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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154610
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】セラミックスウエハとその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/02 20060101AFI20241024BHJP
   H01L 21/68 20060101ALI20241024BHJP
   C04B 35/584 20060101ALI20241024BHJP
   C04B 35/10 20060101ALI20241024BHJP
   C04B 35/565 20060101ALI20241024BHJP
   C04B 35/581 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/02 B
H01L21/68 G
C04B35/584
C04B35/10
C04B35/565
C04B35/581
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068531
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(71)【出願人】
【識別番号】303058328
【氏名又は名称】東芝マテリアル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111121
【弁理士】
【氏名又は名称】原 拓実
(72)【発明者】
【氏名】金原 恵太
(72)【発明者】
【氏名】北村 佐樹
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA21
5F131BB18
5F131DA08
5F131DA33
5F131DA42
5F131DA52
5F131DA55
(57)【要約】
【課題】 洗浄などの工程で治具からの位置ずれを改善したセラミックスウエハを提供する。
【解決手段】外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハにおいて、円周部端面の表面粗さがオリエンテーションフラット部端面の表面粗さより大きいことを特徴とする。また、円周部端面の表面粗さに対するオリエンテーションフラット部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内であり、オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上であることが好ましい。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハにおいて、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さが円周部端面の表面粗さより大きいことを特徴とするセラミックスウエハ。
【請求項2】
オリエンテーションフラット部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のセラミックスウエハ。
【請求項3】
オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のセラミックスウエハ。
【請求項4】
前記セラミックスウエハは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素のいずれか1種であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれか1項に記載のセラミックスウエハ。
【請求項5】
セラミックスウエハがセラミックスウエハ上に単結晶を配置することを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載のセラミックスウエハ。
【請求項6】
セラミックスウエハがセラミックスウエハ上に単結晶を配置することを特徴とする請求項3に記載のセラミックスウエハ。
【請求項7】
セラミックスウエハがセラミックスダミーウエハであることを特徴とする請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載のセラミックスウエハ。
【請求項8】
セラミックスウエハがセラミックスダミーウエハであることを特徴とする請求項3に記載のセラミックスウエハ。
【請求項9】
外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハにおいて、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さを円周部端面の表面粗さより大きく加工し、加工方法がレーザ、ワイヤーカット、研磨、ブラストからなる加工であることを特徴とするセラミックスウエハの製造方法。
【請求項10】
オリエンテーションフラット部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内に加工することを特徴とする請求項9に記載のセラミックスウエハの製造方法。
【請求項11】
オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上であることを特徴とする請求項9または請求項10のいずれか1項に記載のセラミックスウエハの製造方法。
【請求項12】
前記セラミックスウエハは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素のいずれか1種であることを特徴とする請求項9または請求項10のいずれか1項に記載のセラミックスウエハの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、セラミックスウエハとその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
セラミックスウエハは単結晶体を配置するための基板として窒化珪素基板が開示されている(特許文献1)。特許文献1によれば、3点曲げ強度で755MPaと高い強度を持った窒化珪素基板の参考例が記載されており、ウエハの向きを合わせるため、周上にオリエンテーションフラットが設けられていている。また、セラミックスウエハと類似な製品形態としてセラミックスダミーウエハがある。ダミーウエハは半導体製造工程の成膜工程やエッチング工程などで製造条件設定のために使用される。ダミーウエハの中で薄膜への汚染が少ないセラミックス製のダミーウエハが開示されている(特許文献2)。特許文献1によれば酸化アルミニウムセラミックス製のダミーウエハにより光センサによる検知漏れが生じないことを見出している。また、同じセラミックス製のダミーウエハではオリエンテーションフラットが形成されたダミーウエハが開示されている(特許文献3)。特許文献3の図にはオリエンテーションフラットが形成されており、アルミニウム粉末などからなる造粒粉をプレス成型法に成型したのち焼結・加工により直径100mm厚さ0.635mmのダミーウエハを作製している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6992364号公報
【特許文献2】特許第3943197号公報
【特許文献3】特開第2003-8647号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
セラミックスウエハはシリコン製のウエハ製品に比べて密度が大きいため重量が大きい。このため重いセラミックスウエハを治具にセットして薬液などで洗浄するときに治具から位置ずれてしまうという課題があった。また、セラミックスダミーウエハは耐食性が優れており薬品などで洗浄して繰り返し使用が可能であるため、同様に洗浄するときに治具から位置ずれてしまうという課題があった。実施形態に係るセラミックスウエハは、このような課題に取り組むためのものであり、繰り返し使用時の洗浄などにおいても治具に良好にセットでき、セラミックスウエハおよびセラミックスダミーウエハ(以下セラミックスおよびセラミックスダミーウエハを単に「セラミックスウエハ」と略す)を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るセラミックスウエハは、外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハであって、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さが円周部の端面の表面粗さより大きいことを特徴とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係るセラミックスウエハの一例を示す図。
図2】実施形態に係るセラミックスウエハを治具にセットした一例を示す図。
図3】実施形態に係るセラミックスウエハを治具にセットした一例を示す図。
図4】セラミックスウエハを治具にセットした一例を示す図。
図5】実施形態に係るセラミックスウエハを使用した工程フローの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
実施形態に係るセラミックスウエハは、外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハであって、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さが円周部の端面の表面粗さより大きいことを特徴とするものである。
【0008】
図1に実施形態に係るセラミックスウエハの一例を示す。図1中、1はセラミックスウエハ、2はオリエンテーションフラット部、3は円周部である。実施形態に係るセラミックスウエハのオリエンテーションフラット(以下、単に「オリフラ」と略す)の大きさ(長さ)は様々である。
【0009】
オリフラは半導体用ウエハ(以下、単に「ウエハ」と略す)の結晶方位を示すためにウエハに形成された平坦部のことである。このため同じウエハ製造工程で使用されるセラミックスウエハでも同様なオリフラが形成される。オリフラがあるセラミックスウエハの端面は、円周部では曲面であり、オリフラ部では平面になる。実施形態に係るセラミックスウエハは、外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハであって、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さが円周部の端面の表面粗さより大きいことを特徴とする。
【0010】
表面粗さは表面性状を表す尺度であり、物体の表面形状を理想表面と比べたとき、鉛直方向の偏差がどれだけあるかで計られる。偏差が全体に大きければ表面は粗く、小さければ滑らかである。表面粗さは
JIS-B-0601(2013)に定められている。表面粗さには特徴により色々な評価方法が存在するが、容易に測定できるのであれば、どのような評価方法でも用いることができる。代表的な表面粗さの指標は、算術平均高さ(Ra)、最大高さ(Rz)、最大山高さ(Rp)、最大谷深さ(Rv),最大断面高さ(Rt)であるが、他の表面粗さの指標を使用することができる。
【0011】
また、Ra、Rz、Rp、Rv、Rtの測定方法はJIS-B-0601(2013)に準じた方法で行うものとする。測定条件は、測定長さ:4.0mm、測定速度:0.6mm/s、形状除去:最小二乗直線、λsフィルタ:あり、λsカットオフ比:300、カットオフ種別:ガウシアン、カットオフ波長(λc):0.8mm、とする。それぞれの粗さは測定値の小数点以下二桁を四捨五入して求めた。また、一度の測定で測定長さ4.0mmを確保できないときは、複数回に分けても良いものとする。また、測定個所は、オリフラ部と円周部のそれぞれ測定部がその部分を形成する範囲内であれば任意の個所とする。
【0012】
セラミックスウエハはプラスチック製などの治具に複数枚をセットして薬液中や洗浄水中などで揺動する。効率よく洗浄するためには、多くのセラミックスウエハを治具にセットし、大きく揺動することが必要である。ところが、セラミックスはウエハに比べて密度が大きいため重量が大きい。このため重いセラミックスダミーウエハを治具にセットして洗浄すると、大きく速く揺動すると治具から外れてしまう。これとは逆に治具から外れないように小さくゆっくりと揺動すると洗浄効率が低下する。さらにセラミックスウエハのうちセラミックスダミーウエハ(以下単に「ダミーウエハ」と略す)は繰り返し使用するため、セラミックスウエハに比較して繰り返して薬品などで洗浄することになる。
【0013】
図2に実施形態に係るセラミックスウエハを治具にセットした一例を示す。治具はダミーウエハを出し入れしやすいように傾斜が設けられている。また、複数枚のセラミックスウエハが設置できるように溝が形成されている。図2ではオリフラ端面が治具平面に接して配置されている。このオリフラ端面の表面粗さを円周部よりも大きくすることにより、円周部のみで治具平面に接して揺動するよりも治具上で滑らないようにすることができる。
【0014】
実施形態に係るセラミックスウエハは、外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハであって、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さが円周部端面の表面粗さより大きい。また、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内である。表面粗さの比が1.1倍より小さいとオリフラ部を粗くした効果が小さくなり、揺動時に治具から外れる可能性がある。また、3.0倍より大きいと治具から外れる効果は得られるものの、オリフラ部端面の粗さを大きくするための加工にコストがかかるためである。さらに、セラミックスには硬いが脆いという特性があり、薄い形状の端面の表面粗さを大きくする加工をすると、平面部と端面部のエッジ個所の凹凸が大きくなり欠けやすくなる可能性がある。また、セラミックスウエハのエッジが欠けやすいと成膜などの半導体製造工程や洗浄や搬送などでエッジが欠けてコンタミネーション(汚染)となる可能性がある。さらにダミーウエハでは再生工程を繰り返すことによりエッジが欠けてコンタミネーションとなる可能性が増える。このため、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比は、1.1以上3.0以下、さらには1.5以上2.5以下の範囲内にあることが好ましい。
【0015】
また、オリフラ端面の表面粗さを大きくすることによりオリフラ部を接して配置した治具上で滑らないようにすることができる。このため、オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上である。通常の洗浄治具にセットしても算術表面粗さRaが1.5μmより小さいとオリフラ部を円周部より粗くしても滑り止めの効果が小さくなり、揺動時に治具から外れる可能性がある。また、算術平均表面粗さの最大値は範囲を制限するものではないが、10.0μmより大きいと治具から外れる効果は得られるものの、オリフラ部端面の粗さを大きくするための加工にコストがかかる。さらに、セラミックスには硬いが脆いという特性があり、薄い形状の端面の表面粗さを大きくする加工をすると、平面部と端面部のエッジ個所の凹凸が大きくなり欠けやすくなる可能性がある。また、セラミックスウエハのエッジが欠けやすいと成膜などの半導体製造工程や洗浄や搬送などやダミーウエハの再生工程でエッジが欠けてコンタミネーション(汚染)となる可能性がある。このため、好ましいオリフラ部端面の算術表面粗さRaは、1.5μm以上10.0μm以下、さらには2.0μm以上8.0μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【0016】
セラミックスウエハは、窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム(アルミナ)、および炭化珪素のいずれかで1種であることが好ましい。窒化珪素は、三点曲げ強度が600MPa以上、更には700MPa以上に高めることができる。熱伝導率は50W/(m・k)以上、更には80W/(m・k)以上に高めることができるため、薄型で放熱性の優れたセラミックスウエハである。窒化アルミニウムは、三点曲げ強度が300~450MPa程度だが熱伝導率は170W/(m・k)以上、更には200W/(m・k)以上に高めることができるので放熱性の高いセラミックスウエハとなる。酸化アルミニウムは三点曲げ強度が300~450MPa程度で熱伝導率は20W/(m・k)程度ではあるが安価であるため汎用性のあるセラミックスウエハとなる。炭化ケイ素は三点曲げ強度が300~450MPa程度だが耐薬品性が優れており耐薬品性のあるセラミックスウエハとなる。特に半導体や圧電体などの機能を表面に持たせたセラミックスウエハを使用した場合は特性値が類似している同種のダミーウエハを使用することが好適である。また、それぞれのダミーウエハ材質の特徴を活用して、セラミックスウエハと異種のダミーウエハを使用することも可能である。
【0017】
また、セラミックスウエハの大きさはシリコン(半導体)ウエハの規格であるSEMI規格(Semiconductor Equipment and Materials International)にて決められている直径やオリフラに準拠することが望ましい。シリコンウエハと同じ大きさであれば装置や治具を共通にすることができる。例えば、2インチウエハは直径50.8mm、厚さ279μm、オリフラ15.88mmであり、8インチウエハは直径200mm、厚さ725μm、オリフラ57.5mmである。シリコンウエハは12インチ(300mm)など大型化が進んでおり、セラミックスウエハの大きさも同様に大きくなっている。これに対してセラミックスウエハの厚さは使用用途により調整される。すなわち絶縁性よりも放熱性を求めるのであればセラミックスウエハは規格値よりも薄くなり、放熱性よりも絶縁性を求めるのであれば規格値よりも厚くなる。このためセラミックスウエハの厚みは0.2mm以上3mm以下の範囲内が好ましい。
【0018】
治具に使用する樹脂の代表的なのは、ポリプロピレン(PP)、フッ素樹脂(PFA)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFT)などがあげられる。略直方体形状の治具上部はウエハの出し入れが容易にできるように矩形状に開口している。また、治具はウエハを支えて収納できるように底面から側面にかけて傾斜を設けてある。複数のウエハを収納するために底面や側面に溝などが形成されている。複数のウエハを開口部より入れ平行な状態で整列した状態である。整列した複数ウエハの最外側の表面にあたる治具の片側や両側の面は、洗浄や水切り効果を上げるために開口している場合もある。外側の複数のウエハが治具側面には洗浄や水切り効果を上げるためにスリットなどを設ける場合もある。ウエハを入れた治具はハンドルにより挟み移動や洗浄を行う。ハンドルはコの字形状をしており両脚端のバーを治具の溝にはめて装着する。
【0019】
図5にセラミックスウエハを使用した半導体製品の製造工程フローの例を示す。工程によっては成膜からレジスト剥離後の洗浄までの工程を繰り返す。このうち洗浄はウエハ上のごみや汚れを除去する工程である。洗浄で対象とするごみや汚れには、大気中に存在する塵やほこり、装置や薬液から発生する金属、塗装や樹脂部品から発生する有機物、作業者から発生する油脂など様々である。これらのごみや汚れは回路パターンを作製する先に異物となり不良を起こす原因となる。このため、洗浄工程は半導体製品の品質を確保するためには重要である。
【0020】
セラミックスウエハでは、表面に単結晶体を配置してダイシングなどをすることにより半導体製品にすることができる。単結晶体は、シリコンや化合物半導体が挙げられる。化合物半導体は、GaN系、I
nN系、AlN系、SiC系などである。GaN系には、GaN、GaInN、GaAlN、GaInAlNなどがある。単結晶体を配置する工程は、セラミックスウエハ上に単結晶体を積層する工程や、単結晶体を結晶成長させる工程などが挙げられる。 また、セラミックスウエハ上に単結晶体を積層する工程は、セラミックスウエハ上に直接、単結晶体を配置する方法が挙げられる。また、セラミックスウエハ上に薄膜を形成した後、単結晶体を配置してもよい。また、単結晶体を結晶成長させる工程は、気相法、液相法などが挙げられる。結晶成長させる工程を行う前に、セラミックスウエハ上に薄膜を形成してもよい。
【0021】
ダミーウエハでは半導体製造工程の一部または全部の工程で製造装置の試験や調整に使用される。ダミーウエハは繰り返し使用するため、例えば図5で成膜に使用した場合は、形成した膜を除去して再利用する。この場合、除去する薬液に浸漬する工程と薬液を洗浄する工程がある。
【0022】
これら溶剤浸漬や洗浄は、多槽式と単槽式のバッチ槽により行われる。多槽式では、薬液の入った処理槽に浸漬し、ウエハや治具に付着した薬液を純水などで洗い流して洗浄を行う。単槽式では、1つの処理槽の薬液を入れ替えることにより浸漬と洗浄を行う。多槽式と単槽式の両方とも、ウエハを治具にセットすることにより一度に多量のウエハを処理することができる。多量のウエハを素早く均一に処理するためには、それぞれの槽中で揺動をさせることが必要である。
【0023】
次に、実施形態に係るセラミックスウエハの製造方法について窒化珪素ウエハを例に挙げて説明する。実施形態に係る窒化珪素ウエハは上記構成を有していれば、その製造方法は限定されるものではないが歩留まり良く得るための方法として次のものが挙げられる。まず、窒化珪素粉末、焼結助剤粉末を用意する。焼結助剤の添加量は1質量%以上20質量%以下の範囲内とする。また、焼結助剤は、希土類元素、マグネシウム、ハフニウム、チタンから選ばれる酸化物の1種または2種以上が挙げられる。特に、希土類元素の酸化物を必須成分とし、マグネシウム、ハフニウム、チタンの酸化物から選ばれる1種または2種以上を添加することが好ましい。窒化珪素粉末と焼結助剤粉末の混合原料粉末を調製する。
【0024】
混合原料粉末とバインダなどを混合して原料粉末スラリーを調製する。次に、原料粉末スラリーを用いて成型工程を行う。成型工程は、シート成型法、押し出し成型法など公知の方法を用いることができる。また、得られた成形体を目的とる形状に加工することが好ましい。例えば、シート成型法で成形されたグリーンシートを円型の金型により打ち抜くことにより円板状のグリーンシートを、オリフラのついた円板金型によりオリフラのついた円板状のグリーンシートを得ることができる。また、厚みの調整のために成形体を積層してもよいものとする。
【0025】
シート成型を用いずにプレス成型する場合は、原料粉末スラリーをスプレードライ法などによる造粒粉末を金型プレスにより成型する。また、得られた成形体を目的とる形状に加工することが好ましい。例えば、円型の金型によりプレス成型することにより円板状の成型体を、オリフラのついた金型によりオリフラのついた円板状の成型体を得ることができる。
【0026】
次に、成形体を脱脂する工程を行う。脱脂工程は、300℃以上700℃以下の範囲内が好ましい。また、得られた脱脂体を焼結する工程を行う。焼結工程は、1600℃以上1900℃以下の範囲内が好ましい。
【0027】
次に、得られた窒化珪素焼結体端面の加工を行う。焼結体が角板形状など円板形状になっていない場合は、積層してワイヤーカットや研磨加工を行う、一枚ずつレーザ加工を行う、などで円周部とオリフラ部を形成する。ワイヤーカットの場合は、加工回数が増えると加工面の表面粗さが小さくなるので、円周部よりもオリフラ部の回数を多くする。例えば、円周部を2回加工し、オリフラ部を1回加工することにより、オリフラ部の表面粗さを大きくすることができる。研磨加工の場合は、使用する砥石の番手を大きくすることにより加工面の表面粗さは小さくなるので、円周部よりもオリフラ部を小さ番手の砥石で加工することによりオリフラ部の表面粗さを大きくすることができる。レーザ加工では、レーザのドット幅が大きいと加工面の表面粗さが表面粗さは小さくなるので、円周部よりもオリフラ部をレーザのドット幅を広くすることによりオリフラ部の表面粗さを大きくすることができる。
【0028】
また、焼結体が円板形状になっている場合はオリフラを形成する。オリフラはワイヤーカットや研磨加工、レーザ加工により形成が可能である。それぞれの加工の場合、円周部よりもオリフラ部の表面粗さが大きくなるように加工条件を調整する。
さらに、オリフラが予め形成された円板形状の場合や前述の加工でオリフラ部の端面の表面粗さが大きくない場合は、ブラスト処理などにより表面粗さを大きくする。
【0029】
次に、得られた窒化珪素焼結体表面(表裏両面)に研磨加工する工程を行う。表面加工を端面加工よりも前に行うことは可能であるが、表面の表面粗さは端面の表面粗さより小さく加工することが多いため、後に行うことが好ましい。
【0030】
(実施例1~7、比較例1~6)
セラミックスウエハとして以下を用意した。窒化珪素焼結体は、焼結助剤として希土類元素の酸化物と、マグネシウム、ハフニウム、チタンの酸化物から選ばれる1種または2種以上を添加したものである。窒化アルミニウム焼結体は、焼結助剤として希土類元素の酸化物を添加したものである。酸化アルミニウム焼結体は、焼結助剤としてアルカリ土類金属化合物及び珪素化合物から選ばれる1種または2種以上を添加したものである。炭化ケイ素は、焼結助剤としてホウ素、炭素、およびその化合物から選ばれる1種または2種以上を添加したものである。
【0031】
窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウムは、助剤を添加した原料粉末に樹脂や有機溶剤と混合することによりスラリー化してシート成型機によりシートを成型してグリーンシートを得た。グリーンシートを金型により正方形に打ち抜いて正方形のグリーンシートを得た。グリーンシートを脱脂後に焼結して焼結体を得た。焼結体をレーザ、ワイヤー加工、研磨により円周部とオリフラ部に加工した焼結体を得た。また、グリーンシートを金型で円形に打ち抜きオリフラ部を切断することによりオリフラ部がある円板形状のグリーンシートを得た。グリーンシートを脱脂後に焼結してオリフラ部がある焼結体を得た。焼結体を加工しない焼結体やブラスト処理をした焼結体を得た。
【0032】
次に、円板形状のセラミックスウエハの表面(表裏)を研磨加工して表面の算術平均粗さRaを0.1μm(要確認)とした。表1に得られたセラミックスウエハを示す。なお、円周部直径150.0mmは6インチ、円周部直径76.2mmは3インチに相当するものである。
【0033】
【表1】
【0034】
次に、セラミックスウエハの円周部端面とオリフラ部端面の表面粗さを測定した。算術平均表面粗さRaの測定条件は前述の通りのものとした。表2にオリフラ部端面の算術平均粗さA、円周部端面の算術平均粗さB、AとBの比(A/B)を示した。なお、算術平均粗さは小数点二桁目を四捨五入した。
【0035】
実施例に係るセラミックスウエハの算術平均粗さはRaが1.5μm以上とした。一方、比較例はオリフラ部端面の算術平均粗さが小さいものである。また、実施例に係るセラミックスウエハのオリフラ部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比であるA/Bの値は、1.1以上3.0以下の範囲内であった。比較例は1.1未満と小さいものである。
【0036】
次に、実施例1のセラミックスウエハ25枚を図3のように25枚が格納できるPFA製治具に入れオリフラ部が治具斜面に接するようにした。純水が中央部で上方にフローしている槽内にセラミックスウエハを入れた治具を入れ30cmの上下揺動を10回行ったのち取り出す試験を行った。セラミックスウエハが設置した箇所から位置ずれをした数量を調べた。位置ずれはセラミックスウエハと治具をマーキングし、重なるように配置したマーキングが試験後に直径150mmセラミックスウエハで5mm以上、直径76.2mmセラミックスウエハで3mm以上離れた場合を位置ずれが発生したとした。その後に治具とセラミックスウエハを乾燥し、治具からセラミックスウエハを外したのち、再度治具にセラミックスウエハを入れて試験を行い、位置ずれした数量を調べた。以上のような試験を合計4回、のべ100枚のセラミックスウエハに行ったのち、槽中の純水を入れ替えて、他の実施例と比較例について同じ治具を使用して同様な試験を繰り返した。試験の結果、治具から位置ずれが確認されたものを除いた割合(%)を洗浄試験結果として表2に示した。
【0037】
【表2】
【0038】
表から分かるとおり、実施例に係るセラミックスウエハは、洗浄試験による位置ずれが少なく、治具に設置したセラミックスウエハが揺動により動かずに固定されていたことが分かる。このため、オリフラ部の算術平均粗さの制御は有効であることが分かる。それに対し、比較例のようにオルフラ部の算術平均粗さの円周部算術平均粗さの比が範囲外のものは洗浄試験結果で位置ずれが増加した。さらに、比較例1および6のようにオリフラ部の算術平均値が範囲外のものは、洗浄試験結果で位置ずれが増加した。つまり、治具に設置したセラミックスウエハが揺動により動き、落下などの可能性が増加したことになる。
【0039】
なお、算術平均粗さ以外の表面粗さ指標を用いて評価した場合と比較するために、比較例1のサンプルについては最大高さ他の表面粗さを測定した。表3に測定結果を示す。表から分かるとおり、算術平均粗さでオリフラ部の表面粗さを大きくしたものは、他の指標を用いてもオリフラ部が粗いため指標として使用することは可能である。
【0040】
【表3】
【0041】
以上、本発明のいくつかの実施形態を例示したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更などを行うことができる。これら実施形態やその変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0042】
1…セラミックスウエハ
2…オリエンテーションフラット部
3…円周部
4…治具

図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2024-01-17
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項2
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項2】
円周部端面の表面粗さに対するオリエンテーションフラット部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内であることを特徴とする請求項1記載のセラミックスウエハ。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項3
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項3】
オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスウエハ。
【手続補正3】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項4
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項4】
前記セラミックスウエハは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素のいずれか1種であることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスウエハ。
【手続補正4】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項5
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項5】
セラミックスウエハがセラミックスウエハ上に単結晶を配置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスウエハ。
【手続補正5】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項7
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項7】
セラミックスウエハがセラミックスダミーウエハであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のセラミックスウエハ。
【手続補正6】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項9
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項9】
外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハにおいて、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さを円周部端面の表面粗さより大きく加工し、加工方法がレーザ、ワイヤーカット、研磨、ブラストのいずれか1種以上からなる加工であることを特徴とするセラミックスウエハの製造方法。
【手続補正7】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項10
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項10】
円周部端面の表面粗さに対するオリエンテーションフラット部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内に加工することを特徴とする請求項9に記載のセラミックスウエハの製造方法。
【手続補正8】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項11
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項11】
オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のセラミックスウエハの製造方法。
【手続補正9】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項12
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項12】
前記セラミックスウエハは、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、及び炭化珪素のいずれか1種であることを特徴とする請求項9または請求項10に記載のセラミックスウエハの製造方法。
【手続補正10】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0012
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0012】
セラミックスウエハはプラスチック製などの治具に複数枚をセットして薬液中や洗浄水中などで揺動する。効率よく洗浄するためには、多くのセラミックスウエハを治具にセットし、大きく揺動することが必要である。ところが、セラミックスはウエハに比べて密度が大きいため重量が大きい。このため重いセラミックスウエハを治具にセットして洗浄すると、大きく速く揺動すると治具から外れてしまう。これとは逆に治具から外れないように小さくゆっくりと揺動すると洗浄効率が低下する。さらにセラミックスウエハのうちセラミックスダミーウエハ(以下単に「ダミーウエハ」と略す)は繰り返し使用するため、セラミックスウエハに比較して繰り返して薬品などで洗浄することになる。
【手続補正11】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
図2に実施形態に係るセラミックスウエハを治具にセットした一例を示す。治具はダミーウエハを出し入れしやすいように傾斜が設けられている。また、複数枚のセラミックスウエハが設置できるように溝が形成されている。図ではオリフラ端面が治具平面に接して配置されている。このオリフラ端面の表面粗さを円周部よりも大きくすることにより、図4のように円周部のみで治具平面に接して揺動するよりも治具上で滑らないようにすることができる。
【手続補正12】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
実施形態に係るセラミックスウエハは、外周がオリエンテーションフラット部と円周部からなるセラミックスウエハであって、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さが円周部端面の表面粗さより大きい。また、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比が、1.1以上3.0以下の範囲内である。表面粗さの比が1.1倍より小さいとオリフラ部を粗くした効果が小さくなり、揺動時に治具から外れる可能性がある。また、3.0倍より大きいと治具から外れにくい効果は得られるものの、オリフラ部端面の粗さを大きくするための加工にコストがかかるためである。さらに、セラミックスには硬いが脆いという特性があり、薄い形状の端面の表面粗さを大きくする加工をすると、平面部と端面部のエッジ個所の凹凸が大きくなり欠けやすくなる可能性がある。また、セラミックスウエハのエッジが欠けやすいと成膜などの半導体製造工程や洗浄や搬送などでエッジが欠けてコンタミネーション(汚染)となる可能性がある。さらにダミーウエハでは再生工程を繰り返すことによりエッジが欠けてコンタミネーションとなる可能性が増える。このため、オリエンテーションフラット部端面の表面粗さに対する円周部端面の表面粗さの比は、1.1以上3.0以下、さらには1.5以上2.5以下の範囲内にあることが好ましい。
【手続補正13】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0015
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0015】
また、オリフラ端面の表面粗さを大きくすることによりオリフラ部を接して配置した治具上で滑らないようにすることができる。このため、オリエンテーションフラット部端面の算術表面粗さRaが1.5μm以上である。通常の洗浄治具にセットしても算術表面粗さRaが1.5μmより小さいとオリフラ部を円周部より粗くしても滑り止めの効果が小さくなり、揺動時に治具から外れる可能性がある。また、算術平均表面粗さの最大値は範囲を制限するものではないが、10.0μmより大きいと治具から外れにくい効果は得られるものの、オリフラ部端面の粗さを大きくするための加工にコストがかかる。さらに、セラミックスには硬いが脆いという特性があり、薄い形状の端面の表面粗さを大きくする加工をすると、平面部と端面部のエッジ個所の凹凸が大きくなり欠けやすくなる可能性がある。また、セラミックスウエハのエッジが欠けやすいと成膜などの半導体製造工程や洗浄や搬送などやダミーウエハの再生工程でエッジが欠けてコンタミネーション(汚染)となる可能性がある。このため、好ましいオリフラ部端面の算術表面粗さRaは、1.5μm以上10.0μm以下、さらには2.0μm以上8.0μm以下の範囲内にあることが好ましい。
【手続補正14】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0019
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0019】
図5にセラミックスウエハを使用した半導体製品の製造工程フローの例を示す。工程によっては成膜からレジスト剥離後の洗浄までの工程を繰り返す。このうち洗浄はウエハ上のごみや汚れを除去する工程である。洗浄で対象とするごみや汚れには、大気中に存在する塵やほこり、装置や薬液から発生する金属、塗装や樹脂部品から発生する有機物、作業者から発生する油脂など様々である。これらのごみや汚れは回路パターンを作製するに異物となり不良を起こす原因となる。このため、洗浄工程は半導体製品の品質を確保するためには重要である。
【手続補正15】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0022
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0022】
これら溶剤浸漬や洗浄は、多槽式と単槽式のバッチ槽により行われる。多槽式では、薬液の入った処理槽に浸漬し、ウエハや治具に付着した薬液を純水などで洗い流して洗浄を行う。単槽式では、1つの処理槽の薬液を入れ替えることにより浸漬と洗浄を行う。多槽式と単槽式の両方とも、ウエハを治具にセットすることにより一度に多量のウエハを処理することができる。多量のウエハを素早く均一に処理するためには、それぞれの槽中で揺動をさせることが好ましい
【手続補正16】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0024
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0024】
混合原料粉末とバインダなどを混合して原料粉末スラリーを調製する。次に、原料粉末スラリーを用いて成型工程を行う。成型工程は、シート成型法、押し出し成型法など公知の方法を用いることができる。また、得られた成形体を目的とる形状に加工することが好ましい。例えば、シート成型法で成形されたグリーンシートを円型の金型により打ち抜くことにより円板状のグリーンシートを、オリフラのついた円板金型によりオリフラのついた円板状のグリーンシートを得ることができる。また、厚みの調整のために成形体を積層してもよいものとする。
【手続補正17】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
シート成型を用いずにプレス成型する場合は、原料粉末スラリーをスプレードライ法などによる造粒粉末を金型プレスにより成型する。また、得られた成形体を目的とる形状に加工することが好ましい。例えば、円型の金型によりプレス成型することにより円板状の成体を、オリフラのついた金型によりオリフラのついた円板状の成体を得ることができる。
【手続補正18】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0027
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0027】
次に、得られた窒化珪素焼結体端面の加工を行う。焼結体が角板形状など円板形状になっていない場合は、積層してワイヤーカットや研磨加工を行う、一枚ずつレーザ加工を行う、などで円周部とオリフラ部を形成する。ワイヤーカットの場合は、加工回数が増えると加工面の表面粗さが小さくなるので、円周部よりもオリフラ部の回数を多くする。例えば、円周部を2回加工し、オリフラ部を1回加工することにより、オリフラ部の表面粗さを大きくすることができる。研磨加工の場合は、使用する砥石の番手を大きくすることにより加工面の表面粗さは小さくなるので、円周部よりもオリフラ部を小さ番手の砥石で加工することによりオリフラ部の表面粗さを大きくすることができる。レーザ加工では、レーザのドット幅が広いと加工面の表面粗さが表面粗さは小さくなるので、円周部よりもオリフラ部をレーザのドット幅を広くすることによりオリフラ部の表面粗さを大きくすることができる。
【手続補正19】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0031
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0031】
窒化珪素、窒化アルミニウム、酸化アルミニウム、炭化珪素は、助剤を添加した原料粉末に樹脂や有機溶剤と混合することによりスラリー化してシート成型機によりシートを成型してグリーンシートを得た。グリーンシートを金型により正方形に打ち抜いて正方形のグリーンシートを得た。グリーンシートを脱脂後に焼結して焼結体を得た。焼結体をレーザ、ワイヤー加工、研磨により円周部とオリフラ部に加工した焼結体を得た。また、グリーンシートを金型で円形に打ち抜きオリフラ部を切断することによりオリフラ部がある円板形状のグリーンシートを得た。グリーンシートを脱脂後に焼結してオリフラ部がある焼結体を得た。焼結体を加工しない焼結体やブラスト処理をした焼結体を得た。
【手続補正20】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0032
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0032】
次に、円板形状のセラミックスウエハの表面(表裏)を研磨加工して表面の算術平均粗さRaを0.1μmとした。表1に得られたセラミックスウエハを示す。なお、円周部直径150.0mmは6インチ、円周部直径76.2mmは3インチに相当するものである。
【手続補正21】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0036
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0036】
次に、実施例1のセラミックスウエハ25枚を図3のように25枚が格納できるPFA製治具に入れオリフラ部が治具斜面に接するようにした。純水が中央部で上方にフローしている槽内にセラミックスウエハを入れた治具を入れ30cmの上下揺動を10回行ったのち取り出す試験を行った。セラミックスウエハが設置した箇所から位置ずれをした数量を調べた。位置ずれはセラミックスウエハと治具をマーキングし、重なるように配置したマーキングが試験後に直径150mmセラミックスウエハで5mm以上、直径100mmセラミックスウエハで4mm以上、直径76.2mmセラミックスウエハで3mm以上離れた場合を位置ずれが発生したとした。その後に治具とセラミックスウエハを乾燥し、治具からセラミックスウエハを外したのち、再度治具にセラミックスウエハを入れて試験を行い、位置ずれした数量を調べた。以上のような試験を合計4回、のべ100枚のセラミックスウエハに行ったのち、槽中の純水を入れ替えて、他の実施例と比較例について同じ治具を使用して同様な試験を繰り返した。試験の結果、治具から位置ずれが確認されたものを除いた割合(%)を洗浄試験結果として表2に示した。
【手続補正22】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
なお、算術平均粗さ以外の表面粗さ指標を用いて評価した場合と比較するために、実施例1のサンプルについては最大高さ他の表面粗さを測定した。表3に測定結果を示す。表から分かるとおり、算術平均粗さでオリフラ部の表面粗さを大きくしたものは、他の指標を用いてもオリフラ部が粗いため指標として使用することは可能である。