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特開2024-155227区画情報作成装置、表面欠陥検査装置、区画情報作成方法、及び、表面欠陥検査方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155227
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】区画情報作成装置、表面欠陥検査装置、区画情報作成方法、及び、表面欠陥検査方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/88 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G01N21/88 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069736
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000157083
【氏名又は名称】トヨタ自動車東日本株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504165591
【氏名又は名称】国立大学法人岩手大学
(74)【代理人】
【識別番号】100131026
【弁理士】
【氏名又は名称】藤木 博
(74)【代理人】
【識別番号】100194124
【弁理士】
【氏名又は名称】吉川 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】菊田 真基
(72)【発明者】
【氏名】明石 卓也
(72)【発明者】
【氏名】張 精
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA89
2G051AB12
2G051BA20
2G051CA03
2G051CA04
2G051DA06
2G051ED03
(57)【要約】
【課題】対象面を格子状に複数の区画に区切り撮影手段により撮影した区画撮影画像から各区画に対応する区画情報を自動作成することができる区画情報作成装置、区画情報作成方法、及び、これらを用いた表面欠陥検査装置、表面欠陥検査方法を提供する。
【解決手段】区画撮影画像から基準点に対応する画像基準点を検出する画像基準点検出手段12と、画像基準点に基づき、画像基準点が含まれる基準区画領域を検出する基準区画領域検出手段13と、基準区画領域に基づき、基準区画領域に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点を求め、この隣接区画領域内点に基づき、前記隣接区画領域を検出すると共に、前記隣接区画領域を新たな基準区画領域として、新たな隣接区画領域を検出する隣接区画領域検出手段14とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、撮影手段により撮影した区画撮影画像から、前記各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成する区画情報作成装置であって、
前記区画撮影画像から前記基準点に対応する画像基準点を検出する画像基準点検出手段と、
前記画像基準点に基づき、前記区画撮影画像において、前記画像基準点が含まれる基準区画領域を検出する基準区画領域検出手段と、
前記基準区画領域に基づき、前記区画撮影画像において、前記基準区画領域に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点を求め、この隣接区画領域内点に基づき、前記隣接区画領域を検出すると共に、前記隣接区画領域を新たな基準区画領域として、この新たな基準区画領域に基づき、他の隣接区画領域を検出する隣接区画領域検出手段と
を備えたことを特徴とする区画情報作成装置。
【請求項2】
前記隣接区画領域検出手段は、前記隣接区画領域内点として、前記基準区画領域の対向する2辺の、1つの隣接区画領域との境界に位置する2点と、前記2辺を前記1つの隣接区画領域の方に同じ長さで延長した2つの線分の終点とを四隅とする四辺形の対角線の交点を求めるか、又は、前記基準区画領域の対向する2辺の中点を結ぶ中点連結線分を1つの隣接区画領域の方に同じ長さで延長した延長部分の中点を求める隣接区画領域内点算出手段を有することを特徴とする請求項1記載の区画情報作成装置。
【請求項3】
被検査面に光を照射する光源と、
前記光源により照射された前記被検査面を撮影して検査面画像を得る撮影手段と、
前記撮影手段に対する前記被検査面の位置を相対的に移動させる移動手段と、
前記移動手段により前記撮影手段と前記被検査面とを相対的に移動させながら前記撮影手段により撮影した撮影時間の異なる複数の検査面画像から欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と、
前記欠陥候補抽出手段により抽出した欠陥候補に基づき欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、
前記欠陥検出手段は、
前記被検査面に対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について撮影した区画撮影画像から、前記各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成する請求項1又は請求項2に記載の区画情報作成装置と、
前記区画情報作成装置により作成した区画情報を用いて、前記欠陥候補抽出手段により抽出した欠陥候補が存在する区画領域を検出し、前記複数の検査面画像のうち、基準判定数以上において、前記区画面の同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定する判定手段と
を有することを特徴とする表面欠陥検査装置。
【請求項4】
対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、撮影手段により撮影した区画撮影画像から、前記各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成する区画情報作成方法であって、
前記区画撮影画像から前記基準点に対応する画像基準点を検出する画像基準点検出手順と、
前記画像基準点に基づき、前記区画撮影画像において、前記画像基準点が含まれる基準区画領域を検出する基準区画領域検出手順と、
前記基準区画領域に基づき、前記区画撮影画像において、前記基準区画領域に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点を求め、この隣接区画領域内点に基づき、前記隣接区画領域を検出する隣接区画領域検出手順と、
前記隣接区画領域を新たな基準区画領域として、この新たな基準区画領域に基づき、前記隣接区画領域検出手順を繰り返し、他の隣接区画領域を検出する繰り返し手順と
を含むことを特徴とする区画情報作成方法。
【請求項5】
前記隣接区画領域検出手順では、前記隣接区画領域内点として、前記基準区画領域の対向する2辺の、1つの隣接区画領域との境界に位置する2点と、前記2辺を前記1つの隣接区画領域の方に同じ長さで延長した2つの線分の終点とを四隅とする四辺形の対角線の交点を求めるか、又は、前記基準区画領域の対向する2辺の中点を結ぶ中点連結線分を1つの隣接区画領域の方に同じ長さで延長した延長部分の中点を求めることを特徴とする請求項4記載の区画情報作成方法。
【請求項6】
光源から光を照射した被検査面を撮影手段により撮影すると共に、撮影手段に対する被検査面の位置を相対的に移動させて、撮影時間の異なる複数の検査面画像を得る撮影手順と、
前記撮影手順により撮影した各検査面画像から欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手順と、
前記欠陥候補抽出手順により抽出した欠陥候補に基づき欠陥を検出する欠陥検出手順とを含み、
前記欠陥検出手順では、請求項4又は請求項5に記載の区画情報作成方法により、前記被検査面に対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について撮影した区画撮影画像から、前記各区画に対応する区画領域を検出して作成した区画情報を用いて、前記欠陥候補抽出手順により抽出した欠陥候補が存在する区画領域を検出し、前記複数の検査面画像のうち、基準判定数以上において、前記区画面の同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定する
ことを特徴とする表面欠陥検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、自動車のボディ表面の塗装などの状態を検査する際に用いることができる区画情報作成装置、表面欠陥検査装置、区画情報作成方法、及び、表面欠陥検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車のボディを塗装する工程においては、検査員の目視により塗装表面の検査作業を行っている。しかし、検査員による外観検査は労力を要する仕事であり、個人によってばらつきがあるため、検査ミスや検査漏れが生じる恐れがある。また、検査員による外観検査では、検査に要する時間も多くなり、人件費が製品の生産コストをあげてしまう要因のひとつになっている。そのため、外観検査の自動化が望まれており、近年では、光学的に自動的に検査することが可能な表面欠陥検査装置の開発が進められている。
【0003】
例えば、特許文献1には、撮影手段と被検査面とを相対的に移動させながら撮影手段により被検査面を撮影し、撮影した複数の画像から欠陥候補を抽出して、撮影時刻の異なる少なくとも2枚以上の画像間における欠陥候補の移動距離及び移動角度が、被検査面に欠陥が存在した時に移動すると想定される基準移動距離及び基準移動角度の範囲内にある場合に欠陥であると判定する表面欠陥検査装置が記載されている。基準移動距離及び基準移動角度は、例えば、予め、被検査面にマークを付して、撮影手段と被検査面とを相対的に移動させながら撮影手段により撮影時刻の異なる複数の基準画像を取得し、これら複数の基準画像を合わせることにより得られたマークの移動軌跡に基づいて設定することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-118572号公報
【特許文献2】特願2021-196063号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の表面欠陥検査装置では、被検査面にマークを付して撮影して得たマークの移動軌跡に基づいて基準移動距離及び基準移動角度を設定しているが、自動車のボディ等の被検査面に等間隔でマークを付けるのは難しく、時間もかかり、作成されたマークの移動軌跡の精度が悪いという問題があった。また、各画像における欠陥候補の任意点の座標位置を出すのは困難であり、更に、検出した座標点だけでは欠陥が被検査面のどの位置に有るのかがはっきりしないという問題もあった。
【0006】
そこで、本件出願人は、撮影した複数の画像から欠陥候補を抽出して、この欠陥候補から欠陥を検出する際に、被検査面を複数の区画に区切り、撮影時刻の異なる複数の画像について、被検査面の同一の区画に対応する各区画画像領域に欠陥候補がそれぞれ存在する場合に欠陥であると判定する表面欠陥検査装置を開発した(例えば、特許文献2参照)。この表面欠陥検査装置では、例えば、被検査面に白黒の格子柄を貼り付けて複数の区画に区切り、この区画した被検査面を移動させた区画撮影動画から2値化処理等を行い、区画線の移動軌跡を抽出し、この区画線の区画線動画に撮影手段により撮影した被検査面の動画を同期させることにより、被検査面Mの区画に対応する区画画像領域を特定するように構成することができる。
【0007】
この表面欠陥検査装置によれば、欠陥候補の移動軌跡と、被検査面の区画の移動軌跡との関係から、欠陥候補が欠陥であるか否かを判定するので、欠陥候補の移動軌跡が曲線状となる場合であっても高い精度で欠陥を判定することができる。また、被検査面の区画に対応する区画画像領域を座標で表すことにより、欠陥候補の座標位置を容易に認識することができ、更に、欠陥が被検査面のどの区画に存在するかにより、被検査面における欠陥の位置を容易に認識することができる。
【0008】
しかし、この表面欠陥検査装置では、被検査面が曲面状であると、被検査面に格子柄を貼り付けて撮影した区画撮影画像において、隣接する区画領域の形及び大きさに一定の規則性がないので、各区画領域を自動作成することが難しいという問題があった。
【0009】
本発明は、このような問題に基づきなされたものであり、対象面を格子状に複数の区画に区切り撮影手段により撮影した区画撮影画像から各区画に対応する区画情報を自動作成することができる区画情報作成装置、及び、区画情報作成方法、並びに、これらを用いた表面欠陥検査装置、及び、表面欠陥検査方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の区画情報作成装置は、対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、撮影手段により撮影した区画撮影画像から、各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成するものであって、区画撮影画像から基準点に対応する画像基準点を検出する画像基準点検出手段と、画像基準点に基づき、区画撮影画像において、画像基準点が含まれる基準区画領域を検出する基準区画領域検出手段と、基準区画領域に基づき、区画撮影画像において、基準区画領域に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点を求め、この隣接区画領域内点に基づき、隣接区画領域を検出すると共に、隣接区画領域を新たな基準区画領域として、この新たな基準区画領域に基づき、他の隣接区画領域を検出する隣接区画領域検出手段とを備えたものである。
【0011】
本発明の表面欠陥検査装置は、被検査面に光を照射する光源と、光源により照射された被検査面を撮影して検査面画像を得る撮影手段と、撮影手段に対する被検査面の位置を相対的に移動させる移動手段と、移動手段により撮影手段と被検査面とを相対的に移動させながら撮影手段により撮影した撮影時間の異なる複数の検査面画像から欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段と、欠陥候補抽出手段により抽出した欠陥候補に基づき欠陥を検出する欠陥検出手段とを備え、欠陥検出手段は、被検査面に対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について撮影した区画撮影画像から、各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成する本発明の区画情報作成装置と、区画情報作成装置により作成した区画情報を用いて、欠陥候補抽出手段により抽出した欠陥候補が存在する区画領域を検出し、複数の検査面画像のうち、基準判定数以上において、区画面の同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定する判定手段とを有するものである。
【0012】
本発明の区画情報作成方法は、対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、撮影手段により撮影した区画撮影画像から、各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成するものであって、区画撮影画像から基準点に対応する画像基準点を検出する画像基準点検出手順と、画像基準点に基づき、区画撮影画像において、画像基準点が含まれる基準区画領域を検出する基準区画領域検出手順と、基準区画領域に基づき、区画撮影画像において、基準区画領域に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点を求め、この隣接区画領域内点に基づき、隣接区画領域を検出する隣接区画領域検出手順と、隣接区画領域を新たな基準区画領域として、この新たな基準区画領域に基づき、隣接区画領域検出手順を繰り返し、他の隣接区画領域を検出する繰り返し手順とを含むものである。
【0013】
本発明の表面欠陥検査方法は、光源から光を照射した被検査面を撮影手段により撮影すると共に、撮影手段に対する被検査面の位置を相対的に移動させて、撮影時間の異なる複数の検査面画像を得る撮影手順と、撮影手順により撮影した各検査面画像から欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手順と、欠陥候補抽出手順により抽出した欠陥候補に基づき欠陥を検出する欠陥検出手順とを含み、欠陥検出手順では、本発明の区画情報作成方法により、被検査面に対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について撮影した区画撮影画像から、前記各区画に対応する区画領域を検出して作成した区画情報を用いて、欠陥候補抽出手順により抽出した欠陥候補が存在する区画領域を検出し、複数の検査面画像のうち、基準判定数以上において、区画面の同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、区画撮影画像において、画像基準点を検出し、画像基準点に基づき基準区画領域を検出したのち、基準区画領域に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点を求め、この隣接区画領域内点に基づき隣接区画領域を検出すると共に、隣接区画領域を新たな基準区画領域として、他の隣接区画領域を検出するようにしたので、各区画に対応する区画情報を簡単かつ高精度に自動作成することができる。また、撮影手段と区画面とを相対的に移動させながら任意の時間ごとに撮影手段により撮影した複数の区画撮影画像について区画情報を作成すれば、区画面の軌跡線を作成することができる。更に、区画面の基準点を付けた区画の番号と、区画面の区画の行数及び列数を入れることにより、検出した区画領域を自動的にナンバリングすることができる。よって、フレーム及び座標と、対象面における実際の位置とを関連付けることができる。
【0015】
従って、表面欠陥検査に用いれば、被検査面を格子状に区切った各区画に対応する区画情報及び軌跡線を簡単かつ高精度に自動作成することができると共に、被検査面の各区画と検出した区画領域とを関連付けることができ、検出した欠陥の被検査面における位置を容易に特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施の形態に係る区画情報作成装置の構成を表すブロック図である。
図2】区画撮影画像の一例を表す図である。
図3】基準区画領域検出手段において基準区画領域を検出する手順を説明する図である。
図4】隣接区画領域検出手段において隣接区画領域内点を求める手順を説明する図である。
図5】隣接区画領域検出手段において隣接区画領域内点を求める他の手順を説明する図である。
図6】本発明の一実施の形態に係る区画情報作成方法の手順を表す図である。
図7】本発明の一実施の形態に係る表面欠陥検査装置の全体構成を表す図である。
図8図7に示した欠陥候補抽出手段及び欠陥検出手段の構成を表すブロック図である。
図9】2値化閾値を変えて2値化した2値化画像の一例を表す図である。
図10】2次抽出手段により抽出した欠陥候補の一例を表す図である。
図11】本発明の一実施の形態に係る表面欠陥検査方法の手順を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0018】
〔区画情報作成装置〕
図1は、本発明の一実施の形態に係る区画情報作成装置10の構成を表すものである。この区画情報作成装置10は、対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、カメラ等の撮影手段により撮影した区画撮影画像から、前記各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成するものである。この区画情報作成装置10は、例えば、自動車のボディの塗装面を被検査面として被検査面に存在する欠陥を検出する際に用いることができる。具体的には、例えば、被検査面を撮影手段により撮影した検査面画像と、区画情報作成装置10により作成した被検査面に対応する対象面を複数の区画に区切った各区画に対応する区画情報とを関連付けることにより、検査面画像における欠陥候補が欠陥であるか否か、及び、被検査面における欠陥の位置を判別できるようにするためのものである。
【0019】
なお、本実施の形態では、例えば、対象面を白黒の市松模様により格子状に区切り、少なくとも1つの区画内に基準点として白黒以外の色で丸印等を付けた区画面について、撮影手段により撮影した区画撮影画像から区画情報を作成する場合について説明する。例えば、自動車のボディの塗装面を被検査面として欠陥を検出する場合には、被検査面に対応する対象面として同一車種の自動車のボディの塗装面を用い、この対象面に白黒の市松模様及び基準点を描いた紙又は布を貼り付けた区画面について、撮影手段と区画面とを相対的に移動させながら任意の時間ごとに撮影手段により撮影し、撮影時間の異なる複数の区画撮影画像(例えば動画)を用意する。図2に区画撮影画像の一例を示す。
【0020】
区画情報作成装置10は、コンピュータにより構成されており、例えば、区画撮影画像前処理手段11と、画像基準点検出手段12と、基準区画領域検出手段13と、隣接区画領域検出手段14と、検証手段15とを必要に応じて備えている。区画撮影画像前処理手段11は、区画撮影画像を前処理するものであり、例えば、基準点を検出するために区画撮影画像から色を抽出する色抽出手段11Aと、区画撮影画像について二値化処理をする二値化手段11Bと、区画撮影画像から対象面の部分を抽出する対象部検出手段11Cとを有している。色抽出手段11Aは、例えば、基準点の色を抽出するように構成されており、各区画を白と黒とで色分けしている場合には、白黒以外の有彩色を抽出するようにしてもよい。二値化手段11Bは、区画撮影画像の輝度値の変化量に応じた範囲ごとに二値化することが好ましい。対象部検出手段11Cは、例えば、区画面以外の部分を覆うマスクを作成し、区画面の部分を抽出するように構成されている。
【0021】
画像基準点検出手段12は、区画撮影画像から基準点に対応する画像基準点P1を検出するものである。具体的には、例えば、色抽出手段11Aにより色を抽出した区画撮影画像から画像基準点P1の座標(例えば、画像基準点P1の重心座標)を検出し、区画面における実際の基準点の位置(例えば、区画番号)と、区画撮影画像の画像基準点P1の座標、例えば、フレームの番号及び座標とを紐づけるように構成されていることが好ましい。フレームの番号としては、例えば、画像情報と時刻情報を同期させて符号化した電気信号、いわゆるタイムコードが挙げられる。
【0022】
基準区画領域検出手段13は、例えば、図3に示したように、検出した画像基準点P1に基づき、区画撮影画像において、画像基準点P1が含まれる基準区画領域R1を検出するものである。基準区画領域検出手段13は、例えば、画像基準点P1からX軸方向及びY軸方向を参照して、基準区画領域R1の四隅の仮座標を求めた後、区画撮影画像に基づき仮座標を補正して基準区画領域R1の四隅の座標を検出する基準区画領域座標検出手段13Aを有していることが好ましい。基準区画領域検出手段13では、例えば、二値化手段11Bにより二値化し、対象部検出手段11Cにより区画面の部分を抽出した区画撮影画像を用いて処理をすることが好ましい。
【0023】
基準区画領域の四隅の仮座標は、例えば、画像基準点P1からX軸の上下方向に白黒の切り替わる座標(例えば、x1及びx2)と、画像基準点P1からY軸の左右方向に白黒の切り替わる座標(例えば、y1及びy2)とを検出し、これらを組み合わせた4点(例えば、(x1,y1)、(x1,y2)、(x2,y1)、(x2,y2))とすることが好ましい。図3では、仮座標の4点を四隅とする矩形をグレーの破線で示している。また、仮座標の補正は、例えば、仮座標の4点の近傍において白黒の切り替わる座標を検出することにより行うことが好ましい。
【0024】
隣接区画領域検出手段14は、例えば、図4に示したように、検出した基準区画領域R1に基づき、区画撮影画像において、基準区画領域R1に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点P2を求め、この隣接区画領域内点P2に基づき、隣接区画領域R2を検出すると共に、隣接区画領域R2を新たな基準区画領域R1として、この新たな基準区画領域R1に基づき、他の隣接区画領域R2を検出するものである。隣接区画領域検出手段14は、例えば、基準区画領域R1に基づき隣接区画領域内点P2を求める隣接区画領域内点算出手段14Aと、隣接区画領域内点P2から隣接区画領域R2の四隅の座標を検出する隣接区画領域座標検出手段14Bと、検出した隣接区画領域R2を新たな基準区画領域R1として隣接区画領域内点算出手段14A及び隣接区画領域座標検出手段14Bを作用させる繰り返し手段14Cとを有していることが好ましい。隣接区画領域検出手段14では、基準区画領域検出手段13と同様に、例えば、二値化手段11Bにより二値化し、対象部検出手段11Cにより区画面の部分を抽出した区画撮影画像を用いて処理をすることが好ましい。
【0025】
隣接区画領域内点算出手段14Aは、例えば、隣接区画領域内点P2として、基準区画領域R1の対向する2辺の、1つの隣接区画領域R2との境界に位置する2点p1,p2と、この2辺を1つの隣接区画領域R2の方に同じ長さで延長した2つの線分の終点p3,p4とを四隅とする四辺形の対角線の交点を求めることが好ましい。また、隣接区画領域内点算出手段14Aは、例えば、図5に示したように、隣接区画領域内点P2として、基準区画領域R1の対向する2辺の中点p5,p6を結ぶ中点連結線分L1を1つの隣接区画領域R2の方に同じ長さで延長した延長部分L2の中点として求めるようにしてもよい。
【0026】
隣接区画領域座標検出手段14Bは、例えば、隣接区画領域内点P2からX軸方向及びY軸方向を参照して、隣接区画領域R2の四隅の仮座標を求めた後、区画撮影画像に基づき仮座標を補正して隣接区画領域R2の四隅の座標を検出することが好ましい。隣接区画領域R2の四隅の仮座標の検出、及び、仮座標の補正は、基準区画領域座標検出手段13Aと同様にして行うことができる(図3参照)。具体的には、隣接区画領域R2の四隅の仮座標は、例えば、隣接区画領域内点P2からX軸の上下方向に白黒の切り替わる座標と、隣接区画領域内点P2からY軸の左右方向に白黒の切り替わる座標とを検出し、これらを組み合わせた4点とすることが好ましい。また、仮座標の補正は、例えば、仮座標の4点の近傍において白黒の切り替わる座標を検出することにより行うことが好ましい。
【0027】
検証手段15は、基準区画領域検出手段12及び隣接区画領域検出手段13により検出した基準区画領域R1および隣接区画領域R2に異常がないかを検証するものである。例えば、隣接する基準区画領域R1と隣接区画領域R2の共通する頂点座標が一致しているかを検証することが好ましい。
【0028】
〔区画情報作成方法〕
この区画情報作成装置10は、例えば、次のようにして区画撮影画像から区画情報を作成する。図6は、区画情報作成装置10を用いた区画情報作成方法の手順を表すものである。この区画情報作成方法では、前準備として、例えば、対象面を格子状に複数の区画に区切り、少なくとも1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、カメラなどの撮影手段により撮影した区画撮影画像を用意する。具体的には、例えば、対象面を白黒の市松模様により格子状に区切り、少なくとも1つの区画内に基準点として白黒以外の色で丸印等を付けた区画面について、撮影手段と区画面とを相対的に移動させながら任意の時間ごとに撮影手段により撮影し、撮影時間の異なる複数の区画撮影画像(例えば動画)を用意する(図2参照)。
【0029】
区画撮影画像を用意したのち、区画情報作成方法では、まず、区画撮影画像前処理手段11により、区画撮影画像について前処理を行う(ステップS101;区画撮影画像前処理手順)。区画撮影画像前処理手順は、例えば、色抽出手段11Aにより区画撮影画像から色を抽出する色抽出手順と、二値化手段11Bにより区画撮影画像を二値化処理する二値化処理手順と、対象部検出手段11Cにより区画撮影画像から対象面の部分を抽出する対象部検出手順とを含んでいる。
【0030】
次いで、画像基準点検出手段12により、区画撮影画像から基準点に対応する画像基準点P1を検出する(ステップS102;画像基準点検出手順)。例えば、色抽出手順により色を抽出した区画撮影画像から画像基準点P1の座標を検出し、区画面における実際の基準点の位置と、区画撮影画像の画像基準点P1の座標、例えば、フレームの番号及び座標とを紐づける。
【0031】
続いて、基準区画領域検出手段13により、画像基準点P1に基づき、区画撮影画像において、画像基準点P1が含まれる基準区画領域R1を検出する(ステップS103;基準区画領域検出手順)。例えば、画像基準点P1からX軸方向及びY軸方向を参照して、基準区画領域R1の四隅の仮座標を求めた後、区画撮影画像に基づき仮座標を補正して基準区画領域R1の四隅の座標を検出する(図3参照)。基準区画領域の四隅の仮座標の検出方法、及び、仮座標の補正方法は、上述した通りである。基準区画領域検出手順では、例えば、二値化し、区画面の部分を抽出した区画撮影画像を用いて処理を行う。
【0032】
次に、隣接区画領域検出手段14により、基準区画領域R1に基づき、区画撮影画像において、基準区画領域R1に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点P2を求め、この隣接区画領域内点P2に基づき、隣接区画領域R2を検出する(ステップS104;隣接区画領域検出手順)。隣接区画領域検出手順では、基準区画領域検出手順と同様に、例えば、二値化し、区画面の部分を抽出した区画撮影画像を用いて処理をする。
【0033】
隣接区画領域検出手順において、隣接区画領域内点P2は、例えば、図4に示したように、基準区画領域R1の対向する2辺の、1つの隣接区画領域R2との境界に位置する2点p1,p2と、この2辺を1つの隣接区画領域R2の方に同じ長さで延長した2つの線分の終点p3,p4とを四隅とする四辺形の対角線の交点として求めることが好ましい。また、隣接区画領域内点P2は、例えば、図5に示したように、基準区画領域R1の対向する2辺の中点p5,p6を結ぶ中点連結線分L1を1つの隣接区画領域R2の方に同じ長さで延長した延長部分L2の中点として求めるようにしてもよい。
【0034】
隣接区画領域検出手順において、隣接区画領域R2の座標は、例えば、隣接区画領域内点P2からX軸方向及びY軸方向を参照して、隣接区画領域R2の四隅の仮座標を求めた後、区画撮影画像に基づき仮座標を補正して隣接区画領域R2の四隅の座標を検出することが好ましい。隣接区画領域R2の四隅の仮座標の検出、及び、仮座標の補正は、基準区画領域座標検出手順と同様にして行うことができる(図3参照)。
【0035】
次いで、隣接区画領域検出手段14により、検出した隣接区画領域R2を新たな基準区画領域R1として、この新たな基準区画領域R1に基づき、隣接区画領域検出手順(ステップS104)を繰り返し、他の隣接区画領域R2を検出する(ステップS105;繰り返し手順)。例えば、順に、X方向及びY方向に隣接区画領域R2を検出することを繰り返し、区画撮影画像の全ての区画領域を検出する。
【0036】
続いて、検証手段15により、検出した基準区画領域R1および隣接区画領域R2に異常がないかを検証する(ステップS106;検証手順)。例えば、隣接する基準区画領域R1と隣接区画領域R2の共通する頂点座標が一致しているかを検証することが好ましい。これにより、例えば、フレームごとに、フレームの番号、区画領域の座標、対応する区画面の区画番号が関連付けられた区画情報が作成される。フレームの番号は、上述したように、例えば、画像情報と時刻情報を同期させて符号化した電気信号、いわゆるタイムコードが挙げられる。
【0037】
〔表面欠陥検査装置〕
図7は、本発明の一実施の形態に係る区画情報作成装置10を用いた表面欠陥検査装置20の全体構成を表すものである。この表面欠陥検査装置20は、例えば、自動車のボディの塗装面を被検査面Mとし、被検査面Mの表面に存在する欠陥を検出するものである。
【0038】
表面欠陥検査装置20は、例えば、被検査面Mに光を照射する光源21と、光源21により照射された被検査面Mを撮影して検査面画像を得る撮影手段22と、撮影手段22に対する被検査面Mの位置を相対的に移動させる移動手段23と、移動手段23により撮影手段22と被検査面Mとを相対的に移動させながら任意の時間ごとに撮影手段22により撮影した複数の検査面画像(例えば動画)から欠陥候補を抽出する欠陥候補抽出手段24と、欠陥候補抽出手段24により抽出した欠陥候補に基づき欠陥を検出する欠陥検出手段25と、欠陥検出手段25による検出結果を表示する表示手段26とを必要に応じて備えている。
【0039】
光源21には、直管型の照明器具、例えば、直管型の蛍光灯又はLED照明若しくはレーザー光を用いることが好ましいが、これら照明の種類に限定されることはなく、また、自動車のボディの色は多種多様であるので白色光源を用いることが好ましい。光源21は、例えば、被検査面Mを多方向から観察できるように、被検査面Mに対して複数配置することが好ましい。
【0040】
撮影手段22は、例えば、CCDカメラ等のカメラ22Aを有しており、デジタル画像を得ることができるものである。カメラ22Aは、例えば、光源21に対向するように配置され、光源21の反射鏡像及びその周辺領域を撮影するように構成される。また、カメラ22Aの角度(アングル)は、カメラ22Aに対する被検査面Mの相対的な位置の移動に応じて、変化させることができるように構成されていることが好ましい。カメラ22Aの角度を固定すると、被検査面Mの部位によっては、欠陥候補の輝度が低くなり欠陥候補の抽出が難しい場合があるからである。
【0041】
移動手段23は、撮影手段22及び被検査面Mの少なくとも一方を移動させることにより、撮影手段22に対する被検査面Mの位置を相対的に移動させるものである。例えば、コンベヤー等の搬送手段により被検査面Mを一方向に一定の速度で搬送するように構成してもよく、また、撮影手段22のカメラ22Aを一方向に一定の速度で移動させるように構成してもよい。なお、図1では、コンベヤー等により被検査面Mを移動させる場合を示している。欠陥候補抽出手段24及び欠陥検出手段25は、例えば、コンピュータにより構成されており、画像処理により欠陥候補を抽出し、又は、欠陥を検出するように構成されている。表示手段26は、例えば、ディスプレイ等により構成されている。
【0042】
(欠陥候補抽出手段24)
図8は、図7に示した欠陥候補抽出手段24及び欠陥検出手段25の構成を表すものである。欠陥候補抽出手段24は、例えば、撮影手段22と被検査面Mとを相対的に移動させながら撮影手段22により撮影した撮影時刻の異なる複数の検査面画像を記憶するメモリ等の検査面画像記憶手段24Aと、撮影手段22により撮影された検査面画像を前処理する検査面画像前処理手段24Bと、検査面画像前処理手段24Bにより前処理した検査面画像について、光源21の反射鏡像を含む領域を長さ方向において複数に分割する分割手段24Cと、検査面画像前処理手段24Bにより前処理した検査面画像について2値化処理を行い、欠陥候補を抽出するための1次欠陥候補を抽出する1次抽出手段24Dと、1次欠陥候補を記憶する1次欠陥候補記憶手段24Eと、1次欠陥候補から欠陥候補を抽出する2次抽出手段24Fと、欠陥候補を記憶する欠陥候補記憶手段24Gとを有していることが好ましい。
【0043】
検査面画像前処理手段24Bは、例えば、撮影手段22により得らえた検査面画像をグレースケール画像等の濃淡画像に変換して、被検査面Mの領域を切り出すと共に、ノイズの低減を行うものである。ノイズの低減としては、例えば、ガウシアンフィルタや、メディアンフィルタがある。
【0044】
分割手段24Cは、例えば、検査面画像前処理手段24Bにより前処理した検査面画像について、光源21の1つの反射鏡像及びその周辺領域を含む領域を切り取り、反射鏡像の長さ方向において複数に分割するように構成されていることが好ましい。反射鏡像の長さ方向における中央部と端部とで輝度が異なるので、画像を分けることにより、1次抽出手段24Dにおいて2値化処理を高い精度で行うことができるからである。
【0045】
1次抽出手段24Dは、例えば、検査面画像前処理手段24Bにより前処理した検査面画像について、それぞれ、2値化閾値を2値化基準値から一方向に順に変化させながら2値化処理を順に行い、処理の順に得られた複数の2値化画像を比較し、欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも少ない状態から所定の基準出現数以上となった時の2値化画像、又は、欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも多い状態から所定の基準出現数以下となった時の2値化画像を閾値画像とし、この閾値画像から、1次欠陥候補を抽出するように構成されている。すなわち、1次抽出手段24Dは、2値化閾値の変化に伴う欠陥候補点の出現数の変化に基づき2値化閾値を自動的に決定し、2値化するものである。1次抽出手段24Dは、分割手段24Cにより分割した画像ごとに2値化処理を行い、1次欠陥候補を抽出することが好ましい。
【0046】
2値化画像において、欠陥候補点は、例えば、光源21の反射鏡像の周辺領域に出現する。例えば、光源21の反射鏡像が白色で表れている場合には、光源21の反射鏡像の周辺領域に白色の点として出現する。2値化基準値は、例えば、0から255の間で、最大値の255としてもよく、最小値の0としてもよく、最大値と最小値の間の任意の値としてもよい。2値化閾値を変化させる方向は、2値化基準値が最大値の255の場合には小さくなる方向であり、2値化基準値が最小値の0の場合には大きくなる方向であり、2値化基準値が最大値と最小値の間の値である場合には、小さくなる方向又は大きくなる方向のどちらでもよい。
【0047】
例えば、光源21の反射鏡像及び欠陥候補点が白色で現れる場合には、2値化閾値を大きな値から小さな値に変化させることにより2値化画像における欠陥候補点の出現数は増加し、2値化閾値がある値において、2値化画像における欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも少ない状態から所定の基準出現数以上となる。図9(A)に2値化閾値を最大値の255として2値化した2値化画像の一例を示し、図9(B)に2値化閾値を255よりも小さい値で2値化し、欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも多くなった2値化画像の一例を示す。なお、例えば、光源21の反射鏡像及び欠陥候補点が白色で現れる場合には、逆に、2値化閾値を小さな値から大きな値に変化させることにより2値化画像における欠陥候補点の出現数は減少し、2値化閾値がある値において、2値化画像における欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも多い状態から所定の基準出現数以下となる。また、例えば、光源21の反射鏡像及び欠陥候補点が黒色で現れる場合には、上述した白色で現れる場合とは変化の方向が逆となる。
【0048】
1次欠陥候補記憶手段24Eは、例えば、メモリ等により構成され、1次抽出手段24Dにより抽出された1次欠陥候補の重心座標を記憶するように構成されている。
【0049】
2次抽出手段24Fは、例えば、検査面画像前処理手段24Bにより前処理した検査面画像について、1次抽出手段24Dにより抽出された1次欠陥候補のうち、1次欠陥候補の輝度値と、その1次欠陥候補の周辺の平均輝度値との輝度差が所定の輝度差基準値以上であるものを欠陥候補として抽出するように構成されている。具体的には、例えば、1次欠陥候補記憶手段24Eに記憶された1次欠陥候補の座標の輝度値と、その1次欠陥候補の周辺の座標の平均輝度値との輝度差を算出し、その輝度差が所定の輝度差基準値以上である場合に、欠陥候補として抽出するように構成されている。図10に、2次抽出手段24Fにより抽出した欠陥候補の一例を示す。図10において、○で囲んだ中の白色の点が欠陥候補である。
【0050】
2次抽出手段24Fは、また、例えば、光源21の反射鏡像の周囲の領域を光源21の反射鏡像からの距離に応じて複数に分割し、分割した複数の距離領域ごとに輝度差基準値を設定するように構成されていることが好ましい。光源21の反射鏡像からの距離により、1次欠陥候補の輝度値と、その1次欠陥候補の周辺の平均輝度値との輝度差が変化するので、距離領域ごとに輝度差基準値を設定することにより、より高い精度で欠陥候補を抽出することができるからである。
【0051】
欠陥候補記憶手段24Gは、例えば、メモリ等により構成され、2次抽出手段24Fにより抽出された欠陥候補のフレームの番号と重心座標を記憶するように構成されている。
【0052】
(欠陥検出手段25)
欠陥検出手段25は、例えば、被検査面Mに対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、撮影手段22と区画面とを移動手段23により相対的に移動させながら任意の時間ごとに撮影手段22により撮影した撮影時刻の異なる複数の区画撮影画像を記憶するメモリ等の区画撮影画像記憶手段25Aと、被検査面Mに対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について撮影した区画撮影画像から区画情報を作成する区画情報作成装置10と、区画情報作成装置10により作成した区画情報を記憶する区画情報記憶手段25Bと、区画情報作成装置10により作成した区画情報を用いて欠陥候補抽出手段24により抽出した欠陥候補が欠陥であるか否かを判定する判定手段25Cとを有している。
【0053】
区画情報作成装置10の構成は上述した通りである。具体的には、例えば、区画撮影画像記憶手段25Aに記憶された撮影時刻の異なる複数の区画撮影画像(例えば動画)について、区画面の各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成するように構成されている。被検査面Mに対応する対象面は、被検査面Mと同一形状の面であり、被検査面M自体を対象面としてもよく、また、被検査面Mとは別に対象面を用意してもよい。例えば、自動車のボディの塗装面を被検査面Mとする場合であれば、被検査面Mに対応する対象面として、同一車種の自動車のボディの塗装面を用いることができる。各区画撮影画像は、例えば、各検査面画像と同様にして、各検査面画像に対応させて撮影したものである。区画情報記憶手段25Bは、例えば、区画情報として、区画撮影画像のフレームの番号と、区画領域の座標と、区画領域番号及び対応する区画面の区画番号とを関連付けて記憶するように構成されることが好ましい。
【0054】
判定手段25Cは、区画情報作成装置10により作成した区画情報を用いて、欠陥候補抽出手段24により抽出した欠陥候補が存在する区画領域を検出し、複数の検査面画像のうち、基準判定数以上において、区画面の同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定するように構成されている。具体的には、例えば、2次抽出手段24Fにより抽出した欠陥候補のフレームの番号及び重心座標と、区画情報作成装置10により作成した区画情報(フレームの番号、区画領域の座標、区画領域番号及び対応する区画面の区画番号等)とを対応させて、欠陥候補が存在するフレームの番号、区画領域番号及び対応する区画面の区画番号等を検出し、同一の区画領域番号及び区画番号について、基準判定数以上のフレームに欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定するように構成されていることが好ましい。欠陥であると判定する基準判定数、すなわち被検査面Mの同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する画像数は、2以上において任意に設定することができ、例えば、3以上であればより好ましい。
【0055】
なお、判定手段25Cは、欠陥候補が、区画情報作成装置10により検出した区画領域の境界線から所定の範囲内に存在する場合に、その欠陥候補が存在する区画領域と、その欠陥候補の近傍に位置する近接区画領域とを、区画面の1つの区画に対応する1つの区画領域とみなして判定することが好ましい。区画領域の近傍(区画線の近傍)に欠陥候補が存在する場合には、欠陥候補が存在する区画領域、すなわち区画を特定することが難しく、近傍の区画領域まで広げて判定することにより、欠陥の検出率を向上させることができるからである。
【0056】
〔表面欠陥検査方法〕
この表面欠陥検査装置20は、例えば、次のようにして用いられる。図11は、表面欠陥検査装置20を用いた表面欠陥検査方法の手順を表すものである。この表面欠陥検査方法では、まず、例えば、光源21から光を照射した被検査面Mを撮影手段22により撮影すると共に、撮影手段22に対する被検査面Mの位置を移動手段23により相対的に移動させて、撮影時間の異なる複数の検査面画像(例えば動画)を取得する(ステップS110;検査面撮影手順)。その際、被検査面Mの部位により、カメラ22Aに対する被検査面Mの相対的な位置の移動に応じて、欠陥候補の輝度が高くなるようにカメラ22Aの角度を変化させることが好ましい。撮影手段22により撮影された画像は、検査面画像記憶手段24Aに保存する。
【0057】
次いで、例えば、検査面撮影手順(ステップS110)により撮影した撮影時刻の異なる複数の検査面画像(例えば動画)からそれぞれ欠陥候補を抽出する(ステップS120;欠陥候補抽出手順)。欠陥候補抽出手順(ステップS120)では、例えば、まず、検査面画像前処理手段24Bにより、上述したようにして撮影手段20で得られた検査面画像について前処理を行う(ステップS121;検査面画像前処理手順)。続いて、例えば、分割手段24Cにより、上述したようにして前処理した検査面画像から光源21の1つの反射鏡像及びその周辺領域を含む領域を切り取り、反射鏡像の長さ方向において複数に分割する(ステップS122;画像分割手順)。
【0058】
次に、例えば、1次抽出手段24Dにより、画像分割手順(ステップS122)により分割した画像ごとに、上述したようにして2値化処理を行い、1次欠陥候補を抽出する(ステップS123;1次抽出手順)。具体的には、例えば、前処理した検査面画像について、画像分割手順により分割した画像ごとに、それぞれ、2値化閾値を2値化基準値から一方向に順に変化させながら2値化処理を順に行い、処理の順に得られた複数の2値化画像を比較して、欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも少ない状態から所定の基準出現数以上となった時の2値化画像、又は、欠陥候補点の出現数が所定の基準出現数よりも多い状態から所定の基準出現数以下となった時の2値化画像を閾値画像とし、この閾値画像から、1次欠陥候補を抽出する。すなわち、例えば、1つの検査面画像について、2値化閾値を2値化基準値から一方向に順に変化させて2値化処理を繰り返し行い、得られた2値化画像を比較して、欠陥候補点の出現数の変化から閾値画像を見つけ、1次欠陥候補を抽出する。1次抽出手順(ステップS123)により抽出した1次欠陥候補は1次欠陥候補記憶手段24Eに保存する。
【0059】
その後、例えば、2次抽出手段24Fにより、上述したようにして1次抽出手順(ステップS123)により抽出された1次欠陥候補から欠陥候補を抽出する(ステップS124;2次抽出手順)。具体的には、例えば、前処理した検査面画像について、画像分割手順により分割した画像ごとに、1次欠陥候補の輝度値と、その1次欠陥候補の周辺の平均輝度値との輝度差を算出し、その輝度差が所定の輝度差基準値以上である場合に欠陥候補として抽出する。2次抽出手順(ステップS124)により抽出した欠陥候補は欠陥候補記憶手段24Gに保存する。
【0060】
欠陥候補抽出手順(ステップS120)により欠陥候補を抽出した後、欠陥候補抽出手順(ステップS120)により抽出した欠陥候補に基づき欠陥を検出する(ステップS130;欠陥検出手順)。欠陥検出手順(ステップS130)では、例えば、予め、上述した区画情報作成方法により、被検査面Mに対応する対象面を格子状に複数の区画に区切り、1つの区画内に基準となる基準点を付けた区画面について、撮影手段22と区画面とを相対的に移動させながら任意の時間ごとに撮影手段22により撮影した撮影時刻の異なる複数の区画撮影画像(例えば動画)から作成した区画情報を用いて、欠陥候補抽出手段24により抽出した欠陥候補が存在する区画領域を検出し、複数の検査面画像のうち、基準判定数以上において、区画面の同一の区画に対応する区画領域に欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定する。
【0061】
具体的には、まず、例えば、事前に、区画情報作成装置10を用い、被検査面Mに対応する対象面を複数の区画に区切り基準点を付けた区画面について、各検査面画像と同様にして、各検査面画像に対応させて撮影した区画撮影画像から、各区画に対応する区画領域を検出して区画情報を作成し、区画情報として、区画撮影画像のフレームの番号、区画領域の座標、区画領域番号及び対応する区画面の区画番号を関連付けて区画情報記憶手段25Bに保存する(区画情報作成手順;ステップS131)。区画情報は、被検査面Mの形状毎に1つ作成すればよく、同一形状の被検査面Mについては、同一の区画情報を用いることができる。例えば、自動車のボディの塗装面を被検査面Mとする場合であれば、自動車の車種毎に区画情報を作成すればよい。次いで、例えば、判定手段25Cにより、2次抽出手段24Fにより抽出した欠陥候補のフレームの番号及び重心座標と、区画情報作成装置10により作成した区画情報(フレームの番号、区画領域の座標、区画領域番号及び対応する区画面の区画番号等)とを対応させて、欠陥候補が存在するフレームの番号、区画領域番号及び対応する区画面の区画番号等を検出し、同一の区画領域番号及び区画番号について、基準判定数以上のフレームに欠陥候補が存在する場合に、欠陥であると判定することが好ましい(判定手順;ステップS132)。
【0062】
そののち、例えば、表示手段26により、欠陥検出手順(ステップS130)で得られた検出結果を表示する(ステップS140;表示手順)。表示手段60では、例えば、ディスプレイ等に、欠陥が存在する区画番号等を表示する。これにより、表面欠陥の検査を行うことができる。
【0063】
このように本実施の形態によれば、区画撮影画像において、画像基準点P1を検出し、画像基準点P1に基づき基準区画領域R1を検出したのち、基準区画領域R1に隣接する隣接区画領域内に位置する隣接区画領域内点P2を求め、この隣接区画領域内点P2に基づき隣接区画領域R2を検出すると共に、隣接区画領域R2を新たな基準区画領域R1として、他の隣接区画領域R2を検出するようにしたので、各区画に対応する区画情報を簡単かつ高精度に自動作成することができる。また、撮影手段22と区画面とを相対的に移動させながら撮影手段22により撮影した撮影時間の異なる複数の区画撮影画像について区画情報を作成すれば、区画面の軌跡線を作成することができる。更に、区画面の基準点を付けた区画の番号と、区画面の区画の行数及び列数を入れることにより、検出した区画領域を自動的にナンバリングすることができる。よって、フレーム及び座標と、対象面における実際の位置とを関連付けることができる。
【0064】
従って、表面欠陥検査に用いれば、被検査面Mを格子状に区切った各区画に対応する区画情報及び軌跡線を簡単かつ高精度に自動作成することができると共に、被検査面Mの各区画と検出した区画領域とを関連付けることができ、検出した欠陥の被検査面Mにおける位置を容易に特定することができる。
【0065】
以上、実施の形態を挙げて本願発明を説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態では、各構成要素について具体的に説明したが、全ての構成要素を備えていなくてもよく、また、他の構成要素を備えていてもよい。
【0066】
また、上記実施の形態では、欠陥候補抽出手段24及び欠陥候補抽出手順(ステップS120)について具体的に説明したが、他の構成及び手順により欠陥候補を抽出するようにしてもよい。例えば、欠陥候補抽出手段24及び欠陥候補抽出手順(ステップS120)では、グローバル2値化、及び、局所2値化等の従来から知られている方法により、欠陥候補を抽出するようにしてもよい。更に、撮影手段22により得られた画像について、例えば、直交する2方向において差分演算を行い生成した勾配画像に基づき、欠陥候補を抽出するようにしてもよい。その際、直交する2方向において、正方向及び負方向の両方向から差分演算をそれぞれ行い、演算結果より勾配画像を生成するようにしてもよく、また、直交する2方向において、差分演算を行い、演算結果より正の値のみを用いて算出する勾配ベクトルの絶対値と、演算結果より負の値のみを用いて算出する勾配ベクトルの絶対値とから勾配画像を生成するようにしてもよい。
【0067】
更に、上記実施の形態では、自動車のボディの塗装面を検査する場合について具体的に説明したが、本願発明は、自動車のボディに限らず、他の塗装製品の表面検査をする場合についても適用することができる。更に、塗装面に限らず、反射性質を有する表面の検査をする場合にも適用することもできる。
【符号の説明】
【0068】
10…区画情報作成装置、11…区画撮影画像前処理手段、11A…色抽出手段、11B…二値化手段、11C…対象部検出手段、12…画像基準点検出手段、13…基準区画領域検出手段、13A…基準区画領域座標検出手段、14…隣接区画領域検出手段、14A…隣接区画領域内点算出手段、14B…隣接区画領域座標検出手段、14C…繰り返し手段、15…検証手段、20…表面欠陥検査装置、21…光源、22…撮影手段、22A…カメラ、23…移動手段、24…欠陥候補抽出手段、24A…検査面画像記憶手段、24B…検査面画像前処理手段、24C…分割手段、24D…1次抽出手段、24E…1次欠陥候補記憶手段、24F…2次抽出手段、24G…欠陥候補記憶手段、25…欠陥検出手段、25A…区画撮影画像記憶手段、25B…区画情報記憶手段、25C…判定手段、26…表示手段、M…被検査面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11