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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024153968
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】保持具及びケース
(51)【国際特許分類】
   B24B 45/00 20060101AFI20241023BHJP
   B24B 27/06 20060101ALI20241023BHJP
   B25H 3/02 20060101ALI20241023BHJP
   B23Q 13/00 20060101ALI20241023BHJP
   B65D 85/00 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B24B45/00 A
B24B27/06 J
B24B45/00 Z
B25H3/02
B23Q13/00
B65D85/00 321
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067513
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110004185
【氏名又は名称】インフォート弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121083
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 宏義
(74)【代理人】
【識別番号】100138391
【弁理士】
【氏名又は名称】天田 昌行
(72)【発明者】
【氏名】平原 直人
(72)【発明者】
【氏名】國本 公一
【テーマコード(参考)】
3C012
3C034
3C158
3E068
【Fターム(参考)】
3C012BH01
3C034AA19
3C034BB65
3C034DD20
3C158AA03
3C158CB04
3E068AA28
3E068AB04
3E068AC01
3E068BB01
3E068CC01
3E068CD02
3E068DD06
3E068DD07
3E068DD25
3E068EE01
(57)【要約】
【課題】切削ブレードの交換作業の際に、切削ブレードの破損を防止する。
【解決手段】スピンドル先端のマウント(15)に装着される切削ブレード(10)を保持する保持具(30)であって、ベース皿(31)と、切削ブレードの内周を支持する保持具内周支持部(34)と、切削ブレードを載置する載置面(41)を有する載置部(32)と、載置面に直交する方向に載置部を移動させる移動機構と、を備え、移動機構は、ベース皿の外周部分に対向配置し互いに接近させることにより載置部を移動させる押込み爪(36)と、押込み爪を載置面方向に移動可能に支持する押込み爪支持部(37)と、を備える。ベース皿の挿通孔(33)をマウントのボス部(20)に進入させてマウント内周支持部(19)と保持具内周支持部とを連結させ、次に押込み爪を互いに接近させて載置部をマウントに近づけ、切削ブレードを保持具内周支持部からマウント内周支持部に受け渡す。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スピンドルの先端のマウントに装着し被加工物を切削するワッシャタイプの切削ブレードを作業者が該マウントに取り付ける際に該切削ブレードを保持する保持具であって、
該マウントは、該スピンドルの軸心を軸心とした円柱のボス部と、該ボス部を中央に備え該ボス部に挿通した該切削ブレードの一方の面を支持する支持面を有するフランジ部と、該支持面に支持された該切削ブレードの内周を支持するマウント内周支持部と、を備え、
該マウントの該ボス部に挿通する挿通孔を中央に備えるベース皿と、
該ベース皿に形成され該マウント内周支持部とほぼ同一径に形成され該切削ブレードの内周を支持する保持具内周支持部と、
該切削ブレードの他方の面を載置する載置面を有する載置部と、
該載置面に直交する方向に該載置部を移動させる移動機構と、を備え、
該移動機構は、該ベース皿の外周部分に対向配置し互いに接近させることにより該載置部を該載置面に直交する方向に移動させる押込み爪と、該押込み爪を該載置面方向に移動可能に支持する押込み爪支持部と、を備え、
作業者が、該切削ブレードを該載置部に載置させた該ベース皿の該挿通孔を該ボス部に進入させて該マウント内周支持部と該保持具内周支持部とを連結させ、次に該押込み爪を互いに接近させることにより該載置部を該マウントに近づけ、該切削ブレードを該保持具内周支持部から該マウント内周支持部に受け渡すことを特徴とする、保持具。
【請求項2】
該押込み爪支持部は、該押込み爪を互いに遠ざかる方向に付勢する付勢部である請求項1記載の保持具。
【請求項3】
スピンドルの先端のマウントに装着し被加工物を切削するワッシャタイプの切削ブレードを作業者が該マウントに取り付ける際に該切削ブレードを保持する保持具であって、
該マウントは、該スピンドルの軸心を軸心とした円柱のボス部と、該ボス部を中央に備え該ボス部に挿通した該切削ブレードの一方の面を支持する支持面を有するフランジ部と、該支持面に支持された該切削ブレードの内周を支持するマウント内周支持部と、を備え、
該マウントの該ボス部に挿通する挿通孔を中央に備えるベース皿と、
該ベース皿に形成され該マウント内周支持部とほぼ同一径に形成され該切削ブレードの内周を支持する保持具内周支持部と、
該切削ブレードの他方の面を載置する載置面を有する載置部と、
該載置面に直交する方向に該載置部を移動させる移動機構と、を備え、
該移動機構は、該ベース皿に設けられた押込み爪と、該載置部を該載置面方向及び該載置面に直交する方向に移動可能に支持する載置部支持部と、を備え、該載置面方向で該載置部が該押込み爪に接近することによって該押込み爪が該載置部を該載置面に直交する方向に移動させ、
作業者が、該切削ブレードを該載置部に載置させた該ベース皿の該挿通孔を該ボス部に進入させて該マウント内周支持部と該保持具内周支持部とを連結させ、次に該載置部を該載置面方向で該押込み爪に向けて移動させることにより該載置部を該マウントに近づけ、該切削ブレードを該保持具内周支持部から該マウント内周支持部に受け渡すことを特徴とする、保持具。
【請求項4】
該載置部支持部は、該載置面方向で該載置部を該押込み爪から遠ざかる方向に付勢する付勢部である請求項3記載の保持具。
【請求項5】
請求項1または請求項3記載の該保持具と該切削ブレードとを収容する、ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持具及びケースに関する。
【背景技術】
【0002】
切削装置は、回転駆動されるスピンドルの先端部分に切削ブレードを取り付け、切削ブレードを回転させながら被加工物に切り込むことによって被加工物を切削する。特許文献1や特許文献2に開示のように、切削装置に装着されて被加工物を切削する切削ブレードは、被加工物の切削加工によって消耗するため、消耗の程度などに応じて適宜交換される。
【0003】
切削ブレードの種類として、リング状の基台の外周に刃先を形成した構造のハブブレードと、基台を備えないリング状の砥石で構成されたワッシャタイプの切削ブレード(ハブレスブレード)とがある。
【0004】
ハブブレードは、基台を把持して、スピンドルの先端のマウントに対する装着及び取り外しを行うことができ、ハブブレードを対象とした交換装置が特許文献3に開示されている。
【0005】
基台を備えないワッシャタイプの切削ブレードについて、特許文献4に交換装置が開示されている。しかし、ワッシャタイプの切削ブレードは、基台を備えないため、厚みが小さい(薄い)場合には取り扱いが難しい。また、ワッシャタイプの切削ブレードは、高価であり、切削加工時に低速で動作する構成になっている。このような理由から、ワッシャタイプの切削ブレードの交換は、作業者が手作業で行う場合が多い。
【0006】
作業者がワッシャタイプの切削ブレードの取り付けを行う際は、指の保護と、切削ブレードの汚染防止とを図るために、手袋を使用する。手袋を着用した作業時に、薄い切削ブレードに手袋が引っ掛かって破損させるおそれがある。
【0007】
また、特許文献5に開示のように、切削ブレードをケースに収容し、ケースから切削ブレードを取り出してスピンドルに取り付けている。切削ブレードを取り出す際に、作業者が切削ブレードを直接に把持するようなケースは、切削ブレードを破損させることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-098536号公報
【特許文献2】特開2022-174549号公報
【特許文献3】特開平06-326186号公報
【特許文献4】特開2022-101893号公報
【特許文献5】特開2016-097473号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、ワッシャタイプの切削ブレードの取り扱いを容易にする保持具や、保持具に配置した切削ブレードを保護するケースが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、スピンドルの先端のマウントに装着し被加工物を切削するワッシャタイプの切削ブレードを作業者が該マウントに取り付ける際に該切削ブレードを保持する保持具であって、該マウントは、該スピンドルの軸心を軸心とした円柱のボス部と、該ボス部を中央に備え該ボス部に挿通した該切削ブレードの一方の面を支持する支持面を有するフランジ部と、該支持面に支持された該切削ブレードの内周を支持するマウント内周支持部と、を備え、該マウントの該ボス部に挿通する挿通孔を中央に備えるベース皿と、該ベース皿に形成され該マウント内周支持部とほぼ同一径に形成され該切削ブレードの内周を支持する保持具内周支持部と、該切削ブレードの他方の面を載置する載置面を有する載置部と、該載置面に直交する方向に該載置部を移動させる移動機構と、を備え、該移動機構は、該ベース皿の外周部分に対向配置し互いに接近させることにより該載置部を該載置面に直交する方向に移動させる押込み爪と、該押込み爪を該載置面方向に移動可能に支持する押込み爪支持部と、を備え、作業者が、該切削ブレードを該載置部に載置させた該ベース皿の該挿通孔を該ボス部に進入させて該マウント内周支持部と該保持具内周支持部とを連結させ、次に該押込み爪を互いに接近させることにより該載置部を該マウントに近づけ、該切削ブレードを該保持具内周支持部から該マウント内周支持部に受け渡すことを特徴とする。
【0011】
該押込み爪支持部は、該押込み爪を互いに遠ざかる方向に付勢する付勢部であってもよい。
【0012】
本発明の一態様は、スピンドルの先端のマウントに装着し被加工物を切削するワッシャタイプの切削ブレードを作業者が該マウントに取り付ける際に該切削ブレードを保持する保持具であって、該マウントは、該スピンドルの軸心を軸心とした円柱のボス部と、該ボス部を中央に備え該ボス部に挿通した該切削ブレードの一方の面を支持する支持面を有するフランジ部と、該支持面に支持された該切削ブレードの内周を支持するマウント内周支持部と、を備え、該マウントの該ボス部に挿通する挿通孔を中央に備えるベース皿と、該ベース皿に形成され該マウント内周支持部とほぼ同一径に形成され該切削ブレードの内周を支持する保持具内周支持部と、該切削ブレードの他方の面を載置する載置面を有する載置部と、該載置面に直交する方向に該載置部を移動させる移動機構と、を備え、該移動機構は、該ベース皿に設けられた押込み爪と、該載置部を該載置面方向及び該載置面に直交する方向に移動可能に支持する載置部支持部と、を備え、該載置面方向で該載置部が該押込み爪に接近することによって該押込み爪が該載置部を該載置面に直交する方向に移動させ、作業者が、該切削ブレードを該載置部に載置させた該ベース皿の該挿通孔を該ボス部に進入させて該マウント内周支持部と該保持具内周支持部とを連結させ、次に該載置部を該押込み爪に向けて移動させることにより該載置部を該マウントに近づけ、該切削ブレードを該保持具内周支持部から該マウント内周支持部に受け渡すことを特徴とする。
【0013】
該載置部支持部は、該載置面方向で該載置部を該押込み爪から遠ざかる方向に付勢する付勢部であってもよい。
【0014】
本発明の一態様のケースは、上記の保持具と切削ブレードとを収容することを特徴とするケースである。
【発明の効果】
【0015】
本発明の保持具によれば、切削ブレードの交換作業の際に、切削ブレードを破損させることを防止できる。また、保持具に切削ブレードを載置した状態で収容するケースを構成したことで、ケースから切削ブレードを取り出す際には、切削ブレードは保持具に載置した状態なので、切削ブレードを破損させることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】切削ブレードをスピンドルに装着した状態の断面図である。
図2】切削ブレードをスピンドルから取り外した状態の断面図である。
図3】第1の実施形態の保持具によって保持した切削ブレードをスピンドルに取り付ける工程を説明する図である。
図4】第1の実施形態の保持具によって保持した切削ブレードをスピンドルに取り付ける工程を説明する図である。
図5】第1の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図6】第1の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図7】第1の実施形態の保持具を示す背面図である。
図8】第1の実施形態の保持具の動作を示す断面図である。
図9】第2の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図10】第2の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図11】第2の実施形態の保持具の動作を示す断面図である。
図12】第3の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図13】第3の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図14】第3の実施形態の保持具を示す斜視図である。
図15】第3の実施形態の保持具の動作を示す断面図である。
図16】ケースの構成を示す斜視図である。
図17】ケースに保持具を収容した状態の斜視図である。
図18】ケースに保持具を収容した状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本実施形態における保持具及びケースを説明する前に、図1及び図2を参照して、ワッシャタイプの切削ブレード10をスピンドル11に装着する構造について説明する。図1は、切削ブレード10をスピンドル11に装着した状態を示し、図2は、スピンドル11から切削ブレード10を取り外した状態を示している。
【0018】
切削ブレード10及びスピンドル11は切削装置の切削部を構成するものである。切削装置全体については図示を省略しているが、切削の対象となる被加工物を保持する保持テーブルを備えており、切削部と保持テーブルとが、切削送り方向、割り出し送り方向、昇降方向に相対的に移動する。スピンドル11は割り出し送り方向に延在する軸部材であり、以下の説明では、スピンドル11が延在する方向をX軸方向とする。X軸方向は切削部の軸方向と呼ぶこともできる。また、X軸方向において、スピンドル11の先端側の方向を先端方向Xaとし、その反対側の方向を基端方向Xbとする。
【0019】
切削ブレード10は円環状の切れ刃のみで構成されたワッシャタイプのブレード(基台を備えないハブレスブレード)であり、砥粒をボンド剤で固めて形成されている。切削ブレード10の内側に円形の中心孔12が形成されている。切削ブレード10は、X軸方向の両側に、X軸方向に対して直交する側面を有している。基端方向Xbを向く切削ブレード10の側面を第1面101(一方の面)とし、先端方向Xaを向く切削ブレード10の側面を第2面102(他方の面)とする。
【0020】
スピンドル11は、図示を省略するスピンドルハウジングに対して、軸心Pを中心とする回転が可能に支持される。図示を省略するモータによって、スピンドル11が回転駆動される。スピンドル11の先端部分の外面には、先端方向Xaに進むにつれて外径が徐々に小さくなるテーパ部13が形成されている。スピンドル11の内部には、X軸方向に延びるネジ孔14が形成されており、ネジ孔14はスピンドル11の先端面に開口している。
【0021】
スピンドル11にマウント15が取り付けられる。マウント15の内部には、基端方向Xbに向けて開口するスピンドル挿入孔16が形成されている。スピンドル挿入孔16は、先端方向Xaに進むにつれて内径が徐々に小さくなるテーパ面を有しており、スピンドル挿入孔16の内部にスピンドル11の先端部を挿入可能である。スピンドル11のテーパ部13はスピンドル挿入孔16のテーパ面に対応する形状であり、所定以上の力でスピンドル挿入孔16にスピンドル11を挿入すると、テーパ部13とスピンドル挿入孔16のテーパ面が密着する圧入状態でスピンドル11とマウント15が結合される。
【0022】
マウント15は、外径方向に突出するフランジ部17を有する。フランジ部17には、先端方向Xaに向くブレード支持面18と、ブレード支持面18の内径側に位置するマウント内周支持部19と、が設けられている。ブレード支持面18は、X軸方向に対して垂直な円環状の面である。マウント内周支持部19は、ブレード支持面18に対して先端方向Xaに突出する円形状の突出部であり、軸心Pを中心とする円筒面を有している。マウント内周支持部19の外径は、切削ブレード10の中心孔12の内径とほぼ同一径に設定されている。
【0023】
また、フランジ部17の中央には、先端方向Xaへ突出する円柱状のボス部20が設けられている。ボス部20の内部には、ボス部20の先端面に開口し、且つスピンドル挿入孔16に連通する締結孔21が形成されている。スピンドル挿入孔16にスピンドル11の先端部を挿入した状態で、締結孔21とネジ孔14がX軸方向に連通する。ボス部20の先端付近の外周面には雄ネジ22が形成されている。
【0024】
マウント15の締結孔21にマウント固定ボルト23を挿入し、締結孔21が連通するネジ孔14にマウント固定ボルト23を螺合させて締め付けることで、スピンドル11にマウント15が固定される。マウント15をスピンドル11に固定した状態で、ブレード支持面18、マウント内周支持部19、ボス部20のそれぞれの軸心が、スピンドル11の軸心Pと一致する。
【0025】
マウント15に第2マウント25が取り付けられる。第2マウント25は、マウント15のボス部20の外径に対応する内径の挿通孔26を備えており、ボス部20を挿通孔26に挿通させることによって第2マウント25がマウント15に支持される。第2マウント25は、基端方向Xbに向くブレード支持面27を備えている。ブレード支持面27は、X軸方向に対して垂直な円環状の面であり、ボス部20を挿通孔26に挿通させた状態で、マウント15のブレード支持面18に対向する位置に形成されている。
【0026】
切削ブレード10は、マウント内周支持部19を中心孔12に挿入させ、ブレード支持面18に対して第1面101を当接させた位置で、マウント15に装着される。マウント15のマウント内周支持部19が切削ブレード10の中心孔12の内側に位置することによって、軸心Pに対して垂直な方向における切削ブレード10の位置が定まる。
【0027】
この状態で、挿通孔26にボス部20を挿通させ、第2マウント25を基端方向Xbに移動させてマウント15のフランジ部17に接近させる。第2マウント25は、ブレード支持面27が切削ブレード10の第2面102に当接する位置まで移動させる。ボス部20の先端の雄ネジ22が第2マウント25から先端方向Xaに突出し、雄ネジ22に対して環状のナット28を螺合させて締め付けることにより、マウント15に対して第2マウント25が固定される。
【0028】
以上のようにして、図1に示すように、マウント15におけるブレード支持面18と第2マウント25におけるブレード支持面27との間に切削ブレード10が挟まれて保持され、マウント15及び第2マウント25を介して切削ブレード10がスピンドル11に固定される。切削ブレード10の外径は、マウント15のフランジ部17及び第2マウント25のそれぞれの外径よりも大きく、切削ブレード10の外周部がマウント15と第2マウント25の外径側に突出する。
【0029】
本発明は、マウント15に対して切削ブレード10を取り付ける際に、切削ブレード10を破損させずに容易な取り付けを実現する保持具とケースを提供するものであり、その詳細を以下に説明する。以下の説明において、取り付け作業に関する動作の主体が特に明記されていない場合は、切削ブレード10の取り付け作業を行う作業者による動作や操作であるものとする。
【0030】
図5から図8は、第1の実施形態の保持具30の構成を示している。図3及び図4は、この保持具30を用いて、切削ブレード10をマウント15に取り付ける工程を示している。保持具30は、ベース皿31と移動皿32とによって構成されている。
【0031】
ベース皿31は、マウント15のボス部20に挿通する円形孔である挿通孔33を中央に有しており、挿通孔33の外径側に、基端方向Xbに突出する円筒状の保持具内周支持部34を有している。保持具内周支持部34は、マウント15のマウント内周支持部19とほぼ同一径に形成されており、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)を支持することができる。挿通孔33と保持具内周支持部34は、ベース皿31の中央部分を構成するコア部35(図6)に形成されている。コア部35は、挿通孔33を囲む環状の部位であり、後述する押込み爪36の押込み動作によっては変形しない剛性を備えている。
【0032】
ベース皿31の外周部分に一対の押込み爪36が対向配置されている。詳しくは、後述するマウント15への保持具30の取り付け状態で、一対の押込み爪36が軸心Pに関して対称となる配置で設けられている。一対の押込み爪36は、一対の押込み爪支持部37を介してコア部35に支持されており、各押込み爪支持部37を弾性的に変形させながらベース皿31の内径側(一対の押込み爪36を接近させる方向)に各押込み爪36を移動させることができる。
【0033】
詳細には、一対の押込み爪支持部37はそれぞれ、ベース皿31の外周部分を構成する円弧部371と、円弧部371の両端とコア部35とを接続する一対の支持脚部372と、を有しており、円弧部371の周方向の中央付近の外径側の面に押込み爪36が設けられている。一対の支持脚部372は、コア部35の外周面に対して円弧部371が所定の間隔で離間するように支持しており、各押込み爪36に対して外力を加えない状態では、各押込み爪36がベース皿31の直径方向で一定の位置に保持されている。つまり、一対の押込み爪支持部37が一対の押込み爪36を互いに遠ざかる方向に付勢している。この付勢力に抗して、一対の押込み爪支持部37を撓ませながら一対の押込み爪36をベース皿31の中心方向に押し込んで、一対の押込み爪36の間隔を小さくさせることが可能である。
【0034】
各押込み爪36は、押込み爪支持部37の円弧部371から基端方向Xbに突出しており、ベース皿31の内径側を向く斜面361を備えている。斜面361は、基端方向Xbに進むにつれてベース皿31の中心から離れる(外径側に進む)傾斜を有している。各押込み爪36の基端方向Xbの先端には、内径側に突出する離脱防止突起362が設けられている。
【0035】
ベース皿31はさらに、一対の取っ手38を備えている。一対の取っ手38は、ベース皿31の周方向で一対の押込み爪支持部37の間の領域に配置されており、コア部35から外径方向に突出している。押込み爪支持部37とは異なり、一対の取っ手38はコア部35に対して固定されており、一対の取っ手38をベース皿31の中心方向に押し込んでも変形しない。一対の取っ手38は、後述するケース90(図16から図18参照)から保持具30を取り出す際などに、作業者が把持するための部位でもある。
【0036】
移動皿32は、ベース皿31の径方向において、保持具内周支持部34と一対の押込み爪36との間に保持される円環状の部材である。移動皿32は中央に円形の支持孔40を有し、支持孔40にベース皿31の保持具内周支持部34が挿通されて支持される。支持孔40は、保持具内周支持部34に対してX軸方向に移動可能に支持されている。ベース皿31と移動皿32を組み合わせた状態では、保持具内周支持部34によって支持された移動皿32の外径側に一対の押込み爪36が位置し、各押込み爪36の斜面361が移動皿32の外周部に対向している。
【0037】
移動皿32は、基端方向Xbに向く載置面41を備えている。載置面41は、移動皿32の本体部分に対して基端方向Xbに突出する複数の凸部42のそれぞれに形成されており、X軸方向に対して直交する平面である。複数の載置面41及び凸部42は、移動皿32の周方向に所定の間隔で配置されている。移動皿32は、切削ブレード10の第2面102を載置する載置面41を有する載置部として機能する。載置面41に沿う方向(載置面41に平行な方向)を載置面方向とする。
【0038】
一対の押込み爪支持部37は、一対の押込み爪36を載置面方向に移動可能に支持している。一対の押込み爪36と一対の押込み爪支持部37は、載置面41に直交する方向に移動皿32(載置部)を移動させる移動機構を構成する。詳しくは、一対の押込み爪36はそれぞれ、載置面方向で移動皿32と相対的に接近すると、斜面361が移動皿32に接触して、移動皿32を載置面41に直交する方向に押し出す力を与える。また、一対の押込み爪支持部37はそれぞれ、載置面方向で一対の押込み爪36を互いに遠ざかる方向(個々の押込み爪36が移動皿32から遠ざかる方向)に付勢する付勢部としても機能する。
【0039】
図3に示すように、切削ブレード10の第2面102を移動皿32の各載置面41に載置し、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)を保持具内周支持部34によって支持して、保持具30が切削ブレード10を保持する。以上の構成を備えた保持具30を用いて、切削ブレード10をマウント15に取り付ける工程を説明する。
【0040】
図3に示すように、作業者は、切削ブレード10を保持した保持具30を、切削ブレード10がフランジ部17に対向するように位置付けて、基端方向Xbに移動させて、ボス部20を挿通孔33に進入させる。保持具30の保持具内周支持部34がマウント15のマウント内周支持部19と連結する(X軸方向に連続する)位置まで保持具30を進めると、それ以上の基端方向Xbへの保持具30の移動が制限される。この段階までの工程は、作業者が押込み爪36を押し込まずに行われる。詳細には、作業者が取っ手38あるいはコア部35を把持して作業する。特に、一対の取っ手38を両側から摘むように把持することが好ましい。
【0041】
図8の(A)に示すように、一対の押込み爪36を押し込んでいない状態では、移動皿32の外周縁が斜面361による押圧力を受けておらず、移動皿32のうち先端方向Xaの面がコア部35に接する保持位置に移動皿32を保持させることができる。この移動皿32の保持位置では、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)が保持具30の保持具内周支持部34に支持されている。
【0042】
続いて、作業者は、一対の押込み爪36をベース皿31の内径側に押し込む。すると、各押込み爪36を支持している押込み爪支持部37を弾性変形させながら、一対の押込み爪36が互いに接近する方向に移動して載置面方向で移動皿32に接近し、各押込み爪36の斜面361が移動皿32の外周縁に接触する。この状態で一対の押込み爪36をさらに内径側に押し込むと、図8の(B)に示すように、移動皿32が斜面361の形状に沿って保持位置から基端方向Xbに押し出される。基端方向Xbへ移動する移動皿32の載置面41が切削ブレード10の第2面102を押し込んで、移動皿32と共に切削ブレード10が基端方向Xb方向へ移動する。軸心Pに関して対称となる位置関係で設けた一対の押込み爪36を介して移動皿32を押し出すので、移動皿32及び切削ブレード10を傾かせずに安定して基端方向Xb方向へ移動させることができる。
【0043】
図4及び図8の(B)に示すように、一対の押込み爪36の押し込みに伴って移動皿32が基端方向Xbへ所定量の移動を行って押出し位置に達すると、保持具30の保持具内周支持部34が形成された範囲よりも基端方向Xbへ切削ブレード10が押し出されて、保持具内周支持部34によって切削ブレード10の内周が支持される状態から、マウント15のマウント内周支持部19によって切削ブレード10の内周が支持される状態に変化する。つまり、切削ブレード10の保持が保持具30からマウント15へ受け渡される。
【0044】
移動皿32を押出し位置まで移動させた状態では、押込み爪36の離脱防止突起362がX軸方向で移動皿32に隣接して、それ以上の基端方向Xbへの移動皿32の移動が離脱防止突起362によって制限される。これにより、ベース皿31からの移動皿32の脱落が規制され、切削ブレード10のみをマウント15に受け渡すことができる。
【0045】
詳しくは、載置面41を凸部42に設けて、移動皿32の本体部分に対して切削ブレード10が基端方向Xbに離れた位置で保持されるようにし、切削ブレード10が離脱防止突起362の位置を通過した後で、離脱防止突起362を移動皿32と切削ブレード10との間に入り込ませるようにしている。つまり、離脱防止突起362が切削ブレード10の移動を妨げないように構成している。
【0046】
マウント15への切削ブレード10の受け渡しが完了したら、作業者は、保持具30を先端方向Xaへ移動させてボス部20から挿通孔33を引く抜く。保持具30の引き抜きは、作業者が一対の押込み爪36を把持した状態のままで行ってもよいし、一対の取っ手38など、押込み爪36以外の部位を把持するように持ち替えてから行ってもよい。保持具30を先端方向Xaに引く抜くことによってマウント15への切削ブレード10の取り付け作業が完了して、第2マウント25とナット28を用いて切削ブレード10の固定を行う準備が整った状態になる。
【0047】
作業者が一対の押込み爪36に対する押し込みを解除すると、各押込み爪支持部37が弾性変形した状態から元の形状に復元し、移動皿32を保持位置へ復帰させることができる。したがって、特別な操作を要さずに、保持具30を再使用可能な状態にすることができる。
【0048】
以上のマウント15への切削ブレード10の取り付けは、作業者が保持具30を把持して行い、作業者が切削ブレード10に直接触れることがないので、切削ブレード10を汚染させたり、作業者が着用する手袋が切削ブレード10に引っ掛かって破損させたりすることがない。また、ボス部20に挿通孔33を挿通させることでマウント15に対する保持具30の位置が定まり、その後は保持具30を基端方向Xbへスライドさせてから一対の押込み爪36を内径側に押し込むだけで、マウント15への切削ブレード10の取り付けが完了するので、複雑な位置合わせや微妙な調整作業を要さず、非常に容易且つ高精度に切削ブレード10を適切な位置に取り付けることができる。
【0049】
保持具30は取っ手38を備えており、作業者が一対の押込み爪36を押し込んで切削ブレード10を押し出す工程以外は、取っ手38を把持して操作することによって、切削ブレード10が意図せずに保持具30から離脱してしまうことを防止できる。
【0050】
図9から図11を参照して、第2の実施形態の保持具50を説明する。保持具50は、ベース皿51と移動皿52を備えている。ベース皿51と移動皿52は、第1の実施形態の保持具30のベース皿31と移動皿32と同様に機能するものである。ベース皿51のコア部53の中央には、挿通孔54が形成されている。また、コア部53には、挿通孔54の外径側に、基端方向Xbに突出する円筒状の保持具内周支持部55が形成されている。挿通孔54は、マウント15のボス部20に挿通する円形孔である。保持具内周支持部55は、マウント15のマウント内周支持部19とほぼ同一径であり、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)を支持する。
【0051】
コア部53の外径側に、ベース皿51の外周部分を構成する円弧形状の一対の押込み爪支持部56が設けられており、コア部53と一対の押込み爪支持部56との間に、一対の変形用空間57が形成されている。一対の押込み爪支持部56と一対の変形用空間57は、マウント15への保持具50の取り付け状態で、軸心Pに関して対称となる配置で設けられている。各変形用空間57の周方向の間には、コア部53と一対の押込み爪支持部56とを接続する一対の接続部58が形成されている。各押込み爪支持部56は、内径側(押込み爪支持部56をコア部53に近づける方向)に押し込むことによって、変形用空間57を狭くするように弾性変形することが可能である。
【0052】
一対の押込み爪支持部56に一対の押込み爪59が設けられている。第1の実施形態の保持具30における一対の押込み爪36と同様に、マウント15に保持具50を取り付けた状態で、一対の押込み爪59が軸心Pに関して対称となる配置で設けられている。各押込み爪59は、押込み爪支持部56から基端方向Xbに突出しており、保持具50の内径側を向く斜面591を備えている。斜面591は、基端方向Xbに進むにつれて保持具50の中心から離れる(外径側に進む)傾斜を有している。
【0053】
図11に示すように、移動皿52は、基端方向Xbを向く載置面60を備えている。載置面60は、X軸方向に対して直交する平面である。第1の実施形態の保持具30における移動皿32の載置面41とは異なり、移動皿52の載置面60は、移動皿52の基端方向Xbの側面全体によって構成されている。移動皿52は、切削ブレード10の第2面102を載置する載置面60を有する載置部として機能する。載置面60に沿う方向(載置面60に平行な方向)を載置面方向とする。
【0054】
一対の押込み爪支持部56は、一対の押込み爪59を載置面方向に移動可能に支持している。一対の押込み爪59と一対の押込み爪支持部56は、載置面60に直交する方向に移動皿52(載置部)を移動させる移動機構を構成する。詳しくは、一対の押込み爪59はそれぞれ、載置面方向で移動皿52と相対的に接近すると、斜面591が移動皿52に接触して、移動皿52を載置面60に直交する方向に押し出す力を与える。また、一対の押込み爪支持部56はそれぞれ、載置面方向で一対の押込み爪59を互いに遠ざかる方向(個々の押込み爪59が移動皿52から遠ざかる方向)に付勢する付勢部としても機能する。
【0055】
図9及び図10は、切削ブレード10を保持している状態の保持具50を示している。切削ブレード10の第2面102を載置面60に載置し、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)を保持具内周支持部55によって支持して、保持具50が切削ブレード10を保持する。
【0056】
保持具50を用いたマウント15への切削ブレード10の取り付けは、以下のように行われる。作業者は、切削ブレード10を保持した保持具50を、切削ブレード10がフランジ部17に対向するように位置付けて、基端方向Xbに移動させて、ボス部20を挿通孔54に進入させる。保持具50の保持具内周支持部55がマウント15のマウント内周支持部19と連結する(X軸方向に連続する)位置まで保持具50を進めると、それ以上の基端方向Xbへの保持具50の移動が制限される。この段階までの工程は、作業者が一対の押込み爪59を押し込まずに行われる。詳細には、作業者が接続部58あるいはコア部53を把持して作業する。特に、一対の接続部58を両側から摘むように把持することが好ましい。
【0057】
図11の(A)に示すように、一対の押込み爪59を押し込んでいない状態では、移動皿52は先端方向Xaの面がコア部53に接する保持位置に位置している。切削ブレード10は、第2面102を載置面60に載置し、切削ブレード10の内周部が保持具内周支持部55によって支持された位置に保持されている。
【0058】
続いて、作業者が、一対の押込み爪59を保持具50の内径側に押し込む。すると、一対の押込み爪支持部56が互いに接近する方向に弾性変形し、一対の押込み爪支持部56に支持されている一対の押込み爪59がそれぞれ載置面方向で移動皿52に接近する(内径側に移動する)。すると、図11の(B)に示すように、各押込み爪59の斜面591が移動皿52の外縁部に接触し、押込み爪59が内径側へ移動する力から、斜面591の形状に沿って移動皿52を基端方向Xbに押し出す力が作用し、移動皿52が基端方向Xbへ移動する。移動皿32の移動による載置面60の移動に伴って、切削ブレード10が基端方向Xbへ押し出されて移動する。軸心Pに関して対称となる位置関係で設けた一対の押込み爪59を介して切削ブレード10を押し出すので、切削ブレード10を傾かせずに安定して基端方向Xb方向へ移動させることができる。
【0059】
各押込み爪59によって押し出された移動皿52が基端方向Xbへ所定量の移動を行って押出し位置に達すると、保持具50の保持具内周支持部55によって切削ブレード10の内周部が支持される状態から、マウント15のマウント内周支持部19によって切削ブレード10の内周部が支持される状態に変化し、切削ブレード10の保持が保持具50からマウント15へ受け渡される。
【0060】
マウント15への切削ブレード10の受け渡しが完了したら、作業者は、保持具50を先端方向Xaへ移動させてボス部20から挿通孔54を引く抜く。
【0061】
作業者が一対の押込み爪59に対する押し込みを解除すると、各押込み爪支持部56が弾性変形した状態から元の形状に復元し、移動皿52を保持位置へ復帰させることができる。したがって、特別な操作を要さずに、保持具50を再使用可能な状態にすることができる。
【0062】
保持具50では、ベース皿51に扇形の一対の変形用空間57を形成し、一対の変形用空間57の外径側に一対の押込み爪支持部56を形成し、一対の押込み爪支持部56を介して一対の押込み爪59を支持している。そのため、ベース皿51の構造がシンプルであり、生産しやすく低コストに得ることができる。また、移動皿52についても、基端方向Xbの面全面を載置面60としたシンプルな円環形状であるため、生産しやすく低コストに得ることができる。
【0063】
第1の実施形態の保持具30と第2の実施形態の保持具50は、ベース皿(31、51)と移動皿(32、52)とが分離した構成であるが、図12から図15に示す第3の実施形態の保持具70のように、保持具をベース皿と移動皿に分離しない一体構造とすることも可能である。
【0064】
図12から図15を参照して、第3の実施形態の保持具70を説明する。保持具70におけるベース皿71は、上記の保持具30のコア部35や保持具50のコア部53に相当するコア部72を有している。コア部72の中央には、マウント15のボス部20に挿通する円形孔である挿通孔73が形成されている。また、コア部72には、挿通孔73の外径側に、基端方向Xbに突出する円筒状の保持具内周支持部74が形成されている。保持具内周支持部74は、マウント15のマウント内周支持部19とほぼ同一径であり、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)を支持する。
【0065】
ベース皿71はさらに、コア部72の外径側に、保持具70の外周部分を構成する円弧形状の一対の載置部支持部75を有しており、コア部72と一対の載置部支持部75との間に、一対の変形用空間76が形成されている。一対の載置部支持部75と一対の変形用空間76は、マウント15への保持具70の取り付け状態で、軸心Pに関して対称となる配置で設けられている。各変形用空間76の周方向の間には、コア部72と一対の載置部支持部75とを接続する一対の接続部77が形成されている。各載置部支持部75は、内径側(載置部支持部75をコア部72に近づける方向)に押し込むことによって、変形用空間76を狭くするように弾性変形することが可能である。
【0066】
各変形用空間76の内側には、複数の載置部78が設けられている。詳しくは、各載置部支持部75の周方向のほぼ中央に、内径側に突出する突出部79を備え、突出部79から周方向の両側に向けて一対の載置部78が延在している。つまり、1つの変形用空間76の内側において突出部79を挟んだ両側に2つの載置部78が設けられており、保持具70全体で合計4つの載置部78を備えている。
【0067】
各載置部78は、突出部79に接続する基端部分のみが支持された片持ち構造の腕部であり、基端部分に対して先端側の位置をX軸方向に変化させるように弾性変形が可能である。各載置部78は、基端方向Xbに向く載置面80を備えている。載置面80は、載置部78が弾性変形していない初期形状であるときに、X軸方向に対して直交する平面である。保持具70においては、載置部78が弾性変形していない初期形状において載置面80に沿う方向を載置面方向とする。また、載置面に直交する方向は、載置部78が弾性変形していない初期形状での載置面80に対して直交する方向である。
【0068】
また、各変形用空間76の内側には、複数の押込み爪81が設けられている。詳しくは、1つの変形用空間76の内側に、2つの載置部78の内径側に位置する2つの押込み爪81が設けられている。つまり、保持具70全体で合計4つの押込み爪81を備えている。各押込み爪81は、コア部72の外周面から外径方向に突出しており、載置面方向で載置部78に対向する斜面811を備えている。斜面811は、先端方向Xaに進むにつれて保持具70の中心から離れる(外径側に進む)傾斜を有している。
【0069】
一対の載置部支持部75(一対の突出部79を含む)は、4つの載置部78を、載置面方向(初期形状の載置面80に沿う方向)及び初期状態の載置面80に直交する方向に移動可能に支持している。そして、一対の載置部支持部75(一対の突出部79を含む)と4つの押込み爪81は、載置面80に直交する方向に4つの載置部78を移動させる移動機構を構成している。詳しくは、4つの押込み爪81はそれぞれ、載置面方向で4つの載置部78と相対的に接近すると、個々の斜面811が載置面方向で対向する個々の載置部78に接触して、載置部78を載置面80に直交する方向に押し出す力を与える。また、一対の載置部支持部75はそれぞれ、4つの載置部78をそれぞれ載置面方向で押込み爪81から遠ざかる方向に付勢する付勢部として機能する。
【0070】
載置部78は、移動機構によって移動されるときに、突出部79に接続する基端部に対して先端側の位置をX軸方向へずらす形で弾性変形し、載置部78の先端側がX軸方向に位置を変化させることによって、載置面80に載置した切削ブレード10を、X軸方向に押し出すことができる。このように、ベース皿31、51とは別体として構成した上記の移動皿32、52に限られず、ベース皿71と一体に形成した載置部78で、切削ブレード10をマウント15に向けて移動させることができる。本発明において、載置面に直交する方向への載置部の移動とは、移動皿32、52のようにX軸方向に直線的に移動する構成に限定されるものではなく、載置部78のように弾性変形してX軸方向の位置を部分的に変化させる構成などを含む概念である。つまり、載置部の少なくとも一部が載置面に直交する方向へ位置を変化させて、切削ブレード10をマウント15に受け渡す動作を行うものであればよい。
【0071】
図12は、切削ブレード10を保持していない状態の保持具70を示しており、図13及び図14は、切削ブレード10を保持している状態の保持具70を示している。切削ブレード10の第2面102を各載置部78の載置面80に載置し、切削ブレード10の内周(中心孔12の内縁部分)を保持具内周支持部74によって支持して、保持具70が切削ブレード10を保持する。
【0072】
保持具70を用いたマウント15への切削ブレード10の取り付けは、以下のように行われる。作業者は、切削ブレード10を保持した保持具70を、切削ブレード10がフランジ部17に対向するように位置付けて、基端方向Xbに移動させて、ボス部20を挿通孔73に進入させる。保持具70の保持具内周支持部74がマウント15のマウント内周支持部19と連結する(X軸方向に連続する)位置まで保持具70を進めると、それ以上の基端方向Xbへの保持具70の移動が制限される。この段階までの工程は、作業者が載置部支持部75を押し込まずに行われる。詳細には、作業者が接続部77あるいはコア部72を把持して作業する。特に、一対の接続部77を両側から摘むように把持することが好ましい。
【0073】
図15の(A)に示すように、一対の載置部支持部75を押し込んでいない状態では、各載置部78が各押込み爪81の斜面811から離間しており、各載置部78は切削ブレード10をX軸方向に押し込まない保持位置に保持される。この載置部78の保持位置では、切削ブレード10の内周部が保持具70の保持具内周支持部74に支持されている。
【0074】
続いて、作業者が、一対の載置部支持部75を保持具70の内径側に押し込む。すると、一対の載置部支持部75が互いに接近する方向に弾性変形し、突出部79を介して各載置部支持部75に支持されている各載置部78が内径側に移動し(つまり、各載置部78が載置面方向で押込み爪81に向けて移動し)、各載置部78が各押込み爪81の斜面811に接触する。この状態で一対の載置部支持部75をさらに内径側に押し込むと、各載置部78が突出部79に接続する基端部を中心としてX軸方向へ湾曲するように弾性変形し、図15の(B)に示すように、各載置部78の先端側が斜面811の形状に沿って保持位置から基端方向Xbに押し出される。基端方向Xbへ移動する各載置部78の載置面80が切削ブレード10の第2面102を押し込んで、載置部78と共に切削ブレード10が基端方向Xb方向へ移動する。軸心Pに関して対称となる位置関係で2つずつ(計4つ)設けた載置部78を介して切削ブレード10を押し出すので、切削ブレード10を傾かせずに安定して基端方向Xbへ移動させることができる。
【0075】
一対の載置部支持部75を押し込む際には、作業者は、各載置部支持部75の周方向のほぼ中央に位置する突出部79の箇所を押し込むことが好ましい。突出部79の箇所を押し込むことによって、突出部79の両側に設けた一対の載置部78に均等に力を作用させて、各載置部78を偏りなく基端方向Xbへ押し出すことができる。各載置部支持部75には、突出部79の箇所を押し込みやすくするための押込み部82が設けられている。
【0076】
各載置部78によって押し出された切削ブレード10が基端方向Xbへ所定量の移動を行うと、保持具70の保持具内周支持部74によって切削ブレード10の内周部が支持される状態から、マウント15のマウント内周支持部19によって切削ブレード10の内周が支持される状態に変化し、切削ブレード10の保持が保持具70からマウント15へ受け渡される。
【0077】
マウント15への切削ブレード10の受け渡しが完了したら、作業者は、保持具70を先端方向Xaへ移動させてボス部20から挿通孔73を引く抜く。
【0078】
作業者が一対の載置部支持部75に対する押し込みを解除すると、各載置部支持部75や各載置部78が弾性変形した状態から元の形状に復元する。したがって、特別な操作を要さずに、保持具70を再使用可能な状態にすることができる。
【0079】
以上のように構成した保持具70では、載置面80をX軸方向へ移動させる移動機構(各載置部支持部75、各載置部78、各突出部79、各押込み爪81)が、ベース皿71の一部として一体的に形成されており、切削ブレード10を保持具70からマウント15に受け渡す際に、ベース皿71から分離する部分が無い。したがって、部品の脱落に配慮することなく保持具70を取り扱うことができ、作業性が向上する。
【0080】
第1の実施形態の保持具30と同様に、第2の実施形態の保持具50と第3の実施形態の保持具70を用いて行うマウント15への切削ブレード10の取り付けは、作業者が保持具50や保持具70を把持して行い、作業者が切削ブレード10に直接触れることがないので、切削ブレード10を汚染させたり破損させたりするおそれがない。また、保持具50の挿通孔54や保持具70の挿通孔73をボス部20に挿通させてから、一対の押込み爪59(押込み爪支持部56)や一対の押込み部82(載置部支持部75)を内径側に押し込むだけでマウント15への切削ブレード10の取り付けが完了するので、切削ブレード10を適切な位置へ簡単に取り付けることができる。
【0081】
上記の各実施形態の保持具30、50、70は、押込み爪36、59と押込み爪支持部37、56とを備えた移動機構、あるいは押込み爪81と載置部支持部75とを備えた移動機構、を用いて、載置面41、60、80に直交する方向へ載置部(移動皿32、移動皿52、載置部78)を移動させて、切削ブレード10を保持具内周支持部34、55、74からマウント15のマウント内周支持部19に受け渡すという構成において共通している。また、押込み爪36、59、81は、載置面方向で載置部(移動皿32、移動皿52、載置部78)と相対的に接近することにより、載置部(移動皿32、移動皿52、載置部78)を載置面41、60、80に直交する方向へ移動させるという機能において共通している。
【0082】
そして、保持具30、50のように、ベース皿31、51とは分離した構造の載置部(移動皿32、52)を適用してもよいし、保持具70のように、ベース皿71と一体の構造である載置部78を適用してもよい。
【0083】
なお、ベース皿とは分離した構造の載置部を用いる場合、移動皿32、52のように、切削ブレード10の形状に対応した一体構造の円環状部材にすることが好ましい。当該構造の移動皿32、52は、ベース皿31、51に保持させやすく、保持具30、50の取り扱いが容易である。また、当該構造の移動皿32、52は、切削ブレード10を傾かせずにX軸方向へスムーズに押し出すことができる。
【0084】
保持具30、50の移動機構は、押込み爪支持部37、56が押込み爪36、59を載置面方向に移動可能に支持するタイプであり、押込み爪36、59が載置面方向に移動して載置部(移動皿32、52)に接近する。保持具70の移動機構は、載置部支持部75が載置部78を載置面方向に移動可能に支持するタイプであり、載置部78が載置面方向に移動して押込み爪81に接近する。このように、移動機構は、押込み爪と載置部が載置面方向で相対的に接近及び離間する構成であればよく、押込み爪と載置部のどちらが載置面方向に移動してもよい。
【0085】
押込み爪支持部37、56によって押込み爪36、59を載置面方向に移動可能に支持する構成では、押込み爪支持部37、56を付勢部として用いることが好ましい。載置部支持部75によって載置部78を載置面方向に移動可能に支持する構成では、載置部支持部75を付勢部として用いることが好ましい。
【0086】
上記の各実施形態は、保持具の押込み爪や載置部の好ましい形状や数や配置を例示したものであるが、保持具における各部の形状、数、配置は、各実施形態で例示した構成に限定されるものではない。
【0087】
図16から図18に示すケース90は、上記の各実施形態の保持具30、50及び70と切削ブレード10とを組み合わせた状態で収容する収容器具である。図16に示すように、ケース90は、ケース基台91に対してヒンジ部97を介して開閉可能な蓋92を備えている。ケース基台91の底面には、挿通孔支持部93と保持具支持部94とブレード支持部95とが設けられている。
【0088】
挿通孔支持部93は、ケース基台91の底面から突出する円筒状の突出部である。挿通孔支持部93の外径は、各保持具30、50及び70の挿通孔33、54及び73の内径よりも僅かに大きく設定されている。挿通孔支持部93には、X軸方向に延在する複数のスリット96が形成されており、各スリット96によって挿通孔支持部93が周方向で複数の部位に分割されている。
【0089】
保持具支持部94は、ケース基台91の底面から突出する環状の突出部であり、挿通孔支持部93の外径側に配置されている。保持具支持部94は、各保持具30、50及び70の径方向における挿通孔33、54及び73と保持具内周支持部34、55及び74との間の領域に当接可能な範囲に設けられている。つまり、保持具支持部94は、コア部35、53及び72の基端方向Xbの面に当接可能な範囲に設けられている。
【0090】
ブレード支持部95は、ケース基台91の底面から突出する環状の突出部であり、保持具支持部94の外径側に配置されている。ブレード支持部95は、各保持具30、50及び70の径方向における切削ブレード10の保持箇所に相当する範囲に設けられている。換言すれば、ブレード支持部95は、切削ブレード10の第1面101に当接可能な範囲に設けられている。
【0091】
図17及び図18は、切削ブレード10を保持した保持具50を、ケース90に収容した状態を示している。なお、挿通孔33、54及び73の内径や、保持具内周支持部34、55及び74の外径などの仕様が共通であれば、保持具50だけではなく、保持具30や保持具70についても、共通のケース90へ収容可能である。
【0092】
保持具50は、切削ブレード10の第1面101をケース基台91の底面側に向けてケース90に収容される。図18に示すように、挿通孔支持部93を挿通孔54に進入させ、コア部53の基端方向Xbの面(挿通孔54と保持具内周支持部55との間の環状の領域)を保持具支持部94に載置し、切削ブレード10の第1面101をブレード支持部95に載置する。そして、蓋92を閉じることによって、保持具50及び切削ブレード10がケース基台91と蓋92との間に収められる。
【0093】
挿通孔54に挿通孔支持部93を挿通する際に、挿通孔54の内径よりも外径が大きい挿通孔支持部93が径を小さくする方向に押し込まれ、複数のスリット96を狭めた状態になる。挿通孔支持部93が元の径に戻ろうとする復元力によって、挿通孔支持部93が挿通孔54の内面に押し付けられて密着し、保持具50がケース基台91から脱落しないように保持される。
【0094】
また、挿通孔54の外径側で、コア部53が保持具支持部94に載置されることにより、保持具50がケース基台91に対して安定して支持される。
【0095】
切削ブレード10は、保持具50とブレード支持部95との間に収められて保護される。図17及び図18に示すように、蓋92を開けた状態でも、切削ブレード10が単体で露出せずに保持具50に覆われており、ケース基台91からの切削ブレード10の脱落が保持具50によって阻止されるので、切削ブレード10に対する保護性能に優れている。
【0096】
保持具50及び切削ブレード10は、ケース90に収容された状態で運搬や保管が行われる。スピンドル11(マウント15)への切削ブレード10の取り付けを行う際には、作業者が蓋92を開け、保持具50を把持してケース基台91から引く抜く。図17に示すように、ケース基台91に支持された状態の保持具50は外周部分が覆われておらず、作業者は一対の接続部58を把持することができる。接続部58を把持して、ケース基台91の底面から離間させる引き抜き方向への力を付与することにより、挿通孔支持部93から挿通孔54が離脱して、保持具50をケース90から取り外すことができる。
【0097】
一対の接続部58は、コア部53に連続する中実構造であり、作業者が把持して力が加わっても移動皿52を押し出すような変形を生じない。そのため、保持具50からの切削ブレード10の不用意な離脱を防ぐべく、ケース90からの取り外し時には一対の接続部58を把持することが好ましい。同様の理由から、保持具30をケース90から取り外す際には、一対の取っ手38を把持することが好ましい。また、保持具70をケース90から取り外す際には、一対の接続部77を把持することが好ましい。
【0098】
保持具50をケース90から取り外す際に、切削ブレード10の第1面101が下向きにならないように向きを設定することで、重力で切削ブレード10を落下させたり、切削ブレード10をケース90に残したりせずに、保持具50と共に切削ブレード10がケース90から取り外される。ケース90に収めた状態の切削ブレード10は、ブレード支持部95に載せられているだけでありケース基台91に対して係止されていないので、保持具50をケース基台91から引き抜く動作に伴って、切削ブレード10も抵抗なく引き抜くことができる。
【0099】
以上に説明したように、本発明を適用した保持具30、50及び70によれば、切削ブレード10の交換作業の際に、切削ブレードを破損や汚染させることを防止できる。
【0100】
また、保持具30、50及び70では、外周部分の一部を内径側に押し込む動作によって、切削ブレード10をX軸方向に移動させるような移動機構を備えているので、作業者が保持具30、50及び70を把持した状態で、複雑な操作を要さずに簡単に、マウント15への切削ブレード10の受け渡しを行なわせることができる。
【0101】
また、保持具30、50及び70に切削ブレード10を載置した状態で収容する構造のケース90を構成したことにより、ケース90から切削ブレード10を取り出す際に、切削ブレード10を破損させることを防止できる。
【0102】
特に、切削ブレード10の第1面101をケース基台91の底面側に向けて収容する構造とし、切削ブレード10を保持具30、50及び70で覆う形で収容している。また、保持具30、50及び70は、挿通孔33、54及び73に挿通孔支持部93が密着してケース基台91から不用意に脱落しないように保持される。したがって、ケース90に収容した切削ブレード10を効果的に保護できる。
【0103】
なお、上記の各実施形態とは異なる構成を採用することも可能である。上記の各実施形態の保持具30、50及び70は、押込み爪36や押込み爪59や載置部78を外径方向に付勢する(互いに遠ざかる方向に付勢する)付勢部を備え、押し込みを解除すると、付勢部の付勢力によって押込み爪36や押込み爪59や載置部78が、押し込み前の位置に戻るようにしている。
【0104】
このような付勢部を用いずに、押込み爪36や押込み爪59や載置部78に相当する部位を、保持具の径方向にスライド可能に支持して、押し込み前の位置や押し込み後の位置で仮固定する仮固定部を備えてもよい。例えば、仮固定部として、所定の力が加わると係止を解除するクリックストップ機構などを用いることができる。
【0105】
付勢部を備える場合、上記の各実施形態の保持具30、50及び70のようにベース皿31、51及び71の一部である押込み爪支持部37、56や載置部支持部75を撓ませる構造に代えて、独立した付勢部材(バネなど)を備えてもよい。
【0106】
また、保持具の再使用を前提としない場合は、押込み爪36や押込み爪59や載置部78に相当する部位が、保持具の内径側に押し込んだ後で元の位置に復帰しない押切り型の構造を適用することも可能である。例えば、上記の各実施形態の保持具30、50及び70において弾性変形する箇所を、塑性変形するように変更してもよい。
【0107】
また、保持具とケース基台とを一体化させて、蓋をすることで、ケース内に収容した切削ブレードを固定するようにしてもよい。
【0108】
なお、本発明の実施の形態は上記の実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、本発明の技術的思想を別の仕方で実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、特許請求の範囲は、本発明の技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【産業上の利用可能性】
【0109】
以上説明したように、本発明の保持具及びケースによれば、切削ブレードの交換作業の際に、切削ブレードを破損させることを防止して効率的な交換作業を行うことができ、切削ブレードを備える切削装置のメンテナンスの作業性向上に寄与する。
【符号の説明】
【0110】
10 :切削ブレード
11 :スピンドル
12 :中心孔
15 :マウント
16 :スピンドル挿入孔
17 :フランジ部
18 :ブレード支持面(支持面)
19 :マウント内周支持部
20 :ボス部
23 :マウント固定ボルト
25 :第2マウント
27 :ブレード支持面
28 :ナット
30 :保持具
31 :ベース皿
32 :移動皿(載置部)
33 :挿通孔
34 :保持具内周支持部
35 :コア部
36 :押込み爪
37 :押込み爪支持部(移動機構、付勢部)
38 :取っ手
40 :支持孔
41 :載置面
42 :凸部
50 :保持具
51 :ベース皿
52 :移動皿(載置部)
53 :コア部
54 :挿通孔
55 :保持具内周支持部
56 :押込み爪支持部(移動機構、付勢部)
57 :変形用空間
58 :接続部
59 :押込み爪
60 :載置面
70 :保持具
71 :ベース皿
72 :コア部
73 :挿通孔
74 :保持具内周支持部
75 :載置部支持部(移動機構、付勢部)
76 :変形用空間
77 :接続部
78 :載置部(移動機構)
79 :突出部(載置部支持部)
80 :載置面
81 :押込み爪(移動機構)
82 :押込み部
90 :ケース
91 :ケース基台
92 :蓋
93 :挿通孔支持部
94 :保持具支持部
95 :ブレード支持部
96 :スリット
101 :第1面(一方の面)
102 :第2面(他方の面)
361 :斜面
362 :離脱防止突起
371 :円弧部
372 :支持脚部
591 :斜面
811 :斜面
P :軸心
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18