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特開2024-155599粉体収納容器、トナー補給装置及び画像形成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155599
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】粉体収納容器、トナー補給装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 15/08 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
G03G15/08 348B
G03G15/08 343
G03G15/08 347
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070448
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】後藤 桂太
(72)【発明者】
【氏名】山脇 宏一
【テーマコード(参考)】
2H077
【Fターム(参考)】
2H077AA03
2H077AA09
2H077AA14
2H077AA34
2H077AC02
2H077EA01
2H077GA04
(57)【要約】
【課題】粉体収納容器をトナー補給装置の容器装着部に装着する際に、容器内の粉体が挿入搬送部材からトナー補給先へと勢いよく流出することを抑制する。
【解決手段】粉体が収容される容器の開口部34aが封止部材35によって封止され、粉体搬送装置60の容器装着部61に装着される際に封止部材を容器内へ押し込んで開口部に挿入される挿入搬送部材62を介して容器内の粉体が所定の搬送先64へ搬送される粉体収納容器32であって、挿入搬送部材により封止部材が容器内へ押し込まれてから開口部への挿入搬送部材の挿入が完了されるまでの装着途中における粉体搬送装置の被接触部材67との接触によって変形する接触変形部材37を備える。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体が収容される容器の開口部が封止部材によって封止され、粉体搬送装置の容器装着部に装着される際に前記封止部材を前記容器内へ押し込んで前記開口部に挿入される挿入搬送部材を介して前記容器内の粉体が所定の搬送先へ搬送される粉体収納容器であって、
前記挿入搬送部材により前記封止部材が前記容器内へ押し込まれてから前記開口部への前記挿入搬送部材の挿入が完了されるまでの装着途中における前記粉体搬送装置の被接触部材との接触によって変形する接触変形部材を備えることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項2】
請求項1に記載の粉体収納容器において、
前記接触変形部材は、前記装着途中における前記粉体搬送装置の被接触部材との接触によって変形した後も当該粉体収納容器に残留するように構成されていることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項3】
請求項2に記載の粉体収納容器において、
前記接触変形部材は、当該粉体収納容器と一体に形成された可撓性部材であることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉体収納容器において、
前記挿入搬送部材の挿入方向に延びる回転軸回りで容器本体が回転することにより前記容器本体内の粉体を前記挿入搬送部材まで汲み上げる汲み上げ部材を備えることを特徴とする粉体収納容器。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉体収納容器において、
前記接触変形部材は、前記挿入搬送部材の挿入方向に対して垂直な接触面で前記粉体搬送装置の前記被接触部材と接触することを特徴とする粉体収納容器。
【請求項6】
粉体状のトナーを収納した粉体収納容器が装着される容器装着部と、
前記粉体収納容器における容器の開口部を封止する封止部材を該容器内へ押し込んで該開口部に挿入され、該粉体収納容器内のトナーをトナー補給先へ搬送する挿入搬送部材と、を備えるトナー補給装置であって、
前記粉体収納容器は、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の粉体収納容器であり、
前記挿入搬送部材が前記封止部材を前記容器内へ押し込んでから前記挿入搬送部材の前記開口部への挿入が完了するまでの装着途中で、前記粉体搬送装置の前記接触変形部材と接触して該接触変形部材を変形させる被接触部材を有することを特徴とするトナー補給装置。
【請求項7】
粉体状のトナーを用いてトナー像を形成するトナー像形成手段と、
前記トナー像形成手段に粉体収納容器内のトナーを搬送してトナー補給を行うトナー補給装置と、を備える画像形成装置において、
前記トナー補給装置として、請求項6に記載のトナー補給装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体収納容器、トナー補給装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体が収容される容器の開口部が封止部材によって封止され、粉体搬送装置の容器装着部に装着される際に封止部材を容器内へ押し込んで開口部に挿入される挿入搬送部材を介して容器内の粉体が所定の搬送先へ搬送される粉体収納容器が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トナー補給装置(粉体搬送装置)に対して装着されていない非装着状態において、トナー(粉体)が収容されている容器の開口部が容器シャッタ部材(封止部材)によって封止されているトナー容器(粉体収納容器)が開示されている。このトナー容器では、トナー補給装置に装着される際、トナー補給装置の搬送ノズル(挿入搬送部材)により容器シャッタ部材が容器内へ押し込まれ、搬送ノズルが容器の開口部に挿入される。そして、容器内のトナーは、搬送ノズルによりトナー搬送経路へと送られ、現像装置に補給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、粉体収納容器を粉体搬送装置の容器装着部に装着する際に、容器内の粉体が挿入搬送部材から搬送先へと勢いよく流出してしまうことがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、粉体が収容される容器の開口部が封止部材によって封止され、粉体搬送装置の容器装着部に装着される際に前記封止部材を前記容器内へ押し込んで前記開口部に挿入される挿入搬送部材を介して前記容器内の粉体が所定の搬送先へ搬送される粉体収納容器であって、前記挿入搬送部材により前記封止部材が前記容器内へ押し込まれてから前記開口部への前記挿入搬送部材の挿入が完了されるまでの装着途中における前記粉体搬送装置の被接触部材との接触によって変形する接触変形部材を備えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、粉体収納容器を粉体搬送装置の容器装着部に装着する際に、容器内の粉体が挿入搬送部材から搬送先へと勢いよく流出することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態の画像形成装置の構成を示す概略図。
図2】同画像形成装置におけるトナー補給装置にトナー容器が設置された状態を示す模式図。
図3】同トナー容器を示す斜視図。
図4】同トナー容器における容器先端を示す斜視図。
図5】容器先端カバーを取り外した状態の同トナー容器の斜視説明図。
図6】同トナー容器が画像形成装置のトナー容器収容部へ装着される装着途中(搬送ノズルがノズル受入口に入る前)を示す説明図。
図7】同トナー容器が画像形成装置のトナー容器収容部へ装着される装着途中(搬送ノズルがノズル受入口に入った後)を示す説明図。
図8】同トナー容器が画像形成装置のトナー容器収容部へ装着された状態を示す説明図。
図9】従来のトナー容器から勢いよくトナーが流出する様子を示す説明図。
図10】(a)は、実施形態のトナー容器の接触変形部材がトナー補給装置の被接触部材に接触する前の時点における接触変形部材の様子を装着方向から見たときの示す説明図。(b)は、同時点における接触変形部材の様子を装着方向に対して横方向から見たときの示す説明図。
図11】(a)は、実施形態のトナー容器の接触変形部材がトナー装置の被接触部材に接触した時点における接触変形部材の様子を装着方向から見たときの示す説明図。(b)は、同時点における接触変形部材の様子を装着方向に対して横方向から見たときの示す説明図。
図12】(a)は、実施形態のトナー容器の接触変形部材がトナー補給装置の被接触部材に接触した後の時点における接触変形部材の様子を装着方向から見たときの示す説明図。(b)は、同時点における接触変形部材の様子を装着方向に対して横方向から見たときの示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る粉体収納容器を、画像形成装置の粉体搬送装置であるトナー補給装置に装着されるトナー容器に適用した一実施形態について説明する。
【0009】
まず、本実施形態の画像形成装置について説明する。
図1は、本発明の画像形成装置の一実施形態における構成を示す概略図である。
本実施形態の画像形成装置1は、載置される原稿を自動的に搬送する自動原稿搬送装置(ADF)5と、原稿を読み取る読取装置4と、トナー画像を形成する画像形成部3と、記録材である用紙9を収納する給紙部2とを備えている。その他、画像形成装置1には、読取装置4と画像形成部3との間に、画像が形成された用紙9を積載する排紙装置50を備えている。
【0010】
像担持体である感光体11は、図1中の矢印Aで示す方向に回転する。感光体11のまわりには、ローラ状の帯電装置20と、現像装置30と、転写装置80と、クリーニング装置40とを備える。
【0011】
コピーを取るときは、コンタクトガラス上に原稿をセットし、又は、ADF5に原稿をセットして、コピースイッチを押す。これにより、読取装置4により原稿の画像が読み取られるとともに、感光体11と転写装置80との間に用紙9を送り込む。一方、感光体11は、所定の表面移動速度で回転し、その回転にともない、帯電装置20が感光体11の表面を一様に帯電する。そして、帯電後の感光体11の表面に露光装置12からレーザ光が照射されて光書き込みが行われ、感光体11の表面上には、読み取った原稿画像の静電潜像が形成される。続いて、現像装置30の位置を通るときの現像処理により感光体11上の静電潜像にはトナーが付着され、静電潜像が可視像化されてトナー画像が形成される。
【0012】
このようにして感光体11上に形成されたトナー画像は、感光体11と転写装置80との間に搬送される用紙9上に転写される。転写後の用紙9は、定着装置70へと搬送され、そこで転写画像が用紙9に定着され、排紙装置50へと排出される。他方、転写後の感光体11は、表面に残った残留トナーがクリーニング装置40によって除去される。
【0013】
次に、トナー補給装置60について説明する。
図2は、トナー補給装置60にトナー容器32が設置された状態を示す模式図である。
画像形成装置1の容器装着部としてのトナー容器収容部に着脱自在に装着されるトナー容器32内のトナーは、現像装置30内のトナー消費に応じてトナー補給装置60により適宜に現像装置30内に搬送されて補給される。
【0014】
トナー補給装置60は、容器装着部としてのトナー容器収容部61、挿入搬送部材としての搬送ノズル62、搬送スクリュ63、トナー落下搬送経路64、容器回転駆動部91等で構成されている。トナー容器32が図中矢印Qの方向へ移動して画像形成装置1のトナー容器収容部61に装着される。この装着動作中(トナー容器収容部61へのトナー容器32の挿入中)、トナー容器32の容器先端側からトナー補給装置60の搬送ノズル62が挿入され、トナー容器32内と搬送ノズル62内とが連通状態になる。
【0015】
図3は、本実施形態のトナー容器32を示す斜視図である。
図4は、本実施形態のトナー容器32における容器先端カバー34を示す斜視図である。
【0016】
本実施形態のトナー容器32は、略円筒状のトナーボトルであって、主として、トナー容器収容部61に非回転で保持される容器先端カバー34と、トナーが収容される容器本体33とから構成される。容器本体33は、容器先端カバー34に対して相対的に回転可能に保持されている。画像形成装置1の前面側(図1の紙面垂直方向手前側)に設置された本体カバーを開放すると、トナー容器収容部61が露呈される。そして、トナー容器32の長手方向を水平方向とした状態で、画像形成装置1の前面側からトナー容器32の着脱操作(トナー容器32の長手方向を着脱方向とする着脱操作)を行う。
【0017】
容器先端カバー34がトナー容器収容部61に装着された状態で、駆動モータや駆動ギア等で構成されている容器回転駆動部91から容器回転ギア33eに回転駆動が入力されることで、容器本体33が長手方向に平行な中心軸回りで図2中の矢印B方向に回転駆動される。容器本体33自体が回転することで、容器本体33の内周面に螺旋状に形成された螺旋状突起33bによって、容器本体33の内部に収容されたトナーが容器本体長手方向に沿って図2中の左側から右側へ搬送されて、容器先端カバー34側から搬送ノズル62内に供給される。
【0018】
本実施形態では、図5に示すように、容器本体33の容器先端側に、容器本体33が図中矢印B方向に回転することで螺旋状突起33bによって容器先端側に搬送されてきたトナーを、容器本体33の回転によって上方に汲み上げる汲み上げ部33cが形成されている。汲み上げ部33cの内部空間の回転方向上流側の内壁面33c1が回転方向に対してパドル羽のような形状となっている。そして、汲み上げ部33cの内部空間が下方にあるときに、螺旋状突起33bの搬送力によって汲み上げ部33c内に進入したトナーを、汲み上げ部33cの内壁面33c1が容器本体33の回転によって汲み上げることにより、挿入された搬送ノズル62よりも上方にトナーを汲み上げることができる。
【0019】
搬送ノズル62内には、搬送スクリュ63が配置されており、容器回転駆動部91から搬送スクリュギア65に回転駆動が入力されることで、搬送スクリュ63が回転し、搬送ノズル62内に供給されたトナーを搬送する。搬送ノズル62の搬送方向下流端は、トナー落下搬送経路64に接続されており、搬送スクリュ63によって搬送されたトナーは、トナー落下搬送経路64を自重落下して現像装置30内に補給される。
【0020】
トナー容器32は、寿命に達したとき(収容するトナーがほとんどすべて消費されて空になったとき)に新品のものに交換される。トナー容器32の長手方向における容器先端カバー34とは反対側の端部には把手部33dが設けられており、交換の際には、作業者が把手部33dを握って引き出すことで、画像形成装置1のトナー容器収容部61に装着されたトナー容器32を画像形成装置から取り外すことができる。
【0021】
上述した露光装置12で用いる画像情報に基づいて制御部90がトナー消費量を算出し、制御部90が現像装置30へのトナーの供給を要すると判断した場合や、トナー濃度検知センサ31の検知結果に基づいて現像装置30内のトナー濃度が低下したことを制御部90にて検出した場合は、制御部90の制御によって容器回転駆動部91を回転駆動し、トナー容器32の容器本体33と搬送スクリュ63とを所定時間回転させて現像装置30へのトナー補給を行う。搬送ノズル62内に配置された搬送スクリュ63を回転することによってトナーの補給を行っているため、搬送スクリュ63の回転数を検出することで、トナー容器32からのトナー供給量を精度良く算出することができる。
【0022】
トナー容器32を装着したときから累積的に算出したトナー供給量が装着時のトナー容器32内のトナー量に達した場合には、トナー容器32内にトナーが無いものとして、画像形成装置1の表示部にトナー容器32の交換を促す旨の表示を行う。また、トナー濃度検知センサ31がトナー濃度低下を検知して補給動作実行し、トナー濃度が回復したか否かの判定を複数回繰り返しても、トナー濃度検知センサ31によってトナー濃度が回復したことが検知されない場合も、トナー容器32内にトナーが無いものとして、画像形成装置1の表示部にトナー容器32の交換を促す旨の表示を行う。
【0023】
本実施形態のトナー補給装置60では、搬送スクリュ63の回転数によって現像装置30へのトナーの供給量を制御している。このため、搬送ノズル62を通過したトナーは、現像装置30への供給量を制御されることなく、トナー落下搬送経路64を介して、直接に現像装置30へと搬送される。本実施形態のトナー補給装置60では、搬送ノズル62内に供給されたトナーを搬送スクリュ63によって搬送する構成としているが、搬送ノズル62内に供給されたトナーを搬送する構成としては、スクリュ部材に限るものではなく、粉体ポンプを用いて搬送ノズル62の開口部に負圧を発生させる構成など、スクリュ部材以外によって搬送力を付与する構成であってもよい。
【0024】
図6図8は、本実施形態におけるトナー容器32が画像形成装置1のトナー容器収容部61へ装着される動作を示す説明図である。
本実施形態のトナー容器32の容器本体33の開口には、ノズル受入部材36が圧入により取り付けられている。ノズル受入部材36は、トナー容器32の先端面(容器先端カバー34の先端面)の中央から挿入される搬送ノズル62を受け入れるノズル受入口34aが形成されている。このノズル受入口34aには、非装着時にノズル受入口34aを封止する封止部材としての容器シャッタ部材35が設けられている。
【0025】
ノズル受入部材36には、容器シャッタ部材35を付勢するコイルスプリングからなる容器シャッタバネ35aが設けられている。容器シャッタバネ35aの先端側の端部は容器シャッタ部材35の壁面に突き当たり、容器シャッタバネ35aの後端側の端部はノズル受入部材36の端壁面36aに突き当たっている。このとき、容器シャッタバネ35aは圧縮した状態であるため、容器シャッタ部材35は、ノズル受入部材36の端壁面36aから離れる方向(図6図8中の右方向、容器先端方向)の付勢力を受ける。ただし、容器シャッタ部材35の容器後端側の端部に形成されたシャッタ抜け防止爪がノズル受入部材36の外壁面に引っ掛かり、図6で示す状態よりも容器シャッタ部材35は端壁面36aから離れる方向へ移動することが防止されている。このようなシャッタ抜け防止爪の引っ掛かりと容器シャッタバネ35aの付勢力とによって、容器シャッタ部材35のノズル受入部材36のノズル受入口34aの封止がなされている。
【0026】
図6中矢印Qで示すように、トナー補給装置60の方向へトナー容器32を移動させることで、搬送ノズル62のノズル先端部62bが容器シャッタ部材35の容器先端側の端面に接触する。さらに、トナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させることで、搬送ノズル62が容器シャッタ部材35の容器先端側の端面を押圧することで、容器シャッタバネ35aが縮む。これに伴い、図7に示すように、容器シャッタ部材35がトナー容器32の内部側(容器後端側)に押し込まれるとともに、搬送ノズル62のノズル先端側がノズル受入口34aに挿入される。
【0027】
搬送ノズル62がノズル受入口34aに挿入されている状態では、縮んだ状態の容器シャッタバネ35aの付勢力によって、トナー補給装置60に対してトナー容器32を押し戻す方向(図中矢印Qとは逆方向)の力が作用する。しかし、トナー容器32をトナー補給装置60に装着する際には、この力に抗して容器ロック爪34bが容器ロック部材66と結合する位置までトナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させる。これにより、容器シャッタバネ35aの付勢力と容器ロック爪34bの容器ロック部材66に対する引っ掛かりとによって、図8に示す状態で、トナー容器32のトナー補給装置60に対する回転軸方向(長手方向)の位置決めがなされる。これにより、トナー補給装置60のトナー容器収容部61へのトナー容器32の装着が完了する。
【0028】
ここで、本実施形態のように、トナー容器32の装着時にトナー補給装置60の搬送ノズル62がトナー容器32の容器シャッタ部材35を容器本体33内へ押し込まれる構成では、次のような不具合が生じ得る。
【0029】
すなわち、この構成に係るトナー容器32では、容器シャッタ部材35が容器本体33内へ押し込まれる際に、図9に示すように、容器シャッタ部材35により容器本体33内の空気やトナーTが加圧され、容器本体33の内圧が高まる。そのため、トナー容器32がトナー補給装置60のトナー容器収容部61へ勢いよく装着されると、容器本体33の急激な内圧上昇を引き起こし、搬送ノズル62からトナー落下搬送経路64を経由して現像装置30へ抜ける強い気流が発生する。その結果、この気流に乗ってトナーTが現像装置内へ勢いよく流れ込んでいき、現像装置30内に想定外のトナー流入が発生する。
【0030】
現像装置30へのトナー補給動作は、通常、現像スクリュの駆動中に行われ、補給されたトナーはすぐに現像スクリュによって現像機内の現像剤と攪拌混合されて摩擦帯電される。しかしながら、トナー容器32の装着時には現像スクリュは駆動されていないので、上述したような現像装置30への想定外のトナー流入が発生すると、現像機内の現像剤と攪拌混合されないまま存在してしまい、その直後の画像形成動作において帯電が不十分なままのトナーが現像に用いられる結果、地汚れや画像濃度の異常上昇などの不具合を引き起こす。
【0031】
そこで、本実施形態のトナー容器32には、図4及び図6図8に示すように、搬送ノズル62により容器シャッタ部材35が容器本体33内へ押し込まれてからノズル受入口34aへの搬送ノズル62の挿入が完了されるまでの装着途中にトナー補給装置60の被接触部材67との接触によって変形する接触変形部材37が容器先端カバー34の下方または水平方向に備わっている。これによれば、トナー容器32がトナー補給装置60へ勢いよく装着されようとしても、その装着途中において、図7に示すように、トナー容器32の接触変形部材37がトナー補給装置60の被接触部材67と接触する。この接触(衝突)により、トナー容器32の装着速度(トナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させる速度)が、一時的に、例えば50%程度減速される。このとき、30%以上100%未満の範囲内の減速が達成できるように構成するのが好ましい。
【0032】
そして、トナー容器32をトナー補給装置60の方向に更に移動させると、トナー容器32の図6の容器先端カバー34の下部に設けられた接触変形部材37はトナー補給装置60の被接触部材67を通過する際に接触変形部材37の容器先端カバー34側の基端を中心に端部側が折れ曲がって変形して容器先端カバー34の外周面に係止される。このとき、この変形のための力が必要な分だけ、装着動作の負荷(トナー容器32をトナー補給装置60の方向に移動させるのに要する力)が高まる。よって、トナー容器32は比較的ゆっくりとトナー補給装置60のトナー容器収容部61に装着され折れ曲がって変形することでトナー容器32が上下振動してトナーが飛散することを抑え水平に装着されることになる。その結果、トナー容器32の容器シャッタ部材35は、容器本体33内へ比較的ゆっくりと押し込まれることになり、容器本体33の急激な内圧上昇が抑止され、容器本体33内のトナーが勢いよく流出することが抑制される。
【0033】
図10図12は、本実施形態におけるトナー容器32が画像形成装置1のトナー容器収容部61へ装着される装着途中における接触変形部材37の変形の様子を示す他の説明図である。
本実施形態の接触変形部材37は、トナー容器32の容器先端カバー34の外周面から突出するように設けられる柱部37a、装着時にトナー補給装置60の被接触部材67に接触する接触部37b、柱部37aと接触部37bとを連結する連結部37cとから構成される。
【0034】
トナー容器32がトナー補給装置60へ装着される前は、図10(a)及び(b)に示すように、接触部37bの接触面が装着方向Qに対して直交するように配置されている。そして、図11(a)及び(b)に示すように、装着途中でトナー容器32の接触部37bにトナー補給装置60の被接触部材67が接触すると、この接触(衝突)により、基端となる連結部37cの箇所を中心に端部側が折れ曲がって、接触部37bの接触面が装着方向Qに略平行になるように接触部37bが柱部37a回りを回り、接触変形部材37が変形する。この被接触部材67が接触する接触部37bの上下方向の長さよりも連結部37cの長さの方が短い構成においては、連結部37cの強度(連結部37cの太さなど)や接触部37bに備わる連結部37cの上下方向(図6の接触変形部材37の場合は回転するトナー容器32の回転中心から離れる下方向が図10の上方向になる)の位置を調整することにより、接触(衝突)時におけるトナー容器32の装着速度の減速量を調整しトナー容器32が上下振動や左右移動してトナーが飛散することを抑え水平に装着することが可能である。
【0035】
本実施形態のトナー容器32には、装着時にトナー補給装置60の部材と接触する部材として、図4に示すように、非互換のトナー容器32が装着されるのを防止するための凸部34cなどが知られている。しかしながら、このような凸部34cは、変形するような構成ではない点で、本実施形態における接触変形部材37とは機能が異なり、容器本体33の急激な内圧上昇の抑止効果が発揮されるものではない。
【0036】
本実施形態において、トナー補給装置60の被接触部材67はトナー容器32の接触変形部材37よりも大きな剛性(耐久性)を有することが好ましい。また、本実施形態のような折れ曲がり変形(曲損)を実現する接触変形部材37としては、例えば、非可塑性の樹脂材で形成したものが好ましい。ただし、接触変形部材37は、このような樹脂製のものに限らず、例えば非可塑性の金属製のものであってもよい。
【0037】
また、本実施形態の接触変形部材37は、変形後もトナー容器32から離脱せずに残留するので、接触変形部材37が離脱して機内に落ちない。なお、接触変形部材37が離脱して機内に落ちるように、接触変形部材37が変形後にトナー容器32から離脱し、その接触変形部材37を受取る部材受取部を機内に設けた構成としてもよい。
【0038】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
[第1態様]
第1態様は、粉体(例えばトナーT)が収容される容器の開口部(例えばノズル受入口34a)が封止部材(例えば容器シャッタ部材35)によって封止され、粉体搬送装置(例えばトナー補給装置60)の容器装着部(例えばトナー容器収容部61)に装着される際に前記封止部材を前記容器内へ押し込んで前記開口部に挿入される挿入搬送部材(例えば搬送ノズル62)を介して前記容器内の粉体が所定の搬送先(例えばトナー落下搬送経路64あるいは現像装置30)へ搬送される粉体収納容器(例えばトナー容器32)であって、前記挿入搬送部材により前記封止部材が前記容器内へ押し込まれてから前記開口部への前記挿入搬送部材の挿入が完了されるまでの装着途中における前記粉体搬送装置の被接触部材67との接触によって変形する接触変形部材37を備えることを特徴とするものである。
従来の粉体収納容器の中には、粉体収納容器を粉体搬送装置の容器装着部に装着する際に、粉体搬送装置の挿入搬送部材が、粉体収納容器の容器における開口部の封止部材を容器内へ押し込み、その開口部に挿入されるものがある。この構成においては、挿入搬送部材により封止部材が容器内へ押し込まれることで、容器内と挿入搬送部材とが連通状態になり、挿入搬送部材を介して容器内の粉体が所定の搬送先へ搬送される。この種の粉体収納容器では、封止部材が容器内へ押し込まれる際、封止部材により容器内の空気や粉体が加圧されることで、容器の内圧が高まる。そのため、粉体収納容器が粉体搬送装置の容器装着部へ勢いよく装着されると、容器の急激な内圧上昇を引き起こし、容器内の粉体が勢いよく流出してしまう。このように粉体が勢いよく流出すると、粉体が想定外の箇所に飛散したり搬送されたりしてしまい、不具合を引き起こす原因となり得る。
そこで、本態様の粉体収納容器には、挿入搬送部材により封止部材が容器内へ押し込まれてから開口部への挿入搬送部材の挿入が完了されるまでの装着途中に粉体搬送装置の被接触部材との接触によって変形する接触変形部材が備わっている。これによれば、粉体収納容器が粉体搬送装置の容器装着部へ勢いよく装着されようとしても、その装着途中において、粉体収納容器の接触変形部材が粉体搬送装置の被接触部材と接触し、これにより粉体収納容器の装着動作が一時的に減速される。そして、更なる装着動作により被接触部材の変形が生じるとき、装着動作の負荷が高まるので、粉体収納容器は比較的ゆっくりと粉体搬送装置の容器装着部に装着されることになる。よって、粉体収納容器の封止部材は容器内へ比較的ゆっくりと押し込まれることになり、容器の急激な内圧上昇が抑止され、容器内の粉体が勢いよく流出することが抑制される。
【0039】
[第2態様]
第2態様は、第1態様において、前記接触変形部材は、前記装着途中における前記粉体搬送装置の被接触部材との接触によって変形した後も当該粉体収納容器に残留するように構成されていることを特徴とするものである。
これによれば、粉体収納容器の装着後に被接触部材が粉体収納容器から離脱して機内に落ちてしまう事態を回避することができる。
【0040】
[第3態様]
第3態様は、第2態様において、前記接触変形部材は、当該粉体収納容器と一体に形成された可撓性部材であることを特徴とするものである。
これによれば、粉体収納容器の装着後に粉体収納容器から離脱しない被接触部材を容易に実現することができる。
【0041】
[第4態様]
第4態様は、第1乃至第3態様のいずれかにおいて、前記挿入搬送部材の挿入方向(例えば装着方向Q)に延びる回転軸回りで容器本体33が回転することにより前記容器本体内の粉体を前記挿入搬送部材まで汲み上げる汲み上げ部材(例えば汲み上げ部33c)を備えることを特徴とするものである。
これによれば、容器本体内の粉体を挿入搬送部材へ適切に受け渡すことができる。
【0042】
[第5態様]
第5態様は、第1乃至第4態様のいずれかにおいて、前記接触変形部材は、前記挿入搬送部材の挿入方向に対して垂直な接触面(例えば接触部37bの接触面)で前記粉体搬送装置の前記被接触部材と接触することを特徴とするものである。
これによれば、被接触部材と接触変形部材との接触による装着動作の減速効果を高めやすい。
【0043】
[第6態様]
第6態様は、粉体状のトナーTを収納した粉体収納容器(例えばトナー容器32)が装着される容器装着部(例えばトナー容器収容部61)と、前記粉体収納容器における容器の開口部(例えばノズル受入口34a)を封止する封止部材(例えば容器シャッタ部材35)を該容器内へ押し込んで該開口部に挿入され、該粉体収納容器内のトナーをトナー補給先へ搬送する挿入搬送部材(例えば搬送ノズル62)と、を備えるトナー補給装置60であって、前記粉体収納容器は、第1乃至第5のいずれかの粉体収納容器であり、前記挿入搬送部材が前記封止部材を前記容器内へ押し込んでから前記挿入搬送部材の前記開口部への挿入が完了するまでの装着途中で、前記粉体搬送装置の前記接触変形部材37と接触して該接触変形部材を変形させる被接触部材67を有することを特徴とするものである。
これによれば、粉体収納容器をトナー補給装置の容器装着部に装着する際に、容器内の粉体が挿入搬送部材からトナー補給先へと勢いよく流出することを抑制できるトナー補給装置を提供することができる。
【0044】
[第7態様]
第7態様は、粉体状のトナーTを用いてトナー像を形成するトナー像形成手段(例えば画像形成部3)と、前記トナー像形成手段に粉体収納容器(例えばトナー容器32)内のトナーを搬送してトナー補給を行うトナー補給装置60と、を備える画像形成装置1において、前記トナー補給装置として、第6態様のトナー補給装置を用いることを特徴とするものである。
これによれば、粉体収納容器をトナー補給装置の容器装着部に装着する際に、容器内の粉体が挿入搬送部材からトナー補給先へと勢いよく流出することを抑制できる画像形成装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 :画像形成装置
2 :給紙部
3 :画像形成部
11 :感光体
12 :露光装置
20 :帯電装置
30 :現像装置
31 :トナー濃度検知センサ
32 :トナー容器
33 :容器本体
33b :螺旋状突起
33c :汲み上げ部
33d :把手部
33e :容器回転ギア
34 :容器先端カバー
34a :ノズル受入口
34b :容器ロック爪
34c :凸部
35 :容器シャッタ部材
35a :容器シャッタバネ
36 :ノズル受入部材
36a :端壁面
37 :接触変形部材
37a :柱部
37b :接触部
37c :連結部
40 :クリーニング装置
50 :排紙装置
60 :トナー補給装置
61 :トナー容器収容部
62 :搬送ノズル
62b :ノズル先端部
63 :搬送スクリュ
64 :トナー落下搬送経路
65 :搬送スクリュギア
66 :容器ロック部材
67 :被接触部材
70 :定着装置
80 :転写装置
90 :制御部
91 :容器回転駆動部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0046】
【特許文献1】特開2013-113945号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図12