(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153689
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】リソグラフィマスクの欠陥を修復する方法および装置
(51)【国際特許分類】
G03F 1/72 20120101AFI20241022BHJP
G03F 1/84 20120101ALI20241022BHJP
G03F 7/20 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
G03F1/72
G03F1/84
G03F7/20 501
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024113098
(22)【出願日】2024-07-16
(62)【分割の表示】P 2023503183の分割
【原出願日】2021-07-14
(31)【優先権主張番号】102020208980.9
(32)【優先日】2020-07-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(72)【発明者】
【氏名】バウアー マルクス
(57)【要約】
【課題】リソグラフィマスクの欠陥を修復する方法および装置を提供する。
【解決手段】本発明は、リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥(240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840)を修復する方法(1900)であって、少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップであり、少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることを含み、数値が、前記パラメータに対して少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱する、ステップを含む、方法(1900)に関する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥(240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840)を修復する方法(1900)であって、
前記少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップであり、少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることを含み、前記数値が、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱しており、前記少なくとも1つのパラメータの前記数値の前記逸脱が、下限がゼロよりも大きく、前記リソグラフィマスクの分解能限界よりも小さい範囲から選択される、ステップ
を含む、方法(1900)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの横寸法サイズと、前記少なくとも1つの修復形状の高さ寸法サイズと、前記少なくとも1つの修復形状と前記少なくとも1つの欠陥との間の距離と、前記少なくとも1つの欠陥の材料組成と、前記少なくとも1つの修復形状の幾何学的形状と、前記リソグラフィマスク上の前記少なくとも1つの欠陥の環境と、を含む群からの少なくとも1つの要素を含む、請求項1に記載の方法(1900)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された前記数値から所定の絶対値だけ逸脱する、請求項1または2に記載の方法(1900)。
【請求項4】
前記リソグラフィマスクの前記分解能限界が、前記リソグラフィマスクの光線波長、開口数、およびウェハ上に配置されたフォトレジストに前記リソグラフィマスクのパターンを投影するのに適した露光設定によって決まる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項5】
前記開口数が、前記フォトレジストに前記リソグラフィマスクの前記パターンを投影するのに適した露光システムの投影レンズの開口数を含む、請求項4に記載の方法(1900)。
【請求項6】
前記リソグラフィマスクの前記分解能限界が、前記リソグラフィマスクを用いたウェハの露光に適した露光システムのマスク側分解能限界を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項7】
前記マスク側分解能限界が、
【数1】
によって決まり、λが、前記リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Mが、前記露光システムの前記投影レンズのマスク側開口数であり、σが、前記リソグラフィマスクの露光に適した前記露光システムの露光設定である、請求項6に記載の方法(1900)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの対応するパラメータの前記数値の前記逸脱が、前記リソグラフィマスクの分解能限界の2%~80%、好ましくは2%~50%、最も好ましくは2%~30%の範囲を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの寸法の寸法サイズが、前記少なくとも1つの欠陥の対応する寸法の寸法サイズの10%~90%、好ましくは20%~80%、より好ましくは30%~70%、最も好ましくは40%~60%の範囲を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの欠陥が、パターン要素(220)のエッジ配置誤差(240)と、パターン要素の割り込みおよび/または架橋接続と、パターン要素のエッジ粗さの外れと、前記リソグラフィマスクへの粒子付着と、印刷可能性の低い横方向欠陥と、実行される欠陥修復の残留欠陥(340)と、パターン要素(1820)の側壁角度誤差(1850)と、パターン要素の重心誤差および/または2つのパターン要素間の距離範囲と、を含む群からの少なくとも1つの要素を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの修復形状の前記パラメータを確定するステップが、前記少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの空中像を記録することを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの空中像を記録することが、前記リソグラフィマスクの光線波長で前記少なくとも1つの欠陥の前記少なくとも1つの空中像を記録すること、および/または、前記少なくとも1つの欠陥の空中像焦点合成を記録することを含む、請求項11に記載の方法(1900)。
【請求項13】
前記数値を割り当てることが、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値からの前記少なくとも1つのパラメータの前記数値の前記逸脱を決定するトレーニング済み機械学習モデルを適用することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの修復形状の前記パラメータを確定するステップが、前記少なくとも1つの修復形状の前記パラメータを確定するトレーニング済み機械学習モデルを適用することを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項15】
前記確定された修復形状によって、前記リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を生成するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの修復要素を生成するステップが、少なくとも1つの集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスによって、少なくとも1つの局所エッチングプロセスを実行すること、および/または、少なくとも1つの局所堆積プロセスを実行することを含む、請求項15に記載の方法(1900)。
【請求項17】
a.前記パラメータが前記少なくとも1つの欠陥(240)により規定された少なくとも1つの修復形状によって、少なくとも1つの修復要素(310)を生成するステップと、
b.残っている残留欠陥(340)に対する修復形状のパラメータを確定するステップであり、少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることを含み、前記数値が、前記パラメータに対して前記残っている残留欠陥により予め規定された数値から逸脱する、ステップと
を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項18】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥パターン要素(220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820)を修復する方法(2000)であって、
a.その露光時に前記リソグラフィマスクを結像しない前記リソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を決定するステップであり、前記少なくとも1つの修復要素が、前記少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させるように構成された、ステップと、
b.少なくとも1つの集束粒子線(2415)および少なくとも1つの前駆体ガスによって、前記リソグラフィマスク上に前記少なくとも1つの修復要素を生成するステップと
を含む、方法(2000)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの修復要素が、前記リソグラフィマスクの分解能限界の10%~90%、好ましくは20%~80%、より好ましくは30%~70%、最も好ましくは40%~60%の範囲を含む少なくとも1つの寸法サイズを有する、請求項18に記載の方法(2000)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの修復要素(410、510、610)と前記少なくとも1つの欠陥パターン要素(220)との間の距離(420、520、620)が、前記リソグラフィマスクの分解能限界の2%~80%、好ましくは2%~50%、より好ましくは2%~30%、最も好ましくは2%~10%の範囲を含む、請求項18または19に記載の方法(2000)。
【請求項21】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が、コンピュータシステムにより実行された場合、前記コンピュータシステムに、請求項1~20の方法ステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項22】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥(240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840)を修復する装置(2100)であって、前記少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段であり、少なくとも1つのパラメータに数値を割り当てる手段を含み、前記数値が、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱しており、前記少なくとも1つのパラメータの前記数値の前記逸脱が、下限がゼロよりも大きく、前記リソグラフィマスクの分解能限界よりも小さい範囲から選択される、手段を備える、装置(2100)。
【請求項23】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥パターン要素(220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820)を修復する装置(2300)であって、
a.その露光時に前記リソグラフィマスクを結像しない前記リソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を決定する手段であり、前記少なくとも1つの修復要素が、前記少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させるように構成された、手段と、
b.前記リソグラフィマスク上に前記少なくとも1つの修復要素を生成するように構成された集束粒子線(2415)および少なくとも1つの前駆体ガスを提供する手段と
を備える、装置(2300)。
【請求項24】
請求項1~20の方法ステップのいずれかに従って修復され、露光システムにおいて使用されるリソグラフィマスク。
【請求項25】
請求項1~20の方法ステップのいずれかに従って修復されたリソグラフィマスクを使用する露光システム。
【請求項26】
前記露光システムの分解能限界が、前記露光システムの光源の波長、前記露光システムの投影レンズの開口数、および前記露光システムの露光設定によって決まる、請求項25に記載の露光システム。
【請求項27】
前記分解能限界が、前記投影レンズのウェハ側分解能限界を含む、請求項26に記載の露光システム。
【請求項28】
前記ウェハ側分解能限界が、
【数2】
によって決まり、λが、前記リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Wが、前記露光システムの前記投影レンズのウェハ側開口数であり、σが、ウェハ上に配置されたフォトレジストに前記リソグラフィマスクのパターンを投影するための前記リソグラフィマスクの露光に適した前記露光システムの露光設定である、請求項27に記載の露光システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、2020年7月17日にドイツ特許商標庁へ出願され、「Verfahren und Vorrichtung zum Reparieren eines Defekts einer lithographischen Maske」という名称のドイツ特許出願第DE 10 2020 208 980.9号の優先権を主張する。ドイツ特許出願第DE 10 2020 208 980.9号は、その全体が参照により本特許出願に組み込まれている。
【0002】
本発明は、リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥を修復する方法および装置に関する。さらに、本発明は、リソグラフィマスクの少なくとも1つのパターン要素を修復する方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
半導体産業における集積密度の向上の結果として、リソグラフィマスクは、ウェハ上のますます小さくなる構造を結像する(image)必要がある。この動向を考慮するために可能なこととして、その光線波長がより短波長側にシフトしたリソグラフィマスクまたはフォトリソグラフィマスクを使用することがある。現在は、フォトリソグラフィの光源として、約193nmの波長で出射するArF(フッ化アルゴン)エキシマレーザが使用されることが多い。二重露光または多重露光のためのマスクの使用によって、単一の露光ステップでは実現不可能な寸法サイズを有する構造体をフォトレジストで製造することが可能になる。
【0004】
現在、EUV(極紫外線)波長範囲(好ましくは、10nm~15nm)の電磁放射を用いたフォトリソグラフィシステムが開発されている。これらのEUVフォトリソグラフィシステムは、上記EUV範囲で光学的に透明な材料が現在利用可能ではないことから、反射光学素子を用いた全く新しいビームガイドの概念に基づく。EUVシステムの開発における技術的課題は非常に多く、産業に適用可能なレベルまで前記システムを引き上げるには多大な開発努力が必要となる。
【0005】
ウェハ上に配置されたフォトレジスト中の微細構造の結像に大きく寄与するのは、リソグラフィマスク、フォトリソグラフィマスク、露光マスク、フォトマスク、または単にマスクである。集積密度が高くなればなるほど、露光マスクが結像し得る最小限の構造サイズを小さくすることがますます重要となる。ウェハに塗布されたフォトレジストにおいて、微細化が進むマスクの構造を確実に結像可能となるように、たとえば光近接効果補正(OPC)技術等の分解能向上技術(RET)が多く利用されるようになってきている。W.-M. Gan et al.: "Placement of sub-resolution assist features based on a generic algorithm", DOI 10.1109/ACCESS.2019.2926102、IEEE ACCESS, P. Gupta et al.: "Manufacturing-aware design methodology for assist feature correctness", Design and Process Integration for Microelectronic Manufacturing III, Proc. of SPIE Vol. 4756, Bellingham, WA, 2005, doi: 10.1117/12.604872、米国特許出願公開第2006/0046160号、米国特許第8739080B1号、米国特許第8498469B2号、米国特許出願公開第2008/0077907号、米国特許出願公開第2009/0258302号、および米国特許第10318697B2号といった例示的な文献は、RETまたはOPC技術の種々態様を記載している。
【0006】
微細化が進む構造要素もしくはパターン要素の組み合わせならびにRET技術の使用によって、フォトリソグラフィマスクを製造するプロセスは、ますます複雑化しており、多大な時間を必要とする結果として、より高価なものにもなってきている。
【0007】
パターン要素の構造サイズが小さいことから、マスク製造時にウェハ上に生成されるパターン要素の設計仕様からのごくわずかなずれであっても、可視的または「印刷可能な」誤差として現れる。これらは、可能な限り修復の必要がある。ウェハ上に見られる欠陥の寸法サイズは小さく、たとえば2桁ナノメートル台前半の範囲の値であるため、前記欠陥の検出に要する費用は、非常に高額なものになってきている。さらに、より小さな欠陥の修復は、ますます困難なものになってきている。第一に、識別された欠陥に対する修復ツールの位置決めは、非常に複雑な計測によってのみ可能であり、第二に、特定の微小欠陥に対して修復ツールを設定するには、多くの時間を費やす必要がある。
【0008】
したがって、本発明は、特にリソグラフィマスクの微小欠陥の修復を改善する方法および装置を規定する課題に対処する。
【発明の概要】
【0009】
本発明の例示的な一実施形態によれば、上記課題は、請求項1に記載の方法および請求項22に記載の装置によって解決される。別の例示的な実施形態において、上記課題は、請求項18に記載の方法および請求項23に記載の装置によって解決される。
【0010】
一実施形態において、リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥を修復する方法は、少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップであり、少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることを含み、数値が、前記パラメータに対して少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱する、ステップを含む。特に、これは、微小欠陥すなわちマスクの分解能限界の10倍、分解能限界の5倍、分解能限界の3倍、または分解能限界よりも小さな少なくとも1つの寸法サイズを有する欠陥に対して有利なものとすることができる。微小欠陥が分解能限界の2%~50%の範囲内の少なくとも1つの寸法サイズを有する場合に、特に有利なものとすることができる。
【0011】
欠陥の修復に用いられる修復形状のパラメータは通常、修復対象の欠陥によって規定される。本発明者は、包括的な解析により、修復形状のパラメータのうちの少なくとも1つに対して、欠陥の修復に実際必要となる値とは異なる数値が割り当てられる場合に、特にこれまでは多大な困難を伴うことでしか除去できなかった極小欠陥の補償または修復が大幅に簡略化され得ることを発見した。特に、これは、微小欠陥すなわちマスクの分解能限界の2%~50%の範囲内の少なくとも1つの寸法サイズを有する欠陥に対して有利なものとすることができる。
【0012】
以下、測定値に基づいて確定された数値のみをパラメータとして有する修復形状は、公称修復形状とも称する。公称修復形状は通常、欠陥を有する測定マスクセグメントと欠陥のない同等の測定マスクセグメントとの差により形成される。この代替および/または追加として、測定欠陥マスクセグメントの設計データを後者から差し引くことによって、公称修復形状を生成することも可能である。本発明に係る方法において用いられる修復形状が公称修復形状と異なる点として、前者の修復形状では、測定結果により確定された数値から逸脱する数値を少なくとも1つのパラメータが有する。
【0013】
簡単に言えば、(たとえば、誤ったエッジ位置とマスク設計により予め規定された目標エッジ位置との差によるエッジ誤差の場合に)各欠陥により予め数値が規定されたパラメータのみに基づくことなく、(たとえば、エッジ誤差の)修復を行うことを有利なものとすることができる。これは、特にパラメータの数値が分解能限界の範囲内またはこれを下回る場合(たとえば、エッジ位置は、ごくわずかにしか誤差とならない)、この(微小)欠陥の補正には非常に精密な修復が必要となるためである。修復時の小さな誤差は、修復が大幅な改良を伴わないという効果をもたらすことができる。ただし、対応するパラメータについて、各欠陥により予め規定された数値からの目標とする逸脱が生じた場合には、修復時の誤差の影響が著しく小さくなるため、必要に応じて、修復プロセスの要件を緩和することができる。
【0014】
以下、パターン要素のエッジ配置誤差の例に基づいて、本発明に係る方法を説明する。マスク設計の仕様からのパターン要素のエッジの逸脱(deviation)dxは、露光プロセスにおいてマスクにより、逸脱dx、欠陥もしくは逸脱に対して考え得るマスク増大係数MEEF(マスク誤差増大係数)、ならびにマスクの下流に配設された投影レンズの倍率または縮小率の積で与えられるエッジ配置誤差EPEに変換される。フォトリソグラフィ露光システムの投影レンズの倍率は、M=1/4またはM=1/5の場合が多い。
【0015】
ただし、パターン要素のエッジの逸脱dxがフォトリソグラフィマスクの分解能限界よりも小さくなると、後者によって、露光プロセスにおける逸脱dxが大幅に抑えられ、エッジ配置誤差が小さくなる。これは、寸法サイズがマスクの分解能力よりも小さな構造全体にわたってフォトマスクの光線放射が平均化されていることによる。この平均化プロセスの詳細は、考慮する構造およびこれらの構造要素の結像に用いられる露光プロセスの詳細によって決まる。本出願では、この重要事項を利用して、寸法サイズがリソグラフィマスクの分解能限界を下回る欠陥の修復を容易化する。
【0016】
この点において、たとえばパターン要素のエッジ修復において、修復のパラメータ(または、対応する公称修復形状のパラメータ)が実際に(欠陥によって数値的に予め規定された)測定エッジから目標エッジまでの材料の堆積を必要とする場合は、材料を測定エッジからのある距離で意図的に堆積させることができ、材料は任意選択として短く堆積される。このため、堆積材料の厳密な位置決めの誤差は、(たとえば、回折効果によって)修復されたマスクの品質にほとんど影響を及ぼさない。これは、材料のエッチングを必要とする誤差の場合にも同様に当てはまり、たとえばエッジ誤差の場合は、測定エッジからのある距離で材料をエッチングすることができる。
【0017】
修復形状は、フォトマスクの欠陥を除去するために修復ツールが実行する命令を組み合わせたものである。材料過剰の欠陥の例の場合は、マスクからの過剰な材料の除去に使用可能な局所エッチングプロセスが修復形状により表される。修復形状は通常、当該修復形状において規定されるように、粒子線によってスキャンされる基準面積を有する。これは、粒子線の粒子のエネルギー、粒子線の焦点におけるスポット幅、ある場所での粒子線の滞留時間、マスクもしくは欠陥上の粒子線の隣り合う入射点間の距離、ならびに粒子線が再び開始点に達するまでの時間が修復形状により規定されることを意味する。粒子線がスキャンする面積および上掲のパラメータの数値もまた、修復形状の実現の過程で変化するものと考えることができる。局所エッチングプロセスの場合は、エッチングガスの供給の時間的進行がさらに、修復形状により規定される。すなわち、少なくとも1つの欠陥の処理中のエッチングガスのガス体積流量が修復形状により制御される。
【0018】
本出願において、リソグラフィマスクという用語には、フォトリソグラフィマスクを含む。
【0019】
少なくとも1つのパラメータは、少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの横寸法サイズと、少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの高さ寸法サイズと、少なくとも1つの修復形状と少なくとも1つの欠陥との間の距離と、少なくとも1つの欠陥の材料組成と、少なくとも1つの修復形状の幾何学的形状と、リソグラフィマスク上の少なくとも1つの欠陥の環境と、を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。少なくとも1つの欠陥の材料組成が主として、その複素屈折率を決定する。
【0020】
修復の容易化もしくは改善または微小欠陥の補償は、さまざまな手段によりもたらすことができる。ある点では、公称修復形状のパラメータによって予め規定されるように、欠陥が1:1で修復される必要はない。この点、修復形状の基準面積は、欠陥の基準面積よりも小さくなり得る。別の点において、修復形状の高さは、欠陥の高さよりも小さくなり得る。したがって、上記規定の方法は、マスクからの材料除去またはマスク上の材料積層が欠陥の体積よりも小さくなり得る欠陥補正を可能にする。この状況は、欠陥処理時間に好影響を及ぼす。
【0021】
別の態様においては、分解能力よりも小さな構造上の光線放射の上述の平均化によって、修復形状を元の欠陥の位置からいくらか離して配置することが可能になる。結果として、欠陥修復または欠陥補償の品質に大きな悪影響が及ぼされることなく、欠陥の修復形状を配置する際の位置精度に対する非常に厳しい要件が明らかに緩和される。
【0022】
さらに、修復形状の幾何学的形状は、実際の欠陥形状から逸脱し得る。これにより、欠陥形状とは少なくとも部分的に独立して修復形状が選定され得るため、欠陥修復が明らかに簡略化され、その結果、幾何学的形状の生成が大幅に簡素化され得る。
【0023】
少なくとも1つのパラメータは、前記パラメータに対して少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から所定の絶対値だけ逸脱し得る。
【0024】
少なくとも1つの横方向パラメータの数値の逸脱は、下限がゼロよりも大きく、上限がリソグラフィマスクの(無欠陥領域の)分解能限界よりも小さな範囲から選択され得る。
【0025】
リソグラフィマスクの分解能限界は、リソグラフィマスクの光線波長、開口数(NA)、およびウェハ上に配置されたフォトレジストにリソグラフィマスクのパターンを投影するのに適した露光設定によって決まり得る。
【0026】
開口数は、フォトレジストにリソグラフィマスクのパターンを投影するのに適した露光システムの投影レンズのNAを含み得る。投影レンズのNAは、マスク側開口数(NAM)を含み得る。
【0027】
通常、リソグラフィマスクは、特定の露光システムにおける作用を目的として設計される。これは、光線波長、露光システムの投影レンズの開口数(NAM)のほか、特にリソグラフィマスクのパターンをフォトレジストに投影する露光システムが使用する露光設定に対して、リソグラフィマスクが具体的に設計されることを意味する。この意味では、リソグラフィマスクの設計によって、その分解能限界の決定または確定がなされる。
【0028】
リソグラフィマスクの分解能限界は、リソグラフィマスクを用いたウェハの露光に適した露光システムのマスク側分解能限界を含み得る。
【0029】
マスク側分解能限界(R
M)は、
【数1】
によって決まり得る。ここで、λは、リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Mは、露光システムの投影レンズのマスク側開口数であり、σは、リソグラフィマスクを露光する露光システムの露光設定である。
【0030】
マスク側分解能限界RMは、光線波長λに比例し、マスク側開口数NAMに反比例する。NAMの数値の範囲としては、約0.1~0.5が可能である。さらに、リソグラフィマスクの分解能限界は、リソグラフィマスクを使用してウェハを露光する露光システムの露光設定σによって決まる。σの数値は、0(中心照射の場合)~1(最大傾斜照射の場合)の範囲である。本技術分野において、傾斜露光は、軸外露光とも称する。
【0031】
開口数NAMおよび露光設定σに応じて、深紫外(DUV)波長λ=193nmで露光されるフォトマスクの分解能限界は、150nm≦RM≦300nmである。光線波長がλ=13.5nmのEUVマスクの場合、分解能限界は現在のところ、50nm≦RM≦100nmの範囲である。これは、フォトリソグラフィマスクの光線波長が短くなるにつれて、修復形状の1つのパラメータの1つの数値または複数のパラメータの数値が選定され得る範囲が縮むことを意味する。言い換えると、上記規定の方法では、EUV波長範囲よりもDUV波長範囲において、より広範な新しい自由度を利用可能になる。
【0032】
少なくとも1つのパラメータの数値の逸脱は、リソグラフィマスクの分解能限界の2%~80%、好ましくは2%~50%、最も好ましくは2%~30%の範囲を含み得る。
【0033】
少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの寸法の寸法サイズは、少なくとも1つの欠陥の対応する寸法の寸法サイズの10%~90%、好ましくは20%~80%、より好ましくは30%~70%、最も好ましくは40%~60%の範囲を含み得る。
【0034】
少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの寸法の寸法サイズは、少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの横寸法および/または高さを含み得る。
【0035】
少なくとも1つの修復形状と少なくとも1つの欠陥との間の距離は、リソグラフィマスクの無欠陥領域の分解能限界の2%~80%、好ましくは2%~50%、より好ましくは2%~30%、最も好ましくは2%~10%の範囲を含み得る。
【0036】
修復形状は、公称修復形状に対して横方向に変位する可能性があり、公称修復形状に対してその寸法サイズが横方向に逸脱する可能性があり、また、修復形状および公称修復形状が実質的に同じ光強度分布をフォトレジストに生じさせるように、公称修復形状に対してその高さが逸脱する可能性がある。これは、修復形状の横寸法サイズおよび高さを結合可能または相関可能であることを意味する。一例として、修復形状の高さが小さい場合は、一方または両方の横寸法サイズを大きくすることによってこれを補償可能であり、その逆もまた同様である。さらに、欠陥に関する修復形状の高さまたは横寸法サイズと修復形状の横方向変位との相関も可能である。詳細は、修復形状、修復形状が生成されるマスクの環境、および露光プロセスによって決まる。
【0037】
少なくとも1つの欠陥は、パターン要素のエッジ配置誤差と、パターン要素の割り込みおよび/または架橋接続と、パターン要素のエッジ粗さの外れと、リソグラフィマスクへの粒子付着と、印刷可能性の低い横方向欠陥と、実行される欠陥修復の残留欠陥と、パターン要素の側壁角度誤差と、パターン要素の重心誤差および/または2つのパターン要素間の距離範囲と、を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0038】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップは、少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの空中像を記録することを含み得る。空中像は、マスク検査装置によって測定可能である。マスク検査装置には、光学検査装置および/またはマスク表面をスキャンする検査装置を含み得る。光学マスク検査装置には、たとえばレーザ干渉計を含み、マスク表面をスキャンするマスク検査装置には、たとえば原子間力顕微鏡を含み得る。光学マスク検査装置は、フォトマスクの空中像および/または空中像焦点合成を記録するように設計可能である。
【0039】
少なくとも1つの空中像を記録することは、リソグラフィマスクの光線波長で少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの空中像を記録すること、および/または、少なくとも1つの欠陥の空中像焦点合成を記録することを含み得る。光線波長で空中像を記録することにより、その後のフォトレジスト中のフォトマスクの露光において結像される詳細が空中像に示される。したがって、前記マスクの光線波長での空中像の記録が好都合である。また、前記マスクの焦点を通じた調節中に、フォトリソグラフィマスクの欠陥領域の結像挙動を決定することがさらに好都合である。
【0040】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップは、走査型粒子顕微鏡および/または走査型プローブ顕微鏡によって少なくとも1つの欠陥をスキャンすることを含み得る。さらに、少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップは、少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの空中像を記録することと、走査型粒子顕微鏡および/または走査型プローブ顕微鏡によって少なくとも1つの欠陥をスキャンすることと、を含み得る。
【0041】
走査型粒子顕微鏡には、走査型電子顕微鏡(SEM)、走査型イオン顕微鏡(FIB(集束イオンビーム))、および分極評価可能な走査型電子顕微鏡(SEMPA)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0042】
走査型プローブ顕微鏡には、走査型トンネル顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、磁気力顕微鏡(MFM)、走査型近接場光学顕微鏡(SNOM)、および走査型近接場音響顕微鏡(SNAM)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0043】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップは、稼働中にリソグラフィマスクを露光するための露光設定、リソグラフィマスクの設計データ、材料欠損の欠陥を修復するための堆積材料の屈折率データ、およびリソグラフィマスクの分解能向上のRET技術を含む群からの少なくとも1つの要素にさらに基づき得る。
【0044】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップは、少なくとも1つの欠陥の測定データおよびリソグラフィマスクの設計データに少なくとも1つのアルゴリズムを適用することを含み得る。
【0045】
少なくとも1つのアルゴリズムは、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはこれらの組み合わせを用いて実現可能である。さらに、少なくとも1つのアルゴリズムは、不揮発性メモリに格納可能である。特に、少なくとも1つのアルゴリズムは、半導体メモリ(SSD(半導体ドライブ))に格納可能である。
【0046】
数値を割り当てることは、前記パラメータに対して少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値からの少なくとも1つのパラメータの数値の逸脱を決定するトレーニング済み機械学習モデルを適用することを含み得る。
【0047】
機械学習モデルには、少なくとも2つの変換ブロックを有する変換モデルを含むことができ、少なくとも2つの変換ブロックは少なくともそれぞれ、後続の変換ブロックの入力として使用される出力へと入力を変換する一般的に学習可能な関数を含む。機械学習モデルには、パラメトリックマッピング、人工ニューラルネットワーク、深層ニューラルネットワーク、時間遅延ニューラルネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク、再帰型ニューラルネットワーク、長短期メモリネットワーク、発生モデル、カーネル密度推定器、統計モデル、決定木、線形モデル、および時不変モデルを含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0048】
機械学習モデルは、(a)少なくとも1つの欠陥の像および少なくとも1つの欠陥の像に割り当てられた設計データの情報伝達特性を決定する少なくとも1つのエンコーダブロックと、(b)決定された情報伝達特性から少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの効果を生成する少なくとも1つのデコーダブロックであり、少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの効果が、少なくとも1つの欠陥の像と対応する設計データとの重ね合わせがどのようなものであるかを示す、デコーダブロックと、を備え得る。
【0049】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップは、少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するトレーニング済み機械学習モデルを適用することを含み得る。
【0050】
上述の方法の少なくとも2つの実施形態において、トレーニング済み機械学習モデルを使用可能である。まず、対応するトレーニング済み機械学習モデルを使用することにより、修復形状の1つまたは複数のパラメータに対して、少なくとも1つの欠陥の結果として逸脱する1つまたは複数の数値を割り当てることができる。ただし、測定データ(たとえば、欠陥の1つまたは複数の空中像)、マスクの設計データ、および任意選択として、1つまたは複数のRET技術の構造に基づいて、少なくとも1つの欠陥を修復するための少なくとも1つの修復形状のすべてのパラメータを対応するトレーニング済み機械学習モデルが確定することも可能であり、これが現時点で好適な実施形態である。
【0051】
本発明に係る方法は、確定された修復形状によって、リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素を生成するステップをさらに含み得る。修復形状を実装することにより、少なくとも1つの欠陥の除去すなわち修復または補償を行うように可能な限り設計された修復要素がフォトマスク上に生成される。
【0052】
上記少なくとも1つの修復要素がフォトリソグラフィマスクの露光中に結像されないようにすることもできる。上記少なくとも1つの修復要素は、リソグラフィマスクの露光中に少なくとも1つの欠陥の結像挙動を変化させることができる。
【0053】
生成された修復要素は通常、フォトリソグラフィマスクの分解能限界を下回る公称修復形状に対して逸脱しているため、光線波長によるマスクの露光中にフォトレジストひいてはその直下のウェハに結像されないものと考えることができる。ただし、マスク上に生成された修復要素は、フォトマスクの欠陥領域の結像挙動を変化させるように設計されているため、欠陥領域と修復要素との組み合わせによって、パターン配置が同一の無欠陥領域に酷似する結像挙動がもたらされる。結果として、露光プロセスにおいては、修復されたマスクによって、無欠陥マスクと実質的に同じエッジ位置が生成される。少なくとも1つの修復要素の効果は、修復要素における光線露光放射のさまざまな効果に少なくとも部分的に基づく。
【0054】
少なくとも1つの修復要素を生成するステップは、少なくとも1つの集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスによって、少なくとも1つの局所エッチングプロセスを実行すること、および/または、少なくとも1つの局所堆積プロセスを実行することを含み得る。
【0055】
少なくとも1つの集束粒子線には、光子線、電子線、イオンビーム、原子線、および分子線を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0056】
少なくとも1つの前駆体ガスには、エッチングガス、堆積ガス、および添加ガスを含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0057】
エッチングガスには、ハロゲン(F2、Cl2、Br2、J2)、酸素(O2)、オゾン(O3)、塩酸(HCl)、フッ化水素(HF)、二フッ化キセノン(XeF2)、四フッ化キセノン(XeF4)、六フッ化キセノン(XeF6)、塩化キセノン(XeCl)、フッ化アルゴン(ArF)、フッ化クリプトン(KrF)、二フッ化硫黄(SF2)、四フッ化硫黄(SF4)、六フッ化硫黄(SF6)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、三フッ化リン(PF3)、三フッ化窒素(NF3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H2O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0058】
少なくとも1つの堆積ガスには、金属アルキル、遷移元素アルキル、典型元素アルキル、金属カルボニル、遷移元素カルボニル、典型元素カルボニル、金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、典型元素アルコキシド、金属錯体、遷移元素錯体、典型元素錯体、および有機化合物を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0059】
金属アルキル、遷移元素アルキル、および典型元素アルキルには、シクロペンタジエニル(Cp)トリメチル白金(CpPtMe3)、メチルシクロペンタジエニル(MeCp)トリメチル白金(MeCpPtMe3)、テトラメチルすず(SnMe4)、トリメチルガリウム(GaMe3)、フェロセン(Co2Fe)、およびビサリルクロニウム(Ar2Cr)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0060】
金属カルボニル、遷移元素カルボニル、および典型元素カルボニルには、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6)、モリブデンヘキサカルボニル(Mo(CO)6)、タングステンヘキサカルボニル(W(CO)6)、ジコバルトオクタカルボニル(Co2(CO)8)、トリルテニウムドデカルボニル(Ru3(CO)12)、および鉄ペンタカルボニル(Fe(CO)5)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0061】
金属アルコキシド、遷移元素アルコキシド、および典型元素アルコキシドには、テトラエチルオルソシリケート(TEOS、Si(OC2H5)4)およびテトライソプロポキシチタン(Ti(OC3H7)4)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。金属ハロゲン化物、遷移元素ハロゲン化物、および典型元素ハロゲン化物には、六フッ化タングステン(WF6)、六塩化タングステン(WCl6)、六塩化チタン(TiCl6)、三塩化ホウ素(BCl3)、および四塩化ケイ素(SiCl4)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0062】
金属錯体、遷移元素錯体、および典型元素錯体には、銅ビス(ヘキサフルオロアセチルアセトナート)(Cu(C5F6HO2)2)およびジメチル金トリフルオロアセチルアセトナート(Me2Au(C5F3H4O2))を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0063】
有機化合物には、一酸化炭素(CO)、二酸化炭素(CO2)、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素、真空ポンプオイルの成分、および揮発性有機化合物を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。芳香族炭化水素には、スチレンを含み得る。
【0064】
少なくとも1つの添加ガスには、酸化剤、ハロゲン化物、および還元剤を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0065】
酸化剤には、酸素(O2)、オゾン(O3)、水蒸気(H2O)、過酸化水素(H2O2)、亜酸化窒素(N2O)、一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2)、および硝酸(HNO3)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。ハロゲン化物には、塩素(Cl2)、塩酸(HCl)、二フッ化キセノン(XeF2)、フッ化水素(HF)、ヨウ素(I2)、ヨウ化水素(HI)、臭素(Br2)、臭化水素(HBr)、塩化ニトロシル(NOCl)、三塩化リン(PCl3)、五塩化リン(PCl5)、および三フッ化リン(PF3)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。還元剤には、水素(H2)、アンモニア(NH3)、およびメタン(CH4)を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0066】
生成される少なくとも1つの修復要素は、少なくとも1つの欠陥に少なくとも部分的に重なり得る。堆積された修復要素には、リソグラフィマスクの材料を含み得る。堆積された修復要素には、金属(たとえば、クロム(Cr))、金属化合物(たとえば、窒化タンタル(TaN))、シリコン(Si)、二酸化シリコン(SiO2)、およびモリブデンシリコンオキシナイトライド(MoxSiOyNz)(0<x≦0.5、0≦y≦2、および0≦z≦4/3)を含み得る。エッチングされる修復要素は、フォトリソグラフィマスクの材料をエッチングし得る。エッチングされる修復要素には、前述のマスク材料を含み得る。
【0067】
上記規定の方法は、(a)パラメータが少なくとも1つの欠陥により規定された少なくとも1つの修復形状によって、少なくとも1つの修復要素を生成するステップと、(b)残っている残留欠陥に対する修復形状のパラメータを確定するステップであり、少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることを含み、数値が、前記パラメータに対して残っている残留欠陥により予め規定された数値から逸脱する、ステップと、を含み得る。
【0068】
上記規定の方法は、一般的な欠陥修復プロセスの第2の段階として使用可能である。この場合、第1の段階において、大きな欠陥すなわちフォトマスクの分解能限界に対して大きな欠陥は、局所エッチングプロセスの形態もしくは局所堆積プロセスの形態で修復形状を実現すること、または、対応する修復要素を生成することにより修復可能である。その後、修復されたマスクが検査される。マスクの検査中に、修復された場所が依然として必ずしも仕様を満たしていないことが認められた場合は、残存する残留欠陥に対して修復形状が決定され、その修復形状のパラメータが本発明に係る方法に従って決定される。ここでは、残存する残留欠陥が微小欠陥すなわちフォトリソグラフィマスクの分解能力または分解能限界よりも小さな少なくとも1つの寸法における少なくとも1つの寸法サイズを有する欠陥を構成するものと仮定する。残存する残留欠陥は、第2の段階において確定された修復形状に基づいて対応する修復要素を生成することにより、後で修復または補償可能である。
【0069】
第2の実施形態において、リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥パターン要素を修復する方法は、(a)その露光時にリソグラフィマスクを結像しないリソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素を決定するステップであり、少なくとも1つの修復要素が、少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させるように構成された、ステップと、(b)少なくとも1つの集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスによって、リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素を生成するステップと、を含む。
【0070】
生成される少なくとも1つの修復要素は、少なくとも1つの寸法において、フォトマスクの分解能限界Rよりも小さな寸法サイズを有し得る。既に説明した通り、寸法サイズがマスクの分解能力を下回る構造物上の光線放射の平均化によって、修復要素の配置誤差の影響が軽減される。この状況は、修復対象の欠陥の位置に対する修復要素の位置決めを大幅に容易化する。さらに、修復要素の非結像化によって、その幾何学的形状は、欠陥の補償に対する大きな悪影響なく、欠陥の形状から大幅に逸脱し得る。この事実によって、微小欠陥の修復または補償が大幅に簡素化される。
【0071】
ただし、マスク上に生成される修復要素は、光線波長でのマスクの回折挙動を局所的に変化させる。次いで、修復要素は、前記修復要素と欠陥パターン要素との組み合わせによって、フォトリソグラフィマスクの対応する無欠陥領域の結像挙動を実質的に実現するように設計されている。
【0072】
少なくとも1つの修復要素は、リソグラフィマスクの分解能限界の10%~90%、好ましくは20%~80%、より好ましくは30%~70%、最も好ましくは40%~60%の範囲を含む少なくとも1つの寸法サイズを有し得る。
【0073】
少なくとも1つの修復要素と少なくとも1つの欠陥パターン要素との間の距離は、リソグラフィマスクの分解能限界の2%~80%、好ましくは2%~50%、より好ましくは2%~30%、最も好ましくは2%~10%の範囲を含み得る。
【0074】
少なくとも1つの修復要素の少なくとも1つの寸法サイズは、リソグラフィマスクの分解能限界の10%~90%、好ましくは20%~80%、より好ましくは30%~70%、最も好ましくは40%~60%の範囲を含み得る。
【0075】
修復要素の他の態様については、第1の実施形態に関して上述した通りである。
【0076】
コンピュータプログラムは、命令を含むことができ、命令は、コンピュータシステムにより実行された場合、コンピュータシステムに、上掲の態様のうちの1つの方法ステップを実行させる。
【0077】
一実施形態において、リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥を修復する装置は、少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段であり、数値を少なくとも1つのパラメータに割り当てる手段を備え、数値が、前記パラメータに対して少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱する、手段を含む。
【0078】
この装置は、確定された修復形状によって、リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素を生成する手段をさらに含み得る。
【0079】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段は、少なくとも1つの欠陥の測定データおよびリソグラフィマスクの設計データから、少なくとも1つの修復形状のパラメータを決定するように構成された少なくとも1つのコプロセッサを備え得る。さらに、少なくとも1つのコプロセッサは、少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱する少なくとも1つの数値を少なくとも1つの対応するパラメータに割り当てるように構成可能である。少なくとも1つの対応するパラメータの逸脱する数値の割り当ては、リソグラフィマスクの分解能限界および少なくとも1つの修復要素を生成する際の分解能限界に基づいてもたらされ得る。
【0080】
少なくとも1つの修復要素を生成する際の分解能限界は本質的に、2つのパラメータの影響を受ける。第1のパラメータは、修復要素を生成する粒子線を集束可能な最小スポット径である。光子線の場合、実現可能なスポット径は、光子の波長によって決まる。光子線によってDUV波長範囲の修復要素をマスク上に生成するには、EUV波長範囲からの光子が必要である。EUV光子源は、現在のところ依然として、非常に高価である。したがって、修復要素を生成する目的では、分解能限界がド・ブロイ波長により与えられる質量を有する粒子線(たとえば、電子線)を使用するのが好都合である。電子線は現在、数ナノメートルの範囲のスポット径へと集束可能である。電子線の位置決め精度は非常に高く、サブナノメートルの範囲に及ぶ。
【0081】
修復要素を生成する際の分解能限界を決定する第2のパラメータは、質量を有する粒子線により生成される二次電子の相互作用領域または散乱円錐である。マスク表面の前記相互作用領域の直径によって、粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスにより開始される局所的な化学反応の程度が決まる。相互作用領域のサイズは、フォトマスクに入射する粒子のエネルギーによって決まる。さらに、相互作用部位におけるフォトマスクの局所的な材料組成は、相互作用領域のサイズに大きな影響を及ぼす。現在、局所的な化学反応は、約5nmの横寸法に制限することができる。
【0082】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段は、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンプレックスプログラマブルロジック回路(CPLD(Complex Programmable Logic Device))、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として具現化された少なくとも1つのアルゴリズムを含み得る。
【0083】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段は、少なくとも1つのトレーニング済み機械学習モデルを含み得る。さらに、少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱する数値を少なくとも1つの対応するパラメータに割り当てる手段は、トレーニング済み機械学習モデルを含み得る。
【0084】
少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段には、マスク検査装置、干渉計、共焦点顕微鏡、走査型粒子顕微鏡、および走査型プローブ顕微鏡を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。前記群の要素は、少なくとも1つの欠陥からの測定データを記録可能である。
【0085】
少なくとも1つの修復要素を生成する手段には、局所的な化学反応を実行するように構成された少なくとも1つの集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスを含み得る。
【0086】
第2の実施形態において、リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥パターン要素を修復する装置は、(a)露光時にリソグラフィマスクを結像しないリソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素を決定する手段であり、修復要素が、少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させるように構成された、手段と、(b)リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素を生成するように構成された集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスを提供する手段と、を含む。
【0087】
少なくとも1つの修復要素を決定する手段は、少なくとも1つの欠陥の測定データおよびリソグラフィマスクの設計データから、少なくとも1つの修復要素を決定するように構成された少なくとも1つのコプロセッサを備え得る。少なくとも1つの修復要素の決定は、リソグラフィマスクの分解能限界および集束粒子線の焦点における最小スポットサイズに基づいてもたらされ得る。
【0088】
リソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素を決定する手段は、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンプレックスプログラマブルロジック回路(CPLD(Complex Programmable Logic Device))、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)として具現化された少なくとも1つのアルゴリズムを含み得る。
【0089】
少なくとも1つの修復要素を決定する手段は、少なくとも1つのトレーニング済み機械学習モデルを含み得る。
【0090】
少なくとも1つの修復要素を決定する手段には、マスク検査装置、干渉計、共焦点顕微鏡、走査型粒子顕微鏡、および走査型プローブ顕微鏡を含む群からの少なくとも1つの要素を含み得る。
【0091】
別の実施形態は、上述の方法のいずれかに従って修復されたリソグラフィマスクを含む。修復されたリソグラフィマスクは、露光システムにおいて使用可能である。さらに、修復されるリソグラフィマスクは、上述の態様のいずれかに従って決定された少なくとも1つの修復形状に基づいて修復することができる。さらに、修復されたリソグラフィマスクには、決定された少なくとも1つの修復形状を用いて生成された少なくとも1つの修復要素を含み得る。リソグラフィマスクは、粒子線誘起局所堆積プロセスおよび/または局所エッチングプロセスを実行することにより修復可能である。
【0092】
別の実施形態において、露光システムは、上述の方法ステップのいずれかに従って修復されたリソグラフィマスクを使用する。
【0093】
露光システムは、フォトリソグラフィ露光システムとすることができる。特に、露光システムは、マイクロリソグラフィ投影露光システムとすることができる。露光システムは、たとえば透過型リソグラフィマスクの使用に適した露光システムおよび反射型リソグラフィマスクの使用に適した露光システムとして、任意の種類の露光システムとすることができる。
【0094】
露光システムの分解能限界は、露光システムの光源の波長、露光システムの投影レンズの開口数、および露光システムの露光設定によって決まり得る。
【0095】
露光システムに対しては、少なくとも2つの分解能限界を規定することができ、露光システムの投影レンズまたは投影対物レンズの2つの端部を表す。
【0096】
露光システムの分解能限界は、露光システムの投影レンズのウェハ側分解能限界とすることができる。
【0097】
ウェハ側分解能限界は、
【数2】
によって決めることができる。ここで、λは、リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Wは、露光システムの投影レンズのウェハ側開口数であり、σは、ウェハ上に配置されたフォトレジストにリソグラフィマスクのパターンを投影するためのリソグラフィマスクの露光に適した露光システムの露光設定である。
【0098】
投影レンズのウェハ側のNAすなわちNAWは通例、ウェハ側分解能限界を可能な限り小さくするために、可能な限り大きく選択される。浸液を使用する場合、NAWは1より大きく、たとえば1.3にすることができる。
【0099】
露光システムの投影レンズのマスク側分解能限界は、
【数3】
によって決まり得る。ここで、λは、リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Mは、露光システムの投影レンズのマスク側開口数であり、σは、リソグラフィマスクの露光によって、ウェハ上に配置されたフォトレジストにリソグラフィマスクのパターンを投影するのに適した露光システムの露光設定である。
【0100】
マスク側開口数(NA
M)およびウェハ側開口数(NA
W)の比によって、投影レンズの倍率Mが規定される。
【数4】
透過型リソグラフィマスクの場合、この倍率は通常、4倍および5倍の縮小投影レンズに対してM=1/4または1/5の数値を有する。これは、NA
W=1.2およびM=4の液浸投影レンズの場合、マスク側開口数NA
Mが0.30であることを意味する。反射型リソグラフィマスクの場合、この倍率は、ウェハ上で露光ビームがスキャンされる方向によって決まるものと考えることができる。たとえば、スキャン方向ではMを1/8とし、スキャン方向と垂直な方向ではMを1/4とすることができる。
【0101】
以下の詳細な説明では、図面を参照しつつ、現時点で好適な本発明の例示的な実施形態を記載する。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【
図1】上部イメージは、設計によって予め規定された位置にエッジを有するフォトリソグラフィマスクのパターン要素の概略断面図であり、下部イメージは、フォトマスクの露光中のフォトレジストにおいて、上部イメージに提示のマスクセグメントの周りの光強度の実効線量分布を概略的に表した図である。
【
図2】上部イメージは、欠陥パターン要素を含むマスクの概略断面図であり、下部イメージは、フォトレジストに適用される実効線量分布に対する欠陥パターン要素の影響を示した図である。
【
図3】上部イメージは、従来技術に係る、
図2のフォトリソグラフィマスクの欠陥パターン要素の修復を示した図であり、下部イメージは、上部イメージの修復されたマスクセグメントの光強度分布に対する欠陥修復の影響を示した図である。
【
図4】上部イメージは、本発明に係る方法に基づく、
図2のフォトリソグラフィマスクの欠陥パターン要素の理想的な修復を示した図であり、下部イメージは、ウェハのフォトレジストにおいて最適に修復されたフォトマスクにより生成された光強度分布を示した図である。
【
図5】上部イメージは、本発明に係る方法に基づく、
図2のマスクの欠陥パターン要素の実際の修復を示した図であり、下部イメージは、フォトレジストにおいて生成された光強度分布に対する修復フォトマスクの影響を示した図である。
【
図6】
図2の欠陥を補償するための修復要素の例示的な代替実施形態を概略的に示した図である。
【
図7】上部イメージ715は、パターン要素の完全に配置されたエッジを概略的に示した図であり、部分イメージ735は、吸収体材料過剰の欠陥を有するパターン要素を表した図であり、部分イメージ755は、従来技術に係る、部分イメージ735の欠陥の修復を表した図であり、部分イメージ775は、本出願に記載の修復要素の生成による部分イメージ735の欠陥の補償を示した図であり、部分イメージ795は、本発明に係る、修復要素の第2の例示的な実施形態を示した図である。
【
図8】上部イメージ805は、設計により与えられた場所に厳密にそのエッジが位置決めされたフォトリソグラフィマスクのパターン要素を表した図であり、中央部イメージ835は、本発明に係る修復要素の生成による吸収体材料欠損の欠陥の修復を示した図であり、下部イメージ855は、本発明に係る修復要素の生成による吸収体材料過剰の欠陥の修復を表した図である。
【
図9】上部イメージは、欠陥を含むストリップ構造の概略平面図であり、下部イメージは、従来技術による欠陥の修復後のストリップ構造を表した図である。
【
図10】上部イメージは、
図9の上部イメージを再現した図であり、中央部イメージは、本出願に記載の方法のうちの1つによる、上部イメージの欠陥の例示的な修復を示した図であり、下部イメージは、光学的分解能の長さスケールでの光線放射の複素振幅の平均化を示した図である。
【
図11】上部イメージ1105は、吸収性角形パターン要素の平面図を概略的に示した図であり、部分イメージ1125は、吸収体材料過剰の欠陥を有するパターン要素を表した図であり、部分イメージ1145は、従来技術に係る、部分イメージ1125の欠陥の修復を表した図であり、部分イメージ1165は、本出願に記載の修復要素の生成による部分イメージ1125の欠陥の補償を示した図であり、部分イメージ1185は、本発明に係る、修復要素の第2の例の生成を示した図である。
【
図12】
図11に提示の方式に係る吸収体材料欠損の欠陥の修復を表した図である。
【
図13】上部イメージ1305は、パターン要素が吸収体材料欠損の欠陥を有し、基板上に配置されたマスクのストリップ構造を表した図であり、中央部イメージ1335は、欠陥マスクセグメントの厳密なシミュレーションを示した図であり、下部イメージ1365は、欠陥マスクセグメントの光強度分布を示した図である。
【
図14】本発明に係る方法による、欠陥の最適修復後の
図13のマスクセグメントを示した図である。
【
図15】最適位置決めされていない修復要素による、
図13の欠陥の修復後の
図13のマスクセグメントを表した図である。
【
図16】左上部イメージ1605は、走査型電子顕微鏡により測定された欠陥を有するマスクセグメントを示した図であり、右上部イメージ1635は、欠陥を補償する左上部イメージのマスクセグメント中の修復要素を表した図であり、左下部イメージ1665は、左上部イメージ1605の修復されたマスクセグメントを示した図である。
【
図17】上部イメージ1705は、
図16の左上部イメージの欠陥マスクセグメント内の正規化CD変動を表した図であり、下部イメージ1755は、
図16の左下部イメージ1665の修復されたマスクセグメントの正規化CD変動を示した図である。
【
図18】上部イメージ1805は、欠陥を含むストリップ構造の概略断面図であり、部分イメージ1825は、修復された欠陥の周りの部分イメージ1805のマスクセグメントを示した図であり、部分イメージ1835は、上部イメージの欠陥により引き起こされるCD変動を示した図であり、下部イメージ1865は、欠陥修復後にも依然として残るCD変動を示した図である。
【
図19】リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥を修復する方法の第1の実施形態のフローチャートである。
【
図20】リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥を修復する方法の第2の実施形態のフロー図である。
【
図21】リソグラフィマスクの1つまたは複数の欠陥を修復する装置の概略断面図である。
【
図22】光学マスク検査装置の概略断面図およびフォトリソグラフィ露光システムのスキャナとの比較を示した図である。
【
図23】リソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥パターン要素を修復する装置の概略断面図である。
【
図24】
図23の粒子線源およびガス供給システムを実現する装置の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
以下に、リソグラフィマスクの1つまたは複数の欠陥を修復する本発明に係る方法および本発明に係る装置の現時点で好適な実施形態について、より詳しく説明する。さらに、リソグラフィマスクの欠陥パターン要素を修復する本発明に係る方法および本発明に係る装置の例示的な実施形態について、以下に詳しく説明する。深紫外(DUV)波長範囲用のバイナリフォトマスクの例に基づいて、本発明に係る方法を説明する。ただし、これらは、欠陥DUVマスクの修復の改善に限定されない。さらに、パターン要素のエッジ配置誤差に基づいて、本発明に係る方法を中心に説明する。ただし、これらの方法は、この種の誤差の修復に限定されない。むしろ、種々フォトリソグラフィマスクについて、特に任意の種類の微小欠陥の修復の容易化に使用可能である。これらのマスクには、透過型および反射型フォトマスクを含み得る。さらに、多重露光のためのマスクの微小欠陥と同様に、バイナリおよび/または位相シフトマスクの微小欠陥を修復可能である。以下、マスクまたはフォトマスクという用語は、ナノインプリントリソグラフィ用のテンプレートも包含することも意図される。
【0104】
さらに、改造走査型電子顕微鏡の例に基づいて、リソグラフィマスクの1つまたは複数の欠陥を修復するための本発明に係る装置を説明する。ただし、本発明に係る装置は、走査型電子顕微鏡のみに基づいて実現可能なわけではない。むしろ、本発明に係る装置は、任意の走査型粒子顕微鏡に基づき得る。すなわち、本出願において規定される装置は、任意の種類の粒子、好ましくは質量を有する種類の粒子ならびに/またはフォトマスクの1つもしくは複数の修復要素を生成する種類の粒子を使用可能である。
【0105】
図1の上部イメージ105は、フォトリソグラフィマスク100の1次元(1D)セグメントの概略断面図である。マスク100としては、透過型または反射型マスク100が可能である。
図1の例において、フォトマスク100には、バイナリ透過型マスク100を含む。フォトリソグラフィマスク100は、表面115を有する基板110を備える。基板100の表面115上には、表面125を有するパターン要素120または構造要素120が配置されている。基板110には、石英基板および/または低熱膨張率の材料(LTE(低熱膨張)基板)を含み得る。透過型フォトマスク100の場合、その基板110は、光線波長の電磁放射に対して実質的に光学的に透明である。パターン要素120としては、バイナリフォトマスク100の構造要素120が可能である。この場合、パターン要素120には、吸収体構造120の要素を含むことができ、たとえばクロムを含み得る。吸収性パターン要素120は、当該パターン要素120に入射する光線波長の電磁放射の実質的にすべてを吸収する。DUVマスクの場合、パターン要素120の厚さは、60nm~200nmの範囲である。EUVマスクの吸収性パターン要素は現在、層厚が50nm~70nmの範囲である(
図1には示さず)。
【0106】
ここでは、本明細書の他の場所でも同様に、表現「実質的に」は、従来技術に係る測定器具が測定変数の決定に用いられる場合、従来の測定誤差の範囲内の測定変数の表示を示す。
【0107】
さらに、パターン要素120には、基板110に入射する放射線に対する光線放射の位相のシフトおよび当該パターン要素120に入射する光の光線波長の部分の吸収の両者を行う構造要素120を含み得る。このようなマスクの例は、ケイ化モリブデンまたは窒化ケイ素に基づくAttPSM(減衰位相シフトマスク)である。このようなマスクは通例、フォトマスクの透明な領域と比較して、180°の位相シフトを伴いつつ、暗領域において入射光強度の6~20%を透過させる。
【0108】
ただし、パターン要素120としては、純粋な位相シフトフォトマスク100の構造要素120も可能である。純粋な位相シフトマスク100は、たとえば当該マスク100の基板110に対応するパターンをエッチングすることによって製造可能であり、この場合、基板は実質的に、石英(SiO2)を含む。この種のマスクは、CPL(クロームレス位相シフト)マスクと称する。純粋な位相シフトマスクの種類の別の例は、AltPSM(交互位相シフトマスク)マスクである。
【0109】
図1の上部イメージ105は、設計により予め規定され、側壁角度135が実質的に90°の理想的なエッジ130を示している。さらに、エッジ130は、設計により予め規定された場所に厳密に配置されている。
【0110】
図1の下部イメージ155は、フォトマスク100のパターン要素120の露光中の光強度160の実効線量分布を概略的に示している。パターン要素120は、マスク100に上から入射する放射線を吸収するため、パターン要素120の下側におけるエッジ130からのある距離では、ウェハのフォトレジストにおいて光強度が実質的に見られなくなる。パターン要素120のエッジ130からある距離のマスク100の透明基板領域110においては、ウェハに塗布されたフォトレジストが最大光強度で露光される。パターン要素120のエッジ130は通常、フォトレジスト中の光強度が最大光強度または最大実効線量の50%に達する場所として規定される。これは、
図1の下部イメージ155において、破線の垂直線180および水平線170の交点により示されている。
【0111】
図2の上部イメージ205において、パターン要素220のエッジ230は、設計により予め規定された位置に配置されていない。むしろ、エッジ230は、水平両矢印240により示される距離dxにある。設計により予め規定されたエッジ230の目標位置からの距離dxは、寸法サイズが設計により予め規定された値を有するパターン要素220の誤った配置の結果として生じ得る。この場合、パターン要素220は、2つの修復形状を確定し、前記修復形状によって2つの修復要素を生成することにより補正可能である。一方では、
図2の両矢印240により識別された領域において、欠損した吸収体材料の堆積を第1の修復要素が規定する。他方では、パターン要素220の過剰な吸収体材料または正しい場所に位置決めされていない吸収体材料の除去を第2の修復形状が規定する(
図2には示さず)。
【0112】
以下では、
図2の1D表示で再現されていないパターン要素220のエッジが正しく位置決めされており、エッジ230の領域のみで欠損した吸収体材料を堆積させてパターン要素220を補正する必要があるものと仮定する。さらに、以下では、欠陥240が微小欠陥であるものと仮定する。これは、1次元欠陥240の寸法サイズdxがその光線波長でのフォトリソグラフィマスク200の分解能限界よりも小さいことを意味する。パターン要素120、220のエッジ130、230の位置決めまたは配置の精度は、特に複数の露光ステップを実行してパターン要素をフォトレジストに固定するリソグラフィシステムのオーバーレイの問題を考慮すると、極めて重要である。
【0113】
図2の下部イメージ255は、フォトリソグラフィマスク200の光線電磁放射による露光中に、ウェハ上に配置されたフォトレジストにおけるパターン要素220のエッジ230の誤った配置または位置決めにより生成される光強度分布260または実効線量分布260を示している。ウェハの露光中、パターン要素220のエッジ230の位置誤差(
図2の1次元の例ではdxにより記述される)は、マスク200により、
図2の下部イメージ255において両矢印280で概略的に示されるエッジ配置誤差EPEへと変換される。ウェハ上のEPE280とマスク欠陥240との間の関係は、EPE=マスク誤差・MEEF・Mという関係により記述される。この場合、
図2に表される例において、マスク欠陥240またはマスク誤差240は、パターン要素220のエッジ230がdxだけ誤って位置決めされている事実を示す。マスク増大係数MEEF(マスク誤差増大係数)は、マスク200に起因し得るマスク欠陥240の拡大または増大を意味する。簡略化のため、以下では、MEEF=1が成り立つものと仮定する。係数Mは、露光システムの投影レンズがマスク200のパターン要素220をウェハに結像する倍率または縮小率を示す。現在使用されている投影レンズの場合は、M=1/4またはM=1/5が成り立つ。
図2および後続の図面では、マスク欠陥240とEPE280との間の関係を原寸通りには示していない。
【0114】
完全な修復形状の完全な実現によるマスク欠陥240の理想的な修復は、パターン要素220の欠陥エッジ230に修復要素を配置することであり、その結果、欠陥パターン要素220が
図1に示されたパターン要素120のように見えることになる。ただし、これには、欠陥パターン要素220のエッジ230に対する修復ツールの理想的な位置決めが必要となる。さらに、欠陥240の完全な修復は、修復ツールの分解能限界が非常に小さく、理想的にはゼロであることを前提とする。
【0115】
図3の上部イメージ305は、従来技術に係る、
図2の欠陥240の実際の修復を示している。修復ツールの位置決め精度が有限であることを考慮すると、修復ツールが欠陥パターン要素220のエッジ230と完全に位置合わせされることはない。したがって、修復形状により生成される修復要素310は、欠陥240の1D寸法サイズdxに対して理想的に対応するわけではない。むしろ、修復ツールの位置決め精度が限られることを考慮すると、欠陥240の修復形状によって、修復要素310の微小部分320が欠陥パターン要素220の表面125上に生成される。このため、修復要素310のエッジ330は、設計により予め規定された位置から逸脱する。残っている欠陥340の寸法サイズは、dx’である。
【0116】
図3の下部イメージ355は、
図3の上部イメージに対して、修復されたマスクセグメント300の露光時におけるフォトレジスト中の光強度分布360またはEPEの変化を示している。未修復マスク200の露光と比較して、修復されたマスク300は、
図1の設計により予め規定されたパターン形状に大きく近づく。ただし、両矢印380で示される不一致またはEPE380が依然として残っており、これは、マスク300の許容誤差割当量の外側にある修復パターン要素220のCD(限界寸法)逸脱をもたらす。従来技術に係る修復の後に残る欠陥340は、以下の説明の通りに修復または補償可能である。ただし、
図4を参照して後述する通り、欠陥240を直接すなわち単一のステップで修復するのがより好都合である。
【0117】
図4は、上部イメージ405において、本出願に記載の方法のうちの1つに係る、
図2の欠陥パターン要素220の考え得る最良の修復を示している。
図2の欠陥パターン要素220を補正する修復形状は、当該修復形状の実現によって、欠陥パターン要素220のエッジ230からのある距離420に修復要素410が生成されるように設計されている。欠陥パターン要素220のエッジ230と修復要素410との間の理想的な距離420は、約dx/2すなわちエッジ230と垂直線170との間の距離または欠陥パターン要素220のエッジ誤差240の半分である。パターン要素220の高さと実質的に同一のものとして対応する修復要素410の高さ430に対して、修復要素410ひいては修復要素410の下側の修復形状は、パターン要素220のエッジ230と垂直線170との間の距離240の約80%に対応する寸法サイズを有する。既に上で説明した通り、DUVマスクのマスク側分解能限界は、150nm~約300nmの範囲であり、EUVマスクのマスク側分解能限界は、約50nm~100nmの範囲である。
【0118】
図4の下部イメージ455は、フォトマスク200の欠陥パターン要素220のエッジ230からある距離420に配置された修復要素410を有する修復フォトマスク400の光強度分布460を提示している。
図1および
図4を比較すると、欠陥パターン要素220と修復要素410との複合効果によりもたらされる光強度分布460によって、設計により予め規定されたエッジ130を正確に実現するパターン要素がフォトレジスト中に生成されることが明らかである。修復要素410がエッジ230に隣接していなくても、欠陥240の範囲が修復要素410の1次元寸法サイズ440に対応していなくても、修復要素420によって、設計により予め規定されたパターン要素のフォトレジストひいてはウェハにおける理想的な生成がもたらされる。
【0119】
修復要素410は、フォトマスク400上の対応する修復形状に基づいて、(
図21~
図24に照らして以下に説明する)修復ツールにより生成可能である。このため、修復ツールは、粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスによって、局所的な化学的堆積反応を実行可能である。修復要素410の材料組成は、パターン要素220の材料組成に対応し得る。ただし、修復要素410の材料組成は、修復要素410の材料がフォトリソグラフィマスク420の光線波長を実質的に完全に吸収する限り、パターン要素220の材料から逸脱することも可能である。
【0120】
図4は、欠陥パターン要素220のエッジ230からのある距離420における修復要素410の生成による欠陥パターン要素220の完全な補償を表している。
図5の上部イメージ505は、現実的に実行可能な欠陥パターン要素220の修復を表している。修復ツールの位置決め精度が有限であることを考慮すると、確定された修復形状では、欠陥パターン要素の最適補償を与える場所に修復要素510を厳密に位置決めすることができない。
図5に示す例において、欠陥パターン要素220のエッジ230からの距離520は、
図4に示す欠陥パターン要素220の最適修復の場合よりも短い。
図5の下部イメージ555から明らかなように、修復要素510の配置誤差540では、ウェハに塗布されたフォトレジストにおいて、
図4の理想的な光強度分布460と比較した光強度分布560の逸脱がほとんど確認されない。これは、修復要素510の生成による前記マスクの修復後、
図5の矢印580で示されるマスク500のEPEが無視できるほど小さくなっていることを意味する。
【0121】
これは、フォトレジストへの転写中に、修復要素510の配置誤差540がおおよそ係数1/R
Mだけ段階的に減少していることによる。ここで、R
Mは、フォトリソグラフィマスクの分解能限界を示す。これは、フォトリソグラフィマスクの微小欠陥を修復する本明細書に記載の方法の大きな利点の1つである。EPE580に対する修復要素410、510の配置の感度は、本発明に係る方法が実行される場合、大幅に低下する。この1つまたは複数の修復要素410、510の配置感度の低下は、フォトリソグラフィマスク400、500の分解能限界R
Mによって記述される。修復要素410、510は、EPE580すなわちパターン要素220の修復または補償が
図4の考え得る最良の光強度分布460から10%を超えて逸脱することなく、フォトリソグラフィマスク400、500の分解能限界R
Mの約1%~30%の距離に配置可能である。
【0122】
図6は、
図2の欠陥パターン要素220の修復または補償に使用可能な修復要素610の第2の例を示している。
図5の修復要素510の高さ530と異なり、
図6の上部イメージ605の修復要素610の高さ630は、マスク600のパターン要素220の高さまたは厚さよりも小さい。修復要素610の高さ630が低い点を補償するために、修復要素610は、
図5の修復要素510よりも1D寸法サイズ635が大きい。
図6の下部イメージ655から推測できるように、変更された修復要素610は実質的に、フォトレジストにおいて光強度分布660が変化しない。EPE680は、
図5と同様に、無視できるほど小さい。
【0123】
修復要素410、510、610の配置感度の低下のほか、確定された修復形状の実現によって、横寸法サイズ435、535、635が欠陥240の1D寸法サイズdxから大幅に逸脱する修復要素410、510、610の生成も可能である。このように、本出願に提示の欠陥修復方法は、パラメータ化された修復形状が欠陥240の1つまたは複数の横寸法サイズを修復要素410、510、610に転写する際の感度を著しく低下させている。これは、配置感度の緩和とは別に、本出願に記載のようなフォトリソグラフィマスクの微小欠陥を修復する方法の2つ目の大きな利点である。特に、修復要素410、510、610は、修復対象の欠陥240よりも大幅に小さくすることができる。この状況は、欠陥修復すなわち修復要素410、510、610の生成に要する時間に好影響を及ぼす。
【0124】
図1~
図6においては、吸収体材料欠損の欠陥すなわち明確な欠陥を修復するための本出願に提示の方法の適用を説明している。
図7は、材料過剰の欠陥すなわちいわゆる暗欠陥の修復に対してこれらの方法がどのように使用され得るかを説明する。
図7の上部イメージ705は、マスク700の基板710の表面715上に配置されたパターン要素720を提示している。パターン要素720のエッジ730は、設計により与えられ、破線の垂直線170により識別される場所に厳密に位置決めされている。
【0125】
上から2番目の部分イメージ735において、パターン要素740は、材料過剰の欠陥750を有する。欠陥750は、無欠陥パターン要素720のエッジ730を越えて延びた1D寸法サイズ725を有する。欠陥750は、寸法サイズが設計により与えられた正確な大きさであるパターン要素720の誤った配置に起因し得る。ただし、
図2に照らして既に論じた通り、マスク700のパターニングにおいて、エッジ730の領域から除去された吸収体材料が少な過ぎたことも考えられる。
【0126】
部分イメージ755は、従来技術に係る、欠陥750の修復を表している。修復要素760の理想的な生成が実現された場合は、部分イメージ755に示すように、欠陥750を完全に修復可能である。特に微小欠陥750の修復に関して、従来技術に係る課題は、
図3を論じた際に説明済みである。
【0127】
部分イメージ775には、本発明に係る、修復要素770の生成による材料過剰の欠陥750の修復を示している。修復要素770は、局所エッチングプロセスの実行によって欠陥750の過剰な材料を除去するようには設計されていない。むしろ、修復要素770の生成によって、欠陥750の一部および欠陥パターン要素740の微小部分が取り除かれる。修復要素770の生成後、残っている残留欠陥780は、修復されたパターン要素740との組み合わせによって、パターン要素720のような結像挙動を有するように、修復パターン要素の領域において修復マスク700の結像挙動に影響を及ぼす。
【0128】
最後に、
図7の最下部イメージ795は、修復要素770の代替として生成可能な第2の修復要素790を提示している。修復要素790の生成により、誤差なしパターン要素720のエッジ730の領域において、欠陥パターン要素740の材料の一部が除去される。修復要素790の1D寸法サイズは、修復要素770よりも大きい。修復要素790の1D寸法サイズが大きな点は、修復要素790の下側の修復形状の実現によって、マスク700の基板710の表面715から下側にパターン要素740がエッチングされることはない、という事実によって補償される。
【0129】
欠陥740を修復するための修復要素770、790の実現によれば、
図5および
図6に照らして上で説明した付加的な自由度が利用可能となる。
【0130】
図8は、上部イメージ805において、表面725を有する吸収性パターン要素720を提示しており、このパターン要素は、フォトリソグラフィマスク800の光線波長に対して光学的に透明な基板710の表面715上に配置されている。パターン要素720のエッジ730は、設計により与えられた場所に正確に位置決めされている。
図8においては、破線の垂直線170によって前記場所を明示している。
【0131】
図8の中央部イメージ835は、欠陥パターン要素840を表している。パターン要素840のエッジ830は、マスクの設計により与えられた場所に位置決めされていない。結果として、パターン要素840は、明確な欠陥すなわち吸収体材料欠損の欠陥を構成する。部分イメージ835においては、修復要素850を生成する対応する修復形状の実現によって欠陥が補償される。
図8の例において、修復要素850は、欠陥パターン要素840のエッジ830に隣り合う。修復要素850は、1D寸法サイズが吸収体材料欠損の境界を越えて延びる吸収体材料が堆積されたものである。例示的な修復要素850の高さは、パターン要素820、840の高さの約半分である。
【0132】
図8の下部イメージ855は、吸収体材料過剰の欠陥を有するパターン要素860を提示している。材料過剰の欠陥は、修復形状870の生成によって、過剰な吸収体材料の上部を除去することにより修復される。修復されたパターン要素860のエッジ880は、設計により予め規定され、
図8において破線170により示される位置に対応していない。それにも関わらず、修復要素870は、無視できるほど小さな部分から、材料過剰の欠陥の影響を取り除く。
【0133】
修復ツールによって配置要件が減少したことを考慮すると、修復要素850、870の生成は、従来技術に係る修復要素310、760の生成と比較して少ない費用で実行可能である。
【0134】
図9の上部イメージ905は、2つの吸収ストリップ920および930が光学的に透明な基板910上に配置されたストリップ構造(「ライン・スペースパターン」)を有するマスクセグメント900の概略平面図である。
図9に示す例において、左側のパターン要素920は、吸収体材料過剰の2次元(2D)欠陥940を有する。
【0135】
図9の下部イメージ955は、粒子線およびエッチングガスによる局所エッチングプロセスを実行することによる欠陥940の修復を示している。
図9の下部イメージ955に表す修復プロセスの例において、欠陥940は、無視できる残留欠陥950からほぼ完全に取り除かれている。一般的に、横方向に延びた欠陥940は、
図9の下部イメージ955に表されるようには厳密に除去され得ない。既に説明した通り、欠陥940またはパターン要素920に対して修復ツールまたは欠陥940の修復形状を位置決め可能な精度は、有限である。さらに、修復要素の生成時には、フォトマスク900および修復形状の両者がドリフト(たとえば、熱ドリフト)の影響を受ける。したがって、修復されたパターン要素920は、処理された右側エッジに沿って、所定の誤差区間(
図9には示さず)の外側のエッジ粗さをしばしば有する。したがって、パターン要素930に沿って延びた欠陥940を除去するための対応する修復形状の生成は、非常に複雑で、時間を要するプロセスである。
【0136】
図10は、本出願に提示の方法のうちの1つによる
図9の2D欠陥940の修復を示している。
図10の上部イメージ1005は、
図9の上部イメージ905を再現している。
図10の中央部イメージ1035は、修復要素1010の生成による材料過剰の欠陥940の補償を示している。修復要素1010は、マスク900の基板910の一部およびパターン要素920の一部において、局所エッチング構造を欠陥940に生成している。パターン要素の右側エッジにおいて延びた欠陥に沿うさまざまな位置で生成された単一の修復形状に基づいて、さまざまな修復要素1010が生成され得る。ただし、
図10の中央部イメージ1035に示すように、さまざまな修復要素1010を生成する単一の修復形状を確定することも可能である。
【0137】
部分イメージ1035に表されるような欠陥940の修復の大きな利点として、欠陥940に対する修復要素1010の配置または位置決めの感度が大きく低下する。
図10の下部イメージ1065は、修復要素1010の配置時の感度の低下を概略的に示している。破線の楕円1050は、マスク900が光線電磁放射の複素振幅を平均化するフォトリソグラフィマスク900の領域または長さスケールを示している。1つまたは2つの寸法における寸法サイズがフォトマスクの分解能限界よりも小さな構造がフォトマスク上に存在する場合、光線放射は、前記構造の細部全体で平均化される。これは、パターン要素の微細凹凸がフォトリソグラフィマスクの結像挙動に影響を一切またはほとんど及ぼさない一方、分解能限界の領域の寸法サイズで平均化された光線電磁放射の複素振幅は、フォトマスクの結像挙動に影響を及ぼすことを意味する。
【0138】
破線の楕円1050は、フォトレジストにおけるマスクの結像点に光強度部を寄与させるマスクの領域を示している。この平均化領域のスケールは、既に上で説明した通り、フォトリソグラフィマスクの分解能限界RMによって決まる。修復要素1010の寸法サイズが分解能限界RMに対して小さい限り、そのサイズおよび配置は、従来技術による修復要素のサイズおよび位置決めの両者と比較して、最大で係数1/RMだけ影響を受けにくい。これは、非常に大きな範囲の異なる修復要素1010がフォトリソグラフィマスクの結像挙動に関して、同一または酷似の結果をもたらすことを意味する。本出願に記載の方法では、この状況を利用して、これまで特に修復が困難であった微小欠陥の修復を改善する。
【0139】
最近のDUVおよびEUVマスクの分解能限界については、上記に示した通りである。
【0140】
図11および
図12は、吸収体材料過剰および吸収体材料欠損の欠陥の修復を説明するものであり、修復要素は、修復対象の欠陥とは異なる幾何学的形状を有し得る。部分イメージ1105は、マスク基板1110上に配置され、形状が設計仕様を満たす角形パターン要素1120を含むマスクセグメント1100を示している。
図11の部分イメージ1125において、パターン要素1130は、当該パターン要素1130の角領域の内側に配置された吸収体材料過剰の欠陥1140を有する。
【0141】
図11の部分イメージ1145は、従来技術に従って欠陥に割り当てられた修復形状の実現による欠陥の修復を提示しており、この修復形状によって、欠陥1140の領域に修復要素1150が生成される。これと関連付けられる課題については、
図3および
図9に照らして既に上で十分説明した通りである。
【0142】
図11の部分イメージ1165は、欠陥1140を補償するための修復要素1170の生成の第1の例を示しているが、これは、第一に欠陥1140に対する修復要素1170の配置に関し、第二に欠陥140の寸法サイズに対する修復要素1170の横寸法サイズに関する両者について、部分イメージ1145の修復要素1150よりもはるかに感度が低い。最後に、部分イメージ1185は、修復対象の欠陥の形状に対して幾何学的形状が大きく異なる修復要素1190を表している。円形または円状の修復要素1190は、長方形または正方形の修復要素1170よりもはるかに容易に生成可能である。それにも関わらず、部分イメージ1185の修復要素1190は、修復要素1170の補償に一切劣らない欠陥1140の補償をもたらす。この理由については、
図10を論じた際に説明済みである。
【0143】
以下、
図12を参照して、吸収体材料欠損の欠陥の修復を説明する。
図12の部分イメージ1205は、フォトリソグラフィマスク1200の光学的に透明な基板1210上に配置された正方形のパターン要素1220を示している。部分イメージ1225のパターン要素1230においては、パターン要素1230の一部1240が欠損している。これは、パターン要素1230が明確な欠陥1240すなわち吸収材料欠損の欠陥1240を有することを意味する。
【0144】
図12の部分イメージ1245は、材料欠損の欠陥1240に対して確定された修復形状の実現により、欠陥1240全体への対応する修復要素1250の適用による欠陥の修復を示している。修復要素1250は、従来技術に従って実現されている。
【0145】
図12の部分イメージ1245は、本出願に記載の方法のうちの1つに従って生成された修復要素1270の第1の例を示しており、部分イメージ1245における修復方法の感度を回避するものである。さらに、修復要素1290は、欠陥1240の複雑な輪郭を部分的にしか再現していないため、修復要素1270よりもさらに簡単に生成可能な第2の例示的な実施形態を示している。
【0146】
図13の上部イメージ1305は、吸収性ストリップ状パターン要素1320がフォトマスク1300の基板1310に適用されたストリップ構造を有するマスクセグメント1300の平面図である。左から2つ目のパターン要素1320は、材料欠損の欠陥1330を有する。欠陥1330の幅は、ストリップ構造の半ピッチの15%として選定されている。
図13の中央部イメージ1335は、上部イメージ1305のマスクセグメント1300の結像挙動の厳密なシミュレーションを提示している。中央部イメージ1335においては、欠陥1330が欠陥1340として明らかに視認可能である。
【0147】
図13の下部イメージ1365は、欠陥マスクセグメント1300の光強度分布を表している。破線の水平線1360は、誤差なしマスクセグメントの光強度分布または実効線量分布の最大値を示している。強度分布と破線の水平線1370との交点は、フォトレジストが露光されたと考えられる点を表す。このため、前記交点は、マスクセグメント1300によってウェハ上に生成されたストリップ状パターン要素の幅を表す。欠陥1330は、ウェハ上に生成されたより広い中央のパターン要素において鏡状になっている。マスクセグメント1300によってフォトレジストに結像されたパターン要素の幅の変動は、結像されたパターン構造に沿うCD(限界寸法)の変動となる。
【0148】
図14は、上部イメージ1405において、修復要素1440の生成によって欠陥1330を修復する欠陥マスクセグメント1300を表している。
図14に示す例において、修復要素1440は、従来技術のようには欠陥1330上に配置されておらず、むしろ、吸収体材料欠損の欠陥1330の直ぐ隣に位置決めされている。中央部イメージ1435から推測できるように、修復された欠陥1330はもはや、結像シミュレーションにおいて視認不可能である。また、下部イメージ1465から、修復要素1450が欠陥1330を完全に修復しているため、パターン要素1320の全長にわたって光強度が変動していないことも明らかである。
【0149】
図15は、上部イメージ1505において、
図13の欠陥1330の修復を示しており、その修復時に、修復要素1540は、パターン要素1320から半ピッチの15%の距離に配置されている。
図15の中央部イメージ1535に示す結像シミュレーションにおいては、欠陥なしマスク構造からの逸脱が識別できない。
図15の下部イメージ1565においては、光強度分布の最大値のわずかな減少が見られ、その結果として、ウェハの中央パターン要素の幅がより小さくなっている。ただし、この幅の逸脱は依然として、マスク1300に対して予め規定された誤差割当量の範囲内である。
【0150】
図16の左上部イメージは、走査型粒子顕微鏡により記録されたマスクセグメント1600を示しており、前記マスクセグメントは、マスク1600上の半ピッチが152nmのストリップパターン(パターンの線幅と線間)を有する。屈曲部を有する破線の垂直線1625で示すように、マスクセグメント1600のパターン要素1620は、吸収体材料欠損の欠陥1630を有する。
図16の例示的な欠陥1630は、パターン要素1620に垂直な10nmの領域に範囲が及ぶ。この範囲は、フォトリソグラフィマスク1600の分解能限界R
Mよりもはるかに小さい。
【0151】
右上部イメージ1635においては、隣り合うパターン要素1620との組み合わせによって欠陥1630を補償するように設計された修復要素1640を概略的に示している。
図16の左下部イメージ1665は、右上部イメージ1635に対する差分像として、左上部イメージ1605の修復されたマスクセグメントを表している。垂直線1645で示すように、欠陥1630はもはや、マスクセグメント1600の記録において視認不可能である。
【0152】
図17の上部イメージ1705は、
図16の左上部イメージ1605のさまざまなパターン要素について、パターン要素に沿ったCDの変動を示している。破線1710は、
マスク1600によってウェハ上に生成されたパターン要素の(設計により予め規定された)CDを指定しており、
図17に示す例において、前記CDはCD=37.68nmである。破線の水平線1720および1730はそれぞれ、許容CD変動(ΔCD)の下限および上限を表す。
図17の例において、CD変動範囲ΔCDは、±2.5%である。上部イメージ1705の曲線から、曲線1750がCD許容範囲区間の上限に接触し、CD曲線1760がそのプロファイルの大部分で±2.5%のCD許容範囲区間から大きく外れて進行していることが明らかである。曲線1760の正規化CD変動の最大値は、ΔCD/CD=8.6%である。
【0153】
図17の下部イメージ1755は、
図16の左下部イメージ1665の修復マスクセグメントのさまざまなパターン要素1620のCD変動を提示している。CD曲線プロファイルはすべて許容範囲区間内にある。すなわち、CD曲線はすべて、ΔCD/CD<±2.5%という要件を満たす。これは、修復要素1640が欠陥1630を完全に補償していることを意味する。
【0154】
図18の上部イメージ1805は、マスク1800の光学的に透明な基板1810上に配置されたストリップ構造の形態の8つのパターン要素1820を含むマスクセグメント1800の1D断面を示している。8つのパターン要素1820により、部分イメージ1805において0~6の番号が連続的に付与された7つの光学的に透明なストリップが生成されている。マスク1800上のストリップ構造の半ピッチは、ウェハ上で152nmまたは38nmである。上部イメージ1805において、左から2つ目のパターン要素1820は、その右側エッジに吸収性位相シフトケイ化モリブデン(MoSi)材料過剰の欠陥1840を有する。欠陥1840の影響を解析するために、部分イメージ1805に表される欠陥マスクセグメント1800のストリップ構造をシミュレーションする。シミュレーションのパラメータは NA=1.35、λ=193nm、外側σ値:1.0、内側σ値:0.88、露光設定:Disar、偏光:Y方向、パターン:L&S(ライン・スペース)MoSi(光線波長での吸収率6%)である。マスク1800に入射する電磁放射は、コヒーレントであるものと仮定する。
【0155】
図18の中央部イメージ1835は、シミュレーションにおいて、ストリップ方向すなわち紙面と垂直な方向に沿った7つの光学的に透明なストリップ0~6のCDの変動を提示している。また、光強度分布の重心(CoG)のシフトがシミュレーションにより確定されている。破線の水平線1870は、マスク1800に対して予め規定された目標CDを表す。中央部イメージ1835の曲線は、パターン要素1820に沿った限界寸法の変動(すなわち、ΔCD)を表す。中央部イメージ1835の表は、光学的に透明なストリップ0、1、および2のΔCDおよびΔCoGをまとめたものである。この表は、0番目ストリップのCDの変動が3.1nmであるため、2.5%というマスク1800の誤差割当量よりもはるかに大きいことを示している。2つ目の光学的に透明なストリップに対する欠陥1840の影響は、コヒーレント放射によるマスク1800の露光の結果である。このシミュレーションは、エアランゲンのフラウンホーファー集積回路研究所(IISB)の厳密な光学結像プログラムDrLithoによって実行したものである。
【0156】
拡大セグメント1825は、欠陥1840に対して確定された対応する修復形状を実現することにより欠陥を修復した後の欠陥透明ストリップ1の周りのパターン要素1820を示している。欠陥1840の局所エッチングのための修復形状を実現する場合は、局所エッチングプロセスによって-20°の負角を有する側壁角度1850が生成されるものと仮定される。負の側壁角度1860は、空中像またはウェハの露光における振幅不良の原因となる。これは、拡大係数MEEF=1.4により考慮されている。負の側壁角度1850は、ストリップ1の広がりまたは幅が光学的に透明なストリップの公称幅の半分の大きさに略対応するように、エッジ1830の基点1860の(正の)シフトによって補償される。約±20°の角度範囲に対する側壁角度の誤差は、修復されたパターン要素1820のエッジ1830の基点の対応するシフトによって、実質的に完全に補償可能である。これに必要な横方向シフトは、λ=193nmの場合で約±3.3nmの範囲である。
【0157】
下部イメージ1865は、ストリップ方向に沿った光学的に透明なストリップ0~6のCDのシミュレーション変動を示している。さらに、光強度分布のCoGシフトがシミュレーションにより決定されている。破線の水平線1870は、ウェハ上のCDの目標値を表す。部分イメージ1835および1865の一組の曲線を比較すると、欠陥1840の修復によってCD変動が激減していることが直ちに明らかとなる。下部イメージ1865の表は、中央部イメージ1865の表と同様に、光学的に透明なストリップ0、1、および2のΔCDおよびΔCoGをまとめたものである。中央部イメージ1835の表と比較して、欠陥1840の修復によりCD変動が1桁以上抑えられている。
【0158】
図18に関連して材料過剰の欠陥1840の修復を論じたが、前記欠陥は、透明ストリップを完全に覆うことなく、パターン要素のエッジ1820に隣接している。当然のことながら、2つのパターン要素を完全に架橋する材料過剰の欠陥も修復可能である。さらに、
図18に照らして説明した方法は、材料欠損の欠陥の修復にも使用可能である。
【0159】
図19のフロー
図1900は、リソグラフィマスク200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800の少なくとも1つの欠陥240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840を修復するための本出願に記載の方法の第1の例示的な実施形態を記載している。この方法は、ステップ1910で開始となる。次のステップ1920においては、少なくとも1つの欠陥240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータが確定され、パラメータの確定には、少なくとも1つの欠陥240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840により予め規定された数値から逸脱する数値を少なくとも1つの対応するパラメータに割り当てることを含む。この方法は、ステップ1930で終了となる。
【0160】
さらに、
図20のフローチャート2000は、リソグラフィマスク200、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1600、1800の少なくとも1つの欠陥パターン要素220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820を修復する方法の第2の例示的な実施形態のステップを提示している。この方法は、ステップ2010で開始となる。次のステップ2020においては、露光時にリソグラフィマスクを結像しないリソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640が決定され、修復要素が、少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させる。
【0161】
その後、ステップ2030においては、集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスによって、リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素が生成される。この方法は、ステップ2040で終了となる。
【0162】
図21は、少なくとも1つの欠陥240に対する修復形状のパラメータを確定するように設計された装置2100の断面を示している。このため、装置2100は、光学マスク検査装置2110を備える。
図22は、透過型マスク200の空中像を記録するように設計された光学マスク検査装置の原理を示している。
図22の左部イメージ2205においては、スキャナのいくつかの構成要素を概略的に示している。露光システムは、光線波長の電磁放射をフォトリソグラフィマスク上に集束させる。投影光学ユニットまたは投影レンズは、フォトマスクを通過した放射線をウェハ上またはウェハ上に配されたフォトレジスト上に大きな開口数(NA
W)で縮小(通常、1:4または1:5)して結像させる。
【0163】
図22の右部イメージ2255は、左部イメージ2205のスキャナの光線波長に対して設計された光学マスク検査装置2110のいくつかの構成要素を示している。スキャナおよび光学マスク検査装置2110の露光システムは、実質的に同一である。これは、両システムで像生成が実質的に同じであることを意味する。したがって、光学マスク検査装置2110は、ウェハ上に配置されたフォトレジストに入射するようなマスクの光強度分布のセグメントを結像する。ただし、スキャナの場合と異なり、光学マスク検査装置2110の場合は、フォトマスクの光強度分布の微小セグメントをレンズが高倍率でCCD(電荷結合素子)カメラ上に結像する。結果として、光線波長でフォトマスクがその空中像に有する欠陥を表すとともに、CCDセンサまたはCCDカメラによって前記欠陥を検出することが可能になる。
【0164】
装置2100の光学マスク検査装置2110は、接続部2120を介して、1つまたは複数の空中像の測定データを装置2100のコンピュータシステム2130に提供可能である。装置2100のコンピュータシステム2130は、空中像の測定データから、空中像の欠陥に割り当てられた修復形状のパラメータを確定可能である。このため、コンピュータシステム2130は、光学マスク検査装置の空中像から、欠陥に割り当てられた修復形状のパラメータを決定するアルゴリズムを効率的に実行するように具体的に設計されたコプロセッサ2140を備え得る。さらに、装置2100のコンピュータシステム2130は、欠陥により予め規定された数値から逸脱する値または数値を修復形状の1つまたは複数のパラメータに割り当てるように設計された第2のアルゴリズムを有し得る。第2のアルゴリズムは、コプロセッサ2140によって同様に実行可能である。
【0165】
ただし、コンピュータシステム2130は、上述のアルゴリズムの一方または両方を実行する専用ハードウェアコンポーネント2150を有することも可能である。コンピュータシステムのハードウェアコンポーネント2150は、特定用途向け集積回路(ASIC)、コンプレックスプログラマブルロジック回路(CPLD(Complex Programmable Logic Device))、および/またはフィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)の形態で実装可能である。
【0166】
上記の追加または代替として、コンピュータシステム2130は、トレーニング済み機械学習モデルを実装するように設計された専用グラフィックプロセッサ2160を備え得る。機械学習モデルを少なくとも2つの方法でトレーニングすることも可能であるし、定式化された各問題に対して設計された2つの異なるトレーニング済み機械学習モデルをグラフィックプロセッサが実装することも可能である。まず、機械学習モデルは、光学マスク検査装置2110の測定データ、リソグラフィマスク200の設計データ、露光装置の設定、および任意選択として、マスク200上に生成されたRET構造の設定から、欠陥の修復または補償すなわち1つまたは複数の修復要素410、510、610の生成を行うように実現された1つまたは複数の修復形状のパラメータを確定するようにトレーニング可能である。
【0167】
上記の代替または追加として、機械学習モデルは、パラメータ化済みの修復形状について、本発明に従って上述の修復要素410、510、610を確定する目的で異なる数値を1つまたは複数のパラメータに割り当てることができる。ただし、現時点で好適な実施形態では、上記入力データから、本出願に記載の修復要素410、510、610のうちの1つを形成する目的で修復形状のパラメータを機械学習モデルが直接予測する。本出願においては、機械学習モデルをトレーニングするプロセスについて論じない。
【0168】
さらに、コンピュータシステム2130は、アルゴリズム、機械学習モデル、および/またはトレーニング済み機械学習モデルが格納される不揮発性メモリ2170を備え得る。不揮発性メモリ2170には、半導体メモリ(SSD(半導体ドライブ))を含み得る。
【0169】
さらに、コンピュータシステム2130は、光学マスク検査装置2110を制御するように設計された制御機器2180を備え得る。
【0170】
さらに、装置2100は、フォトリソグラフィマスク200の欠陥240をスキャンするとともに、測定データの図式表現を生成するように設計された走査型粒子顕微鏡、走査型プローブ顕微鏡、および/または共焦点顕微鏡を備え得る。装置2100がこれらの測定器具のうちの1つまたは複数を備える場合は、制御機器2180がこれらの測定機器を同様に制御可能である。
【0171】
図23は、少なくとも1つの欠陥パターン要素220を修復可能な装置2300の断面を概略的に提示している。このため、装置2300は、光学マスク検査装置2310を備える。この種の測定器具は、
図22の記述に照らして既に上述した通りである。
【0172】
装置2300の光学マスク検査装置2310は、接続部2320を介して、1つもしくは複数の空中像または空中像合成の測定データを装置2300のコンピュータシステム2330に提供可能である。装置2300のコンピュータシステム2330としては、
図21の装置2100のコンピュータシステム2130と類似のものが可能である。長文になることを避けるため、コンピュータシステム2330の説明については割愛する。むしろ、
図21の記述を参照されたい。
【0173】
装置2300は、集束粒子線を供給可能な粒子線源2350をさらに備える。粒子線源2350の集束粒子線は第一に、フォトリソグラフィマスク200の欠陥240の解析に使用可能である。集束粒子線の測定データおよび/または光学マスク検査装置2310の測定データに基づいて、1つもしくは複数のアルゴリズムまたは1つもしくは複数の機械学習モデルにより欠陥の修復形状を決定可能である。粒子線源2350の集束粒子線は第二に、装置2300のガス供給システム2370との組み合わせによって、解析した欠陥240の修復に使用可能である。粒子線源2450およびガス供給システム2370はいずれも、接続部2340および2360を介して、コンピュータシステム2330とデータを交換可能である。さらに、コンピュータシステム2330の制御ユニット2370は、光学マスク検査装置2310、粒子線源2350、およびガス供給システム2370を制御可能である。
【0174】
図24は、装置2300の粒子線源2350およびガス供給システム2370を組み合わせた装置2400の概略断面図である。装置2400によって、欠陥240を修復するための修復要素410、510、610を生成可能である。
図24の例示的な装置2400は、走査型電子顕微鏡(SEM)2410の形態の改造走査型粒子顕微鏡2410を備える。装置2400は、質量を有する粒子線2415として電子線2415を生成する電子線源2405の形態の粒子線源2350を備える。電子線2415は、光子線の焦点直径よりもはるかに小さなスポットへと集束可能である。電子のド・ブロイ波長が短いことを考慮すると、電子線2415は、数ナノメートルの範囲のスポット径へと集束可能である。このように、解析または測定ツールとして、電子線2415は非常に優れた横方向分解能力を有する。
【0175】
さらに、電子線2415は、イオンビームと比較して、サンプル2425(たとえば、フォトリソグラフィマスク200)に入射する電子がサンプル2425またはフォトマスク200に実質的な損傷を及ぼさない利点がある。ただし、装置2400においては、サンプル2425の加工を目的として、イオンビーム、原子線、または分子線(
図24に示さず)を使用することも可能である。
【0176】
走査型粒子顕微鏡2410は、電子線源2405と、たとえばSEM2410の電子光学ユニットの形態のビーム光学ユニット2413が配置された鏡体2420と、で構成されている。
図24のSEM2410においては、電子線源2405が電子線2415を生成し、この電子線2415が集束電子線2415として、鏡体2420に配置された結像要素(
図24には示さず)により位置2422の(フォトリソグラフィマスク200を含み得る)サンプル2425へと案内される。このように、ビーム光学ユニット2413は、装置2400の電子線源2405の結像系2413を構成する。
【0177】
さらに、SEM2410の鏡体2420の結像要素は、サンプル2425上で電子線2415をスキャン可能である。サンプル2425は、装置2400の電子線2415を使用して調べることができる。一般的に、電子線2415はサンプル2425に垂直に入射する。
【0178】
電子線2415によりサンプル2425の相互作用領域または散乱円錐で生成された後方散乱電子および二次電子は、検出器2417により記録される。電子鏡体2420に配置された検出器2417は、「レンズ内検出器」と称する。種々実施形態においては、検出器2417を鏡体2420に設置可能である。検出器2417は、測定点2422で電子線2415により生成された二次電子および/またはサンプル2425から後方散乱された電子を電気測定信号に変換して、装置2400の評価ユニット2480に送信する。評価ユニット2480は、検出器2417および2419からの測定信号を解析して、サンプル2425の像を生成する。前記像は、評価ユニット2480のディスプレイ2495上に表示される。また、検出器2417は、エネルギーおよび/または立体角(
図24には示さず)に関して電子を区別するためのフィルタまたはフィルタシステムを追加的に含み得る。
【0179】
例示的な装置2400は、第2の検出器2419を具備し得る。第2の検出器2419は、特にX線範囲の電磁放射を検出するように設計可能である。結果として、検出器2419は、検査中にサンプル2425から生成された放射線の物質組成の解析を可能とする。検出器2417および2419は、コンピュータシステム2330の制御ユニット2370により制御可能である。代替的な一実施形態において、装置2400は、専用の制御ユニット(
図24には示さず)を備える。
【0180】
さらに、装置2400は、第3の検出器(
図24には示さず)を備え得る。第3の検出器は、Everhart-Thornley検出器の形態で具現化可能であり、通常は鏡体2420の外側に配置される。一般的には、二次電子の検出に用いられる。
【0181】
装置2400は、サンプル2425の領域(
図24には示さず)において運動エネルギーの低いイオンを供給するイオン源を備え得る。運動エネルギーの低いイオンは、サンプル2425の帯電を補償可能である。
【0182】
サンプル2425は、検査を目的として、サンプルステージ2430またはサンプルホルダー2430上に配置される。当技術分野においては、サンプルステージ2430は、「ステージ」としても知られている。
図24の矢印で象徴されるように、サンプルステージ2430は、たとえば
図24に示さないマイクロマニピュレータによって、SEM2410の鏡体2415に対して3つの空間方向に移動させることができる。
【0183】
サンプルステージ2430は、平行移動のほか、少なくとも粒子線源2405のビーム方向と平行に配向した軸の周りに回転可能である。サンプルステージ2430はさらに、当該サンプルステージ2430の平面内に配置された1つまたは2つの他の軸の周りにも回転可能となるように具現化可能である。2つまたは3つの回転軸は、直交座標系を構成するのが好ましい。
【0184】
検査対象のサンプル2425としては、解析および必要に応じてその後の処理(たとえば、フォトリソグラフィマスク200のパターン要素220の局所的な欠陥240の修復)を必要とする任意の微細構造化コンポーネントまたはデバイスが可能である。
【0185】
さらに、
図24の装置2400は、たとえばサンプル2425の解析および/または加工に使用可能な原子間力顕微鏡(AFM)(
図24には示さず)の形態の1つまたは複数の走査型プローブ顕微鏡を備え得る。
【0186】
図24に一例として示す走査型電子顕微鏡2410は、真空チャンバ2470において動作する。真空チャンバ2470に必要な減圧を生成して維持するために、
図24のSEM2410は、ポンプシステム2472を有する。
【0187】
以下で、装置2400により実現されたガス供給システム2370について論じる。既に上で説明した通り、サンプル2425は、サンプルステージ2430上に配置される。SEM2410の鏡体2420の結像要素は、サンプル2425上に電子線2415を集束させてスキャン可能である。SEM2410の電子線2415は、粒子線誘起堆積プロセス(EBID(電子線誘起堆積)および/または粒子線誘起エッチングプロセス(EBIE(電子線誘起エッチング)の誘導に使用可能である。
図24の例示的な装置2400は、これらのプロセスの実行を目的として、さまざまな前駆体ガスを貯蔵する3つの異なる供給容器2440、2450、および2460を有する。
【0188】
第1の供給容器2440は、前駆体ガス(たとえば、金属カルボニル(たとえば、クロムヘキサカルボニル(Cr(CO)6))または典型元素金属アルコキシド(たとえば、TEOS等))を貯蔵する。第1の供給容器2440に貯蔵された前駆体ガスにより、たとえば局所的な化学的堆積反応の範囲内で、フォトリソグラフィマスク200から欠損した材料を堆積させることができる。マスク200の欠損材料には、吸収体材料(たとえば、クロム)の欠損、基板材料210(たとえば、石英)の欠損、OMOGマスク(たとえば、ケイ化モリブデン)の材料欠損、または反射型フォトマスクの多層構造(たとえば、モリブデンおよび/またはケイ素)の材料欠損を含み得る。
【0189】
SEM2410の電子線2415は、サンプル2425への材料の堆積が意図される部位において、第1の供給容器2440に貯蔵された前駆体ガスを分裂させるためのエネルギー供給源として作用する。これは、電子線2415および前駆体ガスを組み合わせた供給によって、欠損した材料(たとえば、フォトマスク20から欠損した材料)の局所的な堆積のためにEBIDプロセスが実行されることを意味する。装置2400の改造SEM2410は、第1の供給容器2440に貯蔵された前駆体ガスとの組み合わせにより、フォトリソグラフィマスク上に修復要素410、510、610を生成する装置を備え得る。
【0190】
既に上で説明した通り、電子線2415は、数ナノメートルの範囲のスポット径へと集束可能である。電子線2415が二次電子を生成する相互作用領域または散乱円錐は、第一に電子線2415のエネルギー、第二に電子線2415が衝突する材料の組成によって決まる。相互作用領域の直径は、1桁台前半のナノメートルの値になっている。このため、電子線2415の散乱円錐の直径によって、対応する修復形状の実現により修復要素410、510、610の生成中に実現され得る分解能限界が制限される。前記分解能限界は、現在のところ、1桁台のナノメートルの範囲である。
【0191】
図24に示す装置2400において、第2の供給容器2450は、局所的な電子線誘起エッチング(EBIE)プロセスの実行を可能にするエッチングガスを貯蔵する。電子線誘起エッチングプロセスによって、サンプル2425から過剰な材料を除去可能である。たとえば、フォトリソグラフィマスク800から、パターン要素860の過剰な材料を除去可能である。一例として、エッチングガスには、二フッ化キセノン(XeF
2)、ハロゲン、または塩化ニトロシル(NOCl)を含み得る。したがって、粒子線源2350は、ガス供給システム2370との組み合わせにより、修復要素410、510、610を生成する装置2400を構成する。
【0192】
第3の供給容器2460には、添加剤または添加ガスを貯蔵可能であり、前記ガスは、必要に応じて、第2の供給容器2450において利用可能に保たれたエッチングガスまたは第1の供給容器2440に貯蔵された前駆体ガスに添加可能である。あるいは、第3の供給容器2460は、第2の前駆体ガスまたは第2のエッチングガスを貯蔵可能である。
【0193】
図24に示す装置2400において、供給容器2440、2450、および2460はそれぞれ、単位時間当たりに供給される対応するガスの量、すなわち、電子線2415のサンプル2425への入射の部位2422におけるガス体積流量をモニタリングまたは制御するための独自の制御弁2442、2452、および2462を有する。制御弁2442、2452、および2462は、コンピュータシステム2330の制御ユニット2370により制御・監視可能である。したがって、EBIDおよび/またはEBIEプロセスを実行するために処理場所2422に提供される1つまたは複数のガスの分圧比を広い範囲で設定することができる。
【0194】
さらに、
図24の例示的な装置2400において、各供給容器2440、2450、および2460は、サンプル2425に対する電子線2415の入射点2422の近傍のノズル2447、2457、ならびに2467で終端する独自のガス供給ラインシステム2445、2455、および2465を有する。
【0195】
供給容器2440、2450、および2460は、それぞれ独自の温度設定要素および/または制御要素を有することにより、対応する供給容器2440、2450、ならびに2460の冷却および加熱の両者が可能になる。これにより、それぞれ最適な温度で前駆体ガスの貯蔵および特に供給が可能となる(
図24には示さず)。制御ユニット2370は、供給容器2440、2450、2460の温度設定要素および温度制御要素を制御可能である。EBIDおよびEBIEの処理プロセスにおいては、供給容器2440、2450、および2460の温度設定要素をさらに、適当な温度の選択による貯蔵前駆体ガスの蒸気圧の設定に使用可能である。
【0196】
装置2400は、2つ以上の前駆体ガスを貯蔵するために、2つ以上の供給容器2440を備え得る。さらに、装置2400は、2つ以上のエッチングガスを貯蔵するために、2つ以上の供給容器2450を備え得る(
図24には示さず)。
【手続補正書】
【提出日】2024-08-15
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥(240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840)を修復する方法(1900)であって、
前記少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定するステップを含み、パラメータを確定するステップが、
少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることであって、前記数値が、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱しており、前記少なくとも1つのパラメータの前記数値の前記逸脱が、下限がゼロよりも大きく、前記リソグラフィマスクの分解能限界よりも小さい範囲から選択される、割り当てることと、
前記少なくとも1つの欠陥(240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840)の少なくとも1つの空中像を記録することと、
を含む、方法(1900)。
【請求項2】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの横寸法サイズと、前記少なくとも1つの修復形状の高さ寸法サイズと、前記少なくとも1つの修復形状と前記少なくとも1つの欠陥との間の距離と、前記少なくとも1つの欠陥の材料組成と、前記少なくとも1つの修復形状の幾何学的形状と、前記リソグラフィマスク上の前記少なくとも1つの欠陥の環境と、を含む群からの少なくとも1つの要素を含む、請求項1に記載の方法(1900)。
【請求項3】
前記少なくとも1つのパラメータが、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された前記数値から所定の絶対値だけ逸脱する、請求項1または2に記載の方法(1900)。
【請求項4】
前記リソグラフィマスクの前記分解能限界が、前記リソグラフィマスクの光線波長、開口数、およびウェハ上に配置されたフォトレジストに前記リソグラフィマスクのパターンを投影するのに適した露光設定によって決まる、請求項1~3のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項5】
前記開口数が、前記フォトレジストに前記リソグラフィマスクの前記パターンを投影するのに適した露光システムの投影レンズの開口数を含む、請求項4に記載の方法(1900)。
【請求項6】
前記リソグラフィマスクの前記分解能限界が、前記リソグラフィマスクを用いたウェハの露光に適した露光システムのマスク側分解能限界を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項7】
前記マスク側分解能限界が、
【数1】
によって決まり、λが、前記リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Mが、前記露光システムの前記投影レンズのマスク側開口数であり、σが、前記リソグラフィマスクの露光に適した前記露光システムの露光設定である、請求項6に記載の方法(1900)。
【請求項8】
前記少なくとも1つの対応するパラメータの前記数値の前記逸脱が、前記リソグラフィマスクの分解能限界の2%~80%の範囲を含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの修復形状の少なくとも1つの寸法の寸法サイズが、前記少なくとも1つの欠陥の対応する寸法の寸法サイズの10%~90%の範囲を含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項10】
前記少なくとも1つの欠陥が、パターン要素(220)のエッジ配置誤差(240)と、パターン要素の割り込み接続およびパターン要素の架橋接続と、パターン要素のエッジ粗さの外れと、前記リソグラフィマスクへの粒子付着と、印刷可能性の低い横方向欠陥と、実行される欠陥修復の残留欠陥(340)と、パターン要素(1820)の側壁角度誤差(1850)と、パターン要素の重心誤差および2つのパターン要素間の距離範囲のうちの少なくとも1つと、を含む群からの少なくとも1つの要素を含む、請求項1~9のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの空中像を記録することが、前記少なくとも1つの空中像を測定すること、前記少なくとも1つの空中像をシミュレーションすること、又は前記少なくとも1つの空中像を計算することのうちの少なくとも1つを含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項12】
前記少なくとも1つの空中像を記録することが、前記リソグラフィマスクの光線波長で前記少なくとも1つの欠陥の前記少なくとも1つの空中像を記録すること、および/または、前記少なくとも1つの欠陥の空中像焦点合成を記録することのうちの少なくとも1つを含む、請求項11に記載の方法(1900)。
【請求項13】
前記数値を割り当てることが、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値からの前記少なくとも1つのパラメータの前記数値の前記逸脱を決定するトレーニング済み機械学習モデルを適用することを含む、請求項1~12のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項14】
前記少なくとも1つの修復形状の前記パラメータを確定するステップが、前記少なくとも1つの修復形状の前記パラメータを確定するトレーニング済み機械学習モデルを適用することを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項15】
前記確定された修復形状によって、前記リソグラフィマスク上に少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を生成するステップをさらに含む、請求項1~14のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項16】
前記少なくとも1つの修復要素を生成するステップが、少なくとも1つの集束粒子線および少なくとも1つの前駆体ガスによって、少なくとも1つの局所エッチングプロセスを実行すること、および、少なくとも1つの局所堆積プロセスを実行することのうちの少なくとも1つを含む、請求項15に記載の方法(1900)。
【請求項17】
a.前記パラメータが前記少なくとも1つの欠陥(240)により規定された少なくとも1つの修復形状によって、少なくとも1つの修復要素(310)を生成するステップと、
b.残っている残留欠陥(340)に対する修復形状のパラメータを確定するステップであり、少なくとも1つの数値をパラメータに割り当てることを含み、前記数値が、前記パラメータに対して前記残っている残留欠陥により予め規定された数値から逸脱する、ステップと
を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載の方法(1900)。
【請求項18】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥パターン要素(220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820)を修復する方法(2000)であって、
a.その露光時に前記リソグラフィマスクを結像しない前記リソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を決定するステップであり、前記少なくとも1つの修復要素が、前記少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させるように構成され、前記少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を決定するステップが前記少なくとも1つの欠陥パターン要素(220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820)の少なくとも1つの空中像を記録することを含む、ステップと、
b.少なくとも1つの集束粒子線(2415)および少なくとも1つの前駆体ガスによって、前記リソグラフィマスク上に前記少なくとも1つの修復要素を生成するステップと
を含む、方法(2000)。
【請求項19】
前記少なくとも1つの修復要素が、前記リソグラフィマスクの分解能限界の10%~90%の範囲を含む少なくとも1つの寸法サイズを有する、請求項18に記載の方法(2000)。
【請求項20】
前記少なくとも1つの修復要素(410、510、610)と前記少なくとも1つの欠陥パターン要素(220)との間の距離(420、520、620)が、前記リソグラフィマスクの分解能限界の2%~80%の範囲を含む、請求項18または19に記載の方法(2000)。
【請求項21】
命令を含むコンピュータプログラムであって、前記命令が、コンピュータシステムにより実行された場合、前記コンピュータシステムに、請求項1~20の方法ステップを実行させる、コンピュータプログラム。
【請求項22】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥(240、750、940、1140、1240、1330、1630、1840)を修復する装置(2100)であって、
前記少なくとも1つの欠陥に対する少なくとも1つの修復形状のパラメータを確定する手段を備え、前記パラメータを確定する手段が、
少なくとも1つのパラメータに数値を割り当てる手段であって、前記数値が、前記パラメータに対して前記少なくとも1つの欠陥により予め規定された数値から逸脱しており、前記少なくとも1つのパラメータの前記数値の前記逸脱が、下限がゼロよりも大きく、前記リソグラフィマスクの分解能限界よりも小さい範囲から選択される、手段と、
前記少なくとも1つの欠陥の少なくとも1つの空中像を記録する手段と、
を含む、装置(2100)。
【請求項23】
リソグラフィマスク(200、400、500、600、700、800、900、1100、1200、1300、1600、1800)の少なくとも1つの欠陥パターン要素(220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820)を修復する装置(2300)であって、
a.前記少なくとも1つの欠陥パターン要素(220、740、840、860、920、1130、1230、1320、1620、1820)の少なくとも1つの空中像を記録する手段と、
b.前記少なくとも1つの空中像を用いて、その露光時に前記リソグラフィマスクを結像しない前記リソグラフィマスクの少なくとも1つの修復要素(410、510、610、770、790、850、870、1010、1170、1190、1270、1290、1440、1540、1640)を決定する手段であり、前記少なくとも1つの修復要素が、前記少なくとも1つの欠陥パターン要素の結像挙動を変化させるように構成された、手段と、
c.前記リソグラフィマスク上に前記少なくとも1つの修復要素を生成するように構成された集束粒子線(2415)および少なくとも1つの前駆体ガスを提供する手段と
を備える、装置(2300)。
【請求項24】
請求項1~20の方法ステップのいずれかに従ってリソグラフィマスクの少なくとも1つの欠陥を修復することにより、露光システムにおいて使用されるリソグラフィマスクを製造する方法。
【請求項25】
請求項1~20の方法ステップのいずれかに従って修復されたリソグラフィマスクを含む、露光システム。
【請求項26】
前記露光システムの分解能限界が、前記露光システムの光源の波長、前記露光システムの投影レンズの開口数、および前記露光システムの露光設定によって決まる、請求項25に記載の露光システム。
【請求項27】
前記分解能限界が、前記投影レンズのウェハ側分解能限界を含む、請求項26に記載の露光システム。
【請求項28】
前記ウェハ側分解能限界が、
【数2】
によって決まり、λが、前記リソグラフィマスクの光線波長であり、NA
Wが、前記露光システムの前記投影レンズのウェハ側開口数であり、σが、ウェハ上に配置されたフォトレジストに前記リソグラフィマスクのパターンを投影するための前記リソグラフィマスクの露光に適した前記露光システムの露光設定である、請求項27に記載の露光システム。
【外国語明細書】