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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155419
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】チャックテーブル機構
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20241024BHJP
   H01L 21/301 20060101ALI20241024BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20241024BHJP
   B24B 49/10 20060101ALI20241024BHJP
   B23Q 1/52 20060101ALI20241024BHJP
   B24B 27/06 20060101ALN20241024BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/78 F
H01L21/78 N
B24B41/06 Z
B24B49/10
B23Q1/52
B24B27/06 M
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070116
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110003524
【氏名又は名称】弁理士法人愛宕綜合特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉井 俊悟
【テーマコード(参考)】
3C034
3C048
3C158
5F063
5F131
【Fターム(参考)】
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB73
3C034CA13
3C034CB01
3C034DD10
3C034DD20
3C048BC02
3C048CC04
3C048DD12
3C158AA03
3C158AB01
3C158AB04
3C158AB06
3C158AC02
3C158BA07
3C158BC01
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB04
3C158DA11
5F063FF01
5F063FF51
5F131AA02
5F131BA32
5F131BA52
5F131CA32
5F131CA45
5F131CA46
5F131DA32
5F131DA33
5F131DA36
5F131DA42
5F131DB12
5F131DB22
5F131DB72
5F131DB76
5F131EA05
5F131EA06
5F131EA14
5F131EA15
5F131EA22
5F131EA24
5F131EC32
5F131EC75
(57)【要約】
【課題】ロータリースケールとスケールヘッドとが配設された位置へのアクセスが容易であり、両者の位置調整、清掃、新品との交換等のメンテナンス性に優れたチャックテーブル機構を提供する。
【解決手段】ウエーハWを保持するチャックテーブル機構3であって、ウエーハWを吸引保持するチャックテーブル35と、チャックテーブル35に連結され垂下する筒体32と、筒体32に挿入される支柱39と、支柱39が固定されるベース31と、チャックテーブル35を回転する回転駆動手段とを含み、筒体32の自由端部32aには、ロータリースケール37が配設され、ロータリースケール37を読み取るスケールヘッド40がベース31を介して固定される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエーハを保持するチャックテーブル機構であって、
ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに連結され垂下する筒体と、該筒体に挿入される支柱と、該支柱が固定されるベースと、該チャックテーブルを回転する回転駆動手段とを含み、
該筒体の自由端部には、ロータリースケールが配設され、該ロータリースケールを読み取るスケールヘッドが該ベースを介して固定されるチャックテーブル機構。
【請求項2】
該回転駆動手段は、該筒体の内側に配設された永久磁石と、該支柱において該永久磁石に対応する位置に配設されたステータと、により構成される請求項1に記載のチャックテーブル機構。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハを保持するチャックテーブル機構に関する。
【背景技術】
【0002】
IC、LSI等の複数のデバイスが分割予定ラインによって区画され表面に形成されたウエーハは、切削装置によって個々のデバイスチップに分割され、携帯電話、パソコン等の電気機器に利用される。
【0003】
切削装置は、ウエーハを保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに保持されたウエーハを切削する切削ブレードを回転可能に備えた切削手段と、該チャックテーブルを切削送りする送り手段と、ウエーハに形成された分割予定ラインを検出する撮像手段と、該チャックテーブルを回転する回転駆動手段を備えて分割予定ラインに切削ブレードを位置付けるチャックテーブル機構と、を含み構成されていて、ウエーハを高精度に個々のデバイスチップに分割することができる(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-279526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の切削装置に配設されたチャックテーブル機構は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに連結され垂下する筒体と、該筒体に挿入される支柱と、該支柱が固定されるベースと、該チャックテーブルの裏面に配設されたロータリースケールと、該支柱の上端部に配設され該ロータリースケールを読み取るスケールヘッドと、を含み構成されていることから、ロータリースケールとスケールヘッドとが配設された位置へのアクセスが容易ではなく、ロータリースケールとスケールヘッドとの位置調整や、ロータリースケール又はスケールヘッドの清掃、新品との交換等のメンテナンスが困難であるという問題がある。
【0006】
また、切削装置に限らず、チャックテーブルの回転位置を検出する機能を有するレーザー加工装置、研削装置等の加工装置においても、同様の問題がある。
【0007】
本発明は、上記事実に鑑みなされたものであり、その主たる技術課題は、ロータリースケールとスケールヘッドとが配設された位置へのアクセスが容易であり、両者の位置調整、清掃、新品との交換等のメンテナンス性に優れたチャックテーブル機構を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記主たる技術課題を解決するため、本発明によれば、ウエーハを保持するチャックテーブル機構であって、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに連結され垂下する筒体と、該筒体に挿入される支柱と、該支柱が固定されるベースと、該チャックテーブルを回転する回転駆動手段とを含み、該筒体の自由端部には、ロータリースケールが配設され、該ロータリースケールを読み取るスケールヘッドが該ベースを介して固定されるチャックテーブル機構が提供される。
【0009】
該回転駆動手段は、該筒体の内側に配設された永久磁石と、該支柱において該永久磁石に対応する位置に配設されたステータと、により構成されることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のチャックテーブル機構は、ウエーハを吸引保持するチャックテーブルと、該チャックテーブルに連結され垂下する筒体と、該筒体に挿入される支柱と、該支柱が固定されるベースと、該チャックテーブルを回転する回転駆動手段とを含み、該筒体の自由端部には、ロータリースケールが配設され、該ロータリースケールを読み取るスケールヘッドが該ベースを介して固定されることから、ロータリースケールとスケールヘッドとの位置調整や、ロータリースケール又はスケールヘッドの清掃、交換等のメンテナンスを容易に実行することができ、従来の構成においてメンテナンスが困難であるという問題が解消される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】切削装置の全体斜視図である。
図2図1に示す切削装置のハウジング内部の構成を示す斜視図である。
図3図1に示す切削装置に装着されるチャックテーブル機構の分解斜視図である。
図4】(a)図3に示す分解されたチャックテーブル機構の概略断面図、(b)(a)に示すチャックテーブル機構を組み立てた状態の概略断面図である。
図5】(a)図3に示すチャックテーブル機構の筒体の自由端部にロータリースケールを装着する態様を示す斜視図、(b)(a)に示すロータリースケールの断面図である。
図6】(a)図5(a)に示す筒体にロータリースケールを装着する態様を示す一部を断面で示す側面図、(b)(a)に示すロータリースケールが装着された筒体であって一部を断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に基づいて構成されたチャックテーブル機構に係る実施形態について、添付図面を参照しながら、詳細に説明する。
【0013】
図1には、本発明に基づき構成されたチャックテーブル機構3を備えた切削装置1の全体斜視図が示されている。切削装置1は、略直方体形状のハウジング2と、ハウジング2のカセットテーブル4aに載置されるカセット4と、カセット4から、フレームFに保護テープTを介して支持されたウエーハWを挟持して仮置きテーブル5に搬出する搬出入手段6と、仮置きテーブル5に搬出されたウエーハWを吸引しチャックテーブル機構3に配設されたチャックテーブル35に搬送する旋回アームを有する搬送手段7と、チャックテーブル35の保持面35aに保持されたウエーハWに切削加工を施す加工手段として配設された切削ブレード164を含む切削手段16と、チャックテーブル35の保持面35aに保持されたウエーハWを撮像し切削手段16よって切削すべき領域を検出するためのアライメント手段9と、洗浄手段11(詳細は省略している)と、図1においてチャックテーブル35が位置付けられた搬出入位置からウエーハWを洗浄装置11に搬送する洗浄搬出手段10と、図示を省略する表示手段、各作動部を制御する制御手段等を備えている。
【0014】
図2は、切削装置1のハウジング2の内部構成を示す斜視図である。図2から理解されるように、切削装置1は、静止基台12と、該静止基台12上に配設されたチャックテーブル機構3を切削送り方向である矢印Xで示すX軸方向に移動させるX軸送り機構14と、切削手段16を支持し静止基台12において割り出し送り方向でありX軸方向に直交する矢印Yで示すY軸方向に移動可能に配設されたスピンドル支持機構15とを備え、切削手段16は、スピンドル支持機構15において切り込み送り方向である矢印Zで示すZ軸方向に移動可能に支持されている。
【0015】
チャックテーブル機構3は、チャックテーブル35を支持するチャックテーブル支持機構30と、チャックテーブル機構3が載置されるベース31と、チャックテーブル35の下側周囲を覆うカバーテーブル33と、を備えている。上記ベース31は略矩形状に形成され、その下面には2条の被案内溝311、311が形成されている。図3に示すように、カバーテーブル33の中央部には、開口331が形成されており、この開口331の周縁には、上方に突出するフランジ部332が設けられている。このフランジ部332がチャックテーブル35を構成する本体351の下端部に形成されたスカート部351aの内側に位置付けられる。また、図2では省略しているが、図3に示すように、チャックテーブル機構3のカバーテーブル33は、ベース31の4隅に立設された4本の支持柱312(一部を省略している)によって支持されている。なお、チャックテーブル機構3については、追ってさらに詳述する。
【0016】
図2に戻り説明を続けると、X軸送り機構14は、チャックテーブル機構3を一対の案内レール12a、12aに沿って移動させるための機構であり、上記2本の案内レール12a、12aの間に平行に配設された雄ネジロッド14bと、該雄ネジロッド14bを回転駆動するためのサーボモータ14a等を含んでいる。雄ネジロッド14bは、その一端が上記静止基台12に固定された軸受ブロック12bに回転自在に支持されており、その他端が上記サーボモータ14aの出力軸に連結されている。雄ネジロッド14bは、上記したベース31の中央部下面に突出して設けられた雌ネジブロックに形成された雌ネジ穴に螺合されている。チャックテーブル機構3は、上記した2条の被案内溝311、311が、一対の案内レール12a、12aに対して摺動可能に係合させられていることから、X軸送り機構14のサーボモータ14aによって雄ネジロッド14bを正転および逆転駆動することにより、X軸方向に沿う切削送り方向に移動させられる。
【0017】
スピンドル支持機構15は、静止基台12上にY軸方向に設定された割り出し送り方向に沿って平行に配設された一対の案内レール12c、12cと、該一対の案内レール12c、12c上にY軸方向に移動可能に配設された可動支持基台151と、を備えている。この可動支持基台151は、一対の案内レール12c、12cに沿って移動可能に配設された移動支持部151aと、該移動支持部151aに立設された支持壁部151bとを備えている。移動支持部151aの下面には、前記した一対の案内レール12c、12cと摺動自在に係合する2条の被案内溝151c、151cが形成されており、この被案内溝151c、151cを一対の案内レール12c、12cに摺動自在に係合することで、可動支持基台151は一対の案内レール12c、12cに沿ってY軸方向に移動可能に構成される。
【0018】
スピンドル支持機構15は、可動支持基台151を一対の案内レール12c、12cに沿ってY軸方向に沿う割り出し送り方向に移動させるための割り出し送り機構17を備えている。割り出し送り機構17は、上記一対の案内レール12c、12cの間に平行に配設された雄ネジロッド17bと、該雄ねじロッド17bを回転駆動するためのパルスモータ17aとを備えている。雄ネジロッド17bは、その一端が上記静止基台2に固定された図示していない軸受ブロックに回転自在に支持されており、その他端が上記パルスモータ17aの出力軸に連結されている。雄ネジロッド17bは、可動支持基台151を構成する移動支持部151aの中央部下面に突出して設けられた図示を省略する雌ネジブロックの雌ネジ穴に螺合されている。これにより、上記したパルスモータ17aによって雄ネジロッド17bを正転および逆転駆動することにより、可動支持基台151は一対の案内レール12c、12cに沿ってY軸方向に設定された割り出し送り方向に移動させられる。
【0019】
切削手段16は、切削手段16を支持するユニットホルダ161と、ユニットホルダ161に取り付けられたスピンドルハウジング162と、スピンドルハウジング162に回転可能に支持された回転スピンドル163と、回転スピンドル163の先端に装着された旋削ブレード164と、を備え、切削ブレード164を装着した回転スピンドル163は、駆動源であるサーボモータ165によって回転駆動させられる。支持壁部151bの一側面には、矢印Zで示すZ軸方向(上下方向)に延びる一対の案内レール151d、151dが平行に設けられており、ユニットホルダ161には、上記の一対の案内レール151d、151dに摺動可能に係合する2条の被案内溝161a、161aが設けられている。この被案内溝161a、161aを一対の案内レール151d、151dに摺動自在に係合することにより、ユニットホルダ161が切り込み送り方向(Z軸方向)に移動可能に支持される。
【0020】
図示の切削手段16は、ユニットホルダ161を一対の案内レール151d、151dに沿って切り込み送り方向に移動させるための切り込み送り機構166を備えている。切り込み送り機構166は、上記X軸送り機構14および上記割り出し送り機構17と同様に一対の案内レール151d、151dの間に配設された雄ネジロッド(図示は省略する)と、該雄ネジロッドを回転駆動するためのパルスモータ167とを含んで構成されている。該雄ネジロッドは、ユニットホルダ161に形成した雌ネジブロックの雌ネジ穴(図示は省略する)に螺合されており、パルスモータ167によって図示を省略する雄ネジロッドを正転および逆転駆動することにより、ユニットホルダ161を一対の案内レール151d、151dに沿って切り込み送り方向に移動させる。
【0021】
アライメント手段9は、スピンドルハウジング162の先端部に配設されており、切削手段16の切削ブレード164に対して、X軸方向に隣接する位置に配設されている。アライメント手段9は、図示を省略する光学系と撮像素子(CCD)を含み構成されており、撮像した画像信号を、図示を省略する制御手段に送る。
【0022】
図3に加え、図4~6を参照しながら、上記したチャックテーブル機構3について、さらに具体的に説明する。
【0023】
図3に示すように、カバーテーブル33の中央部には、開口331が形成されており、この開口331の周縁に、上方に突出するフランジ部332が設けられている。このフランジ部332が、チャックテーブル35を構成する本体351の下端部に形成されたスカート部351aの内側に非接触に位置付けられる(図4(b)も併せて参照)。
【0024】
図3図4を参照することにより理解されるように、チャックテーブル35は、略円柱状の本体351と、保持面35aとを備えている。本体351は、ステンレス鋼等の金属材によって形成されており、その上面に通気性を有する多孔性部材(例えばポーラスセラミックス)によって保持面35aが形成されている。また、本体351の下面側中央には、上記した保持面35aに連通する吸引通路351bが設けられており、この吸引通路351bは、図示を省略する吸引手段に連結されている。従って、該吸引手段を作動することにより、吸引通路351bを通してチャックテーブル35の保持面35aに負圧を生成することができる。また、チャックテーブル35には、4個のクランプ36が配設され、このクランプ36の基部がチャックテーブル35に対して適宜の固定手段によって取付けられている。
【0025】
チャックテーブル機構3を構成するチャックテーブル支持機構30は、上記したチャックテーブル35に連結され垂下する下方が開放された筒体32と、ベース31上に配設された支柱39と、を備えている。支柱39は、図に示すように円筒状に形成されており、その下端がベース31に固定されている。図4(a)、(b)に示すように、支柱39に対して筒体32を装着する際には、支柱39の外周に形成された断面V字状の第1の環状溝391と、筒体32の内周面に形成された断面V字状の第2の環状溝322とが上下方向で一致した状態とされ、両者の隙間に対し、図示を省略する鋼球挿入孔から複数の鋼球34(ボール部材)を充填して、支柱39に対して筒体32を含むチャックテーブル35を滑らかに回転させる軸受手段を構成する。該軸受手段によって支柱39に支持される筒体32の内側には、環状の永久磁石321が配設されており、上記した永久磁石321に対応した位置であって、支柱39の上端にステータ392が配設されて電動モータを構成している。該ステータ392に対して図示を省略する電源から電力を供給することによりチャックテーブル35を回転させることができ、上記した永久磁石321及びステータ392によって本実施形態における回転駆動手段が構成されている。
【0026】
上述したように構成されたチャックテーブル支持機構30の筒体32の下端を構成する自由端部には、環状に形成されたロータリースケール37が配設される。また、組み立てられたチャックテーブル機構3において、前記ロータリースケール37と対向する位置には、ロータリースケール37のメモリを読み取るスケールヘッド40が該ベース31を介して固定される。スケールヘッド40は、支持プレート41と、スケール読取センサ42と、固定ボルト43とから構成され、支持プレート41を固定ボルト43によってベース31に固定することにより、スケール読取センサ42が固定される。なお、支持プレート41には、ベース部31に対して水平方向に移動可能な調整用の遊びが設けられており、固定ボルト43によって支持プレート41を固定することで、スケール読取センサ42の位置が固定される。また、スケール読取センサ42は、図示を省略する配線によって上記した制御手段に接続されている。
【0027】
筒体32の下端を構成する自由端部に対してロータリースケール37を配設する構成の一例を、図5を参照しながら説明する。図5(a)には、上記した筒体32の下部が示されている。該筒体32の自由端部32aに装着されるロータリースケール37は、第1の半円ロータリースケール37aと、第2の半円ロータリースケール37bとにより構成されている。第1、第2のロータリースケール37a、37bは、図示の固定手段38により固定される。図5(b)に示すように、第1の半円ロータリースケール37aは、断面A-Aでみたとき、内側に外側よりも厚みが小さい爪部371を備え、第2の半円ロータリースケール37bもこれと同様に、断面B-Bでみたとき、内側に外側よりも厚みが小さい爪部372を備えている。固定手段38は、筒体32の外周に沿う曲面で構成されたブラケット38aと、筒体32の側面の雌ネジ孔32bに螺合する雄ネジ38bとを備えている。図6(a)に示すように、筒体32の自由端部32aには、環状の段差部が形成されており、該環状の段差部に第1、第2の半円ロータリースケール37a、37bの爪部371、372が側方から挿入され、上記したブラケット38aを第1、第2の半円ロータリースケール37a、37bの側方から押し当てて、雄ネジ38bによって筒体32に固定する(図6(b)を参照)。これにより、第1、第2の半円ロータリースケール37a、37bによって筒体32の自由端部32aの全周に渡る環状のロータリースケール37が形成される。このように構成されたロータリースケール37をスケールヘッド40の読取センサ42によって読み取った情報が上記した制御手段に送られて、チャックテーブル35の回転角度を検出することができる。
【0028】
本実施形態の切削装置1は、概ね上記したとおりの構成を備えており、以上のように構成された切削装置1の作動について、図1に基づいて簡単に説明する。上記のカセットテーブル4a上に載置されたカセット4の所定位置に収容されているウエーハWは、図示しない昇降手段によってカセットテーブル4aが上下動することにより搬出位置に位置付けられる。次いで、搬出入手段6が進退作動してウエーハWを挟持し、仮置きテーブル5上に搬出する。仮置きテーブル5に搬出されたウエーハWは、搬送手段7によって吸引され、搬出入位置に位置付けられたチャックテーブル35上に搬送される。
【0029】
チャックテーブル35上にウエーハWが載置されたならば、図示しない吸引手段を作動してウエーハWをチャックテーブル35に吸引保持すると共に、ウエーハWを支持するフレームFを上記4個のクランプ36によって固定する。このようにしてウエーハWを保持したチャックテーブル35は、X軸送り機構14によって移動してアライメント手段9の直下に位置付けられると、アライメント手段9によってウエーハWにおいて格子状に形成されている分割予定ラインが検出され、切削手段16を割り出し方向である矢印Y方向に移動して該分割予定ラインと切削ブレード164との位置合わせが行われる。このとき、ウエーハWに形成された所定方向の分割予定ラインが切削送り方向(X軸方向)と平行になっていない場合には、チャックテーブル機構3の上記した永久磁石321とステータ392によって構成された電動モータを作動して、該分割予定ラインが切削送り方向Xと平行になるように位置付ける。
【0030】
その後、切削ブレード164による切り込み送りの基準位置を定めたならば、図2に示す如く切り込み送り手段166のパルスモータ167を作動して切削ブレード164を矢印Zで示す方向に所定量切り込み送りするとともに、切削ブレード164を所定の回転方向に高速回転させつつX軸送り機構14のサーボモータ14aを作動して、ウエーハWを吸引保持したチャックテーブル35を切削送り方向に所定の切削送り速度で移動させる(切削工程)。この結果、チャックテーブル35上に保持されたウエーハWは切削ブレード164により所定の分割予定ラインに沿って切断される。
【0031】
このようにして、ウエーハWを所定の分割予定ラインに沿って切断したならば、チャックテーブル35を分割予定ラインの間隔だけ割り出し送りし、上記切削加工を実施する。これらを繰り返すことにより、ウエーハWの所定方向に形成された分割予定ラインの全てに沿って切削加工を実施する。その後、チャックテーブル機構3の上記した回転駆動手段を構成するステータ392に電力を供給してチャックテーブル35を回転させる。このとき、筒体32の自由端部32aに装着されたロータリースケール37を、ベース31を介して装着されたスケールヘッド40の読取センサ42によって読み取ることにより、チャックテーブル35の回転角度を検出しつつ、チャックテーブル35を精密に90度回転させる。これにより、切削加工が施された所定方向の分割予定ラインに直交する未加工の分割予定ラインがX軸方向に位置付けられる。そして、未加工の全ての分割予定ラインに沿って上記した切削加工を実施する。これにより、ウエーハWに格子状に形成された全ての分割予定ラインが切削されて、ウエーハWが個々のデバイスチップに分割される。
【0032】
上述したようにウエーハWに形成された全ての分割予定ラインに沿って切断加工を実施したならば、ウエーハWを保持したチャックテーブル35が、ウエーハWが搬入され吸引保持した搬出入位置に戻される。次いで、ウエーハWを、洗浄搬送手段10によって洗浄装置11に搬送する。洗浄装置11に搬送されたウエーハWは、洗浄および乾燥され、その後、搬送手段7によって仮置きテーブル5に搬送され、ウエーハWは、搬出入手段6によってカセット4の所定の位置に収納される。
【0033】
図3~6に基づき説明したように、本実施形態のロータリースケール37は、チャックテーブル35に連結され垂下する筒体32の自由端部32a(下端)に装着され、該ロータリースケール37を読み取る読取センサ42を含むスケールヘッド40が、ベース31を介して固定されている。このようにチャックテーブル機構3を構成した結果、ロータリースケール37及びスケールヘッド40は、チャックテーブル機構3が構成された状態で、外部に露出する状態で設置され、チャックテーブル機構3を分解することなくロータリースケール37とスケールヘッド40との位置調整や、ロータリースケール37、又はスケールヘッド40の清掃、交換等のメンテナンスを実行することができ、従来の構成においてメンテナンスが困難であるという問題が解消される。
【0034】
本発明は、上記した実施形態に限定されない。上記した実施形態のチャックテーブル機構3では、チャックテーブル35を回転駆動する回転駆動手段として、筒体32に配設した永久磁石321と、支柱39に配設したステータ392とにより電動モータを構成したが、これに替えて、ベース31上にパルスモータを配設し、該パルスモータの回転軸に駆動プーリを装着すると共に、上記した筒体32の下方側の外周に従動プーリを配設して、該駆動プーリと該従動プーリに無端ベルトを巻き回して回転駆動手段を構成してもよく、さらには、筒体32に配設した永久磁石321と支柱39に配設したステータ392とにより構成した電動モータに替えて、ベース31上に配設するパルスモータと筒体32とを歯車機構によって連結して回転駆動手段を構成してもよい。
【0035】
また、上記した実施形態では、本発明に基づくチャックテーブル機構3を、切削装置に配設した例を示したが、本発明はこれに限定されず、レーザー加工装置、研削装置、研磨装置等に装着されるチャックテーブル機構に適用することもできる。
【0036】
さらに、上記した実施形態では、ロータリースケール37を筒体32の自由端部に固定する手段として、ブラケット38aと雄ネジ38bとからなる固定手段38を用いたが、本発明はこれに限定されず、例えば、接着剤等による固定方法を用いてもよい。
【符号の説明】
【0037】
1:切削装置
2:ハウジング
3:チャックテーブル機構
30:チャックテーブル支持機構
31:ベース
311:案内溝
32:筒体
32a:自由端部
321:永久磁石
322:第2の環状溝
33:カバーテーブル
331:開口
332:フランジ部
34:鋼球(ボール部材)
35:チャックテーブル
35a:保持面
351:本体
351a:スカート部
351b:吸引通路
36:クランプ
37:ロータリースケール
37a:第1の半円ロータリースケール
37b:第2の半円ロータリースケール
38:固定手段
38a:ブラケット
38b:雄ネジ
39:支柱
391:第1の環状溝
392:ステータ
4:カセット
5:仮置きテーブル
6:搬出入手段
7:搬送手段
9:アライメント手段
10:洗浄搬出手段
11:洗浄装置
12:静止基台
12a:案内レール
12b:軸受ブロック
12c:案内レール
14:X軸送り機構
14a:サーボモータ
14b:雄ネジロッド
15:スピンドル支持機構
151:可動支持基台
151a:移動支持部
151b:支持壁部
151c:被案内溝
151d:案内レール
16:切削手段
161:ユニットホルダ
162:スピンドルハウジング
163:回転スピンドル
164:切削ブレード
165:サーボモータ
166:切込み送り機構
167:パルスモータ
17:割り出し送り機構
17a:パルスモータ
17b:雄ネジロッド
40:スケールヘッド
41:支持プレート
42:読取センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6