光FLを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射光学系211から射出される加工光FLの方向は真下(つまり、-Z軸方向と一致)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
【0274】
材料ノズル1022は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する材料供給部材(粉体供給部材)である。具体的には、材料ノズル1022には、造形材料Mを供給する供給口1024が形成されている。供給口1024は、例えば、材料ノズル1022のうちのワークW側を向いた部分(つまり、ワークWに対向する部分であり、-Z側を向いた部分)に形成される。材料ノズル1022は、供給口214から造形材料Mを供給する(例えば、噴射する、噴出する、又は、吹き付ける)。材料ノズル1022は、材料ノズル1022から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル1022の下方には、ステージ32が配置可能である。ステージ32にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル1022は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル1022から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸方向に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、-Z側(つまり、真下)であってもよい。
【0275】
第5変形例では、材料ノズル1022は、照射光学系1021が加工光FLを照射する照射領域FAに向けて造形材料Mを供給するように、照射光学系1021に対して位置合わせされている。逆に言えば、第5変形例では、照射光学系1021は、材料ノズル1022が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAに向けて加工光FLを射出するように、材料ノズル1022に対して位置合わせされている。つまり、供給領域MAと照射領域FAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル1022と照射光学系1021とが位置合わせされている。尚、照射光学系1021から射出された加工光FLによって形成される溶融池に、材料ノズル1022が造形材料Mを供給するように位置合わせされていてもよい。
【0276】
駆動系5Bは、加工ヘッド102を移動させる。駆動系5Bは、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿って加工ヘッド102を移動させる。更に、駆動系5Bは、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの回転方向に沿って加工ヘッド102を移動させてもよい。言い換えると、駆動系5Bは、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りに加工ヘッド102を回転させてもよい。駆動系5Bは、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りに加工ヘッド102の姿勢を変えてもよい。駆動系5Bは、例えば、モータ等を含む。更に、加工システムSYSeは、駆動系5Bが移動させる加工ヘッド101の位置を計測可能な位置計測器51Bを備えていてもよい。位置計測器51Bは、例えば、エンコーダ及びレーザ干渉計のうちの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0277】
加工ヘッド102がX軸及びθY方向の少なくとも一つに沿って移動すると、照射領域FA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をX軸に沿って移動する。加工ヘッド102がY軸及びθX方向の少なくとも一つに沿って移動すると、照射領域FA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をY軸に沿って移動する。つまり、駆動系5Bは、加工ヘッド102を移動させることで、照射領域FA及び供給領域MAのそれぞれとワークWとの位置関係を変更することができる。
【0278】
尚、駆動系5Bは、照射光学系1021と材料ノズル1022とを別々に移動させてもよい。具体的には、例えば、駆動系5Bは、射出部1023の位置、射出部1023の向き、供給口1024の位置及び供給口1024の向きの少なくとも一つを調整可能であってもよい。この場合、照射光学系1021が加工光FLを照射する照射領域FAと、材料ノズル1022が造形材料Mを供給する供給領域MAとが別々に制御可能となる。
【0279】
制御装置7は、加工システムSYSeの動作を制御する。例えば、制御装置7は、照射光学系1021による加工光FLの射出態様を制御してもよい。射出態様は、例えば、加工光FLの強度及び加工光FLの射出タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。加工光FLがパルス光である場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さとパルス光の発光周期との比(いわゆる、デューティ比)を含んでいてもよい。また、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さそのもの及び発光周期そのものの少なくとも一方を含んでいてもよい。更に、制御装置7は、駆動系5Bによる加工ヘッド102の移動態様を制御してもよい。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、材料供給装置101による造形材料Mの供給態様を制御してもよい。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)及び供給タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0280】
このように加工システムSYSeは、付加加工量及び除去加工量が適切な量であるか否かを判定して、この判定結果に基づいて、加工条件(付加加工の場合、一例として加工光FLの射出態様、造形材料Mの供給態様、及び、照射領域FAと供給領域MAとの相対移動態様のうち少なくとも1つの態様)を設定しているため、高精度な加工を達成できる。
【0281】
(4-6)第6変形例
上述した説明では、加工システムSYSが1つの種類の加工装置1を備えていた。しかしながら、加工システムSYSは、複数種類の加工装置を備えていてもよい。
図52に示す加工システムSYSfは、第1出力を有する光源11を備えた加工装置1と、第1出力とは異なる第2出力(典型的には第1出力よりも大きな出力)を有する光源を備えた加工装置17とを備えている、
加工装置1が有する光源11は、第1の発光時間(典型的にはピコ秒、フェムト秒)のパルス光を加工光ELとして供給可能であってもよい。加工装置17が有する光源は、第1の発光時間よりも長い第2の発光時間(典型的にはナノ秒)のパルス光を加工光として供給可能であってもよい。但し、加工装置17が有する光源は、第1の発光時間と同程度の発光時間(典型的にはピコ秒、フェムト秒)のパルス光を加工光ELとして供給可能であってもよい。
【0282】
図52において、加工装置17は、ワークWに加工光EL1を照射して、ワークWの一部を除去する除去加工を行う。ここで、加工装置17が有する光源の第2出力が、加工装置1が有する光源11の第1出力よりも大きいため、高いスループットのもとでワークWの除去加工を行うことができる。
【0283】
尚、
図52において、駆動系171は、制御装置7の制御下で、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの方向に沿って加工装置17を移動させる。そして、位置計測器1711は、駆動系171が移動させる加工装置17の位置を計測可能である。
【0284】
さて、計測装置2は、加工装置17によって加工されたワークWを計測する。計測装置2は、加工装置17によって加工されたワークWの加工部位の形状(3次元形状)を計測してもよい。
【0285】
加工装置1は、計測装置2によって計測されたワークWの被加工部位の形状に関する計測結果に基づいて、当該部位がターゲットとする形状となるように、追加工を行う。このように、複数種類の加工装置1及び17を使い分けることで、高いスループットのもとで高精度な加工が実現される。
【0286】
(4-7)第7変形例
上述した説明において加工光ELを検出可能な受光装置9dは、遮光部材91dに設けられた開口93dを通過する加工光ELを検出器92dで検出していた。しかしながら、受光装置9dは、上面の一部に遮光膜が形成された光透過性基板を介した加工光ELを検出器で検出してもよい。
【0287】
以下、
図53(a)、
図53(b)及び
図54を参照しながら、受光装置9fについて説明する。
図53(a)は、受光装置9fの配置を示す平面図であり、
図53(b)は、受光装置9fの構造を示す断面図である。
図54は、遮光膜に形成されるパターンを示す平面図である。
【0288】
図53(a)に示すように、受光装置9fは、ステージ32に配置されている。受光装置9fは、ステージ32のうちワークWが載置される載置面321からX軸方向及びY軸方向の少なくとも一方に離れた位置に配置されてもよい。
【0289】
図53(b)に示す通り、受光装置9fは、光透過性基板91f1と、光透過性基板91f1の上面の一部に形成された遮光膜91f2と、検出器92fとを備える。
【0290】
遮光膜91f2は、加工光ELを遮光可能な部材である。遮光膜91f2が形成される面(光透過部材91f1の上面)は、ステージ32の表面(例えば、外周面322)と同じ高さであるが、異なる高さであってもよい。
【0291】
遮光膜91f2には、開口93fが形成されている。開口93f及びこの開口93fの周囲に向けて照射された加工光ELは、その一部が遮光膜91f2に照射され、その他の一部が開口93fに照射される。開口93fに照射された加工光ELは、開口93fを通過し検出器92fで受光される。
【0292】
(4-8)第8変形例
図35に示した気体供給装置8aによる気体の第2供給態様では、加工装置1及び計測装置2が収容されている収容空間SPで加工が行われていた。しかしながら、
図54に示すように、加工装置1及び計測装置2が収容されている収容空間SP1を、加工が行われる空間SP2と分離してもよい。
図54に示す加工システムSYSgは、収容空間SP1と空間SP2とを分離するために、分離壁81gを備えている。そして、気体供給装置8aの少なくとも一部が空間SP2に設けられている。ここで、気体供給装置8aのうち少なくとも気体供給口の部分が空間SP2に設けられていればよい。そして、気体供給装置8aは、加工装置1からワークWへと向かう加工光ELの進行方向に交差する方向(
図54に示す例では、Y軸方向)に沿って気体を供給して、空間SP2における加工装置1の近傍に層流を形成してもよい。つまり、分離壁81gは、層流を形成する手段のうちの1つとなってもよい。
【0293】
(4-9)第9変形例
上述に示した例では、気体供給装置8aは、筐体4の内部の収容空間SPの全体に気体を供給し、回収装置8bは、収容空間SPの全体から気体等を回収していた。しかしながら、
図55に示すように、気体供給装置8aが収容空間SPにおけるワークWの近傍の空間(加工光ELの光路近傍)に気体を供給してもよく、回収装置8bが収容空間SPにおけるワークWの近傍の空間(加工光ELの光路近傍)から気体等を回収してもよい。
図55において、気体供給装置8aは、気体供給口8a1を備えている。この気体供給口8a1は、その位置が変更可能であってもよい。また、回収装置8bは、回収口8b1を備えている。この回収口8b1は、その位置が変更可能であってもよい。ここで、気体供給口8a1の位置と回収口8b1の位置とを、収容空間SPにおけるワークWの近傍の空間(加工光ELの光路近傍)で、加工光の光路を横切る方向に流れる層流を形成するように設定してもよい。尚、気体供給口8a1と回収口8b1とは、Z軸方向のみならず、XY軸方向においても位置変更可能であってもよい。
【0294】
(4-10)その他の変形例
上述した説明では、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、ワークWの一部を除去する除去加工又は付加加工を行っている。しかしながら、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射して、除去加工や付加加工とは異なる加工を行ってもよい。加工装置1は、除去加工及び付加加工のうち少なくとも一方に加えて又は代えて、除去加工又は付加加工とは異なる加工を行ってもよい。例えば、加工装置1は、ワークWの表面の少なくとも一部の特性を加工光ELの照射によって変えて、ワークWの表面に所望のパターン(例えば、文字パターン、図形パターン又は任意のパターン)を形成するマーキング加工を行ってもよい。
【0295】
加工装置1がマーキング加工を行う場合には、加工動作において加工装置1による加工量が適切な量であるか否かを判定する動作(
図6のステップS133)は、加工装置1により形成されたパターンの特性が適切であるか否かを判定する動作を含んでいてもよい。パターンの特性は、例えば、光に対するパターンの反射率、パターンが呈する色及びパターンの形状が一例としてあげられる。
【0296】
上述した説明では、ステージ装置3は、ステージ駆動系33を備えているが、ステージ駆動系33を備えていなくてもよい。つまり、ステージ32が移動しなくてもよい。ステージ32が移動しない場合には、ステージ装置3は、位置計測器34を備えていなくてもよい。上述した説明では、加工システムSYSは、駆動系5を備えているが、駆動系5を備えていなくてもよい。つまり、加工装置1が移動しなくてもよい。加工装置1が移動しない場合には、加工システムSYSは、位置計測器51を備えていなくてもよい。上述した説明では、加工システムSYSは、駆動系6を備えているが、駆動系6を備えていなくてもよい。つまり、計測装置2が移動しなくてもよい。計測装置2が移動しない場合には、加工システムSYSは、位置計測器61を備えていなくてもよい。
【0297】
上述した説明では、加工装置1は、戻り光防止装置15を備えているが、戻り光防止装置15を備えていなくてもよい。上述した説明では、加工装置1は、観察装置16を備えているが、観察装置16を備えていなくてもよい。加工装置1が観察装置16を備えていない場合には、加工装置1は、加工光ELの光路及び照明光ILの光路を少なくとも部分的に重複させるために用いられる光学素子であるダイクロイックミラー13を備えていなくてもよい。
【0298】
上述した説明では、加工装置1は、ワークWに加工光ELを照射することで、ワークWを加工している。しかしながら、加工装置1は、光とは異なる任意のエネルギビームをワークWに照射して、ワークWを加工させてもよい。この場合、加工装置1は、光源11に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームは、限定されないが、電子ビーム、イオンビーム等の荷電粒子ビーム又は電磁波を含んでいてもよい。
【0299】
(5)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
【0300】
条項1に記載の加工システムは、物体を加工する加工装置と、前記加工装置による加工に関する計測動作を行う計測装置とを備える加工システムである。
【0301】
条項2に記載の加工システムは、前記物体が載置される物体載置装置を更に備える条項1に記載の加工システムである。
【0302】
条項3に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体載置装置に載置される物体を加工し、前記計測装置は、前記物体載置装置に載置される物体に対して前記計測動作を行う条項2に記載の加工システムである。
【0303】
条項4に記載の加工システムは、前記物体載置装置は、前記加工装置による加工が行われる加工実行位置と、前記計測装置による前記計測動作が行われる計測実行位置との間で移動可能である条項2又は3に記載の加工システムである。
【0304】
条項5に記載の加工システムは、前記物体載置装置は、前記加工装置が前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において前記加工実行位置に位置し、且つ、前記計測装置が前記計測動作を行う計測期間の少なくとも一部において前記計測実行位置に位置するように、移動する条項4に記載の加工システムである。
【0305】
条項6に記載の加工システムは、前記物体載置装置は、前記物体が載置されたまま、前記加工実行位置と前記計測実行位置との間で移動可能である条項4又は5に記載の加工システムである。
【0306】
条項7に記載の加工システムは、前記物体載置装置は、前記物体を保持可能であり、前記加工装置が前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において前記物体載置装置が前記物体を保持する保持態様は、前記計測装置が前記計測動作を行う計測期間の少なくとも一部において前記物体載置装置が前記物体を保持する保持態様と同じである条項2から6のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0307】
条項8に記載の加工システムは、前記保持態様は、前記物体を保持する力を含む条項7に記載の加工システムである。
【0308】
条項9に記載の加工システムは、前記加工装置の少なくとも一部と前記計測装置の少なくとも一部と前記物体とを収容空間に収容可能な収容装置を更に備える条項1から8のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0309】
条項10に記載の加工システムは、前記収容装置は、前記加工装置が前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部及び前記計測装置が前記計測動作を行う計測期間の少なくとも一部の双方において、前記物体を前記収容空間に収容する条項9に記載の加工システムである。
【0310】
条項11に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて前記物体を加工する条項1から10のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0311】
条項12に記載の加工システムは、前記計測装置による前記計測動作と、前記加工装置による前記物体の加工とを交互に繰り返す条項1から11のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0312】
条項13に記載の加工システムは、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記物体のうち前記加工装置が加工するべき加工対象領域を決定する条項1から12のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0313】
条項14に記載の加工システムは、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記加工装置の加工条件を決定する条項1から13のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0314】
条項15に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記加工装置が前記物体を加工する都度、前記計測動作を行い、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記加工装置が前記物体を次に加工する際の前記加工装置の加工条件を変更する条項1から14のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0315】
条項16に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記計測動作を行って前記物体の状態を計測する条項1から15のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0316】
条項17に記載の加工システムは、前記物体の状態は、前記物体の位置、形状及びサイズの少なくとも一つを含む条項16に記載の加工システムである。
【0317】
条項18に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記物体のうちの一の部分の状態を計測した後に、前記物体のうちの前記一の部分とは異なる他の部分の状態を計測する条項16又は17に記載の加工システムである。
【0318】
条項19に記載の加工システムは、前記一の部分と前記他の部分とは、互いに重複することなく隣接する条項18に記載の加工システムである。
【0319】
条項20に記載の加工システムは、前記一の部分と前記他の部分とは、部分的に重複しながら隣接する条項18に記載の加工システムである。
【0320】
条項21に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体にエネルギビームを照射して前記物体を加工する条項1から20のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0321】
条項22に記載の加工システムは、前記エネルギビームは、フェムト秒以下の発光時間でパルス発光するパルス光を含む条項21に記載の加工システムである。
【0322】
条項23に記載の加工システムは、前記計測装置は、第1の計測装置と、第2の計測装置とを含む条項1から22のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0323】
条項24に記載の加工システムは、前記第1の計測装置の計測分解能は、前記第2の計測装置の計測分解能とは異なる条項23に記載の加工システムである。
【0324】
条項25に記載の加工システムは、前記第1の計測装置の計測範囲は、前記第2の計測装置の計測範囲とは異なる条項23又は24に記載の加工システムである。
【0325】
条項26に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記計測動作を行って計測対象物の位置を計測し、前記計測装置は、前記計測対象物の位置の計測結果の精度に関する精度情報に基づいて、前記計測対象物の位置の計測結果を補正する条項1から25のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0326】
条項27に記載の加工システムは、前記精度情報は、所定の基準面の位置に関する情報を含む条項26に記載の加工システムである。
【0327】
条項28に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記計測動作を行って前記基準面及び前記計測対象物の位置を計測し、前記計測装置は、前記基準面の位置の計測結果に関する情報を含む前記精度情報に基づいて、前記計測対象物の位置の計測結果を補正する条項27に記載の加工システムである。
【0328】
条項29に記載の加工システムは、前記物体が載置される載置面及び前記基準面を含む物体載置装置を更に備える条項27又は28に記載の加工システムである。
【0329】
条項30に記載の加工システムは、前記物体が載置される物体装置と、前記基準面を含む基準部材とを更に備える条項27から29のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0330】
条項31に記載の加工システムは、前記計測装置は、一の方向における前記基準面の位置の計測結果に関する情報を含む前記精度情報に基づいて、前記一の方向における前記計測対象物の位置の計測結果を補正する条項27から30のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0331】
条項32に記載の加工システムは、前記精度情報は、一の方向における前記計測対象物の位置の計測結果の精度に関する情報を含み、前記計測装置は、前記精度情報に基づいて、前記一の方向における前記計測対象物の位置の計測結果を補正する条項26から31のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0332】
条項33に記載の加工システムは、前記一の方向は、重力方向を含む条項31又は32に記載の加工システムである。
【0333】
条項34に記載の加工システムは、前記精度情報は、前記計測装置の温度に関する情報を含む条項26から33のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0334】
条項35に記載の加工システムは、前記計測対象物は、前記物体を含む条項26から34のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0335】
条項36に記載の加工システムは、前記加工装置と前記計測装置との相対位置に関する第1位置情報を生成し、前記第1位置情報に基づいて前記物体を加工する条項1から35のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0336】
条項37に記載の加工システムは、所定のマーカを用いて前記第1位置情報を生成する条項36に記載の加工システムである。
【0337】
条項38に記載の加工システムは、前記マーカを用いて前記マーカと前記加工装置との相対位置を特定し且つ前記マーカを用いて前記マーカと前記計測装置との相対位置を特定した後に、前記マーカと前記加工装置との相対位置及び前記マーカと前記計測装置との相対位置に基づいて前記加工装置と前記計測装置との相対位置を特定することで、前記第1位置情報を生成する条項37に記載の加工システムである。
【0338】
条項39に記載の加工システムは、前記加工装置と前記マーカとの相対位置を計測する位置計測装置を更に備え、前記第1位置計測装置の計測結果に基づいて、前記第1位置情報を生成する条項37又は38に記載の加工システムである。
【0339】
条項40に記載の加工システムは、前記位置計測装置は、前記マーカを撮像して前記加工装置と前記マーカとの相対位置を計測する条項39に記載の加工システムである。
【0340】
条項41に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の表面にエネルギビームを照射して前記物体を加工し、前記位置計測装置は、前記エネルギビームが照射された前記マーカを介したビームを検出して前記マーカと前記加工装置との相対位置を計測する条項39又は40に記載の加工システムである。
【0341】
条項42に記載の加工システムは、前記マーカは、所定面に形成された開口を含み、前記位置計測装置は、前記開口を介した前記エネルギビームの状態を検出して前記マーカと前記加工装置との相対位置を計測する条項39から41のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0342】
条項43に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記計測装置と前記マーカとの相対位置を計測し、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記第1位置情報を生成する条項37から42のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0343】
条項44に記載の加工システムは、前記マーカは、前記物体の少なくとも一部に形成されている条項37から43のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0344】
条項45に記載の加工システムは、前記マーカは、前記加工装置の加工によって前記物体に形成された構造物を含む条項44に記載の加工システムである。
【0345】
条項46に記載の加工システムは、前記マーカは、所定面に形成された開口を含む条項37から45のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0346】
条項47に記載の加工システムは、前記物体を載置される載置面及び前記マーカが形成されたマーカ形成面を含む物体載置装置を更に備える条項37から46のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0347】
条項48に記載の加工システムは、前記物体が載置される物体載置装置と前記マーカが形成されたマーカ部材とを更に備える条項37から47のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0348】
条項49に記載の加工システムは、前記第1位置情報は、第1の方向及び前記第1の方向に交差する第2の方向のうちの少なくとも一つにおける前記加工装置と前記計測装置との相対位置に関する情報を含む条項36から48のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0349】
条項50に記載の加工システムは、前記物体が載置される物体載置装置を更に備え、前記加工装置及び計測装置の少なくとも一方と前記物体載置装置との相対位置に関する第2位置情報を生成し、前記第2位置情報に基づいて前記物体を加工する条項1から49のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0350】
条項51に記載の加工システムは、所定の基準部材を用いて前記第2位置情報を生成する条項50に記載の加工システムである。
【0351】
条項52に記載の加工システムは、前記基準部材は、前記物体載置装置に載置されている条項51に記載の加工システムである。
【0352】
条項53に記載の加工システムは、前記基準部材は、前記物体載置装置に形成されている条項51又は52に記載の加工システムである。
【0353】
条項54に記載の加工システムは、前記基準部材は、前記加工装置の加工によって前記物体に形成された構造物を含む条項51から53のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0354】
条項55に記載の加工システムは、前記基準部材は、前記物体が載置される前記物体載置装置の載置面に沿った面に所定のパターンが形成されたパターン部材を含む条項51から54のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0355】
条項56に記載の加工システムは、前記基準部材は、前記物体が載置される前記物体載置装置の載置面に沿った方向及び前記載置面に交差する方向の少なくとも一方に沿ったサイズが異なる複数の段差部材を含む条項51から55のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0356】
条項57に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記基準部材の状態を計測し、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記第2位置情報を生成する条項52から56のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0357】
条項58に記載の加工システムは、前記基準部材の状態を計測する位置計測装置を更に備え、前記位置計測装置の計測結果に基づいて、前記第2位置情報を生成する条項52から57のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0358】
条項59に記載の加工システムは、前記第2位置情報は、第1の方向に沿った軸周りの第1回転方向、及び、前記第1の方向に交差する第2の方向に沿った軸周りの第2回転方向のうちの少なくとも一つにおける前記加工装置及び計測装置の少なくとも一方と前記物体載置装置との相対位置に関する情報を含む条項50から58のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0359】
条項60に記載の加工システムは、前記計測装置のうちの少なくとも一部である特定部分への、前記物体の加工に起因して発生する物質の付着を防止する付着防止装置を更に備える条項1から59のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0360】
条項61に記載の加工システムは、前記特定部分は、前記計測装置のうち前記物質が付着すると計測精度の悪化を引き起こす部分を含む条項60に記載の加工システムである。
【0361】
条項62に記載の加工システムは、前記特定部分は、前記計測装置が備える光学系の光学面を含む条項60又は61に記載の加工システムである。
【0362】
条項63に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、気体を供給する気体供給装置を含む条項60から62のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0363】
条項64に記載の加工システムは、前記気体供給装置は、前記特定部分と前記物体との間の空間への前記物質の侵入を防ぐように気体を供給する条項63に記載の加工システムである。
【0364】
条項65に記載の加工システムは、前記気体供給装置は、前記特定部分への前記物質の侵入を防ぐように気体を供給する条項63又は64に記載の加工システムである。
【0365】
条項66に記載の加工システムは、前記気体供給装置は、前記特定部分に付着した前記物質を吹き飛ばすように気体を供給する条項63から65のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0366】
条項67に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、前記特定部分を内部空間に格納する格納装置を含む条項60から66のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0367】
条項68に記載の加工システムは、前記格納装置は、前記物体が発生する空間と前記内部空間とを隔てる隔壁部を備える条項67に記載の加工システムである。
【0368】
条項69に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記特定部分を用いて計測光を照射して計測動作を行い、前記格納装置は、前記計測光が通過可能な通過部を含む 条項67又は68に記載の加工システムである。
【0369】
条項70に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、前記通過部と前記物体の間の空間への前記物質の侵入を防ぐ条項69に記載の加工システムである。
【0370】
条項71に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、前記通過部と前記物体の間の空間への前記物質の侵入を防ぐように気体を供給する条項70に記載の加工システムである。
【0371】
条項72に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、前記通過部に付着した前記物質を取り除く条項69から71のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0372】
条項73に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、前記通過部に気体を吹き付けて及び/又は前記通過部を振動させて前記物質を取り除く条項72に記載の加工システムである。
【0373】
条項74に記載の加工システムは、前記付着防止装置は、前記通過部に付着した前記物質に前記計測光が照射されることで発生する光に基づいて前記通過部に前記物質が付着しているか否かを判定し、前記通過部に前記物質が付着していると判定された場合に、前記通過部に付着した前記物質を取り除く条項72又は73に記載の加工システムである。
【0374】
条項75に記載の加工システムは、前記物体の加工に起因して発生する物質を吸引する吸引装置を更に備える条項1から74のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0375】
条項76に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の表面におけるエネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量を変更しながら前記物体の表面に前記エネルギビームを照射して前記物体を加工し、前記計測装置は、前記計測動作を行って、前記加工装置が加工した前記物体の状態を計測し、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記加工装置の加工条件を決定する条項1から75のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0376】
条項77に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量の変更の前後において前記エネルギビームが前記物体に付与する総エネルギ量が変わらないように前記エネルギビームを照射して前記物体を加工する条項76に記載の加工システムである。
【0377】
条項78に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の表面に交差する方向における前記物体の表面と前記エネルギビームが収斂するフォーカス位置との相対位置を変更して、前記物体の表面における前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量を変更する条項76又は77に記載の加工システムである。
【0378】
条項79に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記フォーカス位置以外の前記エネルギビームの特性を固定したまま前記物体の表面と前記フォーカス位置との相対位置を変更して、前記物体の表面における前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量を変更する条項78に記載の加工システムである。
【0379】
条項80に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記加工装置から見て前記フォーカス位置が前記物体の表面よりも奥側に位置する状態で前記物体の表面と前記フォーカス位置との相対位置を変更する条項78又は79に記載の加工システムである。
【0380】
条項81に記載の加工システムは、前記加工装置による前記物体の単位エネルギ当たりの加工量が最大となるように、前記加工装置の加工条件を決定する条項76から80のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0381】
条項82に記載の加工システムは、前記物体の状態は、前記加工装置による前記物体の加工量を含む条項76から81のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0382】
条項83に記載の加工システムは、前記加工条件は、前記物体の表面における前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量を含む条項76から82のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0383】
条項84に記載の加工システムは、前記加工条件は、前記物体の表面における前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量、前記物体の表面における前記エネルギビームのビーム径、及び、前記エネルギビームが前記物体に付与する総エネルギ量を含む条項76から83のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0384】
条項85に記載の加工システムは、前記計測装置の計測結果に基づいて前記物体の表面における前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量を決定し、加工内容に応じて前記ビーム径を決定し、前記決定したビーム径を有する前記エネルギビームの前記物体の表面における単位面積当たりのエネルギ量が前記決定したエネルギ量となるように、前記エネルギビームが前記物体に付与する総エネルギ量を決定する条項84に記載の加工システムである。
【0385】
条項86に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の表面にエネルギビームを照射して前記物体を加工し、前記物体が載置される載置面及び開口が形成された開口形成面を含む物体載置装置と、前記開口を介して前記エネルギビームの状態を検出するビーム検出装置とを更に備え、前記加工装置は、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて、前記エネルギビームの特性を変更する条項1から85のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0386】
条項87に記載の加工システムは、物体が載置される載置面及び開口が形成された開口形成面を含む物体載置装置と、前記物体の表面にエネルギビームを照射して前記物体を加工する加工装置と、前記開口を介して前記エネルギビームの状態を検出するビーム検出装置とを備え、前記加工装置は、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて、前記エネルギビームの特性を変更する加工システムである。
【0387】
条項88に記載の加工システムは、前記載置面及び前記開口形成面は、同じ方向を向いている条項86又は87に記載の加工システムである。
【0388】
条項89に記載の加工システムは、前記開口形成面には、前記物体が載置されない条項86から88のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0389】
条項90に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームが前記開口を横切るように前記エネルギビームを照射する条項86から89のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0390】
条項91に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の表面にエネルギビームを照射して前記物体を加工し、所定面に形成された開口を介して前記エネルギビームの状態を検出するビーム検出装置を更に備え、前記加工装置は、前記エネルギビームが前記開口を横切るように前記エネルギビームを照射すると共に、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて前記エネルギビームの特性を変更する条項1から90のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0391】
条項92に記載の加工システムは、物体の表面にエネルギビームを照射して前記物体を加工する加工装置と、所定面に形成された開口を介して前記エネルギビームの状態を検出するビーム検出装置とを備え、前記加工装置は、前記エネルギビームが前記開口を横切るように前記エネルギビームを照射すると共に、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて前記エネルギビームの特性を変更する加工システムである。
【0392】
条項93に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームが前記開口を横切るように前記エネルギビームを偏向する条項90から92のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0393】
条項94に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記加工装置と前記開口との相対位置が固定されている期間の少なくとも一部において、前記エネルギビームを偏向して前記開口に前記エネルギビームを照射する条項93に記載の加工システムである。
【0394】
条項95に記載の加工システムは、前記開口は、前記物体の表面に沿った第1の延在方向に沿って延在する第1の開口と、前記物体の表面に沿っており且つ前記第1の延在方向に交差する第2の延在方向に沿って延びる第2の開口とを含む条項86から94のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0395】
条項96に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームを偏向して前記開口に前記エネルギビームを照射し、前記ビーム検出装置は、偏向量が異なる複数の前記エネルギビームの状態を検出し、前記加工装置は、前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて前記エネルギビームの状態を変更する条項86から95のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0396】
条項97に記載の加工システムは、エネルギビームを偏向しながら物体の表面に前記エネルギビームを照射して前記物体を加工する加工装置と、偏向量が異なる複数の前記エネルギビームの状態を検出するビーム検出装置とを備え、前記加工装置は、前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて前記エネルギビームの特性を変更する加工システムである。
【0397】
条項98に記載の加工システムは、前記ビーム検出装置は、偏向量が第1量となる前記エネルギビームの状態及び偏向量が前記第1量とは異なる第2量となる前記エネルギビームの状態を検出し、前記加工装置は、前記加工期間中において、偏向量が前記第1量となる前記エネルギビームを照射するタイミングで、偏向量が前記第1量となる前記エネルギビームの状態の検出結果に基づいて前記エネルギビームの状態を変更し、偏向量が前記第2量となる前記エネルギビームを照射するタイミングで、偏向量が前記第2量となる前記エネルギビームの状態の検出結果に基づいて前記エネルギビームの状態を変更する条項96又は97に記載の加工システムである。
【0398】
条項99に記載の加工システムは、前記ビーム検出装置は、前記エネルギビームの進行方向に交差する方向における前記加工装置と前記ビーム検出装置との相対位置を変更して、偏向量が異なる複数の前記エネルギビームの状態を検出する条項96から98のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0399】
条項100に記載の加工システムは、前記エネルギビームの状態は、前記エネルギビームが収斂するフォーカス位置を含む条項96から99のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0400】
条項101に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記フォーカス位置を、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて定まる所望位置に変更する条項100に記載の加工システムである。
【0401】
条項102に記載の加工システムは、前記ビーム検出装置は、前記フォーカス位置が異なる複数の前記エネルギビームの状態を検出し、前記加工装置は、前記フォーカス位置を、前記ビーム検出装置による前記複数のエネルギビームの状態の検出結果に基づいて定まる所望位置に変更する条項100又は101に記載の加工システムである。
【0402】
条項103に記載の加工システムは、前記エネルギビームの状態は、前記エネルギビームの単位面積当たりの強度を含む条項96から100のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0403】
条項104に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記強度を、前記ビーム検出装置の検出結果に基づいて定まる所望強度に変更する条項103に記載の加工システムである。
【0404】
条項105に記載の加工システムは、前記ビーム検出装置が前記エネルギビームの状態を検出する期間中の前記ビーム検出装置の検出面での前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量は、前記加工装置が前記物体を加工する加工期間中の前記物体の表面での前記エネルギビームの単位面積当たりのエネルギ量よりも小さい条項86から104のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0405】
条項106に記載の加工システムは、前記加工装置から前記ビーム検出装置の間における前記エネルギビームの経路上において、前記エネルギビームを減衰する減衰装置を更に備える条項105に記載の加工システムである。
【0406】
条項107に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームを生成するビーム源を備え、前記ビーム源は、前記ビーム検出装置が前記エネルギビームの状態を検出する期間中において、前記エネルギビームの進行方向に交差する光学面上での単位面積当たりのエネルギ量が前記物体を加工する加工期間と同じになる前記エネルギビームを生成する条項106に記載の加工システムである。
【0407】
条項108に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームを生成するビーム源を備え、前記ビーム源は、前記ビーム検出装置が前記エネルギビームの状態を検出する期間中は、前記物体を加工する加工期間と比較して、前記エネルギビームの進行方向に交差する光学面上での単位面積当たりのエネルギ量が小さい前記エネルギビームを生成する条項105に記載の加工システムである。
【0408】
条項109に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記エネルギビームを偏向しながら前記物体の表面に前記エネルギビームを照射して前記物体を加工し、前記加工装置が加工した前記物体の状態を計測する計測動作を行う計測装置を更に備え、前記加工装置は、前記物体を加工する加工期間中において、前記計測装置の検出結果に基づいて前記エネルギビームの状態を変更する条項1から108のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0409】
条項110に記載の加工システムは、前記計測装置は、前記物体の表面に交差する方向における前記物体の状態のばらつきを計測し、前記加工装置は、前記加工期間中において、前記ばらつきが小さくなるように、前記計測装置の検出結果に基づいて前記エネルギビームの状態を変更する条項109に記載の加工システムである。
【0410】
条項111に記載の加工システムは、前記物体の状態は、前記加工装置による前記物体の加工量を含む条項109又は110に記載の加工システムである。
【0411】
条項112に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の表面を前記エネルギビームで走査して前記物体を加工し、前記エネルギビームの走査位置に関する走査位置情報に基づいて、前記加工装置が前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において、前記エネルギビームの走査位置を補正する走査位置補正装置を更に備える条項1から111のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0412】
条項113に記載の加工システムは、物体の表面をエネルギビームで走査して前記物体を加工する加工装置と、前記エネルギビームの走査位置に関する走査位置情報に基づいて、前記加工装置が前記物体を加工する加工期間の少なくとも一部において、前記エネルギビームの走査位置を補正する走査位置補正装置とを備える加工システムである。
【0413】
条項114に記載の加工システムは、前記走査位置情報は、前記加工装置が前記物体を加工した後における前記物体の状態に基づいて生成される条項112又は113に記載の加工システムである。
【0414】
条項115に記載の加工システムは、前記加工装置が加工した前記物体の状態を計測する計測装置を更に備える条項114に記載の加工システムである。
【0415】
条項116に記載の加工システムは、前記走査位置補正装置は、前記計測装置の計測結果に基づいて、前記走査位置情報を生成する条項115に記載の加工システムである。
【0416】
条項117に記載の加工システムは、前記走査位置情報は、前記エネルギビームが前記物体の表面を走査している期間の少なくとも一部における前記エネルギビームの走査位置の検出結果に基づいて生成される条項112から116のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0417】
条項118に記載の加工システムは、前記走査位置情報は、前記物体の表面に沿った方向における位置が異なる複数の領域のそれぞれでの前記エネルギビームの走査位置の検出結果に基づいて生成される条項112から117のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0418】
条項119に記載の加工システムは、前記エネルギビームの走査位置を検出する走査位置検出装置を更に備える条項117又は118に記載の加工システムである。
【0419】
条項120に記載の加工システムは、前記走査位置補正装置は、前記走査位置検出装置の検出結果に基づいて、前記走査位置情報を生成する条項119に記載の加工システムである。
【0420】
条項121に記載の加工システムは、前記走査位置検出装置を複数備える条項119又は120に記載の加工システムである。
【0421】
条項122に記載の加工システムは、前記物体が載置される物体載置装置を備え、前記走査位置検出装置は、前記物体載置装置に配置される条項119から121のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0422】
条項123に記載の加工システムは、前記物体載置装置は、前記物体が載置される載置面及び前記走査位置検出装置が配置される装置配置面を含む条項122に記載の加工システムである。
【0423】
条項124に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記走査位置検出装置が前記エネルギビームの走査位置を検出する期間中は、前記物体を加工する期間と比較して、前記エネルギビームの進行方向に交差する光学面上での単位面積当たりのエネルギ量が小さい前記エネルギビームで前記物体の表面を走査する条項119から123のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0424】
条項125に記載の加工システムは、前記走査位置情報は、前記加工装置の温度に基づいて生成される条項112から124のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0425】
条項126に記載の加工システムは、前記走査位置情報は、前記加工装置のうち前記エネルギビームによる走査を行う走査装置の温度に基づいて生成される条項125に記載の加工システムである。
【0426】
条項127に記載の加工システムは、前記走査位置変更装置は、前記物体の表面に沿った一の方向及び前記物体の表面に沿っており且つ前記一の方向に交差する他の方向の少なくとも一方における前記エネルギビームの走査位置を補正する条項112から126のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0427】
条項128に記載の加工システムは、前記加工装置は、ビーム源から射出される前記エネルギビームを、光学系を介して前記物体に照射して前記物体を加工し、前記エネルギビームが照射された前記物体からの戻りビームが前記ビーム源及び前記照射光学系の少なくとも一方に戻ることを防止する戻りビーム防止装置を更に備える条項1から127のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0428】
条項129に記載の加工システムは、前記加工装置は、光学系を介して前記エネルギビームを前記物体に照射して前記物体を加工し、前記光学系を介して前記物体を観察する観察装置を更に備える条項1から128のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0429】
条項130に記載の加工システムは、前記加工装置は、前記物体の少なくとも一部を除去する除去加工、前記物体と他の物体とを接合する接合加工、前記物体に材料を付加する付加加工、及び、前記物体にマーキングを施すマーキング加工の少なくとも一つを行う条項1から129のいずれか一項に記載の加工システムである。
【0430】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0431】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工システム及び加工方法もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0432】
SYS 加工システム
1 加工装置
11 光源
12 光学系
121 ビームエキスパンダ
122 フォーカスレンズ
13 ダイクロイックミラー
14 光学系
141 ガルバノミラー
142 fθレンズ
15 戻り光防止装置
16 観察装置
2、21-1、21-2 計測装置
3 ステージ装置
32 ステージ
4 筐体
7 制御装置
W ワーク
EL 加工光
【手続補正書】
【提出日】2024-08-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第1加工光を照射して第1加工を行う第1加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射して第2加工を行う、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体を計測し、前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定する制御装置と
を備え、
前記計測ヘッドは、前記第1加工が施された前記物体を計測可能であり、
前記第2加工ヘッドは、前記第1加工の後に、前記計測ヘッドの計測結果に基づいて、前記第2加工を行う
加工システム。
【請求項2】
物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第1加工光を照射して第1加工を行う第1加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射して第2加工を行う、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体を計測し、前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定する制御装置と
を備え、
前記第1加工ヘッドは、除去加工可能な除去加工ヘッドであり、
前記第2加工ヘッドは、付加加工可能な付加加工ヘッドである
加工システム。
【請求項3】
物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第1加工光を照射して第1加工を行う第1加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射して第2加工を行う、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体を計測し、前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記計測結果に基づいて、前記第1加工ヘッド及び前記第2加工ヘッドを使い分ける
加工システム。
【請求項4】
物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第1加工光を照射して第1加工を行う第1加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射して第2加工を行う、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体を計測し、前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定する制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記計測結果に基づいて、前記第1加工ヘッドを用いて追加工を行うことで、前記物体を目標形状に加工する
加工システム。
【請求項5】
物体を載置する物体載置装置と、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第1加工光を照射して第1加工を行う第1加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射して第2加工を行う、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドと、
前記物体載置装置に載置された前記物体を計測し、前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定する制御装置と
を備え、
前記計測結果は、前記第1及び前記第2加工ヘッドによる除去加工量及び付加加工量の少なくとも一つに関するものである
加工システム。
【請求項6】
前記第1加工ヘッドの位置を、第1方向と、前記第1方向と交わる第2方向とに変更可能な第1駆動部と、
前記第2加工ヘッドの位置を、前記第1方向と、前記第2方向とに変更可能な第2駆動部と
をさらに備える請求項1から5のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項7】
前記物体載置装置の位置を移動可能な第3駆動部を更に備え、
前記第3駆動部は、前記物体を、前記第1加工ヘッドが加工可能な第1位置に移動させることが可能であり、かつ、前記第2加工ヘッドが加工可能な前記第1位置とは異なる第2位置に移動させることが可能である
請求項1から6のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項8】
前記計測ヘッドは、前記第1加工ヘッドと前記第2加工ヘッドの間に配される
請求項1から7のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項9】
前記計測ヘッドは、前記第1加工ヘッドによって第1加工が施された前記物体を計測可能であり、
前記第2加工ヘッドは、前記第1加工の後に、前記計測ヘッドの計測結果に基づいて、前記第2加工を行う
請求項2から8のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項10】
前記第1加工ヘッドは、前記第1加工光を照射するための第1光源を備え、
前記第2加工ヘッドは、前記第2加工光を照射するための前記第1光源とは異なる第2光源を備える
請求項1から9のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項11】
前記第1光源は、第1出力を出力可能であり、
前記第2光源は、前記第1出力と異なる第2出力を出力可能である、
請求項10に記載の加工システム。
【請求項12】
前記第1光源は、前記第1加工光として第1の発光時間の光を供給可能であり、
前記第2光源は、前記第1の発光時間とは異なる第2の発光時間の光を供給可能である
請求項10又は11に記載の加工システム。
【請求項13】
前記第1加工ヘッドは、除去加工可能な除去加工ヘッドであり、
前記第2加工ヘッドは、付加加工可能な付加加工ヘッドである
請求項1及び3から12のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項14】
前記第2加工ヘッドは、
照射光学系及び材料供給部を備え、且つ、
前記照射光学系が前記物体の少なくとも一部に前記第2加工光を照射し、前記照射が行われた照射領域に、前記材料供給部により造形材料が供給されることで付加加工を施すヘッドである
請求項13に記載の加工システム。
【請求項15】
前記制御装置は、前記第2加工の加工条件として、前記第2加工光の射出態様、造形材料の供給態様、及び、前記照射領域と前記造形材料を供給する供給領域との相対移動態様のうち少なくとも一つの態様を変更する
請求項14に記載の加工システム。
【請求項16】
前記第1加工ヘッドは、除去加工可能な第1除去加工ヘッドであり、
前記第2加工ヘッドは、除去加工可能な第2除去加工ヘッドである
請求項1から15のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項17】
前記制御装置は、前記計測結果に基づいて、前記第1加工ヘッド及び前記第2加工ヘッドを使い分ける
請求項1から2及び4から16のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項18】
前記制御装置は、前記計測結果に基づいて、前記第1加工ヘッドを用いて追加工を行うことで、前記物体を目標形状に加工する
請求項1から3及び5から17のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項19】
前記計測結果は、前記第1及び前記第2加工ヘッドによる除去加工量及び付加加工量の少なくとも一つに関するものである
請求項1から4及び6から18のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項20】
前記計測ヘッドは、前記第1加工光又は前記第2加工光が照射された前記物体の一部分を計測し、
前記制御装置は、前記物体の一部分の計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定する
請求項1から19のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項21】
物体載置装置に載置された物体に第1加工光を照射する第1加工ヘッドを用いて、第1加工を行うことと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射する、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドを用いて、第2加工を行うことと、
前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドを用いて、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定することと
を含み、
前記物体を計測することは、前記第1加工ヘッドによって第1加工が施された前記物体を計測することを含み、
前記第2加工を行うことは、前記第1加工の後に、前記計測ヘッドの計測結果に基づいて、前記第2加工ヘッドを用いて、前記第2加工を行うことを含む加工方法。
【請求項22】
物体載置装置に載置された物体に第1加工光を照射する第1加工ヘッドを用いて、第1加工を行うことと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射する、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドを用いて、第2加工を行うことと、
前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドを用いて、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定することと
を含み、
前記第1加工ヘッドは、除去加工可能な除去加工ヘッドであり、
前記第2加工ヘッドは、付加加工可能な付加加工ヘッドである
加工方法。
【請求項23】
物体載置装置に載置された物体に第1加工光を照射する第1加工ヘッドを用いて、第1加工を行うことと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射する、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドを用いて、第2加工を行うことと、
前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドを用いて、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定することと、
前記計測結果に基づいて、前記第1加工ヘッド及び前記第2加工ヘッドを使い分けることを含む
加工方法。
【請求項24】
物体載置装置に載置された物体に第1加工光を照射する第1加工ヘッドを用いて、第1加工を行うことと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射する、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドを用いて、第2加工を行うことと、
前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドを用いて、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定することと、
前記計測結果に基づいて、前記第1加工ヘッドを用いて追加工を行うことで、前記物体を目標形状に加工することを含む
加工方法。
【請求項25】
物体載置装置に載置された物体に第1加工光を照射する第1加工ヘッドを用いて、第1加工を行うことと、
前記物体載置装置に載置された前記物体に第2加工光を照射する、前記第1加工ヘッドとは異なる第2加工ヘッドを用いて、第2加工を行うことと、
前記第1及び第2加工ヘッドとは異なる計測ヘッドを用いて、前記物体載置装置に載置された前記物体を計測することと、
前記計測ヘッドによる計測結果を用いて、前記第1加工及び前記第2加工の加工条件を設定することと、
を含み、
前記計測結果は、前記第1及び前記第2加工ヘッドによる除去加工量及び付加加工量の少なくとも一つに関するものである
加工方法。