(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024155667
(43)【公開日】2024-10-31
(54)【発明の名称】ウェーハの切削方法および積層ウェーハの加工方法
(51)【国際特許分類】
B24B 7/04 20060101AFI20241024BHJP
H01L 21/304 20060101ALI20241024BHJP
【FI】
B24B7/04 Z
H01L21/304 601Z
B24B7/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023133053
(22)【出願日】2023-08-17
(31)【優先権主張番号】P 2023069510
(32)【優先日】2023-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小鮒 勇吾
(72)【発明者】
【氏名】山本 敬祐
(72)【発明者】
【氏名】大前 巻子
【テーマコード(参考)】
3C043
5F057
【Fターム(参考)】
3C043BA03
3C043BA09
3C043BA15
3C043CC03
3C043CC04
3C043DD04
3C043EE04
5F057AA05
5F057BA11
5F057BA19
5F057BB06
5F057BB07
5F057BB09
5F057BB11
5F057BB12
5F057CA14
5F057CA16
5F057DA17
5F057FA13
(57)【要約】
【課題】ウェーハの外周端部のチッピングおよび割れを抑制しつつ面取り部を除去することができるウェーハの切削方法および積層ウェーハの加工方法を提供すること。
【解決手段】ウェーハの切削方法は、ウェーハをチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップ101と、保持面と平行方向の回転軸を有するスピンドルの先端に装着された切削ブレードが保持面上に重ならない位置に位置付けた状態で、切削ブレードの外周端部をウェーハの切り込み深さに位置付ける位置付けステップ102と、ウェーハの外周端部を直線状に切削することでウェーハの面取り部の一部を切削する直線切削ステップ103と、チャックテーブルを所定の回転角度で回転させる回転ステップ104と、ウェーハの面取り部のすべてを除去するまで、直線切削ステップ103と回転ステップ104とを繰り返し実施する繰り返しステップ105と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円盤状のウェーハの外周端部を切削し、面取り部を除去するウェーハの切削方法であって、
該ウェーハをチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、
該保持面と平行方向の回転軸を有するスピンドルの先端に装着された切削ブレードが該保持面上に重ならない位置に位置付けた状態で、該スピンドルと該チャックテーブルとを該保持面と直交する方向に相対的に接近させ、該切削ブレードの外周端部を該ウェーハの切り込み深さに位置付ける位置付けステップと、
該スピンドルと該チャックテーブルとを該保持面と平行かつ該スピンドルの回転軸と直交する方向に相対的に移動させ、該ウェーハの該外周端部を直線状に切削することで該ウェーハの該面取り部の一部を切削する直線切削ステップと、
該直線切削ステップの後に、該チャックテーブルを所定の回転角度で回転させる回転ステップと、
該ウェーハの該面取り部のすべてを除去するまで、該直線切削ステップと該回転ステップとを繰り返し実施する繰り返しステップと、
を備えるウェーハの切削方法。
【請求項2】
該繰り返しステップの後に、該切削ブレードで該ウェーハの該外周端部に該切り込み深さに切り込ませた状態で、該チャックテーブルを回転させることにより、該ウェーハの該外周端部を環状に切削して環状の段差部を形成する円形切削ステップを更に備える
請求項1に記載のウェーハの切削方法。
【請求項3】
外周端部に面取り部を有する第1ウェーハと第2ウェーハとが接合された積層ウェーハの加工方法であって、
該積層ウェーハの該第2ウェーハ側の面を第1チャックテーブルの第1保持面で保持することによって該第1ウェーハ側の面を露出させる第1保持ステップと、
該第1保持面と平行方向の回転軸を有する第1スピンドルの先端に装着された切削ブレードが該第1保持面上に重ならない位置に位置付けた状態で、該第1スピンドルと該第1チャックテーブルとを該第1保持面と直交する方向に相対的に接近させ、該切削ブレードの外周端部を該第1ウェーハの切り込み深さに位置付ける位置付けステップと、
該第1スピンドルと該第1チャックテーブルとを該第1保持面と平行かつ該第1スピンドルの回転軸と直交する方向に相対的に移動させ、該第1ウェーハの該外周端部を直線状に切削することで該第1ウェーハの該面取り部の一部を切削する直線切削ステップと、
該直線切削ステップの後に、該第1チャックテーブルを所定の回転角度で回転させる回転ステップと、
該第1ウェーハの該面取り部のすべてを除去するまで、該直線切削ステップと該回転ステップとを繰り返し実施する繰り返しステップと、
該積層ウェーハの該第2ウェーハ側の面を第2チャックテーブルの第2保持面で保持することによって該第1ウェーハ側の面を露出させる第2保持ステップと、
該第2保持面と直交する方向の回転軸を有する第2スピンドルの先端に装着された研削ホイールと該第2チャックテーブルとを相対的に接近させ、該第1ウェーハを研削する研削ステップと、
を備える積層ウェーハの加工方法。
【請求項4】
該繰り返しステップの後、かつ該第2保持ステップの前に、該切削ブレードで該第1ウェーハの該外周端部に該切り込み深さに切り込ませた状態で、該第1チャックテーブルを回転させることにより、該第1ウェーハの該外周端部を環状に切削して環状の段差部を形成する円形切削ステップを更に備える
請求項3に記載の積層ウェーハの加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハの切削方法および積層ウェーハの加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、ウェーハの表面において格子状に形成されたストリート(分割予定ライン)によって区画された領域にIC(Integrated Circuit)やLSI(Large Scale Integration)等のデバイスが形成される。これらのウェーハは裏面が研削されて所定の厚みへと薄化された後、ストリートに沿って切削装置等によって分割されることで個々の半導体デバイスチップに個片化される。
【0003】
一方、ウェーハには、外周縁に表面から裏面に亘って面取りが形成されているものがある。このような板状ワークを半分の厚み以下に薄化すると、いわゆるシャープエッジが外周に形成され、ウェーハが破損する可能性がある。これを防ぐため、ウェーハの外周をトリミングして面取りを除去してから、薄化する技術が知られている(特許文献1)。面取り部を除去する方法としては、切削ブレードをウェーハの面取り部が形成された外周端部に切り込ませた状態でウェーハを保持するチャックテーブルを回転させることで外周端部のすべての面取り部を除去する方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記方法の面取り部除去方法では、直線状に形成される加工点に対してチャックテーブルを回転させることで切削ブレードに対して横方向の負荷がかかるため、面取り部が除去されたウェーハの外周端部でチッピングや割れ等が発生する可能性があった。また、積層ウェーハでは、上面側の第1ウェーハのチッピングが大きいもしくは多い場合、その後の研削時にチッピングを起点に剥がれ易くなるという課題があった。
【0006】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、ウェーハの外周端部のチッピングおよび割れを抑制しつつ面取り部を除去することができるウェーハの切削方法および積層ウェーハの加工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明のウェーハの切削方法は、円盤状のウェーハの外周端部を切削し、面取り部を除去するウェーハの切削方法であって、該ウェーハをチャックテーブルの保持面で保持する保持ステップと、該保持面と平行方向の回転軸を有するスピンドルの先端に装着された切削ブレードが該保持面上に重ならない位置に位置付けた状態で、該スピンドルと該チャックテーブルとを該保持面と直交する方向に相対的に接近させ、該切削ブレードの外周端部を該ウェーハの切り込み深さに位置付ける位置付けステップと、該スピンドルと該チャックテーブルとを該保持面と平行かつ該スピンドルの回転軸と直交する方向に相対的に移動させ、該ウェーハの該外周端部を直線状に切削することで該ウェーハの該面取り部の一部を切削する直線切削ステップと、該直線切削ステップの後に、該チャックテーブルを所定の回転角度で回転させる回転ステップと、該ウェーハの該面取り部のすべてを除去するまで、該直線切削ステップと該回転ステップとを繰り返し実施する繰り返しステップと、を備えることを特徴とする。
【0008】
本発明のウェーハの切削方法は、該繰り返しステップの後に、該切削ブレードで該ウェーハの該外周端部に該切り込み深さに切り込ませた状態で、該チャックテーブルを回転させることにより、該ウェーハの該外周端部を環状に切削して環状の段差部を形成する円形切削ステップを更に備えてもよい。
【0009】
また、本発明の積層ウェーハの加工方法は、外周端部に面取り部を有する第1ウェーハと第2ウェーハとが接合された積層ウェーハの加工方法であって、該積層ウェーハの該第2ウェーハ側の面を第1チャックテーブルの第1保持面で保持することによって該第1ウェーハ側の面を露出させる第1保持ステップと、該第1保持面と平行方向の回転軸を有する第1スピンドルの先端に装着された切削ブレードが該第1保持面上に重ならない位置に位置付けた状態で、該第1スピンドルと該第1チャックテーブルとを該第1保持面と直交する方向に相対的に接近させ、該切削ブレードの外周端部を該第1ウェーハの切り込み深さに位置付ける位置付けステップと、該第1スピンドルと該第1チャックテーブルとを該第1保持面と平行かつ該第1スピンドルの回転軸と直交する方向に相対的に移動させ、該第1ウェーハの該外周端部を直線状に切削することで該第1ウェーハの該面取り部の一部を切削する直線切削ステップと、該直線切削ステップの後に、該第1チャックテーブルを所定の回転角度で回転させる回転ステップと、該第1ウェーハの該面取り部のすべてを除去するまで、該直線切削ステップと該回転ステップとを繰り返し実施する繰り返しステップと、該積層ウェーハの該第2ウェーハ側の面を第2チャックテーブルの第2保持面で保持することによって該第1ウェーハ側の面を露出させる第2保持ステップと、該第2保持面と直交する方向の回転軸を有する第2スピンドルの先端に装着された研削ホイールと該第2チャックテーブルとを相対的に接近させ、該第1ウェーハを研削する研削ステップと、を備えることを特徴とする。
【0010】
本発明の積層ウェーハの加工方法は、該繰り返しステップの後、かつ該第2保持ステップの前に、該切削ブレードで該第1ウェーハの該外周端部に該切り込み深さに切り込ませた状態で、該第1チャックテーブルを回転させることにより、該第1ウェーハの該外周端部を環状に切削して環状の段差部を形成する円形切削ステップを更に備えてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、ウェーハの外周端部のチッピングおよび割れを抑制しつつ面取り部を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係るウェーハの切削方法の流れを示すフローチャートである。
【
図2】
図2は、
図1に示す保持ステップ後の状態を一部断面で示す側面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す位置付けステップ後の状態を一部断面で示す側面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す直線切削ステップの一状態を一部断面で示す側面図である。
【
図7】
図7は、
図1に示す回転ステップ後の状態を一部断面で示す側面図である。
【
図9】
図9は、
図1に示す繰り返しステップ後のウェーハを示す平面図である。
【
図10】
図10は、第2実施形態に係る積層ウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第3実施形態に係るウェーハの切削方法の流れを示すフローチャートである。
【
図17】
図17は、第4実施形態に係る積層ウェーハの加工方法の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明を実施するための形態(実施形態)につき、図面を参照しつつ詳細に説明する。以下の各実施形態に記載した内容により本発明が限定されるものではない。また、以下に記載した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものが含まれる。更に、以下に記載した構成は適宜組み合わせることが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲で構成の種々の省略、置換または変更を行うことができる。
【0014】
〔第1実施形態〕
まず、本発明の第1実施形態に係るウェーハ1の切削方法を図面に基づいて説明する。ウェーハ1の切削方法は、円盤状のウェーハ1の外周端部7を切削し、面取り部3を除去するため方法である。
図1は、第1実施形態に係るウェーハ1の切削方法の流れを示すフローチャートである。
図1に示すように、第1実施形態のウェーハ1の切削方法は、保持ステップ101と、位置付けステップ102と、直線切削ステップ103と、回転ステップ104と、繰り返しステップ105と、を備える。
【0015】
(保持ステップ101)
図2は、
図1に示す保持ステップ101後の状態を一部断面で示す側面図である。保持ステップ101は、ウェーハ1をチャックテーブル20の保持面21で保持するステップである。
【0016】
ウェーハ1は、例えば、シリコン(Si)、炭化ケイ素(SiC)、窒化ガリウム(GaN)、ヒ化ガリウム(GaAs)またはその他の半導体材料を基板2とする円盤状の半導体ウェーハ、光デバイスウェーハ等のウェーハである。あるいは、ウェーハ1は、サファイア(Al2O3)、ガラス、石英等の材料を基板2とする円盤状のウェーハである。ガラスは、例えば、アルカリガラス、無アルカリガラス、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸ガラス、石英ガラス、等を含む。なお、ウェーハ1は、円盤状に限定されず、樹脂パッケージ基板や金属基板等その他の板状であってもよい。
【0017】
ウェーハ1は、
図2に示すように、外周縁に沿って面取り部3を有する。第1実施形態の面取り部3は、基板2の表面4から裏面5に亘って、断面円弧状に形成される。ウェーハ1は、例えば、基板2の表面4に格子状に設定される複数の分割予定ラインと、分割予定ラインによって区画された各領域に形成されるデバイスと、を有する。
【0018】
デバイスは、表面4の面取り部3が形成される領域より径方向内側の平坦面に形成される。デバイスは、例えば、ICまたはLSI等の集積回路、CCD(Charge Coupled Device)またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサ、あるいはMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)等である。
【0019】
第1実施形態の保持ステップ101では、ウェーハ1の表面4側を、チャックテーブル20の保持面21で保持する。チャックテーブル20は、ウェーハ1の切削方法を実施する切削装置に搭載される。
【0020】
チャックテーブル20は、垂直な軸心回りに回動可能、かつ、後述の切削ユニット30と対向する加工領域と、ウェーハ1を搬入および搬出する搬入出領域との間で移動可能に構成される。チャックテーブル20の保持面21は、例えば、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、真空吸引経路を介して真空吸引源と接続して、保持面21上に載置されたウェーハ1を吸引保持可能である。
【0021】
(位置付けステップ102)
図3は、
図1に示す位置付けステップ102後の状態を一部断面で示す側面図である。
図4は、
図3の平面図である。位置付けステップ102は、スピンドル31の先端に装着された切削ブレード32が保持面21上に重ならない位置に位置付けた状態で、切削ブレード32の外周端部33をウェーハ1の切り込み深さ6に位置付けるステップである。
【0022】
スピンドル31および切削ブレード32は、ウェーハ1の切削方法を実施する切削装置の切削ユニット30に含まれる。切削ユニット30は、スピンドル31と、切削ブレード32と、切削ユニット30による切削加工中に、ウェーハ1および切削ブレード32に切削液を供給する不図示の切削液供給手段と、を備える。
【0023】
図3等に示すスピンドル31は、チャックテーブル20の保持面21と平行方向の回転軸を有する軸部材である。切削ブレード32は、スピンドル31の先端に装着される。切削ブレード32は、例えば、ダイヤモンドまたはCBN(Cubic Boron Nitride)等の砥粒と、金属や樹脂等のボンド材とを含み、所定厚みに形成された切り刃を有する。ウェーハ1の密度および硬さ等の種別によって、チッピングおよびクラックが適正値内である適切な切り刃を有する切削ブレード32が選択される。切り刃は、例えば、樹脂ボンド、メタルボンドまたはポーラスボンド等である。
【0024】
ウェーハ1の切削方法を実施する切削装置は、更に、不図示の撮像ユニットと、不図示の移動ユニットと、を備える。不図示の撮像ユニットは、切削ユニット30と一体的に移動するように設けられ、チャックテーブル20に保持されたウェーハ1の上面を撮像する。不図示の移動ユニットは、チャックテーブル20と切削ユニット30とを相対的に移動させる。
【0025】
移動ユニットは、例えば、加工送りユニットと、割り出し送りユニットと、切り込み送りユニットと、を含む。加工送りユニットは、チャックテーブル20の保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向に、チャックテーブル20と切削ユニット30とを相対的に加工送りする。割り出し送りユニットは、スピンドル31の回転軸と平行な方向にチャックテーブル20と切削ユニット30とを相対的に割り出し送りする。切り込み送りユニットは、保持面21と直交する方向にチャックテーブル20と切削ユニット30とを相対的に切り込み送りする。
【0026】
位置付けステップ102では、まず、不図示の撮像ユニットによって、チャックテーブル20の保持面21に保持されたウェーハ1を撮像して面取り部3を含む外周端部7を検出する。次に、不図示の移動ユニットによって、チャックテーブル20と切削ユニット30とを割り出し送り方向(スピンドル31の回転軸に平行な方向)に相対的に移動させて、平面視において切削ブレード32を、ウェーハ1の外周端部7と中央部側との境界線の加工送り方向(保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向)の延長上に位置合わせする。外周端部7は、後述の直線切削ステップ103において、切り込み深さ6まで切削する領域である。
【0027】
次に、不図示の移動ユニットによって、チャックテーブル20と切削ユニット30とを加工送り方向に相対的に移動させて、平面視において切削ブレード32が保持面21上に重ならない位置(
図4に示す位置)に位置付ける。次に、不図示の移動ユニットによって、チャックテーブル20と切削ユニット30とを切り込み送り方向(保持面21と直交する方向)に相対的に接近させて、切削ブレード32の外周端部33の下端をウェーハ1の切り込み深さ6に位置付ける。なお、以降の説明では、位置付けステップ102で位置づけた切削ユニット30の位置を、待機位置と呼ぶ。
【0028】
(直線切削ステップ103)
図5は、
図1に示す直線切削ステップ103の一状態を一部断面で示す側面図である。
図6は、
図5の平面図である。直線切削ステップ103は、スピンドル31とチャックテーブル20とを保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向に相対的に移動させ、ウェーハ1の外周端部7を直線状に切削することでウェーハ1の面取り部3の一部を切削するステップである。
【0029】
直線切削ステップ103は、位置付けステップ102の後に実施される。すなわち、直線切削ステップ103の開始時において、切削ブレード32は、待機位置に位置付けられている。直線切削ステップ103では、まず、不図示の切削液供給手段によって、切削ブレード32の加工点に向けて切削液の供給を開始させるとともに、スピンドル31の回転を開始させる。
【0030】
次に、不図示の移動ユニットによって、チャックテーブル20と切削ユニット30とを加工送り方向(保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向)に相対的に移動させる。これにより、切削ブレード32を、ウェーハ1の外周縁から外周端部7と中央部側との境界線に沿って、切り込み深さ6で切り込ませる。そして、切削ユニット30の加工送りを継続し、切り込み深さ6でウェーハ1の外周端部7を直線状に切削して、面取り部3の一部を切削する。
【0031】
切削ブレード32によって切削された外周端部7は、裏面5から切り込み深さ6分下方に位置する切削面8-1(
図7および
図8参照)を上面とする段差に形成される。直線切削ステップ103を終了した後は、不図示の移動ユニットによってチャックテーブル20と切削ユニット30とを相対的に移動させて、切削ユニット30を待機位置に移動させる。
【0032】
(回転ステップ104)
図7は、
図1に示す回転ステップ104後の状態を一部断面で示す側面図である。
図8は、
図7の平面図である。回転ステップ104は、直線切削ステップ103の後に実施される。回転ステップ104は、チャックテーブル20を所定の回転角度で回転させるステップである。
【0033】
第1実施形態の回転ステップ104では、平面視において、チャックテーブル20を反時計回りに45度回転させる。回転ステップ104中、切削液の供給およびスピンドル31の回転は、継続される。
【0034】
なお、回転ステップ104においてチャックテーブル20を回転させる回転角度は、面取り部3の幅と、直線切削ステップ103において切削する外周端部7の幅と、に基づいて、予め決定される。すなわち、続く繰り返しステップ105において、隣接する切削面8の間に面取り部3が残存しないように、回転ステップ104におけるチャックテーブル20の回転角度を決定する。
【0035】
(繰り返しステップ105)
図9は、
図1に示す繰り返しステップ105後のウェーハ1を示す平面図である。繰り返しステップ105は、ウェーハ1の面取り部3のすべてを除去するまで、直線切削ステップ103と回転ステップ104とを繰り返し実施するステップである。
【0036】
2回目以降の直線切削ステップ103は、回転ステップ104の後に実施される。すなわち、直線切削ステップ103の開始時において、切削ブレード32は、切削ブレード32が保持面21上に重ならず、切削ブレード32の外周端部33がウェーハ1の切り込み深さ6にある待機位置に位置付けられている(
図7および
図8参照)。
【0037】
2回目の直線切削ステップ103では、1回目の直線切削ステップ103と同様に、チャックテーブル20と切削ユニット30とを加工送り方向(保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向)に相対的に移動させ、切り込み深さ6でウェーハ1の外周端部7を直線状に切削して、面取り部3の一部を切削する。切削ブレード32によって切削された外周端部7は、裏面5から切り込み深さ6分下方に位置する切削面8-2を上面とする段差に形成される。
【0038】
繰り返しステップ105では、直線切削ステップ103と回転ステップ104とを順に繰り返し、回転ステップ104で所定の回転角度回転させたウェーハ1の外周端部7を次々に切削することで、切削面8-2、8-3、8-4、8-5、8-6、8-7、8-8を上面とする段差を形成する。これにより、ウェーハ1の裏面5側は、外周端部7が多角形状(第1実施形態では、正八角形状)にトリミングされる。なお、n回目(第1実施形態では、8回目)の直線切削ステップ103において、外周端部7を切削し、面取り部3のすべてが除去された場合、n回目の回転ステップ104は、省略されてよい。
【0039】
以上説明したように、第1実施形態のウェーハ1では、チャックテーブル20上に保持されたウェーハ1に対し、切削ブレード32をスピンドル31の回転軸に直交する方向にのみ移動させ、外周端部7を直線状に切削することで面取り部3の一部を切削し、これを繰り返し実施してすべての面取り部3を切削する。これにより、環状に面取り部3を切削する場合に比べて、切削ブレード32への横方向の負荷を抑制した状態で面取り部3を除去できるため、チッピングや割れを抑制することができる。
【0040】
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態に係る積層ウェーハ10の加工方法を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0041】
積層ウェーハ10の加工方法は、第1ウェーハ1-1と第2ウェーハ1-2とが積層された積層ウェーハ10において、第1ウェーハ1-1の外周端部7を切削して面取り部3を除去し、第1ウェーハ1-1側の面11を研削する方法である。
図10は、第2実施形態に係る積層ウェーハ10の加工方法の流れを示すフローチャートである。
図10に示すように、第2実施形態の積層ウェーハ10の加工方法は、第1保持ステップ201と、位置付けステップ202と、直線切削ステップ203と、回転ステップ204と、繰り返しステップ205と、第2保持ステップ206と、研削ステップ207と、を備える。
【0042】
(第1保持ステップ201)
図11は、
図10に示す第1保持ステップ201後の状態を一部断面で示す側面図である。第1保持ステップ201は、積層ウェーハ10の第2ウェーハ1-2側の面12をチャックテーブル20の保持面21で保持することによって第1ウェーハ1-1側の面11を露出させるステップである。
【0043】
積層ウェーハ10は、第1ウェーハ1-1と第2ウェーハ1-2とが接合された積層ウェーハである。第1ウェーハ1-1は、第1実施形態のウェーハ1と同様のウェーハである。また、第2ウェーハ1-2は、第2実施形態において、第1ウェーハ1-1と同様のウェーハであるものとして説明するが、本発明ではパターンの無い単なるサブストレートウエーハでもよい。
【0044】
第1ウェーハ1-1と第2ウェーハ1-2とは、互いにデバイスを有する表面4側同士が接合されている。すなわち、積層ウェーハ10の第1ウェーハ1-1側の面11は、第1ウェーハ1-1の裏面5であり、積層ウェーハ10の第2ウェーハ1-2側の面12は、第2ウェーハ1-2の裏面5である。なお、第1ウェーハ1-1と第2ウェーハ1-2との接合は、接合層を介したものでもよいし、直接接合するものであってもよい。接合層は、基材層の表裏面に粘着材層が積層された両面テープ、酸化膜、または樹脂等を含む接着剤が塗布されることにより形成されるものでもよい。
【0045】
第2実施形態の第1保持ステップ201では、積層ウェーハ10において、第2ウェーハ1-2側の面12、すなわち第2ウェーハ1-2の裏面5側を、チャックテーブル20の保持面21で保持する。これにより、第1ウェーハ1-1側の面11、すなわち第1ウェーハ1-1の裏面5を露出させる。チャックテーブル20は、第1実施形態で使用した切削装置に搭載されるチャックテーブル20である。
【0046】
(位置付けステップ202)
位置付けステップ202は、スピンドル31の先端に装着された切削ブレード32が保持面21上に重ならない位置に位置付けた状態で、スピンドル31とチャックテーブル20とを保持面21と直交する方向に相対的に接近させ、切削ブレード32の外周端部33を第1ウェーハ1-1の切り込み深さ6に位置付けるステップである。第2実施形態の位置付けステップ202は、第1実施形態の位置付けステップ102に対し、「ウェーハ1」を「第1ウェーハ1-1」に置き換える以外同様の手順であるため、説明を省略する。
【0047】
(直線切削ステップ203)
直線切削ステップ203は、スピンドル31とチャックテーブル20とを保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向に相対的に移動させ、第1ウェーハ1-1の外周端部7を直線状に切削することで第1ウェーハ1-1の面取り部3の一部を切削するステップである。第2実施形態の直線切削ステップ203は、第1実施形態の直線切削ステップ103に対し、「ウェーハ1」および「切り込み深さ6」を「第1ウェーハ1-1」および「切り込み深さ6-2」(
図12参照)に置き換える以外同様の手順であるため、手順についての説明を省略する。
【0048】
第2実施形態の直線切削ステップ203では、切り込み深さ6-2を第1ウェーハ1-1の厚み分とし、面取り部3を含む外周端部7の厚み方向全体を除去する。すなわち、第1実施形態のように切削面8を上面とする段差は形成されず、第1ウェーハ1-1は、外周端部7が直線状に切削された欠円を底面とする柱状に形成される。
【0049】
(回転ステップ204)
回転ステップ204は、直線切削ステップ203の後に実施される。回転ステップ204は、チャックテーブル20を所定の回転角度で回転させるステップである。第2実施形態の回転ステップ204は、第1実施形態の回転ステップ104に対し、「ウェーハ1」を「第1ウェーハ1-1」に置き換える以外同様の手順であるため、説明を省略する。
【0050】
(繰り返しステップ205)
繰り返しステップ205は、第1ウェーハ1-1の面取り部3のすべてを除去するまで、直線切削ステップ203と回転ステップ204とを繰り返し実施するステップである。第2実施形態の繰り返しステップ205は、第1実施形態の繰り返しステップ105に対し、「ウェーハ1」および「切り込み深さ6」を「第1ウェーハ1-1」および「切り込み深さ6-2」に置き換える以外同様の手順であるため、手順の説明を省略する。
【0051】
2回目以降の直線切削ステップ203においても、切り込み深さ6-2を第1ウェーハ1-1の厚み分とし、面取り部3を含む外周端部7の厚み方向全体を除去する。繰り返しステップ205では、直線切削ステップ203と回転ステップ204とを順に繰り返し、回転ステップ204で所定の回転角度回転させたウェーハ1の外周端部7を次々に切削することで、外周端部7が直線状に切削された多角柱状(第2実施形態では、正八角柱状)に形成される(
図12参照)。
【0052】
(第2保持ステップ206)
図12は、
図10に示す第2保持ステップ206後の状態を一部断面で示す側面図である。第2保持ステップ206は、積層ウェーハ10の第2ウェーハ1-2側の面12を第2チャックテーブル40の第2保持面41で保持することによって第1ウェーハ1-1側の面11を露出させるステップである。
【0053】
第2チャックテーブル40は、後述の研削ステップ207を実施する研削装置に搭載される。第2チャックテーブル40は、垂直な軸心回りに回動可能、かつ、後述の研削ユニット50と対向する加工領域と、積層ウェーハ10を搬入および搬出する搬入出領域との間で移動可能に構成される。第2チャックテーブル40の第2保持面41は、例えば、ポーラスセラミック等から形成された円盤形状であり、真空吸引経路を介して真空吸引源と接続して、第2保持面41上に載置された積層ウェーハ10を吸引保持可能である。
【0054】
(研削ステップ207)
図13は、
図10に示す研削ステップ207の一状態を一部断面で示す側面図である。研削ステップ207は、第1ウェーハ1-1を研削するステップである。研削ステップ207では、研削装置によって、第1ウェーハ1-1の裏面5側を所定の厚さまで薄化する。研削装置は、第2チャックテーブル40と、研削ユニット50と、研削ホイール52と第2チャックテーブル40とを相対的に接近させる不図示の昇降ユニットと、第1ウェーハ1-1および研削ユニット50の加工点に研削液を供給する不図示の研削液供給手段と、を備える。
【0055】
研削ユニット50は、第2スピンドル51と、研削ホイール52と、研削砥石53と、を備える。第2スピンドル51は、第2チャックテーブル40の第2保持面41と直交する方向の回転軸を有する軸部材である。研削ホイール52は、第2スピンドル51の先端に装着され、第2スピンドル51の回転に伴って回転する。研削砥石53は、研削ホイール52の下面に装着されて、加工領域にある第2チャックテーブル40の第2保持面41と対向する。
【0056】
研削ステップ207では、まず、第2チャックテーブル40の軸心回の回転および第2スピンドル51の回転を開始させる。次に、不図示の研削液供給手段によって、研削砥石53の加工点に向けて研削液の供給を開始させるとともに、不図示の昇降ユニットによって、研削ホイール52と第2チャックテーブル40とを相対的に接近させる。所定の送り速度で研削砥石53を第1ウェーハ1-1に近づけることによって、研削砥石53で第1ウェーハ1-1の裏面5を研削し、所定の厚さまで薄化する。
【0057】
以上説明したように、第2実施形態の積層ウェーハ10の加工方法では、第1実施形態と同様の手順で、チャックテーブル20上に保持された第1ウェーハ1-1に対し、切削ブレード32をスピンドル31の回転軸に直交する方向にのみ移動させ、外周端部7を直線状に切削することで面取り部3の一部を切削し、これを繰り返し実施してすべての面取り部3を切削する。これにより、環状に面取り部3を切削する場合に比べて、切削ブレード32への横方向の負荷を抑制した状態で面取り部3を除去できるため、チッピングや割れを抑制することができる。
【0058】
また、研削ステップ207では、ウェーハ(第1ウェーハ1-1)を研削する場合、ウェーハの外周縁から中心部に向かって研削することによって、ウェーハエッジに研削砥石53を接触させ自生発刃を活発化させている。したがって、積層ウェーハ10において、第1ウェーハ1-1のチッピングが大きいもしくは多い場合、研削時に外周縁から研削すると、チッピングを起点に剥がれ易くなってしまう可能性がある。第2実施形態の積層ウェーハ10の加工方法では、チッピングを抑制することができるので、研削時の剥がれを抑制することができる。
【0059】
〔第3実施形態〕
次に、本発明の第3実施形態に係るウェーハ1の切削方法を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、第1実施形態と同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
図14は、第3実施形態に係るウェーハの切削方法の流れを示すフローチャートである。
図14に示すように、第3実施形態のウェーハ1の切削方法は、保持ステップ301と、位置付けステップ302と、直線切削ステップ303と、回転ステップ304と、繰り返しステップ305と、円形切削ステップ306と、を備える。
【0061】
第3実施形態の保持ステップ301、位置付けステップ302、直線切削ステップ303、回転ステップ304、および繰り返しステップ305は、第1実施形態の保持ステップ101、位置付けステップ102、直線切削ステップ103、回転ステップ104、および繰り返しステップ105と同様の手順であるため、説明を省略する。
【0062】
(円形切削ステップ306)
図15は、
図14に示す円形切削ステップ306の一状態を示す側面図である。
図16は、
図14に示す円形切削ステップ306後のウェーハ1を示す平面図である。円形切削ステップ306は、切削ブレード32でウェーハ1の外周端部7に切り込み深さ6に切り込ませた状態で、チャックテーブル20を回転させることにより、ウェーハ1の外周端部7を環状に切削して環状の段差部9を形成するステップである。
【0063】
円形切削ステップ306は、繰り返しステップ305の後に実施される。すなわち、円形切削ステップ306の開始時において、ウェーハ1は、表面4側がチャックテーブル20の保持面21に保持されている。また、ウェーハ1は、裏面5側の外周端部7が多角形状(例えば、第1実施形態では、正八角形状)にトリミングされている。切削ユニット30は、切削ブレード32の外周端部33の下端が切り込み深さ6に位置付けられ、かつ、平面視において切削ブレード32が保持面21上に重ならない位置に位置付けられている。
【0064】
円形切削ステップ306では、まず、不図示の移動ユニットによって、チャックテーブル20と切削ユニット30とを保持面21と平行かつスピンドル31の回転軸と直交する方向に相対的に移動させて、平面視において切削ブレード32がウェーハ1の切削面8に重なる位置に位置付ける。次に、切削ブレード32の加工点に向けて切削液を供給させるとともにスピンドル31を回転させながら、チャックテーブル20を所定の速度で軸心回りに回転させる。これにより、ウェーハ1の切り込み深さ6分の多角柱状の部分の角部が除去され円柱状に切削されて、切り込み深さ6分の外周端部7が環状に除去される。
【0065】
以上説明したように、第3実施形態のウェーハ1の切削方法では、通常の環状トリミング(円形切削ステップ306)より前に、外周端部7を直線状に除去する直線切削ステップ303を繰り返し実施して多角形状にトリミングする。これにより、円形切削ステップ306で除去する領域を小さくできるため、切削ブレード32に横方向の負荷がかかることによるチッピングや割れ等の発生を抑制することができる。また、環状トリミングを実施してトリミングした側の裏面5を円形状にすることで、その後の工程において、裏面5をチャックテーブルで吸引保持する際に、バキューム漏れを抑制することができる。
【0066】
〔第4実施形態〕
次に、本発明の第4実施形態に係る積層ウェーハ10の加工方法を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明において、第2実施形態と同様の要素には、同一の符号を付して説明を省略する。
【0067】
図17は、第4実施形態に係る積層ウェーハ10の加工方法の流れを示すフローチャートである。
図17に示すように、第4実施形態の積層ウェーハ10の加工方法は、第1保持ステップ401と、位置付けステップ402と、直線切削ステップ403と、回転ステップ404と、繰り返しステップ405と、円形切削ステップ406と、第2保持ステップ407と、研削ステップ408と、を備える。
【0068】
第4実施形態の第1保持ステップ401、位置付けステップ402、直線切削ステップ403、回転ステップ404、繰り返しステップ405、第2保持ステップ407、および研削ステップ408は、第2実施形態の第1保持ステップ201、位置付けステップ202、直線切削ステップ203、回転ステップ204、繰り返しステップ205、第2保持ステップ206、および研削ステップ207と同様の手順であるため、説明を省略する。
【0069】
(円形切削ステップ406)
円形切削ステップ406は、繰り返しステップ405の後、かつ第2保持ステップ407の前に実施される。円形切削ステップ406は、切削ブレード32で第1ウェーハ1-1の外周端部7に切り込み深さ6-2に切り込ませた状態で、チャックテーブル20を回転させることにより、第1ウェーハ1-1の外周端部7を環状に切削して環状の段差部9を形成するステップである。第4実施形態の円形切削ステップ406は、第3実施形態の円形切削ステップ306に対し、「ウェーハ1」および「切り込み深さ6」を「第1ウェーハ1-1」および「切り込み深さ6-2」(
図12参照)に置き換える以外同様の手順であるため、手順についての説明を省略する。
【0070】
以上説明したように、第4実施形態の積層ウェーハ10の加工方法では、第3実施形態と同様の手順で、通常の環状トリミング(円形切削ステップ406)より前に、外周端部7を直線状に除去する直線切削ステップ403を繰り返し実施して多角形状にトリミングする。これにより、円形切削ステップ406で除去する領域を小さくできるため、切削ブレード32に横方向の負荷がかかることによるチッピングや割れ等の発生を抑制することができる。また、環状トリミングを実施してトリミングした側の第1ウェーハ1-1の裏面5を円形状にすることで、その後の工程において、裏面5をチャックテーブルで吸引保持する際に、バキューム漏れを抑制することができる。
【0071】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0072】
例えば、各実施形態では、直線切削ステップ103、203、303、403を8回実施しているが、切削回数は特に限定されず、面取り部3の幅と、切削する外周端部7の幅と、に基づいて、回転ステップ104、204、304、404におけるチャックテーブル20の回転角度とともに決定すればよい。また、切削する順番は、平面視で反時計回りに限定されず、時計回りでもよいし、隣接する外周端部7を続いて切削しなくてもよい。
【0073】
また、第1実施形態の直線切削ステップ103、および第3実施形態の直線切削ステップ303においては、切り込み深さ6をウェーハ1の厚みの半分より小さくして、切削面8を上面とする段差を形成しているが、第2実施形態の直線切削ステップ203、および第4実施形態の直線切削ステップ403のように、ウェーハ1の厚み方向全体である切り込み深さ6-2で、表面4側までウェーハ1の厚み方向全体を切削してもよい。
【0074】
また、第2実施形態の直線切削ステップ203、および第4実施形態の直線切削ステップ403においては、切り込み深さ6-2をウェーハ1の厚み方向全体として、表面4側までウェーハ1の厚み方向全体を切削しているが、第1実施形態の直線切削ステップ103、および第3実施形態の直線切削ステップ303のように、ウェーハ1の厚みの半分より小さい切り込み深さ6で、切削面8を上面とする段差を形成してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 ウェーハ
1-1 第1ウェーハ
1-2 第2ウェーハ
3 面取り部
4 表面
5 裏面
6、6-2 切り込み深さ
7 外周端部
8 切削面
9 段差部
10 積層ウェーハ
11、12 面
20 チャックテーブル(第1チャックテーブル)
21 保持面(第1保持面)
30 切削ユニット
31 スピンドル(第1スピンドル)
32 切削ブレード
33 外周端部
40 第2チャックテーブル
41 第2保持面
50 研削ユニット
51 第2スピンドル
52 研削ホイール
53 研削砥石