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特開2024-153186立体画像表示装置及びそのプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153186
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】立体画像表示装置及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 13/366 20180101AFI20241022BHJP
   H04N 13/32 20180101ALI20241022BHJP
   H04N 13/31 20180101ALI20241022BHJP
   G02B 30/10 20200101ALI20241022BHJP
【FI】
H04N13/366
H04N13/32
H04N13/31
G02B30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023066931
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000004352
【氏名又は名称】日本放送協会
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡市 直人
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】加納 正規
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 久幸
(72)【発明者】
【氏名】洗井 淳
【テーマコード(参考)】
2H199
【Fターム(参考)】
2H199BA19
2H199BA28
2H199BA42
2H199BA48
2H199BA49
2H199BB03
2H199BB08
2H199BB52
2H199BB59
2H199BB63
(57)【要約】
【課題】高画質な立体映像を表示できる立体画像表示装置を提供する。
【解決手段】立体画像表示装置6は、観察者の瞳位置を推定する瞳位置推定手段61と、要素画像群を生成する要素画像群生成手段62と、光源アレイ画像を生成する光源アレイ画像生成手段63と、要素画像群を要素画像群表示用ディスプレイに表示させる要素画像群表示手段64と、光源アレイ画像を光源アレイ画像表示用ディスプレイに表示させる光源アレイ画像表示手段65と、要素画像群及び光源アレイ画像のフィールドを時分割で切り替える時分割制御手段66と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
要素画像群表示用ディスプレイと前記要素画像群表示用ディスプレイの後方に配置された光源アレイ画像表示用ディスプレイとを備える立体ディスプレイを用いて、要素画像で構成された要素画像群を人物の瞳位置に追従して時分割表示するインテグラル方式の立体画像表示装置であって、
前記人物が撮影されたカメラ画像から前記人物の瞳位置を推定する瞳位置推定手段と、
時分割表示のフィールド毎に、前記人物の瞳位置に対応した要素画像群を生成する要素画像群生成手段と、
前記フィールド毎に、前記要素画像に対応した光源が配列された光源アレイ画像を生成する光源アレイ画像生成手段と、
前記要素画像群生成手段が生成した要素画像群を前記要素画像群表示用ディスプレイに表示させる要素画像群表示手段と、
前記光源アレイ画像生成手段が生成した光源アレイ画像を前記光源アレイ画像表示用ディスプレイに表示させる光源アレイ画像表示手段と、
前記要素画像群表示手段が表示する要素画像群のフィールドと前記光源アレイ画像表示手段が表示する光源アレイ画像のフィールドとを時分割で切り替える時分割制御手段と、
を備えることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項2】
前記光源アレイ画像生成手段は、前記光源アレイ画像として、点光源が2次元状に配列された点光源アレイを表す点光源アレイ画像を生成することを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項3】
前記光源アレイ画像生成手段は、前記光源アレイ画像として、線光源が1次元状に配列された線光源アレイを表す線光源アレイ画像を生成し、前記線光源の方向が前記人物の両瞳位置を結んだ方向に直交するように前記線光源アレイ画像を回転させ、
前記要素画像群生成手段は、前記要素画像群を前記線光源アレイ画像にあわせて回転させることを特徴とする請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項4】
前記要素画像群表示手段は、前記要素画像群の代わりに、所望の2次元画像を前記要素画像群表示用ディスプレイに表示させ、
前記光源アレイ画像表示手段は、前記光源アレイ画像の代わりに、バックライトを表すバックライト画像を前記光源アレイ画像表示用ディスプレイに表示させる請求項1に記載の立体画像表示装置。
【請求項5】
要素画像群表示用ディスプレイと前記要素画像群表示用ディスプレイの前方に配置された光線方向制御画像表示用ディスプレイとを備える立体ディスプレイを用いて、要素画像で構成された要素画像群を人物の瞳位置に追従して時分割表示するインテグラル方式の立体画像表示装置であって、
前記人物が撮影されたカメラ画像から前記人物の瞳位置を推定する瞳位置推定手段と、
時分割表示のフィールド毎に、前記人物の瞳位置に対応した要素画像群を生成する要素画像群生成手段と、
前記フィールド毎に、前記要素画像に対応した光線方向制御画像を生成する光線方向制御画像生成手段と、
前記要素画像群生成手段が生成した要素画像群を前記要素画像群表示用ディスプレイに表示させる要素画像群表示手段と、
前記光線方向制御画像生成手段が生成した光線方向制御画像を前記光線方向制御画像表示用ディスプレイに表示させる光線方向制御画像表示手段と、
前記要素画像群表示手段が表示する要素画像群のフィールドと前記光線方向制御画像表示手段が表示する光線方向制御画像のフィールドとを時分割で切り替える時分割制御手段と、
を備えることを特徴とする立体画像表示装置。
【請求項6】
前記光線方向制御画像生成手段は、前記光線方向制御画像として、ピンホールが2次元状に配列されたピンホールアレイを表すピンホールアレイ画像を生成することを特徴とする請求項5に記載の立体画像表示装置。
【請求項7】
前記光線方向制御画像生成手段は、前記光線方向制御画像として、パララックスバリアが1次元状に配列されたパララックスバリア画像を生成し、前記パララックスバリアの方向が前記人物の両瞳位置を結んだ方向に直交するように前記パララックスバリア画像を回転させ、
前記要素画像群生成手段は、前記要素画像群を前記パララックスバリア画像にあわせて回転させることを特徴とする請求項5に記載の立体画像表示装置。
【請求項8】
前記要素画像群表示手段は、前記要素画像群の代わりに、所望の2次元画像を前記要素画像群表示用ディスプレイに表示させ、
前記光線方向制御画像表示手段は、前記光線方向制御画像の代わりに、バックライトを表すバックライト画像を前記光線方向制御画像表示用ディスプレイに表示させる請求項5に記載の立体画像表示装置。
【請求項9】
コンピュータを、請求項1から請求項8の何れか一項に記載の立体画像表示装置として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インテグラル方式の立体画像表示装置及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
インテグラル方式は、特殊な眼鏡が不要で全方向視差(フルパララックス)の表示が可能な光線再生型の立体表示方式である。図14(a)に示すように、インテグラル3D撮像装置9Aは、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイなどのフラットパネルディスプレイ90と、その前方に配置されたレンズアレイ91とを備える。インテグラル3D撮像装置9Aは、撮像素子の画素数と同じ本数の光線を使って被写体αを撮影する。この場合、各要素画像eは、被写体αの倒立像が撮影されたものとなる。
【0003】
図14(b)に示すように、インテグラル3D表示装置9Bは、レンズアレイ91は、要素レンズ92がアレイ状に配列されたものである。要素レンズ92と要素画像eは対応しており、要素レンズ92により要素画像eが空間中に投影され、空間像が形成される。そして、インテグラル3D表示装置9Bは、フラットパネルディスプレイ90と同じ本数の光線を使って、被写体αからの光線を再現する。
【0004】
インテグラル3D映像は、多くの視点映像を再現する方式であるため、非常に多くの画素(情報量)が必要となる。インテグラル3D映像の品質を決定づけるパラメータとして、「視域」、「空間周波数特性(奥行き再現範囲)」、「3D解像度(要素画像数)」の3つがあげられる。これら3つのパラメータはトレードオフの関係がある。たとえば、視域と奥行き再現範囲の関係性は、以下の式(1)で表される。
【0005】
【数1】
【0006】
ここで、Dは奥行き再現範囲、eは要素画像のサイズ、Lは視距離、βは観視空間周波数、pはディスプレイの画素ピッチ、θovzは視域を示す。この式(1)からも分かるように、視域を狭くすることにより、奥行き再現範囲を向上させることができる。
【0007】
視域を狭くするためには、焦点距離の長いレンズアレイを用いればよい。また、視点追従技術を用いてリアルタイムで視域の方向を制御すれば、焦点距離の長いレンズアレイを用いても、広い範囲でインテグラル3D映像を視聴できる(非特許文献1,2)。視域の制御は、観察者の瞳位置に応じた要素画像群をリアルタイムに生成することで実現できる。このように、個人視聴(1人のみの視聴)に限定した場合には前記手法により、「空間周波数特性(奥行き再現範囲)」および「3D解像度(要素画像数)」の性能を向上させた上で、広視域のインテグラル3D映像を提示できる。
【0008】
レンズアレイ91の代わりに、図15(a)の点光源アレイ93や図15(b)のピンホールアレイ94を用いることで、レンズアレイ方式と同様に光線を再生できることが知られている。図16には、点光源アレイ方式の視点追従型インテグラル3D表示装置9Cの一例を図示した。図16に示すように、インテグラル3D表示装置9Cは、要素画像群表示用ディスプレイ(フロントパネル)95と、点光源アレイ画像表示用ディスプレイ(リアパネル)96と、瞳位置検出用カメラ97と、立体画像表示装置98とを備える。
【0009】
要素画像群表示用ディスプレイ95は、前方に配置された要素画像群表示用のフロントパネル(例えば、透過型液晶ディスプレイ)である。点光源アレイ画像表示用ディスプレイ96は、後方に配置された点光源アレイ画像表示用のリアパネルであり、点光源アレイ画像Pを表示する。インテグラル3D表示装置9Cは、要素画像群表示用ディスプレイ95と点光源アレイ画像表示用ディスプレイ96とを積層することで、インテグラル3D映像表示を行う(非特許文献3)。
【0010】
瞳位置検出用カメラ97は、瞳位置を検出するためのカメラである。立体画像表示装置98は、瞳位置検出用カメラ97が撮影した画像から観察者の瞳位置を検出し、その瞳位置に応じた立体画像を表示するものである。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】岡市直人、佐々木久幸、加納正規、河北真宏、苗村健、“視点追従型インテグラル3D映像表示システムの開発”、映像情報メディア学会誌、Vol.75、No.1、pp.125-130(2021)
【非特許文献2】N. Okaichi, H. Sasaki, M. Kano, J. Arai, M. Kawakita, and T. Naemura, “Design of optical viewing zone suitable for eye-tracking integral 3D display,” OSA Contin., Vol.4, No.5, pp.1415-1429 (2021)
【非特許文献3】岡市直人、渡邉隼人、加納正規、佐々木久幸、洗井淳、“点光源アレーを用いた視点追従型インテグラル3D映像表示システムの基礎検証”、映像情報メディア学会年次大会予稿集、23C-1(2022)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来のインテグラル3D表示装置は、要素画像群表示用ディスプレイの限られた画素数で様々な方向に射出する光線を再現する必要があるため、立体映像の画質(解像度)が低くなるという問題があった。
【0013】
そこで、本発明は、高画質な立体映像を表示できる立体画像表示装置及びそのプログラムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
前記課題を解決するため、本発明に係る立体画像表示装置は、要素画像群表示用ディスプレイと要素画像群表示用ディスプレイの後方に配置された光源アレイ画像表示用ディスプレイとを備える立体ディスプレイを用いて、要素画像で構成された要素画像群を人物の瞳位置に追従して時分割表示するインテグラル方式の立体画像表示装置であって、瞳位置推定手段と、要素画像群生成手段と、光源アレイ画像生成手段と、要素画像群表示手段と、光源アレイ画像表示手段と、時分割制御手段と、を備える構成とした。
【0015】
瞳位置推定手段は、人物が撮影されたカメラ画像から人物の瞳位置を推定する。
要素画像群生成手段は、時分割表示のフィールド毎に、人物の瞳位置に対応した要素画像群を生成する。
光源アレイ画像生成手段は、フィールド毎に、要素画像に対応した光源が配列された光源アレイ画像を生成する。
要素画像群表示手段は、要素画像群生成手段が生成した要素画像群を要素画像群表示用ディスプレイに表示させる。
光源アレイ画像表示手段は、光源アレイ画像生成手段が生成した光源アレイ画像を光源アレイ画像表示用ディスプレイに表示させる。
時分割制御手段は、要素画像群表示手段が表示する要素画像群のフィールドと光源アレイ画像表示手段が表示する光源アレイ画像のフィールドとを時分割で切り替える。
【0016】
かかる構成によれば、立体画像表示装置は、時分割表示により再現可能な光線数が増加するので、解像度を向上させることができる。
【0017】
また、前記課題を解決するため、本発明に係る立体画像表示装置は、要素画像群表示用ディスプレイと要素画像群表示用ディスプレイの前方に配置された光線方向制御画像表示用ディスプレイとを備える立体ディスプレイを用いて、要素画像で構成された要素画像群を人物の瞳位置に追従して時分割表示するインテグラル方式の立体画像表示装置であって、瞳位置推定手段と、要素画像群生成手段と、光線方向制御画像生成手段と、要素画像群表示手段と、光線方向制御画像表示手段と、時分割制御手段と、を備える構成とした。
【0018】
瞳位置推定手段は、人物が撮影されたカメラ画像から人物の瞳位置を推定する。
要素画像群生成手段は、時分割表示のフィールド毎に、人物の瞳位置に対応した要素画像群を生成する。
光線方向制御画像生成手段は、フィールド毎に、要素画像に対応した光線方向制御画像を生成する。
要素画像群表示手段は、要素画像群生成手段が生成した要素画像群を要素画像群表示用ディスプレイに表示させる。
光線方向制御画像表示手段は、光線方向制御画像生成手段が生成した光線方向制御画像を光線方向制御画像表示用ディスプレイに表示させる。
時分割制御手段は、要素画像群表示手段が表示する要素画像群のフィールドと光線方向制御画像表示手段が表示する光線方向制御画像のフィールドとを時分割で切り替える。
【0019】
かかる構成によれば、立体画像表示装置は、時分割表示により再現可能な光線数が増加するので、解像度を向上させることができる。
【0020】
なお、本発明は、コンピュータを前記した立体画像表示装置として機能させるためのプログラムで実現することもできる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、高画質な立体映像を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態に係る立体画像表示システムの概略構成図である。
図2】第1実施形態に係る立体画像表示装置の構成を示すブロック図である。
図3】第1実施形態において、点光源アレイ画像を説明する説明図である。
図4】第1実施形態において、時分割表示を説明する説明図である。
図5】(a)及び(b)は第1実施形態において、視点追従を説明する説明図である。
図6】第1実施形態において、3D表示/2D表示の切替を説明する説明図である。
図7】第1実施形態に係る立体画像表示装置の動作を示すフローチャートである。
図8】変形例1において、線光源アレイ画像を説明する説明図である。
図9】変形例1において、時分割表示を説明する説明図である。
図10】変形例1において、要素画像群及び線光源アレイ画像の回転を説明する説明図である。
図11】変形例1において、要素画像群及び線光源アレイ画像の回転を説明する説明図である。
図12】第2実施形態に係る立体画像表示システムの概略構成図である。
図13】第2実施形態に係る立体画像表示装置の構成を示すブロック図である。
図14】従来技術において、(a)はインテグラル3D撮像装置を説明する説明図であり、(b)はインテグラル3D表示装置を説明する説明図である。
図15】従来技術において、(a)は点光源アレイ方式を説明する説明図であり、(b)はピンホールアレイ方式を説明する説明図である。
図16】従来技術において、点光源アレイ方式の視点追従型インテグラル3D表示装置を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の各実施形態について図面を参照して説明する。但し、以下に説明する各実施形態は、本発明の技術思想を具体化するためのものであって、特定的な記載がない限り、本発明を以下のものに限定しない。また、同一の手段には同一の符号を付し、説明を省略する場合がある。
【0024】
(第1実施形態)
[立体画像表示システムの概略]
図1を参照し、第1実施形態に係る立体画像表示システム1の概略について説明する。
【0025】
立体画像表示システム1は、インテグラル方式(点光源アレイ方式)の視点追従型立体表示システムであり、フィールド・シーケンシャル方式により時分割表示を行うものである。図1に示すように、立体画像表示システム1は、立体ディスプレイ2と、瞳位置推定用カメラ5と、立体画像表示装置6とを備える。立体ディスプレイ2は、要素画像群表示用ディスプレイ3と、光源アレイ画像表示用ディスプレイ4とを備える。
【0026】
要素画像群表示用ディスプレイ3は、後記する立体画像表示装置6が生成した要素画像群を表示するものである。要素画像群表示用ディスプレイ3は、後記する光源アレイ画像表示用ディスプレイ4の前方に配置されたフロントパネルである。例えば、要素画像群表示用ディスプレイ3としては、透過型液晶ディスプレイがあげられる。
【0027】
光源アレイ画像表示用ディスプレイ4は、立体画像表示装置6が生成した点光源アレイ画像を表示するものである。光源アレイ画像表示用ディスプレイ4は、要素画像群表示用ディスプレイ3の後方に配置されたリアパネルである。例えば、光源アレイ画像表示用ディスプレイ4としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイなどのフラットパネルディスプレイがあげられる。
【0028】
このように、立体ディスプレイ2は、要素画像群表示用ディスプレイ3と光源アレイ画像表示用ディスプレイ4とを2枚積層することで、被写体αを立体表示することができる。
【0029】
瞳位置推定用カメラ5は、立体映像の観察者(人物)の瞳位置を推定するために、観察者を撮影するカメラである。例えば、瞳位置推定用カメラ5は、観察者に向けて要素画像群表示用ディスプレイ3の上部に配置する。瞳位置推定用カメラ5は、撮影したカメラ画像を立体画像表示装置6に出力する。
【0030】
立体画像表示装置6は、要素画像群表示用ディスプレイ3と要素画像群表示用ディスプレイ3の後方に配置された光源アレイ画像表示用ディスプレイ4とを備える立体ディスプレイ2を用いて、要素画像で構成された要素画像群を観察者の瞳位置に追従して時分割表示するインテグラル方式の立体画像表示装置である。
【0031】
[立体画像表示装置の構成]
図2を参照し、立体画像表示装置6の構成について説明する。
図2に示すように、立体画像表示装置6は、カメラ画像入力手段60と、瞳位置推定手段61と、要素画像群生成手段62と、光源アレイ画像生成手段63と、要素画像群表示手段64と、光源アレイ画像表示手段65と、時分割制御手段66とを備える。
【0032】
カメラ画像入力手段60は、瞳位置推定用カメラ5からカメラ画像が入力されるものである。そして、カメラ画像入力手段60は、入力されたカメラ画像を瞳位置推定手段61に出力する。
【0033】
瞳位置推定手段61は、観察者が撮影されたカメラ画像から観察者の瞳位置を推定するものである。まず、瞳位置推定手段61は、カメラ画像入力手段60より入力されたカメラ画像から観察者の顔領域を検出する。次に、瞳位置推定手段61は、PnP問題(Perspective-n-Pont Problem)を解くプログラム(OpenCVなど)を用いて、観察者の瞳の3次元位置を推定する(例えば、参考文献1,2参照)。その後、瞳位置推定手段61は、推定した観察者の瞳位置を瞳位置推定手段61に出力する。
【0034】
参考文献1:“OpenCV”,[online],[令和5年3月6日検索],インターネット<URL:https://opencv.org/>
参考文献2:“Dlib”,[online],[令和5年3月6日検索],インターネット<URL:http://dlib.net/>
【0035】
要素画像群生成手段62は、時分割表示のフィールド毎に、観察者の瞳位置に対応した要素画像群を生成するものである。つまり、要素画像群生成手段62は、瞳位置推定手段61から入力された瞳位置に追従するように要素画像群をフィールド毎に生成する。例えば、要素画像群生成手段62は、光線追跡法等の既知の手法で要素画像群を生成できる。その後、要素画像群生成手段62は、生成した要素画像群を要素画像群表示手段64に出力する。
【0036】
光源アレイ画像生成手段63は、フィールド毎に、要素画像に対応した光源が配列された光源アレイ画像を生成するものである。ここでは、光源アレイ画像生成手段63は、光源アレイ画像として、点光源が2次元状に配列された点光源アレイを表す点光源アレイ画像をフィールド毎に生成する。その後、光源アレイ画像生成手段63は、生成した点光源アレイ画像を光源アレイ画像表示手段65に出力する。
【0037】
図3に示すように、点光源アレイ画像Pでは、黒領域Bの間に、点状の白領域Wが水平方向及び垂直方向に配列されている。すなわち、点光源アレイ画像Pは、黒色をベースとして、必要な部分のみ白色の点が一定間隔で並んだ画像になる。点光源アレイ画像Pでは、白色の点が、前方に配置された要素画像群表示用ディスプレイ3の光源の役割を有する。なお、X軸が水平方向を表し、Y軸が垂直方向を表し、Z軸が奥行き方向を表す。
【0038】
要素画像群表示手段64は、要素画像群生成手段62が生成した要素画像群を要素画像群表示用ディスプレイ3に表示させるものである。このとき、要素画像群表示手段64は、後記する時分割制御手段66からの指令信号に従って、要素画像群生成手段62から入力された要素画像群のフィールドを時分割で切り替える。
【0039】
光源アレイ画像表示手段65は、光源アレイ画像生成手段63が生成した点光源アレイ画像を光源アレイ画像表示用ディスプレイ4に表示させるものである。このとき、光源アレイ画像表示手段65は、時分割制御手段66からの指令信号に従って、光源アレイ画像生成手段63から入力された点光源アレイ画像のフィールドを時分割で切り替える。
【0040】
時分割制御手段66は、要素画像群表示手段64が表示させる要素画像群のフィールドと光源アレイ画像表示手段65が表示させる点光源アレイ画像のフィールドとを時分割で切り替えるものである。つまり、時分割制御手段66は、要素画像群及び点光源アレイ画像のフィールドの切替タイミングを表す指令信号を要素画像群表示手段64及び光源アレイ画像表示手段65に出力する。例えば、時分割制御手段66は、1フレーム間隔で指令信号を要素画像群表示手段64及び光源アレイ画像表示手段65に出力する。
【0041】
立体画像表示装置6は、時分割表示及び視点追従を行えるように要素画像群及び点光源アレイ画像を生成する。以下、立体画像表示装置6による時分割表示及び視点追従を順に説明する。
【0042】
<時分割表示>
立体画像表示装置6は、フィールド・シーケンシャル方式で時分割表示を行う。ここでは、説明を簡単にするため、時分割数を2とし、時分割の各状態をフィールド1及びフィールド2とする。図4に示すように、フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを基準とする。また、フィールド2の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pは、フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを斜め方向に半ピッチずらしたものである。なお、図4では、図面を見やすくするため、フィールド2の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを破線で図示した。
【0043】
立体画像表示装置6は、フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pと、フィールド2の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pとを高速で切り替える。これにより、立体画像表示装置6は、2つのフィールドの要素画像群E,E及び点光源アレイ画像P,Pが合成された状態で表示されるので、解像度特性を向上させることができる。
【0044】
ここでは、時分割を2として説明したが、時分割数をより多くすることで、さらに解像度特性を向上させることができる。例えば、時分割数が4の場合、水平方向及び垂直方向の半ピッチずらしの有無で4つのフィールドを設定する。フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを基準とする。フィールド2の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pは、フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを水平方向のみ半ピッチずらす。フィールド3の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pは、フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを垂直方向のみ半ピッチずらす。フィールド4の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pは、フィールド1の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを斜め方向に半ピッチずらす。
【0045】
<視点追従>
立体画像表示装置6は、瞳位置に応じた点光源アレイ画像Pと要素画像群Eを生成する。具体的には、立体画像表示装置6は、点光源アレイ画像Pの位置を各フィールドに固定したまま、瞳位置に応じた要素画像群Eを生成する。これにより、立体画像表示装置6は、光学視域(点光源と要素画像のみで形成される視域)を動的に制御することができる。
【0046】
図5では、要素画像群表示用ディスプレイ3の正面中央を観察者Aの基準位置とする。図5(a)に示すように、観察者Aが基準位置の左側(図面下側)に移動した場合、左側から被写体を観察したときの要素画像群Eを生成する。図5(b)に示すように、観察者Aが基準位置の右側(図面上側)に移動した場合、右側から被写体を観察したときの要素画像群Eを生成する。
【0047】
以上をまとめると、立体画像表示装置6は、時分割表示を行うため、点光源アレイ画像Pと要素画像群Eの両方を半ピッチずらすと共に、視点追従を行うため、点光源アレイ画像Pの位置を固定する一方で要素画像群Eを瞳位置に追従させればよい。具体的には、要素画像群生成手段62は、フィールド1,2のそれぞれで、観察者Aの瞳位置に対応した要素画像群Eを生成する。また、光源アレイ画像生成手段63は、フィールド1,2のそれぞれで点光源アレイ画像Pを生成する。そして、時分割制御手段66は、フレーム毎にフィールド1,2の要素画像群E及び点光源アレイ画像Pを時分割で切り替える。
【0048】
<3D表示/2D表示の切替>
立体画像表示装置6は、レンズアレイ方式とは異なり光源アレイ画像表示用ディスプレイ4で2次元画像も表示できるため、3D表示及び2D表示を切り替えることができる。
具体的には、要素画像群表示手段64は、要素画像群Eの代わりに、所望の2次元画像を要素画像群表示用ディスプレイ3に表示させる。また、光源アレイ画像表示手段65は、点光源アレイ画像Pの代わりに、バックライトを表すバックライト画像を光源アレイ画像表示用ディスプレイ4に表示させる。例えば、バックライト画像は、全面が白色の画像である。
【0049】
図6に示すように、立体画像表示装置6は、2D表示を行う際、フロントパネルである光源アレイ画像表示用ディスプレイ4がバックライト画像を表示する。このとき、光源アレイ画像表示用ディスプレイ4は、白色のバックライト(拡散光)として機能する。また、リアパネルである要素画像群表示手段64は、所望の2次元画像を表示すればよい。このとき、要素画像群表示手段64は、フロントパネルのフル解像度で2次元画像を表示できる。
【0050】
このように、立体画像表示装置6は、3D表示及び2D表示を容易に切り替えることができるので、レンズアレイ方式に比べて利便性に優れている。なお、3D表示及び2D表示の切替は、立体画像表示システム1の利用者が手動で設定する。また、2D表示を行う際、立体画像表示装置6は、視点追従及び時分割表示を行う必要がない。
【0051】
[立体画像表示装置の動作]
図7を参照し、立体画像表示装置6の動作について説明する。ここでは、時分割数が2であることとする。
【0052】
ステップS1において、瞳位置推定手段61には、瞳位置推定用カメラ5からカメラ画像が入力される。
ステップS2において、瞳位置推定手段61は、観察者Aが撮影されたカメラ画像から観察者Aの瞳位置を推定する。
【0053】
ステップS3において、光源アレイ画像生成手段63は、フィールド1の点光源アレイ画像Pを生成する。
ステップS4において、要素画像群生成手段62は、フィールド1で観察者Aの瞳位置に追従した要素画像群Eを生成する。
【0054】
ステップS5において、時分割制御手段66は、フィールド1への切替を指令する指令信号を光源アレイ画像表示手段65に出力する。この指令信号に従って、光源アレイ画像表示手段65は、フィールド1の点光源アレイ画像Pを光源アレイ画像表示用ディスプレイ4に表示させる。
【0055】
ステップS6において、時分割制御手段66は、フィールド1への切替を指令する指令信号を要素画像群表示手段64に出力する。この指令信号に従って、要素画像群表示手段64は、フィールド1で観察者Aの瞳位置に追従した要素画像群Eを要素画像群表示用ディスプレイ3に表示させる。
【0056】
ステップS7において、光源アレイ画像生成手段63は、フィールド2の点光源アレイ画像Pを生成する。
ステップS8において、要素画像群生成手段62は、フィールド2で観察者Aの瞳位置に追従した要素画像群Eを生成する。
【0057】
ステップS9において、時分割制御手段66は、フィールド2への切替を指令する指令信号を光源アレイ画像表示手段65に出力する。この指令信号に従って、光源アレイ画像表示手段65は、フィールド2の点光源アレイ画像Pを光源アレイ画像表示用ディスプレイ4に表示させる。
【0058】
ステップS10において、時分割制御手段66は、フィールド2への切替を指令する指令信号を要素画像群表示手段64に出力する。この指令信号に従って、要素画像群表示手段64は、フィールド2で観察者Aの瞳位置に追従した要素画像群Eを要素画像群表示用ディスプレイ3に表示させる。その後、立体画像表示装置6は、ステップS1の処理に戻る。
【0059】
[作用・効果]
以上のように、立体画像表示装置6は、時分割表示により再現可能な光線数が増加するので、解像度を向上させ、高画質な立体映像を表示することができる。
さらに、立体画像表示装置6は、3D表示及び2D表示を容易に切り替えることができるので、レンズアレイ方式に比べて利便性に優れている。
【0060】
(変形例1)
以下、変形例1に係る立体画像表示システム1Bについて、第1実施形態と異なる点を説明する。
第1実施形態では立体画像表示システム1が点光源アレイ画像を表示したのに対し、変形例1では立体画像表示システム1Bが線光源アレイ画像を表示する点が異なる。つまり、立体画像表示システム1Bは、線光源アレイ方式の視点追従型立体表示システムである。
【0061】
図1に示すように、立体画像表示システム1Bは、立体ディスプレイ2と、瞳位置推定用カメラ5と、立体画像表示装置6Bとを備える。立体画像表示装置6B以外の各装置は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0062】
[立体画像表示装置の構成]
図2に示すように、立体画像表示装置6Bは、カメラ画像入力手段60と、瞳位置推定手段61と、要素画像群生成手段62Bと、光源アレイ画像生成手段63Bと、要素画像群表示手段64と、光源アレイ画像表示手段65と、時分割制御手段66とを備える。要素画像群生成手段62B及び光源アレイ画像生成手段63B以外の各手段は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0063】
要素画像群生成手段62Bは、要素画像群Eを線光源アレイ画像にあわせて回転させるものである。ここで、要素画像群生成手段62Bは、要素画像群生成手段62と同様の処理でフィールド毎に要素画像群Eを生成し、後記する線光源アレイ画像と同一方向及び同一角度で要素画像群Eを回転させる。
【0064】
光源アレイ画像生成手段63Bは、光源アレイ画像として、線光源が1次元状に配列された線光源アレイを表す線光源アレイ画像を生成するものである。ここで、光源アレイ画像生成手段63Bは、フィールド毎に線光源アレイ画像を生成する。そして、光源アレイ画像生成手段63Bは、線光源の方向が観察者Aの両瞳位置を結んだ方向に直交するように線光源アレイ画像を回転させる。
【0065】
図8に示すように、線光源アレイ画像Lでは、黒領域Bの間に、線状の白領域Wが水平方向に配列されている。すなわち、線光源アレイ画像Lは、黒色をベースとして、必要な部分のみ白色の線が一定間隔で並んだ画像になる。線光源アレイ画像Lでは、白色の線が、前方に配置された要素画像群表示用ディスプレイ3の光源の役割を有する。
【0066】
以下、立体画像表示装置6Bによる時分割表示及び画像の回転を順に説明する。なお、視点追従の手法自体は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0067】
<時分割表示>
立体画像表示装置6Bは、フィールド・シーケンシャル方式で時分割表示を行う。ここでは、説明を簡単にするため、時分割数を2とする。図9に示すように、フィールド1の要素画像群E及び線光源アレイ画像Lを基準とする。また、フィールド2の要素画像群E及び線光源アレイ画像Lは、フィールド1の要素画像群E及び線光源アレイ画像Lを水平方向に半ピッチずらしたものである。なお、図9では、図面を見やすくするため、フィールド2の要素画像群E及び線光源アレイ画像Lを破線で図示した。
【0068】
立体画像表示装置6Bは、フィールド1の要素画像群E及び線光源アレイ画像Lと、フィールド2の要素画像群E及び線光源アレイ画像Lとを高速で切り替える。これにより、立体画像表示装置6Bは、2つのフィールドの要素画像群E,E及び線光源アレイ画像L,Lが合成された状態で表示されるので、解像度特性を向上させることができる。
【0069】
ここでは、時分割を2として説明したが、第1実施形態と同様、時分割数をより多くすることで、さらに解像度特性を向上させることができる。
【0070】
<要素画像群及び線光源アレイ画像の回転>
図10及び図11を参照し、要素画像群E及び線光源アレイ画像Lの回転について説明する。立体画像表示装置6Bでは、線光源アレイ画像Lを用いて全方向視差を実現するため、以下で説明するように、線光源の方向を視点位置に応じて変化させる。
【0071】
観察方向Dを示すように、観察者Aが三次元ディスプレイ10の正面に位置しているものとする。まず、図10(c)に示すように観察者Aの両眼を結ぶ直線が水平線Hと一致して視点回転情報が0度であるものとする。これが線光源アレイ方式の基本的な状態である。このとき、リアパネル(光源アレイ画像表示用ディスプレイ4)には、図10(a)の線光源アレイ画像Lが表示される。
【0072】
要素画像群生成手段62Bは、観察者Aの視点位置に基づいて要素画像群Eを生成する。このときに、フロントパネル(要素画像群表示用ディスプレイ3)には、図10(a)に示すように、ピクセルラインが水平線Hに直交するように配置された要素画像群Eが表示される。要素画像群Eは、レンチキュラ方式で使用される要素画像に近い画像となる。ただし、レンチキュラ方式の要素画像とは視点画像の並びが逆という点などで異なる。
【0073】
なお、図10(a)の要素画像群Eとして、把握しやすいように模式的に8個の帯が示されている。帯の数は、立体ディスプレイ2の水平方向の画素数に相当する。なお、立体ディスプレイ2の垂直方向の画素数は、要素画像群表示用ディスプレイ3の垂直方向の画素数と同じである。図10(a)の要素画像群Eは、三次元映像を観察したときに横に8画素あるような映像を実現するものである。線光源アレイ画像Lにおけるそれぞれの光源画像(白領域W)の配置は、要素画像群Eのそれぞれの帯のほぼ中心に位置している。中心の白領域Wは、要素画像群Eの帯の中心に位置するが、左端(または右端)に向かうほど、対応する帯の中心からのずれが大きくなる。ただし、線光源アレイ画像Lにおけるそれぞれの光源画像(白領域W)の配置が、要素画像群Eのそれぞれの帯の中心に位置するように構成することも可能である。
【0074】
図10(a)における矩形領域Cの拡大図を図10(b)に示す。矩形領域Cには、要素画像群Eの一部として、左から順に、視点V1における縦長のピクセルライン、視点V2における縦長のピクセルライン、視点V3における縦長のピクセルライン、…、N番目の視点VNにおける縦長のピクセルライン、視点V1における縦長のピクセルライン、視点V2における縦長のピクセルラインを備えている。視点の数Nは、例えば10や20でもよい。なお、レンチキュラ方式で使用される要素画像の場合、右から順に視点1、視点2、…、視点Nとなって視点画像の並びが逆になる。
【0075】
次に、図11(c)に示すように、観察者Aの両眼が斜めで(水平から傾斜しており)、観察者Aの両眼を結ぶ直線と水平線Hとのなす角がθ(θ≠0:視点回転情報がθ度)であるものとする。このときに、図11(a)に示すように、視点回転情報に応じて、線光源アレイ画像Lと要素画像群Eとが回転する。言い換えれば、基準方向(三次元ディスプレイ10の垂直方向、Y軸方向)に対する線光源アレイ画像Lの線光源の角度と要素画像群Eの角度とが変化する。この回転角度は、360度全方向に対応可能であり、観察者Aは、どの方向から見ても、両眼視差のある三次元映像を観察できる。なお、図11(a)は、観察者Aが頭を左に傾け、それに合わせた向きに、線光源アレイ画像L(線状の白領域W)と要素画像群Eとが回転している様子を示している。これに対して図11(c)において、正面を向いた観察者Aが頭を右に傾けたように示されているのは、同じ図面の中で回転方向を直感的に把握できるようにするためである。
【0076】
[作用・効果]
以上のように、立体画像表示装置6Bは、第1実施形態と同様、高画質な立体映像を表示することができる。
さらに、立体画像表示装置6Bは、3D表示及び2D表示を容易に切り替えることができるので、レンズアレイ方式に比べて利便性に優れている。
さらに、立体画像表示装置6Bは、線光源方式により、多くの画素を輝点として用いることができるため、点光源方式と比べて、輝度を高くすることができる。
【0077】
(第2実施形態)
[立体画像表示システムの概略]
図12を参照し、第2実施形態に係る立体画像表示システム1Cの概要について、第1実施形態と異なる点を説明する。
【0078】
第1実施形態では立体画像表示システム1が点光源アレイ画像Pを表示したのに対し、第2実施形態では立体画像表示システム1Cがピンホールアレイ画像Rを表示する点が異なる。つまり、立体画像表示システム1Cは、インテグラル方式(ピンホール方式)の視点追従型立体表示システムであり、フィールド・シーケンシャル方式により時分割表示を行うものである。
【0079】
図12に示すように、立体画像表示システム1Cは、立体ディスプレイ2Cと、瞳位置推定用カメラ5と、立体画像表示装置6Cとを備える。立体ディスプレイ2Cは、要素画像群表示用ディスプレイ7と、光線方向制御画像表示用ディスプレイ8とを備える。瞳位置推定用カメラ5は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0080】
立体画像表示装置6Cは、要素画像群表示用ディスプレイ7と要素画像群表示用ディスプレイ7の前方に配置された光線方向制御画像表示用ディスプレイ8とを備える立体ディスプレイ2Cを用いて、要素画像で構成された要素画像群を観察者の瞳位置に追従して時分割表示するインテグラル方式の立体画像表示装置である。なお、立体画像表示装置6Cは、第1実施形態と同様、3D表示及び2D表示を切り替えることもできる。
【0081】
要素画像群表示用ディスプレイ7は、後記する立体画像表示装置6Cが生成した要素画像群を表示するものである。要素画像群表示用ディスプレイ7は、後記する光線方向制御画像表示用ディスプレイ8の後方に配置されたリアパネルである。例えば、要素画像群表示用ディスプレイ7としては、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイなどのフラットパネルディスプレイがあげられる。
【0082】
光線方向制御画像表示用ディスプレイ8は、立体画像表示装置6Cが生成した光線方向制御画像(ピンホールアレイ画像R)を表示するものである。光線方向制御画像表示用ディスプレイ8は、要素画像群表示用ディスプレイ7の前方に配置されたフロントパネルである。例えば、光線方向制御画像表示用ディスプレイ8としては、透過型液晶ディスプレイがあげられる。
【0083】
このように、立体ディスプレイ2Cは、要素画像群表示用ディスプレイ7と光線方向制御画像表示用ディスプレイ8とを2枚積層することで、インテグラル3D映像表示を行うことができる。
【0084】
[立体画像表示装置の構成]
図13に示すように、立体画像表示装置6Cは、カメラ画像入力手段60と、瞳位置推定手段61と、要素画像群生成手段62と、要素画像群表示手段64と、時分割制御手段66と、光線方向制御画像生成手段67と、光線方向制御画像表示手段68と、を備える。光線方向制御画像生成手段67及び光線方向制御画像表示手段68以外の各手段は、第1実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0085】
光線方向制御画像生成手段67は、フィールド毎に、要素画像に対応した光線方向制御画像を生成するものである。ここで、光線方向制御画像生成手段67は、光線方向制御画像として、ピンホールが2次元状に配列されたピンホールアレイを表すピンホールアレイ画像R(図12)を生成する。その後、光線方向制御画像生成手段67は、生成したピンホールアレイ画像を光線方向制御画像表示手段68に出力する。
【0086】
ピンホールアレイ画像Rは、図3の点光源アレイ画像Pと同様の画像である。ピンホールアレイ画像Rでは、白色の点が、後方に配置された要素画像群表示用ディスプレイ7からの光線方向を制御するピンホールの役割を有する。
【0087】
光線方向制御画像表示手段68は、光線方向制御画像生成手段67が生成した光線方向制御画像(ピンホールアレイ画像R)を光線方向制御画像表示用ディスプレイ8に表示させるものである。なお、光線方向制御画像表示手段68は、点光源アレイ画像Pの代わりにピンホールアレイ画像Rを表示する以外、図2の光源アレイ画像表示手段65と同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0088】
[作用・効果]
以上のように、立体画像表示装置6Cは、第1実施形態と同様、高画質な立体映像を表示することができる。
さらに、立体画像表示装置6Cは、3D表示及び2D表示を容易に切り替えることができるので、レンズアレイ方式に比べて利便性に優れている。
【0089】
(変形例2)
以下、変形例2に係る立体画像表示システム1Dについて、第2実施形態と異なる点を説明する。
第2実施形態では立体画像表示システム1Cがピンホールアレイ画像Rを表示したのに対し、変形例2では立体画像表示システム1Dがパララックスバリア画像Uを表示する点が異なる。
【0090】
図12に示すように、立体画像表示システム1Dは、立体ディスプレイ2Cと、瞳位置推定用カメラ5と、立体画像表示装置6Dとを備える。立体画像表示装置6D以外の各装置は、第2実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0091】
[立体画像表示装置の構成]
図13に示すように、立体画像表示装置6Dは、カメラ画像入力手段60と、瞳位置推定手段61と、要素画像群生成手段62Dと、要素画像群表示手段64と、時分割制御手段66と、光線方向制御画像生成手段67Dと、光線方向制御画像表示手段68と、を備える。要素画像群生成手段62D及び光線方向制御画像生成手段67D以外の各手段は、第2実施形態と同様のため、説明を省略する。
【0092】
要素画像群生成手段62Dは、要素画像群をパララックスバリア画像Uにあわせて回転させるものである。なお、要素画像群生成手段62Dの処理自体は、図2の要素画像群生成手段62Bと同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0093】
光線方向制御画像生成手段67Dは、光線方向制御画像として、パララックスバリアが1次元状に配列されたパララックスバリア画像Uを生成するものである。そして、光線方向制御画像生成手段67Dは、パララックスバリアの方向が観察者の両瞳位置を結んだ方向に直交するようにパララックスバリア画像Uを回転させる。なお、光線方向制御画像生成手段67Dの処理自体は、光源アレイ画像生成手段63Bと同様のため、これ以上の説明を省略する。
【0094】
パララックスバリア画像Uは、図8の線光源アレイ画像Lと同様の画像である。パララックスバリア画像Uでは、白色の線が、後方に配置された要素画像群表示用ディスプレイ7からの光線方向を制御するバララックスバリアの役割を有する。
【0095】
以上のように、立体画像表示装置6Dは、第2実施形態と同様、高画質な立体映像を表示することができる。
さらに、立体画像表示装置6Dは、3D表示及び2D表示を容易に切り替えることができるので、レンズアレイ方式に比べて利便性に優れている。
さらに、立体画像表示装置6Dは、パララックスバリア方式により、多くの光線を透過させることができるため、ピンホール方式と比べて、輝度を高くすることができる。
【0096】
以上、実施形態を詳述してきたが、本発明は前記した実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0097】
前記した実施形態では、立体画像表示装置が独立したハードウェアであることとして説明したが、本発明は、これに限定されない。例えば、本発明は、コンピュータが備えるCPU、メモリ、ハードディスク等のハードウェア資源を、前記した立体画像表示装置として機能させるためのプログラムで実現することもできる。このプログラムは、通信回線を介して配布してもよく、CD-ROMやフラッシュメモリ等の記録媒体に書き込んで配布してもよい。
【符号の説明】
【0098】
1,1B,1C,1D 立体画像表示システム
2,2C 立体ディスプレイ
3 要素画像群表示用ディスプレイ
4 光源アレイ画像表示用ディスプレイ
5 瞳位置推定用カメラ
6,6B,6C,6D 立体画像表示装置
7 要素画像群表示用ディスプレイ
8 光線方向制御画像表示用ディスプレイ
60 カメラ画像入力手段
61 瞳位置推定手段
62,62B 要素画像群生成手段
63,63B 光源アレイ画像生成手段
64 要素画像群表示手段
65 光源アレイ画像表示手段
66 時分割制御手段
67,67D 光線方向制御画像生成手段
68 光線方向制御画像表示手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16