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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153787
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】非線形光学結晶の不活性化方法
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/355 20060101AFI20241022BHJP
   G01N 21/85 20060101ALI20241022BHJP
   G01N 21/45 20060101ALI20241022BHJP
   G01N 21/3504 20140101ALI20241022BHJP
【FI】
G02F1/355
G01N21/85 Z
G01N21/45 A
G01N21/3504
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024122326
(22)【出願日】2024-07-29
(62)【分割の表示】P 2022175763の分割
【原出願日】2012-10-05
(31)【優先権主張番号】61/544,425
(32)【優先日】2011-10-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】13/488,635
(32)【優先日】2012-06-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】500049141
【氏名又は名称】ケーエルエー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チュアン ユン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】ドリビンスキー ウラジミール
(57)【要約】
【課題】1つまたは複数の試料を光学的に検査するためのシステムの製造方法を提供する。
【解決手段】レーザシステム400は、選択された温度の範囲内でアニールされ、かつ、水素、重水素、水素含有混合物、重水素含有混合物の少なくとも1つにより、選択された不活性化レベルに不活性化されたNLO結晶104と、選択された波長の光を生成するように、さらに、NLO結晶104を通して光を伝達するように構成された少なくとも1つの光源402と、NLO結晶104を収容するように構成されたハウジングユニット406と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方法であって、
非線形光学(NLO)結晶を提供するステップと、
前記NLO結晶の温度を、前記NLO結晶の融解温度未満の選択された温度範囲内に維持してアニール処理するステップと、
前記NLO結晶を、水素、重水素のうちの少なくとも1つの濃度を有する不活性化ガスに、前記アニール処理により生じた結晶欠陥を直すために必要な水素濃度であって、前記不活性化ガスの5%~10%の範囲の水素濃度に曝露して、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を用いて不活性化レベルを監視して前記NLO結晶内の選択された不活性化レベルを達成するステップと、
を備える方法。
【請求項2】
前記NLO結晶の温度を前記選択された温度範囲内に維持することは、前記NLO結晶の温度を室温と前記NLO結晶の融点との間に維持することを含む請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NLO結晶の温度を前記選択された温度範囲内に維持することは、前記NLO結晶の温度を300°C~350°Cに維持することを含む請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記NLO結晶は、ベータ型ホウ酸バリウム(BBO)、三ホウ酸リチウム(LBO)、四ホウ酸リチウム(LTB)、ホウ酸リチウムセシウム(CLBO)、またはホウ酸セシウム(CBO)のうちの少なくとも1つを含む請求項1に記載の方法。
【請求項5】
結晶収容ユニット内に前記NLO結晶を収容するステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項6】
光源からの光ビームを前記NLO結晶に通すステップをさらに含む請求項1に記載の方法。
【請求項7】
光源からの光ビームを前記NLO結晶に通し、前記NLO結晶で深紫外光を発生させるステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【請求項8】
光源からの光ビームを1つ以上のビーム成形光学系で成形するステップをさらに含む請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、以下に示す出願(複数の場合がある)(「関連出願」)に関連し、これらの出願から利用可能で有効な最先の出願日(複数の場合がある)の利益を主張する(たとえば、特許仮出願以外の利用可能な最先の優先日を主張するか、または関連出願の親出願、祖父出願、曽祖父出願等のありとあらゆる出願に関する特許仮出願についての米国特許法(USC35)119条の下における利益を主張する)。
【0002】
米国特許商標庁(USPTO)の法定外要件のため、本出願は、2011年10月7日に出願されたYung-Ho ChuangおよびVladimir Dribinskiを発明者とするNLO CRYSTAL PROPERTIES BY HYDROGEN PASSIVATIONと題する米国特許仮出願61/544,425の通常の(非仮)特許出願を構成する。
【0003】
本発明は、非線形光学材料の分野に関し、特に、結晶欠陥を直すために非線形光学結晶を不活性化するためのシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0004】
現代の多くのレーザシステムは、非線形光学(NLO)素子を必要とする。たとえば、NLO素子は、一般に周波数混合(たとえば、高調波発生、パラメトリック発振/パラメトリック増幅等)、ラマン増幅、カーレンズモード同期、電子光学変調、音響光学変調および他等の用途で使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,667,828号
【特許文献2】米国特許出願公開第2002/0109110号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
NLO素子のレーザ誘起損傷(LID)は現代の多くのレーザシステムの主要な制限になっている。LIDは、レーザ光線と所与のNLO素子を構成する材料との間の相互作用の結果として発生する。その結果、NLO素子は、経時的に、透過率、反射率、屈折率等の物理的性質にマイナス影響を与えることがあるLIDを被る。同様に、LIDの発生に起因する物理的性質のこの劣化が、最終的にはレーザシステム内部でのNLO素子の故障につながる。
【0007】
LIDは、波長が300nm未満の深紫外線(DUV)光等のより短い波長の電磁スペクトルを活用するレーザシステムでなおさらに問題となる。さらに、レーザ誘導損傷速度は、転位、不純物、空孔等のNLO素子に存在する材料欠陥によっても影響を受ける。大部分の場合、所与のNLO素子での材料欠陥により、NLO素子はLIDにより耐性がなくなる。したがって、NLO素子は、材料欠陥の結果としてより短い寿命を有する。
【0008】
本発明は、本明細書に開示される新規のシステムおよび方法を活用するNLO素子の損傷抵抗を改善することによって上記の問題を軽減することを対象とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つまたは複数の非線形光学(NLO)結晶の結晶欠陥を直して、性能を改善するまたはレーザ誘起損傷に対する抵抗性を高めるためのシステムおよび方法が開示される。一態様では、水素分子または水素原子を活用して結晶欠陥を不活性化することによってレーザ誘起損傷に対する1つまたは複数の非線形光学(NLO)結晶の抵抗性を高めるためのシステムが提供され、システムは、選択された水素濃度の、または選択された水素濃度近くの水素濃度を有する不活性化ガスを含むように構成された曝露チャンバであって、チャンバ内部の不活性化ガスに曝露される少なくとも1つのNLO結晶を含むようにさらに構成されたチャンバと、曝露チャンバに流体的に接続された不活性化ガスソースであって、曝露チャンバの内部に不活性化ガスを供給するように構成された不活性化ガスソースと、チャンバ内部にNLO結晶を保持するように構成された基板であって、選択された温度でまたは選択された温度近くでNLO結晶の温度を維持するようにさらに構成され、選択された温度がNLO結晶の融解温度である基板とを含むことがある。
【0010】
別の態様では、水素を活用して結晶欠陥を不活性化することによってNLO結晶のレーザ誘起損傷に対する抵抗性を高めるための方法が提供され、方法は(i)NLO結晶の温度を選択された温度でまたは選択された温度近くで維持するステップであって、選択された温度がNLO結晶の融解温度以下である、維持するステップと、(ii)NLO結晶を、選択された水素濃度のまたは選択された水素濃度近くの水素濃度を有する不活性化ガスに曝露するステップとを含むことがある。
【0011】
別の態様では、水素分子または水素原子を活用して結晶欠陥を不活性化することによってレーザ誘起損傷に対する非線形光学(NLO)結晶の抵抗性を高めるための方法が提供され、方法は、(i)NLO結晶に対してアニールプロセスを実行して、NLO結晶の水分含量またはOH含有量を削減するステップと、(ii)NLO結晶を、選択された水素濃度のまたは選択された水素濃度近くの水素濃度を有する不活性化ガスに曝露するステップとを含むことがある。
【0012】
別の態様では、1つまたは複数の試料を光学的に検査するためのシステムが提供され、システムは、試料ステージと、試料ステージの上に置かれる1つまたは複数の試料の表面の一部を照明するために構成されたレーザシステムであって、少なくとも1つの不活性化され、かつアニールされたNLO結晶であって、選択されたレベル以下の水分含量を確立するほど十分にアニールされるNLO結晶であって、選択された不活性化レベルを確立するのほど十分にさらに不活性化されるNLO結晶と、選択された波長の光を生成するように構成された少なくとも1つの光源であって、NLO結晶を通して光を伝達するようにさらに構成された光源と、NLO結晶を収容するように構成された結晶ハウジングユニットとを含むレーザシステムと、試料の表面から反射される照明の少なくとも一部を受光するように構成された検出器と、検出器に通信で結合されたコンピューティングシステムであって、検出器によって受光される照明の少なくとも一部に関する情報を取得するように構成されたコンピューティングシステムであって、検出器によって受光される照明の少なくとも一部に関する情報を活用して試料の少なくとも1つの欠陥の存在または不在を決定するようにさらに構成されたコンピューティングシステムとを含むことがある。
【0013】
上記の概要および以下の詳細な説明がともに例示的かつ説明的にすぎず、必ずしも本発明を請求される通りに制限しないことが理解されるべきである。本明細書に組み込まれ、本明細書の一部を構成する添付図面は本発明の実施形態を示し、概要とともに本発明の原理を説明するために役立つ。
【0014】
本開示の多数の優位点は、添付図面を参照することにより当業者によってよりよく理解され得る。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1A】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶を不活性化するためのシステムを示すブロック図である。
図1B】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶を不活性化するためのシステムの曝露チャンバの概念図である。
図2A】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶を不活性化するための方法を示す流れ図である。
図2B】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶を不活性化するための方法を示す流れ図である。
図2C】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶を不活性化するための方法を示す流れ図である。
図2D】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶を不活性化するための方法を示す流れ図である。
図3A】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶をアニールし、不活性化するための方法を示す流れ図である。
図3B】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶をアニールし、不活性化するための方法を流れ図である。
図3C】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶をアニールし、不活性化するための方法を流れ図である。
図3D】本発明の一実施形態に従って、NLO結晶をアニールし、不活性化するための方法を流れ図である。
図4】本発明の一実施形態に従って、アニールされ、不活性化されたNLO結晶を備えたレーザシステムを示すブロック図である。
図5】本発明の一実施形態に従って、ウェハまたはフォトマスクを検査するためのシステムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
ここで添付図面に示される、開示されている主題を詳細に参照する。
【0017】
概して図1Aから図5を参照し、本開示に従って非線形光学(NLO)結晶を不活性化するためのシステムおよび方法が説明される。レーザシステムは、通常、とりわけ周波数混合、ラマン増幅、カーレンズモード同期、電子光学変調、音響光学変調等の多くの用途にNLO結晶を活用する。レーザシステム内部での電磁放射線への曝露は、NLO結晶の物理的性質(たとえば、透過率、反射率、屈折率等)に影響を及ぼす。結果として生じるNLO結晶の物理的性質に対する変化が、通常、レーザ誘起損傷(LID)と呼ばれ、NLO結晶が適切に機能をするのを妨げる傾向がある。NLO結晶は、転位、不純物、空孔等の大量のまたは多量の結晶欠陥を有するときにLIDに対する耐性がより乏しい。本発明は、水素活性化および/または結晶アニールを活用してNLOの結晶欠陥を直すためのシステムおよび方法を対象とする。
【0018】
本開示全体を通して使用されるように、用語「結晶」、「NLO結晶」または「非線形結晶」は、概して周波数変換に適した非線形光学結晶を指す。たとえば、本発明の非線形光学結晶は、第1の波長(たとえば、532nm)の入射照明をより短い波長(たとえば、266nm)の出力照明に周波数変換するように構成されてよい。さらに、本発明の非線形光学結晶は、ベータ型ホウ酸バリウム(BBO)、三ホウ酸リチウム(LBO)、四ホウ酸リチウム(LTB)、ホウ酸リチウムセシウム(CLBO)、ホウ酸セシウム(CBO)、酸化物型非線形結晶等を含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0019】
本開示を通して使用されるように、用語「ウェハ」は概して半導体物質または非半導体物質から形成される基板を指す。たとえば、半導体材料または非半導体物質は、単結晶シリコン、ガリウムヒ素、およびリン化インジウムを含むが、これらに限定されるものではない。ウェハは1つまたは複数の層を含んでよい。たとえば、係る層は、レジスト、誘電物質、導電材料、および半導体材料を含んでよいが、これに限定されるものではない。係る層の多くの異なるタイプは技術で既知であり、本明細書に使用されるような用語ウェハは、すべてのタイプの係る層が形成され得るウェハを包含することを目的とする。
【0020】
図1Aおよび図1Bは、NLO結晶104を結晶内部の結晶欠陥を直すために不活性化するためのシステム100を示す。これらの欠陥は、結晶104内部のダングリングボンドまたは破壊された化学結合に水素原子を付着することによって直し得る。たとえば、ダングリングボンドまたは破壊化学結合は、多くの場合、NLO結晶寿命だけではなく物理的性質/光学的性質にも影響を及ぼす主要なタイプの欠陥である酸素ダングリングボンドを含むことがある。一実施形態では、システム100は、多量の不活性化ガスを含むように構成された曝露チャンバ101を含んでよい。曝露チャンバ101は、NLO結晶104が曝露チャンバ101内部に入れられた不活性化ガスに曝露され得るようにNLO結晶104を含むようにさらに構成されてよい。また、曝露チャンバ101は、NLO結晶104が曝露チャンバ101内部に入れられた不活性化ガスに曝露される間にNLO結晶104を保持するように構成された基板102を含むようにさらに構成されてもよい。代わりに、基板102は、チャンバ101の内部表面の一部であってもよい。
【0021】
本発明の不活性化ガスは、選択された水素濃度を有する2つ以上のガス状混合物を含んでよい。一実施形態では、ガス混合物は分子状水素(H)を含むことがある。別の実施形態では、不活性化ガスは、化学反応時にまたは分解時に水素を生じさせることがある低分子量ガスを含むことがある。係る低分子量ガスはNHまたはCHを含んでよいが、これらに限定されるものではない。所望される水素濃度は、通常の大気条件下で存在する水素の天然存在度を超える濃度を含んでよい。この点で、不活性化ガスの水素濃度は空気中に自然に存在する水素濃度を超える濃度から構成されてよい。別の態様では、水素の所望される濃度は、ユーザによって選択される濃度、またはNLO結晶104の1つまたは複数の物理的な属性を活用して決定される濃度であってもよい。不活性化ガス混合物はさらに、アルゴン、窒素、ヘリウム等の不活性ガスを含んでよい。
【0022】
追加の実施形態では、本発明の不活性化ガスは、5~10%の範囲の水素濃度を有するガス混合物を含んでよい。本明細書では、この水素濃度範囲が制限ではなく、単に説明のために提示されていることに留意されたい。不活性化ガスの水素濃度レベルが、所与の用途に適切な任意の範囲を含んでよいことが意図される。追加の実施形態では、不活性化ガス混合物の水素濃度は、不活性化の結果を改善するために水素の重同位体、重水素を含んでよい。混合物中の重水素の正確な量は、不活性化結果を最適化することによって決定されてよく、全水素塗度の一部から、混合物中の全水素の100%に及ぶことがある。
【0023】
一実施形態では、システムは、曝露チャンバ101に流体的に結合され、不活性化ガスを曝露チャンバに供給するように構成された不活性化ガスソース108をさらに含んでよい。曝露チャンバ101は、不活性化ガスソース108から不活性化ガスを受け取るように構成され、不活性化ガスソース108から受け取った不活性化ガスを曝露チャンバ101の内部にうつすようにさらに構成されたガス流入ポート105を含んでよい。曝露チャンバ101はさらに、曝露チャンバ101の内部から不活性化ガスを放出するように構成されたガス流出ポート106を含んでよい。
【0024】
追加の実施形態では、システム100は、不活性化ガスソース108と曝露チャンバ101との間で流体的に接続された流量制御装置110を含んでよい。流量制御装置110は、不活性化ガスが曝露チャンバ101に供給される速度を制御するように構成されてよい。流量制御装置110は、流量制御装置110を曝露チャンバ101に流体的に接続する少なくとも1本の導管を不活性化ガスが通り抜ける圧力もしくは速度を調節するためのバルブ、レギュレータ、または他の手段を含んでよい。流量制御装置は、曝露チャンバのガス流入ポート105に流体的に接続されるようにさらに構成され、不活性化ガスがガス流入ポート105を通って曝露チャンバ101の内部に供給される速度を制御するようにさらに構成されてよい。別の実施形態では、流量制御装置110または追加流量制御装置(不図示)は、曝露チャンバ101のガス流出ポート106に流体的に接続されるように構成されてよく、不活性化ガスが曝露チャンバ101の内部から除去される速度を制御するようにさらに構成されてよい。
【0025】
別の実施形態では、システム100は、流量制御装置110に通信で結合された1台または複数のコンピューティングシステム112をさらに含んでよい。コンピューティングシステム112は、流量制御装置110に、不活性化ガスが曝露チャンバ101に供給さされる速度を制御するための命令を与えるように構成されてよい。コンピューティングシステム112は、流量制御装置110または追加の流量制御装置(不図示)に、不活性化ガスが曝露チャンバ101から除去される速度を制御するための命令を与えるようにさらに構成されてもよい。コンピューティングシステムは、流量制御アルゴリズム118を含むプログラム命令116で構成されるフラッシュメモリ素子、固体記憶装置、光記憶装置、ランダムアクセスメモリ装置、または他の静的記憶装置もしくは動的記憶装置等のキャリア媒体114を含んでよい。流量制御装置110に含まれることがある圧力バルブを構成するためのアルゴリズム等の流量制御アルゴリズム118は、技術にとって既知である。たとえば、流量制御アルゴリズム118は、圧力バルブの機械的性質と所望される流量との間の相互関係に基づいて圧力バルブを作動させるように流量制御装置110に命令してよい。いくつかの実施形態では、10~200cm/分のユーザ選択流量が、曝露チャンバ101内部に入れられたNLO結晶104を不活性化するための所望の流量であってよい。ただし、不活性化ガス混合物またはNLO結晶104の組成によっては、10~200cm/分を除く流量が所望されることもある。上述の流量範囲は例示的にすぎず、決して本発明を制限することを目的としていない。
【0026】
追加の実施形態では、曝露チャンバ101の内部にNLO結晶104を保持するように構成された基板102は、NLO結晶104の温度を制御するようにさらに構成されてよい。一態様では、ユーザは周囲温度または室温よりも高いが、NLO結晶104の融解温度未満の温度を選択してよい。たとえば、基板102は、300~350℃の範囲もしくは何らかの他の選択された温度にNLO結晶を加熱して結晶内部への水素透過を改善する、分子状水素(たとえば、H)もしくは他の水素含有分子の原子状水素への分解を軽減する、または水素とNLO結晶との間の望ましくない反応生成物(たとえば、弱いOH結合、水等)を排除するように構成されてよい。本明細書では、基板102が、任意の実現可能な温度またはNLO結晶104の不活性化の成功に望ましい温度の範囲でNLO結晶104の温度を上昇させる、減少させる、および/または維持するように構成されてよいことが意図される。したがって、上述の温度範囲は例示的にすぎず、決して本発明を制限することを目的としていない。
【0027】
上述のシステム100に従って、図2Aから図2Dは、ダングリングボンドまたは破壊化学結合によって引き起こされた結晶欠陥を直すために、水素でNLO結晶104を不活性化するための方法200の流れ図を示す。図2Aを参照すると、方法200は、以下のステップの内の1つまたは複数を含むことがある。(i)ステップ202、ユーザによって選択された温度またはNLO結晶104の1つまたは複数の属性(たとえば、組成、水分含量、欠陥レベル等)を活用して決定される温度である選択された温度でまたは選択された温度近くでNLO結晶104の温度を維持することと、(ii)ステップ204、ユーザによって選択された水素濃度またはNLO結晶104の内の1つまたは複数の属性を活用して決定された水素濃度である選択された水素濃度を有する不活性ガスにNLO結晶を104を曝露すること。
【0028】
ステップ202で、NLO結晶104の温度は、システム100の曝露チャンバ101にNLO結晶104を保持するように構成された基板102等の任意の加熱素子および/または冷却素子(以後「加熱素子」)によって制御されてよい。加熱素子は、ユーザ選択温度、NLO結晶104の1つもしくは複数の属性を活用して決定された温度、または結晶の中への水素透過を改善する、H分子のH原子への分解を軽減する、もしくは水素とNLO結晶104との間の1つまたは複数の反応から望ましくない生成物(たとえば、弱いOH結合、水等)を排除する任意の温度であってよい選択された温度にNLO結晶104を加熱するまたは冷却するように構成されてよい。たとえば、一実施形態では、選択温度は約300~350℃の範囲の温度であってよい。加熱素子は、NLO結晶104を適切に不活性化するのに要する時間等の選択された期間、選択温度でまたは選択温度近くでNLO結晶104の温度を維持するようにさらに構成されてよい。たとえばNLO結晶104を適切に不活性化するのに要する時間は、約100~200時間の範囲にあってよい。したがって、一実施形態では、加熱素子は約100~200時間の範囲内の選択期間、選択温度でまたは選択温度近くでNLO結晶104の温度を維持するように構成されてよい。上述の温度および時間分はほんの一例として含まれ、これらのパラメータが本開示の本質から逸脱することなく大幅に改変されてよいことが意図される。したがって、本明細書中の何も決して本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0029】
ステップ204で、NLO結晶104は、システム100の曝露チャンバ101等の大気によって管理された容器内部の不活性化ガスに曝露されてよい。不活性化ガスは、選択された水素濃度を有するガス混合物であってよい。選択された水素濃度は、ユーザ選択濃度、NLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定された濃度、または不活性化ガスからの水素原子をNLO結晶104の破壊化学結合もしくはダングリングボンドに付着することによってNLO結晶104の結晶欠陥を直すために許容可能な任意の濃度であってよい。たとえば、一実施形態では、不活性化ガスの選択水素濃度は、不活性化ガス混合物の約5~10%の範囲の水素濃度であってよい。ただし、上述の水素濃度は例として含まれるにすぎず、決して本発明を制限することを目的としていない。
【0030】
図2Bを参照すると、ステップ204は、ユーザによって選択された流量、NLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定された流量、選択水素濃度でもしくは選択水素濃度近くで容器内の不活性化ガスの水素濃度を維持するために許容可能な流量、または不活性化ガスからの水素原子をNLO結晶104の破壊化学結合またはダングリングボンドに付着することによってNLO結晶104の結晶欠陥を直すための十分な任意の流量等の選択された流量でまたは選択された流量近くで、不活性化ガスが容器を通って流れてよい流量を維持するステップ206を含んでよい。流量は、システム100の流量制御装置110によって、またはガスが1本または複数の導管を通り抜ける圧力または速度を制御するための任意のバルブ、レギュレータ、もしくは他の手段によって調整されてよい。たとえば、一実施形態では、流量制御装置110は、曝露チャンバを通って流れる不活性化ガスの流量を約10~200cm/分の範囲で選択された流量に調整するように構成されてよい。ただし、流量の上記範囲はほんの一例として含まれ、それは決して本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0031】
図2Cおよび図2Dを参照すると、方法200の一実施形態は、NLO結晶104の不活性化の程度を監視するステップ208をさらに含んでよい。OH結合の量は、一般に、水素原子をNLO結晶104の酸素ダングリングボンドに付着させる結果としてNLO結晶104が不活性化するにつれて増加するため、不活性化の程度は、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化に相互に関連付けられてよい。したがって、不活性化の程度は、NLO結晶104の1つまたは複数の吸収バンドを分析することによって監視されてよく、吸収バンドはNLO結晶104のOH結合の数の変化によって影響を受ける。吸収バンドは、NLO結晶104が1つまたは複数の波長を有する照明を吸収するレベルを検出するための技術にとって既知の任意の方法を使用することによって分析されてよい。一実施形態では、不活性化の程度は、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を活用して監視されてよい。たとえば、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)を活用すると、NLO結晶104の不活性化の程度は、NLO結晶104の赤外線(IR)スペクトル内の少なくとも1つの吸収バンドを観察することによって監視されてよい。NLO結晶104の不活性化の程度を監視するためのFTIRプロセスは以下のステップの内の1つまたは複数を含むことがある。(i)1つまたは複数の波長を有する照明をNLO結晶104を通して伝達することと、(ii)NLO結晶104を通って伝達された照明を検出することと、および(iii)NLO結晶104を通って伝達された照明についての情報を活用して、1つまたは複数の波長でNLO結晶104によって吸収される照明の量を決定することと、および(iv)1つまたは複数の波長でNLO結晶104によって吸収される照明と、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化との間の相互関連を活用してNLO結晶104の不活性化の程度を決定すること。
【0032】
方法200の追加の実施形態では、NLO結晶104は、NLO結晶104が十分に不活性化されるまでステップ204で不活性ガスに曝露されてよい。NLO結晶104の不活性化の程度を監視するステップ208は、NLO結晶104が十分に不活性化されたかどうかを判断するために活用されてよい。たとえば、NLO結晶104の不活性化の程度は、約3200から4000cm-1の範囲のIRスペクトルの1つまたは複数の波長で出現するまたは強度を変更するNLO結晶104の1つまたは複数の吸収バンドを観察することによって決定されてよく、該波長で出現するまたは強度を変更する吸収バンドの振幅または強度は、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化に相互に関連する。たとえば、FTIRは赤外線スペクトルで3580cm-1近くの(HOを含む)-OH結合の吸収を監視するために使用されてよい。たとえば、FTIR監視は原位置で実行されてよく、結晶は、それが不活性化を受けている間にFTIRで監視される。ステップ208は、NLO結晶104が、FTIR吸収スペクトルの1つまたは複数の選択されたピークの積分ピーク強度の相対変化を監視することによって十分に不活性化されたかどうかをさらに判断してよい。たとえば、ステップ208は、-OH吸収ピークの5%の減少が観察されるときに十分な不活性化を決定してよい。
【0033】
十分な不活性化のための吸収バンド波長およびパーセンテージ変化の上述の範囲はほんの一例として含まれ、IRスペクトル、可視スペクトル、および/またはUVスペクトルの他の波長で1つまたは複数の吸収バンドが出現してよいことが意図される。したがって、波長の上記範囲は、決して本発明を制限することを目的としていない。
【0034】
上記ステップは逐次的でもなければ、必須でもなく、任意の順序または互いに並行に発生してよい。たとえば、方法200の一実施形態では、NLO結晶104はステップ204で規定されるように不活性化ガスに曝露されてよく、同時に、NLO結晶104の不活性化の程度は、ステップ208で規定されるFTIRを活用して監視されてよい。いくつかの例では、ステップの内のいくつかまたはすべてを組み合わせること、およびステップを本明細書で説明する順序から外れるシーケンスでステップを配列することが有利となる場合がある。本明細書の説明は説明的にすぎず、本明細書に開示される1つまたは複数の方法をステップの任意の特定のシーケンス、順序または組み合わせに制限することを目的としていない。
【0035】
図3Aから図3Dは、NLO結晶104を不活性化し、アニールするための方法300を示す。図3Aを参照すると、方法300は、以下のステップの内の1つまたは複数を含むことがある。(i)ステップ302、NLO結晶104にアニールプロセスを実行して、NLO結晶104の水分含量またはOH含有量を削減すること、および(ii)ステップ304、NLO結晶104を、ユーザ選択水素濃度またはNLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定された水素濃度である選択された水素濃度を有する不活性化ガスに曝露すること。
【0036】
ステップ302で、NLO結晶104は乾燥した大気(たとえば、清潔な乾燥した空気または乾燥した不活性ガス)中でアニールプロセスを受けて、NLO結晶104から水分子またはOH分子の少なくとも一部を取り除いてよい。アニールプロセスは技術にとって既知であり、以下のステップの内の1つまたは複数を含むことがある。(i)NLO結晶104を溶解するまたはNLO結晶104に損傷を与えることなく、NLO結晶から水分子を取り除くほど高い値等の選択された温度にNLO結晶104の温度を上昇させるまたは低下させること、(ii)NLO結晶104の温度を、NLO結晶104の水分含量を選択されたレベルに減少させるのに十分な期間等、選択された期間、選択された温度でまたは選択された温度近くで維持すること、および(iii)NLO結晶104の水分含量が選択されたレベルまで削減されたときに、周囲温度または室温等の選択された最終温度にNLO結晶104の温度を上昇させるまたは低下させること。水分含量の選択されたレベルは、ユーザによって選択されたレベル、NLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定された水分含量レベル、または所望された光学性能/物理性能もしくは結晶寿命増加に相互関係がある任意の水分含量レベルであってよい。
【0037】
一実施形態では、ステップ302のアニールプロセスは、NLO結晶104の温度を、選択された時間間隔にわたって選択された温度に上昇させるまたは低下させるステップをさらに含んでよい。たとえば、NLO結晶104は、約2時間の選択された期間にわたって徐々に約150℃の選択された温度に加熱されてよい。NLO結晶104の温度は、任意の既知の加熱装置または冷却装置によって上昇してよい、低下してよい、または維持されてよい。たとえば、基板102は、NLO結晶104を加熱するまたは冷却するのに適した加熱装置または冷却装置を備えてよい。別の例では、チャンバ101は、炉または冷却装置として構成されてよい。加熱装置または冷却装置はさらに、ユーザ選択期間、またはNLO結晶104の1つもしくは複数の属性を活用して決定された期間等の選択された期間、選択された温度でまたは選択された温度近くでNLO結晶104の温度を維持するように構成されてよい。たとえば、NLO結晶104の温度は、約10時間、150℃でまたは150℃近くで維持されてよい。代わりに、NLO結晶104の温度はNLO結晶104の水分含量またはOH含有量が十分に削減されるまで選択温度でまたは選択温度近くで維持されてよい。上述の温度、期間、および時間間隔は、ほんの一例として含まれ、これらのパラメータが本開示の本質から逸脱することなく大幅に改変されてよいことが意図される。したがって、本明細書中の何も、決して本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0038】
追加の実施形態では、ステップ302のアニールプロセスは、NLO結晶104の水分含量をさらに削減するために繰り返されてよい。アニールプロセスは、必要な場合、1つもしくは複数の異なる温度または異なる期間もしくは異なる間隔等の同じパラメータまたは異なるパラメータを活用して繰り返されてよい。たとえば、NLO結晶104は約1時間にわたって約200℃に加熱されてよい。同様に、NLO結晶104の温度は、約100時間の間、またはNLO結晶104の水分含量もしくはOH含有量が十分に削減されるまで、200℃でまたは200℃近くで維持されてよい。上述の温度、期間および時間間隔はほんの一例として含まれ、これらのパラメータが本開示の本質から逸脱することなく大幅に改変されてよいことが意図される。したがって、本明細書中の何も、決して本発明を制限すると解釈されるべきではない。
【0039】
ステップ302のアニールプロセスは、選択された時間間隔にわたって選択された最終温度(たとえば、周囲温度または室温)にNLO結晶104の温度を徐々に上昇させるまたは低下させるステップをさらに含んでよい。たとえば、NLO結晶104は、約3時間にわたってまたは任意の他の許容できる時間間隔にわたって周囲温度または室温に徐々に冷却されてよい、または冷却可能であってよい。一実施形態では、NLO結晶104は、NLO結晶104の温度が選択された時間間隔にわたって周囲温度まで徐々に低下するように、熱を徐々に取り除かせることによって冷却されてよい。別の実施形態では、NLO結晶104は、NLO結晶104の温度を選択された最終温度に低下させるために冷却装置を活用して冷却されてよい。選択された時間間隔は、ユーザによって選択された任意の時間間隔、またはNLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定された時間間隔であってよい。したがって、本明細書に含まれる任意の時間間隔はほんの一例として含まれ、決して本発明を制限することを目的としてない。
【0040】
図3Bおよび図3Dを参照すると、ステップ302のアニールプロセスは、NLO結晶104の1つまたは複数の吸収バンドを分析することによってNLO結晶の水分含量またはOH含有量を監視するステップ310をさらに含んでよく、吸収バンドは、NLO結晶104のOH結合の数の変化によって影響を受ける。吸収バンドは、NLO結晶104が1つまたは複数の波長を有する照明を吸収するレベルを検出するための技術にとって既知の任意の方法を使用することによって分析されてよい。たとえば、FTIRを活用すると、NLO結晶104の水分含量またはOH含有量は、NLO結晶104の赤外線(IR)スペクトルでの少なくとも1つの吸収バンドを観察することによって監視されてよい。NLO結晶104の水分含量またはOH含有量を監視するためのFTIRプロセスは、以下のステップの内の1つまたは複数を含むことがある。(i)1つまたは複数の波長を有する照明をNLO結晶104を通して伝達することと、(ii)NLO結晶104を通って伝達された照明を検出することと、および(iii)NLO結晶104を通って伝達された照明についての情報を活用して、1つまたは複数の波長でNLO結晶104によって吸収される照明の量を決定することと、および(iv)1つまたは複数の波長でNLO結晶104によって吸収される照明と、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化との間の相互関連を活用してNLO結晶104の水分含量もしくはOH含有量またはNLO結晶104の水分含量もしくはOH含有量の変化を決定すること。
【0041】
追加の実施形態では、ステップ302のアニールプロセスは、ステップ310の監視プロセスを活用して、NLO結晶の水分含量またはOH含有量が十分に削減されたという決定がなされるまで、アニールプロセスの1つまたは複数のステップを実行するステップ312をさらに含んでよい。たとえば、NLO結晶104の水分含量またはOH含有量は、約3200~4000cm-1の範囲のIRスペクトルの1つまたは複数の波長で出現するNLO結晶の1つまたは複数の吸収バンドを観察することによって決定されてよく、該波長で出現する吸収バンドの振幅または強度は、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化と相互関係がある。吸収バンド波長の上述の範囲はほんの一例として含まれ、1つまたは複数の吸収バンドがIRスペクトルの他の波長で出現してよいことが意図される。したがって、上述の波長の範囲は、決して本発明を制限することを目的としていない。
【0042】
ステップ302のアニールプロセスの上述のステップは、逐次的でもなければ、必須でもない。ステップは任意の順序でまたは互いと並行に発生してよい。たとえば、NLO結晶104が選択された温度で維持されてよいことが意図される。同時に、NLO結晶104の水分含量またはOH含有量は、ステップ310によって規定されるようにFTIRを活用して監視されてよい。NLO結晶104の温度が、NLO結晶104の水分含量またはOH含有量がステップ312によって規定されるように十分に削減されるまで、選択された温度で維持されてよいことがさらに意図される。いくつかの例では、ステップの内のいくつかまたはすべてを組み合わせること、およびステップを本明細書で説明する順序から外れるシーケンスでステップを配列することが有利となる場合がある。本明細書の説明は説明的にすぎず、本明細書に開示される1つまたは複数の方法をステップの任意の特定のシーケンス、順序または組み合わせに制限することを目的としていない。
【0043】
NLO結晶104がNLO結晶の水分含量またはOH結合を削減するためにアニールされた後に、NLO結晶104を水素で不活性化して、その内のいくつかがステップ302のアニールプロセスから生じた可能性がある1つまたは複数のダングリングボンドまたは破壊化学結合によって引き起こされる結晶欠陥を直すことが有利な場合がある。したがって、方法300のステップ304で、NLO結晶104は、システム100の曝露チャンバ101等の容器内部の不活性化ガスに曝露されてよい。不活性化ガスは、選択された水素濃度を有するガス混合物であってよい。水素濃度は、ユーザ選択濃度、NLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定される濃度、または不活性化ガスからの水素原子をNLO結晶104の破壊化学結合またはダングリングボンドに付着させることによってNLO結晶104の結晶欠陥を直すために許容可能な任意の濃度であってよい。たとえば、一実施形態では、不活性化ガスの選択水素濃度は、不活性化ガス混合物の約5~10%の範囲の水素濃度であってよい。ただし、上述の水素濃度はほんの一例として含まれ、それは決して本発明を制限することを目的としていない。いくつかの実施形態では、ステップ304は、上述されたNLO結晶104を不活性化する方法200からの1つもしくは複数のステップまたは要素をさらに含んでよい。
【0044】
図3Cおよび図3Dを参照すると、ステップ304の不活性化プロセスは、NLO結晶104の不活性化の程度を監視するステップ320をさらに含んでよい。不活性化の程度は、NLO結晶104の1つまたは複数の吸収バンドを分析することによって監視されてよく、吸収バンドは、NLO結晶104のOH結合の数の変化によって影響を受ける。吸収バンドは、NLO結晶104が1つまたは複数の波長を有する照明を吸収するレベルを検出するための技術にとって既知の任意の方法を使用することによって分析されてよい。たとえば、FTIRを活用すると、NLO結晶104の不活性化の程度は、NLO結晶104の赤外線(IR)スペクトルでの少なくとも1つの吸収バンドを観察することによって監視されてよい。NLO結晶104の不活性化の程度を監視するためのFTIRプロセスは、以下のステップの内の1つまたは複数を含むことがある。(i)1つまたは複数の波長を有する照明をNLO結晶104を通して伝達することと、(ii)NLO結晶104を通って伝達された照明を検出することと、および(iii)NLO結晶104を通って伝達された照明についての情報を活用して、1つまたは複数の波長でNLO結晶104によって吸収される照明の量を決定することと、および(iv)1つまたは複数の波長でNLO結晶104によって吸収される照明と、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化との間の相互関連を活用してNLO結晶104不活性化の程度を決定すること。
【0045】
追加の実施形態では、ステップ304は、NLO結晶104が十分に不活性化されるまでNLO結晶104を不活性化ガスに曝露するステップ322をさらに含んでよい。NLO結晶104の不活性化の程度を監視するステップ320は、NLO結晶104が十分に不活性化されたかどうかを判断するために活用されてよい。たとえば、NLO結晶104の不活性化の程度は、約3200~4000cm-1の範囲でのIRスペクトルの1つまたは複数の波長で出現するまたは強度を変更するNLO結晶104の1つまたは複数の吸収バンドを観察することによって決定されてよく、該波長で出現するまたは強度を変更する吸収バンドの振幅または強度は、NLO結晶104のOH結合の量またはOH結合の量の変化に相互関係がある。上述の吸収バンド波長の範囲はほんの一例として含まれ、1つまたは複数の吸収バンドはIRスペクトルの他の波長で出現してよいことが意図される。したがって、上述の波長の範囲は決して本発明を制限することを目的としていない。
【0046】
上述のステップは、逐次的でもなければ、必須でもなく、ステップは任意の順序でまたは互いと並行に発生してよい。たとえば、ステップ304の一実施形態では、NLO結晶104は、選択された水素濃度を有する不活性化ガスに曝露されてよいことが意図され、同時に、NLO結晶104の不活性化の程度は、ステップ320で規定されるようにFTIRを活用して監視されてよい。NLO結晶104がステップ322で規定されるように十分に不活性化されるまで、NLO結晶が不活性化ガスに曝露されてよいことがさらに意図され、ステップ320の監視技法は、NLO結晶104が十分に不活性化されたかどうかを判断するために活用されてよい。いくつかの例では、ステップの内のいくつかまたはすべてを組み合わせること、およびステップを本明細書で説明する順序から外れるシーケンスでステップを配列することが有利となる場合がある。本明細書の説明は説明的にすぎず、本明細書に開示される1つまたは複数の方法をステップの任意の特定のシーケンス、順序または組み合わせに制限することを目的としていない。
【0047】
改質されていないNLO結晶104を活用して達成できるよりもさらに優れた物理性能/光学性能またはより長い結晶寿命のために、十分にアニールされ、不活性化されたNLO結晶104をレーザシステムの中に組み込むことが有利となる場合がある。本開示のレーザシステム構成は、1つまたは複数の非線形結晶を含む、モード同期された、CW、またはQ切替えされた、および任意の他のレーザまたはレーザシステム等の構成を含んでよいが、これに限定されるものではない。本明細書の説明は、深紫外線(DUV)、紫外線(UV)、赤外線、可視等の電磁スペクトルを含むが、これに限定されるものではない幅広い範囲の考えられるレーザスペクトルを含むことをさらに目的とする。本明細書で使用されるように、用語「レーザシステム」および「レーザ」は、1つまたは複数のレーザの構成を説明するために交互に用いられてよい。
【0048】
図4は、不活性化され、および/またはアニールされたNLO結晶104を備えたレーザシステム400を示す。本発明のレーザシステム400は、光源402、ビーム成形レンズの第1のセット404、本明細書に上述された不活性化された/アニールされた結晶104、ハウジングユニット406、高調波分離要素408のセット、およびビーム成形レンズの第2のセット410を含んでよいが、これに限定されるものではない。
【0049】
一態様では、光源402の出力は、ビーム成形レンズ404を使用して不活性化された/アニールされたNLO結晶104の、または不活性化された/アニールされたNLO結晶104に近接する楕円形の断面のガウスビームウエストに集束されてよい。本明細書に使用されるように、用語「近接して」は、好ましくは結晶104の中心からのレイリー範囲の半分未満である。一実施形態では、楕円の主軸のガウス幅間のアスペクト比は、約2:1と約6:1の中間に位置してよい。他の実施形態では、楕円の主軸の間の比率は約2:1と約10:1との間であってよい。一実施形態では、より幅広いガウス幅が、NLO結晶の立ち去り方向と(たとえば、位置合わせの約10°の範囲内に)実質的に位置合わせされる。
【0050】
別の態様では、ハウジングユニット406は、周囲大気状況および他の不純物からNLO結晶104を保護し、それによってその不活性化/アニール状態の維持を容易にしてよい。大気水または他の不純物に曝露される結晶が、経時的に劣化し始め、不活性化されていない状態またはアニールされていない状態に戻ることがあることに留意されたい。結晶ハウジングユニットは、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる、2008年5月6日に出願された「Enclosure For Controlling The Environment of Optical Crystals」と題する、米国特許出願第12/154,337号に概して説明されている。いくつかの実施形態では、ハウジングユニット406は、結晶104およびレーザシステム400の他の構成部品を収容するために適した大きな構造体を含んでよい。他の実施形態では、ハウジング406は、レーザシステム400のすべての構成要素を収容するほど大きい場合がある。ハウジングが大きくなるほど、(結晶104を劣化から保護し、その不活性化状態/アニール状態を維持するために)レーザシステムの保守および修理のためにより多くの予防措置が必要となることに留意されたい。したがって、追加の態様では、ハウジングユニット406は、おもにNLO結晶406だけを封入するために適した小さいハウジング構造体から構成されてよい。
【0051】
ビーム成形レンズ404は、光源402からの出力の断面を変更することがあるアナモルフィックレンズを含んでよい。アナモルフィックレンズは、たとえばプリズム、円筒湾曲素子、放射対称湾曲素子、および回折素子の内の少なくとも1つを含んでよい。一実施形態では、光源402は、結晶104内部で二倍にされる可視範囲(たとえば、532nm)で周波数を生じさせるレーザを含んでよい。他の実施形態では、光源402は、結晶402内部で結合される2つ以上の周波数を生じさせて、和周波数または差周波数を生成するレーザ光源を含んでよい。周波数変換および関連付けられたレンズおよびハードウェアは、参照することにより全体として本明細書に組み込まれる、2012年3月6日に出願された米国特許出願第13/412,564号、Dribinskiらに説明されている。
【0052】
図5は、フォトマスク(つまり、レチクル)、ウェハ、または光学検査システムを活用して分析されてよい任意の他の試料等の、1つまたは複数の試料510の欠陥を測定するまたは分析するために構成された検査システム500を示す。検査システム500は、上述されたレーザシステム400を含んでよい。レーザシステム400は、本開示全体で説明される不活性化された/アニールされたNLO結晶104の内の1つまたは複数を含んでよい。一実施形態では、レーザシステム400のNLO結晶104は、NLO結晶104の水分含量を選択された水分含量レベルに削減するほど十分にアニールされてよい。
【0053】
追加の実施形態では、レーザシステム400のNLO結晶104は、酸素ダングリングボンド等のダングリングボンドまたは破壊化学結合によって引き起こされる結晶欠陥を直すほど十分に不活性化されてよい。NLO結晶104のダングリングボンドまたは破壊化学結合は、水素原子を、NLO結晶104の破壊化学結合またはダングリングボンドに結合することによって不活性化により直されてよい。いくつかの場合、ダングリングボンドまたは破壊化学結合の一部はNLO結晶104に対して実行されるアニールプロセスの生成物である場合がある。NLO結晶104は、所望される物理性能/光学性能、改善されたLID抵抗、改善された出力ビーム品質、改善された出力安定性、増加した結晶寿命、またはより高い運転出力を達成するために許容できる、不活性化の選択された程度まで不活性化されてよい。
【0054】
レーザシステム400のNLO結晶104は、NLO結晶104のOH結合の存在、不在、または量に相互関係があるNLO結晶104のIRスペクトルで少なくとも1つの吸収バンドを有してよい。NLO結晶104の吸収バンドは、NLO結晶104の不活性化の程度または水分含量レベルを決定するためにFTIRを活用して測定されてよい。NLO結晶104の吸収バンドの指定された振幅または強度は、NLO結晶104の十分なアニールレベルまたは十分な不活性化レベルに対応してよい。吸収バンドの指定された振幅または強度は、ユーザによって選択された値、またはNLO結晶104の1つまたは複数の属性を活用して決定された値であってよい。したがって、レーザシステム400のNLO結晶104の吸収バンドは、指定された振幅もしくは強度のまたは指定された振幅もしくは強度近くの振幅もしくは強度を有してよい。レーザシステム400は、NLO結晶104に照明を提供するように構成された、ダイオード励起ソリッドステート(DPS)ソースまたはファイバIRソース等の少なくとも1つの電磁波源をさらに含んでよい。電磁波源によって提供される照明の少なくとも一部は、結晶104の周波数変換プロセスにおいてNLO結晶104を通して直接的にまたは間接的に伝達されてよい。
【0055】
検査システム500は、検査プロセス中に試料510を保持するように構成された試料ステージ512をさらに含んでよい。試料ステージ512は、試料510がレーザシステム400から伝達される照明の少なくとも一部を受光してよい場所で試料510を保持するように構成されてよい。試料ステージ512はさらに、ユーザ選択場所に試料510を作動するように構成されてよい。試料ステージ512はさらに、1つまたは複数のコンピューティングシステムに通信で結合され、試料510をユーザによって選択された場所に、またはコンピューティングシステムによって決定された場所に作動させるように構成されてよく、試料510は、レーザシステム400から伝達される照明の少なくとも一部を受光してよい。
【0056】
検査システム500は、試料510の表面から反射される照明の少なくとも一部を直接的にまたは間接的に受け取るように構成された検出器504をさらに含んでよい。検出器504は、電荷結合素子(CCD)または時間遅延積分(TDI)CCDベースの検出器等の技術にとって既知の任意の適切な検出器を含んでよい。検査システム500はさらに、検出器504に通信で結合された1つまたは複数のコンピューティングシステム514を含んでよい。コンピューティングシステム514は、試料510の表面から反射される照明の特性に関する情報を、検出器504から受け取るように構成されてよい。コンピューティングシステム514は、キャリア媒体516上で、プログラム命令518からの検査アルゴリズムを実行するようにさらに構成されてよい。検査アルゴリズムは、試料510の表面から反射される照明の特性に関する情報を活用して、試料510の1つまたは複数の欠陥を測定するための技術にとって既知の任意の検査アルゴリズムであってよい。したがって、コンピューティングシステム514は、試料510の表面から反射される照明に関する情報を活用して、試料510の欠陥の存在、不在、量、および/またはタイプ等の測定を行ってよい。
【0057】
検査システム500は、1つまたは複数の照明光学素子503(たとえば、リターダ、1/4波長板、焦点レンズ、位相変調器、偏光子、鏡、ビームスプリッタ、反射器、収束レンズ/発散レンズ、プリズム等)を含んでよい。照明光学素子503は、レーザシステム400から発する照明を直接的にまたは間接的に受光するように構成されてよい。照明光学素子403はさらに、レーザシステム400から試料510の表面まで、検査システム500の照明路に沿って直接的にまたは間接的に受光される照明の少なくとも一部を伝達するおよび/または導くように構成されてよい。照明路は、レーザシステム400と試料510の表面との間の直接的な視線等の、照明がレーザシステム400から試料510の表面にそれに沿って移動できる任意の経路であってよい。いくつかの実施形態では、照明路は、照明光学素子または本明細書に開示される任意の他の光学素子を含むが、これに限定されない1つまたは複数の光学素子の構成によって描かれた経路であってよい。
【0058】
一実施形態では、検査システム400の照明路は、レーザシステム400から直接的にまたは間接的に受光された照明の少なくとも一部を、試料510の表面に、または照明路の追加の構成要素に伝達するように構成されたビームスプリッタ508を含んでよい。ビームスプリッタ508は、照明の1つのビームを、照明の2つ以上のビームに分割できる任意の光学装置であってよい。照明路はさらに、レーザシステム400から直接的にまたは間接的に受光された照明の少なくとも一部を試料510の表面に伝達するように構成された検査光学素子505(たとえば、リターダ、1/4波長板、焦点レンズ、位相変調器、偏光子、鏡、ビームスプリッタ、反射器、収束レンズ/発散レンズ、プリズム等)を含んでよい。
【0059】
一実施形態では、検査システム500は、試料510の表面から反射される照明の少なくとも一部を直接的にまたは間接的に受光するように構成された集光光学素子505(たとえば、リターダ、1/4波長板、焦点レンズ、位相変調器、偏光子、鏡、ビームスプリッタ、反射器、収束レンズ/発散レンズ、プリズム等)を含んでよい。集光光学素子506はさらに、試料510の表面から直接的にまたは間接的に受光された照明の少なくとも一部を、検査システム500の集光路に沿って検出器504に伝達するように構成されてよい。集光路は、試料410の表面と検出器504との間の直接的な視線等の、照明が試料510の表面から検出器504にそれに沿って移動できる任意の経路であってよい。いくつかの実施形態では、集光路は、集光光学素子または本明細書に開示される任意の他の光学素子を含むが、これに限定されるものではない1つまたは複数の光学素子の構成によって描かれる経路であってよい。
【0060】
本開示は、1つまたは複数の試料を総称的に検査することに関連して検査システム400を説明するが、検査システム400の発明の態様が、半導体または半導体構成部品の製作または分析で活用される幅広い範囲の検査システムまたは計測システムに拡大されてよいことが意図される。検査システム400は、技術にとって既知の1つまたは複数の作動形態のために構成されてよい。たとえば、検査システム400は、明視野検査、暗視野検査、または現在もしくは今後の技術にとって既知の任意の他の形態もしくは構成のために構成されてよい。検査システム400は、技術にとって既知の1つまたは複数の検査機能のためにさらに構成されてよい。たとえば、検査システム400は、1つまたは複数のフォトマスク、パターン付きウェハ、パターンなしウェハを検査するため、または現在もしくは今後の技術にとって既知の任意の他の検査機能のために構成されてよい。
【0061】
本開示全体で説明される多様なステップが、単一のコンピューティングシステムによって、または代わりに複数のコンピューティングシステムによって実施されてよいことが認識されるべきである。さらに、システムの異なるサブシステムは、上述されたステップの少なくとも一部を実施するために適したコンピューティングシステムを含んでよい。したがって、上記説明は、本発明に対する制限として解釈されるべきではなく、単に例示として解釈されるべきである。さらに、1つまたは複数のコンピューティングシステムは、本明細書に説明される方法実施形態のいずれかの任意の他のステップ(複数の場合がある)を実行するように構成されてよい。
【0062】
コンピューティングシステムは、パーソナルコンピューティングシステム、メインフレームコンピューティングシステム、ワークステーション、画像コンピュータ、パラレルプロセッサ、または技術で既知の任意の他の装置を含んでよいが、これに限定されるものではない。一般に、用語「コンピューティングシステム」は、メモリ媒体からの命令を実行する1台または複数のプロセッサを有する任意の装置を包含すると広く定義されてよい。
【0063】
本明細書に説明される方法等の方法を実装するプログラム命令は、キャリア媒体上で伝送またはキャリア媒体に記憶されてよい。キャリア媒体は、有線伝送リンク、ケーブル伝送リンク、または無線伝送リンク等の伝送媒体であってよい。また、キャリア媒体は、読取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、磁気ディスクもしくは光ディスク、または磁気テープ等の記憶媒体を含んでもよい。
【0064】
本明細書に説明される方法のすべては、記憶媒体に方法実施形態の1つまたは複数のステップの結果を記憶することを含んでよい。結果は、本明細書に説明される結果のいずれかを含んでよく、技術で既知の任意の方法で記憶されてよい。記憶媒体は、本明細書に説明される任意の記憶媒体、または技術で既知の他の適切な記憶媒体を含んでよい。結果が記憶された後、結果は、本明細書に説明される方法実施形態またはシステム実施形態のいずれによって記憶媒体内でアクセスされ、使用することができ、ユーザへの表示のためにフォーマットすることができ、別のソフトウェアモジュール、方法、またはシステム等によって使用できる。さらに、結果は、「恒久的に」、「半恒久的に」、一時的にまたはなんらかの期間の間、記憶されてよい。たとえば、記憶媒体は、ランダムアクセスメモリ(RAM)であってよく、結果は、必ずしも記憶媒体内で無期限に持続しなくてよい。
【0065】
上述された方法の実施形態のそれぞれが、本明細書に説明される任意の他の方法(複数の場合がある)の任意の他のステップ(複数の場合がある)を含んでよいことがさらに意図される。さらに、上述された方法の実施形態のそれぞれは、本明細書に説明されるシステムのいずれかによって実行されてよい。
【0066】
当業者は、本明細書に説明されるプロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術を達成できる多様な手段(たとえば、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェア)があること、ならびに好ましい手段が、プロセスおよび/またはシステムおよび/または他の技術が展開される状況に応じて変わることを理解するだろう。たとえば、実装者が、速度および精度が最重要であると判断する場合、実装者はおもにハードウェア手段および/またはファームウェア手段を選んでよい。代わりに、柔軟性が最重要である場合、実装者はおもにソフトウェア実装を選んでよい。また、さらに再び代わりに実装者は、ハードウェア、ソフトウェア、および/またはファームウェアの何らかの組合せを選んでよい。したがって、本明細書に説明されるプロセスおよび/または装置および/または他の技術を達成し得るいくつかの考えられる手段があり、その内のどれも、活用される任意の手段が、手段が展開される状況、および実装者の特定の関心(たとえば、速度、柔軟性、または予測性)に応じた選択肢であり、そのどれもが変わることがあるという点で、他よりも本質的に優れていない。当業者は、実装の光学的な態様が、通常光学的に指向されたハードウェア、ソフトウェアおよびまたはファームウェアを利用することを認識する。
【0067】
当業者は、装置および/またはプロセスを本明細書に述べられる様式で説明し、その後工学基準を使用して係る説明された装置および/またはプロセスをデータ処理システムの中に統合することが技術の中で一般的であることを認識するだろう。すなわち、本明細書に説明される装置および/またはプロセスの少なくとも一部は、妥当な量の実験作業を介してデータ処理システムの中に統合できる。当業者は、典型的なデータ処理システムが、システムユニットハウジング、ビデオディスプレイ装置、揮発性メモリおよび不揮発性メモリ等のメモリ、マイクロプロセッサおよびデジタル信号処理装置等のプロセッサ、オペレーティングシステム、ドライバ、グラフィックユーザインタフェース、およびアプリケーションプログラム等の計算エンティティ、タッチパッドまたは画面等の1つまたは複数の対話装置、および/またはフィードバックループおよび制御モータ(たとえば、位置および/または速度を検知するためのフィードバック、構成部品および/または量を移動するおよび/または調整するための制御モータ)を含む制御システムの内の1つまたは複数を概して含むことを認識するだろう。典型的なデータ処理システムは、データコンピューティングシステム/通信システムおよび/またはネットワークコンピューティングシステム/通信システムで通常見られる構成部品等の任意の適切な市販されている構成部品を活用して実装されてよい。
【0068】
本明細書に説明される主題は、異なる他の構成要素の中に含まれる、または異なる他の構成要素と接続される異なる構成要素を示すことがある。係る示されたアーキテクチャは例示的にすぎないこと、および実際には、同じ機能性を達成する多くの他のアーキテクチャを実装可能であることが理解されるべきである。概念的な意味で、同じ機能性を達成するための構成要素の任意の配置は、所望される機能性が達成されるように効果的に「関連付けられる」。したがって、特定の機能性を達成するために本明細書で組み合わされる任意の2つの構成要素は、アーキテクチャまたは中間構成要素と関係なく所望される機能性が達成されるように互い「に関連付けられている」として見ることができる。同様に、このように関連付けられている任意の2つの構成要素は、所望される機能性を達成するために互いに「接続され」ている、または「結合され」ていると見なすこともでき、このように関連付けられることが可能な任意の2つの構成要素は、所望された機能性を達成するために互いに「結合可能」であると見なすこともできる。結合可能の特定の例は、物理的に結び合わせることができる構成要素および/または物理的に相互作用する構成要素、および/または無線で対話可能な構成要素および/または無線で対話する構成要素、および/または論理的に相互作用する構成要素および/または論理的に相互作用可能な構成要素を含むが、これに限定されるものではない。
【0069】
本明細書に説明される本主題の特定の態様が示され、説明されてきたが、当業者には、本明細書の教示に基づき、本明細書に説明される主題およびそのより広い態様から逸脱することなく変更および修正が加えられてよく、したがって添付の特許請求の範囲は、その範囲内に、すべての係る変更および修正を、本明細書に説明される主題の真の精神および範囲内にあるとして包含するべきであることが明らかになるだろう。
【0070】
さらに、本発明が添付の特許請求の範囲よって定められることが理解されるべきである。
【0071】
本発明の特定の実施形態が説明されてきたが、上述の開示の範囲および精神から逸脱することなく、当業者によって本発明の多様な修正および実施形態がなされてよいことが明らかである。したがって、本発明の範囲は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ制限されるべきである。
【0072】
本開示およびその結果として伴う優位点の多くが上述の説明によって理解されると考えられ、開示される主題から逸脱することなく、またはその重要な優位点のすべてを犠牲にすることなく、構成要素の形態、構造、および配置において多様な変更を加え得ることが明らかになる。説明されている形態は例示的にすぎず、係る変更を包含し、含むことが、以下の特許請求の範囲の意図である。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図3D
図4
図5