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特開2024-154662接着フィルム及び接着フィルムの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154662
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】接着フィルム及び接着フィルムの製造方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/30 20180101AFI20241024BHJP
   C09J 7/38 20180101ALI20241024BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20241024BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241024BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20241024BHJP
   B32B 27/00 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
C09J7/30
C09J7/38
C09J201/00
H01L21/78 M
H01L21/52 E
B32B27/00 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068610
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000004455
【氏名又は名称】株式会社レゾナック
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100169454
【弁理士】
【氏名又は名称】平野 裕之
(74)【代理人】
【識別番号】100148013
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 浩光
(72)【発明者】
【氏名】茶花 幸一
(72)【発明者】
【氏名】原田 知典
(72)【発明者】
【氏名】岡山 純
【テーマコード(参考)】
4F100
4J004
4J040
5F047
5F063
【Fターム(参考)】
4F100AK01A
4F100AT00
4F100BA03
4F100CB00B
4F100CB00G
4F100CB05C
4F100CB05G
4F100DB03
4F100DC21A
4F100DC21B
4F100DC21C
4F100EC18
4F100EJ302
4F100EJ303
4F100EJ30B
4F100EJ30C
4J004AB01
4J004CA06
4J004CC02
4J004CC03
4J004CE01
4J004EA01
4J004EA06
4J004FA05
4J004FA08
4J004GA01
4J040JA09
4J040JB09
4J040NA20
5F047BA34
5F047BA35
5F047BA36
5F047BA39
5F063AA18
5F063EE13
5F063EE18
5F063EE32
(57)【要約】
【課題】一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分の剥離を行った場合でも不要部分の破断や欠けを抑制でき、製造効率の向上が図られる接着フィルム及び接着フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】接着フィルム1は、接着層3及び粘着フィルム4によって構成され、基材フィルム2の延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層11と、接着層3及び粘着フィルム4によって構成され、機能層11を囲むように基材フィルム2の幅方向に対して対称に配置された複数の保護層12とを有している。機能層11は、基材フィルム2の平面視において円形状をなしている。保護層12は、基材フィルム2の平面視において、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aと、機能層11の円周と向き合う直線部分13Bとを有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の基材フィルムと、
前記基材フィルムの一面側に設けられた接着層及び粘着フィルムと、を備え、
前記基材フィルムの一面側には、
前記接着層及び前記粘着フィルムによって構成され、前記基材フィルムの延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層と、
前記接着層及び前記粘着フィルムによって構成され、前記機能層を囲むように前記基材フィルムの幅方向に対して対称に配置された複数の保護層と、が設けられ、
前記機能層は、前記基材フィルムの平面視において円形状をなし、
前記保護層は、前記基材フィルムの平面視において、前記基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、前記機能層の円周と向き合う直線部分とを有する接着フィルム。
【請求項2】
前記保護層は、前記基材フィルムの平面視において三角形状をなす島状部分を有し、前記島状部分の斜辺が前記機能層の円周と向き合い、且つ前記島状部分の底辺が前記基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように配置されている請求項1記載の接着フィルム。
【請求項3】
前記保護層は、前記基材フィルムの平面視において台形状をなす島状部分を有し、前記島状部分の斜辺が前記機能層の円周と向き合い、且つ前記島状部分の下底が前記基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように配置されている請求項1記載の接着フィルム。
【請求項4】
前記保護層は、前記基材フィルムの幅方向の両端部において前記基材フィルムの延在方向に延びる帯状部分を有している請求項1~3のいずれか一項記載の接着フィルム。
【請求項5】
一面側に接着層が設けられた長尺の基材フィルムを所定の搬送速度で繰り出す繰出ステップと、
前記接着層に粘着フィルムを積層する積層ステップと、
前記接着層及び前記粘着フィルムを所定のパターンでプリカットする切断ステップと、
前記接着層及び前記粘着フィルムの不要部分を前記基材フィルムの一面側から剥離し、基材フィルムの延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層と、前記機能層を囲むように前記基材フィルムの幅方向に対して対称に配置された複数の保護層とを前記基材フィルムの一面側に形成する剥離ステップと、
前記剥離ステップで得られた接着フィルムをロール状に巻き取る巻取ステップと、を備え、
前記切断ステップでは、前記機能層が前記基材フィルムの平面視において円形状をなし、且つ前記保護層が、前記基材フィルムの平面視において、前記基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、前記機能層の円周と向き合う直線部分とを有するように、前記接着層及び前記粘着フィルムをプリカットする接着フィルムの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、接着フィルム及び接着フィルムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の接着フィルムとして、例えば特許文献1に記載のダイアタッチ用積層シート支持体がある。この従来のダイアタッチ用積層シート支持体は、長尺の基材フィルムと、基材シートの片面において当該基材フィルムの長さ方向に分散配置された複数のダイアタッチ用積層フィルムとを備えている。
【0003】
ダイアタッチ用積層フィルムは、基材フィルム側のダイアタッチフィルムと、ダイアタッチフィルム状のダイシングフィルムとによって構成されている。基材フィルムの片面には、ダイアタッチ用積層フィルムのそれぞれを囲うように、ダイアタッチ用積層フィルムと同一の厚さを有する保護フィルムが配置されている。かかる保護フィルムの配置によれば、例えば接着フィルムをロール状に巻回する際の圧力からダイアタッチ用積層フィルムを保護することができ、積層フィルムの変形、巻き跡の転写などの発生を抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-202927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような接着フィルムの製造には、例えばロールtоロール方式が採用される。この方式では、接着層を一面側に有する基材フィルムを原反ロールから繰り出し、接着層に対して粘着フィルムをラミネートする。その後、基材フィルム上の接着層及び粘着フィルムをロール刃によって所定のパターンでプリカットする。プリカットの後、基材フィルムから接着層及び粘着フィルムの不要部分を剥離することで、接着層及び粘着フィルムによる機能層及び当該機能層を囲う保護層を基材フィルムの一面側に形成する。
【0006】
しかしながら、このような接着フィルムの製造工程では、接着層及び粘着フィルムのプリカットの形状によっては、接着層及び粘着フィルムの不要部分の剥離の際に当該不要部分に破断や欠けなどの不具合が生じることがある。このような不具合が発生すると、接着フィルムを一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分の剥離を行うことができなくなり、接着フィルムの製造効率が低下してしまうおそれがある。
【0007】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分の剥離を行った場合でも不要部分の破断や欠けを抑制でき、製造効率の向上が図られる接着フィルム及び接着フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一側面に係る接着フィルムは、長尺の基材フィルムと、基材フィルムの一面側に設けられた接着層及び粘着フィルムと、を備え、基材フィルムの一面側には、接着層及び粘着フィルムによって構成され、基材フィルムの延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層と、接着層及び粘着フィルムによって構成され、機能層を囲むように基材フィルムの幅方向に対して対称に配置された複数の保護層と、が設けられ、機能層は、基材フィルムの平面視において円形状をなし、保護層は、基材フィルムの平面視において、基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、機能層の円周と向き合う直線部分とを有する。
【0009】
この接着フィルムでは、保護層は、基材フィルムの平面視において、基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、機能層の円周と向き合う直線部分とを有している。このような構成により、保護層を機能層の円周に沿わせる場合と比べて、接着層及び粘着フィルムの不要部分の面積を確保でき、更に、その形状に直線部分を含めることができる。これにより、基材フィルムの一面側から剥離する際に不要部分にかかる力を均一化でき、接着フィルムを一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分の剥離を行う場合であっても、不要部分に破断や欠けなどの不具合が生じることを抑制できる。不具合を生じさせずに接着フィルムを一定の搬送速度で連続的に巻き取ることで、製造効率の向上が図られる。
【0010】
保護層は、基材フィルムの平面視において三角形状をなす島状部分を有し、島状部分の斜辺が機能層の円周と向き合い、且つ島状部分の底辺が基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように配置されていてもよい。このような構成によれば、機能層の周りに保護層を効率的に配置できる。したがって、接着フィルムをロール状に巻回する際の圧力から機能層をしっかりと保護することができ、機能層の変形、巻き跡の転写などの発生を抑制できる。また、島状部分の直線部分を利用することで、接着層及び粘着フィルムの不要部分の形状に直線部分を十分に形成できる。これにより、基材フィルムの一面側から剥離する際に不要部分にかかる力をより確実に均一化できる。
【0011】
保護層は、基材フィルムの平面視において台形状をなす島状部分を有し、島状部分の斜辺が機能層の円周と向き合い、且つ島状部分の下底が基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように配置されていてもよい。このような構成によれば、機能層の周りに保護層を効率的に配置できる。したがって、接着フィルムをロール状に巻回する際の圧力から機能層をしっかりと保護することができ、機能層の変形、巻き跡の転写などの発生を抑制できる。また、島状部分の直線部分を利用することで、接着層及び粘着フィルムの不要部分の形状に直線部分を十分に形成できる。これにより、基材フィルムの一面側から剥離する際に不要部分にかかる力をより確実に均一化できる。
【0012】
保護層は、基材フィルムの幅方向の両端部において基材フィルムの延在方向に延びる帯状部分を有していてもよい。保護層を基材フィルムの幅方向の両端部に配置することで、接着フィルムをロール状に巻回する際の圧力から機能層を一層十分に保護できる。また、帯状部分の直線部分を利用し、接着層及び粘着フィルムの不要部分の形状に直線部分を十分に形成できる。これにより、基材フィルムの一面側から剥離する際に不要部分にかかる力をより確実に均一化できる。
【0013】
本開示の一側面に係る接着フィルムの製造方法は、一面側に接着層が設けられた長尺の基材フィルムを所定の搬送速度で繰り出す繰出ステップと、接着層に粘着フィルムを積層する積層ステップと、接着層及び粘着フィルムを所定のパターンでプリカットする切断ステップと、接着層及び粘着フィルムの不要部分を基材フィルムの一面側から剥離し、基材フィルムの延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層と、機能層を囲むように基材フィルムの幅方向に対して対称に配置された複数の保護層とを基材フィルムの一面側に形成する剥離ステップと、剥離ステップで得られた接着フィルムをロール状に巻き取る巻取ステップと、を備え、切断ステップでは、機能層が基材フィルムの平面視において円形状をなし、且つ保護層が、基材フィルムの平面視において、基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、機能層の円周と向き合う直線部分とを有するように、接着層及び粘着フィルムをプリカットする。
【0014】
この接着フィルムの製造方法では、接着層及び粘着フィルムのプリカットにおいて、基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、機能層の円周と向き合う直線部分とを保護層に形成する。このような構成により、保護層を機能層の円周に沿わせる場合と比べて、接着層及び粘着フィルムの不要部分の面積を確保でき、更に、その形状に直線部分を含めることができる。基材フィルムの一面側から剥離する際に不要部分にかかる力を均一化でき、接着フィルムを一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分の剥離を行う場合であっても、不要部分に破断や欠けなどの不具合が生じることを抑制できる。不具合を生じさせずに接着フィルムを一定の搬送速度で連続的に巻き取ることで、製造効率の向上が図られる。
【発明の効果】
【0015】
本開示によれば、一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分の剥離を行った場合でも不要部分の破断や欠けを抑制でき、製造効率の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本開示の一実施形態に係る接着フィルムを示す斜視図である。
図2図1に示した接着フィルムの平面図である。
図3図2におけるIII-III線断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る接着フィルムの製造方法を示すフローチャートである。
図5】剥離ステップの様子を示す斜視図である。
図6】変形例に係る接着フィルムを示す平面図である。
図7】別の変形例に係る接着フィルムを示す平面図である。
図8】更に別の変形例に係る接着フィルムを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る接着フィルム及び接着フィルムの製造方法の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0018】
図1は、本開示の一実施形態に係る接着フィルムを示す斜視図である。図2は、図1に示した接着フィルムの平面図である。図3は、図2におけるIII-III線断面図である。図1図3に示す接着フィルム1は、例えば半導体チップの製造工程で用いられるフィルムである。接着フィルム1は、例えばバックグラインド工程における半導体ウェハの固定や、ボンディング工程における半導体チップとウェハとの接着に用いられる。接着フィルム1は、使用時を除いて、ロール状に巻かれた状態で保存されている(図1参照)。
【0019】
接着フィルム1は、図1図3に示すように、長尺の基材フィルム2と、基材フィルム2の一面側に設けられた接着層3及び粘着フィルム4(図3参照)とを備えて構成されている。接着層3は、図3に示すように、基材フィルム2上に配置され、粘着フィルム4は、接着層3上に配置されている。図示は省略しているが、粘着フィルム4は、基材フィルムと粘着層とによって構成され、粘着層が接着層3側を向くように接着層3上に配置されている。
【0020】
基材フィルム2は、接着フィルム1のベースとなるフィルム状部分である。基材フィルム2の構成素材としては、例えばポリエチレンテレフタレートが挙げられる、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリ半芳香族エステルフィルム、全芳香族ポリエステルフィルム、液晶性芳香族ポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、ポリアミドイミドフィルムなどが挙げられる。基材フィルム2の表面には、シリコーンなどによる離型処理が施されていてもよい。
【0021】
接着層3は、例えばNCF(Non Conductive Film)と称されるフィルム状部分である。接着層3の構成材料としては、例えば電気絶縁性を有する熱硬化性樹脂が挙げられる。熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ビスマレイミド樹脂、トリアジン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、シアノアクリレート樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネート樹脂、フラン樹脂、レゾルシノール樹脂、キシレン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、シロキサン変性エポキシ樹脂、シロキサン変性ポリアミドイミド樹脂、アクリレート樹脂等が挙げられる。これらは単独又は二種以上の混合物として使用することができる。
【0022】
粘着フィルム4は、例えばバックグラインドテープと称されるフィルム状部分である。粘着フィルム4は、1層以上の粘着層及び1層以上の基材フィルムを含むものであってもよく、1層の粘着層と1層の基材フィルムとからなるものであってもよい。粘着フィルム4の厚さは、例えば10μm~200μmであってもよく、20μm~150μmであってもよい。
【0023】
基材層としては、例えば、ポリエステルフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリメチルペンテンフィルム等のプラスチックフィルムが挙げられる。これらの中でも、ポリエステルフィルムが好ましく、ポリエチレンテレフタレートフィルムがより好ましい。基材層は、上記の材料から選ばれる2種以上が混合されたもの、又は上記のフィルムが複層化されたものでもよい。基材層の厚さは、例えば10μm~100μmであってもよく、20μm~80μmであってもよい。
【0024】
粘着層は、室温で粘着力を有し、被着体に対する必要な密着力を有することが好ましい。粘着層は、放射線等の高エネルギー線又は熱によって硬化する(粘着力が低下する)特性を備えることが好ましいが、放射線等の高エネルギー線又は熱を加えなくとも接着フィルム1から容易に剥離可能であることがより好ましい。粘着層は、感圧型の粘着層であってもよい。粘着層は、例えばアクリル系樹脂、各種合成ゴム、天然ゴム、ポリイミド樹脂を用いて形成することができる。粘剤層の厚さは、例えば5μm~100μmであってもよく、10μm~80μmであってもよい。
【0025】
上述した接着層3及び粘着フィルム4は、図2に示すように、プリカット加工によって、複数の機能層11と、複数の保護層12とに予め分離されている。機能層11及び保護層12は、いずれも接着層3及び粘着フィルム4の積層体である。複数の機能層11,11同士、複数の保護層12,12同士、機能層11と保護層12とは、後述する不要部分Pの剥離によって互いに離間している。離間部分は、剥離ロールを用いた不要部分Pの巻き取りによって形成されるため(図5参照)、基材フィルム2の延在方向に繋がった状態となっている。離間部分では、接着層3及び粘着フィルム4が除去されており、基材フィルム2の一面側が露出している。
【0026】
機能層11は、半導体チップの製造工程で使用される部分である。機能層11のそれぞれは、図2に示すように、基材フィルム2の平面視において真円形状をなし、基材フィルム2の延在方向に互いに離間して配置されている。機能層11の平面形状は、必ずしも真円形状でなくてもよく、楕円形状、長円形状などの他の円形状であってもよい。機能層11において、粘着フィルム4の所定の位置には、マーカ(不図示)が付されていてもよい。マーカは、例えばスクリーン印刷法、スタンプ法、及びインクジェット法などを用いて形成できる。
【0027】
保護層12は、接着フィルム1をロール状に巻回する際の圧力から機能層11を保護する部分である。保護層12は、図2に示すように、機能層11のそれぞれを囲むように基材フィルム2の幅方向に対して対称に配置されている。本実施形態では、保護層12は、基材フィルム2の延在方向に隣り合う機能層11,11の間に、基材フィルム2の幅方向の中心を挟んで対となるように配置されている。
【0028】
保護層12は、基材フィルム2の平面視において、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aと、機能層11の円周11aと向き合う直線部分13Bとを有している。直線部分13Aは、基材フィルム2の延在方向と平行に延びる直線部分である。基材フィルム2の延在方向に対する僅かな角度ずれは許容され得る。直線部分13Bにおける「機能層11の円周11aと向き合う」とは、当該直線部分13Bと直交する仮想の直線が機能層11の円周11aと交差することを意味する。直線部分13Bと直交する仮想の直線は、必ずしも直線部分13Bの全体で機能層11の円周11aと交差していなくてもよく、直線部分13Bの少なくとも一部において機能層11の円周11aと交差していればよい。
【0029】
機能層11の直径は、例えば295mm~310mmであってもよく、298mm~305mmであってもよい。基材フィルム2の幅(基材フィルム2の延在方向と直交する方向の長さ)は、機能層11の直径と後述の帯状部分22の幅以上であればよく、特に制限はないが、例えば320mm~400mmであってもよく、330mm~350mmであってもよい。
【0030】
直線部分13A,13Bの形成にあたり、図2の例では、保護層12は、基材フィルム2の平面視において三角形状をなす島状部分21と、基材フィルム2の幅方向の両端部2a,2aにおいて基材フィルム2の延在方向に延びる帯状部分22とを有している。島状部分21の平面形状は、例えば二等辺三角形状となっている。島状部分21の平面形状は、直角二等辺三角形状であってもよく、正三角形状であってもよい。島状部分21の角部は、丸みを帯びた形状となっていてもよい。島状部分21は、その頂角が基材フィルム2の幅方向の中心を向くように配置されている。島状部分21の底辺21aは、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aに相当し、基材フィルム2の幅方向の端部2a及び帯状部分22の内側縁22aと向き合っている。島状部分21の斜辺21bは、機能層11の円周11aと向き合う直線部分13Bに相当している。
【0031】
帯状部分22は、基材フィルム2の幅方向の縁から所定の幅で配置されている。帯状部分22は、基材フィルム2の延在方向の長さの全体にわたって延在している。帯状部分22の内側縁22aは、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aに相当している。帯状部分22の内側縁22aのうち、当該内側縁22aに直交する仮想の直線が機能層11の円周11aと交差する部分は、機能層11の円周11aと向き合う直線部分13Bに相当している。すなわち、帯状部分22の内側縁22aは、直線部分13A,13Bの双方を兼ねている。
【0032】
次に、上述した接着シートの製造方法について説明する。
【0033】
図4は、本開示の一実施形態に係る接着フィルムの製造方法を示すフローチャートである。同図に示すように、この接着フィルムの製造方法は、繰出ステップ(ステップS01)と、積層ステップ(ステップS02)と、切断ステップ(ステップS03)と、剥離ステップ(ステップS04)と、巻取ステップ(ステップS05)とを備えて構成されている。
【0034】
繰出ステップS01は、一面側に接着層3が設けられた長尺の基材フィルム2を所定の搬送速度で繰り出すステップである。積層ステップS02は、接着層3に粘着フィルム4を積層するステップである。切断ステップS03は、接着層3及び粘着フィルム4を所定のパターンでプリカットするステップである。剥離ステップS04は、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pを基材フィルム2の一面側から剥離するステップである。
【0035】
切断ステップS03では、基材フィルム2の平面視において、機能層11が円形状をなすように、接着層3及び粘着フィルム4をプリカットする。また、基材フィルム2の平面視において、保護層12が、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aと、機能層11の円周11aと向き合う直線部分13Bとを有するように、接着層3及び粘着フィルム4をプリカットする。
【0036】
本実施形態では、切断ステップS03において、保護層12が基材フィルム2の平面視において三角形状をなす島状部分21を有し、島状部分21の斜辺21bが機能層11の円周11aと向き合い、且つ島状部分21の底辺21aが基材フィルム2の幅方向の端部2aと向き合うように接着層3及び粘着フィルム4をプリカットする。
【0037】
剥離ステップS04では、図5に示すように、剥離ロール37の巻き取りによって、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pが剥離される。剥離された不要部分Pは、剥離ロール37の後段の巻取ロール(不図示)によって巻き取られる。不要部分Pは、基材フィルム2の一面側の接着層3及び粘着フィルム4のうち、最終的に形成される機能層11及び保護層12を除いた部分である。本実施形態では、不要部分Pは、機能層11の円周11aと、保護層12の島状部分21の底辺21a及び斜辺21b,21bと、保護層12の帯状部分22の内側縁22aとによって画成されている。不要部分Pは、基材フィルム2の延在方向に繋がっており、剥離ロール37の巻き取りによって基材フィルム2の一面側から連続的に剥離することができる。その後、巻取ロールによって接着フィルム1が巻き取られることで、図1に示したロール状の接着フィルム1が得られる。
【0038】
以上説明したように、接着フィルム1では、保護層12は、基材フィルム2の平面視において、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aと、機能層11の円周11aと向き合う直線部分13Bとを有している。このような構成により、保護層12を機能層11の円周11aに沿わせる場合と比べて、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pの面積を確保でき、更に、その形状に直線部分13A,13Bを含めることができる。これにより、基材フィルム2の一面側から剥離する際に不要部分Pにかかる力を均一化でき、接着フィルム1を一定の搬送速度で巻き取りながら不要部分Pの剥離を行う場合であっても、不要部分Pに破断や欠けなどの不具合が生じることを抑制できる。不具合を生じさせずに接着フィルム1を一定の搬送速度で連続的に巻き取ることで、製造効率の向上が図られる。
【0039】
本実施形態では、保護層12は、基材フィルム2の平面視において三角形状をなす島状部分21を有している。島状部分21は、斜辺21bが機能層11の円周11aと向き合い、且つ底辺21aが基材フィルム2の幅方向の端部2aと向き合うように配置されている。このような構成によれば、機能層11の周りに保護層12を効率的に配置できる。したがって、接着フィルム1をロール状に巻回する際の圧力から機能層11をしっかりと保護することができ、機能層11の変形、巻き跡の転写などの発生を抑制できる。また、島状部分21の直線部分(底辺21a及び斜辺21b,21b)を利用することで、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pの形状に直線部分13A,13Bを十分に形成できる。これにより、基材フィルム2の一面側から剥離する際に不要部分Pにかかる力をより確実に均一化できる。
【0040】
本実施形態では、保護層12は、基材フィルム2の幅方向の両端部2a,2aにおいて基材フィルム2の延在方向に延びる帯状部分22を有している。保護層12を基材フィルム2の幅方向の両端部2a,2aに配置することで、接着フィルム1をロール状に巻回する際の圧力から機能層11を一層十分に保護できる。また、帯状部分22の直線部分を利用し、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pの形状に直線部分13A,13Bを十分に形成できる。これにより、基材フィルム2の一面側から剥離する際に不要部分Pにかかる力をより確実に均一化できる。
【0041】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、保護層12が基材フィルム2の幅方向の両端部2a,2aにおいて基材フィルム2の延在方向に延びる帯状部分22を有しているが、図6に示す接着フィルム1Aのように、帯状部分22を省略し、三角形状の島状部分21のみで保護層12を構成してもよい。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏し得る。また、帯状部分22が省略される分、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pの面積を一層確保できる。したがって、基材フィルム2の一面側から剥離する際に不要部分Pにかかる力をより確実に均一化できる。
【0042】
また、上記実施形態では、基材フィルム2の平面視において三角形状をなす島状部分21が配置されているが、この島状部分21に代えて、図7に示す接着フィルム1Bように、基材フィルム2の平面視において台形状をなす島状部分51が配置されていてもよい。図7の例では、島状部分21は、等脚台形状をなしており、その上底51aが基材フィルム2の幅方向の中心を向くように配置されている。島状部分21の上底51aは、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aに相当している。島状部分51の下底51bは、基材フィルム2の延在方向に沿う直線部分13Aに相当し、基材フィルム2の幅方向の端部2a及び帯状部分22の内側縁22aと向き合っている。島状部分51の斜辺51cは、機能層11の円周11aと向き合う直線部分13Bに相当している。
【0043】
このような構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏し得る。また、島状部分51が台形状をなすことで、直線部分13Aを十分に配置することができ、基材フィルム2の一面側から剥離する際に不要部分Pにかかる力をより確実に均一化できる。なお、図7の形態において、図6の場合と同様に、帯状部分22を省略してもよい。
【0044】
図8に示す接着フィルム1Cのように、島状部分を省略し、帯状部分22のみで保護層12を構成してもよい。このような構成においても、上記実施形態と同様の効果を奏し得る。また、島状部分が省略される分、接着層3及び粘着フィルム4の不要部分Pの面積を一層確保できる。したがって、基材フィルム2の一面側から剥離する際に不要部分Pにかかる力をより確実に均一化できる。島状部分の省略によってプリカット加工のパターンが簡単化されるため、接着フィルム1Cの歩留まりの向上も図られる。
【0045】
本開示の要旨は、以下の[1]~[8]に示すとおりである。
[1]長尺の基材フィルムと、前記基材フィルムの一面側に設けられた接着層及び粘着フィルムと、を備え、前記基材フィルムの一面側には、前記接着層及び前記粘着フィルムによって構成され、前記基材フィルムの延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層と、前記接着層及び前記粘着フィルムによって構成され、前記機能層を囲むように前記基材フィルムの幅方向に対して対称に配置された複数の保護層と、が設けられ、前記機能層は、前記基材フィルムの平面視において円形状をなし、前記保護層は、前記基材フィルムの平面視において、前記基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、前記機能層の円周と向き合う直線部分とを有する接着フィルム。
[2]前記保護層は、前記基材フィルムの平面視において三角形状をなす島状部分を有し、前記島状部分の斜辺が前記機能層の円周と向き合い、且つ前記島状部分の底辺が前記基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように配置されている[1]記載の接着フィルム。
[3]前記保護層は、前記基材フィルムの平面視において台形状をなす島状部分を有し、前記島状部分の斜辺が前記機能層の円周と向き合い、且つ前記島状部分の下底が前記基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように配置されている[1]記載の接着フィルム。
[4]前記保護層は、前記基材フィルムの幅方向の両端部において前記基材フィルムの延在方向に延びる帯状部分を有している[1]~[3]のいずれか記載の接着フィルム。
[5]一面側に接着層が設けられた長尺の基材フィルムを所定の搬送速度で繰り出す繰出ステップと、前記接着層に粘着フィルムを積層する積層ステップと、前記接着層及び前記粘着フィルムを所定のパターンでプリカットする切断ステップと、前記接着層及び前記粘着フィルムの不要部分を前記基材フィルムの一面側から剥離し、基材フィルムの延在方向に互いに離間して配置された複数の機能層と、前記機能層を囲むように前記基材フィルムの幅方向に対して対称に配置された複数の保護層とを前記基材フィルムの一面側に形成する剥離ステップと、前記剥離ステップで得られた接着フィルムをロール状に巻き取る巻取ステップと、を備え、前記切断ステップでは、前記機能層が前記基材フィルムの平面視において円形状をなし、且つ前記保護層が、前記基材フィルムの平面視において、前記基材フィルムの延在方向に沿う直線部分と、前記機能層の円周と向き合う直線部分とを有するように、前記接着層及び前記粘着フィルムをプリカットする接着フィルムの製造方法。
[6]前記切断ステップでは、前記保護層が前記基材フィルムの平面視において三角形状をなす島状部分を有し、前記島状部分の斜辺が前記機能層の円周と向き合い、且つ前記島状部分の底辺が前記基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように前記接着層及び前記粘着フィルムをプリカットする[5]記載の接着フィルムの製造方法。
[7]前記切断ステップでは、前記保護層が前記基材フィルムの平面視において台形状をなす島状部分を有し、前記島状部分の斜辺が前記機能層の円周と向き合い、且つ前記島状部分の下底が前記基材フィルムの幅方向の端部と向き合うように前記接着層及び前記粘着フィルムをプリカットする[6]記載の接着フィルムの製造方法。
[8]前記切断ステップでは、前記保護層が前記基材フィルムの幅方向の両端部において前記基材フィルムの延在方向に延びる帯状部分を有するように前記接着層及び前記粘着フィルムをプリカットする[5]~[7]のいずれか記載の接着フィルムの製造方法。
【符号の説明】
【0046】
1…接着フィルム、2…基材フィルム、2a…端部、3…接着層、4…粘着フィルム、11…機能層、11a…円周、12…保護層、13A,13B…直線部分、21…島状部分、21a…底辺、21b…斜辺、22…帯状部分、51…島状部分、51a…上底、51b…下底、51c…斜辺、P…不要部分。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8