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特開2024-155563光ネットワークシステム、及び遠隔装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155563
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】光ネットワークシステム、及び遠隔装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 10/80 20130101AFI20241024BHJP
   H04B 10/272 20130101ALI20241024BHJP
   G08C 23/06 20060101ALI20241024BHJP
   G08C 19/00 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
H04B10/80 160
H04B10/272
G08C23/06
G08C19/00 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070377
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000004226
【氏名又は名称】日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】304026696
【氏名又は名称】国立大学法人三重大学
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100129230
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 理恵
(72)【発明者】
【氏名】川野 友裕
(72)【発明者】
【氏名】黒田 晃弘
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 ひろし
(72)【発明者】
【氏名】片山 和典
(72)【発明者】
【氏名】真鍋 哲也
【テーマコード(参考)】
2F073
5K102
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AB01
2F073AB14
2F073BB06
2F073BC04
2F073CC03
2F073CD11
2F073DD01
2F073EE12
2F073FF09
2F073FF15
2F073FG01
2F073FG02
2F073FH01
2F073FH07
2F073FH17
2F073GG01
5K102AH01
5K102AH02
5K102AH26
5K102AL07
5K102AL12
5K102AL15
5K102AN02
5K102AN03
5K102PB01
5K102PD05
5K102PD12
5K102PD15
5K102PH01
5K102PH31
5K102PH41
5K102PH49
5K102RB02
5K102RD26
(57)【要約】
【課題】光源の光損失を低減し、エネルギー効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】光ネットワークシステムであって、センター装置1は、光ファイバを介して光を遠隔装置2に出力する光源101を備え、遠隔装置2は、センター装置1から出力された光の経路を光カプラ204または光電変換器202に切り替える光経路切替スイッチ201と、光経路切替スイッチ201を介して入力された前記光を、光電変換器202と上り通信機構205とに分岐する光カプラ204と、光経路切替スイッチ201を介して入力された前記光、または、光カプラ204から分岐された一方の光を、電気に変換する光電変換器202と、光カプラ204から分岐された他方の光を用いて、センター装置1へ送信する上り信号を生成する上り通信機構205と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センター装置と遠隔装置とを備える光ネットワークシステムであって、
前記センター装置は、
光ファイバを介して光を前記遠隔装置に出力する光源を備え、
前記遠隔装置は、
前記センター装置から出力された光の経路を光カプラまたは光電変換器に切り替える光経路切替スイッチと、
前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光を、前記光電変換器と上り通信機構とに分岐する前記光カプラと、
前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光、または、前記光カプラから分岐された一方の光を、電気に変換する前記光電変換器と、
前記光カプラから分岐された他方の光を用いて、前記センター装置へ送信する上り信号を生成する前記上り通信機構と、を備える
光ネットワークシステム。
【請求項2】
前記光経路切替スイッチは、前記上り信号を前記センター装置へ送信する場合、前記光の経路を前記光カプラに切り替え、前記上り信号を前記センター装置へ送信しない場合、前記光の経路を前記光電変換器に切り替える
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【請求項3】
前記光経路切替スイッチは、2入力2出力経路切替スイッチである
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【請求項4】
複数の前記遠隔装置を備え、
前記センター装置から前記光ファイバに出力された光を、第1の遠隔装置と、第2の遠隔装置とに分岐する他の光カプラを備える
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【請求項5】
前記上り通信機構は、センサ装置が検知した検知情報を含む上り信号を生成する
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【請求項6】
前記センター装置は、
前記光経路切替スイッチの切り替えを、前記遠隔装置に指示する第1制御部を備え、
前記遠隔装置は、
前記第1制御部の指示に従って、前記光経路切替スイッチの切り替えを制御する第2制御部を備える
請求項1に記載の光ネットワークシステム。
【請求項7】
遠隔装置であって、
光ファイバを介してセンター装置から出力された光の経路を、光カプラまたは光電変換器に切り替える光経路切替スイッチと、
前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光を、前記光電変換器と上り通信機構とに分岐する前記光カプラと、
前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光、または、前記光カプラから分岐された一方の光を、電気に変換する前記光電変換器と、
前記光カプラから分岐された他方の光を用いて、前記センター装置へ送信する上り信号を生成する前記上り通信機構と、を備える
遠隔装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光ネットワークシステム、及び遠隔装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光ネットワークにおいて、光ファイバを介した光給電が提案されている。光ファイバ給電によるネットワークシステムとしては、例えばセンサーネットワークがある。センサーネットワークでは、センター側に電力を供給するための給電用光源を設置し、給電用光源からの光信号を遠隔地に設置された複数のノード装置に伝送して電力を供給し、無線センサまたは有線センサを駆動してセンサ情報を取得する。
【0003】
非特許文献1、2には、光ファイバを介した光給電方式のセンサーネットワークが記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Y. Tanaka, M. Kinoshita, A. Takahashi, and T. Kurokawa, “A wide-area sensor network based on fiber optic power supply,” Japanese Journal of Applied Physics, vol.50, no.11, ID112501, 2011
【非特許文献2】Y. Tanaka, S. Kobayashi, A. Shiomichi and T. Kurokawa, "Low power fiber sensor network deploying both wired and wireless sensors using optical power supply with WDM technique," 2016 IEEE Photonics Conference (IPC), 2016, pp. 819-820, doi: 10.1109/IPCon.2016.7831080
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1のノード装置では、上り通信と下り通信の経路を分けるために、2分岐の光カプラが用いられている。一方の分岐は、ノード装置を駆動するための電力を確保するとともに下り通信に用いられる。他方の分岐は、上り通信に用いられる。この方法では、給電用光源から出力される光信号が常に2分岐されるが、上り通信を行わない場合には、給電用光源の不必要な損失を発生し、エネルギー効率が低下するという課題がある。
【0006】
非特許文献2では、上り通信と下り通信の経路を分けるために、波長多重カプラを用いる。具体的には、給電用光源の波長と、上り通信用の波長とを分けることで給電用光源の不要な光損失を回避している。しかしながら、非特許文献2では、給電用光源の他に、異なる波長の上り通信用光源を備える必要がある。
【0007】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、本開示の目的は、光源の光損失を低減し、エネルギー効率を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本開示の一態様は、センター装置と遠隔装置とを備える光ネットワークシステムであって、前記センター装置は、光ファイバを介して光を前記遠隔装置に出力する光源を備え、前記遠隔装置は、前記センター装置から出力された光の経路を光カプラまたは光電変換器に切り替える光経路切替スイッチと、前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光を、前記光電変換器と上り通信機構とに分岐する前記光カプラと、前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光、または、前記光カプラから分岐された一方の光を、電気に変換する前記光電変換器と、前記光カプラから分岐された他方の光を用いて、前記センター装置へ送信する上り信号を生成する前記上り通信機構と、を備える。
【0009】
本開示の一態様は、遠隔装置であって、光ファイバを介してセンター装置から出力された光の経路を、光カプラまたは光電変換器に切り替える光経路切替スイッチと、前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光を、前記光電変換器と上り通信機構とに分岐する前記光カプラと、前記光経路切替スイッチを介して入力された前記光、または、前記光カプラから分岐された一方の光を、電気に変換する前記光電変換器と、前記光カプラから分岐された他方の光を用いて、前記センター装置へ送信する上り信号を生成する前記上り通信機構と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、光源の光損失を低減し、エネルギー効率を向上させる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施形態の光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
図2図2は、第1変形例の光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
図3図3は、第2変形例の光ネットワークシステムの構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施例であり、本開示は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0013】
<実施形態>
図1は、本発明の実施形態の光ネットワークシステムの構成例を示す図である。図示する光ネットワークシステムは、センター装置1(所内ノード)と、複数の遠隔装置2(所外ノード)とを備える。上流のセンター装置1と下流の複数の遠隔装置2とが、光ファイバ4を介して接続される。本実施形態では、遠隔装置2からセンター装置1へ向かう方向を「上り方向」、センター装置1から遠隔装置2へ向かう方向を「下り方向」として説明する。
【0014】
センター装置1は、電源が確保できる環境(例えば通信ビル内)に設置され、光ファイバ給電を行う。具体的には、センター装置1は、光ファイバ4を介して給電用の光を遠隔装置2へ出力する。
【0015】
図示するセンター装置1は、光を出力する光源101と、変調器102と、光サーキュレータ103と、受光器104と、制御部105と、を備える。なお、光は、以降の説明において光信号ともいう。
【0016】
光サーキュレータ103は、下り方向の光信号(以下、「下り信号」)と、上り方向の光信号(以下、「上り信号」)とを分岐する。下り信号と上り信号は、光サーキュレータ103を介することで分岐され、1本の光ファイバ4でセンター装置1と遠隔装置2とを接続することができる。
【0017】
光源101は、光ファイバ4を介して光を遠隔装置2に出力する。光源101は、例えばレーザダイオードなどであって、レーザ光を発光する。光源101から発光した光は、変調器102および光サーキュレータ103を介して光ファイバ4に入力される。レーザ光の波長は、例えば1480nmから1490nmである。また、光源101から出力されるレーザ光のパワーは、例えば+10~17dBm程度である。本実施形態では、給電用の光源101を用いて、下り信号および上り信号を送受信する。
【0018】
変調器102(強度変調器)は、制御部105の制御に応じて、光源101から出力された光を変調して下り信号を生成し、給電用の光に重畳して遠隔装置2に出力する。なお、図示する例では、光源101と変調器102とが分離した外部変調方式を用いているが、直接変調方式を用いてもよい。例えば、光源101は、変調機能を備えた内部変調型レーザで構成されていてもよい。
【0019】
受光器(光電変換器)104は、光ファイバ4を介して遠隔装置2から出力された上り信号を受光し、電気信号に変換して制御部105に出力する。上り信号には、例えば、センサ装置5が検知した検知情報、遠隔装置2の蓄電部203の蓄電量などが含まれる。受光器104には、フォトダイオードなどの受光素子が用いられる。
【0020】
制御部105(第1制御部)は、各種の制御を実行する。例えば、制御部105は、信号線106を介して変調部102に変調信号を送出し、遠隔装置2への制御信号(下り信号)を光源101が出力する給電用の光に重量する。制御信号としては、例えば、センサ装置5の駆動指示、給電の開始/停止など給電に関する指示、蓄電部203の蓄電量の問合せなどがある。本実施形態の制御部105は、制御信号として、光経路切替スイッチ201の切り替えを遠隔装置2に指示してもよい。
【0021】
また、制御部105、信号線107を介して受光器12から出力された上り信号を受け取り、当該上り信号に含まれるセンサ装置5が検知した検知情報などを、制御システム6に送信してもよい。制御システム6は、光ネットワークシステムを制御および管理するシステムである。
【0022】
本実施形態では、センター装置1には、光ファイバ4を介して複数の遠隔装置2が接続されている。そのため、本実施形態の光ネットワークシステムは、光ファイバ4に配置された少なくとも1つの光カプラ3を備える。図1に示す例では、センター装置1に、光ファイバ4および光カプラ3を介して、複数の遠隔装置2が直列に接続されている。これにより、センター装置1の1つの光源101で、複数の遠隔装置2に給電し、複数の遠隔装置2を駆動させることができる。
【0023】
光カプラ3は、センター装置1から光ファイバ4に出力された光を、対応する遠隔装置2(第1の遠隔装置)と、下り方向の他の遠隔装置2(第2の遠隔装置)とに分岐する。ここでは、光カプラ3は、遠隔装置2毎に光ファイバ4に配置され、光ファイバ4の光を対応する遠隔装置2の光経路切替スイッチ201と、下り方向の光ファイバ4とに分岐する。
【0024】
遠隔装置2は、光ファイバ4を介してセンター装置1と接続され、光給電による蓄電が可能な装置である。このため、遠隔装置2は、電源の無い場所に設置することができる。
【0025】
図示する遠隔装置2は、光経路切替スイッチ201と、光電変換器202と、蓄電部203と、光カプラ204と、上り通信機構205と、制御部208とを備える。
【0026】
光経路切替スイッチ201は、光カプラ3を介して、センター装置1から出力された光の経路を光カプラ204または光電変換器202に切り替える。すなわち、本実施形態の遠隔装置2は、光カプラ204の前段に光経路切替スイッチ201を設ける。
【0027】
例えば、光経路切替スイッチ201は、上り信号をセンター装置1へ送信しない場合、光の経路を光電変換器202に切り替える。具体的には、光経路切替スイッチ201は、遠隔装置2が上り通信を行わないときは、光カプラ3により分岐された光源101からの光が、全て光電変換器202に誘導されるように経路を設定する。
【0028】
この場合、光源101から出力された光は、遠隔装置2の光電変換器202により遠隔装置2を駆動するための電力に全て変換される。変換された電力は、蓄電部203に蓄電され、蓄電された電力はセンサ装置5および遠隔装置2内の各部の駆動に用いられる。光経路切替スイッチ201の経路設定(経路切替)は、信号線211を通じて制御部208により行われる。
【0029】
一方、光経路切替スイッチ201は、上り信号をセンター装置1へ送信する場合、光の経路を光カプラ204に切り替える。具体的には、光経路切替スイッチ201は、遠隔装置2が上り通信を行うときは、光カプラ3により分岐された光源101からの光が、光カプラ204に誘導されるように経路設定する。
【0030】
本実施形態では、光経路切替スイッチ201に、2入力2出力光経路切替スイッチを用いるものとする。遠隔装置2が上り通信を行わないときは、2入力2出力の光経路切替スイッチ201は、実線で示すようにバーの設定で、光カプラ3から出力された光の経路は光電変換器202に接続された状態となる。一方、遠隔装置2が上り通信を行うときは、2入力2出力の光経路切替スイッチ201は、点線で示すようにクロスの設定で、光カプラ3から出力された光の経路は光カプラ204に接続された状態となる。この場合、光カプラ204で分岐された一方の光は、光経路切替スイッチ201を介して光電変換器202に誘導され、他方の光は、上り通信機構205に誘導される。
【0031】
2入力2出力光経路切替スイッチを用いることで、1つの光経路切替スイッチで光経路を切り替えられるため、消費電力を低減することができる。
【0032】
光カプラ204は、光経路切替スイッチ201を介して入力された光を、光電変換器202と上り通信機構205とに分岐する。光カプラ204は、例えば分岐比カプラであって、例えば90:10、99:1等の分岐比で、センター装置1から出力される下り方向の光の光パワーうち、より多くの光パワーを光電変換器202に分岐する。
【0033】
光電変換器202は、光経路切替スイッチ201を介して入力された光、または、光カプラ204から分岐された一方の光を、電気に変換する。光電変換器202には、光源101が発光したレーザ光の波長を受光可能な光電変換素子が用いられる。光電変換素子は、容易に入手可能な、通信用の長波長1300nm~1600nm帯に適した素子、例えばインジウムガリウムヒ素で構成され、開放電圧5V以下、変換効率約30%程度のものを利用できる。センター装置1の光源101が発光する光の波長は、使用する光電変換器202の光電変換素子に応じた波長とする。
【0034】
光電変換素子は、例えば光給電コンバータである。また、光ファイバ4で伝送されたレーザ光のパワーが、例えば、2mW程度であれば、光給電として利用することができる。なお、当該パワーは光給電として利用するデバイスによって変化する。
【0035】
蓄電部203は、光電変換器202で変換された電気エネルギーを蓄電する。蓄電部203には、例えば電気二重層キャパシタ等を用いることができる。なお、各アクティブ素子への電圧供給においては、適宜、昇圧回路(DC/DCコンバータ等)で供給電圧を調整できるものとする。
【0036】
光カプラ204が分岐した光パワーの小さい方の光は、上り通信機構205に誘導される。上り通信機構205は、光カプラ204から分岐された他方の光を用いて、センター装置1へ送信する上り信号を生成する。上り通信機構205は、センサ装置5が検知した検知情報を含む上り信号を生成してもよい。
【0037】
上り通信機構205は、制御部208からの信号に同期した変調を行う反射型の光スイッチ206(1入力1出力光スイッチ)と、反射器207とを備える。上り通信機構205は、光カプラ204が分岐した光を光スイッチ206によって変調して変調光を生成する。具体的には、制御部208が、信号線213を介して光スイッチ206を制御し、送信データに応じて光源101からの光を反射器207で反射・無反射させることで変調光を生成する。
【0038】
生成された変調光は、センター装置1への上り信号として、光ファイバ4を介してセンター装置1に出力される。センター装置1に入力された変調光は、光サーキュレータ103を介して、受光器104により電気信号に変換されて、制御部105に出力される。
【0039】
上り通信機構205は、低電圧かつ、数μW以下の非常に小さな消費電力で動作するものが望ましく、例えば、駆動電力が少なく一般にも入手可能な、静電駆動型のMEMS光スイッチを用いることが可能である。
【0040】
制御部208(第2制御部)は、光経路切替スイッチ201、上り通信機構205の光スイッチ206などの各アクティブ素子と、センサ装置5とを制御する。制御部208と、各アクティブ素子およびセンサ装置5は、信号線211~214を介して接続されている。制御部208には、例えばマイクロプロセッサを用いることができる。例えば、制御部208は、センター装置1の制御部105の指示に従って、光経路切替スイッチ201の切り替えを制御してもよい。
【0041】
制御部208は、光電変換器202が受光した光に含まれる下り信号を解析する。センター装置1の光源101は、制御部105の制御に基づき、出力レーザ光に強度変調が加えられ、例えばTTL(Time to live)やCMOS信号のような情報化した下り信号となる。下り信号には、センサ装置5への指示、給電制御、光経路切替スイッチ201の切り替え指示などの各種の制御信号が含まれる。
【0042】
制御部208は、上り通信機構205の光スイッチ206を制御して上り信号を生成する。例えば、制御部208は、センター装置1からの制御信号に従って、センサ装置5を動作させ、センサ装置5が検知した検知情報から上り通信機構205を用いて上り信号を生成し、センター装置1へ出力してもよい。制御部208は、蓄電部203からセンサ装置5への電力供給を制御してもよい。このように、制御部208は、センター装置1と通信して、センサ装置5を蓄電部203の電力で動作させて検知情報を取得することができる。
【0043】
本実施形態の遠隔装置2は、容易に電源を確保できない地下マンホール内、架空クロージャ内などに設置されたセンサ装置5からの検知情報を、光給電により供給された電力を用いてセンター装置1に送信することができる。
【0044】
なお、制御部208は、当該制御部208が備えるADコンバータ(不図示)などを利用して、蓄電部203の蓄電エネルギー量を監視してもよい。例えば、制御部208は、センター装置1からの制御信号に従って、蓄電部203の電圧を取得し、取得した電圧値の上り信号を上り通信機構205を用いて生成し、光ファイバ4を介してセンター装置1に出力してもよい。
【0045】
センサ装置5は、蓄電部203に蓄電された電力を利用して駆動する。センサ装置5は、遠隔装置2の制御部208と信号線・電力線214を介して電気的に接続されている。センサ装置5は、制御部208の制御に従って、蓄電部203の電力で動作し、所定の情報を検知し、検知した情報を制御部208に送信する。センサ装置5には、例えば、温度センサ、湿度センサ、人感センサ、傾斜センサ、水位センサ等、多種多様なセンサデバイスを用いることができる。なお、センサ装置5は、蓄電部を内蔵し、自身の電源で駆動する装置であってもよい。
【0046】
このように、センター装置1から遠隔装置2へ向けてデータを送信する下り通信では、制御部105が、信号線106を通じて変調器102を制御し、給電用の光源101の出力光に強度変調を行う。強度変調された下り信号は、光サーキュレータ103および光ファイバ4を伝搬した後、光カプラ3により各遠隔装置2に届けられる。遠隔装置2に届けられた下り信号は、光経路切替スイッチ201を通過後、光電変換器202で電気信号に変換される。下り通信で送信された下り信号(データ)は、制御部208が信号線212を通じて光電変換器202の電圧を監視することで、受信される。
【0047】
遠隔装置2からセンター装置1へ向けてデータを送信する上り通信では、給電用の光源101からの光が光カプラ204を通るように光経路切替スイッチ201の経路を設定する。これにより光カプラ3で分岐された光源101からの光は、光カプラ204において光電変換器202と上り通信機構205とに2分岐される。この状態において制御部208により信号線213を通じて光スイッチ206を制御し、送信データに応じて光源101からの光を反射・無反射させる。反射した光は、光カプラ204、光経路切替スイッチ201、光カプラ3、光ファイバ4および光サーキュレータ103を順次通過し、受光器104により電気信号に変換された後、制御部105に受信される。
【0048】
以上説明した本実施形態の光ネットワークシステムは、センター装置1と遠隔装置2とを備え、センター装置1は、光ファイバ4を介して光を遠隔装置2に出力する光源101を備え、遠隔装置2は、センター装置1から出力された光の経路を光カプラ204または光電変換器202に切り替える光経路切替スイッチ201と、光経路切替スイッチ201を介して入力された前記光を、前記光電変換器202と上り通信機構205とに分岐する光カプラ204と、光経路切替スイッチ201を介して入力された前記光、または、光カプラ204から分岐された一方の光を、電気に変換する前記光電変換器202と、光カプラ204から分岐された他方の光を用いてセンター装置1へ送信する上り信号を生成する上り通信機構205と、を備える。
【0049】
このように、本実施形態の遠隔装置2は、2分岐の光カプラ204の前段に光経路切替スイッチ201を設ける。これにより、上り通信が必要な場合にのみ、光カプラ204により給電用の光源101から出力される光信号を分岐させて、上り通信のための光経路を構成する。一方、上り通信が必要でない場合は、光ファイバ4により伝送される微弱な光エネルギーを、100%遠隔装置2を駆動するための電力として供給することができる。
【0050】
したがって、本実施形態では、給電用の光源の光損失を低減し、エネルギー効率を向上させることができる。すなわち、別波長の上り通信用の光源を別途設けることなく、給電用の光源の不必要な損失の発生によるエネルギー効率の低下を防止することができる。
【0051】
<第1の変形例>
図2は、図1に示す光ネットワークシステムの第1の変形例の構成を示す図である。本変形例の光ネットワークシステムでは、センター装置1に1つの遠隔装置2が接続されている。
【0052】
図2に示す光ネットワークシステムは、光ファイバ4に配置された光カプラ3を備えない点において、図1に示す光ネットワークシステムと異なる。本実施形態では、センター装置1から出力される光は、光ファイバ4を介して遠隔装置2に入力される。その他は、図1と同様である。すなわち、本実施形態のセンター装置1および遠隔装置2は、第1実施形態のセンター装置1および遠隔装置2と同様である。
【0053】
<第2の変形例>
図3は、図1に示す光ネットワークシステムの第2の変形例の構成を示す図である。上記実施形態では、光経路切替スイッチ201に、2入力2出力光経路切替スイッチを用いたが、これに限定されない。例えば、図3に示すように1入力2出力光経路切替スイッチ201Aを用いてもよい。この場合、1入力2出力光経路切替スイッチ201Aと、光電変換器202との間に、2入力1出力光経路切替スイッチ201Bを設ける。光カプラ204は、1入力2出力光経路切替スイッチ201Aから出力された光を、2入力1出力光経路切替スイッチ201Bと、上り通信機構205とに分岐する。
【0054】
1入力2出力光経路切替スイッチ201Aは、遠隔装置2が上り通信を行わないときは、光カプラ3から出力された光の経路を光電変換器202に切り替え、遠隔装置2が上り通信を行うときは、光カプラ3から出力された光の経路を光カプラ204に切り替える。
【0055】
2入力1出力光経路切替スイッチ201Bは、遠隔装置2が上り通信を行わないときは、1入力2出力光経路切替スイッチ201Aからの光が光電変換器202に入力されるように経路を切り替え、遠隔装置2が上り通信を行うときは、光カプラ204からの光が光電変換器202に入力されるように経路を切り替える。
【0056】
制御部208は、1入力2出力光経路切替スイッチ201Aおよび2入力1出力光経路切替スイッチ201Bを、連動して切り替えるための制御信号を信号線211を介して送出する。
【0057】
上記説明した本実施形態および変形例のセンター装置1の制御部105および遠隔装置2の制御部208には、例えば、汎用的なコンピュータシステムを用いることができる。コンピュータシステムは、CPU(Central Processing Unit、プロセッサ)と、メモリと、ストレージ(HDD:Hard Disk Drive、SSD:Solid State Drive)と、通信装置と、入力装置と、出力装置とを備える。メモリおよびストレージは記憶装置である。このコンピュータシステムにおいて、CPUがメモリ上にロードされた所定のプログラムを実行することにより、制御部105または制御部208の機能が実現される。制御部105または制御部208のプログラムは、HDD、SSD、USB(Universal Serial Bus)メモリ、CD (Compact Disc)、DVD (Digital Versatile Disc)などのコンピュータ読取り可能な記録媒体に記憶することも、ネットワークを介して配信することもできる。コンピュータ読取り可能な記録媒体は、例えば非一時的な(non-transitory)記録媒体である。
【0058】
なお、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で数々の変形が可能である。
【符号の説明】
【0059】
1:センター装置
101:光源
102:変調器
103:光サーキュレータ
104:受光器
105:制御部(第1制御部)
2:遠隔装置
201:光経路切替スイッチ
202:光電変換器
203:蓄電部
204:光カプラ
205:上り通信機構
206:光スイッチ
207:反射器
208:制御部(第2制御部)
3:光カプラ(他の光カプラ)
4:光ファイバ
5:センサ装置
6:制御システム
図1
図2
図3