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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155268
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】液溜構造を備える装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 27/28 20060101AFI20241024BHJP
   G01N 27/416 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
G01N27/28 321A
G01N27/416 311L
G01N27/416 311G
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023069862
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145872
【弁理士】
【氏名又は名称】福岡 昌浩
(74)【代理人】
【識別番号】100187632
【弁理士】
【氏名又は名称】橘高 英郎
(72)【発明者】
【氏名】中村 浩二
(57)【要約】
【課題】溶存物質濃度の電気化学的測定をin-situで安定して高精度で行う技術を提供する。
【解決手段】被検液が流れる流路と、被検液中に含まれる溶存物質の濃度を測定する電気化学センサと、電気化学センサに接触させる被検液を一時的に滞留させる液溜構造と、を備え、液溜構造は、濃度測定を実施する期間中は、流路に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路内に配置された電気化学センサの周囲に、被検液を静止状態とする領域を一時的に確保し、濃度測定を実施した後の期間中は、流路に被検液が流れる状態を維持しつつ、測定済みの被検液記領域内から流路へ排出し、流路を流れる被検液を領域内に取込むよう構成されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検液が流れる流路と、
前記被検液中に含まれる溶存物質の濃度を測定する電気化学センサと、
前記電気化学センサに接触させる前記被検液を一時的に滞留させる液溜構造と、を備え、
前記液溜構造は、
濃度測定を実施する期間中は、前記流路に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、前記流路内に配置された前記電気化学センサの周囲に、前記被検液を静止状態とする領域を一時的に確保し、前記濃度測定を実施した後の期間中は、前記流路に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、測定済みの前記被検液を前記領域内から前記流路へ排出し、前記流路を流れる前記被検液を前記領域内に取込むよう構成されている、
装置。
【請求項2】
前記液溜構造は、
前記被検液の流出入口となる開口を有する枠体と、
前記枠体内に前記電気化学センサを保持する保持部と、
を備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記枠体は、前記流路内における前記被検液の流れ方向に交差して設置される、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記液溜構造は、前記枠体と前記保持部とを相対移動させることより前記開口を水密に閉塞する、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記枠体は、前記開口を閉塞可能な蓋部材を備え、
前記蓋部材は、前記保持部及び前記電気化学センサのうち少なくともいずれかとの干渉により開閉する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記液溜構造は、前記開口を閉塞する蓋部材をさらに備え、
前記液溜構造は、前記枠体と前記蓋部材とを相対移動させることにより前記開口を水密に閉塞する、
請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記液溜構造は、前記枠体と前記電気化学センサとを同時に前記流路内に移動させることにより、前記流路内に前記領域を一時的に確保する、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記開口の一部としての前記被検液の流入口が、前記枠体の側面に設けられており、
前記開口の他の一部としての前記被検液の流出口が、前記枠体の前記側面のうち前記流入口の設置位置と対向する位置に設けられており、
前記液溜構造は、前記流入口と前記流出口とを結ぶ直線が前記流れ方向に交差するように前記枠体を配置することにより、前記流路内に前記領域を一時的に確保する、
請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記枠体は、外側枠体と、前記外側枠体の内部に配置される内側枠体と、を有し、
前記開口は、前記外側枠体及び前記内側枠体にそれぞれ設けられており、
前記液溜構造は、前記外側枠体及び前記内側枠体のうち少なくともいずれかを回転させることにより、又は前記外側枠体と前記内側枠体とを相対移動させることにより、前記外側枠体及び前記内側枠体の前記開口をそれぞれ水密に閉塞する、
請求項3に記載の装置。
【請求項10】
前記開口の一部としての前記被検液の流入口が、前記外側枠体及び前記内側枠体のそれぞれの側面に設けられており、
前記開口の他の一部としての前記被検液の流出口が、前記外側枠体及び前記内側枠体のそれぞれの前記側面のうち前記流入口の設置位置と対向する位置に設けられている、
請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記枠体は、前記流路内における前記被検液の流れ方向に沿って設置される、請求項2に記載の装置。
【請求項12】
前記枠体は、前記流れ方向における上流側及び下流側のそれぞれに前記開口を有し、
前記液溜構造は、前記流れ方向における上流側の前記開口を閉塞する蓋部材をさらに備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記液溜構造は、前記流れ方向における下流側の前記開口を閉塞する蓋部材をさらに備える、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記濃度測定を実施する期間中の前記流路の最小断面積が、前記濃度測定を実施した後の期間中の前記流路の最小断面積の1/2以上である、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液溜構造を備える装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイヤモンドを含む材料で構成された電極膜を有する作用電極を備える電気化学センサを用い、溶存物質濃度を電気化学的に測定することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008-281356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、溶存物質濃度の電気化学的測定をin-situで安定して高精度で行う技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様によれば、
被検液が流れる流路と、
前記被検液中に含まれる溶存物質の濃度を測定する電気化学センサと、
前記電気化学センサに接触させる前記被検液を一時的に滞留させる液溜構造と、を備え、
前記液溜構造は、
濃度測定を実施する期間中は、前記流路に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、前記流路内に配置された前記電気化学センサの周囲に、前記被検液を静止状態とする領域を一時的に確保し、前記濃度測定を実施した後の期間中は、前記流路に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、測定済みの前記被検液を前記領域内から前記流路へ排出し、前記流路を流れる前記被検液を前記領域内に取込むよう構成されている、
装置が提供される。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、溶存物質濃度の電気化学的測定をin-situで安定して高精度で行う技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成の一例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図1(b)は、図1(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図である。
図2図2(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面で示す図であり、図2(b)は、図2(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図である。
図3図3(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図3(b)は、図3(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図である。
図4図4(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図4(b)は、図4(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図4(c)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図4(d)は、図4(c)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図である。
図5図5は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図である。
図6図6(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の様子を縦断面図で示す図であり、図6(b)は、図6(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の様子を縦断面図で示す図であり、図6(c)は、図6(a)に示す液溜構造を下面図で示す図である。
図7図7(a)は、図6に示す液溜構造のさらに他の変形例を正面図で示す図であり、図7(b)は、図7(a)に示す液溜構造を側面図で示す図であり、図7(c)は、図7(a)に示す液溜構造を下面図で示す図である。
図8図8(a)は、図6に示す液溜構造のさらに他の変形例を正面図で示す図であり、図8(b)は、図8(a)に示す液溜構造を側面図で示す図である。
図9図9(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図9(b)は、枠体部分を図9(a)のA-A線断面図で示す図であり、図9(c)は、図9(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図9(d)は、枠体部分を図9(c)のB-B線断面図で示す図である。
図10図10(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図10(b)は、枠体部分を図10(a)のC-C線断面図で示す図であり、図10(c)は、図10(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図10(d)は、枠体部分を図10(c)のD-D線断面図で示す図である。
図11図11(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図11(b)は、枠体部分を図11(a)のE-E線断面図で示す図であり、図11(c)は、図11(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図11(d)は、枠体部分を図11(c)のF-F線断面図で示す図である。
図12図12(a)は、本開示の一態様における液溜構造の概略構成のさらに他の変形例を示す図であり、濃度測定を実施する期間中の枠体部分を縦断面図で示す図であり、図12(b)は、図12(a)に示す液溜構造において、濃度測定を実施した後の期間中の枠体部分を縦断面図で示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<発明者等が得た知見>
ダイヤモンドを含む材料で構成された電極膜を有する作用電極を備える電気化学センサを用いた電気化学的測定により溶存物質濃度を測定する際、被検液を静止状態としつつ電気化学センサが備える作用電極等の電極に接触させて測定する必要がある場合がある。例えば、オゾン水中のオゾン濃度を電気化学的に測定する際、オゾン濃度を安定して正確に測定するためには、被検液(オゾン水)を静止状態としつつ電極に接触させて測定する必要がある。というのも、オゾン水中のオゾン濃度(水中の溶存オゾン濃度)を電気化学的に測定する際、被検液に流れ(動き)があると、電気化学センサが備える電極に供給されるオゾンの量が被検液の動きによって変化し、その結果、濃度の測定結果が不安定になる(濃度の測定精度が低くなる)ことがあるためである。
【0009】
また、オゾンの半減期(オゾン濃度が1/2になるまでの時間)は、静止状態のオゾン水であっても二十数分程度であるとの報告があることから、オゾン濃度の電気化学的測定を行う際、新鮮な(生成したばかりの)オゾン水を用いて測定する必要がある。このため、オゾン水生成装置により生成したオゾン水が流れる流路に電気化学センサを設置し、溶存オゾン濃度の電気化学的測定をオゾン水が流れる流路で行うこと、すなわち、溶存オゾン濃度の測定をin-situで行うことが要求されている。
【0010】
しかしながら、上述のように、溶存オゾン濃度の電気化学的測定は、被検液を静止状態として行う必要がある。このため、溶存オゾン濃度の測定をin-situで行うことが困難であった。
【0011】
本開示は、上述の実情に鑑みてなされたものであり、溶存物質濃度の電気化学的測定をin-situで安定して精度よく測定することが可能な技術を開示するものである。
【0012】
<本開示の一態様>
以下、本開示の一態様について図面を参照しながら説明する。
【0013】
(1)装置構成
図1(a)及び図1(b)に、本態様にかかる液溜構造を備える装置100の概略構成の一例を示す。装置100は、被検液中に溶存する特定成分(被検物質)の濃度を測定するように構成されている。本態様では、被検液が、オゾン(O)が水(水道水等)中に溶存するオゾン水であり、測定対象である被検物質がオゾン水中に溶存するオゾン(溶存オゾン)である例について説明する。
【0014】
図1(a)及び図1(b)に示すように、装置100は、被検液が流れる流路10と、被検液中に含まれる溶存物質(溶存オゾン)の濃度を電気化学的に測定する電気化学センサ20(以下、「センサ20」とも称する)と、センサ20に接触させる被検液を流路10内で一時的に滞留させる液溜構造30と、を備えている。
【0015】
流路10は、例えば、図示しないオゾン水生成装置で生成されたオゾン水を流す搬送ライン(配管又は配管継手)である。流路10は、断面形状が円形、楕円形、矩形等に形成されている。流路10の上流端は、オゾン水生成装置に接続されている。流路10には液溜構造30が設置されている。
【0016】
センサ20は、作用電極21、対電極22、及び参照電極23が搭載された3電極センサ、又は、作用電極21及び対電極22が搭載された2電極センサとすることができる。本態様では、センサ20が3電極センサである例について説明する。なお、本明細書では、作用電極21、対電極22、及び参照電極23をまとめてセンサ電極26とも称する。このように、センサ20には、複数の電極が搭載されており、センサ20に搭載される複数の電極は、全て個体電極で(別体で)構成されている。各電極21,22,23の配置は、特に限定されるものではなく、被検液、被検物質、各電極21,22,23の形状等に応じて適宜変更可能である。センサ20に搭載されるこれらの電極21,22,23は、被検物質に応じて、形状、材料などが適宜決定される。被検物質が溶存オゾンである場合、少なくとも作用電極21、好ましくは作用電極21、対電極22、及び参照電極23を、ダイヤモンド電極とすることができる。ダイヤモンド電極とは、ダイヤモンドを含む材料で構成された電極膜を有する電極、例えば、ホウ素(ボロン)がドープされたダイヤモンド多結晶で構成された電極膜を表面に有する電極である。
【0017】
センサ20には、例えばポテンショスタットの機能を有する測定器24が装着される。測定器24は、センサ20に装着可能に構成され、図示しない導体配線を介してセンサ20に電気的に接続されている。測定器24は、センサ20に搭載されたセンサ電極26への印加電圧を制御するとともに、電圧印加により作用電極21で生じる電気化学反応に応じて作用電極21と対電極22との間に流れる電流値(電気化学反応により生じる電流値)を測定するように構成されている。例えば、測定器24は、センサ電極26に被検液を接触させた状態で、作用電極21と対電極22との間に電圧を印加しつつ参照電極23の電位を基準にして作用電極21の電位を掃引することにより、作用電極21の表面で電気化学反応を生じさせ、その際に作用電極21と対電極22との間を流れる電流値の測定を行うことが可能なように構成されている。測定器24は、表示部25を有し、測定によって得られた被検物質の濃度を示すデータを表示部25に表示することが可能なように構成されている。また、測定器24は、無線通信手段や有線通信手段等を介して、通信機能等を備えたコンピュータ(スマートフォン、タブレット、PC等)に、測定によって得られた被検物質の濃度を示すデータを送信することが可能なように構成されていてもよい。
【0018】
液溜構造30は、濃度測定を実施する期間中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20(に搭載されたセンサ電極26)の周囲に、被検液を静止状態とする領域(以下、「静止領域」とも称する)を一時的に確保するように構成されている。また、液溜構造30は、濃度測定を実施した後の期間中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、測定済みの被検液を静止領域内から流路10へ排出し、流路10を流れる新鮮な被検液を静止領域内に取込むよう構成されている。液溜構造30は、濃度測定を実施した後の期間中は、被検液の排出と取込みとを同時に行い、静止領域内の被検液の入れ替えを行うように構成されている。
【0019】
なお、ここでいう「被検液を静止状態とする」とは、被検液を実質的に流れのない状態にすることを意味する。また、本明細書における「濃度測定を実施する期間中」とは、実際に濃度測定を実施しているか否かを問わず、後述の開口34の閉塞時を意味する。これを本明細書では「測定中」とも称する。また、本明細書における「濃度測定を実施した後の期間中」とは、後述の開口34の開放時を意味する。これを本明細書では「測定後」とも称する。また、本明細書では、「測定済みの被検液の静止領域内から流路10への排出」を「被検液の排出」とも称し、「流路10を流れる新鮮な被検液の静止領域内への取込み」を「被検液の取込み」とも称する。
【0020】
液溜構造30は、枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、を備えている。
【0021】
枠体31は、オゾンを含む被検液に接触させても腐食することがない材料により構成され、例えば円筒形状に形成されている。枠体31は、流路10内における被検液の流れ方向(以下、「流れ方向」とも称する)に交差して、好ましくは流れ方向に垂直に、流路10に設置されている。測定中、枠体31の内部空間33には、流路10から被検液を取り込んで保持する保液空間が構成されている。すなわち、枠体31の内部空間33には、被検液の静止領域が形成される。被検液の静止領域内で溶存オゾン濃度の電気化学的測定が行われる。電気化学的測定としては、リニアスイープボルタンメトリー(LSV測定)、サイクリックボルタンメトリー(CVM測定)、クロノアンペロメトリー(CA測定)等が例示される。枠体31は、センサ20に搭載されたセンサ電極26の周囲を被検液で満たすことが可能なように構成されている。また、枠体31は、静止領域内に所定量の被検液を取込むことが可能なように構成されている。静止領域内に取り込まれる被検液の量が少なすぎる場合、溶存オゾン濃度の測定精度が低下することがある。
【0022】
枠体31の下端には、被検液の流出入口となる開口34(図1(b)参照)が設けられている。開口34は、断面形状が円形、楕円形、矩形等の穴により構成されている。開口34の断面積(開口面積)は、センサ20及び保持部32のうち少なくともいずれかを貫通させることができる大きさであれば、静止領域内に取込まれる被検液の量、開口34の形状等によって調整できる。開口面積は、測定後に、静止領域内の被検液の入れ替えを行うことが可能な大きさであることが好ましい。開口面積が小さすぎる場合、静止領域内から流路10へ排出しにくく、また、静止領域内に新鮮な被検液を取込みにくい。その結果、測定後に、静止領域内の被検液の入れ替えが完了しないことがある
【0023】
なお、濃度測定の実施により被検液中のオゾンが消費される。このため、測定後の被検液のオゾン濃度は測定前の被検液のオゾン濃度よりも低くなる。しかしながら、濃度測定の実施によるオゾン濃度の低下は極僅かであることから、測定後の被検液を流路10内に排出しても問題ない。
【0024】
枠体31には、開口34を水密に閉塞可能な蓋部材35が組付けられている。蓋部材35は、オゾンを含む被検液に接触させても腐食することがない材料により構成され、例えば円盤状、板状等に形成されている。蓋部材35の上面(枠体31と当接する面)には、枠体31の下端と当接するOリング等の封止部材(シール部材)36が設けられていることが好ましい。これにより、開口34を水密に確実に閉塞することが可能となる。蓋部材35は、保持部32及びセンサ20のうち少なくともいずれかとの干渉により開閉するように構成されている。液溜構造30では、蓋部材35と保持部32又はセンサ20との干渉により、蓋部材35が自動開閉することとなる。図1(b)には、蓋部材35が、蓋部材35とセンサ20との干渉により開閉する例を示している。
【0025】
保持部32は、オゾンを含む被検液に接触させても腐食することがない材料により構成されている。保持部32は、測定中、センサ電極26に静止領域内の被検液を接触させた状態で、センサ20を固定することが可能なように構成されている。保持部32は、枠体31の上端を貫通して流路10に設けられている。保持部32は、流れ方向に交差して、好ましくは垂直に、流路10に設けられている。
【0026】
流路10と枠体31との間、及び枠体31と保持部32との間は、それぞれ、Oリング等のシール部材39で摺動可能に封止されている。これにより、流路10内の水圧が高い場合でも、流路10外への被検液の漏洩を回避できる。なお、流路10内の水圧が十分に低い場合には、シール部材39は設けられていなくてもよい。
【0027】
枠体31及び保持部32のそれぞれには、枠体31及び保持部32のそれぞれを流路10の径方向(例えば図中白抜矢印で示す方向(紙面上下方向))に移動(摺動)させる図示しない移動機構が設置されている。保持部32に設置された移動機構は、保持部32を流路10の径方向に移動させることで、センサ20を流路10の径方向に移動させるように構成されている。移動機構は、枠体31及び保持部32のそれぞれを流路10の径方向に移動させることで、枠体31と保持部32(センサ20)とを相対移動させるように構成されている。
【0028】
なお、移動機構は、枠体31及び保持部32のうち少なくともいずれかに設置されていればよい。すなわち、移動機構が枠体31にのみ設置されて保持部32に設置されていなくてもよく、この場合、保持部32は、溶接等により流路10に固定されていてもよい。また、移動機構が保持部32にのみ設置されて枠体31に設置されていなくてもよく、この場合、枠体31は、溶接等により流路に固定されていてもよい。これにより、枠体31及び保持部32を相対移動させることを可能としながら、液溜構造30をより簡便な構造にできる。
【0029】
移動機構としては、電気モータを用いた手段や、油圧式又は空圧式の機械的手段等が例示される。また、移動機構は、測定者が手動で枠体31及び保持部32のうち少なくともいずれかを移動させることが可能な手段であってもよい。
【0030】
液溜構造30は、測定中の流路10の最小断面積(開口34を閉塞した時の流路断面積)が、測定後の流路10の最小断面積(開口34を開放した時の流路断面積)の1/2以上となるように構成されている。これにより、測定中、流路10に過大な負荷がかかって流路10が破損することを回避できる。また、測定中、流路10内の被検液を定常的な流れのある状態に確実にすることができる。開口34の閉塞時の流路断面積が開口34の開放時の流路断面積の1/2未満である場合、測定中、流路10に過大な負荷がかかって流路10が破損したり、流路10内の被検液を定常的な流れのある状態にできなかったりすることがある。開口34の閉塞時の流路断面積は、枠体31の大きさ等に応じて適宜調整できる。なお、本明細書における「流路10の最小断面積」とは、流路10が枠体31により狭窄されている部分の径方向における断面積、すなわち、流路10の内、最も狭い部分の断面積である。
【0031】
上述の構成によれば、枠体31と保持部32(センサ20)とを相対移動させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることができる。
【0032】
図1(a)に示すように枠体31と保持部32とを相対移動させて開口34を水密に閉塞することで、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。すなわち、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に被検液の静止領域を出現させることが可能となる。このとき(開口34の閉塞時)、センサ20は、密閉された静止領域内に保持されることとなる。なお、被検液が静止状態になるまでに、開口34を水密に閉塞してから一定時間を要することもある。このため、濃度測定を実施する際、濃度測定の開始タイミングまでに被検液が静止状態となるように、開口34の閉塞タイミングを調整することが好ましい。
【0033】
また、図1(b)に示すように枠体31と保持部32とを相対移動させて開口34を開放することで、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを同時に行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。なお、静止領域内の被検液の入れ替えには、開口34を開放してから一定時間を要することもある。このため、遅くとも次の濃度測定の開始タイミングまでに、静止領域内の被検液が入れ替わるように、開口34の開放タイミングを調整することが好ましい。開口34の開放タイミングは、濃度測定の終了直後であることがより好ましい。これにより、開口34の閉塞により流路10にかかる負荷を最小限に抑えることができ、結果、流路10の破損を確実に回避することができる。また、測定後に、静止領域内の被検液を常に新鮮な被検液とすることができることから、濃度測定の開始タイミングを幅広く調整することが可能となる。
【0034】
また、上述の液溜構造30の構成によれば、移動機構による保持部32の移動量を調整することで、測定中及び測定後のいずれの期間中においても、流路10内にセンサ20を流路10内に保持することができる。
【0035】
(2)効果
本態様によれば、以下に示す1つ又は複数の効果が得られる。
【0036】
(a)枠体31と保持部32(センサ20)とを相対移動させて開口34を水密に閉塞することで、図1(a)に示すように、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20(に搭載されたセンサ電極26)の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。そして、センサ電極26に静止状態の被検液を接触させた状態で、溶存オゾン濃度の電気化学的測定を行うことが可能となる。これにより、電気化学的測定として例えばLSV測定を行った際に得られるボルタモグラムにおいて、被検液中の被検物質の濃度(例えば溶存オゾン濃度)に対応する電流ピークを観測でき、濃度測定を高精度で行うことができる。
【0037】
(b)枠体31と保持部32とを相対移動させて開口34を開放することで、図1(b)に示すように、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行うことが可能となる。すなわち、静止領域内の測定済みの被検液を新鮮な被検液に入れ替えることが可能となる。これにより、次回の濃度測定を新鮮な被検液を用いて行うことができ、次回の濃度測定の際における測定精度の低下を回避できる。また、本態様では、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。
【0038】
(c)測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保できることから、溶存オゾン濃度の電気化学的測定を被検液が流れる流路で行うこと、すなわち、溶存オゾン濃度の電気化学的測定をin-situで行うことが可能となる。溶存オゾン濃度の電気化学的測定をin-situで行うことで、新鮮な被検液(例えば生成したばかりのオゾン水)を用いて濃度測定を行うことが可能となる。このように、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保しつつ、溶存オゾン濃度の電気化学的測定をin-situで行うことで、濃度測定を安定して精度よく行うことが可能となる。また、溶存オゾン濃度の電気化学的測定をin-situで行えることで、溶存オゾン濃度を定期的にモニタリングすることが可能となる。
【0039】
(d)液溜構造30を流路10に設置するだけで、溶存オゾン濃度の電気化学的測定をin-situで行うことが可能となる。すなわち、溶存オゾン濃度の測定用のラインをオゾン水の搬送ラインと別に設ける等の大掛かりな設備が不要である。
【0040】
(e)装置100では、測定中及び測定後のいずれの期間中においても、流路10に被検液が流れる状態が維持できる。したがって、測定中であっても、例えばオゾン水の供給等を停止する必要がない。
【0041】
(f)装置100では、濃度測定が簡便であるのみならず、濃度測定を実施する際に被検液のサンプリング(汲み取り)が不要である。このため、被検液を外気や汲み取り用の容器等に触れさせることなく、すなわち、被検液を清浄な状態に保ったままで測定を行うことが可能である。これにより、濃度測定をより安定して高精度で行うことができる。また、装置100では、測定後の被検液は流路10内に戻されることから、汲み取った被検液(測定後の被検液)の廃液処理も不要である。
【0042】
(g)装置100では、流路10内を流れる被検液の流量の増減、流路10内を流れる被検液における脈流の発生、層流/乱流の変化、気泡の抱き込み等があっても、濃度測定に影響を及ぼしにくい。このように、装置100では、流路10内における被検液の流れが不安定であっても、濃度測定を安定して高精度で確実に行うことができる。
【0043】
(h)本態様の装置100を備えた配管又は配管継手を用意することで、既存のオゾン生成装置等の配管の一部を交換するだけで、被検液の電気化学的測定機能を既存のオゾン生成装置等に簡便に付加することが可能になる。
【0044】
(3)変形例
本態様は、以下の変形例のように変形することができる。なお、以下の変形例の説明において、上述の態様と同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。また、上述の態様及び以下の変形例は任意に組み合わせることができる。
【0045】
(変形例1)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図2(a)及び図2(b)に、本変形例にかかる液溜構造30Aの概略構成図の一例をそれぞれ示す。また、図3(a)及び図3(b)に、本変形例にかかる液溜構造30Bの概略構成図の他の例をそれぞれ示す。
【0046】
図2(a)、図2(b)、図3(a)、及び図3(b)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30A,30Bはそれぞれ、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、を備えている。なお、液溜構造30A,30Bは、上述の蓋部材35を有していない。
【0047】
図2(a)及び図2(b)に示すように、液溜構造30Aでは、枠体31の下端が開口している(枠体31の下端に開口34が設けられている)。また、図3(a)及び図3(b)に示すように、液溜構造30Bでは、枠体31の下端が閉塞しており、枠体31の上端が開口している(枠体31の上端に開口34が設けられている)。液溜構造30Aでは、枠体31の下端と当接し、開口34を塞ぐことが可能な板状の部材40aが流路10に設けられていることが好ましい。また、液溜構造30Bでは、枠体31の上端と当接し、開口34を塞ぐことが可能な板状の部材40bが流路10に設けられていることが好ましい。これにより、流路10の断面形状が例えば円形等であっても、開口34を水密に確実に閉塞することが可能となる。なお、流路10の断面形状が矩形の場合は、部材40a,40bは設けられていなくてもよい。液溜構造30Aでは、枠体31の下端に、部材40a(部材40aが設けられていない場合は流路10)と当接するシール部材36aが設けられていることが好ましく、液溜構造30Bでは、枠体31の上端に、部材40b(部材40bが設けられていない場合は流路10)と当接するシール部材36bが設けられていることが好ましい。
【0048】
枠体31には、枠体31を流路10の径方向(図中白抜矢印方向、例えば紙面上下方向)に移動させる図示しない移動機構が設置されている。なお、枠体31及び保持部32のそれぞれに、枠体31及び保持部32のそれぞれを流路10の径方向に移動させる移動機構が設置されていてもよい。液溜構造30A,30Bのそれぞれは、少なくとも枠体31を移動機構により流路10の径方向に移動させることで、枠体31と保持部32(センサ20)とを相対移動させるように構成されている。
【0049】
液溜構造30A,30Bの構成によれば、枠体31の下端又は上端が(シール部材36a,36bを介して)部材40a,40b(又は流路10)に当接するように枠体31を移動させることで、開口34を水密に閉塞することが可能となる。
【0050】
図2(a)及び図3(a)に示すように枠体31と保持部32とを相対移動させて開口34を水密に閉塞することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図2(b)及び図3(b)に示すように枠体31と保持部32とを相対移動させて開口34を開放することで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30A,30Bでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様と同様の効果が得られる。
【0051】
上述のように、液溜構造30A,30Bでは、少なくとも枠体31を流路10の径方向に移動させるように構成されていればよい。すなわち、保持部32は流路10に溶接等により固定されていてもよい。また、液溜構造30Aでは、枠体31と保持部32とを一体に構成し、移動機構により枠体31と保持部32とを一緒に(同時に)移動させても良い。これらにより、上述の態様等と同様の効果を得ながら、液溜構造30A,30Bをより簡便な構造にできる。
【0052】
(変形例2)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図4(a)~図4(d)に、本変形例にかかる液溜構造30Cの概略構成図の一例をそれぞれ示す。
【0053】
図4(a)及び図4(b)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Cは、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、開口34を閉塞する蓋部材35と、を備えている。液溜構造30Cでは、蓋部材35は、枠体31とは別体に構成されており、枠体31に組付けられていない。
【0054】
蓋部材35は、オゾンを含む被検液に接触させても腐食することがない材料により構成され、例えば円盤状、板状等に形成されている。蓋部材35の上面には、枠体31の下端と当接するシール部材36cが設けられていることが好ましい。流路10と枠体31との間、及び流路10と蓋部材35との間は、それぞれ、Oリング等のシール部材39で摺動可能に封止されている。これにより、流路10外への被検液の漏洩を回避できる。
【0055】
蓋部材35は、例えば図4(c)に示すような枠体に形成されていてもよい。この場合、シール部材36cは、枠体31の下端と当接するように蓋部材35の上端に設けられることが好ましい。
【0056】
また、図4(d)に示すように、枠体31の外周側面には、枠体31の径方向外側に向けて延出した環状のフランジ部37が設けられていてもよく、蓋部材35は、フランジ部37に当接するように構成されていてもよい。この場合、シール部材36cは、フランジ部37と当接するように蓋部材35に設けられることが好ましい。
【0057】
枠体31及び蓋部材35のうち少なくともいずれかには、枠体31又は蓋部材35を流路10の径方向(図中白抜矢印方向、例えば紙面上下方向)に移動させる図示しない移動機構が設置されている。液溜構造30Cは、枠体31及び蓋部材35のうち少なくともいずれかを、移動機構により流路10の径方向に移動させることで、枠体31と蓋部材35とを相対移動させるように構成されている。
【0058】
液溜構造30Cの構成によれば、枠体31と蓋部材35とを相対移動させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることが可能となる。
【0059】
図4(a)に示すように枠体31と蓋部材35とを相対移動させて開口34を水密に閉塞することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図4(b)に示すように枠体31と蓋部材35とを相対移動させて開口34を開放することで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30Cでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0060】
上述のように、液溜構造30Cでは、枠体31及び蓋部材35のうち少なくともいずれかが、流路10の径方向に移動可能に構成されていればよい。すなわち、移動機構が枠体31のみに設置されて蓋部材35に設置されていなくてもよく、この場合、蓋部材35は溶接等により流路10に固定されていてもよい。また、移動機構が蓋部材35のみに設置されて枠体31に設置されていなくてもよく、この場合、枠体31は溶接等により流路10に固定されていてもよい。これにより、上述の態様や変形例等と同様の効果を得ながら、液溜構造30Cをより簡便な構造にできる。
【0061】
(変形例3)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図5に、本変形例にかかる液溜構造30Dの概略構成図の一例を示す。
【0062】
図5に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Dでは、枠体31がセンサ20を保持する保持部32としても機能するように構成されている。
【0063】
液溜構造30Dの構成によれば、枠体31とセンサ20とを相対移動させることで、開口34を水密に閉塞することが可能となる。
【0064】
液溜構造30Dの構成においても、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液を静止状態とする領域を一時的に確保することができる。また、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30Dでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0065】
(変形例4)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図6(a)~図6(c)、図7(a)~図7(c)、及び図8(a)~図8(b)に、本変形例にかかる液溜構造30Eの概略構成図の一例をそれぞれ示す。
【0066】
図6(a)~図6(c)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Eは、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31を備えている。
【0067】
枠体31は、センサ20(に搭載されたセンサ電極26)を内包可能な形状に構成されている。図6(a)~図6(c)に示す例では、枠体31は袋状に形成されている。また、枠体31は、図7(a)~図7(c)に示すように円筒形状に形成されていてもよい。枠体31の内部空間33には、保液空間が構成されている。すなわち、枠体31の内部空間33に、被検液の静止領域が形成される。枠体31は、静止領域内に所定量の被検液を取込むことが可能なように構成されている。例えば、図8(a)及び図8(b)に示すように、枠体31は、静止領域内に所定量の被検液を取込むことが可能なように、内部空間33(保液空間)が膨らんだ形状に構成されていてもよい。
【0068】
枠体31の下端には、被検液の流出入口となる開口34が設けられている。開口34は、断面形状が矩形、円形、楕円形、長円形等の穴により構成することができる。開口34の形状は、静止領域内に被検液を取込むことが可能な形状である。開口面積は、静止領域内に被検液を取込むことが可能な大きさである。開口面積は、静止領域内に取込まれる被検液の量、開口34の形状等によって調整できる。
【0069】
なお、開口34の形状及び開口面積は、センサ20を貫通させない形状及び面積であることが好ましい。これにより、測定中、枠体31内に保持(内包)されたセンサ20が誤って流路10内に落ちることを回避できる。
【0070】
また、開口34の形状及び開口面積は、静止領域内に取込まれた被検液が流路10内における被検液の流れ(動き)の影響を受けにくい形状及び面積であることが好ましい。例えば、開口34の形状は、その長さが長い形状や(図7(a)及び図7(b)参照)、湾曲した形状であることが好ましい。
【0071】
「静止領域内に取込まれた被検液が流路10内における被検液の流れの影響を受ける」とは、流路10内を流れる被検液の流れが、開口34を介して静止領域内の被検液に伝わり、静止領域内の被検液が動きのある状態になることを意味する。開口34の形状が長くなるほど(枠体31の内部空間33(保液空間)の下端から枠体31の下端までの距離が長くなるほど)、静止領域内の被検液が流路10内を流れる被検液の流れの影響を受けにくく(静止領域内の被検液を静止状態にしやすく)、また、開口34の形状が短くなるほど、静止領域内の被検液が流路10内を流れる被検液の流れの影響を受けやすくなる(静止領域内の被検液を静止状態にしにくくなる)。また、開口面積が小さくなるほど、静止領域内の被検液が流路10内を流れる被検液の流れの影響を受けにくく、開口面積が大きくなるほど、静止領域内の被検液が流路10内を流れる被検液の流れの影響を受けやすくなる。
【0072】
開口34の形状及び開口面積は、静止領域内に取込まれた被検液が流路10内における被検液の流れの影響を受けにくい形状及び面積であることで、静止領域内の被検液が動きのある状態になることを抑制できる。すなわち、静止領域内の被検液を静止状態にすることが、確実に行えるようになる。
【0073】
枠体31には、内部空間33内の雰囲気を外部へ排出する(逃がす)ことが可能な排気口38が設けられていることが好ましい。これにより、被検液を静止領域内へ取込む際、静止領域内の雰囲気を外部へ排出し、静止領域内への被検液の取込みを促し、センサ20に搭載されたセンサ電極26の周囲を被検液で満たすことが、容易かつ確実に行えるようになる。排気口38は、枠体31の上端側(開口34が設けられた側とは反対側)に設けられている。これにより、静止領域内の雰囲気を排出し、静止領域内への被検液の取込みを促すという上述の効果が、より確実に得られるようになる。
【0074】
保持部32は、センサ20を内包した枠体31を保持するように構成されている。すなわち、保持部32は、枠体31を介してセンサ20を保持するように構成されている。
【0075】
保持部32には、保持部32を流路10の径方向(例えば図中白抜矢印方向(紙面上下方向))に移動させる図示しない移動機構が設置されている。移動機構は、保持部32を流路10の径方向に移動させることで、枠体31及び枠体31に内包されたセンサ20を流路の径方向に移動させるように構成されている。このように、枠体31及びセンサ20は、移動機構により同時に同じ方向へ移動される。
【0076】
液溜構造30Eの構成によれば、図6(a)に示すように、センサ20を内包した状態で枠体31を流路10内に移動させることで、すなわち、枠体31とセンサ20とを同時に流路10内に移動させることで、静止領域内に被検液を取込み、センサ20に搭載されたセンサ電極26の周囲を被検液で満たし、静止領域内に取込んだ被検液を静止状態とすることが可能となる。このとき、排気口38が流路10内を流れる被検液に接触しないように枠体31を流路内に移動させる。また、液溜構造30Eの構成によれば、図6(b)に示すように、枠体31を流路10から引き上げることで、開口34を介して枠体31の内部空間33内からほぼすべての被検液を排出することが可能となる。
【0077】
このように、液溜構造30Eでは、図6(a)に示すようにセンサ20を保持した枠体31を流路10内へ移動させることで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図6(b)に示すようにセンサ20を保持した枠体31を流路10内から引き上げることで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出を行うことが可能となる。液溜構造30Eでは、測定後に、被検液の排出と取込みとを順次に行い、静止領域内の被検液の入れ替えを行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0078】
(変形例5)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図9(a)~図9(d)に、本変形例にかかる液溜構造30Fの概略構成図の一例を示す。
【0079】
図9(a)~図9(d)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Fは、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、を備えている。
【0080】
枠体31の側面には、開口34の一部としての被検液の流入口34a、及び開口34の他の一部としての被検液の流出口(排出口)34bが設けられている。流出口34bは、枠体31の側面のうち、流入口34aの設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられていることが好ましい。これにより、測定後に、静止領域内の被検液の入れ替えを確実に行えるようになる。流入口34a及び流出口34bのそれぞれは、複数の開口を含んだ形状であってもよい。すなわち、流入口34a及び流出口34bのそれぞれは、枠体31の下部から上部に向かう方向に沿って複数設けられていてもよい。流入口34a及び流出口34bのそれぞれは、少なくとも、枠体31の下端部側の領域に(複数)設けられている。流入口34a及び流出口34bのそれぞれは、断面形状が円形、楕円形、矩形、スリット形状等の穴により構成されている。流入口34aの開口面積は、静止領域内への被検液の取込みが可能な大きさであればよく、流出口34bの開口面積は、静止領域内からの被検液の排出が可能な大きさであればよい。流入口34a及び流出口34bのそれぞれの開口面積は、静止領域内に取込まれる被検液の量、開口34の形状等によって調整できる。また、流入口34a及び流出口34bのそれぞれは、同一形状、同一開口面積である必要はなく、異なる形状、異なる開口面積であってもよい。
【0081】
枠体31には、枠体31の周方向(図中白抜矢印方向)に枠体31を回転させる図示しない回転機構が設置されている。液溜構造30Fは、枠体31を、その周方向に回転させることで、被検液の排出及び取込みを行ったり、被検液の排出及び取込みを抑制したりするように構成されている。
【0082】
液溜構造30Fの構成によれば、枠体31を周方向に回転させ、図9(b)に示すように流入口34aと流出口34bとを結ぶ直線L(例えば、一の流入口34aの中心と一の流入口34aと対向する流出口34bの中心とを結ぶ直線L)が流れ方向に交差するように枠体31を配置することで、被検液の排出及び取込みを抑制することが可能となる。また、上述の直線Lが流れ方向と直交するように枠体31を配置することで、被検液の排出及び取込みを確実に抑制(好ましくは停止)することが可能となる。
【0083】
また、液溜構造30Fの構成によれば、枠体31をその周方向に回転させ、図9(d)に示すように上述の直線Lが流れ方向に沿うように枠体31を配置することで、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行うことが可能となる。
【0084】
図9(a)及び図9(b)に示すように枠体31をその周方向に回転させて上述の直線Lが流れ方向と交差するように枠体31を配置することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図9(c)及び図9(d)に示すように枠体31をその周方向に回転させて上述の直線Lが流れ方向に沿うように枠体31を配置することで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30Fでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0085】
また、液溜構造30Fでは、測定中及び測定後のいずれの期間中においても、流路抵抗が大きく変わらない(ほぼ一定である)。例えば、液溜構造30Fでは、測定後の流路抵抗(R2)に対する測定中の流路抵抗(R1)の比(=R1/R2)が8/10以上(10/10未満)である。液溜構造30Fでは、測定中に、流路10に負荷がかかることを回避できる。
【0086】
(変形例6)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図10(a)~図10(d)に、本変形例にかかる液溜構造30Gの概略構成図の一例を示す。
【0087】
図10(a)~図10(d)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Gは、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、を備えている。
【0088】
液溜構造30Gでは、枠体31は、外側枠体(以下、「外枠」とも称する)31aと、外枠31aの内部に配置される内側枠体(以下、「内枠」とも称する)31bと、を備えている。例えば、枠体31は、円筒形状の外枠31aと内枠31bとを有する二重管構造となっている。外枠31a及び内枠31bはそれぞれ、外枠31aの内周面が内枠31bの外周面と接するように構成されている。また、外枠31aと内枠31bとの間は、Oリング等のシール部材39で摺動可能に封止されている。これにより、流路10外への被検液の漏洩を回避できる。
【0089】
外枠31aの側面には、開口34の一部としての被検液の流入口34a1及び開口34の一部としての被検液の流出口(排出口)34b1がそれぞれ設けられている。内枠31bの側面には、開口34の一部としての被検液の流入口34a2及び開口34の一部としての被検液の流出口(排出口)34b2がそれぞれ設けられている。流出口34b1は、外枠31aの側面のうち、流入口34a1の設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられていることが好ましく、流出口34b2は、内枠31bの側面のうち、流入口34a2の設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられていることが好ましい。これらにより、開口34(すなわち、流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2)の開放時における静止領域内の被検液の入れ替えを確実に行えるようになる。なお、流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2のそれぞれは、複数の開口を含んだ形状であってもよい。その他の流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2の形状、開口面積、設置位置等は、上述の変形例5と同様の構成とすることができる。図10(a)~図10(d)では、流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2が、それぞれ、断面形状がスリット形状の穴により構成されている例を示している。
【0090】
外枠31a及び内枠31bのそれぞれには、外枠31a及び内枠31bのそれぞれを周方向(図中白抜矢印方向)に回転させる図示しない回転機構が設置されている。なお、回転機構は、外枠31a及び内枠31bのうち少なくともいずれかに設置されていればよい。液溜構造30Gは、外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを、回転機構により回転させることで、外枠31a及び内枠31bのそれぞれの開口34を開放したり水密に閉塞したりするように構成されている。
【0091】
液溜構造30Gの構成によれば、外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを周方向に回転させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることが可能となる。
【0092】
外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを周方向に回転させ、図10(b)に示すように外枠31aの流入口34a1及び流出口34b1を、内枠31bの側面のうち流入口34a2及び流出口34b2の設置範囲以外の面で塞ぐことで(又は、内枠31bの流入口34a2及び流出口34b2を、外枠31aの側面のうち流入口34a1及び流出口34b1の設置範囲以外の面で塞ぐことで)、開口34を水密に閉塞することが可能である。
【0093】
また、外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを周方向に回転させ、図10(d)に示すように外枠31aの流入口34a1と内枠31bの流入口34a2との位置を一致させるとともに、外枠31aの流出口34b1と内枠31bの流出口34b2との位置を一致させることで、開口34を開放することが可能である。このとき、外枠31aの流入口34a1と流出口34b1とを結ぶ直線L1、及び内枠31bの流入口34a2と流出口34b2とを結ぶ直線L2が、それぞれ、流れ方向に沿うように外枠31a及び内枠31bが配置されていることが好ましい。これにより、静止領域内の被検液の入れ替えを確実に行えるようになる。
【0094】
図10(a)及び図10(b)に示すように外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを周方向に回転させて開口34を水密に閉塞することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図10(c)及び図10(d)に示すように外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを周方向に回転させて開口34を開放することで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30Gでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0095】
なお、液溜構造30Gでは、開口34として、外枠31aの側面に、流入口34a1としても機能し流出口34b1としても機能する開口が設けられていてもよく、また、内枠31bの側面に、流入口34a2としても機能し流出口34b2としても機能する開口が設けられていてもよい。この場合、外枠31a及び内枠31bのそれぞれの側面に設けられる開口34は、複数の開口を含んだ形状であってもよく、また、複数の開口のそれぞれは、外枠31a及び内枠31bのそれぞれの側面の周方向に沿って設けられていてもよい。この場合であっても、上述のように外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを回転させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることが可能であり、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。しかしながら、上述のように、外枠31a及び内枠31bのそれぞれの側面に流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2が設けられている方が、静止領域内の被検液の入れ替えを確実に行える点でより好ましい。
【0096】
上述のように、液溜構造30Gでは、外枠31a及び内枠31bのうち少なくともいずれかが周方向に回転可能に構成されていればよい。すなわち、回転機構が外枠31aのみに設置されて内枠31bに設置されていなくてもよく、この場合、内枠31bは溶接等により流路10に固定されていてもよい。また、回転機構が内枠31bのみに設置されて外枠31aに設置されていなくてもよく、この場合、外枠31aは溶接等により流路10に固定されていてもよい。これにより、上述の態様や変形例等と同様の効果を得ながら、液溜構造30Gをより簡便な構造にできる。
【0097】
また、液溜構造30Gでは、保持部32が内枠31bに取付けられていてもよい。すなわち、内枠31bと保持部32とが一体に形成されていてもよい。
【0098】
(変形例7)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図11(a)~図11(d)に、本変形例にかかる液溜構造30Hの概略構成図の一例を示す。
【0099】
図11(a)~図11(d)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Hは、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、を備えている。
【0100】
液溜構造30Hでは、枠体31は、外側枠体(外枠)31aと、外枠31aの内部に配置される内側枠体(内枠)31bと、を備えている。例えば、枠体31は、円筒形状の外枠31aと内枠31bとを有する二重管構造となっている。外枠31a及び内枠31bはそれぞれ、外枠31aの内周面が内枠31bの外周面と接するように構成されている。また、外枠31aと内枠31bとの間は、Oリング等のシール部材39で摺動可能に封止されている。これにより、流路10外への被検液の漏洩を回避できる。
【0101】
外枠31aの側面には、開口34の一部としての被検液の流入口34a1及び開口34の一部としての被検液の流出口(排出口)34b1がそれぞれ設けられている。内枠31bの側面には、開口34の一部としての被検液の流入口34a2及び開口34の一部としての被検液の流出口(排出口)34b2がそれぞれ設けられている。流出口34b1は、外枠31aの側面のうち、流入口34a1の設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられていることが好ましく、流出口34b2は、内枠31bの側面のうち、流入口34a2の設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられていることが好ましい。これにより、測定後に、静止領域内の被検液の入れ替えを確実に行えるようになる。
【0102】
流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2のそれぞれは、複数の開口を含んだ形状であってもよい。すなわち、流入口34a1及び流出口34b1のそれぞれは、外枠31aの下部から上部に向かう方向に沿って複数設けられ、流入口34a2及び流出口34b2のそれぞれは、内枠31bの下部から上部に向かう方向に沿って複数設けられていてもよい。流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2のそれぞれは、少なくとも、枠体31の下端部側の領域に(複数)設けられており、また、断面形状が円形、楕円形、矩形等の穴により構成されている。複数の流入口34a1は、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられており、複数の流入口34a2は、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。また、複数の流出口34b1は、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられており、複数の流出口34b2は、それぞれが同一の開口面積を有し、更に同じ開口ピッチで設けられている。なお、流入口34a1,34a2、流出口34b1,34b2のそれぞれの開口面積及び開口ピッチは、後述のように外枠31a及び内枠31bを相対移動させることで、流入口34a1及び流出口34b1を内枠31bの側面で塞ぐことができ、流入口34a2及び流出口34b2を外枠31aの側面で塞ぐことができる大きさとすることができる。
【0103】
外枠31aは、流入口34a1と流出口34b1とを結ぶ直線L1が流れ方向に沿うように流路10に設置されており、内枠31bは、流入口34a2と流出口34b2とを結ぶ直線L2が流れ方向に沿うように流路10に設置されていることが好ましい。これにより、測定後に、静止領域内の被検液の入れ替えを素早く確実に行えるようになる。
【0104】
外枠31a及び内枠31bのそれぞれには、外枠31a及び内枠31bを流路10の径方向(例えば図中白抜矢印方向(紙面上下方向))に移動させる図示しない移動機構が設置されている。なお、移動機構は、外枠31a及び内枠31bのうち少なくともいずれかに設置されていればよい。液溜構造30Gは、外枠31a及び内枠31bの少なくともいずれかを、移動機構により流路10の径方向に移動させることで、外枠31aと内枠31bとを相対移動させ、開口34(すなわち、流入口34a1,34a2、及び流出口34b1,34b2)を開放したり水密に閉塞したりするように構成されている。
【0105】
液溜構造30Hの構成によれば、外枠31aと内枠31bとを相対移動させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることが可能となる。
【0106】
外枠31aと内枠31bとを相対移動させ、図11(a)及び図11(b)に示すように外枠31aの流入口34a1及び流出口34b1を、内枠31bの側面のうち流入口34a2及び流出口34b2の設置範囲以外の面で塞ぐことで(又は、内枠31bの流入口34a2及び流出口34b2を、外枠31aの側面のうち流入口34a1及び流出口34b1の設置範囲以外の面で塞ぐことで)、開口34を水密に閉塞することができる。
【0107】
また、外枠31aと内枠31bとを相対移動させ、図11(c)及び図11(d)に示すように外枠31aの流入口34a1と内枠31bの流入口34a2との位置を一致させるとともに、外枠31aの流出口34b1と内枠31bの流出口34b2との位置を一致させることで、開口34を開放することができる。
【0108】
図11(a)及び図11(b)に示すように外枠31aと内枠31bとを相対移動させて開口34を水密に閉塞することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図11(c)及び図11(d)に示すように外枠31aと内枠31bとを相対移動させて開口を開放することで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30Hでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0109】
液溜構造30Hでは、外枠31aと内枠31bとの相対移動により、開口34を水密に確実に閉塞することが可能となる。
【0110】
なお、液溜構造30Hでは、開口34として、外枠31aの側面に、流入口34a1としても機能し流出口34b1としても機能する開口が設けられ、内枠31bの側面に、流入口34a2としても機能し流出口34b2としても機能する開口が設けられていてもよい。この場合であっても、外枠31aと内枠31bとを相対移動させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることが可能であり、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0111】
また、液溜構造30Hでは、内枠31bの側面には、開口34(流入口34a2、流出口34b2)が設けられていなくてもよい。すなわち、外枠31aにのみ開口34(流入口34a1、流出口34b1)が設けられていてもよい。この場合の開口34(流入口34a1、流出口34b1のそれぞれ)は、複数の開口を含んだ形状であってもよい。また、開口34は、外枠31aの下部から上部に向かう方向に沿って設けられていてもよく、外枠31aの下部から上部に向かう方向に交差する方向に沿って設けられていてもよい。開口34は、断面形状が円形、楕円形、矩形、スリット形状等の穴により構成することができる。この場合であっても、外枠31aと内枠31bとを相対移動させることで、開口34を開放したり水密に閉塞したりすることが可能であり、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0112】
上述のように、液溜構造30Hでは、外枠31a及び内枠31bのうち少なくともいずれかが移動可能に構成されていればよい。すなわち、移動機構が外枠31aのみに設置されて内枠31bに設置されていなくてもよく、この場合、内枠31bは溶接等により流路10に固定されていてもよい。また、移動機構が内枠31bのみに設置されて外枠31aに設置されていなくてもよく、この場合、外枠31aは溶接等により流路10に固定されていてもよい。これにより、上述の態様や変形例等と同様の効果を得ながら、液溜構造30Hをより簡便な構造にできる。
【0113】
(変形例8)
液溜構造30は、以下のように変形することもできる。図12(a)及び図12(b)に、本変形例にかかる液溜構造30Iの概略構成図の一例を示す。
【0114】
図12(a)及び図12(b)に示すように、本変形例にかかる液溜構造30Iは、被検液の流出入口となる開口34を有する枠体31と、枠体31内にセンサ20を保持する保持部32と、を備えている。
【0115】
枠体31は、流路10内における被検液の流れ方向に沿って流路10に設置されている。枠体31の流れ方向における上流端には、開口34の一部としての被検液の流入口34aが設けられており、枠体31の流れ方向における下流端には、開口34の他の一部としての被検液の流出口34bが設けられている。
【0116】
液溜構造30Iは、流入口34aを閉塞する蓋部材35aを備えている。蓋部材35aは、バタフライバルブ、スライド式バルブ、スライド格子バルブ等の開閉弁により構成することができる。また、液溜構造30Iは、流出口34bを閉塞する蓋部材35bを備えている。蓋部材35bは、逆止弁により構成することができる。液溜構造30Iは、蓋部材35aを開閉することで、流入口34aを開放したり水密に閉塞したりするように構成されている。
【0117】
保持部32は、測定中、センサ電極26に静止状態の被検液を接触させた状態で、センサ20を固定することが可能なように構成されている。例えば、保持部32は、測定中、センサ20が、流れ方向において、蓋部材35aよりも下流側であって蓋部材35bよりも上流側に位置するように構成されている。なお、蓋部材35a及び蓋部材35bのうちいずれか、好ましくは蓋部材35aを保持部32として機能させてもよい。すなわち、センサ20が蓋部材35a及び蓋部材35bのうちいずれかに取付けられていてもよい。なお、図12(a)及び図12(b)では、蓋部材35aを保持部32としても機能させる例を示している。
【0118】
液溜構造30Iの構成によれば、蓋部材35aを開閉することで、流入口34aを開放したり水密に閉塞したりすることが可能となる。
【0119】
図12(a)に示すように蓋部材35aを閉じて流入口34aを水密に閉塞することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、図12(b)に示すように蓋部材35aを開けて流入口34aを開放することで、測定後は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行って静止領域内の被検液を入れ替えることが可能となる。液溜構造30Iでは、測定後は、被検液の排出と取込みとを同時に行うことができる。このように、本変形例においても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。
【0120】
なお、液溜構造30Iでは、蓋部材35bを、バタフライバルブ、スライド式バルブ、スライド格子バルブ等の開閉弁により構成することもできる。この場合の液溜構造30Iの構成によれば、蓋部材35a及び蓋部材35bを開閉することで、流入口34a及び流出口34bを開放したり水密に閉塞したりすることが可能である。そして、蓋部材35a及び蓋部材35bのそれぞれを閉じて流入口34a及び流出口34bのそれぞれを水密に閉塞することで、測定中は、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、流路10内に配置されたセンサ20の周囲に、被検液の静止領域を一時的に確保することが可能となる。また、蓋部材35a及び蓋部材35bのそれぞれを閉じて流入口34a及び流出口34bのそれぞれを開放することで、流路10に被検液が流れる状態を維持しつつ、被検液の排出と取込みとを行うことが可能となる。このように、この場合であっても、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。しかしながら、上述のように、蓋部材35bが逆止弁である方が、蓋部材35bの開閉が不要な点でより好ましい。
【0121】
また、液溜構造30Iは、少なくとも蓋部材35aを備えていればよい。すなわち、液溜構造30Iは蓋部材35bを備えていなくてもよい。少なくとも蓋部材35aを閉じて流入口34aを水密に閉塞することで、枠体31の内部空間33に被検液の静止領域を確保することが可能であり、上述の態様や変形例等と同様の効果が得られる。しかしながら、上述のように、液溜構造30Iが蓋部材35a及び蓋部材35bを備えている方が、静止領域内の被検液を確実に静止状態にできる点でより好ましい。
【0122】
<他の態様>
以上、本開示の態様及び変形例を具体的に説明した。但し、本開示は上述の態様や変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0123】
例えば、上述の態様や変形例では、被検液がオゾン水であり、被検物質がオゾン水中の溶存オゾンである場合を例に挙げたが、必ずしもこれに限定されることはなく、電気化学反応を利用して濃度測定を行い得るものであれば、他の種類の被検液及び特定成分にも適用可能である。
【0124】
例えば、上述の態様や変形例では、流路10がオゾン水生成装置で生成されたオゾン水を流す搬送ラインである場合、すなわち、装置100がオゾン水生成装置に接続される場合を例に挙げたが、必ずしもこれに限定されるものではない。例えば、装置100は、半導体や食品の洗浄装置、汚水の処理装置、養殖水槽等、種々の装置に接続可能である。
【0125】
<本開示の好ましい態様>
以下、本開示の好ましい態様について付記する。
【0126】
(付記1)
本開示の一態様によれば、
被検液が流れる流路と、
前記被検液中に含まれる溶存物質の濃度を測定する電気化学センサと、
前記電気化学センサに接触させる前記被検液を一時的に滞留させる液溜構造と、を備え、
前記液溜構造は、
濃度測定を実施する期間中は、前記流路に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、前記流路内に配置された前記電気化学センサの周囲に、前記被検液を静止状態とする領域を一時的に確保し、前記濃度測定を実施した後の期間中は、前記流路に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、測定済みの前記被検液を前記領域内から前記流路へ排出し、前記流路を流れる前記被検液を前記領域内に取込むよう構成されている、
装置が提供される。
【0127】
(付記2)
付記1に記載の装置であって、好ましくは、
前記液溜構造は、
前記被検液の流出入口となる開口を有する枠体と、
前記枠体内に前記電気化学センサを保持する保持部と、
を備える。
【0128】
(付記3)
付記1又は2に記載の装置であって、好ましくは、
前記枠体は、前記流路内における前記被検液の流れ方向に交差して設置される。
【0129】
(付記4)
付記1~3のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記液溜構造は、前記枠体と前記保持部とを相対移動させることより前記開口を水密に閉塞する。
【0130】
(付記5)
付記1~4のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記枠体は、前記開口を閉塞可能な蓋部材を備え、
前記蓋部材は、前記保持部及び前記電気化学センサのうち少なくともいずれかとの干渉により開閉する。
【0131】
(付記6)
付記1~3のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記液溜構造は、前記開口を閉塞する蓋部材をさらに備え、
前記液溜構造は、前記枠体と前記蓋部材とを相対移動させることにより前記開口を水密に閉塞する。
【0132】
(付記7)
付記1~3のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記液溜構造は、前記枠体と前記電気化学センサとを同時に前記流路内に移動させることにより、前記流路内に前記領域を一時的に確保する。
【0133】
(付記8)
付記1~3のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記開口の一部としての前記被検液の流入口が、前記枠体の側面に設けられており、
前記開口の他の一部としての前記被検液の流出口が、前記枠体の前記側面のうち前記流入口の設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられており、
前記液溜構造は、前記流入口と前記流出口とを結ぶ直線(前記流入口の設置位置と前記流出口の設置位置とを最短距離で結ぶ直線)が前記流れ方向に交差するように前記枠体を配置することにより、前記流路内に前記領域を一時的に確保する。
【0134】
(付記9)
付記1~3のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記枠体は、外側枠体と、前記外側枠体の内部に配置される内側枠体と、を有し、
前記開口は、前記外側枠体及び前記内側枠体にそれぞれ設けられており、
前記液溜構造は、前記外側枠体及び前記内側枠体のうち少なくともいずれかを回転させることにより、又は前記外側枠体と前記内側枠体とを相対移動させることにより、前記外側枠体及び前記内側枠体の前記開口をそれぞれ水密に閉塞する。
【0135】
(付記10)
付記9に記載の装置であって、好ましくは、
前記開口の一部としての前記被検液の流入口が、前記外側枠体及び前記内側枠体のそれぞれの側面に設けられており、
前記開口の他の一部としての前記被検液の流出口が、前記外側枠体及び前記内側枠体のそれぞれの前記側面のうち前記流入口の設置位置(設置範囲)と対向する位置(範囲)に設けられている。
【0136】
(付記11)
付記1又は2に記載の装置であって、好ましくは、
前記枠体は、前記流路内における前記被検液の流れ方向に沿って設置される。
【0137】
(付記12)
付記11に記載の装置であって、好ましくは、
前記枠体は、前記流れ方向における上流側及び下流側のそれぞれに前記開口を有し、
前記液溜構造は、前記流れ方向における上流側の前記開口を閉塞する蓋部材をさらに備える。
【0138】
(付記13)
付記11又は12に記載の装置であって、好ましくは、
前記液溜構造は、前記流れ方向における下流側の前記開口を閉塞する蓋部材をさらに備える。
【0139】
(付記14)
付記1~13のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記濃度測定を実施する期間中の前記流路の最小断面積が、前記濃度測定を実施した後の期間中の前記流路の最小断面積の1/2以上である。
【0140】
(付記15)
付記8~10のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記濃度測定を実施した後の期間中の流路抵抗(R2)に対する前記濃度測定を実施する期間中の流路抵抗(R1)の比(=R1/R2)が8/10以上である。
【0141】
(付記16)
付記1~15のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記電気化学センサには、複数の電極が搭載されており、
前記複数の電極は、全て個体電極、好ましくは、前記複数の電極のそれぞれはダイヤモンド電極で構成されている。
【0142】
(付記17)
付記4~6,8~16のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記濃度測定を実施する期間中及び前記濃度測定を実施していない期間中のいずれにおいても、前記流路内に前記電気化学センサが保持される。
【0143】
(付記18)
付記1~17のいずれか1項に記載の装置であって、好ましくは、
前記濃度測定を、前記被検液を外気に触れさせることなく実施する。
【0144】
(付記19)
本開示の他の態様によれば、
内部を被検液が流れる配管又は配管継手であって、
前記被検液の流出入口となる開口を有する枠体と、前記被検液中に含まれる溶存物質の濃度を測定する電気化学センサを前記枠体内に保持する保持部と、を有し、前記電気化学センサに接触させる前記被検液を一時的に滞留させる液溜構造を備え、
前記液溜構造は、
濃度測定を実施する期間中は、前記配管又は前記配管継手に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、前記配管又は前記配管継手内に配置された前記電気化学センサの周囲に、前記被検液を静止状態とする領域を一時的に確保し、前記濃度測定を実施した後の期間中は、前記配管又は前記配管継手に前記被検液が流れる状態を維持しつつ、測定済みの前記被検液を前記領域内から前記流路へ排出し、前記配管又は前記配管継手を流れる前記被検液を前記領域内に取込むよう構成されている、配管又は配管継手が提供される。
【符号の説明】
【0145】
10 流路
20 電気化学センサ
30、30A~30I 液溜構造
図1
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図12