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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153285
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】マイクアンプ回路
(51)【国際特許分類】
   H04R 3/00 20060101AFI20241022BHJP
【FI】
H04R3/00 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067082
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000191238
【氏名又は名称】日清紡マイクロデバイス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根本 竜平
【テーマコード(参考)】
5D220
【Fターム(参考)】
5D220BC08
(57)【要約】
【課題】本発明の目的は、出力信号のダイナミックレンジを確保できるマイクアンプ回路を提供することである。
【解決手段】本発明の1つの側面にかかるマイクアンプ回路は、入力ノードに接続されたゲートと基準レベル側の第1のノードに接続されたドレインと第2のノードに接続されたソースとを有する第1のトランジスタと、前記第1のノードと前記基準レベルとの間に接続された抵抗素子と、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に接続されたフィードバック回路と、前記第2のノードの電圧が閾値を下回ることに応じて前記フィードバック回路を非活性化させ、前記第2のノードの電圧が閾値を上回ることに応じて前記フィードバック回路を活性化させる制御回路と、を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力ノードに接続されたゲートと基準レベル側の第1のノードに接続されたドレインと第2のノードに接続されたソースとを有する第1のトランジスタと、
前記第1のノードと前記基準レベルとの間に接続された抵抗素子と、
前記第1のノードと前記第2のノードとの間で前記第1のトランジスタに並列に接続されたフィードバック回路と、
前記第2のノードの電圧が閾値を下回ることに応じて前記フィードバック回路を非活性化させ、前記第2のノードの電圧が閾値を上回ることに応じて前記フィードバック回路を活性化させる制御回路と、
を備えたマイクアンプ回路。
【請求項2】
前記入力ノードに接続されたゲートと前記基準レベルに接続されたドレインと前記第2のノードに接続されたソースとを有する第2のトランジスタをさらに備えた
請求項1に記載のマイクアンプ回路。
【請求項3】
前記制御回路の出力ノードに接続されたゲートと前記第1のノードに接続されたドレインと前記基準レベルに接続されたソースとを有する第3のトランジスタをさらに備えた
請求項1に記載のマイクアンプ回路。
【請求項4】
前記第2のノードに接続された電流源をさらに備え、
前記制御回路は、前記第2のノードの電圧が閾値を下回ることに応じて、前記フィードバック回路を非活性化させると共に前記電流源を活性化させ、前記第2のノードの電圧が閾値を上回ることに応じて、前記フィードバック回路を活性化させると共に前記電流源を非活性化させる
請求項1に記載のマイクアンプ回路。
【請求項5】
前記フィードバック回路は、
前記第1のノードに接続された入力ノードと出力ノードとを有するアンプと、
前記第2のノードの側に配された第1の端子と電源電圧に接続された第2の端子と前記アンプの出力ノードに接続された第3の端子と制御端子とを有し、前記制御端子で受ける信号のレベルに応じて、前記第1の端子及び前記第2の端子が接続された第1の接続状態と前記第1の端子及び前記第3の端子が接続された第2の接続状態とを切り替え可能であるスイッチと、
を有し、
前記制御回路は、
前記第2のノードに接続された第1の入力ノードと参照電圧に接続された第2の入力ノードと前記スイッチの制御端子に接続された出力ノードとを有するコンパレータを有する
請求項1に記載のマイクアンプ回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書の実施形態は、マイクアンプ回路に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクアンプ回路では、ドレイン接地接続されたトランジスタが用いられることがある。マイクアンプ回路では、トランジスタをソースフォロワとして機能させる。マイクアンプ回路は、トランジスタのゲートで受けた入力信号に応じて、トランジスタのソースから出力信号を出力させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2015/0117675号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
マイクアンプ回路では、出力信号の振幅に応じてトランジスタのドレイン電流が変動すると、トランジスタのゲート・ソース間電圧が変動し、変動による高調波成分が出力信号に混入する。
【0005】
それに対して、トランジスタのドレイン・ソース間にフィードバック回路を追加することで、ドレイン電流の変動を抑制することが考えられる。このとき、フィードバック回路によるフィードバックが過剰にかかり、出力信号のダイナミックレンジが制限されることがある。
【0006】
本発明の目的は、出力信号のダイナミックレンジを確保できるマイクアンプ回路を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の1つの側面にかかるマイクアンプ回路は、入力ノードに接続されたゲートと基準レベル側の第1のノードに接続されたドレインと第2のノードに接続されたソースとを有する第1のトランジスタと、前記第1のノードと前記基準レベルとの間に接続された抵抗素子と、前記第1のノードと前記第2のノードとの間に接続されたフィードバック回路と、前記第2のノードの電圧が閾値を下回ることに応じて前記フィードバック回路を非活性化させ、前記第2のノードの電圧が閾値を上回ることに応じて前記フィードバック回路を活性化させる制御回路と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マイクアンプ回路の出力信号のダイナミックレンジを確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係るマイクアンプ回路の構成を示す回路図。
図2】第1の実施形態に係るマイクアンプ回路の動作を示す波形図。
図3】第2の実施形態に係るマイクアンプ回路の構成を示す回路図。
図4】第3の実施形態に係るマイクアンプ回路の構成を示す回路図。
図5】第4の実施形態に係るマイクアンプ回路の構成を示す回路図。
図6】ドレイン接地接続されたトランジスタを用いたマイクアンプ回路の構成を示す回路図。
図7】ドレイン接地接続されたトランジスタを用いフィードバック回路が追加されたマイクアンプ回路の構成を示す回路図。
図8】ドレイン接地接続されたトランジスタを用いフィードバック回路が追加されたマイクアンプ回路の動作を示す波形図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、マイクアンプ回路の実施形態について詳細に説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作を行うものとして、重複する説明は適宜省略する。
【0011】
(第1の実施形態)
第1の実施形態に係るマイクアンプ回路は、ドレイン接地接続されたトランジスタが用いられ、トランジスタのゲートで受けた入力信号に応じて、トランジスタのソースから出力信号を出力させるが、出力信号のダイナミックレンジを確保するための工夫が施される。
【0012】
マイクアンプ回路は、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイクロフォンなどのマイクロフォンにおけるインピーダンス変換に用いられる。マイクアンプ回路は、大振幅の電圧を扱うことに伴い、全高調波歪(THD)、ノイズ、ドライブ能力、最大出力振幅(AOP:Acoustic Overload Point)などについて要求される特性を考慮して構成される。最大出力振幅は、出力信号のダイナミックレンジに対応する。
【0013】
例えば、マイクアンプ回路100は、図1に示すように、入力ノードNIN及び出力ノードNOUTを有する。図1は、マイクアンプ回路100の構成を示す回路図である。マイクアンプ回路100は、入力ノードNINで受けた入力信号VINを処理し、処理後の信号を出力信号VOUTとして出力ノードNOUTから後段の回路(図示せず)へ出力する。
【0014】
マイクアンプ回路100は、入力ノードNIN及び出力ノードNOUTの間にトランジスタ1を有する。トランジスタ1は、ドレイン接地接続される。トランジスタ1は、ソースフォロワとして機能する。
【0015】
トランジスタ1は、PMOSトランジスタであってもよい。トランジスタ1は、ソースがノードNに接続され、ドレインがノードNに接続され、ゲートが入力ノードNINに接続される。ノードNは、出力ノードNOUTに接続される。
【0016】
マイクアンプ回路100は、抵抗素子3、フィードバック回路4、制御回路6、及び電流源8をさらに有する。
【0017】
抵抗素子3は、一端がノードNに接続され、他端が基準レベル(例えば、グランドレベル)VGNDに接続される。抵抗素子3は、所定の抵抗値を有する。所定の抵抗値は、トランジスタ1がソースフォロワとして機能するのに適した値として、予め実験的に決められ得る。所定の抵抗値は、ノードNに発生する内部信号Vを収束させるべき所定の目標レベルVtに応じて、予め実験的に決められてもよい。
【0018】
トランジスタ1は、入力ノードNINからの入力信号VINをゲートで受ける。トランジスタ1は、入力信号VINに応じてソース・ドレイン間にドレイン電流Iを流し、ドレイン電流Iに応じたゲート・ソース間電圧ΔVGS分シフトした出力信号VOUTをソース側に発生させ、出力信号VOUTをソース側からノードNへ供給する。
【0019】
フィードバック回路4は、ノードNとノードNとの間でトランジスタ1に並列に接続される。フィードバック回路4は、入力ノード4a、出力ノード4b、制御ノード4c、電源ノード4d、電源ノード4eを有する。入力ノード4aは、ノードNに接続される。出力ノード4bは、ノードNに接続される。制御ノード4cは、制御回路6に接続される。電源ノード4dは、電源レベルVDDに接続される。電源ノード4eは、電源レベルVDDに接続される。
【0020】
フィードバック回路4は、ノードNに発生する内部信号VをノードNから入力ノード4aで受ける。フィードバック回路4は、内部信号Vに応じたフィードバック電流IFBを生成して出力ノード4bからノードNへフィードバック可能である。フィードバック電流IFBがノードNに流れ込むことなどに応じて、ドレイン電流Iの変動が抑制され、ノードNの内部信号Vのレベルが所定の目標レベルVt近傍に安定化され得る。これにより、トランジスタ1のソースフォロワ動作の線形性を向上でき、全高調波歪を低減できる。
【0021】
フィードバック回路4は、アンプ41、スイッチ7、トランジスタ5を含む。
【0022】
フィードバック回路4では、アンプ41及びトランジスタ5間にスイッチ7が介在し、スイッチ7の制御端子74で受けるレベルに応じて非活性化・活性化される。アンプ41、スイッチ7、トランジスタ5を含む構成は、オープンドレイン型のアンプを構成しているとみなすこともできる。
【0023】
フィードバック回路4は、ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路を形成可能である。フィードバック経路は、ノードN→アンプ41→スイッチ7→トランジスタ5→ノードN→トランジスタ1→ノードNの経路を含む。アンプ41、スイッチ7、トランジスタ5は、フィードバック経路に含まれる。
【0024】
アンプ41は、ノードN及びスイッチ7の間に接続される。アンプ41は、入力ノード41a及び出力ノード41bを有する。入力ノード41aは、ノードNに接続される。出力ノード41bは、スイッチ7に接続される。
【0025】
スイッチ7は、アンプ41及びトランジスタ5の間に接続される。スイッチ7は、端子71、端子72、端子73、制御端子74を有する。端子71は、ノードNの側に配され、トランジスタ5を介してノードNに接続される。端子72は、電源レベルVDDに接続される。端子73は、アンプ41に接続される。制御端子74は、制御回路6に接続される。
【0026】
スイッチ7は、第1の接続状態と第2の接続状態とを切り替え可能である。第1の接続状態は、端子71及び端子72が接続された状態である。第2の接続状態は、端子71及び端子73が接続された状態である。スイッチ7は、制御端子74で受けるレベルに応じて、第1の接続状態と第2の接続状態とを切り替えてもよい。スイッチ7は、制御端子74でHレベルを受けた際に、第1の接続状態に切り替える。スイッチ7は、制御端子74でLレベルを受けた際に、第2の接続状態に切り替える。
【0027】
トランジスタ5は、ノードN及びスイッチ7の間に接続される。トランジスタ5は、PMOSトランジスタであってもよい。トランジスタ5は、ソース接地接続される。トランジスタ5は、ゲートがスイッチ7に接続され、ソースが電源レベルVDDに接続され、ドレインがノードNに接続される。
【0028】
制御回路6は、ノードN及びフィードバック回路4の間に接続される。制御回路6は、入力ノード6a及び出力ノード6bを有する。入力ノード6aは、ノードNに接続される。出力ノード6bは、フィードバック回路4に接続される。
【0029】
制御回路6は、ノードNから入力ノード6aで受けた出力信号VOUTに応じて、フィードバック回路4を制御する。制御回路6は、出力信号VOUTのレベルが閾値を下回ることに応じてフィードバック回路4を非活性化させる。制御回路6は、出力信号VOUTのレベルが閾値を上回ることに応じてフィードバック回路4を活性化させる。
【0030】
制御回路6は、コンパレータ61を含む。コンパレータ61は、入力ノード61a、入力ノード61b及び出力ノード61cを有する。入力ノード61aは、例えば反転入力ノードであり、ノードNに接続される。入力ノード61bは、例えば非反転入力ノードであり、参照信号VREFに接続される。出力ノード61cは、スイッチ7に接続される。参照信号VREFは、略一定のレベルを有する。参照信号VREFは、信号レベルが減少変化する際の目標レベルVtの直前に相当する。参照信号VREFのレベルは、所定の目標レベルVtより若干大きくてもよい。参照信号VREFのレベルと所定の目標レベルVtとの差分は、制御回路6の動作速度を考慮したマージンとして、予め実験的に決められ得る。
【0031】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルと参照信号VREFのレベルとを比較し、比較結果VCMを生成してスイッチ7へ供給する。
【0032】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを下回ることに応じて、Hレベルの比較結果VCMをスイッチ7の制御端子74へ供給する。Hレベルの比較結果VCMに応じて、スイッチ7がその接続状態を第1の接続状態に切り替え、フィードバック回路4が非活性化される。これにより、ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第1の接続状態)の箇所で遮断される。
【0033】
このとき、トランジスタ5は、ゲートで電源レベルVDDを受け、オフ状態に維持される。
【0034】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回ることに応じて、Lレベルの比較結果VCMをスイッチ7の制御端子74へ供給する。Lレベルの比較結果VCMに応じて、スイッチ7がその接続状態を第2の接続状態に切り替え、フィードバック回路4が活性化される。これにより、ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第2の接続状態)の箇所で復帰し、その後、フィードバック経路が維持される。
【0035】
このとき、ノードNに発生する内部信号Vに応じてアンプ41で制御信号VFBが生成されスイッチ7経由でトランジスタ5へ供給される。トランジスタ5は、ゲートに制御信号VFBを受け、オン状態に維持されるとともに、制御信号VFBに応じたフィードバック電流IFBをドレインに発生させてノードNへ流し込む。
【0036】
電流源8は、電源レベルVDD及びノードNの間に接続される。電流源8は、一端が電源レベルVDDに接続され、他端がノードNに接続される。電流源8は、定電流源であってもよく、所定のバイアス電圧を受け、所定のバイアス電圧に応じた定電流を発生させてノードNへ供給する。
【0037】
なお、ノードNへの電流供給は、トランジスタ5及び電流源8により行われるため、実質的にはトランジスタ5のフィードバック電流IFBは所望のドレイン電流から一定の電流を差し引いた電流に調整され得る。
【0038】
マイクアンプ回路100は、ノードNを介して出力ノードNOUTに電流源8が接続され、電流源8からノードNへ所定のバイアス電圧に応じた電流を供給可能である。それとともに、マイクアンプ回路100は、ノードNを介して出力ノードNOUTに制御回路6が接続され、出力信号VOUTの振幅が制御回路6で検出可能である。マイクアンプ回路100は、出力信号VOUTのレベルが内部信号Vの目標レベルVtにかかる前にフィードバック回路4によるフィードバック制御を停止するように構成される。これにより、例えば、定電流源8の電流と負荷に流れるシンク電流との和が抵抗素子3に流れ、内部信号Vの目標レベルVtより低いレベルまで出力信号VOUTのレベルを引き下げることができる。すなわち、マイクアンプ回路100は、可能な範囲でフィードバック制御を行うことができ、例えばほぼフルスイング出力が可能である。この結果、マイクアンプ回路100は、全高調波歪(THD)を低減でき、最大出力振幅(AOP)を向上できる。
【0039】
次に、マイクアンプ回路100の動作について図2を用いて説明する。図2は、マイクアンプ回路100の動作を示す波形図である。
【0040】
タイミングt1の直前において、トランジスタ1は、ソースフォロワ動作を行い、一点鎖線で示す入力信号VINをゲートで受け、入力信号VINに応じた出力信号VOUTをソースに発生させる。
【0041】
このとき、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回っていることに応じて、制御回路6は、Lレベルの比較結果VCMをスイッチ7へ供給している。これにより、スイッチ7が第2の接続状態に切り替えており、フィードバック回路4は、活性化されている。
【0042】
ドレイン電流Iに応じた内部信号Vのレベルは、フィードバック回路4によりフィードバック制御される。フィードバック回路4は、内部信号Vに応じたフィードバック電流IFBを生成して出力ノード4bからノードNへフィードバックする。これにより、フィードバック電流IFBがノードNへ流れ込むことなどに応じて、ドレイン電流Iの変動が抑制され、ノードNに発生する内部信号Vのレベルが、実線で示すように、所定の目標レベルVtに安定化され得る。
【0043】
また、ドレイン電流Iの変動が抑制されるため、トランジスタ1は、そのソースフォロワ動作の線形性が向上され得る。これにより、出力信号VOUTは、点線で示すように、ゲート・ソース間電圧ΔVGSが略一定に維持されるように、入力信号VINに追従して変化する。
【0044】
タイミングt1において、点線で示す出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを下回ると、制御回路6は、比較結果VCMをLレベルからHレベルに反転させてスイッチ7へ供給し始める。これに応じて、スイッチ7が第2の接続状態から第1の接続状態に切り替え、フィードバック回路4は、非活性化され始める。
【0045】
フィードバック回路4において、ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第1の接続状態)の箇所で遮断され、そのフィードバック制御が停止される。
【0046】
タイミングt1~t2の期間において、フィードバック回路4によるフィードバック制御が停止された状態が維持される。ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第1の接続状態)の箇所で遮断された状態が維持される。
【0047】
このとき、電流源8はノードNに電流を供給し続けているが、フィードバック制御の停止に伴い、トランジスタ5がオフ状態に維持され、トランジスタ5からノードNへの電流供給が停止される。これにより、ドレイン電流Iが減少し得ることなどにより、内部信号Vのレベルが、実線で示すように、概ね、入力信号VINに追従して変化し得る。これに応じて、出力信号VOUTは、点線で示すように、概ね、入力信号VINに追従して変化し得る。
【0048】
タイミングt2において、点線で示す出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回ると、制御回路6は、比較結果VCMをHレベルからLレベルに反転させてスイッチ7へ供給し始める。これに応じて、スイッチ7が第1の接続状態から第2の接続状態に切り替え、フィードバック回路4は、活性化され始める。
【0049】
ドレイン電流Iに応じた内部信号Vのレベルは、フィードバック回路4によりフィードバック制御され始める。フィードバック回路4は、内部信号Vに応じたフィードバック電流IFBを生成して出力ノード4bからノードNへフィードバックし始める。
【0050】
これに応じて、タイミングt2~t3の期間において、フィードバック電流IFBがノードNへ流れ込むことなどに応じて、ドレイン電流Iの変動が抑制され、ノードNに発生する内部信号Vのレベルが、実線で示すように、所定の目標レベルVtに安定化され得る。
【0051】
また、ドレイン電流Iの変動が抑制されるため、トランジスタ1は、そのソースフォロワ動作の線形性が向上され得る。これにより、出力信号VOUTは、点線で示すように、ゲート・ソース間電圧ΔVGSが略一定に維持されるように、入力信号VINに追従して変化する。
【0052】
タイミングt3以降において、タイミングt1~t3と同様の動作が行われる。
【0053】
以上のように、本実施形態では、マイクアンプ回路100において、出力信号VOUTのレベルが内部信号Vの目標レベルVtに達する前にフィードバック回路4を非活性化しフィードバック経路を遮断しフィードバック制御を停止する。これにより、例えば大振幅動作時に、出力信号VOUTのレベルを目標レベルVtより低いレベルまで変化させることができる。この結果、出力信号VOUTのダイナミックレンジを容易に確保でき、最大出力振幅(AOP)を向上できる。
【0054】
また、本実施形態では、マイクアンプ回路100において、フィードバック回路4は、出力信号VOUTのレベルが内部信号Vの目標レベルVtより高い期間に、内部信号Vのレベルを目標レベルVtにフィードバック制御し、出力信号VOUTのレベルが目標レベルVtの直前に相当する参照信号VREFのレベルを下回るとフィードバック制御を停止し、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回るとフィードバック制御を再開する。これにより、マイクアンプ回路100は、可能な範囲でフィードバック制御を行うことができるとともに、出力信号VOUTのレベルを目標レベルVtより低いレベルまで変化させることができる。例えば、マイクアンプ回路100は、ほぼフルスイング出力が可能である。この結果、マイクアンプ回路100は、全高調波歪(THD)を低減できるとともに、最大出力振幅(AOP)を向上できる。
【0055】
例えば、図6に示すマイクアンプ回路800は、ドレイン接地接続されたトランジスタ801及び抵抗素子802を有する。図6は、ドレイン接地接続されたトランジスタ801を用いたマイクアンプ回路800の構成を示す回路図である。トランジスタ801は、例えばPMOSトランジスタであり、ゲートが入力ノードNIN800に接続され、ソースがノードN802経由で出力ノードNOUT800に接続され、ドレインが基準レベル(例えば、グランドレベル)VGNDに接続される。トランジスタ801は、ソースフォロワ動作が可能である。トランジスタ801は、入力ノードNIN800からゲートで受けた入力信号VIN800に応じて、出力信号VOUT800をソースから出力ノードNOUT800へ出力させる。
【0056】
マイクアンプ回路800では、例えば入力信号VIN800のレベルに対する出力信号VOUT800のレベルが約1倍になるが、出力信号VOUT800のレベルに応じて抵抗素子802にかかる電圧が変化する。このため、出力信号VOUT800のレベルに応じてトランジスタ801に流れるドレイン電流ID800が変化する事となり、ソースフォロワ動作の線形性が低下し、信号に混入する高調波歪成分が増加しやすく、全高調波歪(THD)が増加しやすい。
【0057】
また、マイクアンプ回路800は、トランジスタ801に対して電源レベルVDD側に抵抗素子802が接続されるため、トランジスタ801の駆動電流が抵抗素子802の抵抗値で制限されることになる。これにより、出力ノードNOUT800の出力先に重い負荷を接続して駆動することが困難であり、マイクアンプ回路800のドライブ能力の確保が困難である。
【0058】
それに対して、図7に示すように、マイクアンプ回路900にフィードバック回路904を追加することが考えられる。図7は、ドレイン接地接続されたトランジスタ901を用いフィードバック回路904が追加されたマイクアンプ回路900の構成を示す回路図である。
【0059】
マイクアンプ回路900は、抵抗素子903がトランジスタ901のドレイン側に接続され、その抵抗素子903にドレイン電流ID900が流れてノードN901に発生する内部信号VD900のレベルが所定の目標レベルVt900になるようにフィードバック回路904でフィードバック制御される。
【0060】
フィードバック回路904は、アンプ941及びトランジスタ905を有する。アンプ941は、入力ノード941aが、ノードNに接続され、入力ノード941bが、参照信号VREF900に接続され、出力ノード941cが、トランジスタ905に接続される。トランジスタ905は、例えばPMOSトランジスタであり、ゲートがアンプ941に接続され、ソースが電源レベルVDDに接続され、ドレインがノードN902に接続される。
【0061】
フィードバック回路904は、ノードN901に発生する内部信号VD900のレベルが所定の目標レベルVt900になるようにフィードバック制御する。目標レベルVt900は、参照信号VREF900に応じたレベルである。このため、トランジスタ901に流れるドレイン電流ID900が略一定に制御され得る。トランジスタ901のソースフォロワ動作の線形性が向上され、全高調波歪(THD)が低減され得る。
【0062】
マイクアンプ回路900では、トランジスタ901に対して電源レベルVDD側に接続されるのがトランジスタ905であり、トランジスタ901の駆動電流の確保が容易である。これにより、出力ノードNOUT900の出力先に重い負荷を接続して駆動することが容易であり、マイクアンプ回路900のドライブ能力の確保が容易である。
【0063】
しかし、図7に示すマイクアンプ回路900は、図8に示すように、フィードバック回路904によるフィードバック制御によりノードN901が参照信号VREF900に応じたレベルとなるため、出力信号VOUT900のダイナミックレンジが制限され、最大出力振幅(AOP)が低下することがある。図8は、ドレイン接地接続されたトランジスタ901を用いフィードバック回路904が追加されたマイクアンプ回路900の動作を示す波形図である。
【0064】
タイミングt11~t13において、フィードバック回路904は、内部信号VD900のレベルを目標レベルVt900にフィードバック制御し続けている。目標レベルVt900は、参照信号VREF900に応じたレベルである。
【0065】
一方、出力信号VOUT900のレベルは、タイミングt11の直前までは入力信号VIN900に追従して変化しているが、タイミングt11~t12の期間に所定の目標レベルVt900になるようにクリップされる。出力信号VOUT900のレベルは、タイミングt12~t13の期間に、再び、入力信号VIN900に追従して変化するようになる。
【0066】
すなわち、マイクアンプ回路900では、タイミングt11~t12の期間に、フィードバック回路904によるフィードバック制御により、出力信号VOUT900のレベルが目標レベルVt900以上に制限される。これにより、出力信号VOUT900のダイナミックレンジが制限される。
【0067】
それに対して、本実施形態のマイクアンプ回路100では、フィードバック回路4は、出力信号VOUTのレベルが内部信号Vの目標レベルVtより高い期間に、内部信号Vのレベルを目標レベルVtにフィードバック制御し、出力信号VOUTのレベルが目標レベルVtの直前に相当する参照信号VREFのレベルを下回るとフィードバック制御を停止し、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回るとフィードバック制御を再開する。これにより、マイクアンプ回路100は、可能な範囲でフィードバック制御を行うことができるとともに、出力信号VOUTのレベルを目標レベルVtより低いレベルまで変化させることができる。例えば、マイクアンプ回路100は、ほぼフルスイング出力が可能である。この結果、マイクアンプ回路100は、全高調波歪(THD)を低減できるとともに、最大出力振幅(AOP)を向上できる。
【0068】
また、本実施形態のマイクアンプ回路100は、図7に示すマイクアンプ回路900に比べると、電流源8、スイッチ7、アンプ41に相当する構成の追加で済み、回路規模の増加が抑制されている。
【0069】
なお、図1に示すコンパレータ61の極性は反転されてもよい。例えば、コンパレータ61の入力ノード61aが非反転入力ノードであってもよく、コンパレータ61の入力ノード61bが反転入力ノードであってもよい。この場合、コンパレータ61の出力ノード61cと出力先との間にインバータを挿入することで、上記の説明における「コンパレータ61の出力」を「インバータの出力」と置き換えることで、上記の説明を適用できる。
【0070】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態にかかるマイクアンプ回路200について説明する。以下では、第1の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0071】
第1の実施形態では、フィードバック経路を遮断可能なマイクアンプ回路100の構成が例示されるが、第2の実施形態では、さらにフィードバック経路遮断時の動作特性を考慮したマイクアンプ回路200の構成が例示される。
【0072】
マイクアンプ回路200は、マイクアンプ回路100(図1参照)に対して、図3に示すように、トランジスタ201をさらに有する。図3は、第2の実施形態に係るマイクアンプ回路200の構成を示す回路図である。
【0073】
トランジスタ201は、ノードNと基準レベルVGNDとの間でトランジスタ1と並列に接続される。トランジスタ201は、ドレイン接地接続される。トランジスタ201は、トランジスタ1とともに、ソースフォロワとして機能する。
【0074】
トランジスタ201は、PMOSトランジスタであってもよい。トランジスタ201は、ソースがノードN及び電流源8に接続され、ドレインが基準レベルVGNDに接続され、ゲートが入力ノードNINに接続される。ノードNは、出力ノードNOUTに接続される。
【0075】
なお、トランジスタ201は、ドレインに抵抗素子が接続されていないため、トランジスタ1に比べて、ノードNのレベルを低レベル側へ引き込むことが容易である。
【0076】
マイクアンプ回路200において、入力信号VINはトランジスタ201とトランジスタ1とにそれぞれ入力される。トランジスタ201とトランジスタ1とは、互いに同じゲート・ソース端子に接続されていることから、両者のディメンジョン(=「チャネル幅」/「チャネル長」)の比に比例した電流が流れている。
【0077】
トランジスタ201のディメンジョンをD201とし、トランジスタ1のディメンジョンをDとし、トランジスタ201のドレイン電流をID201とし、トランジスタ1のドレイン電流をID1とすると、次の数式1が成り立つ。
D201:ID1=D201:D・・・数式1
【0078】
フィードバック回路4は、ノードNに発生する内部信号Vのレベルが目標レベルVtになるようにフィードバック制御する。これにより、抵抗素子3の両端電圧も目標レベルVtになるように制御される。これにより、トランジスタ1のドレイン電流をID1が略一定に制御され得る。それによって、数式1に示すように、トランジスタ201のドレイン電流をID201も略一定に制御され得る。
【0079】
入力信号VINが小信号であれば、トランジスタ201とトランジスタ1とにはそれぞれ略一定のドレイン電流ID201,ID1が流れ、入力信号VINに対してそれぞれゲート・ソース間電圧ΔVGSでシフトした出力信号VOUTが得られる。
【0080】
入力信号VINが大信号である場合、例えば、図2に示すタイミングt1~t2の期間において、フィードバック回路4によるフィードバック制御が停止された状態が維持される。ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第1の接続状態)の箇所で遮断された状態が維持される。
【0081】
このとき、フィードバック制御の停止に伴い、トランジスタ5からノードNへの電流供給が停止される。トランジスタ1に加えてトランジスタ201があることで、ノードNのレベルを低レベル側へ引き込むためのドライブ能力を確保できる。
【0082】
すなわち、ノードNへ流れ込む電流量が減少し、トランジスタ1のドレイン電流ID1が減少し得るとともに、トランジスタ201がドレイン電流ID201を流してノードNから電荷を引き抜く。これに応じて、出力信号VOUTは、より追従性よく、入力信号VINに追従して変化し得る。
【0083】
より追従性がよいとは、例えば、第1の実施形態に比べて、タイミングt1とt2との間におけるゲート・ソース間電圧ΔVGSがタイミングt1の直前のゲート・ソース間電圧ΔVGSにより近くなることを意味する。
【0084】
なお、電流源8があることで、タイミングt1~t2の期間の後半において、ノードNのレベルを高レベル側へ上昇させるためのドライブ能力も確保され得る。
【0085】
以上のように、第2の実施形態では、マイクアンプ回路200において、フィードバック経路遮断時に、ドレインに抵抗素子が接続されていないトランジスタ201がノードNのレベルを低レベル側へ引き込む。これにより、内部信号Vのレベルが、より追従性よく、入力信号VINに追従して変化し得る。これに応じて、出力信号VOUTは、より追従性よく、入力信号VINに追従して変化し得る。この結果、マイクアンプ回路200は、全高調波歪(THD)をさらに低減できるとともに、最大出力振幅(AOP)をさらに向上できる。
【0086】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態にかかるマイクアンプ回路300について説明する。以下では、第1の実施形態及び第2の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0087】
第1の実施形態では、フィードバック経路を遮断可能なマイクアンプ回路100の構成が例示されるが、第3の実施形態では、さらにフィードバック経路遮断時の動作特性を考慮したマイクアンプ回路300の構成が例示される。
【0088】
マイクアンプ回路300は、マイクアンプ回路100(図1参照)に対して、図4に示すように、トランジスタ309をさらに有する。図4は、第3の実施形態に係るマイクアンプ回路300の構成を示す回路図である。
【0089】
トランジスタ309は、ノードNと基準レベルVGNDとの間で抵抗素子3と並列に接続される。トランジスタ309は、ノードNを抵抗素子3にバイパスして基準レベルVGNDへ接続する。
【0090】
トランジスタ309は、NMOSトランジスタであってもよい。トランジスタ309は、ソースが基準レベルVGNDに接続され、ドレインがノードNに接続され、ゲートが制御回路6の出力ノード6bに接続される。
【0091】
制御回路6は、ノードNから入力ノード6aで受けた出力信号VOUTに応じて、トランジスタ309をさらに制御する。制御回路6は、出力信号VOUTのレベルが閾値を下回ることに応じてトランジスタ309をオン状態に維持する。制御回路6は、出力信号VOUTのレベルが閾値を上回ることに応じてトランジスタ309をオフ状態に維持する。
【0092】
トランジスタ309は、ゲートがコンパレータ61の出力ノード61cに接続される。
【0093】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを下回ることに応じて、Hレベルの比較結果VCMをトランジスタ309のゲートへ供給する。これにより、トランジスタ309は、オン状態に維持され、ノードNのレベルを低レベル側へ引き込む。
【0094】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回ることに応じて、Lレベルの比較結果VCMをトランジスタ309のゲートへ供給する。これにより、トランジスタ309は、オフ状態に維持され、ノードNの低レベル側への引き込みを解除する。
【0095】
フィードバック回路4は、ノードNに発生する内部信号Vのレベルが目標レベルVtになるようにフィードバック制御する。これにより、抵抗素子3の両端電圧も目標レベルVtになるように制御される。これにより、トランジスタ1のドレイン電流Iが略一定に制御され得る。
【0096】
入力信号VINが小信号であれば、トランジスタ1には略一定のドレイン電流Iが流れ、入力信号VINに対してゲート・ソース間電圧ΔVGSでシフトした出力信号VOUTが得られる。
【0097】
入力信号VINが大信号である場合、例えば、図2に示すタイミングt1において、点線で示す出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを下回ると、制御回路6は、比較結果VCMをHレベルからLレベルに反転させてスイッチ7及びトランジスタ309へ供給し始める。これに応じて、スイッチ7が第2の接続状態から第1の接続状態に切り替え、フィードバック回路4は、非活性化され始める。トランジスタ309が、オンし、オン状態を維持する。
【0098】
タイミングt1~t2の期間において、フィードバック回路4によるフィードバック制御が停止された状態が維持されるとともに、トランジスタ309がオン状態に維持される。
【0099】
このとき、フィードバック制御の停止に伴い、トランジスタ5からノードNへの電流供給が停止される。トランジスタ309があることで、ノードNのレベルを低レベル側へ引き込むためのドライブ能力を確保できる。
【0100】
すなわち、ノードNへ流れ込む電流量が減少し、トランジスタ1のドレイン電流ID1が減少し得るとともに、トランジスタ309が抵抗素子3をバイパスしてドレイン電流を流しノードNから電荷を引き抜く。これに応じて、出力信号VOUTは、より追従性よく、入力信号VINに追従して変化し得る。
【0101】
より追従性がよいとは、例えば、第1の実施形態に比べて、タイミングt1とt2との間におけるゲート・ソース間電圧ΔVGSがタイミングt1の直前のゲート・ソース間電圧ΔVGSにより近くなることを意味する。
【0102】
なお、電流源8があることで、タイミングt1~t2の期間の後半において、ノードNのレベルを高レベル側へ上昇させるためのドライブ能力も確保され得る。
【0103】
以上のように、第3の実施形態では、マイクアンプ回路300において、フィードバック経路遮断時に、抵抗素子3をバイパスして基準レベルVGNDに接続されたトランジスタ309がノードNのレベルを低レベル側へ引き込む。これにより、内部信号Vのレベルが、より追従性よく、入力信号VINに追従して変化し得る。これに応じて、出力信号VOUTは、より追従性よく、入力信号VINに追従して変化し得る。この結果、マイクアンプ回路300は、全高調波歪(THD)をさらに低減できるとともに、最大出力振幅(AOP)をさらに向上できる。
【0104】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態にかかるマイクアンプ回路400について説明する。以下では、第1の実施形態から第3の実施形態と異なる部分を中心に説明する。
【0105】
第2の実施形態では、フィードバック経路遮断時の動作特性を考慮したマイクアンプ回路200の構成が例示されるが、第4の実施形態では、さらにフィードバック経路接続時の消費電力を考慮したマイクアンプ回路400の構成が例示される。
【0106】
マイクアンプ回路400は、マイクアンプ回路200(図3参照)に対して、図5に示すように、スイッチ410をさらに有する。図5は、第4の実施形態に係るマイクアンプ回路400の構成を示す回路図である。
【0107】
スイッチ410は、電流源8及びノードNの間に接続される。スイッチ410は、端子4101、端子4102、制御端子4103を有する。端子4101は、ノードNに接続される。端子4102は、電流源8に接続される。制御端子4103は、制御回路6に接続される。
【0108】
スイッチ410は、制御端子4103で受けるレベルに応じてオン・オフしてもよい。スイッチ410は、制御端子4103でHレベルを受けた際に、オンして、電流源8をノードNに電気的に接続する。スイッチ410は、制御端子4103でLレベルを受けた際に、オフして、電流源8をノードNに電気的に遮断する。
【0109】
制御回路6は、ノードNから入力ノード6aで受けた出力信号VOUTに応じて、スイッチ410を介して、電流源8を活性化・非活性化させることが可能である。制御回路6は、出力信号VOUTのレベルが閾値を下回ることに応じて電流源8を活性化させる。制御回路6は、出力信号VOUTのレベルが閾値を上回ることに応じて電流源8を非活性化させる。
【0110】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを下回ることに応じて、Hレベルの比較結果VCMをスイッチ410の制御端子4103へ供給する。Hレベルの比較結果VCMに応じて、スイッチ410がオンし、電流源8がノードNに電気的に接続される。これにより、電流源8が活性化される。電流源8は、活性化された状態において、ノードNに略一定の電流を供給し得る。
【0111】
コンパレータ61は、出力信号VOUTのレベルが参照信号VREFのレベルを上回ることに応じて、Lレベルの比較結果VCMをスイッチ410の制御端子4103へ供給する。Lレベルの比較結果VCMに応じて、スイッチ410がオフし、電流源8がノードNから電気的に遮断される。これにより、電流源8が非活性化される。電流源8は、非活性化された状態において、ノードNへの電流供給を停止している。
【0112】
フィードバック回路4は、ノードNに発生する内部信号Vのレベルが目標レベルVtになるようにフィードバック制御可能である。
【0113】
入力信号VINが小信号であれば、トランジスタ201とトランジスタ1とにはそれぞれ略一定のドレイン電流ID201,ID1が流れ、入力信号VINに対してゲート・ソース間電圧ΔVGSでシフトした出力信号VOUTが得られる。
【0114】
入力信号VINが大信号である場合、例えば、図2に示すタイミングt1~t2の期間において、フィードバック回路4によるフィードバック制御が停止された状態が維持される。ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第1の接続状態)の箇所で遮断された状態が維持される。また、スイッチ410がオン状態に維持され、電流源8が活性化された状態が維持される。
【0115】
このとき、フィードバック制御の停止に伴い、トランジスタ5からノードNへの電流供給が停止される。トランジスタ1に加えてトランジスタ201があることで、タイミングt1~t2の期間の前半において、ノードNのレベルを低レベル側へ引き込むためのドライブ能力を確保できる。
【0116】
電流源8が活性化されていることで、タイミングt1~t2の期間の後半において、ノードNのレベルを高レベル側へ上昇させるためのドライブ能力も確保され得る。
【0117】
タイミングt2~t3の期間において、フィードバック回路4によるフィードバック制御が行われる。ノードNからノードNを経由してノードNに至るフィードバック経路がスイッチ7(第2の接続状態)の箇所で接続された状態が維持される。また、スイッチ410がオフ状態に維持され、電流源8が非活性化された状態が維持される。
【0118】
このとき、フィードバック制御に伴い、トランジスタ5からノードNへフィードバック電流IFBが供給され、トランジスタ201,1のドレイン電流ID201,ID1が略一定に制御され得る。また、電流源8が非活性化されており、電流源8の電流に相当する消費電力を低減できる。
【0119】
以上のように、第4の実施形態では、マイクアンプ回路400において、フィードバック経路遮断時に、電流源8が活性化され、フィードバック経路接続時に、電流源8が非活性化される。これにより、フィードバック経路遮断時の後半において、フィードバック経路復帰のためにノードNのレベルを高レベル側へ上昇させるためのドライブ能力が確保され得るとともに、フィードバック経路接続時において、マイクアンプ回路400の消費電力を低減できる。この結果、電流源8を効果的に動作させながらマイクアンプ回路400の消費電力を低減できる。
【0120】
以上、本発明の実施形態を説明したが、上記実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上記新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0121】
1 トランジスタ
3 抵抗素子
4 フィードバック回路
5 トランジスタ
6 制御回路
7 スイッチ
8 電流源
41 アンプ
61 コンパレータ
100 マイクアンプ回路
200 マイクアンプ回路
201 トランジスタ
300 マイクアンプ回路
309 トランジスタ
400 マイクアンプ回路
410 スイッチ
800 マイクアンプ回路
801 トランジスタ
802 抵抗素子
900 マイクアンプ回路
901 トランジスタ
903 抵抗素子
904 フィードバック回路
905 トランジスタ
941 アンプ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8