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特開2024-153862制御サーバ、取引システム、消費制御装置、ノード及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153862
(43)【公開日】2024-10-29
(54)【発明の名称】制御サーバ、取引システム、消費制御装置、ノード及び方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20241022BHJP
   G06Q 50/06 20240101ALI20241022BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20241022BHJP
【FI】
H02J13/00 311T
G06Q50/06
H02J3/14 160
H02J3/14 130
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024125761
(22)【出願日】2024-08-01
(62)【分割の表示】P 2022072003の分割
【原出願日】2021-03-22
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】並木 均
(57)【要約】
【課題】電力取引においては、電力の安定した利用を実現するために、消費される電力と生産される電力をリアルタイムで同じに調整する必要がある(同時同量)。しかし、同時同量を確保させるべく、電力消費のピークに対応するために発電装置を増設すると、電力の供給コストが増大してしまう。
【解決手段】電力を使用する電気装置の電力の消費制御を行う各消費制御装置と通信ネットワークを介して通信する制御サーバ5は、各消費制御装置が送信した、当該各消費制御装置が電力の消費制御を行っている電気装置の電力使用に関連する各電力使用関連データを受信し(S65)、各消費制御装置のうちの特定の消費制御装置に対して当該特定の消費制御装置が消費制御を行っている特定の電気装置への電力の消費制御を行わせるための消費制御データを、前記特定の消費制御装置が受信すべく送信する(S67,S68;S105)。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を使用する電気装置の電力の消費制御を行う各消費制御装置と通信ネットワークを介して通信する制御サーバであって、
前記各消費制御装置が送信した、当該各消費制御装置が電力の消費制御を行っている電気装置の電力使用に関連する各電力使用関連データを受信する受信手段と、
受信され前記各電力使用関連データに基づき、前記各消費制御装置のうちの特定の消費制御装置に対して当該特定の消費制御装置が消費制御を行っている特定の電気装置への電力の消費制御を行わせるための消費制御データを生成する生成手段と、
生成された前記消費制御データを前記特定の消費制御装置が受信すべく送信する送信手段と、
を有することを特徴とする制御サーバ。
【請求項2】
前記電力使用関連データは、前記特定の電気装置による電力の消費量、当該特定の電気装置の動作に係る設定値、及び前記特定の電気装置の使用者における所定のセンサによるセンサ値のうち、少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の制御サーバ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の制御サーバであって、
前記各使用者のうち、電力の消費制御の要求を行う順位を決定する決定手段と、
仲介する電力の各提供者の全てによる電力の提供量の合成である総提供量が、仲介する前記各使用者の全てによる電力の消費量の合計である総消費量以上となる最初の使用者まで、前記順位に従って各使用者に要求すべき電力の消費削減量を算出する算出手段と、
を有し、
前記決定手段は、消費削減量が算出された各使用者における前記特定の電気装置及び当該電気装置に対する電力の消費削減量を決定し、
前記送信手段は、前記決定手段によって決定された前記特定の電気装置及び当該電気装置に対する電力の消費削減量を含む前記消費制御データを、前記特定の消費制御装置が受信すべく送信すること
を特徴とする制御サーバ。
【請求項4】
前記送信手段は、前記消費制御データをブロックチェーンネットワークに送信することで、前記ブロックチェーンネットワークで前記消費制御データに関するアセット情報が作成されると共に、前記特定の消費制御装置は前記ブロックチェーンネットワークを介して前記消費制御データを受信することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御サーバ。
【請求項5】
電力を使用する電気装置の電力の消費制御を行い、通信ネットワークを介して制御サーバと接続される消費制御装置であって、
前記電気装置の電力使用に関連する各電力使用関連データを、前記通信ネットワークを介して前記制御サーバに送信する送信手段と、
前記制御サーバが前記各電力使用関連データに基づき生成した、前記消費制御装置のうちの特定の消費制御装置に対して当該特定の消費制御装置が消費制御を行っている特定の電気装置への電力の消費制御を行わせるための消費制御データを、前記通信ネットワークを介して受信する受信手段と、
前記受信手段が受信した前記消費制御データに基づく、前記電気装置の消費制御に関する設定変更テータを前記電気装置に出力する出力部と、
を有することを特徴とする消費制御装置。
【請求項6】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の制御サーバと、
前記特定の消費制御装置と、
を有することを特徴とする取引信システム。
【請求項7】
電力を使用する電気装置の電力の消費制御を行う各消費制御装置と通信ネットワークを介して通信する制御サーバが実行する通信方法であって、
前記各消費制御装置が送信した、当該各消費制御装置が電力の消費制御を行っている電気装置の電力使用に関連する各電力使用関連データを受信する受信ステップと、
受信され前記各電力使用関連データに基づき、前記各消費制御装置のうちの特定の消費制御装置に対して当該特定の消費制御装置が消費制御を行っている特定の電気装置への電力の消費制御を行わせるための消費制御データを生成する生成ステップと、
生成された前記消費制御データを、前記特定の消費制御装置が受信すべく送信する送信ステップと、
を実行することを特徴とする通信方法。
【請求項8】
コンピュータに、請求項7に記載の方法を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御サーバ、消費制御装置、取引システム、通信方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生可能エネルギーによって生産された電力が注目されている。この電力は、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱等の再生可能エネルギーである資源を利用することで生産される。再生可能エネルギーによる発電は、石油、石炭、液化天然ガス等の化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCOをほとんど排出しないため、電力の生産に利用される資源の中でも、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー資源である。このような環境に優しい電力を利用して工場などを稼働させることで、企業価値を向上させることができる。
【0003】
また、再生可能エネルギー等によって生産された電力の取引にブロックチェーンを利用する方法がある(特許文献1参照)。ブロックチェーンは、分散型台帳と呼ばれ、複数のノード(コンピュータ)によって電力の取引履歴を示す複数の台帳を紐づけることにより、取引履歴のデータの改ざんを防ぐことができる。これを電力取引履歴の管理に用いることで、どこで作られた再生可能エネルギーが、どの企業においてどれだけ使われ、その企業がどれだけ環境に貢献しているかを示す証拠となることが期待されている。
【0004】
一方、電力取引においては、電力の安定した利用を実現するために、消費される電力と生産される電力をリアルタイムで同じに調整する必要がある(同時同量)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-144851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、同時同量を確保させるべく、電力消費のピークに対応するために発電装置を増設すると、電力の供給コストが増大してしまうという課題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に係る発明は、電力を使用する電気装置の電力の消費制御を行う複数の消費制御装置と通信ネットワークを介して通信する制御サーバであって、電力の総提供量と総使用量とに基づき、各使用者に要求すべき電力の消費削減量を算出する算出手段と、算出された前記各使用者に要求すべき電力の消費削減量に基づき、各使用者における特定の電気装置に対する電力の消費削減量を決定する決定手段と、前記決定手段で決定した前記消費削減量に基づき、前記消費制御装置が消費制御を行っている電気装置への電力の消費制御を行わせるための消費制御データを生成する生成手段と、前記生成手段で生成された前記消費制御データを、前記複数の消費制御装置のうちの特定の消費制御装置が受信すべく送信する送信手段と、を有することを特徴とする制御サーバである。
【発明の効果】
【0008】
以上説明したように本発明によれば、電力の消費制御を行うことで、同時同量を確保するために電力の供給コストが増大してしまうという課題を解消することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本実施形態に係る取引システムの概略図である。
図2図2は、スマートフォンのハードウェア構成図である。
図3図3は、スマートメータのハードウェア構成図である。
図4図4は、制御サーバ、消費制御装置、及びのハードウェア構成図である。
図5図5は、取引システムのうち、制御サーバ、消費制御装置、及びノードの機能ブロック図である。
図6図6は、電力の消費制御を行う処理を示すシーケンス図である。
図7図7は、電力使用関連データの概略図である。
図8図8は、消費制御データ生成処理を示すフローチャートである。
図9図9は、トランザクション情報及びアセット情報の概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に図面を用いて、本実施形態を詳細に説明する。
【0011】
〔システムの構成の概略〕
まず、取引システム1の構成の概略について説明する。図1は、本実施形態に係る取引システムの概略図である。ここでは、アセットの一例としての電力を取り扱う場合について説明する。なお、アセットの所有権及びアセットの生産方法の種類は、後述のアセット情報で管理される。
【0012】
<各業者の説明>
図1に示されているように、電力の生産者A、電力の消費者C、及び仲介者Dが存在する。
【0013】
生産者Aは、提供者の一例であり、再生可能エネルギーによって生産された電力(日本では「グリーン電力」と呼ばれている)の生産に利用される再生可能エネルギーの一例としての太陽光から電力を生産する業者である。なお、生産者Aは、化石燃料の一例としての石油から電力を生産する業者であってもよい。また、提供者には、各生産者からアセットを買い取って転売する組合等も含まれる。
【0014】
消費者Cは、使用者の一例であり、生産者Aから提供された電力を消費する業者である。なお、使用者には、アセットが電力のように消費されない不動産等の場合のアセットの所有権をすることになった者も含まれる。
【0015】
仲介者Dは、電力の所有権の取引の仲介を行う業者である。例えば、小売電気事業者等である。
【0016】
また、電力の生産方法の種類には、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、大気中の熱、又は原子力等を利用して生成する方法が挙げられる。これらのうち、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、及び大気中の熱は、再生可能エネルギーとしての大分類に属する。また、石油、石炭、及び液化天然ガスは、化石燃料としての大分類に属する。再生可能エネルギーによる発電は、化石燃料による発電に比べて、地球温暖化の原因となっているCOをほとんど排出しないため、再生可能エネルギーは環境に優しいエネルギー源である。本実施形態では、再生可能エネルギーとして、太陽光、太陽熱、風力、バイオマス、地熱、水力、又は大気中の熱が利用される。また、化石燃料として、石油、石炭、又は液化天然ガスが利用される。
【0017】
なお、生産者は1つでも3つ以上であってもよい。消費者及び仲介者は複数あってもよい。
【0018】
<電力の送配信のネットワーク>
変電所Bxは生産者Aの最寄りの変電所であり、変電所Byは消費者Cの最寄りの変電所である。変電所Bx、By、及び送配電線等によって、送配電ネットワーク10が構築されている。生産者Aから提供された電力は、送配電ネットワーク10を介して消費者Cに提供される。
【0019】
<データ通信のネットワーク>
生産者Aは、スマートフォン2、スマートメータ3a、発電装置4を有している。消費者Cは、スマートメータ3c、消費制御装置6、センサ7、電気装置8を有している。仲介者Dは、制御サーバ5を管理している。この仲介者Dは、法人、個人(例えば、社長、役員、IT管理者等の従業員)である。
【0020】
なお、スマートフォンは、生産者及び消費者の数に応じて、2つでもよいし、4つ以上でもよい。また、スマートメータ3a,3cは、生産者及び消費者の数に応じて、3つ以上でもよい。以降、各スマートメータ3a,3cの総称は、スマートメータ3と示される。発電装置4は、生産者の数に応じて、1つでもよいし、2つ以上でもよい。
【0021】
制御サーバ5は、仲介者の数に応じて、2つ以上でもよい。また、制御サーバ5は、単一のコンピュータによって構築されていてもよいし、複数のコンピュータによって構築されていてもよい。電気装置8は、2つ以上でもよい。
【0022】
図1に示されているように、データ通信用ネットワークとしての取引システム(Tracking System)1は、複数のスマートフォン2、スマートメータ3a,3c、発電装置4,制御サーバ5、消費制御装置6、及びコンピュータ等のノード9a,9b,9c,9dによって構築されている。また、ノード9a,9b,9c,9dによって、ブロックチェーンネットワーク90が構築されている。ブロックチェーンネットワーク90は、インターネット等の通信ネットワーク100内で構築されている。通信ネットワーク100は、インターネット、移動体通信網、LAN(Local Area Network)等によって構築されている。なお、通信ネットワーク100には、有線通信だけでなく、移動通信システム(4G、5G、6G等)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)等の無線通信によるネットワークが含まれてもよい。また、ノード9a,9b,9c,9dは、本来多数存在するが、ここでは紙面の都合上4つのみが示されている。ノード9a,9b,9c,9dは、それぞれ異なる企業等によって管理されている。異なる企業の中に、仲介者Dが含まれる場合もある。以降、ノード9a,9b,9c,9dの総称は、ノード9と示される。
【0023】
続いて、生産者A及び消費者Cの端末及び装置について説明する。
【0024】
(生産者Aの端末及び装置)
スマートフォン2は、スマートメータ3aと、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の近距離無線技術によりデータ通信を行うことができる。また、スマートフォン2は、通信ネットワーク100を介して制御サーバ5とデータ通信を行うことができる。
【0025】
スマートメータ3aは、通信ネットワーク100を介して制御サーバ5とデータ通信を行うことができる。また、スマートメータ3aは、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、発電装置4が生産した電力の提供量(発電量)を計測し、更に、この提供量データを制御サーバ5に送信する等の処理を行う。
【0026】
発電装置4は、太陽光等の再生可能エネルギーを利用して発電する装置である。発電装置4は、石油等の化石燃料を利用して発電する装置であってもよい。
【0027】
(消費者Cの端末及び装置)
スマートメータ3cは、通信ネットワーク100を介して制御サーバ5とデータ通信を行うことができる。また、スマートメータ3cは、一定時間毎に(例えば、30分毎に)、電気装置8が使用した電力の使用量を計測し、更に、電力の使用量及び使用時間等を示した使用情報を、通信ネットワーク100を介して制御サーバ5に送信する等の処理を行う。
【0028】
消費制御装置6は、通信ネットワーク100を介して制御サーバ5と通信を行う。また、消費制御装置6は、通信ネットワーク100内に構築されているブロックチェーンネットワーク90と通信を行う。更に、消費制御装置6は、センサ7からセンサ値を取得したり、電気装置8から電力の消費量及び設定値を取得したり、電気装置8に設定変更データを出力したりする。電気装置8が照明器具の場合には設定値は明るさ値等であり、電気装置8がエアコンの場合には設定値は設定温度等である。
【0029】
センサ7は、温度、湿度、明るさ等を検知するセンサである。
【0030】
電気装置8は、照明器具、エアコン、冷蔵庫、コピー機等である。電気装置8には、スマート家電が含まれる。電気装置8は、消費制御装置6から取得した設定変更データに基づいて、自装置の設定を変更する。電気装置8が照明器具の場合には、電気装置8は設定変更データによって明るさを変更する。電気装置8がエアコンの場合には、電気装置8は設定変更データによって設定温度を変更する。
【0031】
(仲介者Dの制御サーバ)
制御サーバ5は、生産者Aと消費者Cの間での電力の取引を仲介する処理を行う。また、制御サーバ5は、ブロックチェーンネットワーク90のノード9にアクセスして、ノード9とデータ通信することができる。
【0032】
(補足)
なお、スマートフォン2は、提供者の通信端末の一例である。通信端末には、スマートウオッチ、PC、スマートグラス等も含まれる。スマートメータ3は、計測端末の一例である。
【0033】
〔ハードウェア構成〕
続いて、図2乃至図4を用いて、スマートフォン2、スマートメータ3、制御サーバ5、消費制御装置6、及びノード9のハードウェア構成について説明する。
【0034】
<スマートフォンのハードウェア構成>
図2は、スマートフォンのハードウェア構成図である。図2に示されているように、スマートフォン2は、CPU201、ROM202、RAM203、EEPROM204、CMOSセンサ205、撮像素子I/F206、加速度・方位センサ207、メディアI/F209、GPS受信部211を備えている。
【0035】
これらのうち、CPU201は、スマートフォン2全体の動作を制御する。ROM202は、CPU201やIPL等のCPU201の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM203は、CPU201のワークエリアとして使用される。EEPROM204は、CPU201の制御にしたがって、スマートフォン用プログラム等の各種データの読み出し又は書き込みを行う。CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ205は、CPU201の制御に従って被写体(主に自画像)を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。なお、CMOSセンサではなく、CCD(Charge Coupled Device)センサ等の撮像手段であってもよい。撮像素子I/F206は、CMOSセンサ205の駆動を制御する回路である。加速度・方位センサ207は、地磁気を検知する電子磁気コンパスやジャイロコンパス、加速度センサ等の各種センサである。メディアI/F209は、フラッシュメモリ等の記録メディア208に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。GPS受信部211は、GPS衛星からGPS信号を受信する。
【0036】
また、スマートフォン2は、遠距離通信回路212、CMOSセンサ213、撮像素子I/F214、マイク215、スピーカ216、音入出力I/F217、ディスプレイ218、外部機器接続I/F(Interface)219、近距離通信回路220、近距離通信回路220のアンテナ220a、及びタッチパネル221を備えている。
【0037】
これらのうち、遠距離通信回路212は、通信ネットワーク100を介して、他の機器と通信する回路である。CMOSセンサ213は、CPU201の制御に従って被写体を撮像して画像データを得る内蔵型の撮像手段の一種である。撮像素子I/F214は、CMOSセンサ213の駆動を制御する回路である。マイク215は、音を電気信号に変える内蔵型の回路である。スピーカ216は、電気信号を物理振動に変えて音楽や音声などの音を生み出す内蔵型の回路である。音入出力I/F217は、CPU201の制御に従ってマイク215及びスピーカ216との間で音信号の入出力を処理する回路である。ディスプレイ218は、被写体の画像や各種アイコン等を表示する液晶や有機EL(Electro Luminescence)などの表示手段の一種である。外部機器接続I/F219は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。近距離通信回路220は、NFC(Near Field Communication)やBluetooth(登録商標)等の通信回路である。タッチパネル221は、利用者がディスプレイ218を押下することで、スマートフォン2を操作する入力手段の一種である。
【0038】
また、スマートフォン2は、バスライン210を備えている。バスライン210は、図2に示されているCPU201等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0039】
<スマートメータのハードウェア構成>
図3は、スマートメータのハードウェア構成図である。図3に示されているように、スマートメータ3は、コンピュータが搭載されており、図3に示されているように、CPU301、ROM302、RAM303、NVRAM304、ディスプレイ306、計測センサ307、開閉器308、ネットワークI/F309、キーパッド311、タッチパネル312、近距離通信回路220、及び近距離通信回路220のアンテナ220aを備えている。
【0040】
これらのうち、CPU301は、スマートメータ3全体の動作を制御する。ROM302は、IPL等のCPU301の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM303は、CPU301のワークエリアとして使用される。NVRAM(Non-Volatile RAM)304は、プログラム等の各種データを記憶及び読み出しを行う不揮発性メモリである。ディスプレイ306は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。
【0041】
計測センサ307は、提供又は使用する電力を計測する。開閉器308は、電路を入り(閉じる)又は切り(開く)して、電気を通したり止めたりする。
【0042】
ネットワークI/F309は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。キーパッド311は、文字、数値、各種指示などの入力又は選択を行うための複数のキーを備えた入力手段の一種である。近距離通信回路320は、NFCやBluetooth(登録商標)等の近距離無線技術を実現する通信回路である。バスライン310は、図3に示されているCPU301等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0043】
<制御サーバのハードウェア構成>
図4は、制御サーバのハードウェア構成図である。制御サーバ5の各ハードウェア構成は、500番台の符号で示されている。図4に示されているように、制御サーバ5は、コンピュータによって構築されており、図4に示されているように、CPU501、ROM502、RAM503、HD504、HDD(Hard Disk Drive)コントローラ505、ディスプレイ506、外部機器接続I/F(Interface)508、ネットワークI/F509、データバス510、キーボード511、ポインティングデバイス512、DVD-RW(Digital Versatile Disk Rewritable)ドライブ514、メディアI/F516を備えている。
【0044】
これらのうち、CPU501は、制御サーバ5全体の動作を制御する。ROM502は、IPL等のCPU501の駆動に用いられるプログラムを記憶する。RAM503は、CPU501のワークエリアとして使用される。HD504は、プログラム等の各種データを記憶する。HDDコントローラ505は、CPU501の制御にしたがってHD504に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。ディスプレイ506は、カーソル、メニュー、ウィンドウ、文字、又は画像などの各種情報を表示する。外部機器接続I/F508は、各種の外部機器を接続するためのインターフェースである。この場合の外部機器は、例えば、USB(Universal Serial Bus)メモリやプリンタ等である。ネットワークI/F509は、通信ネットワーク100を利用してデータ通信をするためのインターフェースである。バスライン510は、図4に示されているCPU501等の各構成要素を電気的に接続するためのアドレスバスやデータバス等である。
【0045】
また、キーボード511は、文字、数値、各種指示などの入力のための複数のキーを備えた入力手段の一種である。ポインティングデバイス512は、各種指示の選択や実行、処理対象の選択、カーソルの移動などを行う入力手段の一種である。DVD-RWドライブ514は、着脱可能な記録媒体の一例としてのDVD-RW513に対する各種データの読み出し又は書き込みを制御する。なお、DVD-RWに限らず、DVD-RやBlu-ray(登録商標)Disc(ブルーレイディスク)等であってもよい。メディアI/F516は、フラッシュメモリ等の記録メディア515に対するデータの読み出し又は書き込み(記憶)を制御する。
【0046】
<消費制御装置のハードウェア構成>
図4は、消費制御装置のハードウェア構成図である。消費制御装置6の各ハードウェア構成は、括弧内の600番台の符号で示されている。図4に示されているように、消費制御装置6は、コンピュータによって構築されており、図4に示されているように、制御サーバ5と同様の構成を備えているため、各ハードウェア構成の説明を省略する。
【0047】
<ノードのハードウェア構成>
図4は、ノードのハードウェア構成図である。ノード9の各ハードウェア構成は、括弧内の900番台の符号で示されている。図4に示されているように、ノード9は、コンピュータによって構築されており、図4に示されているように、制御サーバ5と同様の構成を備えているため、各ハードウェア構成の説明を省略する。
【0048】
〔機能構成〕
続いて、図5を用いて、取引システム1を構築する各端末及び装置の機能構成について説明する。図5は、取引システムのうち、制御サーバ5、消費制御装置6、及びノード9の機能ブロック図である。
【0049】
<制御サーバの機能構成>
図5に示されているように、制御サーバ5は、送受信部51、算出部52、決定部53、判断部55、生成部56、及び記憶・読出部59を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD504からRAM503上に展開され制御サーバ用のプログラムに従ったCPU501からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0050】
また、制御サーバ5は、図4に示されているROM502、及びHD504によって構築される記憶部5000を有している。
【0051】
(制御サーバの各機能構成)
制御サーバ5の送受信部51は、主に、ネットワークI/F509に対するCPU501の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、他の端末との間で各種データ(または情報)の送受信を行う。
【0052】
算出部52は、CPU501の処理によって実現され、各種算出を行う。算出内容に関しては後述する。
【0053】
決定部53は、CPU501の処理によって実現され、各種決定を行う。決定内容に関しては後述する。
【0054】
判断部55は、CPU501の処理によって実現され、各種判断を行う。判断内容に関しては後述する。
【0055】
生成部56は、CPU501の処理によって実現され、各種生成を行う。生成内容に関しては後述する。
【0056】
記憶・読出部59は、主に、CPU501の処理によって実現され、記憶部5000に、各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部5000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0057】
<消費制御装置の機能構成>
図5に示されているように、消費制御装置6は、送受信部61、入出力部62、判断部65、及び記憶・読出部69を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD604からRAM603上に展開され消費制御装置用のプログラムに従ったCPU601からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0058】
また、消費制御装置6は、図4に示されているROM602、及びHD604によって構築される記憶部5000を有している。
【0059】
(消費制御装置の各機能構成)
消費制御装置6の送受信部61は、主に、ネットワークI/F609に対するCPU601の処理によって実現され、通信ネットワーク100を介して、サーバやノードとの間で各種データ(または情報)の送受信を行う。
【0060】
入出力部62は、外部機器接続I/F608に対するCPU501の処理によって実現され、外部装置(例えば、センサ7、電気装置8)からデータを入力したり、外部装置に対してデータを出力したりする。なお、入出力部62は、外部装置からデータを取得する取得部ということもできる。また、入出力部62は、Wi-Fi、NFC、Bluetooth(登録商標)等の近距離無線技術によりデータ通信を行ってもよい。
【0061】
判断部65は、CPU601の処理によって実現され、各種判断を行う。
【0062】
記憶・読出部69は、主に、CPU601の処理によって実現され、記憶部6000に、各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部6000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0063】
<ノード9の機能構成>
図5に示されているように、ノード9は、送受信部91、検証部93、判断部95、トランザクション処理部96、アセット処理部97、及び記憶・読出部99を有している。これら各部は、図4に示されている各構成要素のいずれかが、HD904からRAM903上に展開されノード用のプログラムに従ったCPU901からの命令によって動作することで実現される機能又は手段である。
【0064】
また、ノード9は、図4に示されているROM902、及びHD904によって構築される記憶部9000を有している。図5では、イメージとして、トランザクション情報がチェーンのようにつながっている状態を示している。また、トランザクション情報に基づいて生成されたアセット情報も記憶されている。各トランザクション情報及び各アセット情報は、各ノードで保持している。
【0065】
(ノードの各機能構成)
次に、図5を用いて、ノード9の各機能構成を詳細に説明する。ノード9の送受信部91は、主に、ネットワークI/F909に対するCPU901の処理によって実現され、通信ネットワーク100内のブロックチェーンネットワーク90の他のノードとの間で各種データ(または情報)の送受信を行う。また、送受信部91は、消費制御装置6の送受信部61、及び制御サーバ5の送受信部51との間でも各種データ(または情報)の送受信を行う。
【0066】
検証部93は、CPU901の処理によって実現され、証明書及び提供情報を検証する)。証明書の検証は、証明書がノード9に予め登録されている者本人の証明書であるか否かを判断する処理である。提供情報の検証は、予め定められた形式及び内容(例えば、提供者が入力されているか、提供時間が入力されているか等)が全て入力されているか否かを判断する処理である。
【0067】
判断部95は、CPU901の処理によって実現され、各種判断を行う。
【0068】
トランザクション処理部96は、CPU901の処理によって実現され、アセット情報の生成に用いられるトランザクションを示すトランザクション情報を生成して記憶部9000に記憶する等の処理を行う。
【0069】
アセット処理部97は、CPU901の処理によって実現され、トランザクション情報に従って、アセット情報を生成して記憶部9000に記憶する等の処理を行う。
【0070】
記憶・読出部99は、主に、CPU901の処理によって実現され、記憶部9000に、各種データ(または情報)を記憶したり、記憶部9000から各種データ(または情報)を読み出したりする。
【0071】
〔処理又は動作〕
続いて、図6乃至図9を用いて、本実施形態の処理又は動作について説明する。
【0072】
まず、生産者Aのスマートメータ3aは、制御サーバ5に対して、発電装置4によって発電された電力の発電量としての提供量データを送信する(S61)。
【0073】
一方、消費者C側では、電気装置8が、消費制御装置6に対して、電力の消費量及び設定値の各データを送信する(S62)。また、センサ7が、消費制御装置6に対して、センサ値のデータを送信する(S63)。
【0074】
次に、消費制御装置6では、送受信部61が、制御サーバ5に対して、電力使用関連データを送信する。この電力使用関連データは、ステップS62,63によって取得した各データ(消費量、設定値、センサ値)が含まれている。
【0075】
電力使用関連データの概略図は、図7に示されている。図7には、消費者Cにおいて、フロアA1に、家電8a、センサ7a、家電8b、及びセンサ7bが設置されており、フロアA2に、家電8c及びセンサ7cが設置されている場合における電力使用関連データの内容が示されている。
【0076】
消費者Cの消費制御装置6が送信する電力使用関連データは基本的にデータが送信出来れば形式は問わないが、例えばフロアごとに区切ってJSON形式で送る場合などを記載すると、図7のようになる。JSONにはここに含まれるような情報を記載できるし、これ以外の情報を記載しても構わない。家電の情報に関して言えば、メーカーや機器名などを情報として持っていても良いし、個々に消費電力の情報を持っていても良い。フロアに関してはフロア区分として一般居室とあるが、フロア区分には、例えばサーバールームなどを指定することも想定している。サーバールーム一般的に人が立ち入らずマシンを冷却するために居室を通常より低温に設定するのが常である。むしろ温度上昇を避ける必要性から節電対象として勝手に温度を上昇させられては困るといった都合もあるため、こういった情報を持たせても良い。他にも強い冷房を好まない人が集まる弱冷房の居室などを指定しても良い。他には、フロアごとの区分の他に、家電種別(エアコン、証明など)で分類するパターンがあっても構わない。
【0077】
なお、電力使用関連データには、消費量、設定値、センサ値のうちの少なくとも1つが含まれていても良いし、他の値のデータが含まれていてもよい。
【0078】
次に、制御サーバ5は、消費制御データの生成処理を実行する(S65)。ここで、図8を用いて、消費制御データの生成処理を説明する。図8は、消費制御データの生成処理を示すフローチャートである。
【0079】
まず、制御サーバ5では、図8に示されているように、算出部52が、仲介する全提供者による提供量の合計(総提供量)と、仲介する全使用者による使用量の合計(総消費量)との差分の算出する(S101)。
【0080】
次に、判断部55が、「総消費量>総提供量」であるか、つまり、総消費量が総提供量を超えているか否かを判断する(S102)。そして、超えている場合(S102;YES)、決定部53は、各使用者のうち、電力の消費制御の要求を行う順位を決定する(S103)。この場合、予め各消費者との間で取り決めた順位をテーブル化したり、消費抑制の要求先の優先度を数値化しておき、数値が高い消費者の順位を高くしたりする等の処理がある。例えば、病院やPCが大量に設置されているサーバールームで使用される電力を削減することは困難であるが、工場のラインを一時的に停止することは比較的容易であるため、このような事情を考慮して順位が定められている。
【0081】
更に、算出部52は、「総消費量≦総提供量」になる最初の使用者まで、上記順位に従って各使用者に要求すべき電力の消費削減量を算出する(S104)。
【0082】
次に、決定部53は、消費削減量が算出された各使用者における特定の電気装置及び当該電気装置に対する電力の消費削減量を決定する(S105)。この場合、制御サーバ5は、ステップS64で受信された最新の電力使用関連データと、取引契約をしている各消費者の消費制御装置から取得している各電気装置の消費量や設定値等の過去の電力使用関連データを対比することで、どの電気装置の電力をどれだけ削減をすれば良いかを決定する。このように、取引契約している他の消費者から取得した過去の電力使用関連データを用いることで、このような過去の電力使用関連データが増えれば、決定の精度が良くなることが期待できる。
【0083】
例えば、最新の電力使用関連データにより、夏場の電気装置8(エアコン)の設定温度が十分に低く、かつセンサ7(温度センサ)により検知した温度が設定温度に近い場合には、決定部53は他の消費者の平均温度となるようにエアコンの設定温度を上げるように決定する。窓際のセンサ7(照度センサ)の値によって明るさが十分確保されている場合には、決定部53は、同じ消費者の他の場所と同じ明るさとなるように電気装置8(照明器具)の照度を落とすように決定する。センサ7(人感センサ)で人がいないと確認できるフロアがある場合には、決定部53は、電気装置8(照明器具)の照度を落とすように決定する。
【0084】
また、決定部53は、取引契約がある消費者からの過去の電力使用関連データを用いずに、一般的な統計データとステップS64で受信された最新の電力使用関連データとを比較することで、電力の削減値を決定してもよい。
【0085】
例えば、制御サーバ5は、一般的にエアコンであれば冷房の場合は設定温度を1℃変更すれば消費電力は13%程変わり、暖房であれば10%程変わると言われているため、このような一般的な抑制情報を使用して、どの電気装置の電力をどれだけ削減をすれば良いかを決定してもよい。また、制御サーバ5は、過去の電力使用関連データ及び一般的な抑制情報を組み合わせてどの電気装置の電力をどれだけ削減をすれば良いかを決定してもよい。このように、過去の電力使用関連データや一般的な抑制情報を用いて決定することで、消費者自身が不快に思わない程度に電力の消費制御を行うことができる。更に、例えば、商店やオフィスで冷房の温度設定を変えた場合の削減効果は異なり、統計的には2℃の設定温度上昇にて、商店の場合は5%程度、オフィスの場合は10%程度の削減が可能という統計データもあるため、このような統計データを用いて、決定部53は、電力の削減量を決定してもよい。
【0086】
最後に、生成部56が、ステップS105の決定に基づいて、消費制御データを生成する(S106)。
【0087】
これにより、図6のステップS65の処理が終了する。
【0088】
続いて、制御サーバ5の送受信部51は、ノード9の送受信部91に対して、ステップS106で生成された消費制御データを送信する(S66)。
【0089】
続いて、ノード9では、検証部93による制御サーバ5の正当性の検証を行った後、トランザクション処理部96が、ステップS66で受信された消費制御データに基づいて、図9に示されている第1のトランザクション情報を生成する(S67)。そして、アセット処理部97が、第1のトランザクション情報に基づいて、図9に示されているアセット情報を生成する(S68)。
【0090】
図9に示されているように、ブロックチェーンの台帳にはトランザクション情報としてチェーン上にデータの履歴が管理されている。それとは別に最新のデータを引き出すためにアセットという形でも管理することが多く、トランザクション情報は全てのデータの履歴、アセット情報は各データの最新値を管理している場合が多い。それに従うと、トランザクション情報(第1のトランザクション情報)として最初に書き込まれるのは、仲介者Dの「電力消費抑制(制御)要求」で、どの消費者に対して消費削減を依頼するか、どれだけ削減を依頼するかなどが書かれる。また消費者がその消費削減に従う場合は「電力消費抑制(制御)承諾」のトランザクション情報(ここでは、第2のトランザクション情報)も書き込まれる。それぞれのデータの最新状態はアセットの形で管理される。なお、消費者の状況によっては消費抑制を受託出来ない場合もあるし、削減をしようと設定を変更しても期待よりも消費量を削減できない場合もある。そのため電力消費抑制承諾は依頼された全量を必ずしも完全に達成できるとは限らず部分的に達成する場合があっても構わない。
【0091】
また、図9のアセット情報やトランザクション情報は一例である。これらの情報以外の情報(データ)が格納されるようにしても構わないし、異なるデータフォーマットで格納されるようにしても構わない。例えば、アセット情報やトランザクション情報は、JSON形式のデータフォーマットで書いたりしても良いし、消費依頼先として電気装置を特定しないで、消費削減量だけを記載するような書き方でも良い。
【0092】
次に、ノード9の送受信部91は、消費制御装置6の送受信部61に対して、ステップS66で受信した消費制御データを送信する(S69)。
【0093】
次に、消費制御装置6の入出力部62は、電気装置8に対して、消費制御データに基づいた設定変更データを出力する(S70)。これにより、電気装置8は、設定変更データに基づいて、設定を変更する(S71)。例えば、消費抑制データに、電気装置8aの消費電力を2.0kWh削減する旨が示されている場合、設定変更データは、2.0kWh削減に相当する2℃の温度を下げるような設定変更の内容が示されている。
【0094】
なお、消費制御データは、各電気装置8に対する電力の消費削減を通知せずに、消費制御装置6に対して消費者Cに削減して欲しい消費削減量を通知し、消費制御装置6側で、どの電気装置の電力を削減するかを決めてもよい。
【0095】
以上のようにして電気装置8が設定変更後、環境の変化が起きることで、再び、ステップS62~S66の処理が実行される。そして、ステップS67で、トランザクション処理部96が、図9に示されている第2のトランザクション情報を生成する。更に、ステップS68で、アセット処理部97が、図9の右下に示されているように、アセット情報を変更する。
【0096】
〔実施形態の主な効果〕
以上説明したように本実施形態によれば、生産者A側の電力生産量を増やすのではなく、消費者C側で電力の消費制御を行うことで、同時同量を確保するために電力の供給コストが増大してしまうという課題を解消することができるという効果を奏する。
【0097】
更に、制御サーバ5は、消費者Cに対して電力の消費抑制を指示するだけでなく、消費者Cの特定の電気装置に対して電力の消費抑制を指示するため(S69参照)、消費者C側で、どの電気装置の消費抑制を行わなければならないかを検討する必要がないという効果も奏する。
【0098】
特に、太陽光や風力などの再生可能エネルギーを利用した電力生産は、原子力や火力などを利用した場合に比べて、電力供給が不安定になるため、多くの発電装置(発電施設)を設置しなければならないため、電力の供給コストの増大の問題は顕著になってしまう。これに対して、本実施形態によれば、消費者C側で電力の消費制御を行うことで、再生可能エネルギーを利用した電力生産の割合が増えた場合でも、同時同量を確保することが容易になる。
【0099】
また、本実施形態のように、ブロックチェーンネットワーク90によって、消費抑制の履歴を証拠として残すことで、消費抑制による国からの助成金や補助金等の特典を受ける場合の証明が比較的楽に行えるという効果も奏する。また、仲介者Dとしては、消費者に対する電力調整への協力を含める特殊な電力プランを用意することが可能となり他社サービスとの差別化も可能となる。
【0100】
〔その他〕
また、上記実施形態では、アセットの一例として電力が示されたが、これに限るものではない。 各CPU201,301,501,901等の各構成要素は、単一であってもよく複数であってもよい。
【0101】
また、上述の実施形態における各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本実施形態における「処理回路」は、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウェアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上述した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(Digital Signal Processor)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、SoC(System on a Chip)、GPU、及び従来の回路モジュール等のデバイスを含む。
【0102】
更に、発電装置4にスマートメータ3aである装置又は機能が設けられていてもよい。また、電気装置8にスマートメータ3cである装置又は機能が設けられていてもよい。
【0103】
また、上記各プログラムは、DVD等の記録媒体に記録されることで、流通されるようにしてもよい。
【0104】
更に、スマートフォン2(又はスマートメータ3)、制御サーバ5、消費制御装置6及び各ノード9の間の通信において、他のサーバ等がデータを中継してもよい。
【符号の説明】
【0105】
1 取引システム
2 スマートフォン(通信端末の一例)
3 スマートメータ(計測端末の一例)
4 発電装置
5 制御サーバ
8 電気装置
9 ノード
10 送配電ネットワーク
51 送受信部(受付部)
52 算出部(算出手段の一例)
53 決定部(決定手段の一例)
55 判断部(判断手段の一例)
56 生成部(生成手段の一例)
90 ブロックチェーンネットワーク
91 送受信部
95 判断部
96 トランザクション処理部
97 アセット処理部
100 通信ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9