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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154596
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】定着装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/20 20060101AFI20241024BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G03G15/20 510
G03G21/00 370
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068508
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100093997
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 秀佳
(72)【発明者】
【氏名】井上 大輔
(72)【発明者】
【氏名】長谷 岳誠
(72)【発明者】
【氏名】山下 賢太郎
(72)【発明者】
【氏名】吉浦 有信
(72)【発明者】
【氏名】中本 尚吾
(72)【発明者】
【氏名】岩間 元孝
【テーマコード(参考)】
2H033
2H270
【Fターム(参考)】
2H033AA03
2H033AA24
2H033BA25
2H033BB03
2H033BB05
2H033BB06
2H033BB13
2H033BB14
2H033BB15
2H033BB21
2H033BB29
2H033BB30
2H033BB33
2H033BE03
2H033BE06
2H033CA04
2H033CA07
2H033CA14
2H033CA30
2H033CA41
2H270KA35
2H270KA36
2H270LA14
2H270LA25
2H270LA39
2H270LA64
2H270LB02
2H270LB08
2H270MA34
2H270MB03
2H270MB04
2H270MB07
2H270MB27
2H270MC44
2H270PA49
2H270PA50
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】非通紙部温度上昇の抑制と用紙最端部の異常画像の抑制を精度よく両立させる。
【解決手段】本発明の定着装置は、可撓性を有するスリーブ状の回転部材(定着ベルト51)と、回転部材の内周と摺動する摺動部材(摺動シート54)と、回転部材を挟んで摺動部材と対向し、回転部材との間に未定着トナー像を担持した記録媒体を通すニップ部を形成する加圧部材(加圧ローラ52)と、回転部材を加熱する熱源(ハロゲンヒータ55)と、熱源の輻射熱を記録媒体のサイズに対応して遮蔽する可動式遮蔽部材59と、を有し、記録媒体をニップ部に通して未定着トナー像を記録媒体に定着させる定着装置34において、可動式遮蔽部材の動作温度又は遮蔽量の少なくとも一方を、未定着トナー像の作像条件に対応して変更可能にしたことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するスリーブ状の回転部材と、
前記回転部材の内周と摺動する摺動部材と、
前記回転部材を挟んで前記摺動部材と対向し、前記回転部材との間に未定着トナー像を担持した記録媒体を通すニップ部を形成する加圧部材と、
前記回転部材を加熱する熱源と、
前記熱源の輻射熱を前記記録媒体のサイズに対応して遮蔽する可動式遮蔽部材と、
を有し、
前記記録媒体を前記ニップ部に通して前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置において、
前記可動式遮蔽部材の動作温度又は遮蔽量の少なくとも一方を、前記未定着トナー像の作像条件に対応して変更可能にしたことを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記作像条件が、前記未定着トナー像の画像面積率を含むことを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項3】
前記作像条件が、トナーの重ね率を含むことを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項4】
前記作像条件が、前記記録媒体の端部からの余白の大きさを含むことを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項5】
前記作像条件が、画像形成に使用するトナーの色数を含むことを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項6】
前記熱源が、ハロゲンヒータ又は誘導コイルであることを特徴とする請求項1の定着装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は定着装置及び画像形成装置に係り、特にベルト方式の定着装置において、ベルトの非通紙部温度上昇と用紙最端部の異常画像発生を抑制した定着装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの複合機等の画像形成装置においては、電子写真記録・静電記録・磁気記録等の画像形成プロセスにより、画像転写方式もしくは直接方式により未定着トナー画像が記録媒体としての記録材シート・印刷紙・感光紙・静電記録紙などに形成される。未定着トナー画像を定着させるための定着装置の一例として、ベルト方式の定着装置(例えば特許文献1:特開2014-240945号公報)が知られている。
【0003】
ベルト方式の定着装置は低熱容量の薄肉定着ベルトを使用する。定着ベルトの熱は、ニップ部を通過する用紙によって奪われるが、非通紙領域では用紙が定着ベルトに接触しないため熱が奪われない。
【0004】
このため、定着ベルトが加熱源によって過剰に加熱されて、定着ベルトの表面温度が用紙の左右両外側領域で過度に上昇する「端部温度上昇」が発生し、定着ベルトや加圧ローラが破損する恐れがある。「端部温度上昇」はプリント速度を遅くすれば抑制可能であるが、生産性が低下するデメリットがある。
【0005】
そこで、例えば特許文献1(特開2014-240945号公報)のベルト方式の定着装置では、定着ベルトの非通紙部の温度が高くなる領域に、ヒータの熱を遮蔽する可動式遮蔽部材を配置している。非通紙部の温度が高くなった場合、この可動式遮蔽部材をヒータの熱を遮るように動かし、端部温度上昇を抑制する。可動式遮蔽部材を必要に応じて遮蔽位置に移動させることで、端部温度上昇を抑え、生産性を低下させることなく良好な定着を行うことができる。
【0006】
一方、ベルト方式の定着装置では、画像面積率やトナーの重ね率に対応して、ヒータの発熱量を変えることが行われている。画像面積率が大きいほど、またトナーの重ね率が大きいほど、トナーの吸熱量が増大するのでヒータの発熱量(デューティ)を増大する。
【0007】
このように、画像面積率やトナーの重ね率に対応してヒータの発熱量を変えているが、従来は、ヒータの発熱量に関わらず、定着ベルトの端部温度が一定温度に上昇した時に可動式遮蔽部材を回動制御していた。このため、可動式遮蔽部材の動作温度を例えば高印字率画像(ヒータ発熱量大)に合わせると、高印字率画像を印字する際の端部温度上昇は可動式遮蔽部材で問題なく抑制することができる反面、低印字率画像(ヒータ発熱量小)を印字する際に可動式遮蔽部材による端部温度低下の影響で通紙部端部温度まで温度低下が大きくなり、通紙部端部で異常画像が生じるという課題があった。
【0008】
これとは反対に、可動式遮蔽部材の動作温度を低印字率画像(ヒータ発熱量小)に合わせると、低印字率画像を印字する際の端部温度上昇は可動式遮蔽部材で問題なく抑制することができると共に、通紙部端部の異常画像発生も防止することができる。しかしながら、高印字率画像(ヒータ発熱量大)を印字する際に可動式遮蔽部材による温度低下が間に合わず、端部温度上昇を引き起こすという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような状況に鑑みてなされたものであり、可動式遮蔽部材の動作温度又は遮蔽量を作像条件に対応して変更することで、非通紙部温度上昇の抑制と用紙最端部の異常画像の抑制を精度よく両立させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を解決するため、本発明の定着装置は、可撓性を有するスリーブ状の回転部材と、前記回転部材の内周と摺動する摺動部材と、前記回転部材を挟んで前記摺動部材と対向し、前記回転部材との間に未定着トナー像を担持した記録媒体を通すニップ部を形成する加圧部材と、前記回転部材を加熱する熱源と、前記熱源の輻射熱を前記記録媒体のサイズに対応して遮蔽する可動式遮蔽部材と、を有し、前記記録媒体を前記ニップ部に通して前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置において、前記可動式遮蔽部材の動作温度又は遮蔽量の少なくとも一方を、前記未定着トナー像の作像条件に対応して変更可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、非通紙部温度上昇の抑制と用紙最端部の異常画像の抑制を精度よく両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態に係る画像形成装置の概略構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る定着装置の概略斜視図である。
図3】定着装置の可動式遮蔽部材の(a)退避位置と(b)遮蔽位置を示す概略断面図である。
図4】ハロゲンヒータの発光強度分布を示す図である。
図5】低印字率画像を印字する際の定着ベルトの温度を示す図であって、可動式遮蔽部材の動作温度が(a)高い場合と(b)低い場合の図である。
図6】定着ベルトの非通紙領域から通紙領域への伝熱量を示す図であって、可動式遮蔽部材の動作閾値温度が(a)高い場合と(b)低い場合の図である。
図7A】可動式遮蔽部材の動作温度を一定にして高印字率画像を印字する際の定着ベルトの温度を示す図である。
図7B】可動式遮蔽部材の動作温度を一定にして低印字率画像を印字する際の定着ベルトの温度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
●画像形成装置
図1に示すように、画像形成装置100は、画像形成部101と、用紙供給装置40と、画像読取部104とを備える。画像読取部104は、画像形成部101の上に固定された画像読取装置102と、これに支持される原稿搬送装置としてのADF(Auto Document Feeder)103とを有する。スキャナカバー部の原稿台ガラス110の上に原稿を載せ、原稿台ガラス110の直下で、結像レンズを有する走行体112を副走査方向に移動させることにより原稿を読み取るように構成されている。
【0014】
用紙供給装置40は、ペーパーバンク41内に多段に配設された2つの給紙カセット42、給紙カセット42から記録媒体としての用紙を送り出す送出ローラ43、送り出された用紙を分離して給紙路44に供給する分離ローラ45等を有する。また、画像形成装置100の給紙路37に用紙を搬送する複数の搬送ローラ46等を有する。そして、給紙カセット42内の用紙を画像形成装置100内の給紙路37に給紙するようになっている。
【0015】
画像形成部101は、光書込装置2や、K、Y、M、C色のトナー像を形成する4つのプロセスユニット3K、3Y、3M、3C、中間転写ベルト25を有する転写ユニット24、紙搬送ユニット28、タイミングローラ対33、定着装置34、排紙ローラ対35、スイッチバック装置36、給紙路37等を備える。
【0016】
そして、光書込装置2内に配設された図示しないレーザダイオードやLED等の光源を駆動して、プロセスユニット3K、3Y、3M、3Cの感光体4K、4Y、4M、4Cに向けてレーザ光を照射する。
【0017】
このレーザ光の照射により、ドラム状の感光体4K、4Y、4M、4Cの表面には静電潜像が形成され、この静電潜像は所定の現像プロセスを経由してトナー像に現像される。符号の後のK、Y、M、Cの添字は、ブラック、イエロー、マゼンタ、シアン用の仕様であることを示している。
【0018】
前記構成の画像形成装置100において、各感光体4K、4Y、4M、4Cの表面に形成されたトナー像は、図1で時計回り方向に無端移動する中間転写ベルト25に順次重ね併せて一次転写される。
【0019】
この一次転写により、中間転写ベルト25には4色重ね合わせのカラートナー像が形成される。また、用紙供給装置40から供給された用紙が、タイミングローラ対33により所定のタイミングで、紙搬送ユニット28と中間転写ベルト25との間に形成された二次転写ニップに送り出され、中間転写ベルト25上のカラートナー像が用紙に一括二次転写される。
【0020】
二次転写ニップを通過した用紙は、中間転写ベルト25から離間して定着装置34へ搬送される。定着装置34に搬送された用紙は、定着装置34内における加圧や加熱によってフルカラー画像が定着された後、定着装置34から排紙ローラ対35に送られた後、機外へと排出される。
【0021】
●定着装置
図2は、本実施形態の定着装置34の斜視図である。図2に示すように、定着ベルト51の両端部に、それぞれベルト保持部材としてのフランジ部材58が挿入されている。定着ベルト51はこのフランジ部材58によって回転可能に保持されている。
【0022】
定着ベルト51は、図3に示すニップ部N以外では、その両端部にフランジ部材58の円弧状鍔部58aが挿入されている。定着ベルト51はこの円弧状鍔部58aによって保持されて回転するようになっている。フランジ部材58ないし円弧状鍔部58aが、ベルト保持部材として機能する。
【0023】
ハロゲンヒータ55(55a、55b)、ステー57及び各フランジ部材58は、定着装置34の図示しない一対の側板に固定支持されている。ハロゲンヒータ55(55a、55b)は、定着ベルト51の内周側で、かつ、ニップ部Nの用紙搬送方向の上流側に2本構成で配設されている。
【0024】
図2及び図3に示すように、定着装置34は、定着ベルト51と、定着ベルト51の外周面に当接する対向部材としての加圧ローラ52を有する。また、定着装置34は、定着ベルト51を加熱する加熱源としてのハロゲンヒータ55と、定着ベルト51の内周側から加圧ローラ52に当接してニップ部Nを形成するニップ形成部材としてのベースパッド53を有する。
【0025】
また、定着装置34は、ベースパッド53を支持する支持部材としてのステー57と、ハロゲンヒータ55からの輻射熱を定着ベルト51へ反射する反射部材56を有する。また、定着装置34は、ハロゲンヒータ55からの輻射熱を遮蔽する可動式遮蔽部材59と、定着ベルト51の温度を検知する温度検知手段としての温度センサ28等を備える。
【0026】
前記定着ベルト51は、薄肉で可撓性を有する無端状のベルト部材(フィルムも含む)で構成されている。詳しくは、定着ベルト51は、ニッケルもしくはSUS等の金属材料又はポリイミド(PI)などの樹脂材料で形成された内周側の基材を備える。
【0027】
また、定着ベルト51は、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などで形成された外周側の離型層を備える。基材と離型層との間に、シリコーンゴム、発泡性シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等のゴム材料で形成された弾性層を介在させてもよい。
【0028】
弾性層が無い場合は、熱容量が小さくなり定着性が向上するが、未定着トナーを押しつぶして定着させるときにベルト表面の微小な凹凸が画像に転写されて画像のベタ部に光沢ムラが生じる可能性がある。これを防止するには、厚さ80μm以上の弾性層を設けることが望ましい。厚さ80μm以上の弾性層を設けることで、弾性層の弾性変形により微小な凹凸を吸収することができるので、光沢ムラの発生を回避することができるようになる。
【0029】
本実施形態では、定着ベルト51の低熱容量化を図るために、定着ベルト51を薄くかつ小径化している。具体的には、定着ベルト51を構成する基材、弾性層、離型層のそれぞれの厚さを、20~50μm、80~300μm、3~50μmの範囲に設定し、全体としての厚さを1mm以下に設定している。
【0030】
また、定着ベルト51の直径は、20~40mmに設定している。さらに低熱容量化を図るためには、望ましくは、定着ベルト51全体の厚さを0.2mm以下にするのがよく、さらに望ましくは、0.16mm以下の厚さとするのがよい。また、定着ベルト51の直径は、30mm以下とするのが望ましい。
【0031】
前記加圧ローラ52は、芯金52aと、芯金52aの表面に設けられた発泡性シリコーンゴム、シリコーンゴム、又はフッ素ゴム等から成る弾性層52bと、弾性層52bの表面に設けられたPFA又はPTFE等から成る離型層52cによって構成されている。加圧ローラ52は、スプリングなどの図示しない加圧手段によって定着ベルト51側へ加圧され、定着ベルト51を介してニップ形成部材に当接している。この加圧ローラ52と定着ベルト51とが圧接する箇所では、加圧ローラ52の弾性層52bが押しつぶされることで、所定の幅のニップ部Nが形成されている。
【0032】
本実施形態では、加圧ローラ52を中実のローラとしているが、中空のローラであってもよい。その場合、加圧ローラ52の内部にハロゲンヒータ等の加熱源を配設してもよい。
【0033】
また、弾性層52bはソリッドゴムでもよいが、加圧ローラ52の内部に加熱源が無い場合は、スポンジゴムを用いてもよい。スポンジゴムの方が、断熱性が高まり定着ベルト51の熱が奪われにくくなるのでより望ましい。
【0034】
加圧ローラ52は、プリンタ本体に設けられた図示しないモータ等の駆動源によって回転駆動されるように構成されている。加圧ローラ52が回転駆動すると、その駆動力がニップ部Nで定着ベルト51に伝達され、定着ベルト51が従動回転するようになっている。
【0035】
ハロゲンヒータ55は、プリンタ本体に設けられた電源部により出力制御されて発熱するように構成されている。電源部の出力制御は、前記温度センサ28による定着ベルト51の表面温度の検知結果に基づいて行われる。
【0036】
このようなハロゲンヒータ55の出力制御によって、定着ベルト51の温度(定着温度)を所望の温度に設定できるようになっている。なお、定着ベルト51の温度を検知する温度センサの代わりに、加圧ローラ52の温度を検知する温度センサ(図示省略)を設け、その温度センサで検知した温度により、定着ベルト51の温度を予測するようにしてもよい。
【0037】
本実施形態では、ハロゲンヒータ55を2本(55a、55b)で構成しているが、プリンタで使用する用紙のサイズ等に応じて、ハロゲンヒータ55の本数を1本又は3本以上としてもよい。ただし、ハロゲンヒータ55自体のコストや、定着ベルト51の内周のスペース等を考慮すると、ハロゲンヒータ55は2本以下とすることが望ましい。定着ベルト51を加熱する加熱源は輻射熱により加熱を行うものであり、ハロゲンヒータ以外に、抵抗発熱体、又はカーボンヒータ等を用いることも可能である。
【0038】
前記ニップ形成部材は、ベースパッド53と、ベースパッド53の定着ベルト51と対向する面に設けられた低摩擦性の摺動シート54とを有する。ベースパッド53は、定着ベルト51の軸方向又は加圧ローラ52の軸方向に渡って長手状に配設されている。
【0039】
ベースパッド53が加圧ローラ52の加圧力を受けることで、ニップ部Nの形状が決まる。本実施形態では、ニップ部Nの形状が平坦状であるが、凹形状やその他の形状としてもよい。
【0040】
摺動シート54は、定着ベルト51が回転する際の摺動摩擦を低減するために設けられている。なお、ベースパッド53自体が低摩擦性の部材で形成されている場合は、摺動シート54を有しない構成も可能である。
【0041】
ベースパッド53は、耐熱温度200℃以上の耐熱性部材で構成されており、トナー定着温度域で熱によるニップ形成部材の変形を防止し、安定したニップ部Nの状態を確保して、出力画質の安定化を図っている。ベースパッド53の材料としては、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、液晶ポリマー(LCP)、ポリエーテルニトリル(PEN)、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)などの一般的な耐熱性樹脂を用いることが可能である。
【0042】
また、ベースパッド53は、ステー57によって固定支持されている。これにより、加圧ローラ52による圧力でニップ形成部材に撓みが生じるのを防止し、加圧ローラ52の軸方向に渡って均一なニップ幅が得られるようにしている。
【0043】
ステー57は、ニップ形成部材の撓み防止機能を満足するために、ステンレスや鉄等の機械的強度が高い金属材料で形成することが望ましい。また、ベースパッド53も、強度確保のためにある程度硬い材料で構成されていることが望ましい。ベースパッド53の材料としては、液晶ポリマー(LCP)等の樹脂や、金属、あるいはセラミックなどを適用することができる。
【0044】
前記反射部材56は、ハロゲンヒータ55と対向するようにステー57に固定支持されている。この反射部材56によって、ハロゲンヒータ55から放射された輻射熱(又は光)を定着ベルト51へ反射することで、熱がステー57等に伝達されるのを抑制し、定着ベルト51を効率良く加熱すると共に省エネルギー化を図っている。
【0045】
反射部材56の材料としては、アルミニウムやステンレス等が用いられる。特に、アルミニウム製の基材に輻射率の低い(反射率の高い)銀を蒸着したものを用いた場合、定着ベルト51の加熱効率を向上させることが可能である。
【0046】
反射部材56のハロゲンヒータ55と対向する面は、定着ベルト51の内周面に向かって広がるように形成されている。なお、図3に示す反射部材56において、ハロゲンヒータ55の下方に対向する部分(定着ベルト51の周方向に沿って延びている部分)は、ハロゲンヒータ55の両端部における輻射熱を遮蔽するために設けられている。当該部分は、反射部材56の長手方向全体に渡って設けられているものではない。
【0047】
●可動式遮蔽部材
前記可動式遮蔽部材59は、厚さ0.1mm~1.0mmの耐熱性があるステンレス(SUS)等の金属板を、定着ベルト51の内周面に沿った断面形状に形成して構成されている。図示例では、可動式遮蔽部材59は周方向に閉じた環状ではなく有端な断面形状とされている。可動式遮蔽部材59は具体的には部分円弧状の断面形状である。
【0048】
また、可動式遮蔽部材59は、ハロゲンヒータ55の周りで回転可能とされ、本実施形態では、定着ベルト51の周方向に沿って回転可能となっている。具体的には、定着ベルト51の周方向領域において、ハロゲンヒータ55が定着ベルト51に直接対向して加熱する直接加熱領域がある。また、ハロゲンヒータ55と定着ベルト51との間に可動式遮蔽部材59以外の他部材(反射部材56、ステー57、ニップ形成部材等)が介在する非直接加熱領域がある。
【0049】
ハロゲンヒータ55と定着ベルト51の間を熱遮蔽する必要がない場合は、図3(a)に示すように、可動式遮蔽部材59を非直接加熱領域側の退避位置へ移動させる。すなわち、可動式遮蔽部材59を反射部材56やステー57の裏側へ退避させる。
【0050】
ハロゲンヒータ55と定着ベルト51の間を熱遮蔽する必要がある場合は、図3(b)に示すように、可動式遮蔽部材59を直接加熱領域側の遮蔽位置に配設する。可動式遮蔽部材59は耐熱性を要するため、その素材には、アルミニウム、鉄、ステンレス等の金属材料、又はセラミックを用いることが好ましい。
【0051】
●ハロゲンヒータ
定着装置34に使用するハロゲンヒータ55は、例えば、図4(a)又は(b)のように構成することができる。図4(a)、(b)とも、ハロゲンヒータ55をヒータ55aとヒータ55bの2本構成としている。
【0052】
ヒータ55aとヒータ55bは、中央部ヒータ55a1、55b1、55a3、55a4と、端部ヒータ55a2、55b2、55a4、55b3を有する。このように、ハロゲンヒータ55の長手方向の中央部と端部でヒータの発光領域が独立している。
【0053】
図4(a)の一方のヒータ55aは、実線で示すように、密巻コイル状の中央部ヒータ55a1の発光強度が高く、疎巻コイル状の端部ヒータ55a2は発光強度が低い。他方のヒータ55bは、破線で示すように、疎巻コイル状の中央部ヒータ55b1の発光強度が低く、密巻コイル状の端部ヒータ55b2は発光強度が高い。
【0054】
図4(b)の一方のヒータ55aは端部ヒータ55a4が直線状で殆ど発光強度を持たない。他方のヒータ55bは中央部ヒータ55b4が直線状で殆ど発光強度を持たない。このため、図4(b)の一方のヒータ55aは、実線で示すように、密巻コイル状の中央部ヒータ55a3の発光強度が高く、端部55a4では発光強度が殆どゼロである。他方のヒータ55bは、破線で示すように、中央部55b4で発光強度が殆どゼロであり、密巻コイル状の端部ヒータ55b3は発光強度が高い。
【0055】
図4(b)のハロゲンヒータ55の場合、非通紙部温度上昇と、用紙最端部の異常画像に関与する発熱量は、他方のヒータ55bの端部ヒータ55b3のみによって決まる。そのため、端部ヒータ55b3を制御するセンサ位置の画像によって、図5で後述するように可動式遮蔽部材の動作温度を変えることで、非通紙部温度上昇と用紙最端部の異常画像をより精度よく両立させることができる。
【0056】
●定着ベルトの温度変化
図5(a)(b)は、定着ベルト51の温度変化を示すグラフである。図5(a)が、低印字率画像を印字する際の定着不良を防止するように可動遮光部材(遮光板)59の動作温度(稼働温度)をT2に引き上げた本実施形態のグラフである。図5(b)が、動作温度(稼働温度)T1が低いために低印字率画像を印字する際に定着不良が発生する従来のグラフである。
【0057】
図中、実線で示すAが定着ベルト51の幅方向中央部の温度、破線で示すBが定着ベルト51の端部の温度、一点鎖線で示すCが定着ベルト51の非通紙部の温度である。図5(a)に示すように、定着ベルト51の端部温度Bは、遮光板稼働温度をT1⇒T2に引き上げたために、非通紙部温度Cが高めになる。
【0058】
この高めの非通紙部温度Cの影響で、端部温度Bの低下が抑制される結果、端部定着不良(低温定着不良)の発生を防止することができる。遮光板稼働温度をT2に引上げても、定着ベルト51の非通紙部温度Cの上昇量は限定的であるため、ベルト破損の問題は生じない。
【0059】
これに対し、従来は図5(b)のように遮光板稼働温度T1が低かったため、非通紙部温度Cが低めになっていた。この影響で、端部温度Bが遮光板稼働後に急減する結果、端部定着不良(低温定着不良)が発生していた。
【0060】
前記遮光板稼働温度T2は、作像条件に応じて変更することができる。ここで、
1)作像条件は、未定着トナー像の画像面積率を含むことができる。
画像面積率によって、ハロゲンヒータのデューティ(発熱量)が変化するからである。画像面積率が高いほど高デューティとなる。
【0061】
画像面積率とは、ある範囲の領域全体に対する実際に画像が形成された領域の割合である。画像面積率は、ある範囲の領域全体のドット数に対する画像が形成されたドット数の割合によって決定することができる。
【0062】
画像面積率は、ア)記録媒体としての用紙単位での平均画像面積率を使用してもよいし、イ)主走査方向の平均画像面積率を使用してもよいし、ウ)主走査方向の通紙領域端部の平均画像面積率を使用してもよいし、エ)主走査方向の通紙領域端部の平均画像面積率を用紙単位で副走査方向にさらに平均化した平均画像面積率を使用してもよい。画像面積率が低いほど、遮光板稼働温度T2を高くすることができる。
【0063】
或いは、画像面積率が低いほど、可動式遮蔽部材59の遮蔽量を少なくすることができる。これにより、端部定着不良(低温定着不良)を防止することができる。
【0064】
2)作像条件は、トナーの重ね率を含むことができる。
トナーの重ね率によってトナーの吸熱量が変化し、ハロゲンヒータのデューティ(発熱量)が変化するからである。重ね率が高いほど高デューティとなる。重ね率が低く低デューティとなるほど、遮光板稼働温度T2を高くすることができる。
【0065】
或いは、重ね率が低く低デューティとなるほど、可動式遮蔽部材59の遮蔽量を少なくすることができる。これにより、端部定着不良(低温定着不良)を防止することができる。
【0066】
3)作像条件は、記録媒体の端部からの余白の大きさ(長さ)を含むことができる。
余白の大きさによって、端部温度の落込み量が変わるからである。「記録媒体の端部」とは、記録媒体の搬送方向と直交する幅方向の端部のことである。端部からの余白の長さが大きいほど、端部温度の落込み量が大きくなる。端部からの余白の長さが大きいほど、遮光板稼働温度T2を高くすることができる。
【0067】
或いは、端部からの余白の長さが大きいほど、可動式遮蔽部材59の遮蔽量を少なくすることができる。これにより、端部定着不良(低温定着不良)を防止することができる。
【0068】
4)作像条件は、画像形成に使用するトナーの色数を含むことができる。
単色のトナーで画像形成を行うモノクロモードよりも、複数色のトナーで画像形成を行うフルカラーモードの方が、トナーの重ね率が高く、ハロゲンヒータのデューティ(発熱量)が大きくなるからである。トナーの色数が少ないほど、遮光板稼働温度T2を高くすることができる。
【0069】
或いは、トナーの色数が少ないほど、可動式遮蔽部材59の遮蔽量を少なくすることができる。これにより、端部定着不良(低温定着不良)を防止することができる。
【0070】
前述の作像条件と遮光板稼働温度T2は、定着装置又は画像形成装置の制御部で設定される。当該制御部からの信号に基いて可動式遮蔽部材59が稼働する。
【0071】
●非通紙領域から通紙領域最端部への伝熱
画像面積率が低い印刷条件や、トナー重ね率が低い画像(単色の画像)では、ヒータの発熱量が小さくなる。このため、非通紙部の温度上昇の勾配は、高画像面積率の場合に比べて緩やかになる。
【0072】
そのため、可動式遮蔽部材を動かしてヒータの熱を遮るときの温度閾値を、高画像面積率の時に比べて高くすることができる。このように温度閾値を高くすることで、非通紙部の蓄熱量が増加する。
【0073】
可動式遮蔽部材を動かしてヒータの熱を遮ると、定着ベルトの通紙領域最端部で温度落込みが発生する。しかし、非通紙部に蓄熱された熱が通紙領域最端部へと伝熱し、温度落ち込み量を抑制することができる。その結果、ヒータ発熱量が小さい場合でも端部での定着不良を抑制することができる。
【0074】
図6(a)(b)は、非通紙領域に蓄熱された熱が通紙領域最端部へ伝熱する状態を示したものである。図6(a)が図5(a)に対応するもので、非通紙領域に蓄熱された熱が通紙領域最端部に補給(伝熱)されることで、当該通紙領域最端部の温度落ち込み量が抑制されることが分かる。
【0075】
一方、図6(b)は図5(b)に対応するものである。遮光板稼働温度T1が低いために、非通紙領域に蓄熱された熱も図6(a)に比べると少ない。したがって、この蓄熱された熱が通紙領域最端部に補給(伝熱)されても、当該通紙領域最端部の温度落ち込み量を十分に抑制することができず、図5(b)の矢印で示すように定着不良が発生する。
【0076】
●遮光板稼働温度
遮光板稼働温度T2は、例えば以下の表1のように設定することができる。表1は、実際に画像面積率とヒータ発熱量を3段階で設定し、これら3段階のそれぞれで、用紙最端部で異常画像が発生しないように可動式遮蔽板を動作させたときの非通紙部温度センサの測定温度を示している。この測定試験では、印加電圧100V、坪量75g/m2、DLTサイズの普通紙を通紙した。
【表1】
【0077】
表1は、画像面積率によってヒータ発熱量が変わるのに対応して、遮光板稼働開始温度(温度閾値)を変更することを示している。表1から分るように、画像面積率が100%⇒50%⇒5%と低くなるにしたがって、ヒータ発熱量(平均デューティ)も70%⇒60%⇒50%と低くなる。
【0078】
そこで、端部定着不良(低温定着不良)を防止するために、遮光板稼働開始温度(温度閾値)を120℃⇒155℃⇒190℃と増大する。このように画像によって、非通紙部温度上昇を抑制するための遮光板稼働開始温度とオフセット(端部異常画像)発生温度が異なっているのがわかる。
【0079】
ヒータ発熱量は、トナー重ね率が小さい画像(単色の画像やモノクロ画像)の場合も小さくなることがわかっている。これは、用紙上のトナーが少なくなるとトナーの分だけ熱容量が小さくなるため、定着ベルトの温度維持をするために必要な熱量(ヒータ発熱量)が少なくなるからである。トナーの重ね率が小さい作像条件の場合も、低画像面積率の場合と同様に遮光板稼働開始温度(温度閾値)を大きくする必要がある。
【0080】
対象となる画像面積率やトナーの重ね率は、用紙全域の平均値でもよいが、対象画像を温度制御センサ位置で限定してもよい。この場合、非通紙部加圧ローラセンサ温度と遮光板稼働開始温度を、より高精度で制御することができる。
【0081】
温度制御する位置は定着ベルト全幅のうちの一部領域であり、制御位置の熱容量によってヒータ発熱量が決まる。用紙の搬送バラツキや定着モジュールの組付けバラツキ等を考慮すると、温度制御センサ位置±20mm位置の画像面積率やトナー重ね率を平均するのが望ましい。
【0082】
●従来の定着ベルトの温度変化
図7A図7Bは、遮光板稼働温度を一定にした従来の定着ベルト51の温度変化を示すグラフである。図7Aが高印字率画像を印字するときの定着ベルト51の温度変化であり、図7Bが低印字率画像を印字するときの定着ベルト51の温度変化である。
【0083】
図7Aでは高印字率画像に対応してヒータ発熱量が大きいので(高デューティ)、定着ベルト51の非通紙部温度Cが急に立上っている。また、遮光板稼働時において非通紙領域に蓄熱された熱量(温度)も大きくなる。このため、通紙領域最端部の温度落ち込み量が抑制され、通紙領域端部Bの定着不良が発生しない。
【0084】
非通紙領域の温度上昇を抑制するため、ベルト端部の温度がある閾値以上になると可動式遮蔽部材59がハロゲンヒータ55と定着ベルト51の間に介在するような位置に移動する。これによってハロゲンヒータ55から定着ベルト51への輻射熱を遮蔽する。
【0085】
可動式遮蔽部材59が稼働開始する閾値温度は、非通紙領域の温度勾配が最大となるハロゲンヒータ55の発熱量が多い条件(全ベタ画像のような画像面積率の高い画像)で設定される。可動式遮蔽部材59でハロゲンヒータ55の熱を遮った際には、通紙領域最端部の定着ベルトの温度は落ち込む。
【0086】
しかし、画像面積率が高い印刷条件ではヒータの発熱量が大きいため、当該落込み量は小さい。したがって、通紙領域最端部で異常画像が発生しない。
【0087】
これに対し、図7Bでは低印字率画像に対応してヒータ発熱量が小さいので(低デューティ)、定着ベルト51の非通紙部温度Cが緩やかに立上っている。また、遮光板稼働時において非通紙領域に蓄熱された熱量(温度)も小さい。このため、通紙領域最端部の温度落ち込み量が大きくなり、通紙領域端部Bの定着不良が発生する。
【0088】
以上、本発明を実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載の技術的思想の範囲内で種々変更可能であることは言うまでもない。例えば前記実施形態では、回転部材としての定着ベルト51を加熱する熱源としてハロゲンヒータ55を使用したが、ハロゲンヒータ55に代えて例えば磁束を発生する誘導コイルを使用することも可能である。
【0089】
この誘導コイルによる加熱は電磁誘導加熱(IH)方式と呼ばれる。電磁誘導加熱(IH)方式を用いた定着装置によれば、ハロゲンランプを使用した加熱方式と比較して、急速な加熱が可能であると共に加熱効率が高いという利点がある。
【0090】
電磁誘導加熱(IH)方式の定着装置においては、誘導コイルで発生させた磁束を用紙サイズに対応させるために、フェライト製のセンターコアの回転角や可動式遮蔽部材の位置を変更することにより、磁束の遮蔽量を調節する。したがって、可動式遮蔽部材の遮蔽量を作像条件に対応して変更することができる。また、作像条件として画像面積率、トナーの重ね率、記録媒体の端部からの余白の大きさ(長さ)及びトナーの色数を例示したが、これらの1つ又は複数の条件を組合わせたものに対応して、可動式遮蔽部材の動作温度又は遮蔽量の少なくとも一方を変更可能にしてもよい。
【0091】
<付記>
以下、本発明の好ましい態様について付記する。
<第1態様>
第1態様は、可撓性を有するスリーブ状の回転部材と、前記回転部材の内周と摺動する摺動部材と、前記回転部材を挟んで前記摺動部材と対向し、前記回転部材との間に未定着トナー像を担持した記録媒体を通すニップ部を形成する加圧部材と、前記回転部材を加熱する熱源と、前記熱源の輻射熱を前記記録媒体のサイズに対応して遮蔽する可動式遮蔽部材と、を有し、前記記録媒体を前記ニップ部に通して前記未定着トナー像を前記記録媒体に定着させる定着装置において、前記可動式遮蔽部材の動作温度又は遮蔽量の少なくとも一方を、前記未定着トナー像の作像条件に対応して変更可能にしたことを特徴とする定着装置である。
<第2態様>
第2態様は、前記作像条件が、前記未定着トナー像の画像面積率を含むことを特徴とする第1態様の定着装置。である。
<第3態様>
第3態様は、前記作像条件が、トナーの重ね率を含むことを特徴とする第1態様又は第2態様の定着装置である。
<第4態様>
第4態様は、前記作像条件が、前記記録媒体の端部からの余白の大きさを含むことを特徴とする第1態様から第3態様のいずれか1の態様の定着装置である。
<第5態様>
第5態様は、前記作像条件が、画像形成に使用するトナーの色数を含むことを特徴とする第1態様から第4態様のいずれか1の態様の定着装置である。
<第6態様>
第6態様は、前記熱源が、ハロゲンヒータ又は誘導コイルであることを特徴とする第1態様から第5態様のいずれか1の態様の定着装置である。
<第7態様>
第7態様は、第1態様から第6態様のいずれか1の態様の定着装置を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【符号の説明】
【0092】
2:光書込装置 3K、3Y、3M、3C:プロセスユニット
4K、4Y、4M、4C:感光体 24:転写ユニット
25:中間転写ベルト 28:紙搬送ユニット
33:タイミングローラ対 34:定着装置
35:排紙ローラ対 36:スイッチバック装置
37:給紙路 40:用紙供給装置
41:ペーパーバンク 42:給紙カセット
43:送出ローラ 44:給紙路
45:分離ローラ 46:搬送ローラ
51:定着ベルト(回転部材) 52:加圧ローラ
52a:芯金 52b:弾性層
52c:離型層 53:ベースパッド
54:摺動シート(摺動部材) 55:ハロゲンヒータ
55a1、55b1、55a3、55a4:中央部ヒータ
端部ヒータ55a2、55b2、55a4、55b3:端部ヒータ
56:反射部材 57:ステー
58:フランジ部材 58a:円弧状鍔部
59:可動式遮蔽部材(遮光板) 100:画像形成装置
101:画像形成部 102:画像読取装置
104:画像読取部 112:走行体
A:中央部温度 B:端部温度
C:非通紙部温度 N:ニップ部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】特開2014-240945号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B