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特開2024-15526基板処理装置および半導体装置の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024015526
(43)【公開日】2024-02-05
(54)【発明の名称】基板処理装置および半導体装置の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/31 20060101AFI20240129BHJP
   C23C 16/44 20060101ALI20240129BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/44
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020210899
(22)【出願日】2020-12-20
(71)【出願人】
【識別番号】318009126
【氏名又は名称】株式会社KOKUSAI ELECTRIC
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】嶋田 寛哲
(72)【発明者】
【氏名】田辺 光朗
(72)【発明者】
【氏名】加賀谷 徹
(72)【発明者】
【氏名】久門 佐多雄
(72)【発明者】
【氏名】金杉 英和
【テーマコード(参考)】
4K030
5F045
【Fターム(参考)】
4K030AA06
4K030AA18
4K030BA38
4K030BA48
4K030BB12
4K030CA04
4K030CA12
4K030EA03
4K030EA11
4K030HA01
4K030JA09
4K030KA05
4K030KA08
4K030LA15
5F045AC15
5F045AE19
5F045AE21
5F045AE23
5F045BB10
5F045DP19
5F045DP28
5F045DQ05
5F045EB03
5F045EC02
5F045EC05
5F045EE19
5F045EF03
5F045EF09
5F045EF10
5F045EF13
5F045EK06
5F045EM10
5F045GB05
5F045GB06
5F045GB15
(57)【要約】
【課題】ノズル基部をマニホールドの内壁面と対面しない面において固定する場合のノズル傾き調整技術を提供することにある。
【解決手段】基板処理装置は、縦に延びる筒状の処理容器と、処理容器の内壁面に沿って縦に延び、少なくとも該処理容器の下部において処理容器の内壁面と間隔を有して設けられたノズルと、ノズルの下端を支持するとともに、ノズルと連通する流路を内部に有するノズル基部と、内壁面に沿って横に延び、ノズル基部の前記内壁面と対面しない面と剛接合するサポート部材と、ノズル及びノズル基部を含むノズルアセンブリの重心よりも、処理容器の中心側にずれた位置で、ノズル基部の下面を調整可能に押す又は引くように構成された傾き調節具と、を備える。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦に延びる筒状の処理容器と、
処理容器の内壁面に沿って縦に延び、少なくとも該処理容器の下部において前記処理容器の内壁面と間隔を有して設けられたノズルと、
前記ノズルの下端を支持するとともに、前記ノズルと連通する流路を内部に有するノズル基部と、
前記内壁面に沿って設けられ、前記ノズル基部の前記内壁面と対面しない面と剛接合するサポート部材と、
前記ノズル及び前記ノズル基部を含むノズルアセンブリの重心よりも、前記処理容器の中心側にずれた位置で、前記ノズル基部の下面を調整可能に押す又は引くように構成された傾き調節具と、を備える基板処理装置。
【請求項2】
請求項1の基板処理装置において、
前記内壁面に沿って横に延び、前記ノズル基部の前記サポート部材とは反対側の側面において前記流路と連通するガス供給管を更に備える基板処理装置。
【請求項3】
請求項2の基板処理装置において、
前記ノズル基部と前記サポート部材は、前記内壁面に沿って横に延び、前記ノズルが伸びる方向及び前記ノズルと前記処理容器の中心を結ぶ線に略平行な面で、一本以上のボルトによって剛接合され、前記ボルトは、前記傾き調節具が前記ノズル基部を押し上げるほど締まるように、右ネジ若しくは左ネジの一方が選択される基板処理装置。
【請求項4】
請求項3の基板処理装置において、
前記処理容器は、下方が開口した反応管と、前記反応管の前記開口に連結する金属製のフランジ管とを有し、
前記フランジ管は、前記ガス供給管の前記ノズル基部と反対の端が挿通されるガスインレットポートを側面に有し、
前記ガス供給管を更に含むノズルアセンブリの重心は、前記ガスインレットポートが前記ガス供給管を支える点と、前記傾き調節具が前記ノズル基部を支える点とを結ぶ直線よりも、前記反応管の内壁面側にある基板処理装置。
【請求項5】
縦に延びる筒状の処理容器と、処理容器の内壁面に沿って縦に延び、少なくとも該処理容器の下部において前記処理容器の内壁面と間隔を有して設けられたノズルと、前記ノズルの下端を支持するとともに、前記ノズルと連通する流路を内部に有するノズル基部と、前記内壁面に沿って横に延び、前記ノズル基部の前記内壁面と対面しない面と剛接合するサポート部材と、前記ノズル及び前記ノズル基部を含むノズルアセンブリの重心よりも、前記処理容器の中心側にずれた位置で、前記ノズル基部の下面を調整可能に押す又は引くように構成された傾き調節具と、を備える基板処理装置の前記処理容器にウエハを搬入する工程と、
前記ウエハを処理する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板処理装置および半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置(デバイス)の製造工程における基板処理では、例えば、複数枚の基板を一括して処理する縦型基板処理装置が使用されている。縦型基板処理装置では処理ガスを供給するノズルは、マニホールドに設けられたガス導入ポートに接続され固定されることで反応管内に上下方向に沿って立設される。ノズルが前後方向に傾いて設置された際、調整部によってノズルの取付け部(ノズル基部)を押し上げることにより、ノズルが垂直に立設されるようにノズルの傾きが調整される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-56280号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の課題は、ノズル基部をマニホールドの内壁面と対面しない面において固定する場合のノズル傾き調整技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様では、基板処理装置は、縦に延びる筒状の処理容器と、処理容器の内壁面に沿って縦に延び、少なくとも該処理容器の下部において前記処理容器の内壁面と間隔を有して設けられたノズルと、前記ノズルの下端を支持するとともに、前記ノズルと連通する流路を内部に有するノズル基部と、前記内壁面に沿って横に延び、前記ノズル基部の前記内壁面と対面しない面と剛接合するサポート部材と、前記ノズル及び前記ノズル基部を含むノズルアセンブリの重心よりも、前記処理容器の中心側にずれた位置で、前記ノズル基部の下面を調整可能に押す又は引くように構成された傾き調節具と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、ノズルを適切な傾きで維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態における基板処理装置の模式図。
図2図1に示す反応管の断面図。
図3】実施形態の基板処理装置におけるノズルとガス導入ポートのオフセット配置を示す斜視図。
図4図3に示すノズル基部周辺の構成を示す正面図。
図5図4に示すD-D線における断面図。
図6図4に示すE-E線における断面図。
図7図4に示すノズル基部周辺の底面図。
図8】重心と支点を説明する図。
図9】実施形態に係る半導体装置の製造方法のフローチャート。
図10】変形例におけるノズル基部の底面断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。全図面中、同一または対応する構成については、同一または対応する参照符号を付し、重複する説明を省略する。ノズルを論じる際は、処理容器の中心へ向かう方向を前側(正面側)、処理容器の中心から外方へ向かう方向を後ろ側(背面側)とする。また、処理容器の上方へ向かう方向を上側、処理容器の下方へ向かう方向を下側とする。なお、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0009】
図1に示すように、本実施形態の基板処理装置1は、半導体集積回路の製造における熱処理工程を実施する縦型熱処理装置として構成され、処理炉2を備えている。処理炉2は、処理炉2を均一に加熱するために、複数のヒータユニットからなるヒータ3を有する。ヒータ3は円筒形状であり、保持板としてのヒータベース(図示せず)に支持されることにより、基板処理装置1の設置床に対して垂直に据え付けられている。ヒータ3は、後述するようにガスを熱で活性化(励起)させる活性化機構(励起部)としても機能する。
【0010】
ヒータ3の内側に、反応容器を構成する反応管4が配設されている。反応管4は、例えば石英(SiO)または炭化シリコン(SiC)等の耐熱性材料からなり、上端が閉塞し下端が開口した円筒形状に形成されている。反応管4は、下端のフランジ部4Cにおいて互いに結合した外管4Aと内管4Bとを有する2重管構造を有する。外管4Aと内管4Bの上端は閉じられ、内管4Bの下端は開口している。フランジ部4Cは、外管4Aよりも大きな外径を有し、外側へ突出している。反応管4の下端寄りには、外管4A内と連通する排気ポートである排気出口4Dが設けられる。これらを含む反応管4全体は単一の材料で一体に形成される。外管4Aは、内側を真空にしたときの圧力差に耐えうるように、比較的肉厚に構成されている。
【0011】
マニホールド5は、円筒又は円錐台形状で金属製又は石英製のフランジ管であり、反応管4の下端を支えるように設けられる。マニホールド5の内径は、反応管4の内径(フランジ部4Cの内径)よりも大きく形成されている。これにより、反応管4の下端(フランジ部4C)と後述するシールキャップ19との間に後述する円環状の空間を形成する。この空間もしくはその周辺の部材を炉口部と総称する。反応管4およびマニホールド5によって処理容器が形成され、処理容器の内部には、基板としてのウエハ7を処理する処理室6が形成される。
【0012】
内管4Bは、排気出口4Dよりも反応管4の奥側で、その側面において内側と外側を連通させる主排気口4Eを有し、また、主排気口4Eと反対の位置において供給口としての供給スリット4Fを有する。主排気口4Eは、ウエハ7が配置されている領域に対して開口する単一の縦長の開口である。供給スリット4Fは、円周方向に伸びたスリットであり、各ウエハ7に対応するように垂直方向に並んで設けられている。
【0013】
内管4Bは更に、排気出口4Dよりも反応管4の奥側で且つ主排気口4Eよりも開口側の位置に、処理室6と排気空間(排気室)Sとを連通させる中間排気口4Gが設けられる。また、フランジ部4Cにも、処理室6と排気空間S下端とを連通させる底排気口4Hが形成される。言い換えれば、排気空間Sの下端は、フランジ部4Cによって底排気口4H等を除き閉塞されている。中間排気口4G及び底排気口4Hは、主に後述の軸パージガスを排気するように機能する。
【0014】
外管4Aと内管4Bの間の排気空間Sには、供給スリット4Fの位置に対応させて、原料ガス等の処理ガスを供給する1本以上のノズル8が設けられている。ノズル8には、処理ガス(原料ガス)を供給するガス供給管9がマニホールド5を貫通してそれぞれ接続されている。
【0015】
それぞれのガス供給管9の流路上には、上流方向から順に、流量制御器であるマスフローコントローラ(MFC)10および開閉弁であるバルブ11が設けられている。バルブ11よりも下流側では、不活性ガスを供給するガス供給管12がガス供給管9に接続されている。ガス供給管12には、上流方向から順に、MFC13およびバルブ14が設けられている。主に、ガス供給管9、MFC10、バルブ11により、処理ガス供給系である処理ガス供給部が構成される。それらに更にMFC13およびバルブ14を含めて、ガス供給系と呼ぶ。
【0016】
インジェクタであるノズル8は、ノズル室42内に、反応管4の下部からまっすぐ立ち上がるように設けられている。ノズル8の側面や上端には、ガスを供給する1ないし複数のノズル孔8Hが設けられている。複数のノズル孔8Hは、供給スリット4Fのそれぞれの開口に対応させて、反応管4の中心を向くように開口させることで、内管4Bを通り抜けてウエハ7に向けてガスを噴射することができる。
【0017】
排気出口4Dには、処理室6内の雰囲気を排気する排気管15が接続されている。排気管15には、処理室6内の圧力を検出する圧力検出器(圧力計)としての圧力センサ16および圧力調整器(圧力調整部)としてのAPC(Auto Pressure Controller)バルブ17を介して、真空排気装置としての真空ポンプ18が接続されている。APCバルブ17は、真空ポンプ18を作動させた状態で弁を開閉することで、処理室6内の真空排気および真空排気停止を行うことができる。更に、真空ポンプ18を作動させた状態で、圧力センサ16により検出された圧力情報に基づいて弁開度を調節することで、処理室6内の圧力を調整することができるように構成される。主に、排気管15、APCバルブ17、圧力センサ16により、排気系が構成される。真空ポンプ18を排気系に含めて考えてもよい。
【0018】
マニホールド5の下方には、マニホールド5の下端開口を気密に閉塞可能な炉口蓋体としてのシールキャップ19が設けられている。シールキャップ19は、例えばステンレスやニッケル基合金等の金属からなり、円盤状に形成されている。シールキャップ19の上面には、マニホールド5の下端と当接するシール部材としてのOリング19Aが設けられている。
【0019】
また、シールキャップ19上面には、マニホールド5の下端内周より内側の部分に対し、シールキャップ19を保護するカバープレート20が設置されている。カバープレート20は、例えば、石英、サファイヤ、またはSiC等の耐熱耐蝕性材料からなり、円盤状に形成されている。カバープレート20は、機械的強度が要求されないため、薄い肉厚で形成されうる。カバープレート20は、シールキャップ19と独立して用意される部品に限らず、シールキャップ19の内面にコーティングされた或いは内面が改質された、窒化物等の薄膜或いは層であってもよい。カバープレート20はまた、円周の縁からマニホールド5の内面に沿って立ち上がる壁を有しても良い。
【0020】
基板保持具としてのボート21は、複数枚、例えば25~200枚のウエハ7を、水平姿勢で、かつ、互いに中心を揃えた状態で垂直方向に整列させて多段に支持する。そこではウエハ7は、一定の間隔を空けて配列させる。ボート21は、例えば石英やSiC等の耐熱性材料からなる。反応管4は、ボート21を安全に搬入出可能な最小限の内径を有することが望ましい場合がある。
【0021】
ボート21の下部には後述する断熱アセンブリ22が配設されている。断熱アセンブリ22は、上下方向の熱の伝導或いは伝達が小さくなるような構造を有し、通常、内部に空洞を有する。内部は軸パージガスによってパージされうる。反応管4において、ボート21が配置されている上部分を処理領域A、断熱アセンブリ22が配置されている下部分を断熱領域Bと呼ぶ。
【0022】
シールキャップ19の処理室6と反対側には、ボート21を回転させる回転機構23が設置されている。回転機構23には、軸パージガスのガス供給管24が接続されている。ガス供給管24には、上流方向から順に、MFC25およびバルブ26が設けられている。このパージガスの1つの目的は、回転機構23の内部(例えば軸受け)を、処理室6内で用いられる腐食性ガスなどから守ることである。パージガスは、回転機構23から軸に沿って排出され、断熱アセンブリ22内に導かれる。
【0023】
ボートエレベータ27は、反応管4の外部下方に垂直に備えられ、シールキャップ19を昇降させる昇降機構(搬送機構)として動作する。これにより、シールキャップ19に支えられたボート21およびウエハ7が、処理室6内外に搬入出される。なお、シールキャップ19が最下位置に降りている間、シールキャップ19の代わりに反応管4の下端開口を塞ぐシャッタ(不図示)が設けられうる。
【0024】
外管4Aの外壁には、温度センサ28が設置されている。温度センサ28は、上下に並んで配列された複数の熱電対によって構成されうる。温度センサ28により検出された温度情報に基づきヒータ3への通電具合を調整することで、処理室6内の温度が所望の温度分布となる。
【0025】
コントローラ29は、基板処理装置1全体を制御するコンピュータであり、MFC10, 13、バルブ11,14、圧力センサ16、APCバルブ17、真空ポンプ18、ヒータ3、温度センサ28、回転機構23、ボートエレベータ27等と電気的に接続され、それらから信号を受け取ったり、それらを制御したりする。
【0026】
次に、反応管4について図2を用いて説明する。内管4Bには、処理室6内に処理ガスを供給する供給スリット4Fが縦方向にウエハ7と同数、横方向に3個、格子状に並んで形成されている。或いは供給スリット4Fは、複数のウエハ7およびノズル8a~8cに共通の単一の開口として形成されうる。仕切り板41によって、主たる排気空間Sから分離された区画は、供給室であるノズル室(供給バッファ)42を形成する。すなわち、ノズル室42は内管4Bの側部の一部を外側に張り出して形成されている。処理領域A付近において、ノズル室42と内管4B内を直接つなぐ開口は、供給スリット4Fのみである。
【0027】
仕切り板41は、内管4Bとは連結されるものの、外管4Aと内管4Bの温度差に起因する応力を避けるために外管4Aとは連結させず、わずかな隙間を有するように構成される。ノズル室42は、排気空間Sから完全に隔離される必要はなく、特に上端や下端において排気空間Sと通じた開口もしくは隙間を有しうる。ノズル室42は、外管4Aの内面に沿った仕切り板41を設けるものに限らず、その外周側が開放され、及び/又は外管4Aによって区画されるものでも良い。
【0028】
内管4Bには、断熱アセンブリ22の側面に向かって開口する位置に、中間排気口4G、供給室排気口4Lが設けられている。中間排気口4Gは、排気出口4Dと同じ向きに設けられ、その開口の少なくとも1部が、排気出口4Dの管と重なるような高さに配置されている。供給室排気口4Lは中間排気口4Gと対向する位置に配置される。
【0029】
ノズル室42には、三つのノズル8a~8cが設置されている。ノズル8a~8cの側面には、反応管4の中心方向を向いて開口したノズル孔8Hがそれぞれ設けられている。ノズル孔8Hから噴出されたガスは、供給スリット4Fから内管4B内に流れるように意図されているが、一部のガスは直接流入しない。
【0030】
ノズル8a~8cには、図1に示されるようなガス供給管9、バルブ11、MFC10、ガス供給管12、バルブ14およびMFC13により構成されるガス供給系が、それぞれ別個に接続され、互いに異なるガスが供給されうる。また、ノズル室42に滞留するガスは、ノズル室42の上端や下端から排気空間Sへ排出されうる。
【0031】
ノズル8a~8cから噴き出した成膜ガスが供給スリット4Fを通過し、ウエハ7上を通過して、対向する主排気口4Eから排気管15を経由して炉外に排気される。排気が強いと成膜ガスがウエハ7上にとどまらないため、主排気口4Eの両側にノズル8d,8eが設置されている。ノズル8d,8eはノズル室42の中心と主排気口4Eの中心を結ぶC-C線に対して対称に配置される。ノズル8d,8eの側面には、ウエハ7の方向を向いて開口したノズル孔8Hがそれぞれ設けられている。ノズル8d,8eは、処理室内における渦の発生を抑制若しくは制御したり、成膜ガスを局所的に希釈してウエハ7に堆積される膜の面内均一性を制御する目的で使用されうる。ノズル8d,8eには、図1に示すガス供給管9、バルブ11、MFC10により構成されるガス供給系と同様のガス供給系がそれぞれ接続される。例えばノズル8d,8eから不活性ガスとしてのNガスを噴射して成膜ガスと衝突させて、ウエハ7上に成膜ガスをとどまらせる。ノズル8d,8eを内管4B内に収容するために、2つのノズル室43が、内管4Bの側部の一部を外側に張り出して形成されうる。
【0032】
図2に示すノズル8dの取り付けについて図3を用いて説明する。マニホールド5は、その側壁を貫通して外側に延びるガスインレットポート(ガス導入ポート)38を有する。ガスインレットポート38は、その先端に、ガス供給管9と接続される接続部36を有する。ガスインレットポート38には、マニホールド5の内側から円筒形状の接続管30が挿入されて、接続部36において相手方のガス供給管9と、Oリング(不図示)等によって気密にシールされて固定されている。ノズル8dへのNガスは接続管30から導入され、マニホールド5の内壁面5bの円周方向に沿って円弧状に形成されたガス供給管31を通ってノズル基部(エルボ)32、ノズル8dへと供給される。すなわち、ノズル8dとガスインレットポート38とがマニホールド5の内壁面5bの円周方向においてオフセットされている。このような構成は、ノズル8のすぐ外側にガスインレットポート38を設けるだけの十分なスペースが無い場合などに用いられる。例えば、マニホールド5の周囲が矩形の箱型のケーシング(スカベンジャー)によって覆われている場合、周方向の位置によって空きスペースが異なりうる。
【0033】
マニホールド5にブラケット35を介して固定されたサポート部材33には傾き調整具としてのボルト34aが設けられており、ボルト34aによってノズル基部32を支持する。ノズル8dが垂直に取り付けられていると、ガス噴射時の勢いでノズル8dが揺れる、または、倒れる懸念がある。揺れや倒れを抑制するため、ボルト34aによりノズル8dの先端を内管4Bの内壁面に押し付ける。ただし、ノズル8dの根元は内管4Bの内壁面とは接触しない。
【0034】
ノズル8eの取り付けもノズル8dと同様である。ノズル8eにガスを導入するガスインレットポート、ガス供給管、ノズル基部、並びにノズル基部を固定するサポート部材およびブラケットは、ガスインレットポート38、ガス供給管31、ノズル基部32、サポート部材33およびブラケット35と、図2に示すC-C線に対して対称に配置される。
【0035】
ノズル基部32およびその周辺について図4から図8を用いて説明する。図4に示すように、ノズル基部32は、第一係合部32aと第二係合部32bと設置部32cとで構成される。第一係合部32aと第二係合部32bは多角形のブロック形状である。設置部32cは円筒形状であり、第一係合部32aの上面から立ち上がるように形成され、ノズル8dが設置される。なお、第一係合部32aと設置部32cとは一体に形成されうる。処理容器の中心とノズル8dの中心軸を通る平面に略平行な面(接合面)において第一係合部32aと第二係合部32bが接合されている。ここで、接合面は、ノズル8dが伸びる方向及びノズル8dと処理容器の中心を結ぶ線に平行な面或いは処理容器の中心軸を含む面であって、ボルト34aによって傾かせるべき方向を含む面である。第二係合部32bの側面(第一係合部32aとの接合面に対向する面)にはガス供給管31が接続される。
【0036】
設置部32cは、図示しない外管と内管を備える二重管構造であり、外管と内管との間の円環状の空間にノズル8dが挿入され固定される。設置部32cの上部側には、外管の周囲を覆うカバー部37が設けられている。カバー部37は、設置部32cに対するノズル8dの向きを定める位置決め部材の脱落を防止する。内管は後述する第一係合部32aの流路32dに接続される。
【0037】
図5に示すように、第二係合部32bは、ガス供給管31の延長方向に貫通し、溶接等によりガス供給管31と連続的に接続された流路32dと、同方向に貫通する二つの長孔32e,32fを有する。また、第一係合部32aの対応する位置に二つのタップ穴32g,32hを設ける。長孔32e,32fはノズル基部32内の円形の流路32dの断面を中心とする円の円弧方向に長い孔であり、長孔32eと長孔32fとの間に流路32dが位置する。ボルト34eは長孔32eを通りタップ穴32gに螺合され、ボルト34fは長孔32fを通りタップ穴32hに螺合される。これにより、適正なノズル傾き量で締結、姿勢固定が可能となる。
【0038】
また、図6に示すように、ノズル基部32の接合面には、流路32dの中心を揃えるためにインロー(spigot joint)形状が形成される。第一係合部32a側が凹状に、第二係合部32b側が凸状に形成されている。流路32dはガス供給管31に連通される。インロー形状はまた、接合の気密性を高めるように作用しうる。
【0039】
図4に示すように、マニホールド5の内壁面5bに設けられたブラケット35の下面にボルト34b,34cによりサポート部材33の一端が取り付けられ、サポート部材33の片持ち梁構造によって、サポート部材33に設けられたボルト34aによってノズル基部32の第一係合部32aの下面を支持する。図7および図8に示すように、ボルト34aの位置は、ノズル8dとノズル基部32とガス供給管31とを含む一体物(ノズルアセンブリ)の重心よりも処理容器の中心寄りに配置され、押し上げによってノズル8dの先端を内管4Bの内壁側に押し付け可能となる。
【0040】
なお、図8に示すボルト34aとOリング36を結ぶ直線F上に重心CGが位置すると、Oリング36を支点に回転軸Gの周りに回転することによりノズル8dは左右方向に傾くが、処理容器の中心側には傾かない。ただし、内管4Bの内壁側にも倒れない。その結果、ノズル8dが垂直に取り付けられ、ガス噴射の勢いで前後方向に揺れや倒れがあり、成膜中にノズル8dが揺れてボート21と接触し、ノズル8dまたはボート21を破損する虞がある。
【0041】
図4に示すように、ノズル基部32の傾き姿勢を維持するために、サポート部材33と第一係合部32aの側面即ち第二係合部32bと反対側であって内壁面5bと対向しない面を、ボルト34dにより剛接合して固定する。この文脈において剛接合(rigid joint)は、ピン接合やボールジョイントのような回転自在な接合と区別する意味で用いる。サポート部材33は、ノズル基部32と剛接合した位置(ボルト34dにより固定された位置)から下方に延びたのち、ノズル基部32の下方で横方向に延びるアングル部33eを有し、ボルト34aは、アングル部33eに設けられる。ボルト34dは、ボルト34aがノズル基部32を押し上げるほど締まるようにねじが切られている。本実施形態では、サポート部材33とノズル基部32の第一係合部32aを剛接合するボルトはボルト34dの一本のみであるが、複数のボルトにより剛接合するようにしてもよい。
【0042】
図6に示すように、ノズル基部32の接合面、すなわち、第一係合部32aと第二係合部32bとを締結するボルト34e,34fと、サポート部材33とノズル基部32を締結するボルト34dは対向している。ボルト34d,34e,34fのそれぞれを締め付けるとノズル8dの先端が内管4Bの内壁側に傾くような方向にねじが切られている。つまり、ボルト34e,34fが正ねじのとき、ボルト34dは逆ねじとなる。なお、ノズル8eのノズル基部はノズル基部32と左右対称であり、ノズル8eのノズル基部の接合面を締結するボルトが逆ねじ、ノズル8eのノズル基部とサポート部材を締結するボルトは正ねじとなる。
【0043】
図6に示すように、サポート部材33には、マニホールド5の内壁面5bに設けられたブラケット35に第1ボルトとしてのボルト34b,34cを螺合するための二つの貫通孔33a,33bが設けられると共に、二つの貫通するタップ孔33c,33dが設けられている。タップ孔33c,33dに第2ボルトとしてのボルト34g,34hを螺合してブラケット35の下面に押し当てる(当接させる)ことによりサポート部材33の左右方向(周方向)の平行度(傾き)を調整可能にしている。
【0044】
ノズル基部32の取付手順について説明する。まず、ブラケット35にサポート部材33をボルト34b,34cにより本締めする。また、ボルト34aは低めに仮締めしておく。次に、ノズル8dの先端を内管4Bの内壁に接触させ、ノズル基部32をボルト34aに載せ、チルトを調整して、ボルト34e,34fにより本締めする。次に、ボルト34aにて与圧をかけてナット34iに本締めする。ここで、ノズル8dは内管4Bの内壁に形成されたU字の底にいるので、ボルト34aにより与圧かけても左右に傾かない。また、ノズル基部32とサポート部材33をボルト34dにより本締めする。ボルト34dは逆ねじになっておりさらに与圧される。なお、部材の平面/平行度が出ていなく、ノズル8dが左右に傾く場合は、ボルト34g,34hにより押し引き調整する。傾きがない場合は、ボルト34g,34hを使用しなくてもよく、ブラケット35と反応管の相対位置精度が高く保てるのであれば、サポート部材33の一部はブラケット35と一体に構成しても良い。このとき、アングル部33eをボルト等により着脱可能に構成すると、ノズル8dを下に引き抜いて着脱するのを妨げない。
【0045】
次に、上述の基板処理装置1を用い、半導体装置(デバイス)の製造工程の一工程として、基板上に膜を形成する処理(以下、成膜処理ともいう)のシーケンス例について説明する。ここでは、ノズル8を2本以上設け、基板としてのウエハ7に対して、ノズル8aから第1の処理ガス(原料ガス)とノズル8bから第2の処理ガス(反応ガス)とを交互に供給することで、ウエハ7上に膜を形成する例について説明する。なお、図1に示すノズル8のガス供給系であるガス供給管9、MFC10、バルブ11、ガス供給管12、MFC13、バルブ14は、ノズル8aのガス供給系の場合、ガス供給管9a、MFC10a、バルブ11a、ガス供給管12a、MFC13a、バルブ14aと記載し、ノズル8bのガス供給系の場合、ガス供給管9b、MFC10b、バルブ11b、ガス供給管12b、MFC13b、バルブ14bと記載する。
【0046】
以下、図9を参照して、原料ガスとしてシラン系ガスのようなシリコン元素含有ガスを用い、反応ガスとして窒素元素含有ガスを用い、ウエハ7上に所定の膜を形成する例について説明する。なお、以下の説明において、基板処理装置1を構成する各部の動作はコントローラ29により制御される。
【0047】
本実施形態における成膜処理では、処理室6内のウエハ7に対して原料ガスを供給する工程(S941)と、処理室6内から原料ガス(残留ガス)を除去する工程(S942)と、処理室6内のウエハ7に対して反応ガスを供給する工程(S943)と、処理室6内から反応ガス(残留ガス)を除去する工程(S944)と、を非同時に行うサイクルを所定回数(1回以上)行うことで、ウエハ7上に膜を形成する。
【0048】
本明細書において「ウエハ」という用語は、「ウエハそのもの(ベアウエハ)」の他、「ウエハとその表面に形成された所定の層や膜等との積層体(複合体)」を意味する。同様に「ウエハの表面」という用語は、「ウエハそのものの表面」を意味する場合や、「ウエハ上に形成された所定の層や膜等の表面、すなわち、積層体としてのウエハの最表面」を意味する場合がある。「基板」という用語の解釈も、「ウエハ」と同様である。
【0049】
(S901:ウエハチャージおよびボートロード)
最初に、装置のスタンバイの状態が解除され、複数枚のウエハ7がボート21に装填(ウエハチャージ)され、そのボート21はボートエレベータ27によって処理室6内に搬入(ボートロード)される。このとき、コントローラ29は、MFC25に所定の小流量(例えば50sccm以下)を設定し、バルブ26を開けるように制御する。回転機構23から少量のNガス(軸パージガス)が流出する。搬入が終わると、シールキャップ19は、Oリング19Bを介してマニホールド5の下端を気密に閉塞(シール)した状態となる。なお、ウエハチャージする前のスタンバイの状態から(つまり常時)、バルブ26やバルブ14を開とし、パージガスの供給を開始しても良い。バルブ26からの軸パージガスは、ウエハチャージ中に外部より巻き込まれるパーティクルが断熱アセンブリ22に付着することを抑制し、バルブ14からのパージガスは、空気等の気体がノズル内に逆流することを抑制することができる。
【0050】
(S902:圧力調整)
処理室6内、すなわち、ウエハ7が存在する空間が所定の圧力(真空度)となるように、真空ポンプ18によって真空排気(減圧排気)される。この際、処理室6内の圧力は、圧力センサ16で測定され、この測定された圧力情報に基づきAPCバルブ17が、フィードバック制御される。真空ポンプ18は、少なくともウエハ7に対する処理が終了するまでの間は常時作動させた状態を維持する。
【0051】
(S903:昇温)
また、処理室6内のウエハ7が所定の温度となるように、ヒータ3によって処理室6内が加熱される。この際、処理室6内が所定の温度分布となるように、温度センサ28が検出した温度情報に基づきヒータ3への通電具合がフィードバック制御される。ヒータ3による処理室6内の加熱は、少なくともウエハ7に対する処理が終了するまでの間は継続して行われる。
【0052】
(S904:成膜処理)
処理室6内の温度が予め設定された処理温度に安定すると、次の4つのサブステップ、すなわち、S941、S942、S943及びS944を順次実行する。なおこの間、回転機構23により、回転軸66を介してボート21が回転されることで、ウエハ7が回転される。
【0053】
(S941:原料ガス供給)
このステップでは、処理室6内のウエハ7に対し、原料ガスを供給し、ウエハ7の最表面上に、第1の層として、シリコン(Si)含有層を形成する。具体的には、バルブ11aを開き、ガス供給管9a内へ原料ガスを流す。原料ガスは、MFC10aにより流量調整され、ノズル8aのノズル孔8H、ノズル室42、供給スリット4Fを介して処理室6内の処理領域へ供給され、主排気口4E、排気空間S、排気出口4Dを介して排気管15から排気される。また同時にバルブ14aを開き、ガス供給管12a内へNガスを流す。Nガスは、MFC13aにより流量調整され、ノズル8aのノズル孔8H、ノズル室42、供給スリット4Fを介して原料ガスと一緒に処理室6内の処理領域へ供給され、主排気口4E、排気空間Sを介して排気管15から排気される。また同時にNガスは、ノズル8d,8eのノズル孔8Hを介して処理室6内の処理領域へ供給され、主排気口4E、排気空間S、排気出口4Dを介して排気管15から排気される。このとき、コントローラ29は、第1圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。
【0054】
(S942:原料ガス排気)
第1の層が形成された後、バルブ11aを閉じ、原料ガスの供給を停止するとともに、APCバルブ17を全開にする制御を行う。これにより、処理室6内を真空排気し、処理室6内に残留する未反応もしくは第1の層の形成に寄与した後の原料ガスを処理室6内から排出する。このとき、処理室6の温度に近い温度の排気ガスが、排気出口4Dを通過し、排気出口4D及び付近に熱が伝達される。なお、バルブ14aを開いたままとして、処理室6内へ供給されたNガスに、残留ガスをパージさせてもよい。ノズル8aからのパージガスの流量は、排気経路中で低蒸気圧ガスの分圧を飽和蒸気圧よりも下げるように、或いは、反応管4内での流速が拡散速度に打ち勝つ速度になるように設定され、通常、少量のベントガスや軸パージガスに比べて格段に大きい。
【0055】
(S943:反応ガス供給)
ステップS942が終了した後、処理室6内のウエハ7、すなわち、ウエハ7上に形成された第1の層に対して反応ガスを供給する。熱で活性化された反応ガスは、ステップS941でウエハ7上に形成された第1の層(Si含有層)の少なくとも一部と反応し、SiおよびNを含む第2の層(シリコン窒化層)へと変化(改質)させる。バルブ11b,14bの開閉制御を、ステップS941におけるバルブ11a,14aの開閉制御と同様の手順で行う。反応ガスは、MFC10bにより流量調整され、ノズル8bのノズル孔8H、ノズル室42、供給スリット4Fを介して処理室6内の処理領域へ供給され、主排気口4E、排気空間Sを介して排気管15から排気される。また同時にNガスは、ノズル8d,8eのノズル孔8Hを介して処理室6内の処理領域へ供給され、主排気口4E、排気空間S、排気出口4Dを介して排気管15から排気される。このとき、コントローラ29は、第2圧力を目標圧力とする定圧制御を行う。第1圧力や第2圧力は、一例として100~5000Paであり、好ましくは100~500Paである。
【0056】
(S944:反応ガス排気)
第2の層が形成された後、バルブ11bを閉じ、反応ガスの供給を停止するとともに、目標圧力を0とする定圧制御(つまり全開制御)を行う。これにより、処理室6内を真空排気し、処理室6内に残留する未反応もしくは第2の層の形成に寄与した後の反応ガスを処理室6内から排出する。このとき、ステップS942と同様に、所定量のNガスをパージガスとして処理室6内へ供給することができる。原料ガス排気若しくは反応ガス排気における到達圧力は、100Pa以下であり、好ましくは10~50Paである。処理室6内の圧力は供給時と排気時とで10倍以上異なりうる。
【0057】
(S945:所定回数実施)
上述したS941からS944のステップを時間的にオーバーラップさせることなく順次行うサイクルを所定回数(n回)行うことにより、ウエハ7上に、所定組成および所定膜厚の膜を形成することができる。S941やS943で形成される第1及び第2の層の厚さは、必ずしも自己限定的ではなく、その場合、安定した膜質を得るために、ガスに曝露される間のガス濃度や時間は、高い再現性でもって精密に制御される必要がある。なお、反復されるサイクル内で、S941とS942、またはS943とS944を、更に複数回反復して実施してもよい。
【0058】
(S905:降温)
このステップでは、必要に応じ、成膜処理の間続けられていたステップS903の温度調整が停止しもしくはより低い温度に設定し直され、処理室6内の温度が徐々に下げられる。
【0059】
(S906:ベントおよび大気圧復帰)
成膜処理が完了した後、バルブ14および図示しないバルブを開き、ガス供給管12および図示しないガス供給管からNガスを処理室6内へ供給し、排気管15から排気する。これにより、処理室6内の雰囲気が不活性ガスに置換され(不活性ガス置換)、残留する原料や副生成物が処理室6内から除去(パージ)される。その後、APCバルブ17が閉じられ、処理室6内の圧力が常圧になるまでNガスが充填される(大気圧復帰)。なお、ステップS905とS906は並行して行ったり、開始順序を入れ替えたりしてもよい。
【0060】
(S907:ボートアンロードおよびウエハディスチャージ)
ボートエレベータ27によりシールキャップ19がゆっくりと下降され、マニホールド5の下端が開口される。そして、処理済のウエハ7が、ボート21に支持された状態で、マニホールド5の下端から反応管4の外部に搬出される(ボートアンロード)。処理済のウエハ7は、図示しない移載機によってボート21より取出される(ウエハディスチャージ)。
【0061】
ノズル基部32およびその周辺構成の変形例について図10を用いて説明する。図10図6に対応する図である。ガス供給管31の延長線上において、サポート部材33とノズル基部32の第一係合部32aに、ピン33fとボス(穴)32jをそれぞれ設けてもよい。これにより、チルトの回転中心が位置決めされる。ピン33fとボス32jは少なくとも重心CGよりブラケット35側にあればよい。また、ピン33fとボス32jとの隙間嵌めで良く精度は不要である。
【0062】
本実施形態によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0063】
(a)ノズル8d及びノズル基部32を含むノズルアセンブリの重心よりも、処理容器の中心側にずれた位置で、ノズル基部32の下面を調整可能に押す又は引くように構成された傾き調節具(ボルト34a)を備える。これにより、ノズル8dに所望の前後チルトを設定した状態でリジットに固定できる。支点が重心よりも処理容器の中心側に配置されたことで、経時変化等によって内側に倒れることが無い。
【0064】
(b)マニホールド5の内壁面5bに沿って横に延び、ノズル基部32のサポート部材33とは反対側の側面において流路32dと連通するガス供給管31を備える。これにより、処理容器の下部(マニホールド5)と、ボート21との間に必要な隙間を小さくし、処理容器の容積が小さくなり、ガス置換性を向上できる。
【0065】
(c)ノズル基部32とサポート部材33は、ノズル8dが伸びる方向及びノズル8dと処理容器の中心を結ぶ線に略平行な面(傾き調節具によって傾かせるべき方向を含む面)で、一本以上のボルト(ボルト34d)によって剛接合され、ボルト34dは、傾き調節具(ボルト34a)がノズル基部を押し上げるほど締まるように、右ネジ若しくは左ネジの一方が選択される。これにより、傾き調節具(ボルト34a)によって、ノズル8dを内管4Bの内壁に接触させた状態で更に与圧し、ノズル8dの擦れや衝突を防止できる。
【0066】
(d)ガス供給管31を含むノズルアセンブリの重心は、ガスインレットポート38がガス供給管31を支える点と、傾き調節具(ボルト34a)がノズル基部32を支える点とを結ぶ直線よりも、内管4Bの内壁面側にある。これにより、ノズル8dは2点のみで支持できる状態で固定されるので、ガスインレットポート38に無理な力が掛かってリークが生じることを防止できる。
【0067】
(f)フランジ管(マニホールド5)は、円周面から内側へ向かって伸びるブラケット35を有し、サポート部材33はその一端においてブラケット35の底面にボルト34b,34cによって締着され、サポート部材33は、片持ち梁構造によってノズル基部32を支持する。これにより、処理容器の下部と、ボート21との間に必要な隙間を小さくできる。
【0068】
(g)ボルト34b,34c,34g,34hは、ブラケット35の底面に螺合するとともにサポート部材33を貫通する第1ボルト(ボルト34b,34c)と、サポート部材33に螺合するとともにブラケット35の底面に当接する第2ボルト(ボルト34g,34h)と、を含む。これにより、周方向(左右方向)の傾きも調整できる。
【0069】
(h)サポート部材33は、ノズル基部32と剛接合した位置から下方に延びたのち、ノズル基部32の下で横方向に延びるアングル部33eを有し、傾き調節具(ボルト34a)は、アングル部33eに設けられる。これにより、ノズル基部32の支点となる部材と剛接合(固定)する部材が共通となり、作業性が良い。
【0070】
本開示は上述の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。当業者は、上述の実施形態を、減圧下での基板の熱処理に広く適用できる。例えば本開示は、ホットウォール反応管に限られず、ランプ加熱や誘導加熱によるコールドウォール管に適用でき、図1のような2重管、図2のようなバッファ(ダクト)付き管、図5のような1重管を含む、様々な形状の反応管に対して適用できる。
【0071】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0072】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
フランジ管は、円周面から内側へ向かって伸びるブラケットを有し、サポート部材はその一端においてブラケットの底面にボルトによって締着され、サポート部材は、片持ち梁構造によってノズル基部を支持する基板処理装置が提供される。
【0073】
(付記2)
付記1の基板処理装置において、好ましくは、
前記ボルトは、ブラケットの底面に螺合するとともに前記サポート部材を貫通する第1ボルトと、前記サポート部材に螺合するとともに前記ブラケットの底面に当接する第2ボルトと、を含む。
【0074】
(付記3)
付記1の基板処理装置において、好ましくは、
前記サポート部材は、前記ノズル基部と剛接合した位置から下方に延びたのち、前記ノズル基部の下で横方向に延びるアングル部を有し、前記傾き調節具は、前記アングル部に設けられる。
【0075】
(付記4)
付記1の基板処理装置において、好ましくは、
前記ノズル基部は、接合面によって分離可能に接合する第一係合部と第二係合部とを有し、接合面を貫通する前記流路の周囲にはインロー形状が形成される。
【符号の説明】
【0076】
1・・・基板処理装置
8d・・・ノズル
32・・・ノズル基部
32d・・・流路
33・・・サポート部材
34a・・・傾き調整具(ボルト)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10