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特開2024-153411支援装置、支援方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153411
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】支援装置、支援方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20241022BHJP
   G06Q 10/00 20230101ALI20241022BHJP
【FI】
G06Q30/06
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067292
(22)【出願日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100145713
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 竜太
(72)【発明者】
【氏名】劉 勁
(72)【発明者】
【氏名】大塚 慶一
(72)【発明者】
【氏名】平田 俊太郎
(72)【発明者】
【氏名】安川 昂志
(72)【発明者】
【氏名】手塚 綾美
(72)【発明者】
【氏名】前田 誠
(72)【発明者】
【氏名】力久 弘昭
【テーマコード(参考)】
5L010
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA02
5L030BB54
5L049AA02
5L049BB54
(57)【要約】
【課題】定量的な指標に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができ、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などを抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる支援装置を提供する。
【解決手段】ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、この製造内容ごとに占有率を特定する、または、この製造内容ごとに割当本数を特定する特定部11と、特定部11で特定した内容を集約する集約部12とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客に販売したケーブルに関する情報を顧客ごとに記憶する記憶部と、
前記ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれており、
接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができ、
前記ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、前記第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、前記接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて前記接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、前記対応可能本数と前記全数とに基づいて、前記製造内容ごとに占有率を特定する、または、前記対応可能本数と前記第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、前記製造内容ごとに割当本数を特定する特定部と、
前記特定部で特定した内容を集約する集約部とを備える支援装置。
【請求項2】
一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部とを備え、
前記特定部は、前記受付部により受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡であった場合、前記対応可能本数と前記全数を修正し、修正後の内容で前記占有率を特定し、または、修正後の内容で前記割当本数を特定し、
前記集約部は、前記特定部で特定した修正内容を集約する請求項1に記載の支援装置。
【請求項3】
一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部とを備え、
前記特定部は、前記受付部により受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルを交換した旨の連絡であった場合、前記対応可能本数と前記全数を修正し、修正後の内容で前記占有率を特定し、または、修正後の内容で前記割当本数を特定し、
前記集約部は、前記特定部で特定した修正内容を集約する請求項1に記載の支援装置。
【請求項4】
一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部とを備え、
前記特定部は、前記受付部により受け付けた内容が、顧客が新たにケーブルを追加する旨の連絡であった場合、前記対応可能本数と前記全数を修正し、修正後の内容で前記占有率を特定し、または、修正後の内容で前記割当本数を特定し、
前記集約部は、前記特定部で特定した修正内容を集約する請求項1に記載の支援装置。
【請求項5】
前記集約部で集約した内容を対応する顧客に提供する提供部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の支援装置。
【請求項6】
前記集約部で集約した内容に基づいて、匿名化した情報を生成し、当該匿名化した情報を対応する顧客に提供する提供部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の支援装置。
【請求項7】
前記集約部で集約した内容に基づいて、同一業種の顧客で匿名化した情報を生成し、または、同一地域にケーブルを有する顧客で匿名化した情報を生成し、当該匿名化した情報を対応する顧客に提供する提供部を備える請求項1から4のいずれか一項に記載の支援装置。
【請求項8】
記憶部には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客ごとに記憶されており、
前記ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれており、
接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができ、
前記ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、前記第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、前記接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて前記接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、前記対応可能本数と前記全数とに基づいて、前記製造内容ごとに占有率を特定する、または、前記対応可能本数と前記第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、前記製造内容ごとに割当本数を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定した内容を集約する集約工程とを備える支援方法。
【請求項9】
記憶部には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客ごとに記憶されており、
前記ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれており、
接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができ、
コンピュータに、
前記ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、前記第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、前記接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて前記接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、前記対応可能本数と前記全数とに基づいて、前記製造内容ごとに占有率を特定する、または、前記対応可能本数と前記第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、前記製造内容ごとに割当本数を特定する特定工程と、
前記特定工程で特定した内容を集約する集約工程とを実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、営業販売活動を支援する支援装置、支援方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
設備の一つである電力や電気信号を伝送するケーブルの取引では、一般的に、製造会社は、顧客会社に対して営業活動を行い、正式の発注を受け付けてから、設備の製造および販売を行っている。
【0003】
ここで、営業活動を支援するためのシステムがある(例えば、特許文献1)。特許文献1では、案件が発生するパターンと、パターン毎に望ましい活動手順を仮説として組み立て、仮説にある案件発生事案の発生を取引履歴データ、企業データ、その他の顧客データの動きから検出するための検索エンジンにより、案件発生時案の内容と提案手順を営業員に知らせることで、提案型商材の外商営業にとって重要かつ困難な課題である、案件の発掘の過程で営業員に対して、現在どの顧客に訪問し、どのような内容の提案をするべきか、また、それをどのように進めるべきか、というようなアイデアを提供し営業を支援するシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-310851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、顧客を訪問し、設備の購入について提案を行っても、提案内容に定量的な根拠が乏しく、顧客側の納得を得られず、購入に至らない場合がある。例えば、ケーブルの保証期間が過ぎても使用し続けているケーブルが破損する前に行う交換工事、ケーブルが破損した時の応急復旧交換工事、敷設されているケーブルをすべて交換する全交換工事、ケーブルの一部を交換する割入工事(部分交換工事)などの保安の計画が複数あった場合に、それらの優先順位を定量的に判断できなかった。すなわち、どの計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標を提示できていなかった。つまり、ケーブルの全交換工事を行う際に用いる予備品(ケーブル)および割入工事を行う際に用いる予備品(ケーブル)を製造した場合の保安度について定量化されていなかった。
【0006】
また、製造会社は、受注品の生産に必要な部品と数量、各部品の発注から納入までにかかる時間(以下、納入リードタイムという)、製造にかかる時間、施工業者がケーブル敷設作業の実施できる日程等に基づき、受注品の納期(指定納期)に間に合うように各部品の発注処理を行う。
【0007】
ここで、在庫量を少なめに設定した場合、在庫を余剰に保持しないため、製造会社による在庫の製造および保管のために必要な資源や排出される廃棄物の抑制を図ることができるが、在庫量以上の受注があった際には、新たに設備(例えば、ケーブルなど)を製造するため、タイムリーに設備を提供することが困難になり、短納期の要請に応えられず、顧客会社の運営に影響を与えてしまう。台風や地震などの広域の災害が発生して、複数の場所での破損が発生すると、短納期の要請に応えられず、特に、顧客会社の運営に影響を与えてしまう。
【0008】
一方、在庫数を多めに設定した場合には、顧客会社から受注に応じて、タイムリーに設備を提供することができ、顧客会社の運営に影響を与えないが、在庫数を下回る受注状況が続いたときには、在庫を長期間抱えることになり、製造会社による在庫の製造および保管のために必要な資源や排出される廃棄物の抑制を図ることが困難になる。また、製造会社は、ケーブルを製造する際にかかる負担を低減したい要望がある。
【0009】
本願発明では、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品および一部交換工事用の割入交換予備品を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができ、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる支援装置、支援方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)顧客に販売したケーブルに関する情報を顧客ごとに記憶する記憶部と、前記ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれており、接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができ、前記ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、前記第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、前記接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて前記接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、前記対応可能本数と前記全数とに基づいて、前記製造内容ごとに占有率を特定する、または、前記対応可能本数と前記第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、前記製造内容ごとに割当本数を特定する特定部と、前記特定部で特定した内容を集約する集約部とを備える支援装置。
(2)一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部とを備え、前記特定部は、前記受付部により受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡であった場合、前記対応可能本数と前記全数を修正し、修正後の内容で前記占有率を特定し、または、修正後の内容で前記割当本数を特定し、前記集約部は、前記特定部で特定した修正内容を集約する(1)に記載の支援装置。
(3)一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部とを備え、前記特定部は、前記受付部により受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルを交換した旨の連絡であった場合、前記対応可能本数と前記全数を修正し、修正後の内容で前記占有率を特定し、または、修正後の内容で前記割当本数を特定し、前記集約部は、前記特定部で特定した修正内容を集約する(1)に記載の支援装置。
(4)一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部とを備え、前記特定部は、前記受付部により受け付けた内容が、顧客が新たにケーブルを追加する旨の連絡であった場合、前記対応可能本数と前記全数を修正し、修正後の内容で前記占有率を特定し、または、修正後の内容で前記割当本数を特定し、前記集約部は、前記特定部で特定した修正内容を集約する(1)に記載の支援装置。
(5)前記集約部で集約した内容を対応する顧客に提供する提供部を備える(1)から(4)のいずれか一項に記載の支援装置。
(6)前記集約部で集約した内容に基づいて、匿名化した情報を生成し、当該匿名化した情報を対応する顧客に提供する提供部を備える(1)から(4)のいずれか一項に記載の支援装置。
(7)前記集約部で集約した内容に基づいて、同一業種の顧客で匿名化した情報を生成し、または、同一地域にケーブルを有する顧客で匿名化した情報を生成し、当該匿名化した情報を対応する顧客に提供する提供部を備える(1)から(4)のいずれか一項に記載の支援装置。
(8)記憶部には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客ごとに記憶されており、前記ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれており、接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができ、前記ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、前記第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、前記接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて前記接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、前記対応可能本数と前記全数とに基づいて、前記製造内容ごとに占有率を特定する、または、前記対応可能本数と前記第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、前記製造内容ごとに割当本数を特定する特定工程と、前記特定工程で特定した内容を集約する集約工程とを備える支援方法。
(9)記憶部には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客ごとに記憶されており、前記ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれており、接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができ、コンピュータに、前記ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、前記第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、前記接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて前記接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、前記ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、前記対応可能本数と前記全数とに基づいて、前記製造内容ごとに占有率を特定する、または、前記対応可能本数と前記第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、前記製造内容ごとに割当本数を特定する特定工程と、前記特定工程で特定した内容を集約する集約工程とを実行させるためのプログラム。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品および一部交換工事用の割入交換予備品を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができ、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、支援システムの構成を示す図である。
図2図2は、α事業者が管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
図3図3は、第1実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
図4図4は、α事業者およびβ事業者がそれぞれ管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
図5図5は、第2実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
図6図6は、α事業者が管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
図7図7は、第1実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
図8図8は、α事業者、β事業者およびγ事業者がそれぞれ管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
図9図9は、第4実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
図10図10は、α事業者およびβ事業者がそれぞれ管理している工場と保有しているケーブルの数と、製造会社の工場と過去に販売した第1ケーブルの履歴を模式的に示す図である。
図11図11は、第5実施例において集約部12により集約された内容を模式的に示す図である。
図12図12は、支援方法の手順を示すフローチャートである。
図13図13は、コンピュータの構成を示す図である。
図14図14は、コンピュータの他の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本実施形態に係る見積書を作成する支援装置、支援方法およびプログラムの構成と動作について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。さらに、以下に記載した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。
【0014】
図1は、支援システム100の構成を示す図である。支援システム100では、インターネット等のネットワークNWを介して、顧客側7と支援装置1とが相互に接続されている。顧客側7は、1社のみでなく、第1顧客側7a、第2顧客側7b、第3顧客側7c等の複数社の顧客が想定される。以下、「顧客側7」という表現は、第1顧客側7a、第2顧客側7b、第3顧客側7c等の顧客全体を示す場合や、第1顧客側7a、第2顧客側7b、第3顧客側7c等の各顧客を示す場合がある。支援装置1は、複数の顧客と相互に通信を行う。
【0015】
例えば、顧客側7は、パーソナルコンピュータ、タブレット、またはスマートフォンなどの端末装置により実現される。なお、顧客側7は、端末装置ではなく、ファクシミリを利用して支援装置1を運営および管理する会社とコミュニケーションを図ってもよい。
【0016】
支援装置1は、記憶部31と、特定部11と、集約部12とを備えている。記憶部31には、顧客に販売したケーブルに関する情報を顧客ごとに記憶されている。具体的には、記憶部31には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客に関する情報に関連付けて記憶されている。本実施例では、顧客が複数いる場合を想定しており、顧客ごとに販売履歴情報が記憶部31に記憶されている。顧客に関する情報とは、少なくとも、顧客名、連絡先、担当者名などが含まれている。ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれている。ケーブルの径とは、導体径またはケーブル絶縁体外径などを含む概念である。また、ケーブルに関する情報とは、他に、例えば、ケーブルの定格電圧、ケーブルの仕様、ケーブルが使用されている環境の情報などである。ケーブルの定格電圧とは、絶縁破壊を起こすことなく連続使用できる最高使用電圧をいう。
【0017】
ケーブルの仕様とは、例えば、準拠規格、製造者名、製造ロット、製造年、敷設者名、敷設年、導体(材質、芯数、公称断面積、構成など)、絶縁体(材質、仕上がり外径)、概算質量、導体抵抗、保護テープ(材質、厚さ)、遮蔽層(材質厚さ)、遮水層(材質、厚さ)、がい装・保護管(材質、厚さ、波形状)、防食層(材質、仕上がり外径)、かい材(材質)、繰り返し曲げ耐性、最小曲げ半径、防蟻性、防水性、海水耐性、破損個所数、破損原因、導体・保護層・絶縁体の破損状況、破損深さなどである。構成とは、OFケーブル(Oil Filled cable)、CVケーブル(cross-linked polyethylene insulated vinyl sheath cable)、CVTケーブル(Cross-linked Polyethylene insulated Vinyl Sheathed Triplex Type Power Cable)などである。ケーブルが使用されている環境の情報とは、例えば、ケーブルが敷設されている位置、架空・埋設などの敷設形態、保護管の有無、保護管の内径、再敷設時の作業エリアの有無、再敷設時の迂回経路の有無などである。
【0018】
また、接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができる。ここで、接続箱について説明する。ケーブル同士を接続する際に必要となる導体接続管、融着テープ、導電性テープなどの各種の材料を接続材料といい、これらの接続材料を用いて完成(製造)させたものを接続箱という。接続箱には、工場出荷時に拡径保持材(スパイラルコア)でケーブルシースより大きな径まで広げておき、現場において、スパイラルコアを引き抜いてケーブルに装着するゴムブロック式中間接続箱、および、テープを巻いてケーブル同士を接続するテープ巻型中間接続箱などがある。ゴムブロック式中間接続箱は、ゴムブロック式中間接続部やRBJ(Rubber block joint)など、様々な表現がある。また、テープ巻型中間接続箱は、テープ巻型中間接続部やTJなど、様々さまざまな表現がある。また、径の差が大きいケーブルを接続したり、テープ巻型中間接続箱を用いる。なお、本実施例では、接続箱は、RBJであるとして説明するが、RBJに限定されない。
【0019】
特定部11は、ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、この第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する、または、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する。
【0020】
第1ケーブルは、現在、顧客が利用している長尺のケーブルである。また、本実施例では、第1ケーブルは、本ケーブルと称することがある。第2ケーブルは、接続箱を利用して、ケーブルの一部を交換する部分交換工事に用いられるものである。また、本実施例では、第2ケーブルは、予備品と称することがある。
【0021】
占有率とは、顧客が保安したいケーブル総数の何割に対して、保安ができるかの指数である。割当本数とは、1本の予備品(第2ケーブル)で保安する本数は何本かを示す指標である。
【0022】
集約部12は、特定部11で特定した内容を集約する。集約部12は、占有率のみ、割当本数のみ、または、占有率および割当本数の双方を集約してもよい。
【0023】
(第1実施例)
ここで、支援装置1の第1実施例について説明する。第1実施例では、顧客(α事業者)が複数の工場に保安したいケーブルを保有している場合を例として説明する。例えば、α事業者は、3つの工場(A工場、B工場、C工場)を管理しているものとする。図2は、α事業者が管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
【0024】
ケーブルを製造して販売する製造会社は、ケーブルを販売するたびに、どの事業者にどのケーブルを販売したのかを示す情報(販売履歴情報)を記憶部31に記憶しておく。よって、記憶部31には、各事業者に販売したケーブルに関する情報が各事業者に関する情報に関連付けてそれぞれ記憶されている。記憶部31からα事業者に関する情報を抽出することで、以下のことが分かる。α事業者のA工場では、径が600sq、500sq、400sq、325sqの第1ケーブルを合計4本保有(使用)している。α事業者のB工場では、径が600sq、500sq、400sq、325sq、250sq、200sq、150sq、100sqの第1ケーブルを合計8本保有(使用)している。α事業者のC工場では、径が200sq、100sqの第1ケーブルを合計2本保有(使用)している。本実施例では、各第1ケーブルはすべて1000mであるとして説明するが、第1ケーブルの長さはそれぞれ異なることがある。
【0025】
図3は、第1実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
【0026】
特定部11は、α事業者が保有しているすべてのケーブルの中から、一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定する。第1ケーブルと第2ケーブルとは同時に製造するため、同径である。
【0027】
本実施例では、特定部11は、径が500sqのケーブルと250sqのケーブルを第1ケーブルとして選択する。特定部11は、径が500sqのケーブル(第1ケーブル)と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容(以下、第1製造内容という)として特定し、径が250sqのケーブル(第1ケーブル)と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容(以下、第2製造内容という)として特定する。本実施例では、製造内容は二つであるとして説明するが、製造内容は二つに限定されない。
【0028】
特定部11は、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定する。接続可能な範囲は、接続するケーブルの種類や構造によって変わる。例えば、接続可能範囲をケーブル絶縁体外径(以下、径という)の所定の範囲として整理することができ、具体的には径の80%~120%の範囲を接続可能とすることなどが考えられる。許容電流値を考慮してケーブル導体断面積を検討する必要もあり、予備ケーブルが既設ケーブルよりも大きいほうが望ましい。また、ケーブルが保護管に収納されている場合には、保護管の内径サイズも考慮して接続箱の接続可能範囲を決める必要がある。本実施例では、特定部11は、第1製造内容(径が500sqの場合)に対する接続可能範囲は、400sq~600sqとして特定し、第2製造内容(径が250sqの場合)に対する接続可能範囲は、100sq~325sqとして特定する。
【0029】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対する対応可能本数を径が600sq×2本、500sq×2本、400sq×2本の合計6本として特定する。また、特定部11は、第2製造内容に対する対応可能本数を325sq×2本、250sq×1本、200sq×2本、150×1本、100sq×2本の合計8本として特定する。
【0030】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定する。本実施例では、α事業者は、A工場、B工場およびC工場で合計14本のケーブルを保有しているので、全数は14本になる。
【0031】
特定部11は、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対応する対応可能本数が6本であり、全数が14本なので、「対応可能本数/全数×100」を計算し、占有率を約43%と特定する。また、第2製造内容に対応する対応可能本数が8本であり、全数が14本なので、「対応可能本数/全数×100」を計算し、占有率を約57%と特定する。
【0032】
占有率は、顧客が保有している全ケーブルの本数に対して、第2ケーブルで部分交換工事が行える割合を定量的に示すものである。よって、占有率が高いほど、第2ケーブルで対応可能な第1ケーブルの数または径の種類が多く、保安度が高いことを意味する。
【0033】
また、割当本数とは、1本の予備品(第2ケーブル)で保安する本数は何本かを示す指標である。よって、割当本数が低いほど、ある予備品(第2ケーブル)であるケーブルを交換しようとした場合に、その予備品(第2ケーブル)が別のケーブルの交換に既に利用されているという可能性が低くなる。そのため、割当本数が低いほど、保安度が高いことを意味する。
【0034】
特定部11は、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対する対応可能本数が6本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本とした場合、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、割当本数を6本と特定する。また、特定部11は、第2製造内容に対する対応可能本数が8本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本とした場合、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、割当本数を8本と特定する。
【0035】
第2ケーブルを製造する本数を増やすと、対応可能本数に対処できる本数が増えることになり、保安度が高いといえる。
【0036】
集約部12は、例えば、図3に示すように、各製造内容に対する占有率や割当本数が明示された表を作成する。
【0037】
営業担当者は、集約部12で集約された内容を顧客側7に提示しながら、営業を行う。顧客側7は、提示された設備の組み合わせが提示されている製造内容に対する占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当か検討することができる。例えば、第1実施例の場合、占有率に着目すれば、第2製造内容である径が250sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造した方が適していると言える。また、割当本数に着目すれば、第1製造内容である径が500sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造した方が適していると言える。顧客側7は、定量的に示された内容を考慮して、自社の保安計画に基づき、自社にとって最も適している設備の組み合わせを選ぶことができる。このようにして、支援装置1は、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができる。
【0038】
また、ケーブルは、一般的に連続したプロセスで長尺製造するため、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時に製造した方が、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0039】
具体的には、長尺物のケーブル製造では、極めて大型の押出製造設備などの温度条件が安定するまでの暖気期間、各種ロールプロセス設備が安定に動作するまでの準備期間、製造終了後の極めて大型の設備の清掃期間などで、排気ガスや排熱、廃棄物が生じる。また、準備期間ではケーブルに余長分が発生する。
【0040】
ここで、短尺のケーブル(予備品である第2ケーブル)と長尺のケーブル(第1ケーブル)を別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0041】
また、顧客側の観点からも、突然、ケーブルが破損した場合には、交換用のケーブルの入手に時間を要すると事業が停止する事態を招くが、予備として短尺のケーブルが用意されていれば、すぐに復旧工事を行うことができ、会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)できる利点がある。
【0042】
よって、上述のような場合には、顧客側も製造会社側も、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する方が、長期的視点で見て、製造コストや環境的観点などにおいて利点がある。しかしながら、これまでは、定量的にこれらの利点が顧客側に示されていなかった。
【0043】
支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することもできる。
【0044】
(第2実施例)
つぎに、支援装置1の第2実施例について説明する。第2実施例では、複数社(例えば、α事業者、β事業者)が保安したいケーブルを保有している場合を例として説明する。図4は、α事業者およびβ事業者がそれぞれ管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
【0045】
ケーブルを製造して販売する製造会社は、ケーブルを販売するたびに、どの事業者にどのケーブルを販売したのかを示す情報(販売履歴情報)を記憶部31に記憶しておく。よって、記憶部31には、各事業者に販売したケーブルに関する情報が各事業者に関する情報に関連付けてそれぞれ記憶されている。記憶部31からα事業者に関する情報とβ事業者に関する情報を抽出することで、以下のことが分かる。
【0046】
α事業者では、径が600sq、500qs、400sq、325sqの第1ケーブルを合計4本保有(使用)している。β事業者では、径が600sq、500sq、400sq、325sq、200sq、150sqの第1ケーブルを6本と、径が250sq、100sqの第1ケーブルをそれぞれ2本ずつで計4本とを保有(使用)している(合計は、10本である)。本実施例では、各第1ケーブルはすべて1000mであるとして説明するが、第1ケーブルの長さはそれぞれ異なることがある。
【0047】
図5は、第2実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
【0048】
特定部11は、α事業者およびβ事業者が保有している第1ケーブルの中から、一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定する。第1ケーブルと第2ケーブルとは同時に製造するため、同径である。
【0049】
本実施例では、特定部11は、径が500sqのケーブルと径が250sqのケーブルを第1ケーブルとして選択する。特定部11は、径が500sqのケーブル(第1ケーブル)と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容(以下、第1製造内容という)として特定し、径が250sqのケーブル(第1ケーブル)と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容(以下、第2製造内容という)として特定する。本実施例では、製造内容は二つであるとして説明するが、製造内容は二つに限定されない。
【0050】
特定部11は、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定する。接続箱の接続可能範囲の考え方は、第1実施例と同様である。本実施例では、特定部11は、第1製造内容(径が500sqの場合)に対する接続可能範囲は、400sq~600sqとして特定し、第2製造内容(径が250sqの場合)に対する接続可能範囲は、100sq~325sqとして特定する場合について説明する。
【0051】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を事業者ごとに対応可能本数として特定する。本実施例では、特定部11は、α事業者の第1製造内容(径が500sqの場合)に対する対応可能本数を径が600sq、500sq、400sqの合計3本として特定し、α事業者の第2製造内容(径が250sqの場合)に対する対応可能本数を325sqが1本として特定する。また、特定部11は、β事業者の第1製造内容に対する対応可能本数を600sq、500sq、400sqの合計3本として特定し、β事業者の第2製造内容に対する対応可能本数を325sq×1本、250sq×2本、200sq×1本、150sq×1本、100sq×2本の合計7本として特定する。よって、第1製造内容に対する対応可能本数の全体は、6本である。第2製造内容に対する対応可能本数の全体は、8本である。
【0052】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて顧客(事業者)ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定する。本実施例では、α事業者は、4本のケーブルを保有しており、β事業者は、10本のケーブルを保有しており、全数は14本になる。
【0053】
特定部11は、対応可能本数と全数とに基づいて、各事業者の製造内容ごとに占有率を特定する。本実施例では、特定部11は、α事業者の第1製造内容に対応する対応可能本数が3本であり、α事業者の全数が4本なので、「対応可能本数/α事業者の全数×100」を計算し、占有率を75%と特定し、α事業者の第2製造内容に対応する対応可能本数が1本であり、α事業者全数が4本なので、「対応可能本数/α事業者の全数×100」を計算し、占有率を25%と特定する。また、特定部11は、β事業者の第1製造内容に対応する対応可能本数が3本であり、β事業者の全数が10本なので、「対応可能本数/β事業者の全数×100」を計算し、占有率を30%と特定し、β事業者の第2製造内容に対応する対応可能本数が7本であり、β事業者の全数が10本なので、「対応可能本数/β事業者の全数×100」を計算し、占有率を70%と特定する。なお、α事業者とβ事業者を合わせた第1製造内容に対する占有率は、α事業者およびβ事業者の第1製造内容に対応する対応可能本数の合計が6本であり、全数が14本なので、約43%である。また、α事業者とβ事業者を合わせた第2製造内容に対する占有率は、α事業者およびβ事業者の第2製造内容に対応する対応可能本数の合計が8本であり、全数が14本なので、約57%である。
【0054】
占有率は、顧客が保有している全ケーブルの本数に対して、第2ケーブルで部分交換工事が行える割合を定量的に示すものである。よって、占有率が高いほど、第2ケーブルで対応可能な第1ケーブルの数または径の種類が多いことを意味する。
【0055】
特定部11は、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、各事業者の製造内容ごとに割当本数を特定する。本実施例では、特定部11は、α事業者の第1製造内容に対する対応可能本数が3本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本とした場合、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、α事業者の第1製造内容に対する割当本数を3本と特定する。特定部11は、α事業者の第2製造内容に対する対応可能本数が1本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本とした場合、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、α事業者の第2製造内容に対する割当本数を1本と特定する。特定部11は、β事業者の第1製造内容に対する対応可能本数が3本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本とした場合、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、β事業者の第1製造内容に対する割当本数を3本と特定する。特定部11は、β事業者の第2製造内容に対する対応可能本数が7本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本とした場合、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、β事業者の第1製造内容に対する割当本数を7本と特定する。なお、α事業者とβ事業者を合わせた第1製造内容に対する割当本数は、全体で6本である。α事業者とβ事業者を合わせた第2製造内容に対する割当本数は、全体で8本である。
【0056】
第2ケーブルを製造する本数を増やすと、対応可能本数に対処できる本数が増えることになり、保安度が高いといえる。
【0057】
集約部12は、例えば、図5に示すように、各事業者の製造内容に対する占有率や割当本数が明示された表を作成する。
【0058】
営業担当者は、集約部12で集約された内容を顧客側7に提示しながら、営業を行う。顧客側7は、提示された設備の組み合わせが提示されている製造内容に対する占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当か検討することができる。例えば、第2実施例の場合、α事業者は、占有率に着目すれば、第1製造内容である径が500sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造した方が適していると言える。また、α事業者は、割当本数に着目すれば、第2製造内容である径が250sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造した方が適していると言える。一方、β事業者は、占有率に着目すれば、第2製造内容である250sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造した方が適していると言える。また、β事業者は、割当本数に着目すれば、第1製造内容である500sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造した方が適していると言える。
【0059】
第2実施例によれば、α事業者とβ事業者とで、占有率と割当本数の結果が正反対になる。このような場合、営業担当者は、α事業者とβ事業者に協議を促し、両事業者にとって適した設備の組み合わせを選択させることができる。例えば、β事業者は、α事業者に何らかの条件を提示するなどして、占有率に基づいて、第2製造内容である250sqの第1ケーブル(本ケーブル)と第2ケーブル(予備品)を製造することを選択することができる。このようにして、支援装置1は、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、複数の事業者間で協議を促しながら、営業販売活動を支援することができる。
【0060】
また、上述した第1実施例と同様に、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0061】
(第3実施例)
つぎに、支援装置1の第3実施例について説明する。第3実施例では、複数の本ケーブル(第1ケーブル)と予備品(第2ケーブル)で保安する場合を例として説明する。例えば、α事業者は、3つの工場(A工場、B工場、C工場)を管理しているものとする。図6は、α事業者が管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
【0062】
ケーブルを製造して販売する製造会社は、ケーブルを販売するたびに、どの事業者にどのケーブルを販売したのかを示す情報(販売履歴情報)を記憶部31に記憶しておく。よって、記憶部31には、各事業者に販売したケーブルに関する情報が各事業者に関する情報に関連付けてそれぞれ記憶されている。記憶部31からα事業者に関する情報を抽出することで、以下のことが分かる。
【0063】
α事業者のA工場では、径が600sq、500sq、400sq、325sqの第1ケーブルを合計4本保有(使用)している。α事業者のB工場では、径が1000sq、500sq、400sq、325sq、250sq、200sq、150sq、100sqの第1ケーブルを合計8本保有(使用)している。α事業者のC工場では、径が800sq、100sqの第1ケーブルを合計2本保有(使用)している。本実施例では、各第1ケーブルはすべて1000mであるとして説明するが、第1ケーブルの長さはそれぞれ異なることがある。
【0064】
図7は、第1実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
【0065】
特定部11は、α事業者が保有しているすべてのケーブルの中から、一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定する。第1ケーブルと第2ケーブルとは同時に製造するため、同径である。
【0066】
本実施例では、特定部11は、径が1000sqのケーブルと、径が500sqのケーブルと、径が250sqのケーブルとを第1ケーブルとして選択する。特定部11は、径が1000sqのケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル1本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第1製造内容という)として特定し、径が500sqのケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル1本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第2製造内容という)として特定し、径が250sqのケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル1本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第3製造内容という)として特定する。本実施例では、第1製造内容、第2製造内容および第3製造内容のすべての採用を顧客に提案する場合を想定している。なお、製造内容は三つに限定されない。
【0067】
特定部11は、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定する。接続箱の接続可能範囲の考え方は、第1実施例と同様である。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対する接続可能範囲は、800sq~1200sqとして特定し、第2製造内容に対する接続可能範囲は、400sq~600sqとして特定し、第3製造内容に対する接続可能範囲は、100sq~325sqとして特定する場合について説明する。
【0068】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容(径が1000sqの場合)に対する対応可能本数を径が1000sq×1本、800sq×1本の合計2本として特定する。また、特定部11は、第2製造内容(径が500sqの場合)に対する対応可能本数を600sq×1本、500sq×2本、400sq×2本の合計5本として特定する。また、特定部11は、第3製造内容(径が250sqの場合)に対する対応可能本数を325sq×2本、250sq×1本、200sq×1本、150sq×1本、100sq×2本の合計7本として特定する。
【0069】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定する。本実施例では、α事業者は、A工場、B工場およびC工場で合計14本のケーブルを保有しているので、全数は14本になる。
【0070】
特定部11は、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容、第2製造内容および第3製造内容に対応する対応可能本数が合計で14本であり、全数が14本なので、「対応可能本数/全数×100」を計算し、占有率を100%と特定する。
【0071】
特定部11は、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対する対応可能本数が2本であり、第2ケーブルを製造する本数が1本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、割当本数を2本と特定する。また、特定部11は、第2製造内容に対する対応可能本数が5本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、割当本数を5本と特定する。また、特定部11は、第3製造内容に対する対応可能本数が7本であり、第2ケーブルを製造する本数を1本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、割当本数を7本と特定する。
【0072】
第2ケーブルを製造する本数を増やすと、対応可能本数に対処できる本数が増えることになり、保安度が高いといえる。
【0073】
集約部12は、例えば、図7に示すように、各製造内容に対する占有率や割当本数が明示された表を作成する。
【0074】
営業担当者は、集約部12で集約された内容を顧客側7に提示しながら、営業を行う。顧客側7は、提示された設備の組み合わせが提示されている製造内容に対する占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当か検討することができる。例えば、第3実施例の場合、第1製造内容と第2製造内容と第3製造内容を合わせて採用した場合の占有率が100%になるので、顧客はこの提案を受け入れる可能性がある。このようにして、支援装置1は、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができる。
【0075】
また、上述した各実施例と同様に、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0076】
(第4実施例)
つぎに、支援装置1の第4実施例について説明する。第4実施例では、複数社(例えば、α事業者、β事業者)が保安したいケーブルを保有している場合であって、複数本の予備品(第2ケーブル)で保安する場合を例として説明する。
【0077】
図8は、α事業者、β事業者およびγ事業者がそれぞれ管理している工場と保有しているケーブルの数を模式的に示す図である。
【0078】
ケーブルを製造して販売する製造会社は、ケーブルを販売するたびに、どの事業者にどのケーブルを販売したのかを示す情報(販売履歴情報)を記憶部31に記憶しておく。よって、記憶部31には、各事業者に販売したケーブルに関する情報が各事業者に関する情報に関連付けてそれぞれ記憶されている。記憶部31からα事業者に関する情報とβ事業者に関する情報とγ事業者に関する情報を抽出することで、以下のことが分かる。
【0079】
α事業者では、径が600sq、500sq、400qs、325sqの第1ケーブルを合計4本保有(使用)している。β事業者では、径が500sq、400sq、325sqの第1ケーブルを合計3本保有(使用)している。γ事業者では、径が500sqの第1ケーブルを合計50本保有(使用)し、また、径が400sq、325sq、250sq、200sq、150sqの第1ケーブルを合計5本保有している。本実施例では、各第1ケーブルはすべて1000mであるとして説明するが、第1ケーブルの長さはそれぞれ異なることがある。
【0080】
図9は、第4実施例において集約部により集約された内容を模式的に示す図である。
【0081】
特定部11は、α事業者、β事業者およびγ事業者が保有しているすべての第1ケーブルの中から、一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、この第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定する。第1ケーブルと第2ケーブルとは同時に製造するため、同径である。
【0082】
本実施例では、特定部11は、径が500sqのケーブルを第1ケーブルとして選択する。特定部11は、径が500sqのケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル1本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第1製造内容という)として特定し、径が500sqのケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル2本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第2製造内容という)として特定する。本実施例では、製造内容は二つであるとして説明するが、製造内容は二つに限定されない。
【0083】
特定部11は、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定する。接続箱の接続可能範囲の考え方は、第1実施例と同様である。本実施例では、特定部11は、第1製造内容および第2製造内容に対する接続可能範囲は、共に325sq~500sqとして特定する場合について説明する。
【0084】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定する。本実施例では、α事業者は、径が500sq×1本、400sq×1本、325sq×1本の第1ケーブルを合計3本保有し、β事業者は、径が500sq×1本、400sq×1本、325sq×1本の第1ケーブルを合計3本保有し、γ事業は、径が500sq×50本、400sq×1本、325sq×1本の第1ケーブルを合計52本保有している。よって、特定部11は、すべての事業者の第1製造内容および第2製造内容に対する対応可能本数を58本であると特定する。なお、対応可能本数は、事業者ごとに特定してもよい。
【0085】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいてケーブル(第1ケーブル)の総本数を集計したものを全数として特定する。本実施例では、α事業者は、4本の第1ケーブルを保有しており、β事業者は、3本の第1ケーブルを保有しており、γ事業者は、55本の第1ケーブルを保有しており、全数は62本になる。なお、全数は、事業者ごとに特定してもよい。
【0086】
特定部11は、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する。本実施例では、特定部11は、全事業者の第1製造内容および第2製造内容に対応する対応可能本数が58本であり、全数が62本なので、「対応可能本数/全数×100」を計算し、占有率を約94%と特定する。なお、占有率は、事業者ごとに特定してもよい。
【0087】
占有率は、顧客が保有している全ケーブルの本数に対して、第2ケーブルで部分交換工事が行える割合を定量的に示すものである。よって、占有率が高いほど、第2ケーブルで対応可能な第1ケーブルの数または径の種類が多いことを意味する。
【0088】
特定部11は、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対する対応可能本数が58本であり、第2ケーブルを製造する本数が1本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、第1製造内容に対する割当本数を58本と特定する。また、特定部11は、第2製造内容に対する対応可能本数が58本であり、第2ケーブルを製造する本数が2本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、第2製造内容に対する割当本数を29本と特定する。なお、割当本数は、事業者ごとに特定してもよい。
【0089】
第2ケーブルを製造する本数を増やすと、対応可能本数に対処できる本数が増えることになり、保安度が高いといえる。
【0090】
集約部12は、例えば、図9に示すように、製造内容に対する占有率や割当本数が明示された表を作成する。
【0091】
営業担当者は、集約部12で集約された内容を顧客側7に提示しながら、営業を行う。顧客側7は、提示された設備の組み合わせが提示されている製造内容に対する占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当か検討することができる。第4実施例の場合、第2ケーブル(予備品)が1本のみの場合、割当本数が58本と多過ぎるので、第2製造内容を選び、第2ケーブル(予備品)を2本にして、割当本数を半分の29本に抑えることが考えられる。このようにして、支援装置1は、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、複数の事業者間で協議を促しながら、営業販売活動を支援することができる。
【0092】
また、上述した各実施例と同様に、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0093】
(第5実施例)
つぎに、支援装置1の第5実施例について説明する。第5実施例では、複数社(例えば、α事業者、β事業者)が保安したいケーブルを保有している場合であって、ケーブルを製造する製造会社の販売履歴を利用して、複数本の予備品(第2ケーブル)で保安する場合を説明する。
【0094】
図10は、α事業者およびβ事業者がそれぞれ管理している工場と保有しているケーブルの数と、製造会社の工場とα事業者とβ事業者以外の事業者に販売したケーブルの履歴情報を模式的に示す図である。
【0095】
ケーブルを製造して販売する製造会社は、ケーブルを販売するたびに、どの事業者にどのケーブルを販売したのかを示す情報(販売履歴情報)を記憶部31に記憶しておく。よって、記憶部31には、各事業者に販売したケーブルに関する情報が各事業者に関する情報に関連付けてそれぞれ記憶されている。記憶部31からα事業者に関する情報とβ事業者に関する情報を抽出することで、以下のことが分かる。
【0096】
α事業者は、径が600sq、500sq、400qs、325sqの第1ケーブルを合計4本保有(使用)している。β事業者は、径が500sq、400sq、325sqの第1ケーブルを合計3本保有(使用)している。
【0097】
また、α事業者とβ事業者以外の事業者に対して販売した情報から以下を抽出する。本実施例では、製造会社は、α事業者とβ事業者以外の事業者に対して、径が500sqの第1ケーブルを50本と、径が400sqの第1ケーブルを1本と、径が325sqの第1ケーブルを1本と、径が250sqの第1ケーブルを1本と、径が200sqの第1ケーブルを1本と、径が150sqの第1ケーブルを1本の、合計55本のケーブルを販売した場合を想定して説明する。
【0098】
図11は、第5実施例において集約部12により集約された内容を模式的に示す図である。
【0099】
特定部11は、α事業者およびβ事業者が保有しているすべての第1ケーブル、および、製造会社が販売した第1ケーブルの中から、一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、この第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定する。第1ケーブルと第2ケーブルとは同時に製造するため、同径である。
【0100】
本実施例では、特定部11は、径が500sqのケーブルを第1ケーブルとして選択する。特定部11は、径が500sqの長尺(例えば、1000mのケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル1本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第1製造内容という)として特定し、また、径が500sqの長尺(例えば、1000m)のケーブル(第1ケーブル)1本と、この第1ケーブルよりも短尺(例えば、100m)の第2ケーブル2本とを連続して製造した場合を製造内容(以下、第2製造内容という)として特定する。第1製造内容では、1100mのケーブルを製造する。第2製造内容では、1200mのケーブルを製造する。なお、本実施例では、製造内容は二つであるとして説明するが、製造内容は二つに限定されない。
【0101】
特定部11は、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定する。接続箱の接続可能範囲の考え方は、第1実施例と同様である。本実施例では、特定部11は、第1製造内容および第2製造内容に対する接続可能範囲は、共に325sq~500sqとして特定する。
【0102】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定する。本実施例では、α事業者は、径が500sq×1本、400sq×1本、325sq×1本の第1ケーブルを合計3本保有し、β事業者は、500sq×1本、400sq×1本、325sq×1本の第1ケーブルを合計3本保有している。また、製造会社は、径が500sqの第1ケーブルを50本と、径が400sq×1本、325sq×1本の第1ケーブルを2本販売した。つまり、製造会社は、第1ケーブルを合計52本販売した。よって、特定部11は、第1製造内容および第2製造内容に対する対応可能本数を58本であると特定する。なお、対応可能本数は、各事業者に分けて特定してもよい。
【0103】
特定部11は、ケーブルに関する情報に基づいてケーブル(第1ケーブル)の総本数を集計したものを全数として特定する。本実施例では、α事業者は、4本の第1ケーブルを保有しており、β事業者は、3本の第1ケーブルを保有している。α事業者とβ事業者以外の事業者は、55本の第1ケーブルを保有している。これらを合計すると62本なので、全数は62本になる。なお、全数は、各事業者に分けて特定してもよい。
【0104】
特定部11は、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容および第2製造内容に対応する対応可能本数が58本であり、全数が62本なので、「対応可能本数/全数×100」を計算し、占有率を約94%と特定する。なお、占有率は、各事業者に分けて特定してもよい。
【0105】
占有率は、顧客が保有している全ケーブルの本数に対して、第2ケーブルで部分交換工事が行える割合を定量的に示すものである。よって、占有率が高いほど、第2ケーブルで対応可能な第1ケーブルの数または径の種類が多いことを意味する。
【0106】
特定部11は、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する。本実施例では、特定部11は、第1製造内容に対する対応可能本数が58本であり、第2ケーブルを製造する本数が1本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、第1製造内容に対する割当本数を58本と特定する。また、特定部11は、第2製造内容に対する対応可能本数が58本であり、第2ケーブルを製造する本数が2本なので、「対応可能本数/第2ケーブルを製造する本数」を計算し、第2製造内容に対する割当本数を29本と特定する。なお、割当本数は、各事業者に分けて特定してもよい。
【0107】
第2ケーブルを製造する本数を増やすと、対応可能本数に対処できる本数が増えることになり、保安度が高いといえる。
【0108】
集約部12は、例えば、図11に示すように、製造内容に対する占有率や割当本数が明示された表を作成する。
【0109】
営業担当者は、集約部12で集約された内容を顧客側7に提示しながら、営業を行う。顧客側7は、提示された設備の組み合わせが提示されている製造内容に対する占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当か検討することができる。
【0110】
第5実施例では、ケーブルを製造する製造会社の販売履歴の情報を利用して、α事業者およびβ事業者以外の事業者向けの予備品(第2ケーブル)を応急復旧すべきケーブル範囲の特定(全数)に加えている。
【0111】
例えば、第5実施例の場合、記憶部31に記憶されている販売履歴の情報の中からα事業者およびβ事業者と共同で第2ケーブルを保持すると利点がある事業者(例えば、径が500sqの第2ケーブルを40本保有しているδ事業者δ)に対して、営業を行って、事業者δに、占有率または割当本数を提示し、α事業者およびβ事業者と共同で第2ケーブルを保持するような提案を行うことができる。このような場合、営業担当者は、α事業者、β事業者およびδ事業者に協議を促し、それぞれの事業者にとって適した設備の組み合わせを選択させることができる。このようにして、支援装置1は、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、複数の事業者間で協議を促しながら、営業販売活動を支援することができる。
【0112】
また、上述した各実施例と同様に、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、支援装置1は、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0113】
支援装置1は、一又は複数の顧客から連絡を受け付ける受付部13を備える構成でもよい。この構成の場合、特定部11は、受付部13により受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡であった場合、対応可能本数と全数を修正し、修正後の内容で占有率を特定し、または、修正後の内容で割当本数を特定する。また、集約部12は、特定部11で特定した修正内容を集約する。受付部13により受け付けた内容は、顧客が利用中のケーブルを交換した旨の連絡であってもよいし、または、顧客が新たにケーブルを追加する旨の連絡であってもよい。
【0114】
支援装置1は、顧客が利用しているケーブルが破損した場合、全数を修正し、修正後の全数に基づいて、占有率を修正し、また、割当本数を修正する。このような構成によれば、支援装置1は、顧客が利用しているケーブル(第1ケーブル)の本数に変動に応じて、占有率や割当本数をアップデートするので、営業を行う際に、常に最新の占有率や割当本数を顧客に提示することができる。
【0115】
また、支援装置1は、集約部12で集約した内容を対応する顧客に提供する提供部14を備える構成でもよい。
【0116】
また、提供部14は、集約した内容に基づいて情報を匿名化し、匿名化した情報を提供する構成でもよい。例えば、提供部14は、同一の業種の顧客で、占有率や割当本数の値を比較して、平均値、最高値、または、最低値の情報を生成し、これらの情報を顧客に提供してもよい。または、同一の都道府県や市町村など同一の地域にケーブルを有する顧客で、占有率や割当本数の値を比較して、平均値、最高値、または、最低値の情報を生成し、これらの情報を顧客にしてもよい。これらの匿名化された他社状況と自社状況を比較することで、顧客は製造内容が妥当かを検討することができる。
【0117】
一般に、工場のケーブル配線を含む設備情報は、秘匿情報である。生産量などが推定できることがあるためである。結果として、ケーブル情報である占有率や割当本数も秘匿情報として、他社状況は公開されていなかった。そのため、これらの情報を公開可能な匿名化された情報とすることで、顧客は製造内容が妥当かを検討することができる。
【0118】
提供部14は、例えば、所定のフォームまたはメールで顧客側7に集約部12で集約した内容を顧客に提供してもよいし、ユーザにより電話や手紙などで顧客側7に集約部12で集約した内容を顧客に提供してもよい。
【0119】
ここで、ケーブルが破損した場合、予備品(第2ケーブル)を使って部分交換工事が行われることが予想される。予備品がなくなってしまうと、次に他の箇所でケーブルが破損等した場合、保安が図れなくなってしまう。そこで、支援装置1は、受付部13により、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡を受け付けた場合、特定部11により、対応可能本数と全数を修正し、修正後の内容で占有率を特定し、または、修正後の内容で割当本数を特定し、集約部12により、占有率や割当本数を再集約し、提供部14により、対応する顧客に修正した内容を提供する。顧客側7は、提供部14により提供された内容をアラートとして受け取り、営業担当者と相談をしながら、占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当かを検討することができる。
【0120】
(支援方法)
つぎに、定量的な指標に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援し、また、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制するための支援方法について説明する。図12は、支援方法の手順を示すフローチャートである。
【0121】
記憶部31には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客ごとに記憶されている。ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれている。接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができる。
【0122】
ステップST1において、特定部11は、ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する、または、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する(特定工程)。
【0123】
ステップST2において、集約部12は、特定工程で特定した内容を集約する(集約工程)。
【0124】
占有率とは、顧客が保安したいケーブル総数の何割に対して、保安ができるかの指数である。割当本数とは、1本の予備品(第2ケーブル)で保安する本数は何本かを示す指標である。
【0125】
支援方法を実施することにより、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができる。
【0126】
また、この支援方法によれば、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、支援方法によれば、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0127】
また、支援方法は、受付部13により、一又は複数の顧客から連絡を受け付ける工程(受付工程)を有する構成でもよい。
【0128】
この構成の場合、特定工程では、受付部13により受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡であった場合、特定工程により、対応可能本数と全数を修正し、修正後の内容で占有率を特定し、または、修正後の内容で割当本数を特定する。また、集約工程では、特定工程で特定した修正内容を集約する。
【0129】
このような支援方法を実施することにより、顧客が利用しているケーブルが破損した場合、全数を修正し、修正後の全数に基づいて、占有率を修正し、また、割当本数を修正することができる。よって、支援方法を実施することにより、顧客が利用しているケーブル(第1ケーブル)の本数に変動に応じて、占有率や割当本数をアップデートできるので、営業を行う際に、常に最新の占有率や割当本数を顧客に提示することができる。
【0130】
また、支援方法は、集約部12により集約した内容を、提供部14により対応する顧客に提供する工程(提供工程)を有する構成でもよい。
【0131】
提供工程では、例えば、所定のフォームまたはメールで顧客側7に集約部12で集約した内容を顧客に提供してもよいし、ユーザにより電話や手紙などで顧客側7に集約部12で集約した内容を顧客に提供してもよい。
【0132】
ここで、ケーブルが破損した場合、予備品(第2ケーブル)を使って部分交換工事が行われることが予想される。予備品がなくなってしまうと、次に他の箇所でケーブルが破損等した場合、保安が図れなくなってしまう。そこで、本実施例に係る支援方法を実施することにより、受付部13により、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡を受け付けた場合、特定部11により、対応可能本数と全数を修正し、修正後の内容で占有率を特定し、または、修正後の内容で割当本数を特定し、集約部12により、占有率や割当本数を再集約し、提供部14により、対応する顧客に修正した内容を提供することができる。顧客側7は、提供部14により提供された内容をアラートとして受け取り、営業担当者と相談をしながら、占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当かを検討することができる。
【0133】
(プログラム)
つぎに、定量的な指標に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援し、また、顧客会社の運営に与える影響を抑制し、製造会社による設備の製造および保管のために必要な資源や排出される二酸化炭素などの排気ガス、排熱、または廃棄物を抑制し、資源やエネルギーの無駄を抑制するためのプログラムについて説明する。プログラムは、主に以下の工程で構成されており、コンピュータ500(ハードウェア)によって実行される。
【0134】
なお、記憶部31には、顧客に販売したケーブルに関する情報が顧客ごとに記憶されている。ケーブルに関する情報には、少なくとも、ケーブルの径および長さを含む複数の項目が含まれている。接続箱を用いることにより、径の差が一定範囲にあるケーブル同士を接続することができる。
【0135】
工程1:ケーブルに関する情報に含まれている径の中から一または複数の径を選択し、選択した径に対応している長さの第1ケーブルと、第1ケーブルよりも短尺の第2ケーブルとを連続して製造した場合を製造内容として特定し、接続箱を用いて接続可能な範囲の径を接続可能範囲として特定し、ケーブルに関する情報に基づいて接続可能範囲にあるケーブルの本数を対応可能本数として特定し、ケーブルに関する情報に基づいて顧客ごとにケーブルの総本数を集計したものを全数として特定し、対応可能本数と全数とに基づいて、製造内容ごとに占有率を特定する、または、対応可能本数と第2ケーブルを製造する本数とに基づいて、製造内容ごとに割当本数を特定する(特定工程)。
【0136】
工程2:特定工程で特定した内容を集約する(集約工程)。
【0137】
占有率とは、顧客が保安したいケーブル総数の何割に対して、保安ができるかの指数である。割当本数とは、1本の予備品(第2ケーブル)で保安する本数は何本かを示す指標である。
【0138】
当該プログラムを実行することにより、どの保安計画が、どの顧客会社の運営に影響を与えるかを比較するための定量的な指標(全交換工事用の全交換予備品(第1ケーブル)および一部交換工事用の割入交換予備品(第2ケーブル)を製造した場合の保安度を定量化した指標)に基づいて設備の組み合わせを特定し、営業販売活動を支援することができる。
【0139】
また、当該プログラムを実行することにより、短尺のケーブルと長尺のケーブルを組み合わせて製造する内容を複数提示するため、顧客会社の運営に与える影響を抑制(例えば、電力伝送線が破損した状態が続き、事業が停止する事態を回避する)することができる。また、当該プログラムを実行することにより、短尺のケーブルと長尺のケーブルを別々に製造した場合よりも、同時製造した場合の方が、工場内の暖気期間、準備や清掃の回数を減らすことができ、また、工場から出る排気ガス、排熱、または廃棄物といった資源やエネルギーの無駄を抑制する効果が大きい。
【0140】
また、当該プログラムは、一又は複数の顧客から連絡を受け付ける工程(受付工程)も実行する構成でもよい。
【0141】
この構成の場合、特定工程では、受け付けた内容が、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡であった場合、対応可能本数と全数を修正し、修正後の内容で占有率を特定し、または、修正後の内容で割当本数を特定する。また、集約工程では、特定工程で特定した修正内容を集約する。
【0142】
このようなプログラムを実行することにより、顧客が利用しているケーブルが破損した場合、全数を修正し、修正後の全数に基づいて、占有率を修正し、また、割当本数を修正することができる。よって、当該プログラムを実行することにより、顧客が利用しているケーブル(第1ケーブル)の本数に変動に応じて、占有率や割当本数をアップデートできるので、営業を行う際に、常に最新の占有率や割当本数を顧客に提示することができる。
【0143】
また、当該プログラムは、集約工程で集約した内容を、対応する顧客に提供する工程(提供工程)を有する構成でもよい。
【0144】
提供工程では、例えば、所定のフォームまたはメールで顧客側7に集約した内容を顧客に提供してもよい。
【0145】
ここで、ケーブルが破損した場合、予備品(第2ケーブル)を使って部分交換工事が行われることが予想される。予備品がなくなってしまうと、次に他の箇所でケーブルが破損等した場合、保安が図れなくなってしまう。そこで、本実施例に係るプログラムを実行することにより、顧客が利用中のケーブルが破損した旨の連絡を受け付けた場合、対応可能本数と全数を修正し、修正後の内容で占有率を特定し、または、修正後の内容で割当本数を特定し、占有率や割当本数を再集約し、対応する顧客に修正した内容を提供することができる。顧客側7は、提供部14により提供された内容をアラートとして受け取り、営業担当者と相談をしながら、占有率や割当本数を見て、どの製造内容が妥当かを検討することができる。
【0146】
ここで、コンピュータ500の構成と動作について図を用いて説明する。図13は、コンピュータ500の構成を示す図である。コンピュータ500は、図13に示すように、プロセッサ501と、メモリ502と、ストレージ503と、入出力I/F504と、通信I/F505とがバスA上に接続されて構成されており、これらの各構成要素の協働により、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現する。
【0147】
入出力I/F504には、ディスプレイやポインティングデバイス(例えば、マウスやキーボードなど)が接続される。通信I/Fは、所定の通信規格に準拠したインターフェイスであり、有線または無線によりネットワークNWを介して、装置(例えば、顧客側7の端末装置)と通信を行う。通信I/Fは、受付部13、提供部14に相当する。
【0148】
メモリ502は、RAM(Random Access Memory)で構成される。RAMは、揮発メモリまたは不揮発性メモリで構成されている。
【0149】
ストレージ503は、不揮発性メモリなどで構成されており、例えば、HDD(Hard Disc Drive)またはSSD(Solid State Drive)により実現される。ストレージ503は、記憶部31に相当する。ストレージ503には、上述した各工程などで実現されるプログラムなどの各種のプログラムが格納されている。
【0150】
プロセッサ501は、コンピュータ500全体の動作を制御する。プロセッサ501は、ストレージ503からオペレーティングシステムや多様な機能を実現する様々なプログラムをメモリ502にロードし、ロードしたプログラムに含まれる命令を実行する演算装置である。
【0151】
具体的には、プロセッサ501は、ユーザの操作を受け付けた場合、ストレージ503に格納されているプログラム(例えば、本発明に係るプログラム)を読み出し、読み出したプログラムをメモリ502に展開し、プログラムを実行する。また、プロセッサ501がプログラムを実行することにより、特定部11,集約部12などの各機能が実現される。
【0152】
ここで、プロセッサ501の構成について説明する。プロセッサ501は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、これら以外の各種演算装置、またはこれらの組み合わせにより実現される。
【0153】
また、本開示に記載される機能、および/または、方法を実現するために、プロセッサ501、メモリ502およびストレージ503などの機能の一部または全部は、専用のハードウェアである処理回路601で構成されてもよい。図14は、コンピュータ600の処理回路601の構成を示す図である。処理回路601は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化されたプロセッサ、並列プログラム化されたプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、又はこれらを組み合わせたものである。
【0154】
また、プロセッサ501は、単一の構成要素として説明したが、これに限られず、複数の物理的に別体のプロセッサの集合により構成されてもよい。本明細書において、プロセッサ501によって実行されるとして説明されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、単一のプロセッサ501で実行されてもよいし、複数のプロセッサにより分散して実行されてもよい。また、プロセッサ501によって実行されるプログラムまたは当該プログラムに含まれる命令は、複数の仮想プロセッサにより実行されてもよい。
【0155】
以上、本願の実施の形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、本発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【符号の説明】
【0156】
1 支援装置
7 顧客側
11 特定部
12 集約部
13 受付部
14 提供部
31 記憶部
100 支援システム
NW ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14