(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154526
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】運転支援方法及び運転支援装置
(51)【国際特許分類】
B60W 50/12 20120101AFI20241024BHJP
B60K 26/04 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B60W50/12
B60K26/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068365
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504132881
【氏名又は名称】国立大学法人東京農工大学
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100114177
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【弁理士】
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】平松 真知子
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 壮
(72)【発明者】
【氏名】毛利 宏
【テーマコード(参考)】
3D037
3D241
【Fターム(参考)】
3D037EA08
3D037EB02
3D241BA59
3D241DA13Z
3D241DA15Z
(57)【要約】
【課題】誤操作の可能性があるアクセル操作を早期に検知して運転者に知らせる。
【解決手段】運転支援方法では、アクセルペダルを踏んだ状態から瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダルを踏んだ状態に変化したか否かを判定し(S6)。瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定した場合にアクセルペダルを振動させる(S7)。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コントローラが、
アクセルペダルを踏んだ状態から瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したか否かを判定し、
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定した場合に、前記アクセルペダルを振動させる、
ことを特徴とする運転支援方法。
【請求項2】
前記アクセルペダルを最後に振動させた時刻から所定時間以上、前記アクセルペダルを振動させていない場合には、前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定しなくても、前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1に記載の運転支援方法。
【請求項3】
前記アクセルオフとは、運転者がアクセルペダルから足を離す操作であることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項4】
前記瞬間的なアクセルオフの期間の長さをタイマにより測定することを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項5】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定した場合に、規則的なパターンの振動を前記アクセルペダルに発生させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項6】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定した場合に、前記アクセルペダルを所定時間振動させ、前記所定時間の経過後に前記アクセルペダルを振動させるのを停止することを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項7】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだときの前記アクセルペダルの操作量が閾値以上になった場合に、前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項8】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだときの前記アクセルペダルの操作量が閾値以上になった場合に、前記アクセルペダルを所定時間振動させ、前記所定時間の経過後に前記アクセルペダルを振動させ、
前記所定時間が経過する前に前記アクセルペダルの操作量が閾値未満となっても、前記所定時間が経過するまで前記アクセルペダルを振動させることを継続する、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項9】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだときの前記アクセルペダルの操作量が第1閾値以上になった場合に、第1振動パターン又は第1振動強度で前記アクセルペダルを振動させ、
前記第1振動パターン又は第1振動強度で前記アクセルペダルを振動させた後に、前記アクセルペダルの操作量が前記第1閾値よりも大きな第2閾値以上になった場合に、第2振動パターン又は第2振動強度で前記アクセルペダルを振動させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項10】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだときの前記アクセルペダルの操作量が第1閾値以上になった場合に、前記アクセルペダルを第1所定時間振動させ、前記第1所定時間の経過後に前記アクセルペダルを振動させるのを停止し、
前記第1所定時間が経過する前に前記アクセルペダルの操作量が前記第1閾値よりも大きな第2閾値以上になった場合に、前記アクセルペダルを前記第1所定時間より長い第2所定時間振動させる、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項11】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルが踏ふまれても車速が所定速度より高い場合には、前記アクセルペダルを振動させないことを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項12】
前記瞬間的なアクセルオフの期間が長い場合に比べて短い場合に、より早い時点で前記アクセルペダルを振動させるか又はより強い強度で前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項13】
前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏む操作速度が低い場合に比べて高い場合に、より早い時点で前記アクセルペダルを振動させるか又はより強い強度で前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項14】
前記アクセルペダルを最後に振動させた時刻から前記アクセルペダルを振動させていない期間が所定時間以上継続した後の最初の前記アクセルペダルの操作時に前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項15】
イグニションスイッチがオフからオンに切り替えられた後の最初の前記アクセルペダルの操作時に前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項16】
シフトポジションが変更された後の最初の前記アクセルペダルの操作時に前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項17】
シフトポジションが後退走行ポジションである場合には、前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定しなくても、前記アクセルペダルを振動させることを特徴とする請求項1又は2に記載の運転支援方法。
【請求項18】
アクセルペダルの操作を検出するセンサと、
前記アクセルペダルに振動を発生させるアクチュエータと、
前記アクセルペダルを踏んだ状態から瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したか否かを判定し、前記瞬間的なアクセルオフの後に再び前記アクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定した場合に、前記アクチュエータにより前記アクセルペダルを振動させるコントローラと、
を備えることを特徴とする運転支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運転支援方法及び運転支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の走行制御装置は、アクセルペダルの踏み込み角度が大きくなると反力による警告装置が作動し、さらに踏み込み角度が大きくなると音、光、振動等による警告装置が作動し、さらに踏み込み角度が大きくなるとエンジンを停止させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、アクセルペダルの強い踏み込みを検知して警告する装置の場合は、アクセルペダルを強く踏み込んだ時点で既に車は急加速しているため、運転者は意図しない加速に慌ててしまい、アクセルペダルから足を離すことができなくなることがあるという問題があった。
本発明は、誤操作の可能性があるアクセル操作を早期に検知して、運転者に知らせることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様による運転支援方法では、コントローラが、アクセルペダルを踏んだ状態から瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダルを踏んだ状態に変化したか否かを判定し、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダルを踏んだ状態に変化したと判定した場合にアクセルペダルを振動させる。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、誤操作の可能性があるアクセル操作を早期に検知して、運転者に知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施形態のアクセルペダル操作警報装置を備える車両の一例の概略構成図である。
【
図2】第1実施形態のコントローラの機能構成の一例のブロック図である。
【
図3】(a)及び(b)は、第1実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の一例の説明図である。
【
図4】実施形態のアクセルペダル操作警報方法の一例のフローチャートである。
【
図5】第2実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の第1例の説明図である。
【
図6】第2実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の第2例の説明図である。
【
図7】第3実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の一例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(第1実施形態)
(構成)
図1は、実施形態のアクセルペダル操作警報装置を備える車両の一例の概略構成図である。車両1は、アクセルペダル10と、アクセルセンサ11と、ブレーキペダル12と、ブレーキセンサ13と、制駆動力コントローラ14と、動力コントローラ15と、駆動力源16と、ブレーキコントローラ17と、制動装置18と、車速センサ20と、ヒューマンマシンインタフェース(HMI)21と、ペダルアクチュエータ22と、コントローラ23を備える。
アクセルセンサ11と、ブレーキセンサ13と、車速センサ20と、ペダルアクチュエータ22と、コントローラ23は、実施形態のアクセルペダル操作警報装置を構成する。アクセルペダル操作警報装置は、特許請求の範囲に記載の「運転支援装置」の一例である。
【0009】
アクセルペダル10は、運転者の駆動力要求(運転者自身の加速意図)または制動力要求(運転者自身の減速意図)に応じて踏込むペダルである。アクセルセンサ11は、アクセルペダル10の操作量であるアクセル操作量を検出し、アクセル操作量の情報信号を制駆動力コントローラ14とコントローラ23へ出力する。
例えばアクセルセンサ11は、運転者によるアクセルペダル10のストローク量(踏み込み量)をアクセル操作量として検出してよい。また例えばアクセルセンサ11として、アクセルペダル10の踏み面が物体に接触している接触面積を検出するタッチセンサを設けてもよい。アクセルセンサ11は、アクセルペダル10の踏み面が物体に接触している接触面積をアクセル操作量として検出してもよい。
【0010】
ブレーキペダル12は、運転者が制動力要求のみに応じて踏込むペダルであり、アクセルペダル10とは別個に設ける。ブレーキセンサ13は、ブレーキペダル12の操作量であるブレーキ操作量を検出し、ブレーキ操作量の情報信号を制駆動力コントローラ14とコントローラ23へ出力する。
例えばブレーキセンサ13は、運転者によるブレーキペダル12のストローク量(踏み込み量)をブレーキ操作量として検出してよい。また例えばブレーキセンサ13として、ブレーキペダル12の踏み面が物体に接触している接触面積を検出するタッチセンサを設けてもよい。ブレーキセンサ13は、ブレーキペダル12の踏み面が物体に接触している接触面積をブレーキ操作量として検出してもよい。
【0011】
制駆動力コントローラ14は、アクセルペダル10のストローク量に基づいて車両1に発生させる制動力と駆動力を制御するとともに、ブレーキペダル12のストローク量に基づいて車両1に発生させる制動力を制御する電子制御ユニット(ECU:Electronic Control Unit)である。制駆動力コントローラ14は、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含む。以下に説明する制駆動力コントローラ14の機能は、記憶装置に記憶されたコンピュータプログラムをプロセッサが実行することにより実現される。制駆動力コントローラ14は、専用のハードウエアにより形成してもよい。例えば、制駆動力コントローラ14は汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路(例えばFPGAやASICなど)を備えてもよい。
【0012】
制駆動力コントローラ14は、アクセルペダル10のストローク量に基づいて定まる駆動トルクの指令値である駆動トルク指令値を演算して動力コントローラ15に出力する。駆動力源16が電動モータを含む場合には、制駆動力コントローラ14は、アクセルペダル10のストローク量に基づいて定まる回生制動トルクの指令値である回生制動トルク指令値を演算して動力コントローラ15に出力してもよい。
また、ブレーキペダル12のストローク量に基づいて定まる摩擦制動トルクの指令値である摩擦制動トルク指令値を演算して、ブレーキコントローラ17に出力する。
【0013】
動力コントローラ15は、電動モータやエンジンである駆動力源16に発生させる駆動トルクを制御する電子制御ユニットであり、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含む。動力コントローラ15は、専用のハードウエアにより形成してもよい。動力コントローラ15は、制駆動力コントローラ14から出力される駆動トルク指令値に基づいて、駆動力源16に発生させる駆動トルクを制御する。駆動力源16が電動モータを含む場合には、回生制動トルク指令値に基づいて駆動力源16に発生させる回生制動トルクを制御する。
【0014】
ブレーキコントローラ17は、制動装置18に発生させる摩擦制動トルクを制御する電子制御ユニットであり、プロセッサと、記憶装置等の周辺部品とを含む。ブレーキコントローラ17は、専用のハードウエアにより形成してもよい。ブレーキコントローラ17は、制駆動力コントローラ14から出力される摩擦制動トルク指令値に基づいて、駆動力源16に発生させる摩擦トルクを制御する。
なお、制駆動力コントローラ14、動力コントローラ15、及びブレーキコントローラ17、コントローラ23は、それぞれ別個のコントローラであってもよく、これらコントローラのいずれか又は全てを同じコントローラに統合してもよい。
【0015】
車速センサ20は、車両1の車輪の回転速度(車輪速)や、駆動力源16である駆動用モータやエンジンの回転数などから車両1の車速Vを検出する。車速センサ20は、車速Vの情報信号をコントローラ23へ出力する。
HMI21は、車両1と乗員との間で情報を授受するインタフェース装置である。HMI21は、車両1の乗員が視認可能な表示装置(例えばメータ付近やセンタコンソールなどに設けられたディスプレイパネルや、メータ自体、ヘッドアップディスプレイなど)や、警告灯などのランプや、スピーカやブザーや、操作子(ボタンやスイッチ、レバー、ダイヤル、タッチパネルなど)を備える。
ペダルアクチュエータ22は、アクセルペダル10に物理的な力を印加するアクチュエータである。ペダルアクチュエータ22は、コントローラ23からの制御信号に基づいて、アクセルペダル10を振動させる振動器であってよい。
【0016】
コントローラ23は、アクセルペダル10とブレーキペダル12の踏み間違いを抑制する制御を行う電子制御ユニットである。例えば、プロセッサ23aと、記憶装置23b等の周辺部品とを含むコンピュータを含む。プロセッサ23aは、例えばCPU(Central Processing Unit)、やMPU(Micro-Processing Unit)であってよい。
記憶装置23bは、半導体記憶装置、磁気記憶装置及び光学記憶装置のいずれかを備えてよい。記憶装置23bは、主記憶装置として使用されるROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリや、レジスタ、キャッシュメモリ、を含んでよい。以下に説明するコントローラ23の機能は、例えばプロセッサ23aが、記憶装置23bに格納されたコンピュータプログラムを実行することにより実現される。
【0017】
なお、コントローラ23を、以下に説明する各情報処理を実行するための専用のハードウエアにより形成してもよい。
例えば、コントローラ23は、汎用の半導体集積回路中に設定される機能的な論理回路を含んでいてもよい。例えばコントローラ23はフィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA:Field-Programmable Gate Array)等のプログラマブル・ロジック・デバイス(PLD:Programmable Logic Device)等を有していてもよい。
【0018】
コントローラ23は、アクセルペダル10を踏んだ状態から瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したか否かを判定する。コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化した場合に、運転者の加速意図の有無が不明であると判定する。この場合にコントローラ23は、ペダルアクチュエータ22を駆動してアクセルペダル10を振動させることにより、運転者に警報を出力する。なお、本明細書において「アクセルオフ」とは、運転者がアクセルペダル10から足を離す操作、もしくは運転者の足がアクセルペダル10から離れる状態を意味する。
【0019】
これにより、運転者の加速意図の有無が不明であるアクセル操作を早期に検知して、車両1が急加速する前に運転者に警報を出力するので、運転者はアクセルペダル10を強く踏み込む前にアクセルペダル10とブレーキペダル12の踏み間違いから復帰できる。
さらに、アクセルペダル10とブレーキペダル12の踏み間違いを知らせる警報として、運転者が踏んでいるアクセルペダル10を振動させることにより、より分かり易く運転者に踏み間違いを知らせることができる。
【0020】
図2は、第1実施形態のコントローラ23の機能構成の一例のブロック図である。コントローラ23は、加速意図判定部30と、タイマ31と、警報生成部32を備える。
加速意図判定部30は、アクセルセンサ11が検出したアクセル操作量に基づいて、運転者がアクセルペダル10を踏んでいるか否か(すなわちアクセルペダル10が踏まれているか否か)を判定する。
【0021】
例えば、アクセル操作量が第1閾値At1以上である場合に運転者がアクセルペダル10を踏んでいると判定し、アクセル操作量が第1閾値At1未満である場合に運転者がアクセルペダル10を踏んでいないと判定してよい。例えばアクセル操作量としてアクセルペダル10のストローク量を検出した場合、第1閾値At1は、ストローク全長の2%程度であってよい。例えばアクセル操作量としてアクセルペダル10の接触面積を検出した場合、第1閾値At1は、アクセルペダル10の踏み面の全面積の50%程度であってよい。
また加速意図判定部30は、アクセルセンサ11が検出したアクセル操作量に基づいて、運転者がアクセルペダル10を踏む操作速度を算出する。例えば加速意図判定部30は、単位時間当たりのアクセル操作量を操作速度として算出してよい。
【0022】
また、加速意図判定部30は、ブレーキセンサ13が検出したブレーキ操作量に基づいて、運転者がブレーキペダル12を踏んでいるか否か(すなわちブレーキペダル12が踏まれているか否か)を判定する。例えば、ブレーキ操作量が閾値Bt以上である場合に運転者がブレーキペダル12を踏んでいると判定し、ブレーキ操作量が閾値Bt未満である場合に運転者がブレーキペダル12を踏んでいないと判定してよい。例えばブレーキ操作量としてブレーキペダル12のストローク量を検出した場合、閾値Btは、ストローク全長の2%程度であってよい。例えばブレーキ操作量としてブレーキペダル12の接触面積を検出した場合、閾値Btは、ブレーキペダル12の踏み面の全面積の30%程度であってよい。
また、加速意図判定部30は、車速センサ20が検出した車速Vが、所定速度Vth以下であるか否かを判定する。
【0023】
タイマ31は、運転者がアクセルペダル10から足を離すアクセルオフ操作の期間であるアクセルオフ時間Tcを計時する。
例えばアクセルオフ時間Tcの開始時点t1は、アクセル操作量が減少して第1閾値At1未満になった時点であってよい。また例えばアクセル操作量が減少して0に至った時点であってよい。また例えば開始時点t1は、アクセル操作量が減少を開始した時点であってもよい。
また例えばアクセルオフ時間Tcの終了時点t2は、アクセル操作量が増加して第1閾値At1以上になった時点であってよい。また例えばアクセル操作量が増加して0より大きくなった時点であってよい。また例えば終了時点t2は、アクセル操作量が増加を開始した時点であってもよい。
【0024】
例えば加速意図判定部30は、アクセルペダル10を踏まれた状態からアクセルオフへの状態変化(例えばアクセルペダル10を踏まれた状態からアクセルペダル10が踏まれていない状態への状態変化)を検出した開始時点t1において、タイマ31にアクセルオフ時間Tcの計時を開始させる。開始時点t1の後に、加速意図判定部30は、アクセルオフからアクセルペダル10が踏まれていない状態変化(例えばアクセルペダル10が踏まれていない状態からアクセルペダル10が踏まれた状態への状態変化)を検出した終了時点t2において、タイマ31の計時結果を読み取ることにより、アクセルオフ時間Tc=t2-t1を取得してよい。
【0025】
加速意図判定部30は、アクセルペダル10が踏まれた状態から瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏まれた状態に変化したか否かを判定する。
例えば加速意図判定部30は、アクセルオフ時間Tcの長さに応じてアクセルオフが瞬間的であるか否かを判定してよい。例えば加速意図判定部30は、アクセルオフ時間Tcの長さが所定時間Tt以下である場合にアクセルオフが瞬間的であると判定し、アクセルオフ時間Tcの長さが所定時間Ttよりも長い場合にアクセルオフが瞬間的でないと判定してよい。
例えば、所定時間Ttはアクセルペダル10からブレーキペダル12への踏み替えに要する一般的な(または標準的な)所要時間に基づいて設定してよい。所定時間Ttは例えば1秒であってよい。
【0026】
加速意図判定部30は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏まれた状態に変化したと判定した場合に、アクセルオフの終了時点t2において開始された運転者によるアクセルペダル10の踏み込み操作(すなわちアクセル操作)が、運転者の加速意図による操作であるか不明であると判定する。すなわち、運転者の加速意図の有無が不明であると判定する。
【0027】
例えば瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏まれたときのアクセル操作量が第1閾値At1以上になった場合に、運転者の加速意図による操作であるか不明であると判定してよい。
一方で、瞬間的でないアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏まれた状態に変化したと判定した場合に、終了時点t2において開始されたアクセルペダル10の踏み込み操作が運転者の加速意図による操作であると判定する。すなわち、運転者の加速意図が存在すると判定する。
【0028】
運転者の加速意図の有無が不明であると判定した場合、警報生成部32は、アクセルペダル10とブレーキペダル12の踏み間違いが発生した可能性があることを運転者に知らせる警報(以下「踏み間違い警報」と表記する)を生成する。本実施形態の警報生成部32は、振動発生信号をペダルアクチュエータ22へ出力してペダルアクチュエータ22を駆動することにより、踏み間違い警報としてアクセルペダル10を振動させる。
【0029】
例えば警報生成部32は、規則的なパターンの振動をアクセルペダル10に発生させてよい。例えば警報生成部32は、規則的なパターンとして周期的なパターンの振動をアクセルペダル10に発生させてよい。例えば周期的なパターンの振動とは、振動の振幅波形が周期的な変化を反復する振動であってよい。例えば、周期的に振動強度が変化する振動であってもよく、振動強度が0より大きい期間と振動強度が0になる期間とが周期的に反復する間欠的な振動であってもよい。
運転者の加速意図の有無が不明であると判定した場合、警報生成部32は、踏み間違い警報を所定の第1持続時間T1だけ生成し、第1持続時間T1の経過後に踏み間違い警報の生成を停止させてもよい。
【0030】
例えば、第1持続時間T1の経過後は、たとえ運転者がアクセルペダル10を踏んでいても(例えばアクセル操作量が第1閾値At1以上であっても)、踏み間違い警報の生成を停止させてよい。
また、警報生成部32は、第1持続時間T1が経過する前にアクセル操作量が第1閾値At1未満となってアクセルペダル10が踏まれていないと判定されても、第1持続時間T1が経過するまで踏み間違い警報の生成(すなわちアクセルペダル10の振動)を継続してもよい。運転者の足が僅かに触れていても運転者は振動を感じるからである。
【0031】
反対に、運転者の加速意図が存在すると判定した場合に警報生成部32は踏み間違い警報を生成しない。
なお、運転者がブレーキペダル12を踏んだ状態からアクセルペダル10を踏んだ状態に変化した場合には、運転者の加速意図が推定できる。したがってこの場合には、警報生成部32は踏み間違い警報を生成しなくてもよい。例えば、アクセルオフの間にブレーキペダル12を踏んだ状態からアクセルペダル10を踏んだ状態に変化した場合には、踏み間違い警報を生成しなくてもよい。
【0032】
また、アクセルペダル10とブレーキペダル12の踏み間違いは車速Vが低い場合に発生し易く、車速Vが高い場合には発生しにくい。このため、警報生成部32は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏まれた場合の車速Vが所定速度Vth以下である場合に踏み間違い警報を生成し、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10が踏まれても車速Vが所定速度Vthよりも高い場合は踏み間違い警報を生成しなくてもよい。例えば、所定速度Vthはアクセルペダル10とブレーキペダル12との踏み間違いが多い速度域に基づいて設定してよい。所定速度Vthは20[km/h]であってよい。
【0033】
運転者の加速意図の有無が不明であると判定した場合に警報生成部32が踏み間違い警報の出力を開始する時点(タイミング)t3を可変制御してもよい。例えばアクセルオフの終了時点t2から警報生成部32が踏み間違い警報の出力を開始する時点t3までの時間間隔Δt1を可変制御してよい。
例えば、アクセルオフ時間Tcが短い場合に長い場合よりも早い時点で踏み間違い警報の出力を開始してよい(すなわち、アクセルオフ時間Tcが短い場合に長い場合よりも時間間隔Δt1を短くしてよい)。例えばアクセルオフ時間Tcが短いほど、より早い時点で踏み間違い警報の出力を開始してよい(すなわち、アクセルオフ時間Tcが短いほど時間間隔Δt1をより短くしてよい)。
【0034】
また例えば、運転者の加速意図の有無が不明であると判定した場合に、アクセルオフの終了時点t2から開始したアクセルペダル10の踏み込み操作の操作速度が高い場合に低い場合よりも早い時点で踏み間違い警報の出力を開始してよい(操作速度が高い場合に低い場合よりも時間間隔Δt1を短くしてよい)。例えば操作速度が高いほど、より早い時点で踏み間違い警報の出力を開始してよい(すなわち、操作速度が高いほど時間間隔Δt1をより短くしてよい)。
【0035】
また例えば、警報生成部32は、踏み間違い警報の強度を可変制御してもよい。例えば、警報生成部32は、ペダルアクチュエータ22によりアクセルペダル10に発生させる振動の強度を変更することによって踏み間違い警報の強度を変化させてもよい。
例えば警報生成部32は、アクセルオフ時間Tcが短い場合に長い場合よりもより強い踏み間違い警報を出力してよい。例えばアクセルオフ時間Tcが短いほど、より強い踏み間違い警報を出力してよい。例えばアクセルオフ時間Tcが短いほどより強い踏み間違い警報を出力してよい。
また例えば警報生成部32は、アクセルオフの終了時点t2から開始したアクセルペダル10の踏み込み操作の操作速度が高い場合に低い場合よりもより強い踏み間違い警報を出力してよい。例えば操作速度が高いほどより強い踏み間違い警報を出力してよい。
【0036】
次に、第1実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用を説明する。
図3(a)は、踏み間違い発生時における従来技術の警報発生タイミングの模式図であり、
図3(b)は第1実施形態のアクセルペダル操作警報装置の動作の一例の模式図である。
図3(a)に示すように、従来技術はアクセル踏み込み開度が所定開度A1以上になった時点txに警告を出力する。しかしこの時点では既に車両の速度が上がっているため、運転者は意図しない加速に慌ててしまい、アクセルペダル10から足を離すことができなくなることがある。また、上り坂等でアクセルペダル10を強く踏み込んだときにも誤って警告が出力されることがある。
【0037】
踏み間違いが発生しやすいのは切迫状態である。切迫状態では注意のリソースが不足しており、足の傍にあるペダルがアクセルペダル10であるにも関わらず、ブレーキペダル12だと思って踏み込んでしまうことがある。これが踏み間違いの原因の1つであり、注意のリソースが少ない高齢者に起き易い。特に緊急回避のシーンなどで、慌ててアクセルペダル10からブレーキペダル12に踏み換えようとするときは、一瞬アクセルペダルから足を離し、この状態から再度アクセルペダル10を踏み込んでいる可能性がある。
【0038】
そこで本発明では、このようなペダル操作を、運転者の加速意図の有無が不明であるアクセル操作とみなして踏み間違い警報を生成する(すなわちアクセルペダル10を振動させる)。
例えば
図3(b)に示すように時点t1においてアクセル操作量が減少して0になり、その後にブレーキが踏まれないままアクセルペダル10が踏まれて、時点t2においてアクセル操作量が第1閾値At1以上になったときに、時点t1からt2までの時間(Tc=t2-t1)をアクセルオフ時間として所得する。
【0039】
アクセルオフ時間Tcの長さが所定時間Tt以下である場合にアクセルオフが瞬間的であると判定して、アクセルオフの終了時点t2から時間間隔Δt1が経過した時点t3で踏み間違い警報を出力する。
このため、アクセルペダル10から一瞬足を離し、この状態から再度アクセルペダル10を踏もうとする状況が発生した場合、運転者が慌ててアクセルペダル10からブレーキペダル12に踏み替えようとしていると推定して、踏み間違い警告を出力する。これにより、運転者はアクセルペダル10を強く踏み込む前に踏み間違いに気付き、ブレーキペダル12に踏み替えることが可能となる。
【0040】
(動作)
図4は、第1実施形態のアクセルペダル操作警報方法の一例のフローチャートである。アクセルペダル操作警報方法は、特許請求の範囲に記載の「運転支援方法」の一例である。
ステップS1において加速意図判定部30は、アクセルペダル10が踏まれた状態であるか否かを判定する。アクセルペダル10が踏まれた状態である場合(ステップS1:Y)に処理はステップS2へ進む。アクセルペダル10が踏まれた状態でない場合(ステップS1:N)に処理はステップS1へ戻る。
ステップS2において加速意図判定部30は、アクセルペダル10がアクセルオフの状態であるか否かを判定する。アクセルペダル10がアクセルオフの状態である場合(ステップS2:Y)に処理はステップS3へ進む。アクセルペダル10がアクセルオフの状態でない場合(ステップS2:N)に処理はステップS1へ戻る。
【0041】
ステップS3にて加速意図判定部30は、車速Vが所定速度Vth以下であるか否かを判定する。車速Vが所定速度Vth以下である場合(ステップS3:Y)に処理はステップS4へ進む。車速Vが所定速度Vth以下でない場合(ステップS3:N)に処理はステップS1へ戻る。
ステップS4において加速意図判定部30は、タイマ31にアクセルオフ時間Tcの計時を開始させる。
ステップS5においてアクセルペダル10が踏まれた状態であるか否か(アクセルオフが終了したか否か)を判定する。アクセルペダル10が踏まれた状態である場合(ステップS5:Y)に処理はステップS6へ進む。アクセルペダル10が踏まれた状態でない場合(ステップS5:N)に処理はステップS9へ進む。
【0042】
ステップS6において加速意図判定部30は、アクセルオフ時間Tcが所定時間Tt以下であるか否かを判定する。アクセルオフ時間Tcが所定時間Tt以下である場合(ステップS6:Y)に加速意図判定部30は、ステップS5において検出したアクセルペダル10の踏み込み操作が、運転者の加速意図による操作であるか不明であると判定する。そして、処理はステップS7へ進む。
アクセルオフ時間Tcが所定時間Tt以下でない場合(ステップS6:N)に加速意図判定部30は、ステップS5において検出したアクセルペダル10の踏み込み操作が、運転者の加速意図による操作であると判定する。そして、処理はステップS8へ進む。
【0043】
ステップS7において警報生成部32は、アクセルペダル10を振動させる(すなわち踏み間違い警報を運転者へ出力する)。その後に処理はステップS8へ進む。
ステップS8において加速意図判定部30は、タイマ31によるアクセルオフ時間Tcの計時を停止する。その後に処理は終了する。
ステップS5においてアクセルペダル10が踏まれた状態でないと判定した場合(ステップS5:N)、ステップS9において加速意図判定部30は、ブレーキペダル12が踏まれた状態であるか否かを判定する。ブレーキペダル12が踏まれた状態である場合(ステップS9:Y)に処理はステップS8へ進む。ブレーキペダル12が踏まれた状態でない場合(ステップS9:N)に処理はステップS5へ戻る。
【0044】
(第2実施形態)
第2実施形態のコントローラ23は、運転者の加速意図の有無が不明であると判定することによりアクセルペダル10を振動させた後に(すなわち、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだときのアクセル操作量が第1閾値At1以上になることによりアクセルペダル10を振動させた後に)、アクセル操作量が第1閾値Atよりも大きな第2閾値At2以上になった場合に、アクセルペダル10を振動させる振動パターン、振動強度、振動の持続時間の少なくとも1つを変更する。
例えばアクセル操作量としてアクセルペダル10のストローク量を検出した場合、第1閾値At1は、ストローク全長の50%~80%の範囲内の値であってよい。
【0045】
図5は、第2実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の第1例の説明図である。時点t3までのアクセルペダル操作警報装置の作用は、
図3(b)を参照して説明した作用と同様である。
時点t3においてコントローラ23は、第1振動パターン及び第1振動強度でアクセルペダル10を振動させる。時点t3において、アクセルペダル10の振動を開始した後、時点t4においてアクセル操作量が第1閾値At1よりも大きな第2閾値At2以上になった場合、コントローラ23は、第1振動パターンと異なる第2振動パターン及び第1振動強度と異なる第2振動強度でアクセルペダル10を振動させる。時点t3においてアクセル操作量が第2閾値At2未満になると、コントローラ23は、アクセルペダル10の振動を停止する。
【0046】
例えばコントローラ23は、時点t3においてアクセルペダル10の振動を開始してから第1持続時間T1を経過する前にアクセル操作量が第2閾値At2以上になった場合に、第2振動パターン及び第2振動強度でアクセルペダル10を振動させてよい。
時点t3から第1持続時間T1が経過してアクセルペダル10の振動を停止した後にアクセル操作量が第2閾値At2以上になった場合には、アクセルペダル10の振動を停止したままにしてよい。
【0047】
なお、第2振動パターンは、第1振動パターンと異なる周期の周期的なパターンであってよい。例えば第2振動パターンの周期は第1振動パターンの周期よりも長くてもよく短くてもよい。また、第2振動強度は第1振動強度よりも大きくてもよい。
なお
図5は、時点t4においてアクセル操作量が第1閾値At1よりも大きな第2閾値At2以上になった場合に、振動パターン及び振動強度の両方が変化する例を示したが、振動パターンのみを第1振動パターンから第2振動パターンに変更してもよく、振動強度のみを第1振動強度から第2振動強度に変更してもよい。
【0048】
図6は、第2実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の第2例の説明図である。時点t3までのアクセルペダル操作警報装置の作用は、
図3(b)を参照して説明した作用と同様である。
時点t3にてアクセルペダル10の振動を開始した後、時点t4においてアクセル操作量が第2閾値At2以上になった場合、コントローラ23は、アクセルペダル10を振動させる持続時間(すなわち踏み間違い警報を生成する持続時間)を延長する。
【0049】
図6の例では、持続時間を第1持続時間T1から、第1持続時間T1よりも長い第2持続時間T2に変更する。コントローラ23は、アクセルペダル10の振動の開始時点t3から第2持続時間T2が経過するまでアクセルペダル10の振動を継続し、第2持続時間T2の経過後した時点t5にアクセルペダル10の振動を停止する。
なお、アクセル操作量が第2閾値At2以上になった時点t4から第2持続時間T2が経過するまでアクセルペダル10の振動を継続し、時点t4から第2持続時間T2の経過後した時点にアクセルペダル10の振動を停止してもよい。
また
図6では、振動パターン及び振動強度が変更しない例を示したが、
図5の説明と同様に、時点t4においてアクセル操作量が第1閾値At1よりも大きな第2閾値At2以上になった場合に、振動パターン又は振動強度の一方又は両方を変更してもよい。
【0050】
(第3実施形態)
第3実施形態のアクセルペダル操作警報装置は、アクセルペダル10を最後に振動させた時刻から所定時間Tv以上、ペダルアクチュエータ22でアクセルペダル10を振動させていない場合には、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定しなくても、アクセルペダル10を振動させる。例えば、アクセルオフ時間Tcの長さが所定時間Ttよりも長い場合であってもアクセルペダル10を振動させてよい。また例えば、運転者がブレーキペダル12を踏んだ状態からアクセルペダル10を踏んだ状態に変化した場合であってもアクセルペダル10を振動させてよい。
【0051】
図7は、第3実施形態のアクセルペダル操作警報装置の作用の一例の説明図である。時点t3までのアクセルペダル操作警報装置の作用は、
図3(b)を参照して説明した作用と同様である。
時点t3にてアクセルペダル10の振動を開始した後、コントローラ23は、時点t3から第1持続時間T1が経過した時点t6において、アクセルペダル10の振動(すなわち踏み間違い警報の生成)を停止する。
【0052】
時点t6以降は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏むアクセル操作が発生しない。このため、コントローラ23はアクセルペダル10を振動させない。アクセルペダル10を最後に振動させた時点t6から所定時間Tv以上、ペダルアクチュエータ22でアクセルペダル10を振動させない状態が継続すると、コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定しなくても、時点t7においてアクセルペダル10を振動させる。
【0053】
例えば、アクセルペダル10を最後に振動させた時点t6からアクセルペダル10を振動させていない期間が所定時間Tv以上継続した後に、最初にアクセルペダル10が操作され、時点t7においてアクセル操作量が第1閾値At1以上になるとアクセルペダル10を振動させる。
一方で、時点t6からアクセルペダル10を振動させていない期間が所定時間Tv以上継続する前に、時点t8においてアクセルペダル10が操作されても、コントローラ23はアクセルペダル10を振動させない。
【0054】
なおコントローラ23は、イグニションスイッチがオフからオンに切り替えられた後の最初のアクセルペダル10の操作時に、ペダルアクチュエータ22でアクセルペダル10を振動させてもよい。
またコントローラ23は、シフトポジションが変更された後の最初のアクセルペダル10の操作時に、ペダルアクチュエータ22でアクセルペダルを振動させてもよい。
またコントローラ23は、シフトポジションが後退走行ポジションである場合には、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定しなくても、アクセルペダル10を振動させてもよい。
【0055】
(実施形態の効果)
(1)コントローラ23が、アクセルペダル10を踏んだ状態から瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したか否かを判定し、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定した場合に、アクセルペダル10を振動させる。アクセルオフとは、運転者がアクセルペダル10から足を離す操作であってよい。
これにより、踏み間違いの可能性がある状況でアクセルペダル10が振動することで、強く踏み込む前に運転者に踏み間違いに気づかせることができる。
【0056】
(2)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの期間の長さをタイマにより測定してもよい。
これにより、アクセルオフ後のアクセルペダル10の踏み込みが、加速意図による操作であるか不明であることを判定できる。
(3)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定した場合に、規則的なパターンの振動をアクセルペダル10に発生させてもよい。
これにより、エンジンの振動や路面からの振動との違いを明確にできる。
【0057】
(4)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定した場合に、アクセルペダル10を所定時間振動させ、所定時間の経過後にアクセルペダル10を振動させるのを停止してもよい。
これにより、アクセルペダル10を振動させるアクチュエータが長時間駆動されるのを抑制できるので、アクチュエータの耐久性を維持できる。
【0058】
(5)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだときのアクセルペダル10の操作量が閾値以上になった場合に、アクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、所定以上の操作量でアクセルペダル10が操作された場合にのみアクセルペダル10を振動させることができる。
【0059】
(6)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだときのアクセルペダル10の操作量が閾値以上になった場合に、アクセルペダル10を所定時間振動させ、所定時間の経過後にアクセルペダル10を振動させ、所定時間が経過する前にアクセルペダル10の操作量が閾値未満となっても、所定時間が経過するまでアクセルペダル10を振動させることを継続してもよい。
これにより、アクセルペダル10を操作したときにコントローラ23が発生するアクセルペダル10の振動パターンを運転者に認識させることができる。
【0060】
(7)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだときのアクセルペダル10の操作量が第1閾値以上になった場合に、第1振動パターン又は第1振動強度でアクセルペダル10を振動させる。コントローラ23は、第1振動パターン又は第1振動強度でアクセルペダル10を振動させた後にアクセルペダル10の操作量が第1閾値よりも大きな第2閾値以上になった場合に、第2振動パターン又は第2振動強度でアクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、アクセルペダル10の振動を運転者に認識させ易くすることができる。
【0061】
(8)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだときのアクセルペダル10の操作量が第1閾値以上になった場合に、アクセルペダル10を第1所定時間振動させ、第1所定時間の経過後にアクセルペダル10を振動させるのを停止し、第1所定時間が経過する前にアクセルペダル10の操作量が第1閾値よりも大きな第2閾値以上になった場合に、アクセルペダル10を第1所定時間より長い第2所定時間振動させてもよい。
これにより、アクセルペダル10の振動を運転者に認識させ易くすることができる。
【0062】
(9)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10が踏ふまれても車速が所定速度より高い場合には、アクセルペダル10を振動させなくてもよい。
これにより、踏み間違いが発生し易い低速での走行時にアクセルペダル10を振動させることができる。
【0063】
(10)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの期間が長い場合に比べて短い場合に、より早い時点でアクセルペダル10を振動させるか又はより強い強度でアクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、切迫度が高い状況において踏み間違い警報を早期に開始したり、より強い踏み間違い警報を出力できる。
【0064】
(11)コントローラ23は、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏む操作速度が低い場合に比べて高い場合に、より早い時点でアクセルペダル10を振動させるか又はより強い強度でアクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、切迫度が高い状況において踏み間違い警報を早期に開始したり、より強い踏み間違い警報を出力できる。
【0065】
(12)コントローラ23は、アクセルペダル10を最後に振動させた時刻から所定時間以上、アクセルペダル10を振動させていない場合には、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定しなくても、アクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、実際に踏み間違いの発生時にアクセルペダル10を踏んだと気づかせるため、アクセルペダル10の操作で振動が発生することを運転者に認識させることができる。
【0066】
(13)コントローラ23は、アクセルペダル10を最後に振動させた時刻からアクセルペダル10を振動させていない期間が所定時間以上継続した後の最初のアクセルペダル10の操作時にアクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、例えば定速走行制御や車間距離制御の後に、運転者が手動でアクセルペダル10を操作する最初のタイミングで、アクセルペダル10とブレーキペダル12を区別することが容易になる。
【0067】
(14)コントローラ23は、イグニションスイッチがオフからオンに切り替えられた後の最初のアクセルペダル10の操作時にアクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、踏み間違いが発生し易い運転開始時において、アクセルペダル10とブレーキペダル12を区別することが容易になる。
(15)コントローラ23は、シフトポジションが変更された後の最初のアクセルペダル10の操作時にアクセルペダル10を振動させてもよい。
これにより、踏み間違いがシフトポジションの変更時において、アクセルペダル10とブレーキペダル12を区別することが容易になる。
(16)シフトポジションが後退走行ポジションである場合には、瞬間的なアクセルオフの後に再びアクセルペダル10を踏んだ状態に変化したと判定しなくても、アクセルペダル10を振動させてもよい。これにより、後退時の踏み間違いを抑制できる。
【符号の説明】
【0068】
1…車両、10…アクセルペダル、11…アクセルセンサ、12…ブレーキペダル、13…ブレーキセンサ、14…制駆動力コントローラ、15…動力コントローラ、16…駆動力源、17…ブレーキコントローラ、18…制動装置、20…車速センサ、21…ヒューマンマシンインタフェース(HMI)、22…ペダルアクチュエータ、23…コントローラ、23a…プロセッサ、23b…記憶装置、30…加速意図判定部、31…タイマ、32…警報生成部