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特開2024-154160プラズマ処理システム、基板処理システム及びプラズマ処理装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154160
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】プラズマ処理システム、基板処理システム及びプラズマ処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20241023BHJP
   H01L 21/31 20060101ALI20241023BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20241023BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
H01L21/31 C
H01L21/68 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067833
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 睦
(74)【代理人】
【識別番号】100140431
【弁理士】
【氏名又は名称】大石 幸雄
(74)【代理人】
【識別番号】100135677
【弁理士】
【氏名又は名称】澤井 光一
(74)【代理人】
【識別番号】100131598
【弁理士】
【氏名又は名称】高村 和宗
(72)【発明者】
【氏名】平 隆志
【テーマコード(参考)】
5F004
5F045
5F131
【Fターム(参考)】
5F004BA09
5F004BB13
5F004BB22
5F004BB23
5F004BB25
5F004BB26
5F004BB28
5F004BC08
5F004CB12
5F045AA08
5F045BB08
5F045DP03
5F045DQ14
5F045EF05
5F045EH05
5F045EH13
5F045EJ03
5F045EJ04
5F045EJ09
5F045GB05
5F131BA04
5F131BA19
5F131BB05
5F131CA62
5F131EB82
5F131KA23
(57)【要約】
【課題】N個のプラズマ処理モジュールを含むプラズマ処理システムにおいて、消費電力を低減することができる技術を提供する。
【解決手段】プラズマ処理システムは、N個のプラズマ処理モジュールの各々が、プラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、上部電極アセンブリは、流路を有する伝熱部材を含む、上部電極アセンブリと、を含み、N個のプラズマ処理モジュールに含まれるN個の流路が、シーケンシャルに接続されるように構成される、N個のプラズマ処理モジュールと、出口が、N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1のプラズマ処理モジュールの流路に接続され、入口が、N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nのプラズマ処理モジュールの流路に接続されるチラーユニットと、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
N個のプラズマ処理モジュールと、
チラーユニットと、を備えるプラズマ処理システムであって、
前記N個のプラズマ処理モジュールの各々は、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、前記上部電極アセンブリは、流路を有する伝熱部材を含む、上部電極アセンブリと、を含み、
前記N個のプラズマ処理モジュールにそれぞれ含まれる、前記N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、
前記チラーユニットは、入口及び出口を有し、前記出口は、前記N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1のプラズマ処理モジュールの流路に接続され、前記入口は、前記N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nのプラズマ処理モジュールの流路に接続される、
プラズマ処理システム。
【請求項2】
N+1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N+1個の熱交換ユニットは、
前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間、前記第1のプラズマ処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間、及び、前記第Nのプラズマ処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間にそれぞれ配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項3】
前記N+1個の熱交換ユニットは、共通の恒温部との間で熱交換を行うように構成されている、
請求項2に記載のプラズマ処理システム。
【請求項4】
N-1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N-1個の熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間に配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項5】
前記N-1個の熱交換ユニットは、共通の恒温部との間で熱交換を行うように構成されている、
請求項4に記載のプラズマ処理システム。
【請求項6】
熱交換ユニットを、さらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項7】
前記第Nのプラズマ処理モジュールの流路と前記第1のプラズマ処理モジュールの流路とを接続し、前記チラーユニットに通じるメインラインと、
前記メインラインから分岐して、前記第Nのプラズマ処理モジュールの流路と前記第1のプラズマ処理モジュールの流路とを接続するバイパスラインと、を、さらに備える、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項8】
前記バイパスラインと、前記メインラインとを選択的に切り替える切り替え部を、さらに備える、
請求項7に記載のプラズマ処理システム。
【請求項9】
前記上部電極アセンブリに配置される温度センサを、さらに備える、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項10】
ブースターポンプを、さらに備え、
前記ブースターポンプは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
請求項1に記載のプラズマ処理システム。
【請求項11】
N個の基板処理モジュールと、
チラーユニットと、を備える基板処理システムであって、
前記N個の基板処理モジュールの各々は、流路を有する伝熱部材を含み、
前記N個の基板処理モジュールにそれぞれ含まれる、前記N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、
前記チラーユニットは、入口及び出口を有し、前記出口は、前記N個の基板処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1の基板処理モジュールの流路に接続され、前記入口は、前記N個の基板処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nの基板処理モジュールの流路に接続される、
基板処理システム。
【請求項12】
N+1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N+1個の熱交換ユニットは、
前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間、前記第1の基板処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間、及び、前記第Nの基板処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間にそれぞれ配置される、
請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項13】
N-1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N-1個の熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間に配置される、
請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項14】
熱交換ユニットを、さらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項15】
前記第Nの基板処理モジュールの流路と前記第1の基板処理モジュールの流路とを接続し、前記チラーユニットに通じるメインラインと、
前記メインラインから分岐し、前記第Nの基板処理モジュールの流路と前記第1の基板処理モジュールの流路とを接続するバイパスラインとを、さらに備える、
請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項16】
前記伝熱部材に配置される温度センサを、さらに備える、
請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項17】
ブースターポンプを、さらに備え、
前記ブースターポンプは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
請求項11に記載の基板処理システム。
【請求項18】
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、第1の流路を有する第1の伝熱部材を含む、基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、前記上部電極アセンブリは、第2の流路を有する第2の伝熱部材を含み、前記第2の流路は、前記第1の流路に接続されている、上部電極アセンブリと、
入口及び出口を有するチラーユニットであって、前記出口は、前記第1の流路及び前記第2の流路のうちの一方に接続され、前記入口は、前記第1の流路及び前記第2の流路のうちの他方に接続される、チラーユニットと、
を含む、プラズマ処理装置。
【請求項19】
熱交換ユニットを、さらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記第1の流路と前記第2の流路との間に配置される、
請求項18に記載のプラズマ処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の例示的実施形態は、プラズマ処理システム、基板処理システム及びプラズマ処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の基板処理部に対し、冷凍機から冷媒を分割供給する技術として、特許文献1に記載された技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-210080号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、N個のプラズマ処理モジュールを含むプラズマ処理システムにおいて、消費電力を低減することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの例示的実施形態におけるプラズマ処理システムは、N個のプラズマ処理モジュールと、チラーユニットと、を備えるプラズマ処理システムであって、N個のプラズマ処理モジュールの各々は、プラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、上部電極アセンブリは、流路を有する伝熱部材を含む、上部電極アセンブリと、を含み、N個のプラズマ処理モジュールにそれぞれ含まれる、N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、チラーユニットは、入口及び出口を有し、出口は、N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1のプラズマ処理モジュールの流路に接続され、入口は、N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nのプラズマ処理モジュールの流路に接続される。
【発明の効果】
【0006】
本開示の一つの例示的実施形態によれば、N個のプラズマ処理モジュールを含むプラズマ処理システムにおいて、消費電力を低減することができる技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】プラズマ処理システムの構成例を説明するための図である。
図2】容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
図3】プラズマ処理システムにおけるチラーユニットの配管構成の例を説明するための図である。
図4】プラズマ処理システムにおけるチラーユニットの他の配管構成の例を説明するための図である。
図5】プラズマ処理装置の他の構成例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の各実施形態について説明する。
【0009】
一つの例示的実施形態において、N個のプラズマ処理モジュールと、チラーユニットと、を備えるプラズマ処理システムであって、N個のプラズマ処理モジュールの各々は、プラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、上部電極アセンブリは、流路を有する伝熱部材を含む、上部電極アセンブリと、を含み、N個のプラズマ処理モジュールにそれぞれ含まれる、N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、チラーユニットは、入口及び出口を有し、出口は、N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1のプラズマ処理モジュールの流路に接続され、入口は、N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nのプラズマ処理モジュールの流路に接続される、プラズマ処理システムが提供される。
【0010】
一つの例示的実施形態において、N+1個の熱交換ユニットを、さらに備え、N+1個の熱交換ユニットは、N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間、第1のプラズマ処理モジュールの流路とチラーユニットとの間、及び、第Nのプラズマ処理モジュールの流路とチラーユニットとの間にそれぞれ配置される。
【0011】
一つの例示的実施形態において、N+1個の熱交換ユニットは、共通の恒温部との間で熱交換を行うように構成されている。
【0012】
一つの例示的実施形態において、N-1個の熱交換ユニットを、さらに備え、N-1個の熱交換ユニットは、N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間に配置される。
【0013】
一つの例示的実施形態において、N-1個の熱交換ユニットは、共通の恒温部との間で熱交換を行うように構成されている。
【0014】
一つの例示的実施形態において、熱交換ユニットを、さらに備え、熱交換ユニットは、N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される。
【0015】
一つの例示的実施形態において、第Nのプラズマ処理モジュールの流路と第1のプラズマ処理モジュールの流路とを接続し、チラーユニットに通じるメインラインと、メインラインから分岐して、第Nのプラズマ処理モジュールの流路と第1のプラズマ処理モジュールの流路とを接続するバイパスラインと、を、さらに備える。
【0016】
一つの例示的実施形態において、バイパスラインと、メインラインとを選択的に切り替える切り替え部を、さらに備える。
【0017】
一つの例示的実施形態において、上部電極アセンブリに配置される温度センサを、さらに備える。
【0018】
一つの例示的実施形態において、ブースターポンプを、さらに備え、ブースターポンプは、N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される。
【0019】
一つの例示的実施形態において、N個の基板処理モジュールと、チラーユニットと、を備える基板処理システムであって、N個の基板処理モジュールの各々は、流路を有する伝熱部材を含み、N個の基板処理モジュールにそれぞれ含まれる、N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、チラーユニットは、入口及び出口を有し、出口は、N個の基板処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1の基板処理モジュールの流路に接続され、入口は、N個の基板処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nの基板処理モジュールの流路に接続される、基板処理システムが提供される。
【0020】
一つの例示的実施形態において、N+1個の熱交換ユニットを、さらに備え、N+1個の熱交換ユニットは、N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間、第1の基板処理モジュールの流路とチラーユニットとの間、及び、第Nの基板処理モジュールの流路とチラーユニットとの間にそれぞれ配置される。
【0021】
一つの例示的実施形態において、N-1個の熱交換ユニットを、さらに備え、N-1個の熱交換ユニットは、N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間に配置される。
【0022】
一つの例示的実施形態において、熱交換ユニットを、さらに備え、熱交換ユニットは、N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される。
【0023】
一つの例示的実施形態において、第Nの基板処理モジュールの流路と第1の基板処理モジュールの流路とを接続し、チラーユニットに通じるメインラインと、メインラインから分岐し、第Nの基板処理モジュールの流路と第1の基板処理モジュールの流路とを接続するバイパスラインとを、さらに備える。
【0024】
一つの例示的実施形態において、伝熱部材に配置される温度センサを、さらに備える。
【0025】
一つの例示的実施形態において、ブースターポンプを、さらに備え、ブースターポンプは、N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される。
【0026】
一つの例示的実施形態において、プラズマ処理チャンバと、プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であって、基板支持部は、第1の流路を有する第1の伝熱部材を含む、基板支持部と、基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、上部電極アセンブリは、第2の流路を有する第2の伝熱部材を含み、第2の流路は、第1の流路に接続されている、上部電極アセンブリと、入口及び出口を有するチラーユニットであって、出口は、第1の流路及び第2の流路のうちの一方に接続され、入口は、第1の流路及び第2の流路のうちの他方に接続される、チラーユニットと、を含む、プラズマ処理装置が提供される。
【0027】
一つの例示的実施形態において、熱交換ユニットを、さらに備え、熱交換ユニットは、第1の流路と第2の流路との間に配置される。
【0028】
以下、図面を参照して、本開示の各実施形態について詳細に説明する。なお、各図面において同一または同様の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づいて上下左右等の位置関係を説明する。図面の寸法比率は実際の比率を示すものではなく、また、実際の比率は図示の比率に限られるものではない。
【0029】
<プラズマ処理システムの一例>
図1は、プラズマ処理システムPSの構成例を説明するための図である。一実施形態において、プラズマ処理システムPSは、プラズマ処理装置1及び制御部2を含む。プラズマ処理システムPSは、基板処理システムの一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理モジュール及び基板処理モジュールの一例である。プラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、基板支持部11及びプラズマ生成部12を含む。プラズマ処理チャンバ10は、プラズマ処理空間を有する。また、プラズマ処理チャンバ10は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間に供給するための少なくとも1つのガス供給口と、プラズマ処理空間からガスを排出するための少なくとも1つのガス排出口とを有する。ガス供給口は、後述するガス供給部20に接続され、ガス排出口は、後述する排気システム40に接続される。基板支持部11は、プラズマ処理空間内に配置され、基板を支持するための基板支持面を有する。
【0030】
プラズマ生成部12は、プラズマ処理空間内に供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマを生成するように構成される。プラズマ処理空間において形成されるプラズマは、容量結合プラズマ(CCP;Capacitively Coupled Plasma)、誘導結合プラズマ(ICP;Inductively Coupled Plasma)、ECRプラズマ(Electron-Cyclotron-resonance plasma)、ヘリコン波励起プラズマ(HWP:Helicon Wave Plasma)、又は、表面波プラズマ(SWP:Surface Wave Plasma)等であってもよい。また、AC(Alternating Current)プラズマ生成部及びDC(Direct Current)プラズマ生成部を含む、種々のタイプのプラズマ生成部が用いられてもよい。一実施形態において、ACプラズマ生成部で用いられるAC信号(AC電力)は、100kHz~10GHzの範囲内の周波数を有する。従って、AC信号は、RF(Radio Frequency)信号及びマイクロ波信号を含む。一実施形態において、RF信号は、 100kHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。
【0031】
制御部2は、本開示において述べられる種々の工程をプラズマ処理装置1に実行させるコンピュータ実行可能な命令を処理する。制御部2は、ここで述べられる種々の工程を実行するようにプラズマ処理装置1の各要素を制御するように構成され得る。一実施形態において、制御部2の一部又は全てがプラズマ処理装置1に含まれてもよい。制御部2は、例えばコンピュータ2aを含んでもよい。コンピュータ2aは、例えば、処理部(CPU:Central Processing Unit)2a1、記憶部2a2、及び通信インターフェース2a3を含んでもよい。処理部2a1は、記憶部2a2からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することにより種々の制御動作を行うように構成され得る。このプログラムは、予め記憶部2a2に格納されていてもよく、必要なときに、媒体を介して取得されてもよい。取得されたプログラムは、記憶部2a2に格納され、処理部2a1によって記憶部2a2から読み出されて実行される。媒体は、コンピュータ2aに読み取り可能な種々の記憶媒体であってもよく、通信インターフェース2a3に接続されている通信回線であってもよい。記憶部2a2は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。通信インターフェース2a3は、LAN(Local Area Network)等の通信回線を介してプラズマ処理装置1との間で通信してもよい。
【0032】
以下に、プラズマ処理装置1の一例としての容量結合型のプラズマ処理装置の構成例について説明する。図2は、容量結合型のプラズマ処理装置の構成例を説明するための図である。
【0033】
容量結合型のプラズマ処理装置1は、プラズマ処理チャンバ10、ガス供給部20、電源30及び排気システム40を含む。また、プラズマ処理装置1は、基板支持部11及びガス導入部を含む。ガス導入部は、少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理チャンバ10内に導入するように構成される。ガス導入部は、シャワーヘッド13を含む。基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10内に配置される。シャワーヘッド13は、基板支持部11の上方に配置される。一実施形態において、シャワーヘッド13は、プラズマ処理チャンバ10の天部(ceiling)の少なくとも一部を構成する。プラズマ処理チャンバ10は、シャワーヘッド13、プラズマ処理チャンバ10の側壁10a及び基板支持部11により規定されたプラズマ処理空間10sを有する。プラズマ処理チャンバ10は接地される。シャワーヘッド13及び基板支持部11は、プラズマ処理チャンバ10筐体とは電気的に絶縁される。
【0034】
基板支持部11は、本体部111及びリングアセンブリ112を含む。本体部111は、基板Wを支持するための中央領域111aと、リングアセンブリ112を支持するための環状領域111bとを有する。ウェハは基板Wの一例である。本体部111の環状領域111bは、平面視で本体部111の中央領域111aを囲んでいる。基板Wは、本体部111の中央領域111a上に配置され、リングアセンブリ112は、本体部111の中央領域111a上の基板Wを囲むように本体部111の環状領域111b上に配置される。従って、中央領域111aは、基板Wを支持するための基板支持面とも呼ばれ、環状領域111bは、リングアセンブリ112を支持するためのリング支持面とも呼ばれる。
【0035】
一実施形態において、本体部111は、基台1110及び静電チャック1111を含む。基台1110は、導電性部材を含む。基台1110の導電性部材は下部電極として機能し得る。静電チャック1111は、基台1110の上に配置される。静電チャック1111は、セラミック部材1111aとセラミック部材1111a内に配置される静電電極1111bとを含む。セラミック部材1111aは、中央領域111aを有する。一実施形態において、セラミック部材1111aは、環状領域111bも有する。なお、環状静電チャックや環状絶縁部材のような、静電チャック1111を囲む他の部材が環状領域111bを有してもよい。この場合、リングアセンブリ112は、環状静電チャック又は環状絶縁部材の上に配置されてもよく、静電チャック1111と環状絶縁部材の両方の上に配置されてもよい。また、RF又はDC電極がセラミック部材1111a内に配置されてもよく、この場合、RF又はDC電極が下部電極として機能する。後述するバイアスRF信号又はDC信号がRF又はDC電極に接続される場合、RF又はDC電極はバイアス電極とも呼ばれる。なお、基台1110の導電性部材とRF又はDC電極との両方が2つの下部電極として機能してもよい。
【0036】
リングアセンブリ112は、1又は複数の環状部材を含む。一実施形態において、1又は複数の環状部材は、1又は複数のエッジリングと少なくとも1つのカバーリングとを含む。エッジリングは、導電性材料又は絶縁材料で形成され、カバーリングは、絶縁材料で形成される。
【0037】
また、基板支持部11は、静電チャック1111、リングアセンブリ112及び基板のうち少なくとも1つをターゲット温度に調節するように構成される温調モジュールを含んでもよい。温調モジュールは、ヒータ、伝熱媒体、流路1112、又はこれらの組み合わせを含んでもよい。流路1112には、ブラインやガスのような伝熱流体が流れる。一実施形態において、流路1112が基台1110内に形成され、1又は複数のヒータが静電チャック1111のセラミック部材1111a内に配置される。基台1110は、伝熱部材の一例であり得る。流路1112は、配管1113を介して、チャンバ10の外部に配置されたチラーユニットに接続されてよい。伝熱流体は、チラーユニットから配管1113を介して流路1112に供給され、流路1112から配管1113を介してチラーユニットに戻されてよい。また、基板支持部11は、基板Wの裏面と中央領域111aとの間に伝熱ガスを供給するように構成された伝熱ガス供給部を含んでもよい。
【0038】
シャワーヘッド13は、上部電極アセンブリ50を含んでよい。上部電極アセンブリ50は、部材51を介してチャンバ10に取り付けられてよい。上部電極アセンブリ50は、基板支持部11の上方に配置されてよい。上部電極アセンブリ50は、天板60と支持体61を含んでよい。天板60は、上部電極アセンブリ50の下部に配置され、プラズマ処理空間10sに露出してよい。天板60は、絶縁性材料で形成されてよい。支持体61は、上部電極アセンブリ50の上部に配置されてよい。支持体61は、導電性材料及び伝熱性材料により形成されてよい。支持体61は、伝熱部材の一例である。支持体61は、上部電極であってよい。支持体61には、流路70が形成されてよい。流路70は、支持体61の内部に渦巻き状に延設されてよい。流路70は、配管71を介して伝熱流体が供給され、配管71を介して伝熱流体が排出されるように構成されてよい。上部電極アセンブリ50は、温度センサ80を含んでよい。温度センサ80は、支持体61に配置されてよい。
【0039】
シャワーヘッド13は、ガス供給部20からの少なくとも1つの処理ガスをプラズマ処理空間10s内に導入するように構成される。シャワーヘッド13は、少なくとも1つのガス供給口13a、少なくとも1つのガス拡散室13b、及び複数のガス導入口13cを有する。ガス供給口13aに供給された処理ガスは、ガス拡散室13bを通過して複数のガス導入口13cからプラズマ処理空間10s内に導入される。なお、ガス導入部は、シャワーヘッド13に加えて、側壁10aに形成された1又は複数の開口部に取り付けられる1又は複数のサイドガス注入部(SGI:Side Gas Injector)を含んでもよい。
【0040】
ガス供給部20は、少なくとも1つのガスソース21及び少なくとも1つの流量制御器22を含んでもよい。一実施形態において、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスを、それぞれに対応のガスソース21からそれぞれに対応の流量制御器22を介してシャワーヘッド13に供給するように構成される。各流量制御器22は、例えばマスフローコントローラ又は圧力制御式の流量制御器を含んでもよい。さらに、ガス供給部20は、少なくとも1つの処理ガスの流量を変調又はパルス化する少なくとも1つの流量変調デバイスを含んでもよい。
【0041】
電源30は、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介してプラズマ処理チャンバ10に結合されるRF電源31を含む。RF電源31は、ソースRF信号及びバイアスRF信号のような少なくとも1つのRF信号(RF電力)を、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給するように構成される。これにより、プラズマ処理空間10sに供給された少なくとも1つの処理ガスからプラズマが形成される。従って、RF電源31は、プラズマ生成部12の少なくとも一部として機能し得る。また、バイアスRF信号を少なくとも1つの下部電極に供給することにより、基板Wにバイアス電位が発生し、形成されたプラズマ中のイオン成分を基板Wに引き込むことができる。
【0042】
一実施形態において、RF電源31は、第1のRF生成部31a及び第2のRF生成部31bを含む。第1のRF生成部31aは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に結合され、プラズマ生成用のソースRF信号(ソースRF電力)を生成するように構成される。一実施形態において、ソースRF信号は、10MHz~150MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第1のRF生成部31aは、異なる周波数を有する複数のソースRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のソースRF信号は、少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に供給される。
【0043】
第2のRF生成部31bは、少なくとも1つのインピーダンス整合回路を介して少なくとも1つの下部電極に結合され、バイアスRF信号(バイアスRF電力)を生成するように構成される。バイアスRF信号の周波数は、ソースRF信号の周波数と同じであっても異なっていてもよい。一実施形態において、バイアスRF信号は、ソースRF信号の周波数よりも低い周波数を有する。一実施形態において、バイアスRF信号は、100kHz~60MHzの範囲内の周波数を有する。一実施形態において、第2のRF生成部31bは、異なる周波数を有する複数のバイアスRF信号を生成するように構成されてもよい。生成された1又は複数のバイアスRF信号は、少なくとも1つの下部電極に供給される。また、種々の実施形態において、ソースRF信号及びバイアスRF信号のうち少なくとも1つがパルス化されてもよい。
【0044】
また、電源30は、プラズマ処理チャンバ10に結合されるDC電源32を含んでもよい。DC電源32は、第1のDC生成部32a及び第2のDC生成部32bを含む。一実施形態において、第1のDC生成部32aは、少なくとも1つの下部電極に接続され、第1のDC信号を生成するように構成される。生成された第1のDC信号は、少なくとも1つの下部電極に印加される。一実施形態において、第2のDC生成部32bは、少なくとも1つの上部電極に接続され、第2のDC信号を生成するように構成される。生成された第2のDC信号は、少なくとも1つの上部電極に印加される。
【0045】
種々の実施形態において、第1及び第2のDC信号がパルス化されてもよい。この場合、DCに基づく電圧パルスのシーケンスが少なくとも1つの下部電極及び/又は少なくとも1つの上部電極に印加される。電圧パルスは、矩形、台形、三角形又はこれらの組み合わせのパルス波形を有してもよい。一実施形態において、DC信号から電圧パルスのシーケンスを生成するための波形生成部が第1のDC生成部32aと少なくとも1つの下部電極との間に接続される。従って、第1のDC生成部32a及び波形生成部は、電圧パルス生成部を構成する。第2のDC生成部32b及び波形生成部が電圧パルス生成部を構成する場合、電圧パルス生成部は、少なくとも1つの上部電極に接続される。電圧パルスは、正の極性を有してもよく、負の極性を有してもよい。また、電圧パルスのシーケンスは、1周期内に1又は複数の正極性電圧パルスと1又は複数の負極性電圧パルスとを含んでもよい。なお、第1及び第2のDC生成部32a,32bは、RF電源31に加えて設けられてもよく、第1のDC生成部32aが第2のRF生成部31bに代えて設けられてもよい。
【0046】
排気システム40は、例えばプラズマ処理チャンバ10の底部に設けられたガス排出口10eに接続され得る。排気システム40は、圧力調整弁及び真空ポンプを含んでもよい。圧力調整弁によって、プラズマ処理空間10s内の圧力が調整される。真空ポンプは、ターボ分子ポンプ、ドライポンプ又はこれらの組み合わせを含んでもよい。
【0047】
図3に示すように、プラズマ処理システムPSは、N個のプラズマ処理装置1と一つのチラーユニット200を含んでよい。「N」は、2以上の整数である。プラズマ処理システムPSは、5個以上、10個以上、20個以上のプラズマ処理装置1を含んでよい。各プラズマ処理装置1は、上述のように、流路70を有する上部電極アセンブリ50を有してよい。N個のプラズマ処理装置1に含まれるN個の流路70は、シーケンシャル(所定の順番で直列的)に接続されてよい。以下、N個のプラズマ処理装置1は、上流側から下流側に向かって第1のプラズマ処理装置1-1、第2のプラズマ処理装置1-2、第3のプラズマ処理装置1-3、・・・第Nのプラズマ処理装置1-Nと表す。N個のプラズマ処理装置1のN個の流路70は、上流側から下流側に向かって流路70-1、70-2、70-3、・・・70-Nと表す。
【0048】
チラーユニット200は、温度調整装置及びポンプを含んでよい。チラーユニット200は、入口200bから流入した伝熱流体を所定の温度に調整し出口200aから送出し得る。
【0049】
出口200aは、配管71-1を介して第1のプラズマ処理装置1-1の流路70-1に接続されてよい。入口200bは、配管71-(N+1)を介して第Nのプラズマ処理装置1-Nに接続されてよい。N個のプラズマ処理装置1のN個の流路70同士は、配管71-2、71-3・・・71-Nを介して接続されてよい。
【0050】
プラズマ処理システムPSは、N+1個の熱交換ユニット250を、さらに含んでよい。N+1個の熱交換ユニット250は、N個の流路70における隣り合う流路70の間、第1のプラズマ処理装置1-1の流路70-1とチラーユニット200との間、及び、第Nのプラズマ処理装置1-Nの流路70-Nとチラーユニット200との間にそれぞれ配置されてよい。すなわち、熱交換ユニット250-1は、チラーユニット200の出口200aと第1のプラズマ処理装置1-1との間の配管71-1に配置されてよい。熱交換ユニット250-2~250-Nは、N個の流路70同士の間の配管71-2~71-Nに配置されてよい。熱交換ユニット250-(N+1)は、第Nのプラズマ処理装置1-Nとチラーユニット200の入口200bとの間の配管71-(N+1)に配置されてよい。N+1個の熱交換ユニット250は、共通の恒温部260との間で熱を交換してよい。恒温部260は、冷却部や加熱部により一定温度に保たれてよい。恒温部260は、周辺雰囲気により常温に保たれてよい。
【0051】
プラズマ処理システムPSは、ブースターポンプ270をさらに含んでよい。ブースターポンプ270は、隣り合う流路70の間に配置されてよい。ブースターポンプ270は、N個の流路70における全ての流路70間に配置されてよいし、一部の流路70間に配置されてよい。
【0052】
N個のプラズマ処理装置1は、クリーンルームに配置されてよい。チラーユニット200は、クリーンルーム外に設けられてよい。チラーユニット200は、クリーンルームの階下の室に設けられてよい。チラーユニット200と第1のプラズマ処理装置1-1とを接続する配管71-1と、チラーユニット200と第Nのプラズマ処理装置1-Nとを接続する配管71-(N+1)は、10m以上の長さを有してよい。
【0053】
なお、N個の各プラズマ処理装置1において、流路70の入口側に接続された配管71と流路70の出口側に接続された配管71は、流路70を迂回するサブ配管(図示せず)を介して互いに接続されてよい。サブ配管には、バルブが設けられてよい。N個のプラズマ処理装置1のうちの特定のプラズマ処理装置1の流路70に伝熱流体を供給しない場合に、サブ配管のバルブを開けて、特定の流路70を迂回するようにしてよい。
【0054】
<プラズマ処理方法の一例>
プラズマ処理方法は、プラズマを用いて基板W上の膜をエッチングするエッチング処理を含む。一実施形態において、プラズマ処理方法は、プラズマ処理装置1において制御部2により実行される。
【0055】
先ず、基板Wが、搬送アームによりチャンバ10内に搬入され、リフターにより基板支持部11に載置され、図2に示すように基板支持部11上に吸着保持される。
【0056】
次に、処理ガスが、ガス供給部20によりシャワーヘッド13に供給され、シャワーヘッド13からプラズマ処理空間10sに供給される。このとき供給される処理ガスは、基板Wのエッチング処理のために必要な活性種を生成するガスを含む。
【0057】
1又は複数のRF信号がRF電源31から上部電極及び/又は下部電極に供給される。プラズマ処理空間10s内の雰囲気はガス排出口10eから排気され、プラズマ処理空間10sの内部は減圧されてもよい。これにより、プラズマ処理空間10sの基板支持部11上にプラズマが生成され、基板Wがエッチング処理される。
【0058】
図3に示すプラズマ処理システムPSのN個のプラズマ処理装置1においてプラズマ処理が行われてよい。N個のプラズマ処理装置1において、上部電極アセンブリ50の流路70に伝熱流体が流され、上部電極アセンブリ50の温度が調整されてよい。上部電極アセンブリ50は、常温よりも50℃以上高い、100℃以上の目標温度に調整されてよい。
【0059】
一実施形態において、上部電極アセンブリ50は、目標温度T(例えば120℃)の伝熱流体で温度調整されてよい。この場合、チラーユニット200は、目標温度T(120℃)に調整された伝熱流体を第1のプラズマ処理装置1-1に供給される。伝熱流体は、チラーユニット200の出口200aから出て配管71-1を流れる。このとき、伝熱流体は、周囲の常温雰囲気により冷やされる。伝熱流体は、例えば115℃に冷却される。次に、伝熱流体は、配管71-1において熱交換ユニット250-1により目標温度T(120℃)に戻される。そして、目標温度Tの伝熱流体が、第1のプラズマ処理装置1-1の流路70-1に供給される。伝熱流体は、上部電極アセンブリ50の熱により昇温し、目標温度Tよりも高い温度(例えば125℃)で流路70-1から配管71-2に排出される。上部電極アセンブリ50の熱は、RF信号の供給や、プラズマ処理空間10sにおけるプラズマの生成により生じ得る。
【0060】
次に、伝熱流体は、配管71-2において熱交換ユニット250-2により目標温度T(120℃)に戻される。そして、目標温度Tの伝熱流体が、次の第2のプラズマ処理装置1-2の流路70-2に供給される。伝熱流体は、第2のプラズマ処理装置1-2の上部電極アセンブリ50の熱により昇温し、目標温度Tよりも高い温度(例えば125℃)で流路70-2から配管71-3に排出される。そして、伝熱流体は、配管71-3において熱交換ユニット250-3により再び目標温度T(120℃)に戻される。このようにして、伝熱流体は、第1のプラズマ処理装置1-1の流路70-1から第Nのプラズマ処理装置1-Nの流路70-Nに順に流れる。N個の各流路70には、目標温度Tの伝熱流体が供給され得る。
【0061】
伝熱流体は、最後の第Nのプラズマ処理装置1-Nにおいて上部電極アセンブリ50の熱により昇温し、目標温度Tよりも高い温度(例えば125℃)で流路70-Nから配管71-(N+1)に排出される。伝熱流体は、配管71-(N+1)において熱交換ユニット250-(N+1)により目標温度T(120℃)に戻される。その後、伝熱流体は、配管71-(N+1)を通ってチラーユニット200に戻される。このとき、伝熱流体は、周囲の常温雰囲気により冷やされる。チラーユニット200は、入口200bから入った伝熱流体を目標温度Tに戻し、再び、配管71-1を通じて第1のプラズマ処理装置1-1に供給する。こうして、伝熱流体は、チラーユニット200とN個のプラズマ処理装置1との間で循環される。
【0062】
温度センサ80は、N個の各プラズマ処理装置1において上部電極アセンブリ50の温度を検出してよい。チラーユニット200は、温度センサ80による検出された温度に基づいて、伝熱流体の温度を調整してよい。チラーユニット200は、温度センサ80により検出された温度に基づいて、伝熱流体の供給流量を調整してよい。
【0063】
本例示的実施形態によれば、プラズマ処理システムPSが、N個のプラズマ処理装置1と、チラーユニット200を含み、N個のプラズマ処理装置1に含まれるN個の流路70が、シーケンシャルに接続され、チラーユニット200の出口200aが、第1のプラズマ処理装置1-1の流路70-1に接続され、チラーユニット200の入口200bが、第Nのプラズマ処理装置1-Nの流路70-Nに接続されている。これにより、N個のプラズマ処理装置1を含むプラズマ処理システムPSにおいて、消費電力を低減することができる。また、プラズマ処理システムPSにおいて、伝熱流体の供給経路の全長を短くすることができ、この結果、伝熱流体の熱損失を低減することができる。また、伝熱流体の供給経路の断熱材の使用量を低減することができ、コストを低減することができる。
【0064】
プラズマ処理システムPSが熱交換ユニット250を含むことで、N個のプラズマ処理装置1の各流路70に流れる伝熱流体の温度を微調整することができる。
【0065】
複数個の熱交換ユニット250が共通の恒温部260との間で熱交換を行うように構成されているので、実質的に熱交換ユニット250間でも熱のやり取りを行うことができ、プラズマ処理システムPS全体の熱効率を向上することができる。
【0066】
図4に示すように、上記実施の形態において、プラズマ処理システムPSは、第Nのプラズマ処理装置1-Nの流路70-Nと第1のプラズマ処理装置1-1の流路70-1とを、チラーユニット200を迂回して接続するように構成されるバイパスライン300を含んでよい。バイパスライン300は、チラーユニット200に通じるメインラインから分岐してよい。バイパスライン300は、配管71-(N+1)と配管71-1を直接接続してよい。バイパスライン300は、バルブ310とポンプ311を有してよい。配管71-(N+1)におけるバイパスライン300の分岐点P1よりもチラーユニット200に近い部分(分岐点P1よりも下流側)、又は、配管71-1におけるバイパスライン300の合流点P2よりもチラーユニット200に近い部分(合流点P2よりも上流側)に、バルブ312を配置してよい。バルブ310及びバルブ312は、切り替え部の一例である。
【0067】
第Nのプラズマ処理装置1-Nから排出される伝熱流体が、所定温度(例えば目標温度T)に到達している場合に、バイパスライン300のバルブ310が開けられ、バルブ312が閉じられ、ポンプ311が作動して、伝熱流体は、チラーユニット200を介さずバイパスライン300を介して循環されてよい。第Nのプラズマ処理装置1-Nから排出される伝熱流体が、所定温度(例えば目標温度T)に到達していない場合に、バイパスライン300のバルブ310が閉じられ、バルブ312が開けられ、ポンプ311が停止されて、伝熱流体は、チラーユニット200(メインライン)を介して循環されてよい。
【0068】
以上の実施形態において、プラズマ処理システムPSは、N-1個の熱交換ユニット250を備え、N-1個の熱交換ユニット250は、N個の流路70における隣り合う流路70間に配置されてよい。熱交換ユニット250は、配管71-1及び配管71-(N+1)には配置されず、配管71-2から71-Nに配置されてよい。
【0069】
プラズマ処理システムPSにおいて、熱交換ユニット250は、N個の流路70における一部の流路70間にのみ配置されてよい。熱交換ユニット250は、配管71-2から71-Nの中のいずれか一つ又は複数に配置されてよい。
【0070】
以上の実施の形態において、N個のプラズマ処理装置1に含まれるN個の流路70がシーケンシャルに接続されていたが、基板支持部11のN個の流路1112が、シーケンシャルに接続されてよい。チラーユニット200の出口200aが、第1のプラズマ処理装置1-1の流路1112に接続され、チラーユニット200の入口200bが、第Nのプラズマ処理装置1-Nの流路1112に接続されてよい。また、N個のプラズマ処理装置1の各々が他の流路を有し、当該N個の流路がシーケンシャルに接続されてよい。
【0071】
図5に示すように、プラズマ処理装置1において、上部電極アセンブリ50の流路70と基板支持部11の流路1112が互いに接続されてよい。流路70と流路1112は、配管400を介して接続されてよい。チラーユニット200の出口200aは、流路70及び流路1112のうちの一方に接続され、入口200bは、流路70及び流路1112のうちの他方に接続されてよい。チラーユニット200の出口200aは、配管71を介して流路70に接続され、入口200bは、配管1113を介して流路1112に接続されてよい。これにより、伝熱流体は、チラーユニット200の出口200aから配管71を通って上部電極アセンブリ50の流路70に流入し、流路70を通って配管400に排出されてよい。次に伝熱流体は、配管400を通って、配管400から基板支持部11の流路1112に流入し、流路1112を通って配管1113に排出されてよい。そして、伝熱流体は、配管1113を通ってチラーユニット200の入口200bに戻されてよい。配管400には、熱交換ユニット250が配置されてよい。
【0072】
上記プラズマ処理システムPSのN個のプラズマ処理装置1において、流路70及び流路1112が互いに接続されてよく、N個の互いに接続された流路70及び流路1112が、シーケンシャルに接続されてよい。この場合、チラーユニット200の出口200aは、第1のプラズマ処理装置1-1の流路70及び流路1112に接続され、入口200bは、第Nのプラズマ処理装置1-Nの流路70及び流路1112に接続されてよい。
【0073】
上記実施形態は、容量結合型のプラズマ処理装置であったが、これに限定されるものではなく、他のプラズマ装置に適用してよい。例えば、容量結合型のプラズマ処理装置に代えて、誘導結合型のプラズマ処理装置が用いられてもよい。上記実施形態は、プラズマ処理装置以外の基板処理装置に適用してよい。
【0074】
本開示の実施形態は、以下の態様をさらに含む。
【0075】
(付記1)
N個のプラズマ処理モジュールと、
チラーユニットと、を備えるプラズマ処理システムであって、
前記N個のプラズマ処理モジュールの各々は、
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、前記上部電極アセンブリは、流路を有する伝熱部材を含む、上部電極アセンブリと、を含み、
前記N個のプラズマ処理モジュールにそれぞれ含まれる、前記N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、
前記チラーユニットは、入口及び出口を有し、前記出口は、前記N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1のプラズマ処理モジュールの流路に接続され、前記入口は、前記N個のプラズマ処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nのプラズマ処理モジュールの流路に接続される、
プラズマ処理システム。
【0076】
(付記2)
N+1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N+1個の熱交換ユニットは、
前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間、前記第1のプラズマ処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間、及び、前記第Nのプラズマ処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間にそれぞれ配置される、
付記1に記載のプラズマ処理システム。
【0077】
(付記3)
前記N+1個の熱交換ユニットは、共通の恒温部との間で熱交換を行うように構成されている、
付記2に記載のプラズマ処理システム。
【0078】
(付記4)
N-1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N-1個の熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間に配置される、
付記1に記載のプラズマ処理システム。
【0079】
(付記5)
前記N-1個の熱交換ユニットは、共通の恒温部との間で熱交換を行うように構成されている、
付記4に記載のプラズマ処理システム。
【0080】
(付記6)
熱交換ユニットを、さらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
付記1に記載のプラズマ処理システム。
【0081】
(付記7)
前記第Nのプラズマ処理モジュールの流路と前記第1のプラズマ処理モジュールの流路とを接続し、前記チラーユニットに通じるメインラインと、
前記メインラインから分岐して、前記第Nのプラズマ処理モジュールの流路と前記第1のプラズマ処理モジュールの流路とを接続するバイパスラインと、を、さらに備える、
付記1から6のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【0082】
(付記8)
前記バイパスラインと、前記メインラインとを選択的に切り替える切り替え部を、さらに備える、
付記7に記載のプラズマ処理システム。
【0083】
(付記9)
前記上部電極アセンブリに配置される温度センサを、さらに備える、
付記1から8のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【0084】
(付記10)
ブースターポンプを、さらに備え、
前記ブースターポンプは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
付記1から9のいずれか一項に記載のプラズマ処理システム。
【0085】
(付記11)
N個の基板処理モジュールと、
チラーユニットと、を備える基板処理システムであって、
前記N個の基板処理モジュールの各々は、流路を有する伝熱部材を含み、
前記N個の基板処理モジュールにそれぞれ含まれる、前記N個の流路は、シーケンシャルに接続されており、
前記チラーユニットは、入口及び出口を有し、前記出口は、前記N個の基板処理モジュールのうちの最も上流側に位置する第1の基板処理モジュールの流路に接続され、前記入口は、前記N個の基板処理モジュールのうちの最も下流側に位置する第Nの基板処理モジュールの流路に接続される、
基板処理システム。
【0086】
(付記12)
N+1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N+1個の熱交換ユニットは、
前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間、前記第1の基板処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間、及び、前記第Nの基板処理モジュールの流路と前記チラーユニットとの間にそれぞれ配置される、
付記11に記載の基板処理システム。
【0087】
(付記13)
N-1個の熱交換ユニットを、さらに備え、
前記N-1個の熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路のそれぞれの間に配置される、
付記11に記載の基板処理システム。
【0088】
(付記14)
熱交換ユニットを、さらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
付記11に記載の基板処理システム。
【0089】
(付記15)
前記第Nの基板処理モジュールの流路と前記第1の基板処理モジュールの流路とを接続し、前記チラーユニットに通じるメインラインと、
前記メインラインから分岐し、前記第Nの基板処理モジュールの流路と前記第1の基板処理モジュールの流路とを接続するバイパスラインとを、さらに備える、
付記11から14のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【0090】
(付記16)
前記伝熱部材に配置される温度センサを、さらに備える、
付記11から15のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【0091】
(付記17)
ブースターポンプを、さらに備え、
前記ブースターポンプは、前記N個の流路における隣り合う2つの流路の間に配置される、
付記11から16のいずれか一項に記載の基板処理システム。
【0092】
(付記18)
プラズマ処理チャンバと、
前記プラズマ処理チャンバ内に配置される基板支持部であって、前記基板支持部は、第1の流路を有する第1の伝熱部材を含む、基板支持部と、
前記基板支持部の上方に配置される上部電極アセンブリであって、前記上部電極アセンブリは、第2の流路を有する第2の伝熱部材を含み、前記第2の流路は、前記第1の流路に接続されている、上部電極アセンブリと、
入口及び出口を有するチラーユニットであって、前記出口は、前記第1の流路及び前記第2の流路のうちの一方に接続され、前記入口は、前記第1の流路及び前記第2の流路のうちの他方に接続される、チラーユニットと、
を含む、プラズマ処理装置。
【0093】
(付記19)
熱交換ユニットを、さらに備え、
前記熱交換ユニットは、前記第1の流路と前記第2の流路との間に配置される、
付記18に記載のプラズマ処理装置。
【0094】
以上の各実施形態は、説明の目的で記載されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【符号の説明】
【0095】
1……プラズマ処理装置、1-1……第1のプラズマ処理装置、1-N……第Nのプラズマ処理装置、10……チャンバ、11……基板支持部、50……上部電極アセンブリ、70……流路、200……チラーユニット、200a……出口、200b……入口、250……熱交換ユニット、PS……プラズマ処理システム、W…基板
図1
図2
図3
図4
図5