(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153600
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20241022BHJP
B41J 2/21 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
B41J2/01 123
B41J2/21
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024066292
(22)【出願日】2024-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2023067395
(32)【優先日】2023-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】青木 勇太
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA21
2C056EB13
2C056EB27
2C056EC28
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA42
(57)【要約】
【課題】多様な媒体に対する液体の吐出処理において、媒体に付着した当該液体の付着度合いの最適化及び経時的変化に対する堅牢性の向上を図る液体吐出装置を提供する。
【解決手段】媒体の所定の位置に液体を吐出する液体吐出ヘッドを相対的に移動させるように動作を制御する制御部を備え、複数の当該液体吐出ヘッドのうち、一の液体吐出ヘッドは、媒体に特定色の着色を行うための色液体を吐出する色液吐出部であり、他の液体吐出ヘッドは、着色がなされる媒体領域に対し、発色の度合いに作用させるための所定の効果を発揮する処理液を吐出する処理液吐出部であり、制御部は、色液体及び処理液の吐出量を変化させた評価用チャートにおける着色の度合いに応じて決定される、色液体の特定の吐出量に対する処理液の吐出量の設定をする処理液吐出量設定部と、設定に基づいて処理液吐出部の動作を制御する吐出制御部と、を有する液体吐出装置による。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の所定の位置に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる媒体移動部と、
前記液体吐出ヘッド及び前記媒体移動部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記液体吐出ヘッドは複数であり、
複数の当該液体吐出ヘッドのうち、
一の液体吐出ヘッドは、前記媒体に特定色の着色を行うための色液体を吐出する色液吐出部であり、
他の液体吐出ヘッドは、前記着色がなされる媒体領域に対し、発色の度合いに作用させるための所定の効果を発揮する処理液を吐出する処理液吐出部であり、
前記制御部は、
前記色液体の吐出量及び前記処理液の吐出量を共に変化させた評価用チャートを前記媒体領域に生成するように前記液体吐出ヘッドを制御する評価用チャート生成部と、
前記評価用チャートにおける前記着色の度合いに応じて決定される、前記色液体の特定の吐出量に対する前記処理液の吐出量の設定をする処理液吐出量設定部と、
前記設定に基づいて、前記処理液吐出部の動作を制御する吐出制御部と、
を有する、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記制御部は、
前記評価用チャート生成部において、前記媒体の種類に応じた前記評価用チャートを生成するように前記液体吐出ヘッドを制御し、
前記吐出制御部は、前記媒体の種類によって決定される前記設定に基づいて、前記処理液吐出部及び前記色液吐出部の動作を制御する、
請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記設定は、前記評価用チャートが前記媒体領域に生成された前記媒体に対し、前記発色を劣化させる所定の劣化工程を施した結果に基づいて、当該劣化工程を施した後の当該評価用チャートにおける前記発色の度合いに応じて決定される、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記特定色は、白色である、
請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置等において生成された動作指示情報に基づき、媒体に液体を吐出する液体吐出動作を実行する液体吐出装置が知られている。当該液体吐出装置は、媒体に画像を形成する画像形成装置としても機能する。なお、液体吐出装置は、媒体に液体を吐出するための構成として液体吐出ヘッド120を備え、一般的にインクジェットプリンタと称される。
【0003】
近年、インクジェットプリンタに用いる媒体の種類は多様であり、例えば、媒体に衣類(Tシャツ)などの布帛を用いることができる「DTGプリンタ(DTG:Direct To Garment)」も知られている。
【0004】
布帛(以下「布メディア」と表記する。)を媒体として用いるとき、特に、カラー画像を形成するには、白色の液体インクを布メディアの特定の領域(画像を形成するための領域であって、以下「画像形成領域」と表記する。)に付着させて下地を整えてから、画像に必要となる各色の液体インクを付着させる画像形成処理を行う。この場合、布メディアに対する白色の付着量が適正量になるように、液体インクの凝集や拡散の作用を発揮させる処理液を、画像形成前の布メディアへ塗布して付着させる処理を行うことがある。当該処理を便宜上「前処理」と称する。また、前処理に用いる処理液を「前処理液」と称する。
【0005】
前処理液の塗布量を適量にして、画像形成領域に対する白色の付着量を適正にすると、その後、形成される画像濃度の最適化に寄与するので画像品質の向上につながる。
【0006】
従来技術として、媒体に形成される画像を構成する画素毎の濃度に応じた液体インクの吐出量を算出する吐出量算出部と、形成対象の画像の解像度に応じて前処理剤の塗布量を算出する算出部とを備えるインク処理装置が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されている従来技術は、液体インクの量に応じて前処理剤の量を制御する。一般的に、布メディアに限らず、画像濃度を最適とするための前処理液の最適な量は、媒体の種類によって異なる。すわち、媒体によって前処理液の浸透度合いが異なるので、媒体の種類に応じて、液体インクの付着御の画像濃度を最適化するための前処理液の量は異なる。また、前処理液の量によって液体インクの媒体への付着強度にも影響が生ずる。したがって、画像濃度の最適化、画像品質の向上、及び形成後の画像に対する経時的変化への耐性向上を図るには、媒体の種類に応じて前処理剤の量を制御することが重要となる。
【0008】
この点、従来技術では、媒体の種類に応じた前処理剤の制御が考慮されておらず、画像濃度の最適化や画像品質の向上、及び、媒体に形成された画像の経時的変化並びに堅牢性の低下を防止する点において課題がある。
【0009】
本発明は、多様な媒体に対する液体の吐出処理において、媒体に付着した当該液体の付着度合いの最適化及び経時的変化に対する堅牢性の向上を図る液体吐出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一形態は、液体吐出装置に関し、媒体の所定の位置に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、前記媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる媒体移動部と、前記液体吐出ヘッド及び前記媒体移動部の動作を制御する制御部と、を備え、前記液体吐出ヘッドは複数であり、複数の当該液体吐出ヘッドのうち、一の液体吐出ヘッドは、前記媒体に特定色の着色を行うための色液体を吐出する色液吐出部であり、他の液体吐出ヘッドは、前記着色がなされる媒体領域に対し、発色の度合いに作用させるための所定の効果を発揮する処理液を吐出する処理液吐出部であり、前記制御部は、前記色液体の吐出量及び前記処理液の吐出量を共に変化させた評価用チャートを前記媒体領域に生成するように前記液体吐出ヘッドを制御する評価用チャート生成部と、前記評価用チャートにおける前記着色の度合いに応じて決定される、前記色液体の特定の吐出量に対する前記処理液の吐出量の設定をする処理液吐出量設定部と、前記設定に基づいて、前記処理液吐出部の動作を制御する吐出制御部と、を有する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、多様な媒体に対する液体の吐出処理において、媒体に付着した当該液体の付着度合いの最適化及び経時的変化に対す堅牢性の向上を図る液体吐出装置を提供することを目的とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明に係る液体吐出装置の概要を示す、(A)斜視図、(B)平面図、(C)前方側面図。
【
図4】本発明に係る液体吐出装置が備えうる制御部の実施形態を例示するブロック図。
【
図5】本実施形態に係る制御部において実現可能な機能構成を例示する機能ブロック図。
【
図6】本実施形態に係る評価用チャートの一例を示す図。
【
図7】本実施形態に係る制御部にて実行される制御処理の流れを示すフローチャート。
【
図8】上記評価用チャートの一例における処理液吐出量評価の例示する図。
【
図9】本実施形態に係る処理液吐出量設定のインターフェースの例を示す図。
【
図10】本実施形態に係る制御処理のイメージを例示する図。
【
図11】本実施形態に係る評価用チャートの他の一例を示す図。
【
図12】上記評価用チャートの他の一例における処理液吐出量評価の例示す図。
【
図13】本実施形態に係る処理液吐出量設定のインターフェースの他の例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[液体吐出装置の実施形態]
以下、本発明に係る液体吐出装置の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本発明に係る液体吐出装置において実行される液体吐出動作は、多様な種類の媒体に対して適用可能なものである。例えば、用紙や布帛などの他、木材、建築資材などを媒体とすることも可能である。以下の説明では、布メディアを対象とするDTGプリンタを実施形態とする。
【0014】
図1に示すように、本実施形態に係るインクジェットプリンタ100は、シリアル式インクジェットガーメントプリンタであって、布メディアに対して画像を形成する画像形成装置に相当する。
図1(A)はインクジェットプリンタ100の斜視図、
図1(B)はインクジェットプリンタ100の平面図、
図1(C)はインクジェットプリンタ100の前方側面図に相当する。
【0015】
以下の説明において、
図1に例示する座標軸を共通して用いることとする。Z軸はインクジェットプリンタ100の高さ方向に相当する。また、X方向はインクジェットプリンタ100が備える液体吐出ヘッド120の摺動方向に相当する。そして、Y方向は、プラテン140の移動方向に相当する。なお、Y方向は、矢印方向を前方と定義する。
【0016】
インクジェットプリンタ100は、駆動源となるモータやソレノイド等の出力、各種センサなどが出力する信号(検知信号)の処理をして、所定の動作を実行するように各種構造の動作を制御する制御処理を実行するためのコントローラボード110を備える。コントローラボード110の構成に関する詳細な説明は後述する。インクジェットプリンタ100は、コントローラボード110に搭載されたコントローラ10(
図4参照)において実行可能なソフトウェアに基づいて制御される。
【0017】
例えば、インクジェットプリンタ100は外部の情報処理装置(パーソナルコンピュータなど)において生成された指示情報(印刷データ)をコントローラ10において受け取り、その指示情報(印刷データ)に基づいて、画像形成処理を実行する。また、図示はしないが、記録メディアの入力インターフェースを介して、例えば、当該入力インターフェースに挿入されたUSB(Universal Serial Bus)メモリに記憶されている指示情報(印刷データ)を読み出して画像形成処理を実行する。
【0018】
インクジェットプリンタ100は、複数の液体吐出ヘッド120を備える。液体吐出ヘッド120は、キャリッジ121に搭載される。キャリッジ121は、コントローラ10によって動作が制御されてX軸方向の所定の区間において往復移動をする(摺動する)。
【0019】
複数の液体吐出ヘッド120のうち、一の液体吐出ヘッド120は、媒体に対して画像を形成するために用いられる特定色の液体を媒体に着色させるために、特定色の液体インクとしての色液体CLを媒体に対して吐出する。また、他の液体吐出ヘッド120は、媒体に付着した色液体CLの発色を好適な状態にするために、着色がなさされる媒体領域に予め付着させる前処理液を吐出する。前処理液として処理液PLは、色液体CLが媒体に付着したときの発色の度合いに作用する所定の効果を発揮する液体である。一般的に、媒体に処理液を付着した後に、色液体CLを付着させることで、発色がより良くなる。
【0020】
色液体CL及び処理液PLを吐出するための液体吐出ヘッド120が搭載されたキャリッジ121は、コントローラ10によって動作が制御される主走査モータ122が、主走査タイミングベルト127を駆動することで主ガイドロッド123および副ガイドロッド124に沿って摺動する。キャリッジ121の移動方向及び移動量は、主ガイドロッド123および副ガイドロッド124と並行に設けられているエンコーダシート125を、キャリッジ121に設置されたセンサが読み取ることで判定される。エンコーダシート125は、キャリッジ121の摺動方向に沿って周期的にスリットが形成若しくは印刷されたものである。
【0021】
センサがエンコーダシート125を読み取ると、その結果を示す検知信号がコントローラ10に通知されるので、キャリッジ121の移動方向及び移動量が、コントローラ10において判定され、所定の吐出位置にて、所定のタイミングで液体吐出動作が実行される。
【0022】
すでに説明のとおり、キャリッジ121には、液体吐出ヘッド120が複数搭載されている。本実施形態では四個の液体吐出ヘッド120が搭載されているものを例示しているので、このうちの一つが処理液を吐出するためのものに相当する。液体吐出ヘッド120のそれぞれは、副走査方向において二列に並んだノズル列を備えている。キャリッジ121の搭載されている液体吐出ヘッド120の直上には,吐出に使用する液体(着色用の色液体CL、処理液PL)を一時的に貯留しておくためのインクタンクを備えている。
【0023】
液体吐出ヘッド120が備えるインクタンクは、インク供給チューブおよびインク供給ポンプを介してインクカートリッジ130と接続されており,必要に応じてインク供給ポンプを稼働することでインクカートリッジ130から色液体CL及び処理液PLの補給を受けている.
【0024】
画像を形成する画像形成対象物(媒体)の実施形態として、布帛Mc(Tシャツなど)を用いる場合、その布帛Mcをプラテン140に固定する。プラテン140は、プラテン昇降機構141の上に搭載されていて、高さ方向(Z軸方向)において位置を調整できるように構成されている。プラテン昇降機構141は副走査スライダ142に搭載されている。
【0025】
副走査スライダ142は、副走査ガイドレール143に沿って移動可能な状態で支持されている。副走査スライダ142は、副走査タイミングベルト126が副走査の駆動機構及びコントローラボード110によって制御されて回動することで、副走査方向(Y方向)に移動するように構成されている。
【0026】
ここで、布帛Mcがプラテン140にセットされた後における、画像形成処理の実行手順について、説明する。なお、布帛Mcの一例としては、Tシャツが挙げられる。そこで、インクジェットプリンタ100にTシャツをプラテン140にセットして、その後に操作パネル150を操作することにより、スライダ動作が実行される。ここで、スライダ動作とは、プラテン140をY方向における装置後方へ完全に引き込む動作に相当する。スライダ動作によって、Tシャツの画像形成領域の位置が液体吐出ヘッド120によって色液体が吐出されて到着する位置に至る。
【0027】
スライダ動作を実行するときに、プラテン140にセットされているTシャツが液体吐出ヘッド120にぶつかるか否かを、高さセンサ160により検知する。Tシャツが液体吐出ヘッド120に衝突する場合は、プラテン140のスライダ動作を停止するか、又はプラテン140をY方向前方に移動させて、Tシャツをセットする位置(媒体セット位置)に復帰させて、Tシャツの再セットを促す。
【0028】
プラテン140のスライダ動作が正常に行われた後、インクジェットプリンタ100は、動作指示情報(印刷データ)の受信を待つ「待機状態」となる。なお動作指示情報は、予めコントローラボード110が記憶領域に保存されている場合もあり、その場合は、操作パネル150を操作して動作指示情報を選択することで、画像形成処理が開始される。
【0029】
画像形成処理が開始されると、まずスライダ(つまりプラテン140)が、印刷開始位置まで移動される。その後、キャリッジ121が主走査モータ122の駆動により、主走査タイミングベルト127が回動する。そして、主走査タイミングベルト127に固定されているキャリッジ121が摺動方向において、エンコーダシート125に形成されているスリット単位に相当する移動をし、移動した位置で所定の液体吐出動作を実行する。
【0030】
キャリッジ121が所定の方向に摺動して液体吐出動作を行った後のタイミングに合わせて装置前方側に向かって、プラテン140を移動させる。この移動は、画像形成処理に即した適切な量とする。これによって、プラテン140にセットされているTシャツに対する次の画像形成位置に液体吐出ヘッド120が相対的に移動する。
【0031】
プラテン140が移動した後、液体吐出ヘッド120が摺動方向に移動して、所定の液体吐出動作を実行してからのプラテン140の移動を繰り返し実行することで、プラテン140上にあるTシャツの画像形成領域に画像形成処理が実行される。画像形成処理が完了した段階でプラテン140は装置手前(Y方向)に排出される。
【0032】
[液体インクと前処理剤との関係]
ここで、インクジェットプリンタ100における色液体CLの吐出量と、布帛Mcに対する処理液PLの吐出量との相関による、発色度合いに関して
図2及び
図3を用いて説明する。
【0033】
図2(A)に例示するように、布帛Mcに対して、処理液PLを全く付着させていない状態で色液体CLを吐出しても、布帛Mcの表面から内部に浸透してしまい、色液体CLの発色度合いは適する状態にならない。
【0034】
そこで、
図2(B)に例示するように、布帛Mcに対して、処理液PLを付着させてから、色液体CLを吐出することで、布帛Mcの表面に好適な状態で色液体CLが現れるようになり、発色度合いは好適な状態となる。
【0035】
一方、
図3(A)に例示するように、処理液PLの量が多過ぎる場合、布帛Mcに対する色液体CLの浸透が進まずに、布帛Mcの表面上において、色液体CLがフィルム状になって固まる状態になる。この場合、発色は良いが布帛Mcを洗濯するなどした場合の摩擦によって、色液体CLの布帛Mcからの剥がれ落ちや、ヒビ割れが生じ、画像の堅牢性の点で課題が生ずる。
【0036】
また、
図3(B)に例示するように、処理液PLの量が少な過ぎる場合、布帛Mcに色液体CLが浸透しすぎてしまい、布帛Mcの表面上における発色が附属する状態になる。すなわち、布帛Mcに対する色液体CLの浸透度合いに応じて処理液PLの吐出量を制御しなければ、多様な布帛Mcにおいて、好適な発色状態を得ることは困難となる。
【0037】
[制御ブロックの構成]
次に、本実施形態に係るインクジェットプリンタ100が備える制御ブロックの構成について
図4を用いて説明する。
図4に示すように、インクジェットプリンタ100の制御ブロックとしてのコントローラ10は、CPU111、ROM112、RAM113、NVRAM114、ASIC115を備えている。
【0038】
CPU111は、インクジェットプリンタ100に必要な情報の入力及び表示を行うための表示操作部としての操作パネル150と接続されていて、インクジェットプリンタ100の各機能部品の動作を制御する。また、CPU111は、プラテン140の搬送動作(副走査方向への移動)及びキャリッジ121の主走査方向への移動動作、および、液体吐出ヘッド120による液体吐出動作に関する制御を司る機能を兼ね備えている。
【0039】
また、CPU111は、スライダ動作時に、高さセンサ160からの検知信号を、センサ駆動部161を介して受け取り、布帛Mcの高さが適切な範囲であるか否かを判定する。
【0040】
ROM112は、CPU111が実行するプログラムやその他の固定データを格納する不揮発性の記憶媒体である。ROM112に記憶されているプログラムをCPU111の演算処理機能により実行することで、後述するコントローラ10が構成される。
【0041】
RAM113は、画像形成処理に用いられる画像データ等を一時格納する。また、RAM113は、プログラム制御部が実行されるときのワークエリアとして機能する。
【0042】
NVRAM114は、インクジェットプリンタ100の電源が遮断されている間もデータを保持するための書き換え可能な不揮発性の記憶媒体である。
【0043】
ASIC115は、画像データに対する各種信号処理、並び替え等を行う画像処理やその他装置全体を制御するための入出力信号を処理する。
【0044】
また、コントローラ10は、ホストインターフェース(I/F)170、吐出制御部12、主走査モータ駆動部118、センサ駆動部161、副走査モータ駆動部171、入出力(I/O)部116を備えている。
【0045】
ホストI/F170は、外部装置500が有するプリンタドライバ501等のホスト側とのデータや制御信号の送受を行う役割を担う。
【0046】
吐出制御部12は、液体吐出ヘッド120を駆動するための駆動波形を生成すると共に、液体吐出ヘッド120の圧力発生手段を選択的に駆動させる画像データ及びそれに伴う各種データをヘッドドライバ1171に出力する。
【0047】
主走査モータ駆動部118は、主走査モータ122を駆動する。
【0048】
センサ駆動部161は、高さセンサ160の動作を制御する。そして、高さセンサ160が検知した検知信号を受け取り、これをCPU111等において実行される情報処理によって実現される機能ブロックに引き渡す。
【0049】
副走査モータ駆動部171は、プラテン140を副走査方向に移動させる副走査モータを駆動する役割を担う。
【0050】
I/O部116は、インクジェットプリンタ100の動作に要する各種センサからの検知信号を入力する。
【0051】
また、コントローラ10は、画像形成処理に係る画像形成指示を外部装置500が備えるプリンタドライバ501から、ケーブルやネットワークを介し、ホストI/F170で受信する。画像形成指示は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)等の情報処理装置、イメージスキャナ等の画像読み取り装置、デジタルカメラ等の撮像装置のホスト機能を備える外部装置500のプリンタドライバ501により生成される。
【0052】
画像形成指示を受信したコントローラ10は、CPU111がホストI/F170に含まれる受信バッファ内の画像形成指示を読み出して解析する。また、その解析結果に応じてASIC115によって必要な画像処理、データの並び替え処理等を行って吐出制御部12に転送する。そこで、吐出制御部12は所要のタイミングでヘッドドライバ1171に画像データや駆動波形を出力する。なお、画像出力するためのドットパターンデータの生成は、例えばROM112にフォントデータを格納して行ってもよいし、ホスト側のプリンタドライバ501で画像データをビットマップデータに展開して装置へ転送するようにしてもよい。ここでは、例えばプリンタドライバ501で行うものとする。以上によれば、画像形成指示は、吐出指示情報に相当する。
【0053】
吐出制御部12の駆動波形生成部は、ROM112に格納されてCPU111で読み出される駆動パルスのパターンデータをD/A変換するD/A変換器及び増幅器等で構成される。そして、一つの駆動パルスまたは複数の駆動パルスで構成される駆動波形をヘッドドライバ1171に対して出力する。ヘッドドライバ1171は、シリアルに入力される液体吐出ヘッド120の1行分に相当する画像データ(ドットパターンデータ)に基づいて液体吐出ヘッド120を駆動する。このために、ヘッドドライバ1171は、吐出制御部12の駆動波形生成部から与えられる駆動波形を構成する駆動パルスを選択的に液体吐出ヘッド120の圧力発生手段に対して印加する。
【0054】
なお、ヘッドドライバ1171は、例えばクロック信号及び画像データであるシリアルデータを入力するシフトレジスタ、シフトレジスタのレジスト値をラッチ信号でラッチするラッチ回路、を含む。その他、ラッチ回路の出力値をレベル変化するレベル変換回路(レベルシフタ)、このレベルシフタでオン/オフが制御されるアナログスイッチアレイ(スイッチ手段)等を含む。機能上では、アナログスイッチアレイのオン/オフを制御することで駆動波形に含まれる所要の駆動パルスを選択的に液体吐出ヘッド120の圧力発生手段に印加する場合を例示できる。
【0055】
画像形成指示(動作指示情報)には、布帛Mcの種別を示す情報が含まれている。本実施形態に係るインクジェットプリンタ100では、プラテン140に設置された布帛Mcの種類に応じて、色液体CLの吐出量に応じた処理液PLの量を選択して設定できる機能を有する。
【0056】
[コントローラ10の機能構成]
次に、インクジェットプリンタ100の制御ブロックとしてコントローラ10において実現可能な機能ブロックについて、
図5を用いて説明する。
図5に例示するように、コントローラ10は、画像形成処理部11と、吐出制御部12と、ヘッド移動制御部13と、プラテン移動制御部14と、設定格納部15と、処理液吐出量設定部16と、を有する。
【0057】
画像形成処理部11は、外部装置500からの画像形成指示に基づいて、画像形成用の画像データを生成し、当該画像データを用いて布地に画像を形成するように吐出制御部12、ヘッド移動制御部13、プラテン移動制御部14に指示を与える。
【0058】
また、画像形成処理部11は、処理液吐出量設定部16から取得可能な前処理液の塗布量の増減を示すデータに基づいて、後述する評価用チャートCEを生成する。すなわち、色液体CLの吐出量(画像データに基づいて決定される)に対応した最適な処理液PLの量として設定されている設定値に基づき、処理液PLと吐出する液体吐出ヘッド120の動作を制御するための指示を生成する。すなわち、画像形成処理部11は、評価用チャート生成部に相当する。
【0059】
吐出制御部12は、画像形成処理部11からの指示に基づいて、吐出制御部12を駆動して、ヘッドドライバ1171を介して液体吐出ヘッド120から所定のタイミング、所定の量の処理液PL又は色液体CLを吐出させる。すなわち、吐出制御部12は、色液吐出部と処理液吐出部としての液体吐出ヘッド120の動作を制御する。
【0060】
ヘッド移動制御部13は、画像形成処理部11からの指示に基づいて、主走査モータ駆動部118に主走査モータ122を駆動させて、キャリッジ121を主走査方向に移動させる。
【0061】
媒体移動部としてのプラテン移動制御部14は、画像形成処理部11からの指示に基づいて、副走査モータ駆動部171に副走査モータを駆動させて、プラテン140を副走査方向に移動させ、プラテン部材300に保持されている布地の副走査方向移動を実行する。
【0062】
設定格納部15は、処理液PLの設定値を記憶する処理液量設定値記憶部15aと、後述する評価用チャートCEを形成するためのデータを記憶する評価チャート記憶部15bと、を有する。処理液量設定値記憶部15aは、後述するように、処理液PLの吐出量を色液体CLの吐出量に応じて(対応させて)制御するために用いられる処理液吐出量データを記憶する。また、処理液量設定値記憶部15aは、操作パネル150を介して入力される設定データに基づいて、処理液量の設定値を更新して記憶する。
【0063】
処理液吐出量設定部16は、動作指示情報に含まれる布帛Mcの種別情報に応じて、処理液量設定値記憶部15aから設定データを読み出して、画像形成処理部11に対し、動作指示情報に含まれる画像データに基づく色液体CLに対応する処理液PLの吐出量データを設定する。ここで、設定されたデータに基づいて、画像形成処理部11は吐出制御部12に処理液PLの吐出制御を実行させる。
【0064】
[第一実施形態]
次に、本発明に係る液体吐出装置の実施形態としてのインクジェットプリンタ100において実行可能な吐出量設定処理の第一実施形態について
図6のフローチャートを用いて説明する。吐出量設定処理は、布帛Mcに対して実際に色液体CLを吐出して発色状態を確認し、処理液PLの最適な吐出量を設定するための処理である。
【0065】
図6は、設定格納部15に格納されている評価チャート記憶部15bのデータに基づいて、布帛Mcに形成される評価用チャートCEの例を示す図である。評価用チャートCEは画像形成処理において、布帛Mcに形成される画像の一種であって、画像形成領域を複数の個別領域に区切って、各個別領域に色液体CLを付着させて矩形の図形を描くものに相当する。
【0066】
各個別領域は、色液体CLの吐出量と処理液PLの吐出量の組み合わせが異なるようになっている。例えば、
図6では、縦方向において色液体CLの吐出量の度合いを変化させていて、横方向において処理液PLの吐出量の度合いを変化させている。それぞれの度合いについては、例えば、色液体CLの場合は、RGBにおいて(255.255.255)となる色を発色させるために必要とする吐出量を100%としている。処理液PLは液体吐出ヘッド120において上限となる吐出量を100%としている。
【0067】
図6は、布帛Mcが黒色であって、色液体CLが白色である場合において、処理液PLの吐出量の変化に対し色液体CLの吐出量を変化させていて、白色インクの吐出量が同じ場合ならば、処理液PLの吐出量が多い方が、評価用チャートCEの個別領域における発色が良く、明るい画像になる傾向を例示している。なお、
図6によれば、処理液PLの吐出量が同じ場合には、白色インクの吐出量が多い方が、発色が良いことを例示している。
【0068】
図7は、インクジェットプリンタ100において実行可能な処理液PLの吐出量設定処理を実行するためのフローチャートである。まず、プラテン140に新たな布帛Mcをセットする(S701)。
【0069】
続いて、操作パネル150にある「PRINT」ボタンを操作し、出力枚数を選択する。ここでは、出力枚数として「1枚」又は「2枚」を選択可能とする。また、例として「2枚」が選択されたものとする。その結果、
図6に例示した評価用チャートCEが2枚の布帛Mcに印刷された状態になる(S702)。
【0070】
続いて、布帛Mcに印刷された評価用チャートCEをユーザが視認して、評価用チャートCEの各個別領域の発色度合いから、色液体CLの吐出量毎に応じた処理液PLの最適な吐出量を判定する。または測色機を用いて、評価用チャートCEの各個別領域の発色度合いに応じて、色液体CLの吐出量毎に応じた処理液PLの最適な吐出量を判定する。
【0071】
続いて、判定結果をインクジェットプリンタ100に設定する(S703)。
図8は、評価用チャートCEに各個別領域における、発色度合いの判定結果の例を示している。
図8に示すように、色液体CLの吐出量が100%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は100%のみである。
【0072】
同様に、色液体CLの吐出量が90%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は100%のみである。同様に、色液体CLの吐出量が80%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は80%以上である。同様に、色液体CLの吐出量が70%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は60%以上である。同様に、色液体CLの吐出量が60%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は50%以上である。同様に、色液体CLの吐出量が50%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は50%以上である。
【0073】
同様に、色液体CLの吐出量が40%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は40%以上である。同様に、色液体CLの吐出量が30%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は30%以上である。同様に、色液体CLの吐出量が20%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は30%以上である。同様に、色液体CLの吐出量が10%の場合、発色状態が良好(発色OK)と判定可能な処理液PLの吐出量は30%以上である。
【0074】
以上のように、色液体CLの吐出量と処理液PLの吐出量との相関において、発色状態が良好と判定される組み合わせが異なる。そこで、
図9に例示するように、操作パネル150に表示される設定画面GEにおいて、色液体CLの吐出量ごとに最適な処理液PLの吐出量を設定する。
【0075】
上記の設定に関し、
図10を用いて補足の説明をする。
図10にグラフにおいて、横軸は、動作指示情報に含まれる液体吐出ヘッド120を動作せるパラメータの入力を例示している。縦軸は、動作指示情報に含まれる画像形成処理の実行データから導出される液体吐出ヘッド120の出力を例示している。
【0076】
図10に例示するように、動作指示情報に基づいてインクジェットプリンタ100で生成する画像パラメータにおいて、布帛Mcの生地が厚手の場合は、出力を標準よりも高くする。一方、布帛Mcの生地が薄手の場合は、出力を標準よりも低くする。このように色液体CLの吐出量に対する処理液PLの吐出量を調整することができるような設置をする。
【0077】
図7に戻る。S703において、色液体CLの吐出量と処理液PLの吐出量の最適な組み合わせの設定がなされた後、評価用チャートCEが印刷された布帛Mcに対する摩擦堅牢性の最適化を行うか否かを選択する(S704)。ここで、摩擦堅牢性の最適化を行わなけば(S704:NO)、処理を終了する。
【0078】
続いて、プラテン140に新たな布帛Mcをセットして、操作パネル150にある「PRINT」ボタンを操作し、出力枚数を選択して、新たな評価用チャートCEの作成を開始する(S705)。ここでは、出力枚数として「2枚」が選択されたものとする。その結果、
図6に例示した評価用チャートCEが2枚の布帛Mcに印刷された状態になる(S706)。
【0079】
続いて、評価用チャートCEが印刷された2枚の布帛Mcに対して劣化工程としての摩擦評価を実行する(S707)。ここで行われる摩擦評価は、1枚の布帛Mcに対しては洗濯を実行することで布帛Mcに形成された評価用チャートCEの発色の劣化度合いを評価するためのものである。そこで、洗濯の評価用チャートCEに対して、洗濯後の発色状態の評価を実行する。また、もう1枚の布帛Mcに対しては、評価用チャートCEが形成されている部分を擦り、摩擦による劣化を促進させてから、その後の発色状態の評価を実行する。これら劣化工程を経た評価用チャートCEの発色度合いに基づいて、処理液PLの吐出量と色液体CLの吐出量との関係性を判定し、堅牢性を考慮した状態における発色状態から、処理液PLの吐出量の評価を実行する。ここでの評価方法は、S703において説明した手法と同様である。
【0080】
S707における摩擦評価の結果に基づいて、評価用チャートCEの発色状態を判定して、操作パネル150に表示される設定画面GEにおいて、色液体CLの吐出量ごとに最適な処理液PLの吐出量を設定する(
図9参照)。
【0081】
以上の流れにより処理液吐出量最適化処理が完了する。その後、プラテン140に対して、処理液吐出量最適化処理において用いた種類と同じ種類の布帛Mcをセットして、所定の画像を形成する。処理液吐出量最適化処理を実行することで、液体吐出ヘッド120の駆動波形自体が調整される。駆動波形が調整されることで、動作指示情報に含まれる画像データによって決定される液体吐出ヘッド120の吐出動作における駆動量が調整される。ここで、液体吐出ヘッド120の吐出動作における駆動量とは、液体吐出ヘッド120の吐出動作によって吐出される処理液の量に相当する。すなわち、
図6を用いて例示した設定(評価チャート)に基づいて、液体吐出ヘッド120が初期値によって行われる吐出動作とは異なる吐出動作をすることで、初期値とは異なる量の処理液を吐出する状態になっている。
【0082】
布帛Mcの種類を変更するときは、新たな種類の布帛Mcを用いて再度、
図7に例示した処理を実行する。このように、吐出量設定処理を実行することで、布帛Mcの種類に応じて最適な処理液PLの吐出量を設定することができる。そして、処理液PLの吐出量の最適化によって、布帛Mcの種類に応じて最適な発色状態を得ることができる。
【0083】
[第二実施形態]
次に、本発明に係る液体吐出装置の実施形態としてのインクジェットプリンタ100において実行可能な吐出量設定処理の第二実施形態について
図11及び
図12を用いて説明する。
図11は、第一実施形態に係る
図6の評価用チャートCEとは異なり、処理液PLの吐出量を2%刻みで変化させたものである。また、
図12は、第一実施形態に係る
図8に相当するものである。
図13は、第一実施形態に係る
図9に相当するものである。
【0084】
図13に例示するように、第二実施異形態では、評価用チャートCEにおける処理液PLの吐出量をより細かく区別して個別領域に画像を形成した結果を用いて、処理液PLの吐出量を設定できる。これによって、よりきめ細やかに、発色向上、画質異常対策、洗濯・摩擦堅牢性最適化が可能となる。
【0085】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
<1>
媒体の所定の位置に液体を吐出する液体吐出ヘッドと、
前記媒体を前記液体吐出ヘッドに対して相対的に移動させる媒体移動部と、
前記液体吐出ヘッド及び前記媒体移動部の動作を制御する制御部と、
を備え、
前記液体吐出ヘッドは複数であり、
複数の当該液体吐出ヘッドのうち、
一の液体吐出ヘッドは、前記媒体に特定色の着色を行うための色液体を吐出する色液吐出部であり、
他の液体吐出ヘッドは、前記着色がなされる媒体領域に対し、発色の度合いに作用させるための所定の効果を発揮する処理液を吐出する処理液吐出部であり、
前記制御部は、
前記色液体の吐出量及び前記処理液の吐出量を共に変化させた評価用チャートを前記媒体領域に生成するように前記液体吐出ヘッドを制御する評価用チャート生成部と、
前記評価用チャートにおける前記着色の度合いに応じて決定される、前記色液体の特定の吐出量に対する前記処理液の吐出量の設定をする処理液吐出量設定部と、
前記設定に基づいて、前記処理液吐出部の動作を制御する吐出制御部と、
を有する、
ことを特徴とする液体吐出装置である。
<2>
前記制御部は、
前記評価用チャート生成部において、前記媒体の種類に応じた前記評価用チャートを生成するように前記液体吐出ヘッドを制御し、
前記吐出制御部は、前記媒体の種類によって決定される前記設定に基づいて、前記処理液吐出部及び前記色液吐出部の動作を制御する、
前記<1>に記載の液体吐出装置である。
<3>
前記設定は、前記評価用チャートが前記媒体領域に生成された前記媒体に対し、前記発色を劣化させる所定の劣化工程を施した結果に基づいて、当該劣化工程を施した後の当該評価用チャートにおける前記発色の度合いに応じて決定される、
前記<1>又は前記<2>に記載の液体吐出装置である。
<4>
前記特定色は、白色である、
前記<1>乃至前記<3>のいずれか一つ項に記載の液体吐出装置である。
【0086】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0087】
10 :制御部
11 :画像形成処理部
12 :液体吐出制御部
13 :液体吐出ヘッド120移動制御部
14 :プラテン移動制御部
15 :メディア読取部
16 :液量判定部
17 :再画像形成指示受付部
100 :インクジェットプリンタ
101 :搬送プラテン
110 :キャリッジ121
120 :制御部
150 :操作パネル
151 :光学センサ
152 :ラインセンサ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0088】