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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024154825
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】浸水防止盤
(51)【国際特許分類】
   H02B 1/28 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H02B1/28 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023068929
(22)【出願日】2023-04-20
(71)【出願人】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】高岡 優衣
(72)【発明者】
【氏名】小林 精司
(72)【発明者】
【氏名】田中 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】滝田 茂雄
【テーマコード(参考)】
5G016
【Fターム(参考)】
5G016CG21
(57)【要約】
【課題】コストの増加を抑えることができ、かつ、設置スペースの増加を抑えることができる浸水防止盤を提供すること。
【解決手段】浸水防止盤1は、電気機器3と、電気機器3を収容する筐体2と、を備え、筐体2の下部構造11は、外部から筐体2内への液体の浸入を防止する浸入防止部を有し、筐体2の上部構造12は、開口部27と、開口部27を開閉可能に閉塞する扉部26と、を有する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器と、
前記電気機器を収容する筐体と、
を備え、
前記筐体の下部構造は、外部から前記筐体内への液体の浸入を防止する浸入防止部を有し、
前記筐体の上部構造は、開口部と、前記開口部を開閉可能に閉塞する扉部と、を有する、
浸水防止盤。
【請求項2】
前記電気機器は、前記上部構造に収容される上部機器と、前記下部構造に収容される下部機器と、を有し、
前記浸水防止盤は、前記下部機器を上方に移動させる第1移動機構、をさらに備える、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項3】
前記第1移動機構は、前記筐体の内面に取り付けられ、上下方向に延びるレールを有する、
請求項2に記載の浸水防止盤。
【請求項4】
前記第1移動機構は、
長手方向に伸縮可能なアーム部と、
前記アーム部の一端に設けられ、前記下部機器が回動可能に取り付けられる取付部と、
前記筐体の内面に取り付けられ、前記アーム部の他端を回動可能に支持する回動支持部と、
を有する、
請求項2に記載の浸水防止盤。
【請求項5】
前記第1移動機構は、
前記筐体の頂面部に固定される一対の上部滑車と、
前記筐体の底面部に固定される一対の下部滑車と、
前記一対の上部滑車と前記一対の下部滑車との間に掛け回され、前記下部機器が固定される一対のワイヤと、
を有する、
請求項2に記載の浸水防止盤。
【請求項6】
前記上部機器を前記開口部に向けて移動させる第2移動機構、をさらに備える、
請求項2から5のいずれか一項に記載の浸水防止盤。
【請求項7】
前記筐体には、一端が前記筐体の外部に開口し、他端が前記下部構造の内部と連通する断熱ダクトが設けられている、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項8】
前記筐体の外面に取り付けられ、上下方向に延びる外部レールと、
前記外部レールに、上下方向に移動可能に取り付けられる操作部と、
をさらに備え、
前記操作部には、浮力体が設けられている、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項9】
前記電気機器の複数の内部配線と、外部機器の複数の外部配線とを接続する端子台、をさらに備え、
前記端子台には、前記複数の外部配線を連結する連結部が設けられている、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項10】
前記筐体を支持する支持構造、をさらに備え、
前記支持構造は、
基礎上に設置されるチャンネルベースと、
前記チャンネルベースと前記筐体との間に設けられるアダプタと、
を有し、
前記アダプタは、前記チャンネルベースに固定されるとともに、前記筐体と溶接により接合されている、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項11】
前記下部機器の下方に配置され、上方に移動可能な受け部、をさらに備える、
請求項2に記載の浸水防止盤。
【請求項12】
前記受け部に載置され、前記下部機器を視認可能にする鏡、をさらに備える、
請求項11に記載の浸水防止盤。
【請求項13】
前記電気機器は、外部電源から無線で電力が供給されるよう構成されている、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項14】
前記電気機器は、外部電源からケーブルを介して電力が供給されるよう構成されており、
前記浸水防止盤は、前記上部構造に取り付けられ、前記ケーブルの先端に設けられる外部電源コネクタと接続される筐体コネクタ、をさらに備える、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【請求項15】
前記筐体の周囲の水位を検出する水位検出部、をさらに備える、
請求項1に記載の浸水防止盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸水防止盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電気機器と、電気機器を内部に収容した筐体と、を有する盤が知られている。電気機器のメンテナンスのために、筐体には扉部が設けられている。洪水や内水氾濫などが発生して盤の設置場所が浸水すると、扉部から筐体内に水が浸入し、電気機器が故障する可能性がある。特許文献1では、箱型の浸水防止装置に筐体を収容することで、盤を浸水から保護する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-251116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
盤の浸水を避けるために、盤を設置する建屋に、水の浸入を防止するための壁や止水板を設置することや、建屋の開口部を浸水が想定される位置よりも高い位置に配置することが考えられる。しかしながら、この場合、建屋の改修のための費用が高額となる。また、建屋や屋外において、盤を浸水が想定される位置よりも高い位置に設置することも考えられる。しかしながら、この場合、盤の設置場所が限られる。盤の設置場所が限定されることで、盤を操作対象設備の近くに設置できない場合には、対象機器の状況を把握しながら盤を操作することが困難となる可能性がある。さらに、扉部にパッキンを設けることで、扉部から筐体内への水の浸入を防止することも考えられる。しかしながら、この場合、製造コストが増加する。また、パッキンは経年劣化するため定期的な交換が必要であり、維持管理費も増加する。また、水密性圧力を保持するために筐体の強度を増すために、壁の厚さが厚くなり、盤のサイズ及び重量が増加する。
【0005】
また、特許文献1の構造では、筐体の内部に収容した電気機器のメンテナンスの際には、扉部を開くために浸水防止装置を取り外す必要がある。したがって、維持管理が煩雑になり、また維持管理費も増加する。扉部を開くためのスペースを考慮して浸水防止装置を設けることも考えられるが、この場合、盤の設置スペースが増加する。
【0006】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、コストの増加を抑えることができ、かつ、設置スペースの増加を抑えることができる浸水防止盤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1):本発明の一態様に係る浸水防止盤は、電気機器と、前記電気機器を収容する筐体と、を備え、前記筐体の下部構造は、外部から前記筐体内への液体の浸入を防止する浸入防止部を有し、前記筐体の上部構造は、開口部と、前記開口部を開閉可能に閉塞する扉部と、を有する。
【0008】
(2):(1)に係る浸水防止盤において、前記電気機器は、前記上部構造に収容される上部機器と、前記下部構造に収容される下部機器と、を有し、前記浸水防止盤は、前記下部機器を上方に移動させる第1移動機構、をさらに備えていてもよい。
【0009】
(3):(2)に係る浸水防止盤において、前記第1移動機構は、前記筐体の内面に取り付けられ、上下方向に延びるレールを有していてもよい。
【0010】
(4):(2)に係る浸水防止盤において、前記第1移動機構は、長手方向に伸縮可能なアーム部と、前記アーム部の一端に設けられ、前記下部機器が回動可能に取り付けられる取付部と、前記筐体の内面に取り付けられ、前記アーム部の他端を回動可能に支持する回動支持部と、を有していてもよい。
【0011】
(5):(2)に係る浸水防止盤において、前記第1移動機構は、前記筐体の頂面部に固定される一対の上部滑車と、前記筐体の底面部に固定される一対の下部滑車と、前記一対の上部滑車と前記一対の下部滑車との間に掛け回され、前記下部機器が固定される一対のワイヤと、を有していてもよい。
【0012】
(6):(2)~(5)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記上部機器を前記開口部に向けて移動させる第2移動機構、をさらに備えていてもよい。
【0013】
(7):(1)~(6)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記筐体には、一端が前記筐体の外部に開口し、他端が前記下部構造の内部と連通する断熱ダクトが設けられていてもよい。
【0014】
(8):(1)~(7)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記電気機器を操作する操作部、をさらに備え、前記操作部には、浮力体が設けられており、前記操作部は、前記筐体の外面に取り付けられるとともに上下方向に延びる外部レールに、上下方向に移動可能に取り付けられていてもよい。
【0015】
(9):(1)~(8)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記電気機器の複数の内部配線と、外部機器の複数の外部配線とを接続する端子台、をさらに備え、前記端子台には、前記複数の外部配線を連結する連結部が設けられていてもよい。
【0016】
(10):(1)~(9)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記筐体を支持する支持構造、をさらに備え、前記支持構造は、基礎上に設置されるチャンネルベースと、前記チャンネルベースと前記筐体との間に設けられるアダプタと、を有し、前記アダプタは、前記チャンネルベースに固定されるとともに、前記筐体と溶接により接合されていてもよい。
【0017】
(11):(2)に係る浸水防止盤において、前記下部機器の下方に配置され、上方に移動可能な受け部、をさらに備えていてもよい。
【0018】
(12):(11)に係る浸水防止盤において、前記受け部に載置され、前記下部機器を視認可能にする鏡、をさらに備えていてもよい。
【0019】
(13):(1)~(12)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記電気機器は、外部電源から無線で電力が供給されるよう構成されていてもよい。
【0020】
(14):(1)~(12)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記電気機器は、外部電源からケーブルを介して電力が供給されるよう構成されており、前記浸水防止盤は、前記上部構造に取り付けられ、前記ケーブルの先端に設けられる外部電源コネクタと接続される筐体コネクタ、をさらに備えていてもよい。
【0021】
(15):(1)~(14)のいずれか一つに係る浸水防止盤において、前記筐体の周囲の水位を検出する水位検出部、をさらに備えていてもよい。
【発明の効果】
【0022】
上記本発明の一態様によれば、コストの増加を抑えることができ、かつ、設置スペースの増加を抑えることができる浸水防止盤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】第1実施形態に係る浸水防止盤の(a)正面図、および(b)側面図である。
図2】第1実施形態に係る浸水防止盤の斜視図である。
図3】第1実施形態に係る浸水防止盤の断面図である。
図4】第1実施形態に係る浸水防止盤の上部機器の移動を説明するための図である。
図5】第1実施形態に係る浸水防止盤の下部機器の移動を説明するための図である。
図6】第1実施形態に係る浸水防止盤の端子台を示す図である。
図7】第1実施形態に係る浸水防止盤の断熱ダクトを示す図である。
図8】第1実施形態に係る浸水防止盤の操作部を示す(a)正面図、および(b)側面図である。
図9】第1実施形態に係る浸水防止盤の筐体の底面部を示す(a)断面図、および(b)上面図である。
図10】第1実施形態の変形例に係る第1移動機構を示す図である。
図11】第1実施形態の他の変形例に係る第1移動機構を示す図である。
図12】第1実施形態の変形例における、浸水防止盤の電気機器への電力供給を説明するための図である。
図13】第2実施形態に係る浸水防止盤の正面図である。
図14】(a)は図13のA-A線断面図であり、(b)は図13のB-B線断面図である。
図15】第2実施形態の変形例に係る浸水防止盤の正面図である。
図16】第2実施形態の変形例に係る浸水防止盤の支持構造の断面図である。
図17】第3実施形態に係る浸水防止盤の断面図である。
図18】第4実施形態に係る浸水防止盤の受け部および鏡を示す図である。
図19】第4実施形態に係る浸水防止盤の正面図である。
図20】第4実施形態の変形例に係る浸水防止盤の正面図である。
図21】第1実施形態の他の変形例に係る第1移動機構を示す図である。
図22】第1実施形態の他の変形例に係る第1移動機構を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0025】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る浸水防止盤1の(a)正面図、および(b)側面図である。図2は、浸水防止盤1の斜視図である。図3は、浸水防止盤1の断面図である。図1図3に示されるように、浸水防止盤1は、筐体2と、電気機器3と、第1移動機構4と、第2移動機構5と、を備える。なお、浸水防止盤1は、屋内に設置されてもよく、屋外に設置されてもよい。
【0026】
(方向定義)
本明細書では、鉛直方向と平行な方向を、上下方向Zと称する。鉛直方向における上方を、単に上方と称し、鉛直方向における下方を、単に下方と称する。上下方向Zに直交する一方向を、左右方向Xと称する。上下方向Zおよび左右方向Xの双方に直交する方向を、前後方向Yと称する。
【0027】
筐体2は、内部に電気機器3が収容される箱体である。筐体2は、下部構造11と、下部構造11の上方に設けられる上部構造12と、により構成される。また、筐体2は、頂面部21と、底面部22と、一対の側面部23と、前面部24と、後面部25と、扉部26と、を有する。頂面部21と、底面部22とは、上下方向Zに離間して配置される。一対の側面部23は、左右方向Xに離間して配置される。前面部24と、後面部25とは、前後方向Yに離間して配置される。以下、前後方向Yにおいて、前面部24側を前方と称し、後面部25側を後方と称する。前面部24は、下部構造11に設けられる。扉部26は、上部構造12に設けられる。扉部26は、前面部24の上方に設けられる。頂面部21と、底面部22と、一対の側面部23と、前面部24と、後面部25とは、例えば溶接により接続されている。頂面部21、底面部22、一対の側面部23、前面部24、および後面部25は、例えば、鋼板により形成される。これにより、筐体2の経年劣化を抑制できる。
【0028】
下部構造11は、外部から筐体2内への液体の浸入を防止する浸入防止部を有する。具体的には、下部構造11は、底面部22と、一対の側面部23の下部と、前面部24と、後面部25の下部と、により構成される。底面部22と、一対の側面部23の下部と、前面部24と、後面部25の下部とが、溶接により接合されることで、これらの接合部分からの水の浸入が防止され、浸水防止性を有する浸入防止部が形成される。なお、底面部22、一対の側面部23の下部、前面部24、および後面部25の下部を、繊維強化プラスチック(Fiber Reinforced Plastics:FRP)などの樹脂素材で囲むことで、浸入防止部が形成されてもよい。下部構造11が浸入防止部を有することで、浸水防止盤1が浸水した場合であっても、筐体2内に水が浸入することを防止できる。
【0029】
上部構造12は、頂面部21と、一対の側面部23の上部と、後面部25の上部と、扉部26と、により構成される。上部構造12は、頂面部21と、一対の側面部23の上部と、前面部24と、により区画される開口部27を有しており、扉部26は、開口部27を開閉可能に閉塞するよう設けられる。
【0030】
電気機器3は、筐体2の内部に収容される。電気機器3は、例えば、計器、開閉器、継電器などの監視制御機器、および遮断器、断路器、負荷開閉器、変成器などの主回路機器を含む。図3に示されるように、電気機器3は、上部構造12に収容される上部機器32と、下部構造11に収容される下部機器31と、を含む。上部機器32は、上部板状部材34に固定されている。下部機器31は、下部板状部材33に固定されている。
【0031】
第1移動機構4は、下部機器31を上下方向Zおよび前後方向Yに移動させる。第1移動機構4は、前後方向Yに延びる第1レール41と、上下方向Zに延びる第2レール42(レール)と、を有する。第1レール41および第2レール42は、側面部23の内面に取り付けられる。第1レール41は、側面部23の下部(すなわち、下部構造11)に設けられる。4つの第1レール41が、一対の側面部23の下部に、上下方向Zおよび左右方向Xに間隔を空けて設けられる。第1レール41は、下部板状部材33を、第1レール41に沿って(すなわち、前後方向Yに)移動可能に支持する。下部板状部材33が第1レール41に沿って移動することで、下部機器31を前後方向Yに移動させる。第2レール42は、側面部23に、下部構造11から上部構造12まで延びるよう設けられる。2つの第2レール42が、一対の側面部23にそれぞれ設けられる。第2レール42は、側面部23の前後方向Yにおける中央部に設けられる。第2レール42は、下部板状部材33を、第2レール42に沿って(すなわち、上下方向Zに)移動可能に支持する。下部板状部材33が第2レール42に沿って移動することで、下部機器31を上下方向Zに移動させる。なお、第1移動機構4は、下部板状部材33を、不図示のモータを用いて第1レール41または第2レール42に沿って移動させることで、下部機器31を前後方向Yおよび上下方向Zに移動させてもよいし、下部板状部材33を、手動により第1レール41または第2レール42に沿って移動させることで、下部機器31を前後方向Yおよび上下方向Zに移動させてもよい。
【0032】
第2移動機構5は、上部機器32を前後方向Yに移動させる。第2移動機構5は、前後方向Yに延びる第3レール51を有する。第3レール51は、側面部23の内面に取り付けられる。第3レール51は、側面部23の上部(すなわち、上部構造12)に設けられる。4つの第3レール51が、一対の側面部23の上部に、上下方向Zおよび左右方向Xに間隔を空けて設けられる。第3レール51は、上部板状部材34を、第3レール51に沿って(すなわち、前後方向Yに)移動可能に支持する。上部板状部材34が第3レール51に沿って移動することで、上部機器32を前後方向Yに移動させる。なお、第2移動機構5は、上部板状部材34を、不図示のモータを用いて第3レール51に沿って移動させることで、上部機器32を前後方向Yに移動させてもよいし、上部板状部材34を、手動により第3レール51に沿って移動させることで、上部機器32を前後方向Yに移動させてもよい。
【0033】
図4は、上部機器32の移動を説明するための図である。図4(a)に示されるように、通常時には、上部機器32は、上部構造12の内部において、前後方向Yの後方に配置されている。上部機器32のメンテナンス時には、図4(b)に示されるように、第3レール51を用いて、上部機器32を前後方向Yに沿って前方に(すなわち、開口部27に向けて)移動させて、開口部27から上部機器32の点検作業や交換作業を行う。なお、図4(c)に示されるように、開口部27を介して上部機器32を取り外してもよい。
【0034】
図5は、下部機器31の移動を説明するための図である。図5(a)に示されるように、通常時には、下部機器31は、下部構造11の内部において、前後方向Yの後方に配置されている。下部機器31のメンテナンス時には、図5(b)に示されるように、まず、第1レール41を用いて、下部機器31を前後方向Yに沿って前方に移動させる。その後、図5(c)に示されるように、第2レール42を用いて、下部機器31を上下方向Zに沿って上方に移動させて、下部機器31を上部構造12の内部に配置し、開口部27から下部機器31の点検作業や交換作業を行う。なお、図5(d)に示されるように、開口部27を介して下部機器31を取り外してもよい。
【0035】
図6に示されるように、筐体2には、電気機器3と外部機器とを接続するための端子台13が設けられている。端子台13は、上部構造12に設けられている。例えば、端子台13は、上部構造12において、筐体2の内部に配置されている。端子台13は、上部構造12において、筐体2の外部に配置されていてもよい。端子台13には、電気機器3の複数の内部配線14が接続されるとともに、外部機器の複数の外部配線15が接続される。端子台13には、複数の外部配線15を連結する連結部16が設けられている。例えば、連結部16は、複数の外部配線15を把持する樹脂製のケーブルクリップである。図6(b)に示されるように、電気機器3のメンテナンス時などには、複数の外部配線15が、連結部16により連結された状態で、端子台13から取り外される。連結部16が設けられることで、端子台13から取り外された複数の外部配線15がバラバラになることを防止し、複数の外部配線15の配列状態を保つことができる。また、電気機器3のメンテナンスの終了後に、複数の外部配線15を端子台13に再度取り付けるときに、複数の外部配線15を端子台13に容易に接続することができる。なお、電気機器3のメンテナンス時などに、端子台13から複数の内部配線14が取り外される場合には、端子台13に、複数の内部配線14を連結する連結部が設けられていてもよい。端子台13には、複数の外部配線15を連結する連結部16と、複数の内部配線14を連結する連結部と、の双方が設けられていてもよい。
【0036】
図7に示されるように、筐体2には、筐体2の内部を換気するための断熱ダクト6が設けられる。断熱ダクト6は、上下方向Zに延びる。断熱ダクトは、断熱性を有する。断熱ダクト6の上端は、筐体2の外部に開口する。断熱ダクト6の下端は、下部構造11の内部と連通する。断熱ダクト6の上端は、頂面部21に近接して設けられることが好ましい。断熱ダクト6の下端は、底面部22に近接して設けられることが好ましい。また、上部構造12には、筐体2の内部と外部とを連通する排気ポート28が設けられている。排気ポート28は、頂面部21に近接して設けられることが好ましい。例えば、断熱ダクト6は、一対の側面部23の一方に設けられ、排気ポート28は、一対の側面部23の他方に設けられる。
【0037】
電気機器3で生じた熱などにより、筐体2の内部の温度は上昇する。特に、下部構造11は、浸入防止部を有するため熱がこもりやすい。断熱ダクト6および排気ポート28により、筐体2の内部の換気を行うことで、電気機器3で生じた熱を、筐体2の外部に放出することができる。具体的には、断熱ダクト6の上端から、外部空気が流入する。外部空気は、断熱ダクト6を通って、断熱ダクト6の下端から筐体2(下部構造11)の内部に流入する。ここで、断熱ダクト6が断熱性を有するため、外部空気は、温度を保ったまま筐体2の内部に流入する。電気機器3で生じた熱などにより筐体2の内部の温度は上昇しているため、筐体2の内部の空気と外部空気との間には温度差が生じており、この温度差により筐体2の内部に上昇気流が発生する。筐体2の内部に流入した空気は、上昇気流に乗って筐体2の内部を流通し、排気ポート28から排出される。これにより、筐体2の内部の自然換気が行われる。なお、断熱ダクト6の上端および排気ポート28に、換気用のファンが設けられていてもよい。この場合、温度センサなどで筐体2の内部の温度を計測し、計測結果に応じてファンの動作を制御してもよい。
【0038】
操作部7は、電気機器3を操作するために用いられる。図1に示されるように、操作部7は、筐体2の外部に設けられる。例えば、操作部7は、電気機器3の操作のための操作スイッチ71および電気機器3の状態を示す表示部72を有しており、操作スイッチ71および表示部72は、コントロールボックス73に収容されている。なお、操作部7として、タッチパネル式の操作画面や、タブレット端末を用いてもよい。また、操作部7には、浮力体74が設けられている。浮力体74は、水より密度が小さい材質により形成される。
【0039】
筐体2の外面には、外部レール75が、上下方向Zに延びるよう取り付けられる。操作部7は、外部レール75に、外部レール75に沿って(すなわち、上下方向Zに)移動可能に取り付けられる。図1に示されるように、通常時には、操作部7は、操作者によって操作しやすい位置に配置される。例えば、操作部7は、操作者の目線の高さと同等の高さに配置されている。図8に示されるように、浸水により水位が上昇すると、操作部7は、浮力体74の浮力により外部レール75に沿って上昇する。すなわち、浸水により水位が上昇すると、操作部7は、上下方向Zに沿って上方に移動する。これにより、操作部7を浸水から保護することができる。
【0040】
本実施形態では、下部構造11の浸水防止性を保つために、外部電源から電気機器3へ、無線で電力供給が行われる。外部電源は、例えば、電力会社の商用電源である。災害発生時など電力会社からの電力供給が遮断された場合には、外部電源として、自家発電設備や電気自動車が用いられてもよい。
【0041】
図9に示されるように、筐体2の外部には、外部電源の送電部E1が設けられ、筐体2の内部には、送電部E1から電力が無線で伝送される受電部E2が設けられる。例えば、送電部E1は送電コイルであり、受電部E2は受電コイルである。受電部E2は、下部構造11の底面部22に設けられる。受電部E2は、送電部E1と、底面部22を挟んで対向するよう配置される。電波障害を防止するために、底面部22のうち、受電部E2と送電部E1とに挟まれる部分には、樹脂からなる樹脂部22aが設けられている。例えば、底面部22を構成する鋼板の中央部に開口部を形成し、この開口部に樹脂を充填することで、樹脂部22aが形成される。また、鋼板と樹脂部22aとの間からの水の浸入を防ぐために、底面部22の上面および下面には、樹脂部22aと一体的に形成される樹脂被覆部22b、22cがそれぞれ設けられている。
【0042】
また、メンテナンス時における電気機器3(上部機器32および下部機器31)の移動を容易にするために、電気機器3の各部材間、および電気機器3と操作部7との間においても、無線で電力供給および信号伝送が行われてもよい。信号の無線伝送には、例えば、Wi-Fi網、Bluetooth(登録商標)、光伝送などが用いられる。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る浸水防止盤1は、電気機器3と、電気機器3を収容する筐体2と、を備える。筐体2の下部構造11は、外部から筐体2内への液体の浸入を防止する浸入防止部を有する。筐体2の上部構造12は、開口部27と、開口部27を開閉可能に閉塞する扉部26と、を有する。
【0044】
このような浸水防止盤1によれば、筐体2内への液体の浸入を防止する構成を別途設けることなく、外部から筐体2内への液体の浸入を防止することができる。したがって、製造コストや維持管理コストなどのコストの増加を抑えることができ、かつ、設置スペースの増加を抑えることができる。
【0045】
また、電気機器3は、上部構造12に収容される上部機器32と、下部構造11に収容される下部機器31と、を有し、浸水防止盤1は、下部機器31を上方に移動させる第1移動機構4、をさらに備える。
これにより、下部構造11にも下部機器31を収容することができ、かつ、電気機器3のメンテナンス時などに、第1移動機構4により下部機器31を上方に移動させて、下部機器31の点検作業や交換作業を行うことができる。
【0046】
また、第1移動機構4は、筐体2の内面に取り付けられ、上下方向Zに延びる第2レール42を有する。
これにより、簡易な構造で、下部機器31を上方に移動させることができる。
【0047】
また、浸水防止盤1は、上部機器32を開口部27に向けて移動させる第2移動機構5、をさらに備える。
これにより、電気機器3のメンテナンス時などに、第2移動機構5により上部機器32を開口部27に向けて移動させることで、上部機器32の点検作業や交換作業をより容易に行うことができる。
【0048】
また、筐体2には、一端が筐体2の外部に開口し、他端が下部構造11の内部と連通する断熱ダクト6が設けられている。
断熱ダクト6により筐体2の内部の換気を行うことで、電気機器3で生じた熱を、筐体2の外部に放出することができる。
【0049】
また、浸水防止盤1は、電気機器3を操作する操作部7、をさらに備える。操作部7には、浮力体74が設けられている。操作部7は、筐体2の外面に取り付けられるとともに上下方向Zに延びる外部レール75に、上下方向Zに移動可能に取り付けられている。
これにより、通常時には、操作部7を、操作者によって操作しやすい位置に配置するとともに、浸水時には、操作部7を、浮力体74の浮力により外部レール75に沿って上昇させることで、浸水から保護することができる。
【0050】
また、浸水防止盤1は、電気機器3の複数の内部配線14と、外部機器の複数の外部配線15とを接続する端子台13、をさらに備える。端子台13には、複数の外部配線15を連結する連結部16が設けられている。
電気機器3のメンテナンス時などに、複数の外部配線15を、連結部16により連結された状態で、端子台13から取り外すことができる。したがって、端子台13から取り外された複数の外部配線15がバラバラになることを防止し、複数の外部配線15の配列状態を保つことができる。また、電気機器3のメンテナンスの終了後に、複数の外部配線15を端子台13に再度取り付けるときに、複数の外部配線15を端子台13に容易に接続することができる。
【0051】
また、電気機器3は、外部電源から無線で電力が供給されるよう構成されている。
これにより、下部構造11が浸入防止部を有する場合であっても、外部電源から電気機器3へ、容易に電力供給を行うことができる。
【0052】
<第1実施形態の変形例>
下部機器31のサイズが大きい場合や、下部機器31の重量が重い場合には、第1移動機構4は、下部機器31を、吊り下げ支持して引き上げるよう構成されていてもよい。図10に示されるように、本変形例では、第1移動機構4は、ロープ43と、筐体2の頂面部21に取り付けられ、ロープ43が掛け回される滑車44と、滑車44から引き出されたロープ43の先端に取り付けられ、下部機器31を吊り下げ支持するフック45と、を有する。上部機器32を取り外した後に、下部機器31を、第1移動機構4により吊り下げ支持して引き上げることで、下部機器31を上下方向Zに沿って上方に移動させる。
【0053】
図11に示されるように、第1移動機構4は、下部機器31を、空気圧または油圧などにより下方から押し上げるシリンダ機構46により構成されていてもよい。シリンダ機構46は、下部機器31の下方に配置されている。上部機器32を取り外した後に、シリンダ機構46にポンプPを接続し、下部機器31を、シリンダ機構46を用いて押し上げることで、下部機器31を上下方向Zに沿って上方に移動させる。
【0054】
上記実施形態では、電力会社の商用電源等の外部電源から電気機器3へ、無線で電力供給が行われる例について説明した。しかしながら、図12に示されるように、外部電源から電気機器3へ、外部電源のケーブルCを介して(すなわち、有線で)電力供給が行われてもよい。この場合、筐体2の外部に、ケーブルCの先端に設けられる外部電源コネクタDと接続される筐体コネクタ18が設けられている。筐体コネクタ18と外部電源コネクタDとの接続を容易にするために、筐体コネクタ18と外部電源コネクタDとは、コンセントとプラグとで構成されることが好ましい。筐体コネクタ18は、上部構造12に取り付けられている。図12(a)に示される例では、筐体コネクタ18は、側面部23の上部の外面に取り付けられている。なお、図12(b)に示されるように、筐体コネクタ18は、後面部25の上部の外面に取り付けられていてもよい。
【0055】
すなわち、本変形例では、電気機器3は、外部電源からケーブルCを介して電力が供給されるよう構成されている。浸水防止盤1は、上部構造12に取り付けられ、ケーブルCの先端に設けられる外部電源コネクタDと接続される筐体コネクタ18、をさらに備える。
外部電源コネクタDを筐体コネクタ18に接続することで、外部電源から電気機器3へ電力を供給する。災害発生時など電力会社からの電力供給が遮断された場合には、外部電源として、自家発電設備101や電気自動車102を用いることが考えられるが、筐体コネクタ18に接続される外部電源コネクタDを付け替えることで、外部電源を容易に切り替えることができる。
【0056】
<第2実施形態>
次に、図13および図14を参照して、第2実施形態に係る浸水防止盤1について説明する。本実施形態に係る浸水防止盤1は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0057】
本実施形態では、浸水防止盤1は、筐体2を基礎コンクリートE(基礎)上に設置するための支持構造8をさらに備える。支持構造8は、筐体2と基礎コンクリートEとの間に設けられる。支持構造8は、チャンネルベース81と、アダプタ82とを有する。
【0058】
チャンネルベース81は、基礎コンクリートE上に設置される。図14(a)に示されるように、上下方向Zから見たときに、チャンネルベース81は、矩形枠状に形成される。図14(b)に示されるように、チャンネルベース81は、基礎コンクリートEと当接するチャンネルベース下面部81a、アダプタ82と当接するチャンネルベース上面部81b、およびチャンネルベース下面部81aとチャンネルベース上面部81bとを接続する接続部81cを有する。チャンネルベース下面部81aは、基礎コンクリートE上に設置され、ボルト83により基礎コンクリートEに固定される。
【0059】
アダプタ82は、チャンネルベース81に載置される。アダプタ82は、チャンネルベース上面部81bと当接するアダプタ下面部82aと、筐体2の底面部22と当接するアダプタ上面部82bと、アダプタ下面部82aとアダプタ上面部82bとの間に設けられる複数の支柱82cと、を有する。図14(a)に示されるように、上下方向Zから見たときに、アダプタ下面部82aおよびアダプタ上面部82bは、矩形枠状に形成される。複数の支柱82cは、左右方向Xおよび前後方向Yに間隔を空けて設けられる。支柱82cは、上下方向Zに延びる。支柱82cの下端は、アダプタ下面部82aに、溶接により接合される。支柱82cの上端は、アダプタ上面部82bに、溶接により接合される。アダプタ下面部82aは、チャンネルベース上面部81b上に設置され、ボルト84によりチャンネルベース上面部81bに固定される。
【0060】
筐体2の設置について説明する。まず、チャンネルベース81を、基礎コンクリートE上に設置する。チャンネルベース下面部81aを、基礎コンクリートEに、ボルト83により固定する。これにより、チャンネルベース81は、基礎コンクリートEに固定される。次に、アダプタ82を、チャンネルベース上面部81b上に設置する。チャンネルベース上面部81bとアダプタ下面部82aとを、ボルト84により固定する。複数の支柱82cの間の隙間を用いて、チャンネルベース上面部81bとアダプタ下面部82aとをボルト84により固定することができる。これにより、アダプタ82は、チャンネルベース81に固定される。その後、筐体2を、アダプタ上面部82b上に設置する。アダプタ上面部82bを、筐体2の底面部22に、溶接により接合する。複数の支柱82cの間の隙間を用いて、アダプタ上面部82bを底面部22に溶接することができる。これにより、筐体2は、アダプタ82に固定される。以上より、筐体2の設置が終了する。
【0061】
以上説明したように、本実施形態に係る浸水防止盤1は、筐体2を支持する支持構造8、をさらに備える。支持構造8は、基礎コンクリートE上に設置されるチャンネルベース81と、チャンネルベース81と筐体2との間に設けられるアダプタ82と、を有する。アダプタ82は、チャンネルベース81に固定されるとともに、筐体2と溶接により接合されている。
これにより、筐体2を容易に設置することができる。具体的には、下部構造11の浸水防止性を保つために、下部構造11の底面部にボルトなどを挿通することなく、筐体2の設置を行う必要がある。例えば、筐体2の外底面にボルトなどを予め溶接しておくことが考えられるが、この場合、筐体2の輸送中にボルトの損傷が発生する可能性がある。ボルトの損傷を防止するために、筐体2の輸送中に保護カバーをボルトに設けることも考えられるが、この場合、筐体2の設置時に、保護カバーを外すために浸水防止盤1を吊り上げる作業が必要となり、筐体2の設置作業が複雑になる。チャンネルベース81と筐体2との間にアダプタ82を設け、アダプタ82をチャンネルベース81に固定するとともに、筐体2と溶接により接合することで、筐体2の外底面にボルトなどを予め溶接することなく、筐体2を容易に設置することができる。
【0062】
<第2実施形態の変形例>
図15および図16に示されるように、支持構造8は、化粧板部82dをさらに備えていてもよい。化粧板部82dは、上下方向Zに延びる第1板82d1と、水平方向に延びる第2板82d2と、を有する。第1板82d1は、アダプタ上面部82bおよびアダプタ下面部82aの外面に固定されており、複数の支柱82cを外側から覆うように設けられる。第2板82d2は、第1板82d1の上下方向Zにおける中央部から、内側に向けて延びる。第2板82d2には、複数の支柱82cに対応する複数の嵌合凹部(不図示)が形成され、これら嵌合凹部が支柱82cに嵌合することで、第2板82d2が複数の支柱82cに対して固定される。化粧板部82dにより複数の支柱82cを外側から覆うことで、支持構造8の外観を向上させることができる。
【0063】
<第3実施形態>
次に、図17を参照して、第3実施形態に係る浸水防止盤1について説明する。本実施形態に係る浸水防止盤1は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0064】
本実施形態では、下部構造11の内部に、受け部91が設けられている。受け部91は、下部機器31の下方に配置される。受け部91は、底面部22に載置される。受け部91は、底面部22の全体を覆うよう設けられる。受け部91は、上方に移動可能に設けられる。例えば、図16(c)および16(d)に示されるように、下部機器31を上部構造12の内部に配置した後に、受け部91に設けられたフックなどの被係合部91aに、棒状の係合部92を係合させて引き上げることで、受け部91を上方に移動させてもよい。係合部92は、開口部27から下部構造11に挿入される。受け部91には、筐体2の内部に落下した部品や塵などが集まっている。受け部91を上方に移動させて、開口部27から受け部91に集まった部品や塵などを除去する。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る浸水防止盤1は、下部機器31の下方に配置され、上方に移動可能な受け部91、をさらに備える。
これにより、筐体2の内部に落下した部品や塵などを受け部91に集めておき、例えば電気機器3のメンテナンス時に、受け部91を上方に移動させて、受け部91に集まった部品や塵などを除去することができる。
【0066】
<第4実施形態>
次に、図18を参照して、第4実施形態に係る浸水防止盤1について説明する。本実施形態に係る浸水防止盤1は、基本的な構成は第3実施形態と同様であるため、異なる点を中心に説明する。
【0067】
本実施形態では、下部構造11の内部に、鏡94が設けられている。鏡94は、下部機器31の下方に配置される。鏡94は、受け部91に設けられる。鏡94は、受け部91の底面に対して傾斜して設けられる。鏡94のうち前後方向Yにおける一端部は、受け部91の底面に載置され、鏡94のうち前後方向Yにおける他端部は、L字金具95aにより支持される。L字金具95aによって鏡94が損傷することを防ぐために、鏡94とL字金具95aとの間にクッション材95bが設けられていてもよい。鏡94は、点検者が開口部27から覗いたときに、鏡94により下部機器31の全体を視認できるように角度設定されている。例えば、L字金具95aの位置を調整することで、鏡94の角度を調整してもよい。
【0068】
以上説明したように、本実施形態に係る浸水防止盤1は、受け部91に載置され、下部機器31を視認可能にする鏡94、をさらに備える。
電気機器3のメンテナンス時に、鏡94を用いて下部機器31を視認することができる。これにより、下部機器31を上方に移動させることなく、下部機器31の状態を確認することができる。
【0069】
<第5実施形態>
次に、図19を参照して、第5実施形態に係る浸水防止盤1について説明する。本実施形態に係る浸水防止盤1は、基本的な構成は第1実施形態と同様であるため、異なる点を中心に説明する。なお、図19においては、操作部7の図示を省略している。
【0070】
本実施形態では、浸水防止盤1は、浸水防止盤1の周辺の水位を検出する水位検出部96を備える。水位検出部96は、筐体2の外面に取り付けられる。図19に示される例では、水位検出部96は、フロート式水位計である。筐体2の上部には、警告灯97が設けられている。図19(b)に示されるように、水位検出部96により検出された水位が予め定められた閾値を超えた場合に、警告灯97が点灯される。なお、水位検出部96により検出された水位が予め定められた閾値を超えた場合に、操作部7の表示部72に警告を表示したり、遠隔の監視センターに警告を送信したりしてもよい。
【0071】
以上説明したように、本実施形態に係る浸水防止盤1は、筐体2の周囲の水位を検出する水位検出部96、をさらに備える。
これにより、浸水時の、筐体2の周囲の状況を容易に把握することができる。
【0072】
<第5実施形態の変形例>
図20(a)に示されるように、水位検出部96は、筐体2の外面に設けられる量水板96aと、量水板96aを撮像する不図示の撮像装置と、により構成されていてもよい。また、図20(b)に示されるように、水位検出部96は、筐体2の外面に塗装された塗装部96bと、塗装部96bを撮像する不図示の撮像装置と、により構成されていてもよい。塗装部96bは、水位に応じた色に塗装される。これらの場合、撮像装置による撮像結果に基づき、浸水防止盤1の周辺の水位を計測(検出)することができる。
【0073】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0074】
例えば、図21に示されるように、第1移動機構4は、長手方向に伸縮可能なアーム部47aと、アーム部47aの一端に設けられる取付部47bと、アーム部47aの他端が取り付けられる回動支持部47cと、を有していてもよい。下部機器31は、取付部47bに、左右方向Xに延びる第1軸回りに回動可能に取り付けられる。回動支持部47cは、側面部23の内面に取り付けられる。アーム部47aの他端は、回動支持部47cに、左右方向Xに延びる第2軸回りに回動可能に取り付けられる。回動支持部47cを用いて、アーム部47aを第2軸回りに上方に向けて回動させることで、下部機器31を上方に移動させることができる。また、アーム部47aを長手方向に伸縮させるとともに、取付部47bを用いて下部機器31を第1軸回りに回動させることで、上部構造12内における下部機器31の位置および角度を調整することができる。なお、下部構造11には、下部構造11内における下部機器31の位置を固定するための、ボルトなどの固定部が設けられていてもよい。
【0075】
図22に示されるように、第1移動機構4は、頂面部21に固定される一対の上部滑車48aと、底面部22に固定される一対の下部滑車48bと、一対の上部滑車48aと一対の下部滑車48bとの間に掛け回される一対のワイヤ48cと、を有していてもよい。一対の上部滑車48aは、左右方向Xに間隔を空けて設けられ、一対の下部滑車48bは、左右方向Xに間隔を空けて設けられる。ワイヤ48cのうち、上部滑車48aと下部滑車48bとの間に位置する一方の部分を第1ワイヤ部48c1とし、上部滑車48aと下部滑車48bとの間に位置する他方の部分を第2ワイヤ部48c2とする。第1ワイヤ部48c1には、下部機器31が固定される。第2ワイヤ部48c2には、上部機器32が固定される。ワイヤ48cにおいて、下部機器31が固定される部分と、上部機器32が固定される部分との間隔は一定であるため、上部機器32を下方に移動(スライド)させることで、相対的に下部機器31を上方に移動(スライド)させることができる。また、下部機器31を下方に移動(スライド)させることで、相対的に上部機器32を上方に移動(スライド)させることができる。なお、下部構造11には、下部構造11内における下部機器31の位置を固定するための、ボルトなどの固定部が設けられていてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 浸水防止盤
2 筐体
11 下部構造
12 上部構造
13 端子台
14 内部配線
15 外部配線
16 連結部
18 筐体コネクタ
26 扉部
27 開口部
3 電気機器
31 下部機器
32 上部機器
4 第1移動機構
41 第1レール
42 第2レール(レール)
5 第2移動機構
51 第3レール
6 断熱ダクト
7 操作部
74 浮力体
75 外部レール
8 支持構造
81 チャンネルベース
82 アダプタ
91 受け部
94 鏡
96 水位検出部
C ケーブル
D 外部電源コネクタ
E 基礎コンクリート(基礎)
X 左右方向
Y 前後方向
Z 上下方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22