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特開2024-1552転写基板、微小構造体の転写方法、及び半導体素子の実装方法
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  • 特開-転写基板、微小構造体の転写方法、及び半導体素子の実装方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001552
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】転写基板、微小構造体の転写方法、及び半導体素子の実装方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/50 20060101AFI20231227BHJP
   C08G 18/67 20060101ALI20231227BHJP
   C08G 18/81 20060101ALI20231227BHJP
   C08F 299/06 20060101ALI20231227BHJP
   H01L 21/02 20060101ALI20231227BHJP
【FI】
H01L21/50 C
C08G18/67
C08G18/81
C08F299/06
H01L21/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100277
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000220239
【氏名又は名称】東京応化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100189337
【弁理士】
【氏名又は名称】宮本 龍
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(74)【代理人】
【識別番号】100211122
【弁理士】
【氏名又は名称】白石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】冨岡 有希
(72)【発明者】
【氏名】鵜野 和英
(72)【発明者】
【氏名】丸山 貴史
【テーマコード(参考)】
4J034
4J127
【Fターム(参考)】
4J034BA08
4J034CA03
4J034CA04
4J034CB03
4J034CB05
4J034DA01
4J034DF02
4J034DP18
4J034HA01
4J034HA07
4J034HA18
4J034HC12
4J034HC17
4J034HC22
4J034HC52
4J034HC61
4J034HC64
4J034HC67
4J034HC71
4J034HD00
4J034KA01
4J034KB02
4J034KC23
4J034RA08
4J034RA14
4J127AA03
4J127BB041
4J127BB091
4J127BB221
4J127BC061
4J127BC131
4J127BD411
4J127BE241
4J127BE24Y
4J127BF141
4J127BF14X
4J127BF621
4J127BF631
4J127BG041
4J127BG04X
4J127BG04Y
4J127BG04Z
4J127BG051
4J127BG05X
4J127BG05Y
4J127BG05Z
4J127BG271
4J127BG27X
4J127BG27Y
4J127BG27Z
4J127EA05
4J127FA14
4J127FA15
4J127FA37
(57)【要約】
【課題】微小構造体の移送に適した粘着層を有する転写基板、前記転写基板を用いた微小構造体の転写方法、及び前記転写方法を適用した半導体素子の実装方法を提供する。
【解決手段】第1の基板に仮固定された微小構造体をピックアップして、第2の基板に転写するための転写基板であって、ベース基板と、前記ベース基板上に形成された粘着層とを含み、前記粘着層が、重合性炭素-炭素二重結合を含むウレタン樹脂と、重合開始剤と、を含有する粘着層形成用組成物からなり、前記第1の基板からの前記微小構造体のピックアップが前記粘着層への前記微小構造体の粘着によって行われ、前記第2の基板への前記微小構造体の転写が前記粘着層と前記第2の基板が有する粘着層との粘着力の差に基づいて行われる、転写基板。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の基板に仮固定された微小構造体をピックアップして、第2の基板に転写するための転写基板であって、
ベース基板と、前記ベース基板上に形成された粘着層とを含み、
前記粘着層が、
重合性炭素-炭素二重結合を含むウレタン樹脂と、重合開始剤と、を含有する粘着層形成用組成物からなり、
前記第1の基板からの前記微小構造体のピックアップが前記粘着層への前記微小構造体の粘着によって行われ、前記第2の基板への前記微小構造体の転写が前記粘着層と前記第2の基板が有する粘着層との粘着力の差に基づいて行われる、
転写基板。
【請求項2】
前記粘着層が少なくとも1つの凸状構造を有する、請求項1に記載の転写基板。
【請求項3】
前記ウレタン樹脂が、ポリオールとポリイソシアネートとの反応生成物であって、
前記ポリオール及び前記ポリイソシアネートの少なくとも一方が、前記重合性炭素-炭素二重結合を含む、
請求項1に記載の転写基板。
【請求項4】
前記粘着層形成用組成物が、シランカップリング剤をさらに含有する、請求項1に記載の転写基板。
【請求項5】
(a)第1の基板に仮固定された微小構造体を、請求項1~4のいずれか一項に記載の転写基板の前記粘着層に転写して、前記転写基板にピックアップする工程と、
(b)前記転写基板にピックアップされた前記微小構造体を、第2の基板の粘着層に転写する工程と、を含み、
前記第2の基板の粘着層は、前記転写基板の粘着層よりも、強い粘着力を有し、前記工程(b)における転写は、前記転写基板の粘着層と前記第2の基板の粘着層との粘着力に差に基づいて行われる、
微小構造体の転写方法。
【請求項6】
(i)半導体素子を保持する供給基板から、前記半導体素子を、第1の転写基板の粘着層に転写して前記第1の転写基板にピックアップする工程と、
(ii)前記第1の転写基板にピックアップされた半導体素子を、第2の転写基板の粘着層に転写して前記第2の転写基板にピックアップする工程と、
(iii)前記第2の転写基板にピックアップされた半導体素子を、実装基板の粘着層に転写する工程と、を含み、
前記第2の転写基板が、請求項1~4のいずれか一項に記載の転写基板であり、
前記実装基板の粘着層は、前記第2の転写基板の粘着層よりも、強い粘着力を有し、前記工程(iii)における転写が、前記第2の転写基板の粘着層と前記実装基板の粘着層との粘着力の差に基づいて行われる、
半導体素子の実装方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転写基板、微小構造体の転写方法、及び半導体素子の実装方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のエレクトロニクス機器には、高性能化のみではなく、省スペース化及び省エネルギー化が求められる。そのため、搭載される電気電子部品も小型化及び微細化しており、その組立工程も複雑化している。
【0003】
例えば、マイクロLEDディスプレイは、マイクロLEDをサブピクセルとして配置されたディスプレイである。マイクロLEDは、数μm~数十μm程度の微小構造体であり、一般的なLED用のボンダー等では移送することが困難である。そこで、マイクロLEDを選択的にピックアップして回路基板に配置するための仮固定材として、ベース基板上に粘着層を有する転写基板が利用されている。
粘着層の形成に用いられる粘着層形成用組成物としては、シリコーン系粘着剤等が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-123620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
マイクロLED等の微小構造体のピックアップ及び転写を効率的に行うためには、転写基板上の粘着層の性質が重要である。そのため、粘着層として適した粘着層形成用組成物の開発が求められている。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、微小構造体の移送に適した粘着層を有する転写基板、前記転写基板を用いた微小構造体の転写方法、及び前記転写方法を適用した半導体素子の実装方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明の第1の態様は、第1の基板に仮固定された微小構造体をピックアップして、第2の基板に転写するための転写基板であって、ベース基板と、前記ベース基板上に形成された粘着層とを含み、前記粘着層が、重合性炭素-炭素二重結合を含むウレタン樹脂と、重合開始剤と、を含有する粘着層形成用組成物からなり、前記第1の基板からの前記微小構造体のピックアップが前記粘着層への前記微小構造体の粘着によって行われ、前記第2の基板への前記微小構造体の転写が前記粘着層と前記第2の基板が有する粘着層との粘着力の差に基づいて行われる、転写基板である。
【0008】
本発明の第2の態様は、(a)第1の基板に仮固定された微小構造体を、第1の態様にかかる転写基板の前記第1の粘着層に転写して、前記転写基板にピックアップする工程と、(b)前記転写基板にピックアップされた前記微小構造体を、第2の基板の粘着層に転写する工程と、を含み、前記第2の基板の粘着層は、前記転写基板の粘着層よりも、強い粘着力を有し、前記工程(b)における転写は、前記転写基板の粘着層と前記第2の基板の粘着層との粘着力に差に基づいて行われる、微小構造体の転写方法である。
【0009】
本発明の第3の態様は、(i)半導体素子が仮固定された供給基板から、前記半導体素子を、第1の転写基板の粘着層に転写して前記第1の転写基板にピックアップする工程と、(ii)前記第1の転写基板にピックアップされた半導体素子を、第2の転写基板の粘着層に転写して前記第2の転写基板にピックアップする工程と、(iii)前記第2の転写基板にピックアップされた半導体素子を、実装基板の粘着層に転写する工程と、を含み、前記第2の転写基板が、請求項1~43のいずれか一項に記載の転写基板であり、前記実装基板の粘着層は、前記第2の転写基板の粘着層よりも、強い粘着力を有し、前記工程(iii)における転写が、前記第2の転写基板の粘着層と前記実装基板の粘着層との粘着力の差に基づいて行われる、半導体素子の実装方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、微小構造体の移送に適した粘着層を有する転写基板、前記転写基板を用いた微小構造体の転写方法、及び前記転写方法を適用した半導体素子の実装方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】一実施形態の転写基板を示す模式図である。
図2】一実施形態の転写基板を示す模式図である。
図3図2に示す転写基板200の製造方法の一例を示す模式図である。
図4】一実施形態の転写基板を示す模式図である。
図5】一実施形態の半導体素子の製造方法の一工程を示す模式図である。
図6】一実施形態の半導体素子の製造方法の一工程を示す模式図である。
図7】一実施形態の半導体素子の製造方法の一工程を示す模式図である。
図8図2に示す転写基板200により、微小構造体をピックアップした状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本明細書及び本特許請求の範囲において、「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。アルコキシ基中のアルキル基も同様である。
「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状及び環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「フッ素化アルキル基」又は「フッ素化アルキレン基」は、アルキル基又はアルキレン基の水素原子の一部又は全部がフッ素原子で置換された基をいう。
「構成単位」とは、高分子化合物(樹脂、重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「置換基を有していてもよい」又は「置換基を有してもよい」と記載する場合、水素原子(-H)を1価の基で置換する場合と、メチレン基(-CH-)を2価の基で置換する場合との両方を含む。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【0013】
「ヒドロキシスチレンから誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレンのエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。「ヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位」とは、ヒドロキシスチレン誘導体のエチレン性二重結合が開裂して構成される構成単位を意味する。
「ヒドロキシスチレン誘導体」とは、ヒドロキシスチレンのα位の水素原子がアルキル基、ハロゲン化アルキル基等の他の置換基に置換されたもの、並びにそれらの誘導体を含む概念とする。それらの誘導体としては、α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンの水酸基の水素原子を有機基で置換したもの;α位の水素原子が置換基に置換されていてもよいヒドロキシスチレンのベンゼン環に、水酸基以外の置換基が結合したもの等が挙げられる。尚、α位(α位の炭素原子)とは、特に断りがない限り、ベンゼン環が結合している炭素原子のことをいう。
ヒドロキシスチレンのα位の水素原子を置換する置換基としては、前記α置換アクリル酸エステルにおいて、α位の置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0014】
上記α位の置換基としてのアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、炭素原子数1~5のアルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基)等が挙げられる。
また、α位の置換基としてのハロゲン化アルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、ハロゲン原子で置換した基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
また、α位の置換基としてのヒドロキシアルキル基は、具体的には、上記「α位の置換基としてのアルキル基」の水素原子の一部または全部を、水酸基で置換した基が挙げられる。該ヒドロキシアルキル基における水酸基の数は、1~5が好ましく、1が最も好ましい。
【0015】
本明細書及び本特許請求の範囲において、化学式で表される構造によっては不斉炭素が存在し、エナンチオ異性体(enantiomer)やジアステレオ異性体(diastereomer)が存在し得るものがあるが、その場合は一つの式でそれら異性体を代表して表す。それらの異性体は単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
【0016】
(転写基板)
本発明の第1の態様にかかる転写基板は、第1の基板に仮固定された微小構造体をピックアップして、第2の基板に転写するために用いられる。本態様にかかる転写基板は、ベース基板と、前記ベース基板上に形成された粘着層とを含む。前記粘着層は、重合性炭素-炭素二重結合を含むウレタン樹脂と、重合開始剤と、を含有する粘着層形成用組成物からなる。前記第1の基板からの前記微小構造体のピックアップが前記粘着層への前記微小構造体の粘着によって行われ、前記第2の基板への前記微小構造体の転写が前記粘着層と前記第2の基板が有する粘着層との粘着力の差に基づいて行われる。
【0017】
<粘着層形成用組成物>
≪重合性炭素-炭素二重結合を含むウレタン樹脂:(P1)成分≫
粘着層形成用組成物は、重合性炭素-炭素二重結合を含むウレタン樹脂(以下、「(P1)成分」ともいう)を含有する。
【0018】
(P1)成分が含む重合性炭素-炭素二重結合は、特に限定されないが、ラジカル重合性のものであることが好ましい。重合性炭素-炭素二重結合としては、例えば、メタクリロイル基、及びアクリロイル基が挙げられる。(P1)成分が含む重合性炭素-炭素二重結合は、1種であってもよく、2種以上であってもよい。
(P1)成分が含む重合性炭素-炭素二重結合の当量は、200~2000g/eq.以上が好ましく、300~1500g/eq.以上がより好ましく、400~1200g/eq.以上がさらに好ましく、500~1000g/eq.が特に好ましい。重合性炭素-炭素二重結合当量が、前記好ましい範囲の範囲内であると、粘着層の弾性率、耐熱性等が良好となる。前記当量数は、重合性炭素-炭素二重結合1当量当たりのウレタン樹脂の分子量である。
【0019】
(P1)成分の重量平均分子量(Mw)は、5,000~100,000が好ましく、1,000~50,000がより好ましく、12,000~30,000がさらに好ましく、13,000~25,000が特に好ましい。
【0020】
(P1)成分は、ポリイソシアネート化合物(以下、「(I)成分」ともいう)と、ポリオール(以下、「(O)成分」ともいう)との重合付加反応により合成することができる。すなわち、(P1)成分は、(I)成分と(O)成分との反応生成物である。(P1)成分は、(I)成分及び(O)成分の少なくとも一種は、重合性炭素-炭素二重結合を含んでいることが好ましい。
【0021】
〔ポリイソシアネート化合物:(I)成分〕
本明細書において、「ポリイソシアネート化合物」とは、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物(ポリイソシアネート)又は2個以上のブロックされたイソシアネート基を有する化合物(ブロックポリイソシアネート)を意味する。ポリイソシアネートとしては、特に限定されず、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられるものを特に制限なく用いることができる。
ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤との反応によりブロックされて、不活性化された化合物である。(I)成分として用いられるブロックポリイソシアネートは、熱解離性ブロック剤によりイソシアネート基がブロックされたものであることが好ましい。熱解離性ブロック剤としては、例えば、オキシム類、ジケトン類、フェノール類、カプロラクタム類等のブロック剤が挙げられる。熱解離性ブロック剤によるブロックポリイソシアネートは、常温ではイソシアネート基が不活性であり、加熱されることにより、熱解離性ブロック剤が解離してイソシアネート基を再生する。
【0022】
ポリイソシアネートの具体例としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネートなどの脂肪族ジイソシアネート;ジシクロへキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1、4-シクロヘキサンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添トリレンジイソシアネート、ジシクロへキシルメタン-4,4’-ジイソシアネートなどの脂環式ジイソシアネート;及びトリレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、p-フェニレンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネートなどの芳香族ジイソシアネート;並びに、これらのビウレット体、イソシアヌレート体、トリメチロールプロパンのアダクト体などが挙げられる。ポリイソシアネートは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
ポリイソシアネートは、市販のものを使用してもよい。市販のポリイソシアネートとしては、例えば、デュラネート(登録商標)24A-100、デュラネート22A-75P、デュラネートTPA-100、デュラネートTKA-100、デュラネートP301-75E、デュラネート21S-75E、デュラネートMFA-75B、デュラネートMHG-80B、デュラネートTUL-100、デュラネートTLA-100、デュラネートTSA-100、デュラネートTSS-100、デュラネートTSE100、デュラネートE402-80B、デュラネートE405-70B、デュラネートAS700-100、デュラネートD101、デュラネートD201、及びデュラネートA201H(以上、商品名、旭化成ケミカルズ社製)等が挙げられる。これらの製品は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0024】
ブロックイソシアネートとしては、上記のようなポリイソシアネートのイソシアネート基が、ブロック剤との反応により保護された化合物が挙げられる。ブロック剤は、熱解離性のブロック剤、すなわちイソシアネート基に付加し、常温では安定であるが解離温度以上に加熱すると遊離してイソシアネート基を生成する化合物であれば、特に限定されず、公知のものを特に制限なく用いることができる。
ブロック剤の具体例としては、たとえば、γ-ブチロラクタム、ε-カプロラクタム、γ-バレロラクタム、プロピオラクタムなどのラクタム化合物;メチルエチルケトオキシム、メチルイソアミルケトオキシム、メチルイソブチルケトオキシム、ホルムアミドオキシム、アセトアミドオキシム、アセトオキシム、ジアセチルモノオキシム、ベンゾフェノンオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム化合物;フェノール、クレゾール、カテコール、ニトロフェノールなどの単環フェノール化合物;1-ナフトールなどの多環フェノール化合物;メチルアルコール、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、tert-ブチルアルコール、トリメチロールプロパン、2-エチルヘキシルアルコールなどのアルコール化合物;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのエーテル化合物;マロン酸アルキルエステル、マロン酸ジアルキルエステル、アセト酢酸アルキルエステル、アセチルアセトンなどの活性メチレン化合物;等が挙げられる。ブロック剤は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0025】
ブロックポリイソシアネートは、ポリイソシアネートとブロック剤とを反応させることによって製造できる。ポリイソシアネートとブロック剤との反応は、たとえば、活性水素を持たない溶剤(1.4ジオキサン、セロソルブアセテート等)中にて50~100℃程度の加熱下、及び必要に応じてブロック化触媒の存在下にて行われる。ポリイソシアネートとブロック剤との使用割合は特に制限されないが、好ましくは、ポリイソシアネート中のイソシアネート基とブロック剤との当量比として、0.95:1.0~1.1:1.0であり、さらに好ましくは1:1.05~1.15である。ブロック化触媒としては公知のものを使用でき、たとえば、ナトリウムメチラート、ナトリウムエチラート、ナトリウムフェノラート、カリウムメチラートなどの金属アルコラート;テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウムなどのテトラアルキルアンモニウムのハイドロオキサイド;これらの酢酸塩、オクチル酸塩、ミリスチン酸塩、安息香酸塩などの有機弱酸塩;並びに、酢酸、カプロン酸、オクチル酸、ミリスチン酸などのアルキルカルボン酸のアルカリ金属塩;等が挙げられる。ブロック化触媒は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0026】
ブロックポリイソシアネートは、市販のものを使用してもよい。市販のブロックポリイソシアネートとしては、例えば、デュラネートMF-K60B、デュラネートSBB-70P、デュラネートSBN-70D、デュラネートMF-B60B、デュラネート17B-60P、デュラネートTPA-B80E、及びデュラネートE402-B80B(以上、商品名、旭化成株式会社製)等が挙げられる。
【0027】
(I)成分としては、熱解離性ブロック剤によりイソシアネート基がブロックされたブロックポリイソシアネートが好ましい。
(I)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。例えば、(I)成分は、脂肪族ジイソシアネート及び芳香族ジイソシアネートの混合物を用いることができる。前記脂肪族ジイソシアネートとしては、水添キシレンジイソシアネートが好ましい。前記芳香族ジイソシアネートとしては、4,4-ジフェニルメタンジイソシアネートが好ましい。
【0028】
〔ポリオール:(O)成分〕
ポリオール((O)成分)は、2個以上のヒドロキシ基(-OH)を有する化合物である。ポリオールとしては、特に限定されず、ウレタン樹脂の製造に一般的に用いられるものを特に制限なく用いることができる。(O)成分としては、例えば、重合性炭素-炭素二重結合を含むポリオール(以下、「(O1)成分」ともいう)、及びその他のポリオール(以下、「(O2)成分」ともいう)が挙げられる。
【0029】
・重合性炭素-炭素二重結合を含むポリオール((O1)成分)
(O1)成分としては、メタクリロイル基及びアクリロイル基からなる群より選択される少なくとも1種を含むポリオールが挙げられる。(O1)成分が有する重合性炭素-炭素二重結合は、1個であってもよく、2個以上であってもよい。
【0030】
(O1)成分としては、例えば、3価以上のポリオールと、メタクリル酸、アクリル酸若しくはこれらの誘導体と、のエステル等が挙げられる。前記3価以上のポリオールとしては、3価以上の低分子ポリオールが好ましい。前記3価以上の低分子ポリオールとしては、グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール;キシリトールなどの5価アルコール;ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール;ペルセイトールなどの7価アルコール;並びにショ糖などの8価アルコール;等が挙げられる。
【0031】
(O1)成分の具体例としては、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、ジグリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジグリセリンジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ソルビトールモノ(メタ)アクリレート、ソルビトールジ(メタ)アクリレート、ソルビトールトリ(メタ)アクリレート、ソルビトールテトラ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
「(メタ)アクリレート」は、メタクリレート及びアクリレートを包含する概念であり、メタクリレート又はアクリレートを意味する。
【0032】
(O1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも、(O1)成分としては、メタクリロイル基又はアクリロイル基を含むジオールであることが好ましく、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、又はペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレートがより好ましい。
【0033】
・その他のポリオール((O2)成分)
(O2)成分は、上記(O1)成分以外のポリオールである。(O2)成分は、特に限定されず、脂肪族ポリオールであってもよく、芳香族ポリオールであってもよい。(O2)成分は、低分子ポリオール(例えば、分子量500未満)であってもよく、高分子ポリオール(例えば、分子量500以上)であってもよい。
【0034】
低分子ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,4-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、炭素原子数7~22のアルカンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-2-ブチル-1,3-プロパンジオール、炭素原子数17~20のアルカン-1,2-ジオール、1,3-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、1,4-シクロヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、1,4-ジヒドロキシ-2-ブテン、2,6-ジメチル-1-オクテン-3,8-ジオール、ビスフェノールAなどの2価アルコール;グリセリン、トリメチロールプロパンなどの3価アルコール;テトラメチロールメタン(ペンタエリスリトール)、ジグリセリンなどの4価アルコール;キシリトールなどの5価アルコール;ソルビトール、マンニトール、アリトール、イジトール、ダルシトール、アルトリトール、イノシトール、ジペンタエリスリトールなどの6価アルコール;ペルセイトールなどの7価アルコール;並びにショ糖などの8価アルコール;等が挙げられる。
中でも、低分子ポリオールは、2価のアルコール(ジオール)が好ましい。
【0035】
高分子ポリオールとしては、例えば、フェノール樹脂、ヒドロキシスチレン骨格を含む樹脂、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール、ポリエステルアミドポリオール、アクリルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリヒドロキシアルカン、ポリウレタンポリオール、及び植物油系ポリオール等が挙げられる。高分子ポリオールの数平均分子量は、500~100,000であることが好ましい。
【0036】
(O2)成分として、低分子ポリオールを用いる場合、(O1)成分に対する低分子ポリオールの割合(低分子ポリオール/(O1)成分(質量比))は、0.01~0.1が好ましく、0.03~0.08がより好ましい。
【0037】
フェノール樹脂:
フェノール樹脂は、ノボラック型フェノール樹脂であってもよく、レゾール型フェノール樹脂であってもよい。ノボラック型フェノール樹脂は、フェノール性水酸基を有する芳香族化合物(以下、「フェノール類」という)とアルデヒド類とを酸触媒下で付加縮合させることにより得ることができる。レゾール型フェノール樹脂は、フェノール類とアルデヒド類とをアルカリ触媒下で付加縮合させることにより得ることができる。
【0038】
前記フェノール類としては、例えば、フェノール;m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール等のクレゾール類;2,3-キシレノール、2,5-キシレノール、3,5-キシレノール、3,4-キシレノール等のキシレノール類;m-エチルフェノール、p-エチルフェノール、o-エチルフェノール、2,3,5-トリメチルフェノール、2,3,5-トリエチルフェノール、4-tert-ブチルフェノール、3-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチルフェノール、2-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2-tert-ブチル-5-メチルフェノール等のアルキルフェノール類;p-メトキシフェノール、m-メトキシフェノール、p-エトキシフェノール、m-エトキシフェノール、p-プロポキシフェノール、m-プロポキシフェノール等のアルコキシフェノール類;o-イソプロペニルフェノール、p-イソプロペニルフェノール、2-メチル-4-イソプロペニルフェノール、2-エチル-4-イソプロペニルフェノール等のイソプロペニルフェノール類;フェニルフェノール等のアリールフェノール類;4,4’-ジヒドロキシビフェニル、ビスフェノールA、レゾルシノール、ヒドロキノン、ピロガロール、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)フルオレン、9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン、1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)シクロヘキサン等のポリヒドロキシフェノール類等が挙げられる。
【0039】
前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、ベンズアルデヒド、テレフタルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α-フェニルプロピルアルデヒド、β-フェニルプロピルアルデヒド、o-ヒドロキシベンズアルデヒド、m-ヒドロキシベンズアルデヒド、p-ヒドロキシベンズアルデヒド、o-メチルベンズアルデヒド、m-メチルベンズアルデヒド、p-メチルベンズアルデヒド、o-クロロベンズアルデヒド、m-クロロベンズアルデヒド、p-クロロベンズアルデヒド、桂皮アルデヒド、4-イソプロピルベンズアルデヒド、4-イソブチルベンズアルデヒド、4-フェニルベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0040】
付加縮合反応時の酸触媒は、特に限定されず、例えば塩酸、硝酸、硫酸、蟻酸、シュウ酸、酢酸等が使用される。付加縮合反応時のアルカリ触媒は、特に限定されず、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム、アンモニア水、トリエチルアミン、炭酸ナトリウム、ヘキサメチレンテトラミン等が使用される。
【0041】
ヒドロキシスチレン骨格を含む樹脂:
ヒドロキシスチレン骨格を含む樹脂としては、ヒドロキシスチレン又はヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位を有するものであれば、特に限定されない。ヒドロキシスチレン又はヒドロキシスチレン誘導体から誘導される構成単位の具体例としては、下記一般式(a10-1)で表される構成単位が挙げられる。
【0042】
【化1】
[式中、Rは、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。Yax1は、単結合又は2価の連結基である。Wax1は、(nax1+1)価の芳香族炭化水素基である。nax1は、1~3の整数である。]
【0043】
前記式(a10-1)中、Rは、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基である。
Rの炭素原子数1~5のアルキル基は、炭素原子数1~5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。Rの炭素原子数1~5のハロゲン化アルキル基は、前記炭素原子数1~5のアルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素原子数1~5のアルキル基又は炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子又はメチル基が最も好ましい。
【0044】
前記式(a10-1)中、Yax1は、単結合又は2価の連結基である。
Yax1における2価の連結基としては、例えば、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好適なものとして挙げられる。
【0045】
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基:
Yax1が置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である場合、該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。
【0046】
・・Yax1における脂肪族炭化水素基
該脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
前記脂肪族炭化水素基としては、直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、又は構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
【0047】
・・・直鎖状若しくは分岐鎖状の脂肪族炭化水素基
該直鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、炭素原子数1~6がより好ましく、炭素原子数1~4がさらに好ましく、炭素原子数1~3が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[-CH-]、エチレン基[-(CH-]、トリメチレン基[-(CH-]、テトラメチレン基[-(CH-]、ペンタメチレン基[-(CH-]等が挙げられる。
該分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が2~10であることが好ましく、炭素原子数3~6がより好ましく、炭素原子数3又は4がさらに好ましく、炭素原子数3が最も好ましい。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、-CH(CH)-、-CH(CHCH)-、-C(CH-、-C(CH)(CHCH)-、-C(CH)(CHCHCH)-、-C(CHCH-等のアルキルメチレン基;-CH(CH)CH-、-CH(CH)CH(CH)-、-C(CHCH-、-CH(CHCH)CH-、-C(CHCH-CH-等のアルキルエチレン基;-CH(CH)CHCH-、-CHCH(CH)CH-等のアルキルトリメチレン基;-CH(CH)CHCHCH-、-CHCH(CH)CHCH-等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
【0048】
前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素原子数1~5のフッ素化アルキル基、カルボニル基等が挙げられる。
【0049】
・・・構造中に環を含む脂肪族炭化水素基
該構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含んでもよい環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合した基、前記環状の脂肪族炭化水素基が直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。前記の直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては前記と同様のものが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素原子数が3~20であることが好ましく、炭素原子数3~12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。単環式の脂環式炭化水素基としては、モノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましい。該モノシクロアルカンとしては、炭素原子数3~6のものが好ましく、具体的にはシクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。多環式の脂環式炭化水素基としては、ポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとしては、炭素原子数7~12のものが好ましく、具体的にはアダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
【0050】
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。該置換基としては、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、カルボニル基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基としては、炭素原子数1~5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、iso-プロポキシ基、n-ブトキシ基、tert-ブトキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部又は全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、その環構造を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されてもよい。該ヘテロ原子を含む置換基としては、-O-、-C(=O)-O-、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-が好ましい。
【0051】
・・Yax1における芳香族炭化水素基
該芳香族炭化水素基は、芳香環を少なくとも1つ有する炭化水素基である。
この芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。ただし、該炭素原子数には、置換基における炭素原子数を含まないものとする。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
芳香族炭化水素基として具体的には、前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子2つを除いた基(アリーレン基又はヘテロアリーレン基);2以上の芳香環を含む芳香族化合物(例えばビフェニル、フルオレン等)から水素原子2つを除いた基;前記芳香族炭化水素環又は芳香族複素環から水素原子1つを除いた基(アリール基又はヘテロアリール基)の水素原子の1つがアルキレン基で置換された基(例えば、ベンジル基、フェネチル基、1-ナフチルメチル基、2-ナフチルメチル基、1-ナフチルエチル基、2-ナフチルエチル基等のアリールアルキル基におけるアリール基から水素原子をさらに1つ除いた基)等が挙げられる。前記のアリール基又はヘテロアリール基に結合するアルキレン基の炭素原子数は、1~4であることが好ましく、炭素原子数1~2であることがより好ましく、炭素原子数1であることが特に好ましい。
【0052】
前記芳香族炭化水素基は、当該芳香族炭化水素基が有する水素原子が置換基で置換されていてもよい。例えば、当該芳香族炭化水素基中の芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基等が挙げられる。
前記置換基としてのアルキル基としては、炭素原子数1~5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n-ブチル基、tert-ブチル基であることが最も好ましい。
前記置換基としてのアルコキシ基、ハロゲン原子及びハロゲン化アルキル基としては、前記環状の脂肪族炭化水素基が有する水素原子を置換する置換基として例示したものが挙げられる。
【0053】
・ヘテロ原子を含む2価の連結基:
Yax1がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとして、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)-、-S(=O)-O-、一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)-O-Y22-で表される基[式中、Y21およびY22はそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、Oは酸素原子であり、m”は0~3の整数である。]等が挙げられる。
前記のヘテロ原子を含む2価の連結基が-C(=O)-NH-、-C(=O)-NH-C(=O)-、-NH-、-NH-C(=NH)-の場合、そのHはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素原子数が1~10であることが好ましく、1~8であることがさらに好ましく、1~5であることが特に好ましい。
一般式-Y21-O-Y22-、-Y21-O-、-Y21-C(=O)-O-、-C(=O)-O-Y21-、-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-、-Y21-O-C(=O)-Y22-または-Y21-S(=O)-O-Y22-中、Y21およびY22は、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。該2価の炭化水素基としては、前記2価の連結基としての説明で挙げた(置換基を有していてもよい2価の炭化水素基)と同様のものが挙げられる。
21としては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基又はエチレン基が特に好ましい。
22としては、直鎖状又は分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基又はアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素原子数1~5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素原子数1~3の直鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基が最も好ましい。
式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基において、m”は0~3の整数であり、0~2の整数であることが好ましく、0又は1がより好ましく、1が特に好ましい。つまり、式-[Y21-C(=O)-O]m”-Y22-で表される基としては、式-Y21-C(=O)-O-Y22-で表される基が特に好ましい。中でも、式-(CHa’-C(=O)-O-(CHb’-で表される基が好ましい。該式中、a’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。b’は、1~10の整数であり、1~8の整数が好ましく、1~5の整数がより好ましく、1又は2がさらに好ましく、1が最も好ましい。
【0054】
Yax1としては、単結合、エステル結合[-C(=O)-O-]、エーテル結合(-O-)、-C(=O)-NH-、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又はこれらの組合せであることが好ましく、中でも単結合が特により好ましい。
【0055】
前記式(a10-1)中、Wax1は、(nax1+1)価の芳香族炭化水素基である。
Wax1における芳香族炭化水素基としては、芳香環から(nax1+1)個の水素原子を除いた基が挙げられる。ここでの芳香環は、4n+2個のπ電子をもつ環状共役系であれば特に限定されず、単環式でも多環式でもよい。芳香環の炭素原子数は5~30であることが好ましく、炭素原子数5~20がより好ましく、炭素原子数6~15がさらに好ましく、炭素原子数6~12が特に好ましい。芳香環として具体的には、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、フェナントレン等の芳香族炭化水素環;前記芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換された芳香族複素環等が挙げられる。芳香族複素環におけるヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。芳香族複素環として具体的には、ピリジン環、チオフェン環等が挙げられる。
【0056】
前記式(a10-1)中、nax1は、1~3の整数であり、1又は2が好ましく、1がより好ましい。
【0057】
以下に、前記一般式(a10-1)で表される構成単位の具体例を示す。
下記の式中、Rαは、水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を示す。
【0058】
【化2】
【0059】
ヒドロキシスチレン骨格を含む樹脂は、ヒドロキシスチレン又はヒドロキシスチレン誘導体の重合体であることが好ましく、ヒドロキシスチレンの重合体(ポリヒドロキシスチレン)であることがより好ましい。
【0060】
〔ポリカーボネートポリオール〕
ポリカーボネートポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,8-ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,4-シクロヘキサンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ビスフェノールA、又は水添ビスフェノールA等の1種又は2種以上のグリコールを、ジメチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、エチレンカーボネート、ホスゲン等と反応させることによって得られるポリカーボネートポリオールが挙げられる。
【0061】
中でも、ポリカーボネートポリオールは、下記一般式(PC-1)で表されるポリカーボネートジオールが好ましい。
【0062】
【化3】
[式中、Rp及びRpは、それぞれ独立に、2価の炭化水素基である。npは、2以上の整数である。]
【0063】
前記一般式(PC-1)中、Rp及びRpは、それぞれ独立に、2価の炭化水素基である。前記2価の炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。前記2価の炭化水素基としては、上記一般式(a10-1)中のYax1で挙げたものと同様のものが挙げられる。Rp及びRpにおける2価の炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。前記2価の炭化水素基は、炭素原子数1~10が好ましく、炭素原子数3~8がより好ましく、炭素原子数4~6がさらに好ましい。Rp及びRpの具体例としては、-(CH―、又は-(CH―が挙げられる。
【0064】
ポリカーボネートポリオールの重量平均分子量(Mw)は、500~5000が好ましく、500~3000がより好ましく、500~2000がさらに好ましく、500~1000が特に好ましい。
【0065】
(O2)成分として、ポリカーボネートポリオールを用いる場合、(O1)成分に対するポリカーボネートポリオールの割合(ポリカーボネートポリオール/(O1)成分(質量比))は、0.1~5が好ましく、0.3~3がより好ましく、0.4~3がさらに好ましい。
【0066】
その他のポリオール:
ポリエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物と、を反応させて得られるポリエステルポリオール、或いはポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0067】
ポリエーテルポリオールとしては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、例えば、水、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0068】
ポリエーテルエステルポリオールとしては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバチン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、上記ポリエーテルポリオールとを反応させて得られるポリエーテルエステルポリオールが挙げられる。
【0069】
ポリエステルアミドポリオールとしては、上記エステル化反応に際し、例えば、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等のアミノ基を有する脂肪族ジアミンを原料としてあわせて使用することによって得られるポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
【0070】
アクリルポリオールとしては、1分子中に1個以上の水酸基を含むアクリル酸ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロプル、アクリルヒドロキシブチル等、或いはこれらの対応するメタクリル酸誘導体等と、例えばアクリル酸、メタクリル酸又はそのエステルとを共重合することによって得られるポリエステルアミドポリオールが挙げられる。
【0071】
ポリヒドロキシアルカンとしては、ブタジエン又はブタジエンと、アクリルアミド等と共重合して得られる液状ゴムが挙げられる。
【0072】
ポリウレタンポリオールとしては、1分子中に1個以上のウレタン結合を有するポリオールであり、例えば、数平均分子量200~20,000のポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルエステルポリオール等と、ポリイソシアネートとを、好ましくはNCO/OHが1未満、より好ましくは0.9以下で反応させて得られるポリウレタンポリオールが挙げられる。
【0073】
植物油系ポリオールとしては、ヒマシ油、ヒマシ油変性ポリオール、ダイマー酸変性ポリオール、及び大豆油変性ポリオール等が挙げられる。中でも、植物油系ポリオールとしては、ヒマシ油変性ポリオールが好ましく、ヒマシ油変性ジオールがより好ましい。
(O2)成分として、植物油系ポリオールを用いる場合、(O1)成分に対する植物油系ポリオールの割合(植物油系ポリオール/(O1)成分(質量比))は、0.1~5が好ましく、0.3~3がより好ましく、0.4~2.5がさらに好ましい。
【0074】
(O2)成分は、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
上記の中でも、(O2)成分としては、粘着層形成用組成物の粘度、及び粘着層の硬さを調整する観点から、ポリカーボネートポリオール、及び低分子ポリオールが好ましい。また、粘着層の耐熱性を高める観点から、(O2)成分として、ヒマシ油変性ポリオールを用いてもよい。
【0075】
(O)成分は、粘着層形成用組成物の粘度、及び粘着層の耐熱性等を調整する観点から、(O1)成分と(O2)成分との組み合わせであることが好ましい。前記(O2)成分としては、低分子ポリオール、ポリカーボネートポリオール、若しくはヒマシ油変性ポリオール、又はこれらの組合せが好ましい。(O1)成分と組み合わせる(O2)成分の具体例としては、ポリカーボネートポリオール、ヒマシ油変性ポリオール、及び低分子ポリオールの組合せ;ポリカーボネートポリオール、及びヒマシ油変性ポリオールの組合せ;並びにポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
(O1)成分と(O2)成分との質量比は、(O1):(O2)=1:5~5:1が好ましく、1:4~2:1がより好ましく、1:4~1:1がさらに好ましく、1:4~1:2が特に好ましい。(O1)成分と(O2)成分との質量比を前記範囲内とすることにより、粘着層の弾性率及び耐熱性等を、向上させることができる。
【0076】
(P1)成分は、(I)成分及び(O)成分を混合し、公知のウレタン樹脂の合成方法に従って、共重合させることにより、合成することができる。(I)成分及び(O)成分の共重合は、ビスマス触媒等の公知のウレタン化触媒の存在下で行うことが好ましい。また、(O1)成分中の重合性炭素-炭素二重結合の重合を避けるため、反応系に重合禁止剤を添加してもよい。
【0077】
(P1)成分の合成に用いる(I)成分と(O)成分との比率(質量比)は、例えば、(I):(O)=10:90~60:40が好ましく、20:80~50:50がより好ましく、25:75~45:55がさらに好ましい。(I)成分中のイソシアネート基(-NCO)に対する(O)成分中のヒドロキシ基(-OH)のモル比(NCO/OH)は、60:40~40:60であることが好ましく、55:45~45:55であることがより好ましい。
【0078】
(P1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
粘着層形成用組成物における(P1)成分の含有量は、支持体等に塗布可能な濃度であれば特に限定されない。粘着層形成用組成物における(P1)成分の含有量としては、粘着層形成用組成物の総量(100質量%)に対して、10~60質量%が好ましく、20~60質量%がより好ましく、30~60質量%がさらに好ましい。
【0079】
<重合開始剤:(A)成分>
粘着層形成用組成物は、上記(P1)成分に加えて、重合開始剤(以下、(A)成分ともいう)を含有する。重合開始剤は、重合反応を促進させる機能を有する成分をいう。(A)成分としては、熱重合開始剤、光重合開始剤等が挙げられる。
【0080】
熱重合開始剤としては、例えば過酸化物、アゾ系重合開始剤等が挙げられる。
【0081】
熱重合開始剤における過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル等が挙げられる。このような過酸化物として具体的には、過酸化アセチル、過酸化ジクミル、過酸化tert-ブチル、過酸化t-ブチルクミル、過酸化プロピオニル、過酸化ベンゾイル(BPO)、過酸化2-クロロベンゾイル、過酸化3-クロロベンゾイル、過酸化4-クロロベンゾイル、過酸化2,4-ジクロロベンゾイル、過酸化4-ブロモメチルベンゾイル、過酸化ラウロイル、過硫酸カリウム、ペルオキシ炭酸ジイソプロピル、テトラリンヒドロペルオキシド、1-フェニル-2-メチルプロピル-1-ヒドロペルオキシド、過トリフェニル酢酸-tert-ブチル、tert-ブチルヒドロペルオキシド、過ギ酸tert-ブチル、過酢酸tert-ブチル、過安息香酸tert-ブチル、過フェニル酢酸tert-ブチル、過4-メトキシ酢酸tert-ブチル、過N-(3-トルイル)カルバミン酸tert-ブチル等が挙げられる。
【0082】
前記の過酸化物には、例えば、日本油脂株式会社製の商品名「パークミル(登録商標)」、商品名「パーブチル(登録商標)」、商品名「パーロイル(登録商標)」及び商品名「パーオクタ(登録商標)」等の市販されているものを用いることができる。
【0083】
熱重合開始剤におけるアゾ系重合開始剤としては、例えば、2,2’-アゾビスプロパン、2,2’-ジクロロ-2,2’-アゾビスプロパン、1,1’-アゾ(メチルエチル)ジアセテート、2,2’-アゾビス(2-アミジノプロパン)塩酸塩、2,2’-アゾビス(2-アミノプロパン)硝酸塩、2,2’-アゾビスイソブタン、2,2’-アゾビスイソブチルアミド、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルプロピオン酸メチル、2,2’-ジクロロ-2,2’-アゾビスブタン、2,2’-アゾビス-2-メチルブチロニトリル、2,2’-アゾビスイソ酪酸ジメチル、1,1’-アゾビス(1-メチルブチロニトリル-3-スルホン酸ナトリウム)、2-(4-メチルフェニルアゾ)-2-メチルマロノジニトリル4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸、3,5-ジヒドロキシメチルフェニルアゾ-2-アリルマロノジニトリル、2,2’-アゾビス-2-メチルバレロニトリル、4,4’-アゾビス-4-シアノ吉草酸ジメチル、2,2’-アゾビス-2,4-ジメチルバレロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’-アゾビス-2-プロピルブチロニトリル、1,1’-アゾビスシクロヘキサンニトリル、2,2’-アゾビス-2-プロピルブチロニトリル、1,1’-アゾビス-1-クロロフェニルエタン、1,1’-アゾビス-1-シクロヘキサンカルボニトリル、1,1’-アゾビス-1-シクロヘプタンニトリル、1,1’-アゾビス-1-フェニルエタン、1,1’-アゾビスクメン、4-ニトロフェニルアゾベンジルシアノ酢酸エチル、フェニルアゾジフェニルメタン、フェニルアゾトリフェニルメタン、4-ニトロフェニルアゾトリフェニルメタン、1,1’-アゾビス-1,2-ジフェニルエタン、ポリ(ビスフェノールA-4,4’-アゾビス-4-シアノペンタノエート)、ポリ(テトラエチレングリコール-2,2’-アゾビスイソブチレート)等が挙げられる。
【0084】
光重合開始剤としては、例えば、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-(4-ドデシルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ビス(4-ジメチルアミノフェニル)ケトン、2-メチル-1-〔4-(メチルチオ)フェニル〕-2-モルフォリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン、エタノン1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-1-(o-アセチルオキシム)、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、4-ベンゾイル-4’-メチルジメチルスルフィド、4-ジメチルアミノ安息香酸、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸ブチル、4-ジメチルアミノ-2-エチルヘキシル安息香酸、4-ジメチルアミノ-2-イソアミル安息香酸、ベンジル-β-メトキシエチルアセタール、ベンジルジメチルケタール、1-フェニル-1,2-プロパンジオン-2-(o-エトキシカルボニル)オキシム、o-ベンゾイル安息香酸メチル、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2,4-ジメチルチオキサントン、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、チオキサンテン、2-クロロチオキサンテン、2,4-ジエチルチオキサンテン、2-メチルチオキサンテン、2-イソプロピルチオキサンテン、2-エチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2-ベンズアントラキノン、2,3-ジフェニルアントラキノン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルパーオキシド、クメンパーオキシド、2-メルカプトベンゾイミダール、2-メルカプトベンゾオキサゾール、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-クロロフェニル)-4,5-ジ(メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2-(o-フルオロフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(o-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2-(p-メトキシフェニル)-4,5-ジフェニルイミダゾール二量体、2,4,5-トリアリールイミダゾール二量体、ベンゾフェノン、2-クロロベンゾフェノン、4,4’-ビスジメチルアミノベンゾフェノン(すなわち、ミヒラーズケトン)、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン(すなわち、エチルミヒラーズケトン)、4,4’-ジクロロベンゾフェノン、3,3-ジメチル-4-メトキシベンゾフェノン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン-n-ブチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン-t-ブチルエーテル、アセトフェノン、2,2-ジエトキシアセトフェノン、p-ジメチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノプロピオフェノン、ジクロロアセトフェノン、トリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルアセトフェノン、p-ジメチルアミノアセトフェノン、p-t-ブチルトリクロロアセトフェノン、p-t-ブチルジクロロアセトフェノン、α,α-ジクロロ-4-フェノキシアセトフェノン、チオキサントン、2-メチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン、ジベンゾスベロン、ペンチル-4-ジメチルアミノベンゾエート、9-フェニルアクリジン、1,7-ビス-(9-アクリジニル)ヘプタン、1,5-ビス-(9-アクリジニル)ペンタン、1,3-ビス-(9-アクリジニル)プロパン、p-メトキシトリアジン、2,4,6-トリス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-メチル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(フラン-2-イル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-[2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル]-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-エトキシスチリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-n-ブトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)フェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(3-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン、2,4-ビス-トリクロロメチル-6-(2-ブロモ-4-メトキシ)スチリルフェニル-s-トリアジン等が挙げられる。
【0085】
前記の光重合開始剤には、例えば「IRGACURE OXE02」、「IRGACURE OXE01」、「IRGACURE 369」、「IRGACURE 651」、「IRGACURE 907」(何れも商品名、BASF社製)並びに「NCI-831」(商品名、株式会社ADEKA製)等の市販されているものを用いることができる。
【0086】
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(A)成分としては、熱重合開始剤が好ましく、過酸化物がより好ましい。(A)成分の使用量は、(P1)成分の使用量に応じて調整することができる。本実施形態の粘着層形成用組成物中における重合開始剤の含有量は、(P1)成分100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、0.5~5質量部であることがより好ましい。
【0087】
≪任意成分≫
粘着層形成用組成物は、上記(P1)成分及び(A)成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を含んでいてもよい。任意成分は、特に限定されないが、例えば、シランカップリング剤、重合禁止剤、溶剤成分、可塑剤、接着補助剤、安定剤、着色剤、界面活性剤等が挙げられる。
【0088】
〔シランカップリング剤:(B)成分〕
粘着層形成用組成物は、上記(P1)成分及び(A)成分に加えて、シランカップリング剤(以下、(B)成分ともいう)を含有することが好ましい。(B)成分を用いることにより、ベース基板に対する密着性を向上させることができる。
シランカップリング剤は、反応性の異なる2種類の官能基を有するシラン化合物である。2種類の官能基は、加水分解性基とそれ以外の官能基であることが好ましい。「加水分解性基」とは、ケイ素原子に直結し、加水分解反応及び/又は縮合反応によってシロキサン結合を生じ得る置換基をいう。加水分解性基としては、例えば、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基等が挙げられる。前記アルコキシ基及びアシルオキシ基としては、炭素原子数1~5が好ましく、炭素原子数1~3がより好ましい。中でも、加水分解性基としては、アルコキシ基が好ましく、エトキシ基又はメトキシ基がより好ましい。すなわち、シランカップリング剤は、アルコキシシリル基を有する化合物が好ましく、エトキシシリル基又はメトキシシリル基が有する化合物がより好ましい。
【0089】
加水分解性基以外の官能基は、特に限定されないが、例えば、エポキシ基、アミノ基、イソシアネート基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基、メルカプト基、ウレイド基、スチリル基等が挙げらるが、これらに限定されない。「(メタ)アクリロイル基」は、メタクリロイル基及びアクリロイル基を包含する概念であり、メタクリロイル基又はアクリロイル基を意味する。
【0090】
(B)成分は、例えば、下記一般式(b1)で表される化合物(以下、「化合物(B1)ともいう)が挙げられる。
Y-L-SiR3-n ・・・(b1)
[式中、Xは加水分解性基を表し;Yは加水分解性基以外の官能基を表し;Lは2価の連結基を表し;Rはアルキル基を表し;nは1~3の整数を表す。]
【0091】
一般式(b1)中のXは、ケイ素原子に直結する加水分解性基を表す。Xは、上記で説明した加水分解性基と同様である。
一般式(b1)中のYは、前記加水分解性基以外の官能基を表す。Yは、上記で説明した官能基と同様である。
一般式(b1)中のLは、2価の連結基を表す。Lにおける2価の連結基としては、前記式(a10-1)中のYax1で挙げたものと同様のものが挙げられる。Lにおける2価の連結基は、ヘテロ原子を有してもよい脂肪族炭化水素基が好ましく、ヘテロ原子を有してもよいアルキレン基がより好ましい。前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。Lとしては、メチレン基の一部が、-O-、-C(=O)-O-、-C(=O)-、-O-C(=O)-O-、-C(=O)-NH-、-NH-、-NH-C(=NH)-(Hはアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい。)、-S-、-S(=O)-、又は-S(=O)-O-で置換されていてもよい、アルキレン基が好ましい。Lとしては、メチレン基の一部が、-O-又は-NH-で置換されてもよいアルキレン基がより好ましい。前記アルキレン基は、炭素原子数1~20が好ましく、炭素原子数3~15がより好ましく、炭素原子数3~10がさらに好ましい。
一般式(b1)中のRは、アルキル基を表す。Rのアルキル基は、炭素原子数1~3が好ましく、炭素原子数1又は2が好ましく、メチル基がより好ましい。
一般式(b1)中のnは、1~3の整数を表す。nは、2又は3が好ましく、3がより好ましい。
【0092】
Yがエポキシ基である化合物(B1)としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、2(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、及び3-グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0093】
Yがアミノ基である化合物(B1)としては、例えば、N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルジメトキシシラン、3-アミノプロピルジエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0094】
Yがイソシアネート基である化合物(B1)としては、例えば、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0095】
Yがビニル基である化合物(B1)としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
Yが(メタ)アクリロイル基である化合物(B1)としては、例えば、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0097】
Yがメルカプト基である化合物(B1)としては、例えば、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0098】
Yがウレイド基である化合物(B1)としては、例えば、3-ウレイドプロピルトリアルコキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0099】
Yがスチリル基である化合物(B1)としては、例えば、p-スチリルトリメトキシシラン等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0100】
化合物(B1)の市販品としては、例えば、KBM-303、KBM-402、KBM-403、KBE402、KBE-403、KBM-602、KBM-603、KBM-903、KBE-903、KBE-9103P、KBM-573、KBM-575、KBM-1003、KBE-1003、KBM-502、KBM-503、KBE-502、KBE-503、KBM-5103、KBM-802、KBM-803、KBE-585A、KBM-1403(いずれも信越化学工業製);Z-6883、OFS-6032、Z-6269、OFS-6032、OFS-6032、Z-6119、Z-6120、Z-6675、OFS-6040、Z-6044、Z-6043、Z-6075、Z-6300、Z-6519、Z-6825、OFS-6030、Z-6033、Z-6062(いずれもダウ・東レ株式会社製)等が挙げられる。
【0101】
(B)成分は、ポリマー型シランカップリング剤であってもよい。ポリマー型シランカップリング剤としては、ポリシロキサン型シランカップリング剤、有機ポリマー型シランカップリング剤が挙げられる。
【0102】
ポリシロキサン型シランカップリング剤は、主鎖にポリシロキサン骨格(-Si-O-の繰り返し単位からなるポリマー)を有するポリマーに、加水分解性基及び前記加水分解性基以外の官能基が結合したシランカップリング剤である。ポリシロキサン型シランカップリング剤は、化合物(B1)のシランカップリング剤の加水分解縮合物である。
ポリシロキサン型シランカップリング剤の市販品としては、例えば、KR-517、KR-516、KR-513、X-41-1805、X41-1810(いずれも信越化学工業製)等が挙げられる。
【0103】
有機ポリマー型シランカップリング剤は、主鎖が有機構造である有機ポリマーに、加水分解性基及び前記加水分解性基以外の官能基が結合したシランカップリング剤である。有機ポリマーは、特に限定されず、任意の有機ポリマーを用いることができる。有機ポリマー型シランカップリング剤は、加水分解性基としてエトキシ基又はメトキシ基を有するものが好ましい。官能基当量(ケイ素原子1個に対する官能基数)としては、例えば、1~10が好ましく、1~5がより好ましく、2又は3がさらに好ましい。
有機ポリマー型シランカップリング剤の市販品としては、例えば、X-12-972F、X-12-981S、X-12-984S、X-12-1048、X-12-1050、X-12-1154、X-12-1242、X-12-1159L(いずれも信越化学工業製)等が挙げられる。
【0104】
(B)成分の好ましい例としては、エポキシ基、アミノ基、又はイソシアネート基を有する化合物(B1)、又はエポキシ基、アミノ基、又はイソシアネート基を有する有機ポリマー型シランカップリング剤が挙げられる。
【0105】
(B)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。(B)成分は、基板の種類に応じて適切なものを選択することができる。
【0106】
本実施形態の粘着層形成用組成物が(B)成分を含有する場合、(B)成分の含有量は、例えば、(P1)成分100質量部に対して、0.1~10質量部であることが好ましく、1~10質量部であることがより好ましく、1~5質量部であることがさらに好ましく、3~5質量部であることが特に好ましい。
【0107】
〔重合禁止剤〕
重合禁止剤は、熱や光によるラジカル重合反応を防止する機能を有する成分をいう。重合禁止剤は、ラジカルに対して高い反応性を示す。
【0108】
重合禁止剤としては、フェノール骨格を有するものが好ましい。例えば、かかる重合禁止剤には、ヒンダードフェノール系の酸化防止剤を用いることが可能であり、ピロガロール、ベンゾキノン、ヒドロキノン、メチレンブルー、tert-ブチルカテコール、モノベンジルエーテル、メチルヒドロキノン、アミルキノン、アミロキシヒドロキノン、n-ブチルフェノール、フェノール、ヒドロキノンモノプロピルエーテル、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(2-メチルフェノール)、4,4’-(1-メチルエチリデン)ビス(2,6-ジメチルフェノール)、4,4’-[1-〔4-(1-(4-ヒドロキシフェニル)-1-メチルエチル)フェニル〕エチリデン]ビスフェノール、4,4’,4”-エチリデントリス(2-メチルフェノール)、4,4’,4”-エチリデントリスフェノール、1,1,3-トリス(2,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルプロパン、2,6-ジ-tert-ブチル-4-メチルフェノール、2,2’-メチレンビス(4-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-ブチリデンビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、4,4’-チオビス(3-メチル-6-tert-ブチルフェノール)、3,9-ビス[2-(3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)-プロピオニルオキシ)-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカン、トリエチレングリコール-ビス-3-(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオネート、n-オクチル-3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリルテトラキス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート](商品名IRGANOX1010、BASF社製)、トリス(3,5-ジ-tert-ブチルヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、チオジエチレンビス[3-(3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]等が挙げられる。
【0109】
重合禁止剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
重合禁止剤の含有量は、樹脂成分の種類、及び使用環境に応じて適宜決定すればよい。
【0110】
〔界面活性剤〕
界面活性剤としては、たとえば、フッ素系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。
【0111】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、BM-1000、BM-1100(いずれもBMケミー社製)、メガファックF142D、メガファックF172、メガファックF173、メガファックF183(いずれもDIC社製)、フロラードFC-135、フロラードFC-170C、フロラードFC-430、フロラードFC-431(いずれも住友スリーエム社製)、サーフロンS-112、サーフロンS-113、サーフロンS-131、サーフロンS-141、サーフロンS-145(いずれも旭硝子社製)、SH-28PA、SH-190、SH-193、SZ-6032、SF-8428(いずれも東レシリコーン社製)等の市販のフッ素系界面活性剤が挙げられる。
【0112】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、未変性シリコーン系界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤、アルキル変性シリコーン系界面活性剤、アラルキル変性シリコーン系界面活性剤、及び反応性シリコーン系界面活性剤等が挙げられる。シリコーン系界面活性剤は、市販のものを用いることができる。市販のシリコーン系界面活性剤の具体例としては、例えば、ペインタッドM(東レ・ダウコーニング社製)、トピカK1000、トピカK2000、トピカK5000(いずれも高千穂産業社製)、XL-121(ポリエーテル変性シリコーン系界面活性剤、クラリアント社製)、BYK-310(ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤、ビックケミー社製)等が挙げられる。
【0113】
界面活性剤は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。界面活性剤としては、シリコーン系界面活性剤が好ましく、ポリエステル変性シリコーン系界面活性剤がより好ましい。界面活性剤を用いる場合、粘着層形成用組成物における界面活性剤の含有量は、(P1)成分100質量部に対して、0.01~1質量部であることが好ましく、0.05~0.5質量部であることがより好ましい。
【0114】
〔溶剤成分〕
粘着層形成用組成物は、(P1)成分及び(A)成分と、必要に応じて任意成分と、を溶剤成分に溶解して混合することにより調製することができる。溶剤成分としては、上記各成分を溶解可能なものを用いることができる。
【0115】
溶剤成分としては、例えば、炭化水素溶剤、石油系溶剤、及び前記溶剤以外のその他の溶剤が挙げられる。以下、炭化水素溶剤及び石油系溶剤をまとめて「(S1)成分」ともいう。(S1)成分以外の溶剤成分を「(S2)成分」ともいう。
【0116】
炭化水素溶剤としては、直鎖状、分岐鎖状又は環状の炭化水素が挙げられる。炭化水素溶剤としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、メチルオクタン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン等の直鎖状の炭化水素;イソオクタン、イソノナン、イソドデカン等の分岐鎖状の炭化水素;p-メンタン、o-メンタン、m-メンタン、ジフェニルメンタン、1,4-テルピン、1,8-テルピン、ボルナン、ノルボルナン、ピナン、ツジャン、カラン、ロンギホレン、α-テルピネン、β-テルピネン、γ-テルピネン、α-ピネン、β-ピネン、α-ツジョン、β-ツジョン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン等の脂環式炭化水素;トルエン、キシレン、インデン、ペンタレン、インダン、テトラヒドロインデン、ナフタレン、テトラヒドロナフタレン(テトラリン)、デカヒドロナフタレン(デカリン)等の芳香族炭化水素が挙げられる。
【0117】
石油系溶剤とは、重油から精製される溶剤であり、例えば白灯油、パラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤が挙げられる。
【0118】
(S2)成分としては、極性基として酸素原子、カルボニル基又はアセトキシ基等を有するテルペン溶剤が挙げられ、例えば、ゲラニオール、ネロール、リナロール、シトラール、シトロネロール、メントール、イソメントール、ネオメントール、α-テルピネオール、β-テルピネオール、γ-テルピネオール、テルピネン-1-オール、テルピネン-4-オール、ジヒドロターピニルアセテート、1,4-シネオール、1,8-シネオール、ボルネオール、カルボン、ヨノン、ツヨン、カンファー等が挙げられる。
【0119】
また、(S2)成分としては、γ-ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン(CH)、メチル-n-ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2-ヘプタノン等のケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール等の多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、又はジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、上記多価アルコール類又は上記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテル又はモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体(これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい);ジオキサンのような環式エーテル類;乳酸メチル、乳酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチル等のエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル等の芳香族系有機溶剤も挙げられる。
【0120】
溶剤成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。溶剤成分としては、(P1)成分に対して不活性なものが好ましい。好ましい溶剤成分としては、例えば、エステル系溶剤、ケトン系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、PGMEA、PGME、及びこれらの混合溶剤等が挙げられる。
【0121】
粘着層形成用組成物における溶剤成分の含有量は、粘着層の厚さに応じて適宜調整すればよい。溶剤成分の含有量としては、例えば、粘着層形成用組成物の総量(100質量%)に対して、40~90質量%の範囲内であることが好ましい。すなわち、粘着層形成用組成物は、固形分(溶剤成分を除いた配合成分の合計量)濃度が10~80質量%の範囲内であることが好ましい。溶剤成分の含有量が前記の好ましい範囲内であると、粘度調整が容易となる。
【0122】
重合開始剤は、粘着層形成用組成物を使用する直前に、公知の方法により配合することができる。重合開始剤又は重合禁止剤は、上記(S2)成分に予め溶解した溶液の形態で配合してもよい。(S2)成分の使用量は、重合開始剤又は重合禁止剤の種類等に応じて適宜調整すればよく、例えば、(S1)成分100質量部に対して、1~50質量部が好ましく、5~30質量部がより好ましい。(S2)成分の使用量が前記の好ましい範囲内であれば、重合開始剤又は重合禁止剤を充分に溶解することができる。
【0123】
<ベース基板>
転写基板に用いられるベース基板の材質は、特に限定されない。ベース基板の材質としては、例えば、プラスチックフィルム、ガラス、合成石英ガラス、金属等が挙げられるが、これらに限定されない。ベース基板は、化学強化処理等を施したものでもよい。ベース基板は、粘着層の密着性を向上させるために、プライマー処理、プラズマ処理等を施したものでもよい。微小構造体移送時の位置ずれを抑制し、移送精度を高める観点から、ベース基板は、平坦度の高い合成石英ガラス基板を用いることが好ましい。
【0124】
<転写基板の構成>
本実施形態の転写基板は、ベース基板と、前記ベース基板上に形成された粘着層と、を含む。図1は、一実施形態の転写基板100を示す。転写基板100は、ベース基板110の一方の面上に、粘着層120を有している。粘着層120は、上記粘着層形成用組成物により形成されている。粘着層120の厚さは、特に限定されないが、成型性及び平坦性の観点から、1μm~1cmが好ましく、10μm~5mmがより好ましい。
【0125】
粘着層120を形成する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、ベース基板110上に、上記粘着層形成用組成物を塗布し、乾燥させることにより、粘着層120を形成することができる。ベース基板110上に、粘着層形成用組成物を塗布する方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、ローラーブレード、スプレー塗布、スリット塗布等の方法が挙げられる。粘着層形成用組成物の乾燥は、加熱乾燥で行ってもよく、減圧乾燥で行ってもよい。
【0126】
粘着層の形成は、フィルム上に粘着層が形成された粘着フィルムを用いて行ってもよい。例えば、粘着フィルムの粘着層がベース基板110に接するように、ベース基板110上に粘着フィルムを積層し、加熱ローラ等を用いて熱圧着する。その後、フィルムを剥離することにより、ベース基板110上に粘着層120を形成することができる。
【0127】
粘着層は、少なくとも1つの凸状構造を有してもよい。凸状構造としては、例えば、図2に示す凸部221、図3に示す島状粘着部321等が挙げられる。
【0128】
図2は、別の実施形態の転写基板200を示す。転写基板200は、ベース基板210の一方の面上に、粘着層220を有している。粘着層220は、上記粘着層形成用組成物により形成されている。粘着層220の表面は、複数の凸部221及び凹部222が形成された凹凸構造を有している。微小構造体のピックアップの際には、凸部221に微小構造体が粘着して仮固定される。
【0129】
ベース基板210上に粘着層220を形成する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。例えば、モールド成型により、粘着層220を形成することができる。図3は、モールド成型により、粘着層220を形成する方法の一例を示す模式図である。ベース基板210とモールドMとの間に、上記粘着層形成用組成物を充填し、乾燥させた後、モールドMを脱型することで、転写基板200を得ることができる。モールドMとしては、例えば、シリコンウエハーや石英基板上にフォトレジストにより所望の凹凸をつけたレジスト型、付加硬化型樹脂にパターン露光して凹凸をつけた樹脂型等を用いることができる。樹脂型の場合、基材として各種プラスチックフィルムを用いることができる。ベース基板210とモールドMとの間に、粘着層形成用組成物を充填する方法としては、ベース基板210とモールドMのいずれか又は両方に、粘着層形成用組成物を塗布した後、ベース基板210及びモールドMを貼り合せる方法が挙げられる。
【0130】
粘着層220は、凹凸構造を有するシート状に粘着層形成用組成物を成型し、ベース基板210に貼り合わせることにより形成してもよい。粘着層形成用組成物をシート状に成型する方法としては、モールドMと同様の凹凸構造を有する型を用いる方法が挙げられる。成型方法は、ロール成形、プレス成型、トランスファー成型、コンプレッション成型等の公知の成型方法から適宜選択することができる。シート状成型物は、ホコリ等の付着防止や硬化時の酸素阻害抑制のために、プラスチックフィルム等に挟み込んで成型することが好ましい。シート状成型物がベース基板210よりも大きい場合、所望の大きさにカットしてもよい。シート状成型物とベース基板210との密着性を上げるため、これらの貼り合せ面にプラズマ処理、エキシマ処理、化学処理等を施してもよい。貼り合せ強度を向上させるために、各種粘着剤、接着剤等を使用してもよい。貼り合せ方法としては、ロール貼り合せや真空プレス等を用いることができる。
【0131】
凸部221の大きさ及び配列は、移送対象の微小構造体、及び微小構造体の配置に応じて、適宜設計することができる。凸部221の上面部は平坦であり、上面部の面形状は、特に限定されない。凸部221の上面の形状としては、円形、楕円形、四角形等が挙げられる。四角形等の場合、エッジに丸みがつけられていてもよい。凸部221の上面部の径は、例えば、0.1μm~1cmが好ましく、1μm~1mmがより好ましい。凸部221の側面部の形状も特に限定されない。凸部221の側面部は、ベース基板210に対して垂直であってもよく、傾斜していてもよい。
凸部221の高さは、特に限定されないが、例えば、0.1μm~1cmが好ましく、1μm~1mmがより好ましい。空間を隔てて隣り合う凸部221のピッチ距離は、0.1μm~10cmが好ましく、1μm~1mmがより好ましい。凹部222における粘着層220の厚さは、特に限定されないが、0.1μm~1cmが好ましく、1μm~5mmがより好ましい。
【0132】
図3は、別の実施形態の転写基板300を示す。転写基板300は、ベース基板310の一方の面上に、粘着層320を有している。粘着層320は、複数の島状粘着部321により構成される。島状粘着部321は、上記粘着層形成用組成物により形成されている。
【0133】
島状粘着部321の形状、大きさ、及び配置は、特に限定されない。島状粘着部321の形状、大きさ、及び配置としては、転写基板200における凸部221と同様のものが挙げられる。
【0134】
<用途>
本態様にかかる転写基板は、第1の基板に仮固定された微小構造体をピックアップして、第2の基板に転写するために用いれらる。第1の基板からの微小構造体のピックアップは、本態様にかかる転写基板の粘着層に微小構造体を粘着させることによって行われる。本態様にかかる転写基板から第2の基板への微小構造体の転写は、本態様にかかる転写基板の粘着層の粘着力と、第2の基板が有する粘着層の粘着力との、粘着力の差に基づいて行われる。すなわち、第2の基板には、粘着層を有するものが用いられる。第2基板の粘着層は、本態様にかかる転写基板の粘着層よりも強い粘着力を有する材料で構成される。本態様にかかる転写基板の粘着層に保持された微小構造体に、第2の基板の粘着層に接触させた後、本態様にかかる転写基板を引き離すと、微小構造体は、粘着力のより強い第2の基板の粘着層に粘着する。これにより、本態様にかかる転写基板から、第2の基板に、微小構造体が転写される。
【0135】
微小構造体としては、例えば、半導体素子が挙げられる。半導体素子としては、例えば、発光ダイオード(LED)、トランジスタ、集積回路(IC)が挙げられる。中でも、半導体素子は、LEDが好ましく、マイクロLEDがより好ましい。マイクロLEDは、例えば、0.5~200μmの幅、0.5~200μmの長さ、及び0.5~200μmの高さを有してもよい。半導体素子は、実装基板(例えば、回路基板)の配線と接続するために、バンプなどの接続電極を有してもよい。
【0136】
半導体素子は、通常、結晶成長基板上に2次元状(例えば格子状)に複数個配列して形成されている。結晶成長基板は、通常は円形又は四角形を有し、例えば、シリコン、ガリウムヒ素、サファイヤ等からなる。
半導体素子は、以下の様にして形成することもできる。例えば、被加工物である円板形状のウエハの表面に格子状に配列された分割予定ラインによって複数の領域を区画する。この区画された領域それぞれに半導体素子を形成し、当該ウエハの裏面を研削して所定の厚さに成形する。次いで、ダイシング装置により分割予定ラインに沿って当該ウエハを切断する。このようにして、半導体素子を形成することができる。
【0137】
第1基板としては、例えば、結晶成長基板から微小構造体が転写された転写基板が挙げられる。第2基板としては、例えば、微小構造体の実装基板(回路基板等)が挙げられる。本態様にかかる転写基板は、後述の微小構造体の転写方法、及び半導体素子の実装方法に、用いることができる。本態様にかかる転写基板は、多数の微小な半導体素子を、実装基板に高精度に実装するために、好適に用いることができる。
【0138】
(微小構造体の転写方法)
本発明の第2の態様にかかる微小構造体の転写方法は、(a)第1の基板に仮固定された微小構造体を、第1の態様にかかる転写基板の前記第1の粘着層に転写して、前記転写基板にピックアップする工程(以下、「工程(a)」という)と、(b)前記転写基板にピックアップされた前記微小構造体を、第2の基板の粘着層に転写する工程(以下、「工程(b)」という)と、を含む。第2の基板の粘着層は、第1の態様にかかる転写基板の粘着層よりも、強い粘着力を有する。工程(b)における転写は、第1の態様にかかる転写基板の粘着層と第2の基板の粘着層との粘着力に差に基づいて行われる。
【0139】
本実施形態にかかる微小構造体の転写方法の概要を図6及び図7に基づいて、説明する。
まず、第1の基板(第1の転写基板10)に仮固定された微小構造体(半導体素子2)を、転写基板100の粘着層120に接触させて、微小構造体(半導体素子2)を粘着層120に転写する。これにより、転写基板100に、微小構造体(半導体素子2)をピックアップする(工程(a);図6)。
次いで、転写基板100にピックアップされた微小構造体(半導体素子2)を、第2の基板(実装基板20)の粘着層22に接触させて、微小構造体(半導体素子2)を第2の基板(実装基板20)に転写する(工程(b);図7)。
【0140】
<工程(a)>
工程(a)は、第1の基板に仮固定された微小構造体を、第1の態様にかかる転写基板の前記第1の粘着層に転写して、前記転写基板にピックアップする工程である。
【0141】
第1の基板は、微小構造体が仮固定された基板である。微小構造体としては、上記と同様のものが挙げられ、マイクロLEDが好ましい。微小構造体が第1の基板に仮固定される方法は、特に限定されない。例えば、第1の基板は、図6に示す第1の転写基板10のように、ベース基板11上に粘着層12を有するものであってもよい。第1の基板の粘着層12は、例えば、熱又は光により硬化して、粘着性が低下する材質により構成されていてもよい。粘着層12は、例えば、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂により形成することができる。粘着層12の材質の具体例としては、例えば、熱硬化性シリコーン樹脂、光硬化性シリコーン樹脂等が挙げられる。
第1の基板(第1の転写基板10)のベース基板11の材質としては、第1の態様にかかる転写基板のベース基板と同様のものが挙げられる。粘着層12に光硬化性樹脂を使用する場合、ベース基板11は光を透過する材質であることが好ましい。この場合、ベース基板11の微小構造体(半導体素子2)を仮固定していない側の面から光を照射することにより、ベース基板11を介して粘着層12に光を照射することができる。
【0142】
例えば、図6に示すように、転写基板100を、第1の基板(第1の転写基板10)に仮固定された微小構造体(半導体素子2)に接触された状態で、第1の転写基板10の粘着層12を熱硬化又は光硬化させる。これにより、粘着層12の粘着性が低下する。その結果、転写基板100の粘着層120の粘着性に基づいて、微小構造体(半導体素子2)が、粘着層120に転写される。
【0143】
第1の基板(第1の転写基板10)の粘着層12が光硬化性樹脂により形成されている場合には、位置選択的な光照射を行ってもよい。この場合、光照射された位置に仮固定される微小構造体(半導体素子2)のみを選択的にピックアップすることができる。
【0144】
<工程(b)>
工程(b)は、第1の態様にかかる転写基板にピックアップされた微小構造体を、第2の基板の粘着層に転写する工程である。
【0145】
第2の基板は、第1の態様にかかる転写基板にピックアップされた微小構造体が転写される基板である。第2の基板は、図7に示す実装基板20のように、ベース基板21上に粘着層22を有する。第2の基板の粘着層22は、転写基板100の粘着層120よりも、粘着力が強い。第2の基板の粘着層の粘着力が、転写基板100の粘着層120の粘着力よりも強いことにより、この粘着力の差に基づいて、転写基板100の粘着層120に仮固定された微小構造体を、第2基板の粘着層に転写することができる。例えば、図7に示すように、転写基板100に仮固定された微小構造体(半導体素子2)を、第2の基板(実装基板20)の粘着層22に接触させる。このとき、第2の基板(実装基板20)の粘着層22の粘着力が、転写基板100の粘着層120の粘着力より強いと、転写基板100に仮固定されていた微小構造体(半導体素子2)が、第2の基板(実装基板20)の粘着層22に転移する。これにより、転写基板100に仮固定された複数の微小構造体(半導体素子2)を、第2の基板に一括して転移させることができる。第2の基板の粘着層の粘着力は、例えば、転写基板100の粘着層120の粘着力よりも、例えば、0.1MPa以上強いことが好ましく、0.2MPa以上強いことがより好ましい。
【0146】
このようにして、第1の基板から第2の基板への微小構造体の転写を行うことができる。本態様にかかる微小構造体の転写方法は、例えば、後述の半導体素子の実装方法に適用することができる。
【0147】
図6及び図7の例では、第1の態様にかかる転写基板として、粘着層の表面が平板である転写基板100を用いる例を示したが、第1の態様にかかる転写基板は、粘着層の表面に凹凸構造を有するもの(例えば、図2の転写基板200)であってもよく、島状粘着部を有するもの(例えば、図3の転写基板300)であってもよい。微小構造体(半導体素子2)が、転写基板200にピックアップされた状態を図8に示す。
【0148】
(半導体素子の実装方法)
本発明の第3の態様にかかる半導体素子の実装方法は、(i)半導体素子を保持する供給基板から、前記半導体素子を、第1の転写基板の粘着層に転写して前記第1の転写基板にピックアップする工程(以下、「工程(i)」ともいう)と、(ii)前記第1の転写基板にピックアップされた半導体素子を、第2の転写基板の粘着層に転写して前記第2の転写基板にピックアップする工程(以下、「工程(ii)」ともいう)と、(iii)前記第2の転写基板にピックアップされた半導体素子を、実装基板の粘着層に転写する工程(以下、「工程(iii)」ともいう)と、を含む。前記第2の転写基板は、上記第1の態様にかかる転写基板である。前記実装基板の粘着層は、前記第2の転写基板の粘着層よりも、強い粘着力を有している。工程(iii)における転写は、前記第2の転写基板の粘着層と前記実装基板の粘着層との粘着力の差に基づいて行われる。
【0149】
本実施形態にかかる半導体素子の実装方法の概要を、図5~8に基づいて、説明する。
まず、半導体素子2を保持する供給基板1から、半導体素子2を、第1の転写基板10の粘着層12に転写する。これにより、第1の転写基板10に、半導体素子2をピックアップする(図5;工程(i))。
次いで、第1の転写基板10にピックアップされた半導体素子2を、転写基板100の粘着層120に転写する。これにより、転写基板100に、半導体素子2をピックアップする(工程(ii);図6)。
次いで、転写基板100にピックアップされた半導体素子2を、実装基板20の粘着層22に転写する(工程(b);図7)。
これにより、実装基板20に、半導体素子2を実装することができる。
【0150】
<工程(i)>
工程(i)は、半導体素子を保持する供給基板から、前記半導体素子を、第1の転写基板の粘着層に転写して前記第1の転写基板にピックアップする工程である。
【0151】
半導体素子として、上記と同様のものが挙げられ、マイクロLEDが好ましい。供給基板としては、半導体素子が形成された結晶成長基板が挙げられる。
第1の転写基板は、ベース基板11上に粘着層12を有する基板であり、上述の第1の基板の例として記載したものと同様のものが挙げられる。
【0152】
供給基板から第1の転写基板に半導体素子を転写する方法は、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。そのような方法としては、例えば、レーザーリフトオフ(LLO)法による方法が挙げられる。例えば、図5に示すように、供給基板1に保持された半導体素子2を、第1の転写基板10の粘着層12に接触させて、供給基板1の半導体素子2が形成されていない側からレーザ光を照射する。これにより、半導体素子2が供給基板1から剥離して、第1の転写基板10の粘着層12に仮固定される。例えば、サファイヤ基板等の供給基板に保持されている窒化ガリウム半導体素子の場合、エキシマレーザ及びYAGレーザ等のレーザ光の照射により照射部分の窒化ガリウムが溶解し、窒化ガリウム半導体素子が供給基板から剥離する。半導体素子がマイクロLEDである場合、半導体素子の信頼性の観点から、KrFエキシマレーザを用いることが好ましい。具体的には、レーザ光を選択的に照射して、選択対象となる半導体素子と供給基板の界面にレーザーアブレーションを生じさせる。窒化ガリウム半導体素子では、半導体素子と供給基板との間で、窒化ガリウムが金属ガリウムと窒素に分解してガスが発生し、半導体素子を供給基板から剥離することができる。
【0153】
<工程(ii)>
工程(ii)では、第1の転写基板にピックアップされた半導体素子を、第2の転写基板の粘着層に転写して前記第2の転写基板にピックアップする工程である。
【0154】
本工程では、第2の転写基板として、第1の態様にかかる転写基板を用いる。図6は、第2の転写基板として、図1に示す転写基板100を用いている。第2の転写基板は、図2に示す転写基板200を用いてもよく、図4に示す転写基板300を用いてもよい。
工程(ii)は、上述の工程(a)と同様に行うことができる。
【0155】
<工程(iii)>
工程(iii)は、第2の転写基板にピックアップされた半導体素子を、実装基板の粘着層に転写する工程である。
【0156】
実装基板としては、例えば、配線等を有する回路基板が挙げられる。回路基板の具体例としては、例えば、ディスプレイ基板、照明基板、トランジスタ、集積回路(IC)等の機能デバイスを有する基板が挙げられる。実装基板は、リジッド基板であってもよく、フレキシブル基板であってもよい。実装基板は、例えば、リジッドな樹脂製基板、セラミック基板、ガラス基板、フレキシブルな樹脂製基板等であってもよい。
【0157】
実装基板は、粘着層を有する。実装基板の粘着層は、第2の転写基板(第1の態様にかかる転写基板)の粘着層よりも、強い粘着力を有している。実装基板は、例えば、図7に示す実装基板20のように、ベース基板21上に粘着層22が形成されたものでもよい。本工程における転写は、転写基板100の粘着層120と実装基板20の粘着層22との粘着力の差に基づいて行われる。実装基板20の粘着層22の粘着力が、転写基板100の粘着層120の粘着力よりも強いことにより、当該粘着力の差に基づいて、転写基板100の粘着層120に仮固定された半導体素子2を、実装基板20の粘着層22に転写することができる。転写基板100から実装基板20への半導体素子2の転写は、上述の工程(b)と同様に行うことができる。
【0158】
半導体素子2を実装基板20に実装する際に、実装基板20を全体的に加熱してもよい。加熱方法としては、例えば、ホットプレート、赤外線加熱ランプ、レーザ、抵抗発熱体等を用いる方法が挙げられる。例えば、半導体素子2に設けられたはんだバンプ等の電極を、実装基板20に形成された電極パッド等の電極と接合可能な温度に実装基板20を加熱する。これにより、半導体素子2の電極と実装基板20の電極とを電気的に接続することができる。
【0159】
<任意工程>
本態様にかかる方法は、上記工程(i)~(iii)に加えて、任意工程を含んでもよい。任意工程としては、例えば、各工程の転写後に半導体素子を洗浄する工程、洗浄後の半導体素子を乾燥する工程等が挙げられる。
【0160】
本態様にかかる半導体素子の実装方法では、第2の転写基板として上記第1の態様にかかる転写基板を用いる。そのため、実装基板との粘着力の差に基づいて、多数の半導体素子を高精度に実装基板に実装することができる。
【実施例0161】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
【0162】
(粘着層形成用組成物の調製)
<ウレタン樹脂の合成例>
(合成例1:ウレタン樹脂(P1)-1)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、ポリカーボネートジオール(Mw1,000)33部、ポリカーボネートジオール(Mw500)9部、グリセリンモノメタクリレート18部、ネオペンチルグリコール1部、及び禁止剤を添加し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、「MDI」という)9部、及び水添キシリレンジイソシアネート(以下、「H6XDI」という)30部を滴下ロートに仕込み、30分間かけて等速に滴下した。滴下終了後、30分間エージングを行った。その後、ビスマス触媒を添加して、65℃まで昇温し、4~5時間エージングを行った。次いで、メタノールを添加して、1時間エージングを行い、イソシアネート基(NCO)が消失した時点で反応を終了した。
【0163】
(合成例2:ウレタン樹脂(P1)-2)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、PGMEA、ヒマシ油変性ジオール13部、ポリカーボネートジオール(Mw1,000)29部、グリセリンモノメタクリレート18部、ネオペンチルグリコール1部、及び禁止剤を添加し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、MDI9部、及びH6XDI30部を滴下ロートに仕込み、30分間かけて等速に滴下した。滴下終了後、30分間エージングを行った。その後、ビスマス触媒を添加して、65℃まで昇温し、4~5時間エージングを行った。次いで、メタノールを添加して、1時間エージングを行い、イソシアネート基(NCO)が消失した時点で反応を終了した。
【0164】
(合成例3:ウレタン樹脂(P1)-3)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、PGMEA、ヒマシ油変性ジオール36部、ポリカーボネートジオール(Mw1,000)7.5部、グリセリンモノメタクリレート18部、ネオペンチルグリコール1部、及び禁止剤を添加し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、MDI8部、及びH6XDI29.5部を滴下ロートに仕込み、30分間かけて等速に滴下した。滴下終了後、30分間エージングを行った。その後、ビスマス触媒を添加して、65℃まで昇温し、4~5時間エージングを行った。次いで、アクリル酸2-ヒドロキシエチル(2HEA)を添加して、1時間エージングを行い、イソシアネート基(NCO)が消失した時点で反応を終了した。
【0165】
(合成例4:ウレタン樹脂(P1)-4)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、PGMEA、ポリカーボネートジオール(Mw1,000)48部、グリセリンモノメタクリレート18部、ネオペンチルグリコール1部、及び禁止剤を添加し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、MDI6部、及びH6XDI27部を滴下ロートに仕込み、30分間かけて等速に滴下した。滴下終了後、30分間エージングを行った。その後、ビスマス触媒を添加して、65℃まで昇温し、4~5時間エージングを行った。次いで、2HEAを添加して、1時間エージングを行い、イソシアネート基(NCO)が消失した時点で反応を終了した。
【0166】
(合成例5:ウレタン樹脂(P1)-5)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、PGMEA、ヒマシ油変性ジオール36部、ポリカーボネートジオール(Mw1,000)17部、ペンタエリスリトールジアクリレート18部、ネオペンチルグリコール1部、及び禁止剤を添加し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、MDI7部、及びH6XDI21部を滴下ロートに仕込み、30分間かけて等速に滴下した。滴下終了後、30分間エージングを行った。その後、ビスマス触媒を添加して、65℃まで昇温し、4~5時間エージングを行った。次いで、2HEAを添加して、1時間エージングを行い、イソシアネート基(NCO)が消失した時点で反応を終了した。
【0167】
(合成例6:ウレタン樹脂(P1)-6)
攪拌機、滴下ロート、冷却管及び温度計を備えたフラスコに、PGMEA、ヒマシ油変性ジオール34部、ポリカーボネートジオール(Mw1,000)17部、ペンタエリスリトールジアクリレート21部、ネオペンチルグリコール1部、及び禁止剤を添加し、窒素気流下で均一に混合した。次いで、MDI6部、及びH6XDI21部を滴下ロートに仕込み、30分間かけて等速に滴下した。滴下終了後、30分間エージングを行った。その後、ビスマス触媒を添加して、65℃まで昇温し、4~5時間エージングを行った。次いで、2HEAを添加して、1時間エージングを行い、イソシアネート基(NCO)が消失した時点で反応を終了した。
【0168】
ウレタン樹脂(P1)-1~(P1)-6の合成に用いた原料、並びに合成後のウレタン樹脂に含まれる重合性炭素-炭素二重結合の当量及び重量平均分子量(Mw)を表1にまとめた。表1中の数値は、質量比を表す。「C=C当量」は、重合性炭素-炭素二重結合1当量当たりのウレタン樹脂の分子量(単位:g/eq.)を表す。
【0169】
【表1】
【0170】
表1中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。
(O1)-1:グリセリンモノメタクリレート。
(O1)-2:ペンタエリスリトールジアクリレート。
(O2)-1:下記式(PC-1-1)で表されるポリカーボネートジオール(R=-(CH-,-(CH-)、Mw=1,000。
(O2)-2:下記式(PC-1-1)で表されるポリカーボネートジオール(R=-(CH-,-(CH-)、Mw=500。
【0171】
【化4】
【0172】
(O2)-3:ヒマシ油変性ジオール(伊藤製油社製 芳香族含有グレード)。
(O2)-4:ネオペンチルグリコール。
(I)-1:ジフェニルメタンジイソシアネート。
(I)-2:水添キシリレンジイソシアネート。
【0173】
<粘着層形成用組成物の調製>
(実施例1~6)
表2に示す成分を混合して、各例の接着剤組成物をそれぞれ調製した。
【0174】
【表2】
【0175】
【表3】
【0176】
表2中、各略号はそれぞれ以下の意味を有する。[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
(P1)-1:上記合成例1で合成したウレタン樹脂(P1)-1。
(P1)-2:上記合成例2で合成したウレタン樹脂(P1)-2。
(P1)-3:上記合成例3で合成したウレタン樹脂(P1)-3。
(P1)-4:上記合成例4で合成したウレタン樹脂(P1)-4。
(P1)-5:上記合成例5で合成したウレタン樹脂(P1)-5。
(P1)-6:上記合成例6で合成したウレタン樹脂(P1)-6。
(A)-1:過酸化物系熱重合開始剤(パークミル(登録商標)D、日本油脂株式会社)。
(Ad)-1:ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン(BYK-310(商品名)、ビックケミー社)。
(B)-1:グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(OFS-6040(商品名)、ダウ・東レ株式会社)。
(B)-2:3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(KBM-503(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(B)-3:ビニルトリメトキシシラン(KBM-1003(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(B)-4:片末端反応性シリコーンオイル(X-22-2475(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(B)-5:8-グリシドキシオクチルトリメトキシシラン(KBM-4803(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(B)-6:N-2-(アミノエチル)-8-アミノオクチルトリメトキシシラン(KBM-6803(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(B)-7:ポリマー型多官能エポキシシランカップリング剤(加水分解性基:エトキシ基、官能基;エポキシ基、官能基当量(対Si(OR)):3;X-12-981S(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(B)-8:ポリマー型多官能イソシアネートシランカップリング剤(加水分解性基:メトキシ基、官能基;イソシアネート基、官能基当量(対Si(OR)):2;X-12-1159L(商品名)、信越化学工業株式会社)。
(S)-1:PGMEA。
【0177】
(転写基板の製造)
ベース基板に、スピンコート法により、各例の粘着層形成用組成物をそれぞれ塗布し、粘着層を形成した(膜厚50μm)。
【符号の説明】
【0178】
1 供給基板
2 半導体素子
10 第1の転写基板
11 第1の転写基板のベース基板
12 第1の転写基板の粘着層
20 実装基板
22 実装基板の粘着層
100,200,300 転写基板(第2の転写基板)
110,210,310 転写基板(第2の転写基板)のベース基板
120,220,320 転写基板(第2の転写基板)の粘着層
221 凸部
222 凹部
321 島状粘着部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8