(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154205
(43)【公開日】2024-10-30
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置、及び、画像形成装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/155 20060101AFI20241023BHJP
【FI】
B41J2/155
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023067914
(22)【出願日】2023-04-18
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】安部 公人
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF21
2C057AF99
2C057AG11
2C057AG15
2C057AN05
(57)【要約】
【課題】液体を吐出する装置による直交方向において液体を吐出できる範囲を広くする。
【解決手段】液体を吐出するヘッドを複数備えるヘッドアレイを、媒体を搬送する搬送方向に対して直交する直交方向に複数配置し、前記媒体に対して前記液体を吐出する液体を吐出する装置が、複数の前記ヘッドアレイのうち、前記搬送方向における上流に配置され、かつ、複数の第1ヘッドを有する第1ヘッドアレイと、複数の前記ヘッドアレイのうち、前記第1ヘッドアレイより前記搬送方向における下流に配置され、かつ、複数の第2ヘッドを有する第2ヘッドアレイとを備え、前記第1ヘッドアレイが有する前記第1ヘッドの保有数である第1保有数と、前記第2ヘッドアレイが有する前記第2ヘッドの保有数である第2保有数とが異なる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するヘッドを複数備えるヘッドアレイを、媒体を搬送する搬送方向に対して直交する直交方向に複数配置し、前記媒体に対して前記液体を吐出する液体を吐出する装置であって、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記搬送方向における上流に配置され、かつ、複数の第1ヘッドを有する第1ヘッドアレイと、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記第1ヘッドアレイより前記搬送方向における下流に配置され、かつ、複数の第2ヘッドを有する第2ヘッドアレイとを備え、
前記第1ヘッドアレイが有する前記第1ヘッドの保有数である第1保有数と、
前記第2ヘッドアレイが有する前記第2ヘッドの保有数である第2保有数とが異なる
液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記複数の第1ヘッドの繋ぎ部分である第1繋ぎ部分の前記直交方向における第1繋ぎ位置と、
前記複数の第2ヘッドの繋ぎ部分である第2繋ぎ部分の前記直交方向における第2繋ぎ位置とが前記直交方向において異なる位置である
請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記第1ヘッドアレイ、及び、前記第2ヘッドアレイは、
複数色の前記液体を吐出する前記第1ヘッド、及び、前記第2ヘッドを有する
請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記第1ヘッドアレイ、及び、前記第2ヘッドアレイは、
異なる色の前記液体を吐出する前記第1ヘッド、及び、前記第2ヘッドを有する
請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記第1ヘッドアレイ、及び、前記第2ヘッドアレイは、
同一色の前記液体を吐出する前記第1ヘッド、及び、前記第2ヘッドを有する
請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記複数の第1ヘッドは、
前記直交方向において前記液体を吐出できる範囲である各々の第1処理範囲が一部重複し、
前記直交方向に、千鳥状に配置され、
前記複数の第2ヘッドは、
前記直交方向において前記液体を吐出できる範囲である各々の第2処理範囲が一部重複し、
前記直交方向に、千鳥状に配置され、
前記第1処理範囲が重複する範囲が、前記複数の第1ヘッドの繋ぎ部分である第1繋ぎ部分であり、
前記第2処理範囲が重複する範囲が、前記複数の第2ヘッドの繋ぎ部分である第2繋ぎ部分である
請求項1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
液体を吐出するヘッドを複数備えるヘッドアレイを、媒体を搬送する搬送方向に対して直交する直交方向に複数配置し、前記媒体に対して前記液体を吐出して画像形成を行う画像形成装置であって、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記搬送方向における上流に配置され、かつ、複数の第1ヘッドを有する第1ヘッドアレイと、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記第1ヘッドアレイより前記搬送方向における下流に配置され、かつ、複数の第2ヘッドを有する第2ヘッドアレイとを備え、
前記第1ヘッドアレイが有する前記第1ヘッドの保有数である第1保有数と、
前記第2ヘッドアレイが有する前記第2ヘッドの保有数である第2保有数とが異なる
画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を吐出する装置、及び、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出する複数のヘッドアレイを備える装置において、例えば、インクジェット方式で画像形成を行う画像形成装置が知られている。そして、複数のヘッドアレイのヘッド端は、ステッチライン、又は、ステッチジョイントと呼ばれる位置で一列に配置する構成が知られている。
【0003】
装置において、少なくとも1つのステッチラインを、媒体を搬送する搬送方向に対して直交する方向(以下「直交方向」という。)にオフセットさせる。このようにして、媒体上で画像が処理方向に延伸する現象、いわゆるバンディング等のステッチライン不良を防ぐ技術が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、ステッチラインにオフセットを持たせるため、複数のヘッドアレイが互いにずれるように実装される。一方で、液体を吐出する装置全体で液体を吐出する範囲は、複数のヘッドアレイが共通して液体を吐出できる範囲である。そのため、実装位置がずれると、複数のヘッドアレイが共通して液体を吐出できる範囲が狭くなり、全体として液体を吐出する装置による直交方向において液体を吐出できる範囲が狭くなる課題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、液体を吐出する装置による直交方向において液体を吐出できる範囲を広くするのを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、
液体を吐出するヘッドを複数備えるヘッドアレイを、媒体を搬送する搬送方向に対して直交する直交方向に複数配置し、前記媒体に対して前記液体を吐出する液体を吐出する装置は、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記搬送方向における上流に配置され、かつ、複数の第1ヘッドを有する第1ヘッドアレイと、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記第1ヘッドアレイより前記搬送方向における下流に配置され、かつ、複数の第2ヘッドを有する第2ヘッドアレイとを備え、
前記第1ヘッドアレイが有する前記第1ヘッドの保有数である第1保有数と、
前記第2ヘッドアレイが有する前記第2ヘッドの保有数である第2保有数とが異なる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、液体を吐出する装置による直交方向において液体を吐出できる範囲を広くできる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態における画像形成装置の例を示す図である。
【
図2】第1実施形態におけるヘッドアレイの構成例を示す図である。
【
図3】第2実施形態における画像形成装置の例を示す図である。
【
図4】第2実施形態におけるヘッドアレイの構成例を示す図である。
【
図5】第3実施形態における画像形成装置の例を示す図である。
【
図6】第3実施形態におけるヘッドアレイの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付する図面を参照し、具体例を説明する。なお、実施形態は、以下に説明する具体例に限られない。
【0010】
[第1実施形態]
例えば、液体を吐出する装置は、以下のような画像形成装置1である。また、以下の例では、媒体は用紙W、かつ、液体はインクであるとする。したがって、画像形成装置1が用紙Wに対してインクを吐出すると、用紙W上に画像が形成される処理である。
【0011】
以下、画像形成においてインクの色を「黒(K、又は、Bk)」、「シアン(C、又は、Cy)」、「マゼンタ(M、又は、Ma)」、及び、「黄(Y、又は、Ye)」とする。ただし、色は、これ以外でもよい。また、色数は、4色以外でもよい。
【0012】
[画像形成装置の構成例]
図1は、第1実施形態における画像形成装置の例を示す図である。以下に説明する画像形成装置1は、入力される画像データに基づき、インクを用紙Wに吐出して、用紙W上にドットで画像を形成するインクジェット方式である。
【0013】
以下、用紙Wを搬送する方向を「搬送方向」及び「Y軸方向」(「主走査方向」という場合もある。)とする。そして、Y軸方向に対して直交する方向であって用紙Wの幅方向に相当する方向を「直交方向」及び「X軸方向」(「副走査方向」という場合もある。)とする。さらに、用紙Wの面(画像形成を行う面を含む。)に対し、垂直となる方向であって、搬送方向及びY軸方向と、直交方向及びX軸方向と直交する方向を「垂直方向」及び「Z軸方向」とする。
【0014】
画像形成装置1は、複数のヘッドアレイを備える。以下、画像形成装置1が2つのヘッドアレイを備える例で説明する。ただし、画像形成装置1は、3つ以上のヘッドアレイを備えてもよい。
【0015】
2つのヘッドアレイのうち、上流に配置されるヘッドアレイを「第1ヘッドアレイ101」という。一方で、第1ヘッドアレイ101より下流に配置されるヘッドアレイを「第2ヘッドアレイ102」という。
【0016】
例えば、第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102が有するヘッドノズルは、位置関係が直交方向に印刷解像度分、ずれる関係となるように設置される。このようにして、画像形成装置1は、ノズルピッチの2倍の解像度で画像を形成する。
【0017】
ただし、第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102が有するヘッドノズルは、搬送方向において同一線上となる位置関係でもよい。そして、第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102は、搬送方向のドットを第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102で分けて画像を形成する構成でもよい。
【0018】
ほかに、画像形成装置1は、各装置を制御する制御装置、処理を実行するのに用いる演算装置、データ等を記憶する記憶装置、外部装置と通信を行う通信装置、ユーザによる操作を入力する入力装置、及び、ユーザに対して処理結果を出力する出力装置を備える。
【0019】
[ヘッドアレイの構成例]
図2は、第1実施形態におけるヘッドアレイの構成例を示す図である。以下、第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102がいずれも、「K」、「M」、「Y」、及び、「C」の4色に対応する例で説明する。
【0020】
第1ヘッドアレイ101が有するヘッドを「第1ヘッド10」という。一方で、第2ヘッドアレイ102が有するヘッドを「第2ヘッド20」という。以下の説明では、第1ヘッド10、及び、第2ヘッド20は、同一の構造をしたヘッドであるとする。
【0021】
第1ヘッドアレイ101では、第1ヘッド10が直交方向に千鳥状に配置される。同様に、第2ヘッドアレイ102では、第2ヘッド20が直交方向に千鳥状に配置される。第1ヘッド10、及び、第2ヘッド20は、1つのヘッド内に「K」、「M」、「Y」、及び、「C」のインクを吐出するノズル列を備える。
【0022】
「千鳥状」とは、対象(各ヘッドアレイにおけるヘッドである。)が一列でなく、二列に対象を並べつつ、中心がずれる配置をいう。具体的には、
図2に示す例では、第1ヘッドアレイ101において、第1ヘッド10がY軸方向に二列に並び、かつ、X軸方向に向かって第1ヘッド10が一列でなく、2つの列に交互に第1ヘッド10が配置される並びをいう。また、第1ヘッド10は、X軸方向にそれぞれの第1ヘッド10が一部重複するように配置される。このように、「千鳥状」とは、各対象が「互い違い」、又は、「ジグザグ」の位置関係となる配置をいう。
【0023】
第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102は、構成するヘッドの数が異なる。以下、第1ヘッドアレイ101を構成する第1ヘッド10の数を「第1保有数」という。また、第2ヘッドアレイ102を構成する第2ヘッド20の数を「第2保有数」という。
【0024】
図2に示す例では、第1保有数が「8つ」に対し、第2保有数が「7つ」である。すなわち、第1保有数が第2保有数より1つ多い。なお、第1保有数と第2保有数は、数が異なれば、2つ以上の差があってもよいし、第1保有数が第2保有数より少なくてもよい。
【0025】
以上のように、第1保有数と第2保有数が異なると、第1ヘッド10の繋ぎ部分(以下「第1繋ぎ部分11」という。)直交方向における位置(以下「第1繋ぎ部分位置」という。)と、第2ヘッド20の繋ぎ部分(以下「第2繋ぎ部分21」という。)直交方向における位置(以下「第2繋ぎ部分位置」という。)とが異なる位置となる。
【0026】
第1保有数が第2保有数より多い場合、第1ヘッドアレイ101は、第2ヘッドアレイ102より、保有数が多い分、直交方向に長くなる。そのため、第1ヘッドアレイ101がインクを吐出できる範囲である「第1処理範囲12」は、第2ヘッドアレイ102がインクを吐出できる範囲である「第2処理範囲22」より広くできる。
【0027】
第1処理範囲12、及び、第2処理範囲22の重複する範囲、すなわち、第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102のどちらでも処理が可能な範囲が、画像形成装置1が全体として、液体を吐出できる範囲(以下「処理可能範囲32」という。)となる。なお、
図2が示す例は、処理可能範囲32が第2処理範囲22と同一である。
【0028】
保有数が異なると、第1ヘッドアレイ101、及び、第2ヘッドアレイ102の間でヘッドの位置を直交方向において異なる位置にできる。そのため、第1繋ぎ部分位置と、第2繋ぎ部分位置とが、直交方向において異なる位置となる。
【0029】
一方で、第1ヘッドアレイ101は、第1保有数が多いため、第1処理範囲12が広い。これに対し、第1処理範囲12が第2処理範囲22と同じ広さ、又は、第2処理範囲22より狭い範囲であると、処理可能範囲32が狭くなる。
【0030】
したがって、
図2に示すような構成であると、各ヘッドアレイの印字幅を狭めることなく処理可能範囲32を広く確保し、かつ、第1繋ぎ部分位置と第2繋ぎ部分位置を異なる位置にして、画質を向上させることができる。
【0031】
また、印時幅が用紙Wの幅よりも狭い場合には、各ヘッドアレイにヘッドを追加する必要であり、各ヘッドアレイにヘッドを追加すると、ヘッドユニットの大型化、又は、コストが増加する場合がある。一方で、本実施形態のような構成であれば、各ヘッドアレイにヘッドの追加をせず、ヘッドユニットの大型化、又は、コスト増加を抑制できる。
【0032】
本実施形態のような構成であれば、少ないヘッドの構成数で、アレイ間の繋ぎ部をずらした時の印字幅を確保することができる。
【0033】
例えば、各ヘッドアレイは、ヘッドアレイごとに吐出特性の差、又は、ヘッドの実装誤差等によって、特に繋ぎ部分に濃淡のムラ、又は、スジ等といった異常画像を形成して画質を悪化させる場合がある。そこで、第1繋ぎ部分位置と第2繋ぎ部分位置を異なる位置にできると、異常画像を形成するのを防ぎ、画質を向上させることができる。
【0034】
[第2実施形態]
図3は、第2実施形態における画像形成装置の例を示す図である。第2実施形態は、第1実施形態と比較すると、ヘッドアレイが異なる色を吐出する構成である点が異なる。
【0035】
図4は、第2実施形態におけるヘッドアレイの構成例を示す図である。具体的には、ブラックヘッドアレイ201は、黒色のインクを吐出する。また、シアンヘッドアレイ202は、シアン色のインクを吐出する。さらに、マゼンタヘッドアレイ203は、マゼンタ色のインクを吐出する。そして、イエローヘッドアレイ204は、黄色のインクを吐出する。このように、各ヘッドアレイは、1色ずつ互いに異なる色に対応する。
【0036】
各ヘッドアレイが有するヘッドノズルは、搬送方向において同一線上になるように配置される。したがって、ブラックヘッドアレイ201、シアンヘッドアレイ202、マゼンタヘッドアレイ203、及び、イエローヘッドアレイ204の有するノズルヘッドが配置されて、4色のインクを吐出させて画像形成を行う。
【0037】
図4に示す例は、イエローヘッドアレイ204を構成するヘッド(以下「イエローヘッド214」という。)の数が、他のヘッドアレイを構成するヘッドの数と異なる例である。以下、ブラックヘッドアレイ201を構成するヘッドを「ブラックヘッド211」という。同様に、シアンヘッドアレイ202を構成するヘッドを「シアンヘッド212」という。さらに、マゼンタヘッドアレイ203を構成するヘッドを「マゼンタヘッド213」という。
【0038】
具体的には、ブラックヘッド211、シアンヘッド212、及び、マゼンタヘッド213の数がいずれも「8つ」である。これに対し、イエローヘッド214の数は、1つ少ない「7つ」である。したがって、イエローヘッドアレイ204を第1ヘッドアレイとすると、イエローヘッドアレイ204以外のヘッドアレイが第2ヘッドアレイとなる。
【0039】
なお、第1ヘッドアレイと第2ヘッドアレイを構成するヘッドの数、すなわち、保有数は、2つ以上の数が異なるでもよいし、第1ヘッドアレイの方が、保有数が多いでもよい。
【0040】
図4に示す例では、シアンヘッド212の繋ぎ部分は、シアン繋ぎ部分221である。同様に、イエローヘッド214の繋ぎ部分は、イエロー繋ぎ部分222である。さらに、ブラックヘッド211の繋ぎ部分は、ブラック繋ぎ部分223である。また、マゼンタヘッド213の繋ぎ部分は、マゼンタ繋ぎ部分224である。
【0041】
シアン繋ぎ部分221、イエロー繋ぎ部分222、ブラック繋ぎ部分223、及び、マゼンタ繋ぎ部分224は、直交方向における位置が互いに異なる。したがって、第2実施形態の構成であると、第1繋ぎ部分位置と第2繋ぎ部分位置を異なる位置にして、画質を向上させることができる。
【0042】
また、画像形成装置1が全体として、イエローヘッドアレイ204の印字幅を狭めることなく処理可能範囲32を広く確保できる。
【0043】
[第3実施形態]
図5は、第3実施形態における画像形成装置の例を示す図である。第3実施形態は、第1実施形態と比較すると、同一の色に複数のヘッドアレイが対応する点が異なる。
【0044】
図5に示す例では、1つの色に対し、2つずつヘッドアレイを対応させる。具体的には、黒色には、第1ブラックヘッドアレイ301、及び、第2ブラックヘッドアレイ302が対応する。次に、シアン色には、第1シアンヘッドアレイ303、及び、第2シアンヘッドアレイ304が対応する。同様に、マゼンタ色には、第1マゼンタヘッドアレイ305、及び、第2マゼンタヘッドアレイ306が対応する。さらに、黄色には、第1イエローヘッドアレイ307、及び、第2イエローヘッドアレイ308が対応する。
【0045】
なお、各色には、3つ以上のヘッドアレイが対応してもよい。
【0046】
図6は、第3実施形態におけるヘッドアレイの構成例を示す図である。以下、黒色と黄色を例に説明する。
【0047】
同一色のヘッドアレイのうち、搬送方向において上流となるヘッドアレイが第1ヘッドアレイとなる。一方で、搬送方向において第1ヘッドアレイより下流に配置されるヘッドアレイが第2ヘッドアレイとなる。
【0048】
具体的には、黒色の場合には、第1ブラックヘッドアレイ301が第1ヘッドアレイとなる。一方で、第2ブラックヘッドアレイ302が第2ヘッドアレイとなる。また、黄色の場合には、第1イエローヘッドアレイ307が第1ヘッドアレイとなる。一方で、第2イエローヘッドアレイ308が第2ヘッドアレイとなる。
【0049】
第1ブラックヘッドアレイ301、及び、第2ブラックヘッドアレイ302は、構成するヘッドの数が異なる。以下、第1ブラックヘッド311の数、すなわち、第1ブラックヘッドアレイ301を構成するヘッドの数を第1保有数とする。一方で、第2ブラックヘッド312の数、すなわち、第2ブラックヘッドアレイ302を構成するヘッドの数を第2保有数とする。
【0050】
図6に示す例では、第1保有数が「8つ」に対し、第2保有数が「7つ」である。すなわち、第1保有数が第2保有数より1つ多い。なお、第1保有数と第2保有数は、数が異なれば、2つ以上の差があってもよいし、第1保有数が第2保有数より少なくてもよい。
【0051】
第1ブラックヘッドアレイ301の繋ぎ部分である「第1ブラック繋ぎ部分321」と、第2ブラックヘッドアレイ302の繋ぎ部分である「第2ブラック繋ぎ部分322」とが直交方向において位置が異なる。すなわち、第1繋ぎ部分である第1ブラック繋ぎ部分321の位置と、第2繋ぎ部分である第2ブラック繋ぎ部分322の位置とが、直交方向において互いに位置が異なる。したがって、第3実施形態の構成であると、黒色について、第1繋ぎ部分位置と第2繋ぎ部分位置を異なる位置にして、画質を向上させることができる。
【0052】
同様に、黄色の例でも、第1イエローヘッドアレイ307、及び、第2イエローヘッドアレイ308は、構成するヘッドの数が異なる。以下、第1イエローヘッド313の数、すなわち、第1イエローヘッドアレイ307を構成するヘッドの数を第1保有数とする。一方で、第2イエローヘッド314の数、すなわち、第2イエローヘッドアレイ308を構成するヘッドの数を第2保有数とする。
【0053】
黒色と同様に、第1保有数が「8つ」に対し、第2保有数が「7つ」である。すなわち、第1保有数が第2保有数より1つ多い。なお、第1保有数、及び、第2保有数は、黒色と同一でなくともよい。
【0054】
第1イエローヘッドアレイ307の繋ぎ部分である「第1イエロー繋ぎ部分323」と、第2イエローヘッドアレイ308の繋ぎ部分である「第2イエロー繋ぎ部分324」とが直交方向において位置が異なる。すなわち、第1繋ぎ部分である第1イエロー繋ぎ部分323の位置と、第2繋ぎ部分である第2イエロー繋ぎ部分324の位置とが、直交方向において互いに位置が異なる。したがって、第3実施形態の構成であると、黄色について、第1繋ぎ部分位置と第2繋ぎ部分位置を異なる位置にして、画質を向上させることができる。
【0055】
また、画像形成装置1が全体として、第2ブラックヘッドアレイ302、及び、第2イエローヘッドアレイ308の印字幅を狭めることなく、処理可能範囲32を広く確保できる。
【0056】
なお、第3実施形態において、色ごとの繋ぎ部分の位置も直交方向において互いに異なるのが望ましい。
【0057】
[画像形成装置の例]
図7は、画像形成装置の例を示す図である。画像形成装置は、例えば、以下のようなインクジェットプリンタ1000でもよい。
【0058】
インクジェットプリンタ1000は、いわゆるオンデマンド方式のライン走査型である。
【0059】
インクジェットプリンタ1000は、画像形成部1210と、給紙部1220と、レジスト調整部1230と、乾燥部1240と、記録媒体反転部1250と、排紙部1290と、を備える。以下、インクジェットプリンタ1000における画像形成出力動作(印刷動作)の流れの一例を説明する。
【0060】
まず給紙部1220の給紙スタック1221に積載された用紙Wが、エアー分離部1222によって1枚ずつピックアップされ、画像形成部1210の方向に搬送される。給紙部1220から搬送された用紙Wは、レジスト調整部1230に達すると、内部に設けられたレジストローラ対1231によって、用紙Wの傾きの補正が行われる。また、画像形成部1210内は、搬送ローラ1211によって用紙Wが搬送される。
【0061】
レジスト調整された用紙Wは、画像形成部1210に送られ、円筒形状のドラム1010の表面に設けた記録媒体グリッパ1011によって記録媒体先端を挟んで、ドラム1010が回転することでヘッドアレイ28K~28Pに対向する位置へ搬送される。画像形成部210では、円筒形状のドラム1010表面に沿って、インクジェット方式によりインクを吐出する記録ヘッドユニットであるヘッドアレイ28K~28Pが、所定のインク色を充填した状態で放射状に角度をもって配置される。
【0062】
複数のヘッドアレイ28K~28Pが、円周の外側からドラム1010の表面に保持された用紙Wの外周面へ、インク(液体)を吐出することで、用紙Wに画像を形成する。また、ドラム1010の外周面には、空吐出受け1012が設けられる。空吐出受け1012は、ヘッドモジュール28が用紙Wにインクを吐出していないときに、空吐出されたインクを受け取る。そして、画像が形成されると、用紙Wは、乾燥部1240に送られる。
【0063】
乾燥部1240には乾燥ユニット1241が取り付けられ、その下を用紙Wが通過することによって、用紙Wの水分を蒸発させる。また、乾燥部1240には、記録媒体反転機構1251を含む記録媒体反転部1250が設けられる。両面印刷時には、記録媒体反転部1250で用紙Wを反転し反転搬送部1252により再度画像形成部1210の方向へ搬送する。なお、ドラム1010に達する前に画像形成部1210内部に設けられたレジストローラ1253によって用紙Wの傾きが補正される。乾燥部1240による乾燥を終えた用紙Wは排紙部1290に搬送されて、用紙Wの端部が整合された状態で積載される。
【0064】
なお、画像形成装置は、
図7に示す以外の装置でもよい。例えば、画像形成装置は、
図7に示す以外の装置を備える構成でもよい。
【0065】
[その他の実施形態]
本願において、液体は、ヘッドアレイから吐出可能な粘度、又は、表面張力であればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において加熱、又は、冷却により、粘度が30mPa・s以下となるものが好ましい。より具体的には、例えば、水、有機溶媒等の溶媒、染料、若しくは、顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、若しくは、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸、たんぱく質、若しくは、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料等を含む溶液、懸濁液、又は、エマルジョン等である。これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子、若しくは、発光素子の構成要素、若しくは、電子回路レジストパターンの形成用液、又は、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0066】
ヘッドアレイは、液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(例えば、積層型圧電素子、及び、薄膜型圧電素子等である。)、発熱抵抗体等の電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極を有する静電アクチュエータ等を備える。
【0067】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能な物体に対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中、又は、液中に向けて吐出する装置も含まれる。この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能な物体の給送、搬送、若しくは、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、又は、後処理装置等が含まれてもよい。
【0068】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置は、立体造形物(「3次元造形物」ともいう。)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(「3次元造形装置」ともいう。)でもよい。
【0069】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、又は、図形等といった画像が可視化されるものに限定されない。例えば、「液体を吐出する装置」は、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、又は、3次元像を造形してもよい。
【0070】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能な媒体であって、付着して固着するもの、又は、付着して浸透するもの等を意味する。例えば、媒体は、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、若しくは、布等の被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、又は、検査用セル等であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべての物体が含まれる。
【0071】
また、上記「液体が付着可能なもの」の材質は、例えば、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、又は、セラミックス等の液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0072】
本発明の態様は、例えば、以下のとおりである。
【0073】
<1>液体を吐出するヘッドを複数備えるヘッドアレイを、媒体を搬送する搬送方向に対して直交する直交方向に複数配置し、前記媒体に対して前記液体を吐出する液体を吐出する装置であって、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記搬送方向における上流に配置され、かつ、複数の第1ヘッドを有する第1ヘッドアレイと、
複数の前記ヘッドアレイのうち、前記第1ヘッドアレイより前記搬送方向における下流に配置され、かつ、複数の第2ヘッドを有する第2ヘッドアレイとを備え、
前記第1ヘッドアレイが有する前記第1ヘッドの保有数である第1保有数と、
前記第2ヘッドアレイが有する前記第2ヘッドの保有数である第2保有数とが異なる
液体を吐出する装置である。
【0074】
<2>前記複数の第1ヘッドの繋ぎ部分である第1繋ぎ部分の前記直交方向における第1繋ぎ位置と、
前記複数の第2ヘッドの繋ぎ部分である第2繋ぎ部分の前記直交方向における第2繋ぎ位置とが前記直交方向において異なる位置となる
上記<1>に記載の液体を吐出する装置である。
【0075】
<3>前記第1ヘッドアレイ、及び、前記第2ヘッドアレイは、
複数色の前記液体を吐出する前記第1ヘッド、及び、前記第2ヘッドを有する
上記<1>に記載の液体を吐出する装置である。
【0076】
<4>前記第1ヘッドアレイ、及び、前記第2ヘッドアレイは、
異なる色の前記液体を吐出する前記第1ヘッド、及び、前記第2ヘッドを有する
上記<1>に記載の液体を吐出する装置である。
【0077】
<5>前記第1ヘッドアレイ、及び、前記第2ヘッドアレイは、
同一色の前記液体を吐出する前記第1ヘッド、及び、前記第2ヘッドを有する
上記<1>に記載の液体を吐出する装置である。
【0078】
<6>前記複数の第1ヘッドは、
前記直交方向において前記液体を吐出できる範囲である各々の第1処理範囲が一部重複し、
前記直交方向に、千鳥状に配置され、
前記複数の第2ヘッドは、
前記直交方向において前記液体を吐出できる範囲である各々の第2処理範囲が一部重複し、
前記直交方向に、千鳥状に配置され、
前記第1処理範囲が重複する範囲が、前記複数の第1ヘッドの繋ぎ部分である第1繋ぎ部分となり、
前記第2処理範囲が重複する範囲が、前記複数の第2ヘッドの繋ぎ部分である第2繋ぎ部分となる
上記<1>乃至<5>のいずれかに記載の液体を吐出する装置である。
【0079】
なお、本発明は、上記に例示する各実施形態に限定されない。したがって、本発明は、技術的な要旨を逸脱しない範囲で、構成要素の追加、又は、変形が可能である。ゆえに、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項のすべてが本発明の対象となる。なお、上記に例示する実施形態は、実施において好適な具体例である。そして、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現で可能であって、このような変形例は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0080】
1 :画像形成装置
10 :第1ヘッド
11 :第1繋ぎ部分
12 :第1処理範囲
20 :第2ヘッド
21 :第2繋ぎ部分
22 :第2処理範囲
32 :処理可能範囲
101 :第1ヘッドアレイ
102 :第2ヘッドアレイ
201 :ブラックヘッドアレイ
202 :シアンヘッドアレイ
203 :マゼンタヘッドアレイ
204 :イエローヘッドアレイ
211 :ブラックヘッド
212 :シアンヘッド
213 :マゼンタヘッド
214 :イエローヘッド
221 :シアン繋ぎ部分
222 :イエロー繋ぎ部分
223 :ブラック繋ぎ部分
224 :マゼンタ繋ぎ部分
301 :第1ブラックヘッドアレイ
302 :第2ブラックヘッドアレイ
303 :第1シアンヘッドアレイ
304 :第2シアンヘッドアレイ
305 :第1マゼンタヘッドアレイ
306 :第2マゼンタヘッドアレイ
307 :第1イエローヘッドアレイ
308 :第2イエローヘッドアレイ
311 :第1ブラックヘッド
312 :第2ブラックヘッド
313 :第1イエローヘッド
314 :第2イエローヘッド
321 :第1ブラック繋ぎ部分
322 :第2ブラック繋ぎ部分
323 :第1イエロー繋ぎ部分
324 :第2イエロー繋ぎ部分
W :用紙
【先行技術文献】
【特許文献】
【0081】