(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154035
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】印刷装置、プログラムおよび印刷制御方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241023BHJP
B41J 3/407 20060101ALI20241023BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
B41J29/38 301
B41J3/407
B41J29/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067625
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】今井 裕行
【テーマコード(参考)】
2C061
【Fターム(参考)】
2C061AP10
2C061AQ05
2C061AS11
2C061HJ07
2C061HJ10
2C061HK05
2C061HN04
2C061HN08
2C061HN15
2C061HV01
2C061HV32
2C061HV46
(57)【要約】
【課題】場所を移動して媒体支持部材の高さ調整を実施するという手間が発生するのを避ける。
【解決手段】媒体支持部材がインク吐出ヘッドにセットされた場合に、当該媒体支持部材上の印刷媒体がインク吐出ヘッドに当接するかを判定する判定部と、前記判定部において前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接すると判定された場合、前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接する旨を報知する報知部と、を備える。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体支持部材がインク吐出ヘッドにセットされた場合に、当該媒体支持部材上の印刷媒体がインク吐出ヘッドに当接するかを判定する判定部と、
前記判定部において前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接すると判定された場合、前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接する旨を報知する報知部と、
を備えることを特徴とする印刷装置。
【請求項2】
前記報知部により前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接する旨が報知された場合、前記媒体支持部材の高さ調整を受け付ける調整部をさらに備える、
ことを特徴とする請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記媒体支持部材の高さ調整を実施する/実施しないについて選択可能である、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記調整部は、前記媒体支持部材の高さ調整の実施に際し、前記媒体支持部材の高さ位置の入力を受け付ける、
ことを特徴とする請求項2に記載の印刷装置。
【請求項5】
媒体支持部材をインク吐出ヘッドにセットする印刷装置を制御するコンピュータを、
前記媒体支持部材が前記インク吐出ヘッドにセットされた場合に、当該媒体支持部材上の印刷媒体がインク吐出ヘッドに当接するかを判定する判定部と、
前記判定部において前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接すると判定された場合、前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接する旨を報知する報知部と、
として機能させるためのプログラム。
【請求項6】
媒体支持部材をインク吐出ヘッドにセットする印刷装置における印刷制御方法であって、
前記媒体支持部材が前記インク吐出ヘッドにセットされた場合に、当該媒体支持部材上の印刷媒体がインク吐出ヘッドに当接するかを判定する判定工程と、
前記判定工程において前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接すると判定された場合、前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接する旨を報知する報知工程と、
を含むことを特徴とする印刷制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置、プログラムおよび印刷制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ガーメント等の布地に対して直接に印刷処理をすることが可能なプリンタ(ガーメントプリンタ)が知られている。このようなガーメントプリンタでは、印刷対象となる布(ガーメント)の厚みが多様なため、インク吐出ヘッドと布(ガーメント)との間の距離を適切にするために、布(ガーメント)を載置するプラテン(媒体支持部材)の高さ調整という操作が必要となる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、従来のガーメントプリンタによれば、インク吐出ヘッドと布(ガーメント)との測定距離が不適切な場合には、「高さエラー」を発生させて印刷を停止する。
【0004】
しかしながら、従来のガーメントプリンタによれば、印刷開始後に「高さエラー」が発生して印刷を停止させることで、「高さ調整」が必要であることをユーザが認識するものとなっている。そのため、「高さ調整」が必要であることを認識したユーザは、ガーメントプリンタまで移動して、ガーメントプリンタの操作部などで「高さ調整」を実施した後、再度、印刷を開始する、という手間が発生する問題があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、場所を移動して媒体支持部材の高さ調整を実施するという手間が発生するのを避けることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明は、媒体支持部材がインク吐出ヘッドにセットされた場合に、当該媒体支持部材上の印刷媒体がインク吐出ヘッドに当接するかを判定する判定部と、前記判定部において前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接すると判定された場合、前記印刷媒体が前記インク吐出ヘッドに当接する旨を報知する報知部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、場所を移動して媒体支持部材の高さ調整を実施するという手間が発生するのを避けることができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係るガーメントプリンタの全体構成図である。
【
図2】
図2は、ガーメントプリンタの斜視図である。
【
図3】
図3は、ガーメントプリンタの上面図である。
【
図4】
図4は、ガーメントプリンタの正面図である。
【
図6】
図6は、ガーメントプリンタのハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【
図7】
図7は、ガーメントプリンタの機能の一例を示す機能ブロック図である。
【
図8】
図8は、ガーメントプリンタにおける印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、操作部に表示される高さ調整アラートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照して、印刷装置、プログラムおよび印刷制御方法の実施の形態を詳細に説明する。
【0010】
なお、以下の説明において、x方向、y方向、z方向は互いに垂直な方向である。x方向及びy方向は典型的には水平方向であり、z方向は典型的には鉛直方向である。x方向はスライダ15(
図2参照)の移動方向(副走査方向)である。y方向は、キャリッジ5(
図2参照)の移動方向(主走査方向)である。また、以下では説明の便宜上、z正方向側を上側、z負方向側を下側とも表現する場合がある。
【0011】
図1は、実施形態に係るガーメントプリンタ1の全体構成図である。
図1のように、PC(パーソナルコンピュータ)2などの端末装置とガーメントプリンタ1とは、USBやNW(インターネットやイントラネットなどのネットワーク)経由で接続され、データ通信が可能である。PC2は、PC2からガーメントプリンタ1への印刷などの指示や、ガーメントプリンタ1の設定やステータス情報などの情報取得が可能なアプリケーションソフトである印刷アプリケーション3を備える。
【0012】
なお、PC2として例示する制御装置と、この制御装置に含まれる印刷アプリケーション3とは、
図1ではガーメントプリンタ1と別体としているがこの限りではない。制御装置2や印刷アプリケーション3がガーメントプリンタ1に内蔵される構成でもよい。
【0013】
次に、
図2~
図4を参照して、ガーメントプリンタ1の構成について説明する。
図2は、ガーメントプリンタ1の斜視図である。
図3は、ガーメントプリンタ1の上面図である。
図4は、ガーメントプリンタ1の正面図である。
図2~
図4に示す装置は、シリアル式インクジェットガーメント(布地)プリンタ、いわゆるTシャツプリンタの構成概要例である。ガーメントプリンタ1は、印刷媒体Gである衣類(ガーメント)に文字や絵などの画像を直接印刷することができる印刷装置である。ガーメントプリンタ1の印刷の原理は、従来のインクジェットプリンタと同様である。
【0014】
ガーメントプリンタ1には、モーター、ソレノイド等の稼働(出力)や高さ検知センサ19(
図3参照)などの入力信号を処理し制御するための制御部としてのコントローラボード4が搭載されており、ガーメントプリンタ1はコントローラボード4に搭載されたソフトウェアに基づき制御される。PC2から送信された印刷データの印刷制御や、USBメモリーやコントローラボード4に記録された印刷データを読み出しての印刷制御処理もここで行う。
【0015】
インクを吐出するインク吐出ヘッド10が搭載されたキャリッジ5は、主走査モーター9によりタイミングベルト6を駆動することで主および副のガイドロッド7,8に沿ってマシンの左右方向に移動する。この際に位置を検出するために周期的にスリットが形成もしくは印刷されたエンコーダーシート13をキャリッジ5上のセンサで読み取りながら吐出位置でタイミングを合わせてコントローラボード4からの制御によりインク滴を吐出することで画像を形成する。キャリッジ5上にインク吐出ヘッド10が4個搭載されており、それぞれのインク吐出ヘッド10が2列の副走査方向に並んだノズル列を有している。キャリッジ5内のインク吐出ヘッド10の直上には、吐出に使用するインクを一時的に貯留しておくためのヘッドタンクが備えられている。ヘッドタンクはインク供給チューブおよびインク供給ポンプを介してインクカートリッジ11aと接続されており、必要に応じてインク供給ポンプを稼働することでインクカートリッジ11aからインクの補給を受けている。
【0016】
印刷媒体G(例えばTシャツ)は、媒体支持部材であるプラテン12上にセットされる。プラテン12はプラテン昇降機構14の上に搭載されており、上下方向(z軸方向)に位置を調整可能となっている。またプラテン昇降機構14は副走査のスライダ15上に搭載されており、副走査のスライダ15は副走査のガイドレール16に沿って副走査タイミングベルト17および副走査の駆動機構およびコントローラボード4により制御され、副走査方向に移動可能となっている。
【0017】
図5は、プラテン12の正面図である。
図5に示すように、プラテン12上面の設置面に印刷媒体Gを載せ、インク吐出ヘッド10のノズルから適正な距離になるように、プラテン昇降機構14にてz方向高さを昇降し調整する。
【0018】
(ガーメントプリンタ1のハードウェア構成例)
次に、
図6を用いて、実施形態のガーメントプリンタ1のハードウェア構成例について説明する。
図6は、ガーメントプリンタ1のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【0019】
ガーメントプリンタ1は、コントローラボード4を備えている。コントローラボード4は、プリントエンジン21、操作部18、高さ検知センサ19及び加熱装置20を備える。
【0020】
プリントエンジン21は、インク吐出ヘッド10等を備え、印刷媒体Gに画像を形成する。印刷媒体Gに画像を形成する際、プリントエンジン21には、上面に印刷媒体Gが載置されたプラテン12が装着される。そして、プリントエンジン21は、操作部18またはPC2から入力された印刷指示にしたがって、インク吐出ヘッド10から印刷媒体Gにインクを吐出する。これにより、印刷媒体Gに画像が形成される。
【0021】
加熱装置20は、操作部18またはPC2から入力された加熱指示にしたがって、インクが吐出され画像が形成された印刷媒体Gを加熱して印刷媒体Gにインクを定着させる。印刷媒体Gを加熱する際、加熱装置20内には、画像形成済みの印刷媒体Gが上面に載置されたプラテン12が収容される。
【0022】
操作部18は、印刷指示および加熱指示等のユーザからの入力を受け付ける。また、操作部18は、プリントエンジン21及び加熱装置20等のガーメントプリンタ1のステータス、ガーメントプリンタ1による印刷結果等の種々の情報を表示する。
【0023】
制御部としてのコントローラボード4は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102、RAM(Random Access Memory)103、記憶装置104、及び外部インタフェース(I/F)105を備えるコンピュータ等として構成される。
【0024】
CPU101は、RAM103を作業領域として使用し、例えばROM102等に格納されているプログラムを実行する。これにより、CPU101は、操作部18における各種情報の入出力を制御する。また、CPU101は、操作部18またはPC2等から入力されたユーザの指示にしたがって、印刷対象の印刷媒体Gに画像形成処理および加熱処理等を含む印刷処理を施す。
【0025】
印刷処理において、CPU101は、プリントエンジン21により印刷対象の印刷媒体Gにインクを吐出させて画像を形成させる。また、CPU101は、加熱装置20により布地に加熱処理を行わせ、印刷媒体Gにインクを定着させる。このとき、CPU101は、例えば記憶装置104に格納される布地の種類ごとに設定された条件の中からユーザが選択した条件に基づいて加熱処理を行わせる。
【0026】
記憶装置104は、例えばHDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)等であり、補助記憶領域として使用される。記憶装置104には、印刷媒体Gの種類ごとに設定された条件を保有するガーメントカタログが格納されている。
【0027】
外部I/F105は、ガーメントプリンタ1とPC2等の外部機器との通信を可能にする。ガーメントプリンタ1とPC2等の外部機器との通信は、例えばイーサネット(登録商標)規格、USB(Universal Serial Bus)(登録商標)規格等によって行われてよい。
【0028】
(ガーメントプリンタ1の機能ブロック例)
次に、
図7を用いて、実施形態のガーメントプリンタ1の機能の一例について説明する。
図7は、ガーメントプリンタ1の機能の一例を示す機能ブロック図である。
【0029】
図7に示すように、ガーメントプリンタ1のコントローラボード4が備えるCPU101がプログラムを実行することにより、例えば、判定部41と、報知部42と、調整部43と、が実現される。
【0030】
判定部41は、プラテン12がプリントエンジン21にセットされた場合に、当該プラテン12上の印刷媒体Gがプリントエンジン21を構成するインク吐出ヘッド10に当接するかを、高さ検知センサ19を用いて判定する。なお、判定部41は、プラテン12がプリントエンジン21にセットされたことを、図示しないメカニカルセンサなどによって検知する。
【0031】
報知部42は、判定部41において印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接すると判定された場合、印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接する旨を報知する。報知部42は、例えば、操作部18に印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接する旨を表示する。
【0032】
調整部43は、報知部42により印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接する旨が報知された場合、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整を受け付けて、高さ調整を実行する。調整部43は、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整を実施する/実施しないについて選択可能である。調整部43は、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整の実施に際し、プラテン12の高さ位置の入力を受け付ける。
【0033】
(ガーメントプリンタ1における印刷処理の流れ)
ここで、
図8はガーメントプリンタ1における印刷処理の流れを概略的に示すフローチャートである。
【0034】
まず、ユーザは、印刷媒体Gをプラテン12にセットする。その後、ユーザは、操作部18での操作により、スライダ15、すなわちプラテン12をマシン後方(x負方向側)へ完全に引き込む動作を行う。
【0035】
コントローラボード4(判定部41)は、プラテン12がセットされると、引き込みの際にプラテン12上の印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接するか否かを、高さ検知センサ19を用いて判定する(ステップS1)。
【0036】
コントローラボード4(報知部42)は、プラテン12上の印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接すると判定された場合は、印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接する旨を示す高さ調整アラートを操作部18に表示する(ステップS2)。
【0037】
ここで、
図9は操作部18に表示される高さ調整アラートの一例を示す図である。
図9に示すように、操作部18には、「タカサチョウセイサレテイマセン」「ジッシシマスカ?」という文言の高さ調整アラートAが表示される。
【0038】
また、操作部18には、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整を実施する/実施しないについて選択可能とする「Yes/No」Bが表示される。
【0039】
さらに、操作部18には、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整の実施に際し、プラテン12の高さ位置の入力を受け付ける矢印キーCが表示される。
【0040】
さらに、操作部18には、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整の実施に際し、プラテン12の高さ位置が決定したことを受け付ける決定キーDが表示される。
【0041】
すなわち、本実施形態のガーメントプリンタ1は、プラテン12がプリントエンジン21にセットされた後に操作部18でユーザに高さ調整の実行を促す機能を有する。この機能により、ユーザは印刷前にガーメントプリンタ1で「高さ調整」という作業が必要であることを認識でき、従来のようにPC2から印刷開始後に高さ検知エラーになって印刷が中断し、PC2の前からガーメントプリンタ1の前に移動して「高さ調整」を実行しなけれならないという手間を避けることができる。
【0042】
コントローラボード4(調整部43)は、ユーザが操作部18の「Yes」を操作した場合(ステップS3のYes)、矢印キーCによる「高さ調整」に基づき、プラテン昇降機構14によるプラテン12の高さ調整を実行する(ステップS4)。
【0043】
コントローラボード4(調整部43)は、ユーザが操作部18のプラテン12の高さ位置が決定したことを受け付ける決定キーDを操作した場合(ステップS5のYes)、ステップS6に進む。
【0044】
コントローラボード4は、プラテン12の高さ調整が完了した場合(ステップS5のYes)、または、ユーザが操作部18の「No」を操作して「高さ調整」を省略した場合は(ステップS3のNo)、印刷データ待機状態となる(ステップS6)。
【0045】
ここでPC2から印刷データをガーメントプリンタ1に送信するか、もしくはあらかじめコントローラボード4に蓄積されていた印刷データがある場合は、コントローラボード4は、そのデータを操作部18で選択することによって、印刷動作を開始する(ステップS7)。
【0046】
印刷が開始されると、コントローラボード4は、まずスライダ15(つまりプラテン12)を印刷開始位置まで移動する。その後、コントローラボード4は、前述のキャリッジ5の右もしくは左方向への1移動(1スキャン)によるインクの吐出による作像を行い、その完了にタイミングを合わせマシン手前側に適切な量のスライダ15(つまりプラテン12)の移動(改行処理)を行うことで、印刷媒体Gを次の印刷位置へと移動する。コントローラボード4は、スライダ15の移動完了を待って、キャリッジ5がまた1スキャンする印刷を行う。コントローラボード4は、このキャリッジ5の1スキャンとその後のスライダ15の移動の繰り返しを行うことで所望の領域の作像(印刷)を行う。コントローラボード4は、印刷が完了すると、プラテン12をマシン手前まで排出して印刷完了とする。
【0047】
このように本実施形態によれば、ユーザはプラテン12をプリントエンジン21にセットした時点で「高さ調整」という作業が必要であることを認識でき、従来のガーメントプリンタのように、ユーザがPCのある場所に移動して印刷を実行した後に高さ検知エラーになり、その後再度ガーメントプリンタの場所に移動して「高さ調整」を実施するという手間が発生するのを避けることができる。
【0048】
なお、本実施形態においては、報知部42は、操作部18に印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接する旨を表示するようにしたが、これに限るものではなく、音声によって印刷媒体Gがインク吐出ヘッド10に当接する旨を報知するようにしてもよい。
【0049】
本実施形態のガーメントプリンタ1で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD-R、DVD(Digital Versatile Disc)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供される。
【0050】
また、本実施形態のガーメントプリンタ1で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態のガーメントプリンタ1で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0051】
また、本実施形態のガーメントプリンタ1で実行されるプログラムを、ROM等に予め組み込んで提供するように構成してもよい。
【0052】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0053】
1 印刷装置
10 インク吐出ヘッド
12 媒体支持部材
41 判定部
42 報知部
43 調整部
G 印刷媒体
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】