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特開2024-154175基板搬送機構制御方法及び基板処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154175
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】基板搬送機構制御方法及び基板処理システム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
H01L21/68 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067865
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】今川 博人
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131AA03
5F131AA32
5F131AA33
5F131AA34
5F131BA00
5F131BB04
5F131CA18
5F131DA02
5F131DA22
5F131DA42
5F131DB02
5F131DB54
5F131DB76
5F131DD03
5F131DD12
5F131DD33
5F131DD43
5F131DD72
(57)【要約】
【課題】基板搬送機構の動作の補正に要する時間を短縮する基板搬送機構制御方法及び基板処理システムを提供する。
【解決手段】フォークをチャンバに進入させた状態において、第1方向の第1のずれ量と、第2方向の第2のずれ量とを測定する工程と、少なくとも、第1のずれ量が第1方向の許容範囲を超えること、及び、第2のずれ量が第2方向の許容範囲を超えること、の一方を判定する工程と、第1のずれ量に基づき第1伸縮方向補正値を算出する工程と、第2のずれ量に基づき旋回方向補正値を算出する工程と、旋回方向補正値とフォークのフォーク形状情報とに基づき、第2伸縮方向補正値を算出する工程と、第1伸縮方向補正値と第2伸縮方向補正値とに基づき、第3伸縮方向補正値を算出する工程と、第3伸縮方向補正値と旋回方向補正値とにより、フォークの位置を補正する工程と、を有する、基板搬送機構制御方法。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する搬送室と、
前記搬送室に隣接して接続され前記基板が搬出入される少なくとも一つのチャンバと、を有する基板処理システムにおける基板搬送機構制御方法であって、
前記搬送機構は、前記搬送室に対して旋回可能に取り付けられたアームと、前記アームに対して伸縮方向にスライド可能に取り付けられたフォークと、を有し、
前記チャンバは、基準対象を有し、
前記フォークを前記チャンバに進入させた状態において、前記フォークの進入する方向の端部を前記フォークの前端とし、前記フォークの前端の、前記基準対象の前方基準部に対する第1方向の第1のずれ量と、前記フォークの側部の、前記基準対象の側方基準部に対する前記第1方向と直交する第2方向の第2のずれ量とを測定する工程と、
少なくとも、前記第1のずれ量が前記第1方向の許容範囲を超えること、及び、前記第2のずれ量が前記第2方向の許容範囲を超えること、の一方を判定する工程と、
前記第1のずれ量に基づき第1伸縮方向補正値を算出する工程と、
前記第2のずれ量に基づき旋回方向補正値を算出する工程と、
前記旋回方向補正値と前記フォークのフォーク形状情報とに基づき、第2伸縮方向補正値を算出する工程と、
前記第1伸縮方向補正値と前記第2伸縮方向補正値とに基づき、第3伸縮方向補正値を算出する工程と、
前記第3伸縮方向補正値と前記旋回方向補正値とにより、前記フォークの位置を補正する工程と、を有する、
基板搬送機構制御方法。
【請求項2】
前記第1伸縮方向補正値を算出する工程は、前記第1のずれ量が前記第1方向の許容範囲を超えない場合、前記第1伸縮方向補正値を0とし、
前記旋回方向補正値を算出する工程は、前記第2のずれ量が前記第2方向の許容範囲を超えない場合、前記旋回方向補正値を0とする、
請求項1に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項3】
前記第2伸縮方向補正値を算出する工程は、
前記第1伸縮方向補正値と前記旋回方向補正値とにより補正が施された前記フォークの位置を推定し、推定された前記フォークにおける前記第1のずれ量を算出し、
前記第1のずれ量が前記第1方向の許容範囲を超える場合、前記第2伸縮方向補正値を算出する、
請求項2に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項4】
前記第2伸縮方向補正値を算出する工程は、
前記第1伸縮方向補正値と前記旋回方向補正値とにより補正が施された前記フォークの位置を推定し、推定された前記フォークにおける前記第1のずれ量を算出し、
前記第1のずれ量が前記第1方向の許容範囲を超えない場合、前記第2伸縮方向補正値を0とする、
請求項2に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項5】
前記フォーク形状情報は、前記フォークの前端の幅方向における両端間の距離、又は、前記フォークの前端の幅方向における中央と一端との間の距離である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項6】
前記チャンバは、前記搬送室に隣接して接続されるロードロックチャンバであり、
前記基準対象は、前記ロードロックチャンバの壁部の内面である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項7】
前記第1のずれ量は、前記壁部の内面と前記フォークの前端との間の距離において特定され、
前記第2のずれ量は、前記壁部の内面と前記フォークの側部との間の距離において特定される、
請求項6に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項8】
前記チャンバは、前記搬送室に隣接して接続されるプロセスチャンバであり、
前記基準対象は前記プロセスチャンバに配置され前記基板を載置する電極または載置台である、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項9】
前記基準対象は前記電極であり、
前記第1のずれ量は、前記第1方向における前記電極の周縁端部と前記フォークの前端との間の距離において特定され、
前記第2のずれ量は、前記第2方向における前記電極の周縁端部と前記フォークの側部との間の距離において特定される、
請求項8に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項10】
前記基準対象は前記載置台であり、
前記第1のずれ量は、前記第1方向における前記載置台の周縁端部と前記フォークの前端との間の距離において特定され、
前記第2のずれ量は、前記第2方向における前記載置台の周縁端部と前記フォークの側部との間の距離において特定される、
請求項8に記載の基板搬送機構制御方法。
【請求項11】
旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する搬送室と、前記搬送室に隣接して接続され前記基板が搬出入される少なくとも一つのチャンバと、制御部と、を有する基板処理システムであって、
前記搬送機構は、前記搬送室に対して旋回可能に取り付けられたアームと、前記アームに対して伸縮方向にスライド可能に取り付けられたフォークと、を有し、
前記チャンバは、基準対象を有し、
前記制御部は、
前記フォークを前記チャンバに進入させた状態において、前記フォークの進入する方向の端部を前記フォークの前端とし、前記フォークの前端の、前記基準対象の前方基準部に対する第1方向の第1のずれ量と、前記フォークの側部の、前記基準対象の側方基準部に対する前記第1方向と直交する第2方向の第2のずれ量とを測定する工程と、
少なくとも、前記第1のずれ量が前記第1方向の許容範囲を超えること、及び、前記第2のずれ量が前記第2方向の許容範囲を超えること、の一方を判定する工程と、
前記第1のずれ量に基づき第1伸縮方向補正値を算出する工程と、
前記第2のずれ量に基づき旋回方向補正値を算出する工程と、
前記旋回方向補正値と前記フォークのフォーク形状情報とに基づき、第2伸縮方向補正値を算出する工程と、
前記第1伸縮方向補正値と前記第2伸縮方向補正値とに基づき、第3伸縮方向補正値を算出する工程と、
前記第3伸縮方向補正値と前記旋回方向補正値とにより、前記フォークの位置を補正する工程と、を制御する、
基板処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板搬送機構制御方法及び基板処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する基板処理システムにおける基板位置制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-135185号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一の側面では、本開示は、基板搬送機構の動作の補正に要する時間を短縮する基板搬送機構制御方法及び基板処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、一の態様によれば、旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板の搬送を行う搬送機構を有する搬送室と、前記搬送室に隣接して接続され前記基板が搬出入される少なくとも一つのチャンバと、を有する基板処理システムにおける基板搬送機構制御方法であって、前記搬送機構は、前記搬送室に対して旋回可能に取り付けられたアームと、前記アームに対して伸縮方向にスライド可能に取り付けられたフォークと、を有し、前記チャンバは、基準対象を有し、前記フォークを前記チャンバに進入させた状態において、前記フォークの進入する方向の端部を前記フォークの前端とし、前記フォークの前端の、前記基準対象の前方基準部に対する第1方向の第1のずれ量と、前記フォークの側部の、前記基準対象の側方基準部に対する前記第1方向と直交する第2方向の第2のずれ量とを測定する工程と、少なくとも、前記第1のずれ量が前記第1方向の許容範囲を超えること、及び、前記第2のずれ量が前記第2方向の許容範囲を超えること、の一方を判定する工程と、前記第1のずれ量に基づき第1伸縮方向補正値を算出する工程と、前記第2のずれ量に基づき旋回方向補正値を算出する工程と、前記旋回方向補正値と前記フォークのフォーク形状情報とに基づき、第2伸縮方向補正値を算出する工程と、前記第1伸縮方向補正値と前記第2伸縮方向補正値とに基づき、第3伸縮方向補正値を算出する工程と、前記第3伸縮方向補正値と前記旋回方向補正値とにより、前記フォークの位置を補正する工程と、を有する、基板搬送機構制御方法が提供される。
【発明の効果】
【0006】
一の側面によれば、基板搬送機構の動作の補正に要する時間を短縮する基板搬送機構制御方法及び基板処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】基板処理システムの構成を示す概略模式図の一例。
図2】真空搬送装置が有する搬送機構の一例を示す斜視図。
図3】プロセスチャンバにフォークを挿入した際の基板処理システムの概略模式図の一例。
図4】設置誤差がない場合における真空搬送チャンバ、プロセスチャンバ及びプロセスチャンバに進入したフォークの配置の一例を示す模式図。
図5】設置誤差がある場合における真空搬送チャンバ、プロセスチャンバ及びプロセスチャンバに進入したフォークの配置の一例を示す模式図。
図6】位置補正後における真空搬送チャンバ、プロセスチャンバ及びプロセスチャンバに進入したフォークの配置の一例を示す模式図。
図7】一実施形態に係る基板搬送機構制御方法の一例を説明するフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図面において同一の又は対応する構成には同一の符号を付し、説明を省略することがある。
【0009】
一実施形態に係る基板搬送機構制御方法を実施可能な基板処理システム100の一例について、図1を用いて説明する。図1は、基板処理システム100の構成を示す概略模式図の一例である。基板処理システム100は、例えば、FPD(Flat Panel Display)の製造に用いられる矩形のガラス基板G(以下、基板Gともいう。)に処理を施すシステムである。また、基板Gは、例えば、平面寸法が第4.5世代の730mm×920mm程度の寸法から、第10.5世代の3000mm×3400mm程度の寸法までを少なくとも含むものであってもよい。
【0010】
基板処理システム100は、プロセスチャンバ10,20,30と、真空搬送装置60を有する真空搬送チャンバ(搬送室)40と、ロードロックチャンバ50と、制御部70と、を備える。
【0011】
図1に示す基板処理システム100の例では、複数の大型チャンバが平面視で十字形に連結されている。図1に示す基板処理システム100の例において、中央部には真空搬送チャンバ40が設けられ、真空搬送チャンバ40の三方の側面に隣接して3つのプロセスチャンバ10,20,30が設けられ、真空搬送チャンバ40の残りの一方の側面に隣接してロードロックチャンバ50が設けられている。プロセスチャンバ10,20,30及び真空搬送チャンバ40は、いずれも常に減圧雰囲気(真空状態)において基板Gの処理及び搬送を行う真空チャンバである。ロードロックチャンバ50は、必要に応じて減圧雰囲気と大気雰囲気を切り替える真空大気切替チャンバである。なお、図1に示す基板処理システム100では、真空搬送チャンバ40が4つの側面を有し、3つのプロセスチャンバ10,20,30及び1つのロードロックチャンバ50を備えるものとして説明したが、これに限られるものではない。基板処理システム100における真空搬送チャンバの形状(側面の数)、プロセスチャンバの数、ロードロックチャンバ50は、図1の例に限られない。例えば、真空搬送チャンバが6つの側面を有する六角形であり、5つのプロセスチャンバと1つのロードロックチャンバを備えるものであってもよい。
【0012】
真空搬送チャンバ40とプロセスチャンバ10,20,30との間には、開口部(図示せず)が設けられており、開口部には開閉機能を有するゲートバルブ(図示せず)が設けられている。真空搬送チャンバ40とロードロックチャンバ50との間には、開口部(図示せず)が設けられており、開口部には開閉機能を有するゲートバルブ(図示せず)が設けられている。ゲートバルブは、「閉」の状態で各チャンバの間を気密にシールし、「開」の状態でチャンバの間を連通させて基板Gの搬送を可能にする。
【0013】
また、真空搬送チャンバ40には、真空搬送装置60が設けられている。真空搬送装置60は後述の搬送機構61を有し、搬送機構61は、旋回角度を制御する旋回制御と伸縮距離を制御する伸縮制御とにより基板Gの搬送を行う。真空搬送装置60は、プロセスチャンバ10,20,30及びロードロックチャンバ50と真空搬送チャンバ40との間で基板Gを搬出入する。即ち、真空搬送装置60は、プロセスチャンバ10,20,30及びロードロックチャンバ50のうちのいずれかの一のチャンバから、真空搬送チャンバ40を介して、プロセスチャンバ10,20,30及びロードロックチャンバ50のうちのいずれかの他のチャンバに基板Gを搬送する。
【0014】
なお、ロードロックチャンバ50は、一方の側面に隣接して真空搬送チャンバ40が設けられ、他方の側面に隣接して大気搬送装置(図示せず)を有する大気搬送チャンバ(図示せず)が設けられている。なお、大気搬送チャンバは、必ずしも密閉容器で構成される必要はなく、上方が開放された筒状の側壁、若しくは部分的に壁部材で仕切られた構成としてもよい。ロードロックチャンバ50と大気搬送チャンバとの間には、開口部(図示せず)が設けられており、開口部には開閉機能を有するゲートバルブ(図示せず)が設けられている。ゲートバルブは、「閉」の状態でロードロックチャンバ50の気密性を維持し、「開」の状態でロードロックチャンバ50と大気搬送チャンバとの間で基板Gの搬送を可能にする。
【0015】
また、大気搬送チャンバ(図示せず)には、大気搬送装置(図示せず)が設けられている。大気搬送装置は、ロードロックチャンバ50と大気搬送チャンバとの間で基板Gを搬送する。
【0016】
プロセスチャンバ10,20,30は、その内部空間を所定の減圧雰囲気に維持できるように構成されている。プロセスチャンバ10,20,30内には、それぞれ基板Gを載置する載置台13,23,33が設けられている。載置台13,23,33は、それぞれ、電極部11,21,31及び絶縁体部12,22,32により構成されている。電極部11,21,31は、例えば平面視で矩形状に形成されている。電極部11,21,31の外形は、例えば基板Gの外形よりも小さい。電極部11,21,31の上面は基板載置面を構成し、基板Gが載置される。電極部11,21,31の基板載置面は、それぞれの載置台13,23,33の基板載置面である。電極部11,21,31は、基板Gをプラズマにより処理する際にバイアス用のRFが印加される。基板載置面には基板Gを保持するために静電チャックが設けられていてもよい。静電チャックは、電極部11,21,31の、金属から構成される基材の頂面に、セラミックス皮膜を溶射し、その際、セラミックス皮膜に静電吸着電極を埋設するなどして形成される。絶縁体部12,22,32は、電極部11,21,31の周囲に設けられている。絶縁体部は、セラミックスや石英などで構成されてもよい。絶縁体部12,22,32の外形は、例えば基板Gの外形よりも大きい。プロセスチャンバ10,20,30では、基板Gを載置台13,23,33に載置した状態で、基板Gに対して、例えば真空条件でのエッチング処理、アッシング処理、成膜処理等のプラズマ処理が行われる。
【0017】
真空搬送チャンバ40は、真空処理室であるプロセスチャンバ10,20,30と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。真空搬送チャンバ40内には、真空搬送装置60が設けられている。真空搬送装置60は、プロセスチャンバ10,20,30及びロードロックチャンバ50の間で基板Gを搬送する。
【0018】
真空搬送装置60は、基板Gを搬送する搬送機構61(基板搬送機構)を有している。搬送機構61の一例について、図2を用いて説明する。図2は、真空搬送装置60が有する搬送機構61の一例を示す斜視図である。
【0019】
搬送機構61は、真空搬送チャンバ40に固定される台座部113と、台座部113に対して旋回可能かつスライド可能に取り付けられたスライドアーム(アーム)115と、スライドアーム115の上にスライド可能に設けられ、基板Gを支持する支持部材としてのフォーク101とを有する。
【0020】
フォーク101は、プロセスチャンバ10,20,30及びロードロックチャンバ50に進退可能に構成されている。フォーク101は、ピックベース117と、ピックベース117に連結された保持部である複数の支持ピック119を有する。図2の例では、フォーク101は、4本の支持ピック119a、119b、119c、119dを有する。
【0021】
スライドアーム115の両側の側部には、台座部113に対してスライドアーム115をスライドさせるためのガイド121が設けられている。台座部113には、ガイド121をスライド可能に支持するスライド支持部123が設けられている。
【0022】
また、スライドアーム115の両側の側部には、スライドアーム115に対してフォーク101をスライドさせるためのガイド125が、ガイド121と平行に設けられている。そして、ガイド125に沿ってスライドするスライダ127が設けられ、スライダ127にフォーク101が装着されている。
【0023】
搬送機構61は、これらの伸縮機構によって、伸縮方向301にフォーク101の伸縮距離を制御する伸縮制御を実現できる。具体的には、搬送機構61は、上述したガイド121に沿ったスライドアーム115のスライド制御、及びガイド125に沿ったフォーク101のスライド制御を行うことで、伸縮方向301にフォーク101の伸縮距離を制御する伸縮制御を実現できる。
【0024】
さらに、搬送機構61は、台座部113に設けられている旋回機構によって、旋回軸302cを中心とする旋回方向302にフォーク101の旋回角度を制御する旋回制御を実現できる。なお、旋回軸302cは、スライド方向に沿ったフォーク101の中心軸と交差するように構成されることが望ましい。
【0025】
なお、真空搬送チャンバ40に設けられた真空搬送装置60が有する搬送機構61の数を制限するものではない。例えば、真空搬送装置60に搬送機構61が一つ設けられていてもよいし、真空搬送装置60に搬送機構61が複数(例えば2段)に設けられていてもよい。
【0026】
例えば、搬送機構61が上下方向に2段設けられている場合、上下の搬送機構は、連結機構(図示せず)によって連結され、一体となって水平方向に旋回できるように構成されている。また、上下二段に構成された搬送機構は、スライドアーム115及びフォーク101のスライド動作や、台座部113の旋回動作及び昇降動作を行う駆動ユニット(図示せず)に連結されている。
【0027】
図1に戻り、ロードロックチャンバ50は、プロセスチャンバ10,20,30及び真空搬送チャンバ40と同様に所定の減圧雰囲気に保持できるように構成されている。ロードロックチャンバ50は、大気雰囲気にある(図示しない)カセットと、減圧雰囲気の真空搬送チャンバ40と、の間で基板Gの受渡しを行うためのチャンバである。ロードロックチャンバ50では、大気雰囲気と減圧雰囲気とが繰り返し切り替えられるため、内容積が小さく構成されている。また、ロードロックチャンバ50を大気雰囲気と減圧雰囲気とに繰り返し切り替えるために、ロードロックチャンバ50には、排気バルブ(図示せず)を介して排気系(図示せず)と、給気バルブ(図示せず)を介してガス供給系(図示せず)とが接続されている。
【0028】
基板処理システム100は、各部の動作を制御する制御部70を有する。制御部70は、コントローラ71、ユーザーインターフェース72、及び記憶部73を有する。コントローラ71は、CPUを備えており、基板処理システム100において、例えばプロセスチャンバ10,20,30、真空搬送装置60等の各部の動作を制御する。ユーザーインターフェース72は、例えば工程管理者が基板処理システム100を管理するためにコマンドの入力操作等を行うキーボード、基板処理システム100の稼働状況を可視化して表示するディスプレイを有する。記憶部73には、基板処理システム100で実行される各種処理をコントローラ71の制御にて実現するための制御プログラム(ソフトウエア)や処理条件データ等が記録されている。ユーザーインターフェース72及び記憶部73は、コントローラ71に接続されている。
【0029】
なお、制御プログラムや処理条件データ等のレシピは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体、例えばCD-ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、フラッシュメモリに格納された状態のものを利用できる。また、他の装置から、例えば専用回線を介して随時伝送させてオンラインで利用したりすることも可能である。
【0030】
図3は、プロセスチャンバ30にフォーク101を挿入した際の基板処理システム100の概略模式図の一例である。
【0031】
ここで、プロセスチャンバ30の載置台33には、上昇することにより載置台33の基板載置面(電極部31の基板載置面)から突出し、下降することにより載置台33の基板載置面よりも埋没可能な複数のリフトピン(図示せず)が設けられている。
【0032】
ここでは、プロセスチャンバ30に基板Gを搬入し、プロセスチャンバ30の載置台33に基板Gを載置する場合を例に説明する。
【0033】
制御部70は、真空搬送装置60の搬送機構61を制御して、基板Gを保持したフォーク101をプロセスチャンバ30内に進入させ、所定の位置でフォーク101を静止させる。制御部70は、搬送機構61の旋回機構を制御してフォーク101の伸縮方向をプロセスチャンバ30に向けるように旋回制御する。次に、制御部70は、搬送機構61の伸縮機構を制御してフォーク101の伸縮距離を制御する。これにより、プロセスチャンバ30にフォーク101を挿入する。
【0034】
次に、制御部70は、リフトピン駆動部(図示せず)を制御して、リフトピン(図示せず)を上昇させる。ここで、プロセスチャンバ30の載置台33には、上昇することにより載置台33の基板載置面から突出し、下降することにより載置台33の基板載置面に埋没可能な複数のリフトピンが設けられている。リフトピンを上昇させることでフォーク101に保持された基板Gをリフトピンで持ち上げて支持する。その後、制御部70は、搬送機構61を制御して、フォーク101を真空搬送チャンバ40内に戻す。
【0035】
そして、制御部70は、リフトピン駆動部(図示せず)を制御して、リフトピンを下降させる。リフトピンを下降させることでリフトピンで支持された基板Gを載置台33の基板載置面に載置する。また、制御部70は、チャック電源(図示せず)を制御して、載置台33の上面(基板載置面)に設けられた静電チャックの基板吸着電極(不図示)にチャック電圧を供給することにより、基板Gを載置台33に吸着させる。
【0036】
なお、プロセスチャンバ30の載置台33に載置された基板Gをプロセスチャンバ30から搬出する場合は、搬入の逆の手順で行えばよく、重複する説明を省略する。
【0037】
なお、リフトピンは、幅方向(図4で後述するY方向、第2方向402)において、載置台33の中央及び幅方向に対称に設けられている。これにより、幅方向におけるリフトピンの本数は、例えば奇数であってもよい。また、フォーク101の支持ピック119は、幅方向において、リフトピンとの干渉を避けつつ、対称に設けられる。これにより、幅方向におけるフォーク101の支持ピック119の本数は、例えば偶数(図3の例では4本)であってもよい。幅方向において載置台33の中央に設けられたリフトピンは、支持ピック119b,119cの間を通過する。幅方向において対称に設けられた一方のリフトピンは、支持ピック119a,119bの間を通過する。幅方向において対称に設けられた他方のリフトピンは、支持ピック119c,119dの間を通過する。
【0038】
次に、フォーク101をチャンバに進入させる場合のフォーク101の位置制御について、図4から図7を用いて説明する。以下の説明では、チャンバの一例として、プロセスチャンバ30を例に説明する。
【0039】
図4は、設置誤差がない場合における真空搬送チャンバ40、プロセスチャンバ30及びプロセスチャンバ30に進入したフォーク101の配置の一例を示す模式図である。ここでは、真空搬送チャンバ40に対してプロセスチャンバ30が設置誤差なく正しい位置に設けられているものとする。なお、設置誤差とは、基板処理システム100を組み立てるなどして各プロセスチャンバや真空搬送チャンバなどを設置した際に生じる、それぞれのチャンバ間における相対的な位置関係のずれを指す。例えば、理想的にはプロセスチャンバ30の中心軸が真空搬送チャンバ40の中心を通るべきところ、設置の誤差により中心を通らずにずれた場合、これを設置誤差として考える。また、装置の各部の設計においては公差が存在するが、この公差に起因するずれも設置誤差として含める。
【0040】
プロセスチャンバ30には、フォーク101の位置を定める際に基準となる基準対象が定められている。基準対象は、専用の対象物を設けてもよいが、既存の構造物を基準対象として定める方が好ましい。プロセスチャンバ30は、基準対象を有する。以下の説明において、プロセスチャンバ30の基準対象が電極部31の周縁端部である場合を例に説明する。なお、プロセスチャンバ30の基準対象は、これに限られるものではない。絶縁体部32を含んだ載置台33の周縁端部を基準対象としてもよく、チャンバ壁部の内面を基準対象としてもよい。また、載置台を有しないロードロックチャンバ50においては、チャンバ壁部の内面を基準対象としてもよい。
【0041】
また、以下の説明において、プロセスチャンバ30の直交座標系を第1方向401(X方向とも称する。)及び第2方向402(Y方向とも称する。)と称する。第1方向401は、プロセスチャンバ30と真空搬送チャンバ40とを連通する開口部からみて奥行き方向である。第2方向402は、第1方向401と直交する方向である。また、第2方向402は、プロセスチャンバ30と真空搬送チャンバ40とを連通する開口部からみて幅方向である。また、第1方向401及び第2方向402は、開口部を基準に説明したが、これに限られるものではない。基準対象としての電極部31は、平面視して四角形に形成されている。例えば、平面視した電極部31の辺が伸びる方向の一方を第1方向401とし、他方を第2方向402としてもよい。
【0042】
また、基準対象に対する支持ピック119の位置を測定する際、図4(及び後述する図5,6参照)に示す距離X1、距離Y1、距離Y2を測定する。ここで、フォーク101の進入する方向を前方とし、フォーク101の前方の端部をフォーク101の前端とし、フォーク101の前端の、基準対象の前方基準部(ここでは、前方にある電極部31の周縁端部)に対する第1方向401に沿った距離を距離X1とする。また、フォーク101の進入する方向と直交する方向を側方とし、フォーク101の側部の、基準対象の側方基準部(ここでは、側方にある電極部31の一方の周縁端部と他方の周縁端部)に対する第2方向402に沿った距離を距離Y1,Y2とする。具体的には、図4に示すように、距離X1は、複数の支持ピック119のうち一方の端の支持ピック119dにおける前端と、電極部31の周縁端部までの第1方向401の距離とする。距離Y1は、複数の支持ピック119のうち一方の端の支持ピック119dにおける外側前方角部と、電極部31の周縁端部までの第2方向402の距離とする。距離Y2は、複数の支持ピック119のうち他方の端の支持ピック119aにおける外側前方角部と、電極部31の周縁端部までの第2方向402の距離とする。
【0043】
フォーク101をプロセスチャンバ30に進入させる際、制御部70は、予め設定された旋回角度(旋回角度設定値)及び伸縮距離(伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。ここで、フォーク101に支持された基板Gの中心と電極部31(若しくは載置台33)の中心とが一致するフォーク101の位置に基づいて、距離X1、距離Y1及び距離Y2の基準値が設定される。図4に示す例においては、測定された距離X1、距離Y1及び距離Y2の基準値に対するずれ量が許容範囲に収まっている。これにより、フォーク101に支持された基板Gを載置台33の載置面に載置する際、基板Gのずれ量を許容範囲に収めることができる。
【0044】
図5は、設置誤差がある場合における真空搬送チャンバ40、プロセスチャンバ30及びプロセスチャンバ30に進入したフォーク101の配置の一例を示す模式図である。
【0045】
実際の基板処理システム100においては、真空搬送チャンバ40とプロセスチャンバ30との間に設置誤差が生じている。図5の例では、真空搬送チャンバ40に対してプロセスチャンバ30が図5の紙面に対して右上方向にずれて設置されている。なお、図5では説明を分かりやすくするため、実際よりも強調してずれを描いている。
【0046】
図5に示す例においても、図4に示す例と同様に、制御部70は、予め設定された旋回角度(旋回角度設定値)及び伸縮距離(伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。この場合、測定される距離X1は設定された距離X1の基準値(図4参照)よりも長くなり、距離Y1は設定された距離Y1の基準値(図4参照)よりも短くなり、距離Y2は設定された距離Y2の基準値(図4参照)よりも長くなる。このため、図5に示す例においては、測定された距離X1、距離Y1及び距離Y2の基準値に対するずれ量が許容範囲を超えるおそれがある。これにより、フォーク101に支持された基板Gを載置台33の載置面に載置する際、基板Gのずれ量が許容範囲を超えるおそれがある。
【0047】
図6は、位置補正後における真空搬送チャンバ40、プロセスチャンバ30及びプロセスチャンバ30に進入したフォーク101の配置の一例を示す模式図である。
【0048】
ここでは、制御部70は、予め設定された旋回角度(旋回角度設定値)に補正値を加えて補正された旋回角度(補正後旋回角度設定値)、及び、予め設定された伸縮距離(伸縮距離設定値)に補正値を加えて補正された伸縮距離(補正後伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。これにより、測定された距離X1、距離Y1及び距離Y2の基準値に対するずれ量を許容範囲に収めることができる。また、フォーク101に支持された基板Gを載置台33の載置面に載置する際、基板Gのずれ量を許容範囲に収めることができる。
【0049】
次に、基板搬送機構制御方法の一例について、図7を用いて説明する。図7は、一実施形態に係る基板搬送機構制御方法の一例を説明するフローチャートである。
【0050】
ステップS101において、フォーク101をプロセスチャンバ30に進入させる。ここでは、制御部70は、予め設定された旋回角度(旋回角度設定値)及び伸縮距離(伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。
【0051】
ステップS102において、第1方向のずれ量(第1のずれ量)ΔX及び第2方向のずれ量(第2のずれ量)ΔYを測定する。
【0052】
最初に、図4に示す距離X1、距離Y1及び距離Y2を測定する。なお、距離X1、距離Y1及び距離Y2の測定方法は、限定されるものではない。例えば、光学距離計を用いて測定してもよく、チャンバの上方を開放した状態で電極部31及びフォーク101を撮像し、画像処理によって距離を求めてもよい。測定された距離X1、距離Y1及び距離Y2は、制御部70に入力される。
【0053】
次に、制御部70は、測定された距離X1と記憶部73にあらかじめ記憶された距離X1の基準値との差から第1方向のずれ量ΔXを算出する。また、制御部70は、測定された距離Y1と測定された距離Y2との差から第2方向のずれ量ΔY(=Y1-Y2)を算出する。
【0054】
ステップS103において、ずれは許容範囲内であるか否かを判定する。第1方向のずれ量ΔXが許容範囲内かつ第2方向のずれ量ΔYが許容範囲内である場合、ずれは許容範囲内であると判定する。第1方向のずれ量ΔX及び第2方向のずれ量ΔYのうち少なくとも一方が許容範囲内でない場合、ずれは許容範囲内でないと判定する。
【0055】
ずれは許容範囲内である場合(S103・YES)、制御部70の処理を終了する。この場合、以後の工程において、フォーク101をプロセスチャンバ30に進入させる際、制御部70は、予め設定された旋回角度(旋回角度設定値)及び伸縮距離(伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。
【0056】
一方、ずれは許容範囲内でない場合(S103・NO)、制御部70の処理はステップS104に進む。
【0057】
ステップS104において、第1方向のずれ量ΔXに基づいて、第1伸縮方向補正値Rc1を算出する。ここで、制御部70は、第1伸縮方向補正値Rc1を第1方向のずれ量ΔXとする。即ち、第1伸縮方向補正値Rc1は、以下の式(1)で表される。
【0058】
Rc1=ΔX ・・・(1)
【0059】
なお、第1方向のずれ量ΔXが第1方向の許容範囲を超えない場合、第1伸縮方向補正値Rc1を0としてもよい(Rc1=0)。この場合、第2方向のずれ量ΔYは第2方向の許容範囲を超えている。
【0060】
ステップS105において、第2方向のずれ量ΔYに基づいて、旋回方向補正値θcを算出する。ここで、制御部70は、旋回方向補正値θcを以下の式(2)で算出する。なお、Lは、図5に示す回転中心(旋回軸302c)からフォーク101の先端までの距離である。即ち、Lは、搬送機構61の幾何学的形状と、ステップS101における伸縮距離(伸縮距離設定値)と、に基づいて算出される。なお、図5においては、簡略化のため、搬送機構61のスライドアーム115などは省略され、フォーク101のみを図示している。
【0061】
θc=0.5×ΔY/L ・・・(2)
【0062】
なお、第2方向のずれ量ΔYが第2方向の許容範囲を超えない場合、旋回方向補正値θcを0としてもよい(θc=0)。この場合、第1方向のずれ量ΔXは第1方向の許容範囲を超えている。
【0063】
ステップS106において、旋回方向補正値θcに基づいて、第2伸縮方向補正値Rc2を算出する。ここで、制御部70は、旋回方向補正値θc及びフォーク101のフォーク形状情報に基づき、第2伸縮方向補正値Rc2を以下の式(3)で算出する。ここで、フォーク形状情報は、例えば、フォーク101の前端における幅方向の中央と一端との間の距離W(図5参照)、又は、フォーク101の前端における幅方向の両端間の距離(2×Wに相当)である。
【0064】
Rc2=W×θc ・・・(3)
【0065】
また、ステップS106において、第1伸縮方向補正値Rc1と旋回方向補正値θcとにより補正が施されたフォーク101の位置を推定し、推定されたフォーク101における第1方向のずれ量ΔXを算出(推定)する。そして、推定されたフォーク101における第1方向のずれ量ΔXが第1方向の許容範囲を超える場合、第2伸縮方向補正値Rc2を算出するようにしてもよい。一方、推定されたフォーク101における第1方向のずれ量ΔXが第1方向の許容範囲を超えない場合、第2伸縮方向補正値Rc2を0としてもよい。
【0066】
ステップS107において、第1伸縮方向補正値Rc1及び第2伸縮方向補正値Rc2に基づいて、第3伸縮方向補正値Rc3を算出する。ここで、制御部70は、第3伸縮方向補正値Rc3を以下の式(4)で算出する。
【0067】
Rc3=Rc1+Rc2 ・・・(4)
【0068】
ステップS108において、第3伸縮方向補正値Rc3及び旋回方向補正値θcで、フォーク101の位置を補正する。ここでは、制御部70は、搬送機構61を制御し、現在の位置から旋回方向補正値θcで旋回し、第3伸縮方向補正値Rc3で伸縮してフォーク101を移動させる。
【0069】
または、制御部70は、フォーク101の位置を真空搬送チャンバ40の初期位置に戻す。制御部70は、予め設定された旋回角度(旋回角度設定値)を旋回方向補正値θcで補正し、補正された旋回角度(補正後旋回角度設定値)を算出する。制御部70は、予め設定された伸縮距離(伸縮距離設定値)を第3伸縮方向補正値Rc3で補正し、補正された伸縮距離(補正後伸縮距離設定値)を算出する。制御部70は、補正された旋回角度(補正後旋回角度設定値)及び補正された伸縮距離(補正後伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。
【0070】
そして、制御部70の処理は、ステップS102に戻り、第1方向のずれ量ΔX及び第2方向のずれ量ΔYを測定し(S102)、ずれは許容範囲内であるか否かを判定する(S103)。
【0071】
ずれは許容範囲内である場合(S103・YES)、制御部70の処理を終了する。この場合、以後の工程において、フォーク101をプロセスチャンバ30に進入させる際、制御部70は、補正された旋回角度(補正後旋回角度設定値)及び補正された伸縮距離(補正後伸縮距離設定値)で搬送機構61を制御し、フォーク101を移動させる。
【0072】
一方、ずれは許容範囲内でない場合(S103・NO)、制御部70の処理はステップS104に進み、再度旋回角度及び伸縮距離の補正を繰り返す(S104~S108参照)。
【0073】
以上の様に、図7に示す基板搬送機構制御方法によれば、旋回方向補正値θcに基づいて伸縮方向補正値を更に補正する。ここで、例えば第2方向402のずれ量ΔYが大きい場合、旋回方向の補正によってフォーク101が第1方向401にずれてしまい、補正の処理にやり直しが生じるおそれがある。これに対し、図7に示す基板搬送機構制御方法によれば、第2方向402のずれ量ΔYが大きい場合であっても、旋回方向補正値θcに基づいて伸縮方向補正値を更に補正することができる。これにより、フォーク101を一度補正値に基づいて移動させたのちに補正の処理にやり直しが生じることを抑制する。即ち、補正に要する時間を短縮することができる。
【0074】
なお、基準対象として電極部31を例に説明したが、これに限られるものではない。基準対象として載置台33を用いる場合、第1方向のずれ量ΔXは、第1方向401における載置台の周縁端部とフォーク101の前端との間の距離において特定され、第2方向のずれ量ΔYは、第2方向402における載置台の周縁端部とフォーク101の側部との間の距離において特定される。また、基準対象として壁部の内面を用いる場合、第1方向のずれ量ΔXは、第1方向401の壁部の内面とフォーク101の前端との間の距離において特定され、第2方向のずれ量ΔYは、第2方向402の壁部の内面とフォーク101の側部との間の距離において特定される。
【0075】
以上、基板処理システムについて説明したが、本開示は上記実施形態等に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本開示の要旨の範囲内において、種々の変形、改良が可能である。例えば、基板Gがガラス基板の場合について説明したが、これに限らず、ウエハ等、他の種類の基板であってもよい。また、基板Gの処理についてはプロセスガスをプラズマ化して処理を施す場合について説明したが、これに限らず、プラズマを用いない処理であってもよい。また、プロセスチャンバにおいて基板Gに施される処理は、エッチング、アッシング、成膜、クリーニングなど、いずれの処理であってもよい。
【符号の説明】
【0076】
G 基板
10,20,30 プロセスチャンバ(チャンバ)
11,21,31 電極部
40 真空搬送チャンバ(搬送室)
50 ロードロックチャンバ(チャンバ)
60 真空搬送装置
61 搬送機構
70 制御部
100 基板処理システム
101 フォーク
115 スライドアーム(アーム)
301 伸縮方向
302 旋回方向
302c 旋回軸
401 第1方向
402 第2方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7