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特開2024-154789ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料、半導体装置の製造方法及び半導体装置
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  • 特開-ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料、半導体装置の製造方法及び半導体装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154789
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料、半導体装置の製造方法及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20241024BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 179/08 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 11/04 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20241024BHJP
   C09J 7/30 20180101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L23/30 D
H01L21/60 311S
C09J179/08
C09J11/04
C09J11/06
C09J7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068851
(22)【出願日】2023-04-19
(71)【出願人】
【識別番号】398008295
【氏名又は名称】HDマイクロシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】足立 憲哉
(72)【発明者】
【氏名】松川 大作
(72)【発明者】
【氏名】米田 聡
【テーマコード(参考)】
4J004
4J040
4M109
5F044
【Fターム(参考)】
4J004AA11
4J004FA05
4J004FA08
4J040EH031
4J040HD30
4J040HD36
4J040KA11
4J040KA19
4J040KA23
4J040KA29
4J040KA38
4J040KA42
4J040LA09
4J040MA02
4J040NA20
4M109EA07
4M109EB13
4M109EC05
4M109ED03
5F044LL11
5F044RR17
5F044RR18
5F044RR19
(57)【要約】
【課題】ハイブリッドボンディングの際に金属同士の接合不良が抑制可能な絶縁膜形成材料を提供する。
【解決手段】(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩及びポリアミド酸アミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であるポリイミド前駆体、並びにポリイミド樹脂の少なくとも一方と、(B)溶媒と、(C)フィラーと、を含むハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩及びポリアミド酸アミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であるポリイミド前駆体、並びにポリイミド樹脂の少なくとも一方と、
(B)溶媒と、
(C)フィラーと、
を含むハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【請求項2】
前記ポリイミド樹脂を含み、前記ポリイミド樹脂は、下記式(E)で表される構造と、下記式(G)で表される構造と、を含む請求項1に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【化1】

【化2】

式(E)中、Cがエーテル結合を含む2価の連結基であり、式(G)中、Dが主鎖に2つ以上の原子が連結した2価の連結基である。
【請求項3】
前記式(G)中のDは、芳香環及びエーテル結合を含む請求項2に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【請求項4】
前記ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する請求項2に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【化3】

一般式(1)中、Xは前記式(E)で表される4価の有機基を表し、Yは前記式(G)で表される2価の有機基を表す。
【請求項5】
前記フィラーの体積平均粒径が10nm~1μmである請求項1に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【請求項6】
前記フィラーは表面処理が施されている請求項1に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【請求項7】
前記溶媒は、エステル化合物を含む請求項1に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を用いて第1有機絶縁膜及び第2有機絶縁膜の少なくとも一方の有機絶縁膜を作製し、前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜を接合する半導体装置の製造方法。
【請求項9】
第1基板本体に第1電極を形成した後に前記第1電極の周囲に第1有機絶縁膜を形成することにより、前記第1基板本体の一面に設けられた前記第1有機絶縁膜及び第1電極を有する第1半導体基板を準備する工程と、
第2基板本体に第2電極を形成した後に前記第2電極の周囲に第2有機絶縁膜を形成することにより、前記第2基板本体の一面に設けられた前記第2有機絶縁膜及び第2電極を有する第2半導体基板を準備する工程と、
前記第2半導体基板を個片化し複数の半導体チップを取得する工程と、
前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜とを互いに貼り合わせ、かつ前記第1半導体基板の前記第1電極と前記半導体チップの前記第2電極とを接合する工程と、
を含む請求項8に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項10】
第1基板本体と、前記第1基板本体の一面に設けられた第1有機絶縁膜及び第1電極とを有する第1半導体基板と、
半導体チップ基板本体と、前記半導体チップ基板本体の一面に設けられた第2有機絶縁膜及び第2電極とを有する半導体チップと、
を備え、前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と、前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜と、が接合し、前記第1半導体基板の前記第1電極と、前記半導体チップの前記第2電極と、が接合し、
前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜の少なくとも一方が請求項1~請求項7のいずれか1項に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる有機絶縁膜である半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、LSI(Large Scale Integrated Circuit)の集積度を向上させるために半導体チップの三次元実装が検討されている。非特許文献1には、半導体チップの三次元実装の一例が開示されている。
【0003】
C2W(Chip-to-Wafer)接合により半導体チップの三次元実装を行う場合において、デバイス同士の配線の微細接合を行うため、W2W(Wafer-to-Wafer)接合に用いられるハイブリッドボンディング技術を使うことが検討されている。
【0004】
C2Wのハイブリッドボンディングでは、ボンディング時の加熱により基材、チップ等の熱膨張が要因となる位置ズレが発生するおそれがある。このような課題に対し、特許文献1では絶縁膜の形成に環状オレフィン系樹脂を用いることでボンディング温度を低温化できる技術の一例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-204818号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】F.C. Chen et al., “System on Integrated Chips(SoIC TM) for 3D Heterogeneous Integration”,2019 IEEE 69th Electronic Components and Technology Conference (ECTC),p.594-599(2019)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、絶縁膜の材料にエポキシ樹脂、ベンゾシクロブテン等の環状オレフィン系樹脂等の有機材料を用いた場合、有機材料の耐熱性が充分でなく、ハイブリッドボンディングの際に絶縁膜が高温に曝されることで有機材料が変質して基板と絶縁膜との界面等で接合不良が発生したりするおそれがある。
【0008】
本発明者らは、耐熱性に優れる観点から、ハイブリッドボンディング材料にポリイミド樹脂又はポリイミド前駆体を使用することを検討している。しかし、ハイブリッドボンディングにより銅等の金属-金属及び絶縁膜-絶縁膜を同一工程で接合する際、金属-金属の接合不良(例えば、接合界面の隙間)が生じやすいという問題がある。
【0009】
本開示は上記に鑑みてなされたものであり、ハイブリッドボンディングの際に金属同士の接合不良が抑制可能な絶縁膜形成材料、当該絶縁膜形成材料を用いた半導体装置の製造方法及び当該絶縁膜形成材料より形成された絶縁膜を備える半導体装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記課題を達成するための具体的手段は以下の通りである。
<1> (A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩及びポリアミド酸アミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であるポリイミド前駆体、並びにポリイミド樹脂の少なくとも一方と、
(B)溶媒と、
(C)フィラーと、
を含むハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
<2> 前記ポリイミド樹脂を含み、前記ポリイミド樹脂は、下記式(E)で表される構造と、下記式(G)で表される構造と、を含む<1>に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
式(E)中、Cがエーテル結合を含む2価の連結基であり、式(G)中、Dが主鎖に2つ以上の原子が連結した2価の連結基である。
<3> 前記式(G)中のDは、芳香環及びエーテル結合を含む<2>に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
<4> 前記ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を有する<2>又は<3>に記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
【0014】
【化3】
【0015】
一般式(1)中、Xは前記式(E)で表される4価の有機基を表し、Yは前記式(G)で表される2価の有機基を表す。
<5> 前記フィラーの体積平均粒径が10nm~1μmである<1>~<4>のいずれか1つに記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
<6> 前記フィラーは表面処理が施されている<1>~<5>のいずれか1つに記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
<7> 前記溶媒は、エステル化合物を含む<1>~<6>のいずれか1つに記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料。
<8> <1>~<7>のいずれか1つに記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を用いて第1有機絶縁膜及び第2有機絶縁膜の少なくとも一方の有機絶縁膜を作製し、前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜を接合する半導体装置の製造方法。
<9> 第1基板本体に第1電極を形成した後に前記第1電極の周囲に第1有機絶縁膜を形成することにより、前記第1基板本体の一面に設けられた前記第1有機絶縁膜及び第1電極を有する第1半導体基板を準備する工程と、
第2基板本体に第2電極を形成した後に前記第2電極の周囲に第2有機絶縁膜を形成することにより、前記第2基板本体の一面に設けられた前記第2有機絶縁膜及び第2電極を有する第2半導体基板を準備する工程と、
前記第2半導体基板を個片化し複数の半導体チップを取得する工程と、
前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜とを互いに貼り合わせ、かつ前記第1半導体基板の前記第1電極と前記半導体チップの前記第2電極とを接合する工程と、
を含む<8>に記載の半導体装置の製造方法。
<10> 第1基板本体と、前記第1基板本体の一面に設けられた第1有機絶縁膜及び第1電極とを有する第1半導体基板と、
半導体チップ基板本体と、前記半導体チップ基板本体の一面に設けられた第2有機絶縁膜及び第2電極とを有する半導体チップと、
を備え、前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と、前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜と、が接合し、前記第1半導体基板の前記第1電極と、前記半導体チップの前記第2電極と、が接合し、
前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜の少なくとも一方が<1>~<7>のいずれか1つに記載のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる有機絶縁膜である半導体装置。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、ハイブリッドボンディングの際に金属同士の接合不良が抑制可能な絶縁膜形成材料、当該絶縁膜形成材料を用いた半導体装置の製造方法及び当該絶縁膜形成材料より形成された絶縁膜を備える半導体装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法によって製造される半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。
図2図2は、図1に示す半導体装置を製造するための方法を順に示す図である。
図3図3は、図2に示す半導体装置の製造方法における接合方法をより詳細に示す図である。
図4図4は、図1に示す半導体装置を製造するための方法であり、図2に示す工程の後の工程を順に示す図である。
図5図5は、本発明の一実施形態に係る半導体装置の製造方法をChip-to-Wafer(C2W)に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本開示は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本開示を制限するものではない。
【0019】
本開示において「A又はB」とは、AとBのどちらか一方を含んでいればよく、両方とも含んでいてもよい。
本開示において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本開示において「~」を用いて示された数値範囲には、「~」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本開示中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本開示中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本開示において、各成分には、該当する物質が複数種含まれていてもよい。組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、各成分の含有率又は含有量は、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率又は含有量を意味する。
本開示において「層」又は「膜」との語には、当該層又は膜が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本開示において、「絶縁膜」は絶縁層も包含する概念である。
本開示において官能基が置換基を有する場合、官能基中の炭素数は、置換基の炭素数も含んだ全体の炭素数を意味する。
本開示において実施形態を図面を参照して説明する場合、当該実施形態の構成は図面に示された構成に限定されない。また、各図における部材の大きさは概念的なものであり、部材間の大きさの相対的な関係はこれに限定されない。
【0020】
<ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料>
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩及びポリアミド酸アミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であるポリイミド前駆体、並びにポリイミド樹脂の少なくとも一方(以下、「(A)成分」とも称する。)と、(B)溶媒(以下、「(B)成分」とも称する。)と、(C)フィラー(以下、「(C)成分」とも称する。)と、を含む。
【0021】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料では、ハイブリッドボンディングの際に金属同士の接合不良が抑制可能となる。この理由は以下のように推測される。
ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は(A)成分及び(B)成分を含むことで絶縁膜とした際に(B)成分を含まない場合と比較して絶縁膜と銅等の金属との熱膨張率の差を低減することが可能となる。これにより、絶縁膜と銅等の金属との熱膨張率の差に起因する金属同士の接合不良が抑制可能となる。
【0022】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、硬化してなる硬化物の熱膨張率が50ppm/K以下であることが好ましく、45ppm/K以下であることがより好ましく、40ppm/K以下であることがさらに好ましい。これにより、金属同士の接合不良が好適に抑制可能となる。硬化物の熱膨張率の下限は特に限定されず、例えば、20ppm/K以上であってもよく、25ppm/K以上であってもよい。
熱膨張率は、温度上昇による硬化物の長さが膨張する割合を温度あたりで示したもので、50℃~100℃における硬化物の長さの変化量を熱機械分析装置等を用いて測定することで算出できる。
【0023】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、W2W(Wafer-to-Wafer)接合、C2W(Chip-to-Wafer)接合等の技術に適用される材料であってもよい。絶縁膜同士を貼り合わせてハイブリッドボンディングする際、少なくとも一方の絶縁膜が本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料によって形成されていればよく、両方の絶縁膜が本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料によって形成されていることが好ましい。
【0024】
さらに、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化して得られる絶縁膜は、無機材料からなる成形物よりも弾性率が低く、柔らかい。そのため、絶縁膜同士を貼り合わせる際に、一方の絶縁膜(以下、「第1絶縁膜」とも称する。)の表面又は他方の絶縁膜(以下、「第2絶縁膜」とも称する。)の表面に異物等が存在する場合であっても、接合界面の絶縁膜が容易に変形し、絶縁膜に大きな空隙を生じさせることなく異物を絶縁膜内に包含させることができる傾向にある。
【0025】
((A)ポリイミド前駆体及びポリイミド樹脂)
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、(A)ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸塩及びポリアミド酸アミドからなる群より選択される少なくとも1種の樹脂であるポリイミド前駆体、並びにポリイミド樹脂の少なくとも一方((A)成分)を含む。ポリイミド前駆体及びポリイミド樹脂の少なくとも一方を含むことで、形成される絶縁膜の耐熱性に優れる傾向にある。
【0026】
本開示において、ポリイミド前駆体は、ポリアミド酸;ポリアミド酸における少なくとも一部のカルボキシ基の水素原子が1価の有機基に置換されたエステル化合物(ポリアミド酸エステル);ポリアミド酸における少なくとも一部のカルボキシ基の水素原子が1価の有機基に置換されたアミド化合物(ポリアミド酸アミド)、又はポリアミド酸における少なくとも一部のカルボキシ基がpH7以上の塩基性化合物と塩構造を形成している化合物であるポリアミド酸塩のいずれかに該当する化合物を意味する。
ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド等は、重合性の不飽和結合を有していてもよい。
【0027】
ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料の低温接合性及び低温硬化時の絶縁信頼性の観点から、ポリイミド樹脂が(A)成分の主成分であることが好ましい。このとき、ポリイミド樹脂の含有率は、(A)成分全量に対し、50質量%~100質量%であることが好ましく、70質量%~100質量%であることがより好ましく、90質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
【0028】
ポリイミド樹脂は、(B)成分への溶解性の観点及び低温接合性の観点から、下記式(E)で表される構造と、下記式(G)で表される構造と、を含むことが好ましい。
【0029】
【化4】
【0030】
【化5】
【0031】
式(E)中、Cがエーテル結合を含む2価の連結基であり、式(G)中、Dが主鎖に2つ以上の原子が連結した2価の連結基である。
【0032】
(A)成分は、比較的柔軟な骨格である式(E)で表される構造及び式(G)で表される構造を含む場合、溶媒に対する溶解度が向上する。さらに、(A)成分を絶縁性材料のベースポリマーとして用いることで、低温硬化でのイミド化率が向上し、その結果、絶縁膜の絶縁信頼性が向上する。
【0033】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料では、比較的柔軟な骨格である式(E)で表される構造及び式(G)で表される構造を含む(A)成分を用いた場合であっても、硬化してなる硬化物の熱膨張率を低減可能である。硬化物の熱膨張率を低減するためには、通常、剛直な骨格を有する(A)成分を使用することが想定される。しかし、剛直な骨格を有する(A)成分を使用すると、硬化物のガラス転移温度が上昇し、ハイブリッドボンディングの際に高温でのプロセスが必要になるという問題がある。本開示では、比較的柔軟な骨格である式(E)で表される構造及び式(G)で表される構造を含む(A)成分と、(C)成分とを併用することで、低い熱膨張率と低温プロセスとの両立が可能となる。
【0034】
(A)成分全体における、式(E)で表される構造及び式(G)で表される構造を含む(A)成分の割合は、低い熱膨張率と低温プロセスとの両立の観点から、50質量%~100質量%であることが好ましく、70質量%~100質量%であることがより好ましく、90質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
【0035】
また、(A)成分は、分子内にカルボキシル基を有しないことが好ましい。これにより、分子内にカルボキシル基を有するポリアミド酸と異なり、室温での保存安定性に優れ、かつ絶縁信頼性がより向上する。
【0036】
ポリイミド樹脂は、下記一般式(1)で表される構造単位を有することが好ましい。これにより、高い信頼性を示す絶縁膜を備える半導体装置が得られる傾向がある。
【0037】
【化6】
【0038】
一般式(1)中、Xは前記式(E)で表される4価の有機基を表し、Yは前記式(G)で表される2価の有機基を表す。
(A)成分は、上記一般式(1)で表される構造単位を複数有していてもよく、複数の構造単位におけるX及びYはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
(A)成分は、Xが式(E)以外の構造を有する4価の有機基である構造単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
(A)成分は、Yが式(G)以外の構造を有する2価の有機基である構造単位を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。
【0039】
一般式(1)において、Xで表される4価の有機基は、炭素数が12~40であることが好ましく、12~35であることがより好ましく、12~30であることがさらに好ましい。
Xにおいて、式(E)における各ベンゼン環は、置換基を有していてもよいし、無置換であってもよい。芳香環の置換基としては、アルキル基、フッ素原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、アミノ基等が挙げられる。
式(E)にて、エーテル結合を含む2価の連結基(式(E)中のC)を介して隣り合う2つのベンゼン環が単結合及び連結基の少なくとも一方により2箇所で結合されて、2つのベンゼン環の間に連結基を含む5員環又は6員環が形成されていてもよい。
【0040】
式(E)で表される構造としては、例えば、エーテル結合(-O-)及びフェニレン基を含む構造、エーテル結合(-O-)である構造、並びにエーテル結合及びアルキレン基を含む構造が挙げられる。
【0041】
式(E)で表される構造としては、以下のような式(I)~式(O)で表される基が挙げられる。
【0042】
【化7】
【0043】
エーテル結合(-O-)及びフェニレン基を含む構造としては、例えば、前述の式(J)~式(O)で表される基が挙げられる。
エーテル結合(-O-)である構造としては、例えば、前述の式(I)で表される基が挙げられる。
【0044】
エーテル結合及びアルキレン基を含む構造としては、例えば、以下の式(P)~式(R)で表される基が挙げられる。
【0045】
【化8】
【0046】
一般式(1)において、Yで表される2価の有機基は、炭素数が4~25であることが好ましく、6~20であることがより好ましく、12~18であることがさらに好ましい。
Yで表される2価の有機基は、式(G)で表される構造である。
式(G)で表される構造は、2つの芳香環が主鎖に2つ以上の原子が連結した2価の連結基(式(G)中のD)を介して結合した構造である。式(G)中に含まれるm-結合の割合は0%よりも大きくてもよく、50%~100%であってもよく、100%であってもよい。
m-結合の割合とは、式(G)中に含まれる芳香環の合計数に対するm位(メタ位)が置換された芳香環の数の割合を意味し、好ましくは、式(G)中の主鎖を構成する芳香環の合計数に対する、主鎖を構成し、かつm位(メタ位)が置換された芳香環の数の割合を意味する。
【0047】
式(G)中のDは、ポリイミド樹脂の耐熱性及びポリイミド樹脂の溶媒への溶解性の観点から、芳香環及びエーテル結合を含むことが好ましく、下記式(G1)で表される基であることがより好ましい。
【0048】
【化9】
【0049】
成分(A)に含まれる一般式(1)で表される構造単位の含有率は、全構造単位に対して、60モル%以上であることが好ましく、70モル%以上がより好ましく、80モル%以上がさらに好ましい。前述の含有率の上限は特に限定されず、100モル%でもよい。
【0050】
(A)成分は、テトラカルボン酸二無水物と、ジアミン化合物とを用いて合成されたものであってもよい。この場合、一般式(1)において、Xは、テトラカルボン酸二無水物由来の残基に該当し、Yは、ジアミン化合物由来の残基に該当する。なお、(A)成分は、テトラカルボン酸二無水物に替えて、テトラカルボン酸を用いて合成されたものであってもよい。
【0051】
(A)成分の分子量には特に制限はなく、例えば、重量平均分子量で10,000~200,000であることが好ましく、10,000~100,000であることがより好ましい。
重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法によって測定することができ、標準ポリスチレン検量線を用いて換算することによって求めることができる。
【0052】
(A)成分は、主鎖末端に不揮発性架橋基を有していてもよい。不揮発性架橋基は、(A)成分の主鎖末端に位置し、加熱、乾燥等により揮発しない架橋反応可能な官能基である。不揮発性架橋基は、不飽和二重結合を含む官能基であってもよい。
【0053】
(A)成分の主鎖末端に不揮発性架橋基を形成する際に用いる化合物(以下、不揮発性架橋基形成化合物ともいう。)としては、例えば、無水マレイン酸、5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物、無水イタコン酸、無水メタクリル酸、2-イソシアナトエチルメタクリレート、2-イソシアナトエチルアクリレート、4-エチニル無水フタル酸、4-ビニル無水フタル酸、ジt-ブチルジカーボネート等が挙げられる。これらの化合物が、ジアミン化合物に由来するアミノ基と反応することで主鎖末端に不揮発性架橋基を有する化合物が得られる。
不揮発性架橋基形成化合物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0054】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、(A)成分以外の樹脂成分を含んでいてもよい。(A)成分以外の樹脂成分としては、耐熱性の観点から、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等が挙げられる。
(A)成分以外の樹脂成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0055】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料では、樹脂成分全量に対する(A)成分の含有率は、50質量%~100質量%であることが好ましく、70質量%~100質量%であることがより好ましく、90質量%~100質量%であることがさらに好ましい。
【0056】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、ベンゾシクロブテン等の環状オレフィン系樹脂、エポキシ樹脂などの樹脂成分を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。絶縁膜の耐熱性及び機械特性により優れる観点、並びに、ハイブリッドボンディングを行う際、絶縁膜と電極との接合不良及び絶縁膜同士の接合不良を好適に抑制する観点から、環状オレフィン系樹脂の含有率及びエポキシ樹脂の含有率は、それぞれ独立に、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料全量に対して、30質量%以下であることが好ましく、0質量%~10質量%であることがより好ましく、0質量%~5質量%であることがさらに好ましい。
【0057】
((B)溶媒)
本開示のハイブリッド絶縁膜形成材料は(B)溶媒((B)成分)を含んでいてもよい。(B)成分は、例えば、下記式(3)~式(10)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも一種を含むことが好ましい。
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0058】
【化10】
【0059】
【化11】
【0060】
式(3)~(10)中、R、R、R、R10、R11、R13及びR14は、それぞれ独立に、炭素数1~4のアルキル基であり、R~R、R及びR12は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1~4のアルキル基である。sは0~8の整数であり、tは0~4の整数であり、rは0~4の整数であり、uは0~3の整数であり、vは0~3の整数であり、wは0~4の整数であり、xは0~5の整数である。
【0061】
式(3)において、sは、好ましくは0である。
式(4)において、Rの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。tは好ましくは0、1又は2であり、より好ましくは1である。
式(5)において、Rの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基、エチル基、プロピル基又はブチル基である。R及びRの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。
式(6)において、R~Rの炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。rは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
式(7)において、R及びR10の炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。uは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
式(8)において、R11の炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。uは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
式(9)において、R12の炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。R13の炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。wは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
式(10)において、R14の炭素数1~4のアルキル基としては、好ましくはメチル基又はエチル基である。xは好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
【0062】
(B)成分の具体例としては、以下の化合物が挙げられる。
【0063】
【化12】

【化13】
【0064】
(B)成分としては、フィラー分散性を高める観点では、エステル結合を含む化合物(エステル化合物)を含むことが好ましく、環状エステル化合物を含むことがより好ましい。
環状エステル化合物としては、γ-ブチロラクトン、δ―バレロラクトン、ε―カプロラクトン、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート等の環状構造内にエステル結合を含む化合物が好ましく、中でも、γ-ブチロラクトンが好ましい。
【0065】
本開示のハイブリッド絶縁膜形成材料において、生殖毒性等の毒性を低減する観点から、N-メチル-2-ピロリドン(NMP)の含有率は、ハイブリッド絶縁膜形成材料の全量に対して1質量%以下であってもよく、(A)成分の全量に対して3質量%以下であってもよい。
【0066】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料において、(B)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、1質量部~10000質量部であることが好ましく、50質量部~10000質量部であることがより好ましい。
【0067】
(B)成分中におけるエステル化合物の割合は、フィラー分散性を高める観点から、20質量%~100質量%であってもよく、50質量%~100質量%であってもよい。
なお、後述する(C)成分として分散溶媒に分散させたフィラーを用いた場合、ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料においては、当該分散溶媒を(B)成分に分類する。
【0068】
((C)フィラー)
本開示のハイブリッド絶縁膜形成材料は(C)フィラー((C)成分)を含んでいてもよい。(C)成分は、有機フィラーであってもよく、無機フィラーであってもよく、無機-有機複合フィラーであってもよい。
(B)成分は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0069】
有機フィラーとしては、例えば、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエステル繊維、ポリアミド繊維、フッ素繊維、エボナイト粉末、熱硬化性樹脂中空球、エポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、サラン中空球、セラック、木粉、コルク粉末、ポリビニルアルコール繊維、セルロースパウダ及び木材パルプが挙げられる。これらの中でも、特に、耐熱性及び機械特性に優れる理由からエポキシ樹脂フィラー、シリコン系フィラー、熱硬化性樹脂の中空粒子、フッ素繊維等が好ましい。
【0070】
無機フィラーとしては、例えば、シリカ、アルミナ、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ジルコニウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、窒化珪素、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、チタン酸カルシウム、チタン酸バリウム、ベリリア、ジルコニア、ジルコン、フォステライト、ステアタイト、スピネル、ムライト、チタニア、タルク、クレー及びマイカが挙げられる。これらの中でも、特に、シリカ及びアルミナが好ましく、シリカがより好ましい。
【0071】
(C)成分が粒子状である場合、その体積平均粒径は、特に制限されない。例えば、体積平均粒径は、10nm~1μmであることが好ましく、10nm~500nmであることがより好ましく、樹脂流動性及びフィラー分散性の観点から、20nm~300nmであることがさらに好ましい。
(C)成分の体積平均粒径は、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により、体積平均粒径(D50)として測定された値をいう。
【0072】
ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料又はその硬化物中の(C)成分の体積平均粒径は、公知の方法によって測定することができる。一例として、有機溶剤、硝酸、王水等を用いて、ハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料又は硬化物から(C)成分(好ましくは無機フィラー)を抽出し、超音波分散機等で充分に分散して分散液を調製する。この分散液を用いて、レーザー回折散乱法粒度分布測定装置により測定される体積基準の粒度分布から、(C)成分(好ましくは無機フィラー)の体積平均粒径を測定することができる。あるいは、硬化物を透明なエポキシ樹脂等に埋め込み、研磨して得られる断面を走査型電子顕微鏡にて観察して得られる体積基準の粒度分布から、(C)成分の体積平均粒子径を測定することができる。さらには、FIB装置(集束イオンビームSEM)等を用いて、硬化物の二次元の断面観察を連続的に行い、三次元構造解析を行なうことで測定することもできる。
【0073】
(C)成分は、表面処理が施されていることが好ましい。これにより、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料における(C)成分の分散性が向上する傾向にある。分散性が向上することで、(C)成分の凝集等が抑制され、絶縁膜を形成した際の絶縁膜内での熱膨張率のばらつきを抑制でき、その結果、絶縁膜同士の接合不良等が抑制できる傾向にある。さらに、(C)成分の凝集に起因する絶縁膜上の異物を低減できる傾向にある。
【0074】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、表面処理が施された無機フィラーを含むことが好ましく、表面処理が施されたシリカ及び表面処理が施されたアルミナの少なくとも一方を含むことがより好ましい。
【0075】
表面処理としては、(C)成分の分散性を向上させる観点から、疎水化処理が挙げられる。表面処理が施された(C)成分としては、市販のフィラーを用いてもよい。あるいは、表面処理が施されていない(C)成分に対して後述のカップリング剤等の各種表面処理剤を用いて表面処理を施してもよい。
【0076】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料において、(C)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、5質量部~200質量部であってもよく、10質量部~150質量部であってもよく、10質量部~100質量部であってもよい。
【0077】
(C)成分は、凝集を抑制する観点から、分散溶媒に分散させたフィラーであってもよい。分散溶媒としては、特に限定されず、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド等の公知の溶媒が挙げられる。
【0078】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、必要に応じて、重合性モノマー、光重合開始剤、熱重合開始剤、重合禁止剤、酸化防止剤、カップリング剤、界面活性剤、レベリング剤、防錆剤、含窒素化合物又はジカルボン酸の少なくとも1つを含んでもよい。
【0079】
カップリング剤としては特に限定されず、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルジメトキシメチルシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチル-3-ピペリジノプロピルシラン、ジエトキシ-3-グリシドキシプロピルメチルシラン、N-(3-ジエトキシメチルシリルプロピル)スクシンイミド、N-〔3-(トリエトキシシリル)プロピル〕フタルアミド酸、ベンゾフェノン-3,3’-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-4,4’-ジカルボン酸、ベンゼン-1,4-ビス(N-〔3-トリエトキシシリル〕プロピルアミド)-2,5-ジカルボン酸、3-(トリエトキシシリル)プロピルスクシニックアンハイドライド、N-フェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N,N’-ビス(2-ヒドロキシエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤;アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、エチルアセトアセテートアルミニウムジイソプロピレート等のアルミニウム系接着助剤;などが挙げられる。
これらのカップリング剤は、前述の(C)成分の表面処理に用いてもよい。
カップリング剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよい。
【0080】
本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料の調製方法は特に限定されず、前述の各成分を混合すればよい。
【0081】
<半導体装置>
本開示の半導体装置は、第1基板本体と、前記第1基板本体の一面に設けられた第1有機絶縁膜及び第1電極とを有する第1半導体基板と、半導体チップ基板本体と、前記半導体チップ基板本体の一面に設けられた第2有機絶縁膜及び第2電極とを有する半導体チップと、を備え、前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と、前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜と、が接合し、前記第1半導体基板の前記第1電極と、前記半導体チップの前記第2電極と、が接合し、前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜の少なくとも一方が本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる絶縁膜である半導体装置である。
本開示の半導体装置は、第1有機絶縁膜及び第2有機絶縁膜の少なくとも一方が本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる絶縁膜であるため、絶縁信頼性に優れる。
また、本開示の半導体装置は、例えば、以下に示す半導体装置の製造方法により製造することができる。
【0082】
<半導体装置の製造方法>
本開示の半導体装置の製造方法は、前述の本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を用いて第1有機絶縁膜及び第2有機絶縁膜の少なくとも一方の有機絶縁膜を作製し、前記第1有機絶縁膜及び前記第2有機絶縁膜を接合することで形成される。より具体的には、以下の工程(1)~工程(5)を経ることで半導体装置を製造することができる。
工程(1) 第1基板本体と、前記第1基板本体の一面に設けられた前記第1有機絶縁膜及び第1電極とを有する第1半導体基板を準備する。
工程(2) 第2基板本体と、前記第2基板本体の一面に設けられた前記第2有機絶縁膜及び複数の第2電極とを有する第2半導体基板を準備する。
工程(3) 前記第2半導体基板を個片化し、前記第2有機絶縁膜と少なくとも1つの前記第2電極とをそれぞれ備えた複数の半導体チップを取得する。
工程(4) 前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜とを互いに貼り合わせる。
工程(5) 前記第1半導体基板の前記第1電極と前記半導体チップの前記第2電極とを接合する。
【0083】
工程(1)では、第1基板本体に第1電極を形成した後に前記第1電極の周囲に第1有機絶縁膜を形成することにより第1半導体基板を準備してもよい。
工程(1)では、第2基板本体に第2電極を形成した後に前記第2電極の周囲に第2有機絶縁膜を形成することにより第2半導体基板を準備してもよい。
【0084】
以下、図面を参照しながら本開示の半導体装置の一実施形態、及び本開示の半導体装置の製造方法の一実施形態について詳細に説明する。以下の説明では、同一又は相当部分には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。さらに、図面の寸法比率は図示の比率に限られるものではない。
【0085】
(半導体装置の一例)
図1は、本開示の半導体装置の一例を模式的に示す断面図である。図1に示すように、半導体装置1は、例えば半導体パッケージの一例であり、第1半導体チップ10(第1半導体基板)、第2半導体チップ20(半導体チップ)、ピラー部30、再配線層40、基板50、及び、回路基板60を備えている。
【0086】
第1半導体チップ10は、LSI(大規模集積回路)チップ又はCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサ等の半導体チップであり、第2半導体チップ20が下方向に実装された三次元実装構造になっている。第2半導体チップ20は、LSI、メモリ等の半導体チップであり、第1半導体チップ10よりも平面視における面積が小さいチップ部品である。第2半導体チップ20は、第1半導体チップ10の裏面にChip-to-Chip(C2C)接合されている。第1半導体チップ10と第2半導体チップ20とは、詳細を後述するハイブリッドボンディングにより、それぞれの端子電極とその周りの絶縁膜同士が強固且つ位置ズレせずに微細接合されている。
【0087】
ピラー部30は、銅(Cu)等の金属により形成された複数のピラー31が樹脂32によって封止されている接続部である。複数のピラー31は、ピラー部30の上面から下面に向けて延在する導電性部材である。複数のピラー31は、例えば直径3μm以上20μm以下(一例では直径5μm)の円柱形状を有していてもよく、各ピラー31の中心間距離が15μm以下となるように配置されてもよい。複数のピラー31は、第1半導体チップ10の下側の端子電極と再配線層40の上側の端子電極とをフリップチップ接続する。ピラー部30を用いることにより、半導体装置1では、TMV(Through mold via)と呼ばれるモールドに穴明けして半田接続する技術を使用せずに接続電極を形成することができる。ピラー部30は、例えば第2半導体チップ20と同程度の厚さを有し、水平方向にて第2半導体チップ20の横側に配置される。なお、ピラー部30に替えて複数の半田ボールが配置されていてもよく、半田ボールによって第1半導体チップ10の下側の端子電極と再配線層40の上側の端子電極とを電気的に接続してもよい。
【0088】
再配線層40は、パッケージ基板の機能である端子ピッチ変換の機能を有する配線層であり、第2半導体チップ20の下側の絶縁膜上及びピラー部30の下面上にポリイミド及び銅配線等で再配線パターンを形成した層である。再配線層40は、第1半導体チップ10(第1半導体基板100)、第2半導体チップ20等を上下反転した状態で形成される(図4の(d)参照)。
【0089】
再配線層40は、第2半導体チップ20の下面の端子電極及びピラー部30を介した第1半導体チップ10の端子電極を、基板50の端子電極に電気的に接続する。基板50の端子ピッチは、ピラー31の端子ピッチ及び第2半導体チップ20の端子ピッチよりも広くなっている。なお、基板50上には、各種の電子部品51が実装されていてもよい。また、再配線層40と基板50との端子ピッチに大きな開きがある場合は再配線層40と基板50との間に無機インターポーザ―等を使用して再配線層40と基板50との電気的接続をとってもよい。
【0090】
回路基板60は、第1半導体チップ10及び第2半導体チップ20をその上に搭載し、第1半導体チップ10、第2半導体チップ20及び電子部品51等に接続された基板50に電気的に接続される複数の貫通電極を内部に有する基板である。回路基板60では、複数の貫通電極により、第1半導体チップ10及び第2半導体チップ20の各端子電極が回路基板60の裏面に設けられた端子電極61に電気的に接続される。
【0091】
(半導体装置の製造方法の一例)
次に、半導体装置1の製造方法の一例について、図2図4を参照して、説明する。図2は、図1に示す半導体装置を製造するための方法を順に示す図である。図3は、図2に示す半導体装置の製造方法における接合方法(ハイブリッドボンディング)をより詳細に示す図である。図4は、図1に示す半導体装置を製造するための方法であり、図2に示す工程の後の工程を順に示す図である。
【0092】
半導体装置1は、例えば、以下の工程(a)~工程(n)を経て製造することができる。
(a)第1半導体チップ10に対応する第1半導体基板100を準備する工程。
(b)第2半導体チップ20に対応する第2半導体基板200を準備する工程。
(c)端子電極103の各表面103aが絶縁膜102の表面102aに対して同等の位置か突き出た位置となるようにCMP法、サーフェースプレーナ等を用いた研磨などの研磨方法等を用いて第1半導体基板100の表面である一面101a側を研磨する工程(図3の(a)参照)。
(d)端子電極203の各表面203aが絶縁膜202の表面202aに対して、同等の位置又は突き出た位置となるようにCMP法、サーフェースプレーナ等を用いた研磨などの研磨方法等を用いて第2半導体基板200の表面である一面201a側を研磨する工程(図3の(a)参照)。
(e)図2の(b)に示すように、第2半導体基板200を個片化し、複数の半導体チップ205を取得する工程。
(f)図2の(c)に示すように、第1半導体基板100の端子電極103に対して複数の半導体チップ205それぞれの端子電極203の位置合わせを行う工程。
(g)第1半導体基板100の絶縁膜102と複数の半導体チップ205の各絶縁膜202bとを互いに貼り合わせる工程(図2の(d)及び図3の(b)参照)。このとき、熱H、圧力又はその両方を付与してもよい。
(h)第1半導体基板100の端子電極103と複数の半導体チップ205それぞれの端子電極203とを接合する工程(図3の(c)参照)。
(i)第1半導体基板100の接続面上であって複数の半導体チップ205の間に複数のピラー300(ピラー31に対応)を形成する工程(図4の(a)参照)。
(j)半導体チップ205とピラー300とを覆うように、第1半導体基板100の接続面上に樹脂301をモールドして半製品M1を取得する工程(図4の(b)参照)。
(k)工程(j)でモールドがされた半製品M1の樹脂301側を研削して薄化し、半製品M2を取得する工程(図4の(c)参照)。
(l)工程(k)で薄化された半製品M2に再配線層40に対応する配線層400を形成する工程(図4の(d)参照)。
(m)工程(l)で配線層400が形成された半製品M3を各半導体装置1となるように切断線Aに沿って切断する工程(図4の(d)参照)。
(n)工程(m)で個片化された半導体装置1aを反転して基板50及び回路基板60上に設置する工程(図1参照)。
【0093】
例えば、本開示の半導体装置の製造方法において、工程(1)が前述の工程(a)及び工程(c)に対応し、工程(2)が前述の工程(b)及び工程(d)に対応し、工程(3)が工程(e)に対応し、工程(4)が工程(g)に対応し、工程(5)が工程(h)に対応する。さらに、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料は、半導体装置の製造方法での第1有機絶縁膜及び第2有機絶縁膜の少なくとも一方の絶縁膜の作製に用いるための絶縁膜形成材料であってもよい。
【0094】
工程(a)は、複数の第1半導体チップ10に対応し、半導体素子及びそれらを接続する配線等からなる集積回路が形成されたシリコン基板である第1半導体基板100を準備する工程である。工程(a)では、図2の(a)に示すように、シリコン等からなる第1基板本体101の一面101aに、銅、アルミニウム等からなる複数の端子電極103(第1電極)を所定の間隔で設けると共に本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる硬化物である絶縁膜102(第1絶縁膜)を設ける。絶縁膜形成材料がネガ型感光性絶縁膜形成材料、ポジ型感光性絶縁膜形成材料等の感光性材料である場合、絶縁膜102を第1基板本体101の一面101a上に設けてから、複数の端子電極103を設けてもよいし、複数の端子電極103を第1基板本体101の一面101aに設けてから絶縁膜102を設けてもよい。絶縁膜形成材料が非感光性材料である場合、複数の端子電極103を第1基板本体101の一面101aに設けてから絶縁膜102を設けてもよい。
【0095】
工程(b)は、複数の第2半導体チップ20に対応し、半導体素子及びそれらを接続する配線を備える集積回路が形成されたシリコン基板である第2半導体基板200を準備する工程である。工程(b)では、図2の(a)に示すように、シリコン等からなる第2基板本体201の一面201a上に、銅、アルミニウム等からなる複数の端子電極203(複数の第2電極)を連続的に設けると共に本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる硬化物である絶縁膜202(第2絶縁膜)を設ける。絶縁膜形成材料がネガ型感光性絶縁膜形成材料、ポジ型感光性絶縁膜形成材料等の感光性材料である場合、絶縁膜202を第2基板本体201の一面201a上に設けてから複数の端子電極203を設けてもよいし、複数の端子電極203を第2基板本体201の一面201aに設けてから絶縁膜202を設けてもよい。絶縁膜形成材料が非感光性材料である場合、複数の端子電極203を第2基板本体201の一面201aに設けてから絶縁膜202を設けてもよい。
【0096】
工程(a)及び工程(b)で用いられる絶縁膜102及び202が共に本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる硬化物である構成に限定されず、絶縁膜102及び202の少なくとも一方が本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる硬化物である構成であってもよい。
【0097】
また、図1ではC2Cでの接合例が図示されているが、図5に示すChip-to-Wafer(C
2W)での接合に本発明を適用してもよい。C2Wでは、基板本体411(第1基板本体)と基板本体411の一面に設けられた絶縁膜412(第1絶縁膜)及び複数の端子電極413(第1電極)とを有する半導体ウェハー410(第1半導体基板)を準備する。さらに、基板本体421(第2基板本体)と基板本体421の一面に設けられた絶縁膜422(第2絶縁膜)及び複数の端子電極423(第2電極)とを有する、複数の半導体チップ420の個片化前の半導体基板(第2半導体基板)を準備する。そして、半導体ウェハー410の一面側と半導体チップ420に個片化する前の第2半導体基板の一面側とを、上記の工程(c)及び工程(d)と同様に、CMP法、サーフェースプレーナ等を用いた研磨などの研磨方法等により研磨する。その後、工程(e)と同様な個片化処理を第2半導体基板に対して行い、複数の半導体チップ420を取得する。
【0098】
続いて、図5の(a)に示すように、半導体ウェハー410の端子電極413に対して半導体チップ420の端子電極423の位置合わせを行う(工程(f))。そして、半導体ウェハー410の絶縁膜412と半導体チップ420の絶縁膜422とを互いに貼り合わると共に(工程(g))、半導体ウェハー410の端子電極413と半導体チップ420の端子電極423とを接合し(工程(h))、図5の(b)に示す半製品を取得する。これにより、絶縁膜412と絶縁膜422とが接合された絶縁接合部分S3となり、半導体チップ420が半導体ウェハー410に対して機械的に強固に且つ高精度に取り付けられる。また、端子電極413とそれに対応する端子電極423とが接合された電極接合部分S4となり、端子電極413と端子電極423とが機械的且つ電気的に強固に接合される。
【0099】
工程(h)では、図2の(d)に示すように、工程(g)の貼り合わせが終了すると、熱H、圧力又はその両方を付与して、ハイブリッドボンディングとして第1半導体基板100の端子電極103と複数の半導体チップ205の各端子電極203とを接合する(図3の(c)参照)。端子電極103及び203が銅から構成されている場合、工程(g)でのアニーリング温度は、150℃以上400℃以下であることが好ましく、200℃以上300℃以下であることがより好ましい。特に、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を用いることで、アニーリング温度を低く設定することも可能となる。このような接合処理により、端子電極103とそれに対応する端子電極203とが接合された電極接合部分S2となり、端子電極103と端子電極203とが機械的且つ電気的に強固に接合される。なお、工程(h)の電極接合は、工程(g)の貼り合わせ後に行われてもよく、工程(g)の貼り合わせと同時に行われてもよい。
【0100】
その後、図5の(c)及び(d)に示すように、複数の半導体チップ420を同様の方法で半導体ウェハーである半導体ウェハー410に接合することにより、半導体装置401を取得する。なお、複数の半導体チップ420は、一個ずつ半導体ウェハー410にハイブリッドボンディングにより接合されてもよいが、まとめて半導体ウェハー410にハイブリッドボンディングにより接合されてもよい。
【0101】
このような半導体装置401の製造方法においても、上記の半導体装置1の製造方法と同様に、半導体ウェハー410の絶縁膜412及び半導体チップ420の絶縁膜422の少なくとも一方が、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を硬化してなる硬化物である絶縁膜である。そのため、絶縁信頼性に優れる絶縁膜を備える半導体装置が得られる。
【0102】
(変形例)
本開示の半導体装置及び半導体装置の製造方法では、第1電極及び第2電極を接合する構成について説明したが、本発明はこれらの構成に限定されない。
例えば、本開示の半導体装置では、第1電極及び第2電極は、第1半導体基板及び第2半導体基板を貫通する貫通電極であってもよい。
本開示の半導体装置の製造方法は、例えば、本開示のハイブリッドボンディング絶縁膜形成材料を第1有機絶縁膜及び第2有機絶縁膜の少なくとも一方の有機絶縁膜の作製に用い、以下の工程(1)’~工程(5)’を経て半導体装置を製造する方法であってもよい。
工程(1)’ 第1基板本体と、前記第1基板本体の一面に設けられた前記第1有機絶縁膜を有する第1半導体基板を準備する。
工程(2)’ 第2基板本体と、前記第2基板本体の一面に設けられた前記第2有機絶縁膜を有する第2半導体基板を準備する。
工程(3)’ 前記第2半導体基板を個片化し、前記第2有機絶縁膜を備えた複数の半導体チップを取得する。
工程(4)’ 前記第1半導体基板の前記第1有機絶縁膜と前記半導体チップの前記第2有機絶縁膜とを互いに貼り合わせる。
工程(5)’ 貼り合わせた第1半導体基板及び第2半導体基板の一部に貫通孔を設け、前記貫通孔に貫通電極を設ける。
上記(5)’にて、貫通孔を設ける方法及び貫通電極を設ける方法としては、特に限定されない。例えば、エッチング等により貫通孔を設けてもよく、電界めっき、無電解めっき、スパッタリング等により貫通電極を設けてもよい。
【実施例0103】
以下、実施例及び比較例に基づき、本開示についてさらに具体的に説明する。尚、本開示は下記実施例に限定されるものではない。
【0104】
(合成例1(A1の合成))
3,3’,4,4’-ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物(ODPA)50g、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン46gとを3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド640gに溶解させた。得られた溶液を30℃で2時間撹拌し、ポリアミド酸を得た。その後、得られたポリアミド酸溶液にピリジン52gと無水酢酸34gを加え45℃で5h加熱した。この反応液を蒸留水に滴下し、沈殿物をろ別して集め、減圧乾燥することによってポリイミド樹脂A1を得た。
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法を用いて、標準ポリスチレン換算により、A1の重量平均分子量を求めた。A1の重量平均分子量は27000であった。具体的には、A1 0.5mgを溶媒[テトラヒドロフラン(THF)/ジメチルホルムアミド(DMF)=1/1(容積比)]1mLに溶解させた溶液を用い、以下の条件で測定した。
(測定条件)
測定装置:株式会社島津製作所SPD-M20A
ポンプ:株式会社島津製作所LC-20AD
カラムオーブン:株式会社島津製作所:CTO-20A
測定条件:カラムGelpack GL-S300MDT-5×2本
溶離液:THF/DMF=1/1(容積比)
LiBr(0.03mol/L)、HPO(0.06mol/L)
流速:1.0mL/min、検出器:UV270nm、カラム温度:40℃
標準ポリスチレン:東ソー製 TSKgel standard Polystyrene Type F-1,F-4,F-20,F-80,A-2500にて検量線を作成
【0105】
[実施例1~8、比較例1~5]
(絶縁膜形成材料の調製)
表1に示した成分及び配合量にて、実施例1~10及び比較例1の絶縁膜形成材料を以下のようにして調製した。表1の各成分の配合量の単位は質量部である。また、表1中の「-」は該当成分が未配合であることを意味する。各実施例及び比較例にて、各成分の混合物を一般的な耐溶媒性容器内にて室温で一晩混練した後、3μm孔のフィルターを用いて加圧ろ過を行った。得られた絶縁膜形成材料を用いて以下の評価を行った。
(C)成分のC1~C5については、溶媒に分散させたフィラーを用いた。表1中の(C)成分のカッコ内の数値は、(A)成分100質量部に対するフィラーの固形分量を意味する。
【0106】
表1中の各成分は以下の通りである。
・(A)成分
A1:上記合成例1にて合成されたポリイミド樹脂A1
・(B)成分
B1:γ-ブチロラクトン
B2:3-メトキシ-N,N-ジメチルプロピオンアミド
B3:シクロヘキサノン
・(C)成分
C1:シリカ粒子(体積平均粒径:50nm、表面処理:フェニルアミノシラン、分散溶媒:シクロヘキサノン、不揮発分:40質量%)
C2:シリカ粒子(体積平均粒径:180nm、表面処理:フェニルアミノシラン、分散溶媒:シクロヘキサノン、不揮発分:50質量%)
C3:シリカ粒子(体積平均粒径:500nm、表面処理:フェニルアミノシラン、分散溶媒:シクロヘキサノン、不揮発分:70質量%)
C4:シリカ粒子(体積平均粒径:22nm、表面処理:疎水処理、分散溶媒:シクロヘキサノン、不揮発分:30質量%)
C5:アルミナ粒子(体積平均粒径:60nm、表面処理あり、分散溶媒:ジメチルアセトアミド、不揮発分:20質量%)
C6:シリカ粒子(体積平均粒径:12nm、表面処理なしの粉体、分散溶媒なし)
【0107】
[フィラー分散性評価]
実施例1~10及び比較例1の絶縁膜形成材料について、絶縁膜中におけるフィラー分散性を以下のようにして評価した。絶縁膜形成材料をSi基板上にスピンコートし、ホットプレート上で、100℃、120秒加熱乾燥したのち110℃、120秒加熱乾燥することで、樹脂膜を形成した。得られた樹脂膜を縦型拡散炉μ-TFを用いて、窒素雰囲気下、200℃2時間の条件で硬化し硬化物を得た。得られた硬化膜の断面についてSEMによる観察を行い、以下の評価基準に基づいて分散性を評価した。結果を表1に示す。
-評価基準-
A:フィラーが膜中に均一に分散しており、硬化膜の断面に凝集体が見られない
B:フィラーが膜中に均一に分散しているが、硬化膜の断面に一部凝集体が見られる
C:フィラーが膜中に不均一に分散しており、硬化膜の断面に凝集体が多数見られる
【0108】
(熱膨張率の測定)
実施例1~10及び比較例1の絶縁膜形成材料を用いて以下のように硬化膜を形成し、次いで熱膨張率を測定した。絶縁膜形成材料をSi基板上にスピンコートし、ホットプレート上で、100℃、120秒加熱乾燥したのち110℃、120秒加熱乾燥することで、硬化後約10μmとなるよう樹脂膜を形成した。
【0109】
得られた樹脂膜を縦型拡散炉μ-TFを用いて、窒素雰囲気下、硬化温度:200℃及び硬化時間:2時間の条件で硬化し膜厚10μmの硬化物を得た。得られた硬化物を剃刀を用いて10mm幅に成形することで10mm幅のパターン硬化物を得た。
TMA試験装置(デュポン社製、TMA2940)を使用し、初期サンプル長10mm、荷重10g、昇温速度5℃/minの条件で測定試料であるパターン硬化物の面方向の50℃~100℃の線熱膨張率を測定した。得られた結果を、熱膨張率(ppm/K)として表1に示す。
【0110】
【表1】

【0111】
表1に示すように、実施例1~実施例10では、熱膨張率が50ppm/K以下と低い値となった。一方、比較例1では、熱膨張率が50ppm/Kよりも大きかった。
実施例4では、実施例1~3、5~7、9及び10と比較してフィラー分散性の結果が劣っていた。この理由は、実施例3でのフィラーの体積平均粒径が、これらの実施例でのフィラーの体積平均粒径よりも大きいことが原因と推測される。
実施例8では、実施例1~3、5~7、9及び10と比較してフィラー分散性の結果が劣っていた。この理由は、実施例8で使用したフィラーは表面処理がなされておらず、フィラーの凝集が生じやすいことが原因と推測される。
【符号の説明】
【0112】
1,1a,401…半導体装置、10…第1半導体チップ、20…第2半導体チップ、30…ピラー部、40…再配線層、50…基板、60…回路基板、61…端子電極、100…第1半導体基板、101…第1基板本体、101a…一面、102…絶縁膜(第1絶縁膜)、103…端子電極(第1電極)、103a…表面、200…第2半導体基板、201…第2基板本体、201a…一面、202…絶縁膜(第2絶縁膜)、203…端子電極(第2電極)、203a…表面、205…半導体チップ、300…ピラー、301…樹脂、410…半導体ウェハー(第1半導体基板)、411…基板本体(第1基板本体)、412…絶縁膜(第1絶縁膜)、413…端子電極(第1電極)、420…半導体チップ(第2半導体基板)、421…基板本体(第2基板本体)、422…絶縁膜(第2絶縁膜)、423…端子電極(第2電極)、A…切断線、H…熱、M1~M3…半製品、S1…絶縁接合部分、S2…電極接合部分、S3…絶縁接合部分、S4…電極接合部分。
図1
図2
図3
図4
図5