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特開2024-155616半導体装置の製造方法及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155616
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/336 20060101AFI20241024BHJP
【FI】
H01L29/78 301S
H01L29/78 301F
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023070479
(22)【出願日】2023-04-21
(71)【出願人】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木名瀬 愛美
【テーマコード(参考)】
5F140
【Fターム(参考)】
5F140AA21
5F140AA29
5F140BA01
5F140BE07
5F140BF04
5F140BG09
5F140BG28
5F140BH15
5F140BK13
5F140CB04
5F140CB08
(57)【要約】
【課題】一対の不純物拡散領域間を流れる電流を確保しつつ、短チャンネル効果の発生を抑制する。
【解決手段】半導体装置の製造方法は、pウェル16(第1導電型不純物拡散領域)を有する基板12のpウェル16上に絶縁物層18を設ける第1工程と、フォトエッチングによりpウェル16上に導電体層22を設ける第2工程と、導電体層22の側部と絶縁物層18とで形成される隅部24にレジスト20の一部(レジスト20a)を残す第3工程と、レジスト20aの側方からpウェル16に不純物を注入し、導電体層22の両側のpウェル16のうち、絶縁物層18に対向する表面にn拡散層26(第2導電型不純物拡散領域)を設け、n拡散層26の深さを、レジスト20aの位置から導電体層22に向かって先細りに漸減させる第4工程と、導電体層22の両側に、n+拡散層28(第2導電型の高濃度層)を設ける第5工程と、を有する。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1導電型不純物拡散領域を有する基板の前記第1導電型不純物拡散領域上に絶縁物層を設ける第1工程と、
フォトエッチングにより、前記第1導電型不純物拡散領域上に前記絶縁物層を介して導電体層を設ける第2工程と、
前記導電体層の側部と前記絶縁物層とで形成される隅部にレジストの一部を残す第3工程と、
前記隅部に残された前記レジストの側方から前記第1導電型不純物拡散領域に不純物を注入し、前記導電体層の両側の前記第1導電型不純物拡散領域のうち、前記絶縁物層に対向する表面に第2導電型不純物拡散領域を設けると共に、第2導電型不純物拡散領域の深さを、前記隅部に残された前記レジストの位置から前記導電体層に向かって先細りに漸減させる第4工程と、
前記導電体層の両側に、前記第2導電型不純物拡散領域より深い位置まで第2導電型の高濃度層を設ける第5工程と、
を有する半導体装置の製造方法。
【請求項2】
前記隅部の断面において、残された前記レジストの前記導電体層に沿った高さ寸法と前記絶縁物層に沿った幅寸法の比が略1:1である、請求項1に記載の半導体装置の製造方法。
【請求項3】
第1導電型不純物拡散領域を有する基板と、
前記第1導電型不純物拡散領域上に設けられた絶縁物層と、
前記第1導電型不純物拡散領域上に前記絶縁物層を介して設けられた導電体層と、
前記導電体層の両側の前記第1導電型不純物拡散領域のうち、前記絶縁物層に対向する表面に設けられ、前記導電体層側の端部の深さが、該導電体層から離れた位置から該導電体層側に向かって先細りに漸減する第2導電型不純物拡散領域と、
前記導電体層の両側に設けられ、前記第2導電型不純物拡散領域より深い位置まで設けられた第2導電型の高濃度層と、
を有する半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体装置の製造方法及び半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造方法が開示されている(特許文献1~4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-21254号公報
【特許文献2】特開2001-298190号公報
【特許文献3】特開2005-277039号公報
【特許文献4】特開2016-12674号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
半導体基板に絶縁膜を介して電極を設け、該半導体基板における該電極の両側に一対の不純物拡散領域が互いに離間して設けられた半導体装置において、該半導体装置の微細化に伴い、短チャンネル効果の抑制が課題となっている。深さが大きい不純物拡散領域の先端が電極近傍にあると短チャンネル効果が生じ易いため、深さが大きい不純物拡散領域を電極から離し、この不純物拡散領域から比較的深さが小さい延長部を電極近傍まで延ばすことが考えられる。
【0005】
一方、延長部が浅すぎると、短チャンネル効果は生じ難いものの、一対の不純物拡散領域間を流れる電流(例えばドレイン電流Ids)が低くなる。延長部を深くすると、当該電流は高くなるものの、短チャンネル効果が生じ易くなる。
【0006】
本発明は、一対の不純物拡散領域間を流れる電流を確保しつつ、短チャンネル効果の発生を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る半導体装置の製造方法は、第1導電型不純物拡散領域を有する基板の前記第1導電型不純物拡散領域上に絶縁物層を設ける第1工程と、フォトエッチングにより、前記第1導電型不純物拡散領域上に前記絶縁物層を介して導電体層を設ける第2工程と、前記導電体層の側部と前記絶縁物層とで形成される隅部にレジストの一部を残す第3工程と、前記隅部に残された前記レジストの側方から前記第1導電型不純物拡散領域に不純物を注入し、前記導電体層の両側の前記第1導電型不純物拡散領域のうち、前記絶縁物層に対向する表面に第2導電型不純物拡散領域を設けると共に、第2導電型不純物拡散領域の深さを、前記隅部に残された前記レジストの位置から前記導電体層に向かって先細りに漸減させる第4工程と、前記導電体層の両側に、前記第2導電型不純物拡散領域より深い位置まで第2導電型の高濃度層を設ける第5工程と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、一対の不純物拡散領域間を流れる電流を確保しつつ、短チャンネル効果の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】基板に絶縁物を埋め込んだ状態を示す断面図である。
図2】基板にpウェルを作成した状態示す断面図である。
図3】pウェルの表面に絶縁膜を形成した状態を示す断面図である。
図4】pウェルの上の絶縁膜の上に、フォトエッチングによりゲート電極を作成した状態を示す断面図である。
図5】ゲート電極の両側の隅部に一部のレジストを残して、他のレジストを除去した状態を示す断面図である。
図6】隅部に残されたレジストの側方からpウェルに不純物を注入し、n拡散層を作成した状態を断面図である。
図7】隅部に残されたレジストの側方からpウェルに不純物を注入し、n拡散層よりも深く高濃度n拡散層を作成した状態を断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための形態を図面に基づき説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一又は同様の構成要素であることを意味する。なお、以下に説明する実施形態において重複する説明及び符号については、省略する場合がある。また、以下の説明において用いられる図面は、いずれも模式的なものであり、図面に示される、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは必ずしも一致していない。また、複数の図面の相互間においても、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は必ずしも一致していない。
【0011】
[半導体装置の製造方法]
図1から図7において、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、次の第1工程から第5工程を有している。半導体装置10(図7)は、例えばn型のMOS半導体(MOSFET、MOSキャパシタ等)である。
【0012】
基板12(例えばシリコン(Si)基板)に複数の半導体装置10(素子)を作成する場合、前工程として、図1に示されるように、素子分離のための絶縁物14(例えばSiO)を埋め込む。また、図2に示されるように、素子を作成する領域に例えばボロン(B)を不純物として添加して、第1導電型不純物拡散領域の一例としてのpウェル16を作成する。pウェル16が形成された基板12をp型基板と呼ぶこともできる。基板12の全体が第1導電型不純物拡散領域とされていてもよい。
【0013】
図3において、第1工程では、例えば基板12のpウェル16上に、例えば熱酸化処理により絶縁物層18(絶縁膜)を設ける。
【0014】
図4において、第2工程では、フォトエッチング(フォトリソグラフィ)により、pウェル16上に絶縁物層18を介して導電体層22を設ける。導電体層22は、例えばポリシリコンで構成されたゲート電極であり、CVD法で形成される。具体的には、CVD法にて基板12の表面に導電体層となる膜を形成したのち、レジストを塗布する(図示せず)。マスク(図示せず)を用いて導電体層22となる部分以外のレジストを露光して除去し、更に導電体層22となる部分以外の膜をエッチングで除去する。これにより、絶縁物層18上に導電体層22を形成する。
【0015】
図5において、第3工程では、導電体層22の側部と絶縁物層18とで形成される隅部24にレジスト20の一部(レジスト20a)を残す。具体的には、基板12の全面に再度レジスト20を塗布し、マスク(図示せず)を用いて第4工程で不純物を注入する予定の領域を露光し、レジスト20を除去する。このとき、導電体層22の側部と絶縁物層18とで形成される隅部24にレジスト20の一部(レジスト20a)を残す。またこのとき、レジスト20を除去するためのリンス時間を調整することで、隅部24に残るレジスト20aの量を調整できる。隅部24の断面において、残されたレジスト20aの導電体層22に沿った高さ寸法Hと絶縁物層18に沿った幅寸法Wの比が略1:1となるようにしてもよい。
【0016】
図6において、第4工程では、隅部24に残されたレジスト20aの側方からpウェル16に不純物として例えばリン(P)を注入し、導電体層22の両側のpウェル16のうち、絶縁物層18に対向する表面に第2導電型不純物拡散領域としてのn拡散層26を設ける。このとき、n拡散層26の深さを、隅部24に残されたレジスト20の位置から導電体層22に向かって先細りに漸減させる。第3工程において、隅部24に一部のレジスト20aを残しておくことで不純物の注入が妨げられ、レジスト20aと重なる部分では、レジスト20aを回り込んだ一部の不純物によりn拡散層26が形成される。このため、n拡散層26の深さは、レジスト20aと重ならない部分では略一定であるが、レジスト20aと重なる部分の近傍から減少し始め、導電体層22に向かって先細りとなるように漸減する。n拡散層26の導電体層22側の先端は、導電体層22とわずかに重なり、かつ鋭角状となることが望ましい。
【0017】
図7において、第5工程では、導電体層22の両側に、n拡散層26より深い位置まで第2導電型の高濃度層の一例としてのn+拡散層28を設ける。結果的に、n+拡散層28よりも厚さが小さいn拡散層26が、n+拡散層28から導電体層22側に延び出した状態となる。したがって、n拡散層26をn延長部と呼ぶこともできる。この後、導電体層22の側面に絶縁膜30及びサイドウォール32を形成する。後の工程は省略するが、導電体層22の両側のn拡散層26に対するコンタクト(ソース電極、ドレイン電極)や、各部への配線の形成等を行い、半導体装置10が完成する。
【0018】
この半導体装置の製造方法では、第3工程において、導電体層22の側部と絶縁物層18とで形成される隅部24にレジスト20の一部(レジスト20a)を残す。これにより、第4工程においてn拡散層26を設ける際に、隅部24に残されたレジストと重なる領域への不純物の拡散を減少させる。これによって、第4工程において、n拡散層26の深さを、隅部24に残されたレジスト20aの位置から導電体層22に向かって先細りに漸減させることができる。このため、一対のn拡散層26間を流れる電流を確保しつつ、一対のn拡散層26間のゲート長を確保として、短チャンネル効果の発生を抑制することが可能な半導体装置10を得ることができる。
【0019】
また、隅部24の断面において、残されたレジスト20aの導電体層22に沿った高さ寸法Hと絶縁物層18に沿った幅寸法Wの比を適切に設定することで、n拡散層26の先細り形状を適切に設定し、一対のn拡散層26間を流れる電流の確保と、短チャンネル効果の発生の抑制のバランスを調整できる。
【0020】
[半導体装置]
半導体装置10は、pウェル16を有する基板12と、pウェル16上に設けられた絶縁物層18と、pウェル16上に絶縁物層18を介して設けられた導電体層22と、導電体層22の両側のpウェル16のうち、絶縁物層18に対向する表面に設けられ、導電体層22側の端部の深さが、該導電体層22から離れた位置から該導電体層22側に向かって先細りに漸減するn拡散層26と、導電体層22の両側に設けられ、n拡散層26より深い位置まで設けられた第2導電型の高濃度層と、を有する。
【0021】
この半導体装置10は、先細りに漸減するn拡散層26を有するので、一対のn拡散層26間を流れる電流を確保しつつ、短チャンネル効果の発生を抑制することができる。
【0022】
[他の実施形態]
以上、本発明の実施形態の一例について説明したが、本発明の実施形態は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【0023】
第1導電型不純物拡散領域をpウェル16とし、第2導電型不純物拡散領域をn拡散層26とし、第2導電型の高濃度層をn+拡散層としたが、第1導電型不純物拡散領域をnウェルとし、第2導電型不純物拡散領域をp拡散層とし、第2導電型の高濃度層をp+拡散層としてもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 半導体装置
12 基板
14 絶縁物
16 pウェル(第1導電型不純物拡散領域)
18 絶縁物層
20 レジスト
20a 一部
22 導電体層
24 隅部
26 n拡散層(第2導電型不純物拡散領域)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7