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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155532
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】処理液供給装置及び処理液供給方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241024BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H01L21/30 564C
B05C11/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070323
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000219967
【氏名又は名称】東京エレクトロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002756
【氏名又は名称】弁理士法人弥生特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】末政 涼
(72)【発明者】
【氏名】安達 健二
【テーマコード(参考)】
4F042
5F146
【Fターム(参考)】
4F042AA07
4F042AB00
4F042BA08
4F042CA01
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB13
4F042CB19
4F042CB25
4F042DH09
4F042EB05
4F042EB18
4F042EB21
5F146JA03
5F146JA09
(57)【要約】
【課題】基板を液処理するにあたり、重力の影響によって流路に溜まる異物による当該基板の汚染を抑制する。
【解決手段】本開示の処理液供給装置は、下流端が基板に処理液を供給し、ノズルに接続される流路と、前記流路において前記ノズルよりも低い位置に設けられ、当該流路の下流側に前記処理液を供給するポンプと、前記流路に設けられるフィルタと、前記流路における前記フィルタの下流側の接続位置に上流端が接続される排液路と、前記流路から前記排液路への前記処理液の通流と当該通流の停止とを切替える第1切替え部と、前記流路における前記ノズルよりも下方の第1検出領域の異物を検出する第1異物検出部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下流端が基板に処理液を供給し、ノズルに接続される流路と、
前記流路において前記ノズルよりも低い位置に設けられ、当該流路の下流側に前記処理液を供給するポンプと、
前記流路に設けられるフィルタと、
前記流路における前記フィルタの下流側の接続位置に上流端が接続される排液路と、
前記流路から前記排液路への前記処理液の通流と当該通流の停止とを切替える第1切替え部と、
前記流路における前記ノズルよりも下方の第1検出領域の異物を検出する第1異物検出部と、
を備える処理液供給装置。
【請求項2】
前記流路における前記フィルタの下流側には、前記異物を収集するために当該フィルタの二次側よりも低い高さである異物収集領域が設けられ、
当該異物収集領域に前記接続位置が設けられる請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項3】
前記異物収集領域は、前記流路において前記フィルタの下流側から前記下流端に至るまでの部位のうち最も高さが低い部位であり、当該異物収集領域の下流側の端部に前記接続位置が設けられる請求項2記載の処理液供給装置。
【請求項4】
前記第1検出領域は、前記接続位置よりも前記流路の下流側に位置する請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項5】
前記流路において前記第1検出領域よりも下流側且つ上方の第2検出領域の前記異物を検出するための第2異物検出部が設けられ、
前記第1異物検出部及び前記第2異物検出部による検出結果に基づいて、前記第1切替え部による前記流路から前記排液路への前記処理液の通流が行われる請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項6】
前記ノズルが内部に設けられる筐体がクリーンルームに設けられ、
前記ポンプ、前記フィルタ、前記第1異物検出部及び前記排液路は、前記クリーンルームを形成する床の下方に設けられる請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項7】
前記流路において前記接続位置よりも下流側であると共に当該接続位置よりも上方の位置に供給された前記処理液を、重力によって前記流路の上流側へと通流させて前記排液路から排出する第1通流機構が設けられる請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項8】
前記ポンプから前記処理液を前記排液路に供給した後、前記第1通流機構によって前記接続位置から前記排液路への前記処理液の通流が行われるように、当該ポンプ及び当該第1通流機構の動作を制御する制御部が設けられる請求項7記載の処理液供給装置。
【請求項9】
前記流路の上流側へ前記処理液が通流するときの前記第1異物検出部による検出結果に基づいて、前記流路の清浄性についての異常判定を行う判定部が設けられる請求項7記載の処理液供給装置。
【請求項10】
前記流路において前記接続位置よりも下流側であると共に当該接続位置の上方の第1位置に一端が接続され、前記接続位置よりも前記流路の上流側の第2位置に他端が接続される洗浄用流路と、
前記流路の第1位置の上方側が前記洗浄用流路を介して前記流路に接続されない状態と、重力によって処理液を前記流路から前記排液路に供給するために前記流路の第1位置の上方側が前記洗浄用流路を介して前記流路に接続される状態と、を切り替える第2切替え部と、
が設けられる請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項11】
前記第1位置及び前記第2位置は、前記ノズルが設けられるクリーンルームを形成する床の下方である請求項10記載の処理液供給装置。
【請求項12】
前記第1異物検出部による検出結果の経時変化に基づいて、前記流路の清浄性についての異常判定を行う判定部が設けられる請求項1記載の処理液供給装置。
【請求項13】
下流端がノズルに接続される流路に処理液を供給し、前記ノズルから前記基板に処理液を供給する工程と、
前記流路において前記ノズルよりも低い位置に設けられるポンプにより、前記流路の下流側に前記処理液を供給する工程と、
前記流路に設けられるフィルタに前記処理液を通流させる工程と、
前記流路における前記フィルタの下流側の接続位置に上流端が接続される排液路から前記処理液を排液する工程と、
第1切替え部により前記流路から前記排液路への前記処理液の通流と当該通流の停止とを切替える工程と、
前記流路における前記ノズルよりも下方の第1検出領域の異物を第1異物検出部により検出する工程と、
を備える処理液供給方法。
【請求項14】
前記流路における前記フィルタの下流側で当該フィルタの二次側よりも低い高さである異物収集領域に前記異物を収集する工程を備え、
当該異物収集領域に前記接続位置が設けられる請求項13記載の処理液供給方法。
【請求項15】
前記異物収集領域は、前記流路において前記フィルタの下流側から前記下流端に至るまでの部位のうち最も高さが低い部位であり、当該異物収集領域の下流側の端部に前記接続位置が設けられる請求項14記載の処理液供給方法。
【請求項16】
前記処理液を排液する工程は、
前記流路において前記接続位置よりも下流側であると共に当該接続位置よりも上方の位置に供給された前記処理液を、重力によって前記流路の上流側へと通流させて前記排液路から排出する第1工程を含む請求項13記載の処理液供給方法。
【請求項17】
前記処理液を排液する工程は、
前記ポンプから前記処理液を前記排液路に供給する第2工程と、
前記第2工程の後に行われる前記第1工程と、
を含む請求項16記載の処理液供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、処理液供給装置及び処理液供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスを製造するにあたり、基板である半導体ウエハ(以下、ウエハと記載する)に対して処理液供給装置により、処理液の供給が行われる。特許文献1には、ウエハにレジスト膜形成用の処理液(薬液)を供給する装置について、薬液瓶と、薬液瓶から供給されてフィルタ、ポンプ、ノズルに供給前の薬液を溜めるバッファータンクと、薬液瓶とバッファータンクとを接続する配管に設けられる測定器と、を備える構成とすることが示されている。そして、測定器による気泡や微細粒子の量の測定結果に応じて、前記配管の測定器の下流側の三方バルブによって薬液の供給先を切替え、当該薬液をドレインへと排出するとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004-327747号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板を液処理するにあたり、重力の影響によって流路に溜まる異物による当該基板の汚染を抑制することができる技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の処理液供給装置は、下流端が基板に処理液を供給し、ノズルに接続される流路と、
前記流路において前記ノズルよりも低い位置に設けられ、当該流路の下流側に前記処理液を供給するポンプと、
前記流路に設けられるフィルタと、
前記流路における前記フィルタの下流側の接続位置に上流端が接続される排液路と、
前記流路から前記排液路への前記処理液の通流と当該通流の停止とを切替える第1切替え部と、
前記流路における前記ノズルよりも下方の第1検出領域の異物を検出する第1異物検出部と、
を備える。
【発明の効果】
【0006】
本開示は、基板を液処理するにあたり、重力の影響によって流路に溜まる異物による当該基板の汚染を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示の第1実施形態に係る処理液供給装置を含む処理システムの縦断側面図である。
図2】前記処理液供給装置を構成する液処理モジュールの平面図である。
図3】処理液供給装置を構成する異物検出部の側面図である。
図4】前記異物検出部の背面図である。
図5】前記処理液供給装置における通常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図6】前記処理液供給装置におけるウエハの処理時のシンナーの通流を示す説明図である。
図7】前記処理液供給装置における異常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図8】前記処理液供給装置における異常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図9】前記処理液供給装置における異常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図10】前記処理液供給装置における異常を説明するためのグラフ図である。
図11】第2実施形態に係る処理液供給装置を含む処理システムの縦断側面図である。
図12】第3実施形態に係る処理液供給装置を含む処理システムの縦断側面図である。
図13】前記処理液供給装置における異常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図14】前記処理液供給装置における異常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図15】前記処理液供給装置における異常時のシンナーの通流を示す説明図である。
図16】第4実施形態に係る処理液供給装置を含む処理システムの縦断側面図である。
図17】評価試験の試験装置の構成を示す説明図である。
図18】評価試験の結果を示すグラフ図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
本開示の処理液供給装置の一実施形態である処理液供給装置2について、図1を参照して説明する。この処理液供給装置2の一部は処理システム1に組み込まれており、図1はこの処理システム1及び処理液供給装置2の縦断側面図である。処理システム1は、半導体製造工場において清浄度が管理されたクリーンルーム11内に設けられたシステムであり、当該クリーンルーム11を形成する床12に設置されている。このクリーンルーム11内は、半導体製造のためのウエハWの搬送及び処理が行われるfabrication(以下、fabと略す場合が有る)と呼ばれる領域である。それに対して、床12の下方における床下領域13は、クリーンルーム11内よりも清浄度が低くウエハWの搬送及び処理が行われない、subfabと呼ばれる領域である。
【0009】
処理液供給装置2は、クリーンルーム11内の処理システム1に設けられる液処理モジュール21と、床下領域13に設けられるシンナー供給ユニット4と、により構成される。即ち、処理液供給装置2を構成する部材はfabと、subfabと、に分かれて設けられている。液処理モジュール21は、ウエハWの表面に対してシンナー及びレジストをスピンコートにより順に塗布して、レジスト膜を形成する。シンナーはレジストが塗布される前のウエハWの表面に塗布することで、当該ウエハWの表面のレジストに対する濡れ性を高める改質液である。シンナー供給ユニット4は後に詳述するように、液処理モジュール21にシンナーを供給するためのバルブやポンプ等を含むユニットである。
【0010】
処理システム1は、FOUP(Front Opening Unify Pod)と呼ばれるウエハWの搬送容器14を載置可能なキャリアブロック15と、処理ブロック16と、を備える。処理ブロック16は互いに積層される階層である処理液供給ブロック17によって構成され、各処理液供給ブロック17には上記した液処理モジュール21が設けられている。以下では図1では処理液供給ブロック17が6つ(即ち、液処理モジュール21が6つ)設けられるものとして示している。なお、シンナー供給ユニット4はこの6つの液処理モジュール21に対して共用され、6つの液処理モジュール21と、1つのシンナー供給ユニット4と、後述する制御部60と、によって、処理液供給装置2が構成される。また、処理システム1は図示しないウエハWの搬送機構を備えている。当該搬送機構によって、処理前のウエハWを搬送容器14から任意の処理液供給ブロック17の液処理モジュール21に搬送し、処理済みのウエハWを液処理モジュール21から搬送容器14へと搬送することができる。補足して述べると、上記の複数の処理液供給ブロック17はウエハWの搬送領域と、液処理モジュール21を収容する空間と、が内部に各々形成される筐体であり、この搬送領域は液処理モジュール21に対してウエハWを受け渡すために横方向に移動して当該液処理モジュール21にアクセスする搬送機構の移動領域である。例えば処理ブロック16は大型の箱を備え、その箱の内部が隔壁によって上下に仕切られ、処理液供給ブロックを形成する。従って、各処理液供給ブロック17は、この隔壁と、箱の壁部と、によって構成される。そのため最下段の処理液供給ブロック17の下端はこの箱の下面であって、2段目以降の処理液供給ブロック17の下端は、当該処理液供給ブロック17を形成している隔壁の下面である。
【0011】
続いて、液処理モジュール21について、図2の平面図も参照して説明する。液処理モジュール21は、スピンチャック22、回転機構23、カップ24、処理機構3及び待機部25を備える。スピンチャック22はウエハWの載置部であり、その上面である吸着面上に載置されたウエハWの下面中央部を吸着することで、当該ウエハWを水平な姿勢で保持する。回転機構23(図1参照)はスピンコートを行うために、スピンチャック22を鉛直軸回りに回転させる。カップ24は処理液の飛散を防止するために、スピンチャック22に載置されたウエハWを囲む。
【0012】
処理機構3は、シンナーノズル31、レジストノズル32、アーム33及び移動機構34を備える。レジストノズル32は図示しないレジスト供給機構に接続され、当該レジスト供給機構からレジストが供給される。シンナーノズル31には配管36(図1参照)の下流端が接続されている。配管36にはバルブV1が介設されており、当該バルブV1はシンナーノズル31の近傍で階層17に配置されている。配管36は、後述する配管40を介して、シンナー供給ユニット4に接続される。従って、シンナーノズル31には、シンナー供給ユニット4からシンナーが供給される。以降、シンナーノズル31及びレジストノズル32については、まとめて処理液ノズル30と呼称する場合が有る。
【0013】
処理液ノズル30は、アーム33の先端側に設けられ、アーム33の基端側は移動機構34に接続されている。移動機構34は水平移動可能であると共に、アーム33を昇降させることができる。この移動機構34の動作により、スピンチャック22に載置されたウエハWの中心部上であってカップ24内における処理位置と、平面視でカップ24の側方に位置する待機部25との間で、当該処理液ノズル30が移動可能である。待機部25は、処理液ノズル30を待機させる待機領域を形成する。
【0014】
上記の処理位置にて、処理液ノズル30から処理液(シンナー及びレジスト)が各々吐出される。シンナー、レジストの順でのウエハWへの吐出と、ウエハWの回転と、によって、上記したスピンコートがなされ、当該ウエハWの表面にレジスト膜が形成される。なお待機部25にて待機中の処理液ノズル30より、ウエハWへの処理を目的としない処理液の吐出(ダミーディスペンス)も行われる。このダミーディスペンスは、例えばウエハWの処理前に、配管中の古いシンナーを新しいシンナーに置換する目的で行われる。待機部25は、そのように吐出される処理液を受けて、排出できるように排液路を備えている。以上の液処理モジュール21について、異なる処理液供給ブロック17に設けられるもの同士を区別し、21A~21Fとして記載する場合が有る。上層側から下層側に向けて順に21A、21B、21C、21D、21E、21Fとする。
【0015】
続いて図1に示すシンナー供給ユニット4について説明する。このシンナー供給ユニット4は、CAB(chemical cabinet box)と呼ばれる筐体41を備えている。この筐体41内には、ポンプ等を含む配管系が設けられており、当該配管系を構成する2つの配管40の下流端が、各液処理モジュール21の配管36の上流端に接続され、シンナーノズル31にシンナーを供給することができる。このシンナーは、半導体製造工場に設けられるシンナー供給源19からシンナー供給ユニット4に供給される。
【0016】
また、このシンナー供給ユニット4については、配管40がなす流路を通流するシンナーに含まれる異物の数の検出が行われ、この検出を行うための異物検出部6を備えている。そして、この検出結果に応じて、当該流路における異物を除去するために、上記したシンナー供給ユニット4を構成する配管系には、排液管51が含まれており、当該シンナー供給ユニット4は、この排液管51がなす排液路へのシンナーの排出が行えるように構成されている。なお、上記の異物としては例えば、所定の範囲の大きさを有するパーティクル(微粒子)であり、配管やバルブ等の流路を形成する部材から発生する場合が有る。
【0017】
図中に配管36と配管40との接続点P1、即ち配管40の下流端は、処理システム1内に位置している。そして各配管40の上流側は、接続点P1から床下領域13に向けて伸びて筐体41内へと進入し、異物検出部6を構成する検出流路形成部61、定圧バルブ44を各々この順に介して合流することで、合流配管45を形成する。合流配管45は、バルブV2を介してフィルタ46の二次側に接続されている。フィルタ46の一次側には、配管47の下流端が接続されている。配管47には上流側に向けてポンプ48、バルブV3が上流側に向けてこの順に介設されており、配管47の上流端は筐体41の壁面に開口している。
【0018】
異物検出部6、定圧バルブ44、バルブV2、フィルタ46、ポンプ48、バルブV3及び配管47は、筐体41内に設けられている。そして、配管47の上流端は、筐体41の外部に設けられるシンナー供給配管49を介して、シンナー供給源19に接続されている。配管47とシンナー供給配管49との接続点をP2として示しており、シンナー供給配管49と配管47とは互いに着脱可能である。従って、シンナー供給ユニット4は、処理液供給装置2を構成する他の部材に対しての着脱が可能となっており、当該他の部材から取り外すことによるメンテナンス作業や、交換作業が可能である。なお、上記したようにシンナー供給ユニット4は床下領域13に設けられるので、筐体41内のフィルタ46、ポンプ48等の各部材は、各処理液供給ブロック17の下端よりも低い位置に設けられている。
【0019】
各配管40において定圧バルブ44と検出流路形成部61との間には、上記した排液管51の上流端が接続されており、排液管51の上流側も筐体41内に設けられている。図中、配管40と排液管51との接続位置をPとして示している。排液管51の下流側は、例えば筐体41の外部に引き出され、半導体製造工場の排液路に接続されている。排液管51には排液用バルブ52が介設されており、第1切替え部をなす当該排液用バルブ52の開閉によって配管40から排液管51への通流と、当該通流の停止とが切替えられる。
【0020】
バルブV3が開かれ、且つバルブV2が閉じた状態でのポンプ48の吸引動作により、シンナー供給源19からシンナーを吸引することで、当該ポンプ48にシンナーが貯留される。ポンプ48が吐出動作を行い、このシンナーを配管40の下流側に圧送する際には、バルブV3が閉じられ且つバルブV2が開かれる。その際にシンナーをシンナーノズル31に供給する際には排液用バルブ52が閉じられ、排液管51に供給する際には排液用バルブ52が開かれる。
【0021】
フィルタ46は、例えばハウジングと、当該ハウジング内に設けられて異物を吸着、除去するフィルタ本体と、を備えており、上記のようにポンプ48から合流配管45の下流側へと供給されるシンナーが通流するにあたり、そのシンナーを清浄化する。なお合流配管45は、フィルタ46のハウジングに設けられる開口に接続される。定圧バルブ44については、当該定圧バルブ44の二次側の圧力が所定の圧力となるように、開度が調整される。
【0022】
以下の説明で、フィルタ46からシンナーノズル31に至るまでの流路を形成する配管36、40及び合流配管45について、まとめて配管50として表記する場合が有る。また、上記した位置に液処理モジュール21とシンナー供給ユニット4とが設けられることで、配管50(より詳しくは配管40)には、床下領域13とクリーンルーム11とに跨がるように縦方向に伸びる部位が設けられる。この部位について縦伸長部39として示しており、筐体41の外部に設けられている。そして、配管50におけるフィルタ46の下流側から縦伸長部39に至るまでの部位は領域38とする。この領域38は横方向に伸びる。
【0023】
以下の説明では配管50について、液処理モジュール21Aにシンナーを供給するものについては数字の符号の後にAを付して示す場合が有り、液処理モジュール21Bにシンナーを供給するものについては数字の符号の後にBを付して示す場合が有る。つまり配管50については、50A、50Bとして表記する場合が有る。同様にして液処理モジュール21C~21Fにシンナーを供給する配管50についても、液処理モジュール21C~21Fに付したものと同じ英字を付して50C~50Fとして表す場合が有る。このように表すため、合流配管45については配管50A~50Fの共通部分である。
【0024】
続いて異物検出部6について、図3の側面図及び図4の背面図を参照して説明する。第1異物検出部である異物検出部6は、上記した検出流路形成部61の他に、光照射部62、反射部63、導光部64及び受光部65により構成されており、2つの配管50の各々で並行して異物の検出が行えるように、配管50毎に設けられている。
【0025】
異物検出部6の説明にあたり、水平方向で互いに直交する方向をX方向、Y方向とし、鉛直方向をZ方向とする。X方向については一方側を+X側、他方側を-X側とする。検出流路形成部61は光照射部62から照射されるレーザー光を透過可能な材料によって形成されたブロックであり、内部にシンナーの流路66が形成されている。流路66は、Z方向に伸びる流路の両端部が同じ方向に90度屈曲されることで、横倒しされた凹状に形成されており、当該両端部はX方向に沿って伸びる。その流路66について、下側のX方向に伸びる部位を水平流路部66A、Z方向に伸びる部位を鉛直流路部66B、横方向に伸びる上側の部位を水平流路部66Cとする。従って、検出流路形成部61には+X側から配管40の上流側、下流側が夫々水平流路部66A、66Cに開口するように接続されている。
【0026】
検出流路形成部61の下方に反射部63が設けられ、光照射部62が、この反射部63に向けてY方向にレーザー光を照射する。このレーザー光は反射部63にて反射され、反射光が水平流路部66Aにおける異物検出領域67に照射される。なお、この反射光はZ方向に対して傾き、鉛直流路部66B及び水平流路部66Cには照射されない。図中では一点鎖線の矢印で、このレーザー光及び反射光を示している。異物検出領域67の高さにおいて、検出流路形成部61の-X側には、-X方向に向けて導光部64、受光部65が順に設けられている。第1検出領域である異物検出領域67にて異物に光が照射されて生じた側方散乱光が、導光部64を介して受光部65に照射される。図3中では異物を69、側方散乱光を二点鎖線の矢印で夫々示している。受光部65は、受光に応じた検出信号を後述する制御部60に出力し、制御部60は検出信号のレベルから、異物の大きさ及び数の検出を行う。なお図中68は、反射部63、導光部64及び受光部65を支持する台である。
【0027】
続いて図1に示す、処理システム1に設けられる制御部60について説明する。制御部60はコンピュータにより構成されており、CPU、メモリ、プログラム、画面及び音声出力部を備えている。プログラムには、処理システム1における一連の動作を実施することができるように、ステップ群が組み込まれている。そして、当該プログラムによって制御部60は処理システム1の各部に制御信号を出力し、当該各部の動作が制御される。具体的にはバルブV1~V3の開閉動作、排液用バルブ52の開閉動作、ポンプ48の動作、回転機構23によるウエハWの回転動作、移動機構34による処理液ノズル30の移動などの各動作が、上記の制御信号によって制御される。このプログラムは、例えばコンパクトディスク、ハードディスク、DVDなどの記憶媒体に格納されて、制御部60にインストールされる。
【0028】
また、上記のプログラムは異物検出部6からの検出信号に基づいて、異物の数及び大きさの検出を行うことができ、後に詳述するように所定の範囲の大きさの異物の数に基づいて異常の有無の判定(異常の検出)を行うことができる。このようなプログラムを備えることで制御部60は、配管50がなす流路における清浄性についての異常の有無の判定を行う判定部をなす。なお、このような判定を行うにあたり、必要な各種の演算、比較等についてもプログラムにより実行される。
【0029】
後述するように異常の有無の判定を行うにあたって、シンナーノズル31からのシンナーの吐出量の取得、シンナーノズル31からのシンナーの吐出回数の取得が行われる場合が有るが、それらについてもプログラムによって実行される。これらのシンナーの吐出量や吐出回数については、例えばシンナー供給ユニット4における各バルブの開閉や、ポンプ48のシンナーの吐出動作をモニターすることによって行うことができる。その他にプログラムによって行われる動作としては、各検出回で取得される異物の数について、制御部60のメモリに記憶することによる当該異物の数の時系列データの取得や、画面表示や音声出力などによるアラームの出力などが挙げられる。
【0030】
ところでクリーンルーム11内には通常、半導体装置を製造するための多数の装置やシステムが配置される。その配置スペースを確保するために、既述したようにシンナー供給ユニット4は、床下領域13に配置されている。そのため液処理モジュール21とシンナー供給ユニット4とに跨がる流路を形成する配管50には、上記した縦伸長部39が設けられる。そしてポンプ48は縦伸長部39の下流側と上流側との高低差による重力の作用に抗するように、フィルタ46を介してシンナーノズル31に向けてシンナーを圧送することになる。
【0031】
しかし後述の評価試験でも示すように、このようにフィルタ46の下流側において、下流側と上流側との高低差が比較的大きい縦伸長部39が形成されることで、上記した領域38には異物が蓄積するおそれが有る。具体的に説明すると、シンナーノズル31からシンナーの吐出が行われて次に吐出が行われるまでの間に、配管50ではシンナーが滞留することになる。その間に、フィルタ46の下流側に生じて縦伸長部39に達したが当該縦伸長部39を乗り越えなかった異物が、当該縦伸長部39を下降し、領域38に蓄積してしまうおそれがある。そして、そのように蓄積する異物は、恒常的に縦伸長部39の下流側へ移動しないとは限らず、いずれ縦伸長部39を乗り越えてシンナーノズル31に移動し、ウエハWに供給されてしまうおそれが有る。このように配管50における領域38への異物の蓄積によって、ウエハWが異物に汚染されるリスクが有る。
【0032】
そこで処理液供給装置2においては領域38に検出流路形成部61を介設し、さらに領域38における検出流路形成部61の上流側に排液管51を接続している。つまり処理液供給装置2では、縦伸長部39の上流側における領域38にて異物検出部6による異物の検出を行うことで異物の蓄積状態を監視し、異常時にはポンプ48によりシンナーノズル31の代わりに排液管51へとシンナーを供給することで、領域38に蓄積された異物を除去することが可能である。なお、上記のように縦伸長部39から異物が下降するので、縦伸長部39により近い位置に検出流路形成部61を設けることで、異物の蓄積状態について精度高く監視できる。それ故に、配管50における排液管51の接続位置Pよりも下流側に、検出流路形成部61が設けられている。
【0033】
処理液供給装置2においては、上記のようにポンプ48による排液管51へ向かうシンナーの液流を形成する他に、詳しくは後述するが、縦伸長部39に貯留されるシンナーの重力の作用による当該縦伸長部39から排液管51への液流れも形成されるようにポンプ48や各バルブの動作が制御される。それにより、この異物の除去がより確実に行われるようにされている。
【0034】
また、領域38において排液管51が接続される定圧バルブ44の下流側から検出流路形成部61までの部位53として示している。部位53は例えば、配管50A、50Bの各々で最も高さが低い部位をなす。つまり配管50Aの中では当該部位53の高さが最も低く、配管50Bの中では当該部位53の高さが最も低い。上記したように配管50の高低差によって異物が蓄積されるので、この当該部位には異物が蓄積しやすい。そのような部位53に排液管51が接続されることで、異物の除去性がより高められる。
【0035】
続いて、図5図9を参照して処理液供給装置2の運用例について説明する。この図5図9では各配管のうち、シンナーが流通している部位を他の部位よりも太く示す。図5図9では、図示の煩雑化を防止するために装置構成を簡素化し、液処理モジュール21A、21Bが設けられた処理液供給ブロック17のみ示し、配管50についても50A、50Bにおけるシンナーの通流状態のみを図示する。液処理モジュール21A、21Bの各々について最後にウエハWの処理が行われてから所定の時間である第1の時間が経過した時点で、所定の長さの第1検出期間、配管50A、50Bの各々に設けられる異物検出部6によって、異物の検出動作がなされる。具体的にはこの検出動作として、検出流路形成部61への光照射と、受光部65による受光と、がなされる。
【0036】
そして、第1検出期間中に検出された所定の範囲の大きさの異物の数が検出される。このように検出された異物の数を、基準異物数とする。従って、この基準異物数は配管50にシンナーが滞留した状態(液流れが形成されていない状態)で取得される異物の数である。なお、最後にウエハWに処理を行ってから、排液用バルブ52については閉じた状態が保たれる。従って、この基準異物数を取得するまでの間に、排液管51へのシンナーの排出は行われておらず、このように配管50におけるシンナーの異物数が検出できるものとする。
【0037】
そして、第1検出期間の終了から所定の時間が経過した後、シンナーノズル31が待機部25に位置する状態で、液処理モジュール21A、21Bの各バルブV1と、バルブV2とが開き、ポンプ48からシンナーが圧送され、シンナーノズル31からシンナーが吐出される(図5)。このようにシンナーノズル31へシンナーが通流する間の第2検出期間中、配管50A、50Bの各異物検出部6によって、異物の検出動作がなされる。この第2検出期間は例えば上記の第1検出期間と同じ長さであり、この第2検出期間でも第1検出期間と同様、所定の範囲の大きさの異物の数が検出される。そして、配管50A、50Bの各々について、この第2検出期間で検出された異物の数から基準異物数を減じて、その減算値と所定の第1閾値とを比較する。この減算値の取得及び比較について説明すると、基準異物数を取得してからの時間経過により、先のウエハWの処理時に縦伸長部39を途中まで押し上げられた異物は落下し、例えばその一部は領域38に移動する。減算値を取得することでその異物の蓄積量を求め、第1閾値との比較によって、この蓄積量が異常であるか否かを判定する。
【0038】
上記の比較の結果、減算値が第1閾値以下であると判定された場合は異常無しとする。そのように異常無しとされた場合、ウエハWが搬送容器14から液処理モジュール21A、21Bに搬送された際には、待機部35にシンナーを吐出する場合と同様に、シンナーノズル31からウエハWへのシンナーの吐出が行われる(図6)。なお、シンナーが供給されたウエハWについては、既述したように回転によるシンナーの塗布、回転とレジストの供給によるレジスト膜の形成が行われ、搬送容器14に戻される。
【0039】
以下、上記の比較の結果、配管50A、50Bについて、減算値が第1閾値を超えたと判定されて、異常有りとされた場合について説明する。バルブV1が閉じられた状態とされる一方で、バルブV2及び排液用バルブ52が開かれた状態とされる。そして、ポンプ48からシンナーが供給される。このシンナーが領域38における接続位置Pの上流側を介して排液管51に流れ、当該領域38の上流側に蓄積された異物が当該排液管51に押し流されて除去される(図7)。これ以降は、このようなポンプ48からの排液管51へのシンナーの供給による異物の除去動作を、パージ洗浄と記載する。
【0040】
このパージ洗浄が所定の時間行われると、ポンプ48からのシンナーの供給が停止すると共に排液用バルブ52が閉じられ、当該パージ洗浄が終了する。図の煩雑化を防ぐために図7での流れの表示は省略したが、このパージ洗浄終了時において、それまで排液用バルブ52が開いていたことで配管50において排液管51の接続位置Pよりも上流側に位置していたシンナーも排液管51に流れて除去された状態となっている。この状態から、ポンプ48による所定の量のシンナーの供給が行われ、シンナーが配管50の縦伸長部39における比較的高い位置に至るように充填される(図8)。つまり、配管50において接続位置Pよりも、シンナーが下流側且つ上方の位置へと供給された状態とされる。
【0041】
そしてバルブV2が閉じられる一方で、排液用バルブ52が開く。重力の作用により、縦伸長部39のシンナーは上流側のシンナーを、排液管51に押し流す。つまり配管50では接続位置Pの下流側のシンナーが当該配管50を上流側へと流れて排液管51へ向かう。この液流によって領域38の接続位置Pの下流側に蓄積された異物が、排液管51へと押し流されて除去される(図9)。なお以降は、この図8図9で示すように、縦伸長部39に至るように行うポンプ48からのシンナーの供給から、重力による排液管51へのシンナーの排液に至る一連の動作による異物の除去動作を、重力洗浄と記載する。そして、パージ洗浄及び重力洗浄をひとまとめにして、配管洗浄と記載する場合が有る。なお、このように重力洗浄の液流れを形成する排液用バルブ52は、第1通流機構に該当する。
【0042】
上記のように重力洗浄が行われ、排液管51へシンナーが流れる間の所定の長さの第2検出期間中、異物検出部6によって異物の検出動作がなされる。そして、排液用バルブ52が閉じられて排液管51からの排液が停止し、重力洗浄が終了する。その一方で、第2検出期間中に検出された所定の範囲の大きさの異物の数と、所定の第2閾値との比較が行われる。
【0043】
この比較の結果、検出された異物の数が第2閾値以下であると判定された場合は、異常無しとして、第1閾値との比較で異常無しとされた場合と同様、液処理モジュール21A、21BにウエハWが搬送されたら、当該ウエハWに処理が行われる。比較の結果、検出された異物の数が第2閾値を超えていると判定された場合は異常有りとして、例えば上記した配管洗浄を再度行い、先の配管洗浄時と同様にして異物の検出、異常の有無の判定を行う。
【0044】
このように異常の有無の判定結果に従って、ウエハWの処理が再開されるか、配管洗浄が行われるかが決められるが、配管洗浄が所定の回数繰り返されても異常有りとされる場合は、配管洗浄の繰り返しを中止してアラームを出力する。このアラーム出力は、制御部60を構成する画面やスピーカーなどから、所定の表示や音を発することにより行う。なお、配管50A、50Bの両方が異常と判定され、配管50A、50Bを共に洗浄する例を示したが、例えば、これらの配管50A、50Bのうち一方のみが異常と判定された場合には、その異常と判定された配管のみ洗浄を行えばよい。従って配管50A、50Bのうちの一方の配管50の洗浄中、他方の配管50を用いてウエハWに処理を行うようにしてもよい。
【0045】
以上に述べた処理液供給装置2によれば、シンナーが通流する配管50について、高低差に起因する異物の検出及び排出を行うことができるので、当該配管50の清浄性を高くし、シンナーと共にウエハWに異物が供給されることを抑制することができる。従って、ウエハWから製造される半導体製品の歩留りの低下を防ぐことができる。また、領域38に異物が蓄積されているという見込みをもって、その異物を除去するために大量のシンナーを配管系の上流側からシンナーノズル31に通流させることも避けられる。従って、装置の運用コストの低減も図ることができる。
【0046】
また、重力洗浄によって領域38における排液管51の上流側から当該排液管51に向うシンナーの流れが形成され、パージ洗浄によって領域38における排液管51の下流側から当該排液管51に向うシンナーの流れが形成される。このようにすることで、領域38における異なる部位に各々シンナーの流れが形成され、且つ排液管51の接続位置P付近では繰り返しシンナーが供給される。そのため、配管50における清浄性について、より高くすることができる。
【0047】
また上記の配管洗浄においては、シンナーの液流が検出流路形成部61を通過する重力洗浄をパージ洗浄の後に行うことで、この重力洗浄の実施に並行して異常の有無の判定を行うことができる。そのため配管洗浄を繰り返すか否かを効率良く決定することができるため好ましい。なお、上記したようにパージ洗浄時にも排液用バルブ52が開かれることで、重力洗浄時と同様に縦伸長部39から検出流路形成部61を通過して排液管51に流れる。そのため重力洗浄の後、パージ洗浄を行い、パージ洗浄時の検出流路形成部61の液流に対して異常の判定を行ってもよいが、ポンプ48からシンナーが供給されているため、この検出流路形成部61の液流は不安定になるおそれが有る。そのため、このように重力洗浄をパージ洗浄の後に行い、その際に異常の判定を行うことが好ましい。
【0048】
なお、フィルタ46、ポンプ48、排液管51及び異物検出部6等を含む筐体41について、シンナーノズル31と同様にクリーンルーム11内に設けられてもよい。ただし、上記したように床下領域13に配置される筐体41内に設けられることで、クリーンルーム11のスペースを確保できるため好ましい。そして、そのように床下領域13に設けられることで、上記した配管50の縦伸長部39の下流側と上流側との間の高低差は比較的大きくなり、領域38に異物が蓄積しやすくなると考えられる。従って、筐体41が床下領域13に設けられる場合に、本技術を適用することが特に有効である。なお、フィルタ46、ポンプ48、排液管51及び異物検出部6等について、筐体41内に格納されることにも限られないが、これらの部材の交換やメンテナンス等を行うにあたり、筐体41内に格納されていた方が、取り扱いが容易であるし、例えば配管との接続の不備によりシンナーの漏洩が起きてもクリーンルーム11への影響が抑えられるため好ましい。
【0049】
ところで、上記した例では待機部35にシンナーを吐出する際に取得した異物の数の検出値に基づいて、異常の有無の判定を行っているが、ウエハWにシンナーを吐出する際に取得した異物の数の検出値に基づいて異常の有無の判定を行ってもよい。従って、例えばこのウエハWへのシンナーの吐出時に検出された異物の数から上記の基準異物数を減じ、その減算値と第1閾値とを比較すればよい。なお、基準異物数の取得を行わず、待機部35やウエハWへのシンナーの吐出時に取得される異物の検出数を閾値に対して比較することで、異常の有無の判定を行うようにしてもよい。そのように、異物検出部6による検出結果を用いての異常の有無の判定方法は任意である。ただし、これまでに述べたように待機部35への吐出の際に異物の数の検出を行って異常の有無を判定する。そして、異常が無いと判定された場合にウエハWに処理を行うようにすることで、ウエハWに異物が多く供給されてしまうことを防ぎ、ウエハWから製造される半導体製品の歩留りの低下を防止することができるため好ましい。
【0050】
その他の処理液供給装置2の運用例を示す。図5図9で述べたように異常の有無の判定を行うために、待機部35にシンナーを吐出する。この各回の待機部35への異物の検出数をモニターすることで、異常の有無の判定を行ってもよい。図10はこの運用例の説明のために、横軸に検出を行った回数(待機部35へのシンナー吐出を行った回数でもある)、縦軸に検出される異物の数を表したグラフを示している。配管等の流路から生じる異物の数は検出を行う毎に異なるが、当該流路を構成する部材の劣化等の要因によって検出回数が多くなるにつれて緩やかに上昇する傾向を示すと考えられる。例えば、グラフ中にn-10回~n回(nは任意の整数)については、そのように上昇する例を示している。なおここでの検出を行った回数とは、配管50Aまたは50Bのうち同じ配管での検出を行った回数の意味である。
【0051】
しかし上記した配管50の高低差に起因する異物の蓄積が発生した場合、異物の検出数としては、その蓄積した分の数が加わることで急上昇する。グラフ中のn+1回については、そのように急上昇した例を示している。そこで例えばm回目の測定で取得された異物の検出数-(m-1)回目の測定で取得された異物について算出し、その算出値を所定の閾値と比較する。算出値が、閾値以下であれば異常無しとして、それらの配管洗浄は行わず、算出値が閾値を超えていれば上記の高低差による異常が発生したものとして、配管洗浄を行う。なお、上記のmは任意の整数である。
【0052】
なお異常の有無の判定としては、そのように最新の検出回での異物の検出数と、その直前の検出回での異物の検出数とを用いることには限られない。例えば異物の検出数について、新たに測定を行ったらその最新の検出回から所定の回数分遡った測定回までの各異物の検出数の平均値を取得する。この平均値を、直前の検出回で同様に取得された平均値と比較し、これらの平均値同士の差が閾値を越えていれば、異常有りとしてパージ洗浄及び重力洗浄を行うようにしてもよい。つまり所定の回数分の検出値の移動平均に基づいて、異常の有無の判定を行ってもよい。
【0053】
以上のように異物の検出数について、異なるタイミングで取得された2つ以上のデータである時系列データに基づいて、異常の有無の判定を行うことができる。なお、待機部35にシンナーを吐出するたびに異物の検出数を取得するとしたが、ウエハWにシンナーを吐出するたびに異物の検出数を取得して、このような時系列データによる異常判定を行ってもよい。
【0054】
さらに他の運用例を示す。図5図9で説明したように異常の判定、異常と判定された際の配管洗浄を行うものとして、液処理モジュール21A、21Bで個別に、配管洗浄を行ってから次に配管洗浄を行うまでのシンナーノズル31からのシンナーの総吐出回数を検出する。この総吐出回数は、ウエハWに対する吐出回数と待機部35における吐出回数との合計である。ウエハWへの処理と配管洗浄とが繰り返し行われ、総吐出回数の検出が所定の回数行われたとしたら、取得された総吐出回数の平均値を算出する。そして、この平均値の算出後は、配管洗浄を行ってからのシンナーノズル31からのシンナーの吐出回数が[総吐出回数の平均-所定の回数]となったら、配管洗浄が行われるように制御部60によって装置の各部の動作が制御されるようにする。
【0055】
このような配管洗浄は、過去の異常の発生履歴に基づいて異常が次に発生するタイミングを見込んで、その異常の発生前に行っていると言える。そのように配管洗浄を行うことで、ウエハWへの異物が供給されることを、より確実に抑制することができる。なお、液処理モジュール21A、21Bは互いに異なる高さに配置されるため、配管50A、50Bの長さ、上流側と下流側との間に生じる高低差は液処理モジュール21A、21B間で互いに異なる。それ故に、同じ時間における配管50の高低差に起因する領域38への蓄積量、配管50の各所から発生する異物の量などが、液処理モジュール21A、21B間で異なることが考えられる。従って、既述したように液処理モジュール21A、21Bで、個別に総吐出回数を検出して平均値を算出し、配管洗浄を行うタイミングが決められることが好ましい。なお、上記したように総吐出回数の平均値が取得されて、その平均値から次に配管洗浄を行うタイミングが決められたとしても、図5図9で説明したように異常の有無の判定を行い、異常有りとされたらそのタイミングの前であっても配管洗浄が実施されるようにすればよい。
【0056】
ところで、以上のように異常の検出履歴に基づいて配管洗浄を行うにあたって、この異常の検出履歴については、シンナーの吐出回数に依るものとすることには限られず、例えばシンナーノズル31へのシンナーの供給量(即ち、シンナーノズル31からのシンナーの吐出量)に依るものとしてもよい。具体的に述べると、ポンプ48やバルブV1、V2の動作が制御部60によってモニターされ、当該制御部60によって配管洗浄を行ってから次に配管洗浄を行うまでのシンナーノズル31への供給量の合計が算出される。ウエハWへの処理と配管洗浄とが繰り返し行われ、この供給量の合計である総供給量が複数回取得されたとしたら、その総供給量の平均値を取得する。以降は配管洗浄後の総供給量が、この平均値-所定の量を超えた場合に配管洗浄が行われるようにすればよい。
【0057】
なお、以上に述べた配管構成であることから、領域38における各排液管51が接続される部位53については各液処理モジュール21におけるシンナーノズル31、スピンチャック22の上面(ウエハWの載置面)及びカップ24の下端のうちのいずれよりも低い位置に設けられる。シンナーノズル31について補足して述べると、当該シンナーノズル31は上記したように待機部25と処理位置との間で経路を移動するが、その移動経路におけるいずれの位置でのシンナーノズル31の吐出口の位置よりも、部位53の位置は低い。
【0058】
このように液処理モジュール21を構成する各部材と、部位53との間に高低差が生じていることで、配管50の縦伸長部39の上流側と、下流側との間の高低差が比較的大きくなり、領域38には異物が蓄積しやすいので、排液管51を設けて異物を除去することが、配管50を清浄化するにあたり有効となる。つまり排液管51の接続位置Pは、処理システム1の構成によって変更され得るが、例えば上記したようにシンナーノズル31、スピンチャック22の上面(ウエハWの載置面)及びカップ24の下端の各々の下方に位置する。また、異物検出部6について異常が検出されたら、その付近の排液管51による排液を行って異常を解消する構成であることから、異物検出部6の検出流路形成部61については、排液管51の接続位置Pの近傍に設けられることが好ましい。従って、検出流路形成部61についても接続位置Pと同様に、例えばシンナーノズル31、スピンチャック22の上面(ウエハWの載置面)及びカップ24の下端の各々の下方に位置することが好ましい。

異物検出部6については配管50に設けることに限られない。配管50毎に、配管50から分岐する異物検出用の分管を併設し、この分管に設けてもよい。その場合は、配管50及び分管に適宜バルブ等からなるシンナーの通流経路を切り替える機構を設けることで、配管50の上流側から配管50への下流側へのシンナーの通流と、分管へのシンナーの通流と、が切り替えられるようにすればよい。このように異物検出用の分管を設けた場合、分管の下流端は配管50に合流してもよいし、配管50に合流せずに例えば排液路に接続されてもよい。配管50に合流しない場合、ポンプ48及びフィルタ46が設けられる流路としては下流端を複数備えることになる。つまり、シンナーノズル31に接続される配管50の下流端及び分管の下流端が、当該流路の下流端に各々該当することになる。従って、流路の下流端がノズルに接続されることについて、流路の下流端が複数設けられる場合には、そのうちの少なくとも一つがノズルに接続されていればよい。
また、処理液供給ブロック17における配管50の最も高い部分からクリーンルーム11の床面(床12の上面)に至るまでの高さよりも、当該床面から床下領域13における配管50の最も低い位置(部位53)の方が大きくなるようにしてもよい。同様にノズル21からクリーンルーム11の床面に至るまでの高さよりも、当該床面から床下領域13における配管50の最も低い位置の方が大きくなるようにしてもよい。これらの構成とする場合は配管50の縦伸長部39について、下部側の高さの方が上部側の高さよりも大きくなる。そのため縦伸長部39をシンナーが流れるにあたり、配管50の下流側に向うほど位置エネルギーが比較的大きなものとなり、パーティクルについては当該下流側へと流れ難くなるので、これまでに述べた排液管51から排液する構成とすることが特に有効となる。
また、これらの構成とする場合は、配管50の上流側にパーティクルが溜まりやすくなるので、異物検出部6による液処理モジュール21へと供給される前の当該パーティクルの検出精度が高くなる。
ところで、配管50の縦伸長部39について縦方向に伸びると記載したが、これは鉛直に伸びることに限られず、鉛直方向に対して傾いて縦方向に伸びてもよいし、縦方向に伸びる途中で曲げられて水平となる部位が設けられていてもよい。
【0059】
[第2実施形態]
続いて、第2実施形態の処理液供給装置2Aについて、第1実施形態の処理液供給装置2との差異点を中心に、図11の縦断側面図を参照して説明する。この第2実施形態以降の各実施形態では処理液供給ブロック17について処理システム1に2つ設けられるように示しているが、第1の実施形態と同様に6つ設けてもよい。なお、第1実施形態を含む各実施形態において、処理液供給ブロック17の数は任意の数とすることができ、制限は無い。処理液供給装置2Aでは、液処理モジュール21A、21Bに第2検出部である異物検出部7が設けられており、この異物検出部7は設置される位置を除いて異物検出部6と同様の構成であり、配管50における異物検出部6の下流側に設けられている。さらに具体的に述べると、異物検出部7を構成する検出流路形成部61は、バルブV1とシンナーノズル31との間に介設されている。
【0060】
そして異物検出部7における光照射部62、反射部63、導光部64及び受光部65については、この検出流路形成部61に対して光照射及び受光を行えるように、図3図4で説明したように、この検出流路形成部61付近に設けられている。この異物検出部7の検出流路形成部61における異物検出領域67が第2検出領域であり、上記したように当該検出流路形成部61が設けられるため、この第2検出領域は、異物検出部6の第1検出領域よりも上方且つ配管50の下流側に位置している。
【0061】
この第2実施形態では1つの配管50について、異物検出部6、7の両方による異物の数の検出結果に基づいて、異常の有無の判定を行う。配管50の高低差によって既述したように領域38への異物の蓄積が起きるため、異物検出部6で検出される異物の数は、異物検出部7で検出される異物の数よりも、大きくなる傾向が有る。そのため、ウエハWに対するシンナーの供給時及び待機部35におけるシンナーの供給時において、異物検出部6、7で共に異物の検出動作を行い、異物数差(=異物検出部6で検出される異物の数-異物検出部7で検出される異物の数が算出される。そして、この異物数差が所定の第3閾値を越えるか否かが判定される。
【0062】
異物数差が第3閾値を超えないと判定された場合は、領域38における異物の蓄積量は比較的少なく、異常無しとして判定される。その一方で、異物数差が第3閾値を超えたと判定された場合は、領域38における異物の蓄積量は比較的多く、異常有りと判定される。そのように異常有りと判定された場合は、第1実施形態で異常有りと判定された場合と同様、配管洗浄が行われる。そして配管洗浄の終了後、待機部35に位置するシンナーノズル31からシンナーを吐出させ、上記した異物数差の再度の取得、異物数差と第3閾値とに基づいた異常の有無の判定が再度行われる。
【0063】
なお、シンナーノズル31にシンナーを供給する際には、上記した異物数差と第3閾値とに基づいた異常の有無の判定が行われる他に、異物検出部6、7間の個別の検出値と異物検出部6,7の夫々について設定される閾値との比較に基づいて異常の有無の判定が行われる。つまり、第1実施形態で述べた異物検出部6による異物数の検出値と第2閾値との比較による異常の判定も行われる。また、それと同様の異物検出部7による異物数の検出値と所定の第4閾値との比較による異常の判定も行われる。例えば異物数差と第3閾値との比較、異物検出部6による異物数の検出値と第2閾値との比較、異物検出部6による異物数の検出値と第4閾値との比較結果のうち、いずれかが異常となれば、ウエハWの処理は行われずに、配管洗浄が行われる。このように異物検出部6、7の検出に基づいて異常の有無を判定することで、異物の蓄積状態をより精度高く監視し、異物がウエハWに供給されてしまうことをより確実に抑制することができる。
【0064】
[第3実施形態]
続いて、第3実施形態の処理液供給装置2Bについて、第1実施形態の処理液供給装置2との差異点を中心に、図12の縦断側面図を参照して説明する。処理液供給装置2Bでは、配管50における縦伸長部39に三方バルブ71が介設されおり、また、配管50において、定圧バルブ44と排液管51の接続位置Pとの間に三方バルブ72が介設されている。そして三方バルブ71、72に、洗浄用配管73の一端、他端が夫々接続されている。なお、クリーンルーム11における他の装置等の配置を妨げないように、三方バルブ71は、床下領域13に位置している。三方バルブ72についても筐体41内に設けられることで床下領域13に位置している。従って、洗浄用配管73は、その全体が床下領域13に配置されている。
【0065】
三方バルブ71により縦伸長部39の下流側の接続は、縦伸長部39の上流側と、洗浄用配管73との間で切替えられる。三方バルブ72により領域38の下流側の接続は、域38の上流側と、洗浄用配管73との間で切替えられる。三方バルブ71、72の切替えの組み合わせによって、縦伸長部39における三方バルブ71の上方側の部位が、配管50における接続位置Pの下流側に接続される状態(非洗浄用状態とする)と、洗浄用配管73を介して配管50における接続位置Pの上流側に接続される状態と、の間で切替えられる。なお非洗浄用状態は、三方バルブ71の上方側の部位が洗浄用配管73を介して領域38に接続されていない状態であり、これまでに述べたように、ポンプ48からシンナーをシンナーノズル31へと供給可能な状態である。洗浄用配管は洗浄用流路を形成し、三方バルブ71、72は第2切替え部を構成する。また、配管50がなす流路について、三方バルブ71が設けられる位置が第1位置に、三方バルブ72が設けられる位置が第2位置に夫々該当する。
【0066】
また配管50の領域38における接続位置Pの下流側には、後述する三方バルブ71、72を利用した異物の除去を行うために、バルブV4が介設されている。このバルブV4について、図では検出流路形成部61の下流側に設けられているように示しているが、検出流路形成部61の上流側に設けられていてもよく、また、筐体41の外部に設けられるように示しているが、筐体41内に設けられていてもよい。
【0067】
以上の処理液供給装置2Bの運用例について、図13図15を参照して説明する。この図13図15では図5図9と同様に、各配管におけるシンナーが流れる部位を太く示している。バルブV4が開かれ、三方バルブ71、72が非洗浄用状態とされ、排液用バルブ52が閉じられた状態で、第1実施形態と同様にシンナーノズル31からのシンナーの吐出を行い、異常が有ると判定された場合は、既述した重力洗浄を行う場合と同様にポンプ48から縦伸長部39にシンナーを供給する。この際に、図13に示すように三方バルブ71よりも下流側(三方バルブ71よりも上方)にシンナーが至るように、ポンプ48の動作が制御される。
【0068】
続いてバルブV2、V4が閉じられ、排液用バルブ52が開かれ、三方バルブ71、72が洗浄用状態となる。それによって図14に示すように、縦伸長部39の三方バルブ71よりも下流側(三方バルブ71よりも上方)におけるシンナーが、重力の作用により洗浄用配管73を介して配管50の接続位置Pの上流側に供給され、当該配管50を下流側に流れて排液管51から排出される。そのようにシンナーが流れることで、領域38の上流側における異物が、当該シンナーと共に排液管51から除去される。この洗浄を第1重力洗浄と呼称する。
【0069】
続いて、三方バルブ71、72が非洗浄用状態となると共にバルブV4が開放されることで、図15に示すように、縦伸長部39における三方バルブ71の下方に残っていたシンナーが排液管51に向けて流れる。つまり、これまでに説明した重力洗浄が行われる。便宜上、本実施形態ではこの重力洗浄を第2重力洗浄と呼称して、第1重力洗浄と区別する。この実施形態では例えばパージ洗浄が行われず、配管洗浄としては、以上に述べた第1重力洗浄及び第2重力洗浄が行われるものとする。
【0070】
第1実施形態と同様、第2重力洗浄の実行時に異物の検出動作を行う。そして、排液用バルブ52を閉鎖する一方、異常の有無を判定する。その判定結果によって、第1実施形態と同様に配管洗浄(第1及び第2重力洗浄)が再度行われるか、ウエハWの処理を可能とするかが決められる。この処理液供給装置2Bにおいても、領域38において排液管51の上流側から当該排液管51に向うシンナーの流れ、排液管51の下流側から当該排液管51に向うシンナーの流れが各々形成されて、異物が除去される。そのため、この処理液供給装置2Bにおいても配管50における清浄性を、より高いものとすることができる。
【0071】
[第4実施形態]
第4実施形態の処理液供給装置2Cについて、第1実施形態の処理液供給装置2との差異点を中心に、図16の縦断側面図を参照して説明する。処理液供給装置2Cでは配管50A、50Bを構成する各配管40について、定圧バルブ44の下流側にて水平方向に伸びる部位の下流側が下方に向うように屈曲されることで第1屈曲部75をなす。そして、各配管40の第1屈曲部75の下流側は、水平方向に伸びるように屈曲されることで第2屈曲部76をなし、さらに鉛直上方に向うように屈曲されて第3屈曲部77が形成されている。このように下流側に向けて、第1屈曲部75、第2屈曲部76、第3屈曲部77が順に形成されている。そして、第3屈曲部77の下流側が上方に伸びることで、縦伸長部39をなす。第3屈曲部77は接続位置Pでもあり、下方から排液管51が接続されている。
【0072】
各配管40(50A、50B)における第2屈曲部76から第3屈曲部77に至るまでの部位を、異物収集領域78とする。従って排液管51については、異物収集領域78の下流端に接続されている。異物収集領域78について、配管50A、50Bに設けられるものを夫々78A、78Bとして示す場合が有る。
【0073】
配管50Aにおいては異物収集領域78Aが最も高さが低い部位であり、配管50Bにおいては異物収集領域78Bが最も高さが低い部位である。そして、上記したように配管40(50A、50B)が屈曲されて形成されることによって、異物収集領域78は、フィルタ46の二次側よりも低い位置に設けられている。なお、フィルタ46の二次側とは当該フィルタ46を構成するハウジングにおける、フィルタ46の下流側に接続される配管の接続位置である。従って、本例ではフィルタ46には合流配管45が接続されるので、この合流配管45のハウジングに対する接続位置がフィルタ46の二次側である。
【0074】
また、この処理液供給装置2Cでは異物検出部6を構成する検出流路形成部61が、配管40における第2屈曲部76と第3屈曲部77との間に介設されている。従って、この実施形態では検出流路形成部61がなす異物検出領域67は、異物収集領域78に設けられている。なお、本例では検出流路形成部61については、上記したように異物収集領域78が配管50のうち最も低い高さの部位として構成されるように例えば水平方向に伸びる直管状に構成されている。
【0075】
処理液供給装置2Cについては、例えば第1実施形態の処理液供給装置2と概ね同様の運用がなされる。運用に関する差異点として、例えば異常が有ると判定されて配管洗浄を行う際には、図7で説明したパージ洗浄及び図8、9で説明した重力洗浄のうち、パージ洗浄のみがなされる。
【0076】
異物収集領域78について詳しく説明する。フィルタ46の二次側から上方に向けて配管50を伸ばしてシンナーノズル31に接続すればフィルタ46を通過したシンナーをシンナーノズル31に供給することができるので、これまでに述べた各実施形態のように、異物収集領域78は設けられない構成とされてもよい。しかし、上記したように異物は重力の作用を受けて蓄積するので、フィルタ46の二次側よりも高さが低くなるように形成された、この異物収集領域78には特に異物が溜りやすい。つまり処理液供給装置2Cについては、そのように異物が溜まりやすい領域を異物収集領域78として形成し、その異物収集領域78に排液管51を接続し、異物の除去を行う。そのような構成であるため、高い異物の除去効果が得られる。
【0077】
また、パージ洗浄時にポンプ48から供給されたシンナーは、異物収集領域78を流通して排液管51に流入するが、この排液管51は異物収集領域78の下流端に接続されているので、当該シンナーは異物収集領域78全体を通流して、異物を排液管51へと押し流す。従って、既述した排液管51の接続位置Pによって、異物の除去効果がより高められている。さらに、縦伸長部39が設けられる位置の下方に排液管51が接続されている。上記したように縦伸長部39から異物が下降するが、この下降によって最も異物が蓄積しやすい箇所に排液管51が開口しているので、この点からも接続位置Pによって異物の除去効果が高められている。
【0078】
なお異常時に、パージ洗浄のみを行うとしたが、本例においても重力洗浄を行ってもよい。そして、パージ洗浄及び重力洗浄のうち、重力洗浄のみを行ってもよい。接続位置Pを異物収集領域78の上流端とし、異物収集領域78の上流側から供給されるシンナーによって当該異物収集領域78全体が洗浄されるようにしてもよい。
【0079】
[異物検出部についての補足]
異物検出部6について、異物により生じた散乱光を受光して当該異物の検出を行う例を示したが、そのような構成例とすることには限られない。検出流路形成部61の異物検出領域67を透過した光を受光部65が受光することで、異物の検出を行う構成であってもよい。また、受光部65が出力する信号から制御部60が異物の数を取得し、この異物の数を用いて既述したように各種の演算を行い、異常の検出を行う例を述べてきた。しかし、そのように異物の数を取得することに限られず、例えば制御部60は上記の信号から異物検出領域67における異物の濃度を算出し、異物の数の代わりに濃度の値を用いて異常の有無の判定を行うようにしてもよい。従って、受光部65から出力される信号から異物の数を求めて、その異物の数により異常の有無の判定を行うことには限られない。
【0080】
また異物検出部6を用いた検出結果に応じた異常の有無の判定により、自動で配管洗浄が行われるとして述べたが、例えば異物の数が制御部60を構成する画面に表示され、装置のユーザーがその画面を確認し、手動で流路の切替えを行い、配管洗浄が行われるようにしてもよい。第2の実施形態で異物検出部7を設けた場合も同様に、異物検出部6、7の検出結果からユーザーが手動で、配管洗浄を行うようにしてもよい。
【0081】
[その他]
説明の煩雑化を防ぐためにシンナーをレジスト膜の形成前にウエハWに供給するものとして記載したが、例えばレジスト膜の形成後、ウエハWの周縁部の不要なレジスト膜を除去するために、回転するウエハWの周縁部に対してシンナーが供給される。つまり、シンナーはウエハWの表面の改質液として供給されることには限られない。なお、そのように周縁部のレジスト膜を除去するにあたっては、上記のシンナーノズル31とは別のシンナーノズルからシンナーがウエハWに供給される装置構成としてもよい。その場合には、例えば配管50の下流側を分岐させ、分岐した各々にバルブV1を介設し、そして各バルブV1の開閉により、各シンナーノズルへのシンナーの給断を制御すればよい。
【0082】
なお配管50に形成される高低差によって既述した領域38に異物が溜まるので、排液管51については既述した位置に接続することに限られず、当該領域38における他の位置に接続されていてもよい。例えば合流配管45に排液管51が接続される構成であってもよい。
【0083】
また、排液管51に設けられた排液用バルブ52により配管51から排液管51へのシンナーの給断が行われる構成を示したが、このような排液用バルブ52を設けることには限られない。例えば接続位置Pに三方バルブを設けることで、配管50の上流側について、配管50の下流側と、排液管51との間で接続が切り替えられるようにしてもよい。この場合は、当該三方バルブが第1切替え部である。ただし、図5図9で示したようにパージ洗浄及び重力洗浄を行う、即ち配管50の上流、下流から排液管51に排液されるようにすることを行えるように、排液用バルブ52により排液管51への給断を行う構成とすることが好ましい。
【0084】
処理液供給装置として、ウエハWにシンナーを処理液として供給する装置の例を示してきたが、シンナー以外の処理液をウエハWに供給する装置として構成してもよい。例えば、レジスト、反射防止膜形成用や絶縁膜形成用の薬液、ウエハWに形成されたレジスト膜を現像するための現像液、ウエハWを洗浄するための洗浄液、ウエハW同士を貼り合わせるための接着剤などを供給する装置に、本技術を適用してもよい。従って、処理液供給装置を構成する液処理モジュール21が設けられる処理液供給ブロック17について、レジスト膜形成用のブロックである例を示したが、レジスト膜以外の塗布膜形成用のブロックや現像用のブロックとして構成してもよい。また、上記の各実施形態で示した配管系では、ポンプ48がフィルタ46の上流側に位置しているが、フィルタ46がポンプ48の上流側に位置していてもよい。
【0085】
装置で処理される基板としてはウエハWに限られず、FPD(フラットパネルディスプレイ)基板や、露光マスクを製造するためのマスク基板であってもよい。そして、今回開示された実施形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。上記の実施形態は、添付の特許請求の範囲及びその趣旨を逸脱することなく、様々な形態で省略、置換、変更及び組み合わせがなされてもよい。
【0086】
[評価試験]
本技術に関連して行われた評価試験について説明する。この試験では、下流端がシンナーノズル31に接続された配管81に、バルブV1、フィルタ46が上流側に向けて順に介設された構成の試験装置を用意した。そして、配管81の上流側からシンナーを供給して、シンナーノズル31からウエハWに吐出させて、シンナーノズル31へのシンナーの通液量と、ウエハW上に検出される所定の大きさ以上のパーティクルの数と、の関係を調べた。この試験装置については、試験の途中で配管81におけるフィルタ46の位置を変更することで、当該フィルタ46とシンナーノズル31との高さの関係を変更した。
【0087】
先ず試験装置について、図17(a)に示すようにフィルタ46と、配管81のフィルタ46の上流側に形成される屈曲部82との間に、比較的大きな高さの差Hが形成された第1状態で、シンナーノズル31からシンナーを吐出して、ウエハW上のパーティクル数の検出を行った。なお、フィルタ46の下流側で配管81については、下流端部のみシンナーノズル31を接続するために下方に屈曲しており、それ以外の部位は水平に伸びている。従って、フィルタ46の二次側とシンナーノズル31との高さは概ね同じである。また、この第1状態では配管81におけるフィルタ46の二次側からシンナーノズル31に至るまでの容積がAmLとされている。
【0088】
続いて図17(b)に示すように試験装置を第2状態として、シンナーの吐出と、パーティクル数の検出とを行った。第1状態との差異点としては、配管81についてフィルタ46の下流側と、バルブV1の上流側と、に夫々屈曲部83、84が設けられることで屈曲部83、84間に高さの差Hが形成され、フィルタ46よりもバルブV1及びシンナーノズル31が上方に位置することが挙げられる。この第2状態では、配管81屈曲部82からシンナーノズル31に至るまでの配管81の容積がAmLとされている。
【0089】
その後、図17(c)に示すように試験装置を第1状態に戻して、シンナーの吐出と、パーティクル数の検出とを行った。なお、第1状態における屈曲部82の上流側の構成と、第2状態におけるフィルタ46の上流側の構成との間に差違は無い。また、バルブV1とシンナーノズル31との位置関係についても第1状態と第2状態との間で差違は無い。なお、このように第1状態と第2状態とを切替えて試験装置を使用するにあたり、配管81の交換は行っていない。
【0090】
図18(a)、(b)、(c)は、試験装置が夫々図17(a)の第1状態、図17(b)の第2状態、図17(c)の第1状態であるときに取得された結果を示すグラフであり、各グラフの縦軸、横軸は、検出されたパーティクルの数、シンナーの通液量を夫々示している。図18(a)、図18(b)の各グラフより、第1状態、第2状態の各々でシンナーの通液量が変化しても検出されたパーティクル数に大きな変化は見られず、第1状態にて検出されたパーティクル数と第2状態にて検出されたパーティクル数とを比較しても大きな差違は見られない。しかし図18(c)のグラフに示すように試験装置を再度第1状態とすると、通液量が比較的少ない間は、図18(a)、図18(b)で示されたパーティクル数よりもパーティクル数が多かった。そして、通液量が多くなるにつれてパーティクル数が次第に減少し、図18(a)、図18(b)での検出数と同等の数となった。
【0091】
これは第2状態としている間に配管81においてフィルタ46の下流側に比較的大きな高低差が形成されたことで、フィルタ46と屈曲部83との間にパーティクルが蓄積し、再度第1状態とした際にこの高低差が解消されたことで、そのパーティクルがノズルへと流れたことによると考えられる。この試験結果から、実施形態で説明した処理液供給装置2、2A~2Cでは配管50において、フィルタ46の下流側に高低差(縦伸長部39)が形成されるので、この試験結果から、フィルタ46の下流側で縦伸長部39の上流側に異物が蓄積することが考えられる。そして、そのようにフィルタ46の下流側で縦伸長部39の上流側に排液管51を設けて排液を行い、異物を除去することが配管50の清浄度を高めるにあたり有効であることが予想される。
【符号の説明】
【0092】
W ウエハ
31 シンナーノズル
46 フィルタ
48 ポンプ
50 配管
51 排液管
52 排液用バルブ
6 異物検出部
図1
図2
図3
図4
図5
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図7
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