(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154678
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】排ガス処理システムのための制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20241024BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20241024BHJP
B01D 53/70 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/31 F
B01D53/68 ZAB
B01D53/70
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068638
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100118500
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 哲也
(74)【代理人】
【氏名又は名称】渡邉 勇
(74)【代理人】
【識別番号】100174089
【弁理士】
【氏名又は名称】郷戸 学
(74)【代理人】
【識別番号】100186749
【弁理士】
【氏名又は名称】金沢 充博
(72)【発明者】
【氏名】落合 俊治
(72)【発明者】
【氏名】福島 裕也
【テーマコード(参考)】
4D002
5F045
【Fターム(参考)】
4D002AA17
4D002AA23
4D002AA26
4D002AC10
4D002BA02
4D002BA05
4D002BA07
4D002DA35
4D002EA04
4D002GA02
4D002GA03
4D002GB02
4D002GB03
4D002GB20
4D002HA10
5F045BB08
5F045BB20
5F045EG07
(57)【要約】
【課題】本発明は、複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する制御装置の共通化を実現することができる制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】制御装置6は、複数の処理器2A~2Cを有する排ガス処理システム1の動作を制御する制御装置6であって、複数の処理器2A~2Cに対応し、複数の処理器2A~2Cの動作を個別に制御する複数の副制御装置8A~8Cと、複数の副制御装置8A~8Cに電気的に接続された主制御装置7を備え、主制御装置7は、複数の副制御装置8A~8Cに電力を供給する電源10と、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御する統括制御部11を備え、複数の副制御装置8A~8Cのそれぞれは、対応する処理器2A~2Cを動作させるための機器3,4に電気的に接続された個別制御部13を備えている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する制御装置であって、
前記複数の処理器に対応し、前記複数の処理器の動作を個別に制御する複数の副制御装置と、
前記複数の副制御装置に電気的に接続された主制御装置を備え、
前記主制御装置は、
前記複数の副制御装置に電力を供給する電源と、
前記複数の処理器の動作を統括的に制御する統括制御部を備え、
前記複数の副制御装置のそれぞれは、対応する処理器を動作させるための機器に電気的に接続された個別制御部を備えている、制御装置。
【請求項2】
前記機器は、前記対応する処理器に連結された運転用バルブである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記機器は、前記対応する処理器から物理量を検出し、前記物理量を表す信号を出力する運転用センサである、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記複数の副制御装置のそれぞれは、前記複数の処理器のうちの少なくとも1つに異常が発生した場合に、前記異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブを閉じるインターロック動作を行うインターロック部をさらに備え、
前記インターロック部は、前記緊急遮断バルブ、および前記少なくとも1つの処理器に設けられたインターロック用センサに電気的に接続されており、
前記インターロック部は、前記インターロック用センサが前記少なくとも1つの処理器に異常が発生したことを検出したときに、前記緊急遮断バルブを閉じるように構成されている、請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記個別制御部は、前記インターロック部を通じて、前記緊急遮断バルブに電気的に接続されており、
前記緊急遮断バルブは、前記個別制御部と前記緊急遮断バルブとの電気的な接続が遮断されたときに閉じるように構成されており、
前記インターロック部は、前記個別制御部と前記緊急遮断バルブとの間に配置された個別リレースイッチを備え、
前記個別リレースイッチは、前記インターロック用センサが前記少なくとも1つの処理器に異常が発生したことを検出したときに、前記個別制御部と前記緊急遮断バルブとの電気的な接続を遮断するように構成されている、請求項4に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御装置は、前記複数の副制御装置を電気的に接続するインターロック同期配線をさらに備え、
前記インターロック部は、前記インターロック同期配線および前記個別リレースイッチに電気的に接続可能な切替装置をさらに備え、
前記切替装置は、その内部電気経路を切り替えることにより、前記異常が発生した処理器に連結された前記緊急遮断バルブのみを閉じる単独インターロックモード、前記複数の処理器のうちの少なくとも2つに連結された前記緊急遮断バルブを閉じる連動インターロックモード、および前記インターロック動作を無効にするインターロック無効モードの間で切り替え可能に構成されている、請求項5に記載の制御装置。
【請求項7】
前記主制御装置は、前記電源に接続された電源リレースイッチをさらに備え、
前記複数の副制御装置のそれぞれは、前記複数の処理器のうちの少なくとも1つに設けられたインターロック用センサに接続された個別リレースイッチを備え、
前記電源リレースイッチは前記個別リレースイッチに電気的に接続されており、
前記電源リレースイッチは、前記インターロック用センサが前記少なくとも1つの処理器に異常が発生したことを検出したときに、前記電源から前記複数の副制御装置への前記電力の供給を遮断して、前記複数の処理器の運転を停止させるように構成されている、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の制御装置。
【請求項8】
複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する方法であって、
前記複数の処理器に対応する複数の副制御装置により、前記複数の処理器の動作を個別に制御し、
前記複数の副制御装置に電気的に接続された主制御装置の電源から、前記複数の副制御装置に電力を供給し、
前記主制御装置により、前記複数の処理器の動作を統括的に制御することを含む、制御方法。
【請求項9】
前記複数の処理器の動作を個別に制御することは、前記対応する処理器に連結された運転用バルブの動作を制御することを含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項10】
前記複数の処理器のうちの少なくとも1つの処理器に異常が発生したことがインターロック用センサによって検出されたときに、前記複数の副制御装置のうちの少なくとも1つにより、前記異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブを閉じるインターロック動作を行うことをさらに含む、請求項8に記載の制御方法。
【請求項11】
前記複数の副制御装置の内部電気経路を切り替えることにより、前記異常が発生した処理器に連結された前記緊急遮断バルブのみを閉じる単独インターロックモード、前記複数の処理器のうちの少なくとも2つに連結された前記緊急遮断バルブを閉じる連動インターロックモード、および前記インターロック動作を無効にするインターロック無効モードの間で切り替えることをさらに含む、請求項10に記載の制御方法。
【請求項12】
前記複数の処理器のうちの少なくとも1つの処理器に異常が発生したことがインターロック用センサによって検出されたときに、前記電源から前記複数の副制御装置への前記電力の供給を遮断して、前記複数の処理器の運転を停止することをさらに含む、請求項8に記載の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイス、液晶パネル、LED等を製造する半導体製造プロセスにおいては、真空にされたプロセスチャンバ内にプロセスガスを導入してエッチング処理やCVD処理等の各種処理を行っている。プロセスチャンバ、およびプロセスチャンバに接続されている排気系機器は、クリーニングガスを流すことにより定期的に洗浄されている。これらプロセスガスやクリーニングガス等の排ガスは、シラン系ガス、ハロゲンガス、PFCガス等を含み、人体に悪影響を及ぼすことや、地球温暖化の原因になる等の地球環境に悪影響を及ぼすことがあり、大気にそのまま放出することができない。そこで、これらの排ガスは、半導体処理装置の下流側に設置された排ガス処理システムによって無害化処理された後に大気に放出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年の半導体ウェハの大型化に伴って、半導体処理装置から排出される排ガスの量が増加している。増加した排ガスを効率的に処理するために、複数の処理器を有する排ガス処理システムが使用されている。複数の処理器を有する排ガス処理システムは、1つの処理器に異常が発生した場合に、予備の処理器に切り替えて運転を継続させるバックアップ機能を有している。
【0005】
従来の複数の処理器を有する排ガス処理システムでは、1つの制御装置によって複数の処理器を制御するように構成されており、処理器の数が増減するたびに制御装置の仕様や制御回路を変更する必要がある。また、制御装置は、排ガス処理システムを安全に運転するために、温度センサ、漏水センサなどの各種センサによって処理器の異常を検出した場合に、処理器の運転を停止させるインターロック部を備える。制御装置は、処理器の数が増減するたびにインターロック部の構成を変更する必要がある。このようなことから、制御装置の構成を共通化できないという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する制御装置の共通化を実現することができる制御装置および制御方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様では、複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する制御装置であって、前記複数の処理器に対応し、前記複数の処理器の動作を個別に制御する複数の副制御装置と、前記複数の副制御装置に電気的に接続された主制御装置を備え、前記主制御装置は、前記複数の副制御装置に電力を供給する電源と、前記複数の処理器の動作を統括的に制御する統括制御部を備え、前記複数の副制御装置のそれぞれは、対応する処理器を動作させるための機器に電気的に接続された個別制御部を備えている、制御装置が提供される。
一態様では、前記機器は、前記対応する処理器に連結された運転用バルブである。
一態様では、前記機器は、前記対応する処理器から物理量を検出し、前記物理量を表す信号を出力する運転用センサである。
【0008】
一態様では、前記複数の副制御装置のそれぞれは、前記複数の処理器のうちの少なくとも1つに異常が発生した場合に、前記異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブを閉じるインターロック動作を行うインターロック部をさらに備え、前記インターロック部は、前記緊急遮断バルブ、および前記少なくとも1つの処理器に設けられたインターロック用センサに電気的に接続されており、前記インターロック部は、前記インターロック用センサが前記少なくとも1つの処理器に異常が発生したことを検出したときに、前記緊急遮断バルブを閉じるように構成されている。
一態様では、前記個別制御部は、前記インターロック部を通じて、前記緊急遮断バルブに電気的に接続されており、前記緊急遮断バルブは、前記個別制御部と前記緊急遮断バルブとの電気的な接続が遮断されたときに閉じるように構成されており、前記インターロック部は、前記個別制御部と前記緊急遮断バルブとの間に配置された個別リレースイッチを備え、前記個別リレースイッチは、前記インターロック用センサが前記少なくとも1つの処理器に異常が発生したことを検出したときに、前記個別制御部と前記緊急遮断バルブとの電気的な接続を遮断するように構成されている。
【0009】
一態様では、前記制御装置は、前記複数の副制御装置を電気的に接続するインターロック同期配線をさらに備え、前記インターロック部は、前記インターロック同期配線および前記個別リレースイッチに電気的に接続可能な切替装置をさらに備え、前記切替装置は、その内部電気経路を切り替えることにより、前記異常が発生した処理器に連結された前記緊急遮断バルブのみを閉じる単独インターロックモード、前記複数の処理器のうちの少なくとも2つに連結された前記緊急遮断バルブを閉じる連動インターロックモード、および前記インターロック動作を無効にするインターロック無効モードの間で切り替え可能に構成されている。
一態様では、前記主制御装置は、前記電源に接続された電源リレースイッチをさらに備え、前記複数の副制御装置のそれぞれは、前記複数の処理器のうちの少なくとも1つに設けられたインターロック用センサに接続された個別リレースイッチを備え、前記電源リレースイッチは前記個別リレースイッチに電気的に接続されており、前記電源リレースイッチは、前記インターロック用センサが前記少なくとも1つの処理器に異常が発生したことを検出したときに、前記電源から前記複数の副制御装置への前記電力の供給を遮断して、前記複数の処理器の運転を停止させるように構成されている。
【0010】
一態様では、複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する方法であって、前記複数の処理器に対応する複数の副制御装置により、前記複数の処理器の動作を個別に制御し、前記複数の副制御装置に電気的に接続された主制御装置の電源から、前記複数の副制御装置に電力を供給し、前記主制御装置により、前記複数の処理器の動作を統括的に制御することを含む、制御方法が提供される。
一態様では、前記複数の処理器の動作を個別に制御することは、前記対応する処理器に連結された運転用バルブの動作を制御することを含む。
【0011】
一態様では、前記制御方法は、前記複数の処理器のうちの少なくとも1つの処理器に異常が発生したことがインターロック用センサによって検出されたときに、前記複数の副制御装置のうちの少なくとも1つにより、前記異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブを閉じるインターロック動作を行うことをさらに含む。
一態様では、前記制御方法は、前記複数の副制御装置の内部電気経路を切り替えることにより、前記異常が発生した処理器に連結された前記緊急遮断バルブのみを閉じる単独インターロックモード、前記複数の処理器のうちの少なくとも2つに連結された前記緊急遮断バルブを閉じる連動インターロックモード、および前記インターロック動作を無効にするインターロック無効モードの間で切り替えることをさらに含む。
一態様では、前記制御方法は、前記複数の処理器のうちの少なくとも1つの処理器に異常が発生したことがインターロック用センサによって検出されたときに、前記電源から前記複数の副制御装置への前記電力の供給を遮断して、前記複数の処理器の運転を停止することをさらに含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、主制御装置は、複数の処理器の動作を統括的に制御するための構成を有し、複数の処理器の動作を個別に制御するための構成は、複数の処理器に対応する複数の副制御装置に含まれる。したがって、処理器の増減によって、主制御装置の構成を変更する必要がないため、主制御装置の共通化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】複数の処理器を有する排ガス処理システムの動作を制御する制御装置の一実施形態を示す図である。
【
図2】インターロック部の詳細構成を含む制御装置の他の実施形態を示す図である。
【
図3】
図2に示す制御装置における切替装置の内部電気経路の一例を説明するための図である。
【
図4】
図2に示す制御装置における切替装置の内部電気経路の一例を説明するための図である。
【
図5】切替装置の内部電気経路によって設定されるインターロック動作の例を示す表である。
【
図6】インターロック部の詳細構成を含む制御装置のさらに他の実施形態を示す図である。
【
図7】
図6に示す制御装置における切替装置の内部電気経路の他の例を説明するための図である。
【
図8】切替装置の内部電気経路によって設定されるインターロック動作の例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、複数の処理器2A~2Cを有する排ガス処理システム1の動作を制御する制御装置6の一実施形態を示す図である。排ガス処理システム1は、半導体処理装置から排出される排ガスを処理して無害化するための装置である。
図1に示すように、排ガス処理システム1は、複数の(本実施形態では、3つの)処理器2A~2Cを有している。本実施形態では、排ガス処理システム1は、3つの処理器2A~2Cを有しているが、処理器の数は本実施形態に限定されず、排ガス処理システム1は、2つあるいは4つ以上の処理器を有していてもよい。排ガス処理システム1の例としては、燃焼式排ガス処理システム、触媒式排ガス処理システム、プラズマ式排ガス処理システム、および湿式排ガス処理システムが挙げられる。この場合、複数の処理器2A~2Cの例としては、燃焼用バーナ、触媒充填容器、プラズマ発生器、および水処理器が挙げられる。
【0015】
排ガス処理システム1は、複数の処理器2A~2Cを動作させるための機器として、複数の処理器2A~2Cのそれぞれに設けられた運転用バルブ3および運転用センサ4を備えている。複数の運転用バルブ3は、処理器2A~2Cにそれぞれ連結されており、対応する処理器2A~2Cに流体(例えば、排ガス、燃料、水など)などの供給物を供給するための複数の配管5の流路を開閉するように構成されている。複数の運転用バルブ3は、対応する処理器2A~2Cに供給される供給物が流れる複数の配管5にそれぞれ配置されている。運転用バルブ3が開かれると、配管5から対応する処理器2A~2Cに供給物が供給される。
【0016】
運転用センサ4は、対応する処理器2A~2Cから物理量を検出し、検出された物理量を表す信号を出力するように構成されている。運転用センサ4の例としては、処理器2A~2Cの温度を測定する温度センサ、処理器2A~2C内の火炎を検出する火炎検出センサ、処理器2A~2Cにおける液体の漏洩を検出する漏水センサ、および処理器2A~2Cにおけるガスの漏洩を検出するガス検出センサなどが挙げられる。一実施形態では、排ガス処理システム1は、処理器2A~2Cのそれぞれについて複数の運転用バルブ3、および複数の運転用センサ4を備えてもよい。一実施形態では、排ガス処理システム1は、複数の処理器2A~2Cに運転用センサ4を備えてなくてもよい。例えば、処理器2Aには2つの運転用バルブ3および1つの運転用センサ4が設けられ、処理器2B,2Cのそれぞれには1つの運転用バルブ3のみが設けられてもよい。
【0017】
排ガス処理システム1は、排ガス処理システム1の動作を制御する制御装置6に接続されている。制御装置6は、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御する主制御装置7と、複数の処理器2A~2Cの動作を個別に制御する複数の(本実施形態では、3つの)副制御装置8A~8Cを備えている。副制御装置8A~8Cは、複数の処理器2A~2Cにそれぞれ対応している。具体的には、副制御装置8Aは処理器2Aに対応しており、副制御装置8Bは処理器2Bに対応しており、副制御装置8Cは処理器2Cに対応している。主制御装置7は、複数の副制御装置8A~8Cに電気的に接続されている。主制御装置7は、複数の副制御装置8A~8Cに電力を供給する電源10と、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御する統括制御部11を備えている。
【0018】
複数の副制御装置8A~8Cのそれぞれは、対応する処理器2A~2Cのそれぞれに設けられた運転用バルブ3および運転用センサ4に電気的に接続されている。複数の副制御装置8A~8Cのそれぞれは、個別制御部13およびインターロック部14を有している。各個別制御部13は、運転用バルブ3および運転用センサ4に電気的に接続されている。個別制御部13は、運転用バルブ3の動作を制御するように構成されている。また、個別制御部13は、運転用センサ4から出力された各処理器の物理量を表す信号を取得するように構成されている。一実施形態では、個別制御部13は、統括制御部11から発せられた指令に基づいて、運転用バルブ3の動作を制御するように構成されてもよい。
【0019】
主制御装置7の電源10は、電力供給線20を通じて副制御装置8A~8Cの個別制御部13に接続されている。電源10によって生成された電力は、電力供給線20を通って副制御装置8A~8Cの個別制御部13に送られる。個別制御部13は、電力供給線23を通じて副制御装置8A~8Cのインターロック部14に接続されている。電源10によって生成された電力は、個別制御部13から電力供給線23を通じて、副制御装置8A~8Cのインターロック部14に送られる。
【0020】
一実施形態では、各個別制御部13は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。各個別制御部13は、対応する機器である運転用バルブ3の動作を制御し、対応する機器である運転用センサ4からの信号を受けるためのプログラムが格納された記憶装置(図示せず)と、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置(図示せず)を備えている。記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置の例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、個別制御部13の具体的構成はこれらの例に限定されない。一実施形態では、各個別制御部13は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、またはマイコンチップを用いたコントロール基板であり、図示しない入力装置(例えば、キーボードおよびマウス)によって外部からの入力された信号に基づいて、運転用バルブ3の動作を制御するように構成されてもよい。
【0021】
主制御装置7の統括制御部11は、複数の副制御装置8A~8Cの個別制御部13に通信線21で電気的に接続されている。統括制御部11は、副制御装置8A~8Cの個別制御部13を介して処理器2A~2Cの動作を統括的に制御するように構成されている。複数の副制御装置8A~8Cの個別制御部13が取得した運転用センサ4の出力信号は、統括制御部11に送られる。統括制御部11は、個別制御部13を通じて、複数の処理器2A~2Cから検出された物理量のデータを取得することができる。一実施形態では、個別制御部13は、運転用センサ4から出力された信号をデータ値に変換して、統括制御部11に送るように構成されてもよい。一実施形態では、統括制御部11は、複数の処理器2A~2Cから検出された物理量のデータに基づいて、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御してもよい。
【0022】
統括制御部11により統括的に制御される複数の処理器2A~2Cの動作の例としては、複数の処理器2A~2Cの運転開始動作、運転停止動作、複数の処理器2A~2Cのうちのいずれかに異常が発生した場合に、他の処理器に切り替えて運転を継続させるバックアップ動作が挙げられる。より具体的には、複数の処理器2A~2Cの運転開始動作、運転停止動作は、排ガス処理システム1が燃焼式排ガス処理システムの場合、燃焼用バーナである複数の処理器2A~2Cの着火動作、消火動作であり、排ガス処理システム1が触媒式排ガス処理システムの場合、触媒充填容器である複数の処理器2A~2Cの反応材のヒータ加熱動作、ヒータ加熱停止動作であり、排ガス処理システム1がプラズマ式排ガス処理システムの場合、プラズマ発生器である複数の処理器2A~2Cのプラズマ発生動作、プラズマ停止動作である。
【0023】
一実施形態では、統括制御部11は、排ガス処理システム1の全体として処理すべき排ガスの量に基づいて、複数の処理器2A~2Cに連結された運転用バルブ3の動作を個別制御部13を介して制御して、複数の処理器2A~2Cに供給する排ガスの量を調節するように構成されてもよい。一実施形態では、統括制御部11は、複数の処理器2A~2Cに共通して設けられた機器(図示せず)の動作を制御するように構成されてもよい。複数の処理器2A~2Cに共通して設けられた機器の例としては、複数の処理器2A~2C内を流れる冷却水を供給するための冷却水バルブ、複数の処理器2A~2Cから排出される各種ガスを排気するための排気ブロア、複数の処理器2A~2Cに発生した異常を表示するための表示装置や警報ランプ、警報ブザーなどが挙げられる。
【0024】
一実施形態では、個別制御部13は、処理器2A~2Cの動作に必要な個々の動作を統括制御部11とは独立して個別に制御してもよい。処理器2A~2Cの動作に必要な個々の動作の例としては、排ガス処理システム1が燃焼式排ガス処理システムの場合、安全に着火させるための動作、および安全に消火させるための動作を含むバルブ開閉順番シーケンス、着火用のスパークを発生させるタイミングを制御する動作などが挙げられる。排ガス処理システム1が触媒式排ガス処理システムの場合、触媒充填容器の温度を一定に保つためにヒータを制御する動作などが挙げられる。
【0025】
一実施形態では、統括制御部11は、少なくとも1台のコンピュータから構成される。統括制御部11は、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御するためのプログラムが格納された記憶装置(図示せず)と、プログラムに含まれる命令に従って演算を実行する演算装置(図示せず)を備えている。記憶装置は、ランダムアクセスメモリ(RAM)などの主記憶装置と、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などの補助記憶装置を備えている。演算装置の例としては、CPU(中央処理装置)、GPU(グラフィックプロセッシングユニット)が挙げられる。ただし、統括制御部11の具体的構成はこれらの例に限定されない。一実施形態では、統括制御部11は、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、またはマイコンチップを用いたコントロール基板であり、図示しない入力装置(例えば、キーボードおよびマウス)によって外部からの入力された信号に基づいて、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御するように構成されてもよい。
【0026】
排ガス処理システム1は、複数の処理器2A~2Cにそれぞれ設けられた複数の緊急遮断バルブ16と、複数の処理器2A~2Cにそれぞれ設けられた複数のインターロック用センサ17をさらに備えている。
【0027】
複数の緊急遮断バルブ16は、対応する処理器2A~2Cにそれぞれ連結されており、対応する処理器2A~2Cに流体(例えば、排ガス、燃料、水など)などの供給物を供給するための複数の配管18の流路を開閉するように構成されている。複数の緊急遮断バルブ16は、対応する処理器2A~2Cに供給される供給物が流れる複数の配管18にそれぞれ配置されている。緊急遮断バルブ16が開かれると、配管18から対応する処理器2A~2Cに供給物が供給される。一実施形態では、緊急遮断バルブ16は、上述した運転用バルブ3と共通して用いられてもよい。
【0028】
インターロック用センサ17は、処理器2A~2Cのうちの対応する1つ(以下、対応する処理器という)が正常に作動しているときは、電圧を出力し、対応する処理器に異常が発生したときは、電圧の出力を停止するように構成されている。インターロック用センサ17の例としては、対応する処理器の温度を測定する温度センサ、対応する処理器内の火炎を検出する火炎検出センサ、対応する処理器における液体の漏洩を検出する漏水センサ、および対応する処理器におけるガスの漏洩を検出するガス検出センサなどが挙げられる。
【0029】
例えば、インターロック用センサ17は温度センサであり、対応する処理器の温度がしきい値よりも低いときに、電圧を出力する。他の例では、インターロック用センサ17は火炎検出センサであり、対応する処理器の火炎が存在していることを検出したときに、電圧を出力する。さらに他の例では、インターロック用センサ17は漏水センサであり、対応する処理器における液体の漏洩がないときに、電圧を出力する。さらに他の例では、インターロック用センサ17はガス検出センサであり、対応する処理器におけるガスの漏洩がないときに、電圧を出力する。
【0030】
本実施形態では、排ガス処理システム1は、3つの処理器2A~2Cに対応する3つのインターロック用センサ17を備えているが、排ガス処理システム1は、処理器2A~2Cのうちの1つまたは2つに対応する1つまたは2つのインターロック用センサ17を備えてもよい。一実施形態では、インターロック用センサ17は、上述した運転用センサ4と共通して用いられてもよい。
【0031】
複数の副制御装置8A~8Cのそれぞれは、複数の処理器2A~2Cのうちの1つに異常が発生した場合に、異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブ16を閉じるインターロック動作を行うインターロック部14をさらに備えている。インターロック部14は、対応する処理器に設けられた緊急遮断バルブ16およびインターロック用センサ17に電気的に接続されている。
【0032】
緊急遮断バルブ16を閉じることにより、配管18から処理器への供給物の供給が停止される。このように、インターロック動作は、異常が発生した処理器への供給物の供給を停止して、排ガス処理システム1を安全に運転させることができる。本実施形態の処理器2A~2Cに対するインターロック動作は、ソフトウェア情報(プログラムやデータなど)を介在しないハードウェアインターロック動作である。
【0033】
主制御装置7の統括制御部11は、複数の副制御装置8A~8Cのインターロック部14に通信線24を通じて電気的に接続されている。統括制御部11は、複数の副制御装置8A~8Cのインターロック部14を介して複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御するように構成されている。一実施形態では、統括制御部11は、複数の副制御装置8A~8Cのインターロック部14に接続されていなくてもよい。
【0034】
本実施形態の排ガス処理システム1において、処理器の数を増減させる場合には、処理器の数に応じて、新たな副制御装置を追加するか、または副制御装置8A~8Cのうちの少なくとも1つを撤去し、通信線21,24を追加または撤去し、電力供給線20の接続を変更することで、制御装置6は、処理器の数に応じて排ガス処理システム1の動作を制御することができる。主制御装置7の電源10の電源容量は、想定される処理器の最大数を考慮して予め決定される。
【0035】
本実施形態によれば、主制御装置7は、複数の処理器2A~2Cの動作を統括的に制御するための構成を有し、その一方で、インターロック動作を含む複数の処理器2A~2Cの動作を個別に制御するための構成は、複数の処理器2A~2Cにそれぞれ対応する複数の副制御装置8A~8Cに含まれる。したがって、処理器の増減や仕様の変更によって、主制御装置7の構成を変更する必要がないため、主制御装置7の共通化を実現することができる。結果として、主制御装置7の生産性を向上させることができる。
【0036】
さらに、本実施形態によれば、複数の副制御装置8A~8Cは、基本的に同様の構成を有している。結果として、主制御装置7および副制御装置8A~8Cを含む制御装置6の全体としての生産性を向上させることができる。
【0037】
上述した実施形態では、各インターロック部14は、対応する処理器に対するインターロック動作を個別に行うように構成されているが、一実施形態では、1つの処理器に対するインターロック動作を、他の処理器に対するインターロック動作と連動させる必要がある。そこで、以下に説明する実施形態では、複数の副制御装置8A~8Cのインターロック部14は、複数の処理器2A~2Cのうちの少なくとも1つに異常が発生した場合に、異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモード、複数の処理器2A~2Cのうちの少なくとも2つに連結された緊急遮断バルブ16を閉じる連動インターロックモード、およびインターロック動作を無効にするインターロック無効モードの間で切替可能に構成されている。
【0038】
図2は、インターロック部14の詳細構成を含む制御装置6の他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、上述した実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0039】
図2に示すように、本実施形態の排ガス処理システム1は、複数の処理器2A~2Cにそれぞれ設けられた複数の(本実施形態では、3つの)緊急遮断バルブ16と、少なくとも1つの処理器(本実施形態では、処理器2Aのみ)に設けられたインターロック用センサ17を備えている。制御装置6は、複数の副制御装置8A~8Cを電気的に接続するインターロック同期配線31を備えている。複数の副制御装置8A~8Cの個別制御部13は、インターロック部14を通じて、対応する処理器2A~2Cに連結された緊急遮断バルブ16に電気的に接続されている。本実施形態では、緊急遮断バルブ16は、個別制御部13と緊急遮断バルブ16との電気的な接続が遮断されたとき、すなわち電力の供給がないときに閉じるように構成されている。このような緊急遮断バルブ16としては、ノーマルクローズタイプのバルブを用いることができる。
【0040】
複数の副制御装置8A~8Cのそれぞれのインターロック部14は、個別制御部13と緊急遮断バルブ16の間に配置された個別リレースイッチ25と、個別リレースイッチ25に電気的に接続可能な切替装置28を備えている。切替装置28は、第1端子28a、第2端子28b、第3端子28c、および第4端子28dを有している。第3端子28cおよび第4端子28dは、互いに接続されている。副制御装置8Aでは、切替装置28の第1端子28aは、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17に接続されており、第2端子28bは、インターロック同期配線31に接続されており、第3端子28cおよび第4端子28dは、個別リレースイッチ25に接続されている。副制御装置8B,8Cでは、切替装置28の第1端子28aは、第1端子28aに電圧を印加するリレー電源Vに接続されており、第2端子28bは、インターロック同期配線31に接続されており、第3端子28cおよび第4端子28dは、個別リレースイッチ25に接続されている。
【0041】
インターロック用センサ17は、対応する処理器2Aが正常に作動しているときは、電圧を出力し、対応する処理器2Aに異常が発生したときは、電圧を出力しないように構成されている。個別リレースイッチ25は、コイル部25aと接点部25bを有している。コイル部25aは、第3端子28cおよび第4端子28dに接続されている。個別リレースイッチ25は、インターロック用センサ17から出力される電圧を受けて、個別制御部13と緊急遮断バルブ16を電気的に接続するように構成されている。より具体的には、個別リレースイッチ25は、インターロック用センサ17から出力された電圧が印加されると、コイル部25aに電流を流して、接点部25bを閉じ、個別制御部13と緊急遮断バルブ16を電気的に接続するように構成されている。個別制御部13と緊急遮断バルブ16が電気的に接続されているときは、緊急遮断バルブ16の動作は、個別制御部13により制御される。
【0042】
処理器2Aに異常が発生したときは、インターロック用センサ17は、電圧の出力を停止する。その結果、個別リレースイッチ25のコイル部25aには電流が流れず、接点部25bが開き、個別制御部13と緊急遮断バルブ16との電気的な接続が遮断される。これにより緊急遮断バルブ16は閉じられる。
【0043】
切替装置28は、1つの短絡器29により第1端子28aと第3端子28cが電気的に接続される内部電気経路、1つの短絡器29により第2端子28bと第4端子28dが電気的に接続される内部電気経路、2つの短絡器29により第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが電気的に接続される内部電気経路、および第1端子28a~第4端子28dのいずれも短絡器29により電気的に接続されない内部電気経路の間で切り替え可能に構成されている。短絡器29の一例として、導電材から構成されたジャンパーが挙げられる。切替装置28は、その内部電気経路を切り替えることにより、異常が発生した処理器に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモード、複数の処理器2A~2Cのうちの少なくとも2つに連結された緊急遮断バルブ16を閉じる連動インターロックモード、および処理器2A~2Cのインターロック動作を無効にするインターロック無効モードの間で切り替え可能に構成されている。
【0044】
図2に示す例では、各インターロック部14では、切替装置28の第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は、副制御装置8Aの切替装置28の第1端子28aおよび第3端子28cを通じて、副制御装置8Aの個別リレースイッチ25に電気的に接続されている。一方、副制御装置8Aの切替装置28の第2端子28bと第4端子28dが電気的に接続されていないため、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は、インターロック同期配線31に電気的に接続されていない。
【0045】
処理器2Aに異常が発生した場合は、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は電圧出力を停止する。副制御装置8Aの個別リレースイッチ25には電圧が印加されないので、副制御装置8Aの個別リレースイッチ25の接点部25bが開き、副制御装置8Aの個別制御部13と処理器2Aに連結された緊急遮断バルブ16との電気的な接続が遮断される。これにより、処理器2Aに連結された緊急遮断バルブ16が閉じられて、配管18からの供給物(例えば燃料)の供給が停止される。その一方で、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は、インターロック同期配線31に接続されていなく、かつ副制御装置8B,8Cの個別リレースイッチ25には、第1端子28aおよび第3端子28cを通じて、リレー電源Vの電圧が印加されている。
【0046】
副制御装置8B,8Cのインターロック部14では、切替装置28の第1端子28aおよび第3端子28cを通じて、リレー電源Vが個別リレースイッチ25に電気的に接続されている。リレー電源Vから個別リレースイッチ25に電圧が印加されることにより、副制御装置8B,8Cの個別リレースイッチ25の接点部25bは閉じられたままである。したがって、インターロック用センサ17が電圧出力を停止しているにもかかわらず、副制御装置8B,8Cの個別制御部13と緊急遮断バルブ16は、電気的に接続されたままである。この場合、処理器2B,2Cに連結された緊急遮断バルブ16の動作は、個別制御部13により制御される。このように、
図2に示す切替装置28の内部電気経路では、異常が発生した処理器(本実施形態では、処理器2A)に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモードに設定される。
【0047】
図3は、
図2に示す制御装置6における切替装置28の内部電気経路の一例を説明するための図である。
図3に示す例では、副制御装置8Aのインターロック部14では、切替装置28の第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続され、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。副制御装置8B,8Cのインターロック部14では、切替装置28の第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されており、その一方で第1端子28aと第3端子28cには短絡器29は取り付けられていない。したがって、リレー電源Vの電圧は、副制御装置8B,8Cのリレースイッチ25には印加されない。
【0048】
図3に示す内部電気経路では、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は、副制御装置8Aの切替装置28の第1端子28aおよび第3端子28cを通じて、副制御装置8Aの個別リレースイッチ25に接続されている。さらに、インターロック用センサ17は、副制御装置8Aの切替装置28の第2端子28bと第4端子28dを通じて、インターロック同期配線31に接続されている。インターロック用センサ17は、インターロック同期配線31、および副制御装置8B,8Cの切替装置28の第2端子28bおよび第4端子28dを通じて、副制御装置8B,8Cの個別リレースイッチ25に接続されている。
【0049】
処理器2Aに異常が発生した場合に、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は電圧の出力を停止する。副制御装置8Aの個別リレースイッチ25には電圧が印加されないので、副制御装置8Aの個別リレースイッチ25の接点部25bが開き、副制御装置8Aの個別制御部13と処理器2Aに連結された緊急遮断バルブ16との電気的な接続が遮断される。これにより、処理器2Aに連結された緊急遮断バルブ16が閉じられて、配管18からの供給物(例えば燃料)の供給が停止される。
【0050】
図3に示すように、副制御装置8B,8Cの個別リレースイッチ25は、リレー電源Vには接続されていない。したがって、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17の電圧出力の停止に伴って、副制御装置8B,8Cの個別リレースイッチ25への電圧の印加が停止される。その結果、副制御装置8B,8Cの個別リレースイッチ25の接点部25bが開き、副制御装置8B,8Cの個別制御部13と処理器2B,2Cに連結された緊急遮断バルブ16との電気的な接続が遮断される。これにより、処理器2B,2Cに連結された緊急遮断バルブ16が閉じられて、配管18から処理器2B,2Cへの供給物の供給が停止される。
【0051】
このように、
図3に示す切替装置28の内部電気経路では、複数の処理器2A~2Cのうちの少なくとも1つ(本実施形態では、処理器2A)に異常が発生した場合に、複数の処理器2A~2Cのうちの少なくとも2つ(本実施形態では、全ての処理器2A~2C)に連結された緊急遮断バルブ16を閉じる連動インターロックモードに設定される。
【0052】
図4は、
図2に示す制御装置6における切替装置28の内部電気経路の一例を説明するための図である。
図4に示す例では、副制御装置8Aのインターロック部14では、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されており、副制御装置8Bのインターロック部14では、切替装置28の第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続され、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されており、副制御装置8Cのインターロック部14では、切替装置28の第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されている。
【0053】
このような内部電気経路では、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17は、副制御装置8A,8B,8Cの個別リレースイッチ25には接続されない。その一方で、副制御装置8Bに接続されたリレー電源Vの電圧は、副制御装置8A,8Bの個別リレースイッチ25に印加され、副制御装置8Cに接続されたリレー電源Vの電圧は、副制御装置8Cの個別リレースイッチ25に印加される。すなわち、インターロック用センサ17の電圧出力が停止されたときであっても、副制御装置8A,8B,8Cの個別リレースイッチ25には電圧が常に印加されている。
【0054】
図4に示す切替装置28の内部電気経路によれば、インターロック用センサ17の異常検出にかかわらず、副制御装置8A~8Cの個別制御部13と、処理器2A~2Cに連結された緊急遮断バルブ16との電気的な接続が常に維持されている。すなわち、
図4に示す切替装置28の内部電気経路では、処理器2A~2Cに対するインターロック動作を無効にするインターロック無効モードに設定される。
【0055】
図5は、切替装置28の内部電気経路によって設定可能なインターロック動作の例を示す表である。
図5の表には、切替装置28の内部電気経路の一部が示されている。
図5の表において、「28a-28c」の列は、処理器2A~2Cに対応する副制御装置8A~8Cの切替装置28の第1端子28aと第3端子28cにおける短絡器29の有無を表している。「28a-28c」の欄の「○」は、切替装置28の第1端子28aと第3端子28cに短絡器29が取り付けられており、第1端子28aと第3端子28cが電気的に接続されていることを表している。「28a-28c」の欄の「×」は、切替装置28の第1端子28aと第3端子28cに短絡器29が取り付けられていなく、第1端子28aと第3端子28cが電気的に接続されていない、すなわち電気的にオープンの状態を表している。
【0056】
同様に、「28b-28d」の列は、処理器2A~2Cに対応する副制御装置8A~8Cの切替装置28の第2端子28bと第4端子28dにおける短絡器29の有無を表している。「28b-28d」の欄の「○」は、切替装置28の第2端子28bと第4端子28dに短絡器29が取り付けられており、第2端子28bと第4端子28dが電気的に接続されていることを表している。「28a-28d」の欄の「×」は、切替装置28の第2端子28bと第4端子28dに短絡器29が取り付けられていなく、第2端子28bと第4端子28dが電気的に接続されていない、すなわち電気的にオープンの状態を表している。
【0057】
No.1は、
図2を参照して説明した内部電気経路であり、No.2は、
図3を参照して説明した内部電気経路である。
No.3では、副制御装置8A,8B,8Cのすべての第1端子28a、第2端子28b、第3端子28c、および第4端子28dは、電気的に接続されていなく、処理器2A,2B,2Cに連結されたすべての緊急遮断バルブ16は、常に閉じられている(インターロック無効モード)。
【0058】
No.4では、副制御装置8Aの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。副制御装置8B,8Cの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続され、第2端子28bと第4端子28dは電気的に接続されていない。このような内部電気経路では、異常が発生した処理器(本実施形態では、処理器2A)に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモードに設定される。処理器2B,2Cの緊急遮断バルブ16と副制御装置8B,8Cの個別制御部13は、常に電気的に接続されており、処理器2B,2Cに連結された緊急遮断バルブ16の動作は、個別制御部13により制御される。
【0059】
No.5では、副制御装置8Aの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続され、第2端子28bと第4端子28dは電気的に接続されていない。副制御装置8B,8Cの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、異常が発生した処理器(本実施形態では、処理器2A)に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモードに設定される。処理器2B,2Cの緊急遮断バルブ16と副制御装置8B,8Cの個別制御部13は、常に電気的に接続されており、処理器2B,2Cに連結された緊急遮断バルブ16の動作は、個別制御部13により制御される。
【0060】
No.6では、副制御装置8Aの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続され、第2端子28bと第4端子28dは電気的に接続されていない。副制御装置8B,8Cの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cは電気的に接続されていなく、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、異常が発生した処理器(本実施形態では、処理器2A)に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモードに設定される。副制御装置8B,8Cのインターロック部14の個別リレースイッチ25には電圧は印加されないため、処理器2B,2Cの緊急遮断バルブ16と副制御装置8B,8Cの個別制御部13との電気的な接続は、常に遮断されている。
【0061】
No.7では、副制御装置8Aの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続され、第2端子28bと第4端子28dは電気的に接続されていない。副制御装置8B,8Cの切替装置28は、第1端子28a~第4端子28dのいずれも短絡器29により電気的に接続されていない。このような内部電気経路では、異常が発生した処理器(本実施形態では、処理器2A)に連結された緊急遮断バルブ16のみを閉じる単独インターロックモードに設定される。副制御装置8B,8Cのインターロック部14の個別リレースイッチ25には電圧は印加されないため、処理器2B,2Cの緊急遮断バルブ16と副制御装置8B,8Cの個別制御部13との電気的な接続は、常に遮断されている。
【0062】
No.8は、
図4を参照して説明した内部電気経路である。
No.9では、副制御装置8A~8Cの切替装置28は、いずれも第1端子28aと第3端子28c、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、インターロック動作を無効にするインターロック無効モードに設定される。すなわち、副制御装置8A,8B,8Cのインターロック部14の個別リレースイッチ25は、リレー電源Vに電気的に接続されている。したがって、処理器2A~2Cの緊急遮断バルブ16と副制御装置8A~8Cの個別制御部13との電気的な接続は、常に接続されている。
【0063】
本実施形態によれば、主制御装置7および副制御装置8A~8Cの構成を変更することなく、副制御装置8A~8Bの切替装置28の内部電気経路を切り替えることで、処理器2A~2Cに対するインターロック動作を切り替えることができる。したがって、主制御装置7および副制御装置8A~8Cを含む制御装置6の全体としての生産性を向上させることができる。
【0064】
本実施形態では、インターロック用センサ17は、処理器2Aのみに設けられているが、インターロック用センサ17は、処理器2A~2Cのうちの少なくとも1つに設けられていれば、本実施形態に限られない。例えば、インターロック用センサ17は、処理器2Bまたは処理器2Cに設けられてもよい。他の例では、インターロック用センサ17は、処理器2A~2Cの全てに設けられてもよい。これらの場合でも、制御装置6は、インターロック用センサ17の配置に応じて、副制御装置8A~8Bの切替装置28の内部電気経路を切り替えることにより、処理器2A~2Cに対するインターロック動作を切り替えることができる。
【0065】
上述した実施形態では、複数の副制御装置8A~8Cのインターロック部14は、各インターロック部14に接続された緊急遮断バルブ16を閉じるように構成されているが、インターロック用センサ17の種類によっては、排ガス処理システム1の安全性を確保するために、処理器2A~2Cに設けられた全てのバルブ(運転用バルブ3および緊急遮断バルブ16を含む)を閉じる必要がある。例えば、インターロック用センサ17が漏水センサや漏洩ガス検出センサであり、これらのセンサにより漏水やガスの漏洩が検出された場合には、全ての処理器2A~2Cの運転を停止させる必要がある。したがって、複数の処理器2A~2Cのうちの1つの処理器に設けられた漏水センサや漏洩ガス検出センサにより異常が検出された場合には、全ての処理器2A~2Cに設けられた全てのバルブ(バ運転用バルブ3および緊急遮断バルブ16を含む)を閉じる必要がある。
【0066】
そこで、以下に説明する実施形態では、複数の副制御装置8A~8Cのインターロック部14は、複数の処理器2A~2Cのうちの少なくとも1つに異常が発生した場合に、全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給を停止して、処理器2A~2Cに設けられた全てのバルブ(運転用バルブ3および緊急遮断バルブ16を含む)を閉じる電源インターロックモードに設定可能に構成されている。
【0067】
図6は、インターロック部14の詳細構成を含む制御装置6のさらに他の実施形態を示す図である。特に説明しない本実施形態の構成および動作は、
図1乃至
図4を参照して説明した実施形態と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0068】
図6に示すように、本実施形態の排ガス処理システム1は、複数の処理器2A~2Cに設けられた複数の(本実施形態では、3つの)緊急遮断バルブ16と、少なくとも1つの処理器に設けられたインターロック用センサ17を備えている。本実施形態では、複数のインターロック用センサ17が全ての処理器2A~2Cに設けられている。複数のインターロック用センサ17は、副制御装置8A~8Cの複数の個別リレースイッチ25にそれぞれ接続されている。これら複数の個別リレースイッチ25と、副制御装置8A~8Cの複数の切替装置28の第1端子28aと第3端子28cと第4端子28dは、インターロック同期配線31に接続されている。複数の緊急遮断バルブ16は、副制御装置8A~8Cの個別制御部13にそれぞれ接続されている。
【0069】
主制御装置7は、電源10に接続された電源リレースイッチ32をさらに備えている。電源リレースイッチ32は、電源10から延びる電力供給線20に接続されており、副制御装置8A~8Cの個別制御部13よりも上流側に配置されている。
【0070】
制御装置6は、複数の副制御装置8A~8Cを電気的に接続し、かつ主制御装置7の電源リレースイッチ32に接続された電源インターロック同期配線35をさらに備えている。電源リレースイッチ32は、電源インターロック同期配線35、副制御装置8A~8Cの複数の切替装置28の少なくとも1つ、およびインターロック同期配線31を介して、個別リレースイッチ25に電気的に接続されている。インターロック同期配線31は、リレー電源Vに接続されている。
【0071】
電源リレースイッチ32は、コイル部32aと接点部32bを有しており、コイル部32aに電流が流れると、接点部32bが閉じるように構成されている。電源リレースイッチ32は、処理器2A~2Cのいずれかに設けられたインターロック用センサ17が異常を検出したときに、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13との電気的な接続を遮断するように構成されている。より具体的には、処理器2A~2Cのいずれかに設けられたインターロック用センサ17が異常を検出すると、そのインターロック用センサ17は電圧の出力を停止する。その結果、そのインターロック用センサ17に接続されている個別リレースイッチ25が開き、これにより電源リレースイッチ32へのリレー電源Vの電圧印加が停止される。電源リレースイッチ32のコイル部32aへの電流供給が停止されるので、接点部32bが開き、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13との電気的な接続が遮断される。
【0072】
電源リレースイッチ32は、インターロック用センサ17から電圧が出力されているときは(すなわち、処理器2A~2Cが正常に運転されているときは)、制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13を電気的に接続するように構成されている。より具体的には、処理器2A~2Cに異常がない場合は、インターロック用センサ17は電圧を個別リレースイッチ25に印加する。個別リレースイッチ25は閉じられるので、リレー電源Vの電圧は、インターロック同期配線31、電源インターロック同期配線35、および副制御装置8A~8Cの複数の切替装置28のうちの少なくとも1つを介して、電源リレースイッチ32に印加される。その結果、電源リレースイッチ32のコイル部32aへ電流が供給され、接点部32bが閉じ、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13とが電気的に接続される。制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cが電気的に接続されているときは、緊急遮断バルブ16の動作は、個別制御部13により制御される。
【0073】
主制御装置7は、副制御装置8Aのインターロック部14に接続され、インターロック部14に電圧を印加するための上記リレー電源Vと、リレー電源Vと副制御装置8Aのインターロック部14との間に配置された強制遮断スイッチ38をさらに備えている。リレー電源Vおよび強制遮断スイッチ38は、インターロック同期配線31に接続されている。強制遮断スイッチ38が開かれると、リレー電源Vの電圧は、電源リレースイッチ32には印加されない。その結果、電源リレースイッチ32が開かれ、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13との電気的な接続が遮断される。
【0074】
本実施形態では、副制御装置8A~8Cの個別リレースイッチ25は、処理器2A~2Cに設けられたインターロック用センサ17と、インターロック同期配線31に接続されている。副制御装置8C~8Cの切替装置28では、第1端子28a、第3端子28c、および第4端子28dは、インターロック同期配線31に接続されており、第2端子28bは、電源インターロック同期配線35に接続されている。第1端子28aと第3端子28cの間には、個別リレースイッチ25の接点部25bが配置されている。
【0075】
本実施形態では、処理器2A~2Cに連結された緊急遮断バルブ16は、対応する副制御装置8A~8Cの個別制御部13にそれぞれ接続されている。処理器2A~2Cが正常に作動し、かつ副制御装置8Cの切替装置28の第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている場合には、主制御装置7のリレー電源Vの電圧は、インターロック同期配線31および電源インターロック同期配線35を通じて、主制御装置7の電源リレースイッチ32に印加される。電源リレースイッチ32は、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13を電気的に接続して、電源10から副制御装置8A~8Cの個別制御部13に電力が供給される。これにより、処理器2A~2Cに設けられた全てのバルブ(運転用バルブ3および緊急遮断バルブ16を含む)が開かれる。
【0076】
図6に示す例では、副制御装置8Aの切替装置28の第1端子28a~第4端子28dは、いずれも短絡器29により電気的に接続されていない。副制御装置8Bの切替装置28の第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されている。副制御装置8Cの切替装置28の第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような切替装置28の内部電気経路では、処理器2Aに設けられたインターロック用センサ17にのみ異常が発生した場合は、副制御装置8Aの個別リレースイッチ25が開く。その結果、主制御装置7の電源リレースイッチ32へのリレー電源Vの電圧印加が停止される。電源リレースイッチ32は、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13との電気的な接続を遮断する。これにより、電源10から全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給が停止されるため、処理器2A~2Cに設けられた全てのバルブ(運転用バルブ3および緊急遮断バルブ16を含む)が閉じられる。このようにして、処理器2Aに異常が生じた場合に、電源10からの電力の供給を停止して、全ての処理器2A~2Cの運転を停止する電源インターロックモードが実行される。
【0077】
主制御装置7の強制遮断スイッチ38が開かれると、リレー電源Vとインターロック同期配線31との電気的な接続が強制的に遮断される。したがって、リレー電源Vから電源リレースイッチ32に電圧が印加されないため、副制御装置8A~8Cの切替装置28の内部電気経路によらず、電源リレースイッチ32が開く。その結果、電源10から全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給が停止され、全ての処理器2A~2Cの運転を停止することができる。
【0078】
図7は、
図6に示す制御装置6における切替装置28の内部電気経路の他の例を説明するための図である。
図7に示す例では、副制御装置8A,8Bの切替装置28の第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されており、副制御装置8Cの切替装置28の第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような切替装置28の内部電気経路では、処理器2A~2Cのいずれかに異常が発生した場合に、異常が発生した処理器に設けられたインターロック用センサ17に接続された個別リレースイッチ25が開く。
【0079】
しかしながら、主制御装置7のリレー電源Vの電圧は、副制御装置8A~8Cの切替装置28の第1端子28aと第3端子28cを通じて、インターロック同期配線31に印加される。さらに、電圧は、副制御装置8Cの切替装置28の第2端子28bと第4端子28d、および電源インターロック同期配線35を通じて、主制御装置7の電源リレースイッチ32に印加される。したがって、電源リレースイッチ32は、主制御装置7の電源10と副制御装置8A~8Cの個別制御部13を常に電気的に接続して、電源10から副制御装置8A~8Cの個別制御部13に電力が供給される。これにより、処理器2A~2Cに連結された緊急遮断バルブ16は、常に開かれる。したがって、このような内部電気経路では、インターロック動作を無効にするインターロック無効モードに設定される。
【0080】
図8は、切替装置28の内部電気経路によって設定される電源インターロック動作のモードの例を示す表である。
図8の表には、切替装置28の内部電気経路の一部が示されている。
図8の表の「28a-28c」の列、および「28b-28d」の列は、
図5の表と同様である。No.1は、
図6を参照して説明した内部電気経路であり、No.2は、
図7を参照して説明した内部電気経路である。
【0081】
No.3では、副制御装置8Aの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されている。副制御装置8Bの切替装置28は、第1端子28a~第4端子28dのいずれも、短絡器29により電気的に接続されていない。副制御装置8Cの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、処理器2Bに異常が発生した場合に、全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給が停止され、全ての処理器2A~2Cの運転を停止させる電源インターロックモードに設定される。
【0082】
No.4では、副制御装置8A,8Bの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されている。副制御装置8Cの切替装置28は、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、処理器2Cに異常が発生した場合に、全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給が停止され、全ての処理器2A~2Cの運転を停止させる電源インターロックモードに設定される。
【0083】
No.5では、副制御装置8A,8Bの切替装置28は、第1端子28a~第4端子28dのいずれも、短絡器29により電気的に接続されていない。副制御装置8Cの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28c、および第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、処理器2Aおよび処理器2Bの少なくとも一方に異常が発生した場合に、全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給が停止され、全ての処理器2A~2Cの運転を停止させる電源インターロックモードに設定される。
【0084】
No.6では、副制御装置8Aの切替装置28は、第1端子28a~第4端子28dのいずれも、短絡器29により電気的に接続されていない。副制御装置8Bの切替装置28は、第1端子28aと第3端子28cが短絡器29により電気的に接続されている。副制御装置8Cの切替装置28は、第2端子28bと第4端子28dが短絡器29により電気的に接続されている。このような内部電気経路では、処理器2Aおよび処理器2Cの少なくとも一方に異常が発生した場合に、全ての副制御装置8A~8Cへの電力の供給が停止され、全ての処理器2A~2Cの運転を停止させる電源インターロックモードに設定される。
【0085】
本実施形態によれば、主制御装置7および副制御装置8A~8Cの構成を変更することなく、副制御装置8A~8Bの切替装置28の内部電気経路を切り替えることで、処理器2A~2Cに対する電源インターロック動作を切り替えることができる。したがって、主制御装置7および副制御装置8A~8Cを含む制御装置6の全体としての生産性を向上させることができる。
【0086】
本実施形態では、インターロック用センサ17は、すべての処理器2A~2Cに設けられているが、インターロック用センサ17は、処理器2A~2Cのうちの少なくとも1つに設けられていればよく、本実施形態に限られない。制御装置6は、インターロック用センサ17の配置に応じて、副制御装置8A~8Bの切替装置28の内部電気経路を切り替えることにより、処理器2A~2Cに対する電源インターロック動作を切り替えることができる。
【0087】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうる。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲に解釈されるものである。
【符号の説明】
【0088】
1 排ガス処理システム
2A,2B,2C 処理器
3 運転用バルブ(機器)
4 運転用センサ(機器)
5 配管
6 制御装置
7 主制御装置
8A,8B,8C 副制御装置
10 供給電源
11 統括制御部
13 個別制御部
14 インターロック部
16 緊急遮断バルブ
17 インターロック用センサ
18 配管
20 電力供給線
21 通信線
23 電力供給線
24 通信線
25 リレースイッチ
25a コイル部
25b 接点部
28 切替装置
28a 第1端子
28b 第2端子
28c 第3端子
28d 第4端子
29 短絡器
31 インターロック同期配線
32 電源リレースイッチ
32a コイル部
32b 接点部
35 電源インターロック同期配線
38 強制遮断スイッチ